JP6985974B2 - 感光性転写材料、レジストパターンの製造方法、回路配線の製造方法 - Google Patents

感光性転写材料、レジストパターンの製造方法、回路配線の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、感光性転写材料、レジストパターンの製造方法、及び、回路配線の製造方法に関する。
例えば、静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線などの導電性層パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般的にパターン化した層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといったことから、感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けた感光性樹脂組成物の層に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光した後に現像する方法が広く使用されている。
このよう感光性転写材料としては、例えばフィルム状の仮支持体と、感光性樹脂組成物の層とを有する感光性転写材料が知られている。
ここで、例えば上記仮支持体として使用されるようなフィルム状の材料については、種々の提案がなされている。
例えば、特許文献1には、エチレンテレフタレート又はエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを主たる繰り返し単位とするポリエステルAからなり、厚みが0.5〜4.0μmの範囲にあるA層と、その両面にポリエステル層Aから剥離が可能である熱可塑性樹脂BからなるB層とが共押出によって積層された、B層を剥離してA層を用いる積層フィルムが記載されている。
特開2013−203019号公報
感光性転写材料を用いて基板上に感光性樹脂層を形成する際において、感光性転写材料を基板に貼り合わせることにより、基板と、感光性樹脂層と、仮支持体とをこの順に少なくとも有する積層体が形成される。このような積層体を露光した後に、上記仮支持体を剥離して、上記感光性樹脂層を現像することによりレジストパターンが形成される。
ここで、上記感光性樹脂層は上記仮支持体側から、仮支持体を透過して露光されるため、仮支持体が厚い場合には、露光光の散乱、露光光と反射光との干渉等により、レジストパターンの形状が悪化し、得られるレジストパターンにおいてパターンの直線性が低下する場合があった。
このように、直線性が低下したレジストパターンを、例えば回路配線の製造に用いた場合、得られる回路配線の直線性が低下する場合がある。
しかし、単に仮支持体を薄く設計した場合、仮支持体の強度が低くなり、感光性転写材料の製造時、基板への貼り付け時等に、仮支持体が破断してしまうなど、仮支持体のハンドリング性(取扱い性)に劣る場合があった。
このように、上記パターンの直線性と、上記ハンドリング性と、を両立することは困難であった。
本開示に係る実施形態が解決しようとする課題は、得られるレジストパターンにおけるパターンの直線性に優れ、かつ、仮支持体のハンドリング性に優れる感光性転写材料を提供することである。
また、本開示に係る別の実施形態が解決しようとする課題は、上記感光性転写材料を用いたレジストパターンの製造方法、及び、回路配線の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 仮支持体と、
感光性樹脂層と、を含み、
上記仮支持体が、ポリマーAからなる層、及び、ポリマーBからなる層を積層した積層体であり、
上記仮支持体において、上記ポリマーBからなる層が感光性樹脂層側に存在し、
上記ポリマーAからなる層の厚さが10μm以上であり、
上記ポリマーBからなる層の厚さが0.1μm以上30μm以下であり、
上記ポリマーAからなる層と、上記ポリマーBからなる層と、が剥離可能である
感光性転写材料。
<2> 上記ポリマーAの相溶性パラメータと、上記ポリマーBの相溶性パラメータとの差の絶対値が4.0以上である、上記<1>に記載の感光性転写材料。
<3> 上記ポリマーAのガラス転移温度が40℃以上であり、上記ポリマーBのガラス転移温度が40℃以上であり、かつ、上記ポリマーAのガラス転移温度と上記ポリマーBのガラス転移温度との差の絶対値が50℃以下である、上記<1>又は<2>に記載の感光性転写材料。
<4> 上記ポリマーAのガラス転移温度が70℃〜200℃であり、かつ、上記ポリマーBのガラス転移温度が70℃〜200℃である、上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<5> 上記ポリマーAからなる層の厚さが10μm〜50μmである、上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<6> 上記仮支持体の厚さが、80μm以下である、上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<7> 上記ポリマーAがポリスチレン、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、又はポリエステルである、上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<8> 上記ポリマーBがポリエステル又はシクロオレフィンポリマーである、上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<9> 上記仮支持体と、上記感光性樹脂層との間に、中間層を更に含む、上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<10> 上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料の上記感光性樹脂層側の最外層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、
上記ポリマーAからなる層を上記仮支持体から剥離する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体にフォトマスクを接触させて上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体を剥離する工程と、
上記仮支持体を剥離する工程後の上記感光性樹脂層を現像してレジストパターンを形成する工程と、をこの順に含む
レジストパターンの製造方法。
<11> 上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性転写材料の上記感光性樹脂層側の最外層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、
上記ポリマーAからなる層を上記仮支持体から剥離する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体にフォトマスクを接触させて上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体を剥離する工程と、
上記仮支持体を剥離する工程後の上記感光性樹脂層を現像してレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンが配置されていない領域における上記基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む
回路配線の製造方法。
本開示に係る実施形態によれば、得られるレジストパターンにおけるパターンの直線性に優れ、かつ、仮支持体のハンドリング性に優れる感光性転写材料を提供することができる。
また、本開示に係る別の実施形態によれば、上記感光性転写材料を用いたレジストパターンの製造方法、及び、回路配線の製造方法を提供することができる。
本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を示す概略図である。 パターンAを示す概略図である。 パターンBを示す概略図である。
以下、本開示の内容について説明する。なお、添付の図面を参照しながら説明するが、符号は省略する場合がある。
本開示における基(原子団)の表記について、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。
本開示において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を包含する概念であり、「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の両方を包含する概念である。
本開示において、感光性樹脂層等の層中の各成分の量は、各成分に該当する物質が層中に複数存在する場合、特に断らない限り、層中に存在する上記複数の物質の合計量を意味する。
また、本開示中の「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本開示において、全固形分量とは、組成物における溶剤等の揮発性成分を除いた成分の全質量をいう。
本開示において、樹脂中の構成単位の割合は、特に断りが無い限り、質量割合を表す。
本開示において、分子量分布がある場合の分子量は、特に断りが無い限り、重量平均分子量(Mw)を表す。
本開示における図面中、同一の構成には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
本開示において、「光」は、γ線、β線、電子線、紫外線、可視光線、赤外線といった活性エネルギー線を包含する概念である。
本開示における「露光」とは、特に断らない限り、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線、X線、及びEUV(Extreme ultraviolet)光等による露光のみならず、電子線、及びイオンビーム等の粒子線による露光も含む。
(感光性転写材料)
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体と、感光性樹脂層と、を含み、上記仮支持体が、ポリマーAからなる層、及び、ポリマーBからなる層を積層した積層体であり、上記仮支持体において、上記ポリマーBからなる層が感光性樹脂層側に存在し、上記ポリマーAからなる層の厚さが10μm以上であり、上記ポリマーBからなる層の厚さが0.1μm以上30μm以下であり、上記ポリマーAからなる層と、上記ポリマーBからなる層が剥離可能である。
本発明者らは、得られるレジストパターンにおけるパターンの直線性を向上するためには、仮支持体の厚さを薄くすることが重要であることを見出した。
しかし、単に仮支持体を薄く設計した場合、仮支持体の強度が低くなり、仮支持体のハンドリング性が低くなる場合があることを見出した。
そこで本発明者らは、鋭意検討した結果、本開示に係る感光性転写材料においては、仮支持体がポリマーAからなる層、及び、ポリマーBからなる層を積層した積層体であり、上記仮支持体において、上記ポリマーBからなる層が感光性樹脂層側に存在し、上記ポリマーAからなる層の厚さが10μm以上であり、上記ポリマーBからなる層の厚さが0.1μm以上30μm以下であり、上記ポリマーAからなる層と、上記ポリマーBからなる層が剥離可能であるという構成を採用することにより、得られるレジストパターンにおけるパターンの直線性に優れ、かつ、仮支持体のハンドリング性に優れる感光性転写材料を提供することができることを見出した。
上記効果が得られるメカニズムは下記のように考えられるが、本開示に係る実施形態は以下のメカニズムの説明により限定されるものではない。
本開示に係る感光性転写材料は、厚さが10μm以上であるポリマーAからなる層(以下、「A層」ともいう。)を有することにより、仮支持体の強度が向上し、仮支持体のハンドリング性に優れる。
また、本開示に係る感光性転写材料は、A層と、上記ポリマーBからなる層(以下、「B層」ともいう。)と、が剥離可能である。
したがって、本開示に係る感光性転写材料においては、感光性転写材料の製造時、基板に感光性転写材料を貼り合わせる際等には、A層を有することにより仮支持体のハンドリング性に優れ、露光時にはA層を剥離し、厚さが0.1μm以上30μm以下であるB層のみとして露光することが可能となる。
すなわち、露光時にはA層が剥離されることにより仮支持体の厚さを薄くすることができ、得られるレジストパターンにおけるパターンの直線性に優れると考えられる。
以下、本開示に係る感光性転写材料について、詳細に説明する。
図1は、本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を概略的に示している。図1に示す感光性転写材料100は、仮支持体10と、中間層12と、感光性樹脂層14と、カバーフィルム16とがこの順に積層されている。
中間層12及びカバーフィルム16は省略されていてもよい。
また、仮支持体10は、A層24と、B層22とを含んでいる。
仮支持体10において、B層22が感光性樹脂層14側に存在する。
図1に示す感光性転写材料においては、A層24とB層22とが剥離可能であり、また、B層22と中間層12とが剥離可能である。
<剥離順>
本開示に係る感光性転写材料は、A層とB層との界面で剥離可能である。
ここで、A層とB層との界面で剥離可能、について説明する。感光性転写材料を、4.5cm幅×9cmに切り抜き、仮支持体をガラス板上に両面粘着テープで貼り合わせる。貼り合わされた感光性転写材料に、4.5cm幅×15cmに切りぬいた粘着テープを、粘着テープの幅方向と感光性転写材料の幅方向を合わせ、幅方向には粘着テープがはみ出さず、長さ方向に前後3cmずつ粘着テープがはみ出すように貼り合せる。感光性転写材料が後述するカバーフィルムを有する場合には、カバーフィルムを剥離した後にカバーフィルムの剥離後の最外層(例えば、感光性樹脂層又は後述するその他の層)に粘着テープを貼り付ける。テープの一方の端部を把持し、引張試験機を用いて500mm/minの剥離速度で90°剥離を行う。このとき、A層がB層から剥離できるときに、「A層とB層との界面で剥離可能」であることを意味する。ここで、粘着テープ及び両面粘着テープは、JIS Z 0109:2015に記載のものを使用し、引張試験機は,JIS B 7721:2009に規定する引張試験機(試験機の等級 1:相対指示誤差±1.0 %)又はこれと同等の引張試験機を使用する。
本開示に係る感光性転写材料が、仮支持体と、感光性樹脂層と、後述するカバーフィルムとを有し、感光性樹脂層と仮支持体とが接する場合、カバーフィルムと感光性樹脂層との界面、A層とB層との界面、B層と感光性樹脂層との界面の順で剥離可能であることが好ましい。
また、本開示に係る感光性転写材料が、仮支持体と、中間層と、感光性樹脂層と、後述するカバーフィルムとを有し、仮支持体と中間層とが接する場合、カバーフィルムと感光性樹脂層との界面、A層とB層との界面、B層と中間層との界面の順で剥離可能であることが好ましい。
カバーフィルムと感光性樹脂層との間に、後述するその他の層を更に含む場合には、「カバーフィルムと感光性樹脂層との界面」は「カバーフィルムとその他の層との界面」と読み替えるものとする。
剥離順は、後述する実施例における剥離界面S1〜S3の評価方法により評価することが可能である。後述する剥離界面S1〜S3は、剥離界面S1、S2、S3の順で剥離可能であることを示している。
<仮支持体>
本開示において用いられる仮支持体は、A層及びB層を含む。
上記A層とB層は接していることが好ましいが、A層をB層から剥離した際に、A層と共に剥離される層をA層とB層との間に更に含んでもよい。
また、A層のB層とは反対の側に、更に別の層を含んでもよい。
上記更に別の層としては、例えば、ハンドリング性、ロールツーロールにおける巻取り適性等の向上を目的としたマット剤含有層等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
〔仮支持体の厚さ〕
仮支持体の厚さは、80μm以下であることが好ましく、60μm以下であることがより好ましく、40μm以下であることが更に好ましく、30μm以下であることが特に好ましい。
仮支持体の厚さの下限は、特に限定されないが、15μm以上であることが好ましい。
本開示において、仮支持体の厚さとは、仮支持体に含まれる全ての層の合計厚さをいう。例えば、仮支持体がA層及びB層のみからなる場合には、上記仮支持体の厚さはA層とB層との合計値となる。
〔A層〕
本開示における仮支持体はA層を含む。
A層は、ポリマーAからなる層である。
本開示において、ポリマーAからなる層とは、層の全質量に対してポリマーAの含有量が50質量%以上である層をいう。
A層は、ポリマーA以外の公知の添加剤を含んでもよい。公知の添加剤としては、低分子可塑剤、オリゴマー系可塑剤、レタデーション調整剤、マット剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離促進剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、フィラー、相溶化剤等を挙げることができる。
また、A層はポリマーAを1種単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
−ポリマーA−
ポリマーAとしては、特に限定されず、仮支持体のハンドリング性を向上するための物理的特性が優れたポリマーを使用することが可能である。
本開示に係る感光性転写材料においては、露光時にA層が剥離されるため、A層として露光光の透過性が低いポリマーAからなる層を用いることも可能である。
すなわち、ハンドリング性には優れるものの露光光の透過性が低いため、従来の感光性転写材料における仮支持体としては使用が困難であったポリマー(例えば、ポリスチレンなど)を用いることも可能である。
ポリマーAは、ポリスチレン、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、ポリエステル、アクリル樹脂、又は、ポリカーボネートであることが好ましく、ポリスチレン、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、又はポリエステルであることがより好ましい。
<<ポリスチレン>>
ポリスチレンとしては、例えば、アニオン性重合ポリスチレン、シンジオタクチックポリスチレン、未置換及び置換ポリスチレン(例えば、ポリ(α−メチルスチレン))が挙げられ、未置換ポリスチレンが好ましい。
ポリスチレンとしては、市販品を用いてもよく、市販品としては、HF77(PSジャパン(株)製)等が挙げられる。
<<ポリオレフィン>>
ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンが挙げられ、ポリエチレンが好ましい。
ポリエチレンとしては、例えば、LDPE(低密度ポリエチレン)、HDPE(高密度ポリエチレン)、L−LDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)を、単独又は複数の組み合わせとして用いることができる。
ポリエチレンとしては、市販品を用いてもよく、市販品としては、ノバテックLD(日本ポリエチレン(株)製)等が挙げられる。
<<シクロオレフィンポリマー>>
シクロオレフィンポリマーとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィンの重合体、環状共役ジエンの重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれら重合体の水素化物などが挙げられる。
シクロオレフィンポリマーの好ましい例としては、下記式IIで表される構成単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体、及び、式Iで表される構成単位の少なくとも1種以上をさらに含んでなる付加(共)重合体が挙げられる。また、シクロオレフィンポリマーの他の好ましい例としては、式IIIで表される構成単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体が挙げられる。
Figure 0006985974
式I〜式III中、mは0〜4の整数を表す。R〜Rは、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、X〜X、及び、Y〜Yは、それぞれ、水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CHNO、−(CHCN、−(CHCONR1314、−(CHNR1516、−(CHOZ、−(CHW、又は、XとY、XとY、若しくはXとYから構成された(−CO)O、(−CO)NR17を表す。R11、R12、R13、R14、R15、R16及びR17は、それぞれ、水素原子、又は、炭化水素基(好ましくは炭素数1〜20の炭化水素基)、Zは、炭化水素基、又は、ハロゲンで置換された炭化水素基を表し、Wは、SiR18 3−p(R18は炭素数1〜10の炭化水素基を表し、Dはハロゲン原子を表し、−OCOR18又は−OR18を表し、pは0〜3の整数を示す)を表す。nは0〜10の整数を表す。
ノルボルネン系重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、米国特許出願公開第2004/229157号明細書又は国際公開第2004/070463号等に開示されている。ノルボルネン系重合体は、ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合することによって得ることができる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン;ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエンとを付加重合することもできる。このノルボルネン系重合体は、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同5013、同6013、同6015などのペレットが発売されている。さらに、Ferrania社よりAppear3000が発売されている。
ノルボルネン系重合体の水素化物は、特開平1−240517号公報、特開平7−196736号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭62−19801号公報、特開2003−1159767号公報あるいは特開2004−309979号公報等に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合又はメタセシス開環重合した後、水素添加することにより製造できる。
式III中、R及びRは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、X及びYは水素原子であることが好ましく、その他の基は適宜選択される。
ノルボルネン系重合体としては、市販品を使用することもでき、例えばアートン(Arton、JSR(株)製)、ゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250、同280、同480R(いずれも日本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
<<ポリエステル>>
ポリエステルとしては、例えば、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルが挙げられる。線状飽和ポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどが挙げられる。力学的物性の観点からは、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
ポリエステルは、例えばジカルボン酸成分とジオール成分とを共重合させて合成される。
ポリエステルは、例えば(A)ジカルボン酸成分と(B)ジオール成分とを周知の方法でエステル化反応及び/又はエステル交換反応させ、反応生成物を重縮合させることにより得ることができる。この際、更に3官能以上の多官能モノマーを共重合させてもよい。また、ポリエステルは、オキサゾリン系化合物、カルボジイミド化合物、及びエポキシ化合物等の末端封止剤を含有するものでもよい。
なお、末端封止剤及び反応触媒等の例示や好ましい態様、並びに重縮合等の詳細については、特開2014−189002号公報の段落0051〜0064、段落0121〜0124、及び段落0087〜0111の記載を参照することができる。
(A)ジカルボン酸成分としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、ダイマー酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸類、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、イソソルビド、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、などの脂環族ジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルインダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’−ビス(4−カルボキシフェニル)フルオレン酸等の芳香族ジカルボン酸などのジカルボン酸もしくはそのエステル誘導体が挙げられる。
(B)ジオール成分としては、例えば、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール等の脂肪族ジオール類、シクロヘキサンジメタノール、スピログリコール、イソソルビドなどの脂環式ジオール類、ビスフェノールA、1,3―ベンゼンジメタノール,1,4−ベンゼンジメタノール、9,9’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、などの芳香族ジオール類等のジオール化合物が挙げられる。
(A)ジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸の少なくとも1種が用いられる場合が好ましい。より好ましくは、ジカルボン酸成分のうち、芳香族ジカルボン酸を主成分として含有する。芳香族ジカルボン酸以外のジカルボン酸成分を含んでもよい。このようなジカルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸などのエステル誘導体等である。
なお、「主成分」とは、ジカルボン酸成分に占める芳香族ジカルボン酸の割合が80質量%以上であることをいう。
(B)ジオール成分としては、脂肪族ジオールの少なくとも1種が用いられる場合が好ましい。脂肪族ジオールとして、エチレングリコールを含むことができ、好ましくはエチレングリコールを主成分として含有する。
なお、主成分とは、ジオール成分に占めるエチレングリコールの割合が80質量%以上であることをいう。
ジオール成分の量は、ジカルボン酸成分及び必要に応じそのエステル誘導体の1モルに対して、1.015モル〜1.50モルの範囲が好ましく、より好ましくは1.02モル〜1.30モルであり、更に好ましくは1.025モル〜1.10モルである。ジオール成分の量が1.015以上であると、エステル化反応が良好に進行する。また、ジオール成分の量が1.50モル以下であると、例えばエチレングリコールの2量化によるジエチレングリコールの副生が抑えられ、融点、ガラス転移温度、結晶性、耐熱性、耐加水分解性、及び耐候性などの特性を良好に保つことができる。
エステル化反応及び/又はエステル交換反応には、従来から公知の反応触媒を用いることができる。上記反応触媒としては、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチモン化合物、チタン化合物、リン化合物などを挙げることができる。通常、ポリエステルの製造方法が完結する以前の任意の段階において、重合触媒としてアンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタン化合物を添加することが好ましい。このような方法としては、例えば、ゲルマニウム化合物を例にとると、ゲルマニウム化合物粉体をそのまま添加することが好ましい。
ポリマーAがポリエステルである場合、ポリエステルの固有粘度(IV;Intrinsic Viscosity)は、ポリエステルフィルムの耐加水分解性を高める観点から、0.55dL/g以上0.90dL/g以下であることが好ましく、0.60dL/g以上0.80dL/g以下であることがより好ましく、0.62dL/g以上0.78dL/g以下であることが更に好ましい。
固有粘度(IV)は、溶液粘度ηと溶媒粘度η0の比ηr(=η/η0;相対粘度)から1を引いた比粘度(ηsp=ηr−1)を濃度で割った値を濃度がゼロの状態に外挿した値である。IVは、ウベローデ型粘度計を用い、ポリエステルを1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(=2/3[質量比])混合溶媒に溶解させ、25℃の溶液粘度から求められる。
ポリマーAがポリエステルである場合、ポリエステルの末端カルボキシ基の量〔末端COOH量(酸価ともいう)、AV;Acid Value〕は、5eq/トン以上35eq/トン以下が好ましい。末端COOH量は、6eq/トン以上30eq/トン以下がより好ましく、7eq/トン以上28eq/トン以下が更に好ましい。
なお、本明細書中において、eq/トンは、ポリマー1トン当たりのカルボキシル基のモル当量を表す。
AVは、ポリエステルをベンジルアルコール/クロロホルム(=2/3;体積比)の混合溶液に完全溶解させ、指示薬としてフェノールレッドを用い、基準液(0.025mol/L KOH−メタノール混合溶液)で滴定し、その適定量から算出される値である。
<<相溶性パラメータ>>
ポリマーAの相溶性パラメータ(SP値)は、10〜30であることが好ましく、15〜23であることがより好ましく、17〜20であることがさらに好ましい。
本開示において、ポリマーのSP値は、ポリマーの分子構造からPolymer Handbook fourth editionに記載のHoy法により計算する。また、樹脂が複数種のポリマーの混合物である場合、SP値は、各構成単位のSP値に各構成単位のモル比(ただし、全構成単位のモル比の総和=1.0)を掛けた値の和で求める。
より具体的には、ポリマーを含む層(例えば、A層)を削り取り、熱分解GC(ガスクロマトグラフ)/MS(質量分析計)で分子構造を解析し、核磁気共鳴(NMR)で組成比を解析する。
<<ガラス転移温度>>
ポリマーAのガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であることが好ましく、70℃〜200℃であることが好ましい。ガラス転移温度が40℃以上であると、後述する、中間層、感光性樹脂層を塗布する際の乾燥工程において、ポリマーAからなる層が乾燥温度に耐えることができる。
本開示において、ガラス転移温度は示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行う。本明細書におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想されるTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し,DTA曲線又はDSC曲線を描かせる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
Tgを、既述の好ましい範囲に調整する方法としては、例えば、目的とする重合体の各構成単位の単独重合体のTgと各構成単位の質量比より、FOX式を指針にして、目的とする特定重合体のTgを制御することが可能である。
FOX式について
重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2としたときに、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することも可能である。
<<含有量>>
A層の全質量に対するポリマーAの含有量は、80質量%〜100質量%であることが好ましく、90質量%〜100質量%であることがより好ましい。
−厚さ−
A層の厚さは、仮支持体のハンドリング性を向上する観点から、10μm以上であり、含まれるポリマーAの種類に応じて設計すればよいが、10μm〜50μmであることが好ましく、10μm〜30μmであることがより好ましい。
本開示において、感光性転写材料と基板との間に気泡が混入しにくい性質を、「ラミネート加工性が高い(優れる)」ともいう。
A層が50μm以下であることにより、ラミネート加工性にも優れやすいと考えられる。
〔B層〕
本開示における仮支持体はB層を含む。
B層は、ポリマーBからなる層である。
本開示において、ポリマーBからなる層とは、層の全質量に対してポリマーBの含有量が50質量%以上である層をいう。
B層は、ポリマーB以外の公知の添加剤を含んでもよい。公知の添加剤としては、低分子可塑剤、オリゴマー系可塑剤、レタデーション調整剤、マット剤、紫外線吸収剤、劣化防止剤、剥離促進剤、赤外線吸収剤、酸化防止剤、フィラー、相溶化剤等を挙げることができる。
また、B層はポリマーBを1種単独で含んでもよいし、2種以上を含んでもよい。
−ポリマーB−
ポリマーBとしては、特に限定されないが、B層を通して露光することが可能であるよう、露光光の透過率が80%以上(より好ましくは90%以上)であることが好ましい。
露光光の透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
また、ポリマーBは、A層とB層との剥離性の観点から、ポリマーAとは異なるポリマーであることが好ましい。
例えば、ポリマーAがポリスチレン、ポリエチレン若しくはシクロオレフィンポリマーであり、ポリマーBがPETであるか、又は、ポリマーAがポリエステル(好ましくはPET)であり、ポリマーBがシクロオレフィンポリマーである組合せが好ましく挙げられる。
ポリマーBは、ポリエステル又はシクロオレフィンポリマーであることが好ましい。
ポリマーBにおけるシクロオレフィンポリマー、及び、ポリエステルはそれぞれ上述のポリマーAにおけるシクロオレフィンポリマー、及び、ポリエステルと同様であり、好ましい態様も同様である。
<<相溶性パラメータ>>
ポリマーBの相溶性パラメータ(SP値)は、15〜30であることが好ましく、16〜23であることが好ましく、17〜20であることがより好ましい。
また、A層とB層の剥離性の観点から、前述のポリマーAの相溶性パラメータと、ポリマーBの相溶性パラメータとの差の絶対値は、4.0以上であることが好ましく、4.0〜7.0であることがより好ましく、4.0〜6.0であることが更に好ましい。
<<ガラス転移温度>>
ポリマーBのガラス転移温度(Tg)は、40℃以上であることが好ましく、70℃〜200℃であることがより好ましい。
また、前述のポリマーAのガラス転移温度と、ポリマーBのガラス転移温度との差の絶対値は、80℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることが更に好ましい。上記差の絶対値の下限は特に限定されず、0℃であってもよい。
上記差の絶対値が50℃以下であれば、ラミネート時に仮支持体にカールが発生しにくく、仮支持体にしわが発生することが抑制され、基板と感光性転写材料との間に気泡が発生することが抑制されやすい。
<<含有量>>
B層の全質量に対するポリマーBの含有量は、80質量%〜100質量%であることが好ましく、90質量%〜100質量%であることがより好ましい。
−厚さ−
B層の厚さは、0.1μm以上30μm以下であり、得られるレジストパターンの直線性を向上する観点から、0.1μm〜15μmであることが好ましく、0.5μm〜10μmであることがより好ましく、1μm〜8μmであることが更に好ましい。
〔仮支持体の製造方法〕
本開示に係る仮支持体は、例えば、ポリマーAとポリマーBとを共押出しすることにより得られる。
共押出しの方法としては特に限定されず、公知の方法が用いられる。
例えば、原料樹脂をポリマーA及びポリマーBとする以外は、特開2013−203019号公報の段落0031〜段落0033及び段落0038〜段落0063に記載の剥離性積層フィルムの製造方法を参考に製造することができる。
また、本開示に係る仮支持体は、製造時のハンドリング性及びカールの発生を抑制する観点から、例えば第一のA層、B層、第二のA層、の順で3層の積層構造となるように製造した後に、B層から第一のA層又は第二のA層のうち、一方を剥離することにより製造してもよい。
また、ポリマーAとポリマーBとを共押出しすることにより得られた積層フィルム、又は、上記第一のA層又は上記第二のA層のうち、一方を剥離することにより得られた積層フィルムは、公知の方法により延伸されてもよい。
また、本開示に係る仮支持体は、B層にA層を塗布することにより製造してもよい。例えば、特開2018−045220号公報の段落0055及び段落0066〜段落0089に記載の剥離性積層フィルムの製造方法を参考に製造することができる。
<感光性樹脂層>
本開示における感光性樹脂層は、現像における除去性が露光により低下する、いわゆるネガ型の感光性樹脂層であってもよいし、現像における除去性が露光により増加する、いわゆるポジ型の感光性樹脂層であってもよい。
ポジ型感光性樹脂層である場合、感光性樹脂層は、化学増幅ポジ型感光性樹脂層であることが好ましい。
後述するオニウム塩、オキシムスルホネート化合物等の光酸発生剤は、活性放射線(活性光線)に感応して生成される酸が、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマー中の保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
一方、活性放射線に感応する光酸発生剤としてキノンジアジド化合物(NQD)を用いた場合、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は必ず1以下であり、化学増幅型には該当しない。
上記感光性樹脂層がポジ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、パターン形成性の観点から、バインダーポリマー、及び、光酸発生剤を含有することが好ましい。また、上記バインダーポリマーは、パターン形成性の観点から、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーを含有することが好ましく、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を含有することがより好ましい。
また、上記感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、パターン形成性の観点から、酸基を有するバインダーポリマー、重合性化合物、及び、光重合開始剤を含有することが好ましい。
上記感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、例えば、特開2016−224162号公報に記載の感光性樹脂組成物層をネガ型感光性樹脂層として用いてもよい。
〔酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を含む重合体成分〕
本開示における感光性樹脂層がポジ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーを含むことが好ましい。
上記酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーは、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(「構成単位A」ともいう。)を有する重合体(「特定重合体」ともいう。)であることが好ましい。
また、上記ポジ型感光性樹脂層は、構成単位Aを有する重合体に加え、他の重合体を含んでいてもよい。本開示においては、構成単位Aを有する重合体及び他の重合体をあわせて、「重合体成分」ともいう。
上記特定重合体は、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、特定重合体中の酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位Aが脱保護反応を受け酸基となり、現像液による現像が可能となる。
以下に構成単位Aの好ましい態様について説明する。
上記感光性樹脂層は、更に、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体以外の重合体を含んでいてもよい。
また、上記重合体成分に含まれる全ての重合体がそれぞれ、後述する酸基を有する構成単位を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、上記感光性樹脂層は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本開示における上記重合体成分は、特に述べない限り、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する架橋剤及び分散剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、上記重合体成分に含まないものとする。
特定重合体は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
上記感光性樹脂層は、現像液への溶解性及び転写性の観点から、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位A1を有する重合体を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式Aで表される構成単位A1を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位A1、及び、後述する酸基を有する構成単位Bを有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが更に好ましい。
上記感光性樹脂層に含まれる特定重合体は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
−構成単位A−
上記重合体成分は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位Aを少なくとも有する重合体を含むことが好ましい。上記重合体成分が構成単位Aを有する重合体を含むことにより、極めて高感度な化学増幅ポジ型の感光性樹脂層とすることができる。
本開示における「酸分解性基で保護された酸基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシ基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性基で保護された酸基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、式A1で表される基で保護されたエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)、酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
これらの中でも、上記酸分解性基としては、アセタールの形で保護された構造を有する基であることが好ましい。
<<構成単位A1>>
上記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位Aは、感度及び解像度の観点から、下記式A1で表される構成単位A1であることが好ましい。
Figure 0006985974
式A1中、R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR31及びR32のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R33はアルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
式A1中、R31又はR32がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R31又はR32がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R31及びR32は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
式A1中、R33は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
また、R31〜R33におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A1中、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A1中、Xは単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
上記式A1で表される構成単位A1は、酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位である。特定重合体が式A1で表される構成単位A1を含むことで、パターン形成時の感度に優れ、また、解像度より優れる。
式A1中、R34は水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、特定重合体に含まれる構成単位A1の全量に対し、式AにおけるR34が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位A1中の、式A1におけるR34が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C−核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式A1で表される構成単位A1の中でも、下記式A2で表される構成単位が、パターン形成時の感度を更に高める観点からより好ましい。
Figure 0006985974
式A2中、R34は水素原子又はメチル基を表し、R35〜R41はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
式A2中、R34は水素原子が好ましい。
式A2中、R35〜R41は、水素原子が好ましい。
式A1で表される、酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位A1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、R34は水素原子又はメチル基を表す。
Figure 0006985974
<<構成単位A3>>
また、上記構成単位Aとしては、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式A3で表される構成単位A3が好ましい。
Figure 0006985974
式A3中、RB1及びRB2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともRB1及びRB2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、RB3はアルキル基又はアリール基を表し、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB4は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表し、RB12は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
式A3中、RB1又はRB2がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。RB1又はRB2がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。RB1及びRB2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
式A3中、RB3は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
また、RB1〜RB3におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A3中、Xは単結合又は二価の連結基を表し、単結合又はアルキレン基、−C(=O)O−、−C(=O)NR−、−O−又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状でも分岐を有していても環状構造を有していてもよく、置換基を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。Xが−C(=O)O−を含む場合、−C(=O)O−に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Xが−C(=O)NR−を含む場合、−C(=O)NR−に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Rはアルキル基又は水素原子を表し、炭素数1〜4のアルキル基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
式A3中、RB1〜RB3を含む基と、Xとは、互いにパラ位で結合することが好ましい。
式A3中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。
式A3中、nは0〜4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式A3中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、特定重合体に含まれる構成単位Aの全含有量に対し、式A3におけるRB4が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位A中の、式A3におけるRB4が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C−核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式A3で表される構成単位の中でも、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式A4で表される構成単位がより好ましい。
Figure 0006985974
式A4中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、RB5〜RB11はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、RB12は置換基を表し、nは0〜4の整数を表す。
式A4中、RB4は水素原子が好ましい。
式A4中、RB5〜RB11は、水素原子が好ましい。
式A4中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1〜10が好ましく、1〜4がより好ましい。
式A4中、nは0〜4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式A4で表される構成単位A4の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、RB4は水素原子又はメチル基を表す。
Figure 0006985974
<<構成単位Aの含有量>>
特定重合体に含まれる構成単位Aは、1種であっても、2種以上であってもよい。
特定重合体における構成単位Aの含有量は、特定重合体の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、30質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
特定重合体における構成単位Aの含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
また、全ての重合体成分を構成単位(モノマー単位)に分解したうえで、構成単位Aの割合は、重合体成分の全質量に対して、5質量%〜80質量%であることが好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、30質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
〔構成単位B〕
上記特定重合体は、酸基を有する構成単位Bを含むことが好ましい。
構成単位Bは、保護基、例えば、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、保護基を有さない酸基を含む構成単位である。特定重合体が構成単位Bを含むことで、パターン形成時の感度が良好となり、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
本明細書における酸基とは、pKaが12以下のプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位(構成単位B)として、重合体に組み込まれる。感度向上の観点から、酸基のpKaは、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。また、酸基のpKaは、−5以上であることが好ましい。
特定重合体が、構成単位Aと、保護基で保護されていない酸基を有する構成単位Bとを共重合成分として含み、ガラス転移温度を90℃以下とすることで、特定重合体を含有するポジ型感光性樹脂層は、転写性、カバーフィルムからの剥離性を良好なレベルに維持しつつ、パターン形成時の解像度及び感度がより良好となる。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、スルホニルイミド基等が例示される。中でも、カルボン酸基及びフェノール性水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基が好ましい。
特定重合体への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを共重合させることで行うことができる。
構成単位Bである、酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
構成単位Bとしては、カルボン酸基を有する構成単位、又は、フェノール性水酸基を有する構成単位が、パターン形成時の感度がより良好となるという観点から好ましい。
構成単位Bを形成しうる酸基を有するモノマーは既述の例に限定されない。
特定重合体に含まれる構成単位Bは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
特定重合体は、特定重合体の全質量に対し、酸基を有する構成単位(構成単位B)を0.1質量%〜20質量%含むことが好ましく、0.5質量%〜15質量%含むことがより好ましく、1質量%〜10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
特定重合体における構成単位Bの含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
〔その他の構成単位〕
特定重合体は、既述の構成単位A及び構成単位B以外の、他の構成単位(以下、構成単位Cと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
構成単位Cを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
構成単位Cを用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、特定重合体の諸特性を調整することができる。特に、構成単位Cを適切に使用することで、特定重合体のTgを90℃以下に容易に調整することができる。
特定重合体は、構成単位Cを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
構成単位Cは、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどを重合して形成される構成単位を挙げることができる。その他、特開2004−264623号公報の段落0021〜段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、構成単位Cとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が、得られる転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。これら構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、構成単位Cとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の構成単位が好ましく挙げられる。
また、構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。中でも、炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが密着性の観点でより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
構成単位Cの含有量は、特定重合体の全質量に対し、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。上記範囲であると、解像度及び密着性がより向上する。
特定重合体が、構成単位Cとして、上記構成単位Bにおける酸基のエステルを有する構成単位を含むことも、現像液に対する溶解性、及び、上記感光性樹脂層の物理物性を最適化する観点から好ましい。
中でも、特定重合体は、構成単位Bとして、カルボン酸基を有する構成単位を含み、更に、カルボン酸エステル基を含む構成単位Cを共重合成分として含むことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構成単位Bと、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n−ブチル由来の構成単位(c)とを含む重合体がより好ましい。
以下、本開示における特定重合体の好ましい例を挙げるが、本開示は以下の例示に限定されない。なお、下記例示化合物における構成単位の比率、重量平均分子量は、好ましい物性を得るために適宜選択される。
Figure 0006985974
〔重合体のガラス転移温度:Tg〕
本開示における特定重合体のガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であることが好ましい。Tgが90℃以下であることで、上記感光性樹脂層は高い密着性を有し、転写性により優れる。
上記Tgは、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
また、上記Tgの下限値には特に制限はないが、−20℃以上が好ましく、−10℃以上がより好ましい。特定重合体のTgが−20℃以上であることで、良好なパターン形成性が維持され、また、例えば、カバーフィルムを用いる場合、カバーフィルムを剥離する際の剥離性低下が抑制される。
更に、本開示における上記重合体成分全体のガラス転移温度(Tg)は、転写性の観点から、90℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行った。本開示におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される重合体のTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し、DTA曲線又はDSC曲線を描かせる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
重合体のTgを、既述の好ましい範囲に調整する方法としては、例えば、目的とする重合体の各構成単位の単独重合体のTgと各構成単位の質量比より、FOX式を指針にして、目的とする特定重合体のTgを制御することが可能である。
FOX式について
重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2としたときに、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することも可能である。
〔重合体の分子量:Mw〕
特定重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。特定重合体の重量平均分子量が60,000以下であることで、感光性樹脂層の溶融粘度を低く抑え、基板と貼り合わせる際において低温(例えば130℃以下)での貼り合わせを実現することができる。
また、特定重合体の重量平均分子量は、2,000〜60,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましい。
なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができ、測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができ、装置の内容、及び、測定技術は当業者に公知である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM−M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本、直列に連結したものを用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
また、測定条件としては、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。
検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」及び「A−1000」の7サンプルのいずれかを用いて作製できる。
特定重合体の数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0〜5.0が好ましく、1.05〜3.5がより好ましい。
〔特定重合体の製造方法〕
特定重合体の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、式Aで表される構成単位A1を形成するための重合性単量体、酸基を有する構成単位Bを形成するための重合性単量体、更に必要に応じて、その他の構成単位Cを形成するための重合性単量体を含む有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本開示における上記感光性樹脂層は、基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、感光性樹脂層の全固形分に対し、上記重合体成分を50質量%〜99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%〜98質量%の割合で含むことがより好ましい。
また、上記感光性樹脂層は、基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、感光性樹脂層の全固形分に対し、上記特定重合体を50質量%〜99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%〜98質量%の割合で含むことがより好ましい。
〔他の重合体〕
上記感光性樹脂層は、重合体成分として、特定重合体に加え、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲において、式Aで表される構成単位(a)を含まない重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。上記感光性樹脂層が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
上記感光性樹脂層は、特定重合体に加え、他の重合体を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及び、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC−3000、ARUFON UC−3510、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920、及び、ARUFON UC−3080(以上、東亞合成(株)製)、並びに、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及び、Joncryl 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
〔光酸発生剤〕
本開示における感光性樹脂層がポジ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は光酸発生剤を含有することが好ましい。
本開示において使用される光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、X線、及び、荷電粒子線等の放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。
本開示において使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本開示で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、−10.0以上であることが好ましい。
光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤と、非イオン性光酸発生剤とを挙げることができる。
また、光酸発生剤としては、感度及び解像度の観点から、後述するオニウム塩化合物、及び、後述するオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
非イオン性光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、感度、解像度、及び、密着性の観点から、光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル−s−トリアジン類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0083〜段落0088に記載の化合物が例示できる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物が好ましい。
Figure 0006985974
式(B1)中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、*は他の原子又は他の基との結合部位を表す。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐構造を有していても、環構造を有していてもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)、又は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されてもよい。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、特開2014−85643号公報の段落0078〜段落0111に記載のオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
イオン性光酸発生剤の例として、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましく、トリアリールスルホニウム塩類及びジアリールヨードニウム塩類が特に好ましい。
イオン性光酸発生剤としては特開2014−85643号公報の段落0114〜段落0133に記載のイオン性光酸発生剤も好ましく用いることができる。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記感光性樹脂層における光酸発生剤の含有量は、感度、解像度の観点から、上記感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
〔重合性化合物〕
本開示における感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は重合性化合物を含有することが好ましい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和化合物が好ましい。
エチレン性不飽和化合物は、上記感光性樹脂層の感光性(すなわち、光硬化性)及び硬化膜の強度に寄与する成分である。
また、エチレン性不飽和化合物は、1つ以上のエチレン性不飽和基を有する化合物である。
上記感光性樹脂層は、エチレン性不飽和化合物として、2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
ここで、2官能以上のエチレン性不飽和化合物とは、一分子中にエチレン性不飽和基を2つ以上有する化合物を意味する。
エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
2官能のエチレン性不飽和化合物としては、より具体的には、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート(A−DCP、新中村化学工業(株)製)、トリシクロデカンジメナノールジメタクリレート(DCP、新中村化学工業(株)製)、1,9−ノナンジオールジアクリレート(A−NOD−N、新中村化学工業(株)製)、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート(A−HD−N、新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、2官能のエチレン性不飽和化合物としては、ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物も好適に用いられる。
ビスフェノール構造を有する2官能エチレン性不飽和化合物としては、特開2016−224162号公報の段落0072〜段落0080に記載の化合物が挙げられる。
具体的には、アルキレンオキサイド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート等が挙げられ、2,2−ビス(4−(メタクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタクリロキシエトキシプロポキシ)フェニル)プロパン等が好ましく挙げられる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、特に制限はなく、公知の化合物の中から適宜選択できる。
3官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、ジペンタエリスリトール(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート骨格の(メタ)アクリレート化合物、等が挙げられる。
ここで、「(トリ/テトラ/ペンタ/ヘキサ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート、テトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレート、及びヘキサ(メタ)アクリレートを包含する概念であり、「(トリ/テトラ)(メタ)アクリレート」は、トリ(メタ)アクリレート及びテトラ(メタ)アクリレートを包含する概念である。
エチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリレート化合物のカプロラクトン変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)DPCA−20、新中村化学工業(株)製A−9300−1CL等)、(メタ)アクリレート化合物のアルキレンオキサイド変性化合物(日本化薬(株)製KAYARAD RP−1040、新中村化学工業(株)製ATM−35E、A−9300、ダイセル・オルネクス社製 EBECRYL(登録商標) 135等)、エトキシル化グリセリントリアクリレート(新中村化学工業(株)製A−GLY−9E等)等も挙げられる。
エチレン性不飽和化合物としては、ウレタン(メタ)アクリレート化合物(好ましくは3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物)も挙げられる。
3官能以上のウレタン(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、8UX−015A(大成ファインケミカル(株)製)、UA−32P(新中村化学工業(株)製)、UA−1100H(新中村化学工業(株)製)等が挙げられる。
また、エチレン性不飽和化合物は、現像性向上の観点から、酸基を有するエチレン性不飽和化合物を含むことが好ましい。
酸基としては、例えば、リン酸基、スルホン酸基、及び、カルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、例えば、酸基を有する3〜4官能のエチレン性不飽和化合物(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート(PETA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=80mgKOH/g〜120mgKOH/g))、酸基を有する5〜6官能のエチレン性不飽和化合物(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート(DPHA)骨格にカルボキシ基を導入したもの(酸価=25mgKOH/g〜70mgKOH/g))、等が挙げられる。
これら酸基を有する3官能以上のエチレン性不飽和化合物は、必要に応じ、酸基を有する2官能のエチレン性不飽和化合物と併用してもよい。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物としては、カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物及びそのカルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物は、特に制限されず、公知の化合物の中から適宜選択できる。
カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物としては、例えば、アロニックス(登録商標)TO−2349(東亞合成(株)製)、アロニックスM−520(東亞合成(株)製)、又は、アロニックスM−510(東亞合成(株)製)を好ましく用いることができる。
酸基を有するエチレン性不飽和化合物は、特開2004−239942号公報の段落0025〜段落0030に記載の酸基を有する重合性化合物であることも好ましい。この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
本開示に用いられる重合性化合物の重量平均分子量(Mw)としては、200〜3,000が好ましく、250〜2,600がより好ましく、280〜2,200が更に好ましく、300〜2,200が特に好ましい。
また、上記感光性樹脂層に用いられる重合性化合物のうち、分子量300以下の重合性化合物の含有量の割合は、上記感光性樹脂層に含有されるすべてのエチレン性不飽和化合物に対して、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。
重合性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記感光性樹脂層における重合性化合物の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対し、1質量%〜70質量%が好ましく、10質量%〜70質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が更に好ましく、20質量%〜50質量%が特に好ましい。
また、上記感光性樹脂層が2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物とを含有する場合、2官能のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光性樹脂層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物に対し、10質量%〜90質量%が好ましく、20質量%〜85質量%がより好ましく、30質量%〜80質量%が更に好ましい。
また、この場合、3官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光性樹脂層に含まれる全てのエチレン性不飽和化合物に対し、10質量%〜90質量%が好ましく、15質量%〜80質量%がより好ましく、20質量%〜70質量%が更に好ましい。
また、この場合、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、2官能のエチレン性不飽和化合物と3官能以上のエチレン性不飽和化合物との総含有量に対し、40質量%以上100質量%未満であることが好ましく、40質量%〜90質量%であることがより好ましく、50質量%〜80質量%であることが更に好ましく、50質量%〜70質量%であることが特に好ましい。
また、上記感光性樹脂層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合、上記感光性樹脂層は、更に単官能エチレン性不飽和化合物を含有してもよい。
更に、上記感光性樹脂層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合、上記感光性樹脂層に含有されるエチレン性不飽和化合物において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物が主成分であることが好ましい。
具体的には、上記感光性樹脂層が2官能以上のエチレン性不飽和化合物を含有する場合において、2官能以上のエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光性樹脂層に含有されるエチレン性不飽和化合物の総含有量に対し、60質量%〜100質量%が好ましく、80質量%〜100質量%がより好ましく、90質量%〜100質量%が特に好ましい。
また、上記感光性樹脂層が、酸基を有するエチレン性不飽和化合物(好ましくは、カルボキシ基を含有する2官能以上のエチレン性不飽和化合物又はそのカルボン酸無水物)を含有する場合、酸基を有するエチレン性不飽和化合物の含有量は、上記感光性樹脂層に対し、1質量%〜50質量%が好ましく、1質量%〜20質量%がより好ましく、1質量%〜10質量%が更に好ましい。
〔酸基を有するバインダーポリマー〕
本開示における感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、酸基を有するバインダーポリマーを含有することが好ましい。
酸基を有するバインダーポリマーとしては、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。
酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基、ホスホン酸基等が挙げられる。
中でも、酸基としては、カルボキシ基が好ましく挙げられる。
上記酸基を有するバインダーポリマーの酸価は、特に制限はないが、アルカリ現像性の観点から、酸価60mgKOH/g以上のアルカリ可溶性樹脂であることが好ましく、酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であることが特に好ましい。
酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂(以下、特定重合体Aと称することがある。)としては、上記酸価の条件を満たす限りにおいて特に制限はなく、公知の樹脂から適宜選択して用いることができる。
例えば、特開2011−95716号公報の段落0025に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂であるアルカリ可溶性樹脂、特開2010−237589号公報の段落0033〜段落0052に記載のポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂、特開2016−224162号公報の段落0053〜段落0068に記載のバインダーポリマーのうちの酸価60mgKOH/g以上のカルボキシ基含有アクリル樹脂等が、本開示における特定重合体Aとして好ましく用いることができる。
ここで、(メタ)アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の少なくとも一方を含む樹脂を指す。
(メタ)アクリル樹脂中における(メタ)アクリル酸に由来する構成単位及び(メタ)アクリル酸エステルに由来する構成単位の合計割合は、30モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。
特定重合体Aにおける、カルボキシ基を有するモノマーの共重合比の好ましい範囲は、ポリマー100質量%に対して、5質量%〜50質量%であり、より好ましくは10質量%〜40質量%、更に好ましくは12質量%〜30質量%の範囲内である。
特定重合体Aは、反応性基を有していてもよく、反応性基を特定重合体Aに導入する手段としては、水酸基、カルボキシ基、一級、二級アミノ基、アセトアセチル基、スルホン酸などに、エポキシ化合物、ブロックイソシアネート、イソシアネート、ビニルスルホン化合物、アルデヒド化合物、メチロール化合物、カルボン酸無水物などを反応させる方法が挙げられる。
特定重合体Aとしては、以下に示す化合物Aが好ましい。なお、以下に示す各構成単位の含有比率は目的に応じて適宜変更することができる。
Figure 0006985974
本開示に用いられる酸基を有するバインダーポリマーの酸価は、アルカリ現像性の観点から、60mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましく、60mgKOH/g〜150mgKOH/gであることがより好ましく、60mgKOH/g〜110mgKOH/gであることが更に好ましい。
本開示において、酸価は、JIS K0070(1992年)に記載の方法に従って、測定された値を意味する。
酸基を有するバインダーポリマーの重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、1万以上がより好ましく、2万〜10万が更に好ましい。
また、上記酸基を有するバインダーポリマーは、上記特定重合体A以外にも、任意の膜形成樹脂を目的に応じて適宜選択して用いることができる。例えば、ポリヒドロキシスチレン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、ポリシロキサン樹脂などを好ましく挙げることができる。
酸基を有するバインダーポリマーは、1種単独で使用しても、2種以上を含有してもよい。
上記感光性樹脂層における酸基を有するバインダーポリマーの含有量は、感光性の観点から、上記感光性樹脂層の全質量に対し、10質量%以上90質量%以下であることが好ましく、20質量%以上80質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上70質量%以下であることが更に好ましい。
〔光重合開始剤〕
本開示における感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤は、紫外線、可視光線等の活性光線を受けて、重合性化合物(エチレン性不飽和化合物)の重合を開始する。
光重合開始剤としては特に制限はなく、公知の光重合開始剤を用いることができる。
光重合開始剤としては、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)、α−アミノアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤」ともいう。)、α−ヒドロキシアルキルフェノン構造を有する光重合開始剤(以下、「α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤」ともいう。)、アシルフォスフィンオキサイド構造を有する光重合開始剤(以下、「アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤」ともいう。)、N−フェニルグリシン構造を有する光重合開始剤(以下、「N−フェニルグリシン系光重合開始剤」ともいう。)等が挙げられる。
光重合開始剤は、オキシム系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤、α−ヒドロキシアルキルフェノン系重合開始剤及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましく、オキシム系光重合開始剤、α−アミノアルキルフェノン系光重合開始剤及びN−フェニルグリシン系光重合開始剤よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
また、光重合開始剤としては、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体からなる群より選択される少なくとも1種を含むことも好ましい。なお、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体及びその誘導体は、下記式PIで表される化合物であってもよい。
Figure 0006985974
式PI中、X及びXのうち少なくとも1つは塩素原子であることが好ましい。Ar、Ar、Ar及びArが、それぞれ独立に置換基を有する場合、置換基の数は1〜5であることが好ましく、1〜3であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。また、Ar、Ar、Ar及びArが、それぞれ独立に置換基を有する場合、その置換位置は特に限定されず、オルト位又はパラ位であることが好ましい。p及びqは、それぞれ独立に、1〜5の整数であり、1〜3の整数であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。
式PIで表される化合物としては、例えば、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体が挙げられる。なお、2つの2,4,5−トリアリールイミダゾールのアリール基の置換基は同一で対象な化合物を与えてもよいし、相違して非対称な化合物を与えてもよい。
また、光重合開始剤としては、例えば、特開2011−95716号公報の段落0031〜0042、特開2015−014783号公報の段落0064〜0081に記載された重合開始剤を用いてもよい。
光重合開始剤の市販品としては、1−[4−(フェニルチオ)]−1,2−オクタンジオン−2−(O−ベンゾイルオキシム)(商品名:IRGACURE(登録商標) OXE−01、BASF社製)、1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン−1−(O−アセチルオキシム)(商品名:IRGACURE OXE−02、BASF社製)、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルフォリニル)フェニル]−1−ブタノン(商品名:IRGACURE 379EG、BASF社製)、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 907、BASF社製)、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 127、BASF社製)、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1(商品名:IRGACURE 369、BASF社製)、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン(商品名:IRGACURE 1173、BASF社製)、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:IRGACURE 184、BASF社製)、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン(商品名:IRGACURE 651、BASF社製)、オキシムエステル系の光重合開始剤(商品名:Lunar 6、DKSHジャパン(株)製)、2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニルビスイミダゾール(2−(2−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体)(商品名:B−CIM、Hampford社製)などが挙げられる。
光重合開始剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記感光性樹脂層における光重合開始剤の含有量は、特に制限はないが、上記感光性樹脂層の全質量に対し、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が更に好ましい。
また、光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂層の全質量に対し、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
〔その他の添加剤〕
本開示における感光性樹脂層は、上記成分以外にも、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
−界面活性剤−
本開示における感光性樹脂層は、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系(非イオン系)、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH−8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式I−1で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
Figure 0006985974
式(I−1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合部位を表す。
Lは、下記式(I−2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(I−2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
Figure 0006985974
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
その他、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009−237362号公報の段落0060〜段落0071に記載の界面活性剤も用いることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、上記感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜3質量%であることが更に好ましい。
−重合禁止剤−
本開示に係る感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、重合禁止剤を少なくとも1種含有してもよい。
重合禁止剤としては、例えば、特許第4502784号公報の段落0018に記載された熱重合防止剤を用いることができる。
中でも、フェノチアジン、フェノキサジン又は4−メトキシフェノールを好適に用いることができる。
上記感光性樹脂層が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%〜3質量%が好ましく、0.01質量%〜1質量%がより好ましく、0.01質量%〜0.8質量%が更に好ましい。
−溶剤−
上記感光性樹脂層は、溶剤を含んでいてもよい。
また、上記感光性樹脂層を形成する感光性樹脂層形成用組成物は、上記感光性樹脂層を容易に形成するため、一旦溶剤を含有させて感光性樹脂層形成用組成物の粘度を調節し、溶剤を含む感光性樹脂層形成用組成物を塗布及び乾燥して、上記感光性樹脂層を好適に形成することができる。
本開示に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及び、ラクトン類等が例示できる。また、溶剤の具体例としては特開2011−221494号公報の段落0174〜段落0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、既述の溶剤に、更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、又は、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
溶剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本開示に用いることができる溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又は、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
また、溶剤としては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又は、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点155℃)、及び、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3−メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
感光性樹脂層形成用組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、感光性樹脂層形成用組成物中の全固形分100質量部あたり、50質量部〜1,900質量部であることが好ましく、100質量部〜900質量部であることがより好ましい。
また、上記感光性樹脂層における溶剤の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対し、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
−可塑剤−
本開示における感光性樹脂層は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマー、又は、酸基を有するバインダーポリマーよりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満が更に好ましい。
可塑剤は、特定重合体と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に限定されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は下記構造を有することが好ましい。
Figure 0006985974
上記式中、Rは炭素数2〜8のアルキル基であり、nは1〜50の整数を表し、*は他の原子との結合部位を表す。
なお、例えば、上記構造のアルキレンオキシ基を有する化合物(「化合物X」とする。)であっても、化合物X、特定重合体及び光酸発生剤を混合して得た化学増幅ポジ型感光性樹脂層形成用組成物が、化合物Xを含まずに形成した化学増幅ポジ型感光性樹脂層形成用組成物に比べて可塑性が向上しない場合は、本開示における可塑剤には該当しない。例えば、任意に添加される界面活性剤は、一般に感光性樹脂層形成用組成物に可塑性をもたらす量で使用されることはないため、本開示における可塑剤には該当しない。
上記可塑剤としては、例えば、下記構造を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006985974
可塑剤の含有量は、密着性の観点から、上記感光性樹脂層の全質量に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましい。
上記感光性樹脂層は、可塑剤を1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
−ポジ用増感剤−
本開示における感光性樹脂層がポジ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、ポジ用増感剤を更に含むことができる。
ポジ用増感剤は、活性光線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となったポジ用増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、及び、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
ポジ用増感剤を含有させることで、露光感度を向上させることができる。
ポジ用増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、及び、ジスチリルベンゼン誘導体よりなる群からえらばれた化合物が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、2−エチルアントラセン、又は、9,10−ジメトキシアントラセンが好ましい。
上記ポジ用増感剤としては、国際公開第2015/093271号の段落0139〜段落0141に記載の化合物を挙げることができる。
本開示における感光性樹脂層は、ポジ用増感剤を1種単独で含有しても、2種以上を併用してもよい。
ポジ用増感剤の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対して、0質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
−ネガ用増感剤−
本開示における感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、ネガ用増感剤を更に含むことができる。
ネガ用増感剤としては、例えば、公知の増感色素、染料、又は顔料などが挙げられる。ネガ用増感剤は、1種単独であってよく、又は2種以上であってもよい。
増感色素としては、例えば、ジアルキルアミノベンゾフェノン化合物、ピラゾリン化合物、アントラセン化合物、クマリン化合物、キサントン化合物、チオキサントン化合物、オキサゾール化合物、ベンゾオキサゾール化合物、チアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、トリアゾール化合物(例えば、1,2,4−トリアゾール)、スチルベン化合物、トリアジン化合物、チオフェン化合物、ナフタルイミド化合物、トリアリールアミン化合物、及びアミノアクリジン化合物が挙げられる。
染料又は顔料としては、例えばフクシン、フタロシアニングリーン、オーラミン塩基、カルコキシドグリーンS,パラマジエンタ、クリスタルバイオレット、メチルオレンジ、ナイルブルー2B、ビクトリアブルー、マラカイトグリーン(保土ヶ谷化学株式会社製、アイゼン(登録商標) MALACHITE GREEN)、ベイシックブルー20、ダイアモンドグリーン(保土ヶ谷化学(株)製、アイゼン(登録商標) DIAMOND GREEN GH)などが挙げられる。
染料としては、発色系染料を用いることができる。発色系染料とは、光照射によって発色する機能を有する化合物である。例えばロイコ染料及びフルオラン染料が挙げられる。これらのうちロイコ染料が好ましい。
ネガ用増感剤の含有量は、目的により適宜選択できるが、光源に対する感度の向上、重合速度と連鎖移動のバランスによる硬化速度の向上などの観点から、感光性樹脂層の全質量に対し、0.01質量%〜5質量%の範囲が好ましく、0.05質量%〜1質量%の範囲がより好ましい。
−水素供与体−
本開示における感光性樹脂層がネガ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、水素供与体を更に含むことができる。
水素供与体としては、露光部の反応時に光重合開始剤に対して水素を与えることができるであれば特に制限なく、例えば、ビス[4−(ジメチルアミノ)フェニル]メタン、ビス[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メタン、ロイコクリスタルバイオレット等が挙げられる。これらは1種類単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
感光性樹脂組成物が水素供与体を含む場合、その含有量は、感光性樹脂層の全質量に対して、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.05質量%〜5質量%であることがより好ましく、0.1質量%〜2質量%であることが更に好ましい。
−塩基性化合物−
本開示における感光性樹脂層がポジ型感光性樹脂層である場合、上記感光性樹脂層は、塩基性化合物を更に含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0204〜段落0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、及び、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、及び、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、及び、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、及び、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
上記塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対して、0.001質量%〜5質量%であることが好ましく、0.005質量%〜3質量%であることがより好ましい。
−ヘテロ環状化合物−
本開示における感光性樹脂層は、ヘテロ環状化合物を含むことができる。
本開示におけるヘテロ環状化合物には、特に制限はない。例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、その他、各種環状エーテル、環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマー、環状アミン、オキサゾリンといった含窒素モノマー、更には珪素、硫黄、リンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を添加することができる。
感光性樹脂層中におけるヘテロ環状化合物の添加量は、ヘテロ環状化合物を添加する場合には、上記感光性樹脂層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、密着性及びエッチング耐性の観点で好ましい。ヘテロ環状化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
分子内にエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は市販品として入手できる。例えば、JER828、JER1007、JER157S70(三菱化学(株)製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011−221494号公報の段落0189に記載の市販品などが挙げられる。
その他の市販品として、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−411、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−211、EX−212、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L、DLC−201、DLC−203、DLC−204、DLC−205、DLC−206、DLC−301、DLC−402、EX−111,EX−121、EX−141、EX−145、EX−146、EX−147、EX−171、EX−192(以上ナガセケムテック製)、YH−300、YH−301、YH−302、YH−315、YH−324、YH−325(以上、新日鐵住金化学(株)製)セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)などが挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子内にエポキシ基を有する化合物の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
分子内にオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−201、OXT−211、OXT−212、OXT−213、OXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
本開示における感光性樹脂層においては、ヘテロ環状化合物がエポキシ基を有する化合物であることが、エッチング耐性及び線幅安定性の観点から好ましい。
−アルコキシシラン化合物−
上記感光性樹脂層は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン又はγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
−その他の成分−
本開示における感光性樹脂層には、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については特開2014−85643号公報の段落0165〜段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
−感光性樹脂層の平均膜厚−
上記感光性樹脂層の平均膜厚は、転写性(ラミネート性)の観点から、1.0μm以上が好ましく、1.5μm以上がより好ましく、2.0μm以上が更に好ましい。また、上記感光性樹脂層の平均膜厚は、製造適性の観点から、20μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましい。
−感光性樹脂層の形成方法−
各成分、及び、溶剤を任意の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂層形成用組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
感光性樹脂層形成用組成物を上述の仮支持体又は後述するカバーフィルム上に塗布し、乾燥させることで、本開示における感光性樹脂層を形成することができる。
塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
また、仮支持体又はカバーフィルム上に後述のその他の層を形成した上に、感光性樹脂層を形成することもできる。
<カバーフィルム>
また、本開示に係る感光性転写材料は、カバーフィルムを有することが好ましい。
カバーフィルムとしては、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルムが好ましい。
カバーフィルムの厚さは特に限定されず、例えば、1μm〜2mmのものが好ましく挙げられる。
<中間層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記仮支持体と、上記感光性樹脂層との間に、中間層を更に含むことが好ましい。
上記中間層を含むことにより、B層と感光性樹脂層との剥離力を調整することが容易となり、A層とB層を剥離した後にB層と感光性樹脂層とを剥離する、という構成としやすくなる。
中間層としては、特に限定されず、転写フィルム等の分野で公知の中間層を使用することが可能である。
中間層としては、例えば、熱可塑性樹脂を含む層が挙げられ、特許第4502784号公報の段落0026に記載の熱可塑性樹脂層等が中間層として好適に用いられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、特開昭46−2121号や特公昭56−40824号の各明細書に記載のポリビニルエーテル/無水マレイン酸重合体、カルボキシアルキルセルロースの水溶性塩、水溶性セルロースエーテル類、カルボキシアルキル澱粉の水溶性塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、各種のポリアクリルアミド類、各種の水溶性ポリアミド、ポリアクリル酸の水溶性塩、ゼラチン、エチレンオキサイド重合体、各種の澱粉およびその類似物からなる群の水溶性塩、スチレン/マレイン酸の共重合体、およびマレイネート樹脂が挙げられる。
これらの中でも、仮支持体の剥離性の観点からは、変性セルロース樹脂が好ましく、ヒドロキシプロピルセルロースがより好ましい。
中間層の形成方法は、特に限定されず、特に限定されず、特開2014−85643号公報の段落0189〜段落0193に記載の熱可塑性樹脂を含む組成物を仮支持体に塗布する等の方法により形成すればよい。また、予め中間層が形成された仮支持体を入手して使用してもよい。
<その他の層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記仮支持体、感光性樹脂層及びカバーフィルム以外の層(以下、「その他の層」と称することがある)を有していてもよい。その他の層としては、コントラストエンハンスメント層、公知の紫外線吸収剤を含む層、密着層等を挙げることができる。
−コントラストエンハンスメント層−
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂層に加え、コントラストエンハンスメント層を有することができる。
コントラストエンハンスメント層(Contrast Enhancement Layer;CEL)は、露光前には露光波長に対する吸収が大きいが、露光されるに伴って次第に吸収が小さくなる、すなわち、光の透過率が高くなる材料(光消色性色素成分と称する)を含有する層である。光消色性色素成分としては、ジアゾニウム塩、スチルバゾリウム塩、アリールニトロソ塩類等が知られている。被膜形成成分としては、フェノール系樹脂等が用いられる。
その他、コントラストエンハンスメント層としては、特開平6−97065号公報の段落0004〜段落0051、特開平6−332167号公報の段落0012〜段落0055、フォトポリマーハンドブック、フォトポリマー懇話会編、工業調査会(1989)、フォトポリマー・テクノロジー、山岡、永松編、(株)日刊工業新聞社(1988)に記載の材料を用いることができる。
−紫外線吸収剤を含む層−
本開示に係る感光性転写材料は、紫外線吸収剤を含む層(紫外線吸収層)を有してもよい。
紫外線吸収層は、感光性樹脂層の、仮支持体とは反対の側に含まれることが好ましい。例えば、カバーフィルムと感光性樹脂層との間に紫外線吸収層を有する態様が挙げられる。
このような紫外線吸収層を有する感光性転写材料を基板に転写した場合、基板と感光性樹脂層との間に紫外線吸収層が存在することとなる。
このような態様によれば、基板による露光光の反射が低減され、例えば露光光の反射波と入射波との干渉により生じる定在波による露光の影響が低減されると考えられる。
紫外線吸収剤としては、特に制限なく公知の紫外線吸収剤が使用可能であり、サリシレート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系、ニッケルキレート系、ヒンダードアミン系等の化合物、これらの構造を含むポリマー、又は、金属酸化物等の無機紫外線吸収剤等が挙げられる。
−密着層−
本開示に係る感光性転写材料は、更にその他の層をカバーフィルムと感光性樹脂層との間に密着層を有していてもよい。
密着層を有することにより、基板等に転写した場合の密着性が良好となる。
(レジストパターンの製造方法、及び、回路配線の製造方法)
本開示に係るレジストパターンの製造方法は、特に制限はないが、
本開示に係る感光性転写材料の上記感光性樹脂層側の最外層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、
上記ポリマーAからなる層を上記仮支持体から剥離する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体にフォトマスクを接触させて上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体を剥離する工程と、
上記仮支持体を剥離する工程後の上記感光性樹脂層を現像してレジストパターンを形成する工程と、をこの順に含むことが好ましい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、本開示に係る感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法であれば、特に制限はないが、
本開示に係る感光性転写材料の上記感光性樹脂層側の最外層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、
上記ポリマーAからなる層を上記仮支持体から剥離する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体にフォトマスクを接触させて上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体を剥離する工程と、
上記仮支持体を剥離する工程後の上記感光性樹脂層を現像してレジストパターンを形成する工程と、
上記レジストパターンが配置されていない領域における上記基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含むことが好ましい。
なお、本開示における感光性転写材料における「感光性樹脂層側の最外層」とは、仮支持体、及び、感光性樹脂層を有している本開示に係る感光性転写材料における、仮支持体側の最外層ではなく、感光性樹脂層側の最外層を意味している。また、「感光性樹脂層側の最外層」とは、感光性転写材料がカバーフィルムを有する場合には、カバーフィルムの剥離後の感光性樹脂層側の最外層である。
従来、感光性樹脂層は感光システムの違いから、活性光線を照射した部分が像として残るネガ型と、活性光線を照射していない部分を像として残すポジ型とに分けられる。ポジ型では活性光線を照射することにより、例えば活性光線を照射されて酸を発生する感光剤などを用いて露光部の溶解性を高めるため、パターン露光時点では露光部及び未露光部がいずれも硬化せず、得られたパターン形状が不良であった場合には全面露光などによって基板を再利用(リワーク)できる。そのため、いわゆるリワーク性に優れる観点からは、感光性樹脂層を用いることが好ましい。また、残存した感光性樹脂層を再度露光して異なるパターンを作製する、という技術はポジ型の感光性樹脂層でなければ実現できないため、感光性樹脂層を用いる本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法においては、露光を2回以上行う態様も好ましく挙げられる。
<貼り合わせ工程>
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、本開示に係る感光性転写材料の上記感光性樹脂層側の最外層を基板に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)を含むことが好ましい。
本開示に係る感光性転写材料が上記カバーフィルムを有する場合、貼り合わせ工程においては、カバーフィルムを剥離した後に貼り合わせが行われる。
剥離方法としては、特に制限はなく、公知の方法により剥離すればよい。例えば、仮支持体の一部を指又はピンセット等の器具を用いて把持して剥離する方法が挙げられる。
上記貼り合わせ工程においては、上記基板と、上記感光性樹脂層側の最外層とが接触するように、基板と、必要に応じてカバーフィルムが剥離された感光性転写材料と、を圧着することが好ましい。上記態様によれば、露光及び現像後のパターン形成された感光性樹脂層を、導電性層をエッチングする際のエッチングレジストとして好適に用いることができる。
基板とカバーフィルムが剥離された感光性転写材料とを圧着する方法としては、特に制限はなく、公知の転写方法、及び、ラミネート方法を用いることができる。
具体的には、上記感光性転写材料の感光性樹脂層側の最外層と導電性層が接するように基板と上記感光性転写材料とを重ね、ロール等による加圧、又は、加圧及び加熱することに行う方法が好ましく挙げられる。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネータ等の公知のラミネータを使用することができる。
上記貼り合わせ工程における圧着圧力及び温度は、特に制限はなく、貼り合せる支持体の表面の材質、例えば、導電性層及び感光性樹脂層の材質、搬送速度、並びに、使用する圧着機等に応じ、適宜設定することができる。また、感光性転写材料の感光性樹脂層上にカバーフィルムを有する場合は、感光性樹脂層からカバーフィルムを除去した後、圧着すればよい。
上記基板が樹脂フィルムである場合、ロールツーロールでの圧着を行ってもよい。
〔基板〕
基板(配線形成用基板)は、支持体上に導電性層が積層された基板であることが好ましい。
上記支持体は、ガラス基材又はフィルム基材であることが好ましく、フィルム基材であることがより好ましい。本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル用配線である場合、支持体がシート状樹脂組成物であることが特に好ましい。
また、支持体は透明であることが好ましい。
支持体の屈折率は、1.50〜1.52であることが好ましい。
支持体は、ガラス基材等の透光性基材で構成されていてもよく、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、上述の透明基材としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報及び特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みが少ない基材、及び、透明度が高い基材を用いることがより好ましく、具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーをあげることができる。
−導電性層−
支持体上に形成されている導電性層としては、一般的な配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電性層を挙げることができる。
導電性層は支持体上に複数形成されていることも好ましい。
導電性層の材料としては、金属及び金属酸化物などを挙げることができる。
金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SiO等を挙げることができる。金属としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等を挙げることができる。
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、複数の導電性層のうち少なくとも一つの導電性層が金属酸化物を含むことが好ましい。
導電性層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
本開示に用いられる基板(配線形成用基板)は、支持体の表面に導電性層を有する基板であることが好ましい。導電性層をパターンニングすることで配線を形成する。本例では、PETなどのフィルム基材に金属酸化物、金属などの複数の導電性層が設けられたものであることが好ましい。
<A層剥離工程>
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記ポリマーAからなる層を上記仮支持体から剥離する工程(A層剥離工程)を含むことが好ましい。
上記A層剥離工程におけるA層を剥離する方法は、特に制限はなく、公知の方法により剥離すればよい。
<露光工程>
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記A層を剥離した後の仮支持体にフォトマスクを接触させて上記感光性樹脂層をパターン露光する工程(露光工程)を含むことが好ましい。
露光工程において、フォトマスクはA層を剥離した後の仮支持体に接触する。仮支持体においてA層とB層とが接している場合には、フォトマスクはB層と接触する。
フォトマスクと中間層とを接触させて露光を行うことにより、感光性樹脂層とマスクとの距離が小さくなるためパターンの解像度が向上する等の利点がある。
上記露光工程では、B層及び感光性樹脂層が少なくとも積層された基板に対し、パターンを有するフォトマスクを介して、活性光線を照射することが好ましい。
例えば、本工程において、感光性樹脂層に含まれる光酸発生剤が分解し酸が発生し、発生した酸の触媒作用により、塗膜成分中に含まれる酸分解性基が加水分解されて、酸基、例えば、カルボキシ基又はフェノール性水酸基が生成する。
本開示において、マスクにおけるパターンの詳細な配置及び具体的サイズは、特に限定されない。本開示において製造される回路基板を有する入力装置を備えた表示装置(例えば、タッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくしたいことから、パターンの少なくとも一部(特にタッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分)は、100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
活性光線としては、可視光、紫外光、及び、電子線が挙げられるが、可視光又は紫外光が好ましく、紫外線が特に好ましい。
活性光線による露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、発光ダイオード(LED)光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レーザー露光など各種方式の露光機を用いることができる。
露光量は、使用する感光性樹脂層に応じ、適宜選択すればよいが、5mJ/cm〜200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm〜100mJ/cmであることがより好ましい。
また、露光後にパターンの矩形性、直線性を向上させる目的で、現像前に熱処理を行うことも好ましい。いわゆるPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる工程により、露光時に感光性樹脂層中で生じる定在波によるパターンエッジの荒れを低減することが可能である。
<仮支持体剥離工程>
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体を剥離する工程(仮支持体剥離工程)を含むことが好ましい。
A層を剥離した後の仮支持体が、B層のみからなる仮支持体である場合、仮支持体剥離工程においてはB層が剥離される。
剥離方法としては、特に制限はなく、公知の方法により剥離すればよい。
<現像工程>
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記感光性樹脂層を現像してレジストパターンを形成する工程(現像工程)含むことが好ましい。
現像工程により、感光性樹脂層における露光部が除去される。
上記現像工程における露光された上記感光性樹脂層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液としては、上記感光性樹脂層を現像することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5−72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は上記感光性樹脂層の除去される部分が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましい。現像液としては、アルカリ水溶液が好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05mol/L(リットル)〜5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液がより好ましい。現像液は、更に、水と混和性を有する有機溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。本開示において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
現像方式としては、特に制限はなくパドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後の感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、露光部分を除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましい。
また、露光後すぐ現像してもよいが、露光から現像までの時間が、露光から、0.5時間〜数時間程度経過していてもよい。
また、本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、現像後、水等により洗浄する工程、得られたレジストパターンを有する支持体を乾燥する工程等、公知の工程を含んでいてもよい。
更に、現像して得られたレジストパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。
ポストベークの加熱は8.1kPa以上の環境下で行うことが好ましく、50.66kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、121.6kPa以下の環境下で行うことが好ましく、111.46kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが特に好ましい。
ポストベークの温度は、80℃〜250℃であることが好ましく、110℃〜170℃であることがより好ましく、130℃〜150℃であることが特に好ましい。
ポストベークの時間は、1分間〜30分間であることが好ましく、2分間〜10分間であることがより好ましく、2分間〜4分間であることが特に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法における各工程時における上記支持体の搬送速度は、特に制限はないが、露光時を除いて、0.5m/min〜10m/minであることが好ましく、露光時を除いて、2.0m/min〜8.0m/minであることがより好ましい。
<エッチング工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記レジストパターンが配置されていない領域における上記基板をエッチング処理する工程(エッチング工程)を含むことが好ましい。
上記エッチング工程では、上記現像工程により上記感光性樹脂層から形成された上記パターンを、エッチングレジストとして使用し、上記導電性層のエッチング処理を行う。
上記導電性層のエッチングは、特開2010−152155号公報の段落0048〜段落0054等に記載の方法、公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法など、公知の方法でエッチングを適用することができる。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸、又は、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、又は、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、又は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本開示において、エッチングマスク(エッチングパターン)として使用されるパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。したがって、エッチング工程中に上記パターンが剥離することが防止され、上記パターンの存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
上記エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、エッチングされた上記導電性層を有する支持体を洗浄する工程(洗浄工程)、及び、エッチングされた上記導電性層を有する支持体を乾燥する工程(乾燥工程)を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温(10℃〜35℃)で純水により10秒〜300秒間基板を洗浄することが挙げられる。乾燥工程については、例えばエアブローを使用し、エアブロー圧(好ましくは0.1kg/cm〜5kg/cm程度)を適宜調整して乾燥を行えばよい。
<エッチングレジスト剥離工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記エッチング工程の後に、上記レジストパターンを剥離液を用いて剥離する工程(エッチングレジスト剥離工程)を含むことが好ましい。
上記エッチング工程の終了後、パターン形成された上記感光性樹脂層が残存している。上記感光性樹脂層が不要であれば、残存する全ての上記感光性樹脂層を除去すればよい。
剥離液を用いて剥離する方法としては、例えば、好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは50℃〜80℃にて撹拌中の剥離液に上記感光性樹脂層(レジストパターン)などを有する基板を5分〜30分間浸漬する方法が挙げられる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機アルカリ成分、又は、第三級アミン若しくは第四級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、又は、これらの混合溶液に溶解させた剥離液が挙げられる。剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、又は、パドル法等により剥離してもよい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、必要に応じ、露光工程、現像工程及びエッチング工程を2回以上繰り返してもよい。
本開示における露光工程、現像工程及びその他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜段落0051に記載の方法を、本開示においても好適に用いることができる。
本開示に係るレジストパターンの製造方法、又は、本開示に係る回路配線の製造方法は、他の任意の工程を含んでもよい。例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に限定されない。
<可視光線反射率を低下させる工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、導電性層の表面、例えば、支持体上に有する導電性層の一部又は全ての表面の可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含むことが可能である。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理などを挙げることができる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014−150118号公報の段落0017〜段落0025、並びに、特開2013−206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<エッチングされた上記導電性層を有する支持体上に絶縁膜を形成する工程、及び、絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記導電性層を有する支持体上、例えば、形成した配線(エッチングされた上記導電性層)上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程とを含むことも好ましい。
絶縁膜を形成する工程については、特に制限はなく、公知の永久膜を形成する方法を挙げることができる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程については、特に制限はない。導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電性層を形成してもよい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記新たな導電性層を、上記と同様な方法によりエッチングレジストを形成してエッチングしてもよいし、別途、公知の方法によりエッチングしてもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法により得られる配線基板は、上記基板上に1層のみの配線を有していても、2層以上の配線を有していてもよい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、支持体が両方の表面にそれぞれ複数の導電性層を有し、支持体の両方の表面に形成された導電性層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。このような構成により、支持体の一方の表面に第一の導電パターン(第一の配線)、もう一方の表面に第二の導電パターン(第二の配線)を形成した配線、好ましくはタッチパネル用配線を形成することができる。
(配線及び配線基板)
本開示に係る配線は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線である。また、上記配線としては、回路配線が好ましく挙げられる。
本開示に係る配線基板は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線を有する基板である。
本開示に係る配線基板の用途は限定されないが、例えば、タッチパネル用配線基板であることが好ましい。
(入力装置及び表示装置)
本開示に係る入力装置は、本開示に係る感光性転写材料を用いて作製した回路配線を備えることが好ましい。本開示に係る感光性転写材料を用いた回路配線の作製方法としては、上述の本開示に係る回路配線の製造方法が挙げられる。
また、本開示に係る入力装置は、静電容量型入力装置であることが好ましい。
本開示に係る入力装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造される回路配線を備えた入力装置であることが好ましい。
本開示に係る入力装置の製造方法は、本開示に係る回路配線の製造方法を含むことが好ましい。
本開示に係る表示装置は、本開示に係る入力装置を備えることが好ましい。本開示に係る表示装置は、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置等の画像表示装置であることが好ましい。
(タッチパネル、及び、タッチパネル表示装置)
本開示に係るタッチパネルは、本開示に係る感光性転写材料を用いて作製した回路配線を備えることが好ましい。本開示に係る感光性転写材料を用いた回路配線の作製方法としては、上述の本開示に係る回路配線の製造方法が挙げられる。
また、本開示に係るタッチパネルは、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線を少なくとも有するタッチパネルであることが好ましい。
本開示に係るタッチパネルの製造方法は、本開示に係る回路配線の製造方法を含むことが好ましい。
また、本開示に係るタッチパネルは、透明基板と、電極と、絶縁層又は保護層とを少なくとも有することが好ましい。
本開示に係るタッチパネル表示装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された配線を少なくとも有するタッチパネル表示装置であり、本開示に係るタッチパネルを備えるタッチパネル表示装置であることが好ましい。
本開示に係るタッチパネル表示装置の製造方法は、本開示に係る回路配線の製造方法を含むことが好ましく、本開示に係るタッチパネルの製造方法を含むことがより好ましい。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置のおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び、光学方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012−517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013−168125号公報の図19に記載のもの、特開2012−89102号公報の図1又は図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch−on−Lens)型(例えば、特開2013−54727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013−164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置としては、“最新タッチパネル技術”(2009年7月6日、(株)テクノタイムズ社発行)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”(2004年12月、シーエムシー出版)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
(実施例1)
<ポリエステル原料樹脂1の合成>
以下に示すように、テレフタル酸及びエチレングリコールを直接反応させて水を留去し、エステル化した後、減圧下で重縮合を行う直接エステル化法を用いて、連続重合装置によりポリエステル(Ti触媒系PET)を得た。
(1)エステル化反応
第一エステル化反応槽に、高純度テレフタル酸4.7トンとエチレングリコール1.8トンを90分かけて混合してスラリー形成させ、3800kg/hの流量で連続的に第一エステル化反応槽に供給した。更にクエン酸がTi金属に配位したクエン酸キレートチタン錯体(VERTEC AC−420、ジョンソン・マッセイ社製)のエチレングリコール溶液を連続的に供給し、反応槽内温度250℃、撹拌下、平均滞留時間約4.3時間で反応を行なった。この際、クエン酸キレートチタン錯体は、チタン(Ti)添加量が元素換算値で9ppmとなるように連続的に添加した。このとき、得られたオリゴマーの酸価は600eq/トンであった。
この反応物を第二エステル化反応槽に移送し、撹拌下、反応槽内温度250℃で、平均滞留時間で1.2時間反応させ、酸価が200eq/トンのオリゴマーを得た。第二エステル化反応槽は内部が3ゾーンに仕切られており、第2ゾーンから酢酸マグネシウムのエチレングリコール溶液を、マグネシウム(Mg)添加量が元素換算値で75ppmになるように連続的に供給し、続いて第3ゾーンから、リン酸トリメチルのエチレングリコール溶液を、リン(P)添加量が元素換算値で65ppmになるように連続的に供給した。
(2)重縮合反応
上記で得られたエステル化反応生成物を連続的に第一重縮合反応槽に供給し、撹拌下、反応温度270℃、反応槽内圧力20torr(2.67×10−3MPa)で、平均滞留時間約1.8時間で重縮合させた。
更に、第二重縮合反応槽に移送し、この反応槽において撹拌下、反応槽内温度276℃、反応槽内圧力5torr(6.67×10−4MPa)で滞留時間約1.2時間の条件で反応(重縮合)させた。
次いで、更に第三重縮合反応槽に移送し、この反応槽では、反応槽内温度278℃、反応槽内圧力1.5torr(2.0×10−4MPa)で、滞留時間1.5時間の条件で反応(重縮合)させ、反応物(ポリエチレンテレフタレート(PET))を得た。
次に、得られた反応物を、冷水にストランド状に吐出し、直ちにカッティングしてポリエステル原料樹脂1のペレット<断面:長径約4mm、短径約2mm、長さ:約3mm>を作製した。
得られた上記ペレットに含まれるポリエステル原料樹脂1について、高分解能型高周波誘導結合プラズマ−質量分析(HR−ICP−MS;SIIナノテクノロジー社製AttoM)を用いて元素の含有量について測定した結果、Ti=9ppm、Mg=75ppm、P=60ppmであった。Pは当初の添加量に対して僅かに減少しているが、重合過程において揮発したものと推定される。
得られたポリマー(ポリエステル原料樹脂1)は、IV=0.67、末端カルボキシ基の量(AV)=23eq/トン、融点=257℃、溶液ヘイズ=0.3%であった。eq/トンは、ポリマー1トン当たりのカルボキシル基のモル当量を表す。IV及びAVの測定は、以下に示す方法により行った。
−IV及びAVの測定−
ポリエステル原料樹脂の固有粘度(IV)は、ポリエステル原料樹脂を、1,1,2,2−テトラクロルエタン/フェノール(=2/3(質量比))混合溶媒に溶解し、上記混合溶媒中の25℃での溶液粘度から求めた。
ポリエステル原料樹脂の末端COOH量(AV)は、未延伸ポリエステルフィルム1〜4をベンジルアルコール/クロロホルム(=2/3;体積比)の混合溶液に完全溶解させ、指示薬としてフェノールレッドを用い、基準液(0.025mol/L KOH−メタノール混合溶液)で滴定し、その適定量から算出した。
以上の様にして、ポリエステル原料樹脂1のペレットを作製した。
<仮支持体1の作製>
ポリマーAとしてポリスチレン(PSジャパン社製GPPS HF77)を、ポリマーBとして上記ポリエステル原料樹脂1(PET)を用いた。
それぞれのペレットを、溶融温度295℃でポリマーB/ポリマーA/ポリマーBの順序で、延伸後の厚みが表1に記載の厚みとなるように積層し、ダイから冷却ドラム上にシート状に共押出し、積層未延伸フィルムを得た。
得られた積層未延伸フィルムより、B層の片面を剥離することで、A層/B層積層未延伸フィルムを得た。A層/B層積層未延伸フィルムを、表面温度が90℃になるように加熱し、延伸倍率4.0倍で縦方向に延伸を行った。続いて表面温度が100℃になるように加熱し、横方向に4.0倍に延伸した後、180℃の熱風で4秒間熱固定し、仮支持体1を得た。
<中間層及び感光性樹脂層の形成>
下記の手順に従って、中間層と感光性樹脂層を仮支持体のB層面上に形成した。
〔中間層組成物1の調製〕
以下の組成に記載した各成分を混合、溶解し、孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、中間層組成物(固形分濃度5.0質量%)を得た。
−組成−
・イオン交換水:47.5質量部
・メタノール:47.5質量部
・ヒドロキシプロピルセルロース(HPC、日本曹達(株)製、ニッソーHPC SSL):5.0質量部
〔中間層組成物2の調製〕
以下の組成に記載した各成分を混合、溶解し、孔径5.0μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、中間層組成物(固形分濃度4.7質量%)を得た。
−組成−
・イオン交換水:38.1質量部
・メタノール:57.2質量部
・ポリビニルアルコール(PVA205 クラレ(株)製):3.2質量部
・ポリビニルピロリドン:1.5質量部
〔感光性樹脂組成物の調製〕
下記組成に記載した各成分を混合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、感光性樹脂組成物(感光層形成用組成物)を得た。
−組成−
・プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセタート(PGMEA):424.5質量部
・重合体A−1:236.0質量部
・光酸発生剤B−1:5.0質量部
・界面活性剤E−1:0.1質量部
・塩基性化合物F−1:0.5質量部
−重合体A−1の合成例−
3つ口フラスコにPGMEA(75.0質量部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。ATHF(25.0質量部)、MAA(10.0質量部)、CHMA(35.0質量部)、CHA(30.0質量部)、V−601(4.1質量部)、PGMEA(75.0質量部)を加えた溶液を、90℃±2℃の温度範囲内に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃の温度範囲内にて2時間撹拌することで、重合体A−1(固形分濃度40.0質量%)を得た。
重合体A−1は、酸分解性基で保護された酸基を有するバインダーポリマーである。
ATHF:アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(合成品)
MAA:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
V−601:ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(富士フイルム和光純薬(株)製)
−ATHFの合成−
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1質量部、1.0モル当量)、ヘキサン(72.1質量部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.0070質量部、0.03ミリモル当量)、2−ジヒドロフラン(70.1質量部、1.0モル当量)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(水酸化アルミニウム吸着剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ハイドロタルサイト系吸着剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、0.0012質量部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(ATHF)140.8質量部を無色油状物として得た(収率99.0%)。
−光酸発生剤−
光酸発生剤B−1:下記に示す構造の化合物(特開2013−047765号公報の段落0227に記載の化合物であり、段落0204に記載の方法に従って合成した。)
Figure 0006985974
−界面活性剤−
界面活性剤E−1:下記に示す構造の化合物
Figure 0006985974
−塩基性化合物−
塩基性化合物F−1:下記に示す構造の化合物
Figure 0006985974
<感光性転写材料の作製>
上記仮支持体1のB層面側に、中間層、感光性樹脂層をこの順で形成した。まず、中間層組成物1を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が1.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥した。次いで、感光性樹脂組成物を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させた。最後に、カバーフィルムとして、ポリプロピレンフィルム(東レ社製、トレファン2578、25μm)を感光性樹脂層に圧着して感光性転写材料を作製した。
<剥離順の評価>
(手順1)得られた感光性転写材料を4.5cm幅×9cmに切り抜き、カバーフィルム面を上にして、ガラス板上に両面テープで貼り合わせる。貼り合わされた感光性転写材料に、4.5cm幅×15cmに切りぬいたテープ(プリンタックC、日東電工(株)製)を位置を合わせて貼り合せる。テープの端部を把持し、株式会社エーアンドデイー社製テンシロン万能試験機を用いて500mm/minの剥離速度で90°剥離を行う。
上記テープが剥離された後に、ガラス板上に残っている感光性転写材料をミクロトームにて感光性樹脂層の表面と垂直な方向に切削し、断面をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、剥離界面を特定する(剥離界面S1)。
(手順2)剥離界面S1が、カバーフィルムと感光性樹脂層との界面である場合には、線圧0.6MPa、ロール表面温度100℃、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で、後述する回路形成用銅基板に、感光樹脂層面が基板と接するようにラミネートする。続けて、A層の表面に再度テープを貼り、手順1と同様に500mm/minの剥離速度で90°剥離を行い、剥離界面を特定する(剥離界面S2)。
(手順3)剥離界面S2がA層とB層との界面である場合には、手順2に続けて、B層の表面に再度テープを貼り、手順1と同様に500mm/minの剥離速度で90°剥離を行い、剥離界面を特定する(剥離界面S3)。
本開示に係る感光性転写材料は、剥離界面S2がA層とB層との界面である。また剥離界面S1がカバーフィルムと感光性樹脂層との界面であり、剥離界面S3が中間層とB層との界面である転写材料が、本開示に係る感光性転写材料として好適に用いることができる。
<回路形成用銅基板>
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層として酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成用銅基板とした。
<ラミネート加工適性の評価>
作製した感光性転写材料より、カバーフィルムを剥離し、線圧0.6MPa、ロール表面温度100℃、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で、上記回路形成用銅基板にラミネートした。
その後、A層、B層をともに剥離した後、光学顕微鏡にて、任意の5か所について、1mm角の視野で気泡の有無を観察し、以下の評価基準にしたがって評価した。評価結果はA又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。評価結果は表1に記載した。
〔評価基準〕
A:いずれの視野においても気泡が確認されない。
B:気泡が1つの視野で確認される。
C:気泡が2つ以上の視野で確認される。
<レジストパターンの直線性の評価>
作製した感光性転写材料より、カバーフィルムを剥離し、線圧0.6MPa、ロール表面温度100℃、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で、回路形成用銅基板にラミネートした。
その後、仮支持体1におけるA層を剥離し、線幅5μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)マスクをB層にコンタクトさせ、上記マスクを介して超高圧水銀灯で波長365nmの紫外光により100mJ/cmの露光量で露光した。
23℃で6時間静置した後、B層を剥離し、現像した。現像は28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒行うことでレジストパターンを作製した。
得られたレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、20μmの長さの範囲で線幅の最大値−最小値(「線幅の変動値」ともいう。)を評価することで、樹脂パターンの直線性の評価を行った。評価結果はA又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。評価結果は表1に記載した。
〔評価基準〕
A:線幅の変動値が0.2μm未満である
B:線幅の変動値が0.2μm以上0.5μm未満である
C:線幅の変動値が0.5μm以上1.0μm未満である
D:線幅の変動値が1.0μm以上3.0μm未満である
E:線幅の変動値が3.0μm以上であるか、又は、画素が残っていない
<配線パターンの直線性の評価>
レジストパターンの作製に続いて、銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングした。
その後、残った感光性樹脂層(レジストパターン)を剥離液(10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
作製した回路配線基板における回路配線パターンを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、20μmの長さの範囲で線幅の最大値−最小値(「線幅の変動値」ともいう。)を評価することで、配線パターンの直線性の評価を行った。評価結果はA又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。評価結果は表1に記載した。
〔評価基準〕
A:線幅の変動値が0.2μm未満である
B:線幅の変動値が0.2μm以上0.5μm未満である
C:線幅の変動値が0.5μm以上1.0μm未満である
D:線幅の変動値が1.0μm以上3.0μm未満である
E:線幅の変動値が3.0μm以上であるか、又は、画素が残っていない
(実施例2〜5)
表1に記載の構成に従って仮支持体2〜5を作製し、仮支持体2〜5を使用して感光性転写材料を作製した。他の工程は実施例1と同様にして評価を行い、評価結果は表1に記載した。
(実施例6)
表1に記載の構成に従って仮支持体6を作製し、仮支持体6を使用して感光性転写材料を作製した。ただし、中間層、感光性樹脂層を塗布する際の乾燥工程の温度はいずれも60℃に設定した。他の工程は実施例1と同様にして評価を行い、評価結果は表1に記載した。
(実施例7)
表1に記載の構成に従って仮支持体7を作製した。このとき、縦方向、横方向に延伸するときの表面温度はいずれも160℃とした。
仮支持体7を使用して感光性転写材料を作製した。他の工程は実施例1と同様にして評価を行い、評価結果は表1に記載した。
(実施例8)
表1に記載の構成に従って仮支持体8を作製し、他の工程は実施例7と同様にして評価を行い、評価結果は表1に記載した。
(実施例9)
中間層組成物2を使用し、他の工程は実施例1と同様にして評価を行い、評価結果は表1に記載した。
(比較例1)
表1に記載の構成に従って仮支持体Aを作製し、仮支持体Aを使用して感光性転写材料を作製した。他の工程は実施例1と同様にして評価を行い、評価結果は表1に記載した。
(比較例2)
表1に記載の構成に従って仮支持体Bを作製し、仮支持体Bを使用して感光性転写材料を作製した。他の工程は実施例2と同様にしたが、中間層塗布後の乾燥工程にて仮支持体Bが破断し、感光性転写材料が得られなかった。すなわち、比較例2における感光性転写材料は、仮支持体のハンドリング性に劣るといえる。また、感光性転写材料が得られなかったため、比較例2においてはラミネート加工性及び直線性の評価は行わなかった。
(比較例3)
表1に記載の構成に従って仮支持体Cを単層構成で作製した。
仮支持体Cに直接中間層組成物、感光性組成物を塗布し、感光性転写材料を作製した。
レジストパターン直線性の評価では、仮支持体を剥離することなくマスクをコンタクトさせ、上記マスクを介して超高圧水銀灯で波長365nmの紫外光により露光した。
23℃で6時間静置した後、仮支持体Cを剥離し、現像した。
他の工程は実施例1と同様にして評価を行い、評価結果は表1に記載した。
Figure 0006985974
上述の方法により確認したところ、実施例1〜9及び比較例1の全ての例において製造された感光性転写材料は、A層とB層との界面で剥離可能であった。
表1中、ポリマーA又はポリマーBの欄の略語は下記の通りである。
・PET:ポリエチレンテレフタレート、上述のポリエステル原料樹脂1
・PS:ポリスチレン(PSジャパン(株)製 GPPS HF77)
・PE:ポリエチレン(日本ポリエチレン(株)製 ノバテックLD LJ−802)
・COP:シクロオレフィンポリマー (JSR(株)製 アートン R5000)
表1中、A層又はB層の欄に記載のsp値及びTgの欄の記載は、上述の方法により測定されたポリマーA又はポリマーBのsp値及びTgの値を示している。
また表1中、sp値差、Tg差の欄の記載はそれぞれ、「ポリマーAの相溶性パラメータと、ポリマーBの相溶性パラメータとの差の絶対値」、「ポリマーAのガラス転移温度とポリマーBのガラス転移温度との差の絶対値」を示している。
(実施例101)
特開2011−137879号公報の実施例1と同様の方法により感光性転写材料を作製した。このとき、支持体としては仮支持体1を使用した。
<レジストパターンの直線性の評価>
作製した感光性転写材料より、カバーフィルムを剥離し、線圧0.6MPa、ロール表面温度100℃、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で、上述の実施例1において作製したものと同様の回路形成用銅基板にラミネートした。
その後、仮支持体1におけるA層を剥離し、線幅10μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)マスクをB層にコンタクトさせ、上記マスクを介して超高圧水銀灯で波長365nmの紫外光により100mJ/cmの露光量で露光した。
23℃で6時間静置した後、B層を剥離し、現像した。現像は28℃の1.0質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒行うことでレジストパターンを作製した。
作製したレジストパターンを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、20μmの長さの範囲で線幅の最大値−最小値(「線幅の変動値」ともいう。)を評価することで、レジストパターンの直線性の評価を行った。評価結果はA又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。評価結果は表2に記載した。
〔評価基準〕
A:線幅の変動値が0.5μm未満である
B:線幅の変動値が0.5μm以上1.0μm未満である
C:線幅の変動値が1.0μm以上2.0μm未満である
D:線幅の変動値が2.0μm以上3.0μm未満である
E:線幅の変動値が3.0μm以上であるか、又は、画素が残っていない
<配線パターンの直線性の評価>
レジストパターンの作製に続いて、銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングした。
その後、残った硬化後の感光性樹脂層(レジストパターン)を剥離液(10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
作製した回路配線パターンを走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、20μmの長さの範囲で線幅の最大値−最小値(「線幅の変動値」ともいう。)を評価することで、配線パターンの直線性の評価を行った。評価結果はA又はBであることが好ましく、Aであることがより好ましい。評価結果は表2に記載した。
〔評価基準〕
A:線幅の変動値が0.5μm未満である
B:線幅の変動値が0.5μm以上1.0μm未満である
C:線幅の変動値が1.0μm以上2.0μm未満である
D:線幅の変動値が2.0μm以上3.0μm未満である
E:線幅の変動値が3.0μm以上であるか、又は、画素が残っていない
(比較例101)
支持体として仮支持体Aを使用した以外は実施例101と同様にして直線性の評価を行い、評価結果は表2に記載した。
Figure 0006985974
上述の方法により確認したところ、実施例101及び比較例101の全ての例において製造された感光性転写材料は、A層とB層との界面で剥離可能であった。
表1及び表2に記載した結果から、本開示に係る感光性転写材料によれば、得られる回路配線におけるパターンの直線性に優れることがわかる。
(実施例201)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層として酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料をラミネートした(線圧0.6MPa、線速度3.6m/min、ロール温度100℃)。仮支持体を剥離したのちに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図2に示すパターン(以下、「パターンA」とも称する。)を設けたフォトマスクを用いてフォトマスクを中間層に接触させてコンタクト露光を行った。
なお、図2に示すパターンAは、実線部SL及びグレー部Gが遮光部であり、破線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、アライメントを合わせた状態で図3に示すパターン(以下、「パターンB」とも称する。)の開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、現像、水洗を行った。
なお、図3に示すパターンBは、グレー部Gが遮光部であり、破線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後、Cu−02を用いて銅層をエッチングし、残った感光性樹脂層を剥離液(10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
回路配線基板を顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
(実施例202〜209)
実施例2〜実施例9で得た感光性転写材料をそれぞれ使用し、実施例201と同様の評価を行ったところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
(実施例301)
フォトマスクを上記パターンAの反転パターン及びパターンBの反転パターンとし、感光性転写材料として実施例101において得られた感光性転写材料を用いた以外は、実施例201と同様の方法により回路配線基板を得た。
パターンAの反転パターンとは、破線部DLに示す領域において、実線部SL及びグレー部Gが開口部であり、他の領域が遮光部であるパターンをいう。
パターンBの反転パターンとは、破線部DLに示す領域において、グレー部Gが開口部であり、他の領域が遮光部であるパターンをいう。
回路配線基板を顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
10:仮支持体、12:中間層、14:感光性樹脂層、16:カバーフィルム、22:B層、24:A層、100:感光性転写材料、SL:実線部、G:グレー部、DL:点線部

Claims (9)

  1. 仮支持体と、
    感光性樹脂層と、を含み、
    前記仮支持体が、ポリマーAからなる層、及び、ポリマーBからなる層を積層した積層体であり、
    前記仮支持体において、前記ポリマーBからなる層が感光性樹脂層側に存在し、
    前記ポリマーAがポリスチレン、ポリオレフィン、シクロオレフィンポリマー、又はポリエステルであり、
    前記ポリマーAからなる層の全質量に対するポリマーAの含有量が、80質量%〜100質量%であり、
    前記ポリマーAからなる層の厚さが10μm以上であり、
    前記ポリマーBがポリエステル又はシクロオレフィンポリマーであり、
    前記ポリマーBからなる層の全質量に対するポリマーBの含有量が、80質量%〜100質量%であり、
    前記ポリマーBからなる層の厚さが0.1μm以上30μm以下であり、
    前記ポリマーAからなる層と、前記ポリマーBからなる層と、が剥離可能である
    感光性転写材料。
    なお、前記ポリマーAからなる層と、前記ポリマーBからなる層と、が剥離可能であるとは、前記感光性転写材料を、4.5cm幅×9cmに切り抜き、仮支持体をガラス板上にJIS Z 0109:2015に記載の両面粘着テープで貼り合わせ、貼り合わされた感光性転写材料に、4.5cm幅×15cmに切りぬいたJIS Z 0109:2015に記載の粘着テープを、前記粘着テープの幅方向と感光性転写材料の幅方向を合わせ、幅方向には前記粘着テープがはみ出さず、長さ方向に前後3cmずつ前記粘着テープがはみ出すように貼り合わせ、前記粘着テープの一方の端部を把持し、JIS B 7721:2009に規定する引張試験機を用いて500mm/minの剥離速度で90°剥離を行い、前記ポリマーAからなる層が、前記ポリマーBからなる層から剥離できることをいう。前記感光性転写材料が任意で有していてもよいカバーフィルムを有する場合には、前記カバーフィルムを剥離した後に前記カバーフィルムの剥離後の最外層に前記粘着テープを貼り付け前記90°剥離を行うものとする。
  2. 前記ポリマーAの相溶性パラメータと、前記ポリマーBの相溶性パラメータとの差の絶対値が4.0以上である、請求項1に記載の感光性転写材料。
  3. 前記ポリマーAのガラス転移温度が40℃以上であり、前記ポリマーBのガラス転移温度が40℃以上であり、かつ、前記ポリマーAのガラス転移温度と前記ポリマーBのガラス転移温度との差の絶対値が50℃以下である、請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。
  4. 前記ポリマーAのガラス転移温度が70℃〜200℃であり、かつ、前記ポリマーBのガラス転移温度が70℃〜200℃である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  5. 前記ポリマーAからなる層の厚さが10μm〜50μmである、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  6. 前記仮支持体の厚さが、80μm以下である、請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  7. 前記仮支持体と、前記感光性樹脂層との間に、中間層を更に含む、請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  8. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料の前記感光性樹脂層側の最外層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、
    前記ポリマーAからなる層を前記ポリマーBからなる層から剥離する工程と、
    前記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体にフォトマスクを接触させて前記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
    前記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体を剥離する工程と、
    前記仮支持体を剥離する工程後の前記感光性樹脂層を現像してレジストパターンを形成する工程と、をこの順に含む
    レジストパターンの製造方法。
  9. 請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の感光性転写材料の前記感光性樹脂層側の最外層を基板に接触させて貼り合わせる工程と、
    前記ポリマーAからなる層を前記ポリマーBからなる層から剥離する工程と、
    前記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体にフォトマスクを接触させて前記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
    前記ポリマーAからなる層を剥離した後の仮支持体を剥離する工程と、
    前記仮支持体を剥離する工程後の前記感光性樹脂層を現像してレジストパターンを形成する工程と、
    前記レジストパターンが配置されていない領域における上記基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む
    回路配線の製造方法。
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