JP2743798B2 - 光学活性化合物の製法 - Google Patents

光学活性化合物の製法

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JP2743798B2
JP2743798B2 JP5293228A JP29322893A JP2743798B2 JP 2743798 B2 JP2743798 B2 JP 2743798B2 JP 5293228 A JP5293228 A JP 5293228A JP 29322893 A JP29322893 A JP 29322893A JP 2743798 B2 JP2743798 B2 JP 2743798B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、G.Storkらによ
って開発されたプロスタグランジン合成法(G.Stork,T.
Takahashi,I.Kawamoto,T.Suzuki:J.Am.Chem.Soc.,100,8
272(1978))における重要な中間体である、下記一般式
(P)
【0002】
【化3】
【0003】(上記一般式(P)において、R1 はアル
コキシ基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキ
ル基及び芳香環もしくはアルキル基にヘテロ原子を有す
るアラルキル基から選ばれた炭素数1〜12の基、R2
は水素原子又はアシル基、シリル基、アラルキル基及び
アルキルオキシアルキル基から選ばれた容易に脱離可能
な保護基を表わし、*の符号は不斉炭素原子を表わす)
で表わされる光学活性γ−ラクトン誘導体を製造するた
めの中間体である光学活性化合物の製法に関する。
【0004】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】プロスタ
グランジンの製造に関しては、上記G.Storkらの
合成法の他に、コーリーラクトンや4−ヒドロキシシク
ロペンテノンより出発する方法が実用化されているが、
この方法は原料の光学活性体を得るために光学分割や微
生物による不斉水解などの工程を経る必要があり、さら
にこれらを基にしてα,ω側鎖を導入していく段階での
立体制御においても問題点が多い。
【0005】このような点からみると上記G.Stor
kらにより開発された前記一般式(P)の光学活性γ−
ラクトン誘導体を鍵中間体とするプロスタグランジン合
成法は優れた方法であるといえる。しかしながら、この
方法における問題点は鍵中間体となる一般式(P)の化
合物をいかに経済的に製造できるかにかかっていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記問題
点を解決すべく鋭意検討の結果、鍵中間体である上記一
般式(P)で表わされる化合物を従来より簡便に、且つ
効率よく製造する方法を見出したものであり、本発明は
この製造の過程で得られる中間体の製法を提供するもの
である。本発明は、下記一般式(A)
【0007】
【化4】
【0008】(上記一般式(A)において、R1 はアル
コキシ基を有していてもよいアルキル基、シクロアルキ
ル基及び芳香環もしくはアルキル基にヘテロ原子を有す
るアラルキル基から選ばれた炭素数1〜12の基、R2
は水素原子又はアシル基、シリル基、アラルキル基及び
アルキルオキシアルキル基から選ばれた容易に脱離可能
な保護基、R4 は炭素数1〜5の低級アルキル基を表わ
し、*の符号は不斉炭素原子を表わす)で表わされる光
学活性化合物の製法である。
【0009】上記一般式(A)におけるR1 の具体例と
しては、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブ
チル,イソブチル,ペンチル,イソペンチル,2,2−
ジメチルペンチル,ヘキシル,2−ヘキシル,ヘプチ
ル,2−ヘプチル,オクチル,2−オクチル,ノニル,
2−ノニル,デシル,2−デシル,ウンデシル,2−ウ
ンデシル,ドデシル,2−エトキシ−1,1−ジメチル
エチル,5−メトキシ−1−メチルペンチル,シロクペ
ンチル,3−エチルシクロペンチル,シクロヘキシル,
2−メチルシクロヘキシル,4−n−プロピルシクロヘ
キシルなどのアルコキシ置換基を有していてもよい直鎖
状もしくは分岐状アルキル基又はシクロアルキル基、フ
ェニルオキシメチル,3−トリフルオロメチルフェニル
オキシメチル,2−クロロチオフェン−5−イルオキシ
メチル,フラン−2−イル−2−エチルなどの芳香環も
しくはアルキル基にヘテロ原子を有するアラルキル基が
挙げられる。
【0010】上記一般式(A)における水素原子以外の
2 の具体例としては、ベンゾイル,アセチル,p−フ
ェニルベンゾイルなどのアシル基、t−ブチルメチルシ
リル,トリメチルシリル,t−ブチルジフェニルシリル
などのシリル基、ベンジル,4−ニトロフェニルメチル
などのアラルキル基、テトラヒドロピラニル,1−エト
キシエチルなどのアルキルオキシアルキル基等の容易に
脱離可能な基が挙げられる。
【0011】上記一般式(A)におけるR4 の具体例と
しては、メチル,エチル,プロピル,ブチル,ペンチル
などの基が挙げられる。
【0012】プロスタグランジンは生体内でプロスタグ
ランジン合成酵素によりアラキドン酸などの高級不飽和
脂肪酸が化学変換されて生じる極めて強い生理活性をも
つ化合物で下記のような構造を有している。
【0013】
【化5】
【0014】天然のプロスタグランジンでは、R1 はn
−C5 11−、Rは(CH2 6 COOH又はCH2
H=CH(CH2 3 COOHであり、R1 の置換基は
脂溶性を有することが生理活性の発現上重要であること
が知られている。
【0015】医薬品としての開発研究が進められる中で
さらにR1 としてアルキル基、シクロアルキル基又はア
ラルキル基であって炭素数4〜10のものが有効であ
り、例えばペンチル,イソペンチル,2,2−ジメチル
ペンチル,ヘキシル,2−ヘキシル,ヘプチル,2−エ
トキシ−1,1−ジメチルエチル,5−メトキシ−1−
メチルペンチルなどのアルキル基、シクロペンチル,3
−エチルシクロペンチル,4−プロピルシクロヘキシル
などのシクロアルキル基、フェニルオキシメチル,3−
トリフルオロメチルフェニルオキシメチル,2−クロロ
チオフェン−5−イルオキシメチル,フラン−2−イル
−2−エチルなどのアラルキル基などが特に強い生理活
性を示すことが明らかにされてきた。本発明の化合物は
これら有機基を含めた置換基を導入することのできる原
料として有用なものである。
【0016】本発明の上記一般式(A)で表わされるγ
−不飽和カルボン酸誘導体の合成法を以下合成経路Iに
従って説明する。下記において、Xはハロゲン原子、M
はアルカリ金属を表わす。
【0017】
【化6】
【0018】上記反応において、ハロゲン化合物(1)
にn−ブチルリチウム,t−ブチルリチウム,メチルリ
チウム,リチウムジイソプロピルアミドなどの強塩基を
作用させてアセチレン化合物(2)とし、さらにこれら
の強塩基によりアルカリ金属アセチリド(2′)とす
る。これに光学活性アルデヒド(3)を作用させると化
合物(4)が得られる。
【0019】上記アルカリ金属アセチリド(2′)は、
上記のようにアセチレン化合物(2)を一度単離して再
度強塩基と反応させて調製してもよいが、より簡便には
ハロゲン化合物(1)を2倍量以上の強塩基と反応させ
て得られるアルカリ金属アセチリドをそのまま用いるこ
とができる。このアルカリ金属アセチリドと光学活性ア
ルデヒド(3)との反応は−78〜0℃の低温で行うこ
とが望ましい。化合物(4)を得る反応はテトラヒドロ
フラン,ジイソプロピルエーテル,トルエンなどの不活
性溶媒中−78℃〜室温の温度範囲で行うことができ
る。この反応によって得られる化合物(4)は下記化学
式で示されるようにエリトロ体(6−1)とトレオ体
(6−2)の混合物である。
【0020】
【化7】
【0021】この混合物からエリトロ体(6−1)又は
トレオ体(6−2)を選択的に得るにはカラム分離など
によって分割することができるが、後述するような化学
的方法によって簡便に、しかもより選択的にそれぞれの
光学異性体を製造することができる。この化合物(4)
に酸化剤、例えばCrO3 −ピリジン,ジメチルスルホ
キシド(DMSO)−酸ハライドなどを用いて酸化する
ことにより化合物(5)のエチニルケトン誘導体を得る
ことができる。
【0022】この化合物(5)より光学活性エチニルア
ルコール誘導体(6)を合成する反応は、得ようとする
エチニルアルコール誘導体(6)が前記化学式で示した
エリトロ体(6−1)であるか、またはトレオ体(6−
2)であるかによって反応条件が異なる。即ち、エリト
ロ体(6−1)を目的とする場合は化合物(5)を水素
化ホウ素亜鉛錯体(Zn(BH4 2 )で、またトレオ
体(6−2)を目的とする場合はアルカリ金属セレクト
リド、例えばカリウムセレクトリドで還元することによ
り良好な選択性をもって目的とする立体配置のエチニル
アルコール誘導体(6)を得ることができる。
【0023】上記エチニルアルコール誘導体(6)は、
続いて水素化リチウムアルミニウム等で三重結合をトラ
ンス二重結合へ還元してアリルアルコール誘導体(B)
へ導かれる。この反応はテトラヒドロフラン,ジオキサ
ン等の不活性溶媒中40〜80℃の温度で行うことがで
きる。
【0024】アリルアルコール誘導体(B)は、下記一
般式(D) CH3 C(OR4 3 (D) (上記一般式(D)において、R4 は炭素数1〜5の低
級アルキル基を表わす)で表わされるオルト酢酸トリア
ルキルと共に酸触媒の存在下で加熱反応させ、ジョンソ
ン−クライゼン転位反応を行うことにより本発明の目的
物であるγ−不飽和カルボン酸誘導体(A)を得ること
ができる。上記一般式(D)のオルト酢酸トリアルキル
としてはオルト酢酸トリメチル,オルト酢酸トリエチ
ル,オルト酢酸トリプロピル,オルト酢酸トリブチル,
オルト酢酸トリヘプチル等が挙げられ、これをアリルア
ルコール誘導体(B)に対して2〜10倍当量用い、ト
ルエン,キシレン,メシチレン等の溶媒中130〜18
0℃の温度で反応が行われる。酸触媒としてはルイス
酸、ルイス酸錯体(例えばBF3 ・(C2 5 2 O)
やヘプタン酸などの有機酸が用いられる。
【0025】上記反応における出発物質であるハロゲン
化合物(1)は、D−マンニトールや光学活性グリシド
ールから公知の方法で得られる光学活性2,3−O−イ
ソプロピリデングリセルアルデヒドをトリフェニルホス
フィン及びテトラハロメタンと反応させることにより容
易に合成できる。
【0026】また、上記光学活性アルデヒド(3)は、
下記合成経路IIに従って合成することができる。下記に
おいて、R1 ,R2 及び*の符号は一般式(A)の
1 ,R 2 及び*の符号と同様の意味を表わし、X,Y
は、それぞれ独立して水酸基,アシル基,スルホキシ基
及びハロゲン原子から選ばれた基又は原子を表わす。
【0027】
【化8】
【0028】上記光学活性マンニトールをアセトンと酸
触媒の存在下で反応させてトリアセトニド(a)とし、
これを含水酢酸で部分加水分解してテトラオール(b)
とし、これの一級水酸基及び二級水酸基を各々別個にト
リフェニルホスフィン−CCl4 ,酸ハライド−ピリジ
ン,ピリジン−メタンスルホニルクロリドなどで選択的
にアシル基,スルホキシ基又はハロゲン原子で一部又は
全部を変換してアセトニド(c)とする。次いでこのア
セトニド(c)を塩基でジエポキシド(d)とした後、
3 MgBr,R3 MgBr−Cu2 (CN)2 ,R3
Li(但し、R 3 はR1 より炭素数が1個少ない基を表
わす)や水素化リチウムアルミニウムなどでR1 基を導
入し、さらに水酸基をR2 X′(X′はハロゲン原子又
はスルホキシ基)と反応させてアセトニド(e)とし、
これを加水分解してジオール(f)とした後、Pb(O
Ac)4 やNaIO4 などで酸化して目的の光学活性ア
ルデヒド(3)を得ることができる。
【0029】上記得られた本発明の目的物である一般式
(A)で表わされる光学活性γ−不飽和カルボン酸誘導
体は、下記合成式で示すようにプロスタグランジン合成
における鍵中間体である化合物(P)のγ−ラクトン誘
導体に変換することができる。
【0030】
【化9】
【0031】上記反応において、γ−不飽和カルボン酸
誘導体(A)は、このもののアセトニドを酸触媒で開環
させ、分子内ラクトン化させると光学活性γ−ラクトン
誘導体(P)が得られる。この反応におけるアセトニド
の加水分解は含水有機酸、メタノール,エタノール等の
アルコール、アセトン又はジオキサンなどの溶媒中鉱酸
やBF3 ・エーテル錯体,CuSO4 ,ZnSO4 等の
ルイス酸又はルイス酸錯体を用いて室温〜80℃の温度
で行うことができる。
【0032】このようにして得られた一般式(P)の化
合物は、前記G.Storkらのプロスタグランジン合
成法に従ってプロスタグランジン(前記PGE、PG
F)に導くことができる。従って本発明における一般式
(A)の光学活性化合物は、上記原料としては一般式
(A)中の1′位,3位及び6位の立体配置はいづれも
Sであることが必要とされる。
【0033】
【実施例】以下実施例によって本発明を説明する。
【0034】化合物(a)の合成 45gのD−マンニトールをアセトン1L及び濃塩酸1
ml中で室温下3日間激しく攪拌した後、炭酸カリウム
50gを加え、さらに1日攪拌した。固形物を吸引濾過
して除き、濾液中の溶媒を減圧下に留去し、得られた残
渣に水を加え、析出した結晶を吸引濾取して粗生成物4
5gを得た。これをエタノール20mlに加熱溶解した
後濾過し、濾液を室温に冷却して析出した結晶を濾取
し、下記化学式で示される光学活性(2R,3R,4
R,5R)体のトリアセトニド(a)37.3g(収率
50%)を得た。
【0035】
【化10】
【0036】1HNMR(CCl4 ) δ:1.40 (6H,s,CH3 ×2) 1.43 (12H,s,CH3 ×4) 3.7 〜4.4 (8H,m,CH2 ,CH)
【0037】化合物(b)の合成 上記得られたトリアセトニド(a)15g(0.05m
ol)を70%酢酸50ml中40℃で3.5時間攪拌
した後、40℃で出来丈速やかに減圧濃縮し、残渣にア
セトンを加え結晶化したD−マンニトール(0.72
g)を濾別し、濾液よりアセトンを減圧留去してシロッ
プ状の生成物を得た。これをベンゼン50mlで再結晶
して下記化学式で示される光学活性(2R,3R,4
R,5R)体のテトラオール(b)8.8g(収率80
%)を得た。
【0038】
【化11】
【0039】1HNMR(D2 O) δ:1.38 (6H,s,CH3 ×2) 3.3 〜4.2 (8H,m,CH2 ,CH)
【0040】化合物(c)及び(d)の合成 上記得られたテトラオール(b)15.3g(0.06
9mol)、無水ピリジン55ml(0.68mo
l)、CH2 Cl2 50mlの溶液中に、−70℃で塩
化ベンゾイル16ml(0.138mol)、無水CH
2 Cl2 5mlの混合液を15分間かけて滴下し、滴下
後更に−30℃で1時間、室温で10時間攪拌し、反応
の完結を薄層クロマトグラフで確認した後溶媒を減圧留
去した。この残渣にメタンスルホニルクロリド11.2
ml(0.144mol)を0℃で20分間かけて加
え、更にこの懸濁液を室温で3日間攪拌した。反応の完
結を薄層クロマトグラフで確認した後、反応混合物にエ
チルエーテル:ヘキサン=7:3(容量)の混合溶媒1
00mlを加え、この黄色の懸濁液をセライト−545
で濾過し、溶媒を減圧留去した。得られた褐色の残渣を
CH2 Cl2 で希釈し、濃塩酸を加えて酸性にした後C
2 Cl2 で3回抽出した。抽出物を飽和重曹水、飽和
食塩水で順次洗浄した後無水硫酸マグネシウムで乾燥
し、溶媒を減圧留去して下記化学式で示される光学活性
(2R,3R,4R,5R)体の褐色半固体物アセトニ
ド(c)42gを得た。
【0041】
【化12】
【0042】(但し、Msはメチルスルホキシ基、ph
はフェニル基を表わす)
【0043】上記アセトニド(c)42g、K2 CO3
20gをメタノール130ml中で15時間攪拌した
後、反応液をセライト−545を通して濾過し、濾液を
40℃で減圧濃縮し、エチルエーテル:ヘキサン=7:
3(容量)の混合溶媒30mlを加えて再度セライト−
545で濾過し、溶媒を40℃で減圧留去し、さらに減
圧蒸留により粗生成物を得た。これをさらにベンゼンで
再結晶して純粋な下記化学式で示される光学活性(2
S,3R,4R,5S)体のジエポキシド(d)2.7
g(収率21%)を得た。
【0044】
【化13】
【0045】1HNMR(CDCl3 ) δ:1.39 (6H,s,CH3 ×2) 2.6 〜2.9 (4H,m,CH2 ×2) 2.95〜3.12 (2H,m,CH) 3.7 〜3.95 (2H,m,CH)
【0046】化合物(e)及び(f)の合成 Cu2 (CN)2 320mg、無水テトラヒドロフラン
100mlの混合物に、別途調製した濃度1.47mo
lのn−ブチルマグネシウムブロミドのエーテル溶液6
4ml(94m mol)を0℃で5分間かけて加え
た。さらに5分間攪拌した後、上記得られたジエポキシ
ド(d)6.48gの無水テトラヒドロフラン50ml
溶液を0℃で攪拌下10分間かけて滴下し、さらに1時
間攪拌した。反応の完結を薄層クロマトグラフで確認し
た後、NH4 Clと飽和食塩水で分解し、30分間攪拌
後、エチルエーテルで3回抽出し、エーテル層を1規定
塩酸、飽和重曹水、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸
マグネシウムで乾燥して濾過し、濾液の溶媒を留去して
下記化学式で示される光学活性(6S,7R,8R,9
S)体の粗ジオール(e−1)を得た。
【0047】
【化14】
【0048】上記得られた粗ジオール(e−1)を無水
テトラヒドロフラン30mlに溶かし、これに水素化ナ
トリウム0.48g(1.07m mol)の無水テト
ラヒドロフラン100mlを還流下15分間かけて滴下
し、さらに1時間攪拌還流した後0℃に冷却した。この
懸濁液にDC−18−クラウンエーテル−6 132m
gと臭化ベンジル9.3ml(78m mol)を0℃
で加えて4時間攪拌還流した。反応液を減圧濃縮し、1
規定塩酸で分解した後ヘキサンで3回抽出し、抽出液を
飽和重曹水、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウ
ムで乾燥した後溶媒を減圧留去して下記化学式で示され
る光学活性(6S,7R,8R,9S)体のアセトニド
(e−2)を得た。
【0049】
【化15】
【0050】(但し、Bnはベンジル基を表わす)
【0051】上記アセトニド(e−2)を80%酢酸1
00ml中100℃で10時間加熱攪拌した後、溶媒を
減圧留去し、次いでエチルエーテルで抽出し、抽出液を
苛性ソーダ水溶液で洗浄し、水層はさらにエチルエーテ
ルで抽出し、これらエーテル層を併せて1規定塩酸、飽
和重曹水、食塩水で順次洗浄して無水硫酸マグネシウム
で乾燥した。溶媒を留去後シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィーで精製し(エチルエーテル:ヘキサン=1:4
(容量)で溶出)、下記化学式で示される光学活性(6
S,7R,8R,9S)体のジオール(f)8.66g
(化合物(d)よりの収率55%)を得た。
【0052】
【化16】
【0053】(但し、Bnはベンジル基を表わす)1 HNMR(CDCl3 ) δ:0.88 (6H,br,CH3 ×2) 1.0 〜1.8 (16H,m,CH2 ×8) 3.4 〜3.7 (4H,m,CH) 4.46 (2H,d,J=10.8Hz,
CH) 4.62 (2H,d,J=10.8Hz,
CH) 7.30 (10H,s,C6 5
【0054】化合物(3)の合成 上記得られたジオール(f)200mg、K2 CO3
0mg及び無水ベンゼン4.5ml中に四酢酸鉛260
mgを4℃で加えて3分間攪拌した。反応終了後ヘキサ
ン100mlを加え、セライト−545を用いて濾過
し、濾液を飽和重曹水で洗浄し、水層をヘキサンで2回
抽出し、ヘキサン層を併せて飽和食塩水で洗浄した後無
水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を留去後、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(エチルエーテル:ヘキ
サン=1:2(容量))で精製して(S)−2−ベンジ
ルオキシヘプタナール(3)160mg(収率80%)
を得た。
【0055】
【化17】
【0056】(但し、Bnはベンジル基を表わす)1 HNMR(CDCl3 ) δ:0.87 (3H,t,J=5.8H
z,CH3 ) 1.0 〜1.8 (8H,m,CH2 ) 3.73 (1H,dt,J=2.2Hz,
6.2Hz,CH) 4.51 (1H,d,J=11.6Hz,
CH) 4.65 (1H,d,J=11.6Hz,C
H) 7.34 (5H,s,C6 5 ) 9.64 (1H,d,J=2.2Hz)
【0057】化合物(4)の合成 下記化学式(1)
【0058】
【化18】
【0059】で表わされる(S)−ジブロマイド4.8
g(16.8m mol)の無水テトラヒドロフラン1
00mlを−78℃に冷却し、窒素雰囲気下で濃度1.
62molのブチルリチウム−ヘキサン溶液16.4m
l(26.6m mol)を10分間かけて滴下し、−
78℃でさらに1時間、室温で1時間攪拌して光学活性
リチウムアセチリド(2′)に変換し、これを−78℃
に冷却して上記得られた(S)−2−ベンジルオキシヘ
プタナール(3)2.41g(4.4m mol)の無
水テトラヒドロフラン20mlを滴下し、30分間更に
攪拌した後、塩化アンモニウム水溶液で分解し、エチル
エーテルで3回抽出して飽和食塩水で洗浄した後無水硫
酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(エチルエーテル:ヘキ
サン=1:3(容量))で精製して下記化学式(4)で
表わされる(2S,6S)体の化合物3.81gを得た
(収率64%)。このものはエリトロ体:トレオ体=6
4:36(重量)の混合物であった。
【0060】
【化19】
【0061】(但し、Bnはベンジル基を表わす)
【0062】化合物(5)の合成 無水ジメチルスルホキシド680mg(8.7m mo
l)の無水塩化メチレン15ml溶液にオキザリルジク
ロリド0.38ml(4.4m mol)を−70℃で
5分間かけて滴下し、さらに10分間同温度で攪拌し
た。これに上記得られたエリトロ体:トレオ体=64:
36の化合物(4)1.00g(2.9mmol)の無
水塩化メチレン4mlを滴下し9分間−70℃で攪拌し
た。これに無水トリエチルアミン2.0ml(14m
mol)を滴下して徐々に室温に戻した後ヘキサンを加
え、セライト−545を通して濾過し、濾液を1規定塩
酸で洗浄した。水層を塩化メチレンで3回抽出し、抽出
物を飽和食塩水で洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥し
た。溶媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(エチルエーテル:ヘキサン=1:10(容
量))で精製し、下記化学式で示される(2S,6S)
体のエチニルケトン誘導体(5)550mgを得た(収
率55%)。
【0063】
【化20】
【0064】(但し、Bnはベンジル基を表わす)1 HNMR(CDCl3 ) δ:0.86 (3H,br t,J=7.
2Hz,CH3 ) 1.0 〜1.9 (8H,m,CH2 ) 1.38 (3H,s,CH3 ) 1.47 (3H,s,CH3 ) 4.02 (1H,dd,J=5.6Hz,
8.24Hz,CH) 4.18 (1H,dd,J=6.4Hz,
8.24Hz,CH) 4.42 (1H,d,J=11.5Hz,
CH) 4.70 (1H,d,J=11.5Hz,
CH) 4.86 (1H,dd,J=5.6Hz,
6.4Hz,CH) 7.31 (5H,s,C6 5 ) IR νmax (neat) 695, 735, 835,1060,1220,1
320,1370,1380,1450,1675,2
200,2860,2920,3020cm-1
【0065】化合物(6)の合成 上記得られた(2S,6S)体のエチニルケトン誘導体
(5)550mg(1.6m mol)の無水エーテル
16ml中へ−30℃で濃度0.26molの水素化ホ
ウ素亜鉛−エチルエーテル溶液9.6ml(2.5m
mol)を窒素雰囲気下5分間かけて滴下し、さらに3
0分間攪拌した。反応終了後、水及び0.5規定塩酸2
0mlを加え、0℃で30分間攪拌した。水層をエチル
エーテルで3回抽出し、抽出液を飽和重曹水及び飽和食
塩水で順次洗浄し無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶
媒を減圧留去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(エチルエーテル:ヘキサン=1:3(容量))で精製
して下記化学式で示される(2S,5R,6S)体のエ
チニルアルコール誘導体(6)(エリトロ体:トレオ体
=90:10(重量))349mgを得た(収率63
%)。
【0066】
【化21】
【0067】(但し、Bnはベンジル基を表わす)1 HNMR(CDCl3 ) δ:0.87 (3H,br t,J=7.
2Hz,CH3 ) 1.0 〜1.8 (8H,m,CH2 ) 1.36 (3H,s,CH3 ) 1.45 (3H,s,CH3 ) 3.49 (1H,dt,J=3.8Hz,
6.4Hz,CH) 3.88 (1H,dd,J=6.4Hz,
7.7Hz,CH) 4.12 (1H,dd,J=6.4Hz,
7.7Hz,CH) 4.4 〜4.7 (1H,m,J=1.5Hz,
3.8Hz,CH) 4.59 (2H,s,CH2 ) 4.69 (1H ddd,J=1.5H
z,6.4Hz,6.4Hz,CH) 7.30 (5H,s,C6 5 13 CNMR(CDCl3 ) δ: 13.98, 22.54, 25.27, 2
5.96,26.22, 30.06, 31.85,
64.16,65.57, 69.94, 72.4
9, 81.50,83.70, 84.00,10
0.31,127.83,128.40,138.21
【0068】化合物(B)の合成 上記得られた(2S,5R,6S)体のエチニルアルコ
ール誘導体(6)105mg(0.30m mol)の
無水テトラヒドロフラン2ml溶液を水素化リチウムア
ルミニウム24.1mg(0.63m mol)の無水
テトラヒドロフラン5ml中に0℃で加え、18分間攪
拌還流した。反応終了後、酢酸エチル、エタノール、
水、0.1規定塩酸を順次加えて分解し、水層をエチル
エーテルで2回抽出した。抽出液を飽和食塩水で洗浄
し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を減圧留去
し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(エチルエー
テル:ヘキサン=1:3(容量))で精製して下記化学
式で示される(2S,5R,6S)体のアリルアルコー
ル誘導体(B)80.1mgを得た(収率76%)。
【0069】
【化22】
【0070】(但し、Bnはベンジル基を表わす)1 HNMR(CDCl3 ) δ:0.86 (3H,t,J=5.4H
z,CH3 ) 1.38 (3H,s,CH3 ) 1.40 (3H,s,CH3 ) 1.04〜1.8 (8H,m,CH2 ) 3.2 〜3.5 (1H,m,CH) 3.52 (1H,dd,J=7.7Hz,
7.7Hz,CH) 4.08 (1H,dd,J=6.4Hz,
8.0Hz,CH)13 CNMR(CDCl3 ) δ: 14.02, 22.61, 25.46, 2
5.92,26.72, 29.42, 31.93,
69.44,72.22, 72.56, 82.1
8,127.72,127.79,128.40,12
9.89,132.47,140.60
【0071】化合物(A)の合成 上記得られた(2S,5R,6S)体のアリルアルコー
ル誘導体(B)80.1mg(0.23m mol)、
トリエチルオルトアセテート0.15ml(0.82m
mol)及び触媒量のヘプタノイックアシッドをキシ
レン3ml中160℃で20分間加熱反応させ、キシレ
ンと生成したエタノールを減圧留去し、反応終了後飽和
重曹水で分解した。水層をエチルエーテルで2回抽出
し、抽出物を飽和食塩水で洗浄した後無水硫酸マグネシ
ウムで乾燥した。溶媒を減圧留去後、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(エチルエーテル:ヘキサン=1:
10(容量))で精製して下記化学式で示される(1′
S,3S,6S)体のγ−不飽和カルボン酸エチル
(A)65.6mgを得た(収率68%)。
【0072】
【化23】
【0073】(但し、Bnはベンジル基を表わす)1 HNMR(CDCl3 ) δ:0.86 (3H,br t,J=7.
2Hz,CH3 ) 1.0 〜1.8 (8H,m,CH2 ) 1.33 (3H,s,CH3 ) 1.41 (3H,s,CH3 ) 2.40 (1H,dd,J=9.0Hz,
14.7Hz,CH) 2.50 (1H,dd,J=5.1Hz,
14.7Hz,CH) 2.6 〜3.0 (1H,m,CH) 3.5 〜3.8 (2H,m,CH2 ) 3.9 〜4.3 (2H,m,CH×2) 4.09 (2H,q,J=7.2Hz,C
2 O) 4.31 (1H,d,J=11.7Hz,
CH2 6 5 ) 4.55 (1H,d,J=11.7Hz,
CH2 6 5 ) 5.2 〜5.7 (2H,m,=CH−) 7.27 (5H,s,C6 5 13 CNMR(CDCl3 ) δ: 14.00, 14.25, 22.59, 2
5.03,26.30, 31.77, 35.72,
36.50,41.77, 60.32, 66.8
1, 69.79,77.30, 79.74,10
9.08,127.28,127.72,128.2
0,130.84,134.45,139.00,17
1.79
【0074】上記得られた本発明の目的化合物であるγ
−不飽和カルボン酸誘導体を用いて、以下の例に従って
プロスタグランジン合成のための鍵中間体である前記一
般式(P)で表わされる光学活性γ−ラクトン誘導体を
合成した。
【0075】化合物(P)の合成 上記得られた(1′S,3S,6S)体のγ−不飽和カ
ルボン酸エチル(A)65mg(0.16m mo
l)、メタノール5ml、水1.25ml及びCuSO
4 ・5H2 O186mg(0.75m mol)を13
時間攪拌還流した。反応終了後、エチルエーテルを加え
てセライト−545により濾過し、濾液を飽和食塩水で
洗浄した後無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減
圧留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸
エチル:ヘキサン=1:5(容量))で精製して下記化
学式で示される(3S,3′S,4S)体のγ−ラクト
ン誘導体(P)35.5mgを得た(収率69%)。
【0076】
【化24】
【0077】(但し、Bnはベンジル基を表わす)1 HNMR(CDCl3 ) δ:0.86 (3H,br t,J=7.
2Hz,CH3 ) 1.0 〜1.8 (8H,m,CH2 ) 3.72〜3.9 (5H,m,CH2 ,CH) 4.4 〜4.7 (1H,m,CH) 4.36 (1H,d,J=11.7Hz,
CH2 ) 4.51 (1H,d,J=11.7Hz,
CH2 ) 5.55 (1H,dd,J=6.7Hz,
15.4Hz,=CH) 5.68 (1H,dd,J=7.7Hz,
15.4Hz,=CH) 7.29 (5H,s,C6 5 13 CNMR(CDCl3 ) δ: 14.00, 22.57, 24.98, 3
1.69,34.94, 41.02, 62.27,
70.42,79.50, 82.60,127.5
2,127.62,128.23,135.62,13
8.63,176.48
【0078】
【発明の効果】本発明の光学活性化合物は、プロスタグ
ランジンを合成する際の鍵中間体となる光学活性γ−ラ
クトン誘導体製造のための原料として重要な化合物であ
り、この化合物を用いることにより比較的簡便に、効率
よく鍵中間体が製造できる。

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(A) 【化1】 (上記一般式(A)において、R1 はアルコキシ基を有
    していてもよいアルキル基、シクロアルキル基及び芳香
    環もしくはアルキル基にヘテロ原子を有するアラルキル
    基から選ばれた炭素数1〜12の基、R2 は水素原子又
    はアシル基、シリル基、アラルキル基及びアルキルオキ
    シアルキル基から選ばれた容易に脱離可能な保護基、R
    4 は炭素数1〜5の低級アルキル基を表わし、*の符号
    は不斉炭素原子を表わす)で表わされる光学活性化合物
    を製造するにあたり、下記一般式(B) 【化2】 (上記一般式(B)において、R1 ,R2 及び*の符号
    は一般式(A)のR1 ,R2 及び*の符号と同じ意味を
    表わす)で表わされる光学活性化合物を、下記一般式
    (D) CH3 C(OR4 3 (D) (上記一般式(D)において、R4 は炭素数1〜5の低
    級アルキル基を表わす)で表わされるオルト酢酸トリア
    ルキルと酸触媒の存在下で加熱反応させることを特徴と
    する光学活性化合物の製法。
  2. 【請求項2】 一般式(A)のR1 が炭素数4〜10の
    アルキル基である請求項1記載の製法。
  3. 【請求項3】 アルキル基がペンチル基である請求項2
    記載の製法。
  4. 【請求項4】 一般式(A)のR2 がアラルキル基であ
    る請求項1〜3いずれかに記載の製法。
  5. 【請求項5】 アラルキル基がベンジル基である請求項
    4記載の製法。
  6. 【請求項6】 一般式(A)の化合物が光学活性(1′
    S,3S,6S)体である請求項1〜5いずれかに記載
    の製法。
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