JP2018031847A - 感光性転写材料、及び、回路配線の製造方法 - Google Patents

感光性転写材料、及び、回路配線の製造方法 Download PDF

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知樹 松田
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晃男 片山
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Shinji Fujimoto
進二 藤本
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【課題】低温ラミネート性に優れ、得られるパターン形状の解像度に優れる感光性転写材料の提供、及び、上記感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法の提供。【解決手段】仮支持体、並びに、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体と、光酸発生剤とを含む感光性樹脂層を有する感光性転写材料、並びに、上記感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法。【選択図】図1

Description

本開示は、感光性転写材料、及び、回路配線の製造方法に関する。
静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線などの導電性層パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般的にパターン化した層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといったことから、感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けた感光性樹脂層に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光し、部分的に硬化した後に現像する方法が広く使用されている。
例えば、特許文献1及び2には、アセタールの形で保護された構造を有する樹脂を含有するポジ型感光性転写材料が記載されている。
また、特許文献3及び4には、アセタールの形で保護された構造及びカルボン酸無水物構造を有する樹脂を含有するポジ型感光性樹脂組成物が記載されている。
特表平5−506106号公報 特開2015−194715号公報 特開2000−159758号公報 国際公開第2015/046295号
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、低温ラミネート性に優れ、得られるパターン形状の解像度に優れる感光性転写材料を提供することである。
また、本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、上記感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 仮支持体、並びに、
酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体と、光酸発生剤とを含む感光性樹脂層を有する
感光性転写材料。
<2> 上記カルボン酸無水物構造を有する構成単位が、カルボン酸無水物構造を有する構成単位である上記<1>に記載の感光性転写材料。
<3> 上記カルボン酸無水物構造を有する構成単位が、5又は6員環の環状カルボン酸無水物構造を有する構成単位である上記<1>又は<2>に記載の感光性転写材料。
<4> 上記カルボン酸無水物構造を有する構成単位が、下記式1Aで表される構成単位及び下記式1Bで表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位である上記<1>〜<3>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<5> 上記重合体における上記カルボン酸無水物構造を有する構成単位の含有量が、重合体の全質量に対し、1質量%以上20質量%以下である上記<1>〜<4>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<6> 上記重合体における上記式1Aで表される構成単位及び下記式1Bで表される構成単位の総含有量が、重合体の全質量に対し、1質量%以上20質量%以下である上記<5>に記載の感光性転写材料。
<7> 上記重合体のガラス転移温度が、20℃以上90℃以下である上記<1>〜<6>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<8> 上記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位が、下記式Aで表される構成単位である上記<1>〜<7>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
式A中、R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR31及びR32のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R33はアルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
<9> 上記重合体における上記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位の含有量が、重合体の全質量に対し、15質量%以上である上記<1>〜<8>のいずれか1つに記載の感光性転写材料。
<10> 上記重合体における上記式Aで表される構成単位の含有量が、上記重合体の全質量に対し、15質量%以上である上記<8>に記載の感光性転写材料。
<11> 基板に対し、上記<1>〜<10>のいずれか1つに記載の感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程、
上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂層をパターン露光する工程、
上記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程、及び、
上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程、
をこの順に含む、回路配線の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、低温ラミネート性に優れ、得られるパターン形状の解像度に優れる感光性転写材料を提供することができる。
また、本発明の他の一実施形態によれば、上記感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法を提供することができる。
本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を示す概略図である。 パターンAを示す概略図である。 パターンBを示す概略図である。
以下、本開示の内容について説明する。なお、添付の図面を参照しながら説明するが、符号は省略する場合がある。
また、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表す。
更に、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
[感光性転写材料]
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体、並びに、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体と、光酸発生剤とを含む感光性樹脂層を有する。
タッチパネル用等の回路配線においては、視認部のセンサーに相当する電極パターンと周辺取り出し部(周辺配線部分と取り出し配線部分)の配線が交差しておらず、ブリッジ等による3次元接続までは必要とされていない。そのため、回路配線の製造方法の技術分野では、従来の感光性樹脂組成物を用いたパターン形成方法の如く、所望のパターンごとにレジスト形成せず、1回のレジスト形成で複数種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成して工程を省略することが期待されている。
また、生産性の向上等の観点から、パターン形成される回路配線の解像度を落とさずに、回路配線を形成するための基板と感光性転写材料とを、例えばロールツーロール(Roll to Roll)で搬送しながら低温で貼り合わせて、露光、現像等を行うことが好ましい。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特許文献1又は2に開示されている感光性転写材料では、得られるレジストパターン形状の解像度が十分でないことを見出した。
また、特許文献3又は4に記載されている感光性樹脂組成物に記載されている樹脂はガラス転移温度が90℃よりも高く、ガラス転移温度が高い上記樹脂を感光性転写材料に用いた場合には、低温ラミネート性が劣るものであるとともに、得られるレジストパターン形状の解像度も十分でないことを、本発明者らは見出した。
本発明者らは更に鋭意検討を重ねた結果、仮支持体、及び、感光性樹脂層を有し、上記感光性樹脂層が、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体と、光酸発生剤とを含むことにより、低温ラミネート性に優れ、得られるパターン形状の解像度に優れることを見出した。
詳細な上記効果の発現機構は不明であるが、感光性樹脂層が、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を有する樹脂を含むことにより、現像時にカルボン酸無水物構造が開環し、カルボキシル基が生じて現像性が向上し、得られるパターン形状の解像度に優れると推定している。
また、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を形成する不飽和カルボン酸無水物の単独重合体は、ガラス転移温度が90℃よりも高い樹脂であるが、上記重合体において、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下とすることにより、現像時の溶解性に優れるともに、基板との密着性にも優れ、低温ラミネート性に優れ、かつ得られるパターン形状の解像度に優れると本発明者らは推定している。
また、上記低温ラミネート性における「低温」は、40℃以上120℃以下であることが好ましく、60℃以上100℃以下であることがより好ましく、90℃であることが特に好ましい。
以下、本開示に係る感光性転写材料について、詳細に説明する。
図1は、本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を概略的に示している。図1に示す感光性転写材料100は、仮支持体12と、感光性樹脂層14と、カバーフィルム16とがこの順に積層されている。感光性樹脂層14は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体と、光酸発生剤とを含む。
以下、本開示に係る感光性転写材料の構成材料等について説明する。なお、本開示における上記構成について本明細書では以下のように称する場合がある。
酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度(Tg)が90℃以下である重合体を「特定重合体」と称する場合がある。
上記感光性樹脂層は、ポジ型の感光性樹脂層であり、「ポジ型感光性樹脂層」と称する場合がある。
〔仮支持体〕
仮支持体は、感光性樹脂層を支持し、感光性樹脂層から剥離可能な支持体である。
本開示において用いられる仮支持体は、感光性樹脂層をパターン露光する際に仮支持体を介して感光性樹脂層を露光し得る観点から光透過性を有することが好ましい。
光透過性を有するとは、パターン露光に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味し、パターン露光に使用する光の主波長の透過率は、感度向上の観点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
仮支持体としては、ガラス基板、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
仮支持体の厚みは、特に限定されず、5μm〜200μmの範囲が好ましく、取扱い易さ、汎用性などの点で、10μm〜150μmの範囲がより好ましい。
仮支持体は、支持体としての強度、回路配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性、最初の露光工程で要求される光透過性などの観点から、材質に応じて選択すればよい。
仮支持体の好ましい態様については、例えば、特開2014−85643号公報の段落0017〜段落0018に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
〔感光性樹脂層〕
本開示に係る感光性転写材料100は、仮支持体12上に配置された感光性樹脂層14を有する。本開示における感光性樹脂層14は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体(特定重合体)、及び、光酸発生剤を含む。
また、本開示における感光性樹脂層は、ポジ型感光性樹脂層であり、化学増幅ポジ型感光性樹脂層であることが好ましい。
後述するオニウム塩やオキシムスルホネート化合物等の光酸発生剤は、活性放射線(活性光線)に感応して生成される酸が、上記特定重合体中の保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
一方、活性放射線に感応する光酸発生剤としてキノンジアジド化合物を用いた場合、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は必ず1以下であり、化学増幅型には該当しない。
<重合体成分>
本開示における感光性樹脂層は、重合体成分として、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位(以下、「構成単位a1」とも称す)及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体(特定重合体)を含む。
感光性樹脂層に含まれる特定重合体は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
上記特定重合体において、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、上記特定重合体中の酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位が脱保護反応を受け酸基となる。この酸基により、硬化反応が可能となる。
以下に構成単位a1の好ましい態様について説明する。
上記感光性樹脂層は、更に、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位を有する重合体以外の重合体を含んでいてもよい。
また、上記重合体成分に含まれる全ての重合体がそれぞれ、酸基を有する構成単位a3を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、上記感光性樹脂は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本開示における上記重合体成分は、特に述べない限り、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する可塑剤、ヘテロ環状化合物及び界面活性剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、上記重合体成分に含まないものとする。
上記特定重合体は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
<<構成単位a1>>
上記重合体成分は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位a1を少なくとも有する重合体を含む。上記重合体成分が構成単位a1を有する重合体を含むことにより、極めて高感度な感光性樹脂層とすることができる。
本開示における「酸基が酸分解性基で保護された基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシル基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、式Aに記載されているようなアセタールの形で保護されたエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
これらの中でも、上記酸分解性基としては、アセタールの形で保護された構造を有する基であることが好ましい。
上記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位a1としては、パターン形成時の感度、及び、得られるパターンの解像度の観点から、下記式Aで表される構成単位(a)が好ましい。
式A中、R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR31及びR32のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R33はアルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
式A中、R31又はR32がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R31又はR32がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R31及びR32は、それぞれ、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
式A中、R33は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、炭素数1〜6のアルキル基がより好ましい。R33におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A中、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A中、Xは単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
式A中、R34は水素原子又はメチル基を表し、特定重合体のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、重合体に含まれる構成単位(a)の全含有量に対し、式AにおけるR34が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位(a)中の、式AにおけるR34が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C−核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式Aで表される構成単位(a)の中でも、下記式A1で表される構成単位が、パターン形成時の感度を更に高める観点からより好ましい。
式A1中、R34は水素原子又はメチル基を表し、R35〜R41はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
式A1中、R34は水素原子が好ましい。
式A1中、R35〜R41は、水素原子が好ましい。
式Aで表される、酸分解性基で保護されたカルボン酸基を有する構成単位(a)の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、R34は水素原子又はメチル基を表す。
特定重合体に含まれる酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位a1は、1種であっても、2種以上であってもよい。
特定重合体における酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位a1の含有量は、パターン形成時の感度、及び、得られるパターンの解像度の観点から、特定重合体の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。また下限値は、60質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。
特定重合体における酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位a1の含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
また、特定重合体における上記式Aで表される構成単位の含有量は、パターン形成時の感度、及び、得られるパターンの解像度の観点から、特定重合体の全質量に対して、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることが特に好ましい。また下限値は、60質量%以下であることが好ましく、45質量%以下であることがより好ましい。
更に、全ての重合体成分を構成単位(モノマーユニット)に分解したうえで、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位a1の割合は、重合体成分の全質量に対して、5質量%〜90質量%であることが好ましく、10質量%〜60質量%であることがより好ましく、15質量%〜45質量%であることが特に好ましい。
<<カルボン酸無水物構造を有する構成単位>>
本開示における感光性樹脂層は、重合体成分として、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を少なくとも有する重合体を含む。
上記カルボン酸無水物構造としては鎖状、環状のいずれも用いることができるが、解像度の観点から、環状カルボン酸無水物構造であることが好ましい。
上記環状カルボン酸無水物構造における環員数としては、解像度の観点から、5〜7員環が好ましく、5員環又は6員環であることがより好ましく、5員環であることが特に好ましい。
また、環状カルボン酸無水物構造に他の環構造が縮環して多環構造を形成していてもよいが、多環構造を形成していないことが好ましい。他の環構造が縮環している場合は、ビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環していることが好ましく、縮環している他の環構造の数は、1〜5が好ましく、1〜3がより好ましい。他の環構造としては、炭素数3〜20の環状の炭化水素基、炭素数3〜20のヘテロ環基等が挙げられる。ヘテロ環基としては、特に限定されないが、環を構成する原子のうち1つ以上がヘテロ原子があるもの又は芳香族ヘテロ環基が挙げられる。また、ヘテロ環基としては、5員環又は6員環が好ましく、5員環が特に好ましい。具体的には、ヘテロ環基は、酸素原子を少なくとも一つ含有するものが好ましく、例えば、オキソラン環、オキサン環、ジオキサン環等が挙げられる。
また、本開示に用いられるカルボン酸無水物構造は、置換基を有していても、有していなくてもよいが、有していないことが好ましい。置換基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜7のシクロアルキル基、炭素数1〜8のアルコキシ基、炭素数2〜8のアルコキシカルボニル基、カルボキシル基、ハロゲン原子、水酸基、シアノ基、酸分解性基などが挙げられる。より好ましくは、炭素数1〜4のアルキル基、又は、シアノ基である。アルキル基としては、直鎖状の炭素数1〜6のアルキル基、分岐状の炭素数3〜6のアルキル基又は環状の炭素数3〜6のアルキル基が好ましく、直鎖状の炭素数1〜3のアルキル基がより好ましい。カルボン酸無水物構造が置換基を有する場合、置換基の数は、特に限定されないが、1〜4が好ましく、1又は2がより好ましい。本開示で用いられるカルボン酸無水物構造が複数の置換基を有する場合、複数の置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。また、カルボン酸無水物構造に他の環構造が縮環している場合、その他の環構造が置換基を有していてもよい。
上記カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、解像度の観点から、下記式1で表される部分構造を有することが好ましい。
式1中、Zは−C(=O)−O−C(=O)−を含む単環又は多環構造を形成する連結基を表し、Rはそれぞれ独立に、上記連結基上の置換基を表し、naは0以上の整数を表し、maは1又は2を表し、波線部分は他の構造との結合位置を表す。
式1中、Rは、上述したカルボン酸無水物構造が有していてもよい置換基と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式1中、Zは、−C(=O)−O−C(=O)−を含む単環構造を形成する連結基であることが好ましい。Zが単環構造を形成する連結基である場合、5〜7員環を形成することが好ましく、5員環又は6員環を形成することがより好ましく、5員環を形成することが特に好ましい。Zが多環構造を形成する連結基である場合、多環構造としては、カルボン酸無水物構造に、ビシクロ構造又はスピロ構造を形成する形で他の環構造が縮環していることが好ましい。他の環構造としては、上述した他の環構造と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式1中、naは、0〜4の整数が好ましく、0〜2の整数がより好ましく、0が更に好ましい。naが2以上の整数を表す場合、複数存在する置換基は、互いに同一でも異なっていてもよい。また、複数存在する置換基は、互いに結合して環を形成してもよいが、互いに結合して環を形成していないことが好ましい。
式1中、maが2である場合、上記式1で表される部分構造はカルボン酸無水物構造を有する構成単位自体であってもよい。
以下に、上記カルボン酸無水物構造を有する構成単位の好ましい具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。下記の構成単位中、Rxは水素原子、メチル基、CHOH基又はCF基を表し、Meはメチル基を表す。
中でも、上記カルボン酸無水物構造を有する構成単位は、下記式1Aで表される構成単位及び下記式1Bで表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位であることが特に好ましい。
特定重合体は、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を1種単独で有していても、2種以上を有していてもよい。
特定重合体におけるカルボン酸無水物構造を有する構成単位の含有量は、低温ラミネート性及び解像性の観点から、特定重合体の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、1質量%〜40質量%であることがより好ましく、1質量%〜30質量%であることが更に好ましく、1質量%〜20質量%であることが特に好ましく、5質量%〜15質量%であることが最も好ましい。
また、特定重合体における上記式1Aで表される構成単位及び上記式1Bで表される構成単位の総含有量は、低温ラミネート性及び解像性の観点から、特定重合体の全質量に対して、1質量%以上であることが好ましく、1質量%〜40質量%であることがより好ましく、1質量%〜30質量%であることが更に好ましく、1質量%〜20質量%であることが特に好ましく、5質量%〜15質量%であることが最も好ましい。
<<酸基を有する構成単位>>
上記特定重合体は、酸基を有する構成単位を有していてもよい。
酸基を有する構成単位は、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、酸分解性基を有さない酸基を有する構成単位である。上記特定重合体が酸基を有する構成単位を有することで、特定共重合体は、パターン形成時の感度が良好となり、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
本明細書における酸基とは、pKaが12以下のプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を含む構成単位として、重合体に組み込まれる。感度向上の観点から、酸基のpKaは、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。また、酸基のpKaは、−5以上であることが好ましい。
上記酸基としては、カルボン酸基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、スルホニルイミド基等が例示される。中でも、カルボン酸基及びフェノール性水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基が好ましく、カルボン酸基(カルボキシル基)が特に好ましい。
上記特定重合体への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを共重合させることで行うことができる。
酸基を有する構成単位は、スチレンに由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
上記特定重合体に含まれる酸基を有する構成単位は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
上記特定重合体における酸基を有する構成単位の含有量は、上記特定重合体の全質量に対し、0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、0.2質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.5質量%〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
上記特定重合体における酸基を有する構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C−NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
<<その他の構成単位>>
上記特定重合体は、既述の酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位、カルボン酸無水物構造を有する構成単位及び酸基を有する構成単位以外の、他の構成単位と称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
他の構成単位を形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
他の構成単位を用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、上記特定重合体の諸特性を調整することができる。特に、他の構成単位を適切に使用することで、特定重合体のTgを90℃以下に容易に調整することができる。
上記特定重合体は、他の構成単位を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
他の構成単位は、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどに由来する構成単位を挙げることができる。その他、特開2004−264623号公報の段落0021〜段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、他の構成単位として、芳香環を有する基、又は、脂肪族環式骨格を有する基が、得られる転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、他の構成単位としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の構成単位が好ましく挙げられる。
また、他の構成単位を形成するモノマーとして、低温ラミネート性及び解像度の観点から、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、アクリル酸アルキルエステルがより好ましく、炭素数4〜12のアルキル基を有するアクリル酸アルキルエステルが特に好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルが挙げられる。
更に、上記特定重合体は、他の構成単位として、下記式2で表される構成単位を有することが好ましい。
式2中、Rは水素原子又はメチル基を表し、Rはアルキル基を表す。
式2におけるRは、低温ラミネート性及び解像度の観点から、水素原子であることが好ましい。
式2におけるRは、低温ラミネート性及び解像度の観点から、炭素数1〜20のアルキル基であることが好ましく、炭素数2〜12のアルキル基であることがより好ましく、炭素数4〜12のアルキル基であることが更に好ましく、炭素数5〜9のアルキル基であることが特に好ましい。
また、Rにおけるアルキル基は、直鎖であってもよいし、分岐を有していても、環構造を有していてもよい。
他の構成単位の含有量は、上記特定重合体の全質量に対し、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましく、10質量%以上であることが更に好ましい。
また、上記式2で表される構成単位の含有量は、低温ラミネート性及び解像度の観点から、上記特定重合体の全質量に対し、10質量%〜85質量%が好ましく、15質量%〜80質量%がより好ましく、20質量%〜75質量%が更に好ましい。
本開示における特定重合体の好ましい例としては、後述する実施例におけるA−1〜A−11が挙げられるが、これらに限定されないことは言うまでもない。
<<特定重合体のガラス転移温度:Tg>>
上記特定重合体のガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であり、低温ラミネート性及び解像度の観点から、−20℃〜90℃であることが好ましく、20℃〜90℃であることがより好ましく、20℃〜60℃であることが更に好ましく、25℃〜45℃であることが特に好ましい。
本開示における重合体等の樹脂のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定する。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行う。本明細書におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される重合体のTgより約 50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し,DTA曲線又はDSC曲線を描かせる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
重合体のTgを、既述の好ましい範囲に調整する方法としては、例えば、目的とする重合体の各構成単位の単独重合体のTgと各構成単位の質量比より、FOX式を指針にして、目的とする特定重合体のTgを制御することが可能である。
FOX式について
例えば、2元共重合体の場合、重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2としたときに、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
また、3元以上のn元共重合体の場合は、重合体に含まれる第nの構成単位の単独重合体のTgをTgn、第nの構成単位の共重合体における質量分率をWnとしたときに、上記と同様、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+(W3/Tg3)・・・+(Wn/Tgn)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することも可能である。
また、Tg等を測定するための上記感光性樹脂層から上記特定重合体を分離する方法としては、上記感光性樹脂層を有機溶媒に溶解させた後、再沈殿法により分離する方法が好適に挙げられる。
<<特定重合体の分子量:Mw>>
上記特定重合体の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。上記特定重合体の重量平均分子量が60,000以下であることで、感光性樹脂層の溶融粘度を低く抑え、上記基板と貼り合わせる際において低温(例えば130℃以下)での貼り合わせを実現することができる。
また、上記特定重合体の重量平均分子量は、2,000〜60,000であることが好ましく、3,000〜50,000であることがより好ましい。
なお、本開示における重合体等の樹脂の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定される。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC(登録商標)−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM−M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本、直列に連結したものを用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
また、測定条件としては、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μl、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。
検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F−40」、「F−20」、「F−4」、「F−1」、「A−5000」、「A−2500」及び「A−1000」の7サンプルのいずれかを用いて作製できる。
上記特定重合体の数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0〜5.0が好ましく、1.05〜3.5がより好ましい。
<<特定重合体の製造方法>>
上記特定重合体の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を形成するための重合性単量体、カルボン酸無水物構造を有する構成単位を形成するための重合性単量体、更に必要に応じて、その他の構成単位を形成するための重合性単量体を含む有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本開示における上記感光性樹脂層は、低温ラミネート性の観点から、感光性樹脂層の全質量に対し、上記重合体成分を50質量%〜99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%〜98質量%の割合で含むことがより好ましい。
また、上記感光性樹脂層は、上記基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、感光性樹脂層の全質量に対し、上記特定重合体を50質量%〜99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%〜98質量%の割合で含むことがより好ましい。
<<他の重合体>>
上記感光性樹脂層は、重合体成分として、上記特定重合体に加え、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲において、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を含まない重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。上記感光性樹脂層が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
上記感光性樹脂層は、上記特定重合体に加え、他の重合体を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及び、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC−3000、ARUFON UC−3510、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920、及び、ARUFON UC−3080(以上、東亞合成(株)製)、並びに、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及び、Joncryl 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
−光酸発生剤−
上記感光性樹脂層は、光酸発生剤を含有する。
本開示で使用される光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、X線、及び、荷電粒子線等の活性放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。
本開示で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造に制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本開示で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、−10.0以上であることが好ましい。
光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤と、非イオン性光酸発生剤とを挙げることができる。
また、光酸発生剤としては、感度及び解像度の観点から、後述するオニウム塩化合物、及び、後述するオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
非イオン性光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、感度、解像度、及び、密着性の観点から、光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル−s−トリアジン類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0083〜段落0088に記載の化合物が例示できる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物が好ましい。
式(B1)中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、*は他の原子又は他の基との結合部位を表す。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物は、いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐構造を有していても、環構造を有していてもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1〜10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)、又は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6〜18のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されてもよい。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物は、特開2014−85643号公報の段落0078〜0111に記載のオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
イオン性光酸発生剤の例として、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましく、トリアリールスルホニウム塩類及びジアリールヨードニウム塩類が特に好ましい。
イオン性光酸発生剤としては特開2014−85643号公報の段落0114〜0133に記載のイオン性光酸発生剤も好ましく用いることができる。
光酸発生剤は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
上記感光性樹脂層における光酸発生剤の含有量は、感度及び解像度の観点から、上記感光性樹脂層の全質量に対して、0.1質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
−溶剤−
上記感光性樹脂層を形成する場合、特定重合体、光酸発生剤及び溶剤を含む感光性樹脂組成物を塗布乾燥して形成することが好ましい。
より詳しくは、上記感光性樹脂層を容易に形成するため、溶剤を含有させて上記感光性樹脂組成物の粘度を調節し、溶剤を含む上記感光性樹脂組成物を塗布及び乾燥して、上記感光性樹脂層を好適に形成することができる。
本開示に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及び、ラクトン類等が例示できる。また、溶剤の具体例としては特開2011−221494号公報の段落0174〜段落0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、既述の溶剤に、更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、又は、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
溶剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本開示に用いることができる溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又は、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
また、溶剤としては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又は、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点155℃)、及び、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3−メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
上記感光性樹脂組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分100質量部当たり、50質量部〜1,900質量部であることが好ましく、100質量部〜900質量部であることがより好ましい。
また、上記感光性樹脂層における溶剤の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対し、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
−その他の添加剤−
本開示における上記感光性樹脂層は、上記特定重合体及び光酸発生剤に加え、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
〔可塑剤〕
上記感光性樹脂層は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は、上記特定重合体よりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満がより更に好ましい。
可塑剤は、上記特定重合体と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に限定されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は下記構造を有することが好ましい。
上記式中、Rは炭素数2〜8のアルキル基であり、nは1〜50の整数を表し、*は他の原子との結合部位を表す。
なお、例えば、上記アルキレンオキシ基を有する化合物(「化合物X」とする。)であっても、化合物X、上記特定重合体及び光酸発生剤を混合して得た感光性樹脂層が、化合物Xを含まずに形成した感光性樹脂層に比べて可塑性が向上しない場合は、本開示における可塑剤には該当しない。例えば、任意に添加される界面活性剤は、一般に感光性樹脂層に可塑性をもたらす量で使用されることはないため、本明細書における可塑剤には該当しない。
上記可塑剤としては、例えば、下記構造を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
可塑剤の含有量は、可塑剤を使用する場合には、低温ラミネート性の観点から、上記感光性樹脂層の全質量に対して、1質量%〜50質量%であることが好ましく、2質量%〜20質量%であることがより好ましい。
上記感光性樹脂層は、可塑剤を1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
〔増感剤〕
上記感光性樹脂層は、増感剤を更に含むことができる。
増感剤は、活性放射線(活性光線)を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、及び、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
増感剤を含有させることで、露光感度を向上させることができる。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、及び、ジスチリルベンゼン誘導体よりなる群からえらばれた化合物が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、2−エチルアントラセン、又は、9,10−ジメトキシアントラセンが好ましい。
上記増感剤としては、国際公開第2015/093271号の段落0139〜段落0141に記載の化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対して、0質量%〜10質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましい。
〔塩基性化合物〕
上記感光性樹脂層は、塩基性化合物を更に含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、レジストで用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011−221494号公報の段落0204〜段落0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、及び、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、及び、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、及び、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、及び、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
上記塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対して、0.001質量%〜5質量%であることが好ましく、0.005質量%〜3質量%であることがより好ましい。
〔ヘテロ環状化合物〕
本開示における上記感光性樹脂層は、ヘテロ環状化合物を含有する化合物を含むことができる。
本開示におけるヘテロ環状化合物には、特に制限はない。例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、その他、各種環状エーテル、環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマー、環状アミン、オキサゾリンといった含窒素モノマー、更には珪素、硫黄、リンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を添加することができる。
上記感光性樹脂層中におけるヘテロ環状化合物の添加量は、ヘテロ環状化合物を添加する場合には上記感光性樹脂層の全質量に対し、0.01質量%〜50質量%であることが好ましく、0.1質量%〜10質量%であることがより好ましく、1質量%〜5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、密着性及びエッチング耐性の観点で好ましい。ヘテロ環状化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。2種以上を併用する場合、上記好ましい含有量は、2種以上のヘテロ環状化合物の総含有量を指す。
分子内にエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は市販品として入手できる。例えば、JER828、JER1007、JER157S70(三菱化学(株)製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011−221494号公報の段落0189に記載の市販品などが挙げられる。
その他の市販品として、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−411、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−211、EX−212、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L、DLC−201、DLC−203、DLC−204、DLC−205、DLC−206、DLC−301、DLC−402、EX−111,EX−121、EX−141、EX−145、EX−146、EX−147、EX−171、EX−192(以上、ナガセケムテックス(株)製)、YH−300、YH−301、YH−302、YH−315、YH−324、YH−325(以上、新日鐵住金化学(株)製)、セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)などが挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子内にエポキシ基を有する化合物の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
分子内にオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−201、OXT−211、OXT−212、OXT−213、OXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
本開示における感光性樹脂層は、ヘテロ環状化合物として、エポキシ基を有する化合物を含むことが、エッチング耐性及び線幅安定性の観点から好ましい。
〔アルコキシシラン化合物〕
上記感光性樹脂層は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリアコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ−クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランやγ−メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
〔界面活性剤〕
上記感光性樹脂層は、膜厚均一性の観点から、界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH−8400(東レ・ダウコーニングシリコーン)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式I−1で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
式(I−1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合位置を表す。
Lは、下記式(I−2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(I−2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
その他、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009−237362号公報の段落0060〜段落0071に記載の界面活性剤も用いることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の含有量は、上記感光性樹脂層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%〜10質量%であることがより好ましく、0.01質量%〜3質量%であることが更に好ましい。
〔その他の成分〕
本開示における感光性樹脂層には、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については、特開2014−85643号公報の段落0165〜段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<感光性樹脂層の厚み>
上記感光性樹脂層の厚みは、0.5μm〜20μmが好ましい。感光性樹脂層の厚みが20μm以下であるとパターンの解像度が良好であり、0.5μm以上であるとパターン直線性の観点から好ましい。
感光性樹脂層の厚みとしては、0.8μm〜15μmがより好ましく、1.0μm〜10μmが特に好ましい。
<感光性樹脂層の形成方法>
各成分、及び、溶剤を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性樹脂層を形成するための感光性樹脂組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
感光性樹脂組成物を仮支持体に塗布し、乾燥させることで、仮支持体上に感光性樹脂層を有する本開示に係る感光性転写材料を得ることができる。
塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
なお、仮支持体上に後述のその他の層を有する仮支持体とその他の層との積層体上に、感光性樹脂層を塗布することもできる。
<その他の層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂層以外の層(以下、「その他の層」と称することがある)を有していてもよい。その他の層としては、コントラストエンハンスメント層、中間層、カバーフィルム、熱可塑性樹脂層等を挙げることができる。
<コントラストエンハンスメント層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂層に加え、コントラストエンハンスメント層を有することができる。
コントラストエンハンスメント層(Contrast Enhancement Layer;CEL)は、露光前には露光波長に対する吸収が大きいが、露光されるに伴って次第に吸収が小さくなる、すなわち、光の透過率が高くなる材料(光消色性色素成分と称する)を含有する層である。光消色性色素成分としては、ジアゾニウム塩、スチルバゾリウム塩、アリールニトロソ塩類等が知られている。被膜形成成分としては、フェノール系樹脂等が用いられる。
その他、コントラストエンハンスメント層としては、特開平6−97065号公報の段落0004〜段落0051、特開平6−332167号公報の段落0012〜段落0055、フォトポリマーハンドブック,フォトポリマー懇話会編,工業調査会(1989)、フォトポリマー・テクノロジー,山岡、永松編,(株)日刊工業新聞社(1988)に記載の材料を用いることができる。
<中間層>
上記感光性樹脂層の上に、中間層を形成し、中間層の上に、コントラストエンハンスメント層(以下、「CEL」、又は「CE層」という場合がある。)を形成することもできる。中間層は、CELとポジ型感光性樹脂層とのミキシングを防止するために設けられる。
<熱可塑性樹脂層、カバーフィルム等>
本開示に係る感光性転写材料は、例えば、仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、ポジ型感光性樹脂層とをこの順で有することもできる。更に、感光性樹脂層を保護する目的でカバーフィルムを有していてもよい。
熱可塑性樹脂層の好ましい態様については特開2014−85643号公報の段落0189〜段落0193、他の層の好ましい態様については特開2014−85643号公報の段落0194〜段落0196にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
本開示に係る感光性転写材料が、熱可塑性樹脂層等のその他の層を有する場合、特開2006−259138号公報の段落0094〜段落0098に記載の感光性転写材料の作製方法に準じて作製することができる。
例えば、熱可塑性樹脂層及び中間層を有する本開示に係る感光性転写材料を作製する場合には、仮支持体上に、熱可塑性の有機高分子と添加剤とを溶解した溶解液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、得られた熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂及び添加剤を加えて調製した調製液(中間層用塗布液)を塗布し、乾燥させて中間層を積層する。形成した中間層上に、更に、中間層を溶解しない溶剤を用いて調製した感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂層を積層することによって、本開示に係る感光性転写材料を好適に作製することができる。
[回路配線の製造方法]
本開示に係る回路配線の製造方法は、基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程とも称する)、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂層をパターン露光する工程(露光工程とも称する)、上記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程(現像工程とも称する)、及び、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(エッチング処理工程とも称する)、をこの順に含む。
以下、各工程の詳細について説明する。
<貼り合わせ工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記感光性樹脂層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)を含む。
上記基板は、ガラス、シリコン、フィルムなどの基材自体が基板であってもよく、ガラス、シリコン、フィルムなどの基材上に、必要により導電性層などの任意の層が設けられた基板であってもよい。
中でも、上記基板としては、導電性層を有する基板であることが好ましい。
上記導電性層としては、一般的な回路配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電性層を挙げることができる。
導電性層の材料としては、金属及び金属酸化物などを挙げることができる。
金属としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Au、Ag、Ti、W、Si、Mo等を挙げることができる。金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)等を挙げることができる。
上記導電性層は、金属酸化物を含むものであることが好ましい。
上記導電性層は、1層より形成されていても、2以上の層より形成されていてもよく、また、上記基材表面における導電性層が異なる材質により形成されていてもよい。例えば、上記基材の一方の面に異なる材質で形成された導電性層を2層以上有する態様、上記基材の一方の面の一部に金属層が形成され、他の一部に上記金属層とは異なる金属の層が形成されている態様、及び、上記基材における1つの面の一部に金属層が形成され、上記1つの面の他の一部に金属酸化物層が形成されている態様などが例示できる。
また、上記基材及び上記導電性層の形状並びに厚さは、特に制限はなく、所望のパターン付き基材や回路基板に応じて、適宜設定すればよい。
上記貼り合わせ工程では、上記基板に上記感光性転写材料を圧着させる。
また、上記貼り合わせ工程においては、導電性層を有する基板における導電性層と、上記感光性樹脂層とが接触するように圧着させることが好ましい。上記態様であると、露光及び現像後のパターン形成された感光性樹脂層を、導電性層をエッチングする際のエッチングレジストとして好適に用いることができる。
上記基板と上記感光性転写材料とを圧着する方法としては、特に制限はなく、公知の転写方法、及び、ラミネート方法を用いることができる。
具体的には例えば、上記感光性転写材料の感光性樹脂層側を導電性層の上に重ね、ロール等による加圧、又は、加圧及び加熱することに行われることが好ましい。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネータを使用することができる。
上記貼り合わせ工程における圧着圧力及び温度は、特に制限はなく、導電性層及び感光性樹脂層の材質、搬送速度、並びに、使用する圧着機等に応じ、適宜設定することができる。また、感光性転写材料の感光性樹脂層上にカバーフィルムを有する場合は、感光性樹脂層からカバーフィルムを除去した後、圧着すればよい。
上記基材が樹脂フィルムである場合、ロールツーロールでの圧着を行ってもよい。
<露光工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂層をパターン露光する工程(露光工程)を含む。
上記露光では、本開示に係る感光性転写材料を貼り合わせた基板に所定のパターンを有するマスクを介して、活性放射線を照射することが好ましい。この工程では、光酸発生剤が分解し酸が発生する。発生した酸の触媒作用により、上記感光性樹脂層中に含まれる酸分解性基が加水分解されて、酸基、例えば、カルボキシル基又はフェノール性水酸基が生成する。
本開示において、パターンの詳細な配置及び具体的サイズは、特に限定されない。本開示において製造される回路基板を有する入力装置を備えた表示装置(例えば、タッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくしたいことから、パターンの少なくとも一部(特にタッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分)は、100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることがより好ましい。
また、露光工程における露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよいが、露光用マスクを介した露光であることが好ましい。
活性放射線(活性光線)としては、可視光、紫外光、及び、電子線が挙げられるが、可視光又は紫外光が好ましく、紫外線が特に好ましい。
活性放射線による露光光源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、発光ダイオード(LED)光源、エキシマレーザー発生装置などを用いることができ、g線(436nm)、i線(365nm)、h線(405nm)などの波長300nm以上450nm以下の波長を有する活性光線が好ましく使用できる。また、必要に応じて長波長カットフィルター、短波長カットフィルター、バンドパスフィルターのような分光フィルターを通して照射光を調整することもできる。
露光装置としては、ミラープロジェクションアライナー、ステッパー、スキャナー、プロキシミティ、コンタクト、マイクロレンズアレイ、レーザー露光など各種方式の露光機を用いることができる。
露光量は、上記感光性樹脂層に応じ、適宜選択すればよいが、5mJ/cm〜200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm〜100mJ/cmであることがより好ましい。
上記露光工程においては、仮支持体を有したまま上記感光性樹脂組成物層を露光してもよいし、仮支持体を剥離して上記感光性樹脂層を露光してもよいが、仮支持体を剥離して上記感光性樹脂層を露光することが好ましい。上記態様であると、得られるパターンの解像度により優れる。
酸触媒の生成した領域において、上記の加水分解反応を加速させるために、露光後加熱処理(Post Exposure Bake;以下、「PEB」ともいう。)を行うことができる。PEBにより、酸分解性基からのカルボキシル基又はフェノール性水酸基の生成を促進させることができる。PEBを行う場合の温度は、30℃以上130℃以下であることが好ましく、40℃以上110℃以下がより好ましく、50℃以上100℃以下が特に好ましい。
ただし、本開示における酸分解性基は、酸分解の活性化エネルギーが低く、露光による酸発生剤由来の酸により容易に分解し、酸基、例えば、カルボキシル基又はフェノール性水酸基を生じるため、必ずしもPEBを行うことなく、現像によりポジ画像を形成することもできる。
<現像工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程(現像工程)を含む
現像工程における露光された上記感光性樹脂層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液としては、上記感光性樹脂層の露光部分を除去することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5−72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は上記感光性樹脂層の露光部分が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましい。現像液としては、アルカリ水溶液が好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05mol/L(リットル)〜5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液がより好ましい。現像液は、更に、水と混和性を有する有機溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。本開示において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
現像方式としては、特に制限はなくパドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、並びに、ディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後の上記感光性樹脂層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、露光部分を除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の液温度は20℃〜40℃が好ましい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、現像後、水等により洗浄する工程や、得られたパターン付き基材を乾燥する工程等、公知の工程を含んでいてもよい。
更に、現像して得られた上記感光性樹脂層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。
ポストベークの温度は、80℃〜250℃であることが好ましく、110℃〜170℃であることがより好ましく、130℃〜150℃であることが特に好ましい。
ポストベークの時間は、1分〜30分であることが好ましく、2分〜10分であることがより好ましく、2分〜4分であることが特に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
また、ポストベークは、大気圧下で行っても、減圧下で行ってもよい。
<エッチング処理工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(エッチング処理工程)を含む。
エッチング処理工程では、上記感光性樹脂層から形成されたパターンを、エッチングレジストとして使用し、エッチング処理を行う。
上記エッチング処理は、特開2010−152155号公報の段落0048〜段落0054等に記載の方法など、公知の方法でエッチングを適用することができる。
例えば、エッチング処理の方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、フッ酸、シュウ酸、又は、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、又は、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、又は、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本開示において、エッチングマスク(エッチングパターン)として使用されるパターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。したがって、エッチング処理工程中に感光性樹脂層が剥離することが防止され、感光性樹脂層の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
エッチング処理工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて、上記基板を洗浄する工程(洗浄工程)及び上記基板を乾燥する工程(乾燥工程)を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温(10℃〜35℃)で純水により10秒〜300秒間基板を洗浄することが挙げられる。乾燥工程については、例えばエアブローを使用し、エアブロー圧(0.1kg/cm〜5kg/cm程度)を適宜調整して乾燥を行えばよい。
<剥離工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記エッチング処理工程の後に、上記感光性樹脂層を剥離液を用いて剥離する工程(剥離工程)を含むことが好ましい。
上記エッチング処理工程の終了後、パターン形成された上記感光性樹脂層が残存している。上記感光性樹脂層が不要であれば、残存する全ての上記感光性樹脂層を除去すればよい。
剥離液を用いて剥離する方法としては、例えば、好ましくは30℃〜80℃、より好ましくは50℃〜80℃にて撹拌中の剥離液に上記感光性樹脂層などを有する基板を5分〜30分間浸漬する方法が挙げられる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム若しくは水酸化カリウム等の無機アルカリ成分、又は、第三級アミン若しくは第四級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、又は、これらの混合溶液に溶解させた剥離液が挙げられる。剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、又は、パドル法等により剥離してもよい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、ポスト露光工程等、その他の工程を有していてもよい。
本開示における露光工程、現像工程、及び、その他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落0035〜段落0051に記載の方法を好適に用いることができる。
また、その他の工程としては、例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に限定されない。
<可視光線反射率を低下させる工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、上記基材上の導電性層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含んでいてもよい。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理などを挙げることができる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014−150118号公報の段落0017〜段落0025、並びに、特開2013−206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、これらの公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<エッチングされた上記導電性層上に絶縁膜を形成する工程、及び、絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、形成した回路配線(例えば、エッチングされた上記導電性層)上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程とを含むことも好ましい。
絶縁膜を形成する工程については、特に制限はなく、公知の永久膜を形成する方法を挙げることができる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電性層を形成する工程については、特に制限はない。導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電性層を形成してもよい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、上記新たな導電性層を、上記と同様な方法(貼り合わせ工程、露光工程、現像工程及びエッチング処理工程)によりエッチングレジストを形成してエッチングしてもよいし、別途、公知の方法によりエッチングしてもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法により得られる回路基板は、上記導電性層から形成された1層のみの回路配線を有していても、上記導電性層から形成された2層以上の回路配線を有していてもよい。
また、本開示に係る回路配線の製造方法は、基板が両方の表面にそれぞれ複数の導電性層を有し、基板の両方の表面に形成された導電性層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。このような構成により、基板の一方の表面に第一の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成した回路配線、好ましくはタッチパネル用回路配線を形成することができる。
<回路配線及び回路基板>
本開示に係る回路配線は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線である。
本開示に係る回路基板は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を有する基板である。
本開示に係る回路基板の用途は限定されないが、例えば、タッチパネル用回路基板であることが好ましい。タッチパネル用回路基板の好ましい態様については、静電容量型入力装置の説明で後述する。
<入力装置及び表示装置>
本開示に係る回路配線の製造方法により製造される回路配線を備えた装置として、入力装置が挙げられる。
本開示における入力装置は、静電容量型タッチパネルであることが好ましい。
本開示における表示装置は、本開示における入力装置を備えることが好ましい。本開示における表示装置は、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置等の画像表示装置であることが好ましい。
<タッチパネル、及び、タッチパネル表示装置>
本開示に係るタッチパネルは、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネルである。また、本開示に係るタッチパネルは、透明基板と、電極と、絶縁層又は保護層とを少なくとも有することが好ましい。
本開示に係るタッチパネル表示装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネル表示装置であり、本開示に係るタッチパネルを有するタッチパネル表示装置であることが好ましい。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置のおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び、光学方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012−517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013−168125号公報の図19に記載のもの、特開2012−89102号公報の図1や図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch−on−Lens)型(例えば、特開2013−54727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013−164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
本開示のタッチパネル及び本開示のタッチパネル表示装置としては、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日、(株)テクノタイムズ社発行)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress
Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本開示の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本開示の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
重合体のTgは、JIS K 7121(1987年)に記載の方法に順じ、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定した。また、ガラス転移温度としては、補外ガラス転移開始温度を用いた。
[(A)重合体成分]
以下の合成例において、以下の略語はそれぞれ以下の化合物を表す。
ATHF:2−テトラヒドロフラニルアクリレート(合成品)
MATHF:2−テトラヒドロフラニルメタクリレート(合成品)
MAEVE:1−エトキシエチルメタクリレート(和光純薬工業(株)製)
ATHP:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルアクリレート(新中村化学工業(株)製)
MATHP:テトラヒドロ−2H−ピラン−2−イルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
AA:アクリル酸(東京化成工業(株)製)
MA:アクリル酸メチル(東京化成工業(株)製)
MMA:メタクリル酸メチル(東京化成工業(株)製)
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
CHMA:メタクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
EHA:アクリル酸 2−エチルヘキシル(東京化成工業(株)製)
BMA:アクリル酸n−ブチル(東京化成工業(株)製)
AICA:イタコン酸無水物(東京化成工業(株)製)
MAAN:マレイン酸無水物(東京化成工業(株)製)
MEDG(ジエチレングリコールエチルメチルエーテル):ハイソルブEDM(東邦化学工業(株)製)
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):(昭和電工(株)製)
V−601:ジメチル 2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製)
<MATHFの合成>
3つ口フラスコにメタクリル酸(86.1質量部、1.0モル当量)、ヘキサン(86.1質量部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.0070質量部、0.03ミリモル当量)、2−ジヒドロフラン(70.1部、1.0モル当量)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(ろ過補助剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ろ過補助剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、0.0012質量部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、メタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イル(MATHF)156.2質量部を無色油状物として得た(収率98.0%)。
<ATHFの合成>
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1質量部、1.0モル当量)、ヘキサン(72.1質量部)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(0.0070質量部、0.03ミリモル当量)、2−ジヒドロフラン(77.9質量部、1.0モル当量)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200、キョーワード1000の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にMEHQ(0.0012質量部)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、アクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イル(ATHF)140.8質量部を無色油状物として得た(収率99.0%)。
<重合体A−1の合成例>
3つ口フラスコにPGMEA(75.0質量部)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。ATHF(10.0質量部)、AA(1.0質量部)、アクリル酸メチル(24.0質量部)、アクリル酸2−エチルヘキシル(40.0質量部)、AICA(25.0質量部)、V−601(4.1質量部)、及び、PGMEA(75.0質量部)を加えた溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃にて2時間撹拌することで、重合体A−1(固形分濃度40.0%)を得た。
<重合体A−2〜重合体A−13の合成例>
モノマーの種類等を下記表1に示す通りに変更し、その他の条件については、重合体A−1と同様の方法で合成した。重合体の固形分濃度は40質量%とした。なお、表1のモノマーは質量%で示している。
なお、表1に記載された重合体A−15は、以下に示す重合体である。各構成単位を示す括弧の右下の数値は、質量比を表す。
A−15:特許第4131062号公報の段落0147に記載の重合体である。また、特許第4131062号公報の段落0136に記載の方法にて重合した。
以下に、後述する感光性樹脂組成物の調製に使用し、また、後述する表2に記載した各成分の詳細を示す。
[光酸発生剤]
B−1:下記に示す構造(特開2013−47765号公報の段落0227に記載の化合物であり、段落0227に記載の方法に従って合成した)
B−2:PAG−103(商品名、下記化合物、BASF社製)
B−3:下記に示す構造(特開2014−197155号公報の段落0210に記載の方法に従って合成した。なお、Tsは、p−トルエンスルホニル基を表す。)
B−4:GSID−26−1、トリアリールスルホニウム塩(BASF社製)
[界面活性剤]
C−1:下記に示す構造の化合物
[塩基性化合物]
D−1:下記に示す構造の化合物(CMTU)
D−2:2,4,5−トリフェニルイミダゾール(東京化成工業(株)製)
D−3:1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(東京化成工業(株)製)
(増感剤)
DBA:9,10−ジブトキシアントラセン(川崎化成工業(株)製)
(実施例1〜11、及び、比較例1〜4)
<感光性転写材料の調製>
実施例1〜11及び比較例1〜4では、下記表2に示す固形分比となるように、重合体成分、光酸発生剤、塩基性化合物、界面活性剤、及び、その他の成分をPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に固形分濃度10質量%になるように溶解混合し、口径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過して、感光性樹脂組成物を得た。
この感光性樹脂組成物を、仮支持体となる厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PET(A)」とする)の上に、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が5.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後にカバーフィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着して感光性転写材料1を作製した。
なお、PET(A)の全光ヘイズは0.19%であった。フィルムヘイズは、スガ試験機(株)製ヘイズメーターHZ−2を用い、JIS−K−7136に準拠してベース小片の全光ヘイズ値(%)を測定した。
<性能評価>
厚さ188μmのPETフィルム上に厚さ500nmでスパッタ法にて銅層を作製した銅層付きPET基板、又は、厚さ150nmでスパッタ法にて酸化インジウムスズ(ITO)層を作製したITO層付きPET基板を使用した。
<低温ラミネート性評価>
作製した感光性転写材料を50cm角にカットし、カバーフィルムを剥がして、ロール温度90℃、線圧0.8MPa、線速度3.0m/min.のラミネート条件で銅層付きPET基板またはITO層付きPET基板にラミネートした。感光性樹脂層が各層に密着する面積を目視評価し、感光性樹脂層が密着した面積/カットした転写材料の面積(%)により密着した面積割合を求めた。
5:95%以上
4:90%以上95%未満
3:85%以上90%未満
2:80%以上85%未満
1:80%未満
<解像度評価>
作製した感光性転写材料を、線圧0.8MPa、線速度3.0m/min.のラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。なお、ロール温度90℃で低温ラミネート性4以下の場合、低温ラミネート性が5判定になるまでラミネート時のロール温度を上げて試料を作製した。
仮支持体を剥離せずに線幅3μm〜20μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)マスクを介して超高圧水銀灯で露光後、1時間引き置いた後に仮支持体を剥離して現像した。現像は28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で30秒行った。このように得られたラインアンドスペースパターンで、最も高解像度であったパターンを到達解像度とした。また、到達解像度を判断する際、パターンの側壁部に大きな荒れが生じている場合には、解像できていないとした。
5:7μm未満
4:7μm以上10μm未満
3:10μm以上15μm未満
2:15μm以上20μm未満
1:20μm以上
以下、表2に結果をまとめて示す。
表2に示すように、本開示に係る感光性転写材料は、従来よりも低い温度での転写が可能であり、かつフォトリソグラフィによりラインアンドスペースパターンを形成できる。
(実施例101)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層として酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(線圧0.8MPa、線速度3.0m/min、ロール温度90℃)。仮支持体を剥離せずに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図2に示すパターンAを設けたフォトマスクを用いてコンタクトパターン露光した。
なお、図2に示すパターンAは、実線部SL及びグレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、アライメントを合わせた状態で図3に示すパターンBの開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、現像、水洗を行った。
なお、図3に示すパターンBは、グレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後、Cu−02を用いて銅層をエッチングし、残った感光性樹脂層を剥離液(関東化学(株)製KP−301)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
これにより、回路配線基板を得た。顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
(実施例102)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層としてITOをスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料1をラミネートした(線圧0.6MPa、線速度3.6m/min、ロール温度90℃)。
仮支持体を剥離せずに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図2に示すパターンAを設けたフォトマスクを用いてパターン露光した。その後仮支持体を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、残存しているレジスト上に保護層としてPET(A)をラミネートした。この状態で、アライメントを合わせた状態でパターンBの開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、PET(A)を剥離した後に現像、水洗を行った。
その後、Cu−02を用いて銅配線をエッチングし、残った感光性樹脂層を剥離液(関東化学(株)製KP−301)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
12:仮支持体、14:感光性樹脂層、16:カバーフィルム、100:感光性転写材料、SL:実線部、G:グレー部、DL:点線部

Claims (11)

  1. 仮支持体、並びに、
    酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位及びカルボン酸無水物構造を有する構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体と、光酸発生剤とを含む感光性樹脂層を有する
    感光性転写材料。
  2. 前記カルボン酸無水物構造を有する構成単位が、カルボン酸無水物構造を有する構成単位である請求項1に記載の感光性転写材料。
  3. 前記カルボン酸無水物構造を有する構成単位が、5又は6員環の環状カルボン酸無水物構造を有する構成単位である請求項1又は請求項2に記載の感光性転写材料。
  4. 前記カルボン酸無水物構造を有する構成単位が、下記式1Aで表される構成単位及び下記式1Bで表される構成単位よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構成単位である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  5. 前記重合体における前記カルボン酸無水物構造を有する構成単位の含有量が、重合体の全質量に対し、1質量%以上20質量%以下である請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  6. 前記重合体における前記式1Aで表される構成単位及び下記式1Bで表される構成単位の総含有量が、重合体の全質量に対し、1質量%以上20質量%以下である請求項5に記載の感光性転写材料。
  7. 前記重合体のガラス転移温度が、20℃以上90℃以下である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  8. 前記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位が、下記式Aで表される構成単位である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の感光性転写材料。

    式A中、R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR31及びR32のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R33はアルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
  9. 前記重合体における前記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位の含有量が、重合体の全質量に対し、15質量%以上である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の感光性転写材料。
  10. 前記重合体における前記式Aで表される構成単位の含有量が、前記重合体の全質量に対し、15質量%以上である請求項8に記載の感光性転写材料。
  11. 基板に対し、請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載の感光性転写材料の前記感光性樹脂層を前記基板に接触させて貼り合わせる工程、
    前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記感光性樹脂層をパターン露光する工程、
    前記露光する工程後の感光性樹脂層を現像してパターンを形成する工程、及び、
    前記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程、
    をこの順に含む、回路配線の製造方法。
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