JP7205482B2 - プロスタグランジン誘導体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プロスタグランジン類のω鎖にアルキニル基を有する新規プロスタグランジン誘導体、その薬学的に許容できる塩、又はそれらのシクロデキストリン包接化合物、特に、プロスタグランジン類の2位に二重結合を有し、ω鎖にアルキニル基を有する新規プロスタグランジン誘導体の新規製造方法、並びにその中間体に関する。
天然のプロスタグランジン(以下、プロスタグランジンを「PG」と記す。)類は生体内において合成される一群の生理活性物質で、種々の生理活性を有する局所ホルモンとして生体各組織の細胞機能を調節している。特に天然のPG類の一種であるPGE1類は、例えば血管拡張作用、血管形成作用、血小板凝集抑制作用、上皮再生促進作用等を有しており、上記のような疾患の薬物療法において、抗血小板剤、末梢血流障害の改善剤等として用いられている。PGE類はさらに他の適応症に応用できる可能性もあるが、天然のPGE類は化学的、代謝的に極めて不安定であるため、より安定で効果が高く、副作用の少ないPGE誘導体の開発研究が鋭意検討されている。
PGの2位に二重結合を有するPG誘導体やその製造法については、下記の特許文献1~5、及び非特許文献1又は2に報告されている。また、PGのω鎖にアルキニル基を有するPG誘導体やその製造法については、下記の特許文献6及び7に報告されている。
特開昭50-71649号公報 特開昭50-116452号公報 特開昭52-85151号公報 特開昭53-149954号公報 特開昭55-100360号公報 特開昭51-131860号公報 特開昭54-12352号公報
Ann. Acad. N. Y. Sci., 1971, vol.180, p.181. Prostaglandins, 1974, vol.8, p.341.
本発明は、血流障害の治療剤として有用な新規プロスタグランジン誘導体の新規製造方法等を提供することを目的とする。
本発明者らは、新規プロスタグランジン誘導体を合成し、その物性や生理活性を明らかにすべく検討を行ってきた。その結果、抗血小板剤、血流改善剤として有用である下記式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の収率の良い製造方法を見出した。また、下記式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の製造にあたり、中間体として有用な下記式3で表される新規化合物及び下記式4で表される新規化合物を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
[1] 式3で表される化合物。
Figure 0007205482000001
ただし、式3中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
は、水酸基の保護基を表し;
波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表し;
Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
[2] 式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の製造方法であって、式3で表される化合物の水酸基を保護し、続くRの除去及びCOZ基の加水分解反応により上記式1で表される化合物に変換する製造方法。
Figure 0007205482000002
ただし、式1中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
及びRは、それぞれ独立に、水酸基の保護基を表し;
波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
Figure 0007205482000003
ただし、式3中、Rは、R及びRと異なる水酸基の保護基を表し;
Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表し;R及び波線で結合したメチル基は、上記と同義を表す。
[3] 上記[2]に記載の式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の、水酸基を酸化した後に、R及びRを除去する、式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の製造方法。
Figure 0007205482000004
ただし、式2中、R及び波線で結合したメチル基は、[2]と同義を表す。
[4] 上記式3で表される化合物が、式4で表される化合物のカルボニル基を還元した後に、Rを除去して製造される、上記[2]に記載の製造方法。
Figure 0007205482000005
ただし、式4中、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、[2]と同義を表し;Rは、Rと異なる水酸基の保護基を表す。
[5] 上記式4で表される化合物が、式5で表される化合物の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、式6で表される化合物と反応させる、上記[4]に記載の製造方法。
Figure 0007205482000006
ただし、式5中、R、R、及びZは、[4]と同義を表す。
Figure 0007205482000007
ただし、式6中、R’は、炭素数1~4のアルキル基を表し、R及び波線で結合したメチル基は、[4]と同義を表す。
[6] 上記式5で表される化合物が、式7で表される化合物をアリールセレノ化することにより、式8で表される化合物に変換した後に、水酸基を保護した後に、Rを除去することにより、式9で表される化合物に変換後、アリールセレニル基を酸化的に脱離させて二重結合を導入する、上記[5]に記載の製造方法。
Figure 0007205482000008
ただし、式7中、R及びZは、[5]と同義を表し;
は、R及びRと異なる水酸基の保護基を表す。
Figure 0007205482000009
ただし、式8中、R、R及びZは、上記と同義を表し;
Arは、アリール基又は置換基を有するアリール基を表す。
Figure 0007205482000010
ただし、式9中、Rは、[5]と同義を表し;
、Ar及びZは、上記と同義を表す。
[7] 式4で表される化合物。
Figure 0007205482000011
ただし、式4中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
は、水酸基の保護基を表し;
は、Rと異なる水酸基の保護基を表し;
波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表し;
Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
[8] 式3で表される化合物の製造方法であって、式4で表される化合物のカルボニル基を還元した後に、Rを除去する、製造方法。
Figure 0007205482000012
ただし、式3中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
は、水酸基の保護基を表し;
波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表し;
Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
Figure 0007205482000013
ただし、式4中、R、R、波線で結合したメチル基、及びZは上記と同義を表し;
は、Rと異なる水酸基の保護基を表す。
[9] 式5で表される化合物の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、式6で表される化合物と反応させる、式4で表される化合物の製造方法。
Figure 0007205482000014
ただし、式5中、Rは、水酸基の保護基を表し;
は、Rと異なる水酸基の保護基を表し;
Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
Figure 0007205482000015
ただし、式6中、R’は、炭素数1~4のアルキル基を表し、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し、波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
Figure 0007205482000016
ただし、式4中、R、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、上記と同義を表す。
[10] 式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の製造方法であって、
式7で表される化合物をアリールセレノ化することにより、式8で表される化合物に変換し、
式8で表される化合物の水酸基を保護した後に、Rを除去することにより、式9で表される化合物に変換し、
式9で表される化合物のアリールセレニル基を酸化的に脱離させて二重結合を導入することにより、式5で表される化合物に変換し、
式5で表される化合物の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、式6で表される化合物と反応させて、式4で表される化合物に変換し、
式4で表される化合物のカルボニル基を還元した後に、Rを除去して、式3で表される化合物に変換し、
式3の化合物の水酸基を保護し、続くRの除去及びCOZ基の加水分解反応により、式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩に変換し、且つ式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の水酸基を酸化した後に、R及びRを除去することにより、上記式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩に変換する、製造方法。
Figure 0007205482000017
ただし、式2中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
Figure 0007205482000018
ただし、式7中、Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表し;
は、水酸基の保護基を表し;
は、R及びRと異なる水酸基の保護基を表す。
Figure 0007205482000019
ただし、式8中、R、R及びZは、上記と同義を表し;
Arは、アリール基又は置換基を有するアリール基を表す。
Figure 0007205482000020
ただし、式9中、R、Ar及びZは、上記と同義を表し;
は、Rと異なる水酸基の保護基を表す。
Figure 0007205482000021
ただし、式5中、R、R及びZは、上記と同義を表す。
Figure 0007205482000022
ただし、式6中、R’は、炭素数1~4のアルキル基を表し、R及び波線で結合したメチル基は、上記と同義を表す。
Figure 0007205482000023
ただし、式4中、R、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、上記と同義を表す。
Figure 0007205482000024
ただし、式3中、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、上記と同義を表す。
Figure 0007205482000025

ただし、式1中、R及びRは、それぞれ独立に、水酸基の保護基を表し;
R、波線で結合したメチル基は、上記と同義を表す。
[11] 式3において、波線で結合したメチル基が、上記[1]と同義であり、Rが、エチル基又はシクロプロピル基であり、Rが、アセチル基であり、且つZが、メチル基である、上記[1]に記載の化合物。
[12] 式4において、波線で結合したメチル基が、上記[7]と同義であり、Rが、エチル基又はシクロプロピル基であり、Rが、アセチル基であり、Rが、2-テトラヒドロピラニル基であり、且つZが、メチル基である、上記[7]に記載の化合物。
[13] 式1中の波線で結合したメチル基が、上記[2]と同義であり、Rが、エチル基又はシクロプロピル基であり、且つR及びRが、2-テトラヒドロピラニル基であり、並びに式3中の波線で結合したメチル基が、上記[2]と同義であり、Rが、式1中のRと同義であり、Rが、アセチル基であり、且つZが、メチル基である、上記[2]に記載の製造方法。
本発明の製造方法によれば、血流障害の治療剤として有用な新規プロスタグランジン誘導体を、取り扱いの容易な化合物を経由し、簡便な操作にて収率よく製造することができる。また、本発明は該製造方法において有用な新規な中間体を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態について詳細に説明する。
[用語の定義]
本明細書における用語の意味は以下の通りである。
「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
式で表される化合物は、「化合物」の後に式の番号を付して示す。例えば、式1で表される化合物は、「化合物(1)」と示す。
「炭素数2~3のアルキル基」は、炭素数2~3の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、エチル基、プロピル基、イソプロピル基を例示できる。
「炭素数1~4のアルキル基」は、炭素数1~4の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基を例示できる。
「炭素数1~8のアルキル基」は、炭素数1~8の、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を意味し、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基を例示できる。
「炭素数3~5のシクロアルキル基」は、炭素数3~5のシクロアルキル基を意味し、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基を例示できる。
「置換基」は、公知の置換基であり、本発明の製造方法における反応に関与しない基から選択される基を意味する。
「置換基を有する炭素数2~3のアルキル基」、「置換基を有する炭素数1~4のアルキル基」は、上記アルキル基の水素原子の1個以上が、置換基で置換された基を意味する。該置換基としては、本発明の製造方法における反応に関与しない基から選択され、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルコキシ基、アリール基が挙げられる。
「置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基」は、置換基の炭素数を含めず、環を構成する炭素数が3~5であるシクロアルキル基を意味する。置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基の例として、2-メチルシクロプロピル基、1-メチルシクロペンチル基を挙げることができる。
「ハロゲン原子」は、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子又はフッ素原子を意味する。
「炭素数1~8のアルコキシ基」は、炭素数1~8のアルキル基の結合末端に酸素原子が結合した基を意味し、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、ブトキシ基、イソブチルオキシ基、sec-ブチルオキシ基、tert-ブチルオキシ基、ヘキシルオキシ基を例示できる。
「アリール基」は、炭素数6~18の芳香族炭化水素基を意味し、フェニル基、ナフチル基、アントリル基を例示でき、フェニル基が好ましい。
「置換基を有するアリール基」は、上記アリール基の水素原子の1個以上が、置換基で置換された基を意味する。該置換基としては、本発明の製造方法における反応に関与しない基から選択され、ハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基、炭素数1~3のアルキレンジオキシ基(例えば、メチレンジオキシ基、エチレンジオキシ基等。)が例示できる。置換基を有するアリール基として、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-クロロフェニル基を例示できる。
「水酸基の保護基」は、本発明の製造方法における各反応により脱保護せず、且つ他の化学的方法(例えば、有機合成化学で一般的に用いられる、加水素分解、加水分解、電気分解、光分解のような化学的方法)により脱保護して、水酸基(-OH)となる保護基を意味する。該保護基は、一般的に水酸基の保護基として知られる公知ないしは周知の保護基から選択される。例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」(T.W.Greene et.al, John Wiley & Sons, inc., 2007)により、当業者には公知である、具体的には、アシル基、トリオルガノシリル基、アルコキシアルキル基、環状エーテル構造を有する1価の基が例示できる。アシル基としては、アセチル基、ベンゾイル基、クロロアセチル基、ジクロロアセチル基、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基が好ましい。トリオルガノシリル基としては、アルキル基、アリール基、アルアルキル基又はアルコキシ基がケイ素原子に3個結合した基が好ましい。例えば、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、又はトリイソプロピルシリル基がより好ましい。アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、tert-ブトキシメチル基、2-メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、1-メチル-1-メトキシエチル基が好ましい。環状エーテル構造を有する1価基としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基が好ましい。アセチル基、ベンゾイル基、テトラヒドロピラニル基、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基が特に好ましい。
当該水酸基の保護基は、常法により容易に脱保護できる。具体的には、例えば、「Protective Groups in Organic Synthesis」(T.W.Greene et.al, John Wiley & Sons, inc.,2007)に記載の方法により脱保護することができる。
保護された水酸基を脱保護することを、例えば、ORから「Rを除去する」と表記する場合がある。その場合のR除去後の基は、水酸基(-OH)となる。
「薬学的に許容できる塩」は、無毒の無機塩基由来の塩又は無毒の有機塩基由来の塩が挙げられ、無毒の無機塩基由来の塩が好ましい。
無機塩基由来の塩の例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩の他、リチウム塩、銅塩、第二鉄塩、第一鉄塩、第二マンガン塩、第一マンガン塩も挙げられ、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩及びアンモニウム塩が好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩がより好ましい。
有機塩基由来の塩の例としては、第1級アミン、第2級アミン、第3級アミン、これらの置換アミン(天然に存在する置換アミンを含む)、環状アミン等の有機アミン、塩基性アミノ酸、及び塩基性イオン交換樹脂の塩が挙げられる。有機アミン及び塩基性アミノ酸の例としては、イソプロピルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、エチレンジアミン、N,N’-ジベンジルエチレンジアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、モルホリン、N-エチル-モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、N-エチルピペリジン、ベタイン、カフェイン、コリン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラブアミン、メチルグルカミン、リジン、アルギニン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミンが挙げられる。
[本発明の製造ルート]
以下のスキーム1に、本発明の製造ルートの概要を示す。以下、本発明の実施態様について、スキーム1の工程毎に詳細に説明するが、本発明の実施態様では、各工程をそれぞれ独立に実施してもよく、また一部又は全部を連続的に実施してもよい。複数の工程を連続的に実施する場合は、工程毎に反応を停止させた後に次の工程を行ってもよく、反応を停止させずに次の工程を行ってもよい。また、工程終了後に精製を行った後に次の工程を行ってもよく、精製を行わずに次の工程を行ってもよい。これらの工程を実施する、しないは、任意に選択すればよい。また複数の工程の反応は、同じ反応容器で行ってもよく、異なる反応容器で行ってもよい。
Figure 0007205482000026
Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表す。
R’は、炭素数1~4のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に、水酸基の保護基を表す。
は、R及びRと異なる水酸基の保護基を表す。
は、Rと異なる水酸基の保護基を表す。
は、R及びRと異なる水酸基の保護基を表す。
Arは、アリール基又は置換基を有するアリール基を表す。
波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
[化合物(7)→化合物(8)の製造工程(工程1)]
化合物(7)をアリールセレノ化して、化合物(8)を製造することができる。以下、化合物(7)をアリールセレノ化することにより、化合物(8)に変換する工程を工程1という。
Figure 0007205482000027
化合物(7)において、R及びRは、互いに異なる水酸基の保護基であり、好ましくは、Rが酸の添加により除去可能な基であり、Rがフッ化物イオンにより除去可能な基である。中でも、Rとしては、メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、tert-ブトキシメチル基、2-メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、1-メチル-1-メトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2-テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の環状エーテル構造を有する1価の基がより好ましく、Rとしては、tert-ブチルジメチルシリル基、tert-ブチルジフェニルシリル基、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリイソプロピルシリル基等のトリオルガノシリル基がより好ましい。
Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基であり、好ましくは、メチル基又はエチル基である。
が2-テトラヒドロピラニル基(以下、「THP」という。)であり、Rがtert-ブチルジメチルシリル基(以下、「TBS」という。)であり、Zがメチルである化合物(7)が最も好ましい。
化合物(7)は、公知の方法(例えば、特開昭52-27753号公報に記載の方法。)又はそれに準じた方法で製造した場合、反応後の後処理を行った後、工程1の出発化合物として用いてもよく、さらに精製して高純度化して用いてもよい。化合物(7)が、水、空気、熱等の影響を受けて分解する可能性がある場合は、精製工程を行わずに工程1の反応に用いるのが好ましい。
化合物(8)において、R、R及びZは、上記と同義である。
Arは、アリール基又は置換基を有するアリール基であり、好ましくは、アリール基、又はハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~8のアルコキシ基若しくは炭素数1~3のアルキレンジオキシ基を有するアリール基であり、より好ましくはフェニル基又はハロゲン原子、炭素数1~8のアルキル基若しくは炭素数1~8のアルコキシ基を有するフェニル基(例えば、2-メチルフェニル基、3-メチルフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジ-tert-ブチルフェニル基、4-メトキシフェニル基、4-クロロフェニル基等。)であり、さらに好ましくはフェニル基である。
工程1のアリールセレノ化の際に使用するセレニル化剤としては、特に限定されないが、例えば、ジフェニルジセレニド(PhSeSePh)、フェニルセレニルハライド(PhSeX,X=Br、Cl、I)等は、容易に市販品(例えば、シグマ-アルドリッチ社製等。)を入手できるので、好適に使用できる。
セレニル化剤の使用量は、化合物(7)の1モルに対して、1.0~5.0モルが好ましく、1.2~4.0モルがより好ましく、1.5~3.5モルが更に好ましい。
工程1においては、最初に化合物(7)のエステル基のα位にエノラートアニオンを生成させるため、塩基の存在下で反応を行う。塩基としては、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド、カリウムヘキサメチルジシラジド等のアルカリ金属塩等を例示できる。塩基としては、n-ブチルリチウム又はリチウムジイソプロピルアミドが好ましく、リチウムジイソプロピルアミドがより好ましい。
塩基の使用量は、化合物(7)の1モルに対して、1.0~8.0モルが好ましく、1.5~6.0モルがより好ましく、2.0~4.0モルが更に好ましい。
工程1の反応は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。該溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(以下、「THF」という。)、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エーテルを用いることが好ましく、ジエチルエーテル又はTHFを用いることがより好ましく、THFを用いることが更に好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(7)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、10~40倍量がより好ましい。
工程1における反応温度は、下限を-80℃程度とし、上限は溶媒の沸点として適宜調節するのが好ましく、反応速度と反応効率の観点から、例えば、-78~0℃の低温下でエノラートアニオンを生成させ、セレニル化剤を添加した後、-78℃付近で保持して反応させることが好ましい。エノラートアニオンを生成させる温度としては、-78~-40℃がより好ましく、-78℃が更に好ましい。反応時間は、基質や溶媒の量、種類、及び反応温度等に応じて適宜設定され、反応速度と反応効率の観点から、5分~24時間が好ましく、10分~6時間がより好ましく、30分~2時間が更に好ましい。反応雰囲気は、使用する塩基の種類等に応じて適宜選ばれた雰囲気で行うことができるが、化合物(7)のエノラートアニオンの分解を防ぐため、窒素若しくはアルゴン等の不活性ガス雰囲気下が好ましい。
化合物(7)のアリールセレノ化により生成する反応粗生成物は、そのまま次の反応に用いてもよいし、反応粗生成物中に含まれる副生物を除去するために、反応粗生成物から化合物(8)を単離・精製してもよい。単離・精製方法としては、当業者に公知ないしは周知の方法である溶媒抽出、蒸留、昇華、晶析、シリカゲルカラムクロマトグラフィー、分取薄層クロマトグラフィー、分取液体クロマトグラフィー、溶媒洗浄等の方法が採用できる。
[化合物(8)→化合物(9)の製造工程(工程2)]
化合物(8)の水酸基を保護した後に、Rを除去することにより、化合物(9)を製造することができる。以下、化合物(8)の水酸基を保護した後に、Rを除去することにより、化合物(9)に変換する工程を工程2という。
Figure 0007205482000028
化合物(8)において、R、R、Z及びArは、上記と同義である。
がTHPであり、RがTBSであり、Zがメチル基であり、且つArがフェニル基である化合物(8)が最も好ましい。
化合物(9)において、R、Z及びArは、上記と同義である。
は、R及びRと異なる水酸基の保護基であり、好ましくは、Rは塩基性条件により除去可能な基である。Rとしては、アシル基がより好ましい。アシル基としては、アセチル基、トリフルオロアセチル基、プロピオニル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が好ましく、アセチル基がより好ましい。
工程2における水酸基を保護する工程は、「Protective Groups in Organic Synthesis)(T.W.Greene et.al,John Wiley&Sons,inc.,2007)」等に記載の方法により容易に行うことができる。
具体的には、例えば、Rがアシル基の場合は、ハロゲン化アシル又は対応する酸無水物と水酸基との反応により水酸基をアシル基で保護することができる。当該反応は、必要に応じて塩基の存在下で行ってもよい。
水酸基のアシル化剤(保護化剤)としては、特に限定されないが、例えば、無水酢酸、塩化アセチル、塩化ピバロイル、塩化ベンゾイル等のアシル化剤を、好適に使用することができる。反応条件が温和であることから、無水酢酸を用いることが好ましい。
アシル化剤の使用量は、化合物(8)の1モルに対して、1.0~5.0モルが好ましく、1.0~4.0モルがより好ましく、1.2~3.0モルが更に好ましい。また、過剰量のアシル化剤を反応剤兼溶媒として使用することも可能である。アシル化剤を反応剤兼溶媒として用いる場合の塩基の使用量は、化合物(8)の1モルに対して、3.0~30モルが好ましく、4.0~20モルがより好ましく、5.0~15モルが更に好ましい。
当該水酸基を保護する工程は、無溶媒又は溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン、石油エーテル等の脂肪族炭化水素化合物;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、芳香族炭化水素化合物、エーテル又はハロゲン化炭化水素化合物を用いることが好ましく、ジエチルエーテル、ベンゼン、クロロホルム、石油エーテル等を用いることが更に好ましい。
当該反応において使用される塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2,6-ルチジン、コリジン、4-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基が挙げられる。上記塩基は、1種類を用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても良い。中でも、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンを用いることが好ましい。
塩基の使用量は、化合物(8)の1モルに対して、0.05~10モルが好ましく、1.0~5.0モルがより好ましく、1.2~2.0モルが更に好ましい。また、過剰量の塩基を反応剤兼溶媒として使用することも可能である。過剰の塩基を反応剤兼溶媒として用いる場合の塩基の使用量は、化合物(8)の1モルに対して、3~50モルが好ましく、4~40モルがより好ましく、5~30モルが更に好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-30~150℃であり、-20~120℃が好ましい。反応時間は30分~20時間である。
工程2におけるRの除去は、R及びRが除去されない反応条件下で、上記同様の脱保護方法により容易に行うことができる。
具体的には、例えば、Rがトリオルガノシリル基である場合は、後述の脱保護剤との反応によりRを容易に除去することができる。
脱保護剤としては、フッ化物イオンを発生する化合物であれば特に限定されないが、Rがトリオルガノシリル基(例、TBS)の場合は、例えば、フッ化テトラブチルアンモニウムを好適に使用することができる。
脱保護剤の使用量は、化合物(8)の1モルに対して、1.0~5.0モルが好ましく、1.1~3.0モルがより好ましく、1.2~2.0モルが更に好ましい。
当該反応は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エーテルを用いることが好ましく、THFを用いることがより好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(8)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、5~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-30~150℃であり、-20~120℃が好ましい。反応時間は30分~100時間である。
化合物(8)の水酸基の保護、及びRの除去による反応粗生成物は、そのまま次の反応に用いてもよいが、反応粗生成物中に含まれる副生物を除去するために、反応粗生成物から化合物(9)を単離・精製することが好ましい。単離・精製方法としては、上記工程1に記載の方法が採用できる。
[化合物(9)→化合物(5)の製造工程(工程3)]
化合物(9)のアリールセレニル基を酸化的に脱離させて二重結合を導入することにより、化合物(5)を製造することができる。以下、化合物(9)のアリールセレニル基を酸化的に脱離させて二重結合を導入することにより、化合物(5)に変換する工程を工程3という。
Figure 0007205482000029
化合物(9)において、R、R、Z及びArは、上記と同義である。
がアセチル基であり、RがTHPであり、Zがメチル基であり、且つArがフェニル基である化合物(9)が最も好ましい。
化合物(5)において、R、R及びZは、上記と同義である。
がアセチル基であり、RがTHPであり、且つZがメチル基である化合物(5)が最も好ましい。
工程3におけるアリールセレニル基を酸化的に脱離させて二重結合を導入する工程は、自体公知の方法(例えば、「実験化学講座17有機化合物の合成V酸化反応」p.207-209(丸善)に記載の方法。)、又はそれに準じた方法により容易に行うことができる。
具体的には、例えば、塩基存在下、化合物(9)を酸化剤と反応させることにより、化合物(5)を製造することができる。
当該反応において使用される酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、過酸化水素水、オゾン、m-クロロ過安息香酸が挙げられる。中でも、過酸化水素水又はm-クロロ過安息香酸が好ましく、過酸化水素水(例えば、30%過酸化水素水)がより好ましい。
酸化剤の使用量は、化合物(9)の1モルに対して、1.0~10モルが好ましく、1.0~6.0モルがより好ましく、2.0~5.0モルが更に好ましい。
当該反応において使用される塩基としては、特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、2,6-ルチジン、コリジン、4-ジメチルアミノピリジン等の有機塩基;炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム等の無機塩基等が挙げられる。酸化剤として、過酸化水素水を使用する場合は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジンを用いることが好ましく、炭酸水素ナトリウ又はピリジンがより好ましい。
塩基の使用量は、化合物(9)の1モルに対して、1.0~5.0モルが好ましく、1.1~4.0モルがより好ましく、1.2~3.5モルが更に好ましい。
工程3の反応は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等のエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エーテル及びエステルの混合溶媒又はハロゲン化炭化水素化合物を用いることが好ましく、THF及び酢酸エチルの混合溶媒又はジクロロメタンを用いることがより好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(9)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、10~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-30~150℃であり、好ましくは、-10~40℃である。また、反応時間は30分~100時間である。
[化合物(5)→化合物(4)の製造工程(工程4)]
化合物(5)の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、化合物(6)とのホーナー・ワズワース・エモンズ反応により、化合物(4)を製造することができる。以下、化合物(5)の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、化合物(6)と反応させて、化合物(4)に変換する工程を工程4という。
Figure 0007205482000030
化合物(5)において、R、R及びZは、上記と同義である。
がアセチル基であり、RがTHPであり、且つZがメチル基である化合物(5)が最も好ましい。
化合物(6)において、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し、R’は、炭素数1~4のアルキル基を表し、波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
Rがエチル基又はシクロプロピル基であり、R’がメチル基である化合物(6)が最も好ましい。
化合物(4)において、R、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、上記と同義である。
Rがエチル基又はシクロプロピル基であり、Rがアセチル基であり、RがTHPであり、且つZがメチル基である化合物(4)が最も好ましい。
工程4における水酸基のアルデヒドへの酸化工程は、自体公知の方法(例えば、「実験化学講座15有機化合物の合成IIIアルデヒド・ケトン・キノン」p.9-44(丸善)に記載の方法。)、又はそれに準じた方法により容易に行うことができる。
具体的には、化合物(5)を酸化剤と反応させることにより、対応するアルデヒドを製造することができる。
当該反応において使用される酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルスルホキシド(以下、「DMSO」という。)-塩化オキサリル(スワーン酸化)、ピリジン-三酸化硫黄(SO-Py)-DMSO(パリック・デーリング酸化)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)、デス-マーチン試薬(1,1,1-トリアセトキシ-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンズヨードキソール-3(1H)-オン)、ジョーンズ試薬(無水クロム酸の濃硫酸溶液)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル及びヨードベンゼンジアセテート、又は2-アザアダマンタンN-オキシル及びヨードベンゼンジアセテートが挙げられる。中でも、緩和な反応条件で反応させることができ、後処理も簡便に行えることから、ピリジン-三酸化硫黄(SO―Py)-DMSOが好ましい。
ピリジン-三酸化硫黄(SO―Py)-DMSOを使用する場合は、当該酸化反応は、塩基存在下で行われる。
酸化剤の使用量は、化合物(5)の1モルに対して、1.0~10モルが好ましく、1.1~6.0モルがより好ましく、1.2~4.0モルが更に好ましい。
当該反応において使用される塩基としては、特に限定されないが、例えば、有機塩基を用いることができる。有機塩基としては、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン又は4-ジメチルアミノピリジンを用いることが好ましく、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンがより好ましく、N,N-ジイソプロピルエチルアミンが更に好ましい。
塩基の使用量は、化合物(5)の1モルに対して、1.0~15モルが好ましく、1.1~10モルがより好ましく、1.2~8.0モルが更に好ましい。
工程4の上記酸化工程は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル等のエステル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物;ヘキサン、ヘプタン、オクタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素化合物;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エステルを用いることが好ましく、酢酸エチルを用いることがより好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(5)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、10~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-78~150℃であり、好ましくは、-40~40℃である。また、反応時間は20分~100時間である。
化合物(5)の対応するアルデヒドは、化合物(6)とのホーナー・ワズワース・エモンズ反応により、化合物(4)へと変換することができる。
工程4におけるホーナー・ワズワース・エモンズ反応工程は、自体公知の方法(例えば、特公昭60-36422号公報に記載の方法。)、又はそれに準じた方法により容易に行うことができる。
具体的には、溶媒に化合物(6)を溶解させ、塩基を作用させてアニオンを発生させる。ここに化合物(5)の対応するアルデヒドを加え、一定時間反応させることにより、化合物(4)を製造することができる。
ホーナー・ワズワース・エモンズ反応工程の溶媒としては、該反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;THF、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル;DMSO等のスルホキシド;アセトニトリル等のニトリルが挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エーテル又はニトリルを用いることが好ましく、アセトニトリルを用いることがより好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(5)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、10~40倍量がより好ましい。
当該反応において使用される塩基としては、特に限定されないが、例えば、水素化ナトリウム、ナトリウムヘキサメチルジシラジド、ナトリウムメトキシド、カリウム-tert-ブトキシド等のアルカリ金属塩;トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N-メチルモルホリン、ピリジン、4-ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセン等の有機塩基を用いることが好ましく、トリエチルアミン又はN,N-ジイソプロピルエチルアミンがより好ましく、N,N-ジイソプロピルエチルアミンが更に好ましい。また、水酸基の保護基が塩基性条件下で不安定である場合は、上記有機塩基と塩化リチウムを併用するのが好ましい。
塩基の使用量は、化合物(5)の1モルに対して、1.0~5.0モルが好ましく、1.1~3.0モルがより好ましく、1.2~2.0モルが更に好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-78~150℃であり、好ましくは、10~40℃である。また、反応時間は30分~100時間である。
[化合物(4)→化合物(3)の製造工程(工程5)]
化合物(4)のカルボニル基を還元した後に、Rを除去することにより、化合物(3)を製造することができる。以下、化合物(4)のカルボニル基を還元した後に、Rを除去して、化合物(3)に変換する工程を工程5という。
Figure 0007205482000031
化合物(4)において、R、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、上記と同義である。
化合物(3)において、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、上記と同義である。
Rがエチル基又はシクロプロピル基であり、Rがアセチル基であり、且つZがメチル基である化合物(3)が最も好ましい。
工程5におけるカルボニル基から水酸基への還元工程は、自体公知の方法(例えば、「実験化学講座14有機化合物の合成IIアルコール・アミン」p.1-49(丸善)又は「実験化学講座19有機化合物の合成VII不斉合成・ラジカル反応」p.90-112(丸善)に記載の方法。)、又はそれに準じた方法により容易に行うことができる。
具体的には、化合物(4)を還元剤と反応させることにより、カルボニル基が水酸基に還元された化合物(以下、「ヒドロキシ体」という。)を製造することができる。
当該反応において使用される還元剤としては、特に限定されないが、例えば、水素化ホウ素ナトリウム-塩化セリウム、水素化ホウ素ナトリウム-塩化カルシウム、ジイソブチルアルミニウムヒドリド、リチウムアルミニウムヒドリド、β-クロロジイソピノカンフェイルボラン、水素化トリ-sec-ブチルホウ素リチウム、水素化トリ-sec-ブチルホウ素カリウム、水素化トリ-sec-ブチルホウ素ナトリウムが挙げられる。立体選択的に還元反応を行う場合は、キラルオキサザボロリジン触媒とボラン(例えば、ジエチルアニリンボラン、ボランTHF錯体、ジメチルスルフィドボラン。)を用いて、ケトンの不斉還元を行うコーリー・バクシ・柴田(CBS)還元を使用することが最も好ましい。
CBSキラルオキサザボロリジン触媒は、市販品をそのまま使用することが可能であり、また、自体公知の方法(例えば、米国特許7586015号に記載の方法。)又はそれに準じた方法により容易に製造することもできる。
還元剤の使用量は、化合物(4)の1モルに対して、0.2~5.0モルが好ましく、0.3~3.0モルがより好ましく、0.5~2.0モルが更に好ましい。
CBSキラルオキサザボロリジン触媒の使用量は、化合物(4)の1モルに対して、0.01~5.0モルが好ましく、0.2~3.0モルがより好ましく、1.0~2.0モルが更に好ましい。
工程5における還元反応は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。立体選択的に還元反応を行う場合の溶媒としては、芳香族炭化水素化合物を用いることが好ましく、トルエンを用いることが最も好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(4)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、5~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-30~100℃であり、好ましくは、-10~40℃である。また、反応時間は20分~100時間である。
化合物(4)のヒドロキシ体からRを除去することにより、化合物(3)へと変換することができる。
工程5における化合物(4)のカルボニル基を水酸基に還元した化合物のRを除去して、化合物(3)へと変換する工程は、Rが除去されない反応条件下で上記同様の脱保護方法により容易に行うことができる。
具体的には、例えば、Rがメトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、tert-ブトキシメチル基、2-メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、1-メチル-1-メトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2-テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の環状エーテル構造を有する酸の添加により除去可能な1価の基である場合には、溶媒の存在下、脱保護剤として酸を添加することにより行うことができる。
当該反応において脱保護剤として使用される酸としては、特に限定されないが、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸又は塩酸が挙げられ、好ましくは、塩酸又は酢酸であり、より好ましくは塩酸である。塩酸は、0.1Nの塩酸として用いることが好ましい。
酸の使用量は、化合物(4)のヒドロキシ体の1モルに対して、0.02~10モル、好ましくは0.05~5.0モル、より好ましくは0.1~4.0モルである。また、過剰量の酸を反応剤兼溶媒として使用することも可能である。過剰量の酸を反応剤兼溶媒として使用する場合の酸の使用量は、化合物(4)のヒドロキシ体の1モルに対して、3.0~50モル、好ましくは4.0~30モル、より好ましくは5.0~20モルである。
工程5におけるRの除去は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;アセトニトリル等のニトリル;ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒等が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エーテル、アルコール、ニトリル又はアルコール及びニトリルの混合溶媒を用いることが好ましく、メタノール及びアセトニトリルの混合溶媒を用いることがより好ましい。メタノール及びアセトニトリルの混合溶媒は、メタノールとアセトニトリルの容積比(メタノール:アセトニトリル)が約1:2である混合溶媒が更に好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(4)のヒドロキシ体の質量に対して、2~100倍量が好ましく、4~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-10~100℃であり、好ましくは、10~60℃であり、より好ましくは、20~50℃である。また、反応時間は20分~48時間である。
工程5で得られた化合物(3)の反応粗生成物は、そのまま次の反応に用いてもよいし、反応粗生成物中に含まれる副生物を除去するために、反応粗生成物から化合物(3)を単離・精製してもよい。単離・精製方法としては、上記工程1に記載の方法が採用できる。
[化合物(3)→化合物(1)の製造工程(工程6)]
化合物(3)の2個の水酸基を保護し、続くRの除去及びCOZ基の加水分解反応により、化合物(1)又はその薬学的に許容できる塩を製造することができる。以下、化合物(3)の水酸基を保護し、続くRの除去及びCOZ基の加水分解反応により、化合物(1)又はその薬学的に許容できる塩に変換する工程を工程6という。
Figure 0007205482000032
化合物(3)において、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、上記と同義である。
化合物(1)において、R及び波線で結合したメチル基は、上記と同義である。
及びRは、それぞれ独立に、Rと異なる水酸基の保護基を表す。R及びRは、好ましくは、メトキシメチル基、ベンジロキシメチル基、tert-ブトキシメチル基、2-メトキシエトキシメチル基、1-エトキシエチル基、1-メチル-1-メトキシエチル基等のアルコキシアルキル基;2-テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等の環状エーテル構造を有する酸の添加により除去可能な1価の基であり、より好ましくは、R及びRが共にメトキシメチル基又は2-テトラヒドロピラニル基である。
Rがエチル基又はシクロプロピル基であり、R及びRが共にTHPである化合物(1)が最も好ましい。
工程6における2個の水酸基を保護する工程は、上記公知の水酸基保護方法により容易に行うことができる。
具体的には、例えば、R及びRがTHPの場合は、酸触媒存在下、化合物(3)と3,4-ジヒドロ-2H-ピランとの反応により、化合物(3)の2個の水酸基をTHPで保護することができる。
3,4-ジヒドロ-2H-ピランの使用量は、化合物(3)の1モルに対して、2.0~6.0モルが好ましく、好ましくは2.4から4.0モルである。
当該反応において使用される酸触媒としては、特に限定されないが、例えば、p-トルエンスルホン酸一水和物、ピリジニウム p-トルエンスルホナート、塩酸、塩化ホスホリルが挙げられる。中でも、p-トルエンスルホン酸一水和物が最も好ましい。
酸触媒の使用量は、化合物(3)の1モルに対して、0.0001~0.5モルが好ましく、0.001~0.2モルがより好ましく、0.005~0.1モルが更に好ましい。
当該反応は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物を用いることが好ましく、ジクロロメタンを用いることが最も好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(3)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、10~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-30~100℃であり、好ましくは、0~40℃である。また、反応時間は20分~24時間である。
化合物(3)の水酸基を保護した化合物(以下、「水酸基保護体」という。)からRの除去とエステル基(COZ基)の加水分解反応により、化合物(1)へと変換することができる。
工程6における、化合物(3)の水酸基保護体からRの除去及びCOZ基の加水分解反応により、化合物(1)へと変換する工程は、R及びRが除去されない反応条件下で、上記公知の脱保護方法により、Rの除去及びCOZ基の加水分解反応(Zの除去)を容易に行うことができる。
がアシル基のように塩基性条件下で除去可能な基である場合は、COZ基の加水分解反応も同時に進行するので、効率的に化合物(1)へと変換することができるという点で好ましい。
当該工程においてRの除去及びCOZ基の加水分解反応に使用される塩基としては、特に限定されないが、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、カリウム-tert-ブトキシド、ナトリウム-tert-ブトキシド、又は炭酸カリウムが挙げられる。水酸化ナトリウム、水酸化カリウム又は水酸化リチウムが好ましく、反応の加速と収率の改善に有効であることから、水酸化リチウム(例えば、水酸化リチウム一水和物。)がより好ましい。
上記塩基の使用量は、化合物(3)の水酸基保護体1モルに対して、1.0~30モル、好ましくは1.2~15モルである。
工程6におけるRの除去及びCOZ基の加水分解反応は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エーテルを用いることが好ましく、THFを用いることがより好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(3)の水酸基保護体の質量に対して、2~100倍量が好ましく、4~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は-10~100℃であり、好ましくは、10~60℃であり、より好ましくは、20~50℃である。また、反応時間は20分~72時間である。
工程6で得られた化合物(1)の反応粗生成物は、そのまま次の反応に用いてもよいし、反応粗生成物中に含まれる副生物を除去するために、反応粗生成物から化合物(1)を単離・精製してもよい。単離・精製方法としては、上記工程1に記載の方法が採用できる。
[化合物(1)→化合物(2)の製造工程(工程7)]
化合物(1)又はその薬学的に許容できる塩の水酸基を酸化した後に、R及びRを除去することにより、化合物(2)又はその薬学的に許容できる塩を製造することができる。以下、化合物(1)又はその薬学的に許容できる塩の水酸基を酸化した後に、R及びRを除去することにより、化合物(2)又はその薬学的に許容できる塩に変換する工程を工程7という。
Figure 0007205482000033
化合物(1)において、R、R、R及び波線で結合したメチル基は、上記と同義である。
化合物(2)において、R及び波線で結合したメチル基は、上記と同義である。
Rがエチル基又はシクロプロピル基である化合物(2)が最も好ましい。
工程7における化合物(1)の水酸基を酸化する工程は、自体公知の方法(「実験化学講座15有機化合物の合成IIIアルデヒド・ケトン・キノン」p.163~211(丸善)に記載の方法。)、又はそれに準じた方法により、容易に行うことができる。
具体的には、化合物(1)を酸化剤と反応させることにより、化合物(1)における水酸基をカルボニル基に変換した化合物(以下、「カルボニル体」という。)へと変換することができる。
当該反応において使用される酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、DMSO-塩化オキサリル(スワーン酸化)、ピリジン-三酸化硫黄(SO―Py)-DMSO(パリック・デーリング酸化)、過ルテニウム酸テトラプロピルアンモニウム(TPAP)、デス-マーチン試薬(1,1,1-トリアセトキシ-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンズヨードキソール-3(1H)-オン)、ジョーンズ試薬(無水クロム酸の濃硫酸溶液)、2,2,6,6-テトラメチルピペリジン1-オキシル及びヨードベンゼンジアセテート、又は2-アザアダマンタンN-オキシル及びヨードベンゼンジアセテートが挙げられる。中でも、反応収率や実験操作の簡便性の観点からデス-マーチン試薬が最も好ましい。
酸化剤の使用量は、化合物(1)の1モルに対して、1.0~5.0モルが好ましく、1.1~3.0モルがより好ましく、1.2~1.5モルが更に好ましい。
当該反応は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素化合物;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素系溶媒を用いることが好ましく、ジクロロメタンを用いることが最も好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(1)の質量に対して、2~100倍量が好ましく、10~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は0~100℃であり、好ましくは、10~40℃である。また、反応時間は10分~24時間である。
化合物(1)のカルボニル体からR及びRを除去することにより、化合物(2)を製造することができる。
工程7における、化合物(1)のカルボニル体からR及びRを除去することにより、化合物(2)へと変換する工程は、上記公知の脱保護方法により容易に行うことができる。
具体的には、例えば、R及びRが上記のように酸の添加により除去可能な1価の基(好ましくは、2-テトラヒドロピラニル基)である場合は、酸の添加により、効率的に化合物(2)へと変換することができる。
当該工程において脱保護剤として使用される酸としては、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、塩酸等が挙げられ、好ましくは酢酸、塩酸であり、塩酸がより好ましい。塩酸は、0.1Nの塩酸として用いることが好ましい。
酸の使用量は、化合物(1)のカルボニル体1モルに対して、0.02~10モル、好ましくは0.05~5.0モル、より好ましくは0.1~4.0モルである。また、過剰量の酸を溶媒として使用することも可能である。過剰量の酸を溶媒として使用する場合の酸の使用量は、化合物(1)のカルボニル体の1モルに対して、3.0~50モル、好ましくは4.0~30モル、より好ましくは5.0~20モルである。
当該工程におけるR及びRの除去は、溶媒の存在下で行われる。溶媒としては、反応に不活性な溶媒から選択するのが好ましく、反応温度や基質の溶解性等に応じて適宜選択される。例えば、メタノール、エタノール等のアルコール;アセトニトリル等のニトリル;ジエチルエーテル、THF、ジオキサン等のエーテル;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素化合物;クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素化合物が挙げられる。溶媒は1種のみであっても、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒は、反応収率の観点から、エーテル、アルコール、ニトリル又はアルコール及びニトリルを用いることが好ましく、メタノール及びアセトニトリルの混合溶媒を用いることがより好ましい。メタノール及びアセトニトリルの混合溶媒は、メタノールとアセトニトリルの容積比(メタノール:アセトニトリル)が約1:2である混合溶媒がさらに好ましい。
溶媒の使用量は、特に制限はなく、化合物(1)のカルボニル体の質量に対して、2~100倍量が好ましく、4~40倍量がより好ましい。
反応温度や反応時間等の反応条件は、用いられる反応試薬、反応溶媒等によって異なるが、通常、反応温度は、-10~100℃であり、好ましくは、10~60℃であり、より好ましくは、20℃~50℃である。また、反応時間は20分~48時間である。
式2で示される化合物は、抗血小板剤、血流改善剤として有用である。本発明の製造方法により、式2で示される化合物又はその薬学的に許容できる塩を良好な収率で製造することができる。
本発明の製造方法によれば、合成の初期段階でプロスタグランジンの2位の二重結合を導入することにより、合成の最終段階で導入する場合に比べて、目的物の純度を向上させやすく、式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩を簡便且つ高純度で製造できる。特に、該二重結合の導入反応で問題となる類縁物質の含有量を制御しやすく、医薬品に必要とされる高純度の化合物を安定的に且つ効率的に製造できる。
本発明の製造方法の具体的な特徴として、以下が挙げられる。
(A)プロスタグランジン2位の二重結合を合成の初期段階で導入しておくことにより、合成の最終段階で導入するよりも、各工程における目的物の純度が向上し、結果として、化合物(2)又はその薬学的に許容できる塩を簡便且つ高純度で製造することができる。特に、本発明の製造方法は、通常の二重結合の導入反応で問題となる幾何異性体(Z体)や二重結合部分が単結合のジヒドロ体等の類縁物質の含有量を制御しやすいため、医薬品に必要な高純度の化合物を安定的に且つ効率的に製造することができる。
(B)水酸基の保護基を使い分けることにより、多段階反応を効率的に進めることができる。
(C)工程5において、コーリー・バクシ・柴田(CBS)還元を使用することにより、高立体選択的還元を行うことができる。
(D)化合物(3)及び化合物(4)は、本製造方法における重要な中間体であり、これらを経由することにより、効率の良い製造方法を提供することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
%は、収率についてはmol%を示し、その他については特記しない限り質量%を表す。また、室温とは、特記しない限り、15~30℃の温度を表す。以下のH-NMR値は、分解能400MHzで測定した。
参考例1
7-((1R,2R,3R,5S)-5-ヒドロキシ-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンチル)ヘプタン酸メチルエステル(化合物(7a))の製造
Figure 0007205482000034
4-(カルボキシブチル)トリフェニルホスホニウムブロミド(107g)のTHF(657mL)の懸濁液に、1Mのカリウムビストリメチルシリルアミド(KHMDS)(483mL)を加えて1時間撹拌した後、-78℃に冷却した。次いで、(3aR,4S,5R,6aS)-4-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)ヘキサヒドロ-5-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)-2H-シクロペンタ[b]フラン-2-オール(30g)のTHF(377mL)溶液を加え、同温で30分間撹拌した後、室温まで昇温して終夜撹拌して混合物を得た。該混合物に水を加えてtert-ブチルメチルエーテルで抽出した後、クエン酸二ナトリウムで酸性にして、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮後、アセトン(1440mL)を加え、0℃でN,N-ジイソプロピルエチルアミン(iPrEtN)(58.8mL)、ヨウ化メタン(MeI)(22.1mL)及び1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)(68.6mL)を加えた後、室温で3.5時間撹拌した。次いで、飽和重曹水を加えて酢酸エチルで抽出した。減圧濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、粘性油状物(26.4g)を得た。当該油状物(26.4g)に酢酸エチル(1494mL)を加え、触媒として5%Pd/C(9.9g)を用いて水素雰囲気下40分間撹拌した。該触媒をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。残渣をヘキサン:酢酸エチル=3:1(vol)の混合溶液からヘキサン:酢酸エチル=1:3(vol)の混合溶液へとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(7a)(20.2g)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ4.68 (m, 1H), 4.22-4.19 (m, 1H), 4.15-4.04 (m, 1H), 3.88-3.73 (m, 2H), 3.66 (s, 3H), 3.60-3.38 (m, 2H), 2.55-2.25 (m, 1H), 2.24 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 1.95-1.15 (m, 21H), 0.87(d, J=3.0 Hz, 9H), 0.03(d, J=3.0 Hz, 6H)
参考例2
(S)-(+)-(6-シクロプロピル-3-メチル-2-オキソヘキサ-5-イン-1-イル)ホスホン酸ジメチルエステル(化合物(6a))の製造
Figure 0007205482000035
メチルホスホン酸ジメチル(13.3g)にTHF(76.1mL)を加え、-78℃で2.65Mのn-ブチルリチウム(39.5mL)を滴下して-78℃で1時間撹拌した後、(S)-5-シクロプロピル-2-メチルペンタ-4-イン酸メチルエステル(7.50g)のTHF(32.6mL)溶液を加え、同温で4時間撹拌して混合物を得た。該混合物に塩化アンモニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。残渣をヘキサン:酢酸エチル=3:1(vol)の混合溶液からヘキサンへとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(6a)(7.10g)を得た。収率61%。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ3.81 (s, 3H), 3.78 (s, 3H), 3.20 (ddd, J= 14.4, 22.8, 28.4 Hz, 2H), 2.91 (q, J= 6.8 Hz, 1H), 2.33 (dddd, J= 2.0, 6.8, 16.8, 44.4 Hz, 2H), 1.18 (d, J= 7.2 Hz, 3H), 1.18 (m, 1H), 0.71 (m, 2H), 0.60 (m, 2H).
例1
7-((1R,2R,3R,5S)-5-ヒドロキシ-2-(((tert-ブチルジメチルシリル)オキシ)メチル)-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンチル)2-フェニルセレノヘプタン酸メチルエステル(化合物(8a))の製造(工程1)
Figure 0007205482000036
参考例1で製造した化合物(7a)の15.0gをTHFの350mLに溶解し、-78℃で1.12Mのリチウムジイソプロピルアミド(LDA)のTHF溶液(104mL)を加え、同温で30分間撹拌した後、ジフェニルジセレニド(PhSeSePh)(24.8g)をTHF(53mL)に溶解した溶液を-78℃で滴下し、同温で約2時間撹拌して混合物を得た。該混合物を酢酸エチルで希釈し、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて分液し、水層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を合わせて、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、化合物(8a)の粗生成物(19.9g)を得た。
例2
(2E)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-アセトキシ-2-ヒドロキシメチル-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンチル)2-フェニルセレノヘプタン酸メチルエステル(化合物(9a))の製造(工程2)
Figure 0007205482000037
例1で得られた化合物(8a)の粗生成物(19.9g)にピリジン(33.3mL)、無水酢酸(AcO)(33.3mL)、4-ジメチルアミノピリジン(387mg)を加えて室温で1時間撹拌した後、水を加えて、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒で抽出した。得られた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮後、THF(176mL)を加えて氷冷した後、1Mのテトラブチルアンモニウムフルオリド(TBAF)(63.5mL)を加え、室温で3時間撹拌して混合物を得た。該混合物を減圧濃縮した後、ヘキサン:酢酸エチル=3:1(vol)の混合溶液からヘキサン:酢酸エチル=1:3(vol)の混合溶液へとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(9a)(14.1g)を油状物として得た。2位の二重結合部分の幾何異性体(Z体)や二重結合部分が単結合のジヒドロ体の含有量はいずれも0.1%以下であった。
例3
(2E)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-アセトキシ-2-ヒドロキシメチル-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンチル)ヘプタ-2-エン酸メチルエステル(化合物(5a))の製造(工程3)
Figure 0007205482000038
例2で得られた化合物(9a)(14.1g)にジクロロメタン(211mL)を加えて撹拌した後、ピリジン(4.10mL)、30%の過酸化水素水(10.4mL)を加えて、0℃で1時間撹拌して反応混合物を得た。該反応混合物をジクロロメタンで希釈した後、蒸留水を加え、ジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮した後、ヘキサン:酢酸エチル=3:1(vol)の混合溶液から、酢酸エチル、酢酸エチル:メタノール=20:1(vol)の混合溶液へとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(5a)(9.06g)を得た。
1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ6.94 (dt, J= 15.6, 6.9 Hz, 1H), 5.80 (d, J= 15.6 Hz, 1H), 5.07 (m, 1H), 4.72 (m, 0.55H), 4.54 (m, 0.45H), 4.15-4.04 (m, 1H), 4.04-3.88 (m, 1H), 3.88-3.73 (m, 2H), 3.66 (s, 3H), 3.60-3.48 (m, 2H), 2.04 (t, J= 7.5 Hz, 2H), 1.95-1.15 (m, 18H).
例4
(2E)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-アセトキシ-2-((1E,4S)-7-シクロプロピル-4-メチル-3-オキソヘプタ-1-エン-6-イン-1-イル)-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンチル)ヘプタ-2-エン酸メチルエステル(化合物(4a))の製造(工程4)
Figure 0007205482000039
例3で得られた化合物(5a)(9.06g)を酢酸エチル(146mL)に溶解し、-10℃に冷却して、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(iPrEtN)(23.8mL)を加えた後、SO-ピリジン(SO-Py)(10.9g)をDMSO(27.2mL)に溶解した溶液を加え、-10℃で30分間撹拌して第1の混合物を得た。該第1の混合物に、酢酸エチル(226mL)及び1Nの塩酸(90.6mL)を注ぎ、水を加えて分液し、得られた第1の有機層を減圧濃縮した。減圧濃縮して得られた組成物にヘキサンを加え、硫酸銅水溶液、飽和食塩水及び水の順に洗浄した後、得られた第2の有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、化合物(5a)に対応するアルデヒド(7-((1R,2R,3R,5S)-5-アセトキシ-2-ホルミル-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンチル)ヘプタン酸メチルエステル)(8.6g)を得た。
塩化リチウム(1.10g)を170℃に加熱し、減圧乾燥した後、アセトニトリル(43.2mL)を加え、参考例2と同様に合成した化合物(6a)(6.69g)をアセトニトリル(86.4mL)に溶解した溶液と、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(iPrEtN)(3.76mL)を滴下して、25℃で1時間撹拌した後、上記化合物(5a)に対応するアルデヒド(8.6g)をアセトニトリル(86.4mL)に溶解した溶液を滴下し、同温で15時間撹拌して第2の混合物を得た。該第2の混合物に酢酸エチル(103mL)、飽和塩化アンモニウム水溶液(103mL)を加え、水で希釈して分液した後、水層を酢酸エチルで抽出した。得られた第3の有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、ヘキサン:酢酸エチル=86:14(vol)の混合溶液から、酢酸エチルへとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(4a)(8.13g)を無色油状物として得た。化合物(5a)から化合物(4a)を得る反応における収率は61%であった。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ6.92 (dt, J= 15.6, 6.9 Hz, 1H),δ6.80-6.68 (m, 1H), δ6.32-6.24 (m, 1H), 5.79 (d, J= 15.6 Hz, 1H), 5.12 (brt, J = 5.7 Hz, 1H), 4.54 (dt, J = 12.8, 3.0 Hz, 1H), 4.12-3.96 (m, 1H), 3.83-3.58 (m, 2H), 3.65 (s, 3H),3.50-3.38 (m, 1H), 3.14-2.83 (m, 1H), 2.75-2.16 (m, 5H), 2.06 (s, 3H), 1.95-1.05 (m, 22H), 1.18 (d, J = 7.2 Hz, 3H), 0.75-0.54 (m, 4H).
例5
(2E)-7-((1R,2R,3R,5S)-5-アセトキシ-2-((1E,3S,4S)-7-シクロプロピル-3-ヒドロキシ-4-メチルヘプタ-1-エン-6-イン-1-イル)-3-ヒドロキシシクロペンチル)ヘプタ-2-エン酸メチルエステル(化合物(3a))の製造(工程5)
Figure 0007205482000040
例4で得られた化合物(4a)(8.13g)をトルエン(58.4mL)に溶解し、1MのR-(+)-2-メチルオキサザボロリジン(CBS)トルエン溶液を加え、氷冷下(-10℃~5℃)で30分撹拌した後、ジエチルアニリンボラン(DEANB)(2.79mL)を滴下し、氷冷下(-10℃~5℃)で15時間撹拌して混合物を得た。該混合物を酢酸エチルで希釈し、メタノール(3.1mL)を加え、1Nの塩酸及び水を加えて分液し、得られた水層を酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を合わせて飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、化合物(3a)の粗生成物(6.53g)を得た。
得られた化合物(3a)の粗生成物(6.53g)、アセトニトリル(24.3mL)、メタノール(12.1mL)を加えて溶解し、0.1Nの塩酸(12.2mL)を加え、35℃で3時間撹拌した後、0.1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液(12.2mL)、水を加えて酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。減圧濃縮により得られた組成物を、ヘキサン:酢酸エチル=67:33(vol)の混合溶液から、酢酸エチルへとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(3a)(6.35g)とその立体異性体(15位の水酸基の立体が逆の化合物)(0.70g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ6.93 (dt, J= 15.6, 6.9 Hz, 1H), 5.80 (d, J= 15.6 Hz, 1H), δ5.65-5.45 (m, 2H), 5.15 (brs, 1H), 4.14-3.85 (m, 2H), 3.73 (s, 3H), 2.60-2.30 (m, 1H), 2.28 (t, J=7.6 Hz, 2H), 2.30-2.13 (m, 2H), 2.04 (s, 3H), 1.85-1.10 (m, 12H), 0.96 (m, 3H),0.72-0.58 (m, 4H).
例6
(2E)-7-((1R,2R,3R,5S)-2-((1E,3S,4S)-7-シクロプロピル-4-メチル-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)ヘプタ-1-エン-6-イン-1-イル)-5-ヒドロキシ-3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)シクロペンチル)ヘプタ-2-エン酸(化合物(1a))の製造(工程6)
Figure 0007205482000041
例5で得られた化合物(3a)(5.22g)をジクロロメタン(75.7mL)に溶解し、0℃で3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(DHP)(3.22mL)、p-トルエンスルホン酸一水和物(p-TsOH・HO)(56.6mg)を加え、同温で30分間撹拌して第1の混合物を得た。該第1の混合物にジクロロメタン(75.7mL)、水(83.5mL)を加えて分液後、得られた水層をジクロロメタンで抽出した。得られた有機層を合わせて無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、化合物(3a)の水酸基をTHPで保護した化合物(以下、化合物(3a´)という。)の粗生成物(7.19g)を得た。
上記化合物(3a´)の粗生成物(7.19g)をTHF(46.0mL)に溶解し、水酸化リチウム一水和物(4.91g)を加えた後、40℃に昇温し、15時間撹拌して第2の混合物を得た。該第2の混合物を酢酸エチル(46.0mL)で希釈し、1Nの塩酸を加えて、酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、減圧濃縮後、ヘキサン:酢酸エチル=1:1(vol)の混合溶液から、ヘキサン:酢酸エチル=1:3(vol)の混合溶液へとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(1a)(5.21g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.00-6.87 (m, 1H), 5.81 (d, J= 14.8 Hz, 1H), 5.63-5.41, 5.30-5.18 (m, 2H), 4.82-4.60 (m, 2H), 4.13 -3.75 (m, 6H), 3.53-3.39 (m, 2H), 2.59-1.00 (m, 28H), 0.92 (m, 3H), 0.74-0.63 (m, 2H), 0.60-0.52 (m, 2H).
例7
(2E)-7-((1R,2R,3R)-2-((1E,3S,4S)-7-シクロプロピル-3-ヒドロキシ-4-メチルヘプタ-1-エン-6-イン-1-イル)-3-ヒドロキシ-5-オキソシクロペンチル)ヘプタ-2-エン酸(化合物(2a))の製造(工程7)
Figure 0007205482000042
例6で得られた化合物(1a)(5.21g)をジクロロメタン(52.2mL)に溶解し、1,1,1-トリアセトキシ-1,1-ジヒドロ-1,2-ベンゾヨードキソール-3-(1H)-オン(デスマーチンペルヨージナン;デス-マーチン試薬)(4.55g)を添加し、室温で1時間撹拌して第1の混合物を得た。該第1の混合物をジクロロメタン(52.3mL)で希釈して、1Mのチオ硫酸ナトリウム水溶液を加えて2時間撹拌した後、水を加え分液した。得られた水層をジクロロメタンで抽出した後、得られた有機層を合わせ、水、食塩水で順次洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することにより、化合物(1a)のカルボニル体の粗生成物(4.69g)を得た。
上記化合物(1a)のカルボニル体の粗生成物(4.69g)をアセトニトリル(16.6mL)、メタノール(8.31mL)に溶解し、0.1Nの塩酸(8.31mL)を加え、35℃で3時間撹拌して第2の混合物を得た。該第2の混合物に0.1Nの炭酸水素ナトリウム水溶液(8.31mL)、水を加えて酢酸エチルで抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。減圧濃縮して得られた組成物を、ヘキサン:酢酸エチル=1:2(vol)の混合溶液から、酢酸エチルを経て、酢酸エチル:メタノール=20:1(vol)の混合溶液へとグラジェントをかけた移動相を用いたシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製することにより、化合物(2a)(2.94g)を得た。
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ6.98 (dt, J= 15.6, 6.9 Hz, 1H), 5.81 (d, J= 15.6 Hz, 1H), 5.66 (brs, 2H), 4.05-3.93 (m, 2H), 2.71 (dd, J= 18.2, 7.4 Hz, 1H), 2.40-1.00 (m, 16H), 0.89 (d, J= 6.8 Hz, 3H), 0.71-0.67 (m, 2H), 0.59-0.55 (m, 2H).
本発明は、血流改善剤として有用な新規化合物(2)又はその薬学的に許容できる塩を良好な収率で製造する方法を提供することができる。
また、本発明による化合物(3)及び化合物(4)は、化合物(2)又はその薬学的に許容できる塩を製造するための合成中間体として有用である。
さらに、本発明の製造方法は、取り扱いの容易な化合物を経由し、簡便な操作にて行うことができることから、工業的な大量合成法として有用である。
本出願は、特願2017-210311を基礎としており、その内容は本明細書に全て包含されるものである。

Claims (13)

  1. 式3で表される化合物。
    Figure 0007205482000043

    ただし、式3中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
    は、アシル基を表し;
    波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表し;
    Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
  2. 式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の製造方法であって、式3で表される化合物の水酸基を保護し、続くRの除去及びCOZ基の加水分解反応により前記式1で表される化合物に変換する製造方法。
    Figure 0007205482000044

    ただし、式1中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
    及びRは、それぞれ独立に、水酸基の保護基を表し;
    波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
    Figure 0007205482000045

    ただし、式3中、Rは、R及びRと異なる水酸基の保護基を表し;
    Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表し;R及び波線で結合したメチル基は、前記と同義を表す。
  3. 請求項2に記載の製造方法により式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩を得る工程に続いて、該化合物の水酸基を酸化した後に、R及びRを除去する、式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の製造方法。
    Figure 0007205482000046

    ただし、式2中、R及び波線で結合したメチル基は、請求項2と同義を表す。
  4. 前記式3で表される化合物が、式4で表される化合物のカルボニル基を還元した後に、Rを除去して製造される、請求項2に記載の製造方法。
    Figure 0007205482000047

    ただし、式4中、R、R、波線で結合したメチル基及びZは請求項2と同義を表し;Rは、Rと異なる水酸基の保護基を表す。
  5. 前記式4で表される化合物が、式5で表される化合物の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、式6で表される化合物と反応させる、請求項4に記載の製造方法。
    Figure 0007205482000048

    ただし、式5中、R、R、及びZは、請求項4と同義を表す。
    Figure 0007205482000049

    ただし、式6中、R’は、炭素数1~4のアルキル基を表し、R及び波線で結合したメチル基は、請求項4と同義を表す。
  6. 前記式5で表される化合物が、式7で表される化合物をアリールセレノ化することにより、式8で表される化合物に変換した後に、
    水酸基を保護した後に、Rを除去することにより、式9で表される化合物に変換後、アリールセレニル基を酸化的に脱離させて二重結合を導入する、請求項5に記載の製造方法。
    Figure 0007205482000050

    ただし、式7中、R及びZは、請求項5と同義を表し;
    は、R及びRと異なる水酸基の保護基を表す。
    Figure 0007205482000051

    ただし、式8中、R、R及びZは、前記と同義を表し;
    Arは、アリール基又は置換基を有するアリール基を表す。
    Figure 0007205482000052

    ただし、式9中、Rは、請求項5と同義を表し;
    、Ar及びZは、前記と同義を表す。
  7. 式4で表される化合物。
    Figure 0007205482000053

    ただし、式4中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
    は、アシル基を表し;
    は、Rと異なる水酸基の保護基を表し;
    波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表し;
    Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
  8. 式3で表される化合物の製造方法であって、式4で表される化合物のカルボニル基を還元した後に、Rを除去する、製造方法。
    Figure 0007205482000054

    ただし、式3中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
    は、水酸基の保護基を表し;
    波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表し;
    Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
    Figure 0007205482000055

    ただし、式4中、R、R、波線で結合したメチル基、及びZは前記と同義を表し;
    は、Rと異なる水酸基の保護基を表す。
  9. 式5で表される化合物の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、式6で表される化合物と反応させる、式4で表される化合物の製造方法。
    Figure 0007205482000056

    ただし、式5中、Rは、水酸基の保護基を表し;
    は、Rと異なる水酸基の保護基を表し;
    Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表す。
    Figure 0007205482000057

    ただし、式6中、R’は、炭素数1~4のアルキル基を表し、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し、波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
    Figure 0007205482000058

    ただし、式4中、R、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、前記と同義を表す。
  10. 式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の製造方法であって、
    式7で表される化合物をアリールセレノ化することにより、式8で表される化合物に変換し、
    式8で表される化合物の水酸基を保護した後に、Rを除去することにより、式9で表される化合物に変換し、
    式9で表される化合物のアリールセレニル基を酸化的に脱離させて二重結合を導入することにより、式5で表される化合物に変換し、
    式5で表される化合物の水酸基を酸化して対応するアルデヒドに変換した後に、式6で表される化合物と反応させて、式4で表される化合物に変換し、
    式4で表される化合物のカルボニル基を還元した後に、Rを除去して、式3で表される化合物に変換し、
    式3の化合物の水酸基を保護し、続くRの除去及びCOZ基の加水分解反応により、式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩に変換し、且つ式1で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩の水酸基を酸化した後に、R及びRを除去することにより、前記式2で表される化合物又はその薬学的に許容できる塩に変換する、製造方法。
    Figure 0007205482000059

    ただし、式2中、Rは、炭素数2~3のアルキル基、置換基を有する炭素数2~3のアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基又は置換基を有する炭素数3~5のシクロアルキル基を表し;
    波線で結合したメチル基は、α-配置、β-配置、又はα-配置及びβ-配置の混合配置であるメチル基を表す。
    Figure 0007205482000060

    ただし、式7中、Zは、炭素数1~4のアルキル基又は置換基を有する炭素数1~4のアルキル基を表し;
    は、水酸基の保護基を表し;
    は、R及びRと異なる水酸基の保護基を表す。
    Figure 0007205482000061

    ただし、式8中、R、R及びZは、前記と同義を表し;
    Arは、アリール基又は置換基を有するアリール基を表す。
    Figure 0007205482000062

    ただし、式9中、R、Ar及びZは、前記と同義を表し;
    は、Rと異なる水酸基の保護基を表す。
    Figure 0007205482000063

    ただし、式5中、R、R及びZは、前記と同義を表す。
    Figure 0007205482000064

    ただし、式6中、R’は、炭素数1~4のアルキル基を表し、R及び波線で結合したメチル基は、前記と同義を表す。
    Figure 0007205482000065

    ただし、式4中、R、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、前記と同義を表す。
    Figure 0007205482000066

    ただし、式3中、R、R、波線で結合したメチル基及びZは、前記と同義を表す。
    Figure 0007205482000067

    ただし、式1中、R及びRは、それぞれ独立に、水酸基の保護基を表し;
    R、波線で結合したメチル基は、前記と同義を表す。
  11. 式3において、波線で結合したメチル基が、請求項1と同義であり、Rが、エチル基又はシクロプロピル基であり、Rが、アセチル基であり、且つZが、メチル基である、請求項1に記載の化合物。
  12. 式4において、波線で結合したメチル基が、請求項7と同義であり、Rが、エチル基又はシクロプロピル基であり、Rが、アセチル基であり、Rが、2-テトラヒドロピラニル基であり、且つZが、メチル基である、請求項7に記載の化合物。
  13. 式1中の波線で結合したメチル基が、請求項2と同義であり、Rが、エチル基又はシクロプロピル基であり、且つR及びRが、2-テトラヒドロピラニル基であり、並びに式3中の波線で結合したメチル基が、請求項2と同義であり、Rが、式1中のRと同義であり、Rが、アセチル基であり、且つZが、メチル基である、請求項2に記載の製造方法。
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