JP2002179973A - 水溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法 - Google Patents

水溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法

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JP2002179973A
JP2002179973A JP2000382315A JP2000382315A JP2002179973A JP 2002179973 A JP2002179973 A JP 2002179973A JP 2000382315 A JP2000382315 A JP 2000382315A JP 2000382315 A JP2000382315 A JP 2000382315A JP 2002179973 A JP2002179973 A JP 2002179973A
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Katsunori Kitazawa
勝徳 北澤
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Mitsubishi Pencil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 発色性、描線濃度、耐光性に優れ、描線が水
溶性で曲げ強度の高いシャープペンシル等に適した水溶
性焼成鉛筆芯、その製造法を提供する。 【解決手段】 白色または淡色の多幸室焼成芯体の気孔
内に式(I)で示される顔料と式(II)から(IV)で示
される化合物の少なくとも1種を含有する鉛筆芯。 A(B)x ……………(I) (x:1〜8の整数、A:キナクリドン、アントラキノ
ン等の発色団残基でA中のN、O、Sの一つ維持用の原
子によりBと結合、B:H、または−C(O)−Lで少
なくも一つはH以外で、Lは溶解性を発現する基) (R:C数10〜20のアルキル、アルケニル、n:2
0以上の整数)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鮮やかな発色性、
十分な描線濃度を持ちながら、耐光性に優れた描線が描
け、その描線が水で容易に溶解し、かつ曲げ強度等の機
械的強度に優れ、シャープペンシル、ホルダー用の細径
色鉛筆芯にも好適な水溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来における焼成色鉛筆芯は、シャープ
ペンシル用とされることが多く、その製法としては窒化
ホウ素等の体質材、粘土等の結合材等からなる配合組成
物を混練、押出成形し、更に熱処理後、多孔質芯体と
し、この芯体の気孔内に染料、溶剤等からなるインキを
充填させる方法が主たる製法である。
【0003】この染料インキに水性インキ、あるいは水
と相溶するインキを使用すると、水溶性色鉛筆芯となり
得るが、水に対する溶解度が不十分であり、また、着色
剤が染料であるため、耐光性等の経時安定性が劣ること
となる。また、顔料分散インキが含浸可能なレベルの大
きさの気孔を持つ芯とすると、強度が弱く、シャープペ
ンシル用芯として実用に供さないものである。
【0004】高強度の芯体を得る方法として、例えば、
特開平8−48931号公報、特開平9−67540号
公報、特開平2000−17220号公報、特開平20
00−17221号公報等が開示されているが、いずれ
の方法でも描線濃度として十分な量の顔料分散インキを
含浸でき、かつ、シャープペンシル用芯として実用レベ
ル以上の強度をもつ焼成芯体を得ることは困難である。
そこで、本発明者らにより、シャープペンシル用多孔質
芯体の気孔内で有機顔料を化学反応等で生成させる方法
として、例えば、特開平8−143810号公報、特開
平8−143811号公報、特開平8−143812号
公報、特開平8−259874号公報、特願平11−1
49188号等を出願している。これらは、いずれも描
線が水に溶解しない普通のシャープペンシル用色芯であ
る。
【0005】また、通常の木軸の水溶性色鉛筆芯は、顔
料、体質材、糊料、ワックス等の配合組成物からなる普
通の水に溶解しない非焼成色鉛筆芯のワックスの一部、
若しくは全部をワックス状界面活性剤等に置き換えた配
合で製造される。この芯は、木軸に入れた状態では、木
軸が吸湿を抑制するため問題とならないが、シャープペ
ンシル用とした場合、元々の強度も弱いが、ワックス状
界面活性剤、糊料の吸湿による強度低下が著しく、実用
に供さないものである。
【0006】一方、水溶性色鉛筆芯としては、例えば、
特開昭62−121778号公報、特開昭63−199
775号公報、特開平3−153778号公報、特開平
3−153779号公報、特開平4−209676号公
報、特開平5−230414号公報、特開平8−600
66号公報、特開平9−67542号公報、特開平9−
202869号公報等が開示されているが、これらは、
いずれも上記の水溶性非焼成色鉛筆芯と同様の製法であ
るため、元々の強度が弱く、かつ吸湿による強度低下も
著しく、シャープペンシル、ホルダー用としては使用で
きないものである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の水溶性非焼成色鉛筆芯及び従来の焼成色鉛筆芯(非
水溶性)の課題等を解決することであり、描線が容易に
水で溶解して水彩画調の描画が得られ、かつ、鮮やかな
発色性、十分な描線濃度を持ち、耐光性、耐候性に優れ
た描線を筆記でき、曲げ強度等の機械的強度に優れる水
溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来の
課題を解決するために鋭意研究を行った結果、白色若し
くは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、特定の化合物を
充填、加熱して顔料化させ、更に気孔の残存部分に特定
の化合物のうちの少なくとも1種類を充填させることに
より、上記目的の水溶性焼成色鉛筆芯及びその製造方法
が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った
のである。すなわち、本発明は、次の(1)〜(4)に存す
る。 (1) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、少
なくとも下記一般式(I)で示される化合物を出発材料
とした顔料と、下記一般式(II)〜(IV)で示される化
合物のうち少なくとも1種類とを含有することを特徴と
する水溶性焼成色鉛筆芯。
【化5】
【化6】 (2) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無色あるいは
白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザン
を出発材料とした窒化ケイ素とからなることを特徴とす
る上記(1)記載の水溶性焼成色鉛筆芯。 (3) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体を形成し、該焼
成芯体の気孔内に、少なくとも下記式(I)で示される
化合物を有機溶剤に溶解させて充填した後、加熱して該
化合物を該気孔内にて顔料化させ、更に該気孔の残存部
分に下記一般式(II)〜(IV)で示される化合物のうち
少なくとも1種類を充填させることを特徹とする水溶性
焼成色鉛筆芯の製造方法。
【化7】
【化8】 (4) 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無色あるいは
白色の体質材と、結合材であるぺルヒドロポリシラザン
を出発材料とした窒化ケイ素とからなることを特徴とす
る上記(3)記載の水溶性焼成色鉛筆芯の製造方法。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の実施の形態を詳
しく説明する。本発明の水溶性焼成色鉛筆芯は、白色若
しくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、下記一般式
(I)で示される化合物を充填、加熱後生成した有機顔
料と、下記一般式(II)〜(IV)で示される化合物のう
ち少なくとも1種類との両方を含むものである。
【化9】
【化10】
【0010】本発明の水溶性焼成色鉛筆芯の製造は、白
色若しくは淡色の多孔質焼成芯体を形成し、該焼成芯体
の気孔内に、少なくとも上記一般式(I)で示される化
合物を有機溶剤に溶解させて充填した後、加熱して該化
合物を該気孔内にて顔料化させ、更に該気孔の残存部分
に上記一般式(II)〜(IV)で示される化合物のうち少
なくとも1種類を充填させることにより行われる。
【0011】本発明において、多孔質焼成芯体は、従来
公知のもので、少なくとも窒化ホウ素、タルク、マイカ
等の無色又は白色の体質材と、結合材である窒化ケイ
素、シリカ、アルミナ、ジルコニア及びこれらの固溶
体、あるいは粘土等から形成されるものである。特に、
強度の点で、本願出願人による特開平8−48931号
公報に開示されている、ペルヒドロポリシラザンを出発
原料とした窒化ケイ素を結合材とした芯が好適である。
【0012】体質材としては、従来焼成色鉛筆芯の体質
材として使用されてきたもので、無色あるいは白色であ
れば、特に限定されるものではなく、いずれも使用する
ことができ、例えば、前記体質材の各種が使用でき、当
然これらは、単独で、または、2種類以上の混合物も使
用できる。また、結合材の種類、焼成温度等によって
は、シリカ、アルミナも体質材として使用可能である。
【0013】本発明で用いられる多孔質色鉛筆芯の開気
孔径は、上記一般式(I)を有機溶剤に溶解させた溶液
が含浸できるものであれば、特に限定されるものではな
い。しかし、開気孔径の最小値としては、概ね0.05
μmと考えられるため、全て0.05μm以上の開気孔
を持つものを使用することが望ましいが、開気孔の分布
を考えた場合、0.05μmより小さい範囲にも開気孔
が多量に分布していると、顔料が充填されない気孔が多
くなり発色性が悪くなるため、0.05μmより小さい
開気孔は、容積で40%以下に、より好ましくは、20
%以下に抑えるべきである。開気孔径の最大値は、芯の
強度等を考慮すると0.4μm以下が好ましい。また、
紙面に対する着色性、及び描線の水溶性を考慮すると、
多孔質鉛筆芯は0.05μm以上、0.4μm以下、よ
り好ましくは0.3μm以下の範囲に分布している開気
孔の開気孔率が15%以上、より好ましくは、20%以
上であることが望ましい。
【0014】本発明において水溶性焼成色鉛筆芯は、上
記の多孔質焼成芯体の気孔内に上記一般式(I)で示さ
れる化合物を有機溶剤に溶解させて含浸、充填させた
後、加熱して有機顔料とし、更に該気孔の残存部分に上
記一般式(II)〜(IV)で示される化合物のうち少なく
とも1種類を充填させることにより 作製される。
本発明で用いる上記一般式(I)で示される化合物は、
顔料前駆体となる化合物であり、多孔質焼成芯体の気孔
内に該化合物を充填し、加熱することにより有機顔料化
されるものである。上記一般式(I)中で、xは1〜8
の整数であり、基Aは、キナクリドン、アントラキノ
ン、ぺリレン、インジゴ、キノフタロン、インダスロ
ン、イソインドリノン、イソインドリン、ジオキサジ
ン、アゾ系列、フタロシアニンまたはジケトピロロピロ
ールの発色団の残基からなるものであり、これらの基A
の一部であるヘテロ原子のうち、窒素原子(N)、酸素
原子(O)またはイオウ原子(S)の中の一つ若しくは
複数のヘテロ原子を介してx個の基Bと結合しているも
のである。この基Bは、水素原子(H)若しくは−CO
O−Lで表される基であり、基Bの少なくとも一つは水
素原子(H)以外の基であり、また、xが2〜8の場合
は、基Bは全て同一の場合、または、異なる場合もあ
る。更に、上記Lは、溶解性を発現させる基であり、溶
解性を発現させる基であれば、解くに限定されず、例え
ば、tert−ブチル、tert−アミル等が挙げられ
る。本発明にて、前記一般式(I)で示される化合物を
溶解するための有機溶剤としては、前記一般式(I)で
示される化合物を溶解することができるものであれば、
解くに限定されず、例えば、脂肪族炭化水素類、芳香族
炭化水素類、アルコール類、アミド類、ニトリル類、ニ
トロ化合物、N−複素環化合物、エーテル類、ケトン
類、エステル類等いずれも使用可能であり、また場合に
よっては、水も使用可能であるが、これらの溶剤の沸点
は40℃〜300℃が望ましい。更に、溶解度について
述べると、芯の描線濃度の点で前記一般式(I)で示さ
れる化合物を5重量%以上、好ましくは10重量%以上
溶解できる溶剤が望ましい。具体的に例示すると、メタ
ノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノー
ル、ベンジルアルコール、ジエチルエーテル、1−アセ
トキシ−2−エトキシエタン、アセトン、メチルエチル
ケトン、シクロペンタノン、ブチロラクトン、1−メト
キシ−2−プロパノール、1,2−ジメトキシエタン、
1,2−ジエトキシエタン、2−メトキシエタノール、
2−メトキシ−プロピルアセテート、酢酸エチル、酢酸
ブチル、イソプロピルラウレート、メチルメタクリレー
ト、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリ
ル、ベンゾニトリル、ニトロベンゼン、N,N−ジメチ
ルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメ
チルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ピリジン、
ピコリン、キノリン、ジクロロメタン、クロロホルム、
メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレ
ン、ジイソプロピルナフタレン、アニソール、クロロベ
ンゼン等である。また、当然これらの溶剤は、2種類以
上を混合して使用することもできる。
【0015】本発明において、多孔質焼成芯体に前記一
般式(I)で示される顔料前駆体である化合物の溶液を
充填する方法としては、多孔質焼成芯体を前記溶液中に
浸漬し、また、必要に応じて加熱、加圧、減圧等の条件
下で気孔内に充填させる。その後、有機溶剤を乾燥除去
し、100℃〜250℃、好ましくは、150℃〜20
0℃、特に好ましくは、160℃〜200℃のそれぞれ
の顔料前駆体に最適の温度で加熱し、前記一般式(I)
で示される化合物を有機顔料に転化させる。また、場合
によっては、顔料化温度を下げるため、例えば、酸のよ
うな触媒を使用することも可能である。顔料化のための
加熱時間は、加熱温度、芯細孔の径、形状、その他の条
件により異なるため一概には限定できないが、概ね数秒
から数時間で、1分〜30分程度が望ましい。更に、描
線濃度を増加させるため、繰り返し浸漬、加熱を行って
もよい。なお、前記一般式(I)で示される顔料前駆体
である化合物は、混合して前記有機溶剤に溶解、加熱し
て任意の色に混色することも可能である。また、芯体内
に顔料を充填する方法としては、多孔質焼成芯体が耐酸
性、耐アルカリ性に優れる場合は、有機顔料を熱濃硫
酸、若しくは水酸化ナトリウムとジメチルフォルムアミ
ドの混合液に溶解させ芯体に含浸後、水中に浸漬して顔
料に戻す方法、染料溶液を含浸後、芯体内でレーキ化
(顔料化)させる方法等を併用しても良い。次いで、最
後に、前記一般式(I)で示される化合物を顔料化した
後の芯の気孔の残存部分に、前記一般式(II)〜(IV)
で示される化合物、すなわち、前記一般式(I)のポリ
エチレングリコール脂肪酸エステル、前記一般式(II
I)のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び前記一
般式(IV)のポリオキシエチレンアルキルフェニルエー
テルうちから選ばれる少なくとも1種類を充填させて完
成となる。
【0016】前記一般式(II)〜(IV)で示される化合
物は、描線の水に対する溶解性から、nはn≦20以上
である必要があるが、より溶解性を要求される場合は、
n≦25が望ましい。なお、nが20未満の化合物で
は、描線の水に対する溶解性が不充分となり、好ましく
ない。芯に充填する方法としては、顔料化後の多孔質焼
成芯体を、加熱、溶融している前記一般式(II)〜(I
V)で示される化合物の中に浸漬し、また必要に応じて
加圧、減圧等の条件下で残存している芯の気孔内に充填
させる。また、前記一般式(II)〜(IV)で示される化
合物と相溶する揮発性が高い有機溶剤、望ましくは沸点
150℃以下の有機溶剤と混合して溶融粘度を下げて、
芯の気孔への浸透性を促進し、更に、含浸後有機溶剤を
乾燥除去することにより、前記一般式(II)〜(IV)で
示される化合物の充填量を調整することも可能である。
なお、当然前記一般式(II)〜(IV)で示される化合物
は、2種類以上混合して使用することも可能である。ま
た、必要に応じて、オイル等の潤滑剤、紫外線吸収剤、
光安定剤、帯電防止剤等を前記一般式(II)〜(IV)で
示される化合物に混合して使用することも可能である。
更に、耐光性を要求しない場合、意図的に描線を退色、
変色させたい場合は、前記一般式(I)から得られた顔
料の一部あるいは全部を染料に置き換えても良い。
【0017】このように構成される本発明の水溶性焼成
色鉛筆芯及びその製造方法では、下記(1)及び(2)
の作用等を有することとなる。 (1)本発明の水溶性焼成色鉛筆芯は、骨格がセラミッ
クスまたは粘土であるため、内部に充填された前記一般
式(II)〜(IV)で示される化合物が吸湿しても、芯体
自体は劣化せず、強度低下しにくいため、シャープペン
シル、ホルダー用芯としても使用可能な水溶性焼成色鉛
筆芯が得られる。また、紙面に描画した後は、芯体は紙
面上で粉末となり、その描線を水で塗らした筆等でなぞ
ると、前記一般式(II)〜(IV)で示される化合物が水
に溶解し、描線も溶解するため、水彩画調となる。 (2)前記一般式(I)で示される化合物は、有機溶剤
に高濃度に溶解可能であり、濃い描線濃度を得るのに十
分な量の顔料を芯の気孔内に容易に充填できる。この有
横顔料は、経時的に安定であるため、本発明により鮮や
かな発色性、十分な描線濃度を持ち、耐光性等の経時安
定性に優れた水溶性焼成色鉛筆芯が得られる。
【0018】
【実施例】次に、本発明を実施例により、更に具体的に
説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定され
るものではない。下記実施例及び比較例で用いた本発明
の一般式(I)で示される化合物(顔料前駆体)を下記
表1に示す。
【表1】
【0019】 〔実施例1〕 窒化ホウ素 40重量% 塩化ビニル樹脂 43重量% ジオクチルフタレート(DOP) 16重量% オレイン酸アミド 1重量% 上記配合組成物をヘンシェルミキサーで混合分散し、加
圧ニーダー、2本ロールで混練した後、細線状に押出成
形し、これらから残留する可塑剤を除去すべく、空気中
で180℃にて10時間熱処理して、しかる後、窒素雰
囲気中にて1000℃まで昇温して1000℃で1時間
焼成し、第1焼成芯体を得た。この第1焼成芯体を大気
中で、700℃で加熱焼成し、炭素化物を除去して白色
の第2焼成芯体を得た。この第2焼成芯体100gをペ
ルヒドロポリシラザンのキシレン溶液(20重量%)1
40gが入った容器に浸漬後、窒素雰囲気中で1200
℃まで昇湿して1200℃にて1時間焼成し、直径0.
57mmの白色の第3焼成芯体を得た。次に、上記表1
の顔料前駆体No.1の酢酸エチル溶液(20重量%)
に上記第3焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。
放置後、溶液から芯体を取り出した後、180℃で20
分加熱し、更に80℃に加熱したポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル(n=25)中に芯体を浸し、24時間
放置した。その後、芯体を取り出して芯表面をふき取
り、直径0.57mmの黄色焼成鉛筆芯とした。
【0020】〔実施例2〕直径を0.71mmに変更し
た以外は、上記実施例1と同様の方法で、白色の第3焼
成芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆体No.2の
トルエン溶液(15重量%)に上記第3焼成芯体を浸
し、常温で24時間放置した。放置後、溶液から芯体を
取り出した後、180℃で20分加熱し、更に80℃に
加熱したポリオキシエチレンオレイルエーテル(n=5
0)中に芯体を浸し、24時間放置した。その後、芯体
を取り出して芯表面をふき取り、直径0.71mmの赤
色焼成鉛筆芯とした。
【0021】〔実施例3〕直径を0.90mmに変更し
た以外は、上記実施例1と同様の方法で、白色の第3焼
成芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆体No.3の
シクロペンタノン溶液(15重量%)に上記第3焼成芯
体を浸し、常温で24時間放置した。放置後、溶液から
芯体を取り出した後、180℃で20分加熱し、更に8
0℃に加熱した混合溶液〔ポリオキシエチレンオクチル
フェニルエーテル(n=30):エチルアルコール=
7:3〕中に芯体を浸し、24時間放置した。その後、
芯体を取り出して芯表面をふき取り、直径0.90mm
の赤紫色焼成鉛筆芯とした。
【0022】〔実施例4〕上記表1の顔料前駆体No.
4のテトラヒドロフラン溶液(15重量%)に、上記実
施例2と同様の第3焼成芯体を浸し、常温で24時間放
置した。放置後、溶液から芯体を取り出した後、180
℃で20分加熱し、更に80℃に加熱したモノステアリ
ン酸ポリエチレングリコール(n=40)中に芯体を浸
し、24時間放置した。その後、芯体を取り出して芯表
面をふき取り、直径0.71mmの水色焼成鉛筆芯とし
た。
【0023】〔実施例5〕上記実施例1と同様の第2焼
成芯体100gをベルヒドロポリシラザンのキシレン溶
液(20wt%)140gが入った容器に浸漬後、大気
中で1200℃まで昇温させて、1200℃にて1時間
焼成し、直径0.57mmの第3焼成芯体を得た。次
に、上記表1の顔料前駆体No.1のトルエン溶液(2
0重量%)に上記第3焼成芯体を浸し、常温で24時間
放置した。放置後、溶液から芯体を取り出した後、18
0℃で20分加熱し、更に80℃に加熱したポリオキシ
エチレンセチルエーテル(n=30)中に芯体を浸し、
24時間放置した。その後、芯体を取り出して芯表面を
ふき取り、直径0.57mmの黄色焼成色鉛筆芯とし
た。
【0024】 〔実施例6〕 配合組成物A ジルコニウムアセチルアセトネート・エチルアセトアセテート 30.00重量% 水 1.75重量% 塩酸(36%) 0.45重量% n−ブチルアルコール 44.30重量% 上記配合組成物Aを35℃にて1時間加熱した。 配合組成物B 窒化棚素 13.00重量% ポリビニルブチラール 6.60重量% テトラエチレングリコール 3.90重量% 上記配合組成物Bに還流が終了した配合組成物Aを加
え、これらをミキサーで混合分散し、二本ロールで混練
し、溶剤量を調整した後、細線状に押出成形し、残留す
る溶剤、可塑剤を除去すべく空気中で200℃で乾燥
し、アルゴンガス雰囲気中で1700℃まで昇温して、
1700℃にて1時間焼成した。更に、大気中で700
℃まで昇温して700℃で3時間焼成し、直径1.0m
mの白色の焼成芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆
体No.3のテトラヒドロフラン溶液(20重量%)に
上記第3焼成芯体を潰し、常温で24時間放置した。放
置後、溶液から芯体を取り出した後、180℃で20分
加熱し、さらに80℃に加熱したポリオキシエチレンラ
ウリルエーテル(n=25)中に芯体を浸し、24時間
放置した。その後、芯体を取り出して芯表面をふき取
り、直径1.0mmの赤紫色焼成鉛筆芯とした。
【0025】 〔実施例7〕 窒化ホウ素 40重量% カオリン 35重量% ポリビニルアルコール 18重量% ポリエチレングリコール 7重量% 上記配合組成物と同重量との水とをヘンシェルミキサー
で混合分散し、2本ロールで混練し、水分調整した後、
細線状に押出成形し、これから残留する水を除去すべ
く、空気中で105℃にて15時間熱処理して、しかる
後、アルゴンガス中にて1100℃まで昇温して110
0℃で1時間焼成した。更に、大気中で、700℃で加
熱焼成し、炭素化物を除去して直径1.2mmの白色焼
成芯体を得た。次に、上記表1の顔料前駆体No.2の
トルエン溶液(15重量%)に上記第3焼成芯体を浸
し、常温で24時間放置した。放置後、溶液から芯体を
取り出した後、180℃で20分加熱し、更に80℃に
加熱したポリオキシエチレンオレイルエーテル(n=5
0)中に芯体を漫し、24時間放置した。その後、芯体
を取り出して芯表面をふき取り、直径1.2mmの赤色
焼成鉛筆芯とした。
【0026】〔比較例1〕上記実施例1と同様の焼成芯
体(第3焼成芯体)に、同様に上記表1の顔料前駆体N
o.1の酢酸エチル溶液(20重量%)を含浸、加熱し
た。次に、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(n=
2)に変更した液を80℃の加熱した中に前記芯体を浸
し、24時間放置した。その後、芯体を取り出して芯表
面をふき取り、直径0.57mmの黄色焼成鉛筆芯とし
た。
【0027】 〔比較例2〕 カルボキシメチルセルロースナトリウム塩 6重量% カオリン 60重量% DPPレッド顔料 14重量% モンタンワックス 5重量% ポリオキシエチレンオレイルエーテル(n=50) 15重量% 上記配合組成物と同重量との水とをヘンシェルミキサー
で混合分散し、2本ロールで混練し、水分調整した後、
細線状に押出成形し、これから残留する水を除去すべ
く、空気中で45℃にて75時間熱処理し、直径1.2
mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0028】上記実施例1〜7及び比較例1〜2の焼成
色鉛筆芯について、下記評価法により、曲げ強度、吸湿
後の曲げ強度、描線の水に対する溶解性について評価し
た。これらの結果について、下記表2に示す。
【0029】〔曲げ強度の評価法〕曲げ強度は、JIS
−S−6005に準拠して、芯の曲げ強度を測定した。 〔吸湿後の曲げ強度〕吸湿後曲げ強度は、35℃、80
%の雰囲気に1日放置後、芯の曲げ強度を上記方法によ
り測定した。
【0030】〔描線の水に対する溶解性についての評価
法〕芯に一定荷重(3N)をかけてぬりつぶし、水を含
んだ筆でなぞった。その溶解性について、目視で下記評
価基準にて5段階に分類して評価した。 評価基準: ◎:塗りつぶした痕がわからないほど溶解する 〇:溶解するが、塗りつぶした痕は残る △:半分ほど溶解する △△:やや溶解する ×:溶解しないまたはほとんど溶解しない
【0031】
【表2】
【0032】上記表2の結果から明らかなように、本発
明範囲となる実施例1〜7では、描線の水に対する溶解
性が良く、曲げ強度が強く、吸湿させても安定であるこ
とが判明した。これに対し、比較例1は、ポリエチレン
グリコールラウリルエーテルのnが小さいため、描線は
ほとんど溶解せず、比較例2は、非焼成芯であり、強度
が低く、また配合物のポリエチレングリコールオレイル
エーテルが吸湿しやすいため、大気中に放置すると、強
度低下してシャープペンシル、ホルダー用には使用でき
るものでなかった。
【0033】
【発明の効果】本発明によれば、描線が容易に水で溶解
して水彩画調の描画が得られ、かつ、鮮やかな発色性、
十分な描線濃度を持ち、耐光性、耐候性に優れた描線を
筆記でき、曲げ強度等の機械的強度に優れる水溶性焼成
色鉛筆芯及びその製造方法が提供される。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体の気
    孔内に、少なくとも下記一般式(I)で示される化合物
    を出発材料とした顔料と、下記一般式(II)〜(IV)で
    示される化合物のうち少なくとも1種類とを含有するこ
    とを特徴とする水溶性焼成色鉛筆芯。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無
    色あるいは白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポ
    リシラザンを出発材料とした窒化ケイ素とからなること
    を特徴とする請求項1記載の水溶性焼成色鉛筆芯。
  3. 【請求項3】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体を形
    成し、該焼成芯体の気孔内に、少なくとも下記式(I)
    で示される化合物を有機溶剤に溶解させて充填した後、
    加熱して該化合物を該気孔内にて顔料化させ、更に該気
    孔の残存部分に下記一般式(II)〜(IV)で示される化
    合物のうち少なくとも1種類を充填させることを特徹と
    する水溶性焼成色鉛筆芯の製造方法。 【化3】 【化4】
  4. 【請求項4】 白色若しくは淡色の多孔質焼成芯体が無
    色あるいは白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポ
    リシラザンを出発材料とした窒化ケイ素とからなること
    を特徴とする請求項3記載の水溶性焼成色鉛筆芯の製造
    方法。
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