JP3909144B2 - 鉛筆芯 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は、気孔中に含浸材として特定の油状物質が含浸された鉛筆芯に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来鉛筆芯は、黒鉛などの体質材と樹脂などの結合材とを混練、押出、焼成して得られた焼成芯の気孔中に含浸材としての油状物質を含浸して完成芯としている。ここで気孔中に含浸する油状物質は、筆記濃度を高めると共に書き味を滑らかにするためであり、この油状物質として例えば鯨油、ラード、菜種油、大豆油等の動植物油、またはスピンドル油、流動パラフィン等の鉱油、さらにはオレイン酸、シリコーン油など、これらが単独もしくは組み合わせて使用されており、これらの油状物質を、含浸のし易さや強度および濃度、書き味など諸性能のバランスがとれるよう選択して用いられている。特に代表的には、シリコーン油や鉱油であるスピンドル油、流動パラフィン等が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の油状物質を用いた場合次のような問題がある。即ち、昔と比べ鉛筆芯の曲げ強度は、種々の開発の結果大幅に向上してきている。そうなると、必然的に濃度や書き味が劣化する方向となるため、これを補償するため油状物質を含浸させて濃度を高め、書き味を滑らかにさせるのであるが、従来の油状物質を用いた場合、この点において充分な性能がいまだ得られていない。
【0004】
さらに別の問題として、紙面への定着性が挙げられる。鉛筆芯の最大の特徴は、ボールペンやサインペンなど他の筆記具と異なり、消去性を有することにある。しかし消去性を有することは、使用上特徴がある反面、逆に紙面への定着性が他の筆記具と比べ弱いことになり、結果として汚れ易いという問題が生ずる。この汚れを防止するためにも、種々の含浸材が検討されているが、いまだ充分なものが得られていないのが現状である。つまり、含浸材を含浸して濃度を一層高めようとするとより汚れ易くなり、汚れを少なくするために例えばワックス状に近い含浸材や定着性の大きい含浸材を用いた時には、濃度が低くなったり、消去性が逆に劣ってしまうなどの問題が生ずるのである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記問題について鋭意検討した結果完成したものであり、鉛筆芯の気孔中に特定の含浸材を含浸させることにより上記問題を解決したものであって、請求項1にかかる鉛筆芯は、少なくともナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素から成り、かつその炭素比であるナフテン系炭素:パラフィン系炭素とが1:0.5から1:1.6の範囲にあることを特徴とする。
【0006】
さらに請求項2にかかる鉛筆芯は、請求項1における油状物質の炭素および水素の原子数が原子比で97%以上で、さらにその平均分子量が100〜600の範囲である油状物質を用いることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の鉛筆芯の気孔中に含浸される油状物質は、少なくともナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素とから構成されている。ナフテン系炭化水素は、二重結合を持たない炭素が環状構造を有し、各炭素が2つづつの水素と結合している単独形状のもの、あるいは一部の炭素どうしが繋がって環状構造どうしが連結した構造のものがある。またパラフィン系炭化水素は、炭素が一列に連結された直鎖式構造を有するものであるが、またいくつかの側鎖をもつイソパラフィンも含まれる。本発明の含浸体としては、このナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素との混合物、あるいはナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素とが任意の程度で相互に連結した構造のものなどが挙げられ、さらにはこれらの混合物なども用いることができる。なお、ナフテン系炭化水素中の炭素をナフテン系炭素と呼び、パラフィン系炭化水素中の炭素をパラフィン系炭素と呼ぶ。
また、油状物質としてナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素以外の他の炭化水素が含まれていてもよく、例えば芳香族性を持った炭素や2重結合、3重結合を持った炭素などが含まれている炭化水素でもよいが、好ましくはこれら他の炭化水素の混合割合は、油状物質全体の10%以下が好適である。
【0008】
本発明の油状物質を構成するナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素の炭素どうしの割合において、つまりナフテン系炭素:パラフィン系炭素が1:0.5から1:1.6の範囲、特には1:0.8から1:1.3の範囲にあることが好ましい。この範囲において、理由は定かでないがより一層の紙面に対する定着性が得られ、汚れにくい筆記線が得られるのである。
【0009】
さらに、このナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素を構成する炭素および水素の合計原子数が、原子比で97%以上であることが好ましい。97%以上という、より純粋な炭化水素系の油状物質とすることにより、流動性がよく、かつ紙面にも充分にのり易い含浸材となるのである。
【0010】
またこの油状物質としては、その平均分子量が100〜600の範囲にあることが好ましい。この範囲において上記油状物質が持つ好ましい特徴が最も顕現され、さらに濃度や書き味もきわめて良好となる。
つまり100以下であると、気孔中への含浸がし易く、含浸直後の鉛筆芯の濃度や書き味は優れているものの、きわめて揮散し易く、経時的に濃度や書き味が変化し、初期の特性を維持できないものとなってしまう。また600以上であると、気孔中(特に微細孔中)への含浸がしにくく、全気孔中への含浸は難しい。そのために、含浸後の鉛筆芯は含浸前の鉛筆芯に比べて、濃度や書き味があまり向上しない。
【0011】
また本発明の油状物質の動粘度が、40℃において5〜500cstであることが好ましい。この範囲において本発明の鉛筆芯に最適の含浸材が得られ、目的のものが得られることとなる。5cst以下の場合は揮発性が高くなり、500cst以上の時は、気孔中に充分に含浸させることが困難となり、また書き味も良くない。
【0012】
本発明においては、含浸材としてナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素から成る油状物質のみを単独で使用してもよいが、他の油脂やワックスなど従来公知の含浸材と併用してもよく、曲げ強度、硬度、濃度、書き味など、目的とする仕様、性能に応じて適宜選択して用いることができる。
【0013】
本発明に用いる鉛筆芯の気孔率は任意であるが、好ましくは5〜40%の範囲が好適である。5%以下では、本発明の油状物質の特徴が顕著に現れず、しかも濃度も薄くなり易く、また40%以上になると油状物質の量が多くなって充分な定着性が得られ難くなり、さらには曲げ強度が劣化し易くなる。
【0014】
本発明の鉛筆芯の製造法について簡単に述べると、黒鉛、カーボンブラック、窒化硼素、タルク、雲母などの体質材に、粘土、天然高分子化合物、合成高分子化合物、コールタールピッチ、石油系ピッチなどの結合材を加え、必要に応じて溶剤、可塑剤、耐熱性顔料や、その他気孔形成材などを加えて混練、押出成形する。この押出芯を、無酸化雰囲気中において概ね600〜1500℃の温度で焼成し、得られた焼成芯の気孔中に含浸材としてナフテン系炭化水素およびパラフィン系炭化水素から成る油状物質を含浸して完成芯とする。上記製造法は一般的な製法であり、本発明の油状物質以外は特にこの製法に限定されるものではない。
【0015】
本発明の油状物質を含浸する方法としては、一般の油脂類と同様に常圧含浸または減圧、加圧含浸法を用いて、温度を70〜200℃に保ち含浸を行う。充分に含浸させたのちに、表面に付着した余分の油状物質を遠心分離または吹きつけ洗浄等により除去する。
【0016】
【実施例】
実施例1
黒鉛60重量部、ポリ塩化ビニル40重量部、メチルエチルケトン100重量部を混練して混練物を作製し、この混練物を押出成形して押出芯を作製した後、アルゴンガス雰囲気中にて1000℃で2時間焼成して、外径が0.57mmφで、気孔率35%の焼成芯を得た。
この焼成芯の気孔中に、含浸材(ナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素とから成り、かつナフテン系炭素:パラフィン系炭素が1:1.11、炭素および水素の原子比99.5%、平均分子量300、40℃での動粘度9.2cstの油状物質)を、80℃、4時間の常圧下で含浸させて完成芯とした。
【0017】
実施例2
実施例1の焼成芯を用い、その気孔中に実施例1の油状物質と全油状物質の10%にあたる流動パラフィンを加えた含浸材を実施例1と同様の条件にて含浸した。
【0018】
比較例1
焼成芯として実施例1と同様の芯を用い、その気孔中に流動パラフィン(ナフテン系炭素:パラフィン系炭素が1:2.01で、炭素および水素の原子比98.0%、平均分子量350、40℃での動粘度16.3cst)を実施例1と同様の条件にて含浸した。
【0019】
比較例2
焼成芯として実施例1と同様の芯を用い、その気孔中にオレイン酸(ナフテン系炭素:パラフィン系炭素が0:1で、炭素および水素の原子比96.3%、平均分子量282)を実施例1と同様の条件にて含浸した。
【0020】
比較例3
焼成芯として実施例1と同様の芯を用い、その気孔中にシリコーン油を実施例1と同様の条件にて含浸した。
上記実施例1、2および比較例1、2、3について、その性能を表1にまとめた。
【0021】
【表1】
【0022】
なお、濃度の測定はJIS−S−6005に準じ、数値が大きいほど濃い。
書き味は官能試験であり、Aは良好、Bは普通、Cは悪いことを表す。紙面に対する定着性は、指でこすった時の汚れ具合を目視にて調べた。消去性は、一般的なプラスチック消しゴムで、筆跡を消した時の消え易さを調べた。○は消し易い、△は普通、×は消しにくいことを示す。
【0023】
【発明の効果】
本発明の鉛筆芯は、表1からも明らかな通り、書き味が良好であり、さらに濃度が高い割には紙面に対する定着性もよく、汚れにくい筆記線が得られ、しかも消去性も良いという特徴を有し、通常の鉛筆芯やシャープペンシル芯あるいはプロッタ用芯としても顕著な効果を奏するものである。
Claims (2)
- 気孔を有する鉛筆芯において、少なくともナフテン系炭化水素とパラフィン系炭化水素から成り、かつその炭素比であるナフテン系炭素:パラフィン系炭素とが1:0.5から1:1.6の範囲にある油状物質が含浸材の一部または全部として気孔中に含浸されていることを特徴とする鉛筆芯。
- 油状物質の炭素および水素の原子数が原子比で97%以上であり、さらにその平均分子量が100〜600である請求項1記載の鉛筆芯。
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