JP6995865B2 - 感光性転写材料の製造方法、及び、回路配線の製造方法 - Google Patents

感光性転写材料の製造方法、及び、回路配線の製造方法 Download PDF

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Description

本開示は、感光性転写材料及びその製造方法、並びに、回路配線の製造方法に関する。
静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターン、周辺配線部分及び取り出し配線部分の配線などの導電性層パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般的にパターン化した層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといったことから、感光性転写材料を用いて任意の基板上に設けた感光性樹脂組成物の層に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光した後に現像する方法が広く使用されている。
例えば、特開2015-194715号公報には、(A)活性光線又は放射線の照射により酸を発生する酸発生剤と、(B)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂と、(S)有機溶剤と、を含有する厚膜用化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物であって、上記(B)酸の作用によりアルカリに対する溶解性が増大する樹脂が、(B-3)-SO-含有環式基、又はラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位を含有するアクリル樹脂を含み、上記厚膜用化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分の全質量に対する、上記(B-3)アクリル樹脂の質量の割合が70質量%以上であり、膜厚10μm以上の厚膜レジストパターンの形成に用いられる、厚膜用化学増幅型ポジ型感光性樹脂組成物が開示されている。
また、特開2009-282522号公報には、支持体フィルム;光分解性フォトレジスト層;及び基板にラミネーションされる面に形成された反射抑制層;を含むことを特徴とする、フィルム型光分解性転写材料が開示されている。
本発明の一実施形態が解決しようとする課題は、転写性及び得られるパターンの直線性に優れる感光性転写材料を提供することである。
本発明の他の一実施形態が解決しようとする課題は、転写性及び得られるパターンの直線性に優れる感光性転写材料の製造方法を提供することである。
また、本発明の更に他の一実施形態が解決しようとする課題は、上記感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法を提供することである。
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 仮支持体上に、感光性樹脂組成物層、及び、紫外線吸収層を有し、上記感光性樹脂組成物層が、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体A1と、光酸発生剤とを含み、上記紫外線吸収層が、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むか、又は、紫外線吸収能を有する重合体A3を含み、上記紫外線吸収層に含まれる、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度が、90℃以下であるポジ型感光性転写材料。
<2> 上記重合体A1のガラス転移温度が、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度よりも高い上記<1>に記載のポジ型感光性転写材料。
<3> 上記重合体A1のガラス転移温度が、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度よりも10℃以上50℃以下高い温度である上記<1>又は<2>に記載のポジ型感光性転写材料。
<4> 上記重合体A1のガラス転移温度が、120℃以下である上記<1>~<3>のいずれか1つに記載のポジ型感光性転写材料。
<5> 上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度が、-20℃以上60℃以下である上記<1>~<4>のいずれか1つに記載のポジ型感光性転写材料。
<6> 上記紫外線吸収層が、紫外線吸収能を有する重合体A3を含む上記<1>~<5>のいずれか1つに記載のポジ型感光性転写材料。
<7> 感光性樹脂組成物層上に、水性塗布液を用いて塗布及び乾燥して紫外線吸収層を形成する工程を含む上記<1>~<6>のいずれか1つに記載のポジ型感光性転写材料の製造方法。
<8> 上記水性塗布液が、アルカリ性である上記<7>に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法。
<9> 仮支持体S1上に形成された感光性樹脂組成物層と、仮支持体S2上に形成された紫外線吸収層とを貼り合わせる工程を含む上記<1>~<6>のいずれか1つに記載のポジ型感光性転写材料の製造方法。
<10> 基板に対し、上記<1>~<6>のいずれか1つに記載のポジ型感光性転写材料の上記紫外線吸収層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂組成物層をパターン露光する工程と、上記露光する工程後の露光部を現像してパターンを形成する工程と、上記パターンが配置されていない領域における上記基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む回路配線の製造方法。
本発明の一実施形態によれば、転写性及び得られるパターンの直線性に優れる感光性転写材料を提供することができる。
本発明の他の一実施形態によれば、転写性及び得られるパターンの直線性に優れる感光性転写材料の製造方法を提供することができる。
また、本発明の更に他の一実施形態によれば、上記感光性転写材料を用いた回路配線の製造方法を提供することができる。
本開示に係るポジ型感光性転写材料の層構成の一例を示す概略図である。 本開示に係るポジ型感光性転写材料を用いたタッチパネル用回路配線の製造方法の一例を示す概略図である。 パターンAを示す概略図である。 パターンBを示す概略図である。
以下、本開示の内容について説明する。なお、添付の図面を参照しながら説明するが、符号は省略する場合がある。
また、本明細書において「~」を用いて表される数値範囲は、「~」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの双方、又は、いずれかを表す。
更に、本明細書において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても工程の所期の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
また、本明細書における化学構造式は、水素原子を省略した簡略構造式で記載する場合もある。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
また、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
(ポジ型感光性転写材料)
本開示に係るポジ型感光性転写材料(以下、単に「感光性転写材料」ともいう。)は、仮支持体上に、感光性樹脂組成物層、及び、紫外線吸収層を有し、上記感光性樹脂組成物層が、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体A1と、光酸発生剤とを含み、上記紫外線吸収層が、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むか、又は、紫外線吸収能を有する重合体A3を含み、上記紫外線吸収層に含まれる、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度が、90℃以下である。
また、本開示に係るポジ型感光性転写材料は、仮支持体上に、感光性樹脂組成物層、及び、紫外線吸収層をこの順で有することが好ましい。
しかしながら、従来の転写、露光、及び、現像の各工程を含む方法において、ポジ型感光性転写材料により形成した感光性樹脂組成物層を画像形成すると、露光時において、露光に使用する光の反射光が生じ、入射光と反射光とによる干渉縞、いわゆる定在波による層状の構造が生じ、パターンの側面部の形状が悪化することにより、得られるパターンの直線性が不十分となることを本発明者らは見出した。
また、単に感光性転写材料に反射防止層を設けただけでは、転写性が不十分となる場合があることを本発明者らは見出した。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、上記構成のポジ型感光性転写材料とすることにより、上記紫外線吸収層を有するため、得られるパターンの直線性に優れるとともに、上記紫外線吸収層が、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むか、又は、紫外線吸収能を有する重合体A3を含み、上記紫外線吸収層に含まれる、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度を90℃以下とすることにより、転写性にも優れると本発明者らは推定している。
以下、本開示に係るポジ型感光性転写材料について、詳細に説明する。
図1は、本開示に係る感光性転写材料の層構成の一例を概略的に示している。図1に示す感光性転写材料100は、仮支持体S1 10と、感光性樹脂組成物層12と、紫外線吸収層14と、仮支持体S2 16とがこの順に積層されている。
感光性樹脂組成物層12は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体と、光酸発生剤とを含有する。
紫外線吸収層14は、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むか、又は、紫外線吸収能を有する重合体A3を含み、上記紫外線吸収層に含まれる、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度が、90℃以下である。
以下、本開示に係る感光性転写材料の構成材料等について説明する。なお、本開示における上記構成について本明細書では以下のように称する場合がある。
酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を「重合体A1」と称する場合がある。
上記感光性樹脂組成物層は、ポジ型の感光性樹脂組成物層であり、「ポジ型感光性樹脂組成物層」と称する場合がある。
<仮支持体>
仮支持体は、感光性樹脂組成物層及び紫外線吸収層を支持し、感光性樹脂組成物層又は紫外線吸収層から剥離可能な支持体である。
本開示に用いられる仮支持体は、感光性樹脂組成物層をパターン露光する際に仮支持体を介して感光性樹脂組成物層を露光し得る観点から光透過性を有することが好ましい。
光透過性を有するとは、パターン露光に使用する光の主波長の透過率が50%以上であることを意味し、パターン露光に使用する光の主波長の透過率は、露光感度向上の観点から、60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。透過率の測定方法としては、大塚電子(株)製MCPD Seriesを用いて測定する方法が挙げられる。
仮支持体としては、ガラス基板、樹脂フィルム、紙等が挙げられ、強度及び可撓性等の観点から、樹脂フィルムが特に好ましい。樹脂フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレートフィルム、トリ酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム等が挙げられる。中でも、2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムが特に好ましい。
また、後述するように、感光性樹脂組成物層と紫外線吸収層とを貼り合せて形成する場合のように、感光性樹脂組成物層及び紫外線吸収層の積層体の両側に仮支持体をそれぞれ有していてもよい。
仮支持体の厚みは、特に限定されず、5μm~200μmの範囲が好ましく、取扱い易さ、汎用性などの点で、10μm~150μmの範囲がより好ましい。
仮支持体の厚みは、支持体としての強度、回路配線形成用基板との貼り合わせに求められる可撓性、最初の露光工程で要求される光透過性などの観点から、材質に応じて選択すればよい。
仮支持体の好ましい態様については、例えば、特開2014-85643号公報の段落0017~段落0018に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<感光性樹脂組成物層>
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体上に、感光性樹脂組成物層、及び、紫外線吸収層を有し、上記感光性樹脂組成物層が、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体A1と、光酸発生剤とを含む。
また、本開示における感光性樹脂組成物層は、ポジ型感光性樹脂組成物層であり、化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物層であることが好ましい。
後述するオニウム塩やオキシムスルホネート化合物等の光酸発生剤は、活性放射線(活性光線)に感応して生成される酸が、上記重合体A1中の保護された酸基の脱保護に対して触媒として作用するので、1個の光量子の作用で生成した酸が、多数の脱保護反応に寄与し、量子収率は1を超え、例えば、10の数乗のような大きい値となり、いわゆる化学増幅の結果として、高感度が得られる。
一方、活性放射線に感応する光酸発生剤としてキノンジアジド化合物を用いた場合、逐次型光化学反応によりカルボキシ基を生成するが、その量子収率は必ず1以下であり、化学増幅型には該当しない。
-酸分解性で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体を含む重合体A1-
上記感光性樹脂組成物層は、酸分解性で保護された酸基を有する構成単位(「構成単位A」ともいう。)を有する重合体A1(単に「重合体A1」ともいう。)を含む。
また、上記感光性樹脂組成物層は、構成単位Aを有する重合体A1に加え、他の重合体を含んでいてもよい。本開示においては、構成単位Aを有する重合体A1及び他の重合体をあわせて、「重合体成分」ともいう。
上記重合体A1は、露光により生じる触媒量の酸性物質の作用により、重合体A1中の酸分解性で保護された酸基を有する構成単位Aが脱保護反応を受け酸基となる。この酸基により、硬化反応が可能となる。
以下に構成単位Aの好ましい態様について説明する。
上記感光性樹脂組成物層は、更に、酸分解性で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体A1以外の重合体を含んでいてもよい。
また、上記重合体成分に含まれる全ての重合体がそれぞれ、後述する酸基を有する構成単位を少なくとも有する重合体であることが好ましい。
また、上記感光性樹脂組成物は、更に、これら以外の重合体を含んでいてもよい。本開示における上記重合体成分は、特に述べない限り、必要に応じて添加される他の重合体を含めたものを意味するものとする。なお、後述する架橋剤及び分散剤に該当する化合物は、高分子化合物であっても、上記重合体成分に含まないものとする。
重合体A1は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
上記感光性樹脂組成物層は、パターン形状の変形抑制、現像液への溶解性及び転写性の観点から、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位を有する重合体を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位を有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体A1を含むことが好ましく、重合体成分として、上記構成単位Aとして下記式A1で表される構成単位、及び、後述する酸基を有する構成単位Bを有し、かつガラス転移温度が90℃以下である重合体A1を含むことが更に好ましい。
上記感光性樹脂組成物層に含まれる重合体A1は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
<<構成単位A>>
上記重合体成分は、酸分解性で保護された酸基を有する構成単位Aを少なくとも有する重合体A1を含む。上記重合体成分が構成単位Aを有する重合体を含むことにより、極めて高感度な化学増幅ポジ型の感光性樹脂組成物層とすることができる。
本開示における「酸分解性で保護された酸基」は、酸基及び酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシル基、及び、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性で保護された酸基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、式A1で表される基で保護されたエステル基、テトラヒドロピラニルエステル基、又は、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解し難い基(例えば、tert-ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert-ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
これらの中でも、上記酸分解性基としては、アセタールの形で保護された構造を有する基であることが好ましい。
<<構成単位A>>
上記酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位Aは、感度及び解像度の観点から、下記式A1で表される構成単位であることが好ましい。
Figure 0006995865000001
式A1中、R31及びR32はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともR31及びR32のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、R33はアルキル基又はアリール基を表し、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又はアリーレン基を表す。
式A1中、R31又はR32がアルキル基の場合、炭素数は1~10のアルキル基が好ましい。R31又はR32がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R31及びR32は、それぞれ、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
式A1中、R33は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
また、R31~R33におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A1中、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R31又はR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A1中、Xは単結合又はアリーレン基を表し、単結合が好ましい。アリーレン基は、置換基を有していてもよい。
上記式A1で表される構成単位は、酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位である。重合体A1が式A1で表される構成単位を含むことで、パターン形成時の感度に優れ、また、解像度より優れる。
式A1中、R34は水素原子又はメチル基を表し、重合体A1のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、重合体A1に含まれる式A1で表される構成単位の全量に対し、式AにおけるR34が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、式A1で表される構成単位中の、式A1におけるR34が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式A1で表される構成単位の中でも、下記式A2で表される構成単位が、パターン形成時の感度を更に高める観点からより好ましい。
Figure 0006995865000002
式A2中、R34は水素原子又はメチル基を表し、R35~R41はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。
式A2中、R34は水素原子が好ましい。
式A2中、R35~R41は、水素原子が好ましい。
式A1で表される、酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、R34は水素原子又はメチル基を表す。
Figure 0006995865000003
また、上記構成単位Aとしては、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式A3で表される構成単位が好ましい。
Figure 0006995865000004
式A3中、RB1及びRB2はそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基又はアリール基を表し、少なくともRB1及びRB2のいずれか一方がアルキル基又はアリール基であり、RB3はアルキル基又はアリール基を表し、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB4は水素原子又はメチル基を表し、Xは単結合又は二価の連結基を表し、RB12は置換基を表し、nは0~4の整数を表す。
式A3中、RB1又はRB2がアルキル基の場合、炭素数は1~10のアルキル基が好ましい。RB1又はRB2がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。RB1及びRB2は、それぞれ、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基が好ましい。
式A3中、RB3は、アルキル基又はアリール基を表し、炭素数1~10のアルキル基が好ましく、炭素数1~6のアルキル基がより好ましい。
また、RB1~RB3におけるアルキル基及びアリール基は、置換基を有していてもよい。
式A3中、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成してもよく、RB1又はRB2と、RB3とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5又は6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
式A3中、Xは単結合又は二価の連結基を表し、単結合又はアルキレン基、-C(=O)O-、-C(=O)NR-、-O-又はこれらの組み合わせが好ましく、単結合がより好ましい。アルキレン基は、直鎖状でも分岐を有していても環状構造を有していてもよく、置換基を有していてもよい。アルキレン基の炭素数は1~10が好ましく、1~4がより好ましい。Xが-C(=O)O-を含む場合、-C(=O)O-に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Xが-C(=O)NR-を含む場合、-C(=O)NR-に含まれる炭素原子と、RB4が結合した炭素原子とが直接結合する態様が好ましい。Rはアルキル基又は水素原子を表し、炭素数1~4のアルキル基又は水素原子が好ましく、水素原子がより好ましい。
式A3中、RB1~RB3を含む基と、Xとは、互いにパラ位で結合することが好ましい。
式A3中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
式A3中、nは0~4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式A3中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、重合体A1のTgをより低くし得るという観点から、水素原子であることが好ましい。
より具体的には、重合体A1に含まれる構成単位Aの全含有量に対し、式A3におけるRB4が水素原子である構成単位は20質量%以上であることが好ましい。
なお、構成単位A中の、式A3におけるRB4が水素原子である構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-核磁気共鳴スペクトル(NMR)測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
式A3で表される構成単位の中でも、パターン形状の変形抑制の観点から、下記式A4で表される構成単位がより好ましい。
Figure 0006995865000005
式A4中、RB4は水素原子又はメチル基を表し、RB5~RB11はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表し、RB12は置換基を表し、nは0~4の整数を表す。
式A4中、RB4は水素原子が好ましい。
式A4中、RB5~RB11は、水素原子が好ましい。
式A4中、RB12は置換基を表し、アルキル基又はハロゲン原子が好ましい。アルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~4がより好ましい。
式A4中、nは0~4の整数を表し、0又は1が好ましく、0がより好ましい。
式A4で表される構成単位A4の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、RB4は水素原子又はメチル基を表す。
Figure 0006995865000006
重合体A1に含まれる構成単位Aは、1種であっても、2種以上であってもよい。
重合体A1における構成単位Aの含有量は、重合体A1の全質量に対して、20質量%以上であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが更に好ましい。
重合体A1における構成単位Aの含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
また、全ての重合体成分を構成単位(モノマー単位)に分解したうえで、構成単位Aの割合は、重合体成分の全質量に対して、5質量%~80質量%であることが好ましく、10質量%~80質量%であることがより好ましく、30質量%~70質量%であることが特に好ましい。
<<構成単位B>>
上記重合体A1は、酸基を有する構成単位Bを含むことが好ましい。
構成単位Bは、保護基、例えば、酸分解性基で保護されていない酸基、すなわち、保護基を有さない酸基を有する構成単位である。重合体A1が構成単位Bを含むことで、パターン形成時の感度が良好となり、パターン露光後の現像工程においてアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、現像時間の短縮化を図ることができる。
本明細書における酸基とは、pKaが12以下のプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成しうるモノマーを用いて、酸基を有する構成単位(構成単位B)として、重合体に組み込まれる。感度向上の観点から、酸基のpKaは、10以下が好ましく、6以下がより好ましい。また、酸基のpKaは、-5以上であることが好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、及び、スルホニルイミド基等が例示される。中でも、カルボン酸基及びフェノール性水酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸基が好ましい。
重合体A1への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを共重合させること又は酸無水物構造を有するモノマーを共重合させ酸無水物を加水分解することで行うことができる。
構成単位Bである、酸基を有する構成単位は、スチレン化合物に由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。具体的には、カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4-カルボキシスチレン等が挙げられ、フェノール性水酸基を有するモノマーとしてはp-ヒドロキシスチレン、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
構成単位Bとしては、カルボン酸基を有する構成単位、又は、フェノール性水酸基を有する構成単位が、パターン形成時の感度がより良好となるという観点から好ましい。
構成単位Bを形成しうる酸基を有するモノマーは既述の例に限定されない。
重合体A1に含まれる構成単位Bは、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
重合体A1は、重合体A1の全質量に対し、酸基を有する構成単位(構成単位B)を0.1質量%~20質量%含むことが好ましく、0.5質量%~15質量%含むことがより好ましく、1質量%~10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
重合体A1における構成単位Bの含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
<<その他の構成単位>>
重合体A1は、既述の構成単位A及び構成単位B以外の、他の構成単位(以下、構成単位Cと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
構成単位Cを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
構成単位Cを用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、重合体A1の諸特性を調整することができる。特に、構成単位Cを適切に使用することで、重合体A1のTgを容易に調整することができる。
ガラス転移温度を120℃以下とすることで、重合体A1を含有するポジ型感光性樹脂組成物層は、転写性、仮支持体からの剥離性を良好なレベルに維持しつつ、パターン形成時の解像度及び感度がより良好となる。
重合体A1は、構成単位Cを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
構成単位Cは、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどを重合して形成される構成単位を挙げることができる。その他、特開2004-264623号公報の段落0021~段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、構成単位Cとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が、得られる転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。これら構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、構成単位Cとしては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の構成単位が好ましく挙げられる。
また、構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。中でも、炭素数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが密着性の観点でより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
構成単位Cの含有量は、重合体A1の全質量に対し、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。上記範囲であると、解像度及び密着性がより向上する。
重合体A1が、構成単位Cとして、上記構成単位Bにおける酸基のエステルを有する構成単位を含むことも、現像液に対する溶解性、及び、上記感光性樹脂組成物層の物理物性を最適化する観点から好ましい。
中でも、重合体A1は、構成単位Bとして、カルボン酸基を有する構成単位を含み、更に、カルボン酸エステル基を含む構成単位Cを共重合成分として含むことが好ましく、例えば、(メタ)アクリル酸由来の構成単位Bと、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位(c)とを含む重合体がより好ましい。
以下、本開示における重合体A1の好ましい例を挙げるが、本開示は以下の例示に限定されない。なお、下記例示化合物における構成単位の比率、重量平均分子量は、好ましい物性を得るために適宜選択される。
Figure 0006995865000007
<<重合体A1のガラス転移温度:Tg>>
本開示における重合体A1のガラス転移温度(Tg)は、転写性の観点から、120℃以下であることが好ましく、20℃以上90℃以下であることがより好ましい。
本開示における重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)を用いて測定することができる。
具体的な測定方法は、JIS K 7121(1987年)又はJIS K 6240(2011年)に記載の方法に順じて行った。本明細書におけるガラス転移温度は、補外ガラス転移開始温度(以下、Tigと称することがある)を用いている。
ガラス転移温度の測定方法をより具体的に説明する。
ガラス転移温度を求める場合、予想される重合体のTgより約 50℃低い温度にて装置が安定するまで保持した後、加熱速度:20℃/分で、ガラス転移が終了した温度よりも約30℃高い温度まで加熱し、示差熱分析(DTA)曲線又はDSC曲線を描かせる。
補外ガラス転移開始温度(Tig)、すなわち、本明細書におけるガラス転移温度Tgは、DTA曲線又はDSC曲線における低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、ガラス転移の階段状変化部分の曲線の勾配が最大になる点で引いた接線との交点の温度として求める。
重合体のTgを、既述の好ましい範囲に調整する方法としては、例えば、目的とする重合体の各構成単位の単独重合体のTgと各構成単位の質量比より、FOX式を指針にして、目的とする重合体A1のTgを制御することが可能である。
FOX式について
重合体に含まれる第1の構成単位の単独重合体のTgをTg1、第1の構成単位の共重合体における質量分率をW1とし、第2の構成単位の単独重合体のTgをTg2とし、第2の構成単位の共重合体における質量分率をW2としたときに、第1の構成単位と第2の構成単位とを含む共重合体のTg0(K)は、以下の式にしたがって推定することが可能である。
FOX式:1/Tg0=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)
既述のFOX式を用いて、共重合体に含まれる各構成単位の種類と質量分率を調整して、所望のTgを有する共重合体を得ることができる。
また、重合体の重量平均分子量を調整することにより、重合体のTgを調整することも可能である。
<<重合体A1の酸価>>
重合体A1の酸価は、現像性及び転写性の観点から、0mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがより好ましい。
本開示における重合体の酸価は、重合体1gあたりの酸性成分を中和するのに要する水酸化カリウムの質量を表したものである。具体的には、測定サンプルをテトラヒドロフラン/水=9/1混合溶媒に溶解し、電位差滴定装置(商品名:AT-510、京都電子工業(株)製)を用いて、得られた溶液を25℃において、0.1M水酸化ナトリウム水溶液で中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点として、次式により酸価を算出する。
A=56.11×Vs×0.1×f/w
A:酸価(mgKOH/g)
Vs:滴定に要した0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液の使用量(mL)
f:0.1mol/l水酸化ナトリウム水溶液の力価
w:測定サンプルの質量(g)(固形分換算)
<<重合体A1の分子量:Mw>>
重合体A1の分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で、60,000以下であることが好ましい。重合体A1の重量平均分子量が60,000以下であることで、感光性樹脂組成物層の溶融粘度を低く抑え、上記基板と貼り合わせる際において低温(例えば130℃以下)での貼り合わせを実現することができる。
また、重合体A1の重量平均分子量は、2,000~60,000であることが好ましく、3,000~50,000であることがより好ましい。
なお、重合体の重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができ、測定装置としては、様々な市販の装置を用いることができ、装置の内容、及び、測定技術は同当業者に公知である。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)による重量平均分子量の測定は、測定装置として、HLC(登録商標)-8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとして、TSKgel(登録商標)Super HZM-M(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ4000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ3000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)、Super HZ2000(4.6mmID×15cm、東ソー(株)製)をそれぞれ1本、直列に連結したものを用い、溶離液として、THF(テトラヒドロフラン)を用いることができる。
また、測定条件としては、試料濃度を0.2質量%、流速を0.35ml/min、サンプル注入量を10μL、及び測定温度を40℃とし、示差屈折率(RI)検出器を用いて行うことができる。
検量線は、東ソー(株)製の「標準試料TSK standard,polystyrene」:「F-40」、「F-20」、「F-4」、「F-1」、「A-5000」、「A-2500」及び「A-1000」の7サンプルのいずれかを用いて作製できる。
重合体A1の数平均分子量と重量平均分子量との比(分散度)は、1.0~5.0が好ましく、1.05~3.5がより好ましい。
<<重合体A1の製造方法>>
重合体A1の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、式Aで表される構成単位Aを形成するための重合性単量体、酸基を有する構成単位Bを形成するための重合性単量体、更に必要に応じて、その他の構成単位Cを形成するための重合性単量体を含む有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
本開示における上記感光性樹脂組成物層は、上記基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、感光性樹脂組成物層の全固形分に対し、上記重合体成分を50質量%~99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%~98質量%の割合で含むことがより好ましい。
また、上記感光性樹脂組成物層は、上記基板に対して良好な密着性を発現させる観点から、感光性樹脂組成物層の全固形分に対し、上記重合体A1を50質量%~99.9質量%の割合で含むことが好ましく、70質量%~98質量%の割合で含むことがより好ましい。
<<他の重合体>>
上記感光性樹脂組成物層は、重合体成分として、重合体A1に加え、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲において、式Aで示される構成単位(a)を含まない重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。上記感光性樹脂組成物層が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
上記感光性樹脂組成物層は、重合体A1に加え、他の重合体を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、及び、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC-3000、ARUFON UC-3510、ARUFON UC-3900、ARUFON UC-3910、ARUFON UC-3920、及び、ARUFON UC-3080(以上、東亞合成(株)製)、並びに、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、及び、Joncryl 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
-光酸発生剤-
上記感光性樹脂組成物層は、光酸発生剤を含有する。
本開示で使用される光酸発生剤としては、紫外線、遠紫外線、X線、及び、荷電粒子線等の放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。
本開示で使用される光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300nm~450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましいが、その化学構造は制限されない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。
本開示で使用される光酸発生剤としては、pKaが4以下の酸を発生する光酸発生剤が好ましく、pKaが3以下の酸を発生する光酸発生剤がより好ましく、pKaが2以下の酸を発生する光酸発生剤が特に好ましい。pKaの下限値は特に定めないが、例えば、-10.0以上であることが好ましい。
光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤と、非イオン性光酸発生剤とを挙げることができる。
また、光酸発生剤としては、感度及び解像度の観点から、後述するオニウム塩化合物、及び、後述するオキシムスルホネート化合物よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、オキシムスルホネート化合物を含むことがより好ましい。
非イオン性光酸発生剤の例として、トリクロロメチル-s-トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、及び、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、感度、解像度、及び、密着性の観点から、光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種単独又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル-s-トリアジン類、及び、ジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011-221494号公報の段落0083~段落0088に記載の化合物が例示できる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物が好ましい。
Figure 0006995865000008
式(B1)中、R21は、アルキル基又はアリール基を表し、*は他の原子又は他の基との結合部位を表す。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は、直鎖状であっても、分岐構造を有していても、環構造を有していてもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1~10の、直鎖状又は分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6~11のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、シクロアルキル基(7,7-ジメチル-2-オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)、又は、ハロゲン原子で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6~18のアリール基が好ましく、フェニル基又はナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、炭素数1~4のアルキル基、アルコキシ基及びハロゲン原子よりなる群から選ばれた1つ以上の基で置換されてもよい。
式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を有する化合物は、特開2014-85643号公報の段落0078~0111に記載のオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
イオン性光酸発生剤の例として、ジアリールヨードニウム塩類及びトリアリールスルホニウム塩類等のオニウム塩化合物、第四級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、オニウム塩化合物が好ましく、トリアリールスルホニウム塩類及びジアリールヨードニウム塩類が特に好ましい。
イオン性光酸発生剤としては特開2014-85643号公報の段落0114~0133に記載のイオン性光酸発生剤も好ましく用いることができる。
光酸発生剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記感光性樹脂組成物層における光酸発生剤の含有量は、感度、解像度の観点から、上記感光性樹脂組成物層の全質量に対して、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましい。
-溶剤-
上記感光性樹脂組成物層は、溶剤を含んでいてもよい。
また、上記感光性樹脂組成物層を形成する感光性樹脂組成物は、上記感光性樹脂組成物層を容易に形成するため、一旦溶剤を含有させて感光性樹脂組成物の粘度を調節し、溶剤を含む感光性樹脂組成物を塗布及び乾燥して、上記感光性樹脂組成物層を好適に形成することができる。
本開示に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、及び、ラクトン類等が例示できる。また、溶剤の具体例としては特開2011-221494号公報の段落0174~段落0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、既述の溶剤に、更に必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1-オクタノール、1-ノナール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、又は、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。
溶剤は、1種のみ用いてもよく、2種以上を使用してもよい。
本開示に用いることができる溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類との併用、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類との併用、又は、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類との併用が好ましい。
また、溶剤としては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、又は、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル-n-ブチルエーテル(沸点155℃)、及び、プロピレングリコールメチル-n-プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3-エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3-メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、及び、1,3-ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
感光性樹脂組成物を塗布する際における溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分100質量部あたり、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~900質量部であることがより好ましい。
また、上記感光性樹脂組成物層における溶剤の含有量は、上記感光性樹脂組成物層の全質量に対し、2質量%以下であることが好ましく、1質量%以下であることがより好ましく、0.5質量%以下であることが更に好ましい。
-その他の添加剤-
本開示における上記感光性樹脂組成物層は、重合体A1及び光酸発生剤に加え、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
〔可塑剤〕
上記感光性樹脂組成物層は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。
上記可塑剤は、重合体A1よりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満が更に好ましい。
可塑剤は、重合体A1と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に限定されないが、可塑性付与の観点から、可塑剤は、分子中にアルキレンオキシ基を有することが好ましい。可塑剤に含まれるアルキレンオキシ基は下記構造を有することが好ましい。
Figure 0006995865000009
上記式中、Rは炭素数2~8のアルキル基であり、nは1~50の整数を表し、*は他の原子との結合部位を表す。
なお、例えば、上記構造のアルキレンオキシ基を有する化合物(「化合物X」とする。)であっても、化合物X、重合体A1及び光酸発生剤を混合して得た化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物が、化合物Xを含まずに形成した化学増幅ポジ型感光性樹脂組成物に比べて可塑性が向上しない場合は、本開示における可塑剤には該当しない。例えば、任意に添加される界面活性剤は、一般に感光性樹脂組成物に可塑性をもたらす量で使用されることはないため、本明細書における可塑剤には該当しない。
上記可塑剤としては、例えば、下記構造を有する化合物が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0006995865000010
可塑剤の含有量は、密着性の観点から、上記感光性樹脂組成物層の全質量に対して、1質量%~50質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましい。
上記感光性樹脂組成物層は、可塑剤を1種のみを含んでいてもよく、2種以上を含んでいてもよい。
〔増感剤〕
上記感光性樹脂組成物層は、増感剤を更に含むことができる。
増感剤は、活性光線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、及び、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
増感剤を含有させることで、露光感度を向上させることができる。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、及び、ジスチリルベンゼン誘導体よりなる群からえらばれた化合物が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジクロロアントラセン、2-エチル-9,10-ジメトキシアントラセン、9-ヒドロキシメチルアントラセン、9-ブロモアントラセン、9-クロロアントラセン、9,10-ジブロモアントラセン、2-エチルアントラセン、又は、9,10-ジメトキシアントラセンが好ましい。
上記増感剤としては、国際公開第2015/093271号の段落0139~段落0141に記載の化合物を挙げることができる。
増感剤の含有量は、上記感光性樹脂組成物層の全質量に対して、0質量%~10質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましい。
〔塩基性化合物〕
上記感光性樹脂組成物層は、塩基性化合物を更に含むことが好ましい。
塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられる塩基性化合物の中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、及び、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011-221494号公報の段落0204~段落0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ-n-プロピルアミン、トリ-n-プロピルアミン、ジ-n-ペンチルアミン、トリ-n-ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、及び、ジシクロヘキシルメチルアミンなどが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N-ジメチルアニリン、及び、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2-メチルピリジン、4-メチルピリジン、2-エチルピリジン、4-エチルピリジン、2-フェニルピリジン、4-フェニルピリジン、N-メチル-4-フェニルピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4-メチルイミダゾール、2-フェニルベンズイミダゾール、2,4,5-トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8-オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4-メチルモルホリン、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]-5-ノネン、及び、1,8-ジアザビシクロ[5.3.0]-7-ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ-n-ブチルアンモニウムヒドロキシド、及び、テトラ-n-ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ-n-ブチルアンモニウムアセテート、及び、テトラ-n-ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
上記塩基性化合物は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
塩基性化合物の含有量は、上記感光性樹脂組成物層の全質量に対して、0.001質量%~5質量%であることが好ましく、0.005質量%~3質量%であることがより好ましい。
〔ヘテロ環状化合物〕
本開示における感光性樹脂組成物層は、ヘテロ環状化合物を含むことができる。
本開示におけるヘテロ環状化合物には、特に制限はない。例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基又はオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、その他、各種環状エーテル、環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマー、環状アミン、オキサゾリンといった含窒素モノマー、更には珪素、硫黄、リンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を添加することができる。
感光性樹脂組成物層中におけるヘテロ環状化合物の添加量は、ヘテロ環状化合物を添加する場合には、上記感光性樹脂組成物層の全質量に対し、0.01質量%~50質量%であることが好ましく、0.1質量%~10質量%であることがより好ましく、1質量%~5質量%であることが更に好ましい。上記範囲であると、密着性及びエッチング耐性の観点で好ましい。ヘテロ環状化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を併用することもできる。
分子内にエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は市販品として入手できる。例えば、JER828、JER1007、JER157S70(三菱化学(株)製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011-221494号公報の段落0189に記載の市販品などが挙げられる。
その他の市販品として、ADEKA RESIN EP-4000S、同EP-4003S、同EP-4010S、同EP-4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC-2000、NC-3000、NC-7300、XD-1000、EPPN-501、EPPN-502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX-611、EX-612、EX-614、EX-614B、EX-622、EX-512、EX-521、EX-411、EX-421、EX-313、EX-314、EX-321、EX-211、EX-212、EX-810、EX-811、EX-850、EX-851、EX-821、EX-830、EX-832、EX-841、EX-911、EX-941、EX-920、EX-931、EX-212L、EX-214L、EX-216L、EX-321L、EX-850L、DLC-201、DLC-203、DLC-204、DLC-205、DLC-206、DLC-301、DLC-402、EX-111,EX-121、EX-141、EX-145、EX-146、EX-147、EX-171、EX-192(以上ナガセケムテック製)、YH-300、YH-301、YH-302、YH-315、YH-324、YH-325(以上、新日鐵住金化学(株)製)セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177((株)ダイセル製)などが挙げられる。
分子内にエポキシ基を有する化合物は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子内にエポキシ基を有する化合物の中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂及び脂肪族エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
分子内にオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT-201、OXT-211、OXT-212、OXT-213、OXT-121、OXT-221、OX-SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独で又はエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
本開示における感光性樹脂組成物層においては、ヘテロ環状化合物がエポキシ基を有する化合物であることが、エッチング耐性及び線幅安定性の観点から好ましい。
〔アルコキシシラン化合物〕
上記感光性樹脂組成物層は、アルコキシシラン化合物を含有してもよい。アルコキシシラン化合物としては、トリアルコキシシラン化合物が好ましく挙げられる。
アルコキシシラン化合物としては、例えば、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、γ-クロロプロピルトリアルコキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリアルコキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシラン、ビニルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン又はγ-メタクリロキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましく、γ-グリシドキシプロピルトリアルコキシシランが更に好ましく、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
〔界面活性剤〕
上記感光性樹脂組成物層は、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系(非イオン系)、又は、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、及び、SH-8400(東レ・ダウコーニング(株)製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記式I-1で表される構成単位A及び構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
Figure 0006995865000011
式(I-1)中、R401及びR403はそれぞれ独立に、水素原子又はメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、p及びqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表し、*は他の構造との結合部位を表す。
Lは、下記式(I-2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。式(I-2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2又は3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
Figure 0006995865000012
共重合体の重量平均分子量(Mw)は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
その他、特許第4502784号公報の段落0017、特開2009-237362号公報の段落0060~段落0071に記載の界面活性剤も用いることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
界面活性剤の添加量は、上記感光性樹脂組成物層の全質量に対して、10質量%以下であることが好ましく、0.001質量%~10質量%であることがより好ましく、0.01質量%~3質量%であることが更に好ましい。
〔その他の成分〕
本開示における感光性樹脂組成物層には、金属酸化物粒子、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル重合開始剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、架橋剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については特開2014-85643号公報の段落0165~段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
〔感光性樹脂組成物層の形成方法〕
各成分、及び、溶剤を任意の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して感光性樹脂組成物層を形成するための感光性樹脂組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、得られた溶液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
感光性樹脂組成物を仮支持体上に塗布し、乾燥させることで、感光性樹脂組成物層を形成することができる。
塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
なお、仮支持体上に後述のその他の層を形成した上に、感光性樹脂組成物層を塗布することもできる。
<紫外線吸収層>
本開示に係る感光性転写材料は、仮支持体上に、感光性樹脂組成物層、及び、紫外線吸収層を有し、上記紫外線吸収層が、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むか、又は、紫外線吸収能を有する重合体A3を含み、上記紫外線吸収層に含まれる、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度が、90℃以下である。
上記紫外線吸収層は、紫外線を吸収可能な層であればよく、本開示における紫外線吸収の波長領域は、波長450nm以下の紫外線であり、例えば、高圧水銀灯が発光するg線(435nm)、h線(405nm)、i線(365nm)、更に、j線(313nm)、等の紫外線、KrF露光装置での露光波長である248nm、ArF露光装置での露光波長である193nm等の波長の紫外線が挙げられる。
紫外線吸収層の露光波長における25℃の吸光度は、0.1以上が好ましい。紫外線吸収層の吸光度が0.1以上であると、十分な紫外線吸収が可能となり、基板からの反射光を抑制することで、レジストパターンの解像度が良好となり、パターン直線性の観点から好ましい。
また、紫外線吸収層の露光波長における25℃の吸光度としては、0.2~2.0がより好ましく、0.4~1.0が特に好ましい。上記範囲とすることで、紫外線吸収剤の拡散による感度の低下や、ブリードアウトによる画質の低下を抑制することができる。
紫外線吸収層の上記吸光度は、感光性樹脂組成物層やその他の層と紫外線吸収層とを重層化したもの(例えば、本開示に係る感光性転写材料や、本開示に係る感光性転写材料から仮支持体を除去したもの)全体の紫外線吸収スペクトルを測定し、全体の吸光度を求めたのちに、感光性樹脂組成物層やその他の層の吸光度を差し引くことでも求めることができる。
上記紫外線吸収層は、保存安定性及び得られるパターンの直線性の観点から、紫外線吸収能を有する重合体A3を含むことが好ましい。
一方、生産性の観点からは、上記紫外線吸収層は、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むことが好ましい。
-有機紫外線吸収剤-
有機紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収可能な有機化合物であり、上記重合体A3以外の化合物であればよい。なお、ガラス転移温度が90℃を超える紫外線吸収能を有する重合体は、上記有機紫外線吸収剤に含まれる。
上記紫外線吸収層が、ガラス転移温度が90℃を超える紫外線吸収能を有する重合体を含む場合、重合体A2の含有量は、ガラス転移温度が90℃を超える紫外線吸収能を有する重合体の含有量よりも多いことが好ましい。
有機紫外線吸収剤としては、感光性樹脂組成物層に含有される光酸発生剤の感光波長の少なくとも一部の波長を光吸収可能な紫外線吸収特性を有することが好ましい。
したがって、使用する有機紫外線吸収剤は、使用する光酸発生剤の種類によって適宜選択することが好ましい。
また、有機紫外線吸収剤は使用する重合体A2に十分に溶解し、塗布乾燥後も濁りのない透明な膜を形成することが好ましい。使用する重合体A2に十分に溶解し、塗布乾燥後も濁りのない透明な膜を形成することで、光散乱による光学像の乱れが発生せず、直線性の良い高解像なレジストパターンを得ることができる。また、使用する重合体A2に十分に溶解し、塗布乾燥後も濁りのない透明な膜を形成することで、塗膜の熱接着性が損なわれることがなく、低温、高速での貼り合わせを行うことが可能となる。
また、使用する重合体A2に十分に溶解し、塗布乾燥後も濁りのない透明な膜を形成するためには、塗布液の状態で塗布に使用する溶剤に溶解していることが好ましい。
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物、トリスレゾルシノールトリアジン系化合物、ベンゾフェノン系化合物等が挙げられる。
ベンゾトリアゾール系化合物としては、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-t-ペンチルフェノール(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社製の商品名「チヌビン328」)、2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール、α-[3-[3-(2H-ベンゾトリアルゾール-2-イル)-5-(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル]-1-オキソプロピル]-ω-ヒドロキシポリ(オキソ-1,2-エタンジイル)(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社製の商品名「チヌビン1130」)等が挙げられる。
また、ベンゾトリアゾール系化合物としては、クロロ基(塩素原子)を有するものも挙げられる。このようなクロロ基を有するベンゾトリアゾール系化合物としては、具体的には、オクチル-3-[3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-(5-クロロ-2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)フェニル]プロピオネート(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社製の商品名「チヌビン109」)、2-[5-クロロ(2H)-ベンゾトリアゾール-2-イル]-4-メチル-6-(t-ブチル)フェノール(例えば、チバ・スペシャルティ・ケミカル社製の商品名「チヌビン326」)、2,4-ジ-t-ブチル-6-(5-クロロベンゾトリアゾール-2-イル)フェノール(例えばチバ・スペシャルティ・ケミカル社製の商品名「チヌビン327」)等が挙げられる。
また、ヒドロキシフェニルトリアジン系化合物としては、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソオクチルフェニル-s-トリアジン等を挙げることができる。
市販品としては、チバ・スペシャルティ・ケミカル社製の商品名「チヌビン400」(2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-ドデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと、2-[4-[(2-ヒドロキシ-3-トリデシルオキシプロピル)オキシ]-2-ヒドロキシフェニル]-4,6-ビス(4,6-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンとの混合物)、「チヌビン411L」(2,4-ビス(2,4-ジメチルフェニル)-6-(2-ヒドロキシ-4-イソオクチルフェニル)-s-トリアジン)等を挙げることができる。
また、トリスレゾルシノールトリアジン系化合物としては、イソオクチル置換トリスレゾルシノールトリアジン(例えばチバ・スペシャルティ・ケミカル社製の商品名「CGL777」)、t-ブチル置換トリスレゾルシノールトリアジン、クミル置換トリスレゾルシノールトリアジン等を挙げることができる。
また、ベンゾフェノン化合物としては、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2,3,4-トリヒドロキシベンゾフェノン、2,3,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,3,3’,4,4’,5’-テトラヒドロキシベンゾフェノン等を挙げることができる。
また、1-(4-t-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン(エスカロール517、アイエスピー・ジャパン(株)製)などのアボベンゾン系紫外線吸収剤を挙げることができる。
また、フェニルアゾレゾルシノール、チアゾリルアゾレゾルシノール等のアゾレゾルシノール系紫外線吸収剤を挙げることができる。
また、共役ジエン系紫外線吸収剤も好適に用いることができる。共役ジエン系紫外線吸収剤としては、特開2017-125953号公報に記載のものが挙げられる。
また、ポリマー型紫外線吸収剤を選択することができる。ポリマー型紫外線吸収剤としては、溶剤系RSAシリーズ(例えば、RSA-0124、RSA-0151、及びRSA-0191H;いずれも山南合成化学(株)製)、溶剤系PUVAシリーズ(例えば、PUVA-30M-50BA、PUVA-30M-30T、及びPUVA-50M-50K;いずれも大和化成(株)製)、溶剤系RSUシリーズ(例えば、RSU-0017、及びSG-864;いずれも大和化成(株)製)、水系RWUシリーズ(例えば、MW-022、RWU-0001、及びRWU-0109;いずれも大和化成(株)製)が商業的に入手可能である。また、水系ニューコートUVAシリーズ(例えば、ニューコートUVA-101、ニューコートUVA-102、ニューコートUVA-103、及びニューコートUVA-104)、溶剤系バナレジンUVAシリーズ(例えば、バナレジンUVA-5080、水酸基導入型バナレジンUVA-5080(OHV20)、バナレジンUVA-55T、高水酸基価タイプバナレジンUVA-55MHB、バナレジンUVA-7075、水酸基導入型バナレジンUVA-7075(OHV20)、及びバナレジンUVA-73T)等が新中村化学工業(株)から商業的に入手可能である。また、溶剤系UVAシリーズ(例えば、UVA-935LH、及びUVA-1935LH)、水系UVAシリーズ(例えば、UVA-700、及びUVA-1700)がBASF社から商業的に入手可能である。
ポリマー型紫外線吸収剤を選択する場合、そのポリマーのガラス転移温度が90℃以下であること(重合体A3に該当する。)が好ましいが、ガラス転移温度が90℃以下である重合体A2と併用する場合には、ポリマー型紫外線吸収剤のガラス転移温度は90℃より高いものを用いることもできる。
中でも、有機紫外線吸収剤としては、転写性及び得られるパターンの直線性の観点から、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、共役ジエン系紫外線吸収剤、アボベンゾン系紫外線吸収剤、アゾレゾルシノール系紫外線吸収剤及びガラス転移温度派が90℃より高いポリマー型紫外線吸収剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、共役ジエン系紫外線吸収剤、アゾレゾルシノール系紫外線吸収剤及びアボベンゾン系紫外線吸収剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることがより好ましく、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤及びベンゾフェノン系紫外線吸収剤よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物であることが特に好ましい。
有機紫外線吸収剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
有機紫外線吸収剤の含有量は、パターン形成性及び得られるパターンの直線性の観点から、上記紫外線吸収層の全質量に対して、5質量%~50質量%であることが好ましく、10質量%~40質量%であることがより好ましく、15質量%~25質量%であることが特に好ましい。
また、上記紫外線吸収層における有機紫外線吸収剤の含有量は、パターン形成性及び得られるパターンの直線性の観点から、上記重合体A2の含有量よりも少ないことが好ましい。
-重合体A2-
重合体A2のガラス転移温度(Tg)は、90℃以下であり、転写性の観点から、-20℃~60℃であることが好ましく、0℃~50℃であることがより好ましく、20℃~50℃であることが特に好ましい。
重合体A2は、直鎖状の重合体であることが好ましいが、その他の架橋構造を有する樹脂を用いてもよい。また、重合体A2は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
上記重合体A2は、酸基を有する構成単位することが、現像液に対する溶解性及び紫外線吸収層の物理物性を最適化する観点から好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、及び、スルホニルイミド基等が例示される。中でも、カルボキシ基又はフェノール性水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
重合体A2への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを重合させること又は酸無水物構造を有するモノマーを共重合させ酸無水物を加水分解することで行うことができる。
上記酸基を有する構成単位は、スチレン化合物に由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることが好ましく、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。具体的には、カルボキシ基を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、4-カルボキシスチレン等が挙げられ、フェノール性水酸基を有するモノマーとしてはp-ヒドロキシスチレン、4-ヒドロキシフェニルメタクリレート等が挙げられ、酸無水物を有するモノマーとしては、無水マレイン酸等が挙げられる。
重合体A2に含まれる酸基を有する構成単位は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
重合体A2は、酸基を有する構成単位を、重合体A2の全質量に対し、0.1質量%~20質量%含むことが好ましく、0.5質量%~15質量%含むことがより好ましく、1質量%~10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
重合体A2における酸基を有する構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
重合体A2の酸価は、現像性及び転写性の観点から、0mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、40mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがより好ましい。
重合体A2は、酸基を有する構成単位以外の、他の構成単位(以下、構成単位Cと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
また、重合体A2は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を含有することもできる。
重合体A2における構成単位Cを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基を有するエチレン性不飽和化合物、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
中でも、重合体A2は、ガラス転移温度及び有機紫外線吸収剤の分散性の観点から、脂肪族環式骨格を有する基を有するエチレン性不飽和化合物により形成される構成単位を有することが好ましく、脂肪族環式骨格を有する基を有する(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位を有することがより好ましく、シクロヘキシル基を有する(メタ)アクリレート化合物により形成される構成単位を有することが特に好ましい。
構成単位Cを用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、重合体A2の諸特性を調整することができる。特に、構成単位Cを適切に使用することで、重合体A2のTgを90℃以下に容易に調整することができる。
重合体A2は、構成単位Cを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
重合体A2における構成単位Cは、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどを重合して形成される構成単位を挙げることができる。その他、特開2004-264623号公報の段落0021~段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、重合体A2における構成単位Cとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が、得られる転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。これら構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、構成単位Cとしては、ガラス転移温度及び有機紫外線吸収剤の分散性の観点から、シクロヘキシル(メタ)アクリレート由来の構成単位(シクロヘキシル(メタ)アクリレートにより形成される構成単位)が特に好ましく挙げられる。
また、重合体A2における構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。中でも、炭素数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが密着性の観点でより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
重合体A2における構成単位Cの含有量は、ガラス転移温度及び有機紫外線吸収剤の重合体への溶解性の観点から、重合体A2の全質量に対し、99質量%以下が好ましく、95質量%以下がより好ましく、92質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、10質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましい。
中でも、重合体A2は、カルボキシ基を有する構成単位を有し、更に、構成単位Cを有することが好ましく、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル又は(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位とを有する重合体がより好ましく、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル由来の構成単位とを有する重合体が特に好ましい。
重合体A2の重量平均分子量(Mw)は、60,000以下であることが好ましく、2,000~60,000であることがより好ましく、3,000~50,000であることが特に好ましい。
重合体A2の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、酸基を有する構成単位を形成するための重合性単量体、及び、その他の構成単位を形成するための重合性単量体を含む有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
重合体A2は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記紫外線吸収層における重合体A2の含有量は、回路配線形成用基板に対して低温かつ高速で貼り合わせた場合でも良好な密着性を発現させる観点から、重合体A2の紫外線吸収層の全固形分に対し、50質量%~99.9質量%であることが好ましく、70質量%~98質量%であることがより好ましい。
-重合体A3-
上記紫外線吸収層は、保存安定性及び得られるパターンの直線性の観点から、紫外線吸収能を有する重合体A3を含むことが好ましい。
重合体A3のガラス転移温度は、90℃以下であり、転写性の観点から、-20℃~60℃であることが好ましく、0℃~50℃であることがより好ましく、20℃~50℃であることが特に好ましい。
重合体A3は、直鎖状の重合体であることが好ましいが、その他の架橋構造を有する樹脂を用いてもよい。また、重合体A3は、付加重合型の樹脂であることが好ましく、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。なお、(メタ)アクリル酸又はそのエステルに由来する構成単位以外の構成単位、例えば、スチレンに由来する構成単位や、ビニル化合物に由来する構成単位等を有していてもよい。
重合体A3は、保存安定性及び得られるパターンの直線性の観点から、紫外線吸収性基を有する重合体であることが好ましく、紫外線吸収性基を有する構成単位を有する重合体であることがより好ましい。紫外線吸収性基を重合体A3が有することで、有機紫外線吸収剤を用いた場合と比較し、感光性樹脂組成物層、あるいはその他の層への経時における有機紫外線吸収剤の拡散による品質の低下を抑制することが可能となり、好ましい。
紫外線吸収性基を含む構成単位(「構成単位(a)」ともいう。)は、スチレン化合物に由来する構成単位、ビニル化合物に由来する構成単位、又は、(メタ)アクリレート化合物に由来する構成単位であることが好ましい。
紫外線吸収性基は、感光性樹脂組成物層に含有される光酸発生剤の感光波長の一部、又は、全ての波長を光吸収可能な紫外線吸収特性を有することが好ましい。
したがって、紫外線吸収性基は、使用する光酸発生剤の種類によって適宜選択することが好ましい。
例えば、365nm(i線)に光吸収性を有する紫外線吸収性基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、具体的には以下の構造ものを挙げることができる。
2-[3-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
Figure 0006995865000013
2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
Figure 0006995865000014
また、上記紫外線吸収性基としては、得られるパターンの直線性の観点から、ベンゾトリアゾール構造、ヒドロキシフェニルトリアジン構造、トリスレゾルシノールトリアジン構造、及び、ベンゾフェノン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する基であることが好ましく、ベンゾトリアゾール構造、及び、ベンゾフェノン構造よりなる群から選ばれる少なくとも1種の構造を有する基であることがより好ましく、ベンゾトリアゾール構造を有する基であることが特に好ましい。
重合体A3に含まれる紫外線吸収性基を有する構成単位は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
重合体A3は、紫外線吸収性基を有する構成単位を、重合体A3の全質量に対し、10質量%~99質量%含むことが好ましく、20質量%~90質量%含むことがより好ましく、40質量%~80質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、アルカリ現像液への溶解性がよく、直線性もより良好となる。
上記重合体A3は、酸基を有する構成単位することが、現像液に対する溶解性及び紫外線吸収層の物理物性を最適化する観点から好ましい。
上記酸基としては、カルボキシ基、スルホンアミド基、ホスホン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基、及び、スルホニルイミド基等が例示される。中でも、カルボキシ基又はフェノール性水酸基が好ましく、カルボキシ基が特に好ましい。
重合体A3への酸基を有する構成単位の導入は、酸基を有するモノマーを重合させることで行うことができる。
上記酸基を有する構成単位は、スチレンに由来する構成単位若しくはビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位、又は、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることが好ましく、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
重合体A3に含まれる酸基を有する構成単位は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
重合体A3は、酸基を有する構成単位を、重合体A3の全質量に対し、0.1質量%~20質量%含むことが好ましく、0.5質量%~15質量%含むことがより好ましく、1質量%~10質量%含むことが更に好ましい。上記範囲であると、パターン形成性がより良好となる。
重合体A3における酸基を有する構成単位の含有量(含有割合:質量比)は、13C-NMR測定から常法により算出されるピーク強度の強度比により確認することができる。
重合体A3の酸価は、現像性及び転写性の観点から、0mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であることが好ましく、40mgKOH/g以上100mgKOH/g以下であることがより好ましい。
重合体A3は、酸基を有する構成単位以外の、他の構成単位(以下、構成単位Cと称することがある。)を、本開示に係る感光性転写材料の効果を損なわない範囲で含んでいてもよい。
また、重合体A3は、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有していてもよい。
重合体A3における構成単位Cを形成するモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物、マレイミド化合物、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、脂肪族環式骨格を有する基を有するエチレン性不飽和化合物、その他の不飽和化合物を挙げることができる。
構成単位Cを用いて、種類及び含有量の少なくともいずれかを調整することで、重合体A3の諸特性を調整することができる。特に、構成単位Cを適切に使用することで、重合体A3のTgを90℃以下に容易に調整することができる。
重合体A3は、構成単位Cを1種のみ含んでもよく、2種以上含んでいてもよい。
重合体A3における構成単位Cは、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、又は、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどを重合して形成される構成単位を挙げることができる。その他、特開2004-264623号公報の段落0021~段落0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、重合体A3における構成単位Cとしては、芳香環を有する構成単位、又は、脂肪族環式骨格を有する構成単位が、得られる転写材料の電気特性を向上させる観点で好ましい。これら構成単位を形成するモノマーとして、具体的には、スチレン、tert-ブトキシスチレン、メチルスチレン、α-メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、及び、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、重合体A3における構成単位Cを形成するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。中でも、炭素数4~12のアルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルが密着性の観点でより好ましい。具体的には、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、及び、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシルが挙げられる。
重合体A3における構成単位Cの含有量は、ガラス転移温度及び有機紫外線吸収剤の分散性の観点から、重合体A3の全質量に対し、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましい。下限値としては、0質量%でもよいが、1質量%以上であることが好ましく、5質量%以上であることがより好ましい。
また、重合体A3中における構成単位Cの含有量は、1質量%~70質量%が好ましく、5質量%~60質量%がより好ましく、10質量%~50質量%が更に好ましい。上記の数値範囲内であると、解像度及び密着性がより向上する。
中でも、重合体A3は、カルボキシ基を有する構成単位を有し、更に、構成単位Cを有することが好ましく、(メタ)アクリル酸由来の構成単位と、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル又は(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル又は(メタ)アクリル酸n-ブチル由来の構成単位とを有する重合体がより好ましい。
重合体A3の重量平均分子量(Mw)は、60,000以下であることが好ましく、2,000~60,000であることがより好ましく、3,000~50,000であることが特に好ましい。
重合体A3の製造方法(合成法)は特に限定されないが、一例を挙げると、酸基を有する構成単位を形成するための重合性単量体、及び、その他の構成単位を形成するための重合性単量体を含む有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
重合体A3は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記紫外線吸収層における重合体A3の含有量は、回路配線形成用基板に対して低温かつ高速で貼り合わせた場合でも良好な密着性を発現させる観点から、重合体A2の紫外線吸収層の全固形分に対し、50質量%~99.9質量%であることが好ましく、70質量%~98質量%であることがより好ましい。
上記重合体A1のガラス転移温度は、転写性及び得られるパターンの直線性の観点から、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度よりも高いことが好ましく、上記重合体A2のガラス転移温度又は上記重合体A3のガラス転移温度よりも10℃以上50℃以下高い温度であることがより好ましく、20℃以上50℃以下高い温度であることが特に好ましい。
以下、重合体A2及び重合体A3の好ましい例を挙げるが、重合体A2及び重合体A3は以下の例示に限定されない。なお、下記例示化合物における構成単位の比率、重量平均分子量は、好ましい物性を得るために適宜選択される。
Figure 0006995865000015
-他の重合体-
上記紫外線吸収層は、重合体成分として、既述の重合体A2又は重合体A3に加え、本開示における効果を損なわない範囲において、Tgが90℃より高い重合体(「他の重合体」と称する場合がある。)を更に含んでいてもよい。紫外線吸収層が他の重合体を含む場合、他の重合体の配合量は、全重合体成分中、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることが更に好ましい。
紫外線吸収層は、重合体A2又は重合体A3に加え、他の重合体を1種類のみ含んでいてもよいし、2種類以上含んでいてもよい。
他の重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC-3000、ARUFON UC-3510、ARUFON UC-3900、ARUFON UC-3910、ARUFON UC-3920、ARUFON UC-3080(以上、東亞合成(株)製)、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、Joncryl 586(以上、BASF社製)等を用いることもできる。
-溶剤-
紫外線吸収層を形成するための紫外線吸収層用組成物は、層を形成するための成分を溶剤に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
紫外線吸収層を形成するための紫外線吸収層用組成物に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができる。溶剤としては、感光性樹脂組成物層において上述したものを好適に用いることができる。
紫外線吸収層を形成するために使用する溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種を併用することがより好ましい。溶剤を2種以上使用する場合には、例えば、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類とジアルキルエーテル類、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類、あるいは、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類とを併用することが好ましい。
紫外線吸収層を形成するための紫外線吸収層用組成物における溶剤の含有量は、紫外線吸収層用組成物中の全固形分100質量部当たり、50質量部~1,900質量部であることが好ましく、100質量部~900質量部であることがより好ましい。
塗布法で紫外線吸収層用組成物を感光性樹脂組成物層上に直接塗布、乾燥させて紫外線吸収層を形成する場合には、溶剤として水を含む溶剤を選択することが好ましい。また、アルカリ性の水を用いることで、酸基を有する重合体を水に溶解させて均一な溶液として感光性樹脂組成物層上に直接塗布、乾燥させて紫外線吸収層を形成することが可能となり、感光性樹脂組成物層と紫外線吸収層との層混合を抑制し、転写性、直線性の良好な感光性転写材料を形成することができる。
この場合、水だけでなく、炭素数1~6のアルコール系溶剤を併用することが好ましい。炭素数1~6のアルコール系溶剤を併用することで、乾燥が速くなり、表面張力が低下することで、高速塗布が可能となる。
-その他の添加剤-
上記紫外線吸収層は、必要に応じて公知の添加剤を含むことができる。
〔可塑剤〕
紫外線吸収層は、可塑性を改良する目的で、可塑剤を含有してもよい。なお、上記紫外線吸収層は、重合体A2又は重合体A3を含むことで可塑性に優れるため、可塑剤の含有は必須ではない。
紫外線吸収層に用いることができる可塑剤は、重合体A2又は重合体A3よりも重量平均分子量が小さいことが好ましい。
可塑剤の重量平均分子量は、可塑性付与の観点から500以上10,000未満が好ましく、700以上5,000未満がより好ましく、800以上4,000未満がより更に好ましい。
可塑剤は、重合体A2又は重合体A3と相溶して可塑性を発現する化合物であれば特に限定されない。
可塑剤としては、感光性樹脂組成物層において上述したものを好適に用いることができる。
紫外線吸収層における可塑剤の含有量は、可塑剤を使用する場合には、密着性の観点から、紫外線吸収層中の全固形分100質量部に対して、1質量部~50質量部であることが好ましく、2質量部~20質量部であることがより好ましい。
紫外線吸収層が可塑剤を含む場合、1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。
〔界面活性剤〕
上記紫外線吸収層は、膜厚均一性の観点から界面活性剤を含有することが好ましい。
界面活性剤としては、感光性樹脂組成物層において上述したものを好適に用いることができる。
界面活性剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
紫外線吸収層における界面活性剤の添加量は、紫外線吸収層中の全固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.001質量部~10質量部であることがより好ましく、0.01質量部~3質量部であることが更に好ましい。
〔その他の成分〕
上記紫外線吸収層には、金属酸化物粒子、ヘテロ環状化合物以外の架橋剤、アルコキシシラン化合物、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、及び、有機又は無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を更に含んでいてもよい。
その他の成分の好ましい態様については、特開2014-85643号公報の段落0165~段落0184にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
-紫外線吸収層の厚み-
紫外線吸収層の厚みは、0.05μm~2μmが好ましく、0.1μm~1μmがより好ましく、0.1μm~0.4μmが特に好ましい。紫外線吸収層の厚みが2μm以下であると、現像時に発生する紫外線吸収層の過剰な溶解を抑制することが可能となり、0.05μm以上であると、十分な紫外線吸収が可能となり、また、転写性も良好となり、レジストパターンの解像度が良好となり、パターン直線性の観点から好ましい。
-紫外線吸収層の形成方法-
各成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解して紫外線吸収層を形成するための紫外線吸収樹脂組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤又は水に溶解又は分散させた液とした後、得られた液を所定の割合で混合して組成物を調製することもできる。以上の如くして調製した組成物は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
紫外線吸収樹脂組成物を仮支持体S2に塗布し、乾燥させ、感光性樹脂組成物を仮支持体S1に塗布し、両方の仮支持体の塗布面どうしを熱ラミネートすることで、仮支持体S1上に感光性樹脂組成物層、紫外線吸収層、仮支持体S2層の順に有する本実施形態の感光性転写材料を得ることができる。塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
また、仮支持体S1上に感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させ、感光性樹脂組成物層を形成させた後に、その上に直接、紫外線吸収樹脂組成物を塗布し、乾燥させることで、本実施形態の感光性転写材料を得ることができる。塗布方法は特に限定されず、スリット塗布、スピン塗布、カーテン塗布、インクジェット塗布などの公知の方法で塗布することができる。
なお、仮支持体S1上に後述のその他の層を有する仮支持体S1とその他の層との積層体上に、感光性樹脂組成物層を塗布することもできる。
<その他の層>
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂組成物層以外の層(以下、「その他の層」と称することがある)を有していてもよい。その他の層としては、コントラストエンハンスメント層、中間層、カバーフィルム、熱可塑性樹脂層等を挙げることができる。
-コントラストエンハンスメント層-
本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂組成物層に加え、コントラストエンハンスメント層を有することができる。
コントラストエンハンスメント層(Contrast Enhancement Layer;CEL)は、露光前には露光波長に対する吸収が大きいが、露光されるに伴って次第に吸収が小さくなる、すなわち、光の透過率が高くなる材料(光消色性色素成分と称する)を含有する層である。光消色性色素成分としては、ジアゾニウム塩、スチルバゾリウム塩、アリールニトロソ塩類等が知られている。被膜形成成分としては、フェノール系樹脂等が用いられる。
その他、コントラストエンハンスメント層としては、特開平6-97065号公報の段落0004~段落0051、特開平6-332167号公報の段落0012~段落0055、フォトポリマーハンドブック,フォトポリマー懇話会編,工業調査会(1989)、フォトポリマー・テクノロジー,山岡、永松編,(株)日刊工業新聞社(1988)に記載の材料を用いることができる。
-中間層-
上記感光性樹脂組成物層の上に、複数層を塗布する目的、及び塗布後の保存の際における成分の混合を防止する目的で、中間層を設けることができる。
中間層としては、特開2005-259138号公報の段落0084~0087に記載の中間層を用いることができる。中間層としては、水又はアルカリ水溶液に分散又は溶解するものが好ましい。
中間層に用いられる材料としては、例えばポリビニルアルコール系樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、セルロース系樹脂、アクリルアミド系樹脂、ポリエチレンオキサイド系樹脂、ゼラチン、ビニルエーテル系樹脂、ポリアミド樹脂、及びこれらの共重合体などの樹脂が挙げられる。中でも特に好ましいのはポリビニルアルコールとポリビニルピロリドンとの組み合わせである。
-熱可塑性樹脂層、カバーフィルム等-
本開示に係る感光性転写材料は、転写性の観点から、上記仮支持体と上記感光性樹脂組成物層との間に、熱可塑性樹脂層を有していてもよい。
また、本開示に係る感光性転写材料は、上記感光性樹脂組成物層を保護する目的でカバーフィルムを有していてもよい。
熱可塑性樹脂層の好ましい態様については特開2014-85643号公報の段落0189~段落0193、他の層の好ましい態様については特開2014-85643号公報の段落0194~段落0196にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
中でも、転写性の観点から、熱可塑性樹脂層が、アクリル樹脂及びスチレン/アクリル共重合体よりなる群から選ばれた少なくとも1種の熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。
本開示に係る感光性転写材料が、熱可塑性樹脂層等のその他の層を有する場合、特開2006-259138号公報の段落0094~段落0098に記載の感光性転写材料の作製方法に準じて作製することができる。
例えば、熱可塑性樹脂層及び中間層を有する本開示に係る感光性転写材料を作製する場合には、仮支持体上に、熱可塑性の有機高分子と添加剤とを溶解した溶解液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、得られた熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂及び添加剤を加えて調製した調製液(中間層用塗布液)を塗布し、乾燥させて中間層を積層する。形成した中間層上に、更に、中間層を溶解しない溶剤を用いて調製した感光性樹脂組成物を塗布し、乾燥させて感光性樹脂組成物層を積層することによって、本開示に係る感光性転写材料を好適に作製することができる。
(ポジ型感光性転写材料の製造方法)
本開示に係るポジ型感光性転写材料の製造方法は、特に制限はないが、製造容易性及び製造適性の観点から、下記に示す第1の実施態様又は第2の実施態様であることが好ましく、第2の実施態様であることがより好ましい。
本開示に係るポジ型感光性転写材料の製造方法における第1の実施態様は、感光性樹脂組成物層上に、水性塗布液を用いて塗布及び乾燥して紫外線吸収層を形成する工程を含む。
また、本開示に係るポジ型感光性転写材料の製造方法における第2の実施態様は、仮支持体S1上に形成された感光性樹脂組成物層と、仮支持体S2上に形成された紫外線吸収層とを貼り合わせる工程を含む。
本開示に係るポジ型感光性転写材料の製造方法における第1の実施態様は、水性塗布液を用いて紫外線吸収層を形成する。
上記水性塗布液に用いられる有機紫外線吸収剤及び重合体A2、又は、重合体A3は、水溶性であることが好ましい。
また、上記水性塗布液は、重合体A2、又は、重合体A3の溶解を容易にするため、アルカリ性であることが好ましい。
上記水性塗布液のpHは、8以上14以下であることが好ましく、9以上12以下であることがより好ましい。
また、上記水性塗布液に用いられる塩基性化合物は、特に制限はなく、公知の塩基性化合物を用いることができるが、得られる紫外線吸収層への残留を抑制する観点から、アンモニアであることが好ましい。
上記水性塗布液は、有機紫外線吸収剤等の水性塗布液への溶解性を向上させる観点から、アルコール化合物等の水性有機溶剤を含むことが好ましい。
上記水性塗布液における水及び水性有機溶剤の総含有量は、水性塗布液の全質量に対し、70質量%~99.5質量%であることが好ましく、80質量%~99質量%であることがより好ましい。
上記水性塗布液を用いた感光性樹脂組成物層上への塗布方法及び乾燥方法は、特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
本開示に係るポジ型感光性転写材料の製造方法における第2の実施態様は、仮支持体S1上に形成された感光性樹脂組成物層と、仮支持体S2上に形成された紫外線吸収層とを貼り合わせる。
仮支持体S1上への感光性樹脂組成物層の形成方法、及び、仮支持体S2上への紫外線吸収層の形成方法は、特に制限はなく、上述した方法を好適に用いることができる。
上記貼り合わせは、上記感光性樹脂組成物層と上記紫外線吸収層と接触させ、貼り合せればよく、公知の方法、例えば、公知のラミネート方法を用いることができる。
上記貼り合わせ時の温度は、特に制限はないが、40℃~120℃であることが好ましく、60℃~100℃であることが更に好ましい。
仮支持体S1及び仮支持体S2は、特に制限はなく、上述した仮支持体をそれぞれ好適に用いることができる。仮支持体S1及び仮支持体S2は、材質及び厚さがそれぞれ異なるものであってもよい。
(回路配線の製造方法)
本開示に係る感光性転写材料を用いた、回路配線の製造方法の第1の実施態様について説明する。
回路配線の製造方法の第1の実施態様は、
基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記紫外線吸収層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程(貼り合わせ工程)と、
上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性樹脂組成物層をパターン露光する工程(露光工程)と、
上記露光する工程後の露光部を現像してパターンを形成する工程(現像工程)と、
上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程(エッチング工程)と、をこの順に含む。
回路配線の製造方法の第1の実施態様における基板は、ガラス、シリコン、フィルムなどの基材自体が基板であってもよく、ガラス、シリコン、フィルムなどの基材上に、必要により導電層などの任意の層が設けられた基板であってもよい。
回路配線の製造方法の第1の実施態様によれば、基板表面に微細パターンを形成することができる。
回路配線の製造方法の第2の実施形態は、
基材、及び、互いに構成材料が異なる第1導電層及び第2導電層を含む複数の導電層とを有し、上記基材の表面上に、上記基材の表面から遠い順に、最表面層である上記第1導電層及び上記第2導電層が積層されている基板に対し、本開示に係る感光性転写材料の上記紫外線吸収層を上記第1導電層に接触させて貼り合わせる貼り合わせ工程と、
上記貼り合わせ工程後の上記感光性転写材料の上記仮支持体を介して上記感光性樹脂組成物層をパターン露光する第1露光工程と、
上記第1露光工程後の感光性樹脂組成物層から上記仮支持体を剥離した後、上記第1露光工程後の露光部を現像して第1パターンを形成する第1現像工程と、
上記第1パターンが配置されていない領域における上記複数の導電層のうち少なくとも上記第1導電層及び上記第2導電層をエッチング処理する第1エッチング工程と、
上記第1エッチング工程後の上記第1パターンを上記第1パターンとは異なるパターンでパターン露光する第2露光工程と、
上記第2露光工程後の上記第1パターンを現像して第2パターンを形成する第2現像工程と、
上記第2パターンが配置されていない領域における上記複数の導電層のうち少なくとも上記第1導電層をエッチング処理する第2エッチング工程と、をこの順に含む。上記第2の実施形態としては、国際公開第2006/190405号を参考にすることができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル又はタッチパネル表示装置用の回路配線の製造方法として用いることができる。
以下、第2の実施形態を元に、各工程の詳細について説明する。
<貼り合わせ工程>
貼り合わせ工程の一例を、図2(a)に概略的に示した。
まず、貼り合わせ工程では、基材22と、互いに構成材料が異なる第1導電層24及び第2導電層26を含む複数の導電層とを有し、基材22の表面上に、基材22の表面から遠い順に、最表面層である第1導電層24と第2導電層26とが積層されている基板(回路配線形成用基板)20に対し、上述した本開示に係る感光性転写材料100の紫外線吸収層14を第1導電層24に接触させて貼り合わせる。なお、このような回路配線形成用基板と感光性転写材料との貼り合わせを「転写」又は「ラミネート」と称する場合がある。
図1に示したように感光性転写材料100の紫外線吸収層14上に仮支持体S2(カバーフィルム)16を有する場合は、感光性転写材料100(紫外線吸収層14)からカバーフィルム16を除去した後、感光性転写材料100の紫外線吸収層14を第1導電層24に接触させて貼り合わせる。
感光性転写材料の第1導電層上への貼り合わせ(転写)は、感光性転写材料の紫外線吸収層側を第1導電層の上に重ね、ロール等による加圧及び加熱することに行われることが好ましい。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、及び、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネータを使用することができる。
回路配線形成用基板の基材が樹脂フィルムである場合は、ロールツーロールでの貼り合わせも行うこともできる。
〔基材〕
基材上に複数の導電層が積層された基板は、基材がガラス基材又はフィルム基材であることが好ましく、フィルム基材であることがより好ましい。本開示に係る回路配線の製造方法は、タッチパネル用の回路配線である場合、基材がシート状樹脂組成物であることが特に好ましい。
また、基材は透明であることが好ましい。
基材の屈折率は、1.50~1.52であることが好ましい。
基材は、ガラス基材等の透光性基材で構成されていてもよく、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、前述の透明基材としては、特開2010-86684号公報、特開2010-152809号公報及び特開2010-257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みがない基材、及び、透明度が高い基材を用いることがより好ましく、具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーをあげることができる。
〔導電層〕
基材上に形成されている複数の導電層としては、一般的な回路配線又はタッチパネル配線に用いられる任意の導電層を挙げることができる。
導電層の材料としては、金属及び金属酸化物などを挙げることができる。
金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SiO等を挙げることができる。金属としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等を挙げることができる。
本開示に係る回路配線の製造方法は、複数の導電層のうち少なくとも一つの導電層が金属酸化物を含むことが好ましい。
導電層としては、静電容量型タッチパネルに用いられる視認部のセンサーに相当する電極パターン又は周辺取り出し部の配線であることが好ましい。
〔回路配線形成用基板〕
基材の表面に導電層を有する基板である。導電層をパターンニングすることで回路配線とする。本例では、PETなどのフィルム基材に金属酸化物や金属などの複数の導電層が設けられたものであることが好ましい。
<露光工程(第1露光工程)>
上記第1の実施態様においては露光工程が、上記第2の実施態様においては第1露光工程が行われる。露光工程(第1露光工程)の一例を、図2(b)に概略的に示した。
露光工程(第1露光工程)では、貼り合わせ工程後の感光性転写材料の仮支持体10を介して感光性樹脂組成物層12をパターン露光する。
本実施形態における露光工程、現像工程、及びその他の工程の例としては、特開2006-23696号公報の段落0035~段落0051に記載の方法を本実施形態においても好適に用いることができる。
例えば、第1導電層24の上に配置された感光性転写材料100の上方(第1導電層24と接する側とは反対側)に所定のパターンを有するマスク30を配置し、その後、マスク30を介してマスク上方から紫外線で露光する方法などが挙げられる。
本実施形態においてパターンの詳細な配置及び具体的サイズは特に限定されない。本実施形態により製造される回路配線を有する入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくしたいことから、パターンの少なくとも一部(特にタッチパネルの電極パターン及び取り出し配線の部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下の細線であることが更に好ましい。
ここで、露光に使用する光源としては、感光性転写材料の露光された箇所が現像液に溶解しうる波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できれば適宜選定して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
露光量としては、5mJ/cm~200mJ/cmであることが好ましく、10mJ/cm~100mJ/cmであることがより好ましい。
また、露光後にパターンの矩形性、直線性を向上させる目的で、現像前に熱処理を行うことも好ましい。いわゆるPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれる工程により、露光時に感光性樹脂組成物層中で生じた定在波によるパターンエッジの荒れを低減することが可能である。
なお、パターン露光は、仮支持体を感光性樹脂組成物層から剥離してから行っても、仮支持体を剥離する前に、仮支持体を介して露光し、その後、仮支持体を剥離してもよい。感光性樹脂組成物層とマスクの接触によるマスク汚染の防止や、マスクに付着した異物による露光への影響を避けるためには、仮支持体を剥離せずに露光することが好ましい。なお、パターン露光は、マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。
<現像工程(第1現像工程)>
上記第1の実施態様においては現像工程が、上記第2の実施態様においては第1現像工程が行われる。現像工程(第1現像工程)の一例を、図2(c)に概略的に示した。
現像工程(第1現像工程)では、露光工程(第1露光工程)後の感光性樹脂組成物層12から仮支持体10を剥離した後、露光工程(第1露光工程)後の感光性樹脂組成物層12及び紫外線吸収層14を現像して第1パターン12A及び14Aを形成する。
現像工程(第1現像工程)は、パターン露光された感光性樹脂組成物層を現像することによりパターン(第1パターン)を形成する工程である。
パターン露光された感光性樹脂組成物層の現像は、現像液を用いて行うことができる。
現像液としては、感光性樹脂組成物層(好ましくは感光性樹脂組成物層及び紫外線吸収層)の露光部分を除去することができれば特に制限はなく、例えば、特開平5-72724号公報に記載の現像液など、公知の現像液を使用することができる。なお、現像液は感光性樹脂組成物層の露光部が溶解型の現像挙動をする現像液が好ましい。例えば、pKa=7~13の化合物を0.05mol/L(リットル)~5mol/Lの濃度で含むアルカリ水溶液系の現像液が好ましい。現像液は、更に、水と混和性を有する有機溶剤、界面活性剤等を含有してもよい。本実施形態において好適に用いられる現像液としては、例えば、国際公開第2015/093271号の段落0194に記載の現像液が挙げられる。
現像方式としては、特に制限はなくパドル現像、シャワー現像、シャワー及びスピン現像、ディップ現像等のいずれでもよい。ここで、シャワー現像について説明すると、露光後の感光性樹脂組成物層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、露光部分を除去することができる。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の液温度は20℃~40℃が好ましい。
更に、現像して得られた感光性樹脂組成物層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよい。
ポストベークの加熱は8.1kPa~121.6kPaの環境下で行うことが好ましく、506.6kPa以上の環境下で行うことがより好ましい。一方、1114.6kPa以下の環境下で行うことがより好ましく、101.3kPa以下の環境下で行うことが特に好ましい。
ポストベークの温度は、80℃~250℃であることが好ましく、110℃~170℃であることがより好ましく、130℃~150℃であることが特に好ましい。
ポストベークの時間は、1分~30分であることが好ましく、2分~10分であることがより好ましく、2分~4分であることが特に好ましい。
ポストベークは、空気環境下で行っても、窒素置換環境下で行ってもよい。
ポスト露光工程等、その他の工程を有していてもよい。
<エッチング工程(第1エッチング工程)>
上記第1の実施態様においてはエッチング工程が、上記第2の実施態様においては第1エッチング工程が行われる。エッチング工程(第1エッチング工程)の一例を、図2(d)に概略的に示した。
エッチング工程(第1エッチング工程)では、第1パターン12A及び14Aが配置されていない領域における複数の導電層のうち少なくとも第1導電層24及び第2導電層26をエッチング処理する。エッチングにより、同じパターンを有する第1導電層24A及び第2導電層26Aが形成される。
導電層のエッチングは、特開2010-152155号公報の段落0048~段落0054等に記載の方法、公知のプラズマエッチング等のドライエッチングによる方法など、公知の方法でエッチングを適用することができる。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプ又はアルカリ性タイプのエッチング液を適宜選択すればよい。
酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の酸性成分単独の水溶液、酸性成分と塩化第二鉄、フッ化アンモニウム、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドのような有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液、アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせた成分を使用してもよい。
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本実施形態でエッチングマスク(エッチングパターン)として使用される第1パターンは、45℃以下の温度域における酸性及びアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。したがって、エッチング工程中に感光性樹脂組成物層が剥離することが防止され、感光性樹脂組成物層の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
エッチング工程後、工程ラインの汚染を防ぐために、必要に応じて洗浄工程及び乾燥工程を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温で純水により10秒~300秒間基板を洗浄して行い、乾燥工程については、例えばエアブローを使用し、エアブロー圧(好ましくは0.1kg/cm~5kg/cm程度)を適宜調整して乾燥を行えばよい。
<第2露光工程>
上記第2の実施態様においては第2露光工程が行われる。第2露光工程の一例を、図2(e)に概略的に示した。
第1エッチング工程後、第1エッチング工程後の第1パターン12A及び14Aを第1パターンとは異なるパターンでパターン露光する。
第2露光工程では、第1導電層上に残存する第1パターンに対し、後述する第2現像工程において少なくとも第1導電層の除去すべき部分に相当する箇所を露光する。
第2露光工程におけるパターン露光は、第1露光工程で用いたマスク30とはパターンが異なるマスク40を用いること以外は第1露光工程におけるパターン露光と同じ方法を適用することができる。
<第2現像工程>
上記第2の実施態様においては第2現像工程が行われる。第2現像工程の一例を、図2(f)に概略的に示した。
第2現像工程では、第2露光工程後の第1パターン12A及び14Aを現像して第2パターン12B及び14Bを形成する。
現像により、第1パターンのうち第2露光工程において露光された部分が除去される。
なお、第2現像工程では、第1現像工程における現像と同じ方法を適用することができる。
<第2エッチング工程>
上記第2の実施態様においては第2露光工程が行われる。第2エッチング工程の一例を、図2(g)に概略的に示した。
第2エッチング工程では、第2パターン12B及び14Bが配置されていない領域における複数の導電層のうち少なくとも第1導電層24Aをエッチング処理する。
第2エッチング工程におけるエッチングは、エッチングにより除去すべき導電層に応じたエッチング液を選択すること以外は第1エッチング工程におけるエッチングと同じ方法を適用することができる。
第2エッチング工程では、所望のパターンに応じて、第1エッチング工程よりも少ない導電層を選択的にエッチングすることが好ましい。例えば、図2に示すように、感光性樹脂組成物層が配置されていない領域において第1導電層24Bのみを選択的にエッチングするエッチング液を用いてエッチングを行うことで、第1導電層を第2導電層のパターンとは異なるパターンにすることができる。
第2エッチング工程の終了後、少なくとも2種類のパターンの導電層24B,26Aを含む回路配線が形成される。
<感光性樹脂組成物層除去工程>
感光性樹脂組成物層除去工程の一例を、図2(h)に概略的に示した。
第2エッチング工程の終了後、第1導電層24B上の一部には第2パターン12B及び14Bが残存している。感光性樹脂組成物層が不要であれば、残存する全ての感光性樹脂組成物層の第2パターン12B及び紫外線吸収層の第2パターン14Bを除去すればよい。
残存する感光性樹脂組成物層及び紫外線吸収層を除去する方法としては特に制限はないが、薬品処理により除去する方法を挙げることができる。
感光性樹脂組成物層及び紫外線吸収層の除去方法としては、好ましくは30℃~80℃、より好ましくは50℃~80℃にて撹拌中の剥離液に感光性樹脂組成物層などを有する基材を1分~30分間浸漬する方法が挙げられる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ成分、又は、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N-メチルピロリドン又はこれらの混合溶液に溶解させた剥離液が挙げられる。剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、パドル法等により剥離してもよい。
本開示に係る回路配線の製造方法は、他の任意の工程を含んでもよい。例えば、以下のような工程が挙げられるが、これらの工程に限定されない。
<保護フィルムを貼り付ける工程>
上記第2の実施態様において、第1エッチング工程の後、第2露光工程の前に、第1パターン上に、光透過性を有する保護フィルム(不図示)を貼り付ける工程を更に有してもよい。
この場合、第2露光工程において、保護フィルムを介して第1パターンをパターン露光し、第2露光工程後、第1パターンから保護フィルムを剥離した後、第2現像工程を行うことが好ましい。
<可視光線反射率を低下させる工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、基材上の複数の導電層の一部又は全ての可視光線反射率を低下させる処理をする工程を含むことが可能である。
可視光線反射率を低下させる処理としては、酸化処理などを挙げることができる。例えば、銅を酸化処理して酸化銅とすることで、黒化することにより、可視光線反射率を低下させることができる。
可視光線反射率を低下させる処理の好ましい態様については、特開2014-150118号公報の段落0017~段落0025、並びに、特開2013-206315号公報の段落0041、段落0042、段落0048及び段落0058に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程>
本開示に係る回路配線の製造方法は、形成した回路配線上に絶縁膜を形成する工程と、絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程を含むことも好ましい。
このような構成により、上述の第二の電極パターンを、第一の電極パターンと絶縁しつつ、形成することができる。
絶縁膜を形成する工程については、特に制限はなく、公知の永久膜を形成する方法を挙げることができる。また、絶縁性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの絶縁膜を形成してもよい。
絶縁膜上に新たな導電層を形成する工程については、特に制限はない。導電性を有する感光性材料を用いて、フォトリソグラフィにより所望のパターンの新たな導電層を形成してもよい。
また、図2を参照した説明では、2層の導電層を備えた回路配線形成用基板に対して2つの異なるパターンを有する回路配線を形成する場合について説明したが、本開示に係る回路配線の製造方法を適用する基板の導電層の数は2層に限定されず、導電層が3層以上積層された回路配線形成用基板を用い、前述した露光工程、現像工程、及びエッチング工程の組み合わせを3回以上行うことで、3層以上の導電層をそれぞれ異なる回路配線パターンに形成することもできる。
また、図2には示していないが、本開示に係る回路配線の製造方法は、基材が両方の表面にそれぞれ複数の導電層を有し、基材の両方の表面に形成された導電層に対して逐次又は同時に回路形成することも好ましい。このような構成により、基材の一方の表面に第一の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成したタッチパネル用回路配線を形成することができる。また、このような構成のタッチパネル用回路配線を、ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
(回路配線及び回路基板)
本開示に係る回路配線は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線である。
本開示に係る回路基板は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を有する基板である。
本開示に係る回路基板の用途は限定されないが、例えば、タッチパネル用回路基板であることが好ましい。
(入力装置及び表示装置)
本開示に係る回路配線の製造方法により製造される回路配線を備えた装置として、入力装置が挙げられる。
本実施形態における入力装置は、静電容量型タッチパネルであることが好ましい。
本実施形態における表示装置は、本実施形態における入力装置を備えることが好ましい。本実施形態における表示装置は、有機EL表示装置、及び、液晶表示装置等の画像表示装置であることが好ましい。
(タッチパネル、及び、タッチパネル表示装置並びにこれらの製造方法)
本開示に係るタッチパネルは、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネルである。また、本開示に係るタッチパネルは、透明基板と、電極と、絶縁層又は保護層とを少なくとも有することが好ましい。
本開示に係るタッチパネル表示装置は、本開示に係る回路配線の製造方法により製造された回路配線を少なくとも有するタッチパネル表示装置であり、本開示に係るタッチパネルを有するタッチパネル表示装置であることが好ましい。
本開示に係るタッチパネル又はタッチパネル表示装置の製造方法は、本開示に係る回路配線の製造方法を含むことが好ましい。
本開示に係るタッチパネル又はタッチパネル表示装置の製造方法は、感光性転写材料の製造方法により得られた感光性転写材料の上記感光性層を上記基板に接触させて貼り合わせる工程と、上記貼り合わせる工程後の上記感光性転写材料の上記感光性層をパターン露光する工程と、上記露光する工程後の感光性層を現像してパターンを形成する工程と、上記パターンが配置されていない領域における基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含むことが好ましい。各工程の詳細は、上述の回路配線の製造方法における各工程の詳細と同義であり、好ましい態様も同様である。
本開示に係るタッチパネル及び本開示に係るタッチパネル表示装置のおける検出方法としては、抵抗膜方式、静電容量方式、超音波方式、電磁誘導方式、及び、光学方式など公知の方式いずれでもよい。中でも、静電容量方式が好ましい。
タッチパネル型としては、いわゆる、インセル型(例えば、特表2012-517051号公報の図5、図6、図7、図8に記載のもの)、いわゆる、オンセル型(例えば、特開2013-168125号公報の図19に記載のもの、特開2012-89102号公報の図1や図5に記載のもの)、OGS(One Glass Solution)型、TOL(Touch-on-Lens)型(例えば、特開2013-54727号公報の図2に記載のもの)、その他の構成(例えば、特開2013-164871号公報の図6に記載のもの)、各種アウトセル型(いわゆる、GG、G1・G2、GFF、GF2、GF1、G1Fなど)を挙げることができる。
本実施形態のタッチパネル及び本実施形態のタッチパネル表示装置としては、『最新タッチパネル技術』(2009年7月6日、(株)テクノタイムズ社発行)、三谷雄二監修、“タッチパネルの技術と開発”、シーエムシー出版(2004,12)、FPD International 2009 Forum T-11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
以下に実施例を挙げて本発明の実施形態を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、及び、処理手順等は、本発明の実施形態の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。したがって、本発明の実施形態の範囲は以下に示す具体例に限定されない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
<重合体成分>
以下の合成例において、以下の略語はそれぞれ以下の化合物を表す。
ATHF:2-テトラヒドロフラニルアクリレート(合成品)
MATHF:2-テトラヒドロフラニルメタクリレート(合成品)
AA:アクリル酸(東京化成工業(株)製)
MAA:メタクリル酸(東京化成工業(株)製)
MMA:メチルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
EA:エチルアクリレート(東京化成工業(株)製)
CHA:アクリル酸シクロヘキシル(東京化成工業(株)製)
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート(東京化成工業(株)製)
UV1:2-[3-(2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4-ヒドロキシフェニル]エチルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
UV2:2-[2-(2-ヒドロキシ-4-オクチルオキシフェニル)-2H-1,2,3-ベンゾトリアゾール-5-イルオキシ]エチルメタクリレート(新中村化学工業(株)製)
PGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート):(昭和電工(株)製)
V-601:ジメチル 2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)(和光純薬工業(株)製)
<ATHFの合成>
3つ口フラスコにアクリル酸(72.1g、1.0mol)、ヘキサン(72.1g)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(7.0mg、0.03mmol)、2-ジヒドロフラン(77.9g、1.0mol)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間撹拌した。ヌッチェにキョーワード200(水酸化アルミニウム吸着剤、協和化学工業(株)製)、キョーワード1000(ハイドロタルサイト系吸着剤、協和化学工業(株)製)の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にヒドロキノンモノメチルエーテル(MEHQ、1.2mg)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、アクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル(ATHF)140.8gを無色油状物として得た(収率99.0%)。
<MATHFの合成>
3つ口フラスコにメタクリル酸(86.1g、1.0mol)、ヘキサン(86.1g)を加え20℃に冷却した。カンファースルホン酸(7.0mg、0.03mmol)、2-ジヒドロフラン(70.1g、1.0mol)を滴下した後に、20℃±2℃で1.5時間撹拌した後、35℃まで昇温して2時間攪拌した。ヌッチェにキョーワード200、キョーワード1000の順に敷き詰めた後、反応液をろ過することでろ過液を得た。得られたろ過液にMEHQ(1.2mg)を加えた後、40℃で減圧濃縮することで、メタクリル酸テトラヒドロフラン-2-イル(MATHF)156.2gを無色油状物として得た(収率98.0%)。
<重合体A1-1の合成例>
3つ口フラスコにPGMEA(75.0g)を入れ、窒素雰囲気下において90℃に昇温した。MATHF(25.0g)、MAA(10.0g)、CHMA(35.0g)、CHA(30.0g)、V-601(4.1g)、PGMEA(75.0g)を加えた溶液を、90℃±2℃に維持した3つ口フラスコ溶液中に2時間かけて滴下した。滴下終了後,90℃±2℃にて2時間撹拌することで、重合体A-1(固形分濃度40.0%)を得た。
<重合体A1-2~A1-4及びA2-1~A2-7の合成例>
モノマーの種類等を下記表に示す通りに変更し、その他の条件については、A-1と同様の方法で合成した。重合体の固形分濃度は40質量%とした。表1に記載のモノマーの使用量は、得られる重合体における対応する構成単位の質量%で示している。
Figure 0006995865000016
<光酸発生剤>
B-1:下記に示す構造の化合物(特開2013-047765号公報の段落0227に記載の化合物であり、段落0204に記載の方法に従って合成した。)
Figure 0006995865000017
B-2:PAG-103(BASF社製)、下記化合物
Figure 0006995865000018
B-3:下記に示す構造の化合物(国際公開第2014/020984号の段落0160に記載の方法に従って合成した。)
Figure 0006995865000019
B-4:下記に示す構造の化合物(特開2012-163937号公報の段落0208に記載の化合物であり、段落0212に記載の方法に従って合成した。)
Figure 0006995865000020
<有機紫外線吸収剤>
C-1:2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン(東京化成工業(株)製)、下記に示す構造の化合物
Figure 0006995865000021
C-2:5-(ジエチルアミノ)-2-(フェニルスルホニル)-2,4-ペンタジエン酸オクチル(BOC Science社製)、下記に示す構造の化合物
Figure 0006995865000022
C-3:1-(4-tert-ブチルフェニル)-3-(4-メトキシフェニル)-1,3-プロパンジオン(東京化成工業(株)社製)、下記に示す構造の化合物
Figure 0006995865000023
C-4:フェニルアゾレゾルシノール(東京化成工業(株)製)、下記に示す構造の化合物
Figure 0006995865000024
C-5:UVA-935LH(ベンゾフェノン系高分子紫外線吸収剤、固形分30質量%、重量平均分子量200,000、BASF社製)
<増感剤>
D-1:川崎化成工業(株)製アントラキュアー(登録商標)UVS-1331、下記化合物(なお、Buはブチル基を表す。)
Figure 0006995865000025
<界面活性剤>
E-1:下記に示す構造の化合物
Figure 0006995865000026
<塩基性化合物>
F-1:下記に示す構造の化合物
Figure 0006995865000027
(実施例1)
<感光性樹脂組成物の調製>
以下の組成で調合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、感光性樹脂組成物を得た。
PGMEA:424.5質量部
重合体A1-1:237.0質量部
光酸発生剤B-1:5.0質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
塩基性化合物F-1:0.1質量部
<紫外線吸収層用組成物の調製>
以下の組成で調合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、紫外線吸収層用組成物を得た。
PGMEA:2,280.0質量部
重合体A2-1:200.0質量部
有機紫外線吸収剤C-1:20.0質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
<感光性転写材料の作製>
仮支持体S1となる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に感光性樹脂組成物を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、感光性樹脂組成物層を有するフィルムAを作製した。
また、仮支持体S2となる16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、紫外線吸収層用組成物を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、紫外線吸収層を有するフィルムBを作製した。
最後にフィルムAの感光性樹脂組成物層とフィルムBの紫外線吸収層とを合わせる形でフィルムAとフィルムBとを90℃、5m/min.の速度で熱ラミネートして、感光性転写材料を作製した。
(実施例2~12、14~17及び21、並びに、比較例1~4)
使用する樹脂、光酸発生剤、有機紫外線吸収剤及び重合体A2又は重合体A3、並びに、膜厚が表2の通りとなるように各組成物の組成、及び、各層の塗布厚を変更した以外は、実施例1と同様にして、感光性転写材料を作製した。
(実施例13)
以下の感光性樹脂組成物を用いた以外は、実施例11と同様にして、感光性転写材料を作製した。
<感光性樹脂組成物の調製>
以下の組成で調合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、感光性樹脂組成物を得た。
PGMEA:424.5質量部
重合体A1-1:224.5質量部
光酸発生剤B-4:5.0質量部
増感剤D-1:5.0質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
塩基性化合物F-1:0.1質量部
(実施例18及び実施例19)
以下の紫外線吸収層用樹脂組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性転写材料を作製した。
<紫外線吸収層用組成物の調製>
以下の組成で調合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、紫外線吸収層用組成物を得た。
PGMEA:2,250.0質量部
表2に記載の重合体A2-5又は重合体A2-6:250.0質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
(実施例20)
以下の紫外線吸収層用組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、感光性転写材料を作製した。
<紫外線吸収層用組成物の調製>
以下の組成で調合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、紫外線吸収層用組成物を得た。
PGMEA:2,216.7質量部
重合体A2-3:150.0質量部
有機紫外線吸収剤C-5:133.3質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
(実施例22)
以下の組成で調合し、孔径0.2μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、紫外線吸収層用組成物を得た。
<紫外線吸収層用組成物の調製>
アンモニア水(アンモニア10質量%含有):49.0質量部
重合体A2-3(ドライアップしたもの):1.6質量部
メタノール:49.0質量部
有機紫外線吸収剤C-1:0.4質量部
メガファックF444(DIC(株)製、界面活性剤):0.1質量部
<感光性転写材料の作製>
仮支持体となる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、感光性樹脂組成物(実施例1で使用したものと同じ)を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、次いで、紫外線吸収層用組成物を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後にカバーフィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM-N)を圧着して感光性転写材料を作製した。
(実施例23及び24)
重合体A2-3及び有機紫外線吸収剤の代わりに、重合体A2-5又はA2-6を2.0質量部と使用した以外は、実施例22と同様にして、感光性転写材料を作製した。
(比較例5)
<紫外線吸収層用組成物の調製>
以下の組成で調合し、0.1μm径のジルコニアビーズとジルコニアビーズ:液=1:2の質量比で混合した液をペイントシェーカーを用いて室温(25℃)で2時間分散し、孔径1μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、紫外線吸収層用組成物を得た。
PGMEA:2,280.0質量部
重合体A2-2:200.0質量部
カーボンブラック(#2600、三菱ケミカル(株)製):20.0質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
<感光性転写材料の作製>
仮支持体S1となる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に感光性樹脂組成物(実施例1で使用したものと同じ)を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させフィルムAを作製した。
また、仮支持体S2となる16μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、紫外線吸収層用組成物をスリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させフィルムBを作製した。
最後にフィルムAの感光性樹脂組成物層とフィルムBの紫外線吸収層とを合わせる形でフィルムAとフィルムBとを90℃、5m/min.の速度で熱ラミネートして感光性転写材料を作製した。
(比較例6)
<紫外線吸収層用組成物の調製>
以下の組成で調合し、0.1μm径のジルコニアビーズとジルコニアビーズ:液=1:2の質量比で混合した液をペイントシェーカーを用いて室温で2時間分散し、口径1μmのポリテトラフルオロエチレン製フィルターで濾過することで、紫外線吸収層用組成物を得た。
PGMEA:2325.0質量部
重合体A2-2:125.0質量部
カーボンブラック(#2600、三菱ケミカル(株)製):50.0質量部
界面活性剤E-1:0.1質量部
(比較例7)
仮支持体となる厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの上に、感光性樹脂組成物(実施例1で使用したものと同じ)を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、次いで、紫外線吸収層用組成物(比較例6で使用したもの)を、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が0.2μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後にカバーフィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM-N)を圧着して感光性転写材料を作製した。
<性能評価>
厚さ188μmのPETフィルム上に厚さ500nmでスパッタ法にて銅層を作製した銅層付きポリエチレンテレフタレート(PET)基板を使用した。
-転写性評価-
作製した感光性転写材料を50cm角にカットし、仮支持体S2を有する場合は仮支持体S2を剥がして、ロール温度90℃、線圧0.6MPa、線速度3.6m/min.のラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。紫外線吸収層が銅層に密着する面積を目視評価し、紫外線吸収層が密着した面積/カットした転写材料の面積(%)により密着した面積割合を求めた。
5:95%以上
4:90%以上95%未満
3:85%以上90%未満
2:80%以上85%未満
1:80%未満
-直線性評価-
作製した感光性転写材料を、線圧0.6MPa、線速度(ラミネート速度)3.6m/minのラミネート条件で銅層付きPET基板にラミネートした。なお、ロール温度90℃で転写性評価が4以下の場合、転写性評価が5判定になるまでラミロール温度を上げて試料を作製した。
仮支持体S1を剥離せずに線幅3~20μmのラインアンドスペースパターン(Duty比 1:1)マスクを介して超高圧水銀灯で露光後、30分引き置いて仮支持体(仮支持体S1)を剥離して現像した。現像は28℃の1.0%炭酸ナトリウム水溶液を用い、シャワー現像で40秒行った。上記方法にて10μmのラインアンドスペースパターンを形成し、ライン幅とスペース幅の比が1:1になる露光量を求め、その露光量でパターン形成した試料を銅エッチング液(Cu-02:関東化学(株)製)により23℃で30秒エッチングし、PGMEAを用いてレジスト剥離して得た、銅配線の10μmのラインアンドスペースパターンのLWR(Line Width Roughness、線幅を250点計測した値の標準偏差)を求めることで直線性の評価を行った。3以上が実用可能レベルである。
5:LWRが140nm未満
4:LWRが140nm以上180nm未満
3:LWRが180nm以上200nm未満
2:LWRが200nm以上250nm未満
1:LWRが250nm以上
評価結果を、まとめて表2に示す。
Figure 0006995865000028
なお、表2におけるCBの詳細は、以下の通りである。
CB:カーボンブラック(#2600、三菱ケミカル(株)製)
(実施例101)
100μm厚PET基材上に、第2層の導電性層として酸化インジウムスズ(ITO)をスパッタリングで150nm厚にて成膜し、その上に第1層の導電性層として銅を真空蒸着法で200nm厚にて成膜して、回路形成基板とした。
銅層上に実施例1で得た感光性転写材料の仮支持体S2を剥離し、ラミネートした(線圧0.8MPa、線速度3.0m/min、ロール温度90℃)。仮支持体S1を剥離せずに一方向に導電性層パッドが連結された構成を持つ図3に示すパターン(以下、「パターンA」とも称する。)を設けたフォトマスクを用いてコンタクトパターン露光した。
なお、図3に示すパターンAは、実線部SL及びグレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後仮支持体S1を剥離し、現像、水洗を行ってパターンAを得た。次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu-02)を用いて銅層をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO-02)を用いてITO層をエッチングすることで、銅(実線部SL)とITO(グレー部G)とが共にパターンAで描画された基板を得た。
次いで、アライメントを合わせた状態で図4に示すパターン(以下、「パターンB」とも称する。)の開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光し、現像、水洗を行った。
なお、図4に示すパターンBは、グレー部Gが遮光部であり、点線部DLはアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。
その後、Cu-02を用いて銅層をエッチングし、残った感光性樹脂組成物層を剥離液(10質量%水酸化ナトリウム水溶液)を用いて剥離し、回路配線基板を得た。
これにより、回路配線基板を得た。顕微鏡で観察したところ、剥がれや欠けなどは無く、きれいなパターンであった。
10:仮支持体S1、12:感光性樹脂組成物層、12A:感光性樹脂組成物層の第1パターン、12B:感光性樹脂組成物層の第2パターン、14:紫外線吸収層、14A:紫外線吸収層の第1パターン、14B:紫外線吸収層の第2パターン、16:仮支持体S2、20:回路形成用基板、22:基材、24:第1導電層、24A:第1導電層(第1エッチング工程後)、24B:第1導電層(第2エッチング工程後)、26:第2導電層、26A:第2導電層(第1エッチング工程及び第2エッチング工程後)、30:マスク、40:マスク、100:感光性転写材料、SL:実線部、G:グレー部、DL:点線部

Claims (9)

  1. 感光性樹脂組成物層上に、水性塗布液を用いて塗布及び乾燥して紫外線吸収層を形成する工程を含み、
    得られるポジ型感光性転写材料が、仮支持体上に、感光性樹脂組成物層、及び、紫外線吸収層をこの順で有し、前記感光性樹脂組成物層が、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体A1と、光酸発生剤とを含み、前記紫外線吸収層が、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むか、又は、紫外線吸収能を有する重合体A3を含み、前記紫外線吸収層に含まれる、前記重合体A2のガラス転移温度又は前記重合体A3のガラス転移温度が、90℃以下である
    ポジ型感光性転写材料の製造方法
  2. 前記重合体A1のガラス転移温度が、前記重合体A2のガラス転移温度又は前記重合体A3のガラス転移温度よりも高い請求項1に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法
  3. 前記重合体A1のガラス転移温度が、前記重合体A2のガラス転移温度又は前記重合体A3のガラス転移温度よりも10℃以上50℃以下高い温度である請求項1又は請求項2に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法
  4. 前記重合体A1のガラス転移温度が、120℃以下である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法
  5. 前記重合体A2のガラス転移温度又は前記重合体A3のガラス転移温度が、-20℃以上60℃以下である請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法
  6. 前記紫外線吸収層が、紫外線吸収能を有する重合体A3を含む請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法
  7. 前記水性塗布液が、アルカリ性である請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法。
  8. 仮支持体S1上に形成された感光性樹脂組成物層と、仮支持体S2上に形成された紫外線吸収層とを貼り合わせる工程を含み、
    得られるポジ型感光性転写材料が、前記仮支持体S1上に、前記感光性樹脂組成物層、及び、前記紫外線吸収層をこの順で有し、前記感光性樹脂組成物層が、酸分解性基で保護された酸基を有する構成単位を有する重合体A1と、光酸発生剤とを含み、前記紫外線吸収層が、有機紫外線吸収剤と重合体A2とを含むか、又は、紫外線吸収能を有する重合体A3を含み、前記紫外線吸収層に含まれる、前記重合体A2のガラス転移温度又は前記重合体A3のガラス転移温度が、90℃以下である
    ポジ型感光性転写材料の製造方法。
  9. 基板に対し、請求項1~請求項のいずれか1項に記載のポジ型感光性転写材料の製造方法により製造されたポジ型感光性転写材料の前記紫外線吸収層を前記基板に接触させて貼り合わせる工程と、
    前記貼り合わせる工程後の前記感光性転写材料の前記感光性樹脂組成物層をパターン露光する工程と、
    前記露光する工程後の露光部を現像してパターンを形成する工程と、
    前記パターンが配置されていない領域における前記基板をエッチング処理する工程と、をこの順に含む
    回路配線の製造方法。
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