JP4237916B2 - 光重合性組成物及びそれを用いた記録材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、インキ、ホログラム、プルーフ、封止剤、接着剤、平板印刷、樹脂凸版、フォトレジスト等をはじめとする広い分野で好適に使用可能な光重合性組成物及び記録材料に関し、詳しくは、紫外光のみならず可視光〜赤外光に対して高感度に感応しうる新規な光重合性組成物、及び現像液等の使用が不要、かつ廃棄物の発生のない完全ドライの処理系で白黒乃至カラーの画像を形成しうる記録材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
光重合性組成物は、基本的に光重合開始剤と分子中にエチレン性不飽和結合を2個以上含有する付加重合可能な化合物(以下、「多官能性モノマー」と称する。)を含み、光を照射すると硬化し、粘着性が変化したり、溶媒に不溶化する。これらの性質を利用して、写真、印刷、金属表面加工、インキ等に広く利用されている。光重合性組成物の機能や応用例は多くの成書に記載されている。
例えば、J.Kosar著「Light Sensitive Systems」(J.Wiley & Sons,New York,1965年,158〜193頁)や、K.I.Jacobson,R.E.Jacobson著「Imaging Systems」(J.Wiley & Sons,New York,1976年,181〜222頁)等に詳しい。
【0003】
また、近年、光重合性組成物を利用した画像形成法として、光重合性組成物をマイクロカプセルに内包した感光性マイクロカプセル利用の画像形成システムが提案されている。例えば、特開昭57−124343号、特開昭57−179836号、特開昭57−197538号の各公報には、ビニル化合物及び光重合開始剤よりなる光重合性組成物と色素を含むマイクロカプセルを塗設した発色シートを露光後受像シートと重ねて全体に圧力を加えることによる色素画像の形成方法が開示されている。
【0004】
さらに、特開平3−87827号公報及び特開平4−211252号公報には、2成分を含有する感光感熱発色記録材料が記載され、2成分のうち一方をマイクロカプセルに内包し、他方を光硬化性組成物の硬化性化合物とするか、あるいは他方を光硬化性組成物とともにマイクロカプセル外に含有させる記録材料が開示されている。また、後者の記録材料では、電子供与性の無色染料を内包するマイクロカプセルと、該マイクロカプセルの外に電子受容性化合物、重合性ビニルモノマー及び光重合開始剤を含有する光硬化性組成物とを含有する層を設けた感光感熱記録材料が例示されている。
【0005】
上記のように、光重合性組成物を利用した記録材料は、現像液等を用いることなく完全ドライ方式で画像記録が可能であり、廃棄物の発生がない点で、環境上、非常に好ましいものである。
ところで、感光性記録材料を画像記録する場合に、UV光、短波可視光のみならず、安価な赤外レーザーや緑色〜赤色光を利用できれば有利である。しかしながら、光重合性組成物を利用した記録材料では、紫外光には感光するが、可視光〜赤外光には感光しない、あるいは感光してもその感度が十分でないものが多く、その結果、形成画像が不鮮明となったり、画像部と非画像部のコントラストが低くなる場合があり、更なる高感度化が望まれている。
【0006】
一方、これらの記録材料には、一般に、画像記録(書き込み)に用いる光に対する感度を高める目的で、分光増感色素が使用される。そのため、記録画像を得た後に、前記色素が吸収しうる光を再度照射して該色素を光分解させ、記録材料上に存在する、該色素が呈する色相を消色することが知られている。しかし、その消色性が十分に得られない場合があり、一部残色による、色相の鮮明性やコントラストの低下を生じたり、消色に長時間を要する等の問題があり、更なる改善が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記従来における諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、
本発明は、紫外光のみならず可視光〜赤外光に対して高感度に感応しうる光重合性組成物を提供することを目的とする。また、
本発明は、現像液等の使用が不要、かつ廃棄物の発生のない完全ドライの処理系において、紫外光のみならず可視光〜赤外光を用いた高感度な画像記録が可能でかつ非画像部(地肌部)の消色性にも優れ、鮮明で高コントラストな白黒乃至カラーの画像を形成しうる記録材料を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
<1> 重合可能な化合物、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(1)で表される化合物と相互作用してラジカル又はカチオンを発生し得る化合物を含有することを特徴とする光重合性組成物である。
【0009】
【化3】
【0010】
〔一般式(1)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいメチン基を表し、L1、L2、L3が置換基を有するメチン基を表す場合、該置換基が結合して不飽和脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよい。Z1は、5員又は6員の複素環を形成する原子団を表し、該複素環には芳香族環又は複素環が縮合していてもよく、前記5員又は6員の複素環、及び該複素環に縮合している芳香族環若しくは複素環は置換基を有していてもよい。Yは、N(R1)R2、又はOR 3 を表し、R1、R2、R 3 は、それぞれ独立に水素原子、一価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。mは0、1、2又は3を表す。〕
【0011】
<2> 一般式(1)で表される化合物が、下記一般式(2)で表される化合物、一般式(3)で表される化合物及び一般式(4)で表される化合物より選択される少なくとも一種である前記<1>に記載の光重合性組成物である。
【0012】
【化4】
【0013】
〔一般式(2)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいメチン基を表し、L1、L2、L3が置換基を有するメチン基を表す場合、該置換基が結合して不飽和脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよい。Z2は、5員又は6員の複素環を形成する原子団を表し、該複素環には芳香族環又は複素環が縮合していてもよく、前記5員又は6員の複素環、及び該複素環に縮合している芳香族環若しくは複素環は置換基を有していてもよい。Yは、N(R1)R2、又はOR 3 を表し、R1、R2、R 3 は、それぞれ独立に水素原子、一価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。mは0、1、2又は3を表す。〕
【0014】
【化5】
【0015】
〔一般式(3)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいメチン基を表し、L1、L2、L3が置換基を有するメチン基を表す場合、該置換基が結合して不飽和脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよい。Z3は、5員又は6員の複素環を形成する原子団を表し、該複素環には芳香族環又は複素環が縮合していてもよく、前記5員又は6員の複素環、及び該複素環に縮合している芳香族環若しくは複素環は置換基を有していてもよい。Yは、N(R1)R2、又はOR 3 を表し、R1、R2、R 3 は、それぞれ独立に水素原子、一価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。mは0、1、2又は3を表す。〕
【0016】
【化6】
【0017】
〔一般式(4)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいメチン基を表し、L1、L2、L3が置換基を有するメチン基を表す場合、該置換基が結合して不飽和脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよい。Z4は、5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子団を表し、該含窒素複素環には芳香族環又は複素環が縮合していてもよく、前記含窒素複素環及びこれに縮合している芳香族環若しくは複素環は置換基を有していてもよい。Yは、N(R1)R2、又はOR 3 を表し、R1、R2、R 3 は、それぞれ独立に水素原子、一価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。mは0、1、2又は3を表す。〕
【0018】
前記ラジカル又はカチオンを発生し得る化合物は、ラジカル及びカチオンの少なくとも一方を発生し得る化合物である。
【0019】
<3> ラジカル又はカチオンを発生し得る化合物が、有機ホウ素化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、鉄アレン錯体、S−トリアジン誘導体、有機過酸化物、チタノセン、トリアリールイミダゾール二量体及びアジニウム塩より選択される少なくとも一種である前記<1>又は<2>に記載の光重合性組成物である。
【0020】
<4> 重合可能な化合物がエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物であり、ラジカル又はカチオンを発生し得る化合物が有機ホウ素化合物である前記<1>又は<2>に記載の光重合性組成物である。
【0021】
<5> 有機ホウ素化合物が、下記一般式(A)で表される化合物である前記<3>又は<4>に記載の光重合性組成物である。
【0022】
【化7】
【0023】
〔一般式(A)中、Ra 1、Ra 2、Ra 3、Ra 4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基、又はSi(Ra 5)(Ra 6)−Ra 7を表し、Ra 5、Ra 6、Ra 7は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基を表す。G+は、陽イオンを形成し得る基を表す。〕
【0024】
<6> 支持体上に記録層を有してなり、該記録層が、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる部位を有する発色成分Bと、前記<1>〜<5>のいずれかに記載の光重合性組成物と、を少なくとも含有することを特徴とする記録材料である。
【0025】
<7> 重合可能な化合物の少なくとも一つが発色成分Bである前記<6>に記載の記録材料である。
<8> 重合可能な化合物が、同一分子内に前記発色成分AとBとの反応を抑制する部位を有する発色抑制化合物である前記<6>に記載の記録材料である。
<9> 発色成分Aが、マイクロカプセルに内包されている前記<6>〜<8>のいずれかに記載の記録材料である。
【0026】
<10> 中心波長λ1の光に感光する第1の記録層、中心波長λ2の光に感光し第1の記録層と異なる色に発色する第2の記録層、・・・、中心波長λiの光に感光し第1、第2、・・・、及び第i−1の記録層と異なる色に発色する第iの記録層の順に積層された多層構造を有する前記<6>〜<9>のいずれかに記載の記録材料である。
【0027】
【発明の実施の形態】
本発明の光重合性組成物においては、重合可能な化合物と、分光増感色素として、以下に示す一般式(1)で表される化合物とを含有することを特徴とする。また、本発明の記録材料においては、支持体上の記録層が発色成分等と共に前記本発明の光重合性組成物を含有することを特徴とする。
以下、本発明の光重合性組成物、及び記録材料について詳細に説明する。
【0028】
<光重合性組成物>
本発明の光重合性組成物は、重合可能な化合物と下記一般式(1)で表される化合物と下記一般式(1)で表される化合物と相互作用してラジカル又はカチオンを発生し得る化合物とを少なくとも含有してなり、必要に応じて、他の成分を含有してなる。
【0029】
(重合可能な化合物)
前記重合可能な化合物としては、特に制限はなく、構造中に重合可能な部位を有する低分子量(モノマー性)〜高分子量(オリゴマー性)のいずれであってもよく、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、例えば、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物、エポキシ化合物、環状エーテル化合物、オキセタン化合物、環状チオエーテル化合物、スピロオルソエステル化合物、スピロオルソカーボネート化合物等が挙げられる。
【0030】
中でも、分子中に少なくとも1つのエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が好ましく、例えば、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類等のアクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類等のメタクリル酸及びその塩、無水マレイン酸、マレイン酸エステル類、イタコン酸、イタコン酸エステル類、スチレン類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、N−ビニル複素環類、アリールエーテル類、アリルエステル類、マレイミド類等が挙げられる。
【0031】
二重結合を有するモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボルニルアクリレート、メチルメタクリレート又はエチルメタクリレート等のアルキル若しくはヒドロキシアルキルアクリレート又はメタクリレートなどが挙げられる。また、シリコーンアクリレートも有利である。そのほか、アクリロニトリル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−置換された(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルのようなビニルエステル、イソブチルビニルエーテルのようなビニルエーテル、スチレン、アルキル−及びハロスチレン、N−ビニルピロリドン、塩化ビニル又は塩化ビニリデンなどが挙げられる。
【0032】
二個、又はそれ以上の二重結合を含むモノマーとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサメチレングリコール又はビスフェノールAなどのジアクリレート、及び4,4’−ビス(2−アクリロイルオキシエトキシ)ジフェニルプロパン、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート又はテトラアクリレート、ビニルアクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルスクシネート、ジアリルフタレート、トリアリルホスフェート、トリアリルイソシアヌレート又はトリス(2−アクリロイルエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0033】
比較的高分子量(オリゴマー性)の多不飽和化合物の例としては、(メタ)アクリル基を有するエポキシ樹脂、(メタ)アクリル基を有するポリエステル、ビニルエーテル又はエポキシ基を含むポリエステル、ポリウレタン及びポリエーテルが挙げられる。更に、不飽和オリゴマーの例として、不飽和ポリエステル樹脂であって、通常マレイン酸、フタル酸及び1種又はそれ以上のジオールから製造され、約500〜3000の分子量を有するものが挙げられる。加えて、ビニルエーテルモノマー及びオリゴマー、及びポリエステル、ポリウレタン、ポリエーテル、ポリビニルエーテル及びエポキシ主鎖を有するマレート終末されたオリゴマーを用いることも可能である。特に適したものは、ビニルエーテル基を有するオリゴマーとWO90/01512に記載のポリマーの組合わせである。また、ビニルエーテル及びマレイン酸官能化されたモノマーのコポリマーもまた適している。この種の不飽和オリゴマーはプレポリマーとして属することもできる。
【0034】
特に適したものの例としては、エチレン性不飽和カルボン酸及びポリオール又はポリエポキシドのエステル、及び主鎖又は側鎖においてエチレン性不飽和基を有するポリマー、例えば不飽和ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン及びそれらのコポリマー、アルキド樹脂、ポリブタジエン及びブタジエンコポリマー、ポリイソプレン及びイソプレンコポリマー、側鎖において(メタ)アクリル基を含むポリマー及びコポリマー、並びに、1種又はそれ以上のそのようなポリマーの混合物である。
【0035】
前記エチレン性不飽和カルボン酸としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、及びリノール酸若しくはオレイン酸のような不飽和脂肪酸等が挙げられる。中でも、アクリル酸、メタクリル酸が好ましい。
【0036】
前記ポリオールとしては、芳香族及び、特に脂肪族及び環式脂肪族ポリオールが好適である。そのほか、好適なポリオールとして、ポリマー鎖又は側鎖においてヒドロキシル基を含むポリマー及びコポリマー(例えば、ポリビニルアルコール及びそれらのコポリマー又はポリヒドロキシアルキルメタアクリレート又はそれらのコポリマー)、ヒドロキシル末端基を有するオリゴエステル等が挙げられる。前記ポリエポキシドとしては、例えば、上記ポリオール、特に芳香族ポリオール、及びエピクロロヒドリンをベースとするものが挙げられる。
【0037】
前記芳香族ポリオールとしては、例えば、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシジフェニル、2,2−ジ(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ノボラック及びレゾルシンが挙げられる。
【0038】
前記脂肪族及び環式脂肪族ポリオールの例としては、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するアルキレンジオール(例えば、エチレングリコール、1,2−又は1,3−プロパンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール等)が挙げられ、より好ましくは200〜1500の分子量を有する、ポリエチレングリコール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−、1,3−又は1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン、グリセロール、トリス(β−ヒドロキシエチル)アミン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、ソルビトール等が挙げられる。
【0039】
ポリオールは、1種のカルボン酸で又は異なる不飽和カルボン酸で部分的に又は完全にエステル化されることができ、そして部分エステルにおいて遊離ヒドロキシル基は変性されることができ、例えば他のカルボン酸でエーテル化又はエステル化され得る。
【0040】
エステルとしては、例えば、以下のものが挙げられる。即ち、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリペンタエリスリトールオクタアクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
【0041】
トリペンタエリスリトールオクタメタクリレート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ジペンタエリスリトールトリスイタコネート、ジペンタエリスリトールペンタイタコネート、ジペンタエリスリトールヘキサイタコネート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトール−変性トリアクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、オリゴエステルアクリレート及びメタクリレート、グリセロールジアクリレート及びトリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジアクリレート、200〜1500の分子量を有するポリエチレングリコールのビスアクリレート及びビスメタクリレート、又はそれらの混合物。
【0042】
また、前記重合可能な化合物として適したものは、同一の又は異なる不飽和カルボン酸と、好ましくは2〜6個、特に2〜4個のアミノ基を有する芳香族、環式脂肪族及び脂肪族ポリアミンとのアミドである。
そのようなポリアミンの例としては、エチレンジアミン、1,2−又は1,3−プロピレンジアミン、1,2−、1,3−又は1,4−ブチレンジアミン、1,5−ペンチレンジアミン、1,6−ヘキシレンジアミン、オクチレンジアミン、ドデシレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソフォロンジアミン、フェニレンジアミン、ビスフェニレンジアミン、ジ−β−アミノエチルエーテル、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ジ(β−アミノエトキシ)−又はジ(β−アミノプロポキシ)エタンである。その他、好ましくは側鎖においてさらなるアミノ基を有するポリマー及びコポリマー、及びアミノ末端基を有するオリゴアミドが好適である。そのような不飽和アミドの例はメチレンビスアクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビスアクリルアミド、ジエチレントリアミントリスメタクリルアミド、ビス(メタクリルアミドプロポキシ)エタン、β−メタクリルアミドエチルメタクリレート及びN−[(β−ヒドロキシエトキシ)エチル]アクリルアミドなどである。
【0043】
適した不飽和ポリエステル及びポリアミドは、例えば、マレイン酸から及びジオール又はジアミンから誘導される。マレイン酸のいくつかは他のジカルボン酸に置き換えることができる。それらはエチレン性不飽和コモノマー、例えばスチレンと一緒に使用されることができる。ポリエステル及びポリアミドは、ジカルボン酸から、エチレン性不飽和ジオール又はジアミンから、特に相対的に長鎖、例えば、6〜20個の炭素原子を有するものから誘導され得る。ポリウレタンの例としては、飽和又は不飽和ジイソシアネート及び不飽和、又はそれぞれ飽和のジオールから構成されるものが挙げられる。
【0044】
ポリブタジエン及びポリイソプレン及びそれらのコポリマーは既知である。適したコモノマーの例は、オレフィン、例えばエチレン、プロペン、ブテン及びヘキセン、(メタ)アクリレート、アクリロニトリル、スチレン又は塩化ビニルである。側鎖において(メタ)アクリレート基を有するポリマーも同様に既知である。例えば、ノボラックをベースとするエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物として得ることができ、又はビニルアルコール若しくは(メタ)アクリル酸とエステル化されたそのヒドロキシアルキル誘導体とのホモ−若しくはコポリマーであることができ、又はヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートでエステル化された(メタ)アクリレートのホモ−若しくはコポリマーであり得る。
【0045】
前記重合可能な化合物は、第1及び第2の光重合性組成物の用途に応じて、その構造中に他の機能を発現する部位を有する化合物であってもよく、例えば光重合性組成物を記録材料に利用する場合は、画像部を構成している発色成分の発色反応を促進する部位や、発色を抑制する部位を有していてもよい。これらについては後述する。
【0046】
前記エチレン性不飽和結合を有する化合物の含有量としては、光重合性組成物の全重量中、通常、10〜99重量%であり、30〜95重量%が好ましい。
【0047】
(一般式(1)で表される化合物)
本発明の光重合性組成物は、分光増感色素として下記一般式(1)で表される化合物を含有してなる。該色素は、ラジカル又はカチオンを発生し得る化合物(ラジカル又はカチオン発生剤)を分光増感する機能を有する。従って、該色素の吸収に対応した可視〜赤外光を照射すると、この領域に吸収を有しないラジカル又はカチオン発生剤を含有する場合であっても、該発生剤からのラジカルやカチオンの発生を促進することができる。また、前記色素は、光照射されることにより高い消色性を示すので、後述するような光重合性組成物を利用した記録材料に用いた場合、地肌部のカブリ濃度が抑えられ、コントラストの高い鮮明な画像を形成し得る点で有用である。
【0048】
【化8】
【0049】
前記一般式(1)中、Z1は、5員又は6員の複素環を形成する原子団を表し、該複素環には芳香族環又は複素環が縮合していてもよく、前記5員又は6員の複素環、及び該複素環に縮合している芳香族環若しくは複素環は置換基を有していてもよい。
前記5員又は6員の複素環としては、炭素原子と、カルコゲン原子(典型的には酸素、硫黄、セレン、テルル)及び窒素原子より選択される少なくとも1種とを包含してなる酸性核又は塩基性核が挙げられ、中でも特に、下記(1−a)〜(1−c)のいずれかで表される複素環が好ましい。
【0050】
【化9】
【0051】
前記(1−a)及び(1−b)中のZ2及びZ3は、それぞれ独立に5員又は6員の複素環を形成する原子団を表し、該複素環には芳香族環又は複素環が縮合していてもよく、前記5員又は6員の複素環、及び該複素環に縮合している芳香族環若しくは複素環は置換基を有していてもよい。また、前記(1−c)中のZ4は、5員又は6員の含窒素複素環を形成する原子団を表し、該含窒素複素環には芳香族環又は複素環が縮合していてもよく、該含窒素複素環及びこれに縮合している芳香族環若しくは複素環は置換基を有していてもよい。
前記Z2〜Z4で表される原子団は、Z1で表される原子団と同義である。
【0052】
5員又は6員の複素環としては、例えば、チアゾリン核、チアゾール核、ベンゾチアゾール核、オキサゾリン核、オキサゾール核、ベンゾオキサゾール核、セレナゾリン核、セレナゾール核、ベンゾセレナゾール核、1,3−ジチオール核、インドレニン核(例えば、3,3−ジメチルインドレニン)、イミダゾリン核、イミダゾール核、ベンゾイミダゾール核、ピロリン核、セレナゾール核、ベンズセルナゾール核、2−ピリジン核、4−ピリジン核、2−キノリン核、4−キノリン核、1−イソキノリン核、3−イソキノリン核、イミダゾ〔4,5−b〕キノキザリン核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、
【0053】
ピリミジン核、ピラゾロトリアゾール核、ピロロトリアゾール核、イミダゾトリアゾール核、ピラゾロトリアゾール核、ピラゾロピリミジンオン核、ピラゾロピリミジンジオン核、ピロロピリミジンオン核、イミダゾピリミジンオン核、ピロロピリミジンジオン核、イミダゾピリミジンジオン核、ピロロトリアジンオン核、ピロロトリアジンジオン核、2−ピラゾリン−5−オン核、ピラゾリジン−3,5−ジオン核、イミダゾリン−5−オン核、ヒダントイン核、2−又は4−チオヒダントイン核、2−イミノオキサゾリジン−4−オン核、2−オキサゾリン−5−オン核、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソオキサゾリン−5−オン核、2−チアゾリン−4−オン核、チアゾリジン−4−オン核、チアゾリジン−2,4−ジオン核、ローダニン核、チアゾリジン−2,4−ジチオン核、
【0054】
イソローダニン核、インダン−1,3−ジオン核、チオフェン−3−オン核、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド核、インドリン−2−オン核、インドリン−3−オン核、2−オキソインダゾリニウム核、3−オキソインダゾリニウム核、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a〕ピリミジン核、シクロヘキサン−1,3−ジオン核、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン核、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン核、バルビツール酸核、2−チオバルビツール酸核、クロマン−2,4−ジオン核、インダゾリン−2−オン核、ピリド〔1,2−a〕ピリミジン−1,3−ジオン核、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン核、ピラゾロ〔1,5−a〕ベンゾイミダゾール核、ピラゾロピリドン核、1,2,3,4−テトラヒドロキノリン−2,4−ジオン核、3−オキソ−2,3−ジヒドロベンゾ〔d〕チオフェン−1,1−ジオキサイド核、3−ジシアノメチン−2,3−ジヒドロベンゾ〔d〕チオフェン−1,1−ジオキサイド核等が挙げられる。
【0055】
中でも、バルビツール酸核、チオバルビツール酸核、インドレニン核、1,3−ジチオール核、ピロロトリアゾール核、イミダゾトリアゾール核、ピラゾロトリアゾール核、ピラゾロピリミジンオン核、ピラゾロピリミジンジオン核、ピロロピリミジンオン核、イミダゾピリミジンオン核、ピロロピリミジンジオン核、イミダゾピリミジンジオン核が好ましく、チオバルビツール酸核が特に好ましい。
【0056】
また、5員又は6員の複素環は、芳香族環(ベンゼン環、ナフタレン環)又は複素環が縮合した縮環であってもよく、該5員又は6員の複素環、及び該複素環に縮合している芳香族環若しくは複素環はさらに置換基を有していてもよい。5員又は6員の複素環に縮合する複素環としては、前記5員又は6員の複素環において挙げた具体例を挙げることができる。
【0057】
前記置換基の例としては、例えば、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、
【0058】
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のG+等が挙げられる。
【0059】
前記一般式(1)中、Yは、N(R1)R2、又はOR 3 を表す、ここで、R1、R2、R 3 は、それぞれ独立に水素原子又は一価の置換基を表し、nは0、1又は2を表す。
前記R1、R2、R3で表される一価の置換基としては、脂肪族基、芳香族環基、複素環基、C(O)pR5、S(O)qR6が挙げられる。ここで、R5、R6は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族環基、複素環基又はN(R7)R8を表し、R7、R8は、それぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族環基、複素環基、COR9又はSO2R10を表し、R9、R10は、水素原子、脂肪族基、芳香族環基、複素環基を表す。また、p及びqは、それぞれ独立に1又は2を表す。
【0060】
前記R1〜R 3 、R 5 〜R 10 で表される脂肪族基としては、例えば、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。
また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
【0061】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキル基の場合と同様である。また、前記アルキル基は、置換基を有するアルキル基、無置換のアルキル基のいずれであってもよい。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙げられる。
【0062】
前記置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエトキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、
【0063】
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のG+等が挙げられる。
【0064】
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルケニル基の場合と同様である。また、前記アルケニル基は、置換基を有するアルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよい。
前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0065】
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキニル基の場合と同様である。また、前記アルキニル基は、置換基を有するアルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよい。
置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0066】
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アラルキル基の場合と同様である。また、前記アラルキル基は、置換基を有するアラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよい。
置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0067】
前記R1〜R 3 、R 5 〜R 10 で表される芳香族環基としては、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0068】
前記R1〜R 3 、R 5 〜R 10 で表される複素環基としては、置換基を有する複素環基、無置換の複素環基が挙げられ、該複素環基の炭素原子数としては、4〜13が好ましい。
前記複素環基としては、含窒素原子、含酸素原子、含硫黄原子の複素環が挙げられ、例えば、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、キノリン環、イソキノリン環、キノキサリン環、アクリジン環、フラン環、ピロール環、ピラゾール環、イミダゾール環、ピロリン環、オキサゾール環、チアゾール環、オキサジアゾール環、チアゾリン環、チオフェン環、インドール環等が挙げられる。置換基を有する複素環基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0069】
中でも、前記一般式(1)中のYとしては、より高感度化できる点で、N(R1)R2が好ましい。
【0070】
前記一般式(1)中、L1、L2、L3は、それぞれ独立に置換基を有していてもよいメチン基を表し、構造内に奇数個のメチン基を有する。該L1、L2、L3が置換基を有するメチン基を表す場合、該置換基としては、例えば、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換オキシ基(例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシルオキシ基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基等)、置換メルカプト基(例えば、アルキルメルカプト基、アリールメルカプト基等)、ハロゲン原子、脂肪族基、芳香族基が挙げられ、該置換基が結合して不飽和脂肪族環又は不飽和複素環を形成してもよく、不飽和複素環よりも不飽和脂肪族環の方が好ましい。形成する環は、5員環又は6員環であることが好ましく、中でも、シクロペンテン環又はシクロヘキセン環がより好ましい。
前記ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、臭素原子、塩素原子等が挙げられ、前記脂肪族基、芳香族基としては、前記R1及びR2における脂肪族基、芳香族基の場合と同義である。また、置換アミノ基、置換オキシ基及び置換メルカプト基の置換基としては、前記一般式(1)のR1及びR2で表される置換アルキル基の置換基と同義である。
【0071】
前記L1、L2、L3で表わされるメチン基としては、無置換のメチン基、或いは、置換基を有する場合には、ハロゲン原子若しくは脂肪族基により置換されたもの、又は置換基が互いに結合してシクロペンテン環又はシクロヘキセン環が形成されたものが特に好ましい。
また、mは0、1、2又は3を表し、中でも、1又は2が好ましく、1が特に好ましい。
【0072】
以下に、前記一般式(1)で表される化合物の具体例(例示化合物No.1〜98)を示すが、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
【0073】
【化10】
【0074】
【化11】
【0075】
【化12】
【0076】
【化13】
【0077】
【化14】
【0078】
【化15】
【0079】
【化16】
【0080】
【化17】
【0081】
【化18】
【0082】
【化19】
【0083】
【化20】
【0084】
【化21】
【0085】
【化22】
【0086】
【化23】
【0087】
光重合性組成物中における、前記一般式(1)で表される化合物の含有量としては、後述するラジカル発生剤1重量部に対して、0.01〜5重量部が好ましく、0.05〜2重量部がより好ましい。
前記含有量が、0.01重量部未満であると、光重合感度が低下することがあり、5重量部を超えると、色素成分の消色に時間を要することがある。
前記一般式(1)で表される化合物は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0088】
本発明の効果を損なわない範囲であれば、感光波長を調整する目的で、前記一般式(1)で表される化合物以外の他の分光増感色素を含有していていもよい。前記他の分光増感色素としては、例えば、メチン色素、ポリメチン色素、トリアリールメチン色素、インドリン色素、アジン色素、キサンテン色素、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素、アゾメチン色素、アゾ色素、オキソノール色素、メロシアニン色素、オキサジン色素、アクリジン色素、クマリン色素等の公知の色素が挙げられる。
【0089】
以上のように、前記一般式(1)で表される化合物を含有することにより、光重合性組成物の光重合感度を向上させることができ、紫外光のみならず可視光〜赤外光に対する高感度化を図ることができる。しかも、前記一般式(1)で表される化合物は、それ自体光による分解性が高く消色性に優れ、長時間を要することなく十分に消色することができる。従って、後述するように、現像液等を用いない完全ドライの処理系の記録材料に用いた場合でも、形成画像の非画像部(地肌部)の着色を低減し、鮮明で高コントラストな画像を形成することができる。
【0090】
(ラジカル又はカチオンを発生し得る化合物)
本発明の光重合性組成物においては、前記一般式(1)で表される化合物(分光増感色素)と相互作用してラジカルを発生し得る化合物(以下、「ラジカル発生剤」ということがある。)及び一般式(1)で表される化合物と相互作用してカチオンを発生し得る化合物(以下、「カチオン発生剤」ということがある。)より選択される少なくとも一種を含有する(以下、両者を含めて「ラジカル又はカチオン発生剤」ということがある。)。ラジカル又はカチオン発生剤は、ラジカル及びカチオンの少なくとも一方を発生し、両方を発生するものも含まれる。該ラジカル又はカチオン発生剤は、その近傍に存在する分光増感色素(一般式(1)で表される化合物等)が光を吸収した場合に該発生剤と相互作用し、高効率にラジカル又はカチオンを発生して近傍の重合可能な化合物の重合反応を開始させる機能を有する。したがって、前記発生剤を分光増感色素と共存させることにより、その分光吸収波長領域の照射光に敏感に感応し高感度化が図れ、かつ可視光〜赤外光領域にある任意の光源を用いてラジカル又はカチオンの発生を制御することができる。
【0091】
上記のうち、重合感度の点で、ラジカル発生剤が好ましい。該ラジカル発生剤は、前記光重合性組成物に含有される重合可能な化合物の重合を開始し得るラジカル発生剤の中から、1種又は2種以上を選択して使用することができる。
例えば、以下の化合物が含まれる。
【0092】
ベンゾフェノン、カンファーキノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、アクリドン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のビスアシルホスフィンオキサイド類、Lucirin TPO等のアシルホスフィンオキサイド類、α−ヒドロキシ又はα−アミノアセトフェノン類、α−ヒドロキシシクロアルキルフェニルケトン類、ジアルコキシアセトフェノン類等の芳香族ケトン類;
【0093】
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾイン及びベンゾインエーテル類;2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,6−トリアリールイミダゾール二量体、その他米国特許第3784557号、同4252887号、同4311783号、同4459349号、同4410621号、同4622286号等に記載の化合物;
【0094】
四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトン等のポリハロゲン化合物;特開昭59−133428号、特公昭57−1819号、特公昭57−6096号、米国特許第3615455号に記載の化合物;
【0095】
2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−メトキシ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−アミノ−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン、2−(P−メトキシスチリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−S−トリアジン等の特開昭58−29803号記載のトリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体;
【0096】
メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジターシャリ−ブチルジパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ターシャリ−ブチルパーオキシベンゾエート、a,a’−ビス(ターシャリ−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、3,3’,4,4’−テトラ−(ターシャリイブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等の特開昭59−189340号記載の有機過酸化物;
【0097】
米国特許第4743530号に記載のアジニウム塩;有機ホウ素化合物;フェニルグリオキサル酸メチルエステル等のフェニルグリオキサル酸エステル類;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン類;η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフルオロホスフェイト(1−)等の鉄アレン錯体;ジフェニルヨードニウム塩等のジアリールヨードニウム塩類などのヨードニウム塩;トリフェニルスルホニウム塩等のトリアリールスルホニウム塩類などのスルホニウム塩、等が挙げられる。
【0098】
上記ラジカル発生剤のより詳細な化合物例、及びその他別の種類のラジカル発生剤の例としては、特開平10−45816号公報の段落[0067]〜[0132]に記載のものを挙げることができる。
また、上記ラジカル発生剤のうち、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、鉄アレン錯体等は、ラジカルを発生すると同時にカチオンも発生する化合物であることが知られている。
【0099】
また、前記ラジカル発生剤としては、二種以上の化合物の組合わせからなる材料を使用することもできる。例えば、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体とメルカプトベンズオキサゾール等との組合せ、米国特許第3427161号明細書に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとベンゾインメチルエーテルとの組合せ、米国特許第4239850号明細書に記載のベンゾイル−N−メチルナフトチアゾリンと2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4’−メトキシフェニル)−トリアゾールとの組合せ、特開昭57−23602号公報に記載のジアルキルアミノ安息香酸エステルとジメチルチオキサントンとの組合せ、特開昭59−78339号公報に記載の4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとポリハロゲン化メチル化合物との三種組合わせ、等が挙げられる。
【0100】
二種以上を組合せてなるラジカル発生剤の場合、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンとベンゾフェノンとの組合せ、2,4−ジエチルチオキサントンと4−ジメチルアミノ安息香酸エチルとの組合せ、又は4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンと2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体との組合せを用いるのが好ましい。
【0101】
上記ラジカル発生剤のうち、露光領域に、色素と相互作用し効果的にラジカルを発生させることができ、より高感度化しうる点で、有機ホウ素化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、鉄アレン錯体、トリハロゲン置換メチル基を有するS−トリアジン誘導体、有機過酸化物、チタノセン、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、又はアジニウム塩が好ましく、有機ホウ素化合物は特に好ましい。該有機ホウ素化合物は、分光増感化合物として分光増感色素を使用した場合でも、光照射して画像定着する際に共存する分光増感色素を良好に消色できる点で好ましい。また、該有機ホウ素化合物は、前述のラジカル発生剤と併用してもよい。
【0102】
有機ホウ素化合物としては、後述する一般式(A)で表される化合物、及び「機能性色素の化学」(1981年、CMC出版社、p.393〜p.416)や「色材」(60〔4〕212−224(1987))等に記載のカチオン性色素をカチオン部として構造内に有する分光増感色素系有機ホウ素化合物も挙げられる。前記分光増感色素系有機ホウ素化合物としては、特開昭62−143044号、特開平1−138204号、特表平6−505287号、特開平4−261406号等に記載の化合物が挙げられる。
【0103】
前記分光増感色素系有機ホウ素化合物のカチオン部を構成している色素としては、300nm以上の波長領域、好ましくは400〜1100nmの波長領域に最大吸収波長を有するカチオン性色素を用いることができる。中でも、カチオン性のメチン色素、ポリメチン色素、トリアリールメタン色素、インドリン色素、アジン色素、キサンテン色素、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素、アゾメチン色素、オキサジン色素又はアクリジン色素等が好ましく、カチオン性のシアニン色素、ヘミシアニン色素、ローダミン色素又はアゾメチン色素がより好ましい。
【0104】
前記有機ホウ素化合物の中でも、特に下記一般式(A)で表される化合物が好ましい。
【化24】
【0105】
一般式(A)中、Ra 1、Ra 2、Ra 3及びRa 4は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基、複素環基、又はSi(Ra 5)(Ra 6)−Ra 7を表す。
Ra 1〜Ra 4が脂肪族基を表す場合、該脂肪族基としては、例えば、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、置換アルキル基が特に好ましい。
また、前記脂肪族基は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。鎖状脂肪族基は分岐を有していてもよい。
【0106】
前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数としては、1〜30が好ましく、1〜20がより好ましい。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキル基の場合と同様である。また、前記アルキル基は、置換基を有するアルキル基、無置換のアルキル基のいずれであってもよい。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、シクロペンチル基、ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基、シクロヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
【0107】
前記置換アルキル基の置換基としては、カルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキシ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のアルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、メチルチオエチルチオエチル基等)、炭素数30以下のアリールオキシ基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、
【0108】
炭素数30以下のアシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例えば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホスホノ基、複素環基等が挙げられる。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。その際、塩を形成するカチオンとしては、後述のG+等が挙げられる。
【0109】
前記アルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルケニル基の場合と同様である。また、前記アルケニル基は、置換基を有するアルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであってもよい。
前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0110】
前記アルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好ましい。置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アルキニル基の場合と同様である。また、前記アルキニル基は、置換基を有するアルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであってもよい。
置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0111】
前記アラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好ましい。置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子数の好ましい範囲については、アラルキル基の場合と同様である。また、前記アラルキル基は、置換基を有するアラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであってもよい。
置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0112】
前記Ra 1〜Ra 4が芳香族基アルキル基を表す場合、該芳香族基としては、例えば、アリール基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフチル基、β−ナフチル基等が挙げられる。
置換アリール基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0113】
Ra 1〜Ra 4が複素環基を表す場合、該複素環基としては、置換基を有する複素環基、無置換の複素環基が挙げられる。置換基を有する複素環基の置換基としては、Ra 1〜Ra 4が置換基を有するアリール基を表す場合に例示した置換基と同様の置換基が挙げられる。
中でも、Ra 1〜Ra 4が表す複素環基としては、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環等の窒素原子、硫黄原子、又は酸素原子を含む複素環基が好ましい。
【0114】
Ra 1〜Ra 4が−Si(Ra 5)(Ra 6)−Ra 7を表す場合、Ra 5、Ra 6及びRa 7は、それぞれ独立に脂肪族基、芳香族基を表す。該脂肪族基、芳香族基は、Ra 1〜Ra 4が表す脂肪族基、芳香族基と各々同義であり、好ましい例も同様である。
【0115】
前記一般式(A)中、Ra 1、Ra 2、Ra 3、及びRa 4のうちの2以上が直接又は置換基を介して連結し、環を形成していてもよい。環を形成している場合、該環としては、下記の(C1)〜(C3)の環より選ばれるいずれかの環が好ましく、中でも、(C2)の環が好ましい。
【0116】
【化25】
【0117】
前記(C1)における環において、Rbは、以下に示す2価の基を表す。
【化26】
【0118】
前記一般式(A)で表される有機ホウ素化合物の中でも、そのRa 1〜Ra 4の少なくとも1つがアルキル基であるものが好ましく、高感度化と保存性の向上の観点から、1つがアルキル基であり、他の3つがアリール基であるトリアリールアルキル型の有機ホウ素化合物が更に好ましい。
特に、アリール基に電子吸引性基が置換したトリアリールアルキル型の有機ホウ素化合物が好ましく、中でも、3つのアリール基上の置換基(電子吸引性基)のHammet(σ)値の合計が+0.36〜+2.58のものがより好ましい。
前記電子吸引性基としては、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基が好ましく、特にフッ素原子、塩素原子がより好ましい。
【0119】
電子吸引性基が置換したアリール基としては、3−フルオロフェニル基、4−フルオロフェニル基、2−フルオロフェニル基、3−クロロフェニル基、4−クロロフェニル基、3−トリフルオロメチルフェニル基、4−トリフルオロメチルフェニル基、3,5−ジフルオロフェニル基、4−ブロモフェニル基、3,4−ジフルオロフェニル基、5−フルオロ−2−メチルフェニル基、5−フルオロ−4−メチルフェニル基、5−クロロ−2−メチルフェニル基、5−クロロ−4−メチルフェニル基等が挙げられる。
【0120】
前記一般式(A)のアニオン部としては、例えば、テトラメチルボレート、テトラエチルボレート、テトラブチルボレート、トリイソブチルメチルボレート、ジ−n−ブチル−ジ−t−ブチルボレート、トリ−m−クロロフェニル−n−ヘキシルボレート、トリフェニルメチルボレート、トリフェニルエチルボレート、トリフェニルプロピルボレート、トリフェニル−n−ブチルボレート、トリメシチルブチルボレート、トリトリルイソプロピルボレート、トリフェニルベンジルボレート、テトラ−m−フルオロベンジルボレート、トリフェニルフェネチルボレート、トリフェニル−p−クロロベンジルボレート、トリフェニルエテニルブチルボレート、ジ(α−ナフチル)−ジプロピルボレート、トリフェニルシリルトリフェニルボレート、トリトルイルシリルトリフェニルボレート、トリ−n−ブチル(ジメチルフェニルシリル)ボレート、ジフェニルジヘキシルボレート、トリ−m−フルオロフェニルヘキシルボレート、トリ(5−クロロ−4−メチルフェニル)ヘキシルボレート、トリ−m−フルオロフェニルシクロヘキシルボレート、トリ−(5−フルオロ−2−メチルフェニル)ヘキシルボレート等が挙げられる。
【0121】
前記一般式(A)中、G+は陽イオンを形成し得る基を表す。中でも、有機カチオン性化合物、遷移金属配位錯体カチオン(特許2791143号公報に記載の化合物等)又は金属カチオン(例えば、Na+、K+、Li+、Ag+、Fe2+、Fe3+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Al3+、1/2Ca2+等)が好ましい。
前記有機カチオン性化合物としては、例えば、4級アンモニウムカチオン、4級ピリジニウムカチオン、4級キノリニウムカチオン、ホスホニウムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチオン、色素カチオン等が挙げられる。
【0122】
前記4級アンモニウムカチオンとしては、テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウムカチオン)、テトラアリールアンモニウムカチオン(例えば、テトラフェニルアンモニウムカチオン)等が挙げられる。前記4級ピリジニウムカチオンとしては、N−アルキルピリジニウムカチオン(例えば、N−メチルピリジニウムカチオン)、N−アリールピリジニウムカチオン(例えば、N−フェニルピリジニウムカチオン)、N−アルコキシピリジニウムカチオン(例えば、4−フェニル−N−メトキシ−ピリジニウムカチオン)、N−ベンゾイルピリジニウムカチオン等が挙げられる。前記4級キノリニウムカチオンとしては、N−アルキルキノリニウムカチオン(例えば、N−メチルキノリニウムカチオン)、N−アリールキノリニウムカチオン(例えば、N−フェニルキノリニウムカチオン)等が挙げられる。前記ホスホニウムカチオンとしては、テトラアリールホスホニウムカチオン(例えば、テトラフェニルホスホニウムカチオン)等が挙げられる。前記ヨードニウムカチオンとしては、ジアリールヨードニウムカチオン(例えば、ジフェニルヨードニウムカチオン)等が挙げられる。前記スルホニウムカチオンとしては、トリアリールスルホニウムカチオン(例えば、トリフェニルスルホニウムカチオン)等が挙げられる。
【0123】
更に、前記G+の具体的な例として、特開平9−188686号公報の段落[0020]〜[0038]に記載の化合物等も挙げることができる。
【0124】
上記に例示した各カチオン性化合物(例示化合物)において、そのアルキル基としては、炭素数が1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘキシル基等の無置換アルキル基や、Ra 1〜Ra 4が表す前記置換アルキル基が好ましい。中でも特に、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。
また、上記に例示した各カチオン性化合物において、そのアリール基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子)置換フェニル基、アルキル(例えば、メチル基)置換フェニル基、アルコキシ(例えば、メトキシ基)置換フェニル基が好ましい。
【0125】
前記一般式(A)で表される有機ホウ素化合物の具体例としては、米国特許第3,567,453号明細書、同4,343,891号明細書、特開昭62−143044号公報、特開昭62−150242号公報、特開平9−188684号公報、特開平9−188685号公報、特開平9−188686号公報、特開平9−188710号公報、特公平8−9643号公報、特開平11−269210号公報に記載されている化合物、及び以下に例示する化合物が挙げられる。有機ホウ素化合物は、後述のラジカル発生剤と併用してもよい。但し、本発明に用いられる前記有機ホウ素化合物は、これに限定されるものではない。
【0126】
【化27】
【0127】
【化28】
【0128】
【化29】
【0129】
【化30】
【0130】
【化31】
【0131】
光重合性組成物中におけるラジカル又はカチオン発生剤の含有量としては、前記重合可能な化合物の含有量に対して、0.01〜20重量%が好ましく、0.1〜10重量%がより好ましい。但し、好ましい範囲は、併用する「エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物」の種類に応じて変動するので、これに限定されるものではない。
【0132】
(他の成分)
本発明の光重合性組成物においては、効果を害しない範囲内で、目的に応じてその他の成分として適宜選択した公知の添加剤等を含有してもよい。
前記その他の成分としては、例えば、光重合開始剤、酸素除去剤、熱重合阻害剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、連鎖移動剤、酸化防止剤等、及びこれらのプレカーサー等が挙げられ、これらは、光重合性組成物の全重量基準で、0.01〜20重量%添加されるのが好ましく、0.2〜15重量%添加されるのがより好ましく、0.5〜10重量%添加されるのが特に好ましい。
【0133】
前記連鎖移動剤や酸化防止剤等の添加剤の具体例としては、特開平10−45816号公報の段落[0135]〜[0141]、特開平9−188686号公報の段落[0087]〜[0096]、特開平10−182621号公報の段落[0079]〜[0118]、特開平9−95487号公報の段落[0080]〜[0089]等が挙げられ、更に特開平1−13140号、同1−13141号、同1−13143号、同1−13144号、同1−17048号、同1−229003号、同1−298348号、同10−138638号、同11−269210号、同2−187762号等の各公報に記載の化合物が挙げられる。
【0134】
本発明の光重合性組成物には、バインダを含有することもできる。特に、光重合性組成物が液体又は粘稠物質である場合に都合がよい。
前記バインダの含有量としては、総固形分含有量に対して、5〜95重量%が好ましく、10〜90重量%がより好ましく、15〜85重量%が最も好ましい。
前記バインダの選択は、適用分野及びその分野のために必要とされる特性、例えば、水系若しくは有機溶媒系における現像能力、基材への接着及び酸素への感度に依存してなされる。
【0135】
前記バインダとしては、約5000〜2000000、好ましくは10000〜1000000の分子量を有するポリマーが望ましい。例えば、アクリレート及びメタクリレートのホモ若しくはコポリマー(例えば、メチルメタクリレート/エチルアクリレート/メタクリル酸のコポリマー、ポリ(アルキルメタクリレート)、ポリ(アルキルアクリレート)等)、セルロースエステル又はセルロールエーテル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、メチルセルロース、エチルセルロース等)、ポリビニルブチラル、ポリビニルホルマル、環化ゴム、ポリエーテル(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリテトラヒドロフラン)、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリウレタン、塩素化ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル/ビニリデンコポリマー、塩化ビニリデンとアクリロニトリルのコポリマー、メチルメタクリレート、酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニル、コポリ(エチレン/酢酸ビニル)、ポリカプロラクタム、ポリ(ヘキサメチレンアジパミド)、ポリエステル(例えば、ポリ(エチレングリコールテレフタレート)、ポリ(ヘキサメチレングリコールスクシネート)等)、ポリアミド、ポリウレアなどが挙げられる。
【0136】
また、ゼラチン類、(変性)ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、スチレン−マレイン酸共重合体加水分解物、ポリスチレンスルホン酸ソーダ、アルギン酸ソーダ等の水溶性高分子も挙げられる。更に、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、アクリル酸メチル−ブタジエンゴムラテックス等のラテックス類を用いてもよい。
【0137】
不飽和化合物も、非光重合性フィルム形成成分との混合物として使用でき、例えば、物理的に乾燥したポリマー、又は有機溶媒中のポリマー溶液であって、例えば、ニトロセルロース、又はセルロースアセトブチレートが挙げられる。しかし、それらは化学的に、及び/又は、熱的に硬化性(熱硬化性)樹脂、例えば、ポリイソシアネート、ポリエポキシド、メラミン樹脂、並びに、ポリイミド前駆体であってもよい。同時に熱硬化性樹脂を使用することは、第一段階において光重合されそして第二段階において熱後処理によって架橋されるハイブリッド系として既知である系における使用のために重要である。
また、重合性基を有するバインダも使用可能である。
【0138】
その他、添加剤の例としては、特開平11−269210号公報に記載のものを挙げることができる。
【0139】
画像様に露光する際に使用可能な光源としては、可視〜赤外領域に光源波長を有する公知の光源の中から適宜選択することができ、中でも、最大吸収波長が300〜1000nmの光源が好ましく、装置の簡易小型化、低コスト化の点で、青色、緑色、赤色等の(半導体)レーザー光源又はLEDがより好ましい。尚、より高い感度を得るには、分光増感色素等の光吸収材料の吸収波長に適合した波長を持つ光源を適宜選択することが好ましい。
一方、前記光重合性組成物、及び後述する記録材料の消色の際に使用可能な光源としては、光重合性組成物の吸収波長に適合した波長を有する光源を適宜選択することがより好ましい。具体的には、水銀灯、超高圧水銀灯、無電極放電型水銀灯、キセノンランプ、タングステンランプ、メタルハライドランプ、(半導体)レーザー光源、LED、蛍光灯等の幅広い光源が好適に挙げられる。
【0140】
上記のように、分光増感色素として前記一般式(1)で表される化合物を用いることにより、紫外光のみならず、可視光〜赤外光を用いた場合でも高感度に画像形成することができ、しかも該化合物自身が消色性に優れることから、色素成分による残色のない画像を得ることができる。
【0141】
<記録材料>
本発明の記録材料は、支持体上に記録層を有してなり、かつ該記録層が、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる部位を有する発色成分Bと、既述の本発明の光重合性組成物と、を少なくとも含有してなり、必要に応じて、下引き層、中間層、光吸収層、保護層、バックコート層等の他の層を有していてもよい。
【0142】
本発明の記録材料の基本的な構成態様としては、特に制限されるものではなく適宜目的に応じて構成することができる。
基本的態様として、例えば、本発明の記録材料を、発色成分Aが熱応答性のマイクロカプセルに内包された、ポジ型の感光感熱記録材料に適用した場合の画像形成を一例に示す。
即ち、本態様のポジ型の感光感熱記録材料では、画像様に光を照射すると、光照射部の光重合性組成物に含まれるラジカル発生剤からラジカルが発生すると共に前記重合可能な化合物の重合反応が開始され硬化して、光重合性組成物はその場に固定され、潜像が形成される。前記マイクロカプセルは常温下では物質非透過性であり、マイクロカプセルに内包される発色成分Aと該発色成分Aと反応して発色させる部位を分子内に有する発色成分Bとは接触せず、非発色状態にある。
【0143】
その後、感光感熱記録材料の全面に熱を供与されると、マイクロカプセルが物質透過性に転移して非光照射部の発色成分Bはマイクロカプセル内に浸透し(及び/又は発色成分Aがマイクロカプセル外に放出され)、発色成分AとBとが反応して、非光照射部においてのみ発色する。一方、光照射部においては、光重合性組成物が重合反応して硬化、固定された状態にあるため、発色成分A及びBは共に不動化されて接触しえず、光照射部では発色しない。その後、さらに前記感光感熱記録材料を全面露光することにより未重合であった領域も重合し(定着)、かつ光重合性組成物に含有される色素成分を消色することができる。
【0144】
また、本発明の記録材料は、下記に示す態様(第一及び第二の態様)の記録材料であってもよく、その画像形成方法も各態様に応じて適宜選択できる。
即ち、第一の態様の記録材料は、光重合性組成物中に含まれる重合可能な化合物の少なくとも一つが、前記発色成分B自体である態様であって、記録層は、発色成分Aと、該発色成分Aを発色させる発色成分Bを含む本発明の光重合性組成物とを少なくとも含有してなる。ここで、上述した基本的態様のポジ型の感光感熱記録材料を例に当てはめると、発色成分Bは、既述の通り、発色成分Aを発色させる部位を有すると共にエチレン性不飽和結合をも有し、画像様に光照射すると、該発色成分Bが重合反応を開始し硬化して、該発色成分Bはその場で固定され潜像を形成する。従って、光照射部では、発色成分Bは不動化されて発色成分Aと接触できず、光照射部では発色しない。
【0145】
本発明の第二の態様の記録材料は、その記録層が、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる発色成分Bと、前記本発明の光重合性組成物とを少なくとも含有し、前記光重合性組成物に含まれるエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物(重合可能な化合物)が、同一分子内に前記発色成分Aと発色成分Bとの反応を抑制する部位(反応抑制部位)を有する発色抑制化合物である態様である。
【0146】
第二の態様の記録材料を、発色成分Aが熱応答性のマイクロカプセルに内包された、ネガ型の感光感熱記録材料に適用した場合の画像形成を一例として以下に示す。
本態様のネガ型の感光感熱記録材料においては、上記第一の態様と同様、マイクロカプセルは常温下では物質非透過性であり、発色成分AとBとは接触せず、非発色状態にある。この感光感熱記録材料に対して画像様に光を照射すると、光照射部の重合可能な化合物の重合反応が開始し硬化して、重合可能な化合物はその場に固定され潜像が形成される。その後、感光感熱記録材料の全面に熱が供与されると、マイクロカプセルが物質透過性に転移して発色成分Bはマイクロカプセル内に浸透する(及び/又は発色成分Aがマイクロカプセル外に放出される)が、それと同時に、非光照射部では重合可能な化合物も発色抑制化合物としてマイクロカプセル内に浸透し、発色成分AとBとの発色反応は抑制される。従って、非光照射部は非発色状態に維持される。一方、光照射部の重合可能な化合物(発色抑制化合物)は、重合反応によりその場に固定されているので、発色成分A及びBの反応には関与せず発色反応が進行し、光照射部においてのみ発色する。その後、前記感光感熱記録材料を全面露光することにより、光重合性組成物に含有される色素を消色することができる。
【0147】
本発明の記録材料による画像形成に用いる光源としては、前記本発明の光重合性組成物の露光に使用可能な光源と同様の光源を用いることができる。
以下に、本発明の記録材料に用いる構成成分について説明する。
【0148】
(光重合性組成物)
前記光重合性組成物は、1)重合可能な化合物、2)一般式(1)で表される化合物(消色可能な分光増感色素)を少なくとも含有してなり、必要に応じて、3)前記2)の色素と相互作用してラジカル又はカチオンを発生し得る化合物(ラジカル又はカチオン発生剤)、4)他の成分を含有してなる。具体的には、本発明の記録材料においては、既述の本発明の光重合性組成物を含んで構成され、前記3)を含んで構成される態様が好ましい。
前記光重合性組成物に光を照射すると、前記分光増感色素が光を吸収して前記ラジカル発生剤と相互作用し、ラジカル発生剤はラジカルを発生する。このラジカルによって、前記重合可能な化合物がラジカル重合して硬化し像形成する。
【0149】
前記重合可能な化合物の詳細については、既述の通りであり、光重合性組成物中に複数種含有させることもできる。前記第一の態様の記録材料のように、その少なくとも一つが、発色成分Aを発色させる部位を有する発色成分Bであってもよく、この場合は後述のように同一分子内にエチレン性不飽和結合(重合性基)を有する発色成分を用いる。
一方、前記第二の態様の記録材料のように、重合可能な化合物は、発色抑制化合物としての機能をも兼ねるものであってもよく、同一分子内に、発色成分Aと該発色成分Aを発色させる発色成分Bとの反応を抑制する部位を有する重合性化合物を用いる。
これらの重合可能な化合物については、記録層中に含有される発色成分(A及びB)等とともに後述する。
【0150】
記録層中における、前記光重合性組成物の含有量としては、0.1〜50g/m2が好ましく、1〜30g/m2がより好ましい。
【0151】
(発色成分)
本発明の記録材料においては、記録層は、光重合性組成物と共に、発色源として前記発色成分Aと発色成分Bとを含有する。前記第一の態様の記録材料の場合には、光重合性組成物と共に発色成分Aを含有し、該光重合性組成物側に重合可能な化合物として含まれる発色成分Bが前記発色成分Aと反応して発色する。
画像部を構成する発色源としての発色成分Aと発色成分Bとの組合わせとしては、下記(ア)〜(テ)の組合わせが挙げられる。尚、下記組合わせは、発色成分A、発色成分Bの順に示した。
【0152】
(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ。
(イ)ジアゾ化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ。
(ウ)ベヘン酸銀、ステアリン酸銀等の有機酸金属塩と、プロトカテキン酸、スピロインダン、ハイドロキノン等の還元剤との組合せ。
(エ)ステアリン酸第二鉄、ミリスチン酸第二鉄等の長鎖脂肪酸鉄塩と、タンニン酸、没食子酸、サリチル酸アンモニウム等のフェノール類との組合せ。
(オ)酢酸、ステアリン酸、パルミチン酸等のニッケル、コバルト、鉛、銅、鉄、水銀、銀塩のような有機酸重金属塩と、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化カリウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属硫化物との組合せ、又は前記有機酸重金属塩と、s−ジフェニルカルバジド、ジフェニルカルバゾン等の有機キレート剤との組合せ。
【0153】
(カ)銀、鉛、水銀、ナトリウム等の硫酸塩等の重金属硫酸塩と、ナトリウムテトラチオネート、チオ硫酸ソーダ、チオ尿素等の硫黄化合物との組合せ。
(キ)ステアリン酸第二鉄等の脂肪族第二鉄塩と、3,4−ヒドロキシテトラフェニルメタン等の芳香族ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ク)シュウ酸銀、シュウ酸水銀等の有機酸金属塩と、ポリヒドロキシアルコール、グリセリン、グリコール等の有機ポリヒドロキシ化合物との組合せ。
(ケ)ペラルゴン酸第二鉄、ラウリン酸第二鉄等の脂肪酸第二鉄塩と、チオセシルカルバミドやイソチオセシルカルバミド誘導体との組合せ。
(コ)カプロン酸鉛、ペラルゴン酸鉛、ベヘン酸鉛等の有機酸鉛塩と、エチレンチオ尿素、N−ドデシルチオ尿素等のチオ尿素誘導体との組合せ。
【0154】
(サ)ステアリン酸第二鉄、ステアリン酸銅等の高級脂肪族重金属塩とジアルキルジチオカルバミン酸亜鉛との組合せ。
(シ)レゾルシンとニトロソ化合物との組合せのようなオキサジン染料を形成するもの。
(ス)ホルマザン化合物と還元剤及び/又は金属塩との組合せ。
(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ。
(ソ)酸化型発色剤と酸化剤との組合せ。
(タ)フタロニトリル類とジイミノイソインドリン類との組合せ。(フタロシアニンが生成する組合せ。)
(チ)イソシアナート類とジイミノイソインドリン類との組合せ(着色顔料が生成する組合せ)。
(ツ)顔料プレカーサーと酸又は塩基との組合せ(顔料が形成する組合せ)。
(テ)パラフェニレンジアミン誘導体又はパラアミノフェノール誘導体の酸化体前駆体と、カップリング成分(カプラー化合物)との組合せ。
【0155】
前記発色源としての二成分の組合せとしては、(ア)電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との組合せ、(イ)ジアゾ化合物とカップリング成分(以下、適宜「カプラー化合物」と称する。)との組合せ、(セ)保護された色素(又はロイコ色素)プレカーサと脱保護剤との組合せ、及び(テ)パラフェニレンジアミン誘導体又はパラアミノフェノール誘導体の酸化体前駆体と、カップリング成分(カプラー化合物)との組合せが好ましい。即ち、発色成分Aとしては、電子供与性染料前駆体、ジアゾ化合物、色素プレカーサ又は酸化体前駆体が好ましく、発色成分Bとしては、電子受容性化合物、カプラー化合物又は脱保護剤が好ましい。
【0156】
発色成分Aとして電子供与性無色染料前駆体を用いる場合、電子供与性無色染料前駆体としては、感熱紙や感圧紙等で既知の、フタリド系化合物、フルオラン系化合物、フェノチアジン系化合物、インドリルフタリド系化合物、ロイコオーラミン系化合物、ローダミンラクタム系化合物、トリフェニルメタン系化合物、トリアゼン系化合物、スピロピラン系化合物、ピリジン系、ピラジン系化合物、フルオレン系化合物等の各種化合物を挙げることができる。
【0157】
フタリド系化合物としては、例えば、米国再発行特許第23,024号、米国特許第3,491,111号、同第3,491,112号、同第3,491,116号及び同第3,509,174号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3,3−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)フタリド、3,3−ビス(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジプロピルアミノ−2−アセチルアミノフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−(2−メチル−1−オクチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、3,3−ビス(4−ジエチルアミノ−2−ブチルオキシフェニル)−4−アザフタリド、3−(4−ジエチルアミノ−2−ブチルオキシフェニル)−3−(2−メチル−1−ペンチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド等が挙げられる。
【0158】
フルオラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,624,107号、同第3,627,787号、同第3,641,011号、同第3,462,828号、同第3,681,390号、同第3,920,510号、同第3959,571号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソアミルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−エチル−N−イソプチルアミノフルオラン、2−アニリノ−6−ジブチルアミノフルオラン、2−アニリノ−3−メチル−6−N−メチル−N−テトラヒドロフルフリルアミノフルオラン等が挙げられる。
【0159】
チアジン系化合物としては、例えば、ベンゾイルロイコンメチレンブルー、p−ニトロベンジルロイコメチレンブルー等が挙げられる。
ロイコオーラミン系化合物としては、例えば、4,4’−ビス−ジメチルアミノベンズヒドリンベンジルエーテル、N−ハロフェニル−ロイコオーラミン、N−2,4,5−トリクロロフェニルロイコオーラミン等が挙げられる。
ローダミンラクタム系化合物としては、ローダミン−B−アニリノラクタム、ローダミン−(p−ニトリノ)ラクタム等が挙げられる。
【0160】
スピロピラン系化合物としては、例えば、米国特許第3,971,808号に記載の化合物が挙げられ、具体的には、3−メチル−スピロ−ジナフトピラン、3−エチル−スピロ−ジナフトピラン3,3’−ジクロロ−スピロ−ジナフトピラン、3−ベンジルスピロ−ジナフトピラン、3−メチル−ナフト−(3−メトキシ−ベンゾ)スピロピラン、3−プロピル−スピロ−ジベンゾピラン等が挙げられる。
【0161】
ピリジン系、ピラジン系化合物類としては、例えば、米国特許第3,775,424号、同第3,853,869号、同第4,246,318号に記載の化合物が挙げられる。
フルオレン系化合物としては、例えば、特願昭61−240989号等に記載の化合物が挙げられる。
【0162】
シアン、マゼンタ、イエローを発色する色素前駆体としては、米国特許第4,800,149号等に記載の各色素前駆体を使用することができる。
さらに、イエロー発色色素用電子供与性染料前駆体としては、米国特許第4,800,148号、同5126233号、特公平7−88105号公報等に記載の染料前駆体も使用することができ、シアン発色色素用電子供与性染料前駆体としては、特開平63−53542号等に記載の染料前駆体も使用することができる。
【0163】
前記電子供与性染料前駆体を用いる場合、該電子供与性染料前駆体を発色させる発色成分Bとして電子受容性化合物を用いる。
前記電子受容性化合物としては、感熱紙や感圧紙等で既知の、フェノール誘導体、サリチル酸誘導体、芳香族カルボン酸の金属塩、酸性白土、ベントナイト、ノボラック樹脂、金属処理ノボラック樹脂、金属錯体等の電子受容性化合物が挙げられる。具体的には、特公昭40−9309号、特公昭45−14039号、特開昭52−140483号、特開昭48−51510号、特開昭57−210886号、特開昭58−87089号、特開昭59−11286号、特開昭60−176795号、特開昭61−95988号等に記載されている。
【0164】
上記のうち、例えば、フェノール誘導体としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス(3−クロロ−4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、4−ヒドロキシフェニル−4’−イソプロピルオキシフェニルスルホン、ビス(3−アリル−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、α,α’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,4−ジイソプロピルベンゼン、p−ヒドロキシ安息香酸ベンジル等を挙げることができる。
【0165】
サリチル酸誘導体としては、4−ペンタデシルサリチル酸、3,5−ジ(α−メチルベンジル)サリチル酸、3,5−ジ(tert−オクチル)サリチル酸、5−オクタデシルサリチル酸、5−α−(p−α−メチルベンジルフェニル)エチルサリチル酸、3−α−メチルベンジル−5−tert−オクチルサリチル酸、5−テトラデシルサリチル酸、4−ヘキシルオキシサリチル酸、4−シクロヘキシルオキシサリチル酸、4−デシルオキシサリチル酸、4−ドデシルオキシサリチル酸、4−ペンタデシルオキシサリチル酸、4−オクタデシルオキシサリチル酸等、及びこれらの亜鉛、アルミニウム、カルシウム、銅塩等を挙げることができる。
【0166】
前記第一の態様の記録材料では、発色成分Bがエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物としても機能するものである。従って、第一の態様の記録材料の重合可能な化合物の少なくとも一つは電子受容性化合物であって、その分子内には電子受容性基とエチレン性不飽和結合(以下、「重合性基」という。)とを含む。
この場合の発色成分Bとしては、例えば、特開平4−226455号に記載の3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸、特開昭63−173682号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸のメタアクリロキシエチルエステル、アクリロキシエチルエステル、同59−83693号、同60−141587号、同62−99190号に記載のヒドロキシ基を有する安息香酸とヒドロキシメチルスチレンとのエステル、欧州特許29323号に記載のヒドロキシスチレン、特開昭62−167077号、同62−16708号に記載のハロゲン化亜鉛のN−ビニルイミダゾール錯体、同63−317558号に記載の電子受容性化合物等を参考にして合成できる化合物等が挙げられる。
【0167】
これらの電子受容性基と重合性基とを同一分子内に有する化合物のうち、下記一般式で表される3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸が好ましい。
【0168】
【化32】
【0169】
前記式中、Xはハロゲン原子を表し、中でも塩素原子が好ましい。Yは重合性エチレン基を有する1価の基を表し、中でもビニル基を有するアラルキル基、アクリロイルオキシアルキル基又はメタクリロイルオキシアルキル基が好ましく、炭素数5〜11のアクリロイルオキシアルキル基又は炭素数6〜12のメタクリロイルオキシアルキル基がより好ましい。Zは、水素原子、アルキル基又はアルコキシ基を表す。
【0170】
前記3−ハロ−4−ヒドロキシ安息香酸としては、例えば、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸エステルビニルフェネチルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸ビニルフェニルプロピルエステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−アクリロイルオキシプロピル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(3−メタクリロイルオキシプロピル)エステル、
【0171】
3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−アクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(4−メタクリロイルオキシブチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(2−アクリロイルオキシエチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−アクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(5−メタクリロイルオキシペンチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−アクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(6−メタクリロイルオキシヘキシル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−アクリロイルオキシオクチル)エステル、3−クロロ−4−ヒドロキシ安息香酸−(8−メタクリロイルオキシオクチル)エステル等が挙げられる。
【0172】
さらには、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、
【0173】
β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0174】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、
【0175】
3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N’−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N’−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、及びこれらの金属塩(例えば、亜鉛塩等)等も好適に挙げることができる。
【0176】
発色成分Aとして電子供与性染料前駆体を、発色成分Bとして電子受容性化合物を使用する場合、記録層中における、前記電子供与性染料前駆体の含有量としては、0.05〜5g/m2が好ましく、0.1〜3g/m2がより好ましい。
また、前記電子受容性化合物の使用量としては、使用する電子供与性無色染料1重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、3〜10重量部がより好ましい。前記使用量が、0.5重量部未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、20重量部を超えると、感度が低下したり、塗布適性が劣化することがある。
【0177】
一方、発色成分Aとして、ジアゾ化合物を用いる場合には下記式で表される化合物を用いるのが好ましい。
Ar−N2 + ・Y-
〔式中、Arは芳香族環基を表し、Y-は酸アニオンを表す。〕
【0178】
前記式において、Arは、置換又は無置換のアリール基を表す。置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、カルボアミド基、スルホニル基、スルファモイル基、スルホンアミド基、ウレイド基、ハロゲン基、アミノ基、ヘテロ環基、等が挙げられ、これら置換基は、更に置換されていてもよい。
【0179】
また、アリール基としては、炭素原子数6〜30のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、2−メチルフェニル基、2−クロロフェニル基、2−メトキシフェニル基、2−ブトキシフェニル基、2−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、2−オクチルオキシフェニル基、3−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシエトキシ)フェニル基、4−クロロフェニル基、2,5−ジクロロフェニル基、2,4,6−トリメチルフェニル基、3−クロロフェニル基、3−メチルフェニル基、3−メトキシフェニル基、3−ブトキシフェニル基、3−シアノフェニル基、3−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、3,5−ジクロロフェニル基、3,4−ジメトキシフェニル基、
【0180】
3−(ジブチルアミノカルボニルメトキシ)フェニル基、4−シアノフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基、4−(2−エチルヘキシルオキシ)フェニル基、4−ベンジルフェニル基、4−アミノスルホニルフェニル基、4−N,N−ジブチルアミノスルホニルフェニル基、4−エトキシカルボニルフェニル基、4−(2−エチルヘキシルカルボニル)フェニル基、4−フルオロフェニル基、3−アセチルフェニル基、2−アセチルアミノフェニル基、4−(4−クロロフェニルチオ)フェニル基、4−(4−メチルフェニル)チオ−2,5−ブトキシフェニル基、4−(N−ベンジル−N−メチルアミノ)−2−ドデシルオキシカルボニルフェニル基、等が挙げられる。
【0181】
また、これらの基は、さらに、アルキルオキシ基、アルキルチオ基、置換フェニル基、シアノ基、置換アミノ基、ハロゲン原子、ヘテロ環基等により置換されていてもよい。
【0182】
発色成分Aとして、好適に使用し得るジアゾ化合物としては、例えば、特開平7−276808号公報の第44段落欄〜第49段落欄に例示されるジアゾ化合物が挙げられる。但し、本発明においては、これらに化合物に限定されるものではない。
【0183】
ジアゾ化合物の最大吸収波長λmax としては、450nm以下であることが効果の点から好ましく、290〜440nmであることがより好ましい。また、ジアゾ化合物は、炭素原子数が12以上であって、水に対する溶解度が1%以下であり、かつ酢酸エチルに対する溶解度が5%以上であることが望ましい。
尚、発色成分Aとしてのジアゾ化合物は、単独で用いてもよいし色相調整等の諸目的に応じて2種以上を併用してもよい。
【0184】
前記ジアゾ化合物を使用する場合、発色成分Bとしては、カプラー化合物(重合性基を有しない)若しくは重合性基を有するカプラー化合物を用いる。
前記両カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々目的に応じて、複数種を併用することが可能である。
前記重合性基を有するカプラー化合物の具体例としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アゾール誘導体、ヘテロ縮環アゾール誘導体などが挙げられる。これらは、本発明の目的に合致する範囲で適宜、選択して使用される。
【0185】
前記重合性基を有するカプラー化合物におけるカプラー骨格化合物(カプラー)としては、カルボニル基の隣にメチレン基を有するいわゆる活性メチレン化合物、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アゾール誘導体、ヘテロ縮環アゾール誘導体等のカプラーを用いるのが好ましい。具体的には、レゾルシン、フロログルシン、2,3−ジヒドロキシナフタレン、2,3−ジヒドロキシナフタレン−6−スルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸ナトリウム、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸アニリド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルオキシプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフタレンスルホン酸−2−エチルヘキシルアミド、5−アセトアミド−1−ナフトール、
【0186】
1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ナトリウム、1−ヒドロキシ−8−アセトアミドナフタレン−3,6−ジスルホン酸ジアニリド、1,5−ジヒドロキシナフタレン、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸モルホリノプロピルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸オクチルアミド、2−ヒドロキシ−3−ナフトエ酸アニリド、5,5−ジメチル−1,3−シクロヘキサンジオン、1,3−シクロペンタンジオン、5−(2−n−テトラデシルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、5−フェニル−4−メトキシカルボニル−1,3−シクロヘキサンジオン、5−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)−1,3−シクロヘキサンジオン、N,N’−ジシクロヘキシルバルビツール酸、N,N’−ジ−n−ドデシルバルビツール酸、
【0187】
N−n−オクチル−N’−n−オクタデシルバルビツール酸、N−フェニル−N’−(2,5−ジ−n−オクチルオキシフェニル)バルビツール酸、N,N’−ビス(オクタデシルオキシカルボニルメチル)バルビツール酸、1−フェニル−3−メチル−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−アニリノ−5−ピラゾロン、1−(2,4,6−トリクロロフェニル)−3−ベンズアミド−5−ピラゾロン、6−ヒドロキシ−4−メチル−3−シアノ−1−(2−エチルヘキシル)−2−ピリドン、2,4−ビス−(ベンゾイルアセトアミド)トルエン、1,3−ビス−(ピバロイルアセトアミドメチル)ベンゼン、ベンゾイルアセトニトリル、テノイルアセトニトリル、アセトアセトアニリド、ベンゾイルアセトアニリド、ピバロイルアセトアニリド、2−クロロ−5−(N−n−ブチルスルファモイル)−1−ピバロイルアセトアミドベンゼン、1−(2−エチルヘキシルオキシプロピル)−3−シアノ−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(ドデシルオキシプロピル)−3−アセチル−4−メチル−6−ヒドロキシ−1,2−ジヒドロピリジン−2−オン、1−(4−n−オクチルオキシフェニル)−3−tert−ブチル−5−アミノピラゾール等が挙げられる。
【0188】
カプラー化合物の詳細は、特開平4−201483号、特開平7−223367号、特開平7−223368号、特開平7−323660号、特開平5−278608号、特開平5−297024号、特開平6−18669号、特開平6−18670号、特開平7−316280号、特開平9−216468号、特開平9−216469号、特開平9−319025号、特開平10−035113号、特開平10−193801号、特開平10−264532号公報等に記載されたものも参照できる。
【0189】
カプラー化合物は、塩基性雰囲気及び/又は中性雰囲気でジアゾ化合物とカップリングして色素を形成するものであり、色相調整等種々の目的に応じて、複数種を併用して用いることができる。
【0190】
以下に、重合性基を有するカプラーの具体例を示すが、本発明においては、これらに限定されるものではない。
【0191】
【化33】
【0192】
【化34】
【0193】
【化35】
【0194】
【化36】
【0195】
【化37】
【0196】
【化38】
【0197】
【化39】
【0198】
重合性基を有しないカプラー化合物としては、前記重合性基を有するカプラー化合物において、カプラー骨格化合物として列挙した化合物が挙げられる。
【0199】
発色成分Aとしてジアゾ化合物を、発色成分Bとしてカプラーを使用する場合、記録層中における前記ジアゾ化合物の含有量としては、0.02〜5.0g/m2が好ましく、0.05〜3.0g/m2がより好ましい。
前記含有量が、0.02g/m2 未満であると、十分な発色濃度を得ることができないことがあり、5.0g/m2 を超えると、塗布液の塗布適性が劣化することがある。
【0200】
また、前記カプラー化合物の使用量としては、前記ジアゾ化合物1重量部に対して、0.5〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。前記使用量が、0.5重量部未満であると、十分な発色性を得ることができないことがあり、20重量部を超えると、塗布適性が劣化することがある。
【0201】
発色成分Bとして用いるカプラー化合物は、その他の成分と共に水溶性高分子を添加して、サンドミル等により固体分散して用いることもできるが、適当な乳化助剤とともに乳化し、乳化物として用いることもできる。ここで、固体分散又は乳化する方法としては、特に限定されるものではなく、従来公知の方法を使用することができる。これらの方法の詳細については、特開昭59−190886号、特開平2−141279号、特開平7−17145号に記載されている。
【0202】
ジアゾ化合物とカプラーとのカップリング反応を促進する目的で、第3級アミン類、ピペリジン類、ピペラジン類、アミジン類、フォルムアミジン類、ピリジン類、グアニジン類、モルホリン類等の有機塩基を用いることが好ましい。
前記有機塩基としては、例えば、N,N’−ビス(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メチルフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(p−メトキシフェノキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N,N’−ビス(3−フェニルチオ−2−ヒドロキシプロピル)ピペラジン、N,N’−ビス〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル〕ピペラジン、N−3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシプロピル−N’−メチルピペラジン、
【0203】
1,4−ビス{〔3−(N−メチルピペラジノ)−2−ヒドロキシ〕プロピルオキシ}ベンゼンなどのピペラジン類、N−〔3−(β−ナフトキシ)−2−ヒドロキシ〕プロピルモルホリン、1,4−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼン、1,3−ビス〔(3−モルホリノ−2−ヒドロキシ)プロピルオキシ〕ベンゼンなどのモルホリン類、N−(3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル)ピペリジン、N−ドデシルピペリジンなどのピペリジン類、トリフェニルグアニジン、トリシクロヘキシルグアニジン、ジシクロヘキシルフェニルグアニジン、4−ヒドロキシ安息香酸2−N−メチル−N−ベンジルアミノエチルエステル、4−ヒドロキシ安息香酸2−N,N−ジ−n−ブチルアミノエチルエステル、4−(3−N,N−ジブチルアミノプロポキシ)ベンゼンスルホンアミド、4−(2−N,N−ジブチルアミノエトキシカルボニル)フェノキシ酢酸アミド等が挙げられる。
これらの有機塩基は、単独で用いてよいし2種以上併用して用いてもよい。
【0204】
これらは、特開昭57−123086号、特開昭60−49991号、特開昭60−94381号、特願平7−228731号、特願平7−235157号、特願平7−235158号等に記載されている。
【0205】
前記有機塩基を用いる場合、有機塩基として、重合性基を有する有機塩基を使用してもよい。
前記第一の態様の記録材料に、重合性基を有する有機塩基を使用する場合は、発色成分Aとしてジアゾ化合物とカプラーとを共にマイクロカプセル内に含有させ、重合性基を有する有機塩基を前記発色成分Bとして機能させることもできる。発色成分Aとしてジアゾ化合物とカプラーをマイクロカプセルに内包させる場合は、ジアゾ化合物とカプラーとを、塩基が存在しないと発色反応が起こらない組合わせで使用する。
また、前記第一の態様の記録材料において、前記発色成分Aとしてジアゾ化合物を使用し、前記発色成分Bとして、重合性基を有するカプラーと重合性基を有する有機塩基とを併用することも可能である。
【0206】
前記有機塩基の使用量としては、特に限定されるものではないが、ジアゾ化合物1モルに対して、1〜30モルの範囲で使用することが好ましい。
【0207】
さらに、発色反応を促進させる目的で、発色助剤を加えることもできる。発色助剤としては、フェノール誘導体、ナフトール誘導体、アルコキシ置換ベンゼン類、アルコキシ置換ナフタレン類、ヒドロキシ化合物、カルボン酸アミド化合物、スルホンアミド化合物等が挙げられる。
【0208】
次に、第二の態様の記録材料で用いる重合可能な化合物について説明する。
前記第二の態様の記録材料では、その記録層に、重合可能な化合物として、発色成分Aと該発色成分Aと反応して発色させる発色成分Bとの反応を抑制する部位と、エチレン性不飽和結合とを同一分子内に有する発色抑制化合物(以下、「重合可能な発色抑制化合物」ということがある。)を含有する。
前記発色成分Aとして電子供与性染料前駆体を、前記発色成分Bとして重合性基を有しない電子受容性化合物を用いる場合、前記重合可能な発色抑制化合物としては、電子供与性染料前駆体と電子受容性化合物との反応を抑制する部位と、分子内に少なくとも1つのビニル基とを有する光重合性モノマー(以下、「光重合性モノマーD1」という場合がある。)を用いるのが好ましい。
【0209】
前記光重合性モノマーD1としては、具体的には、アクリル酸及びその塩、アクリル酸エステル類、アクリルアミド類;メタクリル酸及びその塩、メタクリル酸エステル類、メタクリルアミド類;無水マレイン酸、マレイン酸エステル類;イタコン酸、イタコン酸エステル類;スチレン類;ビニルエーテル類;ビニルエステル類;N−ビニル複素環類;アリールエーテル類;アリルエステル類等が挙げられる。
【0210】
中でも、分子内に複数のビニル基を有する化合物が好ましく、具体的には、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の多価アルコール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;レゾルシノール、ピロガロール、フロログルシノール等の多価フェノール類やビスフェノール類のアクリル酸エステルやメタクリル酸エステル;アクリレート又はメタクリレート末端エポキシ樹脂;アクリレート又はメタクリレート末端ポリエステル等が好ましい。
上記のうち、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート、ヘキサンジオール−1,6−ジメタクリレート又はジエチレングリコールジメタクリレート等が特に好ましい。
【0211】
前記光重合性モノマーD1としては、その分子量が約100〜約5000のものが好ましく、約300〜約2000のものがより好ましい。
【0212】
前記重合可能な発色抑制化合物として、上記光重合性モノマーD1を用いる場合、その使用量としては、重合性基を有しないカプラー化合物と組合わせて使用される電子供与性化合物1重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。前記使用量が、0.1重量部未満であると、露光工程で潜像を形成することができないことがあり、10重量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0213】
前記発色成分Aとしてジアゾ化合物を、前記発色成分Bとして重合性基を有しないカプラー化合物を用いる場合、前記重合可能な発色抑制化合物としては、ジアゾ化合物とカプラー化合物とのカップリング反応を抑制する酸性基と、分子内に少なくとも1つのビニル基とを有する光重合性モノマー(以下、「光重合性モノマーD2」ということがある。)を用いるのが好ましい。
【0214】
前記光重合性モノマーD2としては、例えば、スチレンスルホニルアミノサリチル酸、ビニルベンジルオキシフタル酸、β−メタクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、β−アクリロキシエトキシサリチル酸亜鉛、ビニロキシエチルオキシ安息香酸、β−メタクリロキシエチルオルセリネート、β−アクリロキシエチルオルセリネート、β−メタクリロキシエトキシフェノール、β−アクリロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−アクリロキシエチル−β−レゾルシネート、ヒドロキシスチレンスルホン酸−N−エチルアミド、β−メタクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート、メタクリロキシメチルフェノール、アクリロキシメチルフェノール、メタクリルアミドプロパンスルホン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、β−メタクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、β−アクリロキシエトキシ−ジヒドロキシベンゼン、γ−スチレンスルホニルオキシ−β−メタクリロキシプロパンカルボン酸、
【0215】
γ−アクリロキシプロピル−α−ヒドロキシエチルオキシサリチル酸、β−ヒドロキシエトキニルフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシシンナメート、3,5ジスチレンスルホン酸アミドフェノール、メタクリロキシエトキシフタル酸、アクリロキシエトキシフタル酸、メタクリル酸、アクリル酸、メタクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、アクリロキシエトキシヒドロキシナフトエ酸、3−β−ヒドロキシエトキシフェノール、β−メタクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、β−アクリロキシエチル−p−ヒドロキシベンゾエート、
【0216】
β’−メタクリロキシエチル−β−レゾルシネート、β−メタクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、β−アクリロキシエチルオキシカルボニルヒドロキシ安息香酸、N,N−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N−ジ−β−アクリロキシエチルアミノサリチル酸、N,N−ジ−β−メタクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸、N,N−ジ−β−アクリロキシエチルアミノスルホニルサリチル酸等が好適に挙げられる。
【0217】
前記重合可能な発色抑制化合物として、前記光重合性モノマーD2を使用する場合、その使用量としては、重合性基を有しないカプラー化合物と組合わせて用いられるカプラー化合物1重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、0.5〜5重量部がより好ましい。前記使用量が、0.1重量部未満であると、露光工程で潜像が形成できないことがあり、10重量部を超えると、発色濃度が低下することがある。
【0218】
(マイクロカプセル)
本発明の記録材料においては、前記記録層中に、発色成分Aをマイクロカプセルに内包させた状態で含有することが好ましい。
マイクロカプセル化する方法としては、従来公知の方法を用いることができる。例えば、米国特許第2800457号、同28000458号に記載の親水性壁形成材料のコアセルベーションを利用した方法、米国特許第3287154号、英国特許第990443号、特公昭38−19574号、同42−446号、同42−771号等に記載の界面重合法、米国特許第3418250号、同3660304号に記載のポリマー析出による方法、米国特許第3796669号に記載のイソシアネートポリオール壁材料を用いる方法、米国特許第3914511号に記載のイソシアネート壁材料を用いる方法、米国特許第4001140号、同4087376号、同4089802号に記載の尿素−ホルムアルデヒド系、尿素ホルムアルデヒド−レゾルシノール系壁形成材料を用いる方法、米国特許第4025455号に記載のメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、ヒドロキシブロビルセルロース等の壁形成材料を用いる方法、特公昭36−9168号、特開昭51−9079号に記載のモノマーの重合によるin situ法、英国特許第952807号、同965074号に記載の電解分散冷却法、米国特許第3111407号、英国特許第930422号に記載のスプレードライング法等が挙げられる。
【0219】
マイクロカプセル化する方法はこれらに限定されるものではないが、特に、発色成分Aをカプセルの芯となる疎水性の有機溶媒に溶解又は分散させ調製した油相を、水溶性高分子を溶解した水相と混合し、ホモジナイザー等の手段により乳化分散した後、加温することによりその油滴界面で高分子形成反応を起こし、高分子物質のマイクロカプセル壁を形成させる界面重合法を採用することが好ましい。この方法によれば、短時間内に均一な粒径のカプセルを形成することができ、生保存性にすぐれた記録材料とすることができる。
【0220】
高分子を形成するリアクタントは、油滴内部及び/又は油滴外部に添加される。高分子物質の具体例としては、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ポリスチレン、スチレンメタクリレート共重合体、スチレン−アクリレート共重合体等が挙げられる。中でも、ポリウレタン、ポリウレア、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートが好ましく、ポリウレタン、ポリウレアが特に好ましい。上記の高分子物質は、2種以上併用して用いることもできる。
【0221】
前記水溶性高分子としては、例えば、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール等が挙げられる。例えば、ポリウレタンをカプセル壁材として用いる場合には、多価イソシアネート及びそれと反応してカプセル壁を形成する第2物質(例えば、ポリオール、ポリアミン)を水溶性高分子水溶液(水相)又はカプセル化すべき油性媒体(油相)中に混合し、これらを乳化分散した後、加温することにより油滴界面で高分子形成反応が生じ、マイクロカプセル壁を形成することができる。
【0222】
上記多価イソシアネート及びそれと反応する相手のポリオール、ポリアミンとしては、米国特許第3281383号、同3773695号、同3793268号、特公昭48−40347号、同49−24159号、特開昭48−80191号、同48−84086号に記載されているものを使用することができる。
【0223】
発色成分Aを含有するマイクロカプセルを調製する際、マイクロカプセルに内包する発色成分Aは、該カプセル中に溶液状態で存在していても、固体状態で存在していてもよい。
発色成分Aをマイクロカプセル中に溶液状態で内包させる場合、発色成分Aを疎水性の有機溶媒に溶解した状態でカプセル化すればよい。有機溶媒の使用量としては、発色成分A100重量部に対して、1〜500重量部が好ましい。
【0224】
前記疎水性の有機溶媒としては、一般に、リン酸エステル、フタル酸エステル、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、その他のカルボン酸エステル、脂肪酸アミド、アルキル化ビフェニル、アルキル化ターフェニル、塩素化パラフィン、アルキル化ナフタレン、ジアリルエタン、常温で固体の化合物、オリゴマーオイル、ポリマーオイル等が挙げられる。具体的には、特開昭59−178451〜同59−178455号、同59−178457号、同60−242094号、同63−85633号、特開平6−194825号、同7−13310号〜同7−13311号、同9−106039号の各公報及び特願昭62−75409号明細書に記載の有機溶剤が挙げられる。
【0225】
また、カプセル化しようとする発色成分Aの前記有機溶媒に対する溶解性が劣る場合には、溶解性の高い低沸点溶媒を補助的に併用することもできる。この低沸点溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、メチレンクロライド等が挙げられる。
【0226】
一方、用いる水相には水溶性高分子を溶解した水溶液を使用し、これに前記油相を投入後、ホモジナイザー等の手段により乳化分散を行うが、該水溶性高分子は分散を均一に、かつ容易にするとともに、乳化分散した水溶液を安定化させる分散媒として作用する。ここで、更に均一に乳化分散し安定化させるためには、油相あるいは水相の少なくとも一方に界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤は周知の乳化用界面活性剤が使用可能である。また、界面活性剤を添加する場合には、界面活性剤の添加量は、油相の重量に対して0.1%〜5%、特に0.5%〜2%であることが好ましい。
【0227】
発色成分Aをマイクロカプセル化する場合、マイクロカプセルの平均粒子径は、20μm以下が好ましく、高解像度を得る観点から5μm以下であることがより好ましい。形成したマイクロカプセルが小さすぎると、一定固形分に対する表面積が大きくなり多量の壁剤が必要となるため、上記平均粒子径は0.1μm以上であることが好ましい。
【0228】
本発明の光重合性組成物は、上述の本発明の記録材料のほか、インキ、カラーフィルタ、ホログラム、プルーフ、封止剤、接着剤、平板印刷、樹脂凸版、フォトレジスト等をはじめとする広い分野に利用でき、各々の用途に応じて、その他の成分を添加してもよい。また、本発明の記録材料以外に利用する場合には、3)重合可能な化合物は、上述のように発色成分B及び発色抑制化合物として機能する必要はなく、エチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物を広く利用することができる。
【0229】
多色の記録材料の場合、支持体上に単色記録層を複数積層して構成され、各記録層にそれぞれ発色色相の異なる発色成分A(マイクロカプセルに内包されていてもよい。)と、各発色成分Aと反応して発色させる部位を分子内に有する発色成分B(重合性基を有していてもよい。)と、それぞれ異なる波長の光に感光し潜像形成する光重合性組成物と、を含有させることにより多色の記録材料とすることができる。即ち、光重合性組成物にそれぞれ異なる吸収波長を有する分光増感色素を使用することにより、異なる波長の光に感光する光重合性組成物とすることができる。この場合、各単色の記録層間に中間層を設けることもできる。
【0230】
本発明の多色の多層記録材料の記録層は、例えば、以下のようにして形成することができる。
イエロー発色する発色成分AYを内包するマイクロカプセルと、発色成分AYを発色させる発色成分BYと、光源中心波長λ1に感光し潜像形成する光重合性組成物とを含有した第1の記録層を支持体上に設け、その層上に、マゼンタ発色する発色成分AMを内包するマイクロカプセルと、発色成分AMを発色させる発色成分BMと、光源中心波長λ2に感光し潜像形成する光重合性組成物とを含有した第2の記録層を設け、さらにその層上に、シアン発色する発色成分ACを内包するマイクロカプセルと、発色成分ACを発色させる発色成分BCと、光源中心波長λ3に感光し潜像形成する光重合性組成物とを含有した第3の記録層を設けて積層構造とした多層記録層α、さらに必要に応じて、この多層記録層αの各層間に中間層を設けた記録層β等により構成される。
【0231】
前記多色の多層記録層を有する記録材料を用いて画像形成する場合、画像様に露光する過程で、各記録層の吸収波長に適合した、波長の異なる複数の光源を用いて画像露光することにより、光源の吸収波長を有する記録層が選択的にそれぞれ潜像を形成するため、多色画像を高感度、かつ高鮮鋭に形成することができ、さらに記録層表面全面を光照射することにより、層内に残存する分光増感色素をはじめとする光重合性組成物による地肌部の着色を消色することができ、コントラストの高い高画質な多色画像を形成することができる。
【0232】
(支持体)
前記支持体としては、通常の感圧紙や感熱紙、乾式や湿式のジアゾ複写紙などに用いられる紙支持体はいずれも使用することができる他、酸性紙、中性紙、コート紙、プラスチックフィルムラミネート紙、合成紙、プラスチックフィルムなどを使用することができる。
【0233】
本発明の記録材料は、平版印刷、樹脂凸板、プリント基盤作製用レジスト又はフォトマスク、白黒又はカラーの転写発色用シート若しくは発色シート作製等の用途に好適に用いられる。例えば、本発明の記録材料を、感光感熱発色シートに応用する場合は、各成分を、個々にあるいは数種類の成分を組合わせて、適当な溶媒に溶解又は分散させて溶液又は分散液を調製し、これを混合して塗布液として、紙やプラスチックフィルム等の支持体上に塗布し、乾燥することにより作製することができる。例えば、所定の成分をマイクロカプセル化する場合は、いずれかの成分が内包されたマイクロカプセル分散液を調製し、別途、他の成分を溶媒に分散又は溶解させた液を調製して、これを混合して塗布液とすることができる。塗布液の調製においては、ホモジナイザー等を用いて各成分を好ましい分散状態にすることができる。
尚、塗布及び乾燥の方法としては、従来公知の方法にて行うことができる。
【0234】
本発明の記録材料は、潜像を形成するための露光と同時に、或いは、露光後に、加熱現像処理を行うことにより画像形成することができる。
加熱現像処理する際の加熱方法としては、従来公知の方法を用いることができ、一般に、その加熱温度としては、80〜200℃が好ましく、85〜130℃がより好ましい。加熱時間としては、1秒〜5分が好ましく、3秒〜1分がより好ましい。
【0235】
加熱現像処理後、記録層全面を光照射することにより、未重合であった領域も重合し形成画像を定着し、かつ記録層中に残存する分光増感色素等の地肌部の白色性を低下させる成分を消色、分解又は失活させることが好ましい。
本発明の記録材料は、従来のものと比較してより短い画像定着処理で、地肌部の残色等を防止し、地肌部の白色度をより向上させることができる。
【0236】
また、上記方法により画像形成する際、上記画像形成中に材料全面を発色温度未満の所定温度で均一に予熱する過程を設けることにより、さらに感度を向上することができる。また、前記記録方法のみならず、公知の他の記録方法にも使用することができる。
【0237】
上記のように、現像液等の使用が不要、かつ廃棄物の発生のない完全ドライの処理系において、紫外光のみならず可視光〜赤外光を用いた高感度な画像記録が可能であり、また非画像部(地肌部)の消色性に優れ、鮮明で高コントラストな白黒乃至カラーの画像を形成することができる。
【0238】
【実施例】
以下に、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」は「重量%」を意味する。
【0239】
(実施例1〜20)
下記表1の通り、上記例示の分光増感色素(前記一般式(1)で表される化合物)及び有機ホウ素化合物を用い、下記組成の光重合性組成物を調製した。
〔光重合性組成物の組成〕
・ペンタエリスリトールテトラアクリレート・・・・・・・・ 1.41g
・メタクリル酸ベンジル/メタクリル酸・・・・・・・・・・ 1.29g
(モル比73/27共重合体)
・メチルエチルケトン・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 12g
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート・・・ 8.62g
・分光増感色素(前記例示化合物;下記表1参照)・・・・1×10-4モル
・下記有機ホウ素化合物(下記表1参照)・・・・・・・・6×10-4モル
・メタノール・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 6g
尚、下記表1〜3中のボレート(1)〜(3)(有機ホウ素化合物)の構造を以下に示す。
【0240】
【化40】
【0241】
調製した光重合性組成物の各々を、100μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に2μmの厚みで塗布し、100℃で5分間乾燥した。その上に、さらに下記保護層用塗布液(1)を1μmの厚みで塗布し、100℃で2分間乾燥して、本発明の感光材料(1)〜(20)を作製した。
【0242】
〔保護層用塗布液(1)の組成〕
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 98g
・ポリビニルアルコール・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1.7g
・ヒドロキシプロピルメチルセルロース・・・・・・・・・・ 1.7g
・ポリビニルピロリドン・・・・・・・・・・・・・・・・・ 8.7g
【0243】
(比較例1〜3)
実施例1で用いた分光増感色素(例示化合物No.2)を、下記表1の通り、下記分光増感色素d−1〜d−3のいずれかに代えたこと以外、実施例1と同様にして感光材料(21)〜(23)を作製した。
【0244】
【化41】
【0245】
<画像形成及び評価>
作製した本発明の感光材料(1)〜(20)及び比較例の感光材料(21)〜(23)を、それぞれ真空焼枠装置を用いて露光した。感光材料への露光は、ステップウエッジ(濃度段差0.15、濃度段数1〜15段、「富士ステップガイドP」(富士写真フイルム(株)製)及び「SC38フィルター」(380nm以下の光をカットするシャープカットフィルター;富士写真フイルム(株)製))を通して、500Wキセノンランプ(ウシオ(株)製)で10秒間光を照射することにより行った。露光後、下記組成の現像液を用いて、感光材料を各々現像した。
【0246】
〔現像液の組成〕
・無水炭酸ソーダ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 10g
・ブチルセロソルブ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 5g
・水・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1l
【0247】
上記現像により、ステップウエッジの高い段数に相当する領域への露光量は少ないため、該領域の光重合性組成物は現像液中に溶出し、ポリエチレンテレフタレート(PET)面が露出した。各々の実施例の感光材料について、光重合性組成物が完全に溶出しPET面が露出した領域を調べ、最も露光量の多かった領域に相当するステップウェッジの段数(クリア段数)を求めた。求めた段数が高い程、感光材料の感度が高いことを意味する。結果を下記表1に示す。
尚、感度が低く、露光したすべての領域にわたって光重合性組成物が現像液中に溶出した場合は、表中に“流れ”と表示した。尚、下記表1中の分光増感色素の欄の番号(No.)は、既述の一般式(1)で表される例示化合物の番号(No.)に相当する。以下、表2においても同様である。
【0248】
【表1】
【0249】
上記表1の結果から、分光増感色素として一般式(1)で表される化合物を用いた本発明の感光材料(1)〜(20)では、高感度に画像形成することができた。一方、本発明で規定する前記分光増感色素を用いなかった、比較例の感光感光材料(21)〜(23)では、十分な感度を得ることはできなかった。
【0250】
(実施例21)
−電子供与性無色染料(1)内包マイクロカプセル液の調製−
酢酸エチル16.9gに、下記電子供与性無色染料(1)8.9gを溶解し、さらにカプセル化剤として、「タケネートD−110N」(武田薬品工業(株)製)20gと「ミリオネートMR200」(日本ポリウレタン工業(株)製)2gを添加した。この溶液を8%のフタル化ゼラチン42gと10%のドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム溶液1.4gの混合液に添加し、20℃で乳化分散し乳化液を得た。得られた乳化液に水14gと2.9%のテトラエチレンペンタミン水溶液72gを加え、攪拌しながら60℃に加温し、2時間後に電子供与性無色染料(1)を芯に内包した、平均粒径0.5μmのマイクロカプセル液を得た。
【0251】
【化42】
【0252】
−光重合性組成物の乳化液の調製−
既述の分光増感色素(例示化合物No.2;下記表2参照)0.05gと、前記ボレート(1)(有機ホウ素化合物)0.3gと、下記重合助剤(1)0.05gと、下記重合性の電子受容性化合物(1)4.2gに酢酸イソプロピル5.3gを添加し攪拌溶解した。
【0253】
【化43】
【0254】
この溶液を、8%ゼラチン水溶液13gと、2%の下記界面活性剤(1)水溶液0.8gと、2%の下記界面活性剤(2)水溶液0.8gとの混合溶液中に添加し、ホモジナイザー(日本精機(株)製)にて10000回転で5分間乳化し、光重合性組成物の乳化液を得た。
【0255】
【化44】
【0256】
−記録層用塗布液の調製−
前記電子供与性無色染料(1)カプセル液4gと、光重合性組成物の乳化液12gと、15%ゼラチン水溶液12gとを混合し、記録層用塗布液を調製した。
【0257】
−保護層用塗布液(2)の調製−
10%ゼラチン水溶液4.5gと、蒸留水4.5gと、2%の下記界面活性剤(3)水溶液0.5gと、2%の下記界面活性剤(4)水溶液0.3gと、2%の下記硬膜剤(1)水溶液0.5gと、「サイロイド72」(FUJI−DEVISON CHEMICALLTD.製)を塗布量が50mg/m2となるだけの量と、「スノーテックスN」1gとを混合し、保護層用塗布液(2)を調製した。
【0258】
【化45】
【0259】
−感光感熱記録材料の作製−
白色顔料を充填した厚み100μmの白色のポリエステルフィルム(「ルミラーE68L」、東レ(株)製)を支持体として準備した。該支持体上に、前記記録層用塗布液をコーティングバーを用いて、塗布層の乾燥重量が6g/m2となるように塗布し、30℃で10分間乾燥した。この上に、前記保護層用塗布液(2)をコーティングバーを用いて塗布層の乾燥重量が2g/m2になるように塗布し、30℃で10分間乾燥して、本発明の感光感熱記録材料(a)を得た。
【0260】
(実施例22〜30)
実施例21で用いた分光増感色素(例示化合物No.2)及び有機ホウ素化合物(ボレート(1))を、下記表2の通り、各々上記例示の分光増感色素(前記一般式(1)で表される化合物)及び有機ホウ素化合物に代えたこと以外、実施例21と同様にして、本発明の感光感熱記録材料(b)〜(j)を得た。
【0261】
(比較例4〜5)
実施例21で用いた分光増感色素(例示化合物No.2)を、下記表2の通り、前記分光増感色素d−2又はd−3に代えたこと以外、実施例21と同様にして、感光感熱記録材料(k)及び(l)を得た。
【0262】
<画像形成及び評価>
作製した本発明の感光感熱記録材料(a)〜(j)及び比較例の感光感熱記録材料(k)〜(l)を、それぞれ真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及びSC38フィルターを通して500Wキセノンランプで30秒間光を照射し、各々潜像を形成した。その後、各々の感光感熱記録材料を、125℃の熱板で15秒間加熱したところ、未露光部では電子供与性無色染料(1)と重合性の電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。発色が起こらなかった領域を調べ、最も露光量の少なかった領域に相当するステップウェッジの段数(クリア段数)を求めた。求めた段数が高い程、感光感熱記録材料の感度が高いことを意味する。
結果を下記表2に示す。尚、感度が低く、全ての段で発色が起きた場合は、表2中に“ベタ”と表示した。
【0263】
さらに、蛍光灯(30000ルクス)下で10分間曝光した後、透過マクベス濃度計でイエロー、マゼンタ及びシアンの地肌部の濃度を測定した。含有された分光増感色素の該露光による消色性が良好である程、地肌部のカブリ濃度が低くなる。結果を下記表2に示す。
【0264】
【表2】
【0265】
上記表2の結果から、分光増感色素として一般式(1)で表される化合物を用いた本発明の感光感熱記録材料(a)〜(j)では、高感度が得られ、しかも消色性にも優れ、鮮明で高コントラストな画像を形成することができた。
一方、本発明で規定する前記分光増感色素を用いなかった、比較例の感光感熱記録材料(k)及び(l)では、高感度が得られず、消色性にも劣っていた。
【0266】
(実施例31〜36)
実施例21で用いた、分光増感色素(例示化合物No.2)及び有機ホウ素化合物(ボレート(1))を、下記表3の通り、既述の分光増感色素(例示化合物No.3;一般式(1)で表される化合物)及び下記ラジカル発生剤(発生剤1〜5)にそれぞれ代え、更に重合助剤(1)0.05gを、下記重合助剤(2)0.19gに代えたこと以外、実施例21と同様にして、本発明の感光感熱記録材料(m)〜(r)を得た。
【0267】
【化46】
【0268】
(比較例6〜11)
実施例31〜36において、各々について分光増感色素を添加しなかったこと以外、実施例31〜36と同様にして、比較例の感光感熱記録材料(s)〜(x)を得た。
【0269】
<画像形成及び評価>
作製した本発明の感光感熱記録材料(m)〜(r)及び比較例の感光感熱記録材料(s)〜(x)を、それぞれ真空焼枠装置を用いて、ステップウェッジ及び438nmを最大透過波長とするバンドパスフィルター(MIF−W型,日本真空光学(株)製)を通して2000Wキセノンランプで200秒間光を照射し、各々潜像を形成した。その後、各々の感光感熱記録材料を、120℃の熱板で15秒間加熱したところ、未露光部では電子供与性無色染料(1)と重合性の電子受容性化合物(1)とが反応した際に生じるマゼンタ色の発色を生じ、露光部では発色濃度が低下ないし発色が起こらなかった。発色が起こらなかった領域を調べ、最も露光量の少なかった領域に相当するステップウェッジの段数(クリア段数)を求めた。求めた段数が高い程、感光感熱記録材料の感度が高いことを意味する。結果を下記表3に示す。尚、感度が低く、全ての段で発色が起きた場合は、表3中に“ベタ”と表示した。
【0270】
さらに、蛍光灯(30000ルクス)下で10分間曝光した前後の、各感光感熱記録材料の436nmにおける反射濃度を、分光光度計(UV3100S、島津製作所(株)製)を用いて測定した。含有された分光増感色素の該露光による消色性が良好である程、濃度は低くなる。結果を下記表3に示す。
【0271】
【表3】
【0272】
上記表3の結果から、分光増感色素として一般式(1)で表される化合物を用いた本発明の感光感熱記録材料(m)〜(r)では、比較例の感光感熱記録材料(s)〜(x)に比べ、ラジカル発生剤の吸収のない、又は吸収の少ない波長領域での分光増感が可能で、しかも高感度であり、更に後露光での分光増感色素の消色性も良好であった。
【0273】
【発明の効果】
本発明によれば、紫外光のみならず可視光〜赤外光に対して高感度に感応しうる光重合性組成物を提供することができる。また、現像液等の使用が不要、かつ廃棄物の発生のない完全ドライの処理系で、紫外光のみならず可視光〜赤外光を用いた高感度な画像記録が可能でかつ非画像部(地肌部)の消色性に優れ、鮮明で高コントラストな白黒乃至カラーの画像を形成しうる記録材料を提供することができる。
Claims (9)
- 重合可能な化合物、下記一般式(1)で表される化合物、及び下記一般式(1)で表される化合物と相互作用してラジカル又はカチオンを発生し得る化合物を含有することを特徴とする光重合性組成物。
- ラジカル又はカチオンを発生し得る化合物が、有機ホウ素化合物、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、鉄アレン錯体、S−トリアジン誘導体、有機過酸化物、チタノセン、トリアリールイミダゾール二量体及びアジニウム塩より選択される少なくとも一種である請求項1に記載の光重合性組成物。
- 重合可能な化合物がエチレン性不飽和結合を有する重合可能な化合物であり、ラジカル又はカチオンを発生し得る化合物が有機ホウ素化合物である請求項1に記載の光重合性組成物。
- 支持体上に記録層を有してなり、該記録層が、発色成分Aと、該発色成分Aと反応して発色させる部位を有する発色成分Bと、請求項1から4のいずれかに記載の光重合性組成物と、を少なくとも含有することを特徴とする記録材料。
- 重合可能な化合物の少なくとも一つが発色成分Bである請求項5に記載の記録材料。
- 重合可能な化合物が、同一分子内に前記発色成分AとBとの反応を抑制する部位を有する発色抑制化合物である請求項5に記載の記録材料。
- 発色成分Aが、マイクロカプセルに内包されている請求項5から7のいずれかに記載の記録材料。
- 中心波長λ1の光に感光する第1の記録層、中心波長λ2の光に感光し第1の記録層と異なる色に発色する第2の記録層、・・・、中心波長λiの光に感光し第1、第2、・・・、及び第i−1の記録層と異なる色に発色する第iの記録層の順に積層された多層構造を有する請求項5から8のいずれかに記載の記録材料。
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