JP7224540B2 - 鉛筆芯 - Google Patents

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Description

本明細書は、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などにも汚れが付きにくい鉛筆芯に関する。
一般の焼成鉛筆芯は、色材として黒鉛を使用するので、筆跡は黒鉛のa-b面が紙面を覆う形となり、そのa-b面が光を反射し、筆跡が黒く見え辛いという欠点を持っていた。そのため、鉛筆芯の筆跡の濃度向上のために様々な工夫がなされてきている。
筆跡の濃度向上を図った場合、色材としての黒鉛を多量に筆記面に移すことになるため、相対する性能として、定着性(描線を擦ったときの汚れにくさ)が挙げられる。即ち、筆跡の濃度向上を目指せば定着性が劣り、逆に定着性を良好にすれば筆跡の濃度に難が出てくると言える。
そこで、鉛筆芯の分野においては、これらの性能を両立させるべく鋭意研究がなされてきている。
例えば、焼成芯体の気孔中に油状物を含浸してなる鉛筆芯において、前記油状物が、常温で固体状のシリコーンオイル等の油状物と、この固体状の油状物と非相溶性の常温で液状の油状物とを、焼成鉛筆芯の細孔内に含浸させ、描線の反射濃度と、描線の定着性について検討を行っている焼成鉛筆芯が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここでの「定着性良好」とは、擦過による汚れが推定20%超であるところを10%台に抑制させるものであり充分とはいえなかった。
また、焼成により得られる多孔に、含浸成分を含浸させてなる鉛筆芯において、前記含浸成分が、シリコーンオイル等と、炭素数14~50(C14~C50)の極性基を有する有機物とを、焼成鉛筆芯の細孔内に含浸させ、濃い筆跡と、描線の定着性とを両立させようとしている鉛筆芯が知られている(例えば、特許文献2参照)。この場合も「定着性良好」とは、更に悪く擦過による汚れが推定20%超であるところを20%程度に抑制させるものであり、更に充分といえなかった。
更に、窒化硼素と、炭素より成る焼結体と、該焼結体の気孔中に充填されている粘着物とから構成され、その粘着物と筆記される製図用フイルムとの、はく離強さが50g/2.5cm以上であって、焼成芯の細孔内に粘着物(粘着性ワックス、ワックスと樹脂の混合物)を配合し、高強度で、濃度も高く、製図用フィルムに対する定着性に優れた「鉛芯」が開示されている(例えば、特許文献3参照)。この「鉛芯」は、製図用フィルムに対する定着性に優れるものであり、紙面に対しては粘着性が強すぎると考えられるものである。
また、黒鉛を分散含有する焼成芯体とこの焼成芯体の気孔中に含浸された油状物とよりなる鉛筆芯において、前記油状物の少なくとも一部として、ワックスならびにロジン系樹脂及び/又は石油樹脂との相溶物を含浸させ、紙面に対する濃度向上と定着性向上を両立させた鉛筆芯が開示されている(例えば、特許文献4参照)。しかしながら、ここで言う「定着性向上」は擦過による汚れを推定で10%程度に抑制するものであり、不十分なものであると思われる。
更に本出願人より、白色若しくは単色の多孔質焼成芯の気孔内に、特定の顔料と、ホホバ油等を含浸して、発色性、描線濃度、描き味、耐光性、及び、機械強度に優れた鉛筆芯が開示されている(例えば、特許文献5参照)。この鉛筆芯では、黒鉛を使用するものではなく、紙面への定着性についての開示や配慮はなされていないものである。
特開平5-271604号公報(発明の詳細な説明、実施例等) 特開2005-314620号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等) 特開昭60-105598号公報(発明の詳細な説明、実施例等) 特開平3-31377号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等) 特開2002-179975号公報(特許請求の範囲、発明の詳細な説明等)
本開示は、上記従来技術の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯を提供することを目的とする。
本発明者は、上記従来の課題等に鑑み、これを解消しようとするものであり、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、特定の油成分等を含浸することにより、上記目的の鉛筆芯が得られることを見出し、本開示を完成するに至ったのである。
すなわち、本開示の鉛筆芯は、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、少なくとも、エルカ酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、プロピレングリコールモノオレエートから選ばれる化合物を含浸することを特徴とする。
前記黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、前記エルカ酸オクチルドデシルを含む混合物であるホホバ油を含浸することが好ましい。
前記化合物又はホホバ油に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含浸することが好ましい。
前記化合物又はホホバ油は、含浸油中に60質量%以上含まれることが好ましい。
本開示によれば、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯が提供される。
本開示の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるものである。上述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本開示を制限するものではない。
以下に、本開示の実施形態について詳しく説明する。但し、本開示の技術的範囲は下記で詳述するそれぞれの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
本開示の鉛筆芯は、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、少なくとも、エルカ酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、プロピレングリコールモノオレエートから選ばれる化合物を含浸することを特徴とするものである。
本開示において、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体は、従来から用いられている配合材料及び製造方法などにより得ることができ、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体であれば、その配合材料種、製造方法は特に限定されるものでない。
例えば、鉛筆芯がシャープペンシル用では、配合材料として、黒鉛を少なくとも含有するものであり、また、シャープペンシル以外の黒色の多孔質焼成芯体では、少なくとも黒鉛と、体質材とセラミック結合材などとを含有することが好ましい。
また、シャープペンシル用多孔質焼成芯体では、その他の成分として、結合材としてポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、フェノール樹脂、ピッチ、セルロース、ポリアクリロニトリル、ナノ粒子として、平均粒径100nm以下の金属ナノ粒子、ダイヤモンドナノ粒子、これらのナノ粒子等からなる母材に対してアモルファスカーボン、黒鉛、ダイヤモンド及びセラミック材料などを被覆した被覆ナノ粒子、フラーレンなどのカーボン粒子、安定剤として、ステアリン酸Ca-Zn、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、可塑剤としてジオクチルフタレート、ジオクチルアジペート、フタル酸ジイソブチル、焼成鉛筆芯では、その他の成分として、色材、潤滑剤、バインダー成分、各種シリコーンオイル、ラード、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、セルロイド及びその他の熱可塑性樹脂、有機溶剤等を用いることができる。
用いることができる黒鉛としては、鱗片状天然黒鉛などの天然黒鉛、人造黒鉛、キッシュ黒鉛、膨張黒鉛、膨張化黒鉛などが挙げられ、セラミック結合材としては、結晶質又は非晶質のSiO、Si、Al、ZrO、MgO、窒化ホウ素、B、AlNなどが挙げられ、これらは各単独又は2種以上を用いてもよいものである。
なお、本開示(後述する実施例等を含む)における平均粒径は、レーザー回折・散乱法における測定結果から体積で重みづけされた体積平均径(mv値)をいい、例えば、ナノ粒子では、ナノトラック〔日機装社製、UPA-EX150(内部プローブ型)〕を用いて測定することができる。
体質材としては、従来の鉛筆芯に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、窒化ホウ素、カオリン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム等の白色系体質材や、鉛筆芯の色相によっては、有色系の体質材も使用することができ、当然これら数 種類の混合物も使用できる。特に、好ましくは、その物性、形状から窒化ホウ素、カオリン、タルクが挙げられる。
バインダー成分としては、従来の鉛筆芯に使用されているものであれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用することができる。例えば、カルボキシルメチルセルロース等のセルロース類、ポリビニルピロニドン等のポリビニル類、ポリオキシエチレン等のポリエーテル類、ポリアクリル酸等のアクリル酸類、テトラエチルオルソシリケート(TEOS)縮合体等の無機高分子、モンモリロナイト等の粘土、セラミックガラス等が挙げられる。これらは、単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
また、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩素化塩化ビニル、ポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトンなどを挙げられる。
用いる有機溶剤は、上記熱可塑性樹脂を溶解し得る可塑剤となるものが好ましく、具体的には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、トリクレジルホスフェート、ジオクチルアジペート、ジアリルイソフタレート、プロピレンカーボネート、アルコール類、ケトン類、エステル類などを用いることができる。
本開示において、焼成鉛筆芯体は、各鉛筆芯種、例えば、シャープペンシル用焼成鉛筆芯やシャープペンシル以外の焼成鉛筆芯に用いる各成分(黒鉛、カーボンブラック、ナノ粒子、体質材、界面活性剤、香料、熱可塑性樹脂、有機溶剤など)を混練、成型、乾燥及び非酸化性雰囲気下で焼成処理して得ることができる。
例えば、鉛筆芯がシャープペンシル用の製造では、好ましくは、強度、濃度、書き味の点から、鉛筆芯配合組成物全量に対して、(a)上記黒鉛やカーボンブラック30~70質量%、(b)ナノ粒子0.01~1質量%を用いて、その他の成分である(c)熱可塑性合成樹脂30~60%、(d)該熱可塑性合成樹脂を溶解し得る有機溶剤0~30%を、ヘンシェルミキサーで分散混合し、加圧ニーダー、二本ロールで混練し、押出成型機により成型した後、電気炉で110~250℃で乾燥して、焼成前の鉛筆芯形成用の芯体を成形し、窒素などの不活性ガス雰囲気下で800~1400℃、20~40時間で焼成することにより鉛筆芯体を製造することができる。
本開示では、上述に如く、従来から用いられている配合材料及び製造方法などにより得られる少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、少なくとも、エルカ酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、プロピレングリコールモノオレエートから選ばれる化合物を含浸することにより、目的の鉛筆芯を得ることができる。
好ましくは、エルカ酸オクチルドデシルを含む混合物であるホホバ油を含浸することができる。
本開示に用いるホホバ油は、ホホバ(Simmondsia chinensis)の種子から圧搾等により抽出される植物油で、主にエルカ酸オクチルドデシルを含む直鎖長鎖エステル(液状ワックス)であり一般的な植物油と異なり、酸化への耐性が強く、安定性も高く、圧搾油の精製油、脱臭油および水素添加油などを用いることができ、市販品があれば、それらを使用することができる。
上記化合物(ホホバ油含む)から選ばれる少なくとも1種の(合計)含有量は、本発明の効果を発揮せしめる点から、含浸油中に60質量%以上含まれることが。好ましくは、更に好ましくは、80~100質量%である。
上記エルカ酸オクチルドデシル、該エルカ酸オクチルドデシルを含む混合物であるホホバ油、パルミチン酸イソプロピル、オレイン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、プロピレングリコールモノオレエートは、従来のジメチルシリコーン油などの含浸油に較べ、上述の黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に含浸処理等を施すと、今までにない筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯が得られるものとなる。
本開示では、本開示の効果の更なる向上の点、特に定着性向上の点等から、前記化合物(ホホバ油含む)から選ばれる少なくとも1種に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂の中から選ばれる少なくとも1種を併用することが望ましい。
用いることができるテルペンフェノール樹脂は、テルペン化合物とフェノール類を、フリーデル・クラフツ触媒のもとでカチオン重合により共重合したものである。
上記テルペン化合物は、一般に、イソプレン(C)の重合体で、モノテルペン(C1016)、セスキテルペン(C1524)、ジテルペン(C2032)等に分類され、これらを基本骨格とする化合物である。これらの中で、本開示では、モノテルペン、セスキテルペン、ジテルペンが好ましく、セスキテルペン、モノテルペンがより好ましく用いられる。これらテルペン化合物としては、例えば、ミルセン、アロオシメン、オシメン、α-ピネン、β-ピネン、ジペンテン、リモネン、α-フェランドレン、α-テルピネン、γ-テルピネン、テルピノレン、1,8-シネオール、1,4-シネオール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、カンフェン、トリシクレン、サビネン、パラメンタジエン類、カレン類が挙げられる。これらの中では、α-ピネン、β-ピネン、リモネン、ミルセン、アロオシメン、α-テルピネンが好ましい。
フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、キシレノール、プロピルフェノール、ノリルフェノール、ハイドロキノン、レゾルシン、メトキシフェノール、ブロモフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFが挙げられる。これらの中では、フェノール、クレゾールが好ましい。
テルペンフェノール樹脂は、いわゆるタッキファイヤー(粘着性付与樹脂)の一種であり、通常分子量が数百~数千までの無定形オリゴマーであるとされている。テルペンフェノール樹脂の他のテルペン系樹脂には、テルペン樹脂、芳香族変性テルペン樹脂ならびに水素化テルペン樹脂が存在する。本開示では、テルペンフェノール樹脂を水素添加処理して得られた水添テルペンフェノール樹脂であってもよい。
本開示では、テルペンフェノール樹脂の市販品があれば、それらを使用することができ、例えば、ヤスハラケミカル社製のポリスターシリーズやマイティーエースシリーズの商品名で市販されており容易に入手できる。具体的には、YSポリスターT30、YSポリスターT80、YSポリスターT160(以上、ヤスハラケミカル社製)などが挙げられる。
本開示に用いるロジンエステル樹脂は、アビエチン酸を主成分とするロジン樹脂、不均化ロジン樹脂及び水添ロジン樹脂、アビエチン酸等の樹脂酸の二量体(重合ロジン樹脂)等を、アルコールによってエステル化させて得られた樹脂である。エステル化に用いたアルコールの水酸基の一部がエステル化に使用されずに樹脂内に含有されることで、水酸基価が上記範囲に調整される。アルコールとしては、エチレングリコール、グリセリン、ペンタエリスリトール等の多価アルコールが挙げられる。
なお、ロジン樹脂をエステル化した樹脂がロジンエステル樹脂、不均化ロジン樹脂をエステル化した樹脂が不均化ロジンエステル樹脂、水添ロジン樹脂をエステル化した樹脂が水添ロジンエステル樹脂、重合ロジン樹脂をエステル化した樹脂が重合ロジンエステル樹脂であり、本開示では、これらのいずれも用いることができる。
上記ロジンエステル樹脂としては、例えば、荒川化学工業社製のエステルガムHP、ハリマ化成社製のハリタックF85などが挙げられる。
用いることができるケトン樹脂は、市販品を用いることができ、ケトンレジンK-90(荒川化学工業社製)などが挙げられ、
用いることができるロジン変性フェノール樹脂としては、次のようなものがあげられる。p-オクチルフェノール、p-ノニルフェノールのようなp-アルキルフェノールとパラホルムアルデヒド、及びロジンをトルエンに溶解させ、酸、あるいは、アルカリ触媒下で反応後、グリセリン、ペンタエリスリトール、あるいは、ロジンを200℃で溶融し、レゾール樹脂を加えて反応後、グリセリンでエステル化したロジン変性フェノール樹脂、あるいは、ロジンのグリセリンエステルにレゾール樹脂を加えて反応させたロジン変性フェノール樹脂、あるいはロジン変性アルキド樹脂とフェノール樹脂を反応させたロジン変性フェノール樹脂等が挙げられ、市販品では、荒川化学工業(株)製のタマノル135、タマノル350、タマノル354などが挙げられる。
本開示では、上述した、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に含浸成分として上記化合物(ホホバ油含む)から選ばれる少なくとも1種を含浸させることにより、目的の鉛筆芯が得られるものであり、好ましくは、上記化合物(ホホバ油含む)から選ばれる少なくとも1種に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂(これらを「A群」という)から選ばれる少なくとも1種を含浸成分として加えることにより、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを更に高度に両立させ、しかも、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯が得られることとなる。
上記化合物(ホホバ油含む)から選ばれる少なくとも1種に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂(A群)から選ばれる少なくとも1種を含浸成分として用いる場合、上記各化合物(ホホバ油含む)から選ばれる少なくとも1種の(合計)含有量は、書き味の点、摩耗量の点から含浸油中に60質量%以上(A群は40質量%以下)含まれることが好ましく、更に好ましくは、60~80質量%(A群は20~40質量%)である。
本開示において、上記構成の多孔質焼成芯体の気孔中に含浸処理する方法としては、特に限定されないが、例えば、上記化合物(ホホバ油含む)から選ばれる少なくとも1種(各化合物60~100質量%)を、または、上記化合物(ホホバ油含む)(60質量%以上)に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂(A群)から選ばれる少なくとも1種を、そのまま、または、これらをエチレングリコール、エタノール、2-エチルヘキサノール、ブチルセルソルブ、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、イソプロパノール、プロピレングリコールなどの溶剤で希釈した溶液中に少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体を浸漬、必要に応じて、加熱浸漬、また、減圧、加圧を用いて十分に含浸させた後、溶剤を除去(乾燥)させることで行うことができる。
上記含浸処理では、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、上記化合物(ホホバ油含む)の(合計)含浸量、または、上記化合物(ホホバ油含む)に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂(A群)から選ばれる少なくとも1種の(合計)含浸量については、特に限定されないが、鉛筆種、気孔率等により変動するが、鉛筆芯体重量に対して、好ましくは、0.1~30質量%程度の量で、十分に本開示の効果を発揮せしめることができ、更に好ましくは、0.5~25質量%である。
このように構成される本開示では、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、少なくとも、上記化合物(ホホバ油含む)を含浸させることにより含有すると、また、好ましい形態となる上記化合物(ホホバ油含む)に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含浸させることにより含有すると、芯が摩耗する際に浸透して崩れやすく、摩耗粉は紙面へ定着しやすくなることにより、平滑な紙面等に濃く筆記可能となることにより、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、従来よりも定着性に優れるので、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯が得られることとなる。
次に、実施例及び比較例により、本開示を更に詳述するが、本開示は下記実施例等により限定されるものではない。
(実施例1)
下記方法により、少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体(焼成鉛筆芯体)を作製した。
鱗片状天然黒鉛 40質量部
ナノ粒子:ダイヤモンドナノ粒子(粒径:mv値50nm) 0.4質量部
ポリ塩化ビニル 40質量部
ステアリン酸ナトリウム 1質量部
ジオクチルフタレート 15質量部
上記ナノ粒子とジオクチルフタレートをビーズミルで180分間分散させ、他の上記材料をヘンシェルミキサーで混合分散(混合分散時間20分、以下同様)し、加圧ニーダー、ロールで混練し、成形後、ジオクチルフタレートを乾燥後、窒素(N)雰囲気中にて1000℃、10時間で焼成処理することによって、直径0.565mm、長さ60mmの焼成鉛筆芯体を製造した。
次いで、この焼成鉛筆芯体を、ホホバ油(NIKKOL ホホバ油S、日光ケミカルズ社製)70質量%とテルペンフェノール樹脂A(YSポリスターT160、ヤスハラケミカル社製)30質量%との混合油中に浸漬し、150℃-24時間含浸処理し、鉛筆芯を製造した。なお、重量測定により、芯体中の上記含浸量は、芯体重量に対して14.5質量%であることを確認した。
(実施例2~18及び比較例1~5)
上記実施例1で得た焼成鉛筆芯体を、下記表1に示す配合組成の混合油または各化合物(ホホバ油含む)中に浸漬し、上記実施例1と同様に、含浸処理し、鉛筆芯を製造した。なお、上実施例1と同様に、重量測定により、各芯体中の上記含浸量を下記表1に表記する。
上記実施例2~18及び比較例1~5で得られた各鉛筆芯について、下記各評価方法により筆記描線の濃度、定着性の測定評価を行った。
これらの結果を下記表1に示す。
(筆記描線濃度の評価方法)
三菱鉛筆社製のシャープペンシル(M5-450 1P)に装填し、JIS S 6005:2007に規定されている濃度試験で筆記した鉛筆芯の描線を濃度計(コニカミノルタ社製 DENSITOMETER PDA65)で測定し、下記3段階の評価基準(平均値、n=10)で評価した。
評価基準:
A:同硬度並み
B:半硬度程度薄い
C:度以上薄い
〔定着姓(汚れ性)の評価方法〕
三菱鉛筆社製のシャープペンシル(M5-450 1P)に装填し、JIS S 6005:2007に規定されている濃度試験で筆記した鉛筆芯の描線を垂直荷重500gのフェルトで描線からはみ出す様に4往復擦過し、描線の汚れが広がった部分を濃度計(コニカミノルタ社製、DENSITOMETER PDA65)で測定し、下記4段階の評価基準(平均値、n=10)で評価した。
評価基準:
A:1硬度以上汚れにくい
B:1硬度程度汚れにくい
C:半硬度分汚れにくい
D:同硬度並み
Figure 0007224540000001
上記表1中の*1~*9は、下記のとおりである。
*1:NIKKOL ホホバ油S (日光ケミカルズ社製)
*2:YSポリスターT160(ヤスハラケミカル社製)
*3:YSポリスターT160(ヤスハラケミカル社製)
*4:エステルガムHP(荒川化学社製)
*5:ケトンレジンK-90(荒川化学社製)
*6:タマノル135(荒川化学社製)
*7:KF96-30cs、信越化学社製
*8:パラフィンワックス、日本精蝋株式会社製
*9:PAO-4、フィリップス社製
上記表1の結果から明らかなように、本開示範囲となる実施例1~18の鉛筆芯は、本開示の範囲外となる比較例1~5に較べて、筆記描線の濃度向上と、定着性の向上とを高度に両立でき、筆記している手などに汚れも付きにくい鉛筆芯となることが判明した。
本開示の鉛筆芯は、木軸鉛筆芯、シャープペンシル用などに好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 少なくとも黒鉛を含み黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、少なくとも、エルカ酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、プロピレングリコールモノオレエートから選ばれる化合物を含浸することを特徴とする鉛筆芯。
  2. 前記黒色の多孔質焼成芯体の気孔中に、前記エルカ酸オクチルドデシルを含む混合物であるホホバ油を含浸することを特徴とする請求項1に記載の鉛筆芯。
  3. 前記化合物又はホホバ油に加え、テルペンフェノール樹脂、ロジンエステル樹脂、ケトン樹脂及びロジン変性フェノール樹脂から選ばれる少なくとも1種を含浸することを特徴とする請求項1又は2に記載の鉛筆芯。
  4. 前記化合物又はホホバ油は、含浸油中に60質量%以上含まれることを特徴とする請求項1~3の何れか一つに記載の鉛筆芯。
JP2022518840A 2020-10-14 2021-10-05 鉛筆芯 Active JP7224540B2 (ja)

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