JP2004361557A - 記録材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】感光性に悪影響を及ぼさず、非画像部の白色性に優れた記録材料を提供すること。
【解決手段】支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分と、熱応答性マイクロカプセル外部に、前記発色成分と反応して発色させる実質的に無色の成分を含みかつ光重合性である組成物を含む感光感熱記録層と、蛍光性色素及びバインダーを含み、該蛍光性色素が分散されている塗布液を塗布することにより形成される層を有する記録材料。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分と、熱応答性マイクロカプセル外部に、前記発色成分と反応して発色させる実質的に無色の成分を含みかつ光重合性である組成物を含む感光感熱記録層と、蛍光性色素及びバインダーを含み、該蛍光性色素が分散されている塗布液を塗布することにより形成される層を有する記録材料。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外〜赤外領域にある各種光源の利用が可能な単色又は多色の記録材料及び画像記録方法に関し、詳しくは、非画像部の白色性に優れた画像を形成しうる記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液状の現像剤等を用いず、廃棄物の発生のないドライタイプの画像記録方法が種々検討されており、中でも、光により硬化する組成物を用いる方法が注目されている。
この方法は、発色成分、光重合性成分及び記録層の発色若しくは消色反応に作用する成分を含む記録層を設けた記録材料を、画像様に露光することにより、記録層中に含まれる光重合性成分を硬化させて潜像を形成し、その後記録材料を加熱(現像)すると、記録層に含まれる発色若しくは消色反応に作用する成分が記録層内で移動し、露光部あるいは非露光部が発色して色画像を形成する方法であり、前記記録材料は、露光部が発色するかあるいは非露光部が発色するかにより、ネガタイプ及びポジタイプに分けられる。
【0003】
前記記録方法において画像様の露光をレーザー光で行なうと非常に高解像度の画像が得られる。たとえば以下の特許文献1には、紫外〜赤外領域にある各種光源、特にレーザー光を用いて画像様の露光を行なう、感度、コントラスト及び非画像部の白色性に優れた画像を形成しうるポジタイプ及びネガタイプの記録材料が記載されている。前記ポジタイプの記録材料は、記録層(感光感熱記録層)に熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分Aと、熱応答性マイクロカプセル外部に、少なくとも、同一分子内に重合性基と前記発色成分Aと反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物Bと光重合開始剤を含むもので、また、ネガタイプの記録材料は、記録層に、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分Aと、熱応答性マイクロカプセル外部に、少なくとも、前記発色成分Aと反応して発色させる実質的に無色の化合物Eと、同一分子内に重合性基と前記発色成分Aと化合物Eとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Fと、光重合開始剤を含んでいる。
【0004】
前記のごとき記録材料においては、地肌部の白色性を増すため、支持体に蛍光性色素を添加したり、又は、保護層に蛍光性色素を添加したり(以下の特許文献1)している。しかしながら、従来の記録材料においては、蛍光性色素が他の層に拡散移行し、記録材料に悪影響を及ぼすことがあった。例えば、蛍光性色素が、紫外域に感光する感光感熱記録層に移行すると、感光感熱記録層の露光感度が経時的に変動したり、本来あるべき層における蛍光性色素の濃度が減少するため、蛍光増白効果が低減するなどが生じる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−199952号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光性に悪影響を及ぼさず、非画像部の白色性に優れた記録材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下の記録材料を提供することにより解決される。
(1)支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分と、熱応答性マイクロカプセル外部に、前記発色成分と反応して発色させる実質的に無色の成分を含みかつ光重合性である組成物を含む感光感熱記録層と、蛍光性色素及びバインダーを含み、該蛍光性色素が分散されている塗布液を塗布することにより形成される層を有する記録材料。
(2)蛍光性色素の塗布液に対する溶解度が室温において2質量%以下であることを特徴とする前記(1)に記載の記録材料。
(3)前記光重合性である組成物が、同一分子内に重合性基と前記マイクロカプセル内の発色成分と反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の記録材料。
(4)前記光重合性である組成物が、前記マイクロカプセル内の発色成分と反応して発色させる実質的に無色の化合物と、重合性基を有する化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の記録材料。
(5)前記蛍光性色素を含む層が保護層の下方であって感光感熱記録層の上方にあることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録材料。
(6)前記蛍光性色素を含む層が2つの感光感熱記録層の間にあることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録材料。
(7)前記蛍光性色素を含む層が支持体の上方でかつ感光感熱記録層の下方にあることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録材料。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の記録材料において、蛍光性色素を含む層は、蛍光性色素及びバインダーを含む塗布液であって該蛍光性色素が該塗布液に分散されている塗布液を塗布することにより形成される層である。本発明の記録材料は、このような層を設けることにより、感光性(露光感度等)に悪影響を及ぼさず、非画像部の白色性に優れれた画像が形成される。
前記蛍光性色素は、塗布液において溶解状態でなく、分散状態にあればよい。したがって、塗布液が、バインダーとして水溶性樹脂を用いこれを水性媒体に溶解させたものである場合は、水に対する溶解性が低いあるいはない蛍光性色素、たとえば油溶性蛍光性色素を用い、また、塗布液が、バインダーとして有機溶媒可溶性樹脂を用いこれを有機溶剤に溶解させたものである場合には、有機溶剤に対する溶解性が低いあるいはない水溶性蛍光性色素を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
蛍光性色素の塗布液に対する溶解度は室温において2質量%以下(0を含む)、さらには1質量%以下(0を含む)であることが好ましい。
蛍光性色素及びバインダーを含み、該蛍光性色素が分散されている塗布液を塗布することにより形成される層(以下において「蛍光性色素含有層」ということがある。)は、支持体上の層であって、感光感熱記録層以外のいずれの層でもよい。
たとえば、蛍光性色素含有層は保護層であってよく、また、2つの感光感熱記録層の間に設けられる中間層であってもよく、さらに、保護層や中間層とは別の層として設けてもよい。この場合、例えば、蛍光性色素含有層は保護層の下方であって感光感熱記録層の上方に設けても、また支持体の上方でかつ感光感熱記録層の下方に設けてもよい。
【0009】
本発明に用いられる蛍光性色素として、油溶性蛍光性色素としては、特に英国特許第786,234号明細書に記載された置換スチルベン、置換クマリンや米国特許第3,135,762号明細書に記載された置換チオフェン類などが有用であり、その他特公昭45−37376号公報、特開昭50−126732号公報に開示されているような蛍光性色素が有利に使用できる。
また、水溶性蛍光性色素は、例えば米国特許第2,933,390号明細書、特公昭48−30495号公報、特開昭55−135833号公報などに掲げられたような水溶性基を有するスチルベン系増白剤が主に用いられる。そのうち、特に水溶性ジアミノスチルベン化合物が好ましく用いられ、水溶性基としてスルホン基を有すれば更に良い。
【0010】
油溶性蛍光性色素は、水性乳化分散物としてあるいは水性ラテックス分散物として用いることが好ましい。例えば乳化分散の方法としては、前記色素を高沸点有機溶媒または水不溶性ポリマーに溶解し、水中に乳化分散することによって調製することができる。具体的には、英国特許第1072915号明細書に例示されているような高沸点有機溶媒に蛍光性色素を溶解し、これをゼラチン等の親水性コロイド中に界面活性剤と共に乳化分散する方法があり、高沸点溶媒としてはフタル酸エステル、リン酸エステル類の他、アミド化合物、安息香酸エステル類、置換パラフィン類なども用いることができる。
上記の高沸点有機溶媒の代わりに、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステルなどの水不溶性ポリマーを用いて、前述と同様にして水性乳化分散物を調製することができる。
また、水性ラテックス分散物の調製の方法としては、油溶性蛍光性色素をあらかじめモノマー中に溶解してから重合してラテックス分散物としたり、疎水性ポリマー中に補助溶媒を用いて含浸させてラテックス分散物としたりする方法があり、これらは例えば特開昭50−126732号公報、特公昭51−47043号公報、米国特許第3,418,127号明細書、同3,359,102号明細書、同3,558,316号明細書、同3,788,854号明細書などに開示されている。
また、水溶性蛍光性色素は、有機溶媒中の分散物として用いることが好ましい。
【0011】
蛍光性色素の層中における含有割合(層の固形分に対する量)は、非画像部の白色度や露光感度の観点から、塗設量が10〜200mg/m2となるように適宜調節する。
【0012】
本発明の記録材料における感光感熱記録層は、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A(以下のA1〜A3等)と、熱応答性マイクロカプセル外部に、前記発色成分Aと反応して発色させる実質的に無色の成分(以下の化合物B、C、E等)を含みかつ光重合性である組成物を含む。
前記光重合性である組成物としては、1)同一分子内に重合性基とマイクロカプセル内の発色成分A1と反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物Bと、光重合開始剤とを含む組成物、2)マイクロカプセル内の発色成分A2と反応して発色させる実質的に無色の化合物Cと、同一分子内に重合性基と前記発色成分A2と化合物Cとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Dと、光重合開始剤を含むもの、3)マイクロカプセル内の発色成分A3と反応して発色させる実質的に無色の化合物Eと、重合性基を有する化合物Fと、光重合開始剤とを含む組成物等を挙げることができる。
【0013】
[前記1)及び2)の光重合性組成物を含む感光感熱記録層]
先ず、前記1)及び2)の光重合性組成物を含む感光感熱記録層(以下において「1)の感光感熱記録層」及び「2)の感光感熱記録層」ということがある)における各成分について説明する。
(熱応答性マイクロカプセルに内包される発色成分A1及びA2)
前記1)及び2)の感光感熱記録層における発色成分A1及びA2と、前記A1及びA2と反応して発色させる成分C又はDの組み合わせとしては以下のようなものが挙げられる。
(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
【0014】
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
【0015】
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸又は塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
【0016】
前記発色成分A1及びA2としては、実質的に無色の電子供与性染料前駆体(以下、「電子供与性無色染料」という。)又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
【0017】
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができる。以下に、その具体例を示すが、本発明に使用することができる電子供与性無色染料は、これらに限定されるものではない。
具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
【0018】
フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号、米国特許第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号及び同第3,509,174号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(p−ジプロピルアミノ−o−メチルフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−5−アザ(又は−6−アザ、又は−7−アザ)フタリド等が挙げられる。
【0019】
フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3959,571号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0020】
チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
【0021】
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
【0022】
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
【0023】
スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0024】
ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号に記載の化合物が挙げられる。
【0025】
フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号等に記載の化合物が挙げられる。
【0026】
本発明の記録材料をカラー記録材料とする場合、シアン、マゼンタ、イエローから選ばれる1つ以上の発色色素用の電子供与性無色染料を使用する。
シアン、マゼンタ、イエロー発色色素としては、米国特許第4,800,149号等に記載の各色素を使用することができる。
さらに、イエロー発色色素用電子供与性無色染料としては、米国特許第4,800,148号等に記載の色素も使用することができ、シアン発色色素用電子供与性無色染料としては、特開平63−53542号等に記載の色素も使用することができる。
【0027】
前記電子供与性無色染料の使用量は、感光感熱記録層中に、0.01〜3g/m2 が好ましく、0.1〜1g/m2 がより好ましい。前記使用量が、0.01g/m2 未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、3g/m2 を超えると、塗布適性が劣化することがある。多層記録層の場合には、前記使用量の電子供与性無色染料を含有する記録層を複数積層して構成する。
【0028】
前記ジアゾニウム塩化合物としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Ar−N2 + X−
〔式中、Arは芳香族環基を表し、X− は酸アニオンを表す。〕
【0029】
このジアゾニウム塩化合物は加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色したり、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0030】
前記式において、Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0031】
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、
【0032】
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
【0033】
また、これらの基は、さらに、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0034】
本発明に用いるジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmax としては、効果の点から450nm以下であることが好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。
また、本発明に用いるジアゾニウム塩化合物としては、炭素数12以上で、水に対する溶解度が1%以下かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上のジアゾニウム塩化合物が好ましい。
【0035】
以下に、本発明の記録材料に好適に使用しうるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
前記ジアゾニウム塩化合物は、単独で用いてもよいし、色相調整等の諸目的に応じて2種以上併用して使用してもよい。
【0043】
前記ジアゾニウム塩化合物の使用量としては、感光感熱記録層中に0.01〜3g/m2 が好ましく、0.02〜1.0g/m2 がより好ましい。
前記使用量が、0.01g/m2 未満であると、十分な発色性を得ることができないことがあり、3g/m2 を超えると、感度が低下したり、定着時間を長くする必要が生じることがある。
【0044】
(光重合性の組成物)
<発色成分B>
前記1)の感光感熱記録層中に使用する、同一分子内に重合性基と前記発色成分A1と反応して発色する部位とを有する実質的に無色の化合物Bとしては、重合性基を有する電子受容性化合物又は重合性基を有するカプラー化合物等の前記発色成分A1と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
【0045】
前記重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と重合性基とを有する化合物としては、重合性基を有し、かつ前記発色成分Aの一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して膜を硬化しうるものであれば全て使用することができる。
前記電子受容性化合物としては、特開平4−226455号に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号、同62−16708号に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
これらの電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物のうち、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
【0046】
【化7】
【0047】
〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、中でも、塩素原子が好ましい。Yは、重合性エチレン基を有する1価の基を表し、中でも、ビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基又は炭素数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基がより好ましい。Zは、水素原子、アルキル基又はアルコキシル基を表す。〕
【0048】
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、
【0049】
3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
【0050】
また、前記電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、
【0051】
β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0052】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、
【0053】
3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げることができる。
【0054】
前記重合性基を有する電子受容性化合物は、前記電子供与性無色染料と組合わせて用いられる。
この場合、電子受容性化合物の使用量としては、使用する電子供与性無色染料1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。0.5質量部未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、20質量部を超えると、感度の低下や塗布適性の劣化を招くことがある。
【0055】
また、前記重合性基を有するカプラー化合物としては、重合性基を有し、かつ前記発色成分Aの一つであるジアゾニウム塩化合物と反応して発色し、かつ光重合して膜を硬化しうるものであれば全て使用することができる。
カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。
以下に、カプラー化合物の具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
前記カプラー化合物は、ジアゾニウム塩化合物と組合わせて用いる。
感光感熱記録層中における、前記カプラー化合物の使用量としては、0.02〜5g/m2 が好ましく、効果の点から、0.1〜4g/m2 がより好ましい。
前記添加量が、0.02g/m2 未満であると、発色性に劣ることがあり、5g/m2 を越えると、塗布適性が悪くなることがある。
【0064】
また、カプラー化合物の使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
前記使用量が、0.5質量部未満であると、十分な発色性を得られないことがあり、20質量部を超えると、塗布適性が劣化することがある。
【0065】
カプラー化合物は、その他の成分とともに水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤とともに乳化し、乳化物として用いることもできる。
ここで、固体分散又は乳化する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。方法の詳細については、特開昭59−190886号、特開平2−141279号、特開平7−17145号に記載されている。
【0066】
また、カップリング反応を促進する目的で、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を用いることが好ましい。
【0067】
前記有機塩基としては、例えば、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、
【0068】
1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。
前記有機塩基は、単独で用いてよいし、2種以上併用して用いてもよい。
【0069】
これらは、特開昭57−123086号、特開昭60−49991号、特開昭60−94381号、特願平7−228731号、特願平7−235157号、特願平7−235158号等に記載されている。
【0070】
前記有機塩基の使用量としては、特に限定されるものではないが、ジアゾニウム塩1モルに対し、1〜30モルが好ましい。
【0071】
さらに、発色反応を促進させる目的で、発色助剤を加えることもできる。
前記発色助剤としては、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。
これらの化合物は、カプラー化合物又は塩基性物質の融点を低下させる、或いは、マイクロカプセル壁の熱透過性を向上させる作用を有することから、高い発色濃度が得られるものと考えられる。
【0072】
<化合物C>
前記2)の感光感熱記録層に添加される、マイクロカプセルに内包させる発色成分A2と反応して発色させる実質的に無色の化合物Cとしては、前記のごときものが挙げられるが、発色成分A2が電子供与性無色染料の場合には重合性基をもたない電子受容性化合物を、発色成分A2がジアゾニウム塩化合物の場合は重合性基をもたないカプラー化合物がそれぞれ用いられる。
【0073】
重合性基を有しない電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ペントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
具体的には、特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号等に記載されている。
【0074】
上記のうち、具体的には、下記化合物を挙げることができる。
フェノール誘導体としては、例えば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0075】
サリチル酸誘導体としては、例えば、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩等が挙げられる。
【0076】
前記重合性基を有しない電子受容性化合物の使用量としては、電子供与性無色染料の使用量に対し、5〜1000質量%が好ましい。
【0077】
前記の重合性基を有しないカプラー化合物としては、前記発色成分Aの1つであるジアゾニウム塩化合物と反応して発色しうるものであれば全て使用することができる。
前記重合性基を有しないカプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々目的に応じて、複数種を併用することが可能である。
【0078】
重合性基を有しないカプラー化合物としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などを挙げることができ、本発明の目的に合致する範囲で適宜、選択して使用することができる。
【0079】
前記重合性基を有しないカプラー化合物としては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、
【0080】
1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、
【0081】
N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0082】
重合性基を有しないカプラー化合物の詳細は、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平5−278608号、特開平5−297024号、特開平6−18669号、特開平6−18670号、特開平7−316280号等の公報に記載されている。本出願人が、先に提出した特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等に記載ししたものも参照できる。
【0083】
感光感熱記録層中における、重合性基を有しないカプラー化合物の使用量としては、重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様、0.02〜5g/m2 が好ましく、効果の点から、0.1〜4g/m2 がより好ましい。
前記使用量が、0.02g/m2 未満であると、十分な発色濃度が得られないことがあり、5g/m2 を越えると、塗布適性が劣化することがある。
【0084】
重合性基を有しないカプラー化合物についても、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様にして、固体分散又は乳化し用いることができる。
前記固体分散又は乳化の方法としては、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様の方法を用いることができる。
【0085】
また、カップリング反応を促進する目的で、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様の有機塩基を用いることができ、その使用量も同様である。
【0086】
発色反応を促進させる目的で用いる発色助剤も、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様のものを使用することができる。
【0087】
<化合物D>
前記2)の感光感熱記録層中に使用する、同一分子内に重合性基と前記発色成分A2と化合物Cとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Dは、発色成分A2として電子供与性無色染料を用い、前記化合物Cとして重合性基を有しない電子受容性化合物を用いる場合には、特定の光重合性モノマーD1 を用いる。光重合性モノマーD1 としては、アクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等が挙げられる。
【0088】
上記のうち、分子内に複数のビニル基を有する光重合性モノマーを使用することが好ましく、例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フェノール類やビスフェノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;アクリレート又はメタクリレート末端エポキシ樹脂;アクリレート又はメタクリレート末端ポリエステル等が挙げられる。
【0089】
中でも、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート又はジエチレングリコールジメタクリレート等が特に好ましい。
【0090】
前記光重合性モノマーD1 の分子量としては、約100〜約5000が好ましく、約300〜約2000がより好ましい。
【0091】
前記光重合性モノマーD1 の使用量としては、前記発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の化合物E1質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像を形成することができないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0092】
前記発色成分A2としてジアゾニウム塩化合物を用い、前記化合物Cとして重合性基を有しないカプラー化合物を用いる場合には、前記化合物Dは、特定の光重合性モノマーD2 を用いる。該光重合性モノマーD2 としては、カップリング反応の抑制効果を有する酸性基を有し、金属塩化合物でない光重合性モノマーであることが好ましい。
【0093】
前記光重合性モノマーD2 としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0094】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、
【0095】
β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸等が好適に挙げられる。
【0096】
前記光重合性モノマーD2 の使用量としては、前記発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の化合物E1質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像が形成できないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0097】
<光重合開始剤>
記光重合開始剤は、光露光することによりラジカルを発生して感光感熱記録層内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により感光感熱記録層は硬化し、所望の画像様潜像を形成することができる。
【0098】
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
【0099】
公知の光重合開始剤として、例えば、米国特許第4950581号(第20欄、第35行〜第21欄、第35行)に記載のものを挙げることができる。また、例えば、EP−A−137452、DE−A−2718254、DE−A−2243621、米国特許第4950581号(第14欄第60行〜第18欄第44行)に記載のトリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−スチルフェニル)−s−トリアジン等のトリハロメチルトリアジン等のトリアジン化合物が挙げられる。
前記光重合開始剤をハイブリッド系で使用する場合には、フリーラジカル硬化剤に加えて、カチオン系光重合開始剤を挙げることもできる。前記カチオン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、米国特許第4950581号(第19欄、第17〜25行)に記載のパーオキサイド等のパーオキサイド化合物;米国特許第4950581号(第18欄、第60行〜第19欄10行)に記載の芳香族スルホニウム若しくはヨードニウム塩;(η6 −イソプロピルベンゼン)−(η5 −シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等のシクロペンタジエニル−アレーン鉄(II)錯塩等を好適に挙げることができる。
【0100】
さらに、前記色素/ホウ素化合物の例としては、特開昭62−143044号、特開平1−138204号、特表平6−505287号、特開平4−261406号等に記載のものも好適に挙げられる。
【0101】
前記300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物としては、この波長領域に最大吸収波長を有する分光増感色素が好ましい。
前記波長領域にある分光増感色素から、用いる光源に適合するような吸収波長を有する色素を選択することにより、高感度記録を得ることができる。多色の記録材料の場合には、発色色相の異なる各単色感光感熱記録層中に異なる吸収波長を有する分光増感色素を存在させ、その各吸収波長に適合した光源を用いることにより、各層(各色)が高感度で、かつ高鮮鋭な画像を形成することができる。
【0102】
前記分光増感色素としては、公知の化合物の中から適宜選択することができ、例えば、後述の「分光増感化合物と相互作用する化合物」に関する特許公報や、「Research Disclogure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載のものが挙げられる。
【0103】
具体的には、特開昭58−15603号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号、同60−53300号に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号、同62−3842号、特開昭59−89303号、同60−60104号に記載のメロシアニン化合物等が挙げられる。
【0104】
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素等が挙げられる。
【0105】
前記分光増感色素には、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンを含む。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等が含まれる。
【0106】
前記分光増感色素を適宜使用することにより、本発明の記録材料に用いる光重合開始剤の分光感度を紫外〜赤外域に得ることが可能となる。
また、前記各種分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0107】
前記分光増感化合物の使用量としては、感光感熱記録層の総質量に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0108】
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記化合物B中の光重合性基又は化合物D(光重合性モノマー)の光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、有機系ボレート塩化合物又は以下の化合物等が挙げられる。
【0109】
ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン、CIBA社のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、等の芳香族ケトン類;
【0110】
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインエーテル類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二重体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体等の2,4,6−トリアリールイミダゾール二重体;四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等のポリハロゲン化合物;特開昭59−133428号、特公昭57−1819号、特公昭57−6096号、米国特許第3615455号に記載の化合物;
【0111】
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体;
【0112】
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリ−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリ−ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリ−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の特開昭59−189340号記載の有機過酸化物;
【0113】
米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩化合物;トリフェニールブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニールブチールボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニール)ブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩等のヨーロッパ特許第0223587号に記載の有機ホウ素化合物;その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体等が挙げられる。
【0114】
また、二種又はそれ以上の化合物を組合わせたものも知られており、これらも本発明の記録材料に使用することができる。
二種又はそれ以上の化合物の組合せとしては、例えば、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメルチ)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールとの組合せ、特開昭57−23602号明細書に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンとの組合せ、特開昭59−78339号明細書の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物との三種組合わせ、等が挙げられる。
【0115】
中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの組合せ、2,4−ジエチルチオキサントンと4−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの組合せ、又は4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体との組合せが好ましい。
【0116】
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」のうち、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。
この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
【0117】
前記有機系ボレート塩化合物としては、特開昭62−143044号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号等に記載の有機ボレート化合物(以下、「ボレート化合物I」という場合がある。)、又はカチオン性色素から得られる分光増感色素系ボレート化合物(以下、「ボレート化合物II」という場合がある。)等が挙げられる。
前記ボレート化合物Iの具体例を以下に挙げるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0118】
【化15】
【0119】
【化16】
【0120】
【化17】
【0121】
【化18】
【0122】
【化19】
【0123】
【化20】
【0124】
【化21】
【0125】
【化22】
【0126】
【化23】
【0127】
【化24】
【0128】
また、本発明の記録材料では、前記「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載のカチオン性色素より得ることのできる分光増感色素系有機ボレート化合物(ボレート化合物II)も挙げることができる。
このボレート化合物IIは、その構造内に色素部とボレート部とを併せ持つ化合物であり、露光時に、色素部の光吸収機能により効果的に光源エネルギーを吸収し、かつボレート部のラジカル放出機能により重合反応を促進すると同時に、併存する分光増感化合物を消色するという3つの機能を有するものである。
【0129】
具体的には、300nm以上の波長領域、好ましくは400〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有するカチオン性色素であれば、いずれも好適に用いることができる。中でも、カチオン性のメチン色素、ポリメチン色素、トリアリールメタン色素、インドリン色素、アジン色素、キサンテン色素、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素、アザメチン色素、オキサジン色素又はアクリジン色素等が好ましく、カチオン性のシアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素又はアザメチン色素がより好ましい。
【0130】
前記有機カチオン性色素から得られるボレート化合物IIは、有機カチオン性色素と有機ホウ素化合物アニオンとを用い、欧州特許第223,587A1号に記載の方法を参考にして得ることができる。
【0131】
以下に、カチオン性色素から得られるボレート化合物IIの具体例を挙げるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0132】
【化25】
【0133】
【化26】
【0134】
【化27】
【0135】
【化28】
【0136】
【化29】
【0137】
【化30】
【0138】
【化31】
【0139】
前記ボレート化合物IIは、上記の通り、多機能な化合物であるが、高い感度と十分な消色性を得る観点から、本発明の記録材料では、前記光重合開始剤には、分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を適宜組合わせて構成することが好ましい。
この場合、光重合開始剤としては、前記分光増感化合物とボレート化合物Iとを組合わせた光重合開始剤(1)、又は前記ボレート化合物Iとボレート化合物IIとを組合わせた光重合開始剤(2)であることがより好ましい。
【0140】
この時、光重合開始剤中に存在する分光増感色素と有機ボレート化合物との使用比率が、高感度化と定着工程の光照射による十分な消色性を得る点で非常に重要となる。
前記光重合開始剤(1)の場合、光重合開始剤中には、光重合反応に必要な分光増感化合物/ボレート化合物Iの比(=1/1:モル比)に加え、さらに層内に残存する分光増感化合物を十分に消色するのに必要な量のボレート化合物Iを添加することが十分な高感度化と消色性能を得る点から特に好ましい。
即ち、分光増感色素/ボレート化合物Iの比は、1/1〜1/50の範囲で使用することが好ましく、1/1.2〜1/30の範囲で使用することがより好ましいが、1/1.2〜1/20の範囲で使用することが最も好ましい。前記の比が、1/1未満では十分な重合反応性と消色性を得ることができず、1/50を越えると、塗布適性が劣化するため好ましくない。
【0141】
また、前記光重合開始剤(2)の場合には、ボレート化合物Iとボレート化合物IIとを、ボレート部位が色素部位に対して等モル比以上となるように組合わせて用いることが、十分な高感度化と消色性能を得る点から特に好ましい。
ボレート化合物I/ボレート化合物IIの比は、1/1〜50/1の範囲で使用することが好ましく、1.2/1〜30/1の範囲で使用することがより好ましいが、1.2/1〜20/1の範囲で使用することが最も好ましい。前記の比が、1/1未満ではラジカルの発生が少なく、十分な重合反応性と消色性能が得られず、50/1を越えると、十分な感度を得られなくなるため好ましくない。
【0142】
光重合開始剤中の分光増感色素と有機ボレート化合物との総量は、重合性基を有する化合物の使用量に対し、0.1〜10wt%の範囲で使用することが好ましく、0.1〜5wt%の範囲で使用することがより好ましいが、0.1〜1wt%の範囲で使用することが最も好ましい。前記使用量が、0.1wt%未満では本発明の効果を得ることができず、10wt%を越えると、保存安定性が低下するとともに、塗布適性が低下するため好ましくない。
【0143】
また、本発明の記録材料の光重合性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。
具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
【0144】
[前記3)の感光感熱記録層]
前記3)の感光感熱記録層としては、例えば特願2002−216743号に記載のものや、特願平2002−98759に記載のものが挙げられる。
特願2002−216743号に記載の感光感熱記録層は、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A(A3)と、熱応答性マイクロカプセル外部に、発色成分A(A3)と反応して発色する実質的に無色の化合物B(E)と、同一分子内に重合性基と水酸基をそれぞれ少なくとも1つ以上有し熱応答性マイクロカプセル内への透過性を有する化合物C(F)と、光重合開始剤Dとを含有する光重合性の組成物を含むもので、発色成分A3としては、前記1)又は2)の感光感熱記録層に含まれる発色成分A1及びA2と同様なものが用いられる他、同出願明細書の段落0013〜0057に記載のものが挙げられ、前記発色成分A3と反応して発色する実質的に無色の化合物Eとしては、前記化合物Cとして挙げたものが同様に用いられる他、同出願明細書の段落0059〜0091に記載のものが挙げられ、また、同一分子内に重合性基と水酸基をそれぞれ少なくとも1つ以上有し熱応答性マイクロカプセル内への透過性を有する化合物Fとしては同出願明細書の段落0093〜0094に記載のものが挙げられる。
また、特願平2002−98759に記載の感光感熱記録層は、マイクロカプセル内の発色成分A3として同出願明細書の段落0014〜0055に記載のジアゾニオ基をもたないジアゾ化合物が挙げられ、発色成分A3と反応して発色させる実質的に無色の化合物Eとして同出願明細書の段落0058〜0078のカプラーが挙げられ、重合性基を有する化合物Fとして同出願明細書の段落0090〜0103に記載のものが挙げられる。
光重合開始剤は、前記1)又は2)の感光感熱記録層に用いるものと同様である。
【0145】
(感光感熱記録層の形成)
感光感熱記録層は、そのための塗布液を支持体に塗布することにより形成される。前記塗布液は、発色成分A1ないしA3を内包するマイクロカプセルの液と、マイクロカプセル外の成分(光重合性の組成物)の乳化分散物を混合することにより調製される。
<マイクロカプセルの作製>
マイクロカプセル化方法は、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−771号等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号、特開平4−101885号、特開平9−263057号に記載の方法等が挙げられる。
【0146】
マイクロカプセル化する方法としては、これらに限定されるものではないが、本発明の記録材料においては、特に、発色成分A1ないしA3をカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
前記界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。
【0147】
本発明において好ましいマイクロカプセルは、常温では、マイクロカプセル壁(以下、単に「カプセル壁」という。)の物質隔離作用によりカプセル内外の物質の接触が妨げられ、ある値以上に熱及び/又は圧力が加えられた場合のみ、カプセル内外の物質の接触が可能となるようなものである。この現象は、カプセル壁の材料、カプセル芯物質(カプセルに内包する物質)、添加剤等を適宜選択することにより、カプセルの物性の変化として自由にコントロールすることができる。
【0148】
本発明において使用しうるカプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。
前記カプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。
前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0149】
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0150】
例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、水中に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が起こし、マイクロカプセル壁を形成する。
【0151】
前記多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号、同49−24159号、特開昭48−80191号、同48−84086号に記載のものを使用することもできる。
【0152】
本発明において、発色成分を含有するマイクロカプセルを形成する際、内包する発色成分は、該カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。
発色成分A1ないしA3を溶液状態でカプセルに内包させる場合、発色成分A1ないしA3である電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等を有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよい。
【0153】
前記有機溶媒としては、一般に、高沸点溶媒の中から適宜選択することができ、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が用いられる。
具体的には、特開昭59−178451〜同59−178455号、同59−178457号、同60−242094号、同63−85633号、特開平6−194825号、同7−13310号〜同7−13311号、同9−106039号の各公報及び特願昭62−75409号明細書に記載の有機溶剤が挙げられる。
また、カプセル化の際には、上記の有機溶媒を使用せずに、いわゆるオイルレスカプセルとしてもよい。
前記有機溶媒の使用量としては、発色成分A1ないしA3100質量部に対し、1〜500質量部が好ましい。
【0154】
また、カプセルに内包しようとする発色成分A1ないしA3の前記有機溶媒に対する溶解性が低い場合には、さらに補助溶剤として、溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。
一方、前記有機溶媒を使用せずに前記低沸点溶媒を使用することもできる。
前記低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0155】
前記油相を乳化分散する水相には、水溶性高分子を溶解した水溶液を使用する。
前記水相中に油相を投入した後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にしうる保護コロイドとしての作用を有するとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒としても作用する。
ここで、乳化分散をさらに均一に行い、より安定な分散液とするためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加することができる。
前記保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO2 −等の連結基を有するものが挙げられる。
具体的には、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品;無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系)重合体及び共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
【0156】
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。中でも、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。
前記水溶性高分子は、0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
【0157】
前記界面活性剤としては、公知の乳化用界面活性剤の中から適宜選択することができ、例えば、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記のように保護コロイドと作用し、沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。
具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
前記界面活性剤の添加量としては、油相質量に対し、0.1%〜5%が好ましく、0.5%〜2%がより好ましい。
【0158】
乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を低下させたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
一方、反応中に、別途凝集防止用の分散物を添加することもできる。
前記カプセル壁形成反応の終点は、重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよその終点とみなすことができる。
通常、数時間反応を行うことにより、発色成分A1ないしA3を内包するマイクロカプセルを得ることができる。
【0159】
本発明において、マイクロカプセルの平均粒子径としては、20μm以下が好ましく、高解像度を得る観点から、5μm以下がより好ましい。
また、形成したマイクロカプセル径が小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり多量の壁剤が必要となることから、前記平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
【0160】
<マイクロカプセル外成分の乳化分散物の調製>
マイクロカプセル外成分(前記化合物B、C、Eや光重合開始剤等)は、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることができる。
乳化分散して形成する乳化分散粒子径としては、1μm以下が好ましい。
【0161】
前記乳化分散は、前記成分を含有した油相と界面活性剤及び/又は保護コロイドとを含有する水相を、高速撹拌、超音波分散等の微粒子乳化に用いる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。
【0162】
(感光感熱記録層に添加する他の成分)
感光感熱記録層には、塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止等の種々の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤であるサポニン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテル等のポリエチレンオキサイド誘導体やアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレナルキルフェニルエーテル類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類等の両性界面活性剤、脂肪族又は芳香族第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0163】
さらに、必要に応じ、例えば、染料、紫外線吸収剤、可塑剤、蛍光性色素、マット剤、塗布助剤、硬化剤、帯電防止剤、滑り性改良剤等の添加剤を使用することもできる。
前記添加剤の具体例は、「Research Disclosure,Vol.176」(1978年12月、Item 17643)及び「同Vol.187」(1979年11月、Item 18716)に記載されている。
【0164】
本発明の記録材料では、感光感熱記録層、中間層、保護層等の各層に硬化剤を併用することが好ましい。
特に、保護層中に硬化剤を併用し、保護層の粘着性を低減させることが好ましい。
前記硬化剤としては、例えば、写真感光材料の製造に用いられる「ゼラチン硬化剤」が有用であり、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系の化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のハロゲン化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、米国特許第3017280号等に記載のアジリジン系化合物、米国特許第3091537号等に記載のエポキシ系化合物、ムコクロル酸等のハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン類、米国特許第3642486号や米国特許第3687707号に記載のビニルスルホン類、米国特許第3841872号に記載のビニルスルホンブレカーサー類、米国特許第3640720号に記載のケトビニル類が挙げられる。また、無機硬化剤として、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、硼酸等も用いることができる。
【0165】
中でも、1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,2−ピスピニルスルホニルメタン、1,3−ビス(ビニルスルホニルメチル)プロパノール−2、ビス(α−ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩、2,4,6−トリエチレニミノ−s−トリアジンや硼酸等の化合物が好ましい。
前記硬化剤の添加量としては、バインダー量に対し、0.5〜5質量%が好ましい。
【0166】
[その他の層]
(中間層)
各感光感熱記録層の間には、混色等を防止するための中間層を設けることができる。中間層は、主にバインダーから構成され、必要に応じて、硬化剤やポリマーラテックス、フィルタ色素、雲母、紫外線吸収剤等の添加剤を含有することができる。バインダーは、感光感熱記録層の塗液調製の際、乳化分散に用いるバインダーが同様に用いられる。
【0167】
前記フィルタ色素は、前記分光増感化合物から選択して用いることもできるが、各中間層上層の分光増感化合物と同一の光吸収波長を持つ化合物を使用することが、高鮮鋭な画像を形成しうる点で好ましい。
前記フィルタ色素は、水中油滴分散法やポリマー分散法により乳化分散して、所望の層、特に中間層中に添加することができる。
水中油滴分散法では、沸点が175℃以上の高沸点溶媒又は30〜160℃の低沸点溶媒のいずれか一方の単独液、又は両者混合液中に前記フィルタ色素を溶解した後、界面活性剤の存在下、水、ゼラチン水溶液又はポリビニルアルコール水溶液等の水溶液中に微細分散する。
前記高沸点溶媒としては、米国特許第2322027号等に記載の溶媒が挙げられる。また、高沸点溶媒、低沸点溶媒は、前述のマイクロカプセルの製造時に用いた溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
【0168】
また、ポリマー分散法に用いるラテックスの具体例としては、米国特許第4199383号、西独特許出願(OLS)第2541274号、同第2541230号、特開昭49−74538号、同51−59943号、同54−32552号や「Research Disclosure Vol.148」(1976年8月、Item 14850)等に記載のものを挙げることができる。
中でも、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート等のアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル;アクリル酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の酸モノマーの共重合ラテックスが好ましい。
【0169】
(保護層)
保護層に用いる材料としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類などが挙げられる。
【0170】
前記保護層に用いる水溶性高分子化合物を架橋することにより、保存安定性をより一層向上させることもできる。
前記架橋に用いる架橋剤としては、公知の架橋剤を使用することができ、具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙げられる。
【0171】
前記保護層には、更に公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、蛍光性色素等を使用することもでき、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等の公知のUV吸収剤やUV吸収剤プレカーサーを添加することもできる。
【0172】
前記保護層の塗布量としては、0.2〜5g/m2 が好ましく、0.5〜3g/m2 がより好ましい。
【0173】
[支持体]
本発明の記録材料に用いる支持体としては、中性紙、酸性紙、コーティツドペーパー、ラミネート紙等の合成紙;ポリエチレンテレフタレートフイルム、3酢酸セルロースフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリカーボネートフイルム等のフイルム;アルミニウム、亜鉛、銅等の金属板;又は、これらの支持体表面に表面処理、下塗、金属蒸着処理等の各種処理を施したもの等が挙げられる。
また、「Research Disclosure,Vol.200」(1980年12月、Item 20036 XVII項)の支持体も用いることができる。
前記各種支持体には、蛍光性色素、青み付け染料、顔料等を含有させることもできる。
【0174】
[記録材料の作製]
本発明の記録材料は、各層の塗液を支持体上に順次塗布することにより作製される。塗布法としてはブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、ロールドクターコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター等を用いることができる。また、「Rcscarch Disclosurc,Vol.200」(1980年12月,Item 20036 XV項)を参考にすることができる。
感光感熱記録層の層厚としては、0.1〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜35μmの範囲であることがより好ましい。
【0175】
[画像記録方法]
本発明の記録材料を用いる画像記録方法は、感光感熱記録層に画像様露光を行なった後加熱現像して感光感熱記録層を画像記録する工程、及び感光感熱記録層に全面に光照射して感光感熱記録層を定着する工程を有する。
感光感熱記録層の画像記録は、まず光を画像様に照射して潜像を形成し、次いで発色温度において加熱現像を行なう。潜像形成は、レーザー光、中でも可視領域のレーザー光を用いることが好ましい。
画像品質向上のために、国際出願WO95/31754号に記載の、3M社提案のハロゲン化銀感光感熱記録材料に用いるレーザービームを照射する際、そのビームスポットが所定の範囲でオーバーラップするように照射することにより画像形成する記録方法にも使用することができる。
この記録方法は、潜像形成の際のレーザービームの照射過程において、(1)目標対象物上で、高さ又は長さの少なくとも一方が600μm以下のビームスポットを形成することのできる放射光源を用意し、また(2)この光源に感光する記録材料を所定の目標位置に配置した後に、まず、(3)前記光源が長さ又は幅の少なくとも一方が250μm以下のビームスポットとなるよう調整し、このビームを用いて画像分布に従い照射し、(4)照射したスポットに対して、次に照射するビームの少なくとも幾つかのスポットがオーバーラップして照射されるように、画像分布に従って照射する方法、
【0176】
或いは、記録材料を露光して潜像を形成する方法において、(1)感光させうる光源を用意し、(2)この光源のビームスポットの高さ又は長さの一方が600μm以下の小領域を複数照射し、そのうち、少なくとも1つの小領域に要するエネルギーの少なくとも10%、即ち、複数の小領域のうちの少なくとも10%が、他の1つの小領域とオーバーラップするように照射する方法等である。
【0177】
また、特開昭60−195568号に記載のキャノン(株)提案の記録方法も使用することができる。
即ち、記録材料面に照射するレーザービームの入射角を傾けることにより、入射ビームが記録材料の感光層界面で反射する反射ピッチをビームスポット径より大きくし、記録材料に生ずる光干渉を防止する技術を用いることにより、より高品質の画像を得ることができる。
【0178】
加熱現像処理の温度は、一般に、80〜200℃が好ましく、85〜130℃がより好ましい。加熱温度が、80℃未満であると、発色濃度が不十分となることがあり、200℃を超えると、非画像部(地肌部)が着色したり、支持体に損傷を受けることがある。加熱時間とは、1秒〜5分が好ましく、3秒〜1分がより好ましい。加熱方法は、従来公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、ヒートローラー等による処理が用いられる。また、加熱現像処理を施す前に、発色温度未満の所定の温度で、記録材料全面を均一に予熱する過程を設けると、さらに感度を向上させることができる。
【0179】
加熱現像後、定着処理、すなわち、感光感熱記録層表面を光照射することにより、記録層中に残存する分光増感化合物、ジアゾニウム塩化合物等の地肌部の白色性を低下させる成分を分解又は失活させ、形成画像を定着する。この処理により、形成画像の濃度変動を抑制でき、画像保存性を大幅に向上させることができる。
【0180】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、%は質量%をさす。
実施例1
[感光感熱記録層用塗布液の調製]
(1−a)イエロー発色マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル16.9gに、イエロー発色の下記電子供与性無色染料(1)8.9gを溶解し、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20gとカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2gとを添加した。
得られた溶液を、8%フタル化ゼラチン42gと10%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4gとの混合液中に添加した後、温度42℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に水14gと2.9%テトラエチレンペンタミン水溶液72gとを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、下記電子供与性無色染料(1)を芯とする、平均粒径0.5μmのマイクロカプセル液を得た。
【0181】
(1−b)マゼンタ発色マイクロカプセル液の調製
前記イエロー発色マイクロカプセル液の調製において、電子供与性無色染料(1)に代えて、マゼンタ発色の下記電子供与性無色染料(2)を用いる他は、イエロー発色マイクロカプセル液の調製と同様にして、平均粒径が0.5μmのマゼンタ発色マイクロカプセル液を得た。
【0182】
(1−c)シアン発色マイクロカプセル液の調製
前記イエロー発色マイクロカプセル液の調製において、電子供与性無色染料(1)に代えて、シアン発色の下記電子供与性無色染料(3)を用いる他は、イエロー発色マイクロカプセル液の調製と同様にして、平均粒径が0.5μmのシアン発色マイクロカプセル液を得た。
【0183】
【化32】
【0184】
(2−a)イエロー発色用光重合性組成物の乳化液の調製
重合性基を有する下記電子受容性化合物(1)と(2)の1:1混合物5gと下記熱重合禁止剤(ALI)0.017gとを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)5.5g中で42℃にて溶解し、この混合溶液中に下記ノニオン型有機色素(1)を0.042gと、下記有機ホウ素化合物(1)を0.26gと、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.042gとを添加し42℃にて溶解した。
得られた溶液を、8%ゼラチン水溶液13gと、下記10%界面活性剤(1)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、イエロー発色用光重合性組成物の乳化液を得た。
【0185】
【化33】
【0186】
(2−b)マゼンタ発色用光重合性組成物の乳化液の調製
前記イエロー発色用光重合性組成物乳化液の調製において、ノニオン型有機色素(1)に代えて下記カチオン型有機色素(2)を用いる他は同様にして、マゼンタ発色用光重合性組成物乳化液を調製した。
【0187】
【化34】
【0188】
(2−c)シアン発色用光重合性組成物の乳化液の調製
前記イエロー発色用光重合性組成物乳化液の調製において、ノニオン型有機色素(1)に代えて下記カチオン型有機色素(3)を用いる他は同様にして、シアン発色用光重合性組成物乳化液を調製した。
【0189】
【化35】
【0190】
(3−a)イエロー発色感光感熱記録層用塗布液の調製
前記イエロー発色マイクロカプセル液2gと、イエロー発色用光重合性組成物乳化液5.5gと、4%ゼラチン水溶液1.0gとを混合し、イエロー発色感光感熱記録層用塗布液を調製した。
(3−b)マゼンタ発色感光感熱記録層用塗布液の調製
前記マゼンタ発色マイクロカプセル液2gと、マゼンタ発色用光重合性組成物乳化液5.5gと、4%ゼラチン水溶液1.0gとを混合し、マゼンタ発色感光感熱記録層用塗布液を調製した。
(3−c)シアン発色感光感熱記録層用塗布液の調製
前記シアン発色マイクロカプセル液2gと、シアン発色用光重合性組成物乳化液8gと、4%ゼラチン水溶液1.5gとを混合し、シアン発色感光感熱記録層用塗布液を調製した。
【0191】
[中間層用塗布液の調製]
ドデシル硫酸ソーダ2gを加えた水188gに合成雲母(スズライト40H,エムアールアイ(MRI)社製)12gを添加し、ホモイジナイザーを用いて、10000rpmで30分間分散し、更に5.6%ゼラチン水溶液200gを加えて膨潤性合成雲母の分散液を調製した。
16%ゼラチン水溶液8.5gと、蒸留水12.6gと、前記膨潤性合成雲母の分散液5.5gと下記2%界面活性剤(2)水溶液1.6gとを混合し、中間層用塗布液を調製した。
【0192】
【化36】
【0193】
【0194】
[蛍光性色素含有中間層用塗布液の調製]
前記中間層用塗布液に、Shigenox UL(ハッコールケミカル(株)製25%水分散液)を0.35g混合し、分散性蛍光性色素を含有する中間層用塗布液を調製した。
【0195】
[保護層用塗布液の調製]
18%ゼラチン水溶液8.8gと、蒸留水7.0gと、下記2%界面活性剤(3)水溶液0.4gと、下記2%界面活性剤(4)水溶液1.2gと、2%ビニルスルホン系化合物(硬膜剤)水溶液8.8gと、20%ジュリマーAC10LA(ポリアクリル酸、日本純薬(株)製)1.8gとを混合し、前記保護層用塗布液を調製した。
【0196】
【化37】
【0197】
[記録材料の作製]
厚さ198μmのWP支持体上に、上記シアン発色感光感熱記録層用塗布液、中間層用塗布液、マゼンタ発色感光感熱記録層用塗布液、蛍光性色素含有中間層用塗布液、イエロー発色感光感熱記録層用塗布液を、各塗布層の乾燥質量がそれぞれ、6.0g/m2、2.0g/m2、8.0g/m2、2.1g/m2、5.8g/m2、となるようにコーティングバーを用いて塗布し、乾燥した。
さらに、この上に保護層用塗布液を塗布層の乾燥質量が2g/m2となるように塗布し、乾燥し、記録材料を得た。
【0198】
比較例1
前記実施例1において、蛍光性色素含有中間層の代わりに、実施例1の中間層用塗布液を、塗布層の乾燥質量が2.0g/m2となるように塗布する他は、実施例1と同様にして記録材料を作製した。
【0199】
比較例2
前記実施例1の蛍光性色素含有中間層用塗布液の調製においてShigenox UL(ハッコールケミカル(株)製)に代えて、ハッコール508(ハッコールケミカル(株)製の水溶性蛍光性色素)を0.35g添加する他は、実施例1と同様にして記録材料を作製した。
【0200】
前記実施例1及び比較例1、2で作製した記録材料を、保護層側から波長410nmLDのレーザー光、532nmの固体レーザー光、660nmLDのレーザー光を用いて同時露光し、潜像を形成した。その後、この記録材料を105℃の熱板で10秒間加熱した後、38000luxの蛍光灯照射機上で、記録層表面全体を30秒間光照射し定着した。画像部及び白地部(非画像部)を得た。
前記記録材料の非画像部の光学濃度(OD)をX−Rite(X−Rite社製)を用いて測定した。
結果を以下に示す。
蛍光性色素及びバインダーを含む塗布液であって蛍光性色素が塗布液に分散された塗布液を用いて形成された層を有する記録材料では、非画像部において充分な白色性を有するが、そのような層をもたない記録材料では非画像部の白色度は低い。また、水溶性の蛍光性色素を添加したものは、記録材料の露光感度が経時的に低下する一方、非画像部において充分な白色度が得られなかった。露光感度が低下したのは、水溶性の蛍光性色素が経時的に感光感熱記録層に移行したためと考えられる。
【0201】
【発明の効果】
本発明の記録材料は、感光性(露光感度等)に悪影響を及ぼさず、非画像部の白色性に優れている。
【発明の属する技術分野】
本発明は、紫外〜赤外領域にある各種光源の利用が可能な単色又は多色の記録材料及び画像記録方法に関し、詳しくは、非画像部の白色性に優れた画像を形成しうる記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、液状の現像剤等を用いず、廃棄物の発生のないドライタイプの画像記録方法が種々検討されており、中でも、光により硬化する組成物を用いる方法が注目されている。
この方法は、発色成分、光重合性成分及び記録層の発色若しくは消色反応に作用する成分を含む記録層を設けた記録材料を、画像様に露光することにより、記録層中に含まれる光重合性成分を硬化させて潜像を形成し、その後記録材料を加熱(現像)すると、記録層に含まれる発色若しくは消色反応に作用する成分が記録層内で移動し、露光部あるいは非露光部が発色して色画像を形成する方法であり、前記記録材料は、露光部が発色するかあるいは非露光部が発色するかにより、ネガタイプ及びポジタイプに分けられる。
【0003】
前記記録方法において画像様の露光をレーザー光で行なうと非常に高解像度の画像が得られる。たとえば以下の特許文献1には、紫外〜赤外領域にある各種光源、特にレーザー光を用いて画像様の露光を行なう、感度、コントラスト及び非画像部の白色性に優れた画像を形成しうるポジタイプ及びネガタイプの記録材料が記載されている。前記ポジタイプの記録材料は、記録層(感光感熱記録層)に熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分Aと、熱応答性マイクロカプセル外部に、少なくとも、同一分子内に重合性基と前記発色成分Aと反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物Bと光重合開始剤を含むもので、また、ネガタイプの記録材料は、記録層に、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分Aと、熱応答性マイクロカプセル外部に、少なくとも、前記発色成分Aと反応して発色させる実質的に無色の化合物Eと、同一分子内に重合性基と前記発色成分Aと化合物Eとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Fと、光重合開始剤を含んでいる。
【0004】
前記のごとき記録材料においては、地肌部の白色性を増すため、支持体に蛍光性色素を添加したり、又は、保護層に蛍光性色素を添加したり(以下の特許文献1)している。しかしながら、従来の記録材料においては、蛍光性色素が他の層に拡散移行し、記録材料に悪影響を及ぼすことがあった。例えば、蛍光性色素が、紫外域に感光する感光感熱記録層に移行すると、感光感熱記録層の露光感度が経時的に変動したり、本来あるべき層における蛍光性色素の濃度が減少するため、蛍光増白効果が低減するなどが生じる。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−199952号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記のごとき問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、感光性に悪影響を及ぼさず、非画像部の白色性に優れた記録材料を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記課題は、以下の記録材料を提供することにより解決される。
(1)支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分と、熱応答性マイクロカプセル外部に、前記発色成分と反応して発色させる実質的に無色の成分を含みかつ光重合性である組成物を含む感光感熱記録層と、蛍光性色素及びバインダーを含み、該蛍光性色素が分散されている塗布液を塗布することにより形成される層を有する記録材料。
(2)蛍光性色素の塗布液に対する溶解度が室温において2質量%以下であることを特徴とする前記(1)に記載の記録材料。
(3)前記光重合性である組成物が、同一分子内に重合性基と前記マイクロカプセル内の発色成分と反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の記録材料。
(4)前記光重合性である組成物が、前記マイクロカプセル内の発色成分と反応して発色させる実質的に無色の化合物と、重合性基を有する化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の記録材料。
(5)前記蛍光性色素を含む層が保護層の下方であって感光感熱記録層の上方にあることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録材料。
(6)前記蛍光性色素を含む層が2つの感光感熱記録層の間にあることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録材料。
(7)前記蛍光性色素を含む層が支持体の上方でかつ感光感熱記録層の下方にあることを特徴とする前記(1)ないし(4)のいずれか1に記載の記録材料。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の記録材料において、蛍光性色素を含む層は、蛍光性色素及びバインダーを含む塗布液であって該蛍光性色素が該塗布液に分散されている塗布液を塗布することにより形成される層である。本発明の記録材料は、このような層を設けることにより、感光性(露光感度等)に悪影響を及ぼさず、非画像部の白色性に優れれた画像が形成される。
前記蛍光性色素は、塗布液において溶解状態でなく、分散状態にあればよい。したがって、塗布液が、バインダーとして水溶性樹脂を用いこれを水性媒体に溶解させたものである場合は、水に対する溶解性が低いあるいはない蛍光性色素、たとえば油溶性蛍光性色素を用い、また、塗布液が、バインダーとして有機溶媒可溶性樹脂を用いこれを有機溶剤に溶解させたものである場合には、有機溶剤に対する溶解性が低いあるいはない水溶性蛍光性色素を用いることが好ましいが、これに限定されるものではない。
蛍光性色素の塗布液に対する溶解度は室温において2質量%以下(0を含む)、さらには1質量%以下(0を含む)であることが好ましい。
蛍光性色素及びバインダーを含み、該蛍光性色素が分散されている塗布液を塗布することにより形成される層(以下において「蛍光性色素含有層」ということがある。)は、支持体上の層であって、感光感熱記録層以外のいずれの層でもよい。
たとえば、蛍光性色素含有層は保護層であってよく、また、2つの感光感熱記録層の間に設けられる中間層であってもよく、さらに、保護層や中間層とは別の層として設けてもよい。この場合、例えば、蛍光性色素含有層は保護層の下方であって感光感熱記録層の上方に設けても、また支持体の上方でかつ感光感熱記録層の下方に設けてもよい。
【0009】
本発明に用いられる蛍光性色素として、油溶性蛍光性色素としては、特に英国特許第786,234号明細書に記載された置換スチルベン、置換クマリンや米国特許第3,135,762号明細書に記載された置換チオフェン類などが有用であり、その他特公昭45−37376号公報、特開昭50−126732号公報に開示されているような蛍光性色素が有利に使用できる。
また、水溶性蛍光性色素は、例えば米国特許第2,933,390号明細書、特公昭48−30495号公報、特開昭55−135833号公報などに掲げられたような水溶性基を有するスチルベン系増白剤が主に用いられる。そのうち、特に水溶性ジアミノスチルベン化合物が好ましく用いられ、水溶性基としてスルホン基を有すれば更に良い。
【0010】
油溶性蛍光性色素は、水性乳化分散物としてあるいは水性ラテックス分散物として用いることが好ましい。例えば乳化分散の方法としては、前記色素を高沸点有機溶媒または水不溶性ポリマーに溶解し、水中に乳化分散することによって調製することができる。具体的には、英国特許第1072915号明細書に例示されているような高沸点有機溶媒に蛍光性色素を溶解し、これをゼラチン等の親水性コロイド中に界面活性剤と共に乳化分散する方法があり、高沸点溶媒としてはフタル酸エステル、リン酸エステル類の他、アミド化合物、安息香酸エステル類、置換パラフィン類なども用いることができる。
上記の高沸点有機溶媒の代わりに、ポリウレタン、ポリアクリル酸エステルなどの水不溶性ポリマーを用いて、前述と同様にして水性乳化分散物を調製することができる。
また、水性ラテックス分散物の調製の方法としては、油溶性蛍光性色素をあらかじめモノマー中に溶解してから重合してラテックス分散物としたり、疎水性ポリマー中に補助溶媒を用いて含浸させてラテックス分散物としたりする方法があり、これらは例えば特開昭50−126732号公報、特公昭51−47043号公報、米国特許第3,418,127号明細書、同3,359,102号明細書、同3,558,316号明細書、同3,788,854号明細書などに開示されている。
また、水溶性蛍光性色素は、有機溶媒中の分散物として用いることが好ましい。
【0011】
蛍光性色素の層中における含有割合(層の固形分に対する量)は、非画像部の白色度や露光感度の観点から、塗設量が10〜200mg/m2となるように適宜調節する。
【0012】
本発明の記録材料における感光感熱記録層は、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A(以下のA1〜A3等)と、熱応答性マイクロカプセル外部に、前記発色成分Aと反応して発色させる実質的に無色の成分(以下の化合物B、C、E等)を含みかつ光重合性である組成物を含む。
前記光重合性である組成物としては、1)同一分子内に重合性基とマイクロカプセル内の発色成分A1と反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物Bと、光重合開始剤とを含む組成物、2)マイクロカプセル内の発色成分A2と反応して発色させる実質的に無色の化合物Cと、同一分子内に重合性基と前記発色成分A2と化合物Cとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Dと、光重合開始剤を含むもの、3)マイクロカプセル内の発色成分A3と反応して発色させる実質的に無色の化合物Eと、重合性基を有する化合物Fと、光重合開始剤とを含む組成物等を挙げることができる。
【0013】
[前記1)及び2)の光重合性組成物を含む感光感熱記録層]
先ず、前記1)及び2)の光重合性組成物を含む感光感熱記録層(以下において「1)の感光感熱記録層」及び「2)の感光感熱記録層」ということがある)における各成分について説明する。
(熱応答性マイクロカプセルに内包される発色成分A1及びA2)
前記1)及び2)の感光感熱記録層における発色成分A1及びA2と、前記A1及びA2と反応して発色させる成分C又はDの組み合わせとしては以下のようなものが挙げられる。
(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾニウム塩化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
【0014】
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
【0015】
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸又は塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
【0016】
前記発色成分A1及びA2としては、実質的に無色の電子供与性染料前駆体(以下、「電子供与性無色染料」という。)又はジアゾニウム塩化合物が好ましい。
【0017】
前記電子供与性無色染料としては、従来より公知のものを使用することができる。以下に、その具体例を示すが、本発明に使用することができる電子供与性無色染料は、これらに限定されるものではない。
具体的には、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
【0018】
フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号、米国特許第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号及び同第3,509,174号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(p−ジエチルアミノ−o−ブトキシフェニル)−3−(1−ペンチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(p−ジプロピルアミノ−o−メチルフェニル)−3−(1−オクチル−2−メチルインドール−3−イル)−5−アザ(又は−6−アザ、又は−7−アザ)フタリド等が挙げられる。
【0019】
フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3959,571号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−(ジベンジルアミノ)フルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−クロル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ピペリジノアミノフルオラン、2−(o−クロロアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、2−(3,4−ジクロルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0020】
チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
【0021】
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
【0022】
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
【0023】
スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0024】
ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号に記載の化合物が挙げられる。
【0025】
フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号等に記載の化合物が挙げられる。
【0026】
本発明の記録材料をカラー記録材料とする場合、シアン、マゼンタ、イエローから選ばれる1つ以上の発色色素用の電子供与性無色染料を使用する。
シアン、マゼンタ、イエロー発色色素としては、米国特許第4,800,149号等に記載の各色素を使用することができる。
さらに、イエロー発色色素用電子供与性無色染料としては、米国特許第4,800,148号等に記載の色素も使用することができ、シアン発色色素用電子供与性無色染料としては、特開平63−53542号等に記載の色素も使用することができる。
【0027】
前記電子供与性無色染料の使用量は、感光感熱記録層中に、0.01〜3g/m2 が好ましく、0.1〜1g/m2 がより好ましい。前記使用量が、0.01g/m2 未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、3g/m2 を超えると、塗布適性が劣化することがある。多層記録層の場合には、前記使用量の電子供与性無色染料を含有する記録層を複数積層して構成する。
【0028】
前記ジアゾニウム塩化合物としては、下記式で表される化合物を挙げることができる。
Ar−N2 + X−
〔式中、Arは芳香族環基を表し、X− は酸アニオンを表す。〕
【0029】
このジアゾニウム塩化合物は加熱によりカプラーとカップリング反応を起こして発色したり、また光によって分解する化合物である。これらはAr部分の置換基の位置や種類によって、その最大吸収波長を制御することが可能である。
【0030】
前記式において、Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0031】
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、
【0032】
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
【0033】
また、これらの基は、さらに、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0034】
本発明に用いるジアゾニウム塩化合物の最大吸収波長λmax としては、効果の点から450nm以下であることが好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。
また、本発明に用いるジアゾニウム塩化合物としては、炭素数12以上で、水に対する溶解度が1%以下かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上のジアゾニウム塩化合物が好ましい。
【0035】
以下に、本発明の記録材料に好適に使用しうるジアゾニウム塩化合物の具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0036】
【化1】
【0037】
【化2】
【0038】
【化3】
【0039】
【化4】
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
前記ジアゾニウム塩化合物は、単独で用いてもよいし、色相調整等の諸目的に応じて2種以上併用して使用してもよい。
【0043】
前記ジアゾニウム塩化合物の使用量としては、感光感熱記録層中に0.01〜3g/m2 が好ましく、0.02〜1.0g/m2 がより好ましい。
前記使用量が、0.01g/m2 未満であると、十分な発色性を得ることができないことがあり、3g/m2 を超えると、感度が低下したり、定着時間を長くする必要が生じることがある。
【0044】
(光重合性の組成物)
<発色成分B>
前記1)の感光感熱記録層中に使用する、同一分子内に重合性基と前記発色成分A1と反応して発色する部位とを有する実質的に無色の化合物Bとしては、重合性基を有する電子受容性化合物又は重合性基を有するカプラー化合物等の前記発色成分A1と反応して発色し、かつ光に反応して重合し、硬化するという両機能を有するものであれば全て使用することができる。
【0045】
前記重合性基を有する電子受容性化合物、即ち、同一分子中に電子受容性基と重合性基とを有する化合物としては、重合性基を有し、かつ前記発色成分Aの一つである電子供与性無色染料と反応して発色し、かつ光重合して膜を硬化しうるものであれば全て使用することができる。
前記電子受容性化合物としては、特開平4−226455号に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号、同62−16708号に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
これらの電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物のうち、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
【0046】
【化7】
【0047】
〔式中、Xは、ハロゲン原子を表し、中でも、塩素原子が好ましい。Yは、重合性エチレン基を有する1価の基を表し、中でも、ビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基又は炭素数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基がより好ましい。Zは、水素原子、アルキル基又はアルコキシル基を表す。〕
【0048】
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、
【0049】
3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
【0050】
また、前記電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、
【0051】
β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0052】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、
【0053】
3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げることができる。
【0054】
前記重合性基を有する電子受容性化合物は、前記電子供与性無色染料と組合わせて用いられる。
この場合、電子受容性化合物の使用量としては、使用する電子供与性無色染料1質量部に対して、0.5〜20質量部が好ましく、3〜10質量部がより好ましい。0.5質量部未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、20質量部を超えると、感度の低下や塗布適性の劣化を招くことがある。
【0055】
また、前記重合性基を有するカプラー化合物としては、重合性基を有し、かつ前記発色成分Aの一つであるジアゾニウム塩化合物と反応して発色し、かつ光重合して膜を硬化しうるものであれば全て使用することができる。
カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。
以下に、カプラー化合物の具体例を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0056】
【化8】
【0057】
【化9】
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
【化12】
【0061】
【化13】
【0062】
【化14】
【0063】
前記カプラー化合物は、ジアゾニウム塩化合物と組合わせて用いる。
感光感熱記録層中における、前記カプラー化合物の使用量としては、0.02〜5g/m2 が好ましく、効果の点から、0.1〜4g/m2 がより好ましい。
前記添加量が、0.02g/m2 未満であると、発色性に劣ることがあり、5g/m2 を越えると、塗布適性が悪くなることがある。
【0064】
また、カプラー化合物の使用量としては、ジアゾニウム塩化合物1質量部に対し、0.5〜20質量部が好ましく、1〜10質量部がより好ましい。
前記使用量が、0.5質量部未満であると、十分な発色性を得られないことがあり、20質量部を超えると、塗布適性が劣化することがある。
【0065】
カプラー化合物は、その他の成分とともに水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤とともに乳化し、乳化物として用いることもできる。
ここで、固体分散又は乳化する方法としては、特に限定されるものではなく、公知の方法の中から適宜選択することができる。方法の詳細については、特開昭59−190886号、特開平2−141279号、特開平7−17145号に記載されている。
【0066】
また、カップリング反応を促進する目的で、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を用いることが好ましい。
【0067】
前記有機塩基としては、例えば、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、
【0068】
1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。
前記有機塩基は、単独で用いてよいし、2種以上併用して用いてもよい。
【0069】
これらは、特開昭57−123086号、特開昭60−49991号、特開昭60−94381号、特願平7−228731号、特願平7−235157号、特願平7−235158号等に記載されている。
【0070】
前記有機塩基の使用量としては、特に限定されるものではないが、ジアゾニウム塩1モルに対し、1〜30モルが好ましい。
【0071】
さらに、発色反応を促進させる目的で、発色助剤を加えることもできる。
前記発色助剤としては、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。
これらの化合物は、カプラー化合物又は塩基性物質の融点を低下させる、或いは、マイクロカプセル壁の熱透過性を向上させる作用を有することから、高い発色濃度が得られるものと考えられる。
【0072】
<化合物C>
前記2)の感光感熱記録層に添加される、マイクロカプセルに内包させる発色成分A2と反応して発色させる実質的に無色の化合物Cとしては、前記のごときものが挙げられるが、発色成分A2が電子供与性無色染料の場合には重合性基をもたない電子受容性化合物を、発色成分A2がジアゾニウム塩化合物の場合は重合性基をもたないカプラー化合物がそれぞれ用いられる。
【0073】
重合性基を有しない電子受容性化合物としては、例えば、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ペントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等が挙げられる。
具体的には、特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号等に記載されている。
【0074】
上記のうち、具体的には、下記化合物を挙げることができる。
フェノール誘導体としては、例えば、2,2’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、4−t−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、4−ヒドロキシジフェノキシド、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1’−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルブタン、4,4’−sec−イソオクチリデンジフェノール、4,4’−sec−ブチリデンジフェノール、4−tert−オクチルフェノール、4−p−メチルフェニルフェノール、4,4’−メチルシクロヘキシリデンフェノール、4,4’−イソペンチリデンフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等が挙げられる。
【0075】
サリチル酸誘導体としては、例えば、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅、鉛塩等が挙げられる。
【0076】
前記重合性基を有しない電子受容性化合物の使用量としては、電子供与性無色染料の使用量に対し、5〜1000質量%が好ましい。
【0077】
前記の重合性基を有しないカプラー化合物としては、前記発色成分Aの1つであるジアゾニウム塩化合物と反応して発色しうるものであれば全て使用することができる。
前記重合性基を有しないカプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾニウム塩化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々目的に応じて、複数種を併用することが可能である。
【0078】
重合性基を有しないカプラー化合物としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体などを挙げることができ、本発明の目的に合致する範囲で適宜、選択して使用することができる。
【0079】
前記重合性基を有しないカプラー化合物としては、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、
【0080】
1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、
【0081】
N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0082】
重合性基を有しないカプラー化合物の詳細は、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平5−278608号、特開平5−297024号、特開平6−18669号、特開平6−18670号、特開平7−316280号等の公報に記載されている。本出願人が、先に提出した特願平8−027095号、特願平8−027096号、特願平8−030799号、特願平8−12610号、特願平8−132394号、特願平8−358755号、特願平8−358756号、特願平9−069990号等に記載ししたものも参照できる。
【0083】
感光感熱記録層中における、重合性基を有しないカプラー化合物の使用量としては、重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様、0.02〜5g/m2 が好ましく、効果の点から、0.1〜4g/m2 がより好ましい。
前記使用量が、0.02g/m2 未満であると、十分な発色濃度が得られないことがあり、5g/m2 を越えると、塗布適性が劣化することがある。
【0084】
重合性基を有しないカプラー化合物についても、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様にして、固体分散又は乳化し用いることができる。
前記固体分散又は乳化の方法としては、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様の方法を用いることができる。
【0085】
また、カップリング反応を促進する目的で、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様の有機塩基を用いることができ、その使用量も同様である。
【0086】
発色反応を促進させる目的で用いる発色助剤も、前記重合性基を有するカプラー化合物の場合と同様のものを使用することができる。
【0087】
<化合物D>
前記2)の感光感熱記録層中に使用する、同一分子内に重合性基と前記発色成分A2と化合物Cとの反応を抑制する部位とを有する実質的に無色の化合物Dは、発色成分A2として電子供与性無色染料を用い、前記化合物Cとして重合性基を有しない電子受容性化合物を用いる場合には、特定の光重合性モノマーD1 を用いる。光重合性モノマーD1 としては、アクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等が挙げられる。
【0088】
上記のうち、分子内に複数のビニル基を有する光重合性モノマーを使用することが好ましく、例えば、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フェノール類やビスフェノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;アクリレート又はメタクリレート末端エポキシ樹脂;アクリレート又はメタクリレート末端ポリエステル等が挙げられる。
【0089】
中でも、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート又はジエチレングリコールジメタクリレート等が特に好ましい。
【0090】
前記光重合性モノマーD1 の分子量としては、約100〜約5000が好ましく、約300〜約2000がより好ましい。
【0091】
前記光重合性モノマーD1 の使用量としては、前記発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の化合物E1質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像を形成することができないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0092】
前記発色成分A2としてジアゾニウム塩化合物を用い、前記化合物Cとして重合性基を有しないカプラー化合物を用いる場合には、前記化合物Dは、特定の光重合性モノマーD2 を用いる。該光重合性モノマーD2 としては、カップリング反応の抑制効果を有する酸性基を有し、金属塩化合物でない光重合性モノマーであることが好ましい。
【0093】
前記光重合性モノマーD2 としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0094】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、
【0095】
β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸等が好適に挙げられる。
【0096】
前記光重合性モノマーD2 の使用量としては、前記発色成分Aと反応して発色する実質的に無色の化合物E1質量部に対し、0.1〜10質量部が好ましく、0.5〜5質量部がより好ましい。
前記使用量が、0.1質量部未満であると、露光工程で潜像が形成できないことがあり、10質量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0097】
<光重合開始剤>
記光重合開始剤は、光露光することによりラジカルを発生して感光感熱記録層内で重合反応を起こし、かつその反応を促進させることができる。この重合反応により感光感熱記録層は硬化し、所望の画像様潜像を形成することができる。
【0098】
前記光重合開始剤は、公知のものの中から適宜選択することができ、中でも、300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を含有するものであることが好ましい。
但し、前記分光増感化合物と相互作用する化合物が、その構造内に300〜1000nmに最大吸収波長を有する色素部とボレート部との両構造を併せ持つ化合物であれば、前記分光増感色素を用いなくてもよい。
【0099】
公知の光重合開始剤として、例えば、米国特許第4950581号(第20欄、第35行〜第21欄、第35行)に記載のものを挙げることができる。また、例えば、EP−A−137452、DE−A−2718254、DE−A−2243621、米国特許第4950581号(第14欄第60行〜第18欄第44行)に記載のトリアジン;2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−スチルフェニル)−s−トリアジン等のトリハロメチルトリアジン等のトリアジン化合物が挙げられる。
前記光重合開始剤をハイブリッド系で使用する場合には、フリーラジカル硬化剤に加えて、カチオン系光重合開始剤を挙げることもできる。前記カチオン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、米国特許第4950581号(第19欄、第17〜25行)に記載のパーオキサイド等のパーオキサイド化合物;米国特許第4950581号(第18欄、第60行〜第19欄10行)に記載の芳香族スルホニウム若しくはヨードニウム塩;(η6 −イソプロピルベンゼン)−(η5 −シクロペンタジエニル)−鉄(II)ヘキサフルオロホスフェート等のシクロペンタジエニル−アレーン鉄(II)錯塩等を好適に挙げることができる。
【0100】
さらに、前記色素/ホウ素化合物の例としては、特開昭62−143044号、特開平1−138204号、特表平6−505287号、特開平4−261406号等に記載のものも好適に挙げられる。
【0101】
前記300〜1000nmに最大吸収波長を有する分光増感化合物としては、この波長領域に最大吸収波長を有する分光増感色素が好ましい。
前記波長領域にある分光増感色素から、用いる光源に適合するような吸収波長を有する色素を選択することにより、高感度記録を得ることができる。多色の記録材料の場合には、発色色相の異なる各単色感光感熱記録層中に異なる吸収波長を有する分光増感色素を存在させ、その各吸収波長に適合した光源を用いることにより、各層(各色)が高感度で、かつ高鮮鋭な画像を形成することができる。
【0102】
前記分光増感色素としては、公知の化合物の中から適宜選択することができ、例えば、後述の「分光増感化合物と相互作用する化合物」に関する特許公報や、「Research Disclogure,Vol.200,1980年12月、Item 20036」や「増感剤」(p.160〜p.163、講談社;徳丸克己・大河原信/編、1987年)等に記載のものが挙げられる。
【0103】
具体的には、特開昭58−15603号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開昭58−40302号に記載のチオピリリウム塩、特公昭59−28328号、同60−53300号に記載のナフトチアゾールメロシアニン化合物、特公昭61−9621号、同62−3842号、特開昭59−89303号、同60−60104号に記載のメロシアニン化合物等が挙げられる。
【0104】
また、「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載された色素も挙げることができ、具体的には、カチオン性メチン色素、カチオン性カルボニウム色素、カチオン性キノンイミン色素、カチオン性インドリン色素、カチオン性スチリル色素等が挙げられる。
【0105】
前記分光増感色素には、クマリン(ケトクマリン又はスルホノクマリンを含む。)色素、メロスチリル色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素等のケト色素;非ケトポリメチン色素、トリアリールメタン色素、キサンテン色素、アントラセン色素、ローダミン色素、アクリジン色素、アニリン色素、アゾ色素等の非ケト色素;アゾメチン色素、シアニン色素、カルボシアニン色素、ジカルボシアニン色素、トリカルボシアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素等の非ケトポリメチン色素;アジン色素、オキサジン色素、チアジン色素、キノリン色素、チアゾール色素等のキノンイミン色素等が含まれる。
【0106】
前記分光増感色素を適宜使用することにより、本発明の記録材料に用いる光重合開始剤の分光感度を紫外〜赤外域に得ることが可能となる。
また、前記各種分光増感色素は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0107】
前記分光増感化合物の使用量としては、感光感熱記録層の総質量に対し、0.1〜5質量%が好ましく、0.5〜2質量%がより好ましい。
【0108】
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、前記化合物B中の光重合性基又は化合物D(光重合性モノマー)の光重合反応を開始しうる公知の化合物の中から、1種又は2種以上の化合物を適宜選択して使用することができる。
この化合物を前記の分光増感化合物と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し、高効率にラジカルを発生させうることから、高感度化が図れ、かつ紫外〜赤外領域にある任意の光源を用いてラジカルの発生を制御することができる。
前記分光増感化合物と相互作用する化合物としては、有機系ボレート塩化合物又は以下の化合物等が挙げられる。
【0109】
ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン、CIBA社のビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド等のビスアシルフォスフィンオキサイド類、等の芳香族ケトン類;
【0110】
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインエーテル類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二重体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二重体等の2,4,6−トリアリールイミダゾール二重体;四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等のポリハロゲン化合物;特開昭59−133428号、特公昭57−1819号、特公昭57−6096号、米国特許第3615455号に記載の化合物;
【0111】
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体;
【0112】
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリ−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリ−ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリ−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の特開昭59−189340号記載の有機過酸化物;
【0113】
米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩化合物;トリフェニールブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩、トリフェニールブチールボレートのテトラブチルアンモニウム塩、トリ(P−メトキシフェニール)ブチールボレートのテトラメチルアンモニウム塩等のヨーロッパ特許第0223587号に記載の有機ホウ素化合物;その他ジアリールヨードニウム塩類や鉄アレン錯体等が挙げられる。
【0114】
また、二種又はそれ以上の化合物を組合わせたものも知られており、これらも本発明の記録材料に使用することができる。
二種又はそれ以上の化合物の組合せとしては、例えば、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメルチ)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールとの組合せ、特開昭57−23602号明細書に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンとの組合せ、特開昭59−78339号明細書の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物との三種組合わせ、等が挙げられる。
【0115】
中でも、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの組合せ、2,4−ジエチルチオキサントンと4−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの組合せ、又は4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体との組合せが好ましい。
【0116】
前記「分光増感化合物と相互作用する化合物」のうち、有機系ボレート塩化合物、ベンゾインエーテル類、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物又はアジニウム塩化合物が好ましく、有機系ボレート塩化合物がより好ましい。
この「分光増感化合物と相互作用する化合物」を前記分光増感化合物と併用して用いることにより、露光した露光部分に局所的に、かつ効果的にラジカルを発生させることができ、高感度化を達成することができる。
【0117】
前記有機系ボレート塩化合物としては、特開昭62−143044号、特開平9−188685号、特開平9−188686号、特開平9−188710号等に記載の有機ボレート化合物(以下、「ボレート化合物I」という場合がある。)、又はカチオン性色素から得られる分光増感色素系ボレート化合物(以下、「ボレート化合物II」という場合がある。)等が挙げられる。
前記ボレート化合物Iの具体例を以下に挙げるが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0118】
【化15】
【0119】
【化16】
【0120】
【化17】
【0121】
【化18】
【0122】
【化19】
【0123】
【化20】
【0124】
【化21】
【0125】
【化22】
【0126】
【化23】
【0127】
【化24】
【0128】
また、本発明の記録材料では、前記「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載のカチオン性色素より得ることのできる分光増感色素系有機ボレート化合物(ボレート化合物II)も挙げることができる。
このボレート化合物IIは、その構造内に色素部とボレート部とを併せ持つ化合物であり、露光時に、色素部の光吸収機能により効果的に光源エネルギーを吸収し、かつボレート部のラジカル放出機能により重合反応を促進すると同時に、併存する分光増感化合物を消色するという3つの機能を有するものである。
【0129】
具体的には、300nm以上の波長領域、好ましくは400〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有するカチオン性色素であれば、いずれも好適に用いることができる。中でも、カチオン性のメチン色素、ポリメチン色素、トリアリールメタン色素、インドリン色素、アジン色素、キサンテン色素、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素、アザメチン色素、オキサジン色素又はアクリジン色素等が好ましく、カチオン性のシアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素又はアザメチン色素がより好ましい。
【0130】
前記有機カチオン性色素から得られるボレート化合物IIは、有機カチオン性色素と有機ホウ素化合物アニオンとを用い、欧州特許第223,587A1号に記載の方法を参考にして得ることができる。
【0131】
以下に、カチオン性色素から得られるボレート化合物IIの具体例を挙げるが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0132】
【化25】
【0133】
【化26】
【0134】
【化27】
【0135】
【化28】
【0136】
【化29】
【0137】
【化30】
【0138】
【化31】
【0139】
前記ボレート化合物IIは、上記の通り、多機能な化合物であるが、高い感度と十分な消色性を得る観点から、本発明の記録材料では、前記光重合開始剤には、分光増感化合物と、該分光増感化合物と相互作用する化合物と、を適宜組合わせて構成することが好ましい。
この場合、光重合開始剤としては、前記分光増感化合物とボレート化合物Iとを組合わせた光重合開始剤(1)、又は前記ボレート化合物Iとボレート化合物IIとを組合わせた光重合開始剤(2)であることがより好ましい。
【0140】
この時、光重合開始剤中に存在する分光増感色素と有機ボレート化合物との使用比率が、高感度化と定着工程の光照射による十分な消色性を得る点で非常に重要となる。
前記光重合開始剤(1)の場合、光重合開始剤中には、光重合反応に必要な分光増感化合物/ボレート化合物Iの比(=1/1:モル比)に加え、さらに層内に残存する分光増感化合物を十分に消色するのに必要な量のボレート化合物Iを添加することが十分な高感度化と消色性能を得る点から特に好ましい。
即ち、分光増感色素/ボレート化合物Iの比は、1/1〜1/50の範囲で使用することが好ましく、1/1.2〜1/30の範囲で使用することがより好ましいが、1/1.2〜1/20の範囲で使用することが最も好ましい。前記の比が、1/1未満では十分な重合反応性と消色性を得ることができず、1/50を越えると、塗布適性が劣化するため好ましくない。
【0141】
また、前記光重合開始剤(2)の場合には、ボレート化合物Iとボレート化合物IIとを、ボレート部位が色素部位に対して等モル比以上となるように組合わせて用いることが、十分な高感度化と消色性能を得る点から特に好ましい。
ボレート化合物I/ボレート化合物IIの比は、1/1〜50/1の範囲で使用することが好ましく、1.2/1〜30/1の範囲で使用することがより好ましいが、1.2/1〜20/1の範囲で使用することが最も好ましい。前記の比が、1/1未満ではラジカルの発生が少なく、十分な重合反応性と消色性能が得られず、50/1を越えると、十分な感度を得られなくなるため好ましくない。
【0142】
光重合開始剤中の分光増感色素と有機ボレート化合物との総量は、重合性基を有する化合物の使用量に対し、0.1〜10wt%の範囲で使用することが好ましく、0.1〜5wt%の範囲で使用することがより好ましいが、0.1〜1wt%の範囲で使用することが最も好ましい。前記使用量が、0.1wt%未満では本発明の効果を得ることができず、10wt%を越えると、保存安定性が低下するとともに、塗布適性が低下するため好ましくない。
【0143】
また、本発明の記録材料の光重合性組成物には重合反応を促進する目的で、さらに助剤として、酸素除去剤(oxygen scavenger)又は活性水素ドナーの連鎖移動剤等の還元剤や連鎖移動的に重合を促進するその他の化合物を添加することもできる。
前記酸素除去剤としては、ホスフィン、ホスホネート、ホスファイト、第1銀塩又は酸素により容易に酸化されるその他の化合物が挙げられる。
具体的には、N−フエニルグリシン、トリメチルパルビツール酸、N,N−ジメチル−2,6−ジイソプロピルアニリン、N,N,N−2,4,6−ペンタメチルアニリン酸が挙げられる。さらに、チオール類、チオケトン類、トリハロメチル化合物、ロフィンダイマー化合物、ヨードニウム塩類、スルホニウム塩類、アジニウム塩類、有機過酸化物、アジド類等も重合促進剤として有用である。
【0144】
[前記3)の感光感熱記録層]
前記3)の感光感熱記録層としては、例えば特願2002−216743号に記載のものや、特願平2002−98759に記載のものが挙げられる。
特願2002−216743号に記載の感光感熱記録層は、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分A(A3)と、熱応答性マイクロカプセル外部に、発色成分A(A3)と反応して発色する実質的に無色の化合物B(E)と、同一分子内に重合性基と水酸基をそれぞれ少なくとも1つ以上有し熱応答性マイクロカプセル内への透過性を有する化合物C(F)と、光重合開始剤Dとを含有する光重合性の組成物を含むもので、発色成分A3としては、前記1)又は2)の感光感熱記録層に含まれる発色成分A1及びA2と同様なものが用いられる他、同出願明細書の段落0013〜0057に記載のものが挙げられ、前記発色成分A3と反応して発色する実質的に無色の化合物Eとしては、前記化合物Cとして挙げたものが同様に用いられる他、同出願明細書の段落0059〜0091に記載のものが挙げられ、また、同一分子内に重合性基と水酸基をそれぞれ少なくとも1つ以上有し熱応答性マイクロカプセル内への透過性を有する化合物Fとしては同出願明細書の段落0093〜0094に記載のものが挙げられる。
また、特願平2002−98759に記載の感光感熱記録層は、マイクロカプセル内の発色成分A3として同出願明細書の段落0014〜0055に記載のジアゾニオ基をもたないジアゾ化合物が挙げられ、発色成分A3と反応して発色させる実質的に無色の化合物Eとして同出願明細書の段落0058〜0078のカプラーが挙げられ、重合性基を有する化合物Fとして同出願明細書の段落0090〜0103に記載のものが挙げられる。
光重合開始剤は、前記1)又は2)の感光感熱記録層に用いるものと同様である。
【0145】
(感光感熱記録層の形成)
感光感熱記録層は、そのための塗布液を支持体に塗布することにより形成される。前記塗布液は、発色成分A1ないしA3を内包するマイクロカプセルの液と、マイクロカプセル外の成分(光重合性の組成物)の乳化分散物を混合することにより調製される。
<マイクロカプセルの作製>
マイクロカプセル化方法は、従来公知の方法を用いることができる。
例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−771号等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法、特公平7−73069号、特開平4−101885号、特開平9−263057号に記載の方法等が挙げられる。
【0146】
マイクロカプセル化する方法としては、これらに限定されるものではないが、本発明の記録材料においては、特に、発色成分A1ないしA3をカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。
前記界面重合法は、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性に優れた記録材料を得ることができる。
【0147】
本発明において好ましいマイクロカプセルは、常温では、マイクロカプセル壁(以下、単に「カプセル壁」という。)の物質隔離作用によりカプセル内外の物質の接触が妨げられ、ある値以上に熱及び/又は圧力が加えられた場合のみ、カプセル内外の物質の接触が可能となるようなものである。この現象は、カプセル壁の材料、カプセル芯物質(カプセルに内包する物質)、添加剤等を適宜選択することにより、カプセルの物性の変化として自由にコントロールすることができる。
【0148】
本発明において使用しうるカプセル壁の材料は、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。
前記カプセル壁の材料としては、例えば、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアがより好ましい。
前記高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0149】
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0150】
例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、水中に乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が起こし、マイクロカプセル壁を形成する。
【0151】
前記多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号、同49−24159号、特開昭48−80191号、同48−84086号に記載のものを使用することもできる。
【0152】
本発明において、発色成分を含有するマイクロカプセルを形成する際、内包する発色成分は、該カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。
発色成分A1ないしA3を溶液状態でカプセルに内包させる場合、発色成分A1ないしA3である電子供与性無色染料又はジアゾニウム塩化合物等を有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよい。
【0153】
前記有機溶媒としては、一般に、高沸点溶媒の中から適宜選択することができ、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が用いられる。
具体的には、特開昭59−178451〜同59−178455号、同59−178457号、同60−242094号、同63−85633号、特開平6−194825号、同7−13310号〜同7−13311号、同9−106039号の各公報及び特願昭62−75409号明細書に記載の有機溶剤が挙げられる。
また、カプセル化の際には、上記の有機溶媒を使用せずに、いわゆるオイルレスカプセルとしてもよい。
前記有機溶媒の使用量としては、発色成分A1ないしA3100質量部に対し、1〜500質量部が好ましい。
【0154】
また、カプセルに内包しようとする発色成分A1ないしA3の前記有機溶媒に対する溶解性が低い場合には、さらに補助溶剤として、溶解性の高い低沸点溶媒を併用することもできる。
一方、前記有機溶媒を使用せずに前記低沸点溶媒を使用することもできる。
前記低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0155】
前記油相を乳化分散する水相には、水溶性高分子を溶解した水溶液を使用する。
前記水相中に油相を投入した後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、前記水溶性高分子は、分散を均一かつ容易にしうる保護コロイドとしての作用を有するとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒としても作用する。
ここで、乳化分散をさらに均一に行い、より安定な分散液とするためには、油相或いは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加することができる。
前記保護コロイドとして含有させる水溶性高分子としては、公知のアニオン性高分子、ノニオン性高分子、両性高分子の中から適宜選択することができる。
アニオン性高分子としては、天然、合成のいずれのものも用いることができ、例えば、−COO−、−SO2 −等の連結基を有するものが挙げられる。
具体的には、アラビヤゴム、アルギン酸、ベクチン等の天然物;カルボキシメチルセルロース、フタル化ゼラチン等のゼラチン誘導体、硫酸化デンプン、硫酸化セルロース、リグニンスルホン酸等の半合成品;無水マレイン酸系(加水分解物を含む)共重合体、アクリル酸系(メタクリル酸系)重合体及び共重合体、ビニルベンゼンスルホン酸系重合体及び共重合体、カルボキシ変成ポリビニルアルコール等の合成品が挙げられる。
【0156】
ノニオン性高分子としては、ポリビニルアルコール、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース等が挙げられる。
両性高分子としては、ゼラチン等が挙げられる。中でも、ゼラチン、ゼラチン誘導体、ポリビニルアルコールが好ましい。
前記水溶性高分子は、0.01〜10質量%の水溶液として用いられる。
【0157】
前記界面活性剤としては、公知の乳化用界面活性剤の中から適宜選択することができ、例えば、アニオン性又はノニオン性の界面活性剤の中から、前記のように保護コロイドと作用し、沈殿や凝集を起こさないものを適宜選択して使用することができる。
具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、アルキル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム塩、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)等が挙げられる。
前記界面活性剤の添加量としては、油相質量に対し、0.1%〜5%が好ましく、0.5%〜2%がより好ましい。
【0158】
乳化後は、カプセル壁形成反応を促進させる目的で、乳化物を30〜70℃に加温する。また、反応中はカプセル同士の凝集を防止するために、加水してカプセル同士の衝突確率を低下させたり、十分な攪拌を行う等の必要がある。
一方、反応中に、別途凝集防止用の分散物を添加することもできる。
前記カプセル壁形成反応の終点は、重合反応の進行に伴って炭酸ガスの発生が観測され、その発生の終息をもっておよその終点とみなすことができる。
通常、数時間反応を行うことにより、発色成分A1ないしA3を内包するマイクロカプセルを得ることができる。
【0159】
本発明において、マイクロカプセルの平均粒子径としては、20μm以下が好ましく、高解像度を得る観点から、5μm以下がより好ましい。
また、形成したマイクロカプセル径が小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり多量の壁剤が必要となることから、前記平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
【0160】
<マイクロカプセル外成分の乳化分散物の調製>
マイクロカプセル外成分(前記化合物B、C、Eや光重合開始剤等)は、サンドミル等の手段により固体分散して用いることもできるが、予め水に難溶性又は不溶性の高沸点有機溶剤に溶解した後、これを界面活性剤及び/又は水溶性高分子を保護コロイドとして含有する高分子水溶液(水相)と混合し、ホモジナイザー等で乳化した乳化分散物として用いることが好ましい。この場合、必要に応じて、低沸点溶剤を溶解助剤として用いることができる。
乳化分散して形成する乳化分散粒子径としては、1μm以下が好ましい。
【0161】
前記乳化分散は、前記成分を含有した油相と界面活性剤及び/又は保護コロイドとを含有する水相を、高速撹拌、超音波分散等の微粒子乳化に用いる手段、例えば、ホモジナイザー、マントンゴーリー、超音波分散機、ディゾルバー、ケディーミル等の公知の乳化装置を用いて容易に行うことができる。
【0162】
(感光感熱記録層に添加する他の成分)
感光感熱記録層には、塗布助剤、帯電防止、スベリ性改良、乳化分散、接着防止等の種々の目的で、種々の界面活性剤を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、非イオン性界面活性剤であるサポニン、ポリエチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイドのアルキルエーテル等のポリエチレンオキサイド誘導体やアルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル、N−アシル−N−アルキルタウリン類、スルホコハク酸エステル類、スルホアルキルポリオキシエチレナルキルフェニルエーテル類等のアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アルキルスルホベタイン類等の両性界面活性剤、脂肪族又は芳香族第4級アンモニウム塩類等のカチオン性界面活性剤が挙げられる。
【0163】
さらに、必要に応じ、例えば、染料、紫外線吸収剤、可塑剤、蛍光性色素、マット剤、塗布助剤、硬化剤、帯電防止剤、滑り性改良剤等の添加剤を使用することもできる。
前記添加剤の具体例は、「Research Disclosure,Vol.176」(1978年12月、Item 17643)及び「同Vol.187」(1979年11月、Item 18716)に記載されている。
【0164】
本発明の記録材料では、感光感熱記録層、中間層、保護層等の各層に硬化剤を併用することが好ましい。
特に、保護層中に硬化剤を併用し、保護層の粘着性を低減させることが好ましい。
前記硬化剤としては、例えば、写真感光材料の製造に用いられる「ゼラチン硬化剤」が有用であり、例えば、ホルムアルデヒド、グルタルアルデヒド等のアルデヒド系の化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のハロゲン化合物、米国特許第3635718号等に記載の反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、米国特許第3017280号等に記載のアジリジン系化合物、米国特許第3091537号等に記載のエポキシ系化合物、ムコクロル酸等のハロゲノカルボキシアルデヒド類、ジヒドロキシジオキサン、ジクロロジオキサン等のジオキサン類、米国特許第3642486号や米国特許第3687707号に記載のビニルスルホン類、米国特許第3841872号に記載のビニルスルホンブレカーサー類、米国特許第3640720号に記載のケトビニル類が挙げられる。また、無機硬化剤として、クロム明ばん、硫酸ジルコニウム、硼酸等も用いることができる。
【0165】
中でも、1,3,5−トリアクロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,2−ピスピニルスルホニルメタン、1,3−ビス(ビニルスルホニルメチル)プロパノール−2、ビス(α−ビニルスルホニルアセトアミド)エタン、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジン・ナトリウム塩、2,4,6−トリエチレニミノ−s−トリアジンや硼酸等の化合物が好ましい。
前記硬化剤の添加量としては、バインダー量に対し、0.5〜5質量%が好ましい。
【0166】
[その他の層]
(中間層)
各感光感熱記録層の間には、混色等を防止するための中間層を設けることができる。中間層は、主にバインダーから構成され、必要に応じて、硬化剤やポリマーラテックス、フィルタ色素、雲母、紫外線吸収剤等の添加剤を含有することができる。バインダーは、感光感熱記録層の塗液調製の際、乳化分散に用いるバインダーが同様に用いられる。
【0167】
前記フィルタ色素は、前記分光増感化合物から選択して用いることもできるが、各中間層上層の分光増感化合物と同一の光吸収波長を持つ化合物を使用することが、高鮮鋭な画像を形成しうる点で好ましい。
前記フィルタ色素は、水中油滴分散法やポリマー分散法により乳化分散して、所望の層、特に中間層中に添加することができる。
水中油滴分散法では、沸点が175℃以上の高沸点溶媒又は30〜160℃の低沸点溶媒のいずれか一方の単独液、又は両者混合液中に前記フィルタ色素を溶解した後、界面活性剤の存在下、水、ゼラチン水溶液又はポリビニルアルコール水溶液等の水溶液中に微細分散する。
前記高沸点溶媒としては、米国特許第2322027号等に記載の溶媒が挙げられる。また、高沸点溶媒、低沸点溶媒は、前述のマイクロカプセルの製造時に用いた溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
【0168】
また、ポリマー分散法に用いるラテックスの具体例としては、米国特許第4199383号、西独特許出願(OLS)第2541274号、同第2541230号、特開昭49−74538号、同51−59943号、同54−32552号や「Research Disclosure Vol.148」(1976年8月、Item 14850)等に記載のものを挙げることができる。
中でも、エチルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−アセトアセトキシエチルメタクリレート等のアクリル酸エステル若しくはメタクリル酸エステル;アクリル酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の酸モノマーの共重合ラテックスが好ましい。
【0169】
(保護層)
保護層に用いる材料としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール、カルボキシ変性ポリビニルアルコール、酢酸ビニル−アクリルアミド共重合体、珪素変性ポリビニルアルコール、澱粉、変性澱粉、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ゼラチン類、アラビアゴム、カゼイン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、スチレン−マレイン酸共重合物ハーフエステル加水分解物、イソブチレン−無水マレイン酸共重合体加水分解物、ポリアクリルアミド誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダなどの水溶性高分子化合物、及びスチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス、酢酸ビニルエマルジョン等のラテックス類などが挙げられる。
【0170】
前記保護層に用いる水溶性高分子化合物を架橋することにより、保存安定性をより一層向上させることもできる。
前記架橋に用いる架橋剤としては、公知の架橋剤を使用することができ、具体的にはN−メチロール尿素、N−メチロールメラミン、尿素−ホルマリン等の水溶性初期縮合物、グリオキザール、グルタルアルデヒド等のジアルデヒド化合物類、硼酸、硼砂等の無機系架橋剤、ポリアミドエピクロルヒドリンなどが挙げられる。
【0171】
前記保護層には、更に公知の顔料、金属石鹸、ワックス、界面活性剤、蛍光性色素等を使用することもでき、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系、ヒドロキシベンゾフェノン系、ヒドロキシフェニルトリアジン系等の公知のUV吸収剤やUV吸収剤プレカーサーを添加することもできる。
【0172】
前記保護層の塗布量としては、0.2〜5g/m2 が好ましく、0.5〜3g/m2 がより好ましい。
【0173】
[支持体]
本発明の記録材料に用いる支持体としては、中性紙、酸性紙、コーティツドペーパー、ラミネート紙等の合成紙;ポリエチレンテレフタレートフイルム、3酢酸セルロースフイルム、ポリエチレンフイルム、ポリスチレンフイルム、ポリカーボネートフイルム等のフイルム;アルミニウム、亜鉛、銅等の金属板;又は、これらの支持体表面に表面処理、下塗、金属蒸着処理等の各種処理を施したもの等が挙げられる。
また、「Research Disclosure,Vol.200」(1980年12月、Item 20036 XVII項)の支持体も用いることができる。
前記各種支持体には、蛍光性色素、青み付け染料、顔料等を含有させることもできる。
【0174】
[記録材料の作製]
本発明の記録材料は、各層の塗液を支持体上に順次塗布することにより作製される。塗布法としてはブレードコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、ロールドクターコーター、リバースロールコーター、トランスファーロールコーター、グラビアコーター、キスロールコーター、カーテンコーター、エクストルージョンコーター等を用いることができる。また、「Rcscarch Disclosurc,Vol.200」(1980年12月,Item 20036 XV項)を参考にすることができる。
感光感熱記録層の層厚としては、0.1〜50μmの範囲であることが好ましく、5〜35μmの範囲であることがより好ましい。
【0175】
[画像記録方法]
本発明の記録材料を用いる画像記録方法は、感光感熱記録層に画像様露光を行なった後加熱現像して感光感熱記録層を画像記録する工程、及び感光感熱記録層に全面に光照射して感光感熱記録層を定着する工程を有する。
感光感熱記録層の画像記録は、まず光を画像様に照射して潜像を形成し、次いで発色温度において加熱現像を行なう。潜像形成は、レーザー光、中でも可視領域のレーザー光を用いることが好ましい。
画像品質向上のために、国際出願WO95/31754号に記載の、3M社提案のハロゲン化銀感光感熱記録材料に用いるレーザービームを照射する際、そのビームスポットが所定の範囲でオーバーラップするように照射することにより画像形成する記録方法にも使用することができる。
この記録方法は、潜像形成の際のレーザービームの照射過程において、(1)目標対象物上で、高さ又は長さの少なくとも一方が600μm以下のビームスポットを形成することのできる放射光源を用意し、また(2)この光源に感光する記録材料を所定の目標位置に配置した後に、まず、(3)前記光源が長さ又は幅の少なくとも一方が250μm以下のビームスポットとなるよう調整し、このビームを用いて画像分布に従い照射し、(4)照射したスポットに対して、次に照射するビームの少なくとも幾つかのスポットがオーバーラップして照射されるように、画像分布に従って照射する方法、
【0176】
或いは、記録材料を露光して潜像を形成する方法において、(1)感光させうる光源を用意し、(2)この光源のビームスポットの高さ又は長さの一方が600μm以下の小領域を複数照射し、そのうち、少なくとも1つの小領域に要するエネルギーの少なくとも10%、即ち、複数の小領域のうちの少なくとも10%が、他の1つの小領域とオーバーラップするように照射する方法等である。
【0177】
また、特開昭60−195568号に記載のキャノン(株)提案の記録方法も使用することができる。
即ち、記録材料面に照射するレーザービームの入射角を傾けることにより、入射ビームが記録材料の感光層界面で反射する反射ピッチをビームスポット径より大きくし、記録材料に生ずる光干渉を防止する技術を用いることにより、より高品質の画像を得ることができる。
【0178】
加熱現像処理の温度は、一般に、80〜200℃が好ましく、85〜130℃がより好ましい。加熱温度が、80℃未満であると、発色濃度が不十分となることがあり、200℃を超えると、非画像部(地肌部)が着色したり、支持体に損傷を受けることがある。加熱時間とは、1秒〜5分が好ましく、3秒〜1分がより好ましい。加熱方法は、従来公知の方法の中から適宜選択することができ、例えば、ヒートローラー等による処理が用いられる。また、加熱現像処理を施す前に、発色温度未満の所定の温度で、記録材料全面を均一に予熱する過程を設けると、さらに感度を向上させることができる。
【0179】
加熱現像後、定着処理、すなわち、感光感熱記録層表面を光照射することにより、記録層中に残存する分光増感化合物、ジアゾニウム塩化合物等の地肌部の白色性を低下させる成分を分解又は失活させ、形成画像を定着する。この処理により、形成画像の濃度変動を抑制でき、画像保存性を大幅に向上させることができる。
【0180】
【実施例】
以下に実施例を示し本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、%は質量%をさす。
実施例1
[感光感熱記録層用塗布液の調製]
(1−a)イエロー発色マイクロカプセル液の調製
酢酸エチル16.9gに、イエロー発色の下記電子供与性無色染料(1)8.9gを溶解し、カプセル壁材(商品名:タケネートD−110N,武田薬品工業(株)製)20gとカプセル壁材(商品名:ミリオネートMR200,日本ポリウレタン工業(株)製)2gとを添加した。
得られた溶液を、8%フタル化ゼラチン42gと10%ドデシルベンゼンルスルホン酸ナトリウム溶液1.4gとの混合液中に添加した後、温度42℃で乳化分散し、乳化液を得た。次いで、得られた乳化液に水14gと2.9%テトラエチレンペンタミン水溶液72gとを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間経過後、下記電子供与性無色染料(1)を芯とする、平均粒径0.5μmのマイクロカプセル液を得た。
【0181】
(1−b)マゼンタ発色マイクロカプセル液の調製
前記イエロー発色マイクロカプセル液の調製において、電子供与性無色染料(1)に代えて、マゼンタ発色の下記電子供与性無色染料(2)を用いる他は、イエロー発色マイクロカプセル液の調製と同様にして、平均粒径が0.5μmのマゼンタ発色マイクロカプセル液を得た。
【0182】
(1−c)シアン発色マイクロカプセル液の調製
前記イエロー発色マイクロカプセル液の調製において、電子供与性無色染料(1)に代えて、シアン発色の下記電子供与性無色染料(3)を用いる他は、イエロー発色マイクロカプセル液の調製と同様にして、平均粒径が0.5μmのシアン発色マイクロカプセル液を得た。
【0183】
【化32】
【0184】
(2−a)イエロー発色用光重合性組成物の乳化液の調製
重合性基を有する下記電子受容性化合物(1)と(2)の1:1混合物5gと下記熱重合禁止剤(ALI)0.017gとを酢酸イソプロピル(水への溶解度約4.3%)5.5g中で42℃にて溶解し、この混合溶液中に下記ノニオン型有機色素(1)を0.042gと、下記有機ホウ素化合物(1)を0.26gと、高感度化を目的とした下記助剤(1)0.042gとを添加し42℃にて溶解した。
得られた溶液を、8%ゼラチン水溶液13gと、下記10%界面活性剤(1)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)を用いて回転数10000回転で5分間乳化し、イエロー発色用光重合性組成物の乳化液を得た。
【0185】
【化33】
【0186】
(2−b)マゼンタ発色用光重合性組成物の乳化液の調製
前記イエロー発色用光重合性組成物乳化液の調製において、ノニオン型有機色素(1)に代えて下記カチオン型有機色素(2)を用いる他は同様にして、マゼンタ発色用光重合性組成物乳化液を調製した。
【0187】
【化34】
【0188】
(2−c)シアン発色用光重合性組成物の乳化液の調製
前記イエロー発色用光重合性組成物乳化液の調製において、ノニオン型有機色素(1)に代えて下記カチオン型有機色素(3)を用いる他は同様にして、シアン発色用光重合性組成物乳化液を調製した。
【0189】
【化35】
【0190】
(3−a)イエロー発色感光感熱記録層用塗布液の調製
前記イエロー発色マイクロカプセル液2gと、イエロー発色用光重合性組成物乳化液5.5gと、4%ゼラチン水溶液1.0gとを混合し、イエロー発色感光感熱記録層用塗布液を調製した。
(3−b)マゼンタ発色感光感熱記録層用塗布液の調製
前記マゼンタ発色マイクロカプセル液2gと、マゼンタ発色用光重合性組成物乳化液5.5gと、4%ゼラチン水溶液1.0gとを混合し、マゼンタ発色感光感熱記録層用塗布液を調製した。
(3−c)シアン発色感光感熱記録層用塗布液の調製
前記シアン発色マイクロカプセル液2gと、シアン発色用光重合性組成物乳化液8gと、4%ゼラチン水溶液1.5gとを混合し、シアン発色感光感熱記録層用塗布液を調製した。
【0191】
[中間層用塗布液の調製]
ドデシル硫酸ソーダ2gを加えた水188gに合成雲母(スズライト40H,エムアールアイ(MRI)社製)12gを添加し、ホモイジナイザーを用いて、10000rpmで30分間分散し、更に5.6%ゼラチン水溶液200gを加えて膨潤性合成雲母の分散液を調製した。
16%ゼラチン水溶液8.5gと、蒸留水12.6gと、前記膨潤性合成雲母の分散液5.5gと下記2%界面活性剤(2)水溶液1.6gとを混合し、中間層用塗布液を調製した。
【0192】
【化36】
【0193】
【0194】
[蛍光性色素含有中間層用塗布液の調製]
前記中間層用塗布液に、Shigenox UL(ハッコールケミカル(株)製25%水分散液)を0.35g混合し、分散性蛍光性色素を含有する中間層用塗布液を調製した。
【0195】
[保護層用塗布液の調製]
18%ゼラチン水溶液8.8gと、蒸留水7.0gと、下記2%界面活性剤(3)水溶液0.4gと、下記2%界面活性剤(4)水溶液1.2gと、2%ビニルスルホン系化合物(硬膜剤)水溶液8.8gと、20%ジュリマーAC10LA(ポリアクリル酸、日本純薬(株)製)1.8gとを混合し、前記保護層用塗布液を調製した。
【0196】
【化37】
【0197】
[記録材料の作製]
厚さ198μmのWP支持体上に、上記シアン発色感光感熱記録層用塗布液、中間層用塗布液、マゼンタ発色感光感熱記録層用塗布液、蛍光性色素含有中間層用塗布液、イエロー発色感光感熱記録層用塗布液を、各塗布層の乾燥質量がそれぞれ、6.0g/m2、2.0g/m2、8.0g/m2、2.1g/m2、5.8g/m2、となるようにコーティングバーを用いて塗布し、乾燥した。
さらに、この上に保護層用塗布液を塗布層の乾燥質量が2g/m2となるように塗布し、乾燥し、記録材料を得た。
【0198】
比較例1
前記実施例1において、蛍光性色素含有中間層の代わりに、実施例1の中間層用塗布液を、塗布層の乾燥質量が2.0g/m2となるように塗布する他は、実施例1と同様にして記録材料を作製した。
【0199】
比較例2
前記実施例1の蛍光性色素含有中間層用塗布液の調製においてShigenox UL(ハッコールケミカル(株)製)に代えて、ハッコール508(ハッコールケミカル(株)製の水溶性蛍光性色素)を0.35g添加する他は、実施例1と同様にして記録材料を作製した。
【0200】
前記実施例1及び比較例1、2で作製した記録材料を、保護層側から波長410nmLDのレーザー光、532nmの固体レーザー光、660nmLDのレーザー光を用いて同時露光し、潜像を形成した。その後、この記録材料を105℃の熱板で10秒間加熱した後、38000luxの蛍光灯照射機上で、記録層表面全体を30秒間光照射し定着した。画像部及び白地部(非画像部)を得た。
前記記録材料の非画像部の光学濃度(OD)をX−Rite(X−Rite社製)を用いて測定した。
結果を以下に示す。
蛍光性色素及びバインダーを含む塗布液であって蛍光性色素が塗布液に分散された塗布液を用いて形成された層を有する記録材料では、非画像部において充分な白色性を有するが、そのような層をもたない記録材料では非画像部の白色度は低い。また、水溶性の蛍光性色素を添加したものは、記録材料の露光感度が経時的に低下する一方、非画像部において充分な白色度が得られなかった。露光感度が低下したのは、水溶性の蛍光性色素が経時的に感光感熱記録層に移行したためと考えられる。
【0201】
【発明の効果】
本発明の記録材料は、感光性(露光感度等)に悪影響を及ぼさず、非画像部の白色性に優れている。
Claims (7)
- 支持体上に、熱応答性マイクロカプセルに内包された発色成分と、熱応答性マイクロカプセル外部に、前記発色成分と反応して発色させる実質的に無色の成分を含みかつ光重合性である組成物を含む感光感熱記録層と、蛍光性色素及びバインダーを含み、該蛍光性色素が分散されている塗布液を塗布することにより形成される層を有する記録材料。
- 蛍光性色素の塗布液に対する溶解度が室温において2質量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録材料。
- 前記光重合性である組成物が、同一分子内に重合性基と前記マイクロカプセル内の発色成分と反応して発色させる部位とを有する実質的に無色の化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録材料。
- 前記光重合性である組成物が、前記マイクロカプセル内の発色成分と反応して発色させる実質的に無色の化合物と、重合性基を有する化合物と、光重合開始剤とを含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の記録材料。
- 前記蛍光性色素を含む層が保護層の下方であって感光感熱記録層の上方にあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の記録材料。
- 前記蛍光性色素を含む層が2つの感光感熱記録層の間にあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の記録材料。
- 前記蛍光性色素を含む層が支持体の上方でかつ感光感熱記録層の下方にあることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の記録材料。
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