JP3868067B2 - 焼成色鉛筆芯とその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、鮮やかな発色性、十分な描線濃度を持ちながら、曲げ強度等の機械的強度に優れ、消しゴムで容易に消去できる、特にホルダー用色鉛筆芯に好適な焼成鉛筆芯及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の焼成色鉛筆芯は、窒化ホウ素等の体質材、粘土等の結合材等からなる配合組成物を混練、押出成形し、更に熱処理後多孔質芯体とし、この芯体の気孔内に染料等からなるインクを充填させて製造していた。
この時、色鉛筆芯の重要特性としては、機械的強度が強く、発色性が鮮やかで、筆記描線が濃く、経時安定性が良く、更には消しゴムで容易に消去できるものが要求されている。
【0003】
ところで描線濃度、経時安定性の点では、充填させるインクは不揮発性であることが必要である。
揮発しやすいインクの場合、残存する染料が固化することにより、硬くガリガリの筆感で、描線濃度は薄くなり、最終的には染料固化物のみになると染料が呈色しにくい為、芯の色相まで変化することもある。
また、不揮発性インクを充填する場合は、染料を蒸気圧が低い高沸点有機化合物に溶解させて芯体の気孔内に充填させることになるが、染料の溶解性、書き味、消しゴムによる消去性の点で満足できる特性のものは得られていない。
【0004】
これらの問題を解決するものとして、特公昭58−5951号公報、特公平4−23671号公報、特開平7−41723号公報に芯を着色する不揮発性インクの溶剤が開示されている。
しかし、これらの溶剤は、常温で固体か、粘性液体の物が多く、消しゴムによる消去性は十分でない。さらに芯体の強度を上げるためには、細孔径はあまり大きくできないが、固体、粘性液体を溶剤とするインクは微細な細孔の芯体には充填しにくく、その結果、芯体の先端と中心部の濃度、色相に差が生じるという問題も生じる。また前記公報の中には、常温で液体の物もあるが、これらは染料の溶解度という点では十分でなく、描線の着色濃度の点で十分とは言えない。
【0005】
特に、特公昭58−5951号公報の発明の詳細な説明の中に、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルを染料インクの含浸を容易ならしめる目的で使用するという記述があるが、具体的な種類、使用量が定かでなく、また添加剤としての使用であり、主成分として用いる本発明とは明らかに異なる。
【0006】
また特公昭64−2155号公報には、帯電防止効果を目的として、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系非イオン界面活性剤を鉱物油と共に気孔中に含有させた焼成型鉛筆芯が開示されている。しかしこの製法の焼成型鉛筆芯は、粘土や各種有機物質よりなる結合材と、黒鉛等の着色材とを主材とした、いわゆる黒い鉛筆芯であり、本発明のように、無色あるいは白色の体質材と結合材とからなる、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体に染料インクを充填した色鉛筆芯とは、明らかに構成も目的も異なる。
【0007】
更に、特開昭59−218896号公報には、色芯の製造にあたり、芯体が有する気孔内にエタノール等の低級アルコール、ベンジルアルコール、トルエン等を媒体とした高浸透性インクを含浸せしめ、該インクにおける上記媒体を乾燥除去し、次にオレイン酸等の脂肪酸、脂肪酸エステル等を媒体とした不揮発性インクを含浸することにより色芯を製造する色芯の製造方法が開示されている。しかしながら、この製造方法では、気孔内に高浸透性インクを含浸させた後、ベンジルアルコール等の媒体を乾燥除去させ、更に、該気孔内に不揮発性インクを含浸させることにより製造されるものであるので、含浸工程→乾燥工程→含浸工程…いう含浸操作が2回以上必要となり、製造工程が煩雑化すると共に、2回にわたるインクの含浸によって色ムラが生じる等の課題があり、更に、本発明とは技術思想が相違するものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、前記従来技術の課題を解決することであり、鮮やかな発色性、十分な描線濃度を持ちながら、曲げ強度等の機械的強度に優れ、消しゴムで容易に消去できる焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、少なくとも下記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを35〜90重量%含有した染料インクを充填することにより解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至ったのである。
【0010】
すなわち、本発明の焼成色鉛筆芯は、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び低沸点有機溶剤に溶解させた染料溶液を充填し、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させて、乾燥後の芯体には、下記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを38.9重量%以上含有した染料インクを含ませてなる焼成色鉛筆芯である。
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1はデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。
【0011】
また詳しくは、無色あるいは白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザンを出発原料とした窒化ケイ素とからなる白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に前記の染料インクを含浸してもよい。
【0012】
製造方法としては、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体を形成し、該焼成芯体の気孔内に、少なくとも下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び低級アルコール等の低沸点有機溶剤に溶解させた染料溶液を充填し、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させることを特徴とする。
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1はデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の内容を説明する。
本発明の焼成色鉛筆芯は、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に下記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを38.9重量%以上含有した染料インクを含むものである。
【0014】
本発明の焼成色鉛筆芯の製造は、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体を形成し、該焼成芯体の気孔内に少なくとも、下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び低級アルコール等の低沸点有機溶剤に溶解させた溶液を充填し、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させることにより行われる。
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1はデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。
【0015】
本発明において、多孔質焼成芯体は従来公知の物で、少なくとも窒化ホウ素、タルク、マイカ、シリカ、アルミナ等の無色又は白色の体質材と、結合材である窒化ケイ素あるいは粘土等とから形成される。
特に、強度の点で、特開平8−48931号公報に開示されている、ペルヒドロポリシラザンを出発材料とした窒化ケイ素を結合材とした芯は好適である。
【0016】
体質材としては、従来焼成色鉛筆芯の体質材として使用されてきたもので、無色あるいは白色であれば特に限定されるものではなく、いずれも使用可能である。前記の体質材が使用でき、当然これら数種類の混合物も使用できる。
【0017】
本発明において焼成色鉛筆芯は、上記の多孔質焼成芯体の気孔内に染料を少なくとも下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル、及び低級アルコール等の低沸点有機溶剤に溶解させた溶液を充填し、ついで該低沸点有機溶剤を乾燥除去させることにより得られる
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1:デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。
【0018】
ポリオキシエチレンアルキルエーテルのR1は上記のデシル基より炭素数が小さいと、潤滑性による書き味、揮発性による経時安定性が十分でない。
また、トリデシル基あるいはオレイル基より炭素数が大きいと、n数にもよるが、染料の溶解性が低く、また、常温で固体であり、消しゴム消去性、芯の摩耗量からくる書き味等に問題が出る。さらに、nが上記の数より大きいと、常温で固体であるため、消しゴム消去性の低下が起きたり、芯のホルダーのNBR製保持チャックを侵しやすくなるという問題点がある。
なお、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの配合量としては、色により染料の種類、配合量、低沸点有機溶剤の配合量が異なるため、一概にはいえないが、35〜90重量%の範囲にすることが、その期待される効果から好ましい。
また上記範囲の配合量の場合、低沸点溶剤除去後の染料インクのポリオキシエチレンオレイルエーテル含有量は38.9重量%以上(上限は染料の配合量により変わり、特定できない)となる。
【0019】
低沸点有機溶剤としては公知で市販されているもので、前記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルと相溶性が有れば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類等いずれも使用可能であるが、最終的に乾燥、除去してしまうため、染料の耐熱性、乾燥のエネルギーコスト等を考慮すると、沸点150℃以下のものが好ましく、安全性等の点で特にエチルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましい。また当然これらの溶剤は混合して使用することも可能である。なお、低沸点溶剤の配合量は5重量%より少ないと染料の溶解性向上効果が少なく、40重量%を越えると乾燥除去により染料の固化が起きやすく、硬い筆感の芯となりやすい。好ましい配合量は10〜30重量%である。
【0020】
染料としては、前記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル、および、低沸点有機溶剤に溶解できるものであれば、酒精染料、油溶性染料、塩基性染料等いずれも使用可能である。また、当然これらの染料は混合して複数種同時に使用することも可能である。
【0021】
多孔質焼成芯体に染料溶液を充填する方法としては、多孔質焼成芯体を染料溶液中に浸せきし、また必要に応じて加熱、加圧、減圧等の条件下で気孔内に充填させる。その後、低沸点有機溶剤を乾燥除去する。さらに濃度を増加させるため、繰り返し浸せき、乾燥を行なってもよい。
【0022】
また、染料溶液に必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等を添加することも可能であるし、染料充填後の芯に書き味向上の目的で、更に前記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテル、オイル等を含浸することも可能である。
【0023】
このように構成される本発明の焼成色鉛筆芯及びその製造方法では、下記(1)〜(3)の作用を有することになる。
(1)染料の溶剤として、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのほかに、溶解性を向上させるため、低級アルコール等の低沸点有機溶剤を加えた混合溶剤に濃厚に溶解させて含浸、充填させるため、濃い描線濃度を得るのに十分な量の染料を芯の気孔内に充填できる。
【0024】
(2)芯の気孔内に充填された溶剤の内、低級アルコール等の低沸点有機溶剤は完全に乾燥除去されるため、以後、少なくとも染料とポリオキシエチレンアルキルエーテルからなる染料インクは経時的に安定で揮発しにくく、鮮やかな発色性、十分な描線濃度を持ち、経時安定性に優れた焼成鉛筆芯が得られる。
【0025】
(3)本発明の焼成鉛筆芯の染料インクは、常温で低粘度の液体であり、多孔質焼成芯体の摩擦を促進し、書き味を向上させる効果がある。また、紙面に固着しにくいため、消しゴムで容易に消去できる。
【0026】
【実施例】
次に本発明を実施例により、さらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
窒化ホウ素 40重量%
塩化ビニル樹脂 43 〃
ジオクチルフタレート(DOP) 16 〃
オレイン酸アミド 1 〃
上記配合組成物をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、2本ロールで混練したあと、細線状に押出成形し、これから残留する可塑剤を除去すべく、空気中で180℃にて10時間熱処理して、しかる後、窒素雰囲気中にて1000℃まで昇温して1000℃で1時間焼成し、第1焼成芯体を得た。
この第1焼成芯体を酸化雰囲気で700℃で加熱焼成し、炭素化物を除去して白色の第2焼成芯体を得た。
この第2焼成芯体に、ペルヒドロポリシラザン含有溶液を室温で1日含浸後、窒素雰囲気中で、700℃まで昇温して700℃にて1時間焼成し、直径0.57mmの白色の第3焼成体を得た。
次に
赤色染料〔スピロンレッド C−GH{保土谷化学工業(株)製} 25重量%
エチルアルコール 15 〃
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(n=2) 60 〃
からなる赤色溶液に上記第3焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、80℃で5時間乾燥してエチルアルコールを除去して、直径0.57mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0027】
(実施例2)
実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)に、
からなる青色溶液に、上記焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、90℃で5時間乾燥してイソプロピルアルコールを除去して、直径0.57mmの水色焼成鉛筆芯とした。
【0028】
(実施例3)
窒化ホウ素 40重量%
カオリン 35 〃
ポリビニルアルコール 18 〃
ポリエチレングリコール 7 〃
上記配合組成物と同重量の水とをヘンシェルミキサーで混合分散し、2本ロールで混練し、水分調製した後、細線状に押出成形し、これから残留する水を除去すべく、空気中で105℃にて15時間熱処理して、しかる後アルゴンガス中にて、1100℃まで昇温して、1100℃で1時間焼成した。
さらに酸化雰囲気で700℃で加熱焼成し、炭素化物を除去して、直径0.57mmの白色焼成芯体を得た。
次に
赤色染料〔スピロンレッド C−GH{保土谷化学工業(株)製} 25重量%
エチルアルコール 25 〃
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(n=9) 50 〃
からなる赤色溶液に上記焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、80℃で5時間乾燥してエチルアルコールを除去して、直径0.57mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0029】
(比較例1)
実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)に、
赤色染料〔スピロンレッド C−GH{保土谷化学工業(株)製} 25重量%
エチルアルコール 15 〃
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(n=25) 60 〃
からなる赤色溶液に上記焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、80℃で5時間乾燥してエチルアルコールを除去して、直径0.57mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0030】
(比較例2)
実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)に、
赤色染料〔スピロンレッド C−GH{保土谷化学工業(株)製} 25重量%
エチルアルコール 45 〃
ポリオキシエチレンオレイルエーテル(n=2) 30 〃
からなる赤色溶液に上記焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、80℃で5時間乾燥してエチルアルコールを除去して、直径0.57mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0031】
(比較例3)
実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)に、
からなる青色溶液に、上記焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、90℃で5時間乾燥してイソプロピルアルコールを除去して、直径0.57mmの水色焼成鉛筆芯とした。
【0032】
(比較例4)
実施例3と同様の焼成芯体に
赤色染料〔スピロンレッド C−GH{保土谷化学工業(株)製} 25重量%
エチルアルコール 25 〃
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(n=25) 50 〃
からなる赤色溶液に、上記焼成芯体を浸し、常温で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、80℃で5時間乾燥してエチルアルコールを除去して、直径0.57mmの赤色焼成鉛筆芯とした。
【0033】
上記、実施例1〜3、および、比較例1〜4の焼成色鉛筆芯について、消しゴム消去率、描線濃度、ホルダーのNBR製保持チャックの状態は、下記の方法で測定評価した。
【0034】
(1)消しゴム消去率
下記式より消しゴム消去率を求めた。
消しゴム消去率={(描線濃度)−(描線消去後濃度)}/(描線濃度) ×100
【0035】
(2)描線濃度
JIS S 6005に準拠して測定した。
【0036】
(3)ホルダーのNBR製保持チャックの状態
作製した芯(芯径0.57mm)を、芯径0.59mmの芯まで繰り出し可能なホルダーの先端から5mm程度出した状態で、60℃の恒温槽に1月放置した。その後、上記芯とは別の芯径0.59mmの芯が上記ホルダーから繰り出し可能かテストした。繰り出せないホルダーの保持チャックは、芯に充填した染色インクで膨潤したものと判断した。
【0037】
その結果を表1に示す。
【表1】
【0038】
(表1の考察)
表1から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜3では、消しゴム消去性が良く、十分な描線濃度を持ち、かつ汎用のホルダーで使用できることが判明した。
これに対し、比較例1、4では、ポリオキシエチレンのn数が大きいため、染料の溶解性は良好であったが、常温で固体のため、消しゴムで消去しにくく、またホルダーの保持チャックを膨潤させた。
比較例2では、ポリオキシエチレンオレインエーテルの量が少なく、エタノールの量が多かったため、染料は溶解できたが、エタノール除去後に染料が固化して硬い筆感となり、描線濃度は薄かった。
比較例3では、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの代わりにラウリルアルコールを用いたが、染料は完全に溶解しなかった。可溶分のみ多孔質焼成芯体に充填したが、染料濃度が十分でなく、描線濃度も薄かった。
【発明の効果】
色鉛筆芯では、機械的強度が強く、発色性が鮮やかで、筆記描線が濃く、経時安定性が良く、更には消しゴムで容易に消去できるものが求められている。描線濃度、経時安定性の点ではインクは不揮発性であることが必要である。不揮発性インクの溶剤は常温で固体、粘性液体のものが多く、消しゴムによる消去性が十分でなく、且つ芯の微細な細孔に充填しにくく、着色濃度の点で十分とはいえない。 本願の色鉛筆芯は、染料を低沸点溶剤に溶解させて細孔内に充填すると共に、これにポリオキシエチレンアルキルエーテルを共存させたので、低沸点溶剤を蒸発除去しても、これが残り、鮮やかな発色性と、十分な描線濃度を保ちながら、曲げ強度等の機械的強度に優れ、しかも消しゴムで容易に消去でき、特にホルダーのNBR製保持チャックを芯表面のインクのブリードで膨潤させることがない。
Claims (4)
- 白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び低沸点有機溶剤に溶解させた染料溶液を充填し、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させて、乾燥後の芯体には、下記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを38.9重量%以上含有した染料インクを含ませてなる焼成色鉛筆芯。
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1はデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。 - 無色あるいは白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザンを出発材料とした窒化ケイ素とからなる、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び低沸点有機溶剤に溶解させた染料溶液を充填し、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させて、乾燥後の芯体には、下記一般式(a)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルを38.9重量%以上含有した染料インクを含ませてなる焼成色鉛筆芯。
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1はデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。 - 白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体を形成し、該焼成芯体の気孔内に少なくとも下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び低沸点有機溶剤に溶解させた染料溶液を充填し、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させることを特徴とする焼成色鉛筆芯の製造方法。
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1はデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。 - 無色あるいは白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザンを出発材料とした窒化ケイ素とからなる、白色もしくは淡色の多孔質焼成芯体の気孔内に、少なくとも下記一般式(a)で示される35〜90重量%のポリオキシエチレンアルキルエーテル及び低沸点有機溶剤に溶解させた染料溶液を充填し、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させることを特徴とする焼成色鉛筆芯の製造方法。
(a) R1−O−(CH2CH2O)nH
R1はデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基。
n=1〜14。
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