JP3995418B2 - 焼成色鉛筆芯及びその製造方法 - Google Patents

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Description

技術分野
本発明は、鮮やかな発色性、十分な描線濃度を持ちながら、曲げ強度等の機械的強度に優れ、消しゴムで容易に消去できる、特にホルダー用色鉛筆芯に好適な焼成芯体にインクを含浸した焼成色鉛筆芯及びその製造方法に関する。
背景技術
色鉛筆芯の重要特性としては、機械的強度が強く、発色性が良く、筆記描線の濃度が濃いものが要求されている。
従来の焼成色鉛筆芯は、結合材として一種及び/又は二種以上の粘土等が用いられ、これに窒化硼素等の体質材、更に必要に応じて耐熱性の顔料、反応促進材を添加、配合した配合組成物を混練し、この混練物を押出成形した後、熱処理を経て多孔質焼成芯体とし、この芯体の気孔中に染料および顔料から成るインク等を充填させて色鉛筆芯としていた。
ところが、従来の焼成色鉛筆芯は機械的強度が充分でなく、濃度および発色性においても充分なものが得られていないのが現状である。
従来、結合材として粘土等を用いている焼成芯体は、窒化硼素等の体質材と粘土等の結合材の焼結力が弱く、粘土等自身の強度も低いため、得られる焼成色鉛筆芯は実用強度に達していない。さらに、粘土は、不純物を含んでいるため、得られる焼成芯体は一般に有色となり、描線の発色性に悪影響を与えることとなる。特に、淡色系の描線のくすんだ色の原因となっている。そこで、上記の要求を達成するためには、充分な機械的強度を保持しつつ、気孔率を増加させることにより芯体に充填されるインク量を多くする必要がある。
上記の課題を解決する方法として、本発明者らは少なくとも体質材を熱処理してなる特定の多孔質焼成芯体の気孔内にペルヒドロポリシラザン含有液を含浸させ、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中、又はアンモニアガス雰囲気中で熱処理することにより、結合材として窒化珪素を生成させた芯体を得、この芯体の気孔中にインクを充填させてなる焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提案している(特開平8−48931号公報)。
また、上記課題を解決する方法として、特定の粒子径からなる体質材を使用することにより、特定の気孔を持つ焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提案している(特開平9−208878号公報)。
さらに、本発明者らは、気孔内にオレイルアルコール、特定のポリオキシエチレン脂肪酸エステル、特定のポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンオレイルエーテルを含むインクを含浸させた焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提案している(特開平10−237377号公報、特開平10−237378号公報、特願平9−188299号)。
しかしながら、これらの色鉛筆芯でも、芯体の強度を上げるために細孔直径を小さく設定すると、インクは微細な細孔の芯体に充填しにくく、その結果、芯体の先端部と中心部の濃度、色相に差が生じるという点に問題がある。
本発明は、上記従来の焼成色鉛筆芯の問題を解決するとともに、本発明者らの上記先行技術を更に改良することであり、芯体の場所による濃度のばらつきが無く、格段に優れた機械的強度、及び鮮やかで優れた発色性、書き味に優れ、消しゴムで容易に消去できる焼成色鉛筆芯及びその製造方法を提供することを目的とする。
発明の開示
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を行った結果、特定の気孔を有する多孔質焼成芯体に、特定の圧力下で特定の染料インクを含浸することにより解決しうることを見い出し、本発明を完成するに至ったのである。
すなわち、本発明の焼成色鉛筆芯及びその製造方法は、次の(1)〜(6)を構成する。
1.容積基準メジアン細孔直径が0.27μm以下で、白色又は淡色である多孔質焼成芯体を形成し、染料インク中に浸漬した後、1.5MPa以上に加圧して該焼成芯体の気孔内に該染料インクを含浸させてなることを特徴とする焼成色鉛筆芯の製造方法。
2.多孔質焼成芯体気孔内に含浸させる染料インクが、溶剤として下記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤のうち、少なくとも1種を用いた染料インクである上記1記載の焼成色鉛筆芯の製造方法。
CH(CHCH=CH(CHCHOH (I)
O(CHCHO)H (II)
〔式(II)中のRは、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、オレオイル基であり、nは4.5〜15である〕
−O−(CHCHO)H (III)
〔式(III)中のRは、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基であり、mは1〜14である〕
3.多孔質焼成芯体気孔内にインク溶液の35〜90重量%の前記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤のうち少なくとも1種と、低沸点有機溶剤とを溶剤として用いた染料インク溶液を加圧含浸させた後、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させることからなる上記2記載の焼成色鉛筆芯の製造方法。
4.多孔質焼成芯体が、無色又は白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザンを出発材料とした窒化珪素とからなる上記1〜3のいずれか記載の焼成色鉛筆芯の製造方法。
5.上記1記載の製造方法によって得られた焼成色鉛筆芯。
6.一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤のうち、少なくとも1種を38重量%以上含有した染料インクを含むことを特徴とする上記2〜4のいずれか記載の製造方法により得られた焼成色鉛筆芯。
発明を実施するための最良の形態
以下に、本発明の実施の形態を詳しく説明する。
本発明の焼成色鉛筆芯の製造は、容積基準メジアン細孔直径が0.27μm以下で白色又は淡色である多孔質焼成芯体の気孔内に、染料インクを1.5MPa以上に加圧して含浸させることによって行われる。好ましくは、含浸させる染料インクの溶剤として下記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤のうち少なくとも1種を用いた染料インクであることを特徴とするものである。
CH(CHCH=CH(CHCHOH (I)
O(CHCHO)H (II)
〔式(II)中のRは、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、オレオイル基であり、nは4.5〜15である〕
−O−(CHCHO)H (III)
〔式(III)中のRは、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基であり、mは1〜14である〕
さらに好ましくは、本発明の焼成色鉛筆芯の製造は、まず容積基準メジアン細孔直径が0.27μm以下で白色又は淡色である多孔質焼成芯体を形成し、該多孔質焼成芯体を染料を前記不揮発性溶剤の少なくとも1種と低沸点有機溶剤とに溶解させた染料インク溶液中に浸漬した後、1.5MPa以上に加圧して該焼成芯体の気孔内に該染料インク溶液を加圧含浸させた後、低沸点溶剤を乾燥除去することにより行われる。
本発明において、多孔質焼成芯体は、容積基準メジアン細孔直径が0.27μm以下で白色又は淡色であるものであれば、その製法、構造等は特に限定されるものでなく、例えば、少なくとも無色又は白色の体質材と、結合材である窒化珪素又は粘土等から形成されるものなどが挙げられる。
好ましくは、曲げ強度等の機械的強度、書き味、色相の点で、多孔質焼成芯体は、無色又は白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザンを出発材料とした窒化珪素とからなるものが好適である。このペルヒドロポリシラザンを出発材料とした上記特性を有する多孔質焼成芯体の製法としては、本発明者らが開示した特開平8−48931号公報などに記載の製法が望ましい。
すなわち、少なくとも体質材と有機質の賦形材を含む配合組成物を混練、押出成形、非酸化性雰囲気で焼成することにより、該有機質の賦形材が炭素化された炭素をバインダーとする第1焼成芯体を形成し、該第1焼成芯体を酸化雰囲気中で加熱して炭素のバインダーを酸化除去して第2焼成芯体を形成し、該第2焼成芯体の気孔内にペルヒドロポリシラザン含有液を充填させ、窒素雰囲気等の不活性雰囲気中又はアンモニアガス雰囲気中での熱処理により、結合材として窒化珪素を生成させた白色又は淡色となる多孔質焼成芯体(第3焼成芯体)を得る方法等である。
上記多孔質焼成芯体の形成に用いる体質材としては、従来焼成色鉛筆芯の体質材として使用されてきたもので、無色又は白色であれば、特に限定されるものではなく、いずれも使用可能である。例えば、窒化硼素、タルク、マイカ、アルミナ、シリカ等が使用でき、当然これら数種類の混合物も使用できる。なお、ペルヒドロポリシラザンを用いる場合は、耐熱性、その他の点で窒化硼素の使用が好ましい。
上記多孔質焼成芯体の容積基準メジアン細孔直径を0.27μm以下、好ましくは、0.07〜0.25μmとするためには、体質材の粒子径は15μm以下、好ましくは、12μm以下のものを選択することが望ましい。しかし、体質材の粒子径が3μm未満では、得られる芯体の摩耗量が少なく、硬い筆感となるため、3μm以上が好ましい。
従って、使用する体質材の粒子径は、好ましくは、3μm〜15μm、更に好ましくは、3μm〜12μmのものが望ましい。
容積基準メジアン細孔直径が0.27μmを越える多孔質焼成芯体であると、芯体の機械的強度が弱くなり、好ましくない。
なお、多孔質焼成芯体の気孔率は、インクの充填量と曲げ強度のバランス等を考慮すると、第2焼成芯体に充填するペルヒドロポリシラザン含有液量を調整するなどにより5%〜35%に調整することが望ましい。
本発明において、焼成色鉛筆芯は、1.5MPa以上に加圧して上記細孔直径の多孔質焼成芯体の気孔内に染料インクを含浸、充填することにより得られる。
本発明では、多孔質焼成芯体は容積基準メジアン細孔直径が0.27μm以下となるものを使用するので、圧力が1.5MPa未満では、染料の分子形状、インクの溶剤の種類によっては芯体の中心部までインクが含浸しにくくなるため、1.5MPa以上、好ましくは、2.0MPa以上に加圧して含浸させることが望ましい。
加圧の方法としては、得られた白色又は淡色の多孔質焼成芯体をインクを含んだ溶液中に浸漬し、窒素、アルゴンガス等の不活性ガスで加圧する方法等が例示できる。
なお、必要に応じて加熱することはもちろん、加圧前に減圧して含浸を促進することはもちろん可能である。
前記多孔質焼成芯体に加圧含浸させる染料インクとしては、従来公知のもの、例えば染料を動植物油、合成油、アルコール類、炭化水素油、水等のオイル、溶剤に溶解させ、必要に応じて樹脂、界面活性剤等をさらに添加し製造された一般的に用いられている印刷用インク、スタンプインク、ボールペンインク、水性筆記用インク等が使用できる。特に、これらインクの溶剤として上記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤を用いた染料インクを使用することが好ましい。
また、染料インクに、必要に応じて紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤等を添加することも可能である。
上記不揮発性溶剤は、単独使用はもちろん、2種類以上混合して使用することも可能である。
不揮発性溶剤としては、染料の溶解性、書き味等から第一アルコールが好ましいが、特に、上記一般式(I)で示されるオレイルアルコールは揮発性が低いため、経時安定性が良く、また消しゴム消去性、書き味に優れ、焼成色鉛筆芯の溶剤として良好である。
また、他の好ましい溶剤である、上記一般式(II)で示されるポリオキシエチレン脂肪酸エステルのR、上記一般式(III)で示されるポリオキシエチレンアルキルエーテルのRは、各々上記のデカノイル基、デシル基より炭素数が小さいと、潤滑性による書き味、揮発性による経時安定性が十分でなく、好ましくない。
更に、オレオイル基、オレイル基を除き、トリデカノイル基、トリデシル基より炭素数が大きいと、n又はmの数にもよるが、染料の溶解性が低く、また、常温で固体であり、消しゴム消去性、芯の摩耗量からくる書き味等に問題がでて、好ましくない。
更にまた、n,mが上記の数より大きいと、常温で固体であるため、消しゴム消去性が劣り、芯のホルダーの保持部のNBR製チャックを侵しやすくなるという問題点がある。
従って、上記一般式(II)で示されるポリオキシエチレン脂肪酸エステル、一般式(III)で示されるポリオキシエチレンオレイルエーテル及びポリオキシエチレンアルキルエーテルが、焼成色鉛筆芯の溶剤として良好である。
上記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤には、更に染料の溶解性を向上させるため、補助溶剤として低沸点有機溶剤の添加が望ましい。
使用する低沸点有機溶剤としては、公知で市販されているもので、不揮発性溶剤との相溶性に優れ、染料の溶解性に優れるものであれば、アルコール類、ケトン類、エステル類、エーテル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類等のいずれも使用可能である。
得られる色鉛筆芯の経時安定性の点で、低沸点有機溶剤は、多孔質焼成芯体気孔内に加圧含浸後に乾燥、除去する必要があり、染料の耐熱性、乾燥のエネルギーコスト等を考慮すると、使用する低沸点有機溶剤としては、沸点150℃以下のものが望ましく、更に、安全性等の点で、特にエチルアルコール、イソプロピルアルコールが好ましい。
また、当然これらの溶剤は、2種以上混合して使用することも可能である。
不揮発性溶剤、低沸点溶剤の配合量としては、色により染料の種類、配合量、低沸点有機溶剤の必要量が異なるため一概にはいえないが、不揮発性溶剤は、染料インク溶液の35〜90重量%、低沸点有機溶剤は10〜30重量%にすることがその期待される効果から好ましい。
本発明において、前記低沸点有機溶剤除去後における、多孔質焼成芯体の気孔内に含まれる染料インク中の前記一般式(I)〜(III)で示される少なくとも1種の不揮発性溶剤の含有率は、目的の色鉛筆芯を得るために、38重量%以上となることが望ましい。
なお、上記配合量の範囲、すなわち、染料インク溶液中に不揮発性溶剤35〜90重量%、低沸点有機溶剤10〜30重量%の場合、低沸点有機溶剤除去後の染料インク中の不揮発性溶剤の含有率は、38重量%以上となる。
さらに、染料インキ充填後の芯に書き味向上の目的で、上記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤及び/又はその他のオイル等を含浸させてもよい。
染料としては、上記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤、および低沸点有機溶剤はもちろん、その他の使用する溶剤、オイル、水等に溶解できるものであれば、酒精染料、油溶性染料、塩基性染料、含金属染料等いずれも使用可能である。また、当然これらの染料は、混合して複数種同時に使用することも可能である。
このように構成される本発明の焼成色鉛筆芯及びその製造方法では、下記の作用等を有する。
本発明の焼成色鉛筆芯及びその製造方法では、優れた経時安定性、曲げ強度、書き味という長所の他に、加圧することにより、焼成芯体の気孔内にムラ無く、濃い描線濃度を得るのに十分な量の染料インクが充填できるため、芯体の場所による濃度ばらつきがなく、均一で優れた発色性の焼成色鉛筆芯が得られる。
実施例
次に、本発明を実施例、比較例により、更に具体的に説明するが、本発明は下記実施例によって何ら限定されるものではない。
実施例1
窒化硼素(平均粒子径7μm) 40重量%
塩化ビニル樹脂 43重量%
ジオクチルフタレート(DOP) 16重量%
オレイン酸アミド 1重量%
上記配合組成物をヘンシェルミキサーで混合分散し、加圧ニーダー、2本ロールで混練した後、細線状に押出成形し、これから残留する可塑剤を除去すべく、空気中で180℃にて熱処理し、しかる後、窒素雰囲気中にて1000℃まで昇温して1000℃で焼成し、第1焼成芯体を得た。
この第1焼成芯体を酸化雰囲気で700℃で加熱焼成し、炭素化物を除去して白色の第2焼成芯体を得た。この第2焼成芯体に、ペルヒドロポリシラザン含有溶液を室温で1日含浸させた後、窒素雰囲気中で1250℃まで昇温して1250℃にて焼成して焼成芯体を得た。
上記ペルヒドロポリシラザン含有液の含浸、焼成工程をさらに1回繰り返し、直径0.57mmの白色の第3焼成芯体を得た。
次に、
スピロンレッドC−GII(保土ケ谷化学工業(株)) 30重量%
ジエチレングリコールノニルフェニルエーテル 70重量%
からなる赤色インクに上記焼成芯体を浸し、オートクレーブ中3.5MPaに加圧して、70℃で24時間放置した。溶液から芯体を取り出した後、芯表面をエチルアルコールにて洗浄し、直径0.57mmの赤色焼成色鉛筆芯を得た。
実施例2
上記実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)に、
ヴァリファストブルー1605(オリエント化学工業(株))15重量%
エチルアルコール 25重量%
ポリオキシエチレンラウリルエーテル(m=4.5) 60重量%
からなる青色溶液に上記第3焼成芯体を浸し、オートクレーブ中2.2MPaに加圧して、常温で24時間放置した。
溶液から芯体を取り出した後、80℃で乾燥してエチルアルコールを除去し、直径0.57mmの水色焼成色鉛筆芯を得た。
実施例3
上記実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)に、
ヴァリファストブルー1605(オリエント化学工業(株))15重量%
エチルアルコール 25重量%
オレイルアルコール 60重量%
からなる青色溶液に上記焼成芯体を浸し、オートクレーブ中2.2MPaに加圧して、常温で24時間放置した。
溶液から芯体を取り出した後、80℃で乾燥してエチルアルコールを除去し、直径0.57mmの水色焼成色鉛筆芯を得た。
比較例1
上記実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)を、実施例1と同様の赤色インクに浸し、常圧にて70℃、24時間放置した。さらに、実施例1と同様の方法で芯表面をエチルアルコールにて洗浄し、直径0.57mmの赤色焼成色鉛筆芯を得た。
比較例2
上記実施例1と同様の焼成芯体(第3焼成芯体)を、実施例2と同様の青色溶液に浸し、オートクレーブの圧力を1.0MPaとした以外は、同様の方法で染色し、直径0.57mmの水色焼成色鉛筆芯を得た。
比較例3
窒化硼素の平均粒子径を17μmとした以外は、上記実施例2と同様の方法で作製し、直径0.57mmの水色焼成色鉛筆芯を得た。
上記実施例1〜3及び比較例1〜3の焼成色鉛筆芯について、JIS−6005−1989に準拠して曲げ強度、並びに容積基準メジアン細孔直径、気孔率及び染色ばらつきについて測定等し、評価した。
Figure 0003995418
(表1の考察)
上記表1の結果から明らかなように、本発明範囲となる実施例1〜3では、曲げ強度が強く、ホルダー用色鉛筆芯として使用可能であり、染色ばらつきはほとんどないことが判明した。
これに対し、本発明の範囲外となる比較例1、2は、染色時の圧力が小さいため、染色が十分でなく、芯の先端および表面は染色されたが、中心部分は白色のままだった。また、比較例3では、窒化硼素の粒子径が大きかったため、細孔直径が大きく、描線濃度は濃いが、強度が弱く、ホルダー用色鉛筆芯としては折れやすかった。
なお、消しゴム消去性に関しては、実施例1〜3及び比較例1〜3のいずれも良好であった。
産業上の利用可能性
本発明の焼成色鉛筆芯は、機械的強度にすぐれ、実用上折れ難く、きわめて優れた発色性、書き味、消しゴム消去性を有する色鉛筆芯として有用であり、特にホルダー用色鉛筆芯に好適である。

Claims (6)

  1. 容積基準メジアン細孔直径が0.27μm以下で、白色又は淡色である多孔質焼成芯体を形成し、染料インク中に浸漬した後、1.5MPa以上に加圧して該焼成芯体の気孔内に該染料インクを含浸させてなることを特徴とする焼成色鉛筆芯の製造方法。
  2. 多孔質焼成芯体気孔内に含浸させる染料インクが、溶剤として下記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤のうち、少なくとも1種を用いた染料インク溶液である請求の範囲1記載の焼成色鉛筆芯の製造方法。
    CH(CHCH=CH(CHCHOH (I)
    O(CHCHO)H (II)
    〔式(II)中のRは、デカノイル基、ウンデカノイル基、ラウロイル基、トリデカノイル基、オレオイル基であり、nは4.5〜15である〕
    −O−(CHCHO)H (III)
    〔式(III)中のRは、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、オレイル基であり、mは1〜14である〕
  3. 多孔質焼成芯体気孔内にインク溶液の35〜90重量%の前記一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤のうち少なくとも1種と、低沸点有機溶剤とを溶剤として用いた染料インク溶液を加圧含浸させた後、該低沸点有機溶剤を乾燥除去させることからなる請求の範囲2記載の焼成色鉛筆芯の製造方法。
  4. 多孔質焼成芯体が、無色又は白色の体質材と、結合材であるペルヒドロポリシラザンを出発材料とした窒化珪素とからなる請求の範囲1〜3のいずれか記載の焼成色鉛筆芯の製造方法。
  5. 請求の範囲1記載の製造方法によって得られた焼成色鉛筆芯。
  6. 一般式(I)〜(III)で示される不揮発性溶剤のうち、少なくとも1種を38重量%以上含有した染料インクを含むことを特徴とする請求の範囲2〜4のいずれか記載の製造方法により得られた焼成色鉛筆芯。
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