JP2860506B2 - ハロゲノアリルアルコール誘導体 - Google Patents

ハロゲノアリルアルコール誘導体

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JP2860506B2
JP2860506B2 JP3093143A JP9314391A JP2860506B2 JP 2860506 B2 JP2860506 B2 JP 2860506B2 JP 3093143 A JP3093143 A JP 3093143A JP 9314391 A JP9314391 A JP 9314391A JP 2860506 B2 JP2860506 B2 JP 2860506B2
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    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
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  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はハロゲノアリルアルコー
ル誘導体に関する。本発明のハロゲノアリルアルコール
誘導体は、慢性腎不全、副甲状腺機能低下症、骨軟化
症、骨粗鬆症などのカルシウム代謝の欠陥症の治療に有
効とされている1α−ヒドロキシビタミンD3 、1α,
25−ジヒドロキシビタミンD3 、1α−ヒドロキシビ
タミンD2 、24−エピ−1α,25−ジヒドロキシビ
タミンD2 、2β−ヒドロキシプロポキシ−1α,25
−ジヒドロキシビタミンD3 などの1α−ヒドロキシビ
タミンD誘導体、および乾癬等の皮膚疾患や骨髄性白血
病などの細胞分化機能に異常をきたした疾患の治療に効
果が期待されている1α,24−ジヒドロキシビタミン
3 、22−オキサ−1α,25−ジヒドロキシビタミ
ンD3 、22−デヒドロ−26,27−シクロ−1α,
24−ジヒドロキシビタミンD3 などの1α−ヒドロキ
シビタミンD誘導体の合成中間体として有用である。
【0002】
【従来の技術】近年、ビタミンD研究の進展に伴い、上
記の1α−ヒドロキシビタミンD誘導体を始め、数多く
の1α−ヒドロキシビタミンD誘導体が医薬品として開
発されてきているが、これらの製造だけでなく医薬品と
して開発する上で必須となる代謝物や分解物あるいは標
識化合物を合成するためにはコンバージェントな合成法
が有用である。
【0003】1α−ヒドロキシビタミンD誘導体のA環
部分を合成し、CD環と結合させるコンバージェントな
1α−ヒドロキシビタミンD誘導体の合成法としては、
例えば、(S)−(+)−カルボンを原料とする方法
(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミストリー(Jo
urnal of Organic Chemistry) 第51巻3098頁(1
986年)参照)、(R)−(−)−カルボンを原料と
する方法(ジャーナル・オブ・オーガニック・ケミスト
リー(Journal of Organic Chemistry) 第54巻351
5頁(1989年)参照)、シクロヘキセンジカルボン
酸エステルを用いる方法(テトラヘドロン レターズ
( Tetrahedron Letters) 第31巻1577頁(199
0年)参照)などが知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
のA環部シントンの合成方法は出発原料が高価であった
り、鍵中間体までの反応工程が長いなどの欠点を有して
おり、工業的に実施する上で必ずしも満足できるもので
はない。
【0005】しかして、本発明の目的は、入手容易で安
価な原料を出発原料として用い、比較的短工程で1α−
ヒドロキシビタミンD誘導体の合成に有用なA環部シン
トンに誘導できる新規な合成中間体を提供するにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、上記の
目的は、式(1)
【化2】 (式中、R1 は−CO2 3 基、−CHO基または−C
H=CHCO2 4 基を表し、R2は水素原子または水
酸基の保護基を表し、YおよびZは一方が水素原子を表
し、他方が水酸基または保護された水酸基を表すか、ま
たはYとZが一緒になって酸素原子を表し、Xはハロゲ
ン原子を表し、R3 およびR4 はそれぞれ低級アルキル
基を表す。)で示されるハロゲノアリルアルコール誘導
体(I)を提供することにより達成される。
【0007】R2 、YおよびZがそれぞれ表す水酸基の
保護基としては、水酸基の保護を果たす置換基であれば
どのようなものであってもよいが、例えば、トリメチル
シリル基、トリエチルシリル基、トリイソプロピルシリ
ル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ブチルジ
フェニルシリル基などの三置換シリル基;メトキシメチ
ル基、メトキシエトキシメチル基、1−(エトキシ)エ
チル基、メトキシイソプロピル基などの1−(アルコキ
シ)アルキル基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒド
ロピラニル基などの2−オキサシクロアルキル基などを
挙げることができる。
【0008】R3 およびR4 がそれぞれ表す低級アルキ
ル基としては、直鎖状、分枝状のいずれでもよく、例え
ばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、
ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル
基、ヘキシル基などを挙げることができる。
【0009】Xが表すハロゲン原子としては、フッ素原
子、塩素原子、臭素原子または沃素原子を挙げることが
でき、なかでも臭素原子またはヨウ素原子が好ましい。
【0010】本発明のハロゲノアリルアリコール誘導体
(I)は、例えば以下の方法により製造することができ
る。すなわち、常法に従い、アセト酢酸エステルのジア
ニオンを調製したのち、2−ハロゲノアクロレインをジ
エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタ
ンなどの不活性溶媒中で−100〜0℃の範囲の温度で
反応させ、必要に応じ水酸基を保護することにより、式
(I−1)
【化3】 (式中、R2 、XおよびR3 は前記定義の通りであ
る。)で示されるハロゲノアリルアリコール誘導体(以
下、ハロゲノアリルアルコール誘導体(I−1)とい
う。)を得ることができる。
【0011】ハロゲノアリルアリコール誘導体(I−
1)を還元剤で処理し、必要に応じ水酸基を保護するこ
とにより、式(I−2)
【化4】 (式中、R2 、XおよびR3 は前記定義の通りであり、
YおよびZは水酸基または保護された水酸基を表す。)
で示されるハロゲノアリルアルコール誘導体(以下、ハ
ロゲノアリルアルコール誘導体(I−2)という。)を
得ることができる。還元剤としては、エステル部分を還
元せずケトン部分を立体選択的に還元できるものであれ
ば何でもよいが、1,3−アンチ−ジオールを得るため
には、水素化トリアセトキシホウ素テトラメチルアンモ
ニウムが特に好ましく、また1,3−シン−ジオールを
得るためには、トリエチルボラン−水素化ホウ素ナトリ
ウムの組合わせが好ましい。これらの還元剤の使用量
は、ハロゲノアリルアルコール誘導体(I−1)に対し
て約1.0〜2.0当量であり、反応温度は−80〜2
0℃の範囲の温度で行う。
【0012】次いで、ハロゲノアリルアルコール誘導体
(I−2)のエステル部分を還元して直接アルデヒドに
するか、アルコールに還元したのち、アルデヒドに酸化
することにより、(式I−3)
【化5】 (式中、R2 、Y、ZおよびXは前記定義の通りであ
る。)で示されるハロゲノアリルアルコール誘導体(以
下、ハロゲノアリルアルコール誘導体(I−3)とい
う。)を得ることができる。還元剤としては、直接アル
デヒドに還元する場合は、水素化ジイソブチルアルミニ
ウムが特に好ましく、ハロゲノアリルアルコール誘導体
(I−2)に対し約1.0〜1.5モル当量の水素化ジ
イソブチルアルミニウムを使用し、−100〜0℃の範
囲の温度で反応させることにより製造することができ
る。
【0013】またアルコールに還元する場合は、還元剤
としては水素化リチウムアルミニウム、水素化ホウ素リ
チウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ビス(メトキ
シエトキシ)アルミニウムナトリウム、水素化ジイソブ
チルアルミニウムなどが好ましく用いられる。これらの
還元剤の使用量としては、ハロゲノアリルアルコール誘
導体(I−2)に対し約2.0〜10当量であり、−8
0〜30℃の範囲の温度で反応させることにより製造す
ることができる。
【0014】得られるアルコールのアルデヒドへの酸化
方法としては、ジメチルスルホキシド−塩化オキザリル
−トリエチルアミン、ピリジニウムクロロクロメート、
塩化ルテニウム−N−メチルモルホリンオキシドなど通
常アルデヒドへの酸化方法として知られている各種の公
知の方法を適用することができる。
【0015】さらに、ハロゲノアリルアルコール誘導体
(I−3)をウイッティッヒ−ホーナー(Wittig−Horn
er) 反応により、オレフィンを形成させることにより、
式(I−4)
【化6】 (式中、R2 、Y、Z、XおよびR4 は前記定義の通り
である。)で示されるハロゲノアリルアルコール誘導体
(以下、ハロゲノアリルアリコール誘導体(I−4)と
いう。)を得ることができる。
【0016】ウイッティッヒ−ホーナー(Wittig−Horn
er)反応において、アルコキシカルボニルメチルホスホ
ン酸ジアルキルと水素化ナトリウム、リチウムジイソプ
ロピルアミドなどの塩基より調製した試薬を用いた場合
には、生成する二重結合はトランス配位となり、また1
8−クラウン−6などのクラウンエーテルの存在下、ア
ルコキシカルボニルメチルホスホン酸ジトリフルオロエ
チルとカリウムヘキサメチルジシラジトなどの塩基より
調製した試薬を用いれば、シス配位の二重結合を生成さ
せることができる。
【0017】このようにして得られたハロゲノアリルア
ルコール誘導体(I)の反応混合物からの単離・精製
は、通常の有機化合物の単離・精製において用いられて
いる方法と同様にして行われる。例えば、反応混合物を
氷水にあけ、ジエチルエーテルなどの有機溶媒で抽出
し、冷希塩酸、重曹水、食塩水で順次洗浄し、乾燥後、
濃縮して粗生成物を得、必要に応じて再結晶、クロマト
グラフィーなどにより精製することにより、ハロゲノア
リルアルコール誘導体(I)を得ることができる。
【0018】本発明のハロゲノアリルアルコール誘導体
(I−1)、(I−2)及び(I−3)は、ハロゲノア
リルアルコール誘導体(I−4)の合成中間体であり、
ハロゲノアリルアルコール誘導体(I−4)はパラジウ
ム触媒を用いて環化することにより、1α−ヒドロキシ
ビタミンD誘導体の合成に有用なシクロヘキシリデン酢
酸誘導体へ変換することができる。
【0019】ここでパラジウム触媒としては、例えば、
テトラヘドロン(Tetrahedron ) 第42巻、16号、4
361−4401頁(1986年)、アカウンツ・オブ
・ケミカル・リサーチ(Accounts of Chemical Researc
h ) 第13巻、11号、385〜393頁、辻二郎著
「オーガニック・シンセシス・ウィズ・パラジウム・コ
ンパウンズ」(1980年、スプリンガー−フェルラー
ク発行)(“ OrganicSynthesis with Palladium Compo
unds ” J.Tuji, Springer-Verlag(1980))およ
びリチャード・エフ・ヘック著「パラジウム・リエイジ
ェンツ・イン・オーガニック・シンセシス」(1985
年、アカデミック・プレス発行)(“ Palladium Reag
ents in Organic Synthesis ” Richard F. Heck, Acad
emic Press(1985))に記載の種々のパラジウム錯
体を用いることができる。好ましくは、酢酸パラジウ
ム、塩化パラジウム、ビス(トリフェニルホスフィン)
パラジウム(II) アセテート、ビス(トリ−o−トリル
ホスフィン)パラジウム(II)アセテート、ビス(トリ
フェニルホスフィン)パラジウム(II) クロライド、ビ
ス(アセトニトリル)パラジウム(II) クロライド、テ
トラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリ
ス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム・クロロホ
ルムなど、およびこれらのパラジウム化合物とパラジウ
ムに対し1〜4モル当量のトリフェニルホスフィン、ト
リトリルホスフィン、1,2−ビス(ジフェニルホスフ
ィノ)エタン、1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)
プロパン、2,2' −ビス(ジフェニルホスフィノ)−
1,1' −ビナフチルなどの一座配位または二座配位の
ホスフィン、またはトリメチルホスファイト、トリエチ
ルホスファイトなどのホスファイトとの組合せを用いる
ことができ、これらのパラジウム触媒の使用量はハロゲ
ノアリルアルコール誘導体(I−4)に対し0.001
〜1当量、好ましくは約0.01〜0.2当量である。
【0020】環化の際の反応温度は使用する溶媒にもよ
るが、通常0〜120℃であり、好ましくは20〜80
℃である。また、反応時間は反応温度にもよるが通常5
分〜100時間であり、好ましくは1〜30時間であ
る。反応は有機溶媒中で行われ、溶媒としては、ヘキサ
ン、ベンゼンなどの炭化水素系溶媒、エチルエーテル、
テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶
媒、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、t
−ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒、アセトニ
トリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシ
ド、クロロホルムなどが用いられ、好ましくはアセトニ
トリルである。
【0021】
【実施例】以下に実施例および参考例により本発明を具
体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等により何
ら限定されるものではない。
【0022】実施例1
【化7】 アルゴン雰囲気下、ジイソプロピルアミン(2.9m
l,21mmol)のテトラヒドロフラン(THF)
(80ml)溶液に−78℃にてn−ブチルリチウム
(1.58M ヘキサン溶液 13ml 21mmo
l)を滴下したのち、0℃に昇温して10分間撹拌し
た。得られた溶液にアセト酢酸メチル(1.13ml,
10mmol)のTHF溶液(10ml)を0℃で滴下
し、さらに30分間撹拌した。この溶液を−78℃に冷
却したのち、α−ブロモアクロレイン(1.35g,1
0mmol)のTHF溶液(10ml)をゆっくり滴下
し、20分間撹拌した。得られた反応液に飽和塩化アン
モニウム水溶液を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた
抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥したのち、これより溶媒を留去した。得られた残渣
をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルC−300、
ヘキサン:酢酸エチル=3:2)で精製し、下記の物性
を有する6−ブロモ−5−ヒドロキシ−3−オキソ−6
−ヘプテン酸メチル(1.88g、収率75%)を得
た。1 H−NMRスペクトル(90MHz,CDCl3
δ: 5.95(brs,1H), 3.45(d,2H),
5.58(d,1H),2.95(m,2H),4.6
2(m,1H), 2.25(s,1H),3.7
1(s,3H)
【0023】実施例2
【化8】 アルゴン雰囲気下、水素化ホウ素テトラメチルアンモニ
ウム(212mg,2.4mmol)に酢酸(2ml)
を0℃で滴下したのち、室温で15分間撹拌した。再び
0℃に冷却してアセトニトリル(2ml)を加えて希釈
した溶液に、実施例1で得られた6−ブロモ−5−ヒド
ロキシ−3−オキソ−6−ヘプテン酸メチル(300m
g,1.2mmol)のアセトニトリル(3ml)溶液
を滴下した。得られた反応液を0℃で2時間撹拌したの
ち、水を加え、酢酸エチルで抽出し、得られた抽出液を
飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥した
のち、これより溶媒を留去した。得られた残渣をカラム
クロマトグラフィー(シリカゲルC−300、ヘキサ
ン:酢酸エチル=3:1)で精製し、下記の物性を有す
るrel−(3S,5S)−6−ブロモ−3,5−ジヒ
ドロキシ−6−ヘプテン酸メチル(225mg,収率7
5%)を得た。1 H−NMRスペクトル(90MHz,CDCl3
δ: 6.04(brs,1H), 3.72(s,3H),
5.60(brs,1H), 2.55(d like ,2
H),4.40(m,4H), 1.88(t lik
e ,2H)
【0024】実施例3
【化9】 実施例2で得られたrel−(3S,5S)−6−ブロ
モ−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸メチル(3
4mg,0.13mmol)とイミダゾール(100m
g,1.47mmol)の混合物をN,N−ジメチルホ
ルムアミド(0.3ml)中に溶解し、塩化t−ブチル
ジメチルシリル(45mg,0.3mmol)を加え、
室温で1時間撹拌した。得られた反応液に水を加えエー
テルで抽出し、得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、
無水硫酸マグネシウムで乾燥したのち、これより溶媒を
留去した。得られた残渣をカラムクロマトグラフィー
(シリカゲルC−300、ヘキサン:酢酸エチル=8:
1)で精製し、下記の物性を有するrel−(3S,5
S)−6−ブロモ−3,5−ジ−(t−ブチルジメチル
シリルオキシ)−6−ヘプテン酸メチル(65mg,収
率95%)を得た。1 H−NMRスペクトル(90MHz,CDCl3
δ: 5.82(brs,1H), 2.48(m,1H),
5.50(brs,1H), 1.12〜2.85
(m,3H),4.20(m,2H), 0.85
(s×2,18H),3.62(s,3H),
0.05(s×2,12H)
【0025】実施例4
【化10】 アルゴン雰囲気下、実施例3で得られたrel−(3
S,5S)−6−ブロモ−3,5−ジ−(t−ブチルジ
メチルシリルオキシ)−6−ヘプテン酸メチル(120
mg,0.23mmol)のトルエン(3ml)溶液に
水素化ジイソブチルアルミニウム(1M トルエン溶
液,0.3ml,0.3mmol)を−78℃にて滴下
し、30分間撹拌した。得られた反応液にイソプロパノ
ール(0.5ml)および水(0.5ml)を加え室温
まで昇温し、20分間撹拌した。得られた反応液にシリ
カゲル(200mg)、無水硫酸マグネシウムを加えさ
らに1時間撹拌し、濾過したのち、これより溶媒を留去
し、下記の物性を有するrel−(3S,5S)−6−
ブロモ−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキ
シ)−6−ヘプテナール(101mg,収率95%)を
得た。1 H−NMRスペクトル(90MHz,CDCl3
δ: 9.74(s,1H), 2.55(m,1
H),5.80(brs,1H), 1.10〜
2.00(m,3H),5.49(brs,1H),
0.88(s×2,18H),3.60〜4.30
(m,2H),0.05(s×2,12H)
【0026】実施例5
【化11】 アルゴン雰囲気下、18−クラウン−6(304mg,
1.15mmol)のTHF(2ml)溶液にメトキシ
カルボニルメチルホスホン酸ジ(2,2,2−トリフル
オロエチル)(63μl,0.3mmol)を−78℃
で加え10分間撹拌したのち、カリウムヘキサメチルジ
シラジド(0.5M トルエン溶液0.6ml,0.3
mmol)を滴下し、さらに10分間撹拌した。この溶
液に実施例4で得られたrel−(3S,5S)−6−
ブロモ−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキ
シ)−6−ヘプテナール(101mg,0.22mmo
l)のTHF(3ml)溶液を同温にて滴下し、30分
間撹拌した。得られた反応液に水を加えエーテルで抽出
し、得られた抽出液を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥したのち、これより溶媒を留去した。
得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル
C−300、ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製
し、下記の物性を有するrel−(5R,7S)−(2
Z)−8−ブロモ−5,7−ジ−(t−ブチルジメチル
シリルオキシ)−2,8−ノナジエン酸メチル(89m
g,収率80%)を得た。1 H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3
δ: 6.34(dt,1H), 3.05(m,1H),
5.85(d,1H),2.65(m,1H),5.8
1(s,1H), 1.75(m,1H),5.4
5(s,1H), 1.60(m,1H),4.1
5(t,1H),0.83(s×2,18H),3.8
0(t like ,1H),0.04(s×2,12H),
3.65(s,3H)
【0027】実施例6 実施例2で得られたrel−(3S,5S)−6−ブロ
モ−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸メチル
(0.253mg,1.0mmol)を塩化メチレン
(5ml)に溶解し、p−トルエンスルホン酸を触媒量
加え、次いで氷冷下にジヒドロピラン(0.5ml)を
加えて室温で2時間撹拌した。得られた反応液に重曹水
を加え、エチルエーテルで抽出した。得られた抽出液を
食塩水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥したのち、
これより溶媒を減圧下に留去した。得られた残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィーで精製することによ
り、rel−(3S,5S)−6−ブロモ−3,5−ジ
(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−6−ヘプテ
ン酸メチル(400mg,収率95%)を得た。 FD質量スペクトル 〔M〕+ 420,422
【0028】実施例7 実施例2で得られたrel−(3S,5S)−6−ブロ
モ−3,5−ジヒドロキシ−6−ヘプテン酸メチル
(0.253mg,1.0mmol)をエチルビニルエ
ーテル(2ml)に溶解し、氷冷下にピリジニウム p
−トルエンスルホナートを触媒量加えて室温で2時間撹
拌した。得られた反応液に重曹水を加え、エチルエーテ
ルで抽出した。得られた抽出液を食塩水で洗浄し、無水
硫酸ナトリウムで乾燥したのち、これより溶媒を減圧下
に留去することにより、rel−(3S,5S)−6−
ブロモ−3,5−ジ(1−エトキシエトキシ)−6−ヘ
プテン酸メチル(405mg,収率100%)を得た。 FD質量スペクトル 〔M〕+ 396,398
【0029】実施例8 実施例4において、rel−(3S,5S)−6−ブロ
モ−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)
−6−ヘプテン酸メチル(0.23mmol)の代わり
に実施例6により得られたrel−(3S,5S)−6
−ブロモ−3,5−ジ(テトラヒドロピラン−2−イル
オキシ)−6−ヘプテン酸メチルを0.23mmol用
いた以外は実施例4と同様に反応および分離精製するこ
とにより、rel−(3S,5S)−6−ブロモ−3,
5−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)−6−
ヘプテナール(71mg,収率79%)を得た。 FD質量スペクトル 〔M〕+ 390,392
【0030】実施例9 実施例4において、rel−(3S,5S)−6−ブロ
モ−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)
−6−ヘプテン酸メチル(0.23mmol)の代わり
に実施例7により得られたrel−(3S,5S)−6
−ブロモ−3,5−ジ(1−エトキシエトキシ)−6−
ヘプテン酸メチルを0.23mmol用いた以外は実施
例4と同様に反応および分離精製することにより、re
l−(3S,5S)−6−ブロモ−3,5−ジ(1−エ
トキシエトキシ)−6−ヘプテナール(68mg,収率
81%)を得た。 FD質量スペクトル 〔M〕+ 366,368
【0031】実施例10 実施例5において、rel−(3S,5S)−6−ブロ
モ−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)
−6−ヘプテナール(0.22mmol)の代わりに実
施例8により得られたrel−(3S,5S)−6−ブ
ロモ−3,5−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキ
シ)−6−ヘプテナールを0.22mmol用いた以外
は実施例5と同様に反応および分離精製することによ
り、rel−(5R,7S)−(2Z)−8−ブロモ−
5,7−ジ−(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)
−2,8−ノナジエン酸メチル(78mg,収率79
%)を得た。 FD質量スペクトル 〔M〕+ 446,448
【0032】実施例11 実施例5において、rel−(3S,5S)−6−ブロ
モ−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)
−6−ヘプテナール(0.22mmol)の代わりに実
施例9により得られたrel−(3S,5S)−6−ブ
ロモ−3,5−ジ(1−エトキシエトキシ)−6−ヘプ
テナールを0.22mmol用いた以外は実施例5と同
様に反応および分離精製することにより、rel−(5
R,7S)−(2Z)−8−ブロモ−5,7−ジ−(1
−エトキシエトキシ)−2,8−ノナジエン酸メチル
(66mg,収率71%)を得た。 FD質量スペクトル 〔M〕+ 422,424
【0033】実施例12 アルゴン雰囲気下、55%水素化ナトリウム(6.5m
g,0.15mmol)のTHF(1ml)懸濁液にジ
エチルホスホノ酢酸エチル(33μl,0.15mmo
l)を0℃で加えて5分間攪拌したのち、rel−(3
S,5S)−6−ブロモ−3,5−ジ−(t−ブチルジ
メチルシリルオキシ)−6−ヘプテナール(58mg,
0.13mmol)のTHF(1ml)溶液を同温にて
滴下し、30分間攪拌した。反応後、水を加えてエーテ
ル抽出し、得られた抽出液を飽和塩化アンモニウム水溶
液、飽和食塩水で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで
乾燥したのち、これより溶媒を留去した。得られた残渣
をカラムクロマトグラフィー(シリカゲルC−300,
ヘキサン:酢酸エチル=10:1)にて精製し、rel
−(5R,7S)−(2E)−8−ブロモ−5,7−ジ
−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,8−ノナ
ジエン酸エチル(48mg,収率72%)を得た。1 H−NMRスペクトル(90MHz)δ: 6.95(m,1H), 2.35(m,2H),
5.75(d,1H), 1.79(m,2H),5.
74(brs,1H),1.19(t,3H),5.4
5(brs,1H),0.82(s,18H),4.1
2(q,2H), 0.01(s,12H)3.82
(m,2H),
【0034】参考例1
【化12】 rel−(5R,7S)−(2Z)−8−ブロモ−5,
7−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,8
−ノナジエン酸メチル(38mg,0.075mmo
l),酢酸パラジウム(4mg,0.018mmo
l),トリフェニルホスフィン(9.7mg,0.03
7mmol),炭酸カリウム(25mg,0.18mm
ol)の混合物のアセトニトリル(6ml)溶液を還流
下24時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却
し、セライト濾過したのち、これより溶媒を留去した。
得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル
C−300,ヘキサン:エチルエーテル=20:1)で
精製し、下記の物性を有するrel−(3S,5R)−
(2−メチレン−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシ
リルオキシ)シクロヘキシリデン)酢酸メチル(29m
g,収率90%)を得た。1 H−NMRスペクトル(400MHz,CDCl3
δ: 5.60(s,1H), 2.37(dd,1H),
5.15(s,1H),2.22(dd,1H),4.
96(s,1H), 1.92(m,1H),4.5
2(m,1H), 1.75(m,1H),4.22
(m,1H), 0.87(s×2,18H),3.6
1(s,3H), 0.05(s×2,12H)
【0035】参考例2および3 参考例1において、rel−(5R,7S)−(2Z)
−8−ブロモ−5,7−ジ−(t−ブチルジメチルシリ
ルオキシ)−2,8−ノナジエン酸メチル(0.075
mmol)の代わりにrel−(5R,7S)−(2
Z)−8−ブロモ−5,7−ジ−(テトラヒドロピラン
−2−イルオキシ)−2,8−ノナジエン酸メチルまた
はrel−(5R,7S)−(2Z)−8−ブロモ−
5,7−ジ−(1−エトキシエトキシ)−2,8−ノナ
ジエン酸メチルをそれぞれ0.075mmol用いた以
外は実施例1と同様に反応および分離精製することによ
り、rel−(3S,5R)−(2−メチレン−3,5
−ジ(テトラヒドロピラン−2−イルオキシ)シクロヘ
キシリデン)酢酸メチル(24mg,収率87%)また
はrel−(3S,5R)−(2−メチレン−3,5−
ジ(1−エトキシエトキシ)シクロヘキシリデン)酢酸
メチル(20mg,収率78%)を得た。 FD質量スペクトル 〔M〕+ 366または〔M〕+ 342
【0036】参考例4 rel−(5R,7S)−(2E)−8−ブロモ−5,
7−ジ−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−2,8
−ノナジエン酸エチル(24mg,0.046mmo
l),酢酸パラジウム(2mg,0.009mmo
l),トリフェニルホスフィン(4.8mg,0.01
8mmol),炭酸カリウム(13mg,0.09mm
ol)の混合物のアセトニトリル(5ml)溶液を還流
下24時間撹拌した。得られた反応液を室温まで冷却
し、セライト濾過したのち、これより溶媒を留去した。
得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル
C−300,ヘキサン:エチルエーテル=10:1)で
精製し、下記の物性を有するrel−(3S,5R)−
(2−メチレン−3,5−ジ−(t−ブチルジメチルシ
リルオキシ)シクロヘキシリデン)酢酸エチル(17m
g,収率86%)を得た。1 H−NMRスペクトル(900MHz,CDCl3
δ: 5.91(s,1H), 2.00(m,1H),
5.18(s,1H), 1.62(m,1H),5.
13(s,1H), 1.28(t,3H),4.1
7(q,2H), 0.92(s,9H),4.07
(m,2H), 0.90(s,9H),3.75
(m,1H), 0.10(s,6H),2.22
(m,1H), 0.07(s,6H)
【0037】
【発明の効果】本発明の化合物は、入手容易で安価な原
料を出発原料として用いて、比較的短工程で得られる1
α−ヒドロキシビタミンD誘導体の合成中間体であり、
本発明の化合物を環化することによりA環部シントンを
容易に製造することができる。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(1) 【化1】 (式中、R1 は−CO2 3 基、−CHO基または−C
    H=CHCO2 4 基を表し、R2は水素原子または水
    酸基の保護基を表し、YおよびZは一方が水素原子を表
    し、他方が水酸基または保護された水酸基を表すか、ま
    たはYとZが一緒になって酸素原子を表し、Xはハロゲ
    ン原子を表し、R3 およびR4 はそれぞれ低級アルキル
    基を表す。)で示されるハロゲノアリルアルコール誘導
    体。
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