(1)概要
以下の実施形態において説明する図1~10Bは、模式的な図であり、図1~10B中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
本実施形態に係るインターホンシステム10は、例えばマンション等の集合住宅に適用される集合住宅用のインターホンシステムである。インターホンシステム10では、図2Aに示すように、子機1と各親機2(通信装置)とが制御装置3を介して通信を行う。ただし、本実施形態に係るインターホンシステム10は、集合住宅以外に、戸建住宅に適用されてもよい。あるいは、インターホンシステム10は、事務所、店舗、学校若しくは介護施設等の非住宅施設等に適用されてもよい。
本実施形態に係るインターホン玄関装置は、ここでは一例として、インターホンシステム10における子機1であることを想定する(図2A参照)。子機1は、例えば、ロビー等の集合住宅の共用部に設置される共用端末(ロビーインターホン)である。子機1は、例えば複数棟にわたって親機2との間で通信(例えば、通話、及び映像信号の送信等)を行うように構成されてもよい。
ここで子機1(インターホン玄関装置)は、人からの操作入力を受け付ける子機側操作部14(操作部)と、子機側制御部13(制御部)と、を備える。以下、「人」を、操作部を操作する者、又は操作部を操作しようとする者として、「操作者H1」と呼ぶこともある(図1参照)。操作者H1は、来訪者でもよいし、住人等でもよい。なお、図1では、子機1の撮像部11で撮像されている操作者H1自身のリアルタイムの映像が表示画面180に出力されている。
そして、子機側制御部13は、特定条件が満たされると、子機側操作部14にて受け付けた操作入力を有効にする。特定条件は、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を含む。ここで言う「有効にする」とは、例えば、操作入力が、特定の親機2(通信装置)の呼び出しに関する場合、具体的には、操作入力が、部屋番号の入力後にその入力を確定するための呼出ボタンN4の押しである場合、実際に呼び出しを実行することである。言い換えると、特定条件が満たされなければ、呼出ボタンN4が押されても、子機側制御部13は、呼び出しを実行しない(呼び出しの無効化)。
第1条件とは、少なくとも、操作者H1の特定部位H10が、操作者H1を識別可能な所定の範囲R1内に収まることである。第1条件における「識別」は、画像に基づく画像認証等の処理によって行われる識別でもよい。画像認証は、撮像された顔の画像から、顔の目、鼻、口、輪郭等のパーツの相対位置、大きさ、形状等の特徴を抽出して認証する「顔認証」でもよいし、目の画像から虹彩に相当する部分を抽出して認証を行う「虹彩認証」でもよい。ただし、第1条件は、画像認証のみを目的とするものではなく、「識別」は、画像内に写っている操作者H1が誰であるかを人(住人等)の目によって判断されるような識別であってもよい。例えば、顔等の特定部位H10が所定の範囲R1内に収まった状態の画像が得られると、その画像を親機2に転送することで、住人等は、親機2の側で表示される画像内の操作者H1を識別できる可能性が高くなる。また「識別」は、例えば、人の視線を検知する検知部8(図9参照)にて人の視線に基づく識別であってもよい。
第2条件とは、特定部位H10に関する情報に基づいて、操作者H1の認証に成功することである。なお、第2条件における「認証」は、例えば、画像に基づく画像認証等の処理によって行われる認証である。
この構成によれば、子機側制御部13は、特定条件が満たされると、子機側操作部14にて受け付けた操作入力を有効にする。したがって、人物(例えば、子機側操作部14を操作する者)の識別に関する信頼性の向上を図ることができる。特に、特定条件が第1条件を含む場合、操作者H1の特定部位H10に関する情報(例えば特定部位H10を含む画像)が得られる可能性が高くなる。
なお、第1条件及び第2条件のうちいずれか一方だけが子機1に設定されて、設定されている一方が満たされると、操作入力を有効にする構成でもよい。つまり、本実施形態において、操作者H1の画像が、画像認証に適用されずに、親機2に送信されて親機2の側で表示されるだけの場合、第1条件だけが設定されてもよい。一方、操作者H1の画像が、画像認証に適用される場合には、少なくとも第2条件が子機1に設定されていることが好ましい。
以下の「(2)詳細」の欄では、画像認証を行わず、第1条件だけが子機1に設定されている場合を説明し、「(3)変形例」の欄で、画像認証を行う場合について説明する。
(2)詳細
次に、本実施形態に係る子機1(インターホン玄関装置)及びインターホンシステム10についてより詳細に説明する。
以下では、ロビー等の共用部の造営面(例えば壁面)に子機1が取り付けられた状態での、水平面に対して垂直な(直交する)方向を「上下方向」とし、子機1を正面から見て下方(鉛直方向)を「下方」として説明する。また、上下方向と直交し、かつ造営面に平行な方向を「左右方向」とし、子機1を正面から見て右方を「右方」、左方を「左方」として説明する。さらに、上下方向と左右方向との両方に直交する方向、つまり造営面に直交する方向を「前後方向」とし、造営面の裏側(壁裏側)を「後方」として説明する。ただし、これらの方向は、子機1の使用方向を限定する趣旨ではない。
(2.1)全体構成
まず、インターホンシステム10の全体構成について図2Aを参照して説明する。
本実施形態に係るインターホンシステム10は、図2Aに示すように、子機1と、複数台(図2Aでは2台)の親機2と、制御装置3と、複数台(図2Aでは2台)のドアホン4と、複数台(図2Aでは2台)の分岐器5と、を備えている。
複数台の親機2の各々は、例えば、集合住宅の各住戸内に設置される住戸端末である。各親機2は、子機1との間で通信(例えば、通話、及び映像信号の受信等)を行うように構成されている。各親機2は、子機1の撮像部11で撮影された映像を表示する表示部22を有している。親機2は、集合住宅の管理室及び多目的ルーム等にも設置されてもよい。多目的ルームは、例えば、集会場、ゲストルーム、キッズルーム、パーティールーム等の、集合住宅内の共用部施設である。
制御装置3は、子機1と各親機2との間において、呼出制御を行い、信号を中継するように構成されている。制御装置3は、例えば、管理室に設置されている。制御装置3は、例えば、来訪者が子機1を用いて親機2を呼び出したときに、子機1と親機2との間で送受信される信号を中継する。
複数台のドアホン4の各々は、例えば、集合住宅の各住戸の外玄関に設置されている。複数台のドアホン4は、複数台の親機2と一対一に対応している。各ドアホン4は、対応する親機2との間で通信(例えば、通話、及び映像信号の送信等)を行うように構成されている。なお、多目的ルーム等に設置されている親機2に対しては、ドアホン4が接続されてなくてもよい。
子機1は、第1幹線61を介して制御装置3に接続されている。複数台の分岐器5の各々は、第2幹線62に挿入されており、第2幹線62に対して複数台の親機2を接続可能にする。本実施形態では、第2幹線62から複数の分岐線63に分岐しており、複数台の分岐器5は、第2幹線62における複数の分岐線63の分岐点にそれぞれ設けられている。これにより、各親機2は、分岐器5を介して第2幹線62に対して接続可能になる。
各親機2は、第2幹線62、分岐線63及び分岐器5を介して制御装置3に接続されている。各ドアホン4は、接続線64を介して対応する親機2に接続されている。第1幹線61、第2幹線62、分岐線63及び接続線64の各々は、例えば、ツイストペアケーブルからなる。
(2.2)子機
次に、子機1の構成について説明する。子機1は、図2Aに示すように、撮像部11と、子機側伝送部12と、子機側制御部13(制御部)と、複数の押しボタンP1と、映像処理部15と、記憶部16と、センサ17と、表示部18と、を有している。複数の押しボタンP1及び表示部18は、子機側操作部14(操作部)を構成する。さらに、子機1は、親機2との間で通話を実現するための通話部19(スピーカ及びマイクロホンを含む)等を有している。また、子機1は、上述した構成要素を収容又は保持する筐体X1(図1参照)を有している。
筐体X1は、全体としてへん平な矩形の箱形状に形成されている。筐体X1は、図1に示すように、その正面側において、正面視が矩形の本体カバーX10と、本体カバーX10の周囲を囲む矩形枠状の化粧カバーX11とを有している。撮像部11は、本体カバーX10の前面の上部中央において露出するように配置されている。表示部18は、本体カバーX10の前面における撮像部11の直ぐ下に配置されている。複数の押しボタンP1は、本体カバーX10の前面における表示部18より下側に配置されている。
本体カバーX10は、その前面における撮像部11の左横に複数の窓孔X12を有している。窓孔X12は、親機2の側の人と通話する人(例えば操作者H1)が発した音声を、通話部19のマイクロホンに導入するための貫通孔である。本体カバーX10は、その前面における右下隅に複数の音響孔X13を有している。音響孔X13は、通話部19のスピーカからの受話音を外部に導出するための貫通孔である。
撮像部11は、撮像素子を有し、被写体を撮像するためのカメラである。ここでは被写体は、来訪者等の操作者H1とする。本実施形態では、操作者H1が子機1を操作する際に少なくとも操作者H1の顔を撮像できるように、撮像部11の撮像エリア(視野)は、子機1の前方に設定されている。本実施形態では、撮像部11は動画を撮像するカメラである。さらに、本実施形態では、撮像部11はカラー画像を撮像するカメラである。
撮像素子は、例えば、CCD(Charge Coupled Devices)イメージセンサ、又はCMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサ等の二次元イメージセンサである。撮像部11は、被写体からの光をレンズ等の光学系によって撮像素子の撮像面(受光面)上に結像させ、撮像素子にて被写体からの光を電気信号に変換する。そして、撮像部11は、撮像素子の出力信号を映像信号として映像処理部15へ出力する。
子機側伝送部12は、親機2と通信するための通信インタフェースである。子機側伝送部12は、第1幹線61を介して制御装置3に接続されている。図2Aでは、第1幹線61を1本の線で示している。子機側伝送部12は、制御装置3の通信部32を介して、親機2との間で双方向に通信可能に構成されている。子機側伝送部12は、親機2に対して通信信号を送信するように構成されている。通信信号には、音声信号、映像信号及び制御信号等が含まれている。また、子機側伝送部12は、通信部32を介して親機2から送信される通信信号を受信し、受信した通信信号を復調することで音声信号等を取得する。音声信号は、子機側制御部13を介して通話部19へ出力される。
また子機側伝送部12は、本実施形態の通信部U1を構成する(図2A参照)。通信部U1は、他の情報端末D1と通信可能に構成されている。通信部U1は、子機側制御部13の制御下で、第1条件(特定条件)が満たされると、撮像部11で撮像された人(操作者H1)の画像IM1(図5参照)を、他の情報端末D1に送信する。ここでは他の情報端末D1は、親機2に相当する。画像IM1は、例えば、静止画像である。
第1条件とは、上の「(1)概要」の欄で説明したように、少なくとも、操作者H1の特定部位H10が、操作者H1を識別可能な所定の範囲R1内に収まることである。ここでは、所定の範囲R1とは、撮像部11で撮像された画像IM1の中での範囲とする。また特定部位H10は、一例として、操作者H1の顔H11を含む。したがって、本実施形態では、第1条件とは、少なくとも、操作者H1の顔H11が、画像IM1の中で、所定の範囲R1内に収まることである。子機側伝送部12は、第1条件が満たされると、画像IM1を呼出先となる親機2へ送信する。
子機側操作部14は、人(操作者H1)からの操作入力を受け付けるように構成されている。子機側操作部14は、図1に示すように、複数の押しボタンP1(図2Aでは1個のブロックで図示)、及びタッチパネル式の表示部18から構成された、入力インタフェースである。複数の押しボタンP1は、例えば、0~9の数字ボタン(テンキー)N1、アスタリスク(*)ボタンN2、消ボタンN3、呼出ボタンN4、及び4つの機能ボタン140等を有している。例えば、操作者H1が、子機1で、部屋番号(住戸番号)「1024号室」の住人を呼び出したい場合、数字ボタンN1を順に押していき部屋番号を入力する。入力された部屋番号は、数字ボタンN1を1つ押すたびに順次、表示部18に映し出される。最後に、操作者H1が、呼出ボタンN4を押すことで、部屋番号の入力が確定される。
ただし、本実施形態の子機1は、呼出ボタンN4の押し操作がされた後、無条件で部屋番号「1024」の住戸の親機2(呼出先)に対して呼び出しを実行させるのではない。子機側制御部13は、第1条件が満たされるときに、呼び出しを有効にする。
映像処理部15は、撮像部11から出力される映像信号を受けて、信号処理により映像信号に含まれる映像を処理するように構成されている。映像処理部15は、例えば、DSP(Digital Signal Processor)又はFPGA(Field-Programmable Gate Array)等のデバイスにて実現される。
センサ17は、例えば焦電型の赤外線センサであり、人等が動く際に生じる赤外線の変化量を検出することによって人等を検出する。センサ17は省略されていてもよい。
子機側制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。そして、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが子機側制御部13として機能する。CPUが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
子機側制御部13は、撮像部11及び子機側伝送部12を制御するように構成されている。さらに、子機側制御部13は、映像処理部15及び表示部18を制御するように構成されている。
子機側制御部13は、子機側伝送部12を制御することによって、子機側伝送部12に親機2への通信信号を送信させ、かつ子機側伝送部12に親機2からの通信信号を受信させる。親機2への通信信号には、音声信号、映像信号及び制御信号等が含まれている。また、親機2からの通信信号には、音声信号及び制御信号等が含まれている。
子機側制御部13は、映像処理部15を制御することによって、映像処理部15に撮像部11からの映像信号に含まれる映像を処理させる。映像処理部15にて処理された映像は、子機側伝送部12から親機2に送信される。具体的には、子機側制御部13は、呼出先である親機2を呼出中、及び子機1と親機2との間で通信中に撮像部11で撮像したリアルタイムの映像(動画)を、親機2に送出する。親機2の側では、呼出中及び通話中において、撮像部11からのリアルタイムの映像が表示される。このとき画像IM1(静止画)も、リアルタイムの映像と同時に、画面の横隅等に表示される。
子機側制御部13は、複数の押しボタンP1にて受け付けた操作入力に応じて、各種の機能を実行するように構成されている。子機側制御部13は、現在、表示部18の表示画面180で表示中の案内画像との関係性に基づき、当該案内画像と対応する機能を実行するように構成されている。例えば、子機側制御部13は、表示画面180で部屋番号の入力を催促する案内画像が表示されている最中に、数字ボタンN1が操作されると、入力された数字を表示画面180上に出力していく。
また子機側制御部13は、各機能ボタン(ファンクションキー)140が操作入力を受け付けたときに、所定の機能を実行する。子機側制御部13は、例えば、一番左の機能ボタン140が押されると、日本語の文字案内情報を英語の文字案内情報に切り替える。また子機側制御部13は、例えば、左から二番目の機能ボタン140が押されると、管理室に対して呼び出しを実行する。
ここで、子機側制御部13は、操作者H1が特定の親機2を呼び出すための一連の操作の流れの中で、第1条件が満たされているか否かを判定し、第1条件が満たされたときだけ、呼び出しを無効状態から有効状態に切り替える。なお、機能ボタン140への押し操作により管理室の親機2に呼び出しを行う場合には、第1条件の判定は省略されて直接呼び出しが実行されてもよい。
また子機側制御部13は、図2Bに示すように、案内部131及び報知部132を有している。すなわち、子機側制御部13は、案内部131の機能、及び報知部132の機能を有している。案内部131の機能とは、操作者H1を所定の方向(ここでは子機1の正面を向く方向)に向かせるための案内情報を出力する機能である。報知部132の機能とは、第1条件が満たされていない状態において、子機側操作部14へ操作入力が行われると、上記状態に関する留意情報を報知する機能である。
子機側制御部13は、撮像部11を制御することによって、撮像部11に映像を撮像させる。子機側制御部13は、例えば、センサ17で来訪者等の人を検出すると撮像部11を起動して人の撮像を開始する。子機側制御部13は、表示部18を制御することによって、部屋番号の入力を案内する案内画像に、撮像部11で撮像中のリアルタイムの映像IM2(動画)を重ねて、表示画面180に出力する(図3A参照)。
案内部131は、部屋番号の入力を確定する呼出ボタンN4が押されると、「枠内に顔を入れてください」という案内画像(案内情報)を、表示画面180に出力する(図3B参照)。また案内部131は、「こちらを向いて枠内に顔を入れてください」という音声メッセージ(案内情報)を、通話部19のスピーカより出力する。さらに案内部131は、所定の範囲R1を示す4つの領域S1を、映像IM2に重ねて表示する。各領域S1は、略L字状の領域である。
所定の範囲R1は、一例として矩形状の範囲であるため、4つの領域S1は、所定の範囲R1の周縁に対応する矩形枠の四隅を示すように、それぞれ出力される。領域S1の数や形状は、特に限定されず、領域S1は、所定の範囲R1の上下縁に対応する2本の横線でもよし、左右縁に対応する2本の縦線でもよいし、顔の輪郭を模したような楕円状の領域でもよい。また領域S1は、対角する2箇所の角部を示すように出力されてもよい。
また領域S1は、その中に操作者H1(来訪者等)の顔を収めるような矩形枠の形状又は直線の形状のものに限らず、操作者H1の顔が所定の範囲R1に位置するように案内するものでもよい。具体的には、領域S1は、頭頂部の輪郭に相当する弧状の領域、及び顎の輪郭に相当する弧状の領域として出力されてもよい。この場合、所定の範囲R1に対する操作者H1の顔の大きさも揃えることができる。
また領域S1の出力に加えて、子機1側で操作者H1の顔を認識している範囲を、操作者H1へフィードバックするように線表示等により出力してもよい。この場合、操作者H1は、表示画面180上において、子機1側で顔と認識している範囲の線表示等を見ながら、容易に領域S1(すなわち所定の範囲R1)内に収めることができる。
このように領域S1を映像IM2に重ねて表示することで、操作者H1は、所定の範囲R1を視覚的に知ることができ、特定部位H10が画像IM1内に含まれる可能性が更に高くなる。
子機側制御部13は、撮像部11で撮像された画像IM1に対して第1条件を満たしているか否かを判定する。この判定処理が行われる判定期間は、例えば、最長で30秒間である。判定期間は、例えば、領域S1の出力タイミングで開始される。判定期間の途中で第1条件を満たしたと判定されると、30秒の判定期間が経過していなくても、その判定タイミングで、判定処理は終了してもよい。
子機側制御部13(又は映像処理部15でもよい)は、判定期間の開始以降における映像IM2(動画)を複数フレームに分割し、複数の画像IM1(連続静止画像)として抽出してもよい。子機側制御部13は、複数の画像IM1のうち、1枚でも第1条件を満たしている画像IM1が得られると、第1条件を満たしたと判定する。第1条件を満たす画像IM1が複数ある場合には、最適な画像IM1が適宜に選択されてもよい。
第1条件を満たしていれば、子機側制御部13は、「お取次ぎしますので、もう1度呼出ボタンを押してください」という案内画像を表示画面180に出力し(図3C参照)、同様の内容の音声メッセージを通話部19のスピーカより出力する。そして、子機側制御部13は、呼び出しの無効状態から有効状態に切り替える。
呼び出しの有効状態で呼出ボタンN4の押し操作が行われると、子機側制御部13は、呼出先の親機2に対して呼び出しを実行させる。また子機側制御部13は、第1条件が満たされると、表示部18に、領域S1の表示を非表示に切り替えさせる(図3C参照)。また子機側制御部13は、第1条件を満たしている画像IM1(図5参照)を記憶部16に記憶し、更に親機2に転送する。
一方、第1条件を満たしていない状態においては、子機側制御部13は、呼び出しの無効状態を維持する。無効状態にも関わらず、判定期間の途中で呼出ボタンN4の押し操作が行われると、報知部132は、留意情報を報知する。また報知部132は、判定期間が終了しても無効状態にある場合にも、留意情報を報知することが好ましい。
報知部132は、例えば「お取次ぎ出来ません」、「もう一度、枠内に顔を入れてください」等といった留意情報を、表示画面180及び通話部19のスピーカより出力する。このように報知部132が留意情報を報知するため、操作者H1は、呼び出しの操作入力が無効になっていることを知ることができる。
第1条件の判定に失敗した場合、子機側制御部13は、領域S1の出力を継続し、再び判定処理を開始する(図3B参照)。例えば、判定期間が規定の回数(例えば3回)繰り返されても第1条件を満たさなければ、子機側制御部13は、判定処理を終了し、エラーメッセージを表示画面180に出力してもよい。更に、子機側制御部13は、管理室の制御装置3又は親機2、呼出先の親機2、あるいは、外部の監視サーバ(不図示)等に、エラーの旨を通知してもよい。
記憶部16は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部16は、例えばフラッシュメモリである。記憶部16は、撮像部11で撮像した画像IM1及び映像IM2を記憶する。本実施形態の記憶部16は、子機側制御部13の外部に設けられているが、子機側制御部13の内部に設けられていてもよい。すなわち、記憶部16は、子機側制御部13の内蔵メモリであってもよい。
表示部18は、例えば、液晶のタッチパネルディスプレイからなる表示画面180を有している。表示部18は、上述の通り、子機側操作部14の一部を構成する。表示部18は、子機側制御部13の制御下で、図3A~図4Bに示すように、基本案内画像G0、第1案内画像G1~第4案内画像G4を出力(画像表示)する。基本案内画像G0は、呼出先を特定するための情報(部屋番号)の入力と1回目の呼出ボタンN4の押し操作を、来訪者に催促する画像である。第1案内画像G1は、操作者H1に対して、顔H11が所定の範囲R1内に収まるように催促する画像である。第2案内画像G2は、2回目の呼出ボタンN4の押し操作を催促する画像である。第3案内画像G3は、親機2(呼出先)を呼出中であることを案内する画像である。第4案内画像G4は、子機1が親機2と通話中であることを案内する画像である。これらの案内画像G0~G4は、単なる一例であり、案内画像の種類の数、及びその表示内容は、特に限定されない。
(2.3)親機の構成
次に、親機2の構成について説明する。親機2は、図2Aに示すように、親機側伝送部21と、表示部22と、親機側制御部23と、親機側操作部24と、映像処理部25と、記憶部26と、通知部27と、を有している。さらに、親機2は、子機1及びドアホン4との間で通話を実現するための通話部29(スピーカ及びマイクロホンを含む)等を有している。
親機側伝送部21は、子機1及びドアホン4と通信するための通信インタフェースである。親機側伝送部21は、第2幹線62、分岐線63及び分岐器5を介して制御装置3に接続されている。図2Aでは、第2幹線62及び分岐線63を1本の線で示している。親機側伝送部21は、制御装置3の通信部32を介して、子機1との間で双方向に通信可能に構成されている。親機側伝送部21は、子機1に対して通信信号を送信するように構成されている。通信信号には、音声信号及び制御信号等が含まれている。また、親機側伝送部21は、通信部32を介して子機1から送信される通信信号を受信し、受信した通信信号を復調することで音声信号及び映像信号等を取得する。音声信号は、親機側制御部23を介して通話部29へ出力され、映像信号は、親機側制御部23を介して表示部22へ出力される。
表示部22は、映像処理部25からの映像(例えば子機1の撮像部11で撮像された映像)を表示するように構成されている。また表示部22は、子機1の撮像部11で撮像された、第1条件を満たしている画像IM1を表示するように構成されている。表示部22は、例えば液晶ディスプレイである。親機2がタッチパネルディスプレイを備えている場合には、タッチパネルディスプレイが表示部22と親機側操作部24とを兼ねてもよい。
親機側操作部24は、人(例えば住人)の操作を受け付けるように構成されている。親機側伝送部21が住人を呼び出すための呼出信号を受信している状態で、親機側操作部24に対して所定の操作(例えば押し操作)が行われると、子機1と親機2との間で音声通話が可能な状態となる。
映像処理部25は、親機側伝送部21にて受信した子機1からの映像信号を受けて、信号処理により映像信号に含まれる映像を処理するように構成されている。映像処理部25は、例えば、複数の映像を合成する合成処理を行うように構成されている。映像処理部25は、例えば、DSP又はFPGA等のデバイスにて実現される。
親機側制御部23は、例えば、CPU及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。そして、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが親機側制御部23として機能する。CPUが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
親機側制御部23は、親機側伝送部21及び表示部22を制御するように構成されている。さらに、親機側制御部23は、映像処理部25を制御するように構成されている。親機側制御部23は、親機側伝送部21を制御することによって、親機側伝送部21に子機1への通信信号を送信させ、かつ親機側伝送部21に子機1からの通信信号を受信させる。子機1への通信信号には、音声信号及び制御信号等が含まれている。また、子機1からの通信信号には、音声信号、映像信号及び制御信号等が含まれている。親機側制御部23は、表示部22を制御することによって、子機1から送られてくる映像を表示部22に表示させる。
記憶部26は、読み書き可能なメモリで構成されている。記憶部26は、例えばフラッシュメモリである。記憶部26は、子機1から送られてきた映像を記憶する。本実施形態では、記憶部26は、親機側制御部23の外部に設けられているが、親機側制御部23の内部に設けられていてもよい。すなわち、記憶部26は、親機側制御部23の内蔵メモリであってもよい。
通知部27は、例えば呼出音を出力するように構成されている。親機側制御部23は、子機1からの呼び出しがあると、所定のタイミングで通知部27に呼出音を出力させる。言い換えると、親機側制御部23は、子機1からの呼び出しがあると、子機1からの呼び出しがあったことを通知する通知動作を通知部27に行わせる。なお、通知部27は、呼出音ではなく、音声を出力するように構成されてもよい。
(2.4)制御装置の構成
次に、制御装置3の構成について説明する。制御装置3は、図2Aに示すように、信号処理部31と、通信部32と、を有している。
通信部32は、子機1及び親機2と通信するための通信インタフェースである。通信部32は、第1幹線61を介して子機1に接続されている。また、通信部32は、第2幹線62、分岐線63及び分岐器5を介して親機2に接続されている。通信部32は、子機1の子機側伝送部12との間で双方向に通信可能に構成されている。また、通信部32は、親機2の親機側伝送部21との間で双方向に通信可能に構成されている。つまり、通信部32は、親機側伝送部21と子機側伝送部12との間の通信を中継するように構成されている。したがって、通信部32は、子機1の子機側伝送部12から送信される通信信号を中継して複数台の親機2に送信する。ここで、子機1から送信される通信信号には、送信先となる親機2を特定するための情報(例えばアドレス等)が含まれている。このため、複数台の親機2のうち自己に割り当てられたアドレスと通信信号に含まれるアドレスとが一致する親機2のみが通信信号を受信することができる。また、通信部32は、複数台の親機2の各々から送信される通信信号を中継して子機1に送信する。
信号処理部31は、例えば、CPU及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。そして、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが信号処理部31として機能する。CPUが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて提供されてもよい。
信号処理部31は、通信部32を制御するように構成されている。具体的には、信号処理部31は、通信部32を制御することによって、子機1から送信される通信信号を複数台の親機2に送信させ、かつ複数台の親機2の各々から送信される通信信号を子機1に送信させる。
(2.5)インターホンシステムの動作
以下、インターホンシステム10の動作について図3A~図6を参照しながら説明する。
まず、子機1のセンサ17が時刻t0(図6参照)で来訪者を検出すると、子機1は、撮像部11を起動し、表示部18の表示画面180にて、図3Aに示す基本案内画像G0を出力する。基本案内画像G0は、部屋番号の入力と呼出ボタンN4の押しを催促する文字案内情報を含む。また基本案内画像G0には、来訪者自身のリアルタイムの映像IM2が重ねて出力される。
来訪者が、図6の時刻t1で、基本案内画像G0及び音声案内に従い、子機側操作部14を用いて部屋番号の入力を開始したとする(図示例では1024号室)。時刻t1は、子機側操作部14への最初の操作入力が行われた時刻である。ここでは、「1」の数字ボタンN1が最初に押されることになる。そして、操作者H1(来訪者)が、図6の時刻t2で、呼出ボタンN4を押すと(1回目の押し操作)、部屋番号の入力が確定される。すると、子機1は、基本案内画像G0から、図3Bに示す第1案内画像G1に画面表示を遷移させる。また子機1は、第1条件の判定処理を開始する。
操作者H1は、第1案内画像G1及び音声案内に従い、子機1の正面を向き、顔H11の位置を調整する。具体的には、操作者H1は、表示画面180に映し出されているリアルタイムの映像IM2と4つの領域S1とを見ながら、自身の顔H11が4つの領域S1内に収まるように位置合わせをする。ここで、撮像部11が、表示部18の真上にあるため、操作者H1が表示部18の正面を真っ直ぐ向いている状態であれば、撮像部11に対しても概ね真っ直ぐ正面を向いている状態となる。
子機1は、図6の時刻t3で、第1条件が満たされたと判定すると(判定成功)、判定処理を終了し、呼び出しの有効状態に切り替える。また子機1は、第1案内画像G1から、図3Cに示す第2案内画像G2に画面表示を遷移させる。
操作者H1は、第2案内画像G2及び音声案内に従い、図6の時刻t4で、呼出ボタンN4を押すと(2回目の押し操作)、子機1は、第2案内画像G2から、図4Aに示す第3案内画像G3に画面表示を遷移させる。更に子機1は、呼出先である1024号室の親機2に対して呼び出しを実行させる。第3案内画像G3では、例えば「このままお待ちください」という案内情報が提示される。一方、呼出先の親機2では、時刻t4から、呼出音の出力が開始される。このとき子機1は、親機2に、第1条件を満たす画像IM1を転送する。また子機1は、親機2に、撮像部11で撮像されているリアルタイムの映像を送出し続ける。親機2は、表示部22より、画像IM1とリアルタイムの映像とを出力しながら呼出音を出力する。
ここで、時刻t5に、呼出先である1024号室の住人が親機2にて応答したとする。子機1は、親機2との通話を開始し、第3案内画像G3から、図4Bに示す第4案内画像G4に画面表示を遷移させる。図示例では、時刻t5~t6において通話が行われている。親機2は、通話中においても、表示部22より画像IM1とリアルタイムの映像とを出力する。
このように本実施形態の子機1は、操作者H1が親機2を呼び出すための一連の操作の流れの中で、第1条件の判定処理を行い、第1条件が満たされたときに呼び出しを有効にする。そのため、第1条件の判定処理が無く単に呼び出しが実行される場合に比べて、画像IM1は、顔H11等の特定部位H10を含んでいる可能性が高い。そして、信頼性の高い画像IM1が、親機2に送信される。呼出先の住人にとっては、呼出中等において、表示部22に出力される画像IM1を見て、来訪者(操作者H1)が誰であるかを容易に識別することができる。したがって、人物(例えば、操作部を操作する者)の識別に関する信頼性の向上を図ることができる。
特に、案内部131が、操作者H1を所定の方向(例えば、子機1の正面を向く方向)に向かせるための案内情報を出力するため、操作者H1が所定の方向を向く可能性が高くなる。そのため、顔H11等の特定部位H10を含む画像IM1が得られる可能性が高くなり、識別に関する信頼性が更に向上される。
また本実施形態では、操作入力が親機2の呼び出しに関することであるため、第1条件が満たされない限り、呼び出しが有効とならない。したがって、識別に関する信頼性が更に向上される。
また本実施形態では、表示部18は、第1条件が満たされると、子機側制御部13による制御の下、領域S1の表示を非表示に切り替えるため、操作者H1は、第1条件が満たされたことを、領域S1の非表示化を通じて視覚的に知ることができる。そのため、利便性が向上される。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上記実施形態に係る子機側制御部13と同様の機能は、インターホン玄関装置(子機1)の制御方法、コンピュータプログラム、又はコンピュータプログラムを記録した非一時的記録媒体等で具現化されてもよい。
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。なお、以下では、上記実施形態を「基本例」と呼ぶこともある。
本開示における子機1は、例えば、子機側制御部13等に、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における子機側制御部13としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1ないし複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、子機1における複数の機能が、1つの筐体に集約されていることは子機1に必須の構成ではなく、子機1の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。さらに、子機側制御部13等、子機1の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。反対に、上記実施形態のように、子機1の全ての機能が、1つの筐体に集約されていてもよい。
(3.1)変形例1
基本例では、画像認証を行わず、第1条件だけが子機1に設定されている場合を説明した。本変形例では、第1条件と第2条件の両方が子機1に設定されて、画像認証を行う場合について説明する。第2条件とは、上の「(1)概要」の欄で説明した通り、特定部位H10に関する情報に基づいて、操作者H1の認証に成功することである。ここでは、一例として、第2条件とは、画像IM1内の特定部位H10に基づいて、人(操作者H1)の認証に成功することである。
図7は、本変形例のインターホンシステム10Aを示す。インターホンシステム10Aは、認証装置9を更に備える点で、基本例のインターホンシステム10と異なる。またインターホンシステム10Aの子機1における通信部U1は、子機側伝送部12に加えて、認証装置9と通信可能なインタフェース7を更に備える点で、基本例の子機1と異なる。
インタフェース7は、例えば有線(無線でもよい)により、認証装置9と通信するための通信インタフェースである。インタフェース7及び子機側伝送部12を有する通信部U1は、他の情報端末D1と通信可能に構成されている。本変形例では、他の情報端末D1は、図7に示すように、複数の親機2と認証装置9とに相当する。
ここでは、認証装置9は、例えば、集合住宅の管理室、又は集合住宅の外部に設置される、認証サーバであることを想定する。しかし、認証装置9は、子機1と同様にロビー等の集合住宅の共用部に設置されて、子機1の近傍にある共用玄関のドアの電気錠装置(不図示)の解錠や施錠に関する認証処理を行う装置であってもよい。あるいは、認証装置9は、子機1に内蔵されてもよい。更にあるいは、認証装置9は、各親機2に内蔵されてもよい。ただし、認証装置9が各親機2に内蔵される場合、インタフェース7は省略されてもよい。
認証装置9は、子機1から転送されてくる画像IM1と比較するための基準画像を予め記憶する。基準画像は、例えば、住人の家族や知人の顔画像等を含むことが望ましい。基準画像は、予め子機1の撮像部11を通じて撮像して登録できてもよい。例えば、子機1で、他人が知らないセキュアレベルの高い特定の操作入力を行うことで、子機1から認証装置9に登録できてもよい。また基準画像は、子機1から一度各住人の親機2に転送された後に、親機2の側での操作により、認証装置9に登録できてもよい。また基準画像は、各住人が携帯するスマートフォン等の情報端末に内蔵のカメラで撮像された顔画像を、親機2等を経由して認証装置9に登録できてもよい。この場合、スマートフォン等の情報端末には、親機2と無線通信可能とする専用のアプリケーションソフトがインストールされていることが望ましい。
本変形例では、子機側制御部13は、操作者H1が特定の親機2を呼び出すための一連の操作の流れの中で、第1条件又は第2条件が満たされているか否かを判定し、いずれか一方が満たされると、呼び出しを無効状態から有効状態に切り替える。
子機側制御部13は、例えば、先に、第1条件の判定を行う(第1判定処理)。第1判定処理では、特定条件は、第1条件のみを含む。子機側制御部13は、第1条件(特定条件)が満たされていれば、第2条件の判定を行うことなく、呼び出しを無効状態から有効状態に切り替える。
一方、子機側制御部13は、第1条件の判定期間が経過しても第1条件が満たされることがなければ、第2条件の判定を開始する(第2判定処理)。第2判定処理では、特定条件は、第2条件のみを含む。子機側制御部13は、第1条件の判定期間内に撮像された画像IM1(複数でもよい)を、認証装置9に転送する。
認証装置9は、画像IM1と予め登録されている複数の基準画像とを用いて、例えば顔認証処理を行う。すなわち、認証装置9は、複数の基準画像内に、画像IM1内の操作者H1の顔と合致する基準画像の有無をサーチして、その結果(認証結果)を子機1に返信する。子機側制御部13は、認証装置9から認証の成功結果(合致する基準画像有り)を受け取ると、第2条件(特定条件)が満たされたと判定し、呼び出しを無効状態から有効状態に切り替える。
要するに、第1条件が満たされる場合には、認証処理を経由せずに呼び出しが有効化され、第1条件が満たされない場合には、操作者H1が予め登録されている住人の家族や知人である場合だけ、呼び出しを有効化することになる。
ここで本変形例では、第1条件が満たされた場合、子機1は、最適な画像IM1を、今後実行される認証処理に利用する新たな基準画像の候補画像として、記憶部16に記憶し、親機2に転送してもよい。「今後実行される認証処理」とは、上で説明した呼び出しの有効に関する認証処理でもよいし、全く別の、例えば電気錠装置の解錠に関する認証処理でもよい。住人は、親機2を介して、子機1から転送されてきた候補画像が基準画像になり得るかを判断し、適宜に破棄、又は認証装置9への登録が行えてもよい。要するに、子機1を通じて、基準画像の蓄積を行うことができる。
なお、子機側制御部13は、先に第2条件の判定を行ってから、第1条件の判定を行なってもよい。また、第2条件のみが子機1に設定されてもよく、その場合、操作者H1が、基準画像として予め登録されている住人の家族や知人である場合だけ、呼び出しを有効化することになる。第1条件のみを設定するか、第2条件のみを設定するか、あるいは両方を設定するかは、子機1の設置環境又は要望等に応じて、適宜に変更可能であることが好ましい。
また、上の説明では、第1判定処理と第2判定処理の各々に応じて、特定条件が第1条件のみを含む場合と、特定条件が第2条件のみを含む場合とに分かれている。しかし、特定条件は、第1条件及び第2条件の両方を含んでもよい。つまり、第1条件及び第2条件の両方が満たされたときに、呼び出しが有効化されてもよい。
本変形例の構成によれば、基本例と同様に、人物(例えば、操作部を操作する者)の識別に関する信頼性の向上を図ることができる。
(3.2)変形例2
基本例では、子機側操作部14(操作部)は、複数の押しボタンP1と、タッチパネル式の表示部18と、から構成されている。また基本例では、呼び出しは、複数の押しボタンP1、すなわち、0~9の数字ボタンN1及び呼出ボタンN4等への押し操作によって行われる。
本変形例では、基本例の複数の押しボタンP1のうち、少なくとも呼出ボタンN4が、設けられていない。呼出ボタンN4の代わりに、本変形例の表示部18は、操作領域S2を画像表示して、操作領域S2へのタッチ操作を操作入力として受け付けるように構成される(図8参照)。
ここでは一例として、基本例の複数の押しボタンP1のうち、0~9の数字ボタンN1、アスタリスクボタンN2、消ボタンN3、及び呼出ボタンN4を設ける代わりに、表示部18は、これらのボタンにそれぞれ相当する複数の操作領域S2を画像表示する。例えば、基本例の0~9の数字ボタンN1に対応する操作領域S20に対して、指等でタッチ操作が行われると、数字ボタンN1と同等の機能、すなわち部屋番号の入力等が実行される。また基本例の呼出ボタンN4に対応する操作領域S21に対して、タッチ操作が行われると、基本例の呼出ボタンN4と同等の機能、すなわち部屋番号の確定や呼び出し等が実行される。
本変形例では、表示部18は、特定条件が満たされるまでは、呼出ボタンの操作領域S21を非表示とし、特定条件が満たされると操作領域S21を表示する。ここで言う「非表示」とは、操作領域S2そのものが表示されず空白の状態でもよいが、それ以外にも、操作領域S21を押しても無反応であろうということが視覚的に分かるような状態でもよい。具体的には、非表示では操作領域S2が暗色で画像表示され、特定条件が満たされると明色で画像表示されてもよい。あるいは、非表示では操作領域S21の上に重なるように「不可」という文字情報が表示され、特定条件が満たされると「不可」が消えてもよい。
また、数字ボタンN1に対応する操作領域S20等も、操作領域S21の非表示及び表示に連動して、非表示及び表示されてもよい。
本変形例の構成によれば、操作入力が有効となっていないにも関わらず、子機側操作部14が無駄に操作されてしまう可能性が低減され、利便性が向上される。
(3.3)変形例3
基本例では、第1条件は、少なくとも、操作者H1の顔H11が、画像IM1の中で、所定の範囲R1内に収まることである。本変形例では、第1条件は、操作者H1の顔H11と視線の両方が、所定の範囲R1内に収まることである点で、基本例と異なる。
図8は、本変形例のインターホンシステム10Bを示す。インターホンシステム10Bの子機1は、人(操作者H1)の視線を検知する検知部8を、更に備える点で、基本例のインターホンシステム10の子機1と異なる。
検知部8は、例えば、カメラ等を有する視線センサを想定する。カメラは、基本例の撮像部11とは別体でもよいし、基本例の撮像部11であってもよい。カメラは、可視カメラでもよいし、赤外カメラでもよい。赤外カメラの場合、検知部8は、赤外点光源を更に有する。検知部8は、例えば、カメラで撮像された画像データの中から、基準点(例えば目頭)と、動点(例えば虹彩)との候補を抽出して、基準点と動点との位置関係から、視線を検出する。
子機側制御部13は、第1条件の判定処理において、操作者H1の顔H11が所定の範囲R1内に収まっているか否かを判定し、更に、検知部8の検出結果に基づいて、操作者H1の視線がどの方向を向いているか判断する。顔H11と操作者H1の視線先とが、所定の範囲R1内にあると判定すると、子機側制御部13は、第1条件が満たされたと判定する。もし、操作者H1の視線が所定の範囲R1の外であれば、子機側制御部13の案内部131が、案内情報を出力して、子機1の正面を向くように催促してもよい。
この構成によれば、例えば、顔H11が、所定の範囲R1内に収まっていても、うつむいた状態にあるということが抑制される。また、操作者H1の目H12に関する情報(例えば目の画像)が得られる可能性が高くなり、識別に関する信頼性が更に向上される。例えば、そのような情報を、虹彩認証等に適用できる。
なお、子機側制御部13は、検知部8で検出される操作者H1の視線の位置を追従するように、表示部18にドットマーク等で表示させてもよい。
(3.4)変形例4
基本例では、有効の対象となる操作入力とは、呼び出しの開始を確定する呼出ボタンN4への押しである。しかし、有効の対象となる操作入力は、例えば、部屋番号の1桁1桁入力するための数字ボタンN1への押しであってもよい。
本変形例では、第1条件の判定処理は、部屋番号の入力を催促する基本案内画像G0よりも先に行われる。子機1は、センサ17で来訪者等の人を検出すると撮像部11を起動して人の撮像を開始し、更に「こちらを向いて枠内に顔を入れてください」という案内情報を出力する。そして、子機1は、第1条件が満たされたときに、部屋番号の入力を有効とする。
ここで、変形例1のように画像認証を行う場合、子機1は、認証装置9の認証結果、住人自身又は住人の家族等に該当すれば、共用玄関のドアの電気錠装置に対して解錠を行う解錠信号を送信してもよい。この場合、子機1は、例えば、先に第2条件の判定を行ってから、第1条件の判定を行ってもよい。なお、基準画像として、住人自身や住人の家族等の顔画像が、認証装置9に予め登録されていることが望ましい。
(3.5)変形例5(電気錠装置の解錠:その1)
ところで、上記の基本例及び変形例1~4では、第1条件及び第2条件は「操作入力の有効化」を実行するための条件である。しかし、第1条件及び第2条件は「操作入力の有効化」の実行に限定されず、例えば「電気錠装置の解錠」の実行するための条件としてもよい。
以下、本変形例(変形例5)について図10A及び図10Bを参照しながら説明する。
本変形例のインターホンシステム10Cは、子機1と、複数台の親機2(図示例では1つ)と、制御装置3と、複数台のドアホン4(図示例では1つ)と、複数台の分岐器5(図示例では1つ)と、電気錠システムV100と、を備えている。電気錠システムV100は、子機1の近傍にある共用玄関のドアV10の電気錠装置V1と、認証装置9と、電気錠制御装置V2と、を有している。ここでは認証装置9の機能は、例えば、変形例1で説明した認証装置9の機能と概ね同じとする。本変形例の認証装置9は、電気錠システムV100の構成要素の1つであるが、その限りではなく、例えば、子機1に内蔵されてもよいし、親機2に内蔵されてもよいし、外部の認証サーバでもよい。
本変形例の子機1の子機側制御部13は、図10Bに示すように、誘導部133及び出力部134を有している。すなわち、子機側制御部13は、誘導部133の機能、及び出力部134の機能を有している。
また本変形例の子機1は、インタフェース7を有している。インタフェース7は、認証装置9及び電気錠制御装置V2と、無線又は有線により通信するための通信インタフェースである。
誘導部133の機能とは、第1条件を満たすように人を誘導するための報知を行う機能である。誘導部133は、基本例の案内部131のように、人を所定の方向に向かせるための案内情報を出力する。具体的には、誘導部133は、「こちらを向いて枠内に顔を入れてください」という音声メッセージを、通話部19のスピーカより出力してもよい。また誘導部133は、所定の範囲R1を示す領域S1を、表示部18に表示させてもよい。また出力部134の機能とは、第2条件を満たすときに、電気錠装置V1を解錠するための電気信号を生成し、インタフェース7を通じて、電気錠制御装置V2に出力する機能である。
本変形例では、基本例及び変形例1~4とは異なり、呼び出しに関する操作入力が必ずしも前提であるというわけではない。したがって、ここで言う「人」は、来訪者だけでなく、呼び出しに関する操作入力を実行する予定のない人、すなわち住人等も含み得る。
以下、本変形例のインターホンシステム10Cの動作について説明する。
子機1は、センサ17で人を検出すると撮像部11を起動して人の撮像を開始し、更に誘導部133にて人を誘導するための報知を行う。このとき子機1は、基本例と同様に、第1条件の成立、不成立(人の顔が所定の範囲R1内に収まっているか否か)の判定も行う。そして、子機1は、第1条件を満たせば、画像IM1を認証装置9へ送信し、認証装置9から得られる認証結果に基づいて、第2条件の成立、不成立(認証の成功、失敗)を判定する。
子機1は、第2条件が満たされたとき(認証の成功)に、電気錠装置V1を解錠するための電気信号を、電気錠制御装置V2へ出力する。電気錠制御装置V2は、子機1から当該電気信号を受信すると、電気錠装置V1を解錠させるように制御する。具体的には、電気錠制御装置V2は、電気錠装置V1のデッドボルトを解錠位置に駆動させるための駆動信号を電気錠装置V1の駆動回路に出力する。
この構成によれば、人物の識別に関する信頼性の向上を図ることができる。特に、「人」が、住人や住人の家族、住人の知人であり、予めそのような人々の基準画像が、認証装置9内に登録されていれば、子機1に対する操作入力を行うという手間が省けるため、利便性も向上される。
(3.6)変形例6(電気錠装置の解錠:その2)
変形例5では、「人」が、例えば、呼び出しに関する操作入力を実行する予定のある者、すなわち、例えば来訪者である場合、電気錠装置V1を解錠するための判定処理が、無駄となる可能性が高い。そこで、本変形例の子機1は、変形例5の判定処理(第1条件及び第2条件の判定)よりも前に、呼び出しに関する操作入力を受け付けるように構成されている。
本変形例では、子機1は、センサ17で人を検出すると撮像部11を起動して人の撮像を開始する。更に、子機1は、誘導部133にて、呼び出しに関する操作入力を受け付ける受付状態にあることを報知する。例えば、子機1は、「お取り次ぎをご希望の方は、部屋番号を、そうでない方は、機能ボタンをお押しください」という音声メッセージを出力してもよい。子機1は、同様のメッセージを、表示部18に表示させてもよい。
そして、子機1は、部屋番号の入力を受け付けて呼出ボタンN4への押し操作を受け付けると、該当する親機2の呼び出しを行う。あるいは、子機1は、部屋番号の入力を受け付けると、基本例のように「操作入力の有効化」に関する判定処理を行なってもよい。
一方、子機1は、機能ボタン140(又はアスタリスクボタンN2等の他のボタンでもよい)の押し操作を受け付けると、変形例5で説明した「電気錠装置の解錠」に関する判定処理(第1条件と第2条件の判定)を行う。
この構成によれば、人物の識別に関する信頼性の更なる向上を図ることができる。特に来訪者にとって利便性が損なわれる可能性を低減できる。
(3.7)変形例7(電気錠装置の解錠:その3)
変形例5の子機1は、第1条件を満たせば、自動的に第2条件の判定を開始する。しかし、第1条件の判定処理と第2条件の判定処理との間に、「操作入力の有効化」に関する処理が設けられてもよい。
本変形例の子機1は、センサ17で人を検出すると撮像部11を起動して人の撮像を開始し、更に誘導部133にて人を誘導するための報知を行う。また子機1は、第1条件の成立、不成立(人の顔が所定の範囲R1内に収まっているか否か)の判定を行う。そして、子機1は、第1条件を満たせば、操作入力を有効化にする。操作入力の有効化後、子機1は、「お取り次ぎをご希望の方は、部屋番号を、そうでない方は、機能ボタンを、お押しください。」という音声メッセージを出力してもよい。子機1は、同様のメッセージを、表示部18に表示させてもよい。
そして、子機1は、部屋番号の入力を受け付けて呼出ボタンN4への押し操作を受け付けると、該当する親機2の呼び出しを行う。一方、子機1は、機能ボタン140(又はアスタリスクボタンN2等の他のボタンでもよい)の押し操作を受け付けると、変形例5で説明した「電気錠装置の解錠」に関する判定処理(第2条件の判定)を行う。
この構成によれば、人物の識別に関する信頼性の更なる向上を図ることができる。特に来訪者にとって利便性が損なわれる可能性を低減できる。
(3.8)その他の変形例
基本例における撮像部11は、子機1にとって必須の構成要素ではない。例えば、画像IM1は、子機1の近傍に設置された、子機1とは別体の撮像装置(不図示)で撮像されてもよい。この場合、子機1は、撮像装置から転送される画像IM1に基づいて、特定条件の判定処理を行う。
基本例では、案内部131が催促する所定の方向とは、子機1の正面を向く方向である。しかし、所定の方向は、子機1の正面を向く方向に限定されない。例えば、上述の通り、撮像装置が子機1の横に配置されていれば、案内部131は、その撮像装置の方向を向くように催促する案内情報を出力してもよい。
基本例では、第1条件は、少なくとも、操作者H1の顔H11が、画像IM1の中で、所定の範囲R1内に収まることである。しかし、更に、所定の範囲R1内の顔H11の大きさに関する条件が、第1条件に付加されてもよい。例えば、第1条件は、顔H11が、画像IM1の中で、所定の範囲R1に対する顔H11を占める領域の割合が一定以上(例えば50%以上)となるように、所定の範囲R1内に収まることであってもよい。
基本例では、部屋番号が入力された後と、第1条件が満たされた後の、合計2回の呼出ボタンN4への押し操作が要求されている。しかし、いずれか一方は省略されてもよい。例えば、第1条件が満たされると、子機1は、2回目の呼出ボタンN4への押し操作を要求せずに、直ちに親機2に対して呼び出しを実行させてもよい。
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、人(操作者H1)からの操作入力を受け付ける操作部(子機側操作部14)と、制御部(子機側制御部13)と、を備える。制御部は、特定条件が満たされると、操作部にて受け付けた操作入力を有効にする。特定条件は、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を含む。第1条件とは、少なくとも、人の特定部位(H10)が、人を識別可能な所定の範囲(R1)内に収まることである。第2条件とは、特定部位(H10)に関する情報に基づいて、人の認証に成功することである。第1の態様によれば、制御部は、特定条件が満たされると、操作入力を有効にする。したがって、人物(例えば操作部を操作する者)の識別に関する信頼性の向上を図ることができる。
第2の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)に関して、第1の態様において、特定部位(H10)は、人(操作者H1)の顔(H11)を含むことが好ましい。第2の態様によれば、顔(H11)に関する情報(例えば顔画像)が得られる可能性が高くなり、識別に関する信頼性が更に向上される。
第3の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、第1又は第2の態様において、人(操作者H1)を撮像する撮像部(11)を、更に備えることが好ましい。第1条件とは、少なくとも、特定部位(H10)が、撮像部(11)で撮像された画像(IM1)の中で所定の範囲(R1)内に収まることである。第2条件とは、画像(IM1)内の特定部位(H10)に基づいて、人の認証に成功することである。第3の態様によれば、特定部位(H10)が撮像部(11)で撮像された画像(IM1)内に含まれる可能性が高くなり、識別に関する信頼性が更に向上される。
第4の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、第3の態様において、撮像部(11)で撮像されるリアルタイムの映像(IM2)を表示する表示部(18)を、更に備えることが好ましい。表示部(18)は、所定の範囲(R1)を示す領域(S1)を、映像(IM2)に重ねて表示することが好ましい。第4の態様によれば、人が所定の範囲(R1)を視覚的に知ることができ、特定部位(H10)が撮像部(11)で撮像された画像(IM1)内に含まれる可能性が更に高くなる。
第5の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)に関して、第4の態様において、表示部(18)は、特定条件が満たされると領域(S1)の表示を非表示に切り替えることが好ましい。第5の態様によれば、人は、特定条件が満たされたことを、領域(S1)の非表示化を通じて視覚的に知ることができ、利便性が向上される。
第6の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、第3~第5の態様のいずれか1つにおいて、他の情報端末(D1)と通信可能な通信部(U1)を、更に備えることが好ましい。通信部(U1)は、特定条件が満たされると画像(IM1)を他の情報端末(D1)に送信することが好ましい。第6の態様によれば、識別に関する信頼性の高い画像(IM1)を、他の情報端末(D1)に送信することができる。
第7の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、人(操作者H1)の視線を検知する検知部(8)を、更に備えることが好ましい。第1条件とは、特定部位(H10)及び視線が、所定の範囲(R1)内に収まることである。第7の態様によれば、例えば、顔(H11)が、所定の範囲(R1)内に収まっていてもうつむいた状態にあるということが抑制される。また操作者(H1)の目(H12)に関する情報(例えば目の画像)が得られる可能性が高くなり、識別に関する信頼性が更に向上される。例えば、そのような情報を、虹彩認証等に適用できる。
第8の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、第1~第7の態様のいずれか1つにおいて、人(操作者H1)を所定の方向に向かせるための案内情報を出力する案内部(131)を、更に備えることが好ましい。第8の態様によれば、人が所定の方向を向く可能性が高くなる。所定の方向は、例えば、子機1の正面を向く方向である。そのため、特定部位(H10)に関する情報(例えば特定部位(H10)を含む画像)が得られる可能性が高くなり、識別に関する信頼性が更に向上される。
第9の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、第1~第8の態様のいずれか1つにおいて、報知部(132)を、更に備えることが好ましい。報知部(132)は、特定条件が満たされていない状態で、操作部(子機側操作部14)へ操作入力が行われると、上記状態に関する留意情報を報知することが好ましい。第9の態様によれば、人は、操作入力が有効となっていないこと、言い換えると操作入力が無効になっていることを、留意情報を通じて知ることができ、利便性が向上される。
第10の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)に関して、第1~第9の態様のいずれか1つにおいて、操作部(子機側操作部14)は、表示部(18)を含むことが好ましい。表示部(18)は、操作領域(S2)を画像表示して操作領域(S2)へのタッチ操作を操作入力として受け付けることが好ましい。表示部(18)は、特定条件が満たされるまでは操作領域(S2)を非表示とし、特定条件が満たされると操作領域(S2)を表示することが好ましい。第10の態様によれば、操作入力が有効となっていないにも関わらず、操作部が無駄に操作されてしまう可能性が低減され、利便性が向上される。
第11の態様に係るインターホンシステム(10、10A、10B)は、第1~第10の態様のいずれか1つにおけるインターホン玄関装置(子機1)と、インターホン玄関装置と通信する通信装置(親機2)と、を備える。第11の態様によれば、人物(例えば操作部を操作する者)の識別に関する信頼性の向上を図ることが可能なインターホン玄関装置(子機1)を備えたインターホンシステム(10、10A、10B)を提供できる。
第12の態様に係るインターホンシステム(10、10A、10B)に関して、第11の態様において、操作入力は、通信装置(親機2)の呼び出しに関することが好ましい。第12の態様によれば、特定条件が満たされない限り、呼び出しが有効とならないため、識別に関する信頼性が更に向上される。
第13の態様に係るインターホン玄関装置(子機1)は、誘導部(133)と、出力部(134)と、を備える。誘導部(133)は、第1条件を満たすように人を誘導するための報知を行う。出力部(134)は、第2条件を満たすときに電気錠装置(V1)を解錠するための信号を出力する。第1条件とは、少なくとも、人の特定部位(H10)が、人を識別可能な所定の範囲(R1)内に収まることである。第2条件とは、特定部位(H10)に関する情報に基づいて、人の認証に成功することである。第13の態様によれば、人物の識別に関する信頼性の向上を図ることができる。
第14の態様に係るインターホンシステム(10C)は、第13の態様におけるインターホン玄関装置(子機1)と、インターホン玄関装置と通信する通信装置(親機2)と、を備える。第14の態様によれば、人物の識別に関する信頼性の向上を図ることが可能なインターホン玄関装置(子機1)を備えたインターホンシステム(10C)を提供できる。
第15の態様に係る制御方法は、インターホン玄関装置(子機1)の制御方法である。インターホン玄関装置は、人(操作者H1)からの操作入力を受け付ける操作部(子機側操作部14)を備える。当該制御方法は、特定条件が満たされると、操作部にて受け付けた操作入力を有効にする有効化ステップを含む。特定条件は、第1条件及び第2条件の少なくとも一方を含む。第1条件とは、少なくとも、人の特定部位(H10)が、人を識別可能な所定の範囲(R1)内に収まることである。第2条件とは、特定部位(H10)に関する情報に基づいて、人の認証に成功することである。第15の態様によれば、人物(例えば、操作部を操作する者)の識別に関する信頼性の向上を図ることが可能な制御方法を提供できる。
第16の態様に係る制御方法は、インターホン玄関装置(子機1)の制御方法である。制御方法は、誘導ステップと、出力ステップと、を含む。誘導ステップにて、第1条件を満たすように人を誘導するための報知を行う。出力ステップにて、第2条件を満たすときに電気錠装置(V1)を解錠するための信号を出力する。第1条件とは、少なくとも、人の特定部位(H10)が、人を識別可能な所定の範囲(R1)内に収まることである。第2条件とは、特定部位(H10)に関する情報に基づいて、人の認証に成功することである。第16の態様によれば、人物の識別に関する信頼性の向上を図ることが可能な制御方法を提供できる。
第17の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに第15の態様又は第16の態様における制御方法を実行させる。第17の態様によれば、人物の識別に関する信頼性の向上を図ることが可能な機能を提供できる。
第2~10の態様に係る構成については、インターホン玄関装置(子機1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。