JP6808045B2 - 感光性樹脂組成物、感光性転写材料、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、感光性転写材料、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、感光性樹脂組成物、感光性転写材料、回路配線の製造方法、及び、タッチパネルの製造方法に関する。
静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線などの導電性層パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般的にパターン化した層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといったことから、感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けた感光性樹脂組成物の層に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光した後に現像する方法が広く使用されている。
また、従来の感光性樹脂組成物としては、特開2008−64908号公報、特開2004−54106号公報、特開2009−3000号公報、又は、特開2002−341544号公報に記載されたものが知られている。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、感度に優れ、露光部及び未露光部の視認性に優れる感光性樹脂組成物を提供することである。
また、本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、上記感光性樹脂組成物を用いた感光性転写材料、回路配線の製造方法、又は、タッチパネルの製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、光酸発生剤、及び、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素、を含有する感光性樹脂組成物。
<2> 上記潜在性色素における上記極大吸収波長が、550nm以上である上記<1>に記載の感光性樹脂組成物。
<3> 上記潜在性色素が、上記光酸発生剤から発生する酸により発色する潜在性色素である上記<1>又は<2>に記載の感光性樹脂組成物。
<4> 上記光酸発生剤から生じる酸が、リン酸及びスルホン酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種の酸である上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<5> 上記光酸発生剤から発生する酸が、下記式S1又は式S2で表されるスルホン酸である上記<4>に記載の感光性樹脂組成物。
式S1及び式S2中、Rは、アルキル基を表し、Lは、炭素数2以上のアルキレン基を表し、nsは0又は1を表し、ただし、Rがハロゲン原子を有するアルキル基である場合はnが1であり、Xはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を表し、msは、0〜5の整数を表す。
<6> 上記光酸発生剤から発生する酸のpKaが、−4.0以上である上記<1>〜<5>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<7> 上記光酸発生剤から発生する酸のpKaが、4.0以下である上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<8> 塩基性化合物を更に含有する上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<9> 溶剤を更に含有する上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
<10> 上記潜在性色素が、下記式Iで表される化合物である上記<1>〜<9>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
式I中、Ar1C及びAr2Cはそれぞれ独立に、芳香族基を表し、XはC、S又はS=Oを表し、R1C〜R4Cはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。
<11> 上記式IにおけるXが、Cである上記<10>に記載の感光性樹脂組成物。
<12> 上記カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位が、下記式IIで表される構成単位である上記<1>〜<11>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物。
式II中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR及びRのいずれか一方が、アルキル基又はアリール基であり、Rはアルキル基又はアリール基を表し、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
<13> 仮支持体と、感光性樹脂層とを有し、上記感光性樹脂層が、上記<1>〜<12>のいずれか1つに記載の感光性樹脂組成物を含む感光性転写材料。
<14> 基板に対し、上記<13>に記載の感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程と、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む回路配線の製造方法。
<15> 基板に対し、上記<13>に記載の感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程と、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含むタッチパネルの製造方法。
本発明の一実施形態によれば、感度に優れ、露光部及び未露光部の視認性に優れる感光性樹脂組成物を提供することができる。
また、本発明の他の一実施形態によれば、上記感光性樹脂組成物を用いた感光性転写材料、回路配線の製造方法、又は、タッチパネルの製造方法を提供することができる。
本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を示す概略図である。 本開示に係る感光性転写材料を用いたタッチパネル用回路配線の製造方法の一例を示す概略図である。 パターンAを示す概略図である。 パターンBを示す概略図である。
以下、本開示の内容について説明する。なお、添付の図面を参照しながら説明するが、符号は省略する場合がある。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表す。
更に、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
(感光性樹脂組成物)
本開示に係る感光性樹脂組成物は、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、光酸発生剤、及び、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素、を含有する。
ドライフィルムレジストのレジスト層に用いられる感光性樹脂組成物には、露光部分の確認の観点から、露光部分の視認性が求められる。
一般的な発色剤としては、CVL(クリスタルバイオレットラクトン)等の酸発色型のロイコ色素が知られているが、上記CVLは、分子内に3つジメチルアミノ基があり、塩基性が高い。そのため、発色は可能であるものの、光酸発生剤を使用するポジ型のレジストにおいては、酸分解性基の分解に必要な酸を中和してしまうため、パターニングがしにくかったり、又は感度が低くなるという問題があることを本発明者らは見出した。
また、ロイコ色素の塩基性を下げ感度を向上させるためには、ロイコ色素からのアミノ基の排除が考えられるが、それにより発色体の極大吸収波長が短波側にシフトし、露光部分の視認性が十分でないという問題があることを本発明者らは見出した。
これらの問題に対して、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記構成の感光性樹脂組成物とすることにより、感度に優れ、露光部及び未露光部の視認性に優れる感光性樹脂組成物が得られることを見出した。
詳細な上記効果の発現機構は不明であるが、潜在性色素が共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であるものを用いることにより、感度が十分得られるとともに、上記潜在性色素における発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上であることにより、露光部及び未露光部の視認性も優れ、また、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体を含有することにより、感度及び視認性を両立できると本発明者らは推定している。
以下、本開示に係る感光性樹脂組成物について、詳細に説明する。
<共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素>
本開示に係る感光性樹脂組成物は、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素(以下、「特定潜在性色素」ともいう。)を含有する。
特定潜在性色素は、露光により発色する化合物であっても、露光により消色する化合物であってもよいが、感度及び視認性の観点から、露光により発色する化合物であることが好ましく、光酸発生剤から発生する酸により発色する潜在性色素であることがより好ましい。
特定潜在性色素は、共役酸のpKa(「pKaH」ともいう。)が4.5未満であるか、又は、共役酸を形成しない化合物である。
本発明における化合物の共役酸のpKaとは、化合物にHが結合して得られる化学種(共役酸)のpKa(酸解離定数の負の常用対数)である。
また、特定潜在性色素が共役酸を形成しない化合物であるとは、特定潜在性色素にHが結合して得られる化学種(共役酸)よりもHが解離しているほうが安定な化合物であることをいう。
本開示における化合物等のpKa(pKaH)は、Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pka DB ver 8.07を使用して計算するものとする。
また、特定潜在性色素のpKaHが、−30以上であることが好ましく、−10以上であることがより好ましい。
特定潜在性色素は、発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上であり、視認性の観点から、550nm以上であることが好ましく、550nm以上700nm以下であることがより好ましく、550nm以上650nm以下であることが更に好ましい。
また、特定潜在性色素は、極大吸収波長を1つのみ有していてもよく、2つ以上有していてもよい。特定潜在性色素が極大吸収波長を2つ以上有する場合は、2つ以上の極大吸収波長のうち、吸光度の最も高い極大吸収波長が500nm以上であればよい。
本開示における極大吸収波長の測定方法は、大気の雰囲気下で、25℃にて分光光度計:UV3100((株)島津製作所製)を用いて、400nm〜780nmの範囲で透過スペクトルを測定し、光の強度が極小となる波長(極大吸収波長)を測定するものとする。
露光により発色する特定潜在性色素としては、例えば、ロイコ化合物が挙げられる。
また、露光により消色する特定潜在性色素としては、例えば、トリフェニルメタン系色素、ジフェニルメタン系色素、オキザジン系色素、キサンテン系色素、イミノナフトキノン系色素、アゾメチン系色素、アントラキノン系色素等が挙げられる。
中でも、特定潜在性色素としては、感度及び視認性の観点から、ロイコ化合物が好ましい。
ロイコ化合物としては、トリフェニルメタン系、スピロピラン系、フルオラン系、ジフェニルメタン系、ローダミンラクタム系、インドリルフタリド系、ロイコオーラミン系等のロイコ化合物が挙げられる。
また、ロイコ化合物としては、感度及び視認性の観点から、ラクトン環、スルチン環又はスルトン環が開環するものが好ましく、ラクトン環が開環して発色するロイコ化合物であることがより好ましい。
また、特定潜在性色素は、感度及び視認性の観点から、下記式Iで表される化合物であることが好ましい。
式I中、Ar1C及びAr2Cはそれぞれ独立に、芳香族基を表し、XはC、S又はS=Oを表し、R1C〜R4Cはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。
Ar1C及びAr2Cにおける芳香族基は、アリール基であっても、ヘテロアリール基であってもよく、また、単環の芳香族基であっても、2環以上が縮合した縮合環であってもよい。
また、Ar1C及びAr2Cは、結合して環を形成してもよく、感度及び視認性の観点から、Ar1C及びAr2Cが結合してキサンテン環を形成していることが好ましい。
Ar1C及びAr2Cにおける芳香族基は、置換基を有していてもよい。
上記置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基等が挙げられ、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、ジアリールアミノ基であることが好ましい。上記ジアルキルアミノ基及びアルキルアリールアミノ基におけるアルキル基はそれぞれ独立に、炭素数が2〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数が2〜10のアルキル基であることがより好ましい。また、上記ジアルキルアミノ基における2つのアルキル基のうち、少なくとも1つが炭素数3〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数が3〜10のアルキル基であることがより好ましい。
これらの置換基は、更に置換基により置換されていてもよい。
Ar1C及びAr2Cの総炭素数はそれぞれ独立に、感度及び視認性の観点から、4〜50であることが好ましく、6〜40であることがより好ましく、10〜30であることが更に好ましい。
は、感度及び視認性の観点から、C又はS=Oであることが好ましく、Cであることがより好ましい。
1C〜R4Cにおける一価の有機基は、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリーロキシ基、ジアルキルアミノ基、アルキルアリールアミノ基、又は、ジアリールアミノ基であることが好ましい。
また、R1C〜R4Cの炭素数はそれぞれ独立に、0〜20であることが好ましく、0〜10であることがより好ましい。
1C〜R4Cはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、又は、アリーロキシ基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子、塩素原子、アルキル基、又は、アリール基であることがより好ましく、水素原子であることが特に好ましい。
特定潜在性色素の好ましい具体例として、化合物C−1〜C−9を以下に記載するが、本開示における特定潜在性色素はこれらに限定されないことは言うまでもない。
特定潜在性色素は、1種単独で使用しても、2種以上を使用してもよい。
本開示に係る感光性樹脂組成物における特定潜在性色素の含有量は、感度及び視認性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜8質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが更に好ましく、1.0質量%〜3.0質量%であることが特に好ましい。
なお、本発明において、感光性樹脂組成物における「固形分」とは、溶剤の揮発性成分を除いた成分を意味する。
<カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体>
本開示に係る感光性樹脂組成物は、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(「構成単位A」ともいう。)を含有する重合体(「特定重合体」ともいう。)を含有する。
また、本開示に係る感光性樹脂組成物は、構成単位Aを有する重合体に加え、他の重合体を含んでいてもよい。本開示においては、構成単位Aを有する重合体及び他の重合体をあわせて、「重合体成分」ともいう。
上記特定重合体は、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、特定重合体中の酸分解性で保護されたカルボン酸基を有する構成単位Aが脱保護反応を受けカルボン酸基となる。この酸基により、硬化反応が可能となる。
以下に構成単位Aの好ましい態様について説明する。
上記感光性樹脂組成物は、更に、酸分解性で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体以外の重合体を含んでいてもよい。
また、上記重合体成分に含まれる全ての重合体がそれぞれ、後述するカルボン酸基を有する構成単位を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、上記感光性樹脂組成物は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本開示における上記重合体成分は、特に述べない限り、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する可塑剤、ヘテロ環状化合物及び界面活性剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、上記重合体成分に含まないものとする。
特定重合体は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
上記感光性樹脂組成物は、パターン形状の形成性、現像液への溶解性及び転写性の観点から、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式IIで表される構成単位A1を有する重合体を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式IIで表される構成単位A1を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式IIで表される構成単位A1、及び、後述するカルボン酸基を有する構成単位Bを有し、かつガラス転移温度が90℃以下である特定重合体を含むことが更に好ましい。
上記感光性樹脂組成物に含まれる特定重合体は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
<<構成単位A>>
上記重合体成分は、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位Aを少なくとも有する重合体を含む。上記重合体成分が構成単位Aを有する重合体を含むことにより、極めて高感度な化学増幅ポジ型の感光性樹脂層とすることができる。
本開示における「カルボン酸基が酸分解性基で保護された基」は、酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。酸分解性基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、後述する式IIで表される基で保護されたエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
これらの中でも、上記酸分解性基としては、アセタールの形で保護された構造を有する基であることが好ましい。
上記カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位Aは、感度及び解像度の観点から、下記式IIで表される構成単位A1であることが好ましい。
式II中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR及びRのいずれか一方が、アルキル基又はアリール基であり、Rはアルキル基又はアリール基を表し、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
式II中、R又はRがアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R又はRがアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R及びRは、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
式II中、Rは、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。
また、R〜Rにおけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式II中、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式II中、Xは単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
特定重合体が式IIで表される構成単位A1を含むことで、パターン形成時の感度に優れ、また、解像度より優れる。
式II中、Rは水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、特定重合体に含まれる構成単位A1の全量に対し、式IIにおけるRが水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位A1中の、式IIにおけるRが水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C−核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式IIで表される構成単位A1の中でも、下記式A2で表される構成単位が、パターン形成時の感度を更に高める観点からより好ましい。
式A2中、R34は水素原子又はメチル基を表し、R35〜R41はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
式A2中、R34は水素原子が好ましい。
式A2中、R35〜R41は、水素原子が好ましい。
式IIで表される、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位A1の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、R34は水素原子又はメチル基を表す。
特定重合体に含まれる構成単位Aは、1種であっても、2種以上であってもよい。
特定重合体における構成単位Aの含有量は、特定重合体の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、20質量%〜90質量%であることがより好ましく、30質量%〜70質量%であることが更に好ましい。
特定重合体における構成単位Aの含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
また、全ての重合体成分を構成単位(モノマー単位)に分解したうえで、構成単位Aの割合は、重合体成分の全質量に対して、5質量%〜80質量%であることが好ましく、10質量%〜80質量%であることがより好ましく、10質量%〜40質量%であることが更に好ましく、10質量%〜30質量%であることが特に好ましい。
<<構成単位B>>
上記特定重合体は、カルボン酸基を有する構成単位Bを含むことが好ましい。
構成単位Bは、保護基、例えば、酸分解性基で保護されていないカルボン酸基、すなわち、保護基を有さないカルボン酸基を含む構成単位である。特定重合体が構成単位Bを含むことで、パターン形成時の感度が良好となり、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
特定重合体へのカルボン酸基を有する構成単位の導入は、カルボン酸基を有するモノマーを共重合させることで行うことができる。
構成単位Bである、カルボン酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対してカルボン酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
特定重合体に含まれる構成単位Bは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
特定重合体は、特定重合体の全質量に対し、カルボン酸基を有する構成単位(構成単位B)を0.1質量%〜20質量%含むことが好ましく、0.5質量%〜15質量%含むことがより好ましく、1質量%〜10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
特定重合体における構成単位Bの含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
<<その他の構成単位>>
特定重合体は、既述の構成単位A及び構成単位B以外の、他の構成単位(以下、構成単位Cと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
構成単位Cを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
構成単位Cを用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、特定重合体の諸特性を調整することができる。特に、構成単位Cを適切に使用することで、特定重合体のTgを90℃以下に容易に調整することができる。
特定重合体は、構成単位Cを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
構成単位Cは、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどを重合して形成される構成単位を挙げることができる。その他、特開2004−264623号公報の段落0021〜段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、構成単位Cとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が、得られる転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。これら構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、構成単位Cとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の構成単位が好ましく挙げられる。
また、構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。中でも、炭素数4〜12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが密着性の観点でより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
構成単位Cの含有量は、特定重合体の全質量に対し、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。上記範囲であると、解像度及び感光性樹脂組成物により形成される感光性樹脂層の密着性がより向上する。
特定重合体が、構成単位Cとして、上記構成単位Bにおける酸基のエステルを有する構成単位を含むことも、現像液に対する溶解性、及び、後述する感光性樹脂層の物理物性を最適化する観点から好ましい。
中でも、特定重合体は、構成単位Bとして、カルボン酸基を有する構成単位を含み、更に、カルボン酸エステル基を含む構成単位Cを共重合成分として含むことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構成単位Bと、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n−ブチル由来の構成単位(c)とを含む重合体がより好ましい。
以下、本開示における特定重合体の好ましい例を挙げるが、本開示は以下の例示に限定されない。なお、下記例示化合物における構成単位の比率、重量平均分子量は、好ましい物性を得るために適宜選択される。
<<重合体のガラス転移温度:Tg>>
本開示における特定重合体のガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であることが好ましい。Tgが90℃以下であることで、感光性樹脂組成物により形成される感光性樹脂層は高い密着性を有し、転写性により優れる。
上記Tgは、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
また、上記Tgの下限値には特に制限はないが、−20℃以上が好ましく、−10℃以上がより好ましい。特定重合体のTgが−20℃以上であることで、良好なパターン形成性が維持され、また、例えば、カバーフィルムを用いる場合、カバーフィルムを剥離する際の剥離性低下が抑制される。
更に、本開示における上記重合体成分全体のガラス転移温度(Tg)は、転写性の観点から、90℃以下であることが好ましく、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。
重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行なった。本明細書におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される重合体のTgより約50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し,DTA曲線又はDSC曲線を描かせる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
重合体のTgを、既述の好ましい範囲に調整する方法としては、例えば、目的とする重合体の各構成単位の単独重合体のTgと各構成単位の質量比より、FOX式を指針にして、目的とする特定重合体のTgを制御することが可能である。
FOX式について
重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2としたときに、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することも可能である。
<<重合体の分子量:Mw>>
特定重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。特定重合体の重量平均分子量が60,000以下であることで、後述する感光性転写材料における感光性樹脂層の溶融粘度を低く抑え、基板と貼り合わせる際において低温(例えば130℃以下)での貼り合わせを実現することができる。
また、特定重合体の重量平均分子量は、2,000〜60,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましく、10,000〜30,000であることが更に好ましい。
なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができ、測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができ、装置の内容、及び、測定技術は同当業者に公知である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM−M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本、直列に連結したものを用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
また、測定条件としては、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。
検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」及び「A−1000」の7サンプルのいずれかを用いて作製できる。
特定重合体の数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0〜5.0が好ましく、1.05〜3.5がより好ましい。
<<特定重合体の製造方法>>
特定重合体の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、式IIで表される構成単位A1を形成するための重合性単量体、カルボン酸基を有する構成単位Bを形成するための重合性単量体、更に必要に応じて、その他の構成単位Cを形成するための重合性単量体を含む溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本開示に係る感光性樹脂組成物は、感度及び解像性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、特定重合体を50質量%〜99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%〜98質量%の割合で含むことがより好ましい。
また、本開示に係る感光性樹脂組成物は、感度及び解像性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、上記重合体成分を50質量%〜99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%〜98質量%の割合で含むことがより好ましい。
<<他の重合体>>
上記感光性樹脂組成物は、重合体成分として、特定重合体に加え、本開示に係る感光性樹脂組成物の効果を損なわない範囲において、構成単位Aを含まない重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。上記感光性樹脂組成物が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
上記感光性樹脂組成物は、特定重合体に加え、他の重合体を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及び、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC−3000、ARUFON UC−3510、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920、及び、ARUFON UC−3080(以上、東亞合成(株)製)、並びに、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及び、Joncryl 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
<光酸発生剤>
本開示に係る感光性樹脂組成物は、光酸発生剤を含有する。
本開示で使用される光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、X線、及び、荷電粒子線等の放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。
本開示で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本開示で使用される光酸発生剤から発生する酸のpKaは、感度及び視認性の観点から、4.0以下であることが好ましく、3.0以下であることがより好ましく、2.0以下であることが更に好ましく、−1.0以下であることが特に好ましい。光酸発生剤から発生する酸のpKaの下限値は特に定めないが、例えば、−10.0以上であることが好ましく、感度及び視認性の観点から、−4.0以上であることがより好ましく、−3.5以上が更に好ましく、−3.0以上が特に好ましい。
また、上記光酸発生剤から発生する酸が、感度及び視認性の観点から、リン酸及びスルホン酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種の酸であることが好ましく、スルホン酸であることがより好ましく、下記式S1又は式S2で表されるスルホン酸であることが更に好ましい。
式S1及び式S2中、Rは、アルキル基を表し、Lは、炭素数2以上のアルキレン基を表し、nsは0又は1を表し、ただし、Rがハロゲン原子を有するアルキル基である場合はnが1であり、Xはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を表し、msは、0〜5の整数を表す。
におけるアルキル基は、置換基を有していてもよい。
上記置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基、及び、アリーロキシ基等が挙げられる。
におけるアルキル基の炭素数は、1〜20であることが好ましく、2〜16であることがより好ましい。
は、炭素数2〜20のアルキレン基であることが好ましく、炭素数2〜8のアルキレン基であることがより好ましく、エチレン基であることが特に好ましい。
はそれぞれ独立に、アルキル基であることが好ましく、炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、炭素数1〜8のアルキル基であることが更に好ましく、メチル基であることが特に好ましい。
msは、0〜3の整数であることが好ましく、0又は1であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤と、非イオン性光酸発生剤とを挙げることができる。
また、光酸発生剤としては、感度及び解像度の観点から、後述するオニウム塩化合物、及び、後述するオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
非イオン性光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、感度、解像度、及び、密着性の観点から、光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル−s−トリアジン類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0083〜段落0088に記載の化合物が例示できる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物が好ましい。
式(B1)中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、*は他の原子又は他の基との結合部位を表す。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐構造を有していても、環構造を有していてもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)、又は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されてもよい。
また、式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物としては、特開2014−85643号公報の段落0078〜0111に記載のオキシムスルホネート化合物、又は、特開2015−151347号公報の段落0080〜0081に記載の化合物が挙げられる。
イオン性光酸発生剤の例として、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましく、トリアリールスルホニウム塩類及びジアリールヨードニウム塩類が特に好ましい。
イオン性光酸発生剤としては特開2014−85643号公報の段落0114〜0133に記載のイオン性光酸発生剤も好ましく用いることができる。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記感光性樹脂組成物における光酸発生剤の含有量は、感度、解像度の観点から、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
<塩基性化合物>
本開示に係る感光性樹脂組成物は、塩基性化合物を更に含有することが好ましい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0204〜段落0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、及び、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、及び、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、シクロヘキシルモルホリノエチルチオウレア(CMTU)、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、及び、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、及び、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
上記塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物の含有量は、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.001質量%〜5質量%であることが好ましく、0.005質量%〜3質量%であることがより好ましい。
<溶剤>
本開示に係る感光性樹脂組成物は、溶剤を更に含有することが好ましい。
また、上記感光性樹脂組成物は、後述する感光性樹脂層を容易に形成するため、一旦溶剤を含有させて感光性樹脂組成物の粘度を調節し、溶剤を含む感光性樹脂組成物を塗布及び乾燥して、感光性樹脂層を好適に形成することができる。
本開示に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及び、ラクトン類等が例示できる。また、溶剤の具体例としては特開2011−221494号公報の段落0174〜段落0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、既述の溶剤に、更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、又は、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
溶剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本開示に用いることができる溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又は、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
また、溶剤としては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又は、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点155℃)、及び、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3−メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
感光性樹脂組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分100質量部あたり、50質量部〜1,900質量部であることが好ましく、100質量部〜900質量部であることがより好ましい。
また、後述する上記感光性樹脂層における溶剤の含有量は、感光性樹脂層の全質量に対し、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
<その他の添加剤>
本開示に係る感光性樹脂組成物は、特定潜在性色素、特定重合体及び光酸発生剤等の上記各成分に加え、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
−可塑剤−
本開示に係る感光性樹脂組成物は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は、特定重合体よりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満が更に好ましい。
可塑剤は、特定重合体と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に限定されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は下記構造を有することが好ましい。
上記式中、Rは炭素数2〜8のアルキル基であり、nは1〜50の整数を表し、*は他の原子との結合部位を表す。
なお、例えば、上記構造のアルキレンオキシ基を有する化合物(「化合物X」とする。)であっても、化合物X、特定潜在性色素、特定重合体及び光酸発生剤を混合して得た化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物が、化合物Xを含まずに形成した化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物に比べて可塑性が向上しない場合は、本開示における可塑剤には該当しない。例えば、任意に添加される界面活性剤は、一般に感光性樹脂組成物に可塑性をもたらす量で使用されることはないため、本明細書における可塑剤には該当しない。
上記可塑剤としては、例えば、下記構造を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
可塑剤の含有量は、感光性樹脂組成物により形成される感光性樹脂層の密着性の観点から、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましい。
上記感光性樹脂組成物は、可塑剤を1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
−増感剤−
本開示に係る感光性樹脂組成物は、増感剤を更に含むことができる。
増感剤は、活性光線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、及び、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
増感剤を含有させることで、露光感度を向上させることができる。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、及び、ジスチリルベンゼン誘導体よりなる群からえらばれた化合物が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、2−エチルアントラセン、又は、9,10−ジメトキシアントラセンが好ましい。
上記増感剤としては、国際公開第2015/093271号の段落0139〜段落0141に記載の化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
−ヘテロ環状化合物−
本開示に係る感光性樹脂組成物は、ヘテロ環状化合物を含むことができる。
本開示におけるヘテロ環状化合物には、特に制限はない。例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、その他、各種環状エーテル、環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマー、環状アミン、オキサゾリンといった含窒素モノマー、更には珪素、硫黄、リンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を添加することができる。
感光性樹脂組成物中におけるヘテロ環状化合物の含有量は、ヘテロ環状化合物を添加する場合には、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、密着性及びエッチング耐性の観点で好ましい。ヘテロ環状化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
分子内にエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は市販品として入手できる。例えば、JER828、JER1007、JER157S70(三菱化学(株)製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011−221494号公報の段落0189に記載の市販品などが挙げられる。
その他の市販品として、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−411、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−211、EX−212、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L、DLC−201、DLC−203、DLC−204、DLC−205、DLC−206、DLC−301、DLC−402、EX−111,EX−121、EX−141、EX−145、EX−146、EX−147、EX−171、EX−192(以上ナガセケムテック製)、YH−300、YH−301、YH−302、YH−315、YH−324、YH−325(以上、新日鐵住金化学(株)製)セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)などが挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子内にエポキシ基を有する化合物の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
分子内にオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−201、OXT−211、OXT−212、OXT−213、OXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
本開示に係る感光性樹脂組成物においては、ヘテロ環状化合物がエポキシ基を有する化合物であることが、得られるパターンのエッチング耐性及び線幅安定性の観点から好ましい。
−アルコキシシラン化合物−
本開示に係る感光性樹脂組成物は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
アルコキシシラン化合物の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1質量%〜30質量%であることが好ましく、0.5質量%〜20質量%であることがより好ましい。
−界面活性剤−
本開示に係る感光性樹脂組成物は、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系(非イオン系)、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH−8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式I−1で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
式(I−1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合部位を表す。
Lは、下記式(I−2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(I−2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
その他、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009−237362号公報の段落0060〜段落0071に記載の界面活性剤も用いることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜3質量%であることが更に好ましい。
−その他の成分−
本開示に係る感光性樹脂組成物には、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については特開2014−85643号公報の段落0165〜段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
(感光性転写材料)
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体と、感光性樹脂層とを有し、上記感光性樹脂層が、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、光酸発生剤、及び、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素を含有し、仮支持体と、感光性樹脂層とを有し、上記感光性樹脂層が、本開示に係る感光性樹脂組成物を含むことが好ましい。
図1は、本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を概略的に示している。図1に示す感光性転写材料100は、仮支持体10と、中間層12と、感光性樹脂層14と、カバーフィルム16とがこの順に積層されている。
感光性樹脂層14は、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、光酸発生剤、及び、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素を含有する。
以下、本開示に係る感光性転写材料の構成材料等について説明する。なお、本開示における上記構成について本明細書では以下のように称する場合がある。
酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を「特定重合体」と称する場合がある。
上記感光性樹脂層は、ポジ型の感光性樹脂層であり、「ポジ型感光性樹脂層」と称する場合がある。
<仮支持体>
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体を有する。
仮支持体は、感光性樹脂層を支持し、剥離可能な支持体である。
本開示に用いられる仮支持体は、感光性樹脂層をパターン露光する際に仮支持体を介して感光性樹脂層を露光し得る観点から光透過性を有することが好ましい。
光透過性を有するとは、パターン露光に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味し、パターン露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度向上の観点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
仮支持体としては、ガラス基板、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚みは、特に限定されず、5μm〜200μmの範囲が好ましく、取扱い易さ、汎用性などの点で、10μm〜150μmの範囲がより好ましい。
仮支持体の厚みは、支持体としての強度、回路配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性、最初の露光工程で要求される光透過性などの観点から、材質に応じて選択すればよい。
仮支持体の好ましい態様については、例えば、特開2014−85643号公報の段落0017〜段落0018に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<感光性樹脂層>
本開示に係る感光性転写材料は、感光性樹脂層を有し、上記感光性樹脂層が、カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、光酸発生剤、及び、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素を含有する。
上記感光性樹脂層は、本開示に係る感光性樹脂組成物により形成された層であることが好ましい。
また、上記感光性樹脂層は、本開示に係る感光性樹脂組成物を含むことが好ましい。
また、本開示における感光性樹脂層は、ポジ型感光性樹脂層であり、化学増幅ポジ型感光性樹脂層であることが好ましい。
後述するオニウム塩やオキシムスルホネート化合物等の光酸発生剤は、活性放射線(活性光線)に感応して生成される酸が、上記特定重合体中の保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
一方、活性放射線に感応する光酸発生剤としてキノンジアジド化合物を用いた場合、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は必ず1以下であり、化学増幅型には該当しない。
上記感光性樹脂層におけるカルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、光酸発生剤、及び、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素はそれぞれ、上記感光性樹脂組成物におけるカルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、光酸発生剤、及び、共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、上記感光性樹脂層は、上記溶剤以外の上記感光性樹脂組成物における各成分を好ましく含有することができる。
更に、上記感光性樹脂層において、上記感光性樹脂層の全質量に対する各成分の好ましい含有量は、上記感光性樹脂組成物における、上記感光性樹脂組成物の全固形分に対する各成分の好ましい含有量と同様である。
−感光性樹脂層の厚み−
上記感光性樹脂層の厚みは、0.5μm〜20μmが好ましい。感光性樹脂層の厚みが20μm以下であると得られるパターンの解像度が良好であり、0.5μm以上であるとパターン直線性の観点から好ましい。
感光性樹脂層の厚みとしては、0.8μm〜15μmがより好ましく、1.0μm〜10μmが特に好ましい。
−感光性樹脂層の形成方法−
各成分、及び、溶剤を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
感光性樹脂組成物を仮支持体に塗布し、乾燥させることで、仮支持体上に感光性樹脂層を有する本開示に係る感光性転写材料を得ることができる。
塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
なお、仮支持体上に後述のその他の層を有する仮支持体とその他の層との積層体上に、感光性樹脂層を塗布することもできる。
<その他の層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂層以外の層(以下、「その他の層」と称することがある)を有していてもよい。その他の層としては、コントラストエンハンスメント層、中間層、カバーフィルム、熱可塑性樹脂層等を挙げることができる。
<コントラストエンハンスメント層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂層に加え、コントラストエンハンスメント層を有することができる。
コントラストエンハンスメント層(Contrast Enhancement Layer;CEL)は、露光前には露光波長に対する吸収が大きいが、露光されるに伴って次第に吸収が小さくなる、すなわち、光の透過率が高くなる材料(光消色性色素成分と称する)を含有する層である。光消色性色素成分としては、ジアゾニウム塩、スチルバゾリウム塩、アリールニトロソ塩類等が知られている。被膜形成成分としては、フェノール系樹脂等が用いられる。
その他、コントラストエンハンスメント層としては、特開平6−97065号公報の段落0004〜段落0051、特開平6−332167号公報の段落0012〜段落0055、フォトポリマーハンドブック,フォトポリマー懇話会編,工業調査会(1989)、フォトポリマー・テクノロジー,山岡、永松編,(株)日刊工業新聞社(1988)に記載の材料を用いることができる。
<中間層>
上記感光性樹脂層の上に、複数層を塗布する目的、及び、塗布後の保存の際における成分の混合を防止する目的で、中間層を設けることができる。
中間層としては、特開2005−259138号公報の段落0084〜0087に記載の中間層を用いることができる。中間層としては、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましい。
中間層に用いられる材料としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体などの樹脂が挙げられる。中でも特に好ましいのはポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組合せである。
<熱可塑性樹脂層、カバーフィルム等>
本開示に係る感光性転写材料は、例えば、仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、感光性樹脂層とをこの順で有することもできる。更に、感光性樹脂層を保護する目的でカバーフィルムを有していてもよい。
熱可塑性樹脂層の好ましい態様については特開2014−85643号公報の段落0189〜段落0193、他の層の好ましい態様については特開2014−85643号公報の段落0194〜段落0196にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
本開示に係る感光性転写材料が、熱可塑性樹脂層等のその他の層を有する場合、特開2006−259138号公報の段落0094〜段落0098に記載の感光性転写材料の作製方法に準じて作製することができる。
例えば、熱可塑性樹脂層及び中間層を有する本開示に係る感光性転写材料を作製する場合には、仮支持体上に、熱可塑性の有機高分子と添加剤とを溶解した溶解液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、得られた熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂及び添加剤を加えて調製した調製液(中間層用塗布液)を塗布し、乾燥させて中間層を積層する。形成した中間層上に、更に、中間層を溶解しない溶剤を用いて調製した本開示に係る感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を積層することによって、本開示に係る感光性転写材料を好適に作製することができる。
(回路配線の製造方法)
本開示に係る感光性転写材料を用いた、回路配線の製造方法の第1の実施態様について説明する。
回路配線の製造方法の第1の実施態様は、
基板に対し、本実開示に係る感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、
上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂層をパターン露光する工程(露光工程)と、
上記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程(現像工程)と、
上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(エッチング工程)と、をこの順に含む。
回路配線の製造方法の第1の実施態様における基板は、ガラス、シリコン、フィルムなどの基材上に、所望の導電層などの層が設けられた基板であってもよい。
回路配線の製造方法の第1の実施態様によれば、基板表面に微細パターンを形成することができる。
回路配線の製造方法の第2の実施形態は、
基材、及び、互いに構成材料が異なる第1導電層及び第2導電層を含む複数の導電層とを有し、上記基材の表面上に、上記基材の表面から遠い順に、最表面層である上記第1導電層及び上記第2導電層が積層されている基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記第1導電層に接触させて貼り合わせる貼り合わせ工程と、
上記貼り合わせ工程後の上記感光性転写材料の上記仮支持体を介して上記感光性樹脂層をパターン露光する第1露光工程と、
上記第1露光工程後の感光性樹脂層から上記仮支持体を剥離した後、上記第1露光工程後の感光性樹脂層を現像して第1パターンを形成する第1現像工程と、
上記第1パターンが配置されていない領域における上記複数の導電層のうち少なくとも上記第1導電層及び上記第2導電層をエッチング処理する第1エッチング工程と、
上記第1エッチング工程後の上記第1パターンを上記第1パターンとは異なるパターンでパターン露光する第2露光工程と、
上記第2露光工程後の上記第1パターンを現像して第2パターンを形成する第2現像工程と、
上記第2パターンが配置されていない領域における上記複数の導電層のうち少なくとも上記第1導電層をエッチング処理する第2エッチング工程と、をこの順に含む。上記第2の実施形態としては、国際公開第2006/190405号を参考にすることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル又はタッチパネル表示装置用の回路配線の製造方法として用いることができる。
以下、第2の実施形態を元に、各工程の詳細について説明する。
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程の一例を、図2(a)に概略的に示した。
まず、貼り合わせ工程では、基材22と、互いに構成材料が異なる第1導電層24及び第2導電層26を含む複数の導電層とを有し、基材22の表面上に、基材22の表面から遠い順に、最表面層である第1導電層24と第2導電層26とが積層されている基板(回路配線形成用基板)20に対し、上述した本開示に係る感光性転写材料100のポジ型感光性樹脂層14を第1導電層24に接触させて貼り合わせる。なお、このような回路配線形成用基板と感光性転写材料との貼り合わせを「転写」又は「ラミネート」と称する場合がある。
図1に示したように感光性転写材料100のポジ型感光性樹脂層14上にカバーフィルム16を有する場合は、感光性転写材料100(ポジ型感光性樹脂層14)からカバーフィルム16を除去した後、感光性転写材料100のポジ型感光性樹脂層14を第1導電層24に接触させて貼り合わせる。
感光性転写材料の第1導電層上への貼り合わせ(転写)は、感光性転写材料のポジ型感光性樹脂層側を第1導電層の上に重ね、ロール等による加圧及び加熱することに行われることが好ましい。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネータを使用することができる。
回路配線形成用基板の基材が樹脂フィルムである場合は、ロールツーロールでの貼り合わせも行うこともできる。
〔基材〕
基材上に複数の導電層が積層された基板は、基材がガラス基材又はフィルム基材であることが好ましく、フィルム基材であることがより好ましい。本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル用の回路配線である場合、基材がシート状樹脂組成物であることが特に好ましい。
また、基材は透明であることが好ましい。
基材の屈折率は、1.50〜1.52であることが好ましい。
基材は、ガラス基材等の透光性基材で構成されていてもよく、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、前述の透明基材としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報及び特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みがない基材、及び、透明度が高い基材を用いることがより好ましく、具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーをあげることができる。
〔導電層〕
基材上に形成されている複数の導電層としては、一般的な回路配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電層を挙げることができる。
導電層の材料としては、金属及び金属酸化物などを挙げることができる。
金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SiO等を挙げることができる。金属としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等を挙げることができる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、複数の導電層のうち少なくとも一つの導電層が金属酸化物を含むことが好ましい。
導電層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
〔回路配線形成用基板〕
基材の表面に導電層を有する基板である。導電層をパターンニングすることで回路配線とする。本例では、PETなどのフィルム基材に金属酸化物や金属などの複数の導電層が設けられたものであることが好ましい。
<露光工程(第1露光工程)>
上記第1の実施態様においては露光工程が、上記第2の実施態様においては第1露光工程が行われる。露光工程(第1露光工程)の一例を、図2(b)に概略的に示した。
露光工程(第1露光工程)では、貼り合わせ工程後の感光性転写材料の仮支持体12を介してポジ型感光性樹脂層14をパターン露光する。
本開示における露光工程、現像工程、及びその他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜段落0051に記載の方法を本開示においても好適に用いることができる。
例えば、第1導電層24の上に配置された感光性転写材料100の上方(第1導電層24と接する側とは反対側)に所定のパターンを有するマスク30を配置し、その後、マスク30を介してマスク上方から紫外線で露光する方法などが挙げられる。
本開示においてパターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に限定されない。本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくしたいことから、パターンの少なくとも一部(特にタッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下であることが更に好ましい。
ここで、露光に使用する光源としては、感光性転写材料の露光された箇所が現像液に溶解しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量としては、好ましくは5mJ/cm〜200mJ/cm程度であり、より好ましくは10mJ/cm〜100mJ/cm程度である。
また、露光後にパターンの矩形性、直線性を向上させる目的で、現像前に熱処理を行うことも好ましい。いわゆるPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる工程により、露光時に感光性樹脂層中で生じた定在波によるパターンエッジの荒れを低減することが可能である。
なお、パターン露光は、仮支持体を感光性樹脂層から剥離してから行っても、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介して露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。感光性樹脂層とマスクの接触によるマスク汚染の防止や、マスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずに露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
<現像工程(第1現像工程)>
上記第1の実施態様においては現像工程が、上記第2の実施態様においては第1現像工程が行われる。現像工程(第1現像工程)の一例を、図2(c)に概略的に示した。
現像工程(第1現像工程)では、露光工程(第1露光工程)後のポジ型感光性樹脂層14から仮支持体12を剥離した後、露光工程(第1露光工程)後のポジ型感光性樹脂層14を現像して第1パターン14Aを形成する。
現像工程(第1現像工程)は、パターン露光されたポジ型感光性樹脂層を現像することによりパターン(第1パターン)を形成する工程である。
パターン露光されたポジ型感光性樹脂層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液としては、ポジ型感光性樹脂層の露光部分を除去することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5−72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液はポジ型感光性樹脂層の露光部が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましい。例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05mol/L(リットル)〜5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。現像液は、さらに、水と混和性を有する有機溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。本開示において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
現像方式としては、特に制限はなくパドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後のポジ型感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、露光部分を除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましい。
更に、現像して得られたポジ型感光性樹脂層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。
ポストベークの加熱は8.1kPa〜121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、506.6kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、1114.6kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが特に好ましい。
ポストベークの温度は、80℃〜250℃であることが好ましく、110℃〜170℃であることがより好ましく、130℃〜150℃であることが特に好ましい。
ポストベークの時間は、1分〜30分であることが好ましく、2分〜10分であることがより好ましく、2分〜4分であることが特に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、ポスト露光工程等のその他の工程を有していてもよい。
<エッチング工程(第1エッチング工程)>
上記第1の実施態様においてはエッチング工程が、上記第2の実施態様においては第1エッチング工程が行われる。エッチング工程(第1エッチング工程)の一例を、図2(d)に概略的に示した。
エッチング工程(第1エッチング工程)では、第1パターン14Aが配置されていない領域における複数の導電層のうち少なくとも第1導電層24及び第2導電層26をエッチング処理する。エッチングにより、同じパターンを有する第1導電層24A及び第2導電層26Aが形成される。
導電層のエッチングは、特開2010−152155号公報の段落0048〜段落0054等に記載の方法、公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法など、公知の方法でエッチングを適用することができる。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本開示においてエッチングマスク(エッチングパターン)として使用される第1パターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。したがって、エッチング工程中にポジ型感光性樹脂層が剥離することが防止され、ポジ型感光性樹脂層の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて洗浄工程及び乾燥工程を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温で純水により10秒〜300秒間基板を洗浄して行い、乾燥工程については、例えばエアブローを使用し、エアブロー圧(0.1kg/cm〜5kg/cm程度)を適宜調整して乾燥を行えばよい。
<第2露光工程>
上記第2の実施態様においては第2露光工程が行われる。第2露光工程の一例を、図2(e)に概略的に示した。
第1エッチング工程後、第1エッチング工程後の第1パターン14Aを第1パターンとは異なるパターンでパターン露光する。
第2露光工程では、第1導電層上に残存する第1パターンに対し、後述する第2現像工程において少なくとも第1導電層の除去すべき部分に相当する箇所を露光する。
第2露光工程におけるパターン露光は、第1露光工程で用いたマスク30とはパターンが異なるマスク40を用いること以外は第1露光工程におけるパターン露光と同じ方法を適用することができる。
<第2現像工程>
上記第2の実施態様においては第2現像工程が行われる。第2現像工程の一例を、図2(f)に概略的に示した。
第2現像工程では、第2露光工程後の第1パターン14Aを現像して第2パターン14Bを形成する。
現像により、第1パターンのうち第2露光工程において露光された部分が除去される。
なお、第2現像工程では、第1現像工程における現像と同じ方法を適用することができる。
<第2エッチング工程>
上記第2の実施態様においては第2露光工程が行われる。第2エッチング工程の一例を、図2(g)に概略的に示した。
第2エッチング工程では、第2パターン14Bが配置されていない領域における複数の導電層のうち少なくとも第1導電層24Aをエッチング処理する。
第2エッチング工程におけるエッチングは、エッチングにより除去すべき導電層に応じたエッチング液を選択すること以外は第1エッチング工程におけるエッチングと同じ方法を適用することができる。
第2エッチング工程では、所望のパターンに応じて、第1エッチング工程よりも少ない導電層を選択的にエッチングすることが好ましい。例えば、図2に示すように、ポジ型感光性樹脂層が配置されていない領域において第1導電層24Bのみを選択的にエッチングするエッチング液を用いてエッチングを行うことで、第1導電層を第2導電層のパターンとは異なるパターンにすることができる。
第2エッチング工程の終了後、少なくとも2種類のパターンの導電層24B,26Aを含む回路配線が形成される。
<ポジ型感光性樹脂層除去工程>
ポジ型感光性樹脂層除去工程の一例を、図2(h)に概略的に示した。
第2エッチング工程の終了後、第1導電層24B上の一部には第2パターン14Bが残存している。ポジ型感光性樹脂層が不要であれば、残存する全てのポジ型感光性樹脂層14Bを除去すればよい。
残存するポジ型感光性樹脂層を除去する方法としては特に制限はないが、薬品処理により除去する方法を挙げることができる。
ポジ型感光性樹脂層の除去方法としては、例えば、好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは50℃〜80℃にて撹拌中の剥離液にポジ型感光性樹脂層などを有する基材を1分〜30分間浸漬する方法が挙げられる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ成分、又は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン又はこれらの混合溶液に溶解させた剥離液が挙げられる。剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、パドル法等により剥離してもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、他の任意の工程を含んでもよい。例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に限定されない。
<保護フィルムを貼り付ける工程>
上記第2の実施態様において、第1エッチング工程の後、第2露光工程の前に、第1パターン上に、光透過性を有する保護フィルム(不図示)を貼り付ける工程をさらに有してもよい。
この場合、第2露光工程において、保護フィルムを介して第1パターンをパターン露光し、第2露光工程後、第1パターンから保護フィルムを剥離した後、第2現像工程を行うことが好ましい。
<可視光線反射率を低下させる工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、基材上の複数の導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含むことが可能である。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理などを挙げることができる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とし、黒化することにより、可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014−150118号公報の段落0017〜段落0025、並びに、特開2013−206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、形成した回路配線上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程を含むことも好ましい。
このような構成により、上述の第二の電極パターンを、第一の電極パターンと絶縁しつつ、形成することができる。
絶縁膜を形成する工程については、特に制限はなく、公知の永久膜を形成する方法を挙げることができる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程については、特に制限はない。導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電層を形成してもよい。
また、図2を参照した説明では、2層の導電層を備えた回路配線形成用基板に対して2つの異なるパターンを有する回路配線を形成する場合について説明したが、本開示に係る回路配線の製造方法を適用する基板の導電層の数は2層に限定されず、導電層が3層以上積層された回路配線形成用基板を用い、前述した露光工程、現像工程、及びエッチング工程の組み合わせを3回以上行うことで、3層以上の導電層をそれぞれ異なる回路配線パターンに形成することもできる。
また、図2には示していないが、本開示に係る回路配線の製造方法は、基材が両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有し、基材の両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。このような構成により、基材の一方の表面に第一の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成したタッチパネル用回路配線を形成することができる。また、このような構成のタッチパネル用回路配線を、ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
(回路配線及び回路基板)
本開示に係る回路配線は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線である。
本開示に係る回路基板は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を有する基板である。
本開示に係る回路基板の用途は限定されないが、例えば、タッチパネル用回路基板であることが好ましい。
(入力装置及び表示装置)
本開示に係る回路配線の製造方法により製造される回路配線を備えた装置として、入力装置が挙げられる。
本開示における入力装置は、静電容量型タッチパネルであることが好ましい。
本開示における表示装置は、本開示における入力装置を備えることが好ましい。
また、本開示における表示装置は、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置等の画像表示装置であることが好ましい。
(タッチパネル、及び、タッチパネル表示装置並びにこれらの製造方法)
本開示に係るタッチパネルは、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネルである。また、本開示に係るタッチパネルは、透明基板と、電極と、絶縁層又は保護層とを少なくとも有することが好ましい。
本開示に係るタッチパネル表示装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネル表示装置であり、本開示に係るタッチパネルを有するタッチパネル表示装置であることが好ましい。
本開示に係るタッチパネル又はタッチパネル表示装置の製造方法は、本開示に係る回路配線の製造方法を含むことが好ましい。
本開示に係るタッチパネル又はタッチパネル表示装置の製造方法は、感光性転写材料の製造方法により得られた感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、上記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程と、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含むことが好ましい。各工程の詳細は、上述の回路配線の製造方法における各工程の詳細と同義であり、好ましい態様も同様である。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置のおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び、光学方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012−517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013−168125号公報の図19に記載のもの、特開2012−89102号公報の図1や図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch−on−Lens)型(例えば、特開2013−54727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013−164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置としては、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日、(株)テクノタイムズ社発行)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress
Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。なお、本実施例における「極大吸収波長」とは、発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長である。
<pKa及びpKaHの計算方法>
Advanced Chemistry Development社製ACD/Labs software Ver 8.0 for Microsoft windowsのACD/pka DB ver 8.07を使用して、化合物のpKa、及び、化合物の共役酸のpKa(pKaH)を計算した。
〔重合体〕
以下の例において、以下の略語はそれぞれ以下の化合物を表す。
ATHF:2−テトラヒドロフラニルアクリレート(合成品)
MATHF:2−テトラヒドロフラニルメタクリレート(合成品)
ATHP:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルアクリレート(新中村化学工業(株)製)
MATHP:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
MAEVE:1−エトキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
TBMA:t−ブチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
AA:アクリル酸(東京化成工業(株)製)
MAA:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
EA:アクリル酸エチル(東京化成工業(株)製)
MMA:メタクリル酸メチル(東京化成工業(株)製)
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
EHMA:アクリル酸2−エチルヘキシル(東京化成工業(株)製)
BMA:アクリル酸n−ブチル(東京化成工業(株)製)
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):(昭和電工(株)製)
V−601:ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製)
<ATHFの合成>
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1部、1.0モル当量)、ヘキサン(72.1部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.00070質量部、0.003ミリモル当量)、2−ジヒドロフラン(70.1質量部、1.0モル当量))を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(水酸化アルミニウム吸着剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ハイドロタルサイト系吸着剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、0.0012部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、アクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(ATHF)140.8部を無色油状物として得た(収率99.0%)。
<MATHFの合成>
3つ口フラスコにメタクリル酸(86.1部、1.0モル当量)、ヘキサン(86.1部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.00070質量部、0.003ミリモル当量)、2−ジヒドロフラン(70.1質量部、1.0モル当量))を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200、キョーワード1000の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にMEHQ(0.0012部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、メタクリル酸テトラヒドロフラン−2−イル(MATHF)156.2部を無色油状物として得た(収率98.0%)。
<重合体A1の合成例>
3つ口フラスコに酢酸n−プロピル(150.0質量部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。ATHF(25.0質量部)、AA(3.7質量部)、EA(15.0質量部)、MMA(32.4質量部)、CHMA(23.9質量部)、V−601(3.1質量部)を混合した溶液を、90℃±2℃の温度範囲に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃の温度範囲内にて2時間撹拌することで、重合体A1(固形分濃度40.0質量%)を得た。
<重合体A−2〜A−9の合成例>
モノマーの種類等を下記表1に示す通りに変更し、その他の条件については、重合体A−1と同様の方法で合成した。重合体の固形分濃度は40質量%とした。
<重合体A−10の合成例>
特開2008−64908号公報に記載の酸分解性高分子化合物PS−2と同じ方法で合成したポリマーを、重合体A−10(カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有しない重合体)とした。
〔光酸発生剤〕
B−1:下記に示す構造の化合物(特開2013−47765号公報の段落0227に記載の方法に従って合成した。)
B−2:BASF社製Irgacure PAG−103、下記化合物
B−3:下記に示す構造の化合物(特開2014−197155号公報の段落0210に記載の方法に従って合成した。)
B−4:WPAG−281(商品名、和光純薬工業(株)製)
B−5:下記に示す構造の化合物(特開2015−151347号公報の段落0138に記載の方法に従って合成した。)
〔潜在性色素〕
C−1:上述したC−1と同じ化合物、福井山田化学工業(株)製、極大吸収波長:576nm、pKaH:−3.53
C−2:上述したC−2と同じ化合物、Chameleon社製、極大吸収波長:533nm、pKaH:共役酸を形成せず
C−3:上述したC−3と同じ化合物、山本化成(株)製、極大吸収波長:531nm、pKaH:共役酸を形成せず
C−4:上述したC−4と同じ化合物、福井山田化学工業(株)製、極大吸収波長:460nm及び595nm、pKaH:0.53
C−5:上述したC−5と同じ化合物、福井山田化学工業(株)製、極大吸収波長:470nm及び672nm、pKaH:0.23
C−6:上述したC−6と同じ化合物、福井山田化学工業(株)製、極大吸収波長:525nm、pKaH:0.27
C’−1:下記化合物、福井山田化学工業(株)製、極大吸収波長:598nm、pKaH:4.73
C’−2:下記化合物、保土谷化学工業(株)製、極大吸収波長:444nm、pKaH:1.86
〔塩基性化合物〕
D−1:下記に示す構造の化合物(CMTU)
D−2:2,4,5−トリフェニルイミダゾール(東京化成工業(株)製)
D−3:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(東京化成工業(株)製)
〔界面活性剤〕
E−1:メガファックF−554(フッ素系ノニオン界面活性剤、DIC(株)製)
E−2:メガファックF−552(フッ素系ノニオン界面活性剤、DIC(株)製)
E−3:メガファックF−253(フッ素系ノニオン界面活性剤、DIC(株)製)
(実施例1〜22及び比較例1〜4)
<感光性転写材料の調製>
実施例1〜22及び比較例1〜4では、下記表2に示す固形分比となるように、重合体成分、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤、及び、その他の成分を酢酸n−プロピル/メチルエチルケトン=70/30(体積%)に固形分濃度14質量%になるように溶解混合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して、感光性樹脂組成物を得た。
この感光性樹脂組成物を、仮支持体となる厚さ16μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PET(A)」ともいう。)の上に、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後にカバーフィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス(株)製、アルファンPK−002)を圧着して感光性転写材料を作成した。
[性能評価]
厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に厚さ200nmでスパッタ法にて銅層を作製した銅層付きPET基板を使用した。
<感度評価>
作製した感光性転写材料を、線圧0.8MPa、線速度3.0m/min.のラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。なお、ロール温度90℃で、目視評価により、感光性樹脂層が銅層に泡や浮きがなく密着している面積を確認し、上記面積が95%未満である場合、上記面積が95%以上になるまでロール温度を上げて試料を作製した。
仮支持体を剥離せずに線幅3μm〜20μmのラインアンドスペースパターンマスク(Duty比 1:1)を介して超高圧水銀灯で感光性樹脂層を露光後、1時間放置した後に仮支持体を剥離して現像した。現像は28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。上記方法にて10μmのラインアンドスペースパターンを形成したとき、スペース部の残渣を走査型電子顕微鏡(SEM)により観察し評価し、SEMによる観察において、残渣が確認できなくなる露光量を求めた。露光量が200mJ/cm以下が実用可能レベルである。露光量が小さいほど、露光感度に優れているといえる。
−評価基準−
A:80mJ/cm以下
B:80mJ/cmを超え100mJ/cm以下
C:100mJ/cmを超え200mJ/cm以下
D:200mJ/cmを超え300mJ/cm以下
E:300mJ/cmを超える
<視認性評価>
作製した感光性転写材料を、線圧0.8MPa、線速度3.0m/min.のラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。なお、ロール温度90℃で、目視評価により、感光性樹脂層が銅層に泡や浮きがなく密着している面積を確認し、上記面積が95%未満である場合、上記面積が95%以上になるまでロール温度を上げて試料を作製した。仮支持体を剥離せずに一部を遮光し、超高圧水銀灯で感光性樹脂層を露光した後、4時間放置した。露光量は、上記感度評価で求めた露光量を採用した。
白黒用CCD(Charge Coupled Device)カメラの先端に倍率4倍の光学レンズを取り付け、露光部の反射光強度と未露光部の反射光強度とをそれぞれ測定した。
反射光強度比=(露光部の反射光強度)/(未露光部の反射光強度)
上記反射光強度比の値が小さいほど良好な性能であり、下記評価基準において実用レベルはA〜Cである。
−測定条件−
読取りカメラ画素数:500万画素(2,432×2,050)
読取りカメラ分光感度:400nm=x0.6、500nm=x1.0、600nm=x0.84、700nm=x0.55
光源:D65光源(国際照明委員会(CIE)標準光源D65)を、富士フイルム(株)製シャープカットフィルタSC−42を通過させたもの
−評価基準−
A:反射光強度比が0.45未満
B:反射光強度比が0.45以上0.65未満
C:反射光強度比が0.65以上0.78未満
D:反射光強度比が0.78以上0.90未満
E:反射光強度比が0.90以上
<直線性評価>
作製した感光性転写材料を、線圧0.8MPa、線速度3.0m/min.のラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。なお、ロール温度90℃で、目視評価により、感光性樹脂層が銅層に泡や浮きがなく密着している面積を確認し、上記面積が95%未満である場合、上記面積が95%以上になるまでロール温度を上げて試料を作製した。
仮支持体を剥離せずに線幅3μm〜20μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)マスクを介して超高圧水銀灯で、感光性樹脂層を感度評価で求めた露光量で露光した。4時間放置した後に仮支持体を剥離して現像した。現像は28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。このようにして得られたラインアンドスペースパターンで、ライン幅が7±0.5μmに入るパターンの長手方向のエッジ40μmの範囲について、線幅を50ポイント測定し、その測定ばらつきについて標準偏差を求め、3σを算出した。これをn=5測定し平均値(LWR、line width roughness)を求めた。値が小さいほど良好な性能であり、実用レベルはA〜Cである。
−評価基準−
A:LWRが200nm未満
B:LWRが200nm以上240nm未満
C:LWRが240nm以上290nm未満
D:LWRが290nm以上340nm未満
E:LWRが340nm以上
評価結果を、表2にまとめて示す。
なお、表2の各成分の量の単位は、質量部である。
また、比較例4では、感度が出ないため、きれいなパターンが形成できず直線性は「E」となった。
表2に示すように、本開示に係る感光性樹脂組成物は、感度及び視認性を高いレベルで両立することが可能であった。
また、表2に示すように、本開示に係る感光性転写材料は、銅層への転写が可能であった。
(実施例101)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層として酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(線圧0.8MPa、線速度3.0m/min、ロール温度90℃)。仮支持体を剥離せずに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図3に示すパターン(以下、「パターンA」とも称する。)を設けたフォトマスクを用いてコンタクトパターン露光した。
なお、図3に示すパターンAは、実線部SL及びグレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、アライメントを合わせた状態で図4に示すパターン(以下、「パターンB」とも称する。)の開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、現像、水洗を行った。
なお、図4に示すパターンBは、グレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後、Cu−02を用いて銅層をエッチングし、残った感光性樹脂層を剥離液(10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
これにより、回路配線基板を得た。顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
(実施例102)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層としてITOをスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(線圧0.8MPa、線速度3.0m/min、ロール温度90℃)。
仮支持体を剥離せずに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図3に示すパターンAを設けたフォトマスクを用いて感光性樹脂層をパターン露光した。その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、残存しているレジスト上に保護層としてPET(A)をラミネートした。この状態で、アライメントを合わせた状態で図4に示すパターンBの開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、PET(A)を剥離した後に現像、水洗を行った。
その後、Cu−02を用いて銅配線をエッチングし、残った感光性樹脂層を剥離液(関東化学(株)製KP−301)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
12 仮支持体
14 感光性樹脂層
14A 第1パターン
14B 第2パターン
16 カバーフィルム
20 回路形成用基板
22 基材
24 第1導電層
24A 第1導電層(第1エッチング工程後)
24B 第1導電層(第2エッチング工程後)
26 第2導電層
26A 第2導電層(第1エッチング工程及び第2エッチング工程後)
30 マスク
40 マスク
100 感光性転写材料
SL 実線部
G グレー部
DL 点線部

Claims (15)

  1. カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を含有する重合体、
    光酸発生剤、及び、
    共役酸のpKaが4.5未満又は共役酸を形成しない化合物であり、かつ発色時における波長範囲400nm〜780nmの極大吸収波長が500nm以上である潜在性色素、を含有する
    感光性樹脂組成物。
  2. 前記潜在性色素における前記極大吸収波長が、550nm以上である請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記潜在性色素が、前記光酸発生剤から発生する酸により発色する潜在性色素である請求項1又は請求項2に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記光酸発生剤から生じる酸が、リン酸及びスルホン酸よりなる群から選ばれた少なくとも1種の酸である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記光酸発生剤から発生する酸が、下記式S1又は式S2で表されるスルホン酸である請求項4に記載の感光性樹脂組成物。

    式S1及び式S2中、Rは、アルキル基を表し、Lは、炭素数2以上のアルキレン基を表し、nsは0又は1を表し、ただし、Rがハロゲン原子を有するアルキル基である場合はnが1であり、Xはそれぞれ独立に、アルキル基、アリール基、アルコキシ基又はアリーロキシ基を表し、msは、0〜5の整数を表す。
  6. 前記光酸発生剤から発生する酸のpKaが、−4.0以上である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記光酸発生剤から発生する酸のpKaが、4.0以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 塩基性化合物を更に含有する請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 溶剤を更に含有する請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記潜在性色素が、下記式Iで表される化合物である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。

    式I中、Ar1C及びAr2Cはそれぞれ独立に、芳香族基を表し、XはC、S又はS=Oを表し、R1C〜R4Cはそれぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子又は一価の有機基を表す。
  11. 前記式IにおけるXが、Cである請求項10に記載の感光性樹脂組成物。
  12. 前記カルボン酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位が、下記式IIで表される構成単位である請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。

    式II中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR及びRのいずれか一方が、アルキル基又はアリール基であり、Rはアルキル基又はアリール基を表し、R又はRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、Rは水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
  13. 仮支持体と、
    感光性樹脂層とを有し、
    前記感光性樹脂層が、請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を含む
    感光性転写材料。
  14. 基板に対し、請求項13に記載の感光性転写材料の前記感光性樹脂層を前記基板に接触させて貼り合わせる工程と、
    前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
    前記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程と、
    前記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む
    回路配線の製造方法。
  15. 基板に対し、請求項13に記載の感光性転写材料の前記感光性樹脂層を前記基板に接触させて貼り合わせる工程と、
    前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記感光性樹脂層をパターン露光する工程と、
    前記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程と、
    前記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む
    タッチパネルの製造方法。
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