JP6574846B2 - ドライフィルムレジスト、回路配線の製造方法、回路配線、入力装置および表示装置 - Google Patents

ドライフィルムレジスト、回路配線の製造方法、回路配線、入力装置および表示装置 Download PDF

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Description

本発明はドライフィルムレジスト、回路配線の製造方法、回路配線、入力装置および表示装置に関する。
静電容量型入力装置などのタッチパネルを備えた表示装置(有機EL表示装置や液晶表示装置など)では、視認部のセンサーに相当する電極パターンや周辺配線部分や取り出し配線部分の配線などの導電パターンがタッチパネル内部に設けられている。
一般にパターン化した導電層の形成には、必要とするパターン形状を得るための工程数が少ないといった理由から、ドライフィルムレジストを感光性転写材料として用いて、任意の回路形成基板上に設けたレジスト層(感光性樹脂組成物の層)に対して、所望のパターンを有するマスクを介して露光し、レジスト層を部分的に硬化または溶解した後に現像して回路パターンを得、その後エッチングによって導電層に回路パターンを転写により形成する方法が広く使用されている。
ここでレジスト層は、光または電子線との反応方法から大きく分けてネガ型とポジ型に分けられる。ネガ型のレジスト層は露光されると現像液に対して溶解性が低下し、現像後に露光部が残る。ポジ型のレジスト層は露光されると現像液に対して溶解性が増大し、現像後に露光部が除去される。ネガ型レジストに比べて高解像度のパターンを形成しやすい利点があることから、ポジ型ドライフィルムレジストが求められている。
ポジ型ドライフィルムレジストとして、例えば、特許文献1や2に記載のポジ型ドライフィルムレジストが知られている。
特許文献1には、下層フォトレジスト層と上層フォトレジスト層との間に、フォトブリーチ性及び/又は光吸収性を有する中間層を設けた多層レジストが記載されている。特許文献1には、多重コントラスト露光の制御性を向上し、多重コントラスト露光効果を向上した多層レジストを提供することも記載されている。
特許文献2には、支持体フィルム;光分解性フォトレジスト層;及び回路形成基板にラミネーションされる面に形成された反射抑制層;を含むフィルム型光分解性転写材料が記載されている。
特開平5−66568号公報 特開2009−282522号公報
本発明者らが特許文献1および2に記載のポジ型ドライフィルムレジストを用いて回路形成を検討したところ、仮支持体を剥離せずにパターン露光すると、仮支持体に起因する光拡散によって露光光が拡散し、得られたパターンのパターン直線性が低下する問題が起きることがわかった。ポジ型レジストは露光部が溶解してマスク像を形成するため、残存パターン部は硬化しておらず、パターン直線性が低下した状態では特に細線パターンにおいて剥離が起こりやすい。そのため、回路品質低下、回路断線および短絡が起こり得る。そのため、ネガ型レジストで高解像度パターンを形成する場合に比べ、ポジ型ドライフィルムレジストを用いて高解像度パターンを形成する場合により顕著な課題であることがわかった。
本発明が解決しようとする課題は、高解像度のパターンを形成しやすいポジ型であり、パターン直線性が高い回路配線を製造できるドライフィルムレジストを提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、高解像度のパターンを形成しやすいポジ型であり、パターン直線性が高い回路配線および回路配線の製造方法を提供することである。
また、本発明が解決しようとする課題は、この回路配線を用いた入力装置およびこの入力装置を備える表示装置を提供することである。
本発明者らが鋭意検討した結果、仮支持体が、レジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率であるドライフィルムレジストを用いると、上記課題を解決できることを見出した。
また、仮支持体とレジスト層との間にレジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する光吸収層を有するドライフィルムレジストを用いると同様に、上記課題を解決できることを見出した。なお、特許文献2に記載の転写材料は、反射抑制層によって金属基板により反射される露光光のハレーション防止をするメカニズムを利用しているため、転写する場合の対象基材に接する転写面とは反対側から仮支持体、レジスト層、反射抑制層の順に積層される必要がある。
上記課題を解決するための具体的な手段である本発明および本発明の好ましい範囲は、以下のとおりである。
[1] 仮支持体の上にレジスト層を有するポジ型ドライフィルムレジストであり、
以下の条件(1)および条件(2)の少なくとも一つを満たすドライフィルムレジスト;
条件(1):仮支持体が、レジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する;
条件(2):仮支持体およびレジスト層の間にレジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する光吸収層を有する。
[2] [1]に記載のドライフィルムレジストは、レジスト層が感光剤を含み、
感光剤のレジスト層の露光主波長に対する吸光係数が12,000cm−1−1未満であることが好ましい。
[3] [1]または[2]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストは、仮支持体の全光線ヘイズが3.0%以下であることが好ましい。
[4] [1]〜[3]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストは、レジスト層がナフトキノンジアジド化合物およびフェノール性水酸基を有する樹脂を含むことが好ましい。
[5] [1]〜[3]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストは、レジスト層が、(A)成分および(B)光酸発生剤を含み、
(A)成分が、酸基が酸分解性基で保護された基を有する重合体であることが好ましい。
[6] [5]に記載のドライフィルムレジストは、(A)成分が、カルボキシ基またはフェノール性水酸基がアセタールの形で保護された酸構成単位a1を有する重合体を含む重合体成分であることが好ましい。
[7] [5]または[6]に記載のドライフィルムレジストは、(A)成分が、下記一般式A1または一般式A1’で表される構成単位を有する重合体であることが好ましい;
一般式A1
Figure 0006574846
一般式A1中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、少なくともRおよびRのいずれか一方がアルキル基またはアリール基であり、Rはアルキル基またはアリール基を表し、RまたはRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表す;
一般式A1’
Figure 0006574846
一般式A1’中、R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、少なくともR11およびR12のいずれか一方がアルキル基またはアリール基であり、R13はアルキル基またはアリール基を表し、R11またはR12と、R13とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R14はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、アリールカルボニル基またはシクロアルキル基を表す。
[8] [5]〜[7]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストは、レジスト層が、(A)成分を2種類以上含有し、かつ、
(A)成分として、下記一般式A2’で表される構成単位を有する重合体を含有することが好ましい;
一般式A2’
Figure 0006574846
一般式A2’中、R31およびR32はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、少なくともR31およびR32のいずれか一方がアルキル基またはアリール基であり、R33はアルキル基またはアリール基を表し、R31またはR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子またはメチル基を表し、Xは単結合またはアリーレン基を表す。
[9] [1]〜[8]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストは、レジスト層が、さらに(C)ヘテロ環状化合物を含むことが好ましい。
[10] [1]〜[9]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストは、レジスト層が、さらに塩基性化合物を含むことが好ましい。
[11] [1]〜[10]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストは、レジスト層が、さらに放射線吸収剤を含むことが好ましい。
[12] 下記(a)工程、(b)工程、(c)工程および(d)工程、を含む回路配線の製造方法;
(a) 基材と導電層とを有する回路形成基板の上へ[1]〜[11]のいずれか一つに記載のドライフィルムレジストをラミネートするラミネート工程;
(b) ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、パターン露光用パターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(c) 仮支持体を剥離後、現像してレジスト層にパターン露光用パターンを形成する現像工程;
(d) エッチングにより、回路形成基板にパターン露光用パターンを形成するエッチング工程。
[13] [12]に記載の回路配線の製造方法は、(b)工程が下記(b1)工程であり、
(c)工程が下記(c1)工程であり、
(d)工程が下記(d1)工程であり、
さらに下記(e1)工程、(f1)工程および(g)工程を含むことが好ましい;
(b1) ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、第1のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(c1) 仮支持体を剥離後、現像してレジスト層に第1のパターンを形成する現像工程;
(d1) エッチングにより、回路形成基板に第1のパターンを形成するエッチング工程;
(e1) (c1)工程で第1のパターンを転写したレジスト層を剥離することなく、第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(f1) 現像してレジスト層に第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程;
(g) エッチングにより、回路形成基板に第2のパターンを形成するエッチング工程。
[14] [12]に記載の回路配線の製造方法は、(b)工程が下記(b1)工程であり、
(c)工程が下記(c1)工程であり、
(d)工程が下記(d2)工程であり、
さらに(e2)工程、(f2)工程および(g)工程を含むことが好ましい;
(b1) ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、第1のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(c1) 仮支持体を剥離後、現像してレジスト層に第1のパターンを形成する現像工程;
(d2) エッチングにより、回路形成基板に第1のパターンを形成したのち、(c1)工程で第1のパターンを形成したレジスト層を剥離することなく、残りのレジスト層の上にカバーフィルムを貼り付けるエッチング工程;
(e2) (d2)工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離せずに、第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(f2) (d2)工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離した後、現像してレジスト層に第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程;
(g) エッチングにより、回路形成基板に第2のパターンを形成するエッチング工程。
[15] [12]〜[14]のいずれか一つに記載の回路配線の製造方法で製造された回路配線。
[16] [15]に記載の回路配線を用いた入力装置。
[17] [16]に記載の入力装置は、入力装置が静電容量型タッチパネルであることが好ましい。
[18] [16]または[17]に記載の入力装置を備える、表示装置。
本発明によれば、高解像度のパターンを形成しやすいポジ型であり、パターン直線性が高い回路配線を製造できるドライフィルムレジストを提供することができる。
また、本発明によれば、高解像度のパターンを形成しやすいポジ型であり、パターン直線性が高い回路配線および回路配線の製造方法を提供することができる。
また、本発明によれば、この回路配線を用いた入力装置およびこの入力装置を備える表示装置を提供することができる。
回路配線の製造方法の一例を示す模式図である。 xが2である場合に得られる本発明の実施態様の一つである、回路配線の一例の断面模式図である。 xが2である場合に得られる本発明の実施態様の一つである、回路配線の一例の模式図である。 パターンAを示す模式図である。 パターンBを示す模式図である。 パターンCを示す模式図である。 第一の電極パターンの接続部分および第二の電極パターンの配置の一例を示す断面模式図である。 第一の電極パターンのパッド部分および接続部分ならびに第二の電極パターンの配置の一例を示す模式図である。 本発明の入力装置の一例の構成を示す断面模式図である。
以下、本発明のドライフィルムレジスト、回路配線の製造方法、回路配線、入力装置、特にタッチパネルである入力装置、およびこの入力装置を用いた表示装置について説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様や具体例に基づいてなされることがあるが、本発明は実施態様や具体例に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
[ドライフィルムレジスト]
本発明のドライフィルムレジストは、仮支持体の上に少なくともレジスト層を有するポジ型ドライフィルムレジストであり、
以下の条件(1)および条件(2)の少なくとも一つを満たすドライフィルムレジストである。
条件(1):仮支持体が、レジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する;
条件(2):仮支持体およびレジスト層の間にレジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する光吸収層を有する。
上記の構成であるため、本発明のドライフィルムレジストは、高解像度のパターンを形成しやすいポジ型であり、パターン直線性が高い回路配線を製造できる。ここで、ドライフィルムレジストは仮支持体越しに露光を行った場合に仮支持体に起因する露光光の光拡散でパターン直線性が低下する。いかなる理論に拘泥するものでもないが、パターン直線性が低下する問題は、主として、仮支持体内および/または表面に存在するフィラーやその他の仮支持体に起因する露光光の光拡散が原因と推定される。仮支持体によって拡散された後の露光光のエネルギーが、レジスト感度(レジスト層の感光剤の活性化エネルギー、すなわち必要露光量)を超える場合、所望のパターンでは未露光部となるべき部分が拡散光で露光されてしまい、パターン直線性が低下する。それに対し、拡散後の露光光エネルギーが、レジスト感度(必要露光量)を超えない場合、所望のパターンでは未露光部となるべき部分は事実上、拡散光で露光されず、パターン直線性の低下を抑制できる。
仮支持体での露光光の光拡散に起因するパターン直線性低下を回避するには、(i)例えば仮支持体のヘイズを抑制すること等に起因する仮支持体での光拡散抑制、(ii)仮支持体を通過した拡散光の仮支持体内またはレジスト層に到達するまでに配置された他の部材での吸収、(iii)レジスト層の低感度化などの手法が考えられる。
本発明では、上記(ii)仮支持体を通過した拡散光の仮支持体内またはレジスト層に到達するまでに配置された他の部材での吸収に着目し、条件(1)および/または条件(2)を満たす構成としている。
なお、上記(i)から(iii)の複数の観点を組み合わせることにより直線性低下を抑制することも、好ましい手段として用いられ得る。
<構成>
本発明のドライフィルムレジストは、仮支持体の上に少なくともレジスト層を有する。本発明のドライフィルムレジストが条件(2)を満たす場合、さらに仮支持体およびレジスト層の間にレジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する光吸収層を有する。
本発明のドライフィルムレジストは、仮支持体と、熱可塑性樹脂層と、レジスト層とをこの順で有することも好ましく、さらに保護フィルムなどの他の層を有していてもよい。熱可塑性樹脂層の好ましい態様については特開2014−85643号公報の[0189]〜[0193]、他の層の好ましい態様については特開2014−85643号公報の[0194]〜[0196]にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
本発明のドライフィルムレジストは、露光された箇所が現像液に溶解するポジ型ドライフィルムレジストである。ポジ型ドライフィルムレジストは、ネガ型レジストに比べて高解像度のパターンを形成しやすい利点がある。
また、ポジ型では活性光線を照射することにより、例えば活性光線を照射されて酸を発生する感光剤などを用いて露光部の溶解性を高めるため、パターン露光時点では露光部および未露光部がいずれも硬化せず、得られたパターン形状が不良であった場合には全面露光などによって回路形成基板を再度利用(リワーク)できる。そのため、いわゆるリワーク性に優れる観点から、ポジ型が好ましく用いられている。
また、残存したレジストを再度露光して異なるパターンを作製する、という技術はポジ型でなければ実現できないものである。
本発明のドライフィルムレジストは、以下の条件(1)および条件(2)の少なくとも一つを満たし、条件(1)を満たすことがより好ましい。
条件(1):仮支持体が、レジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する;
条件(2):仮支持体およびレジスト層の間にレジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する光吸収層を有する。
条件(1)を満たす場合は、下記条件(1A)を満たすことが好ましい。
条件(1A):仮支持体が、レジスト層の露光主波長に対して10%を超え80%以下の透過率を有する。
条件(2)を満たす場合は、下記条件(2A)を満たすことが好ましい。
条件(2A):仮支持体およびレジスト層の間にレジスト層の露光主波長に対して10%を超え80%以下の透過率を有する光吸収層を有する。
条件(2)または条件(2A)を満たす場合は、ドライフィルムレジストを対象基材にラミネート(例えば転写)する場合の対象基材に接するラミネート面とは反対側から仮支持体、光吸収層およびレジスト層をこの順で有することができる。
ここで、特開2009−282522号公報には、反射抑制層は、200nm〜700nmの範囲の波長の光に対する吸収率が90%以上であることが好ましい態様として記載されている。仮支持体または光吸収層において、レジスト層の露光主波長の光吸収が過剰であると、レジスト層に感光剤を大量に含有させることに起因するレジスト設計の圧迫、ないしは多量の露光を要するためのスループット悪化があるため、実用上はレジスト層の露光主波長に対して10%を超え80%以下の透過率を有する仮支持体または光吸収層を用いることが好ましい。
(仮支持体)
本発明のドライフィルムレジストは、仮支持体を有する。
本発明のドライフィルムレジストが条件(1)を満たす場合、仮支持体は、レジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有し、60%以下の透過率を有することが好ましく、50%以下の透過率を有することがより好ましい。
本発明のドライフィルムレジストは、仮支持体のヘイズ(全光線ヘイズ)が3.0%以下であることが好ましく、2.0%以下であることがより好ましく、1.5%以下であることが特に好ましい。ヘイズの下限には特に制限はないが、例えばPETフィルムの場合にはフィルム中に添加ないしフィルム表面に塗布されているフィラーが主要なヘイズ源となっており、このフィラー量があまり少ないと、ハンドリング性悪化や保管時のブロッキング等の問題を引き起こす。そのため、最低限のフィラーは必要であることを考慮すると、0.05%以上であることが実用的である。言うまでもなく、PET以外のフィルムにおいては、実用上での最低ヘイズは異なる値をとり得るため、いかなる意味でも上記0.05%以上の値に拘泥するものではない。
仮支持体としては特に制限はない。仮支持体の好ましい態様については特開2014−85643号公報の[0017]〜[0018]に記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
(レジスト層)
本発明のドライフィルムレジストは、レジスト層を有する。
本発明のドライフィルムレジストは、レジスト層が感光剤を含み、感光剤のレジスト層の露光主波長に対する吸光係数が12,000cm−1−1未満であることが好ましい。なお、1cm−1−1は、1×10L・m−1mol−1に換算される。
感光剤のレジスト層の露光主波長に対する吸光係数が10,000cm−1−1未満であることがより好ましく、5,000cm−1−1未満であることが特に好ましい。吸光係数の下限は特に制限されるものではないが、あまりに吸光度が小さいと多量の露光が必要となりスループット低下をもたらすほか、感度低下を補正するために多量の感光剤を配合することでドライフィルムレジストの処方設計に制限が加わるため、30cm−1−1以上であることが実用的である。
感光剤としては、後述のナフトキノンジアジド化合物や後述の光酸発生剤などを挙げることができる。
レジスト層の好ましい態様としては、ナフトキノンジアジド化合物およびフェノール性水酸基を有する樹脂を含む第1の好ましい態様と、レジスト層が、(A)成分および(B)光酸発生剤を含み、(A)成分が、酸基が酸分解性基で保護された基を有する重合体である第2の好ましい態様が挙げられる。第1の好ましい態様よりも第2の好ましい態様の方が、化学増幅型であることに起因するレジスト層の溶解性向上により、パターン直線性を高められる観点から、好ましい。
以下、それぞれの好ましい態様に用いられるレジスト層の材料について説明する。
−レジスト層の第1の好ましい態様−
まず、レジスト層の第1の好ましい態様について説明する。
本発明のドライフィルムレジストは、レジスト層が、ナフトキノンジアジド化合物およびフェノール性水酸基を有する樹脂を含むことが好ましい。中でも、現像ラチチュードが広い観点から、レジスト層がクレゾールノボラック樹脂及びナフトキノンジアジド誘導体の2種類を含有することが特に好ましい。
−−フェノール性水酸基を有する樹脂−−
フェノール性水酸基を有する樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、及びクレゾールノボラック樹脂などが挙げられる。
フェノールノボラック樹脂としては、フェノールに対するホルムアルデヒドのモル比が0.5〜1.0程度のものが好ましく、現像性及び焼き付きの観点から0.8〜1.0程度のものが更に好ましい。また、上記フェノールノボラック樹脂の重量平均分子量としては、300〜4000が好ましく、400〜800が特に好ましい。
上記フェノールノボラック樹脂はこれらの誘導体であってもかまわない。
上記フェノールノボラック樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、重量平均分子量が異なる2種類以上を混合して用いることもでき、本発明の目的を損なわない範囲でクレゾールノボラック樹脂等の他の樹脂と混合して用いてもよい。
上記フェノールノボラック樹脂の含有量としては、ポジ型感光層中の全固形分に対して、40〜90質量%であることが好ましく、60〜80質量%であることがより好ましい。
上記クレゾールノボラック樹脂としては、クレゾールに対するホルムアルデヒドのモル比が0.7〜1.0程度のものが好ましく、0.8〜1.0程度のものが更に好ましい。また、上記クレゾールノボラック樹脂の重量平均分子量としては、800〜8,000が好ましく、1000〜6000がより好ましい。
上記クレゾールノボラック樹脂の異性体比(オルト体/メタ体/パラ体のモル比率)は特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、現像性を高める観点から全異性体に対するパラ体の比率が10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることが更に好ましい。
上記クレゾールノボラック樹脂は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上の混合物として用いることができる。この場合、フェノールノボラック等の他の樹脂と混合して用いてもよい。
また、本発明においては、上記クレゾールノボラック樹脂として、ナフトキノンジアジドスルホン酸エステルとの反応生成物等のクレゾールノボラック樹脂の誘導体を用いてもよい。
上記クレゾールノボラック樹脂の使用量としては、0.1〜10g/mが好ましく、0.5〜5g/mがより好ましい。
−−ナフトキノンジアジド化合物−−
上記ナフトキノンジアジド化合物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、クレゾールノボラック樹脂と併用することが特に好ましい。ナフトキノンジアジド化合物は、1官能の化合物であってもよいし2官能以上の化合物であってもよく、更にこれらの混合物であってもよい。
上記1官能のナフトキノンジアジド化合物としては、例えば、ナフトキノン−4−スルホン酸クロリド又はナフトキノン−5−スルホン酸クロリドと置換フェノールとを反応させたエステル化合物などが挙げられる。
上記2官能以上のナフトキノンジアジド化合物としては、例えば、ナフトキノン−4−スルホン酸クロリド又はナフトキノン−5−スルホン酸クロリドと、フェノール性水酸基を複数有する化合物とを反応させたエステル化合物が好適である。上記フェノール性水酸基を複数有する化合物としては、例えば、ビスフェノール類、トリスフェノール類、テトラキノスフェノール類等のポリフェノール類;ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン等の多官能フェノール;ビス型又はトリス型のジヒドロキシベンゼン若しくはトリヒドロキシベンゼン、非対称の多核フェノール、或いはこれらの混合物などが挙げられる。
上記フェノール性水酸基を複数有する化合物としては、例えば、4−t−ブチルフェノール、4−イソアミルフェノール、4−t−オクチルフェノール、2−イソプロピル−5−メチルフェノール、2−アセチルフェノール、4−ヒドロキシベンゾフェノン、3−クロロフェノール、4−ベンジルオキシカルボニルフェノール、4−ドデシルフェノール、レゾルシノール、4−(1−メチル−1−フェニルエチル)−1,3−ベンゼンジオール、フロログルシノール、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4,4’−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]等が挙げられる。
上記ナフトキノンジアジド化合物としては、例えば、4’−t−オクチルフェニルナフトキノンジアジド−4−スルホネート、4’−t−オクチルフェニルナフトキノンジアジド−5−スルホネート、4’−ベンゾイルフェニルナフトキノンジアジド−5−スルホネート、2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンと1,2−ナフトキノンジアジド−5−スルホン酸クロリドとの反応物などが挙げられる。これらは、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。特開平4−22955号公報に記載のナフトキノンジアジド化合物を用いてもよく、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
レジスト層中のナフトキノンジアジド化合物の添加量は、上記クレゾールノボラック樹脂100質量部に対し1〜200質量部が好ましく、5〜50質量部がより好ましい。
その他のレジスト層の第1の好ましい態様には、添加剤として、特開2007−24969号公報の[0072]〜[0083]に記載の材料を用いてもよく、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
また、レジスト層の第1の好ましい態様には、後述のレジスト層の第2の好ましい態様に記載の材料を用いてもよい。
−レジスト層の第2の好ましい態様−
レジスト層の第2の好ましい態様について説明する。
本発明では、レジスト層が、(A)成分および(B)光酸発生剤を含み、(A)成分が、酸基が酸分解性基で保護された基を有する重合体であることが好ましい。
<(A)成分:酸基が酸分解性基で保護された基を有する重合体>
(A)成分が、酸基が酸分解性基で保護された基を有する重合体であることが好ましい。
さらに本発明のドライフィルムレジストは、(A)成分が、カルボキシ基またはフェノール性水酸基がアセタールの形で保護された酸構成単位a1を有する重合体を含む重合体成分であることがより好ましい。
レジスト層は、さらに、これら以外の重合体を含んでいてもよい。
<<構成単位(a1)>>
上記(A)成分が酸基が酸分解性基で保護された基、好ましくはカルボキシ基またはフェノール性水酸基がアセタールの形で保護された酸構成単位a1を有することにより、極めて高感度なレジスト層とすることができる。
本発明における「酸基が酸分解性基で保護された基」における酸基や酸分解性基としては、酸基および酸分解性基として公知のものを使用でき、特に限定されない。具体的な酸基としては、カルボキシ基、および、フェノール性水酸基が好ましく挙げられる。また、酸分解性基としては、酸により比較的分解し易い基(例えば、後述する式(A1)または式(A1’)で表される基のエステル構造、テトラヒドロピラニルエステル基、または、テトラヒドロフラニルエステル基等のアセタール系官能基)や酸により比較的分解し難い基(例えば、tert−ブチルエステル基等の第三級アルキル基、tert−ブチルカーボネート基等の第三級アルキルカーボネート基)を用いることができる。
酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)は、酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位、または、酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位であることが好ましい。
レジスト層は、上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)が、カルボキシ基またはフェノール性水酸基がアセタールの形で保護された基を有する構成単位であることがより好ましい。
以下、酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位と、酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位について、順にそれぞれ説明する。
<<<酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位>>>
酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位とは、フェノール性水酸基を有する構成単位が、以下で詳細に説明する酸分解性基によって保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位である。
上記フェノール性水酸基を有する構成単位としては、ヒドロキシスチレンまたはα−メチルヒドロキシスチレンに由来する構成単位(例えばノボラック系の樹脂における構成単位)の水酸基が酸分解性基によって保護された構成単位が、感度の観点から好ましく、下記一般式A1または一般式A1’で表される構成単位を有する重合体であることがさらに解像度も高める観点からより好ましい。
一般式A1
Figure 0006574846
一般式A1中、RおよびRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、少なくともRおよびRのいずれか一方がアルキル基またはアリール基であり、Rはアルキル基またはアリール基を表し、RまたはRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、Rは水素原子またはメチル基を表す。
上記一般式A1中、RおよびRがアルキル基の場合、炭素数1〜10のアルキル基が好ましい。RおよびRがアリール基の場合、フェニル基が好ましい。RおよびRは、それぞれ、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、少なくとも一方が水素原子であることがより好ましい。
上記一般式A1中、Rはアルキル基またはアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましい。
またはRと、Rとが連結して環状エーテルを形成してもよく、RまたはRと、Rとが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。上記環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5または6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
上記一般式A1中、Rは水素原子またはメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
一般式A1’
Figure 0006574846
一般式A1’中、R11およびR12はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、少なくともR11およびR12のいずれか一方がアルキル基またはアリール基であり、R13はアルキル基またはアリール基を表し、R11またはR12と、R13とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R14はそれぞれ独立に、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルケニル基、アリール基、アラルキル基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシアルキル基、アリールカルボニル基またはシクロアルキル基を表す。
上記一般式A1’中、R11およびR12がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R11およびR12がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R11およびR12は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、少なくとも一方が水素原子であることがより好ましい。
上記一般式A1’中、R13はアルキル基またはアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましい。
11またはR12と、R13とが連結して環状エーテルを形成してもよい。
上記一般式A1’中、R14は水素原子またはメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位に用いることができる上記酸分解性基としては、公知のものを使用でき、特に限定されない。酸分解性基の中でもアセタールで保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位であることが、レジスト層の基本物性、特に感度やパターン形状、レジスト層の保存安定性の観点から好ましい。さらに、酸分解性基の中でもフェノール性水酸基が下記一般式(a1−10)で表されるアセタールの形で保護された保護フェノール性水酸基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、フェノール性水酸基が下記一般式(a1−10)で表されるアセタールの形で保護された保護フェノール性水酸基である場合、保護フェノール性水酸基の全体としては、−Ar−O−CR101102(OR103)の構造となっている。なお、Arはアリーレン基を表す。
一般式(a1−10)
Figure 0006574846
(式(a1−10)中、R101およびR102は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、但し、R101とR102とが共に水素原子の場合を除く。R103は、アルキル基を表す。R101またはR102と、R103とが連結して環状エーテルを形成してもよい。)
上記一般式(a1−10)中、R101およびR102は、それぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、R103は、アルキル基を表す。上記アルキル基は直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよい。ここで、R101およびR102の双方が水素原子を表すことはなく、R101およびR102の少なくとも一方はアルキル基を表す。
上記一般式(a1−10)において、R101、R102およびR103がアルキル基を表す場合、上記アルキル基は直鎖状、分岐状または環状のいずれであってもよい。
上記直鎖状または分岐状のアルキル基としては、炭素数1〜12であることが好ましく、炭素数1〜6であることがより好ましく、炭素数1〜4であることがさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、テキシル基(2,3−ジメチル−2−ブチル基)、n−ヘプチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、n−デシル基等を挙げることができる。
上記環状アルキル基としては、炭素数3〜12であることが好ましく、炭素数4〜8であることがより好ましく、炭素数4〜6であることがさらに好ましい。上記環状アルキル基としては、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基等を挙げることができる。
上記アルキル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、ハロゲン原子、アリール基、アルコキシ基が例示できる。置換基としてハロゲン原子を有する場合、R101、R102、R103はハロアルキル基となり、置換基としてアリール基を有する場合、R101、R102、R103はアラルキル基となる。
上記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が例示され、これらの中でもフッ素原子または塩素原子が好ましい。
また、上記アリール基としては、炭素数6〜20のアリール基が好ましく、より好ましくは炭素数6〜12であり、具体的には、フェニル基、α−メチルフェニル基、ナフチル基等が例示でき、アリール基で置換されたアルキル基全体、すなわち、アラルキル基としては、ベンジル基、α−メチルベンジル基、フェネチル基、ナフチルメチル基等が例示できる。
上記アルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、より好ましくは炭素数1〜4であり、メトキシ基またはエトキシ基がより好ましい。
また、上記アルキル基がシクロアルキル基である場合、上記シクロアルキル基は置換基として炭素数1〜10の直鎖状または分岐状のアルキル基を有していてもよく、アルキル基が直鎖状または分岐状のアルキル基である場合には、置換基として炭素数3〜12のシクロアルキル基を有していてもよい。
これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていてもよい。
また、R101、R102およびR103は互いに結合して、それらが結合している炭素原子と一緒になって環を形成することができる。R101とR102、R101とR103またはR102とR103が結合した場合の環構造としては、例えばシクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、テトラヒドロフラニル基、アダマンチル基およびテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
なお、上記一般式(a1−10)において、R101およびR102のいずれか一方が、水素原子またはメチル基であることが好ましい。
フェノール性水酸基のアセタールエステル構造の好ましい例は、R101=メチル基、R102=水素原子、R103=エチル基の場合や、R101=メチル基、R102=水素原子、R103=エチル基であってR101およびR103が互いに結合して5員環を形成した場合や、R101=R102=R103=メチル基の場合や、R101=R102=メチル基でR103=ベンジル基の場合が例示できる。
また、フェノール性水酸基がアセタールの形で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位を形成するために用いられる重合性単量体としては、例えば、特開2011−215590号公報の段落番号0042に記載のものなどが挙げられる。
これらの中で、4−ヒドロキシフェニルメタクリレートの1−アルコキシアルキル保護体および4−ヒドロキシフェニルメタクリレートのテトラヒドロピラニル保護体が透明性の観点から好ましい。
フェノール性水酸基のアセタール保護基の具体例としては、1−アルコキシアルキル基が挙げられ、例えば、1−エトキシエチル基、1−メトキシエチル基、1−n−ブトキシエチル基、1−イソブトキシエチル基、1−(2−クロロエトキシ)エチル基、1−(2−エチルヘキシルオキシ)エチル基、1−n−プロポキシエチル基、1−シクロヘキシルオキシエチル基、1−(2−シクロヘキシルエトキシ)エチル基、1−ベンジルオキシエチル基などを挙げることができる。これらは単独で使用してもよく、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位を形成するために用いられる重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、フェノール性水酸基を有する化合物を酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させることにより合成することができる。上記の合成はフェノール性水酸基を有するモノマーをその他のモノマーと予め共重合させておき、その後に酸触媒の存在下でビニルエーテルと反応させてもよい。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006574846
Figure 0006574846
Figure 0006574846
酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体における酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位の共重合割合は、この酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を含む重合体に対して10〜50モル%であることが好ましく、20〜40モル%であることがより好ましく、25〜40モル%であることが特に好ましい。
また、すべての重合体成分(上記重合体成分が2以上の重合体の混合物である場合は、含まれる重合体すべてを意味する)を構成単位(モノマーユニット)に分解したうえで、すべての構成単位のmol数に対する、酸基が酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位(a1)の割合は、0〜40モル%であることが好ましく、10〜35モル%であることがより好ましく、15〜30モル%であることが特に好ましい。
<<<酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位>>>
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位は、カルボキシ基を有する構成単位のカルボキシ基が、以下で詳細に説明する酸分解性基によって保護された保護カルボキシ基を有する構成単位である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位に用いることができる上記カルボキシ基を有する構成単位としては、特に制限はなく公知の構成単位を用いることができる。例えば、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和トリカルボン酸などの、分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(a1−1−1)や、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位(a1−1−2)が挙げられる。
以下、上記カルボキシ基を有する構成単位として用いられる、分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(a1−1−1)と、エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位(a1−1−2)について、それぞれ順に説明する。
<<<<分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(a1−1−1)>>>>
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(a1−1−1)として本発明で用いられる不飽和カルボン酸としては以下に挙げるものが用いられる。すなわち、不飽和モノカルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、α−クロロアクリル酸、ケイ皮酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−コハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−フタル酸などが挙げられる。また、不飽和ジカルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられる。また、カルボキシ基を有する構成単位を得るために用いられる不飽和多価カルボン酸は、その酸無水物であってもよい。具体的には、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などが挙げられる。また、不飽和多価カルボン酸は、多価カルボン酸のモノ(2−(メタ)アクリロイロキシアルキル)エステルであってもよく、例えば、コハク酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)、フタル酸モノ(2−アクリロイルオキシエチル)、フタル酸モノ(2−メタクリロイロキシエチル)などが挙げられる。さらに、不飽和多価カルボン酸は、その両末端ジカルボキシポリマーのモノ(メタ)アクリレートであってもよく、例えば、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノアクリレート、ω−カルボキシポリカプロラクトンモノメタクリレートなどが挙げられる。また、不飽和カルボン酸としては、アクリル酸2−カルボキシエチルエステル、メタクリル酸2−カルボキシエチルエステル、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸モノアルキルエステル、4−カルボキシスチレン等も用いることができる。
中でも、現像性の観点から、上記分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(a1−1−1)を形成するためには、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、または不飽和多価カルボン酸の無水物等を用いることが好ましく、アクリル酸、メタクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸を用いることがより好ましい。
上記分子中に少なくとも1個のカルボキシ基を有する不飽和カルボン酸等に由来する構成単位(a1−1−1)は、1種類の単独で構成されていてもよいし、2種類以上で構成されていてもよい。
<<<<エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位(a1−1−2)>>>>
エチレン性不飽和基と酸無水物由来の構造とを共に有する構成単位(a1−1−2)は、エチレン性不飽和基を有する構成単位中に存在する水酸基と酸無水物とを反応させて得られたモノマーに由来する単位であることが好ましい。
上記酸無水物としては、公知のものが使用でき、具体的には、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物などの酸無水物が挙げられる。これらの中では、現像性の観点から、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸および無水コハク酸が好ましい。
上記酸無水物の水酸基に対する反応率は、現像性の観点から、好ましくは10〜100モル%、より好ましくは30〜100モル%である。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位に用いることができる上記酸分解性基としては、上述の酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位に用いることができる酸分解性基を用いることができる。
これらの酸分解性基の中でもカルボキシ基がアセタールの形で保護された保護カルボキシ基であることが、レジスト層の基本物性、特に感度やパターン形状、レジスト層の保存安定性の観点から好ましい。さらに酸分解性基の中でもカルボキシ基が上記一般式(a1−10)で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシ基であることが、感度の観点からより好ましい。なお、カルボキシ基が上記一般式(a1−10)で表されるアセタールの形で保護された保護カルボキシ基である場合、保護カルボキシ基の全体としては、−(C=O)−O−CR101102(OR103)の構造となっている。
上記一般式(a1−10)で表される保護カルボキシ基を有する構成単位を形成するために用いられる重合性単量体は、市販のものを用いてもよいし、公知の方法で合成したものを用いることもできる。例えば、特開2011−221494号公報の段落番号0037〜0040に記載の合成方法などで合成することができる。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位の中でも、下記一般式A2’で表される構成単位が、感度を高める観点から好ましい。本発明のドライフィルムレジストは、レジスト層が、(A)成分を2種類以上含有し、かつ、(A)成分として、下記一般式A2’で表される構成単位を有する重合体を含有することが好ましい。
Figure 0006574846
(一般式A2’中、R31およびR32はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基またはアリール基を表し、少なくともR31およびR32のいずれか一方がアルキル基またはアリール基であり、R33はアルキル基またはアリール基を表し、R31またはR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R34は水素原子またはメチル基を表し、Xは単結合またはアリーレン基を表す。)
上記一般式A2’中、R31およびR32がアルキル基の場合、炭素数は1〜10のアルキル基が好ましい。R31およびR32がアリール基の場合、フェニル基が好ましい。R31およびR32は、それぞれ、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
上記一般式A2’中、R33は、アルキル基またはアリール基を表し、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、1〜6のアルキル基がより好ましい。
上記一般式A2’中、R31またはR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成してもよく、R31またはR32と、R33とが連結して環状エーテルを形成することが好ましい。上記環状エーテルの環員数は特に制限はないが、5または6であることが好ましく、5であることがより好ましい。
上記一般式A2’中、R34は水素原子またはメチル基を表し、水素原子であることが好ましい。
上記一般式A2’中、Xは単結合またはアリーレン基を表し、単結合が好ましい。
上記一般式A2’で表される構成単位の中でも、下記一般式A2’’で表される構成単位が、さらに感度を高める観点からより好ましい。
Figure 0006574846
(式中、R121は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、R122〜R128はそれぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表す。)
上記一般式A2’’中、R121は水素原子またはメチル基が好ましい。
上記一般式A2’’中、R122〜R128は、水素原子が好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位の好ましい具体例としては、下記の構成単位が例示できる。なお、Rは水素原子またはメチル基を表す。
Figure 0006574846
酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体における酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位の共重合割合は、この酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を含む重合体に対して5〜60モル%が好ましく、10〜50モル%がより好ましく、30〜50モル%が特に好ましい。
また、すべての重合体成分を構成単位(モノマーユニット)に分解したうえで、すべての構成単位のmol数に対する、酸基が酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位(a1)の割合は、0〜60モル%であることが好ましく、10〜50モル%であることがより好ましく、15〜25モル%であることが特に好ましい。
<<その他の構成単位(a3)>>
上記レジスト層の上記(A)成分は、上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)に加えて、これら以外のその他の構成単位(a3)を有していてもよい。これらのその他の構成単位(a3)は、上記(A)成分に用いられる重合体、すなわち、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体が共重合成分として含んでいてもよい。また、上記(A)成分に用いられる酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含有する重合体とは別に、実質的に酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含まずに他の構成単位を有する重合体がその他の構成単位(a3)を有していてもよい。
その他の構成単位(a3)となるモノマーとしては、特に制限はなく、例えば、スチレン類、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸環状アルキルエステル、(メタ)アクリル酸アリールエステル、不飽和ジカルボン酸ジエステル、ビシクロ不飽和化合物類、マレイミド化合物類、不飽和芳香族化合物、共役ジエン系化合物、不飽和モノカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸無水物、その他の不飽和化合物を挙げることができる。また、後述するとおり、酸基を有する構成単位を有していてもよい。その他の構成単位(a3)となるモノマーは、単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
構成単位(a3)は、具体的には、スチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、α−メチルスチレン、アセトキシスチレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、クロロスチレン、ビニル安息香酸メチル、ビニル安息香酸エチル、4−ヒドロキシ安息香酸(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、アクリロニトリル、エチレングリコールモノアセトアセテートモノ(メタ)アクリレートなどに由来する構成単位を挙げることができる。この他、特開2004−264623号公報の段落番号0021〜0024に記載の化合物を挙げることができる。
また、その他の構成単位(a3)としてスチレン類、脂肪族環式骨格を有する基が、電気特性の観点で好ましい。具体的にはスチレン、tert−ブトキシスチレン、メチルスチレン、ヒドロキシスチレン、α−メチルスチレン、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらにまた、その他の構成単位(a3)として(メタ)アクリル酸アルキルエステルが、密着性の観点で好ましい。具体的には(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル等が挙げられ、(メタ)アクリル酸メチルがより好ましい。
酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含有する重合体を構成する構成単位中、上記の構成単位(a3)の含有率は、60モル%以下が好ましく、50モル%以下がより好ましく、40モル%以下がさらに好ましい。下限値としては、0モル%でもよいが、例えば、1モル%以上とすることができ、さらには、5モル%以上とすることができる。上記の数値の範囲内であると、レジスト層の諸特性が良好となる。
その他の構成単位(a3)として、酸基を含む構成単位を有することが好ましい。(A)成分が酸基を含む構成単位を有することにより、(A)成分がアルカリ性の現像液に溶けやすくなり、本発明の効果がより効果的に発揮される。本発明における酸基とは、pKa(power of Ka;Kaは酸解離定数)が10以下のプロトン解離性基を意味する。酸基は、通常、酸基を形成し得るモノマーを用いて、酸基を含む構成単位として、重合体に組み込まれる。酸基を含む構成単位を重合体中に含めることにより、(A)成分がアルカリ性の現像液に対して溶けやすくなる傾向にある。
上記その他の構成単位に用いられる酸基を含む構成単位の酸基としては、カルボン酸基由来のもの、スルホンアミド基に由来のもの、ホスホン酸基に由来のもの、スルホン酸基に由来のもの、フェノール性水酸基に由来するもの、スルホンアミド基、スルホニルイミド基等が例示され、カルボン酸基由来のものおよび/またはフェノール性水酸基に由来のものが好ましい。
上記その他の構成単位に用いられる酸基を含む構成単位は、スチレンに由来する構成単位やビニル化合物に由来する構成単位に対して酸基が置換した構成単位であることや、(メタ)アクリル酸に由来する構成単位であることがより好ましい。
さらに、酸基のエステルを含む構成単位を有することも、現像液に対する溶解性や、膜の物理物性を最適化する観点から好ましい。
本発明では、特に、上記その他の構成単位(a3)として、カルボキシ基を有する構成単位、または、フェノール性水酸基を有する構成単位を含有することが、感度の観点で好ましい。
上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)として、上記酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を有する重合体は、上記その他の構成単位(a3)の中でもフェノール性水酸基に由来する構成単位を共重合成分として含むことが好ましい。上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)として、上記酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を有する重合体は、ヒドロキシスチレンまたはα−メチルヒドロキシスチレンに由来する構成単位を共重合成分として含むことがより好ましく、ヒドロキシスチレンに由来する構成単位を共重合成分として含むことが特に好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を有する重合体における酸基を含む構成単位の共重合割合は、酸基がフェノール性水酸基である場合、この酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を有する重合体に対して50〜90モル%が好ましく、60〜75モル%がより好ましい。
また、酸基がカルボキシ基である場合、この酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を有する重合体に対して0〜30モル%が好ましく、5〜10モル%がより好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を有する重合体における酸基のエステルを含む構成単位の共重合割合は、この酸分解性基で保護された保護フェノール基を有する構成単位を有する重合体に対して0〜30モル%が好ましく、0〜10モル%がより好ましく、0モル%が特に好ましい。
上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)として、上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を有する重合体は、上記その他の構成単位(a3)の中でもカルボン酸基由来の構成単位および/またはそのエステルを共重合成分として含むことが好ましい。上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)として、上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を有する重合体は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸ベンジルまたは(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル由来の構成単位を共重合成分として含むことがより好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を有する重合体における酸基を含む構成単位の共重合割合は、酸基がフェノール性水酸基である場合、この酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位を有する重合体に対して50〜90モル%が好ましく、60〜75モル%がより好ましい。
また、酸基がカルボキシ基である場合、この酸分解性基で保護されたカルボキシ基を有する構成単位を有する重合体に対して0〜30モル%が好ましく、5〜10モル%がより好ましい。
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を有する重合体における酸基のエステルを含む構成単位の共重合割合は、この酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を有する重合体に対して10〜80モル%が好ましく、30〜70モル%がより好ましく、40〜60モル%が特に好ましい。
<重合体成分の好ましい態様>
上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位は、上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位に比べると、現像(現像される速度)が速い。よって、上記レジスト層を露光後に速く現像したい場合には酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位が好ましい。逆に現像を遅くしたい場合には酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位を用いることが好ましい。
レジスト層では、上記(A)成分中、酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体は1種類であっても2種類以上であってもよい。レジスト層は、上記重合体成分として上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体を2種類以上含有することが好ましい。その中でも、上記重合体成分として上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位を有する重合体と、上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を含有する重合体とを含有することがより好ましい。
レジスト層は、上記重合体成分として上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体を2種類以上含有し、かつ、上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体として、上記一般式A2’で表される構成単位を有する重合体を含有することが感度を高める観点から特に好ましい。すなわち、本発明のドライフィルムレジストは、レジスト層が、(A)成分を2種類以上含有し、かつ、(A)成分として、一般式A2’で表される構成単位を有する重合体を含有することが好ましい。
レジスト層が、上記重合体成分として上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体を2種類以上含有し、かつ、上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体として、上記一般式A1または上記一般式A1’で表される構成単位を有する重合体のうち少なくとも一方と、上記一般式A2’で表される構成単位を有する重合体とを含有することが感度および解像度をともに高める観点からより特に好ましい。
上記重合体成分として上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を有する重合体を2種類以上含有する場合、上記酸分解性基で保護された保護フェノール性水酸基を有する構成単位を有する重合体と上記酸分解性基で保護された保護カルボキシ基を有する構成単位を含有する重合体の割合は、質量比で10:90〜100:0であることが好ましく、30:70〜60:40であることがより好ましく、1:1であることが特に好ましい。
<<酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含有する重合体の分子量>>
上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含有する重合体の重量平均分子量は、ポリスチレン換算の重量平均分子量で、好ましくは1,000〜200,000、より好ましくは2,000〜50,000の範囲である。上記の数値の範囲内であると、諸特性が良好である。
数平均分子量と重量平均分子量の比(分散度)は1.0〜5.0が好ましく1.05〜3.5がより好ましい。
<<(A)成分の製造方法>>
また、(A)成分の合成方法についても、様々な方法が知られている。一例を挙げると、少なくとも上記(a1)および上記(a3)で表される構成単位を形成するために用いられる重合性単量体を含む重合性単量体混合物を有機溶剤中、重合開始剤を用いて重合することにより合成することができる。また、いわゆる高分子反応で合成することもできる。
上記レジスト層は、全固形分100質量部に対し、(A)成分を50〜99.9質量部の割合で含むことが好ましく、70〜98質量部の割合で含むことがより好ましい。
<<他の重合体成分>>
また、上記(A)成分に用いられる酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含有する重合体とは別に、実質的に酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含まずに他の構成単位を有する重合体を有していてもよい。上記(A)成分に用いられる重合体とは別に、実質的に酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)を含まずに他の構成単位を有する重合体を含む場合、この重合体の配合量は、全重合体成分中、60質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましい。
上記レジスト層中にこれらの実質的に構成単位(a1)を含まずに他の構成単位(a3)を有する重合体は、1種類のみ含まれてもよいし、2種類以上含まれてもよい。
これらの実質的に構成単位(a1)を含まずに他の構成単位(a3)を有する重合体として、例えばポリヒドロキシスチレンを用いることができ、市販されている、SMA 1000P、SMA 2000P、SMA 3000P、SMA 1440F、SMA 17352P、SMA 2625P、SMA 3840F(以上、サートマー社製)、ARUFON UC−3000、ARUFON UC−3510、ARUFON UC−3900、ARUFON UC−3910、ARUFON UC−3920、ARUFON UC−3080(以上、東亞合成(株)製)、Joncryl 690、Joncryl 678、Joncryl 67、Joncryl 586(以上、BASF製)等を用いることもできる。
<(B)成分:光酸発生剤>
上記レジスト層は、(B)光酸発生剤を含有することが好ましい。本発明で使用される光酸発生剤(「(B)成分」ともいう。)としては、紫外線、遠紫外線、X線、荷電粒子線等の放射線を照射することにより酸を発生することができる化合物である。本発明で使用される(B)光酸発生剤としては、波長300nm以上、好ましくは波長300〜450nmの活性光線に感応し、酸を発生する化合物が好ましい。(B)光酸発生剤の化学構造は制限されるものではない。また、波長300nm以上の活性光線に直接感応しない光酸発生剤についても、増感剤と併用することによって波長300nm以上の活性光線に感応し、酸を発生する化合物であれば、増感剤と組み合わせて好ましく用いることができる。放射線の照射により発生される酸のpKaの値は好ましくは、4.0以下であり、さらに好ましくは3.0以下である。下限値は特に定めるものではないが、例えば、−10.0以上とすることができる。
上記(B)光酸発生剤としては、イオン性光酸発生剤と、非イオン性光酸発生剤を挙げることができる。
非イオン性光酸発生剤の例として、トリクロロメチル−s−トリアジン類、ジアゾメタン化合物、イミドスルホネート化合物、および、オキシムスルホネート化合物などを挙げることができる。これらの中でも、絶縁性の観点から、レジスト層は、上記(B)光酸発生剤がオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。これら光酸発生剤は、1種類単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。トリクロロメチル−s−トリアジン類、およびジアゾメタン誘導体の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落番号0083〜0088に記載の化合物が例示でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
オキシムスルホネート化合物、すなわち、オキシムスルホネート構造を有する化合物としては、下記一般式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物が好ましく例示できる。
一般式(B1)
Figure 0006574846
(一般式(B1)中、R21は、アルキル基またはアリール基を表す。波線は他の基との結合を表す。)
いずれの基も置換されてもよく、R21におけるアルキル基は直鎖状でも分岐状でも環状でもよい。許容される置換基は以下に説明する。
21のアルキル基としては、炭素数1〜10の、直鎖状または分岐状アルキル基が好ましい。R21のアルキル基は、炭素数6〜11のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、または、シクロアルキル基(7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニル基などの有橋式脂環基を含む、好ましくはビシクロアルキル基等)で置換されてもよい。
21のアリール基としては、炭素数6〜11のアリール基が好ましく、フェニル基またはナフチル基がより好ましい。R21のアリール基は、低級アルキル基、アルコキシ基あるいはハロゲン原子で置換されてもよい。
上記一般式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する上記化合物は、下記一般式(B2)で表されるオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
Figure 0006574846
(一般式(B2)中、R42は、アルキル基またはアリール基を表し、X10は、アルキル基、アルコキシ基、または、ハロゲン原子を表し、m4は、0〜3の整数を表し、m4が2または3であるとき、複数のX10は同一でも異なっていてもよい。)
10としてのアルキル基は、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルキル基が好ましい。
10としてのアルコキシ基は、炭素数1〜4の直鎖状または分岐状アルコキシ基が好ましい。
10としてのハロゲン原子は、塩素原子またはフッ素原子が好ましい。m4は、0または1が好ましい。上記一般式(B2)中、m4が1であり、X10がメチル基であり、X10の置換位置がオルト位であり、R42が炭素数1〜10の直鎖状アルキル基、7,7−ジメチル−2−オキソノルボルニルメチル基、またはパラトルイル基である化合物が特に好ましい。
上記一般式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物は、下記一般式(B3)で表されるオキシムスルホネート化合物であることも好ましい。
Figure 0006574846
(一般式(B3)中、R43は一般式(B2)におけるR42と同義であり、X11は、ハロゲン原子、水酸基、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基を表し、n4は0〜5の整数を表す。)
上記一般式(B3)におけるR43としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロ−n−プロピル基、パーフルオロ−n−ブチル基、パラトリル基、4−クロロフェニル基またはペンタフルオロフェニル基が好ましく、n−オクチル基が特に好ましい。
としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基がより好ましい。
n4としては、0〜2が好ましく、0〜1が特に好ましい。
上記一般式(B3)で表される化合物の具体例としては、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)ベンジルシアニド、α−〔(メチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(エチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(n−プロピルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリル、α−〔(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル〕アセトニトリルを挙げることができる。
好ましいオキシムスルホネート化合物の具体例としては、下記化合物(i)〜(viii)等が挙げられ、1種類を単独で使用するか、または、2種類以上を併用することができる。化合物(i)〜(viii)は、市販品として、入手することができる。また、他の種類の(B)光酸発生剤と組み合わせて使用することもできる。
Figure 0006574846
上記一般式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物としては、下記一般式(OS−1)で表される化合物であることも好ましい。
Figure 0006574846
上記一般式(OS−1)中、R411は、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルバモイル基、スルファモイル基、スルホ基、シアノ基、アリール基、または、ヘテロアリール基を表す。R412は、アルキル基、または、アリール基を表す。
401は−O−、−S−、−NH−、−NR415−、−CH−、−CR416H−、または、−CR415417−を表し、R415〜R417はアルキル基、または、アリール基を表す。
421〜R424は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アミノ基、アルコキシカルボニル基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、アミド基、スルホ基、シアノ基、または、アリール基を表す。R421〜R424のうち2つは、それぞれ互いに結合して環を形成してもよい。
421〜R424としては、水素原子、ハロゲン原子、および、アルキル基が好ましく、また、R421〜R424のうち少なくとも2つが互いに結合してアリール基を形成する態様も好ましい。中でも、R421〜R424がいずれも水素原子である態様が感度の観点からより好ましい。
既述の官能基は、いずれも、さらに置換基を有していてもよい。
上記一般式(OS−1)で表される化合物は、下記一般式(OS−2)で表される化合物であることがより好ましい。
Figure 0006574846
上記一般式(OS−2)中、R401、R402、R421〜R424は、それぞれ式(OS−1)におけるものと同義であり、好ましい例もまた同様である。
これらの中でも、上記一般式(OS−1)および上記一般式(OS−2)におけるR401がシアノ基、または、アリール基である態様がより好ましく、上記一般式(OS−2)で表され、R401がシアノ基、フェニル基またはナフチル基である態様が最も好ましい。
また、上記オキシムスルホネート化合物においてオキシムやベンゾチアゾール環の立体構造(E、Z等)についてはそれぞれ、どちらか一方であっても、混合物であってもよい。
本発明に好適に用い得る上記一般式(OS−1)で表される化合物の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落番号0128〜0132に記載の化合物(例示化合物b−1〜b−34)が挙げられるが、本発明はこれに限定されない。
本発明では、上記一般式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物としては、下記一般式(OS−3)、下記一般式(OS−4)または下記一般式(OS−5)で表されるオキシムスルホネート化合物であることが好ましい。
Figure 0006574846
(一般式(OS−3)〜一般式(OS−5)中、R22、R25およびR28はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R23、R26およびR29はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表し、R24、R27およびR30はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基またはアルコキシスルホニル基を表し、X〜Xはそれぞれ独立に酸素原子または硫黄原子を表し、n〜nはそれぞれ独立に1または2を表し、m〜mはそれぞれ独立に0〜6の整数を表す。)
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R22、R25およびR28におけるアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基は、置換基を有していてもよい。
上記式(OS−3)〜(OS−5)中、R22、R25およびR28におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
また、上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R22、R25およびR28におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基が好ましい。
また、上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、Rにおけるヘテロアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数4〜30のヘテロアリール基が好ましい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R22、R25およびR28におけるヘテロアリール基は、少なくとも1つの環が複素芳香環であればよく、例えば、複素芳香環とベンゼン環とが縮環していてもよい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R23、R26およびR29は、水素原子、アルキル基またはアリール基であることが好ましく、水素原子またはアルキル基であることがより好ましい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、化合物中に2以上存在するR23、R26およびR29のうち、1つまたは2つがアルキル基、アリール基またはハロゲン原子であることが好ましく、1つがアルキル基、アリール基またはハロゲン原子であることがより好ましく、1つがアルキル基であり、かつ残りが水素原子であることが特に好ましい。
23、R26およびR29におけるアルキル基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜12のアルキル基であることが好ましく、置換基を有してもよい総炭素数1〜6のアルキル基であることがより好ましい。
23、R26およびR29におけるアリール基としては、置換基を有してもよい総炭素数6〜30のアリール基であることが好ましい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、X〜Xはそれぞれ独立にOまたはSを表し、Oであることが好ましい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)において、X〜Xを環員として含む環は、5員環または6員環である。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、n〜nはそれぞれ独立に1または2を表し、X〜XがOである場合、n〜nはそれぞれ独立に1であることが好ましく、また、X〜XがSである場合、n〜nはそれぞれ独立に2であることが好ましい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R24、R27およびR30はそれぞれ独立にハロゲン原子、アルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基またはアルコキシスルホニル基を表す。その中でも、R24、R27およびR30はそれぞれ独立にアルキル基またはアルキルオキシ基であることが好ましい。
24、R27およびR30におけるアルキル基、アルキルオキシ基、スルホン酸基、アミノスルホニル基およびアルコキシスルホニル基は、置換基を有していてもよい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R24、R27およびR30におけるアルキル基としては、置換基を有していてもよい総炭素数1〜30のアルキル基であることが好ましい。
上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、R24、R27およびR30におけるアルキルオキシ基としては、置換基を有してもよい総炭素数1〜30のアルキルオキシ基であることが好ましい。
また、上記一般式(OS−3)〜(OS−5)中、m〜mはそれぞれ独立に0〜6の整数を表し、0〜2の整数であることが好ましく、0または1であることがより好ましく、0であることが特に好ましい。
また、上記(OS−3)〜(OS−5)のそれぞれの置換基について、特開2011−221494号公報の段落番号0092〜0109に記載の(OS−3)〜(OS−5)の置換基の好ましい範囲も同様に好ましい。
また、上記一般式(B1)で表されるオキシムスルホネート構造を含有する化合物は、下記一般式(OS−6)〜(OS−11)のいずれかで表されるオキシムスルホネート化合物であることが特に好ましい。
Figure 0006574846
(式(OS−6)〜(OS−11)中、R301〜R306はアルキル基、アリール基またはヘテロアリール基を表し、R307は、水素原子または臭素原子を表し、R308〜R310、R313、R316およびR318はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、ハロゲン原子、クロロメチル基、ブロモメチル基、ブロモエチル基、メトキシメチル基、フェニル基またはクロロフェニル基を表し、R311およびR314はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、メチル基またはメトキシ基を表し、R312、R315、R317およびR319はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表す。)
上記一般式(OS−6)〜(OS−11)における好ましい範囲は、特開2011−221494号公報の段落番号0110〜0112に記載される(OS−6)〜(OS−11)の好ましい範囲と同様である。
上記一般式(OS−3)〜上記一般式(OS−5)で表されるオキシムスルホネート化合物の具体例としては、特開2011−221494号公報の段落番号0114〜0120に記載の化合物が挙げられるが、本発明は、これらに限定されるものではない。
上記レジスト層において、(B)非イオン性光酸発生剤は、レジスト層中の全樹脂成分(好ましくは全固形分、より好ましくは重合体の合計)100質量部に対して、0.1〜10質量部使用することが好ましく、0.5〜10質量部使用することがより好ましい。2種類以上を併用することもできる。
イオン性光酸発生剤の例として、ジアリールヨードニウム塩類、トリアリールスルホニウム塩類、第四級アンモニウム塩類等を挙げることができる。これらのうち、トリアリールスルホニウム塩類およびジアリールヨードニウム塩類が好ましい。
イオン性光酸発生剤として使用されるトリアリールスルホニウム塩類は下記一般式(1)で表される。
一般式(1)
Figure 0006574846
(一般式(1)中、R505、R506及びR507は、それぞれ、置換基を有していてもよい、アルキル基又は芳香族基を表し、アルキル基の場合、互いに連結し環を形成してもよい;Xは共役塩基を表す。)
505、R506及びR507におけるアルキル基としては、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、置換基を有していてもよい。炭素数1〜10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基などが挙げられる。中でも、メチル基、エチル基、ターシャリーブチル基が好ましい。また、R505、R506及びR507のうち、2つ以上がアルキル基の場合、その2つ以上のアルキル基が互いに連結し環を形成していることが好ましく、環の形態としては硫黄原子を含んだ形で5員環(チアシクロペンタン)、及び、6員環(チアシクロヘキサン)が好ましい。
505、R506及びR507における芳香族基としては、炭素数6〜30の芳香族基が好ましく、置換基を有していてもよい。炭素数6〜30の芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−ターシャリーブチルフェニル基、4−フェニルチオフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、4−メトキシ−1−ナフチル基、4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基が挙げられる。
また、一般式(1)で表されるイオン性光酸発生剤は、R505〜R507のいずれかで結合し、2量体等の多量体を形成してもよい。例えば、上記4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基は2量体の一例であり、上記4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基における対アニオンは、Xと同様である。
505、R506及びR507におけるアルキル基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては、芳香族基が好ましく、具体的にはフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−クロロフェニル基、4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基が特に好ましい。これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていてもよい。
における共役塩基としては、アルキルスルホン酸の共役塩基、アリールスルホン酸の共役塩基、BY (Yはハロゲン原子を表す。以下についても同様である。)、PY 、AsY 、SbY 、又は、下記一般式(3)若しくは一般式(4)で表される一価のアニオンが好ましく、アルキルスルホン酸の共役塩基、アリールスルホン酸の共役塩基、PY 、又は、一般式(3)で表される1価のアニオンが特に好ましい。
アルキルスルホン酸及びアリールスルホン酸の共役塩基としては、炭素数1〜7のアルキルスルホン酸の共役塩基が好ましく、更に炭素数1〜4のアルキルスルホン酸の共役塩基がより好ましく、酸の形で表記すると例えば、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、n−プロパンスルホン酸、ヘプタンスルホン酸が特に好ましい。
アリールスルホン酸の共役塩基としては、酸の形で表記すると例えば、ベンゼンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸が挙げられる。
におけるBY 、PY 、AsY 、SbY 中のYは、フッ素原子、塩素原子が好ましく、フッ素原子が特に好ましい。
Figure 0006574846
(一般式(3)及び一般式(4)中、R521、R522及びR523はそれぞれ独立に、炭素原子数1〜10のアルキル基、炭素原子数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基、又は、R521とR522とが互いに炭素原子数2〜6のアルキレン基若しくは炭素原子数2〜6のフッ素原子を有するアルキレン基で結合した環を表す。)
一般式(3)及び一般式(4)中、R521、R522及びR523における炭素原子数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、ブチル基、ターシャリーブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基等を挙げることができる。また、炭素原子数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基としては、例えばトリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、ヘプタフルオロプロピル基、ノナフルオロブチル基、ドデカフルオロペンチル基、パーフルオロオクチル基等を挙げることができる。これらのうち、R521、R522及びR523は、炭素原子数1〜10のフッ素原子を有するアルキル基が好ましく、炭素原子数1〜6のフッ素原子を有するアルキル基が特に好ましい。
一般式(3)及び一般式(4)中、R521とR522とが互いに結合して環を形成する場合の炭素原子数2〜6のアルキレン基としては、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基等を挙げることができる。また、炭素原子数2〜6のフッ素原子を有するアルキレン基としては、テトラフルオロエチレン基、ヘキサフルオロプロピレン基、オクタフルオロブチレン基、デカフルオロペンチレン基、ウンデカフルオロヘキシレン基等を挙げることができる。これらのうち、R521とR522とが互いに結合して環を形成する場合は、炭素原子数2〜6のフッ素原子を有するアルキレン基で結合することが好ましく、特に炭素原子数2〜4のフッ素原子を有するアルキレン基で結合することが好ましい。
また、一般式(1)で表されるイオン性光酸発生剤としては、下記一般式(5)で表される光酸発生剤であることが好ましい。
Figure 0006574846
(式中、R510、R511、R512及びR513はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい、アルキル基又は芳香族基を表し、Ar及びArはそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい二価の芳香族基を表し、X1−及びX2−はそれぞれ独立に、共役塩基を表す。)
510、R511、R512及びR513におけるアルキル基及び芳香族基は、一般式(1)のR505、R506及びR507が表すアルキル基及び芳香族基と同義であり、好ましい態様も同様である。また、有していてもよい置換基も同様である。
1−及びX2−における共役塩基は、一般式(1)のXが表す共役塩基と同義であり、好ましい態様も同様である。
Ar及びArにおける二価の芳香族基としては、フェニレン基又はナフチレン基であることが好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
イオン性光酸発生剤として使用されるトリアリールスルホニウム塩類の具体例としては、トリフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、トリフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート、4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナートまたは4−フェニルチオフェニルジフェニルスルホニウムトリフルオロアセテート等が挙げられる。
市販されている化合物としては、TPS−102,103,105,106,109,300,1000、MDS−103,105,109,205、209、BDS−109、DTS−103,105、MNPS−109、HDS−109,(以上、みどり化学社製)、GSID−26−1、Cyracure UVI−6976(以上、BASF社製)が挙げられる。
イオン性光酸発生剤として使用されるジアリールヨードニウム塩類は下記一般式(2)で表される。
一般式(2)
Figure 0006574846
(一般式(2)中、R508及びR509はそれぞれ独立に、置換基を有していてもよい芳香族基を表し、Xは共役塩基を表す。)
一般式(2)中、R508及びR509における芳香族基は、一般式(1)のR505、R506及びR507が表す芳香族基と同義であり、好ましい態様も同様である。
一般式(2)中、Xにおける共役塩基は、一般式(1)のXが表す共役塩基と同義であり、好ましい態様も同様である。
また、一般式(2)で表される光酸発生剤は、R508〜R509で結合し、2量体等の多量体を形成してもよい。例えば、上記4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基は2量体の一例であり、上記4−(4’−ジフェニルスルホニオフェニルチオ)フェニル基における対アニオンは、上記Xと同様のものである。
イオン性光酸発生剤として使用されるジアリールヨードニウム塩類の具体例としては、ジフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、ジフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−メトキシフェニルフェニルヨードニウムトリフルオロアセテート、フェニル,4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウムトリフルオロメタンスルホナート、4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート、フェニル,4−(2’−ヒドロキシ−1’−テトラデカオキシ)フェニルヨードニウム−パラトルエンスルホナート等が挙げられる。
市販されている化合物としては、DPI−105,106,109,201、BI−105,MPI−105,106,109、BBI−102,103,105,106,109,110,201,300、301(以上、みどり化学社製)が挙げられる。
イオン性光酸発生剤として使用される第四級アンモニウム塩類の具体例としては、テトラメチルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(パラクロロフェニル)ボレート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムブチルトリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(パラクロロフェニル)ボレート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(3−トリフルオロメチルフェニル)ボレート等が挙げられる。
上記具体例の他、(B)成分の具体例としては、以下の化合物が挙げられるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
Figure 0006574846
Figure 0006574846
Figure 0006574846
上記レジスト層における成分Bの含有量は、重合体成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。成分Bの含有量が0.1質量部以上であると、所望の感度(高感度化)が得やすく、また、10質量部以下であると、塗膜の透明性を確保しやすい。
また、非イオン性光酸発生剤の添加量は、1質量%以下であることが好ましく、実質的に非イオン性光酸発生剤を含まない態様が好ましい。
<溶剤>
レジスト層を形成するための感光性樹脂組成物は、所定の成分を溶剤(成分(D))に溶解した溶液として調製されることが好ましい。
レジスト層を形成するための感光性樹脂組成物に使用される溶剤としては、公知の溶剤を用いることができ、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、プロピレングリコールモノアルキルエーテル類、プロピレングリコールジアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、エステル類、ケトン類、アミド類、ラクトン類等が例示できる。また、レジスト層を形成するための感光性樹脂組成物に使用される溶剤の具体例としては特開2011−221494号公報の段落番号0174〜0178に記載の溶剤も挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、これらの溶剤にさらに必要に応じて、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、アニソール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等の溶剤を添加することもできる。これら溶剤は、1種類単独でまたは2種類以上を混合して使用することができる。本発明に用いることができる溶剤は、2種類を併用することがより好ましく、プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類またはジアルキルエーテル類、ジアセテート類とジエチレングリコールジアルキルエーテル類、あるいは、エステル類とブチレングリコールアルキルエーテルアセテート類とを併用することがさらに好ましい。
また、成分Dとしては、沸点130℃以上160℃未満の溶剤、沸点160℃以上の溶剤、または、これらの混合物であることが好ましい。
沸点130℃以上160℃未満の溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(沸点146℃)、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点158℃)、プロピレングリコールメチル−n−ブチルエーテル(沸点155℃)、プロピレングリコールメチル−n−プロピルエーテル(沸点131℃)が例示できる。
沸点160℃以上の溶剤としては、3−エトキシプロピオン酸エチル(沸点170℃)、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル(沸点176℃)、プロピレングリコールモノメチルエーテルプロピオネート(沸点160℃)、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート(沸点213℃)、3−メトキシブチルエーテルアセテート(沸点171℃)、ジエチレングリコールジエチエルエーテル(沸点189℃)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(沸点162℃)、プロピレングリコールジアセテート(沸点190℃)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート(沸点220℃)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル(沸点175℃)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(沸点232℃)が例示できる。
レジスト層を形成するためのレジスト層における溶剤の含有量は、感光性樹脂組成物中の全樹脂成分100質量部当たり、50〜95質量部であることが好ましく、60〜90質量部であることがさらに好ましい。
<増感剤>
ドライフィルムレジストは、レジスト層が、さらに増感剤を含むことも好ましい。レジスト層は、(B)光酸発生剤との組み合わせにおいて、その分解を促進させるために、増感剤を含有することができ、特に非イオン性光酸発生剤を用いるときは増感剤を含有することが好ましい。増感剤は、活性光線または放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感剤は、光酸発生剤と接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより光酸発生剤は化学変化を起こして分解し、酸を生成する。
増感剤を含有させることで、露光感度が一段と向上し、また、可視光の吸収率が低い非イオン性光酸発生剤を用いる場合や、露光光源がg線およびh線の混合線の場合に特に有効である。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体が好ましく、アントラセン誘導体がより好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセンが好ましい。
アクリドン誘導体としては、アクリドン、N−ブチル−2−クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、2−メトキシアクリドン、N−エチル−2−メトキシアクリドンが好ましい。
チオキサントン誘導体としては、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−クロロチオキサントンが好ましい。
クマリン誘導体としては、クマリン−1、クマリン−6H、クマリン−110、クマリン−102が好ましい。
ベーススチリル誘導体としては、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ベンゾチアゾール、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ナフトチアゾールが挙げられる。
ジスチリルベンゼン誘導体としては、ジスチリルベンゼン、ジ(4−メトキシスチリル)ベンゼン、ジ(3,4,5−トリメトキシスチリル)ベンゼンが挙げられる。
増感剤の具体例としては、下記が挙げられるが本発明はこれらに限定されるものではない。なお、下記において、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基を表す。
Figure 0006574846
レジスト層における増感剤の含有量は、重合性成分100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることがより好ましい。増感剤の含有量を0.1質量部以上とすることにより所望の感度が得やすく、また10質量部以下とすることにより塗膜の透明性を確保しやすい。
<塩基性化合物>
本発明のドライフィルムレジストは、レジスト層が、さらに塩基性化合物を含むことが好ましい。塩基性化合物としては、化学増幅レジストで用いられるものの中から任意に選択して使用することができる。例えば、脂肪族アミン、芳香族アミン、複素環式アミン、第四級アンモニウムヒドロキシド、カルボン酸の第四級アンモニウム塩等が挙げられる。これらの具体例としては、特開2011−221494号公報の段落番号0204〜0207に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
具体的には、脂肪族アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、トリ−n−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素(略称CHMETU)などが挙げられる。
芳香族アミンとしては、例えば、アニリン、ベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミンなどが挙げられる。
複素環式アミンとしては、例えば、ピリジン、2−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、4−エチルピリジン、2−フェニルピリジン、4−フェニルピリジン、N−メチル−4−フェニルピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2−フェニルベンズイミダゾール、2,4,5−トリフェニルイミダゾール、ニコチン、ニコチン酸、ニコチン酸アミド、キノリン、8−オキシキノリン、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、プリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、モルホリン、4−メチルモルホリン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン(略称DBN)、1,8−ジアザビシクロ[5.3.0]−7−ウンデセンなどが挙げられる。
第四級アンモニウムヒドロキシドとしては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシドなどが挙げられる。
カルボン酸の第四級アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムベンゾエート、テトラ−n−ブチルアンモニウムアセテート、テトラ−n−ブチルアンモニウムベンゾエートなどが挙げられる。
本発明に用いることができる塩基性化合物は、1種類単独で使用しても、2種類以上を併用してもよい。
レジスト層における塩基性化合物の含有量は、レジスト層中の全固形分100質量部に対して、0.001〜3質量部であることが好ましく、0.005〜1質量部であることがより好ましい。
<(C):ヘテロ環状化合物>
本発明のドライフィルムレジストは、レジスト層が、(C)ヘテロ環状化合物を含むことが好ましい。ヘテロ環状化合物を添加することにより、レジスト層により得られる硬化膜をより強固な膜とすることができる。
ヘテロ環状化合物としては、重合体成分を除けば特に制限はない。例えば、以下に述べる分子内にエポキシ基またはオキセタニル基を有する化合物、アルコキシメチル基含有ヘテロ環状化合物、そのほか、各種類の環状エーテルおよび環状エステル(ラクトン)などの含酸素モノマーや、環状アミンおよびオキサゾリンといった含窒素モノマー、さらには珪素、硫黄およびリンなどのd電子をもつヘテロ環モノマー等を添加することができる。
レジスト層中におけるヘテロ環状化合物の添加量は、レジスト層の全固形分100質量部に対し、0.01〜50質量部であることが好ましく、0.1〜10質量部であることがより好ましく、1〜5質量部であることがさらに好ましい。この範囲で添加することにより、機械的強度に優れた硬化膜が得られ、耐薬品性に優れた硬化膜が得られる。ヘテロ環状化合物は複数を併用することもでき、その場合はヘテロ環状化合物を全て合算して含有量を計算する。
分子内にエポキシ基を有する化合物の具体例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等を挙げることができる。
これらは市販品として入手できる。例えば、JER828、JER1007、JER157S70(三菱化学社製)、JER157S65((株)三菱ケミカルホールディングス製)など、特開2011−221494号公報の段落番号0189に記載の市販品などが挙げられる。
その他にも、ADEKA RESIN EP−4000S、同EP−4003S、同EP−4010S、同EP−4011S(以上、(株)ADEKA製)、NC−2000、NC−3000、NC−7300、XD−1000、EPPN−501、EPPN−502(以上、(株)ADEKA製)、デナコールEX−611、EX−612、EX−614、EX−614B、EX−622、EX−512、EX−521、EX−411、EX−421、EX−313、EX−314、EX−321、EX−211、EX−212、EX−810、EX−811、EX−850、EX−851、EX−821、EX−830、EX−832、EX−841、EX−911、EX−941、EX−920、EX−931、EX−212L、EX−214L、EX−216L、EX−321L、EX−850L、DLC−201、DLC−203、DLC−204、DLC−205、DLC−206、DLC−301、DLC−402、EX−111,EX−121、EX−141、EX−145、EX−146、EX−147、EX−171、EX−192(以上、ナガセケムテックス(株)製)、YH−300、YH−301、YH−302、YH−315、YH−324、YH−325(以上、新日鐵化学製)、セロキサイド2021P、2081、2000、3000、EHPE3150、エポリードGT400、セルビナースB0134、B0177(以上、(株)ダイセル製)などが挙げられる。
これらは1種類単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂および脂肪族エポキシ、脂肪族エポキシ樹脂がより好ましく挙げられ、脂肪族エポキシ樹脂が特に好ましく挙げられる。
分子内にオキセタニル基を有する化合物の具体例としては、アロンオキセタンOXT−201、OXT−211、OXT−212、OXT−213、OXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX(以上、東亞合成(株)製)を用いることができる。
また、オキセタニル基を含む化合物は、単独でまたはエポキシ基を含む化合物と混合して使用することが好ましい。
これらの中でも、上記(C)ヘテロ環状化合物がエポキシ基を有する化合物であることが、エッチング耐性や線幅安定性の観点から好ましい。
また、分子内にアルコキシシラン構造とヘテロ環状構造の両方を有する化合物もレジスト層に好適に用いることができる。たとえば、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシラン、γ−グリシドキシプロピルアルキルジアルコキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリアルコキシシランが挙げられる。これらのうち、γ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランがより好ましい。これらは1種類単独または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
<界面活性剤>
上記レジスト層は、界面活性剤を含有してもよい。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、または、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)、PolyFox(OMNOVA社製)、SH−8400(東レ・ダウコーニングシリコーン)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記一般式(I−1)で表される構成単位Aおよび構成単位Bを含み、テトラヒドロフラン(THF)を溶剤とした場合のゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量が1,000以上10,000以下である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
一般式(I−1)
Figure 0006574846
(式(I−1)中、R401およびR403はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R402は炭素数1以上4以下の直鎖アルキレン基を表し、R404は水素原子または炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、Lは炭素数3以上6以下のアルキレン基を表し、pおよびqは重合比を表す質量百分率であり、pは10質量%以上80質量%以下の数値を表し、qは20質量%以上90質量%以下の数値を表し、rは1以上18以下の整数を表し、sは1以上10以下の整数を表す。)
上記Lは、下記一般式(I−2)で表される分岐アルキレン基であることが好ましい。一般式(I−2)におけるR405は、炭素数1以上4以下のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1以上3以下のアルキル基が好ましく、炭素数2または3のアルキル基がより好ましい。pとqとの和(p+q)は、p+q=100、すなわち、100質量%であることが好ましい。
一般式(I−2)
Figure 0006574846
上記共重合体の重量平均分子量は、1,500以上5,000以下がより好ましい。
その他、特許第4502784号公報の段落[0017]、特開2009−237362号公報の段落[0060]〜[0071]に記載の界面活性剤も用いることができる。
これらの界面活性剤は、1種類単独でまたは2種類以上を混合して使用することができる。
上記レジスト層における界面活性剤の添加量は、レジスト層中の全固形分100質量部に対して、10質量部以下であることが好ましく、0.001〜10質量部であることがより好ましく、0.01〜3質量部であることがさらに好ましい。
<放射線吸収剤>
本発明に用いられるポジ感光性材料は、放射線吸収剤を含むことも好ましい。放射線吸収剤としては、紫外線吸収剤が好ましい。紫外線吸収により吸光度が減少する、いわゆるフォトブリーチ性を示す紫外線吸収剤がより好ましく用いられる。具体的には、ナフトキノンジアジド誘導体、ニトロンやジアゾニウム塩等のフォトブリーチ性材料(例えば、特公昭62−40697号公報、M.Sasano et al.,SPIE Symp. Proc.,631,321(1986)に記載の化合物)が挙げられる。
放射線吸収剤は、レジスト層内の光強度分布を平均化させる目的で用いられるものであり、いわゆる内添型CEL(Contrast Enhancement Lithography)効果をもたらすことでパターンの矩形化、パターン直線性(ラインエッジラフネス)の改善効果が得られる(半導体プロセス材料とケミカルス、坂本正典監修、シーエムシー出版(2006)参照)。
<その他の成分>
レジスト層には、上記成分に加えて、さらに金属酸化物粒子、ヘテロ環状化合物以外の架橋剤、アルコキシシラン化合物、酸化防止剤、分散剤、酸増殖剤、現像促進剤、導電性繊維、着色剤、可塑剤、熱ラジカル発生剤、熱酸発生剤、紫外線吸収剤、増粘剤、および、有機または無機の沈殿防止剤などの公知の添加剤を加えることができる。
その他の成分の好ましい態様については特開2014−85643号公報の[0165]〜[0184]にそれぞれ記載があり、この公報の内容は本明細書に組み込まれる。
<エチレン性不飽和結合を有する化合物>
ドライフィルムレジストは、レジスト層中、エチレン性不飽和結合を有する化合物の量が0質量%であることが解像度の観点から好ましい。なお、0質量%には、解像度の効果を阻害しない程度に微量(例えばレジスト層に1質量%以下)に含まれている態様も含まれてもよい。
<レジスト層の膜厚>
レジスト層の膜厚は、0.5〜10μmが好ましい。レジスト層の膜厚が10μm以下であるとパターンの解像度が良好であり、0.5μm以上であるとパターン直線性の観点から好ましい。
レジスト層の膜厚としては、0.8〜5μmが更に好ましく、1.0〜3.0μmが特に好ましい。
<レジスト層の形成方法>
各成分を所定の割合でかつ任意の方法で混合し、撹拌溶解してレジスト層を形成するための感光性樹脂組成物を調製することができる。例えば、各成分を、それぞれ予め溶剤に溶解させた溶液とした後、これらを所定の割合で混合して樹脂組成物を調製することもできる。以上のように調製した組成物溶液は、孔径0.2μmのフィルター等を用いてろ過した後に、使用に供することもできる。
(光吸収層)
本発明のドライフィルムレジストは、条件(2)を満たす場合、仮支持体およびレジスト層の間にレジスト層の露光主波長に対して80%以下の透過率を有する光吸収層を有する。
本発明のドライフィルムレジストが条件(2)を満たす場合、光吸収層は、60%以下の透過率を有することが好ましく、55%以下の透過率を有することがより好ましい。
光吸収層に関して説明する。光吸収層は仮支持体によって拡散された露光光のうち、不要な光を吸収してレジストの感光を抑制するため、レジスト層と仮支持体との間に設けられる。
光吸収層は、光吸収剤と樹脂を含むことが好ましい。
光吸収剤は紫外線吸収剤、染料などから選択され、露光光を吸収して吸光度が減少する、いわゆるフォトブリーチ性を有するものであってもなくてもよい。
フォトブリーチする物質としては、ナフトキノンジアジド誘導体、ニトロンやジアゾニウム塩等のフォトブリーチ性材料(例えば、特公昭62−40697号公報、M.Sasano et al.,SPIE Symp. Proc.,631,321(1986)に記載の化合物)、スチルバゾリウム塩、アリールニトロソ塩類、ホルマザン色素、オキソノール色素などを挙げることができる。更に具体的な例としては、ニトロブルーテトラゾリウム、MTTホルマザン、1,3,5−トリフェニルホルマザン、INTホルマザン等のホルマザン色素、オキソノールイエローK、オキソノール805ブルー等のオキソノール色素を挙げることが出来る。
フォトブリーチしない光吸収剤としては、公知の紫外線吸収剤等を用いることが出来る。代表的な構造としては、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、トリアジン系、シアノアクリレート系、オキザニリド、ホルムアミジン系等を挙げることが出来る。更に具体的な例としては、TINUVIN384、900、928(いずれもBASF社製)やアデカスタブLA-29、LA−36(いずれも株式会社ADEKA製)などのベンゾトリアゾール系、TINUVIN400、460(いずれもBASF社製)やアデカスタブLA−46(株式会社ADEKA製)などのトリアジン系、アデカスタブ1413(株式会社ADEKA製)などのベンゾフェノン系化合物を挙げることが出来る。
光吸収層を構成する樹脂は、レジストともにアルカリ現像により消失する必要があるため、アルカリ可溶性樹脂が好ましい。アルカリ可溶性樹脂としては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているメタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
上述したものの他、アルカリ可溶性樹脂としては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、または、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記の物質のほかに、光吸収層には界面活性剤、酸化防止剤、消泡剤、現像促進剤、可塑剤などの物質を特性改善のために加えてもよい。
<ドライフィルムレジストの作製方法>
ドライフィルムレジストは、特開2006−259138号公報の段落[0094]〜[0098]に記載の感光性転写材料の作製方法に準じて作製することができる。レジスト層は、ポジ型感光性樹脂組成物を用いて、形成することが好ましい。
具体的に中間層を有するドライフィルムレジストを形成する場合には、支持体上に、熱可塑性の有機高分子と共に添加剤を溶解した溶解液(熱可塑性樹脂層用塗布液)を塗布し、乾燥させて熱可塑性樹脂層を設けた後、この熱可塑性樹脂層上に熱可塑性樹脂層を溶解しない溶剤に樹脂や添加剤を加えて調製した調製液(中間層用塗布液)を塗布し、乾燥させて中間層を積層し、この中間層上に更に、中間層を溶解しない溶剤を用いて調製したレジスト層用塗布液を塗布し、乾燥させてレジスト層を積層することによって、好適に作製することができる。
[回路配線の製造方法]
本発明の回路配線の製造方法は、下記(a)工程、(b)工程、(c)工程および(d)工程、を含む回路配線の製造方法である。
(a) 基材と導電層とを有する回路形成基板の上へ本発明のドライフィルムレジストをラミネートするラミネート工程;
(b) ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、パターン露光用パターン(好ましくはパターン露光用パターンの形状を有するフォトマスク)でコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(c) 仮支持体を剥離後、現像してレジスト層にパターン露光用パターン(好ましくはパターン露光用パターンの形状を有するレジストパターン)を形成する現像工程;
(d) エッチングにより、回路形成基板にパターン露光用パターン(好ましくはパターン露光用パターンの形状を有する導電層パターン(回路配線))を形成するエッチング工程。
本明細書中、特に断り無く「パターン露光用パターン」と記載する場合は、「パターン露光用パターンの形状」を意味する。パターン露光後に、現像してレジスト層にパターン露光用パターンを形成する場合、パターン露光に用いた「パターン露光用パターンの形状」と同じ形状のレジストパターンを形成することを意味する。エッチングにより、回路形成基板にパターン露光用パターンを形成する場合、パターン露光に用いた「パターン露光用パターンの形状」と同じ形状の導電層パターンを形成することを意味する。
本発明の回路配線は、入力装置用、特にタッチパネル用として好適である。本発明の回路配線の製造方法は、回路配線が、入力装置の回路配線であることが好ましい。さらに本発明の入力装置の回路配線の製造方法は、入力装置が、タッチパネルであることが好ましい。
以下、本発明の回路配線の製造方法の好ましい態様について説明する。
本発明の回路配線の製造方法は、(b)工程が下記(b1)工程であり、
(c)工程が下記(c1)工程であり、
(d)工程が下記(d1)工程であり、
さらに下記(e1)工程、(f1)工程および(g)工程を含むことが、2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する観点から、好ましい;
(b1) ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、第1のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(c1) 仮支持体を剥離後、現像してレジスト層に第1のパターンを形成する現像工程;
(d1) エッチングにより、回路形成基板(実質的には回路形成基板の導電層)に第1のパターンを形成するエッチング工程;
(e1) (c1)工程で第1のパターンを転写したレジスト層を剥離することなく、第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(f1) 現像してレジスト層に第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程;
(g) エッチングにより、回路形成基板(実質的には回路形成基板の導電層)に第2のパターンを形成するエッチング工程。
本発明の回路配線の製造方法は、(b)工程が下記(b1)工程であり、
(c)工程が下記(c1)工程であり、
(d)工程が下記(d2)工程であり、
さらに(e2)工程、(f2)工程および(g)工程を含むことが、2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成し、かつ、より工程汚染を抑制しやすい観点から、好ましい;
(b1) ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、第1のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(c1) 仮支持体を剥離後、現像してレジスト層に第1のパターンを形成する現像工程;
(d2) エッチングにより、回路形成基板(実質的には回路形成基板の導電層)に第1のパターンを転写したのち、(c1)工程で第1のパターンを形成したレジスト層を剥離することなく、残りのレジスト層の上にカバーフィルムを貼り付けるエッチング工程;
(e2) (d2)工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離せずに、第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
(f2) (d2)工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離した後、現像してレジスト層に第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程;
(g) エッチングにより、回路形成基板(実質的には回路形成基板の導電層)に第2のパターンを形成するエッチング工程。
回路配線の製造方法は、基材が両方の表面にそれぞれ導電層を有し、基材が両方の表面に形成された導電層に対して逐次または同時に回路形成することも好ましい。この構成により、基材の一方の表面に第一の導電パターン、もう一方の表面に第二の導電パターンを形成したタッチパネル用回路配線を形成することができる。また、この構成のタッチパネル用回路配線を、ロールツーロールで基材の両面から形成することも好ましい。
レジスト層をエッチングレジスト(エッチングパターン)として用いて静電容量型入力装置の導電パターンを得る場合について説明する。
静電容量型入力装置は、基材(前面板とも言われる)と、基材の非接触面側に、少なくとも下記(2)〜(5)の要素を有し、(2)、(3)および(5)のうち少なくとも1つを本発明の回路配線の製造方法で形成されることが好ましい。
(2)複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の電極パターン
(3)上記第一の電極パターンと電気的に絶縁され、上記第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分および接続部分を含む複数の第二の電極パターン
(4)上記第一の電極パターンと上記第二の電極パターンとを電気的に絶縁する絶縁層
(5)上記第一の電極パターンおよび上記第二の電極パターンの少なくとも一方に電気的に接続され、上記第一の電極パターンおよび上記第二の電極パターンとは別の導電性要素
以下、各工程の詳細について説明する。
<(a)工程>
(a)基材と導電層とを有する回路形成基板の上へ本発明のドライフィルムレジストをラミネートするラミネート工程について説明する。
ドライフィルムレジストの回路形成基板の上へのラミネート(転写、貼り合わせ)は、レジスト層を回路形成基板の上(好ましくは導電層の上、導電層が2層以上の場合は導電層の第1層の上)に重ね、加圧、加熱する方法を用いて行われることが好ましい。貼り合わせには、ラミネータ、真空ラミネータ、および、より生産性を高めることができるオートカットラミネーター等の公知のラミネータを使用することができる。
(基材)
基材がガラス基材またはフィルム基材であることが好ましく、フィルム基材であることがより好ましい。本発明の回路配線の製造方法は、タッチパネル用の回路配線である場合、基材がシート状樹脂組成物であることが特に好ましい。
また、基材は透明であることが好ましい。
なお、本明細書において透明とは、波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率が、80%以上であることを意味する。したがって、透明な層とは、波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率が80%以上である層を指す。透明な層の波長400nm〜700nmの可視光の平均透過率は、90%以上であることが好ましい。
基材の屈折率は、1.50〜1.52であることが特に好ましい。
基材は、ガラス基材等の透明基材で構成されていてもよい。基材として、コーニング社のゴリラガラスに代表される強化ガラスなどを用いることができる。また、前述の透明基材としては、特開2010−86684号公報、特開2010−152809号公報および特開2010−257492号公報に用いられている材料を好ましく用いることができる。
基材としてフィルム基材を用いる場合は、光学的に歪みがないものや、透明度が高いものを用いることがより好ましく、具体的な素材には、ポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、シクロオレフィンポリマーを挙げることができる。
(導電層)
導電層としては、一般的な回路配線や、タッチパネル配線に用いられる任意の導電層を挙げることができる。
導電層の材料としては、金属や金属酸化物などを挙げることができる。
多層の導電層が同じ材料であっても互いに異なる材料であってもよいが、互いに異なる材料を含むことが好ましい。
多層の導電層のうち少なくとも一つが金属酸化物を含むことが好ましい。
この場合に用いられる金属酸化物としては、ITO(Indium Tin Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、SiO等の金属酸化膜などを挙げることができる。金属酸化物については後述する。
導電層は、後述の静電容量型入力装置に用いられる第一の電極パターン、第二の電極パターンおよび後述の別の導電性要素の材料であることが好ましい。
その他の導電層の好ましい態様については、静電容量型入力装置の説明において後述する。
<(b)工程>
(b)ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、パターン露光用パターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程について説明する。
(b)工程は、(b1)ドライフィルムレジストの仮支持体を剥離せずに、第1のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程であることが好ましい。
上記露光工程、後述の(c)工程の現像工程およびその他の工程の例としては、特開2006−23696号公報の段落番号[0035]〜[0051]に記載の方法を本発明においても好適に用いることができる。
具体的には、回路形成基板の上(好ましくは導電層の上、導電層が2層以上の場合は上記導電層の第1層の上)に形成されたレジスト層の上方、かつ、仮支持体に直接接触する位置に所定のマスクを配置し、その後マスク上方の光源からマスクおよび仮支持体を介してコンタクトパターン露光する方法などが挙げられる。
本発明においてパターンの詳細な配置や具体的サイズは特に限定されるものではない。本発明の入力装置を備えた表示装置(例えばタッチパネル)の表示品質を高め、また、取り出し配線の占める面積をできるだけ小さくしたいことから、パターンの少なくとも一部(特にタッチパネルの電極パターンや取り出し配線の部分)は100μm以下の細線であることが好ましく、70μm以下であることがより好ましく、10μm以下であることが特に好ましい。
ここで、上記露光の光源としては、レジスト層の露光された箇所が現像液に溶解するようにし得る波長域の光(例えば、365nm、405nmなど)を照射できるものを適宜選択して用いることができる。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。露光量としては、通常5〜200mJ/cm程度であり、好ましくは10〜100mJ/cm程度である。
また、露光後にパターンの矩形性、パターン直線性を向上させる目的で、現像前に熱処理を行うことも好ましい。いわゆるPEB(Post Exposure Bake)と呼ばれるこの工程により、露光時にレジスト層の中で生じた定在波に起因するレジストパターンエッジの荒れを低減することが可能である。
パターン露光は、仮支持体を剥離する前に露光する。その後、支持体を剥離してもよい。マスクを介した露光でもよいし、レーザー等を用いたデジタル露光でもよい。パターン露光は、マスクを介した露光であることが好ましい。マスクを介した露光をする場合、パターン露光用パターンのことをマスクパターンとも言う。
<(c)工程>
仮支持体を剥離後、現像してレジスト層にパターン露光用パターンを形成する現像工程について説明する。
(c)工程は、(c1)仮支持体を剥離後、現像してレジスト層に第1のパターンを形成する現像工程であることが好ましい。
上記現像工程は、パターン露光されたレジスト層を現像する工程である。
上記現像は、現像液を用いて行うことができる。上記現像液としては、特に制約はなく、特開平5−72724号公報に記載のものなど、公知の現像液を使用することができる。尚、現像液はレジスト層が溶解型の現像挙動をするものが好ましく、例えば、pKa=7〜13の化合物を0.05〜5mol/Lの濃度で含むものが好ましいが、更に水と混和性を有する有機溶剤を少量添加してもよい。水と混和性を有する有機溶剤としては、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ベンジルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、ε−カプロラクトン、γ−ブチロラクトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホルアミド、乳酸エチル、乳酸メチル、ε−カプロラクタム、N−メチルピロリドン等を挙げることができる。この有機溶剤の濃度は0.1質量%〜30質量%が好ましい。
また、上記現像液には、更に公知の界面活性剤を添加することができる。界面活性剤の濃度は0.01質量%〜10質量%が好ましい。
上記現像の方式としては、パドル現像、シャワー現像、シャワー&スピン現像、ディップ現像等のいずれでもよい。ここで、上記シャワー現像について説明すると、露光後のレジスト層に現像液をシャワーにより吹き付けることにより、露光部を除去することができる。尚、熱可塑性樹脂層や中間層などを設けた場合には、現像の前にレジスト層の溶解性が低い洗浄液をシャワーなどにより吹き付け、熱可塑性樹脂層、中間層などを除去しておくことも好ましい。また、現像の後に、洗浄剤などをシャワーにより吹き付け、ブラシなどで擦りながら、現像残渣を除去することが好ましい。現像液の温度は20℃〜40℃が好ましく、また、現像液のpHは8〜13が好ましい。
さらに、上記現像して得られたレジスト層を含むパターンを加熱処理するポストベーク工程を有していてもよく、上記熱可塑性樹脂層と上記中間層を除去する工程後に上記現像して得られたレジスト層からなるパターンを加熱処理するポストベークを行う工程を含んでいてもよい。
上記ポストベーク工程により、レジスト層において酸を用いる保護基の脱離を促進することができる。レジスト層における上記酸基が酸分解性基で保護された基を有する構成単位(a1)は、カルボキシ基をアセタールで保護することが、保護基脱離の活性化エネルギーを低下させ、露光後の加熱処理を回避する観点から好ましい。
(c)工程の前または後に、ポスト露光工程等、その他の工程を有していてもよい。
<(d)工程>
(d)エッチングにより、回路形成基板にパターン露光用パターンを形成するエッチング工程について説明する。
(d)工程は、(d1)エッチングにより、回路形成基板に第1のパターンを形成するエッチング工程、あるいは、(d2)エッチングにより、回路形成基板に第1のパターンを形成したのち、残りのレジスト層の上にカバーフィルムを貼り付けるエッチング工程であることが好ましい。
(d2)エッチングにより、回路形成基板に第1のパターンを形成したのち、前述の(c1)工程で第1のパターンを形成したレジスト層を剥離することなく、残りのレジスト層の上にカバーフィルムを貼り付けるエッチング工程では、カバーフィルムとして(c)工程で一度剥離した仮支持体を再度用いることが好ましい。
上記エッチングは、特開2010−152155号公報の段落[0048]〜[0054]等に記載の方法など、公知のエッチング方法を適用することができる。
例えば、エッチングの方法としては、一般的に行われている、エッチング液に浸漬するウェットエッチング法が挙げられる。ウェットエッチングに用いられるエッチング液は、エッチングの対象に合わせて酸性タイプまたはアルカリ性タイプのものを適宜選択すればよい。酸性タイプのエッチング液としては、塩酸、硫酸、フッ酸、リン酸等の酸性成分単独の水溶液;酸性成分と塩化第2鉄、フッ化アンモニウム、過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。酸性成分は、複数の酸性成分を組み合わせたものを使用してもよい。また、アルカリ性タイプのエッチング液としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、有機アミン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等の有機アミンの塩等のアルカリ成分単独の水溶液;アルカリ成分と過マンガン酸カリウム等の塩の混合水溶液等が例示される。アルカリ成分は、複数のアルカリ成分を組み合わせたものを使用してもよい。
エッチング液の温度は特に限定されないが、45℃以下であることが好ましい。本発明でエッチングマスク(エッチングパターン)として使用されるレジスト層は、上記の温度域における酸性およびアルカリ性のエッチング液に対して特に優れた耐性を発揮することが好ましい。したがって、エッチング工程中にレジスト層が剥離することが防止され、レジスト層の存在しない部分が選択的にエッチングされることになる。
上記エッチング後、ライン汚染を防ぐために必要に応じて、洗浄工程および/または乾燥工程を行ってもよい。洗浄工程については、例えば常温で純水により10〜300秒間、基材を洗浄して行い、乾燥工程については、エアブローを使用して、エアブロー圧(0.1〜5kg/cm程度)を適宜調整し、行えばよい。
<(e1)工程および(e2)工程>
(e1)前述の(c1)工程で第1のパターンを形成したレジスト層を剥離することなく、第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程、および、(e2)前述の(d2)工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離せずに、第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程について説明する。
(e1)工程および(e2)工程におけるコンタクトパターン露光は、(b)工程におけるコンタクトパターン露光と同じ方法を用いることができる。
<(f1)工程および(f2)工程>
(f1)現像してレジスト層に第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程、および、(f2)前述の(d2)工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離した後、現像してレジスト層に第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程について説明する。
(f1)工程および(f2)における現像は、(c)工程における現像と同じ方法を用いることができる。
<(g)工程>
(g)エッチングにより、回路形成基板に第2のパターンを形成するエッチング工程について説明する。
(g)工程におけるエッチングは、(d)工程におけるエッチングと同じ方法を用いることができる。
(g)工程では、所望のパターンに応じて、(d)工程よりも少ない導電層を選択的にエッチングすることが好ましい。
<2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する方法>
少なくとも2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する場合、下記(Xa)工程、(Xb)工程、(Xc)工程、(Xd)工程、(Xe)工程および(Xz)工程を、本発明の回路配線の製造方法の各工程と組み合わせて実施することも好ましい。
(Xa) xを2以上の整数として、基材と、基材の一方の表面から順に第x層から第1層までの導電層とを有する回路形成基板に対し、導電層の第1層の上に露光された箇所が現像液に溶解するレジスト層を形成するラミネート工程;
(Xb) レジスト層が形成された回路形成基板に対し、パターン露光および現像して、レジスト層を第1のパターンとするパターン露光および現像工程;
(Xc) iを1以上x以下の整数として、(Xb)工程で第1のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層から第i層までをエッチング処理するエッチング工程;
(Xd) (Xb)工程で残存したレジスト層を、残存するレジスト層とは異なるパターンでパターン露光および現像して、レジスト層を第2のパターンとするパターン露光および現像工程;
(Xe) jを1以上i未満の整数として、(Xd)工程で第2のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層から第j層までをエッチング処理するエッチング工程;
(Xz) 残存するすべてのレジスト層を除去して、少なくとも2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する残存するレジスト層除去工程。
少なくとも2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する場合のタッチパネル用回路配線の製造方法の一例を、図1に示した。
図1に示したタッチパネル用回路配線の製造方法の一例では、(Xa)工程、(Xb)工程、(Xc)工程、(Xd)工程、(Xe)工程および(Xz)工程に加え、任意の(Xf)工程が記載されている。
(Xa)工程では導電層の第1層の上にレジスト層を形成する。このレジスト層は、以降の(Xa)工程、(Xb)、(Xc)、(Xd)、(Xe)および(Xf)で少なくとも一部が残存しており、最終的に(Xz)工程で残存するすべてのレジスト層を除去して、少なくとも2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する。すなわち、1回のレジスト形成で複数種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成できる。
(Xb)工程ではパターン露光および現像して、レジスト層を第1のパターンとする。
(Xc)工程では(Xb)工程で第1のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層から第i層までをエッチング処理する。図1では、(Xc)工程でi=xとし、第1層から第x層までのすべての導電層をエッチングして、除去している。
(Xc)工程で得られる導電層の第1層から第i層までのパターンは、最終的に(Xz)工程まで行ってすべてのレジスト層を除去したときに残存せず、(Xe)工程でのエッチングおよび必要に応じて行うことができる(Xf)工程でのエッチングにより別のパターンとなる。図1に示した構成では、(Xc)工程で得られる導電層の第1層から第i層までのパターンが7本の柱として記載されているが、右から3、4および5番目の柱は(Xe)工程でのエッチングで別のパターンとなっており、右から1、2および6番目の柱も(Xf)工程でのエッチングで別のパターンとなっており、最終的な(Xz)工程まで行ってすべてのレジスト層を除去したときには右から7本目のみの柱のみが導電層の第1層から第i層までのパターンとなっている。
(Xd)工程では(Xb)工程で残存したレジスト層を、残存するレジスト層とは異なるパターンでパターン露光および現像して、レジスト層を第2のパターンとする。
(Xe)工程では(Xd)工程で第2のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層から第j層までをエッチング処理する。図1では、(Xe)工程でj=x−1、かつ、j=i−1とし、第1層から第x−1層(第j層)までの導電層をエッチングして除去し、第x層のみを残している。
図1では(Xf)工程の詳細は省略したが、(Xf)工程を必要回数繰り返すことができる。
(Xz)工程では、残存するすべてのレジスト層を除去して、少なくとも2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する。図1では、最終的に(Xz)工程後にレジスト層がすべて取り除かれたことが示されている。
((Xa)工程)
(Xa)工程:xを2以上の整数として、基材と、基材の一方の表面から順に第x層から第1層までの導電層とを有する回路形成基板に対し、導電層の第1層の上に露光された箇所が現像液に溶解するレジスト層をラミネートするラミネート工程について説明する。
(Xa)工程は、保護フィルムが除去されたドライフィルムレジストのレジスト層を導電層の第1層の上にラミネートする工程であることが好ましい。
xは2以上の整数であり、2または3であることが好ましく、2であることがより好ましい。
図2に、xが2である場合に得られる本発明の実施態様の一つである、タッチパネル用回路配線の一例の断面模式図を示した。図2では、基材1の上に、第一の電極パターン3が形成され、第一の電極パターンの上に別の導電性要素6が形成されている。図2に示したタッチパネル用回路配線は、第一の電極パターン3と別の導電性要素が形成された導電層積層体と、第一の電極パターン3のみを有する導電層の2種類のパターンの導電層を含む回路配線となっている。
図2のタッチパネル用回路配線をななめ上方向から見ると、図3のようになる。図3に示したタッチパネル用回路配線の一例では、図3の点線部は第一の電極パターン3と別の導電性要素が形成された導電層積層体であり、図3の四角形が連なった部分は第一の電極パターン3のみを有する導電層である。図3のように、回路配線に含まれる異なる種類のパターンを有する導電層のうち、少なくとも1種類のパターンを有する導電層が同一の回路パターンを共有する2層以上の導電層積層体を含むことが好ましい。
((Xb)工程)
(Xb)工程:レジスト層が形成された回路形成基板に対し、パターン露光および現像して、レジスト層を第1のパターンとするパターン露光および現像工程について説明する。
(Xd)工程におけるパターン露光および現像は、(b)工程および(c)工程におけるパターン露光および現像と同じ方法を用いることができる。
((Xc)工程)
(Xc)工程:iを1以上x以下の整数として、(Xb)工程で第1のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層から第i層までをエッチング処理するエッチング工程について説明する。
(Xc)工程におけるエッチング処理は、(d)工程におけるエッチング処理と同じ方法を用いることができる。
((Xd)工程)
(Xd)工程:(Xb)工程で残存したレジスト層を、残存するレジスト層とは異なるパターンでパターン露光および現像して、レジスト層を第2のパターンとするパターン露光および現像工程について説明する。
(Xd)工程におけるパターン露光および現像は、(Xb)工程におけるパターン露光および現像と同じ方法を用いることができる。
((Xe)工程)
(Xe)工程:jを1以上i未満の整数として、(Xd)工程で第2のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層から第j層までをエッチング処理するエッチング工程について説明する。
(Xe)工程におけるエッチングは、(Xc)工程におけるエッチングと同じ方法を用いることができる。
(Xe)工程では、所望のパターンに応じて、(Xc)工程よりも少ない導電層を選択的にエッチングすることが好ましい。
((Xf)工程)
回路配線の製造方法は、さらに、下記(Xf)工程を含むことが好ましい。
(Xf)工程:残存するレジスト層を、残存するレジスト層とは異なるパターンでパターン露光および現像して、現像後にレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層からj未満の任意の層までをエッチング処理して導電層をパターンとするパターン露光および現像工程。
以下、(Xf)工程について説明する。
本発明の回路配線の製造方法は、(Xf)工程を行わないことも好ましい。すなわち、本発明の回路配線の製造方法は、回路配線が、2種類のパターンのみの導電層を含むことが好ましい。
(Xf)工程の繰り返し回数は特に制限はなく、所望のパターンの形状に応じて繰り返して行うことができる。その中でも、(Xf)工程の繰り返し回数は1回であることが好ましい。
本発明の回路配線の製造方法は、(Xf)工程が、下記(Xf1)工程および(Xf2)工程を含み、少なくとも3種類のパターンの導電層を含むことが好ましい。
(Xf1) (Xe)工程で残存したレジスト層を、残存するレジスト層とは異なるパターンでパターン露光および現像して、レジスト層を第3のパターンとするパターン露光および現像工程;
(Xf2) kを1以上j未満の整数として、(f1)工程で第3のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の導電層の第1層から第k層までをエッチング処理するパターン露光および現像工程。
その他の(Xf)工程の好ましい態様は、(Xd)工程および(Xe)工程と同様である。
((Xz)工程)
(Xz)工程:残存するすべてのレジスト層を除去して、少なくとも2種類のパターンの導電層を含む回路配線を形成する残存するレジスト層除去工程について説明する。
上記エッチング処理後に残存するすべてのレジスト層を除去する方法としては特に制限はないが、薬品処理により除去する方法を挙げることができる。
レジスト層の除去方法としては、例えば、30〜80℃、好ましくは50〜80℃にて攪拌中の剥離液にレジスト層などを有する基材を5〜30分間浸漬する方法が挙げられる。エッチングマスクとして使用される樹脂パターンは、45℃以下において優れた薬液耐性を示すものであってもよいが、薬液温度が50℃以上になるとアルカリ性の剥離液により膨潤する性質を示すことが好ましい。上記の性質により、50〜80℃の剥離液を使用して剥離工程を行うと工程時間が短縮され、レジスト層の剥離残渣が少なくなるという利点がある。すなわち、上記エッチング工程とレジスト層を除去する工程との間で薬液温度に差を設けることにより、エッチングマスクとして使用されるレジスト層は、エッチング工程において良好な薬液耐性を発揮する一方で、除去工程において良好な剥離性を示すことになり、薬液耐性と剥離性という、相反する特性を両方とも満足することができる。
剥離液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機アルカリ成分や、第3級アミン、第4級アンモニウム塩等の有機アルカリ成分を、水、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、またはこれらの混合溶液に溶解させたものが挙げられる。上記の剥離液を使用し、スプレー法、シャワー法、パドル法等により剥離してもよい。
[回路配線]
本発明の回路配線は、本発明の回路配線の製造方法で製造された回路配線である。本発明の回路配線はタッチパネル用回路配線であることが好ましい。タッチパネル用回路配線の好ましい態様については、静電容量型入力装置の説明で後述する。
[入力装置および表示装置]
本発明の入力装置は、本発明の回路配線を用いた入力装置である。本発明では、入力装置が静電容量型タッチパネルであることが好ましい。
本発明の表示装置は、本発明の入力装置を備える。本発明の表示装置は画像表示装置であることが好ましい。
<静電容量型入力装置、および静電容量型入力装置を備える画像表示装置>
本発明の入力装置および表示装置の好ましい態様である静電容量型入力装置、およびこの静電容量型入力装置を構成要素として備えた画像表示装置は、「最新タッチパネル技術」(2009年7月6日発行(株)テクノタイムズ)、三谷雄二、板倉義雄監修、「タッチパネルの技術と開発」(シーエムシー出版、2004,12)、FPD International 2009 Forum T−11講演テキストブック、Cypress Semiconductor Corporation アプリケーションノートAN2292等に開示されている構成を適用することができる。
まず、静電容量型入力装置の構成について説明する。図9は、静電容量型入力装置の構成を示す断面図である。図9において静電容量型入力装置10は、基材1と、マスク層2と、第一の電極パターン3と、第二の電極パターン4と、絶縁層5と、別の導電性要素6と、透明保護層7と、から構成されている。
図9において、基材1の各要素が設けられている側を非接触面と称する。上記静電容量型入力装置10においては、基材1の接触面(非接触面の反対の面)に指などを接触させて入力が行われる。以下、基材を、「前面板」と称する場合がある。
また、基材1の非接触面上にはマスク層2が設けられている。マスク層2は、基材1(例えば、タッチパネル前面板)の非接触面側に形成された表示領域周囲の額縁状のパターンであり、引回し配線等が見えなくするために形成される。
上記静電容量型入力装置10には、基材1の一部の領域を覆うマスク層2が設けられていてもよい。更に、基材1には、一部に開口部を設けることができる。開口部には、押圧によって作動するメカニカルなスイッチを設置することができる。
基材1の非接触面には、複数のパッド部分が接続部分を介して第一の方向に延在して形成された複数の第一の電極パターン3と、第一の電極パターン3と電気的に絶縁され、第一の方向に交差する方向に延在して形成された複数のパッド部分および接続部分を含む複数の第二の電極パターン4と、第一の電極パターン3と第二の電極パターン4を電気的に絶縁する絶縁層5とが形成されている。上記第一の電極パターン3と、第二の電極パターン4と、後述する別の導電性要素6とは、例えば、ITOやIZOなどの透明の導電性金属酸化膜で作製することができる。導電性膜としては、Al、Zn、Cu、Fe、Ni、Cr、Mo等の金属膜;ITO、IZO、SiO等の金属酸化物膜などが挙げられる。この際、各要素の膜厚は10〜200nmとすることができる。また、焼成により、アモルファスのITO膜を多結晶のITO膜として、電気的抵抗を低減することもできる。
また、上記第一の電極パターン3と、第二の電極パターン4とは、レジスト層をエッチングレジスト(エッチングパターン)として用いて形成されることが好ましい。第二の電極パターンを形成するための第二の電極層の形成には、本発明で用いられるレジスト層をはじめとしたレジストを用いるフォトリソグラフィのほか、公知の方法を用いることができる。その他、導電性繊維を用いた感光性樹脂組成物を有する感光性転写材料を用いて製造することもできる。ITO等によって第一の電極パターン等を形成する場合には、特許第4506785号公報の段落[0014]〜[0016]等を参考にすることができる。
また、第一の電極パターン3および第二の電極パターン4の少なくとも一方は、基材1の非接触面およびマスク層2の基材1とは逆側の面の両方の領域にまたがって設置することができる。図9においては、第二の電極パターン4が、基材1の非接触面およびマスク層2の基材1とは逆側の面の両方の領域にまたがって設置されている態様が示されている。
図7および図8を用いて第一の電極パターンおよび第二の電極パターン4について説明する。図7および図8は、第一の電極パターンおよび第二の電極パターンの一例を示す説明図でもある。図8に示すように、第一の電極パターンは、パッド部分3aが接続部分3bを介して第一の方向に延在して形成されている。また、第二の電極パターン4は、第一の電極パターンと絶縁層5によって電気的に絶縁されており、第一の方向に交差する方向(第二の方向)に延在して形成された複数のパッド部分によって構成されている。ここで、第一の電極パターン3を形成する場合、上記パッド部分3aと接続部分3bとを一体として作製してもよいし、接続部分3bのみを作製して、パッド部分3aと第二の電極パターン4とを一体として作製(パターニング)してもよい。パッド部分3aと第二の電極パターン4とを一体として作製(パターニング)する場合、図7および図8に示すように接続部分3bの一部とパッド部分3a(図7には不図示)の一部とが連結され、且つ、絶縁層5によって第一の電極パターン3と第二の電極パターン4とが電気的に絶縁されるように各層が形成される。
図9において、マスク層2の基材1とは逆側の面側には別の導電性要素6が設置されている。別の導電性要素6は、第一の電極パターン3および第二の電極パターン4の少なくとも一方に電気的に接続され、且つ、第一の電極パターン3および第二の電極パターン4とは別の要素である。図9においては、別の導電性要素6が第二の電極パターン4に接続されている図が示されている。
また、図9においては、各構成要素の全てを覆う透明保護層7が設置されている。透明保護層7は、各構成要素の一部のみを覆うように構成されていてもよい。絶縁層5と透明保護層7とは、同一材料であってもよいし、異なる材料であってもよい。絶縁層5と透明保護層7とを構成する材料としては、表面硬度、耐熱性が高いものが好ましく、公知の感光性シロキサン樹脂材料、アクリル樹脂材料などが用いられ、これらは同業者に公知である。
絶縁層のパターニング方法も、フォトリソグラフィ方式のほか、インクジェット、スクリーンなど公知の方法を用いることが可能である。
上記静電容量型入力装置の製造方法においては、上記第一の電極パターン3、第二の電極パターン4および別の導電性要素6のうち少なくとも1つは、レジスト層をエッチングレジスト(エッチングパターン)として用いてエッチング処理して形成されることが好ましい。また、黒色のマスク層2と絶縁層5と、必要に応じて透明保護層7との少なくとも一要素も、仮支持体と熱可塑性樹脂層と光硬化性樹脂層とをこの順で有する感光性フィルムを用いて形成されることも好ましい。
上記第一の電極パターン3、第二の電極パターン4および別の導電性要素6のうち少なくとも1つは、レジスト層をエッチングレジスト(エッチングパターン)として用いてエッチング処理して形成されることが好ましい。
エッチング処理によって、上記第一の電極パターン3、第二の電極パターン4および別の導電性要素6を形成する場合、まず黒色のマスク層2が形成された基材1の非接触面上に、黒色のマスク層2が設けられた部分について少なくとも無機絶縁層を設け、基材1の非接触面上または無機絶縁層上にITO等の透明電極層をスパッタリングによって形成する。次いで、上記透明電極層上に上記光硬化性樹脂層としてエッチング用光硬化性樹脂層を有するレジスト層を用いて露光および現像によってエッチングパターンを形成する。その後、透明電極層をエッチングして透明電極をパターニングし、エッチングパターンを除去することで、第一の電極パターン3等を形成することができる。
導電性材料を含む光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて、上記第一の電極パターン3、第二の電極パターン4および別の導電性要素6を形成する場合、基材1の表面上に、黒色のマスク層2が設けられた部分について少なくとも無機絶縁層を設け、基材1の非接触面上または無機絶縁層上に上記導電性材料を含む光硬化性樹脂層を転写すること(ラミネート)等の方法を用いて形成することができる。
上記マスク層2、絶縁層5および透明保護層7は、感光性フィルムを用いて光硬化性樹脂層を基材1に転写することで形成することができる。例えば、黒色のマスク層2を形成する場合には、光硬化性樹脂層として黒色光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて、基材1の表面に黒色光硬化性樹脂層を転写することで形成することができる。絶縁層5を形成する場合には、光硬化性樹脂層として絶縁性の光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて、第一または第二の電極パターンが形成された基材1の表面に光硬化性樹脂層を転写することで形成することができる。透明保護層7を形成する場合には、光硬化性樹脂層として透明の光硬化性樹脂層を有する感光性フィルムを用いて、各要素が形成された基材1の表面に光硬化性樹脂層を転写することで形成することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
以下の符号はそれぞれ以下の化合物を表す。
MATHF:2−テトラヒドロフラニルメタクリレート
MAEVE:1−エトキシエチルメタクリレート(和光純薬工業社製)
PHS:パラヒドロキシスチレン
PHS−EVE:パラヒドロキシスチレンの1−エトキシエチル保護体
PHS−THF:パラヒドロキシスチレンの2−テトラヒドロフラニル保護体
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」、「%」は質量基準である。
以下の符号はそれぞれ以下の化合物を表す。
MATHF:2−テトラヒドロフラニルメタクリレート
MAEVE:1−エトキシエチルメタクリレート(和光純薬工業社製)
PHS:パラヒドロキシスチレン
PHS−EVE:パラヒドロキシスチレンの1−エトキシエチル保護体
PHS−THF:パラヒドロキシスチレンの2−テトラヒドロフラニル保護体
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
実施例1〜22および25〜30は参考例である。
<仮支持体の全光線ヘイズ>
スガ試験機(株)製ヘイズメーターHZ−2を用い、JIS(Japanese Industrial Standards) K 7136に準拠して仮支持体の小片の全光線ヘイズ(%)を測定した。
<仮支持体又は光吸収層の透過率>
仮支持体の小片、または、仮支持体の上に光吸収層を形成した積層体から仮支持体を剥離して調製した光吸収層サンプルの透過スペクトルを、8453紫外可視分光光度計(アジレント・テクノロジーズ株式会社製)を用いて測定し、レジスト層の露光主波長と同じ波長365nmにおける透過率を求めた。
<感光剤の吸光係数>
各感光剤の0.01mol/Lアセトニトリル溶液を作製し、0.1mm石英セルを使用して前述の8453紫外可視分光光度計により、レジスト層の露光主波長と同じ365nmの吸光度を測定した。得られた値から光路長1cmあたりの吸光係数を求めた。
[実施例1]
以下の処方でポジ型感光性樹脂組成物を調製した。
・ノボラック樹脂(メタクレゾール:パラクレゾール=30:70、分子量5,500):79.9部
・感光剤:特開平4−22955号公報の第4頁に記載のナフトキノンジアジド化合物(1):20部
・界面活性剤(下記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
界面活性剤1:F−554、下記構造式で示されるパーフルオロアルキル基含有ノニオン系界面活性剤(DIC製)
Figure 0006574846
なお、使用した感光剤のアセトニトリル中の吸光係数(365nm)は12,100cm−1−1であった。
調製したポジ型感光性樹脂組成物を、仮支持体となる膜厚75μmの着色ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下着色PET(A)とする)の上に、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例1のドライフィルムレジストとした。
なお、着色PET(A)は特開平6−306192号公報の[0060]に記載の手法で作製した。着色染料としてダイアレジンブルーG(三菱化学社製)を用い、染料量を調節することで波長365nmの光に60%の透過率を持つように作製した。着色PET(A)の全光線ヘイズは2.6%であった。
次いで、100μmの膜厚のPET基材上に、導電層として銅を真空蒸着法で200nmの膜厚にて成膜して、回路形成基板とした。
各実施例および比較例において、実施例1のドライフィルムレジストから保護フィルムを剥離してから後述の(a)ラミネート工程を行った。銅層上に上記実施例1のドライフィルムレジストをラミネートして転写し、ポジ型レジスト層を作製する(a)ラミネート工程を行った。
このレジスト層を仮支持体を剥離せずに、線幅5μmのラインアンドスペース配線のマスクパターン(開口部:遮光部の幅比は1:1のパターン露光用パターン)を設けたフォトマスクを用いて仮支持体にフォトマスクを接触させてコンタクトパターン露光する(b)パターン露光工程を行った。露光にはi線(365nm)を露光主波長とする高圧水銀灯を用いた。
露光後の回路形成基板から仮支持体を剥離後、TMAH水溶液2.38質量%を用いた現像、水洗を行って配線パターンが形成されたレジスト層を得る(c)現像工程を行った。
次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて銅層をエッチングすることで回路形成基板にパターン露光用パターンを形成するエッチング(d)工程を行い、銅配線基板を得た。得られた回路配線を、実施例1の回路配線とした。
[実施例2]
使用する仮支持体を、波長365nmの光に40%の透過率を持つ着色PET(B)とした以外は実施例1と同様にして実施例2のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例2のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例2の回路配線である銅配線基板を作製した。なお、着色PET(B)は上記着色PET(A)と同一の材料を用い、染料量を調整することで上記透過率を持つように調整した。着色PET(B)の全光線ヘイズは3.2%であった。
[実施例3]
<合成例1:PHS−EVEの合成>
アルカリ可溶性樹脂(VP−8000 日本曹達(株)製)20gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)320gをフラスコ中で溶解し、減圧蒸留を行い、水とPGMEAを共沸留去した。含水量が十分低くなったことを確認した後、エチルビニルエーテル24gおよびパラトルエンスルホン酸0.35gを加え、室温にて1時間撹拌した。そこへトリエチルアミンを0.28g加えて反応を止めた。反応液に酢酸エチルを添加、さらに水洗した後、減圧留去によって酢酸エチル、水、共沸分のPGMEAを留去し、酸分解性基で保護されたアルカリ可溶性樹脂であるPHS−EVEを得た。得られた樹脂の重量平均分子量は12,000であった。また、多分散度は、1.21であった。
PHS−EVEの構造は以下に示すとおりであり、パラヒドロキシスチレンの1−エトキシエチル保護体/パラヒドロキシスチレン共重合体(30モル%/70モル%)である。
Figure 0006574846
合成されたPHS−EVEを用い、以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・PHS−EVE:97.9部
・光酸発生剤(下記PAG−1):2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
PAG−1:WO2014/020984に記載の化合物B−9。
なお、PAG−1のアセトニトリル中の吸光係数(365nm)は15,500cm−1−1であった。
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例3のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例3のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例3の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例4]
仮支持体として着色PET(B)を用いたほかは、実施例3と同様にして実施例4のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例4のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例4の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例5]
PAG−1に代えてPAG−2(特開2013−047765号公報の[0227]記載の化合物A−1)を用いたほかは、実施例3と同様にして実施例5のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例5のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例5の回路配線である銅配線基板を作製した。なお、PAG−2のアセトニトリル中の吸光係数(365nm)は7,800cm−1−1であった。
[実施例6]
仮支持体として着色PET(B)を用いたほかは、実施例5と同様にして実施例6のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例6のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例6の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例7]
PAG−1に代えてサンアプロ株式会社製CPI−210Sを用いたほかは、実施例3と同様にして実施例7のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例7のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例7の回路配線である銅配線基板を作製した。なお、CPI−210Sのアセトニトリル中の吸光係数(365nm)は85cm−1−1であった。
[実施例8]
PAG−1に代えてWO2014084269号の[0079]記載の化合物No.10を用いたほかは、実施例3と同様にして実施例8のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例8のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例8の回路配線である銅配線基板を作製した。なお、この化合物のアセトニトリル中の吸光係数(365nm)は11,700cm−1−1であった。
[実施例9]
仮支持体として特許4036068号の[0057][0058]記載のフィルムを用いたほかは、実施例3と同様にして実施例9のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例9のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例9の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例10]
<合成例2:PHS−THFの合成>
アルカリ可溶性樹脂(VP−8000 日本曹達(株)製)15.6gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)100gをフラスコ中で溶解し、減圧蒸留を行い、水とPGMEAを共沸留去した。含水量が十分低くなったことを確認した後、2,3−ジヒドロフラン2.7gおよびパラトルエンスルホン酸0.015gを加え、室温にて2時間撹拌した。そこへトリエチルアミンを0.090g加えて反応を止めた。反応液に酢酸エチルを添加、さらに水洗した後、減圧留去によって酢酸エチル、水を留去し、保護率25モル%の可溶性樹脂であるPHS−THFを得た。得られた樹脂の重量平均分子量は12,000であった。また、多分散度は、1.13であった。
PHS−THFの構造は以下に示すとおりであり、パラヒドロキシスチレンの2−テトラヒドロフラニル保護体/パラヒドロキシスチレン共重合体(30モル%/70モル%)である。
Figure 0006574846
合成されたPHS−THFを用い、以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・PHS−THF:97.9部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例10のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例10のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例10の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例11]
仮支持体として着色PET(B)を用いたほかは、実施例10と同様にして実施例11のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例11のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例11の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例12]
<合成例3:重合体ノボラック−EVE(1−エトキシエチル保護体)の合成>
特開2003−98671号公報の実施例1と同様の方法で重合体ノボラック−EVE(1−エトキシエチル保護体。構成単位の比はモル比)を合成した。得られた樹脂の重量平均分子量は5,000であった。また、多分散度は、7.0であった。重合体ノボラック−EVE(1−エトキシエチル保護体)の構造を以下に示す。
Figure 0006574846
合成された重合体ノボラック−EVEを用い、以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・重合体ノボラック−EVE:97.9部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例12のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例12のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例12の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例13]
仮支持体として着色PET(B)を用いたほかは、実施例12と同様にして実施例13のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例13のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例13の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例14]
<合成例4:MATHF共重合体の合成>
メタクリル酸(86g、1mol)を15℃に冷却しておき、カンファースルホン酸(4.6g,0.02mol)添加した。その溶液に、2,3−ジヒドロフラン(71g、1mol、1.0当量)を滴下した。1時間撹拌した後に、飽和炭酸水素ナトリウム(500mL)を加え、酢酸エチル(500mL)で抽出し、硫酸マグネシウムで乾燥後、不溶物を濾過後40℃以下で減圧濃縮し、残渣の黄色油状物を減圧蒸留して沸点(bp.)54〜56℃/3.5mmHg留分のメタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イル(MATHF)125gを無色油状物として得た(収率80モル%)。
得られたメタクリル酸テトラヒドロ−2H−フラン−2−イルを、メタクリル酸1−エトキシエチルの代わりに用いた以外は特開2003−98671号公報の実施例1と同様の方法でMATHF共重合体を合成した。
得られたMATHF共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した重量平均分子量は、14,000であった。MATHF共重合体の構造(構成単位の比はモル比)を以下に示す。
Figure 0006574846
合成されたMATHF共重合体を用い、以下の処方でポジ型感光性組成物を作製した。
・MATHF共重合体:97.9部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例14のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例14のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例14の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例15]
仮支持体として着色PET(B)を用いたほかは、実施例14と同様にして実施例15のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例15のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例15の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例16]
以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・上記MATHF共重合体:69.1部
・上記PHS−THF:28.8部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例16のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例16のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例16の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例17]
仮支持体として着色PET(B)を用いたほかは、実施例16と同様にして実施例17のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例17のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例17の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例18]
以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・上記MATHF共重合体:97.7部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・塩基性化合物(N−シクロヘキシル−N’−[2−(4−モルホリニル)エチル]チオ尿素、略称CHMETU):0.2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例18のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例18のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例18の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例19]
以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・上記MATHF共重合体:97.8部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・塩基性化合物(1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、略称DBN):0.1部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例19のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例19のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例19の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例20]
以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・上記MATHF共重合体:93.1部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・ヘテロ環状化合物(デナコールEX−321L(ナガセケムテックス(株)製)):4.8部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例20のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例20のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例20の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例21]
以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・上記MATHF共重合体:93.0部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・ヘテロ環状化合物(3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−403 信越化学工業(株)製)):4.8部
・PGMEA:900部
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例21のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例21のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例21の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例22]
以下の処方でポジ型感光性組成物を調製した。
・上記MATHF共重合体:97.8部
・光酸発生剤(上記PAG−2):2部
・放射線吸収剤(下記構造の紫外線吸収剤1):0.1部
・界面活性剤(上記界面活性剤1):0.1部
・PGMEA:900部
紫外線吸収剤1
Figure 0006574846
上記ポジ型感光性組成物を、仮支持体である着色PET(A)上に乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例22のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例22のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例22の回路配線である銅配線基板を作製した。
[実施例23]
実施例1と同組成でポジ型感光性組成物を調製した。
次に、以下の組成にて光吸収層用組成物を調製した。
・1,3,5−トリフェニルホルマザン:20部
・ポリビニルピロリドン60質量%とポリアクリル酸40質量%の共重合体ポリマー:80部
・純水:900部
75μmの膜厚のPET上に、上記光吸収層用組成物を乾燥膜厚1.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで5分間乾燥させた。なお作製された光吸収層の、波長365nmの光に対する透過率は55%であった。
この光吸収層の上に上記ポジ型感光性樹脂組成物を乾燥膜厚2.0μmとなるようにスリットコートし、100℃のコンベクションオーブンで5分間乾燥させた。最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例23のドライフィルムレジストとした。
ついで、ドライフィルムレジストとして実施例23のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例23の回路配線である銅配線基板を得た。
[実施例24]
光吸収層を以下の組成とした以外は、実施例23と同様にしてドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを実施例24のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして実施例24のドライフィルムレジストを用いた他は、実施例1と同様にして、実施例24の回路配線である銅配線基板を得た。なお、作製された光吸収層の、波長365nmの光に対する透過率は63%であった。
・ポリビニルピロリドン60質量%とポリアクリル酸40質量%の共重合体ポリマー:70部
・純水:900部
・下記特定ナフトキノンジアジド化合物:30部
Figure 0006574846
[実施例25]
ポジ型感光性組成物を実施例10で使用したものと同一のものとしたほかは、実施例23と同様にして実施例25のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例25のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例25の回路配線である銅配線基板を得た。
[実施例26]
ポジ型感光性組成物を実施例12で使用したものと同一のものとしたほかは、実施例23と同様にして実施例26のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例26のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例26の回路配線である銅配線基板を得た。
[実施例27]
ポジ型感光性組成物を実施例14で使用したものと同一のものとしたほかは、実施例23と同様にして実施例27のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例27のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例27の回路配線である銅配線基板を得た。
[実施例28]
ポジ型感光性組成物を実施例16で使用したものと同一のものとしたほかは、実施例23と同様にして実施例28のドライフィルムレジストを作製した。さらにドライフィルムレジストとして実施例28のドライフィルムレジストを用いた以外は実施例1と同様にして、実施例28の回路配線である銅配線基板を得た。
[実施例29]
100μmの膜厚のPET基材上に、第2層の導電層としてITOをスパッタリングで150nmの膜厚にて成膜し、その上に第1層の導電層として銅を真空蒸着法で200nmの膜厚にて成膜して、回路形成基板とした。
実施例14のドライフィルムレジストから保護フィルムを剥離した後、銅層上に実施例14のドライフィルムレジストをラミネートして転写し、ポジ型のレジスト層を作製する(a)ラミネート工程を行った。
このレジスト層を、仮支持体を剥離せずに、一方向に導電パッドが連結された構成を持つ図4に示したパターンA(第1のパターン)を設けたフォトマスクを用いて仮支持体にフォトマスクを接触させてコンタクトパターン露光する(b1)パターン露光工程を行った。図4に示したパターンAは、実線部およびグレー部が遮光部であり、その他の部分が開口部であり、点線部はアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。露光にはi線(365nm)を露光主波長とする高圧水銀灯を用いた。
その後、仮支持体を剥離し、炭酸ナトリウム水溶液1.0%を用いた現像、水洗を行ってパターンAが形成されたレジスト層を得る(c1)現像工程を行った。
次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて第1層(銅層)をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いて第2層(ITO層)をエッチングすることで回路形成基板に第1のパターンを形成する(d1)エッチング工程を行った。このようにエッチングすることで、レジスト層が形成されていない領域の上記導電層の第1層から第2層までをエッチング処理し、第1のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の第1層(銅層)と第2層(ITO層)が共に第1のパターン(パターンAの存在しない領域(ネガ)の形状であるパターン)で描画された回路形成基板を得た。
次いで、アライメントを合わせた状態で図5に示したパターンB(第2のパターン)の開口部を設けたフォトマスクを用いてパターン露光する(e1)パターン露光工程を行った。図5に示したパターンBは、グレー部が遮光部であり、その他の部分が開口部であり、点線部はアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。露光にはi線(365nm)を露光主波長とする高圧水銀灯を用いた。
炭酸ナトリウム水溶液1.0質量%を用いた現像、水洗を行って、第1のパターンとは異なる第2のパターン(パターンAの遮光部およびパターンBの遮光部の重なる部分のパターン)を転写したレジスト層を得る(f1)現像工程を行った。
その後、Cu−02を用いて第1層(銅層)の配線のみをエッチングすることで、第2のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の上記導電層の第1層までをエッチングすることで回路形成基板にパターン露光用パターンを形成する(g)エッチング工程を行った。このようにエッチングすることで、2種類のパターンのみの導電層を含む回路形成基板を得た。得られた導電層は、詳しくは、第2のパターンとしたレジスト層が形成された領域の第1層(銅層)と第2層(ITO層)が共にパターンA(第1のパターンの存在しない領域(ネガ)の形状であるパターン)で描画されており、かつ、第2のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の第2層(ITO層)が第2のパターンの存在しない領域(ネガ)の形状であるパターンで描画されていた。
残ったレジスト層を剥離液(関東化学(株)製KP−301)を用いて剥離することによって除去し、基材上に2種類のパターンの導電層を含む回路配線が形成された、実施例29の回路配線を得た。実施例29の回路配線は、図6に示したパターンCの回路配線を有する。図6のグレー領域中に含まれる配線部分は第2層(ITO配線)が露出した状態になっている。図6の点線部はアライメント合わせの枠を仮想的に示したものである。それ以外の部分は周辺配線部分にあたり、第2層(ITO配線)上に第1層(銅配線)が積層されて同一の回路パターンを共有する2層以上の導電層積層体を含む構造になっている。同一の回路パターンを共有する2層以上の導電層積層体を含む構造について、図2および図3に模式図を示した。実施例29の回路配線では、図3の点線部は第2層(ITO配線)上に第1層(銅配線)が重なっていた。
[実施例30]
100μmの膜厚のPET基材上に、第2層の導電層としてITOをスパッタリングで150nmの膜厚にて成膜し、その上に第1層の導電層として銅を真空蒸着法で200nmの膜厚にて成膜して、回路形成基板とした。
実施例14のドライフィルムレジストから保護フィルムを剥離した後、銅層上に実施例14のドライフィルムレジストをラミネートして転写し、ポジ型のレジスト層を作製する(a)ラミネート工程を行った。
このレジスト層を、仮支持体を剥離せずに、一方向に導電パッドが連結された構成を持つパターンA(第1のパターン)を設けたフォトマスクを用いて仮支持体にフォトマスクを接触させてコンタクトパターン露光する(b1)パターン露光工程を行った。露光にはi線(365nm)を露光主波長とする高圧水銀灯を用いた。
その後、仮支持体を剥離し、炭酸ナトリウム水溶液1.0%を用いた現像、水洗を行ってパターンAが形成されたレジスト層を得る(c1)現像工程を行った。
次いで銅エッチング液(関東化学(株)製Cu−02)を用いて第1層(銅層)をエッチングした後、ITOエッチング液(関東化学(株)製ITO−02)を用いて第2層(ITO層)をエッチングすることで回路形成基板にパターン露光用パターンを転写した。このようにエッチングすることで、レジスト層が形成されていない領域の上記導電層の第1層から第2層までをエッチング処理し、第1のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の第1層(銅層)と第2層(ITO層)が共に第1のパターン(パターンAの存在しない領域(ネガ)の形状であるパターン)で描画された回路形成基板を得た。次いで、残存しているレジスト層上に、再度カバーフィルムとして仮支持体に用いていた着色PET(A)をラミネートする(d2)エッチング工程を行った。
(d2)工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離していない状態で、アライメントを合わせた状態でパターンB(第2のパターン)の開口部を設けたフォトマスクを用いてカバーフィルムにフォトマスクを接触させてコンタクトパターン露光する(e2)パターン露光工程を行った。露光にはi線(365nm)を露光主波長とする高圧水銀灯を用いた。
(d2)エッチング工程で貼り付けたカバーフィルムを剥離した後、炭酸ナトリウム水溶液1.0%を用いた現像、水洗を行って、第1のパターンとは異なる第2のパターン(パターンAの遮光部およびパターンBの遮光部の重なる部分のパターン)を転写したレジスト層を得る(f2)現像工程を行った。
その後、Cu−02を用いて銅配線をエッチング第1層(銅層)の配線のみをエッチングすることで、第2のパターンとしたレジスト層が形成されていない領域の上記導電層の第1層までをエッチングすることで回路形成基板にパターン露光用パターンを形成する(g)エッチング工程を行った。
残ったレジスト層を剥離液(関東化学(株)製KP−301)を用いて剥離することによって除去し、基材上に2種類のパターンの導電層を含む回路配線が形成された、実施例30の回路配線を得た。実施例30の回路配線は、図6に示したパターンCの回路配線を有する。
[比較例1]
実施例1と同様にして調製したポジ型感光性樹脂組成物を、仮支持体となる75μmの膜厚のPET上に、スリット状ノズルを用いて乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗布した。その後、100℃のコンベクションオーブンで2分間乾燥させ、最後に保護フィルムとしてポリエチレンフィルム(トレデガー社製、OSM−N)を圧着してドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを比較例1のドライフィルムレジストとした。なお、上記75μmの膜厚のPETは波長365nmの光に85%の透過率を持ち、かつ全光線ヘイズが2.0%である。
ついで、ドライフィルムレジストとして比較例1のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、比較例1の回路配線である銅配線基板を得た。
[比較例2]
ポジ型感光性組成物を実施例14で使用したものと同一のものとしたほかは、比較例1と同じようにしてドライフィルムレジストを作製した。得られたドライフィルムレジストを比較例2のドライフィルムレジストとした。
ドライフィルムレジストとして比較例2のドライフィルムレジストを用いたほかは、実施例1と同様にして、比較例2の回路配線である銅配線基板作製を得た。
[比較例3]
コンタクトパターン露光時に仮支持体を剥離して、レジスト層にフォトマスクを接触させてコンタクトパターン露光したほかは、比較例2と同様にして、比較例3の回路配線である銅配線基板を得た。
[比較例4]
仮支持体にフォトマスクを接触させてコンタクトパターン露光する代わりに、露光時に仮支持体とフォトマスクの間に75μmギャップを空けてプロキシ露光したほかは、比較例2と同様にして、比較例4の回路配線である銅配線基板を得た。
[評価]
<パターン直線性(LWR)>
得られた各実施例および比較例の回路配線を有する配線基板のラインアンドスペースパターンからアトランダムに選んだ箇所のパターン幅を20箇所測定した。得られた線幅データから標準偏差σをもとめ、標準偏差σを3倍した値をLWR(Line Width Roughness)と定義し、パターン直線性の指標とした。
LWRは定義上、小さいほど線幅変動が小さいこととなり好ましい。5μm線幅のパターンに対しては、LWRの値によって以下のように評価される。
1.0≦LWR:線幅変動が大きく、回路不良に繋がるため不適
0.5≦LWR<1.0:配線基板として使用可能
LWR<0.5:非常に好ましい
下記表1に評価結果を示す。
<工程汚染>
露光時のフォトマスクへのレジスト転写に起因する、フォトマスクの汚染の有無を以下の基準で評価した。
A:露光時にフォトマスクの汚染が無い。
B:露光時にフォトマスクの汚染が有る。
下記表1に評価結果を示す。
Figure 0006574846
上記表1より、本発明のドライフィルムレジストによれば、高解像度のパターンを形成しやすいポジ型であり、パターン直線性が高い回路配線を製造できることがわかった。パターン直線性が高い回路配線は、入力装置、表示装置の回路配線として好適であった。また、本発明の回路配線の製造方法によれば、パターン直線性が高い回路配線を工程汚染なく製造できることがわかった。
比較例1および2に示されるように、露光主波長に対する透過率が高い仮支持体越しのパターン露光を行った場合、パターン直線性が非常に低く、入力装置、表示装置の回路配線として適さないことが分かった。これは比較例4のように、露光主波長に対する透過率が高い仮支持体を用いてプロキシ露光した場合であっても同様であり、パターン直線性が非常に低い。また比較例3に示されるように仮支持体を剥離しての露光であれば高いパターン直線性が得られるが、マスクへのレジスト転写が起こり、工程汚染が生じるため好ましくないことがわかった。
上記表1からは、上記(i)例えば仮支持体のヘイズを抑制すること等に起因する仮支持体での光拡散抑制、および、上記(ii)仮支持体を通過した拡散光の仮支持体内またはレジスト層に到達するまでに配置された他の部材での吸収について、それぞれのパターン直線性の改善効果の大小関係が読み取れた。例えば、実施例5よりも実施例6の方がパターン直線性の改善効果が高い理由は、仮支持体の透過率が実施例5よりも実施例6の方が低いことに起因する仮支持体を通過した拡散光の仮支持体内での吸収に起因するパターン直線性の改善効果が、仮支持体のヘイズが実施例6よりも実施例5の方が低いことに起因する仮支持体のヘイズを抑制すること等に起因する仮支持体での光拡散抑制に起因するパターン直線性の改善効果を上回ったためであると読み取れた。また、実施例5よりも実施例9の方がパターン直線性の改善効果が高い理由は、仮支持体のヘイズが実施例5よりも実施例9の方が低いことに起因する仮支持体のヘイズを抑制すること等に起因する仮支持体での光拡散抑制に起因するパターン直線性の改善効果が、仮支持体の透過率が実施例9よりも実施例5の方が低いことに起因する仮支持体を通過した拡散光の仮支持体内での吸収に起因するパターン直線性の改善効果を上回ったためであると読み取れた。
1 :基材
2 :マスク層
3 :第一の電極パターン
3a :パッド部分
3b :接続部分
4 :第二の電極パターン
5 :絶縁層
6 :別の導電性要素(周辺配線部分と取り出し配線部分)
7 :透明保護層
10 :静電容量型入力装置

Claims (11)

  1. 仮支持体の上にレジスト層を有するポジ型ドライフィルムレジストであり、
    前記仮支持体の全光線ヘイズが3.0%以下であり、
    前記レジスト層がナフトキノンジアジド化合物およびフェノール性水酸基を有する樹脂を含み、
    以下の条件(2)を満たすドライフィルムレジスト;
    条件(2):前記仮支持体および前記レジスト層の間に前記レジスト層の露光主波長365nmに対して80%以下の透過率を有する光吸収層を有する。
  2. 前記レジスト層が感光剤を含み、
    前記感光剤の前記レジスト層の露光主波長365nmに対する吸光係数が12,000cm-1M-1未満である請求項1に記載のドライフィルムレジスト。
  3. 前記レジスト層が、さらに(C)ヘテロ環状化合物を含む請求項1または2に記載のドライフィルムレジスト。
  4. 前記レジスト層が、さらに塩基性化合物を含む請求項1〜3のいずれか一項に記載のドライフィルムレジスト。
  5. 前記レジスト層が、さらに放射線吸収剤を含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のドライフィルムレジスト。
  6. 下記(a)工程、(b)工程、(c)工程および(d)工程、を含む回路配線の製造方法;
    (a) 基材と導電層とを有する回路形成基板の上へ請求項1〜5のいずれか一項に記載のドライフィルムレジストをラミネートするラミネート工程;
    (b) 前記ドライフィルムレジストの前記仮支持体を剥離せずに、露光主波長365nmの光源を用いてパターン露光用パターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
    (c) 前記仮支持体を剥離後、現像して前記レジスト層に前記パターン露光用パターンを形成する現像工程;
    (d) エッチングにより、前記回路形成基板に前記パターン露光用パターンを形成するエッチング工程。
  7. 前記(b)工程が下記(b1)工程であり、
    前記(c)工程が下記(c1)工程であり、
    前記(d)工程が下記(d1)工程であり、
    さらに下記(e1)工程、(f1)工程および(g)工程を含む請求項6に記載の回路配線の製造方法;
    (b1) 前記ドライフィルムレジストの前記仮支持体を剥離せずに、第1のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
    (c1) 前記仮支持体を剥離後、現像して前記レジスト層に前記第1のパターンを形成する現像工程;
    (d1) エッチングにより、前記回路形成基板に前記第1のパターンを形成するエッチング工程;
    (e1) 前記(c1)工程で前記第1のパターンを形成した前記レジスト層を剥離することなく、第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
    (f1) 現像して前記レジスト層に前記第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程;
    (g) エッチングにより、前記回路形成基板に前記第2のパターンを形成するエッチング工程。
  8. 下記(a)工程、(b1)工程、(c1)工程、(d2)工程、(e2)工程、(f2)工程および(g)工程を含む回路配線の製造方法;
    (a) 基材と導電層とを有する回路形成基板の上へ請求項1〜5のいずれか一項に記載のドライフィルムレジストをラミネートするラミネート工程;
    (b1) 前記ドライフィルムレジストの前記仮支持体を剥離せずに、露光主波長365nmの光源を用いて第1のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
    (c1) 前記仮支持体を剥離後、現像して前記レジスト層に前記第1のパターンを形成する現像工程;
    (d2) エッチングにより、前記回路形成基板に前記第1のパターンを形成したのち、
    前記(c1)工程で前記第1のパターンを形成した前記レジスト層を剥離することなく、
    残りの前記レジスト層の上に、レジスト層の露光主波長365nmに対して80%以下の透過率を有する仮支持体を、カバーフィルムとして貼り付けるエッチング工程;
    (e2) 前記(d2)工程で貼り付けた前記カバーフィルムを剥離せずに、露光主波長365nmの光源を用いて第2のパターンでコンタクトパターン露光するパターン露光工程;
    (f2) 前記(d2)工程で貼り付けた前記カバーフィルムを剥離した後、現像して前記レジスト層に前記第1のパターンとは異なる第2のパターンを形成する現像工程;
    (g) エッチングにより、前記回路形成基板に前記第2のパターンを形成するエッチング工程。
  9. 請求項8のいずれか一項に記載の回路配線の製造方法を含む入力装置の製造方法
  10. 請求項8のいずれか一項に記載の回路配線の製造方法を含む静電容量型タッチパネルの製造方法
  11. 請求項9に記載の入力装置の製造方法または請求項10に記載の静電容量型タッチパネルの製造方法を含む、表示装置の製造方法
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