JP2002179975A - 油溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法 - Google Patents

油溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法

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JP2002179975A
JP2002179975A JP2000382316A JP2000382316A JP2002179975A JP 2002179975 A JP2002179975 A JP 2002179975A JP 2000382316 A JP2000382316 A JP 2000382316A JP 2000382316 A JP2000382316 A JP 2000382316A JP 2002179975 A JP2002179975 A JP 2002179975A
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Katsunori Kitazawa
勝徳 北澤
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鮮やかな発色性、十分な描線濃度を持ちなが
ら、滑らかな書き味、耐光性に優れた描線が描け、その
描線が油脂類で容易に溶解し、かつ曲げ強度等の機械的
強度に優れ、シャープペンシル、ホルダー用の細径色鉛
筆芯にも好適な油溶性焼成鉛筆芯及びその製造方法を提
供する。 【解決手段】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体の気
孔内に、少なくとも下記一般式(I)で示される化合物
を出発材料とした顔料と、ワセリン、流動パラフィン、
スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひまし
油、パーム油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、融
点60℃以下のパラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス等の低融点ワックスのうち、少なくとも1
種類のオイル及び/又はワックスとを含有することを特
徴とする油溶性焼成色鉛筆芯。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鮮やかな発色性、
十分な描線濃度を持ちながら、耐光性に優れた描線が描
け、その描線が油脂類で容易に溶解し、かつ曲げ強度等
の機械的強度に優れ、シャープペンシル、ホルダー用の
細径色鉛筆芯にも好適な油溶性焼成色鉛筆芯及びその製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来における焼成色鉛筆芯は、シャープ
ペンシル用とされることが多く、その製法としては窒化
ホウ素等の体質材、粘土等の結合材等からなる配合組成
物を混練、押出成形し、更に熱処理後、多孔質芯体と
し、この芯体の気孔内に染料、溶剤等からなるインキを
充填させる方法が主たる製法である。
【0003】この染料インキに油性インキ、あるいは油
脂類と相溶するインキを使用すると、油溶性色鉛筆芯と
なり得るが、油脂類に対する溶解度が不十分であり、ま
た、着色剤が染料であるため、耐光性等の経時安定性が
劣ることとなる。また、顔料分散インキが含浸可能なレ
ベルの大きさの気孔を持つ芯とすると、強度が弱く、シ
ャープペンシル用芯として実用に供さないものである。
【0004】高強度の芯体を得る方法として、例えば、
特開平8−48931号公報、特開平9−67540号
公報、特開平2000−17220号公報、特開平20
00−17221号公報等が開示されているが、いずれ
の方法でも描線濃度として十分な量の顔料分散インキを
含浸でき、かつ、シャープペンシル用芯として実用レベ
ル以上の強度をもつ焼成芯体を得ることは困難である。
そこで、本発明者らにより、シャープペンシル用多孔質
芯体の気孔内で有機顔料を化学反応等で生成させる方法
として、例えば、特開平8−143810号公報、特開
平8−143811号公報、特開平8−143812号
公報、特開平8−259874号公報、特願平11−1
49188号等を出願している。
【0005】また、通常の木軸の非焼成色鉛筆芯は、顔
料、体質材、糊料、ワックス等の配合組成物に水を添加
し、今レン、成形、乾燥して製造される。この芯の描線
も油脂類に部分的に溶解するが、溶解性や書き味改良の
目的で、液状オイル、低融点ワックス等を多量に配合す
ると、水分の乾燥中に芯が溶融しやすく、また、強度が
弱いため、シャープペンシル用としてはもちろん、木軸
芯としても弱く、実用に供さないものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の非焼成色鉛筆芯、及び従来の焼成色鉛筆芯の課題等
を解決することであり、描線が容易に油脂類で溶解して
油絵調の描画が得られ、かつ、鮮やかな発色性、滑らか
な書き味、十分な描線濃度を持ち、耐光性、耐候性に優
れた描線を筆記でき、曲げ強度等の機械的強度に優れる
油溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提供することを
目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来の
課題を解決するために鋭意研究を行った結果、白色若し
くは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、特定の化合物を
充填、加熱して顔料化させ、更に気孔の残存部分に特定
のオイル及び/又はワックス類を充填させることによ
り、上記目的の油溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法が
得られることを見いだし、本発明を完成するに至ったの
である。すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存する。 (1) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、少
なくとも下記一般式(I)で示される化合物を出発材料
とした顔料と、ワセリン、流動パラフィン、スクワラ
ン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひまし油、パーム
油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、融点60℃以
下のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
ス等の低融点ワックスのうち、少なくとも1種類のオイ
ル及び/又はワックスとを含有することを特徴とする油
溶性焼成色鉛筆芯。
【化3】 (2) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無色あるいは
白色の体質材と、結合材であるぺルヒドロポリシラザン
を出発材料とした窒化ケイ素とからなることを特徴とす
る請求項1記載の油溶性焼成色鉛筆芯。 (3) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体を形成し、該焼
成芯体の気孔内に、少なくとも下記式(I)で示される
化合物を有機溶剤に溶解させて充填した後、加熱して該
化合物を該気孔内にて顔料化させ、更に該気孔の残存部
分にワセリン、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン
等の動物油、ホホバ油、ひまし油、パーム油、やし油、
綿実油等の植物油、木ろう、融点60℃以下のパラフィ
ンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の低融点
ワックスのうち、少なくとも1種類のオイル及び/又は
ワックスを充填させることを特徴とする油溶性焼成色鉛
筆芯の製造方法。
【化4】 (4) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無色あるいは
白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザン
を出発材料とした窒化ケイ素とからなることを特徴とす
る請求項3記載の油溶性焼成色鉛筆芯の製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明の油溶性焼成色鉛筆芯は、白色若
しくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、下記一般式
(I)で示される化合物を充填、加熱後生成した有機顔
料と、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン、ラノリ
ン等の動物油、ホホバ油、ひまし油、パーム油、やし
油、綿実油等の植物油、木ろう、融点60℃以下のパラ
フィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の低
融点ワックスのうち、少なくとも1種類のオイル及び/
又はワックスとを両方含むものである。
【化5】
【0009】本発明の油溶性焼成色鉛筆芯の製造は、白
色若しくは淡色の多孔質焼成芯体を形成し、該焼成芯体
の気孔内に、少なくとも上記一般式(I)で示される化
合物を有機溶剤に溶解させて充填した後、加熱して該化
合物を該気孔内にて顔料化させ、更に該気孔の残存部分
にワセリン、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン等
の動物油、ホホバ油、ひまし油、パーム油、やし油、綿
実油等の植物油、木ろう、融点60℃以下のパラフィン
ワックス、マイクロクリスタリンワックス等の低融点ワ
ックスのうち、少なくとも1種類のオイル及び/又はワ
ックスを充填させることにより行われる。
【0010】本発明において、多孔質焼成芯体は、従来
公知のもので、少なくとも窒化ホウ素、タルク、マイカ
等の無色又は白色の体質材と、結合材である窒化ケイ
素、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びこれらの固溶
体、あるいは粘土等から形成されるものである。特に、
強度の点で、本願出願人による特開平8−48931号
公報に開示されている、ペルヒドロポリシラザンを出発
原料とした窒化ケイ素を結合材とした芯が好適である。
【0011】体質材としては、従来焼成色鉛筆芯の体質
材として使用されてきたもので、無色あるいは白色であ
れば、特に限定されるものではなく、いずれも使用する
ことができ、例えば、前記体質材の各種が使用でき、当
然これらは、単独で、または、2種類以上の混合物も使
用できる。また、結合材の種類、焼成温度等によって
は、シリカ、アルミナも体質材として使用可能である。
【0012】本発明で用いられる多孔質色鉛筆芯の開気
孔径は、上記一般式(I)を有機溶剤に溶解させた溶液
が含浸できるものであれば、特に限定されるものではな
い。しかし、開気孔径の最小値としては、概ね0.05
μmと考えられるため、全て0.05μm以上の開気孔
を持つものを使用することが望ましいが、開気孔の分布
を考えた場合、0.05μmより小さい範囲にも開気孔
が多量に分布していると、顔料が充填されない気孔が多
くなり発色性が悪くなるため、0.05μmより小さい
開気孔は、容積で40%以下に、より好ましくは、20
%以下に抑えるべきである。開気孔径の最大値は、芯の
強度等を考慮すると0.4μm以下が好ましい。また、
紙面に対する着色性、及び描線の油溶性を考慮すると、
多孔質鉛筆芯は0.05μm以上、0.4μm以下、よ
り好ましくは0.3μm以下の範囲に分布している開気
孔の開気孔率が15%以上、より好ましくは、20%以
上であることが望ましい。
【0013】本発明において油溶性焼成色鉛筆芯は、上
記の多孔質焼成芯体の気孔内に上記一般式(I)で示さ
れる化合物を有機溶剤に溶解させて含浸、充填させた
後、加熱して有機顔料とし、更に該気孔の残存部分にワ
セリン、流動パラフィン、スクワラン、ラノリン等の動
物油、ホホバ油、ひまし油、パーム油、やし油、綿実油
等の植物油、木ろう、融点60℃以下のパラフィンワッ
クス、マイクロクリスタリンワックス等の低融点ワック
スのうち、少なくとも1種類のオイル及び/又はワック
スを充填させることにより作製される。本発明で用いる
上記一般式(I)で示される化合物は、顔料前駆体とな
る化合物であり、多孔質焼成芯体の気孔内に該化合物を
充填し、加熱することにより有機顔料化されるものであ
る。上記一般式(I)中で、xは1〜8の整数であり、
基Aは、キナクリドン、アントラキノン、ぺリレン、イ
ンジゴ、キノフタロン、インダスロン、イソインドリノ
ン、イソインドリン、ジオキサジン、アゾ系列、フタロ
シアニンまたはジケトピロロピロールの発色団の残基か
らなるものであり、これらの基Aの一部であるヘテロ原
子のうち、窒素原子(N)、酸素原子(O)またはイオ
ウ原子(S)の中の一つ若しくは複数のヘテロ原子を介
してx個の基Bと結合しているものである。この基B
は、水素原子(H)若しくは−COO−Lで表される基
であり、基Bの少なくとも一つは水素原子(H)以外の
基であり、また、xが2〜8の場合は、基Bは全て同一
の場合、または、異なる場合もある。更に、上記Lは、
溶解性を発現させる基であり、溶解性を発現させる基で
あれば、解くに限定されず、例えば、tert−ブチ
ル、tert−アミル等が挙げられる。本発明にて、前
記一般式(I)で示される化合物を溶解するための有機
溶剤としては、前記一般式(I)で示される化合物を溶
解することができるものであれば特に限定されず、例え
ば、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類、アルコール
類、アミド類、ニトリル類、ニトロ化合物、N−複素環
化合物、エーテル類、ケトン類、エステル類等いずれも
使用可能であり、また場合によっては、水も使用可能で
あるが、これらの溶剤の沸点は40℃〜300℃が望ま
しい。更に、溶解度について述べると、芯の描線濃度の
点で前記一般式(I)で示される化合物を5重量%以
上、好ましくは10重量%以上溶解できる溶剤が望まし
い。具体的に例示すると、メタノール、エタノール、イ
ソプロパノール、n−ブタノール、ベンジルアルコー
ル、ジエチルエーテル、1−アセトキシ−2−エトキシ
エタン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタ
ノン、ブチロラクトン、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエ
タン、2−メトキシエタノール、2−メトキシ−プロピ
ルアセテート、酢酸エチル、酢酸ブチル、イソプロピル
ラウレート、メチルメタクリレート、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、アセトニトリル、ベンゾニトリル、ニ
トロベンゼン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N
−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、N−
メチルピロリドン、ピリジン、ピコリン、キノリン、ジ
クロロメタン、クロロホルム、メチルシクロヘキサン、
ベンゼン、トルエン、キシレン、ジイソプロピルナフタ
レン、アニソール、クロロベンゼン等である。また、当
然これらの溶剤は、2種類以上を混合して使用すること
もできる。
【0014】本発明において、多孔質焼成芯体に前記一
般式(I)で示される顔料前駆体である化合物の溶液を
充填する方法としては、多孔質焼成芯体を前記溶液中に
浸漬し、また、必要に応じて加熱、加圧、減圧等の条件
下で気孔内に充填させる。その後、有機溶剤を乾燥除去
し、100℃〜250℃、好ましくは、150℃〜20
0℃、特に好ましくは、160℃〜200℃のそれぞれ
の顔料前駆体に最適の温度で加熱し、前記一般式(I)
で示される化合物を有機顔料に転化させる。また、場合
によっては、顔料化温度を下げるため、例えば、酸のよ
うな触媒を使用することも可能である。顔料化のための
加熱時間は、加熱温度、芯細孔の径、形状、その他の条
件により異なるため一概には限定できないが、概ね数秒
から数時間で、1分〜30分程度が望ましい。更に、描
線濃度を増加させるため、繰り返し浸漬、加熱を行って
もよい。なお、前記一般式(I)で示される顔料前駆体
である化合物は、混合して前記有機溶剤に溶解、加熱し
て任意の色に混色することも可能である。また、芯体内
に顔料を充填する方法としては、多孔質焼成芯体が耐酸
性、耐アルカリ性に優れる場合は、有機顔料を熱濃硫
酸、若しくは水酸化ナトリウムとジメチルフォルムアミ
ドの混合液に溶解させ芯体に含浸後、水中に浸漬して顔
料に戻す方法、染料溶液を含浸後、芯体内でレーキ化
(顔料化)させる方法等を併用しても良い。次いで、最
後に、前記一般式(I)で示される化合物を顔料化した
後の芯の気孔の残存部分に、ワセリン、流動パラフィ
ン、スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひま
し油、パーム油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、
融点60℃以下のパラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス等の低融点ワックスのうち、少なくとも
1種類のオイル及び/又はワックスを充填させて完成と
なる。
【0015】芯に充填する方法としては、顔料化後の多
孔質焼成芯体を、加熱したワセリン、流動パラフィン、
スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひまし
油、パーム油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、融
点60℃以下のパラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス等の低融点ワックスのうち、少なくとも1
種類のオイル及び/又はワックスの中に浸漬し、また必
要に応じて加圧、減圧等の条件下で残存している芯の気
孔内に充填させる。また、ワセリン、流動パラフィン、
スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひまし
油、パーム油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、融
点60℃以下のパラフィンワックス、マイクロクリスタ
リンワックス等の低融点ワックス等と相溶する、揮発性
が高い有機溶剤、望ましくは沸点150℃以下の有機溶
剤と混合して溶融粘度を下げて芯の気孔への浸透性を促
進し、更に、含漫後有機溶剤を乾燥除去することによ
り、前記のオイル及び/又はワックスの充填量を調整す
ることも可能である。なお当然、ワセリン、流動パラフ
ィン、スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひ
まし油、パーム油、やし油、綿実油等の植物油、木ろ
う、融点60℃以下のパラフィンワックス、マイクロク
リスタリンワックス等の低融点ワックスは、2種類以上
混合して使用することも可能である。また、必要に応じ
て書き味、着色性、溶解性を調整する目的で融点60℃
を越えるワックスを添加できる他、紫外線吸収剤、光安
定剤、帯電防止剤等を前記のワセリン、流動パラフィ
ン、スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひま
し油、パーム油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、
融点60℃以下のパラフィンワックス、マイクロクリス
タリンワックス等の低融点ワックスに混合して使用する
ことも可能である。さらに、耐光性を要求しない場合、
意図的に描線を退色、変色させたい場合は、前記一般式
(I)から得られた顔料の一部あるいは全部を染料に置
き換えても良い。
【0016】このように構成される本発明の油溶性焼成
色鉛筆芯及びその製造方法では、下記(1)〜(3)等の作用
を有することとなる。 (1) 本発明の油溶性焼成色鉛筆芯は、骨格がセラミック
ス又は粘土の高強度多孔質芯体であるため、含浸させる
ことによりワセリン、流動パラフィン、スクワラン、ラ
ノリン等の動物油、ホホバ油、ひまし油、パーム油、や
し油、綿実油等の植物油、木ろう、融点60℃以下のパ
ラフィンワックス、マイクロクリスタリンウックス等の
低融点ワックスを芯体に充填することが可能である。従
って、製法上、融点70〜80℃以上のワックスを主成
分に使用せざるを得ない従来の非焼成色鉛筆と比較し
て、描画時の紙面に対する抵抗が小さく、非常に滑らか
な筆感が得られる。また、細い芯体に成形可能で、か
つ、芯体は吸湿劣化せず、強度低下しにくいため、シャ
ープペンシル、ホルダー用芯としても使用可能な油溶性
焼成色鉛筆芯が得られる。 (2) 紙面に描画した後は、描線をテレピン油、あまに油
等油絵用溶き油で塗らした筆等でなぞるとワセリン、流
動パラフィン、スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホ
バ油、ひまし油、パーム油、やし油、綿実油等の植物
油、木ろう、融点60℃以下のパラフィンワックス、マ
イクロクリスタリンワックス等の低融点ワックスがテレ
ピン油等に溶解して描線が溶解するため、油絵調とな
る。 (3) 前記一般式(I)で示される化合物は有機溶剤に高
濃度に溶解可能であり、濃い描線濃度を得るのに十分な
量の顔料を芯の気孔内に容易に充填できる。この有機顔
料は、経時的に安定であるため、本発明により鮮やかな
発色性、十分な描線濃度を持ち、耐光性等の経時安定性
に優れた油溶性焼成色鉛筆芯が得られる。
【0017】
【実施例】次に、本発明を実施例により、更に具体的に
説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定され
るものではない。下記実施例及び比較例で用いた本発明
の一般式(I)で示される化合物(顔料前駆体)を下記
表1に示す。
【表1】
【0018】 (実施例1) 窒化ホウ素 40重量% 塩化ビニル樹脂 43重量% ジオクチルフタレート(DOP) 16重量% オレイン酸アミド 1重量% 上記配合組成物をヘンシェルミキサーで混合分散し、加
圧ニーダー、2本ロールで混練した後、細線状に押出成
形し、これから残留する可塑剤を除去すべく、空気中で
180℃にて10時間熱処理して、しかる後、窒素雰囲
気中にて1000℃まで昇温して1000℃で1時間焼
成し、第1焼成芯体を得た。この第1焼成芯体を大気中
で、700℃で加熱焼成し、炭素化物を除去して白色の
第2焼成芯体を得た。この第2焼成芯体100gをペル
ヒドロポリシラザンのキシレン溶液(20重量%)14
0gが入った容器に浸漬後、窒素雰囲気中で1200℃
まで昇温して1200℃にて1時間焼成し、直径0.5
7mmの白色の第3焼成芯体を得た。次に、上記表1の
顔料前駆体No.1の酢酸エチル溶液(20重量%)に
上記第3焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。放
置後、溶液から芯体を取り出した後、180℃で20分
加熱し、更に80℃に加熱した流動パラフィン中に芯体
を浸し、24時間放置した。その後、芯体を取り出して
芯表面をふき取り、直径0.57mmの黄色焼成鉛筆芯
とした。
【0019】(実施例2)直径を0.71mmに変更し
た以外は、上記実施例1と同様の方法で、白色の第3焼
成芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆体No.2の
トルエン溶液(15重量%)に上記第3焼成芯体を浸
し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出し
た後、180℃で20分加熱し、さらに80℃に加熱し
たラノリン中に芯体を浸し、24時間放置した。その
後、芯体を取り出して芯表面をふき取り、直径0.71
m皿の赤色焼成鉛筆芯とした。
【0020】(実施例3)直径を0.90mmに変更し
た以外は、上記実施例1と同様の方法で、白色の第3焼
成芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆体No.3の
シクロペンタノン溶液(15重量%)に上記第3焼成芯
体を浸し、常温で24時間放置した。放置後、溶液から
芯体を取り出した後、180℃で20分加熱し、更に1
00℃に加熱した混合物(パーム油:木ろう=7:3)
中に芯体を浸し、24時間放置した。その後、芯体を取
り出して芯表面をふき取り、直径0.90mmの赤紫色
焼成鉛筆芯とした。
【0021】(実施例4)上記表1の顔料前駆体No.
4のテトラヒドロフラン溶液(15重量%)に、上記実
施例2と同様の第3焼成芯体を浸し、常温で24時間放
置した。放置後、溶液から芯体を取り出した後、180
℃で20分加熱し、さらに100℃に加熱した混合物
(流動パラフィン:モンタンワックス=8:2)中に芯
体を浸し、24時間放置した。その後、芯体を取り出し
て芯表面をふき取り、直径0.71mmの水色焼成鉛筆
芯とした。
【0022】(実施例5)上記実施例1と同様の第2焼
成芯体100gをペルヒドロポリシラザンのキシレン溶
液(2.0wt%)140gが入った容器に浸漬後、大
気中で1200℃まで昇温させて、1200℃にて1時
間焼成し、直径0.57mmの第3焼成芯体を得た。次
に、上記表1の顔料前駆体No.1のトルエン溶液(2
0重量%)に上記第3焼成芯体を漫し、常温で24時間
放置した。放置後、溶液から芯体を取り出した後、18
0℃で20分加熱し、さらに80℃に加熱したラノリン
中に芯体を浸し、24時間放置した。その後、芯体を取
り出して芯表面をふき取り、直径0.57mmの黄色焼
成色鉛筆芯とした。
【0023】 (実施例6) 配合組成物A ジルコニウムアセチルアセトネート・エチルアセトアセテート 30.00重量% 水 1.75重量% 塩酸(36%) 0.45重量% n−ブチルアルコール 44.30重量% 上記配合組成物Aを35℃にて1時間加熱した。 配合組成物B 窒化棚素 30.00重量% ポリビニルブチラール 6.60重量% テトラエチレングリコール 3.90重量% 上記配合組成物Bに還流が終了した配合組成物Aを加
え、これらをミキサーで混合分散し、二本ロールで混練
し、溶剤量を調整した後、細線状に押出成形し、残留す
る溶剤、可塑剤を除去すべく空気中で200℃で乾燥
し、アルゴンガス雰囲気中で1700℃まで昇温して、
1700℃にて1時間焼成した。更に大気中で、700
℃まで昇温して700℃で3時間焼成し、直径1.0m
mの白色の焼成芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆
体N0.3のテトラヒドロフラン溶液(20重量%)に
上記第3焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。放
置後、溶液から芯体を取り出した後、180℃で20分
加熱し、さらに100℃に加熱した混合物(流動パラフ
ィン:モンタンワックス=8:2)中に芯体を浸し、2
4時間放置した。その後、芯体を取り出して芯表面をふ
き取り、直径1.0mmの赤紫色焼成鉛筆芯とした。
【0024】 (実施例7) 窒化ホウ素 40重量% カオリン 35重量% ポリビニルアルコール 18重量% ポリエチレングリコール 7重量% 上記配合組成物と同重量との水とをヘンシェルミキサー
で混合分散し、2本ロールで混練し、水分調整した後、
細線状に押出成形し、これから残留する水を除去すべ
く、空気中で105℃にて15時間熱処理して、しかる
後アルゴンガス中にて1100℃まで昇温して1100
℃で1時間焼成した。更に、大気中で、700℃で加熱
焼成し、炭素化物を除去して直径1.2mmの白色焼成
芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆体No.2のト
ルエン溶液(15重量%)に上記第3焼成芯体を浸し、
常温で24時間放置した。放置後、溶液から芯体を取り
出した後、180℃で20分加熱し、さらに100℃に
加熱した混合物(ホホバ油:ミツロウ=8:2)中に芯
体を浸し、24時間放置した。その後、芯体を取り出し
て芯表面をふき取り、直径1.2mmの赤色焼成鉛筆芯
とした。
【0025】(比較例1)上記実施例1と同様の焼成芯
体(第3焼成芯体)に、同様に上記1の顔料前駆体N
o.1の酢酸エチル溶液(20重量%)を含浸、加熱し
た。次に、120℃に加熱したモンタンワックスに変更
した液中に前記芯体を浸し、24時間放置した。その
後、芯体を取り出して芯表面をふき取り、直径0.57
mmの黄色焼成鉛筆芯とした。
【0026】 (比較例2) ニトロセルロース 30重量% 二酸化チタンウイスカー 30重量% DPPレッド顔料 14重量% ステアリン酸アミド 16重量% ステアリン酸亜鉛 10重量% 上記配合組成物と同重量との酢酸エチルとをヘンシェル
ミキサーで混合分散し、2本ロールで混練し、溶剤分調
整した後、細線状に押出成形し、これから残留する酢酸
エチルを除去すべく、空気で50℃にて20時間熱処理
し、直径0.71mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0027】 (比較例3) カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 6重量% クルクDPPレッド顔料 60重量% ミツロウ 14重量% ホホバ油 4重量% 上記配合組成物と同重量との水とをヘンシェルミキサー
で混合分散し、2本ロールで混練し、水分調整した後、
細線状に押出成形し、これから残留する水を除去すべ
く、減圧中で30℃にて15時間熱処理し、直径1.2
mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0028】上記実施例1〜7及び比較例1〜3の焼成
色鉛筆芯について、下記評価法により、曲げ強度、書き
味及び描線のあまに油に対する溶解性について測定、評
価した。これらの結果を下記表2に示す。
【0029】〔曲げ強度の評価法〕曲げ強度は、JIS
−S−6005に準拠して芯の曲げ強度を測定した。 〔書き味の評価法〕書き味を芯検査担当者が紙面に描画
し、官能評価した。 〔描線のあまに油に対する溶解性〕芯に一定荷重(3
N)をかけてぬりつぶし、あまに油を含んだ筆でなぞっ
た。その溶解性について、目視で官能評価した。
【0030】
【表2】
【0031】上記表2の結果から明らかなように、本発
明範囲となる実施例1〜7では描線のテレピン油に対す
る溶解性が良く、曲げ強度が強く、滑らかで良好な書き
味であることが判った。これに対し、比較例1は実施例
1と比較しても、強度は同等だったが、融点が80℃以
上のモンタンワックスを単独で含浸したため、やや重く
硬い筆感で、描線は溶解しにくいことが判明した。比較
例2は、描線は溶解せず、非焼成芯であるため、強度が
低く、硬い筆感であるため、シャープペンシルに装填し
て筆記すると折れやすかった。更に、比較例3は、非焼
成芯で強度が低いため、シャープペンシル、ホルダー用
には使用不可能であり、配合物のミツロウを減量し、ホ
ホバ油を増量して、溶解性を改良しようとすると、更に
強度低下し、使用不可能である。
【0032】
【発明の効果】本発明によれば、描線が油脂類で容易に
溶解して油絵調の描画が得られ、かつ、鮮やかな発色
性、十分な描線濃度を持ち、滑らかな書き味、耐光性、
耐候性に優れた描線を筆記でき、曲げ強度等の機械的強
度に優れる油溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法が提供
される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体の気
    孔内に、少なくとも下記一般式(I)で示される化合物
    を出発材料とした顔料と、ワセリン、流動パラフィン、
    スクワラン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひまし
    油、パーム油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、融
    点60℃以下のパラフィンワックス、マイクロクリスタ
    リンワックス等の低融点ワックスのうち、少なくとも1
    種類のオイル及び/又はワックスとを含有することを特
    徴とする油溶性焼成色鉛筆芯。 【化1】
  2. 【請求項2】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無
    色あるいは白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポ
    リシラザンを出発材料とした窒化ケイ素とからなること
    を特徴とする請求項1記載の油溶性焼成色鉛筆芯。
  3. 【請求項3】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体を形
    成し、該焼成芯体の気孔内に、少なくとも下記式(I)
    で示される化合物を有機溶剤に溶解させて充填した後、
    加熱して該化合物を該気孔内にて顔料化させ、更に該気
    孔の残存部分にワセリン、流動パラフィン、スクワラ
    ン、ラノリン等の動物油、ホホバ油、ひまし油、パーム
    油、やし油、綿実油等の植物油、木ろう、融点60℃以
    下のパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワック
    ス等の低融点ワックスのうち、少なくとも1種類のオイ
    ル及び/又はワックスを充填させることを特徴とする油
    溶性焼成色鉛筆芯の製造方法。 【化2】
  4. 【請求項4】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無
    色あるいは白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポ
    リシラザンを出発材料とした窒化ケイ素とからなること
    を特徴とする請求項3記載の油溶性焼成色鉛筆芯の製造
    方法。
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