JPH06199779A - トランス−▲δ2▼−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−pg▲e1▼のメチルエステル(b−407) - Google Patents

トランス−▲δ2▼−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−pg▲e1▼のメチルエステル(b−407)

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JPH06199779A
JPH06199779A JP17630893A JP17630893A JPH06199779A JP H06199779 A JPH06199779 A JP H06199779A JP 17630893 A JP17630893 A JP 17630893A JP 17630893 A JP17630893 A JP 17630893A JP H06199779 A JPH06199779 A JP H06199779A
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pge
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Alberto Henaro Mamalera Carlos
アルベルト ヘナロ マーマレーラ カルロス
Alberto Busche Carlos
アルベルト ブスチェ カルロス
Susan Giarukovich Silvia
スサン ギアルコヴィチ シルビア
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NIYUUFUAAMA INTERNATL CORP
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NEWPHARMA INTERNATL CORP
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 子宮収縮性活性を有する化合物。 【構成】 次式(CVII): (式中、Rは、好ましくはメチル、エチル又はイソプロ
ピル タイプのC−Cアルキル基を表わす)を有す
るトランス−Δ−15−デオキシ−16−ヒドロキシ
−16−メチル−PGEのアルキルエステル

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分娩期間の終りに分娩
を誘発するための特別な子宮収縮性活性を有するプロス
タグランジン系類似化合物の調製のための計画の一部と
しての独特の分子の発見に係る。これらの分子は、分娩
終期の分娩誘発に使用するために特に設計されたPGE
の類似化合物であり、そして母親及び胎児(fetu
s)に対する有害な反応を最少にするために、作用期間
が短い。分子の主鎖を、種々の基によって置換して、以
下の種々の誘導体(式I)へと導くことが出来た。
【0002】
【0003】上式中、RはH、線状若しくは枝分れア
ルキル基又はシクロアルキル基であり、RはH、シリ
ル誘導体又は環状エーテル(即ち、THP誘導体)であ
る。本発明において提供されるPGE類似化合物は、
子宮収縮性を示し、分離されたラットの子宮においてP
GFαに対する応答を増大する。この薬物は、胃酸分
泌の抑制剤、降圧剤(hypotensive)及び気
管支拡張薬としての別の薬理特性を持っている。本発明
において述べられる生成物は、PGE類似化合物であ
る。天然のプロスタグランジン類は、次式のプロスタノ
ン酸(prostanoic acid)構造(式I
I)
【0004】
【0005】に関連する脂環式化合物である。本発明に
おいて記述される分子に対して化学的及び生物学的に関
連のある天然生成物に関する以下の記述を心に留めるこ
とは有用である。 エイコサノイド類:これらは、ポリ不飽和C−20脂肪
酸から誘導された生物活性物質であり、プロスタグラン
ジン類及びロイコトリエン類を含んでいる。 プロスタノイド類:これらは、ポリ不飽和脂肪酸、主と
して次式のアラキドン酸(III)
【0006】
【0007】から誘導された代謝物である。この変換
は、脂肪酸シクロオキシゲナーゼ−ペルオキシダーゼに
よって触媒される。これらの化合物は、生理的プロセス
の別の群の極めて効力のあるメディエータ(media
tor)である。天然のプロスタグランジン類:これら
は、プロスタノン酸(II)に関連し、そして脂肪酸シ
クロオキシゲナーゼ−ペルオキシダーゼによって生成さ
れるエンドペルオキシド生成物のペルオキシ結合の還元
性又は不均化開裂のいずれかの結果である。天然のプロ
スタグランジン類において、13位と14位とは、トラ
ンス二重結合によって結合され、15位には、α配置を
有するヒドロキシル基がある。上方の側鎖は、α配置
(環平面の下方向き)を有してシクロペンタン環に結合
されており、また下方の側鎖は、β配置(環平面の上方
向き)を有している。両側鎖は、シクロペンタン環に対
してトランス配置を有している。プロスタグランジン類
は、シクロペンタン環に種々の置換基を有し、シクロペ
ンタン環上の置換に従い又上方及び下方の側鎖中に存在
する二重結合の数に従って分類される。シクロペンタン
環上の置換に従って、種々のタイプのプロスタグランジ
ン類、例えば以下の図Aに示されるような、A、E、
F、G、I及びJが得られる。
【0008】
【0009】プロスタグランジンAとGとの間の区別
は、シクロペンタン環の外側にある。プロスタサイクリ
ン、即ちPGIは、追加のオキソラン環(C−9から
C−6へエーテル結合)を有しているが、それにもかか
わらずプロスタグランジンと考えられ、6、9−α−オ
キソプロスタノン酸誘導体と称されうる。C−C
13−C14及びC17−C18間の二重結合の位置
及び数が三種のサブタイプのプロスタグランジン類を定
義づけた。
【0010】C13−C14におけるトランス二重結合
は、系1(IV)を定義づけ、プロスタグランジンのタ
イプを定義づける文字の下に書かれた下付きの1によっ
て表示されている(即ち、プロスタグランジンA、又
は、PGA)。C13−C14におけるトランス二重
結合及びC−Cにおけるシス二重結合の両方の存在
が、系2のプロスタグランジン類(V)を定義づけ、下
付きの2で表示されている(即ち、PGE)。最後
に、C13−C14のトランス二重結合、C−C
シス二重結合及びC17−C18のシス二重結合は、系
3のプロスタグランジン類(VI)を定義づけ、下付き
の3で表示されている。
【0011】
【0012】
【0013】
【0014】このようなタイプ及び系の定義に基づいた
命名法は、プロスタグランジン類の慣用名を使用し、慣
用名の変更によって類似化合物を示してる[J.Me
d.Chem.17,911(1974)]。別のシス
テムは「国際純正及び応用化学連合(IUPAC)」又
は「ケミカルアブストラクト(Chemical Ab
stracts)(CA)」の規則に従っている。第一
のIUPACは、プロスタグランジン類をヘプタン酸の
誘導体として命名し、第二のCAは、プロスタン酸の誘
導体として命名している。構造VIIの慣用名は、プロ
スタグランジンF又はPGF1αであり、IUPAC
システムでは、7−[3R,5S−ジヒドロキシ−2R
−(3S−ヒドロキシ−1E−オクテニル)−シクロペ
ント−1R−イル]ヘプタン酸として、又、CAシステ
ムでは、(9α,11α,13E,15S)−9,1
1,15−トリヒドロキシ−プロスト−13−エン−1
−オイック アシッドとして命名している。
【0015】
【0016】カーン−インゴールドープレログ システ
ム(Cahn−Ingold−Prelog syst
em)[(Angew.Chem.Int.Ed.En
gl.,385(1966)]は、任意の不斉中心の
立体化学を定義づけており、不斉炭素のα、β表示がい
まだ使用されている。二重結合の配置は、接頭辞として
のシス又はトランス、或いは同じ物としてZ又はEを使
用することによって表示される。プロスタグランジン類
は、動物組織内の致る所に分布しており、哺乳動物にお
ける生理的効果及び病理生理学的効果の両方を促進す
る。これらは、心血管系、胃腸系、循環系及び平滑筋に
対し種々の薬理学的効果を有する。
【0017】プロスタグランジン類E及びAは、ほとん
どの種のための、又、PGF2αがより大きな種変動を
示すほとんどの血管床(大静脈における場合を除いて)
における効力のある血管拡張薬である。PGE類及びP
GA類は、初め動脈血圧、そしてその結果として末梢抵
抗を下げる。この作用は、心拍出量及び器官血流量の増
大を促進する。PGE、PGD(0.1μM)及び
PGI(1〜10nM)は、生体外で血小板凝集を抑
制する。PGA、PGE及びPGEは、腎皮質から
のエリスロポイエチンの放出を誘発し、赤血球生成の増
大を生じる。プロスタグランジン類の平滑筋に対する効
果は、多様であり、PGE及びPGIは、好塩基球
からのヒスタミン放出を抑制する。F系のプロスタグラ
ンジン類は、気管及び気管支の平滑筋を収縮し、プロス
タグランジン類Eは、これらの平滑筋を弛緩する。
【0018】PGIは、人間を含めてほとんどの種に
ついて血圧を下げる作用がある。PGF類のタイプは、
妊娠していない子宮の平滑横紋筋(smooth mu
scle strips)を収縮し、プロスタグランジ
ン類のタイプA、E及びBは、これらの平滑筋を弛緩す
る。PGF及びPGEは、低濃度において、妊娠して
いる子宮の横紋筋を収縮し、PGI及び高濃度のPG
は、子宮横紋筋を弛緩する。PGE又はPGF
αのいずれかの静脈内投与により、妊娠している人間の
子宮の収縮の頻度及び強度の投与量依存性の増加が生じ
る。いくつかのプロスタグランジン類は、局所投与され
た時、頚部の赤いふくらみ(ripening)及び軟
化を誘発する。
【0019】E及びF系のプロスタグランジン類は、胃
から結腸までの縦筋を生体外で収縮し、PGFは環状平
滑筋を収縮しそしてPGEは環状平滑筋を弛緩する。P
GEの投与は、妊娠終了のための堕胎として投与された
場合、下痢、痙撃、胆汁逆流及び悪心を引き起こす。最
後に、プロスタグランジン類E及びIは、食事の摂
取、ヒスタミン、アセチルコリン及びガストリンの誘発
した分泌物によって刺激された胃酸並びにペプシンの分
泌の両方を抑制する。プロスタグランジン類はまた、消
化管からの粘液状の水及び電解質の分泌物の両方を増加
する。これは、しばしば治療用量において、下痢及び腹
部痙攣をもたらした。
【0020】これらの多数の薬理学効果の結果として、
プロスタグランジン類及びそれらの類似化合物には、広
くかつ無数の治療用途がある。PGE類及びPGF類
は、流産及び出産の誘発に対する産科学並びに婦人科学
において使用されてもよい。胃腸病学においては、それ
らは、胃腸管における自動運動性、分泌又は吸収を含め
て、消化性の潰瘍又は疾患のいずれかを治療するのに使
用される。それらはまた、抗疑塊剤として、また高血圧
症、末梢血管疾患及び心臓障害のような循環系疾患の治
療のための、有用な気管支拡張薬である。
【0021】これらの化合物の特性及び作用に関するよ
り完全な情報は、次の文献中にある。即ち、Ann.
N.Y.Acad.Sci.,180:1(197
1);J.Am.Med.Assn.,53:92(1
972);「プロスタグランジナスワイ コンピュエス
トス リラシオナドス」(“Prostaglandi
nas y Compuestos Relacion
ados”)(1989)、エル アテネオ(El A
teneo)、ブス アス編(Bs.As.E
d.),;「治療の薬理基準」(“The Pharm
acological Basis of Thera
peuics”)(1990)、ギルマン、ロール、ニ
ース、ティラー(Gillman,Rall,Nie
s,Taylor)編(Eds.)、ペルガモン プレ
ス、ニューヨーク(Pergamon Press、N
ew York)である。
【0022】
【従来の技術】今まで、分娩終期の分娩誘発のための人
間の治療に、いかなるPGE類似化合物も導入されて
いなかった。本発明に関連のある従来技術に関する全て
の入手し得るデータが、以下列挙される。
【0023】A)本発明において考慮すべき第一の従来
技術は、次の臨床上の背景(settings)におい
て、即ち、:a)分娩の誘発又は促進、b)分娩後出血
及び子宮無緊張(atonia)の制御、c)帝王切開
後又は子宮外科の間の子宮収縮の誘発並びにd)治療的
流産の誘発において、子宮収縮を刺激するという目的で
使用される薬物に言及している。これらの用途のうちの
あるもののためにより頻繁に使用される薬物は、オキシ
トシン、PGE及び15−メチル PGF2αであ
る。臨床上の研究において、膜の早過ぎた破裂及び未熟
な(unripe)子宮頚部(ビショップ指数:6以
下)を有する患者におけるオキシトシン並びにPGE
の有用性を評価した
【0024】一般に、両方の治療の効能は同様である
が、分娩誘発期間については、PGEの方が高い。し
かしながら、PGEの経口投与又は膣内投与のいずれ
も、患者にとっては、静脈内オキシトシン投与よりも通
常より良好であると容認されている。悪影響は、用量依
存性及び化合物依存性である。新生児の経膣分娩胎児の
場合、PGE膣座剤により、臍帯の動脈血のpH値が
下がり、オキシトシン投与により、胎児窮迫の発生率が
高かった[Br.Med.J.299,1423(19
89);Arch.Gynaecol.Obstet.
247,15(1990);Eur.J.Obste
t.Gynaecol.Reprod.Biol.37
(2),111(1990);Obstet.Gyna
ecol.77(2),297(1991);Uges
kr−Laeger,152(49),3705(19
90);Int.J.Gynaecol.Obste
t.,33(2),115(1990);Indian
J.Med.Res.,90,453(198
9)]。PGE及びPGE類似化合物は、妊娠終了
のための堕胎薬として開示されていた。
【0025】PGE類似化合物、ミソプロストール
(misoprostol)及びゲメプロストは、以下
記載のB)項及びC)項で議論される。15−(S)メ
チルPGE及びスルプロストーン(sulprost
one)のような他のPGE類似化合物は、臨床上の
発展の種々の段階において議論される[Br.J.Ob
stet.Gynaecol,96,(12),140
0(1989);Geburtsh.Frauenhe
ilkd.,47,324(1987);避妊(Con
traception),39(5),497(198
9);人間生殖(Human Reproductio
n),(1),21(1989);Human Re
production,(6),718(198
9);Br.J.Obstet.Gynaecol.,
87,287(1980)]。B−407と称す薬物コ
ードについて本発明のために開示された治療目的は、分
娩期間終期の分娩誘発のためである。かくして、上記従
来技術を考慮すれば、いかなるPGE類似化合物も、
現時点では、人間治療のためには商業的に入手できない
と結論づけられ得る。
【0026】B)本発明のための別の従来技術は、PG
類似化合物を開示している米国特許第4,052,
512号(小野薬品工業株式会社)である。その化学名
は16,16−ジメチル−トランス−Δ−PGE
チルエステル(VIII)(16,1 VIII))である。これは、一般名ゲメプロスト(O
NO−802)として商業的に知られており、その構造
式(VIII)は、以下のように示される。
【0027】式
【0028】ゲメプロストは、15−ヒドロキシ−プロ
スタグランジン類の天然系に属し、CとCとの間に
二重結合を有する。その主要な用途は頚部軟化剤として
であるが、第一及び第二の3カ月間の妊娠を終わらせる
のに使用されてきた(それが治療的に勧められようとそ
うでなかろうと)。規則正しい間隔で投与された1mg
ゲメプロストの坐剤3個又は4個により、種々の研究
で、患者の90%以上において完全な流産を誘発した。
腹部の痛み、出血、胃腸の不快、悪心及び嘔吐からなる
悪影響が、この薬物によって頻繁に観察される。
【0029】ゲメプロストの主用途は、妊娠していない
患者の外科手術前の頚部の拡張のためである[将来の医
薬(Drugs of the Future),
(1),38(1979);Adv.Contrace
pt.(1),91(1985);プロスタグランジ
ン類(Prostaglandins),34(1),
111(1987);Br.J.Obstet.Gyn
aecol.95(3),271(1988);避妊
(Contraception),39(5),497
(1989);Clin.Exp.Obstet.Gy
naecol.16,61(1989);Acta O
bstet.Gynaecol.Scand.Supp
l.149,13(1989);Asia−Ocean
ia J.Obstet.Gynaecol.16
(1),21(1990);Br.J.Obstet.
Gynaecol.97(6),480(199
0)]。本発明においてB−407のために開示された
臨床用途は、分娩期間の終期の分娩誘発のためである。
この用途は、頚部の拡張及び流産を実際に誘発するため
のものであるゲメプロストのために提案されたものと全
く異なっている。
【0030】C)本発明のための別の従来技術は、PG
類似化合物を開示している米国特許第3,965,
143号(シャール社(Searle & Co.)に
譲渡された)である。その化合物の化学名は15−デオ
キシ−16−ヒドロキシ−16−メチルPGEメチル
エステル(IX)である。その化合物は、ミソプロスト
ール(mosoprostol)[シトテック(Cyt
otec)、登録商標]であり、その構造式は以下に示
される。
【0031】
【0032】ミソプロストールは、15−ヒドロキシ
プロスタグランジン類の天然系には属さないが、16位
にメチル基をも有する15−デオキシ−16−ヒドロキ
シプロスタグランジンである。この化合物は、NSAI
D誘発潰瘍の予防のための抗潰瘍薬剤として治療上使用
される。ミソプロストールは、一般に、有害な壊死を起
こす薬剤の後に、胃十二指腸粘膜の防御を促進する[G
astroenterol−Nurs.13(1),3
7(1990);Am.J.Gastroentero
l.85(11),1498(1990);Clin.
Pharm.(9),627(1989)]。ミソプ
ロストールは、抗潰瘍薬として、ほとんどの合成PGE
類似化合物よりも良好な薬理特異性を有しているけれど
も、しかしながら、ある場合には、ミソプロストール
は、潰瘍によらない消化不良(non−ulcer d
yspepsia)、幽門前のびらん性変化は、クロー
ン回結腸炎を有する患者の腹部の副作用を更に重くさせ
るか又は悪化させ得る[Scand.J.Gastro
enterol.25(10)1028(1990);
Ann.Intern.Med.113(6),474
(1990)]。
【0033】シャール社によって開発された製品が、B
−407について記載された場合とは全く異った治療上
及び商業上の目的のために使用されているということに
言及することは興味のあることである。実際、ミソプロ
ストールは、抗潰瘍薬としてのみ処方されている。ミソ
プロストール特許に開示されている他の薬理特性は、血
小板凝集の抑制薬、気管支拡張薬及び堕胎薬としてであ
る。かくして、これは妊娠女性に使用される。その主要
な悪影響は、下痢及び腹部の痙攣である。最近、ミソプ
ロストールは、妊娠の最初の3カ月間における流産の誘
発のためのミフェプリストーン(mifepristo
ne)とともに使用することが推奨されている[Lan
cet(1991)338,1233(1991)及び
338,1241(1991)]。 D)他の関連した合成PGE類似化合物は、以下詳細
に述べる文献中に記載されている。
【0034】a)シャール社によって開示された従来技
術は、3−オキサプロスタグランジン類に係る(EP
0115844)。この化合物について、抗分泌性及び
細胞保護性が記載され、胃潰瘍の治療、堕胎薬、血小板
凝集の抑制薬及び気管支拡張薬についての特許権投与が
請求されている。 b)マイルス ラボラトリー(Miles Lab.)
に譲渡されている特許(米国特許第4,331,688
号)は、PGE類似化合物について言及している。こ
れらの化合物は、ミソプロストールよりも低い副作用を
有する胃分泌抑制薬であるとして特許権が投与されてお
り、また気管支拡張特性を有している。 c)シャール社へ譲渡されている米国特許第3,96
5,143号では、16−ヒドロキシプロスタン酸の誘
導体が酸性胃分泌及び血小板凝集の抑制薬であるとし
て、また、これらの誘導体はまた、気管支拡張薬及び避
妊薬であるとして、特許権が付与されている。 d)アメリカン シアナミド社(American C
yanamid Co.)へ譲渡されている特許(米国
特許第4,061,672号)は、9−ヒドロキシ−1
3−トランス プロスタン酸誘導体を扱っている。これ
らの化合物は、気管支拡張薬、抗潰瘍薬及び血圧降下薬
として活性であると主張されている。
【0035】プロスタグランジン類似化合物の合成は、
当業者にとって周知の技術であり、数種のルートによっ
て種々のプロスタグランジン類を得ることが可能であ
る。パイク(Pike)及びモートン(Morton)
のスキームに従って行う少なくとも四つの大きな合成法
がある[プロスタグランジン スロムボキサン及びロイ
コトリエンの発達(Advances in Pros
taglandin,Thromboxane and
Leukotriene)、研究(Researc
h)、Vol.14、プロスタグランジン類及びロイコ
トリエン類の化学(Chemistry of Pro
staglandins and Leukotrie
nes)、ジェー・イー・パイク及びディー・アール・
モートン ジュニア編(Ed.J.E.Pike an
d D.R.Morton Jr.)、レーベン プレ
ス−ニューヨーク(Raven Press−New
York)、1985]。即ち、 a)多環式中間体の開裂、 b)共役付加、 c)脂肪族前駆物質の環化、 d)プロスタグランジン相互変換(interconv
ersions) である。これらの合成法を次の項で記載する。
【0036】提案(a) 1)ノルボルネンに基づくルート:コーレイ(Core
y)によって開示されたこの方法では、C−8、C−1
1及びC−12におけるキラル中心がディールスーアル
ダー付加物(XII)において予備形成された(スキー
ム 1)。これらの合成は、コーレイ及び他の研究者達
によって広く使用され、改良されていた[J.Am.C
hem.Soc.93,148(1971);J.A
m.Chem.Soc.92,2586(1970);
J.Am.Chem.Soc.92,397(197
0);J.Am.Chem.Soc.91,5675
(1969);J.Am.Chem.Soc.93,1
491(1971);J.Am.Chem.Soc.
,4326(1971);J.Am.Chem.So
c.97,6908(1975);J.Am.Che
m.Soc.97,3528(1975)]。高い立体
制御率を与えるために使用される方法が、C−15 ケ
トン(XVIII)からC−15−(S)アルコール
(XIX)への還元において関心のあることがある
【0037】
【0038】これらは、 i)還元剤としてのバルキーなホウ水素化物の使用、す
なわち、指示基(directing group)と
してC−11シクロペンタン環の酸素に結合しているp
−ニトロフェニルベンゾイルと共に使用されたテキシル
(Thexyl)ボラン(+)リモネンの使用[J.A
m.Chem.Soc.94,8616(197
2)]、 ii)ジソブチルアルミニウム 2,6−ジ−t−ブチ
ル−4−メチル−フェノキシド[Bull.Soc.
J.54,3033(1981)]、 iii)ビナフトール アルミニウム ハイドライド
[Pure Appl.Chem.53,2315(1
981);J.Am.Chem.Soc.101,58
43(1979)]である。 この合成を適応して、PGA系及びPGC系を得る。
【0039】ICIの化学者によってなされたその後の
研究により、このすでに古典的な合成が改良された
[J.Chem.Soc.(Perkin I)150
7(1978);J.Chem.Soc.(Chem.
Commun.)39(1975);Synth.Co
mmun. ,221(1975);J.Chem.
Soc.(Perkin I),1676(197
4);テトラヘドロン レター(Tetrahedro
n Lett.),23,561(1982);Tet
rahedron 37,411(1981);J.C
hem.Soc.Commun.151(1974);
Chem.Pharm.Bull.9(Tokyo)
,2582(1979);ヘテロサイクルス(Het
erocycles)8(1977)]。
【0040】2)ビシクロヘプタノンのアプローチ:こ
のアプローチはサルフォード−グラクソ(Salfor
d−Glaxo)のグループによって、コーレイの着想
[Tetrahedron Lett.307(197
0)]から応用され(スキーム2及び3)、高収率のP
GD又はPGF2α又はPGEのいずれかへ導いた
[J.Chem.Soc.(Perkin I),21
19(1983);Chimia 14,424(19
60);J.Chem.Soc.(Perkin
I),1176(1978);J.Chem.Soc.
(Perkin I),1179(1978)]。
【0041】
【0042】
【0043】化合物XXIIから始まり(スキーム
2)、PGA及びPGJをも得ることができる
[J.Chem.Soc.Chem.Commun.6
79(1979);同74(1980);J.Che
m.Soc.(Perkin I),1725(198
1)]。PGF2α及びPGEへのまた別のルート
は、化合物XXVから始まり(スキーム3)、XXXI
IIを経て、キラルな(chiral)有機銅(II)
酸塩(organocuprate)試薬との反応によ
って、設計された化合物を高い立体選択率で得るもので
ある。PGF2αの総合収率は18%であった[J.C
hem.Soc.(Perkin I),852(19
80);J.Chem.Soc.(Perkin
I),1586(1980)]。数種の別のルートによ
れば、中間体XXIIを経てPGAへと導かれる
[J.Chem.Soc.(Perkin I),20
84(1980);J.Chem.Soc.683(1
983);J.Chem.Soc.(Perkin
I),1729(1981)]。 3)ビシクロ[3.1.0]ヘキサンのアプローチ:古
典的なプロスタノイドに関して公表されている最初の合
成法は、ビシクロ[3.1.0]ヘキサン誘導体XXX
VからジオールXXXVIへの裂開に基づいていた[T
etrahedron Lett.2093(196
7)]。
【0044】
【0045】この反応では、C−11ヒドロキシル及び
低級鎖アリル性アルコール(allylic alco
hol)の両方が生じる。この転位は、ヒドロキシイオ
ンの攻撃がC−11のα−配向に向けられているという
事実によって裏づけられ、また、トランス二重結合形成
は、開環のシークエンス(sequence)中の置換
基の立体配置によって裏づけられる。このルートは、広
く研究されていた[Tetrahedron Let
t.1709(1973);J.Am.Chem.So
c.95,2746(1973);Tetrahedr
on Lett.1973(1976);Tetrah
edron Lett.1753(1976)]。 4)シクロヘキサン環収縮のアプローチ:三環式ラクト
ンXXXVIIからコーレイのアルデヒド誘導体XXX
VIIIのような化合物を得ることができる。この場合
に、シクロヘキサン誘導体の収縮によって、シクロペン
タン環が得られる[J.Am.Chem.Soc.
,6853(1973);Tetrahedron
Lett.3091(1973)]。
【0046】
【0047】提案(b):共役付加 それは、高度に集中的な戦略である。このアプローチの
基本の段階は、保護されたシクロペンテノン部分のβ−
位置における求該攻撃を経て、C12−C13炭素結合
を形成することである。プロスタグランジン類の合成に
おいて共役付加反応を広く使用することは、全ω−鎖が
有機金属誘導体XLを経て、シクロペンテノン部分に結
合させられ得るという着想から発展した[J.Che
m.Soc.Chem.Commun.240(197
2)]。
【0048】
【0049】中間体エノラートの加水分解によって、熱
力学的により安定な生成物が得られ、又、シクロペンテ
ノンXXXIXの環のより束縛の少ない面からの攻撃用
有機金属化合物XLのアプローチが得られるので、共役
付加により、全てトランスのXLIIがえられる(スキ
ーム4)。バルキーなR基を持つことが重要である。こ
のやり方では、全立体特異方法でPGE誘導体を得るこ
とが可能である。構造式XLの様々な有機金属試薬が、
α,β−不飽和ケトンとの共役付加反応を経るのに示さ
れたけれども、この分野の研究は、もっぱら1,4−付
加物を得るために反応する有機銅(II)酸塩を使用す
ることと初めから関連していた[J.Org.Che
m.31,3128(1966)]。反応の機構は、完
全には知られていないけれども、一種の電子が有機銅
(II)酸塩からエノンと移動されて、銅ラジカルのカ
チオンとエノンラジカルのアニオンとのその後の再結合
によって伴われるCu(III)種が包含されるものと
推定される。最終段階は、側鎖のβ−位置への移動及び
エノラート生成、XLVIIIの前駆物質を包含する還
元性脱離である(スキーム5)。
【0050】
【0051】有機銅(II)酸塩試薬を使用する古典的
PGE合成が、出発物質としてフリルリチウムを用い
て、1972年にシー(Sih)のグループ及びシンテ
ックス(Syntex)のグループによって[J.Ch
em.Soc.Chem.Commun.240(19
72);J.Am.Chem.Soc.,94,364
3(1972)]、フリード(Fried)によって
[J.Am.Chem.Soc.94,7827(19
72)]そしてアルブァレッツ(Alvarez)によ
って[J.Am.Chem.Soc.94,7823
(1972)]、独立に記述された(スキーム5参
照)。上記文献では、この合成は、セラミ物質を用いて
行われたけれども、その後のこのアプローチは、L型の
キラル分子の調製、発展した新しいアキラル(achi
ral)保護基、及び合成を大いに容易にしかつ分析仕
事を単純にした有機金属化合物の性質に関する変動を含
んでいた。初めのシーの研究においては、リチウム シ
クロペンタジエナイドを、エチルブロモヘプタノエート
でアルキル化し、化学的に発生した一重項酸素によるシ
クロ付加後に、所望の異性体(XLV)をより少ない割
合で含んでいる異性体XLIV及びXLVの混合物(ス
キーム5)を得た。異性体混合物のジョーンズ酸化およ
びその後のアルミニウムイソプロポキシドによる還元
後、異性体比はXLVの方を選んで2:1に改良され
た。
【0052】有機金属化合物の性質:ジビニル銅(I
I)酸塩タイプXLVIIの有機銅(II)試薬は、2
つのビニル基R(RCu;Rはω−鎖である)によっ
て形成されている。付加反応において、1つのR基のみ
が移動される。その結果として、他のR基は、使用され
ず、かくして重大な問題が生じる。なぜならば、このR
基は得ることが困難であるために、価値があるからであ
る。この不都合に打ち勝つために、コーレイは、ジビニ
ル銅(II)酸塩の代りに、反応性が低くかつ副反応も
少ない銅(II)酸塩錯体とビニル銅(II)酸塩との
混合物を使用することを示唆した[J.Am.Che
m.Soc.94,7210(1972)]。
【0053】
【0054】上式中、Rは移動されるべき基であり、
は残基である。トランス銅(II)酸塩の代りに、
キラルなシスビニル銅(II)酸塩を使用し、出発物質
としてラセミシクロペンテノンを用いてキラル付加生成
物を高収率で得た[J.Am.Chem.Soc.
,9256(1972);J.Am.Chem.So
c.94,6774(1974)]。有機銅(II)酸
塩化合物の取扱い困難性(すなわち−20℃以上で不安
定、酸素及び湿り気に対する感受性)を回避するため
に、他の有機金属化合物、すなわち、プロスタグランジ
ン類の合成のために評価される有機ジルコニウム誘導体
が研究された[有機合成 今日と明日(Organic
SynthesisToday and Tomor
row),ビー・エム・トロストおよびシー・アール・
ハッチンソン(B.M.Trost and C.R.
Hutchinson),p.55,ペルガモン プレ
ス,オックスフォード(Pergamon Pres
s,Oxford);J.Am.Chem.Soc.
02,1333(1980);Tetrahedron
Lett.4639(1976)]。
【0055】シクロペンテノン中間体の調製 ヒドロキシシミクロペンテノン類(LIII)の調製に
ついては、大くの合成法が利用できる。ユラ(Yur
a)及びイデュー(Idu)の初期の研究は、プロスタ
グランジン類似化合物に関するいくつかの合成へと先導
した[Ann.N.Y.Acad.Sci.180,6
4(1971);J.Med.Chem.26,786
(1973)]。
【0056】
【0057】中間体LVを、適当なケト酸と蓚酸ジメチ
ルとの反応によって合成する。化合物LIV(スキーム
6)を得、次いで炭酸基を除去し(decarboxy
late)、化合物LVを得る。酸性メタノール中で
1,2−ジメトキシプロパンで還元処理して、化合物L
Vを熱力学的により安定なエノールエーテルLVIに変
換する。その後のレッドアルミニウム(Red Al)
による還元によりヒドロキシシクロペンテノンLVII
へと導く[J.Am.Chem.Soc.97,865
(1975);Chem.Pharm.Bull.(T
okyo),25,1273(1977);Tetra
hedron Lett.3165(1976);Te
trahedron Lett.943(1973)]
(スキーム6)。
【0058】
【0059】ヒドロキシシクロペンテノンの合成のため
の他の合成ルートは、フラン誘導体、すなわち、化合物
LVIIIへと導くフルフラルから出発する。
【0060】
【0061】ポリリン酸によるLVIIIの処理および
アルミナによるLIXの異性化によって、高収率でLX
が得られる(スキーム7)。LXの合成のための他のル
ート、すなわちエナミンLXIから始まるルートがある
[J.Chem.Soc.(Perkin I),25
50(1976);プロスタノイド類の化学的、生化学
的および薬剤学的活性(Chem.Biochem.
and Pharm.Activity of Pro
stanoids),エス・エム・ロバーツ及びシェイ
ンマン(S.M.Roberts and Schei
nmann)編、77、ペルガモン プレス(Perg
amon Press)、オックスフォード(Oxfo
rd)、1979]。この方法及び他の方法は、ここで
は分析されない。
【0062】
【0063】エノラート捕捉(trapping)のア
プローチ それは、共役付加のアプローチの発展である。求電子試
薬によりエノラート中間体をアルキル化することによっ
て共役付加した後、α−鎖を導入する(スキーム8)。
【0064】
【0065】パターソン(Patterson)、フリ
ード(Fried)及びポスナー(Posner)[ジ
ャーナル オーガニック ケミストリー(J.Org.
Chem.),39,2506(1974);J.A
m.Chem.Soc.97,107(1975);T
etrahedron Lett.2591(197
4)]が、このアプローチを11−デオキシ プロスタ
グランジン類の合成に、最初に適用した(スキーム
9)。エノラートLXVIIを、シス−7−ブロモ−5
−エン−ヘプタノエートでアルキル化し、11−デオキ
シPGEを47%の全体的収率で得た。
【0066】
【0067】ハロゲン化アルキル又はそれらの均等物に
よる捕捉は、いまだ達成されていなかったけれども、塩
化アシル、アデヒド類、ミカエル(Michael)受
容体のようなより反応性の種との反応により、種々の有
用なプロスタグランジン中間体が得られた[Terah
edron Lett.23,5563(1982);
同4057(1982)]。(S)−バイナル(Bin
al)−Hによる化合物LXIXのキラル還元によって
化合物LXXを得る(スキーム10)。シリル化エノン
LXXIは、キラル銅(II)酸塩による共役付加を
経、得られたエノラートLXXIIをアルデヒドによっ
て捕捉して、アルドール生成物を得る。活性化反応エネ
ルギーを下げるために、中間体LXXIVを調製する前
には、Cヒドロキシル官能基の還元を行うことはでき
なかった。中間体LXXVは、周知の方法によってPG
エステル、PGEエステル、PGF1α、PGF
2αへと変換され得る。
【0068】
【0069】提案(c):脂肪族前駆物質の環化 この戦略は、シクロペンタン環へと環化される脂肪族中
間体において、主要官能基を組み立てることに関する。
次いで、従来の方法[ジョンソンらJohnson e
t al.),J.Am.Chem.Soc.104
2190(1982)]によって、この合成を完成す
る。すなわち、ジメチル−(S)−4−アセトキシ−
3,6−ジオキソスベレートから出発して、長い合成の
後に、PGF2αを得るが、収率は低い。他の研究が、
ミヤノ(Miyano)[J.Org.Chem.
,1748(1975)]及びコーレイ(Core
y)[J.Am.Chem.Soc.90,3245
(1968)]によって行われていた。一つの例とし
て、ジエステルLXXIXから出発してPGEを得る
ディエックマン(Dieckmann)縮合後に、シク
ロペンタン環を形成した(スキーム11)。
【0070】
【0071】他のグループが、気のきいたかつ手の込ん
だ合成方法によって、上記アプローチの研究をした
[J.Org.Chem.38,4412(197
3);J.Am.Chem.Soc.90,3247
(1968);同91,535(1969);J.A
m.Chem.Soc.100,8272(197
8);同98,1583(1976);Tetrahe
dron Lett.3963(1973);Bul
l.Soc.Chim.Fr.,131(197
8)]。提案(d) :プロスタグランジン相互変換 プロスタグランジンを一つの系から別の系へと変換する
ことは有用である。それは、主として、類似化合物の合
成に適用される。一つの例として、PGEへと導く合
成シークエンス(sequence)を適切に変更して
使用し、PGE2αを得ることができた(スキーム1
2)。
【0072】
【0073】検討 本発明は、PGE類似化合物であり、構造式(CI
I)を有し、次ぎの化学名:トランス−Δ−15−デ
オキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−PGE−16−methyl PGE methyl es
ter)を有するコード名B−407に関する。
【0074】
【0075】本発明に開示されたB−407は、分娩期
間終期の分娩において薬理的に活性であるように設計さ
れていた。それは、天然及び合成プロスタグランジン類
似化合物についての構造活性関係を考慮し、悪影響を減
じることに特に注意し、そして母親及び赤ん坊の両方の
ための安全性を改良して設計されていた。この化合物の
合成について、本発明者らは、本明細書中に記載した共
役付加のアプローチを使用した。使用した全ての反応
は、選択的でありかつ効果的であることがわかった。B
−407の合成のための種々の段階及び反応条件は、ス
キーム13〜15中に詳述されている。
【0076】この場合に、共役付加のアプローチには、
シクロペンテノンXCVIとリチウム有機銅(II)酸
塩試薬との反応及びシリル化剤による生成エノラートの
その場での捕捉によりXCIXを得ることが含まれる
(スキーム14)。この合成の主要段階は、エステル基
に共役したトランス二重結合の導入であり、エステル基
のα−位ヘセレン酸塩化剤(seleniating
agent)を結合し、その後酸化し、本発明において
開示された化合物(CII)へと導く脱保護基反応(u
nprotecting reactions)を行な
うことによって達成される(スキーム14)。エノンX
CVIは、周知のシクロペンタトリオンのルートによっ
て合成され(スキーム13)、そして低級鎖がスキーム
15に従って調製された。
【0077】
【0078】
【0079】
【0080】例において示された全ての結果は、本発明
者らの以前の合成計画に従っている。酸性メタノール中
でのシクロペンタジオンXCIIIと2,2−ジメトキ
シプロパンとの反応により、エノールエーテルXCIV
が得られる。金属水素化合物による還元によりそして酸
処理(work up)の後、エノンXCVが得られ
る。この化合物を、好ましくは塩化トリエチルシランに
よるシリル化によって保護する(スキーム13)。保護
されたエノンを、トリーn−ブチルスタンニルXCVI
II又はイオジンアルケニル誘導体CVIで処理し、化
合物XCIXを得ることができる。生成したエノールを
t−ブチルジメチルシラン誘導体として捕捉する。トラ
ンスΔ二重結合を得るために、C(C)にフェニル
セレニル基を導入し、この基をHとの処理によっ
て酸化的に脱離して、化合物CIを得る。酸性媒体中で
のC、C11及びC19のヒトロキシル基の脱保護基
(unprotecting)後、本発明者らがB−4
07として名づけた本発明の目的物であるトランスΔ
−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル
PGE(CII)を得る(スキーム14)。
【0081】生物学的活性 B−407の一次特性及び二次特性の両方についてその
薬理を特徴づけるために、一連の広い薬理研究を行なっ
た。今日までになされた研究は、B−407が良好な副
作用プロフィルを有する特別の子宮収縮性薬物であるこ
とを示している。B−407は、その化学構造に固有の
以下の特徴a)及びb)により、存在するプロスタノイ
ド類よりも優れた子宮収縮性薬物であるように、明確に
設計されていた。 a)改良された生物学的特異性が、一般に、C−15ヒ
ドロキシル基を隣接する16−炭素へ転位(trans
posotion)することによって達成されること
[ダジャニら(Dajani et a1.),プロス
タグランジン類(Prostaglandins),
,733−745,1975]。 b)母親及び赤ん坊に対する過緊張のような可能な悪影
響を制限するために重要である効果の持続期間の減少を
可能にする上方側(upper side)の代謝不活
性化の増大。薬理特性決定のために使用された試験モデ
ルは、必ずしも直接の性質ではなく、当業者ならば、そ
れらのモデルの利益を人間における所望のまた所望でな
い薬理作用の最高の予言者であると充分に認めよう。
【0082】B−407について、以下の薬理効果A〜
Lを生体内及び生体外の両方で測定した。 A−発情したラットから分離した子宮に対する効果。 B−発情間期中のラットから分離した子宮に対する効
果。 C−ラットから分離した子宮に対してPGF2αによっ
て誘発された収縮性に対する効果。 D−モルモットから分離された気管に対する効果。 E−モルモットにおいてヒスタミン エーロゾルによっ
て誘発された気管支収縮に対する効果。 F−麻酔をかけられたラットにおける動脈の血圧及び心
拍数に対する効果。 G− マウスにおける下痢生成効果(diarrheo
genic effect)。 H−マウスにおける探索(exploratory)活
性に対する効果。 I−マウスにおける運動活性に対する効果。 J−マウスにおけるバルピタール酸塩による睡眠時間に
対する効果。 K−犬における胃分泌液の容量及び酸度に対する効果。 L−ラットの子宮のホモジネート中の外因性PGF2α
の消失に対する効果。 実施された研究は、アメリカ合衆国の「実験動物の使用
に関する福祉法(Welfare Act on of
Laboratory Aminals)」及び「良
好な実験室の実務(Good Laboratory
Practices)」と調和していた。
【0083】A−発情したラットから分離した子宮に対
するB−407の効果 発情したラットから分離した子宮に対して、濃度応答曲
線を実施した。250g〜300gの体重の雌のウィス
ターラットを使用した。動物は、実験の24時間前に、
0.1mg/kgのエストラジオールで皮下的に予備処
理された。子宮全体を解剖し、切除し、そして1つのホ
ーン(horn)の1cmの部分を、95%Oと5%
COとの混合物でバブリングされた30℃の器官浴1
0ml中でインキューベーション(incubatio
n)した。栄養溶液は、国際薬局方第II版(IInd
Ed.)に記載されたダ ジャロン(De Jalo
n)溶液であり、4×10−7Mのジクロフェナックナ
トリウムを含有していた。器官をこの溶液中で1時間放
置して、安定化せしめた。これらの実験条件では、いか
なる自発性収縮も検出されなかった。濃度応答曲線を実
施するために、天然プロスタグランジン類又はB−40
7のいずれかの溶液の一定量を添加して、10−10
と3×10−6Mとの間の器官浴内濃度を得るようにし
た。2分後、次ぎの試験溶液を添加する前に、器官を1
5分の期間の間3回洗浄した。このようにして、得られ
た濃度応答曲線は累積的ではなかった[「分離された組
織標本についての薬理実験(Pharmacologi
cal Experiments on Isolat
ed Preparations)」における「ラット
の子宮の組織標本(The rat uterus p
reparation)」、イー.及びエス.リビング
ストーン社(E.and S.Livingstone
Ltd.),エジンバラ及びロンドン(Edinbu
rgh andLondon)(1968),p.9
2]。分離された子宮の収縮について、FT03C変換
器を備えたベルガール(Berger)ポリグラフで記
録した。これらの応答の頻度及び大きさが、以下に説明
されるように、一定の期間において記録された全面積を
計算することによって全体的に評価された。
【0084】
【0085】B−407は、生体外でのラット子宮収縮
性に対して低い効果を示した。それは、PGEよりも
4倍程度低い効力である(効果は示されていない)。 B−発情間期中のラットから分離した子宮に対するB−
407の効果 (B)−発情間期の状態で分離したラットの子宮に対
する濃度応答曲線を実施した。250g〜300gの体
重のウィスターラットを使用した。発情間期は、毎日の
膣塗布標本によって検出した。子宮を解剖切除し、ホー
ンの一部を上記Aにおいて記載した場合と同様にして1
0ml器官浴中に置いた。浴温を、37℃に維持し、ク
レブス(Krebs)栄養溶液中で95%Oと5%C
との混合物でバブリングした。器官を、1時間放置
して、安定化せしめた。分離された子宮は、これらの実
験条件下で、基底の自発収縮を示した。10−10M〜
10−6Mの濃度の天然プロスタグランジン類又はB−
407のいずれかの溶液100μl又は300μlのい
ずれかを添加して累積的濃度応答曲線を実施した(それ
ぞれ、いかなる洗浄もなしに15分)。子宮の収縮及び
それらの定量を上記Aに記載したように行なった。 (B)−発情間期中(いかなる自発収縮もない)の分
離された子宮で、濃度応答曲線を実施した。ダ ジャロ
ン栄養溶液にジクロフェナックナトリウムを4×10
−6Mの最終濃度になるように添加した。器官を、自発
収縮が存在しなくなるまで放置して、安定化させた。累
積的でない濃度応答曲線を得た。収縮及びそれらの定量
の記録は、上記Aで記載したように行われた。
【0086】
【0087】発情間期中のラットの分離された子宮にお
いて観測された基底自発収縮は、ジクロフェナックによ
って、減らされた(B)。この場合に、B−407の
投与量応答子宮収縮性効果を観測したところ、基底の場
合の二倍の最大応答を示した。 C−ラット子宮のPGF2αの誘発生体外収縮に対する
B−407の効果 (C発情期状態のラット子宮 実験条件は、自発収縮のない濃度応答曲線について上記
Aで記載したものと同一であった。子宮を、10−8
のPGF2αの溶液中で2分間平衡させ、次いで、子宮
を15分の間再び洗浄した。この処理全体を二度繰り返
した。次いで、既知濃度の試験プロスタグランジンを添
加し、その後の15分の間、いかなる洗浄も実施しなか
った。PGF2α(10−8M)を添加し、2分後に一
度そして次いで15分の全期間にわたって二度洗浄し
た。その結果は、B−407による処理後のPGF2α
の効果と、PGF2αの効果(三度の初期添加の平均)
及びB−407自体の効果の合計との間の関係として表
示された。その収縮及びそれらの定量の記録は、上記A
において記載したように行なわれた。
【0088】
【0089】(C発情間期の状態のラット子宮 実験条件は、上記(B)において記載されたものと同
じであり、作業プロトコル(protocol)は上記
(C)に記載のものと同じであるが、PGF2αの濃
度は10−9Mであった。収縮及びそれらの定量の記録
は、上記Aに記載したように行われた。
【0090】
【0091】分離されたラットの子宮(発情期及び発情
間期の両方の状態下にある)にB−407を注入する
(prming)ことによって、PGE2αにより誘発
された収縮性応答が有意に増強された。上記A、B及びCの面積の定量 さらに説明するように、一定期間の記録された全面積を
計算することによって、応答の頻度及び大きさを全体的
に評価した。15分の期間にわたる記録紙の曲線下の面
積を切断し、濃度応答曲線及び増強実験の両方の場合に
おいて、秤量した。2分間を通して作業感度で1gの張
力に対応した一枚の紙を秤量することによって検量線を
作成した(calibration)。従って、g/2
分で表示された面積の関係が得られ、次いで応答の面積
の重量を面積の単位へ変換した。結果は、得られた面積
の平均値±標準誤差として表された。差の統計的評価
は、アノバ(ANOVA)又はスチューデント式テスト
(Student’s t test)のいずれかによ
って、適切であるとして行なわれた。
【0092】D−生体外モルモット気管に対するB−4
07の効果 分離された気管に対するB−407の効果を体重700
gのモルモットで評価した。この動物を殺し、気管を解
剖し、クレブス溶液の入った皿に移し、そしてカートリ
ッジのセグメントの間で横方向に切断して、気管筋の多
数の輪を得た。5つの輪を綿糸で一緒に堅くくくって、
鎖を形成し、次いで37℃のクレブス溶液の入った浴1
0ml内に取付け、酸素(95%)と二酸化炭素(5
%)との混合物で曝気した。レバー(lever)への
荷重は0.4gであった。器官は、15〜30分間、安
定化のため放置した。充分な量(100μl)の0.1
mMヒスタミン溶液を、浴(1×10−6M)に添加し
て、張力0.2g〜0.5gの収縮を得るようにした。
収縮が平坦域に達した後、浴にエタノール:蒸留水
(1:1)の100μl(対照としてのビヒクル)を添
加した。8分後に、組織標本を4〜6回洗浄して弛緩さ
せた。次いで、作業プロトコルを繰り返したが、この場
合に、収縮が平坦域に達した時、100μlの1mM
B−407溶液(浴濃度=1×10−5M)を添加し、
弛緩平坦域が得られるまで(8分以下)作用せしめた。
【0093】B−407によって誘発された弛緩を、ヒ
スタミン誘発収縮に対する%として表した。全ての測定
値の平均値±標準誤差を計算した[「モルモット気管鎖
(The guinea−pig tracheal
chain)」、「分離された組織標本についての薬理
実験(Pharmacological Experi
ments on Isolated Prepara
tions)」、イー.及びエス.リビングストーン社
(E.and S.LivingstoneLt
d.)、エジンバラ及びロンドン(Edinburgh
and London)(1968),p.100;
ブリティッシュ ジャーナル ファーマコロジー(Br
it.J.Pharmacol.),22,511(1
964)]。
【0094】
【0095】B−407は、ヒスタミンにより収縮した
モルモットの気管鎖の弛緩を誘発した。 E−モルモットのヒスタミン−エーロゾル誘発気管支収
縮に対するB−407の効果 体重700gの雄モルモットにおいてヒスタミン−エー
ロゾルによって誘発された気管支収縮に対するB−40
7の保護効果を評価した。15l容の気密の密閉容器内
に一度に一頭のモルモットを入れた。次いで、200μ
lのヒスタミン溶液(ヒスタミン基剤600μg)を、
1p.s.i.の圧力で、圧縮空気とともに噴霧した。
低酸素症状によって、呼吸頻度の増大、気管支痙攣、ジ
スニア(dysnea)、無呼吸及び最後に動物の虚脱
(転倒すること)が生じた時間を測定した。作業プロト
コルは、以下の3つの部分からなっていた。 1)ヒスタミン−エーロゾルに曝されたモルモットが倒
れた時間を測定した。動物が150秒前に倒れたのであ
るならば、動物は、検定のための正の応答を示すものと
認められた。 2)その3日後、モルモットをヒスタミン攻撃の2分前
に、B−407の150μg/kgの投与量で、腹腔内
投与で(0.2ml/100g)、処理した。 3)その3日後、検定の上記1)の部分を、再び繰返し
た。
【0096】上記試験結果は、動物が倒れる前の経過時
間として秒で表した[「薬理学におけるスクリーニング
法(Screening Methods in Ph
armacology)」における「抗ヒスタミン剤
(AntihistamineAgents)」(第2
2章)(Cap.22))、アカデミック プレス(A
cademic Press)、ニューヨーク(New
York)(1965);Brit.J.Pharm
acology,16,59(1961);Arch.
Intern.Pharmacodyn.129,77
(1960);J.Pharmacol.Exptl.
Therap.,131,73(1961);Arc
h.Intern.Pharmacodyn.115
332(1 erveux vegetatif”における“Les
Antihistam ルゲル バーレ(S.Karger Bale)(スイ
ス)−ニュー ヨーク(New York):(194
8)]。
【0097】
【0098】B−407は、モルモットのヒスタミン誘
発気管支収縮に対する保護効果を示した。 F−麻酔にかけられたラットにおける血圧及び心拍数に
対するB−407の効果 心血管系に対するB−407の急性効果を研究した。1
0μg/kg、30μg/kg及び100μg/kgの
投与量を、静脈内投与(i.v.)した後、動脈の血圧
及び心拍数を体重300g〜350gの雄ウイスターラ
ットについて評価した。ラットをペントバルビタールナ
トリウム 40mg/kgで麻酔した(i.p.)。左
頚静脈に、ポリエチレン管によってカニューレ挿入し、
薬物のi.v.投与を可能にした。通気を容易にするた
めに、気管にカニューレ挿入し、また血圧及び心臓拍動
を記録するために、右頚動脈にカニューレ挿入した。ヘ
パリンナトリウムを、350UI/kgの投与量でi.
v.投与した。動脈のカテーテルをベルゲル ポリグラ
フに取り付けた圧力変換器に接続した。i.v.投与量
は0.4ml/kgであった。作業プロトコルは、次の
通りであった。定常状態の記録を30分の期間にわたっ
て得た。次いで、ノルアドレナリン0.5μg/kg、
その後、イソプロテレノール0.5μg/kgの投与量
を、5〜10分間にわたって投与した。記録の5分後
に、B−407の投与量を増加して、15分毎に投与し
た。心収縮期血圧値の平均値を計算して、平均動脈血圧
(mmHg)を得た。時間単位で収縮の数を数えて、心
拍数(拍動/分)を得た。
【0099】
【0100】単一のi.v.注射で投与されたB−40
7は、麻酔をかけられたラットにおいて、過渡的な投与
量依存性血圧降下作用及び心拍数のわずかな増加を示し
た。 G−マウスに対するB−407の下痢生成効果 合成PGE類似化合物B−407の下痢生成効果を、
スイス マウスで評価し、腹腔内ルート及び膣内ルート
の投与効果を、次のように研究した。 a)腹腔内投与:それぞれの群が25〜30gの10匹
のマウス(5♂及び5♀)である6群を使用した。試験
薬物の0、1、3、10、30、及び100μg/kg
の投与量をi.p.投与した。下痢生成応答を、上記C
項に記載したように、「全てか無しか」の基準で評価し
た。 b)膣内投与(i.vag.):B−407について、
7点投与量応答曲線を行なった。1群が6匹のマウス
(18〜25g)である6群を使用し、それぞれを、B
−407の0、10、18、32、56、100、16
0、及び250μg/kgの投与量で処理した。膣内投
与は、1mlシリンジに取り付けたポリエチレン製カテ
ーテルを通して行われた。このシステムは、10〜15
μlの容量の送出し量を可能にする。群内のマウスの全
数に対する下痢マウスの数の比として、「全てか無し
か」の基準で、動物を評価した。基準限界及び統計量を
もって半数有効量(ED50)を、リッチフィールド及
びウィルコクソン(Litchfield and W
ilcoxon)に従って求めた[Eur.J.Rha
rmacol.34,105(1975);J,Pha
rmacol.Exp.Ther.96,99(194
9)]。
【0101】
【0102】B−407は、i.p.投与及びi.va
g.投与の両方とも、投与量依存性下痢生成効果を誘発
した。しかしながら、i.vag.投与ルートは、これ
が産科における好ましい投与ルートであるので、好まし
いより低い効能を示した。 H−マウスについての探索活性に対するB−407の効
探索活性に対するB−407の効果を、9つの四分円に
分割された40cm×40cm×25cmの開放区内
で、30g〜40gのスイス マウスを用いて評価し
た。一度に一匹のマウスを、この開放区内に入れて、そ
れぞれ3分の連続的な期間で横断した四分円の数を数え
ることによって、その探索活性を評価した。作業プロト
コルは、それぞれの群が10匹の動物である3群につい
ての2回の実験からなっていた。両方の実験において、
各群のマウスを、試験5分前に、B−407の0μg/
kg、30μg/kg及び100μg/kgで予備処理
した。一方の実験では、動物を、B−407投与の10
分前に、鎮痙薬のホマトロピンメチルブロマイド(5m
g/kg)及びパパベリン(5mg/kg)を組み合せ
て、p.o.(経口)投与して処理した。他方の実験で
は、この処理を食塩液で置き換えた。二つの実験は、同
時に実施された。実験結果を、各群の平均値±標準誤差
として表わし、そして統計的有意差をスチューデント式
テストによって評価した。
【0103】
【0104】B−407は、マウスにおける探索活性の
有意な増加を生じた。 I−マウスにおける運動活性に対するB−407の効果 運動活性に対するB−407の効果を18g〜24gの
絶食させたスイス雄マウスで評価した。マウスを回転棒
(rata−rod)上に置き、7r.p.m.の速度
でシリンダーを回転し、そして動物が回転棒上に少なく
とも5分間留まっていることができたかどうかを測定す
ることによって、動物の運動協調活性を決めた。それぞ
れの群が10匹である3群の動物について、試験の15
分前に各群にそれぞれ次の処理を受けさせた。 1)蒸留水(0.1ml/10g、i.p.) 2)B−407、100μg/kg(0.1ml/10
g、i.p.) 3)ジアゼパム、5mg/kg(0.05ml/10
g、p.o.) 群3は、本法の正の対照として構成した。運動活性は、
「全てか無しか」の基準で評価された。この実験結果
は、回転棒上に5分未満留まっていた動物の数対各群に
ついて検定した動物の全数の比として表された[J.A
m.Pharm.Assoc.46(3),208(1
957)]。
【0105】
【0106】B−407の投与後、運動協調活性に対す
るいかなる有意な効果も、マウスには観測されなかっ
た。
【0107】J−マウスにおけるバルビタール酸塩によ
る睡眠時間に対するB−407の効果 バルビタール酸塩による睡眠時間の誘発時間及び持続時
間にたいするB−407の効果を、立直し反射の損失時
間(time of loss)及び回復時間の測定に
よって評価した。これは、20g〜25gの体重のスイ
ス雌マウスを用いて行なった。各群12匹のマウスを2
群用いた。1群はB−407(100μg/kg、i.
p.)で処理した。その15分後、ペントバルビタール
ナトリウム(30mg/kg、i.p.)を投与した。
発症(onset)時間(立直り反射の損失時間)及び
持続時間(立直り反射の損失時間から、バルビタール酸
塩誘発睡眠からの回復時間までの経過時間)を測定し
た。立直り反射の完全な回復は、仰向けに置かれた動物
が1分間に少なくとも3回正常な位置を回復することが
できた時であると想定された。対照マウス群も同じプロ
トコルに従ったが、B−407の代わりに食塩液で処理
された。得られた結果を、各群の平均値±標準誤差とし
て表わし、そして統計的有意差を、スチューデント式テ
ストによって評価した。
【0108】
【0109】B−407は、バルビタール酸塩誘発睡眠
時間の発症時間のわずかであるが有意な減少を、その持
続時間の影響を与えることなく引き起こした。 K−犬における胃分泌液の容量及び酸度に対するB−4
07の効果 10kg〜13kgの体重の健康なビーグル成犬を使用
した。ヒスタミンに対する各犬の基底応答を、胃分泌液
の容量及び酸濃度によって表わして、6回実施した。こ
の目的のために、犬をパブロフの支持器内に置き、プラ
スチック製びんをトーマス型胃フィステル(fistu
la)に、必要な時はそれを清浄にした後に接続した。
不活性のプラスチック製カニューレを経て、発熱性物質
のない無菌等張性食塩液の500ml容びんに接続され
たバタフライ(Butterfly)G21(アボット
(Abbott))によって、食塩液のi.v.注入を
始めた。液の点滴注入は、1ml/分に調節された。1
5分の採集期間で得られた胃分泌液の容量を測定した
(ml/15分として表わした)。15mlの一定部分
(aliquots)を冷凍装置内に保ち、次の日に、
酸滴定を行なった。最初の3回の採集期間を、薬物の不
存在における各犬の実際の基底胃分泌液と認めた。次い
で、食塩液のびんを、食塩液中に16.4μl/mlの
濃度で二塩酸ヒスタミンを溶かした溶液に取り換えた。
点滴注入は、1分当たり20滴(ヒスタミン984μg
/時間)に調節した。増大した胃分泌液が平坦域に到達
した後、B−407を投与した。mEq H/lとし
て表わす酸濃度を、水酸化ナトリウムでの滴定によって
測定した。
【0110】
【0111】得られた抑制のパーセントは、i.v.投
与ルート及びi.vag.投与ルートが生物学的に均等
と認められるということ、又、i.g.投与ルートが、
他のルートと同等の効果を得るためには、より高い1〜
1.5ログ(log)単位の投与量の投与を必要とする
ということを指摘していた。 L−ラットの子宮のホモジネート中の外因性PGF2α
の消失に対するB−407の効果 合成PGE類似化合物、B−407が存在しておりま
た存在していない両方におけるラット子宮薄片の栄養液
中で、外因性PGF2αの消失を測定する実験を行なっ
た。約220gの体重のウィスターラット7匹を、10
0μg/kgの17−β−エストラジオールの皮下投与
によって発情させた。その24時間後、それらのラット
を断頭により殺した。子宮のホーンを解削・分離し、秤
量した。ホーンを切断し、バブリングされたダ ジャロ
ン栄養液と4×10−7Mのジクロフェナックナトリウ
ムとで、15〜20分の間、洗浄した。バブリングとジ
クロフェナックナトリウム含量との両方を、次の段階で
維持した。各ホーンを小さな器官浴内に置き、栄養液単
独又は10−8M若しくは10−7MのB−407含有
栄養液のいずれかで、15〜20分の間、プレインキュ
ベーション(preincubation)した。外因
性PGF2α(媒体中10−8M)を、予め新しい管に
変えられた各ホーンに加えることによって、検定を始め
た。ダ ジャロン液を37℃で添加して、最終容量0.
4mlを得た。200μlの一定部分を、0分、5分、
15分及び30分でサンプリングした。各サンプル中の
PGF2αの濃度を、R.I.A.(シグマ(Sigm
a)、NEN)によって測定し、pg/mg(湿式組
織)として表わした。
【0112】
【0113】B−407による外因性PGF2αの消失
の濃度依存性抑制が、インキュベーションの30分後
に、ラットの子宮薄片において見出された。B−407
は、有用かつ特異な子宮収縮性活性を有するものと結論
づけられる。薬物もまた、気管支拡張活性、血圧降下活
性及び抗胃分泌活性を有している。
【0114】有機合成 実施例1 メタノール(MeOH)(50ml)中にマロン酸ジメ
チル(15.02g)を溶かした溶液を15℃に冷却
し、そして水(20ml)中にLiOH(2.4g)を
溶かした溶液で、2時間の期間にわたって滴下処理し
た。添加終了後、混合物を30分間撹拌し、次いで減圧
下をストリッピング処理して溶媒を除去した。残分を熱
メタノール(100ml)中に取り上げ、この溶液を室
温まで冷却しそして濾過した。濾過をストリッピング処
理して溶媒を除去し、乾燥せしめた。残分をトルエン
(100ml)中に懸濁し、そしてさらにストリッピン
グ処理して残りの水を除去した。溶液を室温まで冷却
し、濾過によって沈殿物を集めて、マロン酸リチウムモ
ノメチルを9.66g(68%)得た。この化合物は、
IR(cm−1):1730、1605、1580であ
った。
【0115】実施例2 THF(40ml)中にイミダゾール(6.37g)を
溶かした溶液及びTHF(10ml)中に塩化チオニル
(2.78g)を溶かした溶液を撹拌しながらまた冷却
しながら(T<15℃)滴加せしめた。混合物を室温で
1.5時間撹拌し、次いで、濾過室内で窒素下濾過し
た。白色沈殿物をTHF(10ml)で洗浄し、濾過溶
液をアゼライン酸モノメチル(4.73g)で処理し
た。生成溶液を室温で1時間撹拌した。他のフラスコ中
で、マロン酸リチウムモノメチル(3g)をHMPA
(7.5ml)とTHF(20ml)との混合物中に懸
濁し、冷却しながら、10℃より低い温度に保ったエー
テル中臭化メチルマグネシウム3Mの7.8mlで処理
した。添加終了後、溶液を室温で30分間撹拌した。上
記イミダゾール溶液を、20℃より低い温度を保ちなが
ら添加し、混合物を室温で一晩中撹拌し、そして氷/水
及びHCl(c)5mlの混合物中に注いだ。混合物を
ベンゼン(3×20ml)で抽出し、有機層を洗浄し
(ブライン、5% NaCO、ブライン)、Na
SO(無水)で乾燥しそして減圧下ストリッピング処
理して溶媒を除去した。真空蒸留で、黄色油を2.7g
(43%)得た。この黄色油は、IR(cm−1):1
730、1710;bp:135−7℃(0.3mmH
g)であった。
【0116】実施例3 メタノール(4.5ml)中にジメチル 3−ケトウン
デカジオエート(1.55g)を溶かした溶液に、水
(4.5ml)中にNaOH(0.85g)を溶かした
溶液を冷却しながら添加し、混合物を室温で一晩放置し
た。溶液をシリコーン浴上で100℃30分間加熱し、
冷却し、エーテル:ベンゼン(1:1)の10mlで2
回(2×10ml)抽出し、2N−HClで酸性にし、
100℃で30分間、シリコーン浴内に置いた。混合物
を冷却し、エーテル:ベンゼン(1:1)で抽出した。
有機層を無水NaSOで乾燥し、減圧下ストリッピ
ング処理して溶媒を除去し、残分をヘキサン:エーテル
(2:1)から再結晶して、生成物を0.99g(88
%)得た。この生成物は、IR(cm−1):170
0;mp:43−5℃であった。
【0117】実施例4 t−BuOH(28−ml)中に金属カリウム(1.6
1g)を溶かした機械撹拌された還流溶液に、t−Bu
OH(15m)中に9−オキソデカン酸(1.55g)
及び蓚酸ジメチル(2.82g)を溶かした溶液を滴加
した。添加終了後、2時間還流を続けた。反応混合物を
冷却し、窒素下で濾過した。濾過ケーキを1N−HCl
で洗浄し、得られた混合物をクロロホルムで抽出した。
有機層を水で洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧
下ストリッピング処理して溶媒を除去し、黄色油を2.
53g(87%)得た。この生成物は、どんなさらなる
精製もなしに使用された。
【0118】実施例5 2、3、5−トリオキソ−4−メトキサリルシクロペン
タンヘプタン酸(27.85g)と1N−HCl(70
0ml)との混合物を、窒素下で2時間還流し、冷却
し、懸濁液をEtAcO(4×150ml)で抽出し、
有機層を水で洗浄し、乾燥し(無水NaSO)、そ
してストリッピング処理して溶媒を除去し、黄色油を1
9.71g得た。これを、シリカゲル及び溶離液として
ヘキサン:EtAcO:AcOH(60:60:1)を
用いてクロマトグラフィーにかけ、黄色固体を13.3
1g(69%)得た。この固体は、IR(cm−1):
1740、16 90、1670、1380;mp:1
02−3℃であった。
【0119】実施例6 EtOH(62ml)と水(76ml)との混合物中に
2、3、5−トリオキソシクロペンタンヘプタン酸
(1.92g)を溶かした溶液に、NaBH固体
(1.1g)を、0〜5℃で添加した。この溶液を30
分間、同じ温度で撹拌し、1N HClで急冷した。溶
液を、室温でかつ減圧でストリッピング処理してEtO
Hを除去し、得られた溶液をEtAcO(3×50m
l)で抽出した。抽出物を併合し、洗浄し(ブライン:
水=1:1)、無水NaSOで乾燥し、減圧下で蒸
発乾固せしめ、生成物を1.91g(98%)得た。こ
の生成物は、IR(cm−1):3400、1700、
1560、1380;mp:124−6℃であった。
【0120】実施例7 MeOH(7ml)中に2、5−ジオキソ−3−ヒドロ
キシシクロペンタンヘプタン酸(XCIII)(350
mg)を溶かした溶液に、2、2−ジメトキシプロパン
(2ml)及び1%メタノール性HCl(0.8ml)
を添加した。混合物を室温で48時間放置し、次いで室
温でかつ減圧下ストリッピング処理し、乾燥した。約1
mlのエーテルを添加し、混合物を室温で48時間放置
した。凝固した混合物を、1%トリエチルアミン含有ベ
ンゼン中に取り上げ、溶液を稀KCO、飽和NH
Cl及びブラインで連続的に洗浄し、無水NaSO
で乾燥し、減圧下ストリッピング処理して溶媒を除去し
た。残分を、エーテルを添加して結晶化し、白色固体と
してXCIVを124mg(32%)得た(スキーム1
3)。この生成物は、IR(cm−1):3400、1
765、1730、1685、1670;mp:88℃
であった。
【0121】実施例8 乾燥トルエン(10ml)をフラスコ内に入れ、−70
℃に冷却した。トルエン(7.5ml)で希釈した3.
4Mレッド アルミ(Red Al)(0.55ml)
及びトルエン(25ml)中にメチル−7−(4−ヒド
ロキシ−2−メトキシ−5−オキソシクロペント−1−
エン)ヘプタノエート(0.460g)を溶かした溶液
を、別々の滴下漏斗内に入れた。2種の溶液を、15分
の期間にわたって、前記フラスコに、同時に滴加した。
反応混合物の温度は、添加の間、−60℃を越えないよ
うにした。混合物を、−70℃で3.5時間そして0℃
で15分間撹拌し、MeOHで急冷し、1N−HClで
酸性にした。有機層を分離し、稀NaHCO及び水で
連続的に洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下ス
トリッピング処理して溶媒を除去した。残分を、THF
(11ml)及び1N−HCl(1.5ml)中に溶解
し、冷蔵庫内に一晩入れた。THFを蒸発せしめ、残分
をEtAcOで稀釈した。有機層を分離し、1%NaH
CO及び水で連続的に洗浄し、無水NaSOで乾
燥し、減圧下ストリッピング処理して溶媒を除去した。
残分をエーテルから結晶化し、白色固体としてXCVを
110mg(27%)得た。これは、IR(c
−1):3400、3050、1730、1680、
1630;mp:45−6℃であった。
【0122】実施例9 DMF(0.7ml)中にメチル−7−(3−ヒドロキ
シ−5−オキソシクロペントー1−エン)ヘプタノエー
ト XCV(100mg)を溶かした溶液を、イミダゾ
ール(46mg)及びトリエチルクロロシラン(78m
g)で処理し、室温で90分間撹拌した。混合物を、氷
水(25ml)上に注ぎ、エーテルで抽出した。エーテ
ル抽出物を併合し、ブラインで洗浄し、無水NaSO
で乾燥し、そして蒸発せしめた。残分を、クロマトグ
ラフィーにかけ(シリカゲル/ヘキサン:EtAcO=
95:5)、生成物(VCVI)を132.2mg(9
0%)得た。これは、IR(cm−1):1730、1
710、1080、740であった。
【0123】実施例10 4−トリメチルシリルオキシ−4−メチル−1−オクチ
ン(XCVII)(4g)と最近希釈したHSnBu
(4.22ml)との混合物を、窒素下、約50−60
℃で、10cmの距離で置かれた150Wの太陽灯を用
いて、5時間加熱した。4−メチル−4−トリエチルシ
リルオキシ−1−オクチンから始まる同様な方式(スキ
−ム14)で、トリエチルシリル誘導体を調製すること
ができた。生成物は、IR(cm−1):1590、1
240、1060、860、840であった。
【0124】実施例11 THF(1.1ml)中に[(E)−1−(トリーn−
ブチル錫)−4−メチル−4−トリメチルシリルオキ
シ]−1−オクテン(308mg)を溶かした溶液を、
窒素下、−60℃まで冷却し、そしてへキサン中2.0
5Nのn−BuLi(0.35ml)を滴下し、−50
℃で1時間撹拌した。−60℃まで冷却した後、THF
(1.1ml)中に1−ペンチニル Cu(I)(73
mg)及びHMPA(0.2ml)を溶かした溶液を添
加し、10分間撹拌した。次いで、エーテル(0.6m
l)中に保護されたエノン(100mg)を溶かした溶
液を添加し、1時間撹拌した。次いで、エーテル(0.
6ml)中にtBDMSiCl(89mg)及びHMP
T(1ml)を溶かした溶液を添加し、−15℃で45
分間撹拌した。得られた反応混合物を、飽和NHCl
溶液上に注ぎ、30分間撹拌し、エーテル(3×15m
l)で抽出し、冷0.5N−HCl、2.5%NaHC
及びブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥
し、ストリッピング処理して溶媒を除去し、油を428
mg得た。これを、溶離液としてn−ヘキサン−EtA
cOの混合物を用いるカラムクロマトグラフィーによっ
て精製して、油として、保護されたエノール(XCI
X)を91.6mg(45%)得た。これは、IR(c
−1):1740、1675であった。
【0125】実施例12 THF(1.22ml)中にLDA(0.177ミリモ
ル)を溶かした溶液を、THF(0.5ml)中にシリ
ルエノールエーテル(64.1mg)を溶かした溶液上
に滴加し、−78℃で10分間撹拌した。次いで、TH
F(0.5ml)中に(PhSe)(34.6mg)
を溶かした溶液を添加し、−78℃で40分間、次いで
−45℃(乾燥氷−アセトニトリル浴)で90分間撹拌
した。反応混合物を、冷0.1M HCl上に注ぎ、E
tAcOで抽出し、ブラインで洗浄し、乾燥し、そして
ストリッピング処理して溶媒を除去し、黄色油を90.
9mg得た。カラムクロマトグラフィー(シリカゲル/
ヘキサン:EtAcO=7:1)処理後、化合物Cを6
0.6mg得た。これは、IR(cm−1):173
0、1675、1570であった。EtAcO(2m
l)及びTHF(1ml)中にフェニルセレニル誘導体
C(60mg)を溶かした溶液を、NaHCO(40
mg)の存在下、30%H(50μl)を用い
て、35℃で酸化し、30分間撹拌した。この溶液をE
tAcOで希釈し、5%NaHCO及びブラインで洗
浄し、乾燥し、そしてストリッピング処理して溶媒を除
去し、油として化合物CIを46mg(72%)得た。
これは、IR(cm−1):1725、1675、16
50であった。
【0126】実施例13 前記化合物CI(46mg)に、AcOH−THF−H
O(3:1:1)(1.1ml)を添加し、室温で3
時間撹拌した。反応混合物をEtAcO(10ml)及
びブライン(15ml)で稀釈した。水相を、エーテル
(2×10ml)で抽出した。有機層を、5%NaHC
及びブラインで中性になるまで洗浄し、乾燥し、ス
トリッピング処理して溶媒を除去し、粗製油を39.7
mg得た。これを、カラムクロマトグラフィー(シリカ
ゲル、ヘキサン−EtAcO)によって精製して、所望
の生成物(CII)を6mg得た。この生成物は、IR
(cm−1):1730、1720、1650であっ
た。
【0127】実施例14 マグネシウム(4.67g)を、無水エーテル(30m
l)、ベンゼン(5ml)中に懸濁し、ヨウ素又はHg
Clで活性化した。トルエン(15.25g)、無
水エーテル40ml中に2−ヘキサノン(10g)及び
臭化プロパルギル80%を溶かした溶液を、おだやかな
還流を生じる速度で滴加した。添加終了後、反応混合物
を還流下3時間加熱し、次いで冷5%HSO(15
0ml)中に注いだ。水相を、エチルエーテル100m
lで3回抽出(3×100ml)した。有機層をブライ
ンで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下ストリ
ッピング処理して溶媒を除去し、粗生成物を11.87
g得た。この残分を真空蒸留して、生成物(CIII)
を8g(57%)得た。これは、1R(cm−1):3
400、3300、2100;bp:80−82℃(3
mmHg)であった。
【0128】実施例15 無水DMF(4.5ml)中に1−オクチン−4−メチ
ル−4−オール(CIII)(2.25g)及びイミダ
ゾール(3.06g)を溶かした溶液を、トリエチルク
ロロシラン(2.97g)で処理した。混合物を室温で
24時間撹拌し、次いでエーテル及び水の混合物中に注
いだ。有機層を、pH=7になるまでブラインで洗浄
し、無水NaSOで乾燥し、減圧下ストリッピング
処理して溶媒を除去し、生成物を3.88g得た。これ
を、溶離液としてn−ヘキサンを用いて、シリカゲルで
クロマトグラフィーにかけ、無色液体として化合物CI
Vを3.4g(81%)得た。これは、IR(c
−1):3300、2100、1100、1000、
740、720であった。同様なやり方で、トリメチル
シリル誘導体(XCVII)を調製した。この化合物
は、IR(cm−1):3300、2100、124
0、1160、1070、1010、860、840;
bp:61−62℃(3mmHg)であった。
【0129】実施例16 4−トリエチルシリルオキシ−4−メチル−1−オクチ
ン(CIV)(0.75g)に、カテコールボラン
(0.40g)を添加した。混合物を、窒素下、60−
70℃で4.5時間の間加熱し、次いで、激しく撹拌し
ながら冷水中へ注いだ。混合物をヘキサンで抽出し、そ
してヘキサン溶液を1N−KOHで5回抽出して、カテ
コールを除去した。次いで、ヘキサン溶液を、MeO
H:HO:KOH(100:20:35)で3〜4回
抽出した。抽出物を併合し、5℃まで冷却し、そして2
N−HClで注意深く酸性にした。溶液をエーテルで抽
出し、そしてエーテル抽出物を水で洗浄し、無水Na
SOで乾燥し、減圧下ストリッピング処理して溶媒を
除去し、暗色油(CV)を0.35g(39%)得た。
これは、IR(cm−1):1630、1370、11
00、1000であった。
【0130】実施例17 MeOH(2.9ml)中にホウ酸(CV)(0.35
g)を溶かした溶液を0℃まで冷却し、水(0.9m
l)中にNaOH(0.1g)を溶かした溶液で処理し
た。この溶液に、MeOH(5.8ml)中にヨウ素
(0.29g)を溶かした溶液を滴加した。混合物をエ
ーテルで稀釈し、水で洗浄し、無水NaSOで乾燥
し、減圧下ストリッピング処理して溶媒を除去し、そし
て溶離液としてヘキサンを用いてシリカゲルでクロマト
グラフィーにかけ、淡赤色の生成物(CVI)を0.2
5g(56%)得た。この生成物は、IR(c
−1):1600、1100、1000、730、7
20であった。
【0131】実施例18 エーテル(2ml)中にCVI(0.45g)を溶かし
た溶液を、N下、−60℃まで冷却し、そしてヘキサ
ン中n−BuLi(1.75ミリモル)を滴加して、1
0分間撹拌し、次いで、エーテル(2ml)中に1−ペ
ンチニル Cu(I)(73mg)及びHMPT(0.
56g)を溶かした溶液を添加し、−60℃で10分間
撹拌した。次いで、エーテル(1ml)中にXCVI
(100mg)を溶かした溶液を添加し、得られた溶液
を1時間撹拌した。次いで、エーテル(2ml)中にT
BDMSiCl(0.32g)及びHMPA(3ml)
を溶かした溶液を添加し、そして−15℃で45分間撹
拌した。反応混合物を、NHClの飽和溶液上に注い
で、30分間撹拌し、エーテルで抽出し、冷HCl、
2.5%NaHCO及びブラインで洗浄し、無水Na
SOで乾燥し、そしてストリッピング処理して溶媒
を除去した。残分を、クロマトグラフィーにかけ、XC
IX(実施例10参照)を得た。
【0132】投与形態 本発明において開示したB−407のようなプロスタグ
ランジン類は、有用かつ特別の子宮収縮性活性を有して
いる。この薬物はまた、気管支拡張活性、血圧降下活性
及び胃の抗分泌活性も有している。これは、「経口
(“per os”)」投与された場合に活性である
が、必要ならば、別の投与ルート、即ち膣、直腸、経皮
のルートが臨床診療において可能である。固体の経口製
剤の場合、式(I)のプロスタグランジン類は、製薬工
業において使用される慣例的な賦形剤(vehicle
s)、即ち通常用いられている賦形剤(excipie
nts)のいずれかと一緒に投与される。錠剤、丸剤、
糖衣丸剤及び硬又は軟ゼラチンカプセルのみならず、放
出の制御された丸剤又は錠剤が開発されている。
【0133】本発明のために有用な代表的賦形剤は、例
えば、とりわけ、バレイショデンプン又はコーンデンプ
ン、ショ糖、デキストロース、微結晶セルロース、二酸
化ケイ素、リン酸二カルシウム、アルギン酸及びアラビ
アガム等であり、ステアリン酸マグネシウムのような滑
沢剤と共に用いられる。トラガカントガム及びゼリーの
ような安定化並びに懸濁化剤、また種々の矯味・矯臭物
質及び着色物質も本件で使用される。活性薬剤として式
(I)のプロスタグランジン類を有する経口液体製剤
は、通常知られているように、適切な液体媒体で賦形さ
れ(vehiculized)そして添加剤、矯味・矯
臭剤、懸濁化剤、保存剤等で補充された溶液又は分散液
のいずれかで投与される。上記製剤における式(I)の
プロスタグランジン類の量は、所望の治療効果及び投与
ルートに依って変わり得る。経口(per os)製剤
の場合、活性薬剤の使用量は、0.1%(プロスタグラ
ンジン/丸剤)程度である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 カルロス アルベルト ブスチェ アルゼンティン共和国 ブエノスアイレス エステバン デ ルカ 2244 (72)発明者 シルビア スサン ギアルコヴィチ アルゼンティン共和国 ブエノスアイレス パチェコ デ メロ 2046−10“2"

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式 (CVII) (式中、Rは、好ましくはメチル、エチル又はイソプロ
    ピル タイプのC−Cアルキル基を表わす)を有す
    ることを特徴とするトランス−Δ−15−デオキシ−
    16−ヒドロキシ−16−メチル−PGEのアルキル
    エステル。
  2. 【請求項2】 式(CII) を有するトランス−Δ−15−デオキシ−16−ヒド
    ロキシ−16−メチルPGEのメチルエステルである
    ことを特徴とする請求項1に記載の、B−407と称せ
    られラセミ体化合物。
  3. 【請求項3】 式(CVIII) (式中、Rは、好ましくはメチル、エチル又はイソプロ
    ピル タイプのC−Cアルキル基を表わし、そして
    R′は、t−ブチル、Sec−ブチルのようなバルキー
    なアルキル基又はフェニル基のような芳香族基を表わ
    す)を有することを特徴とする、請求項1に記載の式
    (CVII)の化合物の合成において前駆物質として有
    用な化合物。
  4. 【請求項4】 式(CIX) (式中、Rは、C−Cアルキル基を表し、そして
    R′は、t−ブチル若しくはSec−ブチルのようなバ
    ルキーなアルキル基又はフェニル基のような芳香族基を
    表わす)の化合物を、ジフェニルセレニウムと、リチウ
    ム ジイソプロピルアミドの存在下で反応せしめること
    を特徴とする、請求項3に記載の式(CVIII)の化
    合物を得る方法。
  5. 【請求項5】 (a)請求項3に記載の式(CVII
    I)の化合物を、過酸化水素と反応させて、式(C
    X)、 の化合物を得、(b)上記化合物(CX)のOSiR
    及びOSiR′R基(但し、R及びR′は、上記と同
    じ化学基を表わす)を酸性媒体中で加水分解することを
    特徴とする請求項1に記載の式(CVII)のラセミ体
    化合物を得る方法。
  6. 【請求項6】 活性薬剤として、式(CVII)のトラ
    ンス−Δ−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16
    −メチル−PGEのアルキルエステルを、薬剤上好都
    合なビヒクル中に含んでいることを特徴とする子宮収縮
    を刺激するのに有用な製剤。
  7. 【請求項7】 活性薬剤として、式(CII)のトラン
    ス−Δ−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−
    メチル−PGEのメチルエステルラセミ体を含んでい
    ることを特徴とする子宮収縮を刺激するのに有用な製
    剤。
JP17630893A 1992-06-08 1993-06-08 トランス−▲δ2▼−15−デオキシ−16−ヒドロキシ−16−メチル−pg▲e1▼のメチルエステル(b−407) Pending JPH06199779A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019087948A1 (ja) * 2017-10-31 2019-05-09 Agc株式会社 プロスタグランジン誘導体の製造方法
US10688072B2 (en) 2014-07-11 2020-06-23 Azanta Danmark A/S Misoprostol dispersible tablet

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