JP6832899B2 - 感光性転写材料、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法 - Google Patents

感光性転写材料、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、感光性転写材料、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法に関する。
静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線などの導電性層パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般的にパターン化した層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといったことから、感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けたレジスト層に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光した後に現像する方法が広く使用されている。
また、従来のレジスト層組成物および感光性転写材料としては、特許文献1〜4に記載されたものが知られている。更に、支持体と染料を含有するクッション層と感光層とを有する感光性転写材料が開示されている(例えば、特許文献5)。
特開2008−64908号公報 特開2004−54106号公報 特開2009−3000号公報 特開2002−341544号公報 特開2006−85116号公報
本開示の一実施形態が解決しようとする課題は、露光部及び未露光部の視認性に優れる感光性転写材料を提供することである。
また、本開示の他の一実施形態が解決しようとする課題は、上記感光性転写材料を用いた、回路配線の製造方法、又は、タッチパネルの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 仮支持体、中間層およびレジスト層をこの順番に有し、中間層は、下記(A)成分を含有する感光性転写材料。
(A)成分:発色時の波長範囲400nm〜780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素
<2> (A)成分である色素は、pH感受性色素である<1>に記載の感光性転写材料。
<3> (A)成分である色素は、トリアリールメタン骨格を有する<1>または<2>に記載の感光性転写材料。
<4> (A)成分である色素が、下記式Iで表される色素、下記式Iで表される色素の開環体及び開環体の中和体から選ばれる少なくとも1つを含む<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。

式I中、ArおよびAr’は、それぞれ独立に芳香族基を表す。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表す。
<5> レジスト層は下記(B)成分及び(C)成分を含有する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
(B)成分:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体
(C)成分:光酸発生剤
<6> 露光により(C)成分である光酸発生剤から放出された酸により、(A)成分である色素の発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が変化する<5>に記載の感光性転写材料。
<7> 露光により(C)光酸発生剤から放出された酸より、(A)成分である色素の発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が短波化する<6>に記載の感光性転写材料。
<8> (C)成分である光酸発生剤から生じる酸が、リン酸、又はスルホン酸であり、且つpKaが4以下の酸である<5>〜<7>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<9> (B)成分である重合体が有する、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位が、下記式IIで表される構成単位である<5>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。


式II中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR及びRのいずれか一方が、アルキル基又はアリール基であり、Rはアルキル基又はアリール基を表し、R又はRと、Rと、が連結して環状エーテルを形成してもよい。Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
<10> 中間層が、更に、下記(G)成分を含有する<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
(G)成分:pH調整剤
<11> pH調整剤が、4級アンモニウム塩である<10>に記載の感光性転写材料。
<12> レジスト層に、さらに下記(D)成分を含有する<1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
(D)成分:塩基性化合物
<13> 基板に対し、<1>〜<12>のいずれか1つに記載の感光性転写材料のレジスト層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、貼り合わせる工程後の感光性転写材料のレジスト層をパターン露光する工程と、パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程と、パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む回路配線の製造方法。
<14> 基板に対し、<1>〜<12>のいずれか1つに記載の感光性転写材料のレジスト層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、貼り合わせる工程後の感光性転写材料のレジスト層をパターン露光する工程と、パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程と、パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含むタッチパネルの製造方法。
本開示の一実施形態によれば、露光部及び未露光部の視認性に優れる感光性転写材料を提供することができる。
また、本開示の他の一実施形態によれば、上記感光性転写材料を用いた、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法を提供することができる。
本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を示す概略図である。 本開示に係る感光性転写材料を用いたタッチパネル用回路配線の製造方法の一例を示す概略図である。 パターンAを示す概略図である。 パターンBを示す概略図である。
以下、本開示の内容について説明する。なお、添付の図面を参照しながら説明するが、符号は省略する場合がある。
また、本開示において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。本開示に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
また、本開示において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表す。
更に、本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本開示における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示において、重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
(感光性転写材料)
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体上に中間層、およびレジスト層をこの順番に有し、中間層に(A)成分である発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素を含有する感光性転写材料である。
ドライフィルムレジストの感光性転写材料は、露光部分の確認の観点から、露光部分の視認性が求められる。視認性付与のために、発色剤をレジスト層に導入することが知られているが、それは様々な悪影響が懸念される。本発明者らは発色機構をレジスト層ではなく、中間層に導入することで、様々な悪影響の懸念の無い、感光性転写材料を提供できることを見出した。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記構成の感光性転写材料とすることにより、露光部及び未露光部の視認性に優れる感光性転写材料が得られることを見出した。
本開示の感光性転写材料は、露光によって(A)成分である色素の発色又は消色を促す材料(例えば、後述する光酸発生剤等)を含む。これによって、感光性転写材料に対して露光をした場合に、未露光部において色素の発色又は消色の発生を抑制し、露光部においてのみ色素の発色又は消色を発生させることができる。その結果、発色又は消色が発生した部分と発生していない部分とを視認して区別することが容易となり、優れた視認性が得られると推察される。
本開示における感光性転写材料は、現像における除去性が露光により低下する、いわゆるネガ型の感光性転写材料であってもよいし、現像における除去性が露光により増加する、いわゆるポジ型の感光性転写材料であってもよい。
ポジ型感光性転写材料である場合、感光性転写材料は、化学増幅ポジ型感光性転写材料であることが好ましい。
また、本開示に係る感光性転写材料は、NQD(ナフトキノンジアジド)を用いるNQD系感光性転写材料とすることができる。
ナフトキノンジアジドとしては、例えば、特開2004−126047号公報の段落0201に記載のナフトキノンジアジドを用いることができる。
また、本開示の感光性転写材料をNQD系感光性転写材料とする場合には、ノボラック樹脂を含むことが好ましい。
ノボラック樹脂としては、例えば、特開2004−126047号公報の段落0201に記載のノボラック樹脂を用いることができる。
以下、本開示に係る感光性転写材料について、詳細に説明する。
[中間層]
本開示に係る中間層は、発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素〔(A)成分〕を含有する。また、上記中間層は、本開示に係る中間層組成物により形成された層であることが好ましい。さらに、上記中間層は、本開示に係る色素を含むことが好ましい。
中間層としては、特開2005−259138号公報の段落0084〜0087に記載の中間層を用いることができる。中間層としては、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましい。
<色素〔(A)成分〕>
本開示に係る感光性転写材料の中間層は、発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素を含有する。
色素が「酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する」とは、発色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより消色する態様、消色状態にある色素が酸、塩基又はラジカルにより発色する態様、発色状態にある色素が他の色相の発色状態に変化する態様のいずれの態様を指すものであってもよい。
具体的には、色素は、露光により消色状態から変化して発色する化合物であってもよいし、露光により発色状態から変化して消色する化合物であってもよい。この場合、露光により酸、塩基またはラジカルが組成物内に導入されることにより、発色または消色の状態が変化する色素でもよく、酸、塩基またはラジカルが導入されることで系内の性状(例えばpH)が変化することで発色または消色の状態が変化する色素でもよい。また、露光を介さずに、酸、塩基またはラジカルが刺激として直接的に与えられて発色または消色の状態が変化する色素でもよい。
中でも、視認性の観点から、露光により消色する化合物であることが好ましく、光酸発生剤から発生する酸により消色する潜在性色素、即ち、酸の発生によりpHが変化して消色するpH感受性色素であることがより好ましい。
pH感受性色素であることの確認は、以下の方法により行える。
色素0.1gを、エタノール及び水の混合溶液(エタノール/水=1/2[質量比])100mLに溶かし、0.1mol/l(1N)の塩酸水溶液を加えてpH=1に調整する。0.01mol/l(0.01N)の水酸化ナトリウム水溶液で滴定し、発色変化と発色変化が現れた際のpHとを確認する。なお、pHは、pHメーター(型番:HM−31、東亜DKK社製)を用いて25℃で測定される値である。
本開示における色素の発色機構の例としては、例えば以下の態様があり得る。
中間層に光酸発生剤、光塩基発生剤又は光ラジカル発生剤を添加して、露光した後に上記光酸発生剤等から発生する酸、塩基又はラジカルによって、酸反応性色素、塩基反応性色素又はラジカル反応性色素(例えば水溶性のロイコ色素)が発色する。
特に、化学増幅ポジ型の感光性転写材料の場合には、以下の態様もあり得る。
レジスト層に後述する光酸発生剤を添加して、露光した後にレジスト層に含まれる光酸発生剤が中間層に移動して酸を発生させる。そして、上記発生した酸によって酸反応性色素(例えば水溶性のロイコ色素)が発色する。
色素は、発色時における波長範囲400nm〜780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、視認性の観点から、550nm以上であることが好ましく、550nm以上700nm以下であることがより好ましく、550nm以上650nm以下であることが更に好ましい。
また、色素は、発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。色素が発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長を2つ以上有する場合は、少なくとも1つの2つ以上の発色時における極大吸収波長のうち、吸光度の最も高い発色時における極大吸収波長が450nm以上であればよい。
極大吸収波長の測定方法は、大気の雰囲気下で、25℃にて分光光度計:UV3100((株)島津製作所製)を用いて、400nm〜780nmの範囲で透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を測定するものとする。
露光により発色および消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
また、露光により消色する色素としては、例えば、ロイコ化合物、ジアリールメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、アントラキノン系色素等が挙げられる。
中でも、色素としては、視認性の観点から、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、トリアリールメタン系(例えばトリフェニルメタン系)、スピロピラン系、フルオラン系、ジアリールメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等のロイコ化合物が挙げられる。中でも、トリアリールメタン骨格を有するロイコ化合物(トリアリールメタン系色素)が好ましく、トリフェニルメタン系色素がより好ましい。
また、ロイコ化合物としては、視認性の観点から、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有していることが好ましい。ロイコ化合物が、ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環を有していることにより、例えば光酸発生剤から発生する酸と反応して、閉環状態に変化して消色する、または開環状態に変化して発色することができる。ラクトン環、スルチン環、又はスルトン環が開環するものが好ましく、スルトン環を有し、スルトン環が閉環して消色するロイコ化合物がより好ましい。
色素は、水系レジスト剥離液への色素の析出による欠陥を防止する目的で、水溶性の化合物であることが好ましい。
色素が水溶性であるとは、25℃の水100質量部に対する色素の溶解量が0.1質量部以上(好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上)であることを意味する。
上記の中でも、色素は、視認性の観点から、下記式Iで表される色素、下記式Iで表される色素の開環体及び上記開環体の中和体から選ばれる少なくとも1つを含むことが好ましい。


式(I)中、ArおよびAr’は、それぞれ独立に芳香族基を表す。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または1価の置換基を表す。
本開示における色素の閉環体、開環体、及び、開環体の中和体について、後述の化合物A−1を一例として以下に説明する。式(I)で表される他の化合物についても同様である。
本開示の色素は、例えば以下に示すように、中間層中で閉環体、開環体及び開環体の中和体の平衡状態で存在する。例えば、中間層中のpHが酸性であれば、閉環体の存在比率が増大し、相対的に開環体及び開環体の中和体の存在比率が減少する。反対に中間層中のpHがアルカリ性であれば、開環体及び開環体の中和体の存在比率が増大し、相対的に閉環体の存在比率が減少する。
そして、閉環体、開環体及び開環体の中和体では、それぞれ発色の際の色が異なるため、例えば中間層に光酸発生剤を含む場合に、露光した部分の中間層に含まれる光酸発生剤から酸が放出された結果、露光部分のpHが小さくなり、発色する色素の色が変化する。
一方、未露光部については色の変化はない。これによって、露光部及び未露光部の良好な視認性を実現することができる。
上記平衡状態において、中間層中のpHを調整し、閉環体、開環体及び開環体の中和体の存在比率を調整するために、pH調整剤である(G)成分(NaOHなど)を用いることが好ましい。
式(I)のAr及びAr’における芳香族基は、アリール基であっても、ヘテロアリール基であってもよく、また、単環の芳香族基であっても、2環以上が縮合した縮合環であってもよい。
また、式(I)のAr及びAr’は、結合して環を形成してもよい。さらに、Ar及びAr’は、五員環又は六員環であることが好ましい。
式(I)のAr及びAr’における芳香族基は、置換基を有していてもよい。また、Ar及びAr’は、上記置換基を複数有していてもよい。
上記置換基としては、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられ、ヒドロキシ基、ハロゲン基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基であることが好ましい。
上記置換基は、オルト位、メタ位又はパラ位の少なくとも1つに結合することができる。中でも、オルト位又はパラ位の少なくとも1つに結合することが好ましく、少なくともパラ位に結合することがより好ましい。
上記ハロゲン原子は、ブロモ原子(臭素原子)およびヨウ素原子であることが好ましく、ブロモ原子(臭素原子)であることがより好ましい。また、上記アルキル基はそれぞれ独立に炭素数が1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数が1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
これらの置換基は、更に置換基により置換されていてもよい。中でもAr及びAr’は、ヒドロキシ基を有するフェニル基、及びハロゲン原子によって置換されたフェニル基が好ましい。
式(I)のAr及びAr’の総炭素数はそれぞれ独立に、感度及び視認性の観点から、4〜50であることが好ましく、6〜40であることがより好ましく、10〜30であることが更に好ましい。
式(I)のR、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられる。中でも水素原子が好ましい。
色素の好ましい具体例として、化合物A−1〜A−15を以下に記載するが、本開示における色素はこれらに限定されないことは言うまでもない。

色素は、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
本開示に係る感光性転写材料における色素の含有量は、視認性の観点から、中間層組成物の全固形分に対し、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜8質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが更に好ましく、1.0質量%〜3.0質量%であることが特に好ましい。
なお、本開示において、中間層組成物における「固形分」とは、揮発性成分(例えば、溶剤)を除いた成分を意味する。
ここで、色素の含有量は、中間層組成物に含まれる色素の全てを発色状態にした場合の色素の含有量を意味する。以下に、色素がpH感受性色素である場合における定量方法を説明する。
中間層組成物に含まれる色素0.001g、および0.01gを、エタノール及び水の混合溶液(エタノール/水=1/2[質量比])100mLに溶かし、0.1mol/l(1N)の塩酸水溶液を加えてpH=1に調製し、または、0.01mol/l(0.01N)の水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=14に調製し、全ての色素を発色状態にする。その後、大気の雰囲気下で、25℃にて分光光度計(UV3100、(株)島津製作所製)を用いて、吸光度を測定し、検量線を作製する。
次に、色素0.1gを中間層組成物0.1gに変更した以外は上記と同様の方法で、pH=1に調製、または、pH=14に調製して、吸光度を測定する。そして色素の吸光度から作製した検量線と中間層組成物の吸光度から、中間層組成物に含まれる色素の量を算出する。
<重合体>
中間層は、重合体を含むことができる。
中間層に用いられる重合体としては、水溶性樹脂が好ましい。水溶性樹脂としては、例えばセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体などの樹脂が挙げられる。中でも好ましいのはセルロース系樹脂であり、更に好ましいのはヒドロキシプロピルセルロースとヒドロキシプロピルメチルセルロースである。
なお、本開示における重合体の水溶性とは、25℃の水100質量部に対する重合体の溶解量が0.1質量部以上(好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上)であることを意味する。
<界面活性剤>
中間層には、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系(非イオン系)、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、前述したものである。
<無機フィラー>
中間層には無機フィラーを含むことができる。本開示における無機フィラーは特に制限はない。シリカ粒子、酸化アルミニウム粒子、酸化ジルコニウム粒子等が挙げられ、シリカ粒子がより好ましい。透明性の観点から粒径の小さい粒子が好ましく、100nm以下の平均粒径のものが更に好ましい。例えば市販品であればスノーテックス(登録商標)が好適に用いられる。
<pH調整剤〔(G)成分〕>
中間層にはpH調整剤を含むことができる。pH調整剤を含むことで、組成物中の色素の発色状態または消色状態をより安定的に維持することができ、基板への密着性がより向上する。
本開示におけるpH調整剤は特に制限はない。例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、有機アミン、有機アンモニウム塩等が挙げられる。水溶性の観点から水酸化ナトリウムが好ましい。レジスト層と中間層との密着性の観点からは、有機アンモニウム塩が好ましい。
有機アンモニウム塩としては、1級アンモニウム塩、2級アンモニウム塩、3級アンモニウム塩、4級アンモニウム塩が挙げられ、4級アンモニウム塩が好ましい。
4級アンモニウム塩としては、置換基を有していてもよいテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドが挙げられ、具体的な例としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、トリエチルメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ベンジルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリエチルアンモニウム、トリス(2−ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムヒドロキシド等が挙げられる。
中でも、炭素数1〜30(好ましくは炭素数10〜30、より好ましくは炭素数10〜25)のアルキル基を有するテトラアルキルアンモニウムヒドロキシドがより好ましい。置換基を有する場合の置換基としては、炭素数6〜12のアリール基(例えばフェニル基)、ヒドロキシ基等を挙げることができる。
<光酸発生剤>
本開示における感光性転写材料がネガ型感光性転写材料である場合、中間層には光酸発生剤を含むことができる。上記光酸発生剤は特に制限はない。それらは後述の光酸発生剤と同様のものであってもよい。光酸発生剤は中間層組成物に含有させて予め塗設することもできるが、レジスト層組成物を塗布した際に拡散を起こし、中間層に含有させることもできる。
<光ラジカル発生剤>
本開示における感光性転写材料がネガ型感光性転写材料である場合、上記感光性転写材料は光ラジカル発生剤を含有することができる。
光ラジカル発生剤としては、例えば、ジメチルアミノ安息香酸エチル(DBE、CAS No.10287−53−3)、ベンゾインメチルエーテル、アニシル(p,p’−ジメトキシベンジル)、TAZ−110(商品名:みどり化学株式会社製)、ベンゾフェノン、TAZ−111(商品名:みどり化学株式会社製)、IrgacureOXE01、OXE02、OXE03(BASF社製)、Omnirad651及び369(商品名:IGM Resins B.V.社製)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール(東京化成社製)などを挙げることができる。
また、後述する光重合開始剤も光ラジカル発生剤として用いることができる。
<光塩基発生剤>
本開示における感光性転写材料がネガ型感光性転写材料である場合、上記感光性転写材料は光塩基発生剤を含有することができる。
光塩基発生剤の例としては、2−ニトロベンジルシクロヘキシルカルバメート、トリフェニルメタノール、O−カルバモイルヒドロキシルアミド、O−カルバモイルオキシム、[[(2,6−ジニトロベンジル)オキシ]カルボニル]シクロヘキシルアミン、ビス[[(2−ニトロベンジル)オキシ]カルボニル]ヘキサン1,6−ジアミン、4−(メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン、(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン、N−(2−ニトロベンジルオキシカルボニル)ピロリジン、ヘキサアンミンコバルト(III)トリス(トリフェニルメチルボレート)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2−ニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン、2,6−ジメチル−3,5−ジアセチル−4−(2,4−ジニトロフェニル)−1,4−ジヒドロピリジン等を挙げることができる。
熱塩基発生剤の例としては、国際公開第2015/199219号に記載の化合物を用いることができる。
−中間層の平均膜厚−
上記中間層の平均膜厚は、中間層とレジスト層との密着性、及び、パターン形成性の観点から、0.3μm〜10μmが好ましく、0.3μm〜5μmがより好ましく、0.3μm〜2μmが特に好ましい。
本開示における各層の平均膜厚の測定方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。また、平均値は10点以上測定し算出することが好ましい。
具体的には例えば、表面形状測定や、断面の光学顕微鏡又は電子顕微鏡観察等が挙げられる。また、表面形状測定には、ブルカー社製Dektakシリーズを好適に使用することができる。また、断面観察には、走査型電子顕微鏡(SEM)を好適に用いることができる。
また、上記中間層の厚みは、上記レジスト層の厚みより薄いことが好ましい。
上記中間層は、2層以上の層を有することができる。
上記中間層が2層以上の層を有する場合、各層の平均膜厚は上記範囲内であれば特に限定されないが、上記中間層における2層以上の層のうち、レジスト層に最も近い層の平均膜厚は、中間層とレジスト層との密着性、及び、パターン形成性の観点から、0.3μm〜10μmが好ましく、0.3μm〜5μmがより好ましく、0.3μm〜2.0μmが特に好ましい。
−中間層の形成方法−
各成分、及び、溶剤をあらかじめ定めた割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して中間層を形成するための中間層組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液をあらかじめ定めた割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径3.0μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
中間層組成物を仮支持体に塗布し、乾燥させることで、仮支持体上に中間層を形成することができる。塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
[レジスト層]
本開示に係るレジスト層は、感光性を有し、露光後に現像液で現像することでパターンニング可能な層である。レジスト層は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を含有する重合体、及び光酸発生剤を含有することが好ましい。上記レジスト層は、本開示におけるレジスト層組成物により形成された層であることが好ましい。
また、本開示におけるレジスト層は、高感度の観点で化学増幅ポジ型レジスト層であることが好ましい。
<酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を含有する重合体〔(B)成分〕>
本開示に係るレジスト層組成物は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(「構成単位b」ともいう。)を含有する重合体(「特定重合体」ともいう。)を含有することができる。
また、本開示に係るレジスト層組成物は、構成単位bを有する重合体Bに加え、他の重合体を含んでいてもよい。本開示においては、構成単位bを有する重合体B及び他の重合体をあわせて、「重合体成分」ともいう。
上記特定重合体は、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、特定重合体中の酸分解性で保護された酸基を有する構成単位bが脱保護反応を受け酸基となる。この酸基により、現像による溶解が可能となる。
以下に構成単位bの好ましい態様について説明する。
上記レジスト層組成物は、更に、酸分解性で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体以外の重合体を含んでいてもよい。
また、上記重合体成分に含まれる全ての重合体がそれぞれ、後述する酸基を有する構成単位を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、上記レジスト層組成物は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本開示における上記重合体成分は、特に述べない限り、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する可塑剤、ヘテロ環状化合物及び界面活性剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、上記重合体成分に含まないものとする。
重合体は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
上記レジスト層組成物は、パターン形状の形成性、現像液への溶解性及び転写性の観点から、重合体成分として、上記構成単位bとして下記式IIで表される構成単位b1を有する重合体を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位bとして下記式IIで表される構成単位b1を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位bとして下記式IIで表される構成単位b1、及び、後述する酸基を有する構成単位bbを有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが更に好ましい。
上記レジスト層組成物に含まれる特定重合体は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
<<構成単位b>>
上記重合体成分は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位bを少なくとも有する重合体を含む。上記重合体成分が構成単位bを有する重合体を含むことにより、極めて高感度な化学増幅ポジ型のレジスト層組成物とすることができる。
本開示における「酸分解性基で保護された酸基」は、酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。酸分解性基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、後述する式IIで表される基で保護されたエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
これらの中でも、上記酸分解性基としては、アセタールの形で保護された構造を有する基であることが好ましい。
上記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位bは、感度及び解像度の観点から、下記式IIで表される構成単位b1であることが好ましい。

式II中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR及びRのいずれか一方が、アルキル基又はアリール基であり、Rはアルキル基又はアリール基を表し、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
式II中、R又はRがアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R又はRがアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R及びRは、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
式II中、Rは、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
また、R〜Rにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式II中、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式II中、Xは単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
特定重合体が式IIで表される構成単位b1を含むことで、パターン形成時の感度に優れ、また、解像度より優れる。
式II中、Rは水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のガラス転移温度(Tg)をより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、特定重合体に含まれる構成単位b1の全量に対し、式IIにおけるRが水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位b1中の、式IIにおけるRが水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C−核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式IIで表される構成単位b1の中でも、下記式b2で表される構成単位が、パターン形成時の感度を更に高める観点からより好ましい。


式b2中、R34は水素原子又はメチル基を表し、R35〜R41はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
式b2中、R34は水素原子が好ましい。
式b2中、R35〜R41は、水素原子が好ましい。
式IIで表される、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位b1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、R34は水素原子又はメチル基を表す。



<<構成単位b3>>
また、上記構成単位bとしては、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式b3で表される構成単位b3が好ましい。

式b3中、RB1及びRB2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともRB1及びRB2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、RB3はアルキル基又はアリール基を表し、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB4は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表し、RB12は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
式b3中、RB1又はRB2がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。RB1又はRB2がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。RB1及びRB2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
式b3中、RB3は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
また、RB1〜RB3におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式b3中、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式b3中、Xは単結合又は二価の連結基を表し、単結合又はアルキレン基、−C(=O)O−、−C(=O)NR−、−O−又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状でも分岐を有していても環状構造を有していてもよく、置換基を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。Xが−C(=O)O−を含む場合、−C(=O)O−に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Xが−C(=O)NR−を含む場合、−C(=O)NR−に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Rはアルキル基又は水素原子を表し、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
式b3中、RB1〜RB3を含む基と、Xとは、互いにパラ位で結合することが好ましい。
式b3中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。
式b3中、nは0〜4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式b3中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、特定重合体に含まれる構成単位bの全含有量に対し、式b3におけるRB4が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位b中の、式b3におけるRB4が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C−核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式b3で表される構成単位の中でも、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式b4で表される構成単位がより好ましい。

式b4中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、RB5〜RB11はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、RB12は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
式b4中、RB4は水素原子が好ましい。
式b4中、RB5〜RB11は、水素原子が好ましい。
式b4中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。
式b4中、nは0〜4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式b4で表される構成単位b4の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、RB4は水素原子又はメチル基を表す。
特定重合体に含まれる構成単位bは、1種であっても、2種以上であってもよい。
特定重合体における構成単位bの含有量は、特定重合体の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、30質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
特定重合体における構成単位bの含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
また、全ての重合体成分を構成単位(モノマー単位)に分解したうえで、構成単位bの割合は、重合体成分の全質量に対して、5質量%〜80質量%であることが好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、10質量%〜40質量%であることが特に好ましく、10質量%〜30質量%であることが最も好ましい。
<<構成単位bb>>
上記特定重合体は、酸基を有する構成単位bbを含むことが好ましい。
構成単位bbは、保護基、例えば、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、保護基を有さない酸基を含む構成単位である。特定重合体が構成単位bbを含むことで、パターン形成時の感度が良好となり、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
特定重合体への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを共重合させることで行うことができる。
構成単位bbである、酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
特定重合体に含まれる構成単位bbは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
特定重合体は、特定重合体の全質量に対し、酸基を有する構成単位(構成単位bb)を0.1質量%〜20質量%含むことが好ましく、0.5質量%〜15質量%含むことがより好ましく、1質量%〜10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
特定重合体における構成単位bの含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
<<その他の構成単位>>
特定重合体は、既述の構成単位b及び構成単位bb以外の、他の構成単位(以下、構成単位bbbと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
構成単位bbbを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
構成単位bbbを用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、特定重合体の諸特性を調整することができる。特に、構成単位bbbを適切に使用することで、特定重合体のTgを90℃以下に容易に調整することができる。
特定重合体は、構成単位bbbを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
構成単位bbbは、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどを重合して形成される構成単位を挙げることができる。その他、特開2004−264623号公報の段落0021〜段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、構成単位bbbとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が、得られる感光性転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。これら構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、構成単位bbbとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の構成単位が好ましく挙げられる。
また、構成単位bbbを形成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。中でも、炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが密着性の観点でより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
構成単位bbbの含有量は、特定重合体の全質量に対し、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。上記範囲であると、解像度及びレジスト層組成物により形成されるレジスト層の密着性がより向上する。
特定重合体が、構成単位bbbとして、上記構成単位bbにおける酸基のエステルを有する構成単位を含むことも、現像液に対する溶解性、及び、後述するレジスト層の物理物性を最適化する観点から好ましい。
中でも、特定重合体は、構成単位bbとして、酸基を有する構成単位を含み、更に、カルボン酸エステル基を含む構成単位bbbを共重合成分として含むことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構成単位bbと、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n−ブチル由来の構成単位とを含む重合体がより好ましい。
以下、本開示における特定重合体の好ましい例を挙げるが、本開示は以下の例示に限定されない。なお、下記例示化合物における構成単位の比率、重量平均分子量は、好ましい物性を得るために適宜選択される。


<<重合体のガラス転移温度:Tg>>
本開示における特定重合体のガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であることが好ましい。Tgが90℃以下であることで、レジスト層組成物により形成されるレジスト層は高い密着性を有し、転写性により優れる。
上記Tgは、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
また、上記Tgの下限値には特に制限はないが、−20℃以上が好ましく、−10℃以上がより好ましい。特定重合体のTgが−20℃以上であることで、良好なパターン形成性が維持され、また、例えば、カバーフィルムを用いる場合、カバーフィルムを剥離する際の剥離性低下が抑制される。
更に、本開示における上記重合体成分全体のガラス転移温度(Tg)は、転写性の観点から、90℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行なった。本開示におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される重合体のTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し,DTA曲線又はDSC曲線を描かせる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本開示におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
重合体のTgを、既述の好ましい範囲に調整する方法としては、例えば、目的とする重合体の各構成単位の単独重合体のTgと各構成単位の質量比より、FOX式を指針にして、目的とする特定重合体のTgを制御することが可能である。
FOX式について
重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2とした場合に、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することも可能である。
<<重合体の分子量:Mw>>
特定重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。特定重合体の重量平均分子量が60,000以下であることで、後述する感光性転写材料におけるレジスト層の溶融粘度を低く抑え、基板と貼り合わせる際において低温(例えば130℃以下)での貼り合わせを実現することができる。
また、特定重合体の重量平均分子量は、2,000〜60,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましく、10,000〜30,000であることが更に好ましい。
なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)によって測定することができ、測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができ、装置の内容、及び、測定技術は同当業者に公知である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM−M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本、直列に連結したものを用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
また、測定条件としては、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。
検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」及び「A−1000」の7サンプルのいずれかを用いて作製できる。
特定重合体の数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0〜5.0が好ましく、1.05〜3.5がより好ましい。
<<特定重合体の製造方法>>
特定重合体の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、式IIで表される構成単位b1を形成するための重合性単量体、酸基を有する構成単位bbを形成するための重合性単量体、更に必要に応じて、その他の構成単位bbbを形成するための重合性単量体を含む溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本開示に係るレジスト層組成物は、感度及び解像性の観点から、レジスト層組成物の全固形分に対し、特定重合体を50質量%〜99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%〜98質量%の割合で含むことがより好ましい。
<<他の重合体>>
上記レジスト層組成物は、重合体成分として、特定重合体に加え、本開示に係るレジスト層組成物の効果を損なわない範囲において、構成単位bを含まない重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。上記感レジスト層組成物が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
上記レジスト層組成物は、特定重合体に加え、他の重合体を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及び、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC−3000、ARUFON UC−3510、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920、及び、ARUFON UC−3080(以上、東亞合成(株)製)、並びに、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及び、Joncryl 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
<重合性化合物>
本開示における感光性転写材料がネガ型感光性転写材料である場合、レジスト層組成物は重合性化合物を含有することが好ましい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物が好ましい。
エチレン性不飽和化合物は、上記感光性転写材料の感光性(すなわち、光硬化性)及び硬化膜の強度に寄与する成分である。
また、エチレン性不飽和化合物は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
上記レジスト層組成物は、エチレン性不飽和化合物として、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
ここで、2官能以上のエチレン性不飽和化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、より具体的には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(A−NOD−N、新中村化学工業(株)製)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N、新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、2官能のエチレン性不飽和化合物としては、ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物も好適に用いられる。
ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物としては、特開2016−224162号公報の段落0072〜段落0080に記載の化合物が挙げられる。
具体的には、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン等が好ましく挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物、等が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)DPCA−20、新中村化学工業(株)製A−9300−1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD RP−1040、新中村化学工業(株)製ATM−35E、A−9300、ダイセル・オルネクス社製 EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製A−GLY−9E等)等も挙げられる。
エチレン性不飽和化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物)も挙げられる。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、8UX−015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA−32P(新中村化学工業(株)製)、UA−1100H(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和化合物は、現像性向上の観点から、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
酸基としては、例えば、リン酸基、スルホン酸基、及び、カルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、酸基を有する3〜4官能のエチレン性不飽和化合物(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=80mgKOH/g〜120mgKOH/g))、酸基を有する5〜6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=25mgKOH/g〜70mgKOH/g))、等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)TO−2349(東亞合成(株)製)、アロニックスM−520(東亞合成(株)製)、又は、アロニックスM−510(東亞合成(株)製)を好ましく用いることができる。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物は、特開2004−239942号公報の段落0025〜段落0030に記載の酸基を有する重合性化合物であることも好ましい。この公報の内容は本開示に組み込まれる。
本開示に用いられる重合性化合物の重量平均分子量(Mw)としては、200〜3,000が好ましく、250〜2,600がより好ましく、280〜2,200が更に好ましく、300〜2,200が特に好ましい。
また、上記レジスト層組成物に用いられる重合性化合物のうち、分子量300以下の重合性化合物の含有量の割合は、上記レジスト層組成物に含有されるすべてのエチレン性不飽和化合物に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
重合性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記レジスト層組成物における重合性化合物の含有量は、上記レジスト層組成物の全質量に対し、1質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が更に好ましく、20質量%〜50質量%が特に好ましい。
また、上記レジスト層組成物が2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物とを含有する場合、2官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記レジスト層組成物に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物に対し、10質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜85質量%がより好ましく、30質量%〜80質量%が更に好ましい。
また、この場合、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記レジスト層組成物に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物に対し、10質量%〜90質量%が好ましく、15質量%〜80質量%がより好ましく、20質量%〜70質量%が更に好ましい。
また、この場合、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物との総含有量に対し、40質量%以上100質量%未満であることが好ましく、40質量%〜90質量%であることがより好ましく、50質量%〜80質量%であることが更に好ましく、50質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
また、上記レジスト層組成物が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合、上記レジスト層組成物は、更に単官能エチレン性不飽和化合物を含有してもよい。
更に、上記レジスト層組成物が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合、上記レジスト層組成物に含有されるエチレン性不飽和化合物において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が主成分であることが好ましい。
具体的には、上記レジスト層組成物が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記レジスト層組成物に含有されるエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、60質量%〜100質量%が好ましく、80質量%〜100質量%がより好ましく、90質量%〜100質量%が特に好ましい。
また、上記レジスト層組成物が、酸基を有するエチレン性不飽和化合物(好ましくは、カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物又はそのカルボン酸無水物)を含有する場合、酸基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記レジスト層組成物に対し、1質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。
<酸基を有するバインダーポリマー>
本開示における感光性転写材料がネガ型感光性転写材料である場合、上記レジスト層組成物は、酸基を有するバインダーポリマーを含有することが好ましい。
酸基を有するバインダーポリマーとしては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基等が挙げられる。
中でも、酸基としては、カルボキシ基が好ましく挙げられる。
上記酸基を有するバインダーポリマーの酸価は、特に制限はないが、アルカリ現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であることが特に好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂(以下、特定重合体Aと称することがある。)としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて特に制限はなく、公知の樹脂から適宜選択して用いることができる。
例えば、特開2011−95716号公報の段落0025に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010−237589号公報の段落0033〜段落0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2016−224162号公報の段落0053〜段落0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等が、本開示における特定重合体Aとして好ましく用いることができる。
ここで、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含む樹脂を指す。
(メタ)アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計割合は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。
特定重合体Aにおける、カルボキシ基を有するモノマーの共重合比の好ましい範囲は、ポリマー100質量%に対して、5質量%〜50質量%であり、より好ましくは10質量%〜40質量%、更に好ましくは12質量%〜30質量%の範囲内である。
特定重合体Aは、反応性基を有していてもよく、反応性基を特定重合体Aに導入する手段としては、水酸基、カルボキシ基、一級、二級アミノ基、アセトアセチル基、スルホン酸などに、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート、イソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、カルボン酸無水物などを反応させる方法が挙げられる。
特定重合体Aとしては、以下に示す化合物Aが好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率は目的に応じて適宜変更することができる。

本開示に用いられる酸基を有するバインダーポリマーの酸価は、アルカリ現像性の観点から、60mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがより好ましく、60mgKOH/g〜110mgKOH/gであることが更に好ましい。
本開示において、酸価は、JIS K0070(1992年)に記載の方法に従って、測定された値を意味する。
酸基を有するバインダーポリマーの重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、1万以上がより好ましく、2万〜10万が更に好ましい。
また、上記酸基を有するバインダーポリマーは、上記特定重合体A以外にも、任意の膜形成樹脂を目的に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂などを好ましく挙げることができる。
酸基を有するバインダーポリマーは、1種単独で使用しても、2種以上を含有してもよい。
上記レジスト層組成物における酸基を有するバインダーポリマーの含有量は、感光性の観点から、上記レジスト層組成物の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上70質量%以下であることが更に好ましい。
<光重合開始剤>
本開示における感光性転写材料がネガ型感光性転写材料である場合、上記レジスト層組成物は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、紫外線、可視光線等の活性光線を受けて、重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)の重合を開始する。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α−アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α−ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、N−フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N−フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、光重合開始剤としては、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。なお、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体は、下記式PIで表される化合物であってもよい。

式PI中、X及びXのうち少なくとも1つは塩素原子であることが好ましい。Ar、Ar、Ar及びArが、それぞれ独立に置換基を有する場合、置換基の数は1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、Ar、Ar、Ar及びArが、それぞれ独立に置換基を有する場合、その置換位置は特に限定されず、オルト位又はパラ位であることが好ましい。p及びqは、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、1〜3の整数であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式PIで表される化合物としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。なお、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011−95716号公報の段落0031〜0042、特開2015−014783号公報の段落0064〜0081に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光重合開始剤の市販品としては、1−[4−(フェニルチオ)]−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE−01、BASF社製)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE−02、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:IRGACURE 379EG、BASF社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 907、BASF社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(商品名:IRGACURE 369、BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 1173、BASF社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE 184、BASF社製)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:IRGACURE 651、BASF社製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン(株)製)、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビスイミダゾール(2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B−CIM、Hampford社製)などが挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記レジスト層組成物における光重合開始剤の含有量は、特に制限はないが、上記レジスト層組成物の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。
また、光重合開始剤の含有量は、レジスト層組成物の全質量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
−重合禁止剤−
本開示に係る感光性転写材料がネガ型感光性転写材料である場合、上記レジスト層組成物は、重合禁止剤を少なくとも1種含有してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤を用いることができる。
中でも、フェノチアジン、フェノキサジン又は4−メトキシフェノールを好適に用いることができる。
上記レジスト層組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、上記レジスト層組成物の全質量に対して、0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.01質量%〜1質量%がより好ましく、0.01質量%〜0.8質量%が更に好ましい。
<光酸発生剤〔(C)成分〕>
本開示に係るレジスト層組成物は、光酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示で使用される光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、X線、及び、荷電粒子線等の放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。
本開示で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本開示で使用される光酸発生剤から発生する酸のpKaは、感度及び視認性の観点から、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることが特に好ましい。光酸発生剤から発生する酸のpKaの下限値は特に定めないが、例えば、−10.0以上であることが好ましく、感度及び視認性の観点から、−4.0以上であることがより好ましく、−3.5以上が更に好ましく、−3.0以上が特に好ましい。
また、上記光酸発生剤から生じる酸が、感度及び視認性の観点から、リン酸及びスルホン酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種の酸であることが好ましく、スルホン酸であることがより好ましく、下記式C1又は式C2で表されるスルホン酸であることが更に好ましい。


式C1及び式C2中、Rは、アルキル基を表し、Lは、炭素数2以上のアルキレン基を表し、nsは0又は1を表し、ただし、Rがハロゲン原子を有するアルキル基である場合はnが1であり、Xはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を表し、msは、0〜5の整数を表す。
におけるアルキル基は、置換基を有していてもよい。
上記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、及び、アリーロキシ基等が挙げられる。
におけるアルキル基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、2〜16であることがより好ましい。
は、炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
はそれぞれ独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
msは、0〜3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤と、非イオン性光酸発生剤とを挙げることができる。
また、光酸発生剤としては、感度及び解像度の観点から、後述するオニウム塩化合物、及び、後述するオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
非イオン性光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、感度、解像度、及び、密着性の観点から、光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル−s−トリアジン類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0083〜段落0088に記載の化合物が例示できる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式C3で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物が好ましい。


式C3中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、*は他の原子又は他の基との結合部位を表す。
式C3で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐構造を有していても、環構造を有していてもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)、又は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されてもよい。
式C3で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、特開2014−85643号公報の段落0078〜0111に記載のオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
特開2015−151347号公報の段落0080〜0081に記載の化合物が挙げられる。
イオン性光酸発生剤の例として、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましく、トリアリールスルホニウム塩類及びジアリールヨードニウム塩類が特に好ましい。
イオン性光酸発生剤としては特開2014−85643号公報の段落0114〜0133に記載のイオン性光酸発生剤も好ましく用いることができる。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記レジスト層組成物における光酸発生剤の含有量は、感度、解像度の観点から、上記レジスト層組成物の全固形分に対して、0.1質量%〜15質量%であることが好ましく、0.5質量%〜10質量%であることがより好ましい。
<塩基性化合物〔(D)成分〕>
本開示に係るレジスト層組成物は、塩基性化合物含有することが好ましい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0204〜段落0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本開示に組み込まれる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、及び、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、及び、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CMTU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、及び、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、及び、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
上記塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物の含有量は、上記レジスト層組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜5質量%であることが好ましく、0.005質量%〜3質量%であることがより好ましい。
<溶剤>
本開示に係るレジスト層組成物は、溶剤(S)を更に含有することが好ましい。
また、上記レジスト層組成物は、後述するレジスト層を容易に形成するため、一旦溶剤を含有させてレジスト層組成物の粘度を調節し、溶剤を含むレジスト層組成物を塗布及び乾燥して、レジスト層を好適に形成することができる。
本開示に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及び、ラクトン類、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸tertブチル、シクロペンチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、メチルn−ブチルケトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルイソプロピルケトン又はトルエン等が例示できる。また、溶剤の具体例としては特開2011−221494号公報の段落0174〜段落0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本開示に組み込まれる。
また、既述の溶剤に、更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、又は、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
溶剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本開示に用いることができる溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又は、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
また、溶剤としては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又は、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点155℃)、及び、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3−メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
レジスト層組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、レジスト層組成物中の全固形分100質量部あたり、50質量部〜1,900質量部であることが好ましく、100質量部〜900質量部であることがより好ましい。
また、後述する上記レジスト層における溶剤の含有量は、レジスト層の全質量に対し、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
<その他の添加剤>
本開示に係るレジスト層組成物は、特定重合体及び光酸発生剤等の上記各成分に加え、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
−可塑剤−
本開示に係るレジスト層組成物は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は、特定重合体よりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満が更に好ましい。
可塑剤は、特定重合体と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に限定されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は下記構造を有することが好ましい。


上記式中、Rは炭素数2〜8のアルキレン基であり、nは1〜50の整数を表し、*は他の原子との結合部位を表す。
なお、例えば、上記構造のアルキレンオキシ基を有する化合物(「化合物X」とする。)であっても、化合物X、特定重合体及び光酸発生剤を混合して得た化学増幅ポジ型レジスト層組成物が、化合物Xを含まずに形成した化学増幅ポジ型レジスト層組成物に比べて可塑性が向上しない場合は、本開示における可塑剤には該当しない。例えば、任意に添加される界面活性剤は、一般にレジスト層組成物に可塑性をもたらす量で使用されることはないため、本開示における可塑剤には該当しない。
可塑剤の含有量は、レジスト層組成物により形成されるレジスト層の密着性の観点から、上記レジスト層組成物の全固形分に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましい。
上記レジスト層組成物は、可塑剤を1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
−増感剤−
本開示に係るレジスト層組成物は、増感剤を更に含むことができる。
増感剤は、活性光線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、及び、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
増感剤を含有させることで、露光感度を向上させることができる。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、及び、ジスチリルベンゼン誘導体よりなる群からえらばれた化合物が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、2−エチルアントラセン、又は、9,10−ジメトキシアントラセンが好ましい。
上記増感剤としては、国際公開第2015/093271号の段落0139〜段落0141に記載の化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、上記感レジスト層組成物の全固形分に対して、0質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
−ヘテロ環状化合物−
本開示に係るレジスト層組成物は、ヘテロ環状化合物を含むことができる。
本開示におけるヘテロ環状化合物には、特に制限はない。例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、その他、各種環状エーテル、環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマー、環状アミン、オキサゾリンといった含窒素モノマー、更には珪素、硫黄、リンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を添加することができる。
レジスト層組成物中におけるヘテロ環状化合物の含有量は、ヘテロ環状化合物を添加する場合には、上記レジスト層組成物の全固形分に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、密着性及びエッチング耐性の観点で好ましい。ヘテロ環状化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
分子内にエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は市販品として入手できる。例えば、JER828、JER1007、JER157S70(三菱ケミカル(株)製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011−221494号公報の段落0189に記載の市販品などが挙げられる。
その他の市販品として、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−411、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−211、EX−212、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L、DLC−201、DLC−203、DLC−204、DLC−205、DLC−206、DLC−301、DLC−402、EX−111,EX−121、EX−141、EX−145、EX−146、EX−147、EX−171、EX−192(以上ナガセケムテック製)、YH−300、YH−301、YH−302、YH−315、YH−324、YH−325(以上、新日鐵住金化学(株)製)セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)などが挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子内にエポキシ基を有する化合物の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
分子内にオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−201、OXT−211、OXT−212、OXT−213、OXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
本開示に係るレジスト層組成物においては、ヘテロ環状化合物がエポキシ基を有する化合物であることが、得られるパターンのエッチング耐性及び線幅安定性の観点から好ましい。
−アルコキシシラン化合物−
本開示に係るレジスト層組成物は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコキシシラン化合物の含有量は、レジスト層組成物の全固形分に対し、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましい。
−界面活性剤−
本開示に係るレジスト層組成物は、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系(非イオン系)、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH−8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式I−1で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。


式(I−1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合部位を表す。
Lは、下記式(I−2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(I−2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。


共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
その他、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009−237362号公報の段落0060〜段落0071に記載の界面活性剤も用いることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、上記レジスト層組成物の全固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜3質量%であることが更に好ましい。
−その他の成分−
本開示に係るレジスト層組成物には、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については特開2014−85643号公報の段落0165〜段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本開示に組み込まれる。
また、上記レジスト層は、上記溶剤以外の上記レジスト層組成物における各成分を好ましく含有することができる。
更に、上記レジスト層において、上記レジスト層の全質量に対する各成分の好ましい含有量は、上記レジスト層組成物における、上記レジスト層組成物の全固形分に対する各成分の好ましい含有量と同様である。
−レジスト層の厚み−
上記レジスト層の厚みは、0.5μm〜20μmが好ましい。レジスト層の厚みが20μm以下であると得られるパターンの解像度が良好であり、0.5μm以上であるとパターン直線性の観点から好ましい。
レジスト層の厚みとしては、0.8μm〜15μmがより好ましく、1.0μm〜10μmが特に好ましい。
−レジスト層の形成方法−
各成分、及び、溶剤をあらかじめ定めた割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解してレジスト層を形成するためのレジスト層組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液をあらかじめ定めた割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
レジスト層組成物を、中間層が形成された仮支持体上に塗布し、乾燥させることで、仮支持体上に中間層及びレジスト層を有する本開示に係る感光性転写材料を得ることができる。塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
[仮支持体]
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体を有する。
仮支持体は、中間層およびレジスト層を支持し、剥離可能な支持体である。
本開示に用いられる仮支持体は、中間層およびレジスト層をパターン露光する場合において、仮支持体を介して中間層およびレジスト層を露光し得る観点から光透過性を有することが好ましい。
光透過性を有するとは、パターン露光に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味し、パターン露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度向上の観点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
仮支持体としては、ガラス基板、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚みは、特に限定されず、5μm〜200μmの範囲が好ましく、取扱い易さ、汎用性などの点で、10μm〜150μmの範囲がより好ましい。
仮支持体の厚みは、支持体としての強度、回路配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性、最初の露光工程で要求される光透過性などの観点から、材質に応じて選択すればよい。
仮支持体の好ましい態様については、例えば、特開2014−85643号公報の段落0017〜段落0018に記載があり、この公報の内容は本開示に組み込まれる。
[その他の層]
本開示に係る感光性転写材料は、上記中間層およびレジスト層以外の層(以下、「その他の層」と称することがある)を有していてもよい。その他の層としては、コントラストエンハンスメント層、カバーフィルム、熱可塑性樹脂層等を挙げることができる。
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体上に中間層、およびレジスト層をこの順番に有する。
ここで図1及び図2を参照して、本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を概略的に示す。
図1に示す感光性転写材料100は、仮支持体12と、レジスト層14−1及び中間層14−2の積層体14(図2参照)と、カバーフィルム16とがこの順に積層されている。中間層14−2は色素を含有する。
以下、本開示に係る感光性転写材料の構成材料等について説明する。なお、本開示における上記構成について本開示では以下のように称する場合がある。
酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を「特定重合体」と称する場合がある。
上記レジスト層がポジ型のレジスト層の場合、「ポジ型レジスト層」と称することがある。また、上記レジスト層がネガ型のレジスト層の場合、「ネガ型レジスト層」と称することがある。
(回路配線の製造方法)
本開示に係る感光性転写材料を用いた、回路配線の製造方法の第1の実施態様について説明する。
回路配線の製造方法の第1の実施態様は、
基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記レジスト層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、
上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記中間層およびレジスト層をパターン露光する工程(露光工程)と、
上記パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程(現像工程)と、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(エッチング工程)と、をこの順に含む。
回路配線の製造方法の第1の実施態様における基板は、ガラス、シリコン、フィルムなどの基材上に、所望の導電層などの層が設けられた基板であってもよい。
回路配線の製造方法の第1の実施態様によれば、基板表面に微細パターンを形成することができる。
回路配線の製造方法の第2の実施形態は、
基材、及び、互いに構成材料が異なる第1導電層及び第2導電層を含む複数の導電層と、を有し、上記基材の表面上に、上記基材の表面から遠い順に、最表面層である上記第1導電層及び上記第2導電層が積層されている基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記レジスト層を上記第1導電層に接触させて貼り合わせる、貼り合わせ工程と、
上記貼り合わせ工程後の上記感光性転写材料の上記仮支持体を介して上記中間層およびレジスト層をパターン露光する第1露光工程と、
上記第1露光工程後の中間層およびレジスト層から上記仮支持体を剥離した後、上記第1露光工程後の中間層およびレジスト層を現像して第1パターンを形成する第1現像工程と、
上記第1パターンが配置されていない領域における上記複数の導電層のうち少なくとも上記第1導電層及び上記第2導電層をエッチング処理する第1エッチング工程と、
上記第1エッチング工程後の上記第1パターンを上記第1パターンとは異なるパターンでパターン露光する第2露光工程と、
上記第2露光工程後の上記第1パターンを現像して第2パターンを形成する第2現像工程と、
上記第2パターンが配置されていない領域における上記複数の導電層のうち少なくとも上記第1導電層をエッチング処理する第2エッチング工程と、をこの順に含む。上記第2の実施形態としては、国際公開第2006/190405号を参考にすることができ、この内容は本開示に組み込まれる。
回路配線の製造方法の第3の実施形態は、第1の実施形態を2回繰り返す形態である。
即ち、基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記レジスト層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、
上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記中間層およびレジスト層をパターン露光する工程(露光工程)と、
上記パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程(現像工程)と、
上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(エッチング工程)と、
をこの順に含み、さらに、上記エッチング工程後の残存しているレジスト層に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記レジスト層を上記残存しているレジスト層に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、
上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記中間層およびレジスト層をパターン露光する工程(露光工程)と、
上記パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程(現像工程)と、
上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(エッチング工程)と、
をこの順に含む。
なお、1回目及び2回目の感光性転写材料は同じものであってもよく、異なっていてもよい。また、1回目の貼り合わせ工程に用いる感光性転写材料はポジ型であることが好ましく、2回目の貼り合わせ工程に用いる感光性転写材料は、ポジ型であってもよく、ネガ型であってもよい。
回路配線の製造方法の第3の実施形態は、具体的には、例えば以下の方法で実施することができる。
基材上に、ITOをスパッタリングで成膜し、その上に銅を真空蒸着法で成膜して、導電パターン形成用の基板とする。
次に銅層上に感光性転写材料を貼り合わせて、積層体とする。積層体を、仮支持体を剥離せずに一方向に導電層パッドが連結された構成を持つパターンAを設けたフォトマスクを用いてパターン露光する。その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAで描画された樹脂パターンを得る。次いで銅エッチング液を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液を用いてITO層をエッチングし、銅とITOが共にパターンAで描画された基板を得る。
次いで、残存しているレジスト層上に、感光性転写材料を貼り合わせる。この状態で、アライメントを合わせた状態でパターンBの開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、感光性転写材料の仮支持体を剥離した後に現像、水洗を行う。その後、銅配線をエッチングし、残ったレジスト層を剥離液を用いて剥離し、導電パターンを有する回路配線基板を得る。
本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル又はタッチパネル表示装置用の回路配線の製造方法として用いることができる。
以下、第2の実施形態を元に、各工程の詳細について説明する。
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程の一例を、図2(a)に概略的に示した。
まず、貼り合わせ工程では、基材22と、互いに構成材料が異なる第1導電層24及び第2導電層26を含む複数の導電層とを有し、基材22の表面上に、基材22の表面から遠い順に、最表面層である第1導電層24と第2導電層26とが積層されている基板(回路配線形成用基板)20に対し、上述した本開示に係る感光性転写材料100のレジスト層14−1(図1参照)を第1導電層24に接触させて貼り合わせる。なお、このような回路配線形成用基板と感光性転写材料との貼り合わせを「転写」又は「ラミネート」と称する場合がある。
図1〜図2に示したように感光性転写材料100のポジ型レジスト層14上にカバーフィルム16を有する場合は、感光性転写材料100(ポジ型レジスト層14)からカバーフィルム16を除去した後、感光性転写材料100のレジスト層14−1を第1導電層24に接触させて貼り合わせる。
感光性転写材料の第1導電層上への貼り合わせ(転写)は、感光性転写材料のレジスト層側を第1導電層の上に重ね、ロール等による加圧及び加熱することに行われることが好ましい。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネータを使用することができる。
回路配線形成用基板の基材が樹脂フィルムである場合は、ロールツーロールでの貼り合わせも行うこともできる。
〔基材〕
基材上に複数の導電層が積層された基板は、基材がガラス基材又はフィルム基材であることが好ましく、フィルム基材であることがより好ましい。本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル用の回路配線である場合、基材がシート状樹脂組成物であることが特に好ましい。
また、基材は透明であることが好ましい。透明とは、可視光領域である400nm〜800nmの透過率が90%以上であることをいう。
基材の屈折率は、1.50〜1.52であることが好ましい。
基材は、ガラス基材等の透光性基材で構成されていてもよく、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、前述の透明基材としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報及び特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みがない基材、及び、透明度が高い基材を用いることがより好ましく、具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーをあげることができる。
〔導電層〕
基材上に形成されている複数の導電層としては、一般的な回路配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電層を挙げることができる。
導電層の材料としては、金属及び金属酸化物などを挙げることができる。
金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SiO等を挙げることができる。金属としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等を挙げることができる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、複数の導電層のうち少なくとも一つの導電層が金属酸化物を含むことが好ましい。
導電層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
〔回路配線形成用基板〕
基材の表面に導電層を有する基板である。導電層をパターンニングすることで回路配線とする。本例では、PETなどのフィルム基材に金属酸化物や金属などの複数の導電層が設けられたものであることが好ましい。
<露光工程(第1露光工程)>
上記第1の実施態様においては露光工程が、上記第2の実施態様においては第1露光工程が行われる。露光工程(第1露光工程)の一例を、図2(b)に概略的に示した。
露光工程(第1露光工程)では、貼り合わせ工程後の感光性転写材料の仮支持体12を介してポジ型レジスト層14をパターン露光する。
本開示における露光工程、現像工程、及びその他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜段落0051に記載の方法を本開示においても好適に用いることができる。
例えば、第1導電層24の上に配置された感光性転写材料100の上方(第1導電層24と接する側とは反対側)にあらかじめ定められたパターンを有するマスク30を配置し、その後、マスク30を介してマスク上方から紫外線で露光する方法などが挙げられる。
本開示においてパターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に限定されない。本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくしたいことから、パターンの少なくとも一部(特にタッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下であることが更に好ましい。
ここで、露光に使用する光源としては、感光性転写材料の露光された箇所が現像液に溶解しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量としては、好ましくは5mJ/cm〜200mJ/cm程度であり、より好ましくは10mJ/cm〜100mJ/cm程度である。
また、露光後にパターンの矩形性、直線性を向上させる目的で、現像前に熱処理を行うことも好ましい。いわゆるPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる工程により、露光時にレジスト層で生じた定在波によるパターンエッジの荒れを低減することが可能である。
なお、パターン露光は、仮支持体を中間層およびレジスト層から剥離してから行っても良いし、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介して露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。中間層とマスクの接触によるマスク汚染の防止や、マスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずに露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
<現像工程(第1現像工程)>
上記第1の実施態様においては現像工程が、上記第2の実施態様においては第1現像工程が行われる。現像工程(第1現像工程)の一例を、図2(c)に概略的に示した。
現像工程(第1現像工程)では、露光工程(第1露光工程)後のポジ型レジスト層14から仮支持体12を剥離した後、露光工程(第1露光工程)後のポジ型レジスト層14を現像して第1パターン14Aを形成する。
現像工程(第1現像工程)は、パターン露光されたポジ型レジスト層を現像することによりパターン(第1パターン)を形成する工程である。
パターン露光されたポジ型レジスト層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液としては、ポジ型レジスト層の露光部分を除去することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5−72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。
具体例としては、水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸カリウム水溶液、及び水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を挙げることができる。
尚、現像液はポジ型レジスト層の露光部が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましい。例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05mol/L(リットル)〜5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。現像液は、さらに、水と混和性を有する有機溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。本開示において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
現像方式としては、特に制限はなくパドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後のポジ型レジスト層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、露光部分を除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましい。
更に、現像して得られたレジスト層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。
ポストベークの加熱は8.1kPa〜121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、506.6kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、1114.6kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが特に好ましい。
ポストベークの温度は、80℃〜250℃であることが好ましく、110℃〜170℃であることがより好ましく、130℃〜150℃であることが特に好ましい。
ポストベークの時間は、1分〜30分であることが好ましく、2分〜10分であることがより好ましく、2分〜4分であることが特に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、ポスト露光工程等のその他の工程を有していてもよい。
<エッチング工程(第1エッチング工程)>
上記第1の実施態様においてはエッチング工程が、上記第2の実施態様においては第1エッチング工程が行われる。エッチング工程(第1エッチング工程)の一例を、図2(d)に概略的に示した。
エッチング工程(第1エッチング工程)では、第1パターン14Aが配置されていない領域における複数の導電層のうち少なくとも第1導電層24及び第2導電層26をエッチング処理する。エッチングにより、同じパターンを有する第1導電層24A及び第2導電層26Aが形成される。
導電層のエッチングは、特開2010−152155号公報の段落0048〜段落0054等に記載の方法、公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法など、公知の方法でエッチングを適用することができる。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本開示においてエッチングマスク(エッチングパターン)として使用される第1パターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。したがって、エッチング工程中にポジ型レジスト層が剥離することが防止され、ポジ型レジスト層の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて洗浄工程及び乾燥工程を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温で純水により10秒〜300秒間基板を洗浄して行い、乾燥工程については、例えばエアブローを使用し、エアブロー圧(0.1kg/cm〜5kg/cm程度)を適宜調整して乾燥を行えばよい。
<第2露光工程>
上記第2の実施態様においては第2露光工程が行われる。第2露光工程の一例を、図2(e)に概略的に示した。
第1エッチング工程後、第1エッチング工程後の第1パターン14Aを第1パターンとは異なるパターンでパターン露光する。
第2露光工程では、第1導電層上に残存する第1パターンに対し、後述する第2現像工程において少なくとも第1導電層の除去しようとする部分に相当する箇所を露光する。
第2露光工程におけるパターン露光は、第1露光工程で用いたマスク30とはパターンが異なるマスク40を用いること以外は第1露光工程におけるパターン露光と同じ方法を適用することができる。
<第2現像工程>
上記第2の実施態様においては第2現像工程が行われる。第2現像工程の一例を、図2(f)に概略的に示した。
第2現像工程では、第2露光工程後の第1パターン14Aを現像して第2パターン14Bを形成する。
現像により、第1パターンのうち第2露光工程において露光された部分が除去される。
なお、第2現像工程では、第1現像工程における現像と同じ方法を適用することができる。
<第2エッチング工程>
上記第2の実施態様においては第2露光工程が行われる。第2エッチング工程の一例を、図2(g)に概略的に示した。
第2エッチング工程では、第2パターン14Bが配置されていない領域における複数の導電層のうち少なくとも第1導電層24Aをエッチング処理する。
第2エッチング工程におけるエッチングは、エッチングにより除去しようとする導電層に応じたエッチング液を選択すること以外は、第1エッチング工程におけるエッチングと同じ方法を適用することができる。
第2エッチング工程では、所望のパターンに応じて、第1エッチング工程よりも少ない導電層を選択的にエッチングすることが好ましい。例えば、図2に示すように、ポジ型レジスト層が配置されていない領域において第1導電層24Bのみを選択的にエッチングするエッチング液を用いてエッチングを行うことで、第1導電層を第2導電層のパターンとは異なるパターンにすることができる。
第2エッチング工程の終了後、少なくとも2種類のパターンの導電層24B,26Aを含む回路配線が形成される。
<ポジ型レジスト層除去工程>
ポジ型レジスト層除去工程の一例を、図2(h)に概略的に示した。
第2エッチング工程の終了後、第1導電層24B上の一部には第2パターン14Bが残存している。ポジ型レジスト層が不要であれば、残存する全てのポジ型レジスト層14Bを除去すればよい。
残存するポジ型レジスト層を除去する方法としては特に制限はないが、薬品処理により除去する方法を挙げることができる。
ポジ型レジスト層の除去方法としては、例えば、好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは50℃〜80℃にて撹拌中の剥離液にポジ型レジスト層などを有する基材を1分〜30分間浸漬する方法が挙げられる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ成分、又は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン又はこれらの混合溶液に溶解させた剥離液が挙げられる。剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、パドル法等により剥離してもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、他の任意の工程を含んでもよい。例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に限定されない。
<保護フィルムを貼り付ける工程>
上記第2の実施態様において、第1エッチング工程の後、第2露光工程の前に、第1パターン上に、光透過性を有する保護フィルム(不図示)を貼り付ける工程をさらに有してもよい。
この場合、第2露光工程において、保護フィルムを介して第1パターンをパターン露光し、第2露光工程後、第1パターンから保護フィルムを剥離した後、第2現像工程を行うことが好ましい。
<可視光線反射率を低下させる工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、基材上の複数の導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含むことが可能である。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理などを挙げることができる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とし、黒化することにより、可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014−150118号公報の段落0017〜段落0025、並びに、特開2013−206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本開示に組み込まれる。
<絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、形成した回路配線上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程を含むことも好ましい。
このような構成により、上述の第二の電極パターンを、第一の電極パターンと絶縁しつつ、形成することができる。
絶縁膜を形成する工程については、特に制限はなく、公知の永久膜を形成する方法を挙げることができる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程については、特に制限はない。導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電層を形成してもよい。
また、図2を参照した説明では、2層の導電層を備えた回路配線形成用基板に対して2つの異なるパターンを有する回路配線を形成する場合について説明したが、本開示に係る回路配線の製造方法を適用する基板の導電層の数は2層に限定されず、導電層が3層以上積層された回路配線形成用基板を用い、前述した露光工程、現像工程、及びエッチング工程の組み合わせを3回以上行うことで、3層以上の導電層をそれぞれ異なる回路配線パターンに形成することもできる。
また、図2には示していないが、本開示に係る回路配線の製造方法は、基材が両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有し、基材の両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。このような構成により、基材の一方の表面に第一の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成したタッチパネル用回路配線を形成することができる。また、このような構成のタッチパネル用回路配線を、ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
(回路配線及び回路基板)
本開示に係る回路配線は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線である。
本開示に係る回路基板は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を有する基板である。
本開示に係る回路基板の用途は限定されないが、例えば、タッチパネル用回路基板であることが好ましい。
(入力装置及び表示装置)
本開示に係る回路配線の製造方法により製造される回路配線を備えた装置として、入力装置が挙げられる。
本開示における入力装置は、静電容量型タッチパネルであることが好ましい。
本開示における表示装置は、本開示における入力装置を備えることが好ましい。
また、本開示における表示装置は、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置等の画像表示装置であることが好ましい。
(タッチパネル、及び、タッチパネル表示装置並びにこれらの製造方法)
本開示に係るタッチパネルは、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネルである。また、本開示に係るタッチパネルは、透明基板と、電極と、絶縁層又は保護層とを少なくとも有することが好ましい。
本開示に係るタッチパネル表示装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネル表示装置であり、本開示に係るタッチパネルを有するタッチパネル表示装置であることが好ましい。
本開示に係るタッチパネル又はタッチパネル表示装置の製造方法は、本開示に係る回路配線の製造方法を含むことが好ましい。
本開示に係るタッチパネル又はタッチパネル表示装置の製造方法は、感光性転写材料の製造方法により得られた感光性転写材料の上記レジスト層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記レジスト層をパターン露光する工程と、上記パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程と、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含むことが好ましい。各工程の詳細は、上述の回路配線の製造方法における各工程の詳細と同義であり、好ましい態様も同様である。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置のおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び、光学方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012−517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013−168125号公報の図19に記載のもの、特開2012−89102号公報の図1や図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch−on−Lens)型(例えば、特開2013−54727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013−164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置としては、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日、(株)テクノタイムズ社発行)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本開示の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本開示の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本開示の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。なお、本実施例における「極大吸収波長」とは、発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長である。
実施例で用いている成分に関する略語は、それぞれ以下の化合物を表す。
−中間層−
〔重合体(中間層用バインダーポリマー)〕
重合体B−11:Nisso HPC−SSL(ヒドロキシプロピルセルロース 日本曹達(株)製)
重合体B−12:メトローズ60SH−03(ヒドロキシプロピルメチルセルロース、信越化学工業(株)製)
〔色素〕
A−1:ブロモフェノールブルー(富士フイルム和光純薬(株)製、極大吸収波長:606nm、水溶性)
A−2:ブロモクレゾールグリーン(富士フイルム和光純薬(株)製、極大吸収波長:626nm、水溶性)
A−3:VPB−NAPS(ビクトリアピュアブルーのナフタレンスルホン酸塩)(保土谷化学工業(株)製、極大吸収波長:616nm、水溶性)
〜色素のpH感受性の有無の確認〜
水溶液中での上記色素の発色のpH感受性を以下の方法で確認した。
色素0.1gを、エタノール及び水の混合溶液(エタノール/水=1/2[質量比])100mLに溶かし、0.1mol/l(1N)の塩酸水溶液を加えてpH=1に調整した。0.01mol/l(0.01N)の水酸化ナトリウム水溶液で滴定していき、発色変化と発色が変化した際のpHとを確認した。その結果を以下に示す。
なお、pHは、pHメーター(型番:HM−31、東亜DKK社製)を用いて25℃で測定した。
A−1:pH4.0以上で発色(即ち極大吸収波長)が変化した。
A−2:pH5.4以上で発色(即ち極大吸収波長)が変化した。
A−3:pH1〜14においてpHを変化させても発色(即ち極大吸収波長)は変化しなかった。
〔pH調整剤〕
G−1:0.1N 水酸化ナトリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)
G−2:0.1N 水酸化カリウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)
G−3:0.1N 水酸化リチウム水溶液(富士フイルム和光純薬(株)製)
G−4:テトラブチルアンモニウムヒドロキシド(40質量%水溶液)(富士フイルム和光純薬(株)製)
G−5:ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシド(10質量%水溶液)(富士フイルム和光純薬(株)製)
G−6:コリン(50質量%水溶液)(富士フイルム和光純薬(株)製)
G−7:ベンジルトリメチルアンモニウム(40質量%メタノール溶液)(富士フイルム和光純薬(株)製)
〔無機フィラー〕
H−1:スノーテックスO(日産化学工業(株)製)
H−2:スノーテックスC(日産化学工業(株)製)
H−3:スノーテックスN(日産化学工業(株)製)
〔界面活性剤〕
E−11:メガファックF−444(DIC(株)製)
−レジスト層−
〔重合体〕
以下の例において、以下の略語はそれぞれ以下の化合物を表す。
ATHF:2−テトラヒドロフラニルアクリレート(合成品)
MATHF:2−テトラヒドロフラニルメタクリレート(合成品)
ATHP:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルアクリレート(新中村化学工業(株)製)
MATHP:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
MAEVE:1−エトキシエチルメタクリレート(富士フイルム和光純薬(株)製)
TBMA:t−ブチルメタクリレート(富士フイルム和光純薬(株)製)
AA:アクリル酸(東京化成工業(株)製)
MAA:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
EA:アクリル酸エチル(東京化成工業(株)製)
MMA:メタクリル酸メチル(東京化成工業(株)製)
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
酢酸ノルマルプロピル(昭和電工(株)製)
V−601:ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(富士フイルム和光純薬(株)製)
−ATHFの合成−
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1部、1.0モル当量)、ヘキサン(72.1部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.00070質量部、0.003ミリモル当量)、2−ジヒドロフラン(70.1質量部、1.0モル当量))を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(水酸化アルミニウム吸着剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ハイドロタルサイト系吸着剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、0.0012部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(ATHF)140.8部を無色油状物として得た(収率99.0%)。
−MATHFの合成−
3つ口フラスコにメタクリル酸(86.0部、1.0モル当量)、ヘキサン(72.1部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.00070質量部、0.003ミリモル当量)、2−ジヒドロフラン(70.1質量部、1.0モル当量))を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(水酸化アルミニウム吸着剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ハイドロタルサイト系吸着剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、0.0012部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(MATHF)152.9部を無色油状物として得た(収率98.0%)。
−重合体B−1の合成例−
3つ口フラスコに酢酸ノルマルプロピル(75.0部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。ATHF(38.70部)、AA(1.47部)、CHA(59.83部)、V−601(4.1部)、酢酸ノルマルプロピル(75.0部)を混合した溶液を、90℃±2℃の範囲内に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃の範囲内にて2時間撹拌することで、重合体B−1の溶液(固形分濃度40.0質量%)を得た。
−重合体B−2〜B−8の合成例−
モノマーの種類等を下記表1に示すように変更し、その他の条件については重合体A−1の合成と同様にして、重合体B−2〜B−8を合成した。
重合体の固形分濃度は、いずれも40質量%とした。
なお、表1中の「−」の表記は、該当する成分を含まないことを示す。


〔光酸発生剤〕
C−1:下記に示す構造の化合物(特開2013−47765号公報の段落0227に記載の方法にしたがって合成)


C−2:下記に示す構造の化合物(特開2014−197155号公報の段落0210に記載の方法にしたがって合成)


C−3:下記化合物(Irgacure PAG−103、BASF社製)
C−4:CPI−310TS(トリアリールスルホニウム塩、サンアプロ株式会社製)
〔塩基性化合物〕
D−1:下記に示す構造の化合物(CMTU)


D−2:2,4,5−トリフェニルイミダゾール(東京化成工業(株)製)
D−3:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(東京化成工業(株)製)
〔界面活性剤〕
E−1:F−552(フッ素系ノニオン界面活性剤、DIC(株)製)
E−2:F−554(フッ素系ノニオン界面活性剤、DIC(株)製)
(実施例1)
<中間層組成物1の調製>
下記成分を混合し、孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、中間層組成物1を調製した。
水:891.5質量部
メタノール:891.5質量部
重合体B−11:80.0質量部
色素A−1:1.2質量部
pH調整剤G−1:35.8質量部
無機フィラーH−1:100.0質量部
界面活性剤E−11:0.05質量部
<レジスト層形成用組成物1の調製>
下記成分を混合し、孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、レジスト層形成用組成物1を調製した。
MEK(メチルエチルケトン:丸善石油化学(株)製): 306.0質量部
酢酸ノルマルプロピル(昭和電工(株)製): 459.9質量部
重合体B−1溶液: 423.5質量部
光酸発生剤C−1: 9.00質量部
塩基性化合物D−1: 1.35質量部
界面活性剤E−1: 0.24質量部
<感光性転写材料の調製>
中間層組成物1を、仮支持体である厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PET(A)」ともいう。)の上に、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が1.8μmとなる量を塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させた。
形成された中間層上にレジスト層形成用組成物1を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなる量を塗布した。最後にカバーフィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス(株)製、アルファンPK−002)を圧着して感光性転写材料を作製した。
(実施例2〜27及び実施例201)
色素、重合体、pH調整剤、無機フィラー、及び界面活性剤を、下記表2に示す添加量となるように水及びメタノールの混合溶媒(水/メタノール=891.5質量部/891.5質量部)に溶解混合し、孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、中間層組成物2〜18を調製した。
また、表3に示すように、さらに光酸発生剤C−4を2.0質量部添加した以外は中間層組成物1と同様にして、中間層組成物19を調製した。
また、重合体、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤、及びその他の成分を、下記表4に示す固形分比(質量比)となるように、酢酸n−プロピル及びメチルエチルケトンの混合溶媒(酢酸n−プロピル/メチルエチルケトン=70/30[体積%])に固形分濃度を14質量%として溶解混合し、孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、レジスト層形成用組成物2〜10を調製した。
また、下記成分を混合し、孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、レジスト層形成用組成物11を調製した。
メタクリル酸/スチレン/ベンジルメタクリレート(重合比が30/20/50)の組成を有し、酸等量が290であり、重量平均分子量が55000である共重合体の41質量%(固形分)MEK(メチルエチルケトン)溶液:55.0質量部
ビスフェノールAの両端にそれぞれ平均5モルずつのエチレンオキサイドを付加したポリエチレングリコールのジメタクリレート(新中村化学社製、BPE−500):25.0質量部
平均12モルのプロピレンオキサイドを付加したポリプロピレングリコールにエチレンオキサイドをさらに両端にそれぞれ平均3モルずつ付加したポリアルキレングリコールのジメタクリレート:20.0質量部
4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン:0.1質量部
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体:3.0質量部
ダイアモンドグリーン:0.1質量部
ロイコクリスタルバイオレット:0.3質量部
そして、実施例1において、中間層組成物1を中間層組成物2〜19にそれぞれ代え、かつ、レジスト層形成用組成物1をレジスト層形成用組成物2〜11にそれぞれ代えたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性転写材料を作製した。
(比較例1)
実施例1において、中間層組成物1を、中間層組成物1の調製に用いた色素A−1およびpH調整剤G−1を添加せずに調製した比較中間層組成物1に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の感光性転写材料を作製した。
(比較例2)
色素、重合体、pH調整剤、無機フィラー、及び界面活性剤を、下記表2に示す添加量となるように水及びメタノールの混合溶媒(水/メタノール=891.5質量部/891.5質量部)に溶解混合し、孔径1.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、比較中間層組成物2を調製した。
そして、実施例1において、中間層組成物1を比較中間層組成物2に代えたこと以外は、実施例1と同様にして、感光性転写材料を作製した。
(比較例3)
実施例201において、中間層組成物19に代えて、表3に示すように、中間層組成物19の調製に用いた色素A−1および光酸発生剤C−4を添加せずに調製した比較中間層組成物3を用いた以外は、実施例201と同様にして、感光性転写材料を作製した。
[性能評価1]
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚さ200nmでスパッタ法にて銅層を作製した銅層付きPET基板を使用した。
<視認性>
作製した感光性転写材料を、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/min.のラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。仮支持体を剥離せずに感光性転写材料の仮支持体と、線幅10μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)を有するガラス製マスクとをコンタクトさせ、上記マスクを介して超高圧水銀灯で200mJ/cmの露光量でレジスト層を露光した。4時間放置した後、光学顕微鏡で露光したラインアンドスペースパターンを観察し、以下の評価基準にしたがって評価した。
<評価基準>
A:ラインアンドスペースパターンが十分な色濃度で判別可能であることを確認した。
B:ラインアンドスペースパターンを確認できなかった。
(実施例28〜33)
実施例1において、中間層組成物及びレジスト層形成用組成物を下記表6の構成になるように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、感光性転写材料を作製した。
[性能評価2]
<密着性>
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚さ200nmでスパッタ法にて銅層を形成した銅層付きPET基板を使用した。
作製した感光性転写材料を50cm×50cmのサイズにカットして試料片とし、得られた試料片のカバーフィルムを剥がし、ロール温度90℃、線圧1.0MPa、線速度4.0m/min.のラミネート条件で銅層付きPETフィルムにラミネートした。続いて、仮支持体を剥離し、中間層およびレジスト層が銅層に付着している部分を油性マジックを用いてマーキングし、PET基板全体を撮影し、画像解析ソフト(ImageJ(米国 National Instisute of Health製))にて、 中間層およびレジスト層が銅層に付着している部分と試料片全体の面積をそれぞれ算出した。そして、下記式より面積比を求め、以下の評価基準にしたがって評価した。
面積比(%)=中間層およびレジスト層が付着した面積/試料片全体の面積×100
<評価基準>
5:95%以上
4:90%以上95%未満
3:85%以上90%未満
2:80%以上85%未満
1:80%未満
(実施例101)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層として酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(線圧0.8MPa、線速度3.0m/min、ロール温度90℃)。仮支持体を剥離せずに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図3に示すパターン(以下、「パターンA」とも称する。)を設けたフォトマスクを用いてコンタクトパターン露光した。
なお、図3に示すパターンAは、実線部SL及びグレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、アライメントを合わせた状態で図4に示すパターン(以下、「パターンB」とも称する。)の開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、現像、水洗を行った。
なお、図4に示すパターンBは、グレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後、Cu−02を用いて銅層をエッチングし、残ったレジスト層を、剥離液(10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
これにより、回路配線基板を得た。顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
(実施例102)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層としてITOをスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(線圧0.8MPa、線速度3.0m/min、ロール温度90℃)。
仮支持体を剥離せずに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図3に示すパターンAを設けたフォトマスクを用いてレジスト層をパターン露光した。その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、残存しているレジスト上に保護層としてPET(A)をラミネートした。この状態で、アライメントを合わせた状態で図4に示すパターンBの開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、PET(A)を剥離した後に現像、水洗を行った。
その後、Cu−02を用いて銅配線をエッチングし、残ったレジスト層を剥離液(関東化学(株)製KP−301)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
顕微鏡で観察したところ、剥がれ、欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
12 仮支持体
14 中間層およびレジスト層の積層体
14−1 レジスト層
14−2 中間層
14A 第1パターン
14B 第2パターン
16 カバーフィルム
20 回路形成用基板
22 基材
24 第1導電層
24A 第1導電層(第1エッチング工程後)
24B 第1導電層(第2エッチング工程後)
26 第2導電層
26A 第2導電層(第1エッチング工程及び第2エッチング工程後)
30 マスク
40 マスク
100 感光性転写材料
SL 実線部
G グレー部
DL 点線部

Claims (12)

  1. 仮支持体、中間層およびレジスト層をこの順番に有し、
    前記中間層は、下記(A)成分を含有し、
    前記レジスト層は下記(B)成分及び(C)成分を含有し、
    露光により前記(C)成分である光酸発生剤から放出された酸により、前記(A)成分である色素の発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が変化する感光性転写材料。
    (A)成分:発色時の波長範囲400nm〜780nmにおける極大吸収波長が450nm以上であり、酸、塩基又はラジカルにより極大吸収波長が変化する色素
    (B)成分:酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体
    (C)成分:光酸発生剤
  2. 前記(A)成分である色素が、pH感受性色素である請求項1に記載の感光性転写材料。
  3. 前記(A)成分である色素が、トリアリールメタン骨格を有する請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。
  4. 前記(A)成分である色素が、下記式Iで表される色素、下記式Iで表される色素の開環体及び前記開環体の中和体から選ばれる少なくとも1つを含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。



    式I中、ArおよびAr’は、それぞれ独立に芳香族基を表す。R、R、RおよびRは、それぞれ独立に水素原子または1価の置換基を表す。
  5. 露光により前記(C)成分である光酸発生剤から放出された酸により、前記(A)成分である色素の発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が短波化する請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  6. 前記(C)成分である光酸発生剤から生じる酸が、リン酸、又はスルホン酸であり、且つpKaが4以下の酸である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  7. 前記(B)成分である重合体が有する、前記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位が、下記式IIで表される構成単位である請求項〜請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。


    式II中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR及びRのいずれか一方が、アルキル基又はアリール基であり、Rはアルキル基又はアリール基を表し、R又はRと、Rと、が連結して環状エーテルを形成してもよい。Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
  8. 前記中間層が、更に、下記(G)成分を含有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
    (G)成分:pH調整剤
  9. 前記pH調整剤が、4級アンモニウム塩である請求項に記載の感光性転写材料。
  10. 前記レジスト層に、さらに下記(D)成分を含有する請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
    (D)成分:塩基性化合物
  11. 基板に対し、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の感光性転写材料の前記レジスト層を前記基板に接触させて貼り合わせる工程と、
    前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記レジスト層をパターン露光する工程と、
    前記パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程と、
    前記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、
    をこの順に含む回路配線の製造方法。
  12. 基板に対し、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の感光性転写材料の前記レジスト層を前記基板に接触させて貼り合わせる工程と、
    前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記レジスト層をパターン露光する工程と、
    前記パターン露光する工程後のレジスト層を現像してパターンを形成する工程と、
    前記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、
    をこの順に含むタッチパネルの製造方法。
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