JPH08291108A - インターフェニレン型イソカルバサイクリン類およびその製造法 - Google Patents

インターフェニレン型イソカルバサイクリン類およびその製造法

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JPH08291108A
JPH08291108A JP7092495A JP9249595A JPH08291108A JP H08291108 A JPH08291108 A JP H08291108A JP 7092495 A JP7092495 A JP 7092495A JP 9249595 A JP9249595 A JP 9249595A JP H08291108 A JPH08291108 A JP H08291108A
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JP
Japan
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group
formula
interphenylene
type
isocarbacyclines
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JP7092495A
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English (en)
Inventor
Masahiro Koga
政博 古賀
Toshio Tanaka
利男 田中
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Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】 生体内における安定性に優れた医薬品として
用いられる、新規なインターフェニレン型イソカルバサ
イクリンを得る。 【構成】 下記式(1) 具体的には、例えば で表わされるインターフェニレン型イソカルバサイクリ
ン類およびその製造法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬品として用いられ
るα側鎖にヘテロ原子を有するインターフェニレン型イ
ソカルバサイクリン類およびその製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロスタサイクリンは生体において主と
して動脈の血管内壁で生産される局所ホルモンであり、
その強力な生理活性、例えば血小板凝集抑制活性、血管
拡張活性等により生体の細胞機能を調節する重要な因子
であり、このものを直接医薬品として供する試みが行わ
れている[クリニカル・ファーマコロジー・オブ・プロ
スタサイクリン(Clinical Pharmacology of Prostacyc
lin), Raven Press, N.Y.,1981]。
【0003】しかし、天然プロスタサイクリンは分子内
に非常に加水分解されやすいエノールエーテル結合を有
するため、中性または酸性条件では容易に加水分解され
て失活し、医薬品としてはその化学的不安定性のため好
ましい化合物とは言えない。このため天然プロスタサイ
クリンと同様の生理活性を有する化学的に安定な合成プ
ロスタサイクリン誘導体が鋭意探索されている。なかで
もプロスタサイクリンの6,9α位の酸素原子をメチレ
ン基で置換した誘導体、すなわち9(O)―メタノプロ
スタサイクリン(カルバサイクリン)は化学的安定性を
満足するプロスタサイクリン類として知られており[プ
ロスタサイクリン(Prostacyclin)、I.R.Vane and S.B
ergstrom. Eds. Raven Press, N.Y., P31〜41参
照]、医薬品としての応用が期待されている。しかし、
この9(O)―メタノプロスタサイクリンは、その生物
活性が天然のプロスタサイクリンより弱く、しかもその
作用選択性は特異的とは言えず、必ずしも好ましい化合
物とは言えない。
【0004】近年カルバサイクリンの二重結合異性体の
一種であるイソカルバサイクリン、すなわち、9(O)
―メタノ―Δ6(9α) ―プロスタグランジンI1 類がこ
の同族体の中でも最も強い血小板凝集抑制作用を示すこ
とが発見され、医薬品としての応用が期待されるように
なった[池上ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetrahed
ron Lett.), 24,3493(1983)、特開昭59
―137445号公報]。従来、かかる9(O)―メタ
ノ―Δ6(9α) ―プロスタグランジンI1 (イソカルバ
サイクリン)の製造に関しては、例えば以下のものが知
られており、出発原料と鍵中間体を含めて図示すると次
のとおりである。
【0005】(1)黒住ら、テトラヘドロン・レターズ
(Tetrahedron Letters), 27,6353(198
6):
【0006】
【化4】
【0007】(2)黒住ら、特開昭63―77839号
公報、7th IUPAC Conference on Organic Synthesis, N
ancy, July 4th-7th(1988)Abstr.4-AIO :
【0008】
【化5】
【0009】プロスタグランジン類を医薬品として用い
る場合、体内で簡単に分解失活せず局部に到達するまで
は持続することが重要である。しかしプロスタグランジ
ン類が体内に吸収された場合、15位の水酸基が酸化さ
れたケトン体になったり、α側鎖部のメチレン部分が酸
化(炭素―炭素結合が切断)された失活してしまうこと
が知られている。α側鎖部のメチレン部分に酸化反応に
対して安定なフェニル環を導入すれば医薬品として用い
る場合体内で簡単に分解せず活性が持続することが期待
され、インターフェニレン型イソカルバサイクリン誘導
体が製造されている。
【0010】(3)田中ら、特願平4―266084号
公報およびWO94/07838号。
【0011】
【化6】
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、従来知られていたものと異なる、生体内で
の安定性、ひいては薬効に優れたインターフェニレン型
イソカルバサイクリン類およびその製造法を見出すこと
にある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、医薬品と
して用いた場合体内で簡単に分解せずに活性が持続し、
優れた薬効が期待される新規誘導体を見出すべく鋭意研
究した結果、α側鎖にヘテロ原子を有するインターフェ
ニレン型イソカルバサイクリン類を見出し、本発明に到
達した。
【0014】すなわち、本発明は、下記式(1)
【0015】
【化7】
【0016】[式中、R1 は水素原子、メチル基、また
はビニル基を表わし、R2 は直鎖もしくは分岐鎖のC3
〜C8 アルキル基、アルケニル基、もしくはアルキニル
基であるか、またはC3 〜C7 シクロアルキル基を表わ
し、R3 は水素原子、C1 〜C 10アルキル基、置換され
ていてもよいフェニル基、ベンジル基、ナフチル基、ま
たは一価のカチオンを表わし、Z1 とZ2 は同一もしく
は異なり、水素原子、トリ(C1 〜C7 炭化水素)シリ
ル基、ジフェニル(C1 〜C7 炭化水素)シリル基、ま
たはそれが結合している酸素原子とともにアセタール結
合またはエステル結合を形成する基を表わし、YはA―
(CH2 m を表わし(ここで、Aは酸素原子または硫
黄原子を表わし、mは0〜4の整数を表わす。)、nは
0または1を表わし、xは0〜3の整数を表わす。]で
表わされるインターフェニレン型イソカルバサイクリン
類である。
【0017】上記式(1)において、R1 は水素原子、
メチル基、またはビニル基を表わす。R1 としては水素
原子またはメチル基が好ましく、特に水素原子が好まし
い。
【0018】上記式(1)において、R2 は直鎖もしく
は分岐鎖のC3 〜C8 アルキル基、アルケニル基、もし
くはアルキニル基であるか、またはC3 〜C7 シクロア
ルキル基を表わす。
【0019】R2 の直鎖もしくは分岐鎖のC3 〜C8
ルキル基としては、n―プロピル基、n―ブチル基、n
―ペンチル基、n―ヘキシル基、n―ヘプチル基、n―
オクチル基、1―メチルペンチル基、1―メチルヘキシ
ル基、1,1―ジメチルペンチル基、2―メチルペンチ
ル基、2―メチルヘキシル基、5―メチルヘキシル基、
2,5―ジメチルヘキシル基などが挙げられ、好ましく
は、n―ブチル基、n―ペンチル基、n―ヘキシル基、
(R)―もしくは(S)―もしくは(RS)―1―メチ
ルペンチル基、(R)―もしくは(S)―もしくは(R
S)―2―メチルヘキシル基等が挙げられる。
【0020】R2 の直鎖もしくは分岐鎖のC3 〜C8
ルケニル基としては、2―ブテニル基、2―ペンテニル
基、3―ペンテニル基、2―ヘキセニル基、4―ヘキセ
ニル基、2―メチル―4―ヘキセニル基、6―メチル―
5―ヘプテニル基等が挙げられる。
【0021】R2 の直鎖もしくは分岐鎖のC3 〜C8
ルキニル基としては、2―ブチニル基、2―ペンチニル
基、3―ペンチニル基、2―ヘキシニル基、4―ヘキシ
ニル基、2―オクチニル基、1―メチル―3―ペンチニ
ル基、1―メチル―3―ヘキシニル基、2―メチル―4
―ヘキシニル基等が挙げられる。
【0022】R2 のC3 〜C7 シクロアルキル基として
は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチ
ル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げら
れるが、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル
基等が挙げられる。
【0023】上記式(1)においてR3 は水素原子、C
1 〜C10アルキル基、置換されていてもよいフェニル
基、ベンジル基、ナフチル基、または一価のカチオンを
表わす。R3 としては、水素原子またはC1 〜C10アル
キル基が好ましく、水素原子またはC1 〜C5 アルキル
基がさらに好ましい。具体的には、後述するR31の例と
して挙げたものをそのまま挙げられる。
【0024】上記式(1)において、Z1 とZ2 は同一
もしくは異なり、水素原子、トリ(C1 〜C7 炭化水
素)シリル基、またはそれが結合している酸素原子とと
もにアセタール結合またはエステル結合を形成する基を
表わす。
【0025】Z1 、Z2 のトリ(C1 〜C7 炭化水素)
シリル基としては、例えば、トリメチルシリル基、トリ
エチルシリル基、トリイソプロピルシリル基、t―ブチ
ルジメチルシリル基のようなトリ(C1 〜C4 アルキ
ル)シリル基、t―ブチルジフェニルシリル基のような
ジフェニル(C1 〜C4 アルキル)シリル基、ジメチル
フェニルシリル基のようなジ(C1 〜C4 アルキル)フ
ェニルシリル基、またはトリベンジルシリル基等を好ま
しいものとして挙げることができる。トリ(C1〜C4
アルキル)シリル、ジフェニル(C1 〜C4 アルキル)
シリル基が好ましく、t―ブチルジメチルシリル基が特
に好ましい。
【0026】また、それが結合している酸素原子ととも
にアセタール結合を形成する基としては、例えば、メト
キシメチル基、1―エトキシエチル基、2―メトキシ―
2―プロピル基、2―エトキシ―2―プロピル基、(2
―メトキシエトキシ)メチル基、ベンジルオキシメチル
基、2―テトラヒドロピラニル基、または2―テトラヒ
ドロフラニル基を挙げることができる。2―テトラヒド
ロピラニル基、2―テトラヒドロフラニル基、1―エト
キシエチル基、2―エトキシ―2―プロピル基、(2―
メトキシエトキシ)メチル基が好ましく、2―テトラヒ
ドロピラニル基が特に好ましい。
【0027】また、それが結合している酸素原子ととも
にエステル結合を形成する基としては、例えば、ホルミ
ル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペ
ンタノイル基等の(C1 〜C5 )アシル基やベンゾイル
基、トルイル基等を挙げることができる。アセチル基、
ベンゾイル基が特に好ましい。
【0028】上記式(1)において、R1 、R2 、およ
びOZ2 が結合している炭素原子は不斉炭素であるが、
R体またはS体、あるいはそれらの任意の割合の混合物
のいずれであってもよい。
【0029】さらに、本発明はまた、下記式(2)
【0030】
【化8】
【0031】[式中、Z11とZ21は同一もしくは異な
り、トリ(C1 〜C7 炭化水素)シリル基、ジフェニル
(C1 〜C7 炭化水素)シリル基、またはそれが結合し
ている酸素原子とともにアセタール結合またはエステル
結合を形成する基を表わし、R1、R2 、nは前記定義
に同じである。Bは水酸基またはハロゲン原子を表わ
す。]で表わされるビシクロ[3.3.0]―2―オク
テン類と、下記式(3)
【0032】
【化9】
【0033】[式中、Dはハロゲン原子、水酸基、また
はチオール基を表わし、R31は水素原子、C1 〜C10
ルキル基、置換されていてもよいベンジル基、ナフチル
基、または一価のカチオンを表わす。x、mは前記定義
に同じである。]で表わされる化合物とを塩基性化合物
存在下に反応せしめ、必要により脱保護せしめることを
特徴とする上記式(1)で表わされるインターフェニレ
ン型イソカルバサイクリン類の製造法である。
【0034】本発明方法において、原料として用いられ
る上記式(2)で表わされるビシクロ[3.3.0]―
2―オクテン類は、例えば次に示す合成経路により製造
される。
【0035】柴崎ら、テトラヘドロン・レターズ(Tetr
ahedron Letters )、25,5087(1984)
【0036】
【化10】
【0037】上記式(2)で表わされるビシクロ[3.
3.0]―2―オクテン類の環部分の立体配置は、対応
する天然プロスタサイクリン骨格の立体配置と同一の立
体配置である。もっとも、そのジアステレオマー類、そ
のエナンチオマー類、またはそれらの混合物についても
同様な反応は可能である。
【0038】出発原料として用いられる上記式(2)で
表わされるビシクロ[3.3.0]―2―オクテン類の
好ましい例を、Z11、Z21が水素原子でBが水酸基の形
で列挙すると、 (001) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―1―オクテニル]―7―ヒドロキシビシクロ[3.
3.0]―2―オクテン (002) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―1―ノネニル]―7―ヒドロキシビシクロ[3.3.
0]―2―オクテン (003) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(3S)―(5S)―3
―ヒドロキシ―5―メチル―1―ノネニル]―7―ヒド
ロキシビシクロ[3.3.0]―2―オクテン (004) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(3S)―(5R)―3
―ヒドロキシ―5―メチル―1―ノネニル]―7―ヒド
ロキシビシクロ[3.3.0]―2―オクテン (005) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―9―メチル―1,8―デカンジエニル]―7―ヒドロ
キシビシクロ[3.3.0]―2―オクテン (006) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―4―メチルオクト―2―エン―6―イニル]―7―ヒ
ドロキシビシクロ[3.3.0]―2―オクテン (007) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―3―シクロペンチル―1―プロペニル]―7―ヒドロ
キシビシクロ[3.3.0]―2―オクテン (008) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―3―シクロヘキシル―1―プロペニル]―7―ヒドロ
キシビシクロ[3.3.0]―2―オクテン (009) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―3―メチル―1―オクテニル]―7―ヒドロキシビシ
クロ[3.3.0]―2―オクテン (010) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―3―ヒドロキシ
―3―ビニル―1―オクテニル]―7―ヒドロキシビシ
クロ[3.3.0]―2―オクテン (011) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―4―ヒドロキシ―1―オ
クテニル]―7―ヒドロキシビシクロ[3.3.0]―
2―オクテン (012) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―4―ヒドロキシ
―1―オクテニル]―7―ヒドロキシビシクロ[3.
3.0]―2―オクテン (013) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―4―ヒドロキシ―4―メ
チル―1―オクテニル]―7―ヒドロキシビシクロ
[3.3.0]―2―オクテン (014) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―(S)―4―ヒドロキシ
―4―メチル―1―オクテニル]―7―ヒドロキシビシ
クロ[3.3.0]―2―オクテン (015) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―4―ヒドロキシ―4―メ
チル―1―ノネニル]―7―ヒドロキシビシクロ[3.
3.0]―2―オクテン (016) (1S,5S,6R,7R)―3―ヒド
ロキシメチル―6―[(E)―4―ヒドロキシ―4―ビ
ニル―1―オクテニル]―7―ヒドロキシビシクロ
[3.3.0]―2―オクテン等の化合物が基本化合物
としてあげられる。
【0039】本発明方法では遊離の水酸基は保護された
形で反応に供給されるので、代表的な保護基としてt―
ブチルジメチルシリル基を例にとり、本発明方法の出発
原料である上記式(2)で表わされる3,6,7―三置
換―ビシクロ[3.3.0]―2―オクテン類の具体例
を例示すると (101) 3位がヒドロキシメチル基である(00
1)〜(016)の化合物のビス(t―ブチルジメチル
シリル)エーテル類 (102) 3位がクロロメチル基である(001)
〜(016)の化合物のビス(t―ブチルジメチルシリ
ル)エーテル類 (103) 3位がヨードメチル基である(001)
〜(016)の化合物のビス(t―ブチルジメチルシリ
ル)エーテル類 (104) 3位がブロモメチル基である(001)
〜(016)の化合物のビス(t―ブチルジメチルシリ
ル)エーテル類などを挙げることができるが、これらに
限定されるものではない。
【0040】上記(3)で表わされる化合物の好ましい
代表的な具体例をハライド類の形で列挙すると、p―フ
ルオロ安息香酸、p―クロロ安息香酸、p―ブロモ安息
香酸、p―フルオロフェニル酢酸、p―クロロフェニル
酢酸、p―ブロモフェニル酢酸、p―フルオロ安息香酸
メチルエステル、p―クロロ安息香酸メチルエステル、
p―ブロモ安息香酸メチルエステル、p―ヨード安息香
酸メチルエステル、p―フルオロメチル安息香酸メチル
エステル、p―クロロメチル安息香酸メチルエステル、
p―ブロモメチル安息香酸メチルエステル、p―ヨード
メチル安息香酸メチルエステル、p―フルオロエチル安
息香酸メチルエステル、p―クロロエチル安息香酸メチ
ルエステル、p―ブロモエチル安息香酸メチルエステ
ル、p―ヨードエチル安息香酸メチルエステル、p―フ
ルオロプロピル安息香酸メチルエステル、p―クロロプ
ロピル安息香酸メチルエステル、p―ブロモプロピル安
息香酸メチルエステル、p―ヨードプロピル安息香酸メ
チルエステル、p―フルオロブチル安息香酸メチルエス
テル、p―クロロブチル安息香酸メチルエステル、p―
ブロモブチル安息香酸メチルエステル、p―ヨードブチ
ル安息香酸メチルエステル、およびこれらのp―置換体
のメチルエステルのかわりにエチルエステル、プロピル
エステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イ
ソブチルエステル、t―ブチルエステル、フェニルエス
テル、ベンジルエステル、ナフチルエステル体等とした
もの、さらにはこれらのm―置換体、o―置換体が挙げ
られる。その中でも特に臭素化合物、沃素化合物が多く
用いられる。
【0041】さらに、ヒドロキシ化合物の形で列挙する
と、p―ヒドロキシ安息香酸、p―ヒドロキシフェニル
酢酸、p―ヒドロキシ安息香酸メチルエステル、p―ヒ
ドロキシメチル安息香酸メチルエステル、p―ヒドロキ
シエチル安息香酸メチルエステル、p―ヒドロキシプロ
ピル安息香酸メチルエステル等、およびこれらのp―置
換体のメチルエステルの代りにエチルエステル、プロピ
ルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、
イソブチルエステル、t―ブチルエステル、フェニルエ
ステル、ベンジルエステル、ナフチルエステル体等とし
たもの、さらにはこれらのm―置換体、o―置換体等が
挙げられる。
【0042】また、チオール類の形で列挙すると、p―
メルカプト安息香酸、p―メルカプトフェニル酢酸、p
―メルカプト安息香酸メチルエステル、p―メルカプト
メチル安息香酸メチルエステル、p―メルカプトエチル
安息香酸メチルエステル、p―メルカプトプロピル安息
香酸メチルエステル等、およびこれらのp―置換のメチ
ルエステルの代りにエチルエステル、プロピルエステ
ル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチ
ルエステル、t―ブチルエステル、フェニルエステル、
ベンジルエステル、ナフチルエステル体等としたもの、
さらにはこれらのm―置換体、o―置換体等が挙げられ
る。
【0043】本発明の製造法では有機溶媒中で上記式
(2)で表わされるビシクロ[3.3.0]―2―オク
テン類と、上記式(3)で表わされる化合物とを塩基性
化合物の存在下に反応することにより、上記式(1)で
表わされるインターフェニレン型イソカルバサイクリン
類が製造される。
【0044】ここで塩基性化合物としては、水素化ナト
リウム、水素化リチウム、メチルリチウム、ブチルリチ
ウム、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、D
BU(ジアザビシクロウンデセン)などが具体例として
列挙できる。本発明方法で用いられる有機溶媒として
は、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサ
ン、1,2―ジエトキシエタン等のエーテル類、あるい
はジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N―
メチル―2―ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキ
シド(DMSO)、ベンゼン、トルエン、キシレンなど
の芳香族炭化水素などが用いられる。
【0045】かかる有機溶媒の使用量は目的とする反応
が円滑に進行すれば特に大きな制限はないが、通常1m
molで表わされる反応スケールに換算して1〜100
0mlの範囲で実施され、10〜100mlが好まし
い。上記式(2)で表わされるビシクロ[3.3.0]
―2―オクテン類に対して、上記式(3)で表わされる
化合物は、化学量論的には等モル反応を行なうが、過剰
となってもさしつかえなく、通常1〜10モル倍、好ま
しくは1〜3倍の範囲で用いられる。このときに使用す
る塩基性化合物は、化学量論的には等モル使用するが、
過剰となってもさしつかえなく、通常1〜10モル倍、
好ましくは1〜3倍の範囲で使用される。反応温度は−
78℃〜100℃、好ましくは−78℃〜50℃程度の
温度範囲が採用される。反応時間は出発原料、塩基性化
合物、あるいは反応温度によって異なり、通常薄層クロ
マトグラフィー(TLC)などの分析手段を用いて、出
発原料の消失を追跡しながら実施するが、一般に数分間
〜数十時間反応させると終結する。反応終結後の目的物
である上記式(1)で表わされるインターフェニレン型
イソカルバサイクリン類の単離操作は、通常の後処理手
段、例えば抽出、洗浄、乾燥、濃縮後のクロマトグラフ
ィー、蒸留等の方法により行われる。
【0046】本発明の製造法において、ここまでの段階
で得られる生成物は、下記式(1′)
【0047】
【化11】
【0048】[式中、R1 、R2 、R31、Z11、Z21
Y、n、およびxは前記定義に同じ。]で表わされる2
ケ所の水酸基が保護され、かつ、カルボキシル基も保護
されたインターフェニレン型イソカルバサイクリン類で
ある。
【0049】本発明方法においては、必要により医薬品
として最終的な形としての遊離の水酸基に導く脱保護反
応工程、およびフェニル基の置換基COOR3 の加水分
解反応工程、塩生成工程をも含みうるものである。
【0050】脱保護反応は公知であり、保護基が、それ
が結合している酸素原子とともにアセタール結合を形成
する基の場合には、例えば、酢酸、p―トルエンスルホ
ン酸、ピリジニウム、p―トルエンスルホネート、陽イ
オン交換樹脂等を触媒とし、例えば水、メタノール、エ
タノール、または水、メタノール、エタノール等を共存
させたテトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサ
ン、アセトン、アセトニトリル等を反応溶媒とすること
により好適に実施される。反応温度は通常−78℃〜+
50℃の温度範囲で10分〜3日間程度行われる。保護
基がトリ(C1〜C7 炭化水素)シリル基の場合には、
例えば、酢酸、p―トルエンスルホン酸、ピリジニウ
ム、p―トルエンスルホネート等の酸を触媒とし、上記
した反応溶媒中で同様の温度で行なうか、またはテトラ
ブチルアンモニウムフルオライド、セシウムフルオライ
ド、フッ化水素酸、フッ化水素―ピリジン等のフッ素系
試薬を使用し、テトラヒドロフラン、エチルエーテル、
ジオキサン、アセトン、アセトニトリル等を反応溶媒と
して、上記と同様の温度で同程度の時間行なうことによ
り好適に実施される。保護基が、それが結合している酸
素原子とともにエステル結合を形成する基の場合には、
例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリ
ウム、水酸化カルシウムの水溶液もしくは水―アルコー
ル混合溶媒、あるいはナトリウムメトキシド、カリウム
メトキシド、ナトリウムエトキシドを含むメタノール、
エタノール溶液中で加水分解せしめることにより実施す
ることができる。かくして上記式(1)で表わされるイ
ンターフェニレン型イソカルバサイクリン類が得られ
る。
【0051】
【実施例】以下に実施例を挙げて、本発明をさらに詳細
に説明する。 [実施例1]
【0052】
【化12】
【0053】50mlの反応容器にNaH(60%オイ
ル)(48mg、1.2mmol)を入れ、石油エーテ
ル10mlで2回オイルを洗浄し、分離した。アルゴン
ガス置換後に乾燥ジメチルホルムアミド(DMF)(1
0ml)を加えた。別のフラスコで(1S,5S,6
R,7R)―3―ヒドロキシメチル―6―[(E)―
(S)―3―t―ブチルジメチルシリルオキシ―1―オ
クテニル]―7―t―ブチルジメチルシリルオキシビシ
クロ[3.3.0]―2―オクテン2a(500mg、
0.98mmol)を乾燥DMF(5ml)に溶解し、
50ml反応容器に氷冷攪拌しながら滴下し、同温度で
1時間攪拌した。4―ブロモメチル安息香酸3a(28
6mg、1.25mmol)を乾燥DMF 10mlに
溶解し、氷冷攪拌しながら50ml反応容器に滴下し、
16時間攪拌した。反応液に飽和食塩水120mlを加
え、酢酸エチル(120ml×2回)で抽出し、分液し
た。有機層を食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで
乾燥し、濾過後、濃縮して粗生成物(1.73g)を得
た。このものをシリカゲルカラムクロマトグラフィー
(シリカゲル50g;溶出液ヘキサン:酢酸エチル=2
0:1)に供して、目的とする化合物1a 310mg
(0.47mmol、48%)を得た。
【0054】1H NMR(CDCl3 )δ:0.0〜
0.1(12H,m),0.8〜0.9(21H,
m),1.2〜1.6(9H,m),1.8〜2.6
(6H,m),2.9〜3.1(1H,m),3.65
〜3.80(1H,m),3.90(3H,s),4.
0(2H,s),4.5(2H,s),5.4〜5.5
5(2H,m),5.6(1H,bs),7.4(2
H,d,J=10Hz),8.0(2H,d,J=10
Hz) [実施例2]
【0055】
【化13】
【0056】ジシリル体1a 164mg(0.25m
mol)を5ml THFに溶解し、氷冷攪拌し、テト
ラブチルアンモニウムフロリドの1M THF溶液を
1.0ml(2当量)加え、30℃に加温し、16時間
攪拌した。反応溶媒のTHFを減圧留去後、濃縮物に飽
和塩化アンモニウム水溶液50mlおよび酢酸エチル5
0mlを加え、抽出した。有機層を飽和食塩水(50m
l×2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥
し、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー(n―ヘキサン:酢
酸エチル=1:1〜1:2)にて分離精製を行ない、ジ
オール体4a 100mg(93%)を得た。
【0057】1H NMR(CDCl3 )δ:0.85
(3H,t),1.2〜1.6(9H,m),1.6〜
2.6(8H,m),2.9〜3.1(1H,m),
3.65〜3.80(1H,m),3.9(3H,
s),4.0(2H,s),4.5(2H,s),5.
4〜5.55(2H,m),5.6(1H,bs),
7.4(2H,d,J=10Hz),8.0(2H,
d,J=10Hz),13 C NMR(CDCl3 )δ:14.5, 23.
1, 25.7, 32.2, 37.5, 37.
8,39.5, 44.6, 45.9, 52.6,
58.5, 58.6,69.7, 71.8, 7
3.7, 77.2, 127.7,130.2, 1
32.5, 133.9, 136.2, 138.
7,144.3, 167.5 EI―MS(m/z):410(M―H2 O)+ (1
0),392(M―2H2 O)+ (20),149(1
00) IR(液膜):3360,2953,2928,285
7,1725,1615,1578,1456,143
5,1416,1279,1192,1175,110
7,1020,968,839,756cm-1 [実施例3]
【0058】
【化14】
【0059】ジオール4a 22mg(0.05mmo
l)を室温で、THF5mlを加えて溶解し、LiOH
・H2 O 21mg(0.5mmol)およびH2
1mlのアルカリ水溶液を、THF溶液に攪拌しながら
滴下し、さらに42時間攪拌すると、TLC(ヘキサ
ン:酢酸エチル=1:4)で原料の消失が確認された。
1N HCl 0.6mlを加え、30分間攪拌した
後、飽和食塩水(50ml)および酢酸エチル(50m
l)を加え、抽出した。有機層を再度飽和食塩水(50
ml×2)で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥
し、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物をシ
リカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢酸エ
チル=1:2〜1:4(0.1%酢酸含有)]にて分離
精製し、カルボン酸5a 17mg(81%)を得た。
【0060】1H NMR(CDCl3 )δ:0.85
(3H,t),1.2〜1.6(9H,m),1.8〜
2.6(8H,m),3.0〜3.1(1H,m),
3.65〜3.95(1H,m),4.05(2H,
s),4.1〜4.2(1H,m),4.55(2H,
s),5.4〜5.6(2H,m),5.6(1H,
s),7.4(2H,d,J=10Hz),8.1(2
H,d,J=10Hz) 高分解能―MS(m/z):計算値:C25324 (M―H2 O)+ :396.2302:測定値:39
6.2223 IR(液膜):1716,1615,1579,150
8,1399,1175,1080,1019,100
1,967,849,756cm-1 UV(EtOH):λmax 234.4(log ε 4.15) [実施例4]
【0061】
【化15】
【0062】25mlフラスコにNaH(60%オイ
ル)10mg(0.25mmol)を入れ、石油エーテ
ル5mlで2回洗浄し、分離した。乾燥ジメチルスルホ
キシド(DMSO)5mlを氷冷下加えた。この25m
lフラスコにチオサリチル酸3b 33mg(0.21
mmol)のDMSO(1ml)溶液を氷冷下攪拌しな
がら滴下し、30分間攪拌した。化合物2b 100m
g(0.19mmol)のDMSO(2ml)溶液を滴
下し、1時間攪拌した。反応液を水50mlおよび酢酸
エチル50ml中へ注ぎ、1N HCl 5mlを加
え、水層をpH1として抽出した。有機層を飽和食塩水
(50ml×2回)で洗浄した。水層を酢酸エチル25
mlで抽出した。得られた有機層を合せて、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥し、濾過、濃縮して、粗生成物(14
8mg)を得た。シリカゲルカラムクロマトグラフィー
に供して、目的とする化合物1b 105mg(0.1
6mmol 84%)を得た。
【0063】1H NMR(CDCl3 )δ:0.08
(12H,m),0.8〜0.9(21H,m),1.
1〜1.4(9H,m),1.8〜1.9(1H,
m),2.05〜2.3(4H,m),2.4〜2.6
(1H,m),2.8〜2.9(1H,m),3.55
(2H,s),2.55〜2.7(1H,m),3.9
〜4.1(1H,bs),5.35〜5.45(2H,
m),5.5(1H,bs),7.15(1H,d,J
=8Hz),7.3〜7.5(2H,m),8.05
(1H,d,J=8Hz) IR(液膜):2856,1726,1590,156
3,1471,1462,1408,1362,125
6,1117,1005,970,938,837,7
76,741cm-1 [実施例5]
【0064】
【化16】
【0065】ジシリル体1b 133mg(0.21m
mol)をTHF 5mlに溶解し、氷冷攪拌しながら
テトラブチルアンモニウムフロリドの1M THF溶液
を1.0ml加え、室温で16時間攪拌した。反応液を
飽和塩化アンモニウム水溶液50mlおよび酢酸エチル
50mlに加え抽出した。有機層を飽和食塩水(50m
l×2)で洗浄した。水層を酢酸エチル(50ml)で
抽出した。有機層を合せて、無水硫酸マグネシウムで脱
水乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去して得られた濃縮物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢
酸エチル=1:1〜1:4(0.1%酢酸含有)]にて
分離精製を行って生成物5b 73mg(85%)を得
た。
【0066】1H NMR(CDCl3 )δ:0.8〜
0.9(3H,t),1.2〜1.5(8H,m),
1.7〜1.85(1H,m),2.1〜2.4(4
H,m),2.45〜2.55(1H,m),2.9〜
3.0(1H,m),3.45〜3.80(3H,
m),3.95〜4.05(1H,m),5.1〜5.
4(3H,bs),5.4〜5.6(3H,m),7.
1〜7.25(1H,t,J=8Hz),7.3〜7.
55(2H,m),8.05〜8.10(1H,d,J
=8Hz) 高分解能―MS(m/z):計算値:C24324 S M+ :416.2023:測定値:416.2026 [実施例6]
【0067】
【化17】
【0068】カルボン酸5b 30mg(0.072m
mol)をアセトニトリル2mlに溶解し、N,N―ジ
イソプロピルエチルアミン(16μl)およびヨードメ
タン(6μl)を加えて40℃で16時間攪拌した。冷
却後アセトニトリルを減圧留去した。水(10ml)お
よび酢酸エチル(10ml)を加えて抽出した。有機層
を1N HCl水溶液(10ml)、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液(10ml)、飽和食塩水(10ml×
2)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水
乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去し、得られた濃縮物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸
エチル=1:1〜1:4)にて分離精製を行なってエス
テル体4b 26mg(84%)を得た。
【0069】1H NMR(CDCl3 )δ:0.85
〜0.95(3H,t),1.25〜1.90(9H,
m),2.1〜2.45(4H,m),2.5〜2.7
0(1H,m),3.0〜3.1(1H,m),3.6
(2H,s),3.7〜3.8(1H,m),3.95
(3H,s),4.0〜4.1(1H,m),5.4〜
5.5(2H,m),5.6〜5.7(1H,bs),
7.1〜7.2(1H,t,J=8Hz),7.3〜
7.45(2H,m),7.9〜7.95(1H,d,
J=8Hz) 高分解能―MS(m/z):計算値:C25344 S M+ :430.2179:測定値:430.2120 [実施例7]
【0070】
【化18】
【0071】25mlフラスコにNaH(60%オイ
ル)10mg(0.25mmol)を入れ、石油エーテ
ル5mlで2回オイルを洗浄し、分離した。乾燥ジメチ
ルスルホキシド(DMSO)5mlを氷冷下加えた。4
―メルカプトメチル安息香酸3c 36mg(0.21
mmol)のDMSO(1ml)溶液を氷冷下攪拌しな
がら滴下し、30分間攪拌した。化合物2b 100m
g(0.19mmol)のDMSO(2ml)溶液を滴
下し、室温で16時間攪拌した。反応液を水50mlお
よび酢酸エチル50ml中へ加え、1N HCl 5m
lを更に加えて水層をpH1として抽出した。有機層を
飽和食塩水(50ml×2)で洗浄した。水層を酢酸エ
チル25mlで抽出した。有機層を合せて、無水硫酸マ
グネシウムで乾燥し、濾過、濃縮して、粗生成物を得
た。シリカゲルカラムクロマトグラフィーに供して、目
的とする化合物1c 86mg(0.13mmol 6
8%)を得た。
【0072】1H NMR(CDCl3 )δ:0.08
(12H,m),0.8〜0.9(21H,m),1.
1〜1.5(9H,m),1.8〜2.6(5H,
m),2.95(2H,d,J=16Hz),3.05
(2H,s),3.65(2H,s),3.65〜3.
80(1H,m),4.05〜4.15(1H,m),
5.40(1H,bs),5.4〜5.5(2H,
m),7.35〜7.40(2H,d,J=8Hz),
8.0〜8.05(2H,d,J=8Hz) IR(液膜):2995,2915,2856,169
6,1610,1471,1417,1387,131
2,1255,1115,1005,970,837,
776cm-1 [実施例8]
【0073】
【化19】
【0074】ジシリル体1c 68mg(0.10mm
ol)をTHF 4mlに溶解し、氷冷攪拌しながらテ
トラブチルアンモニウムフロリドの1M THF溶液を
0.8ml加え、室温で16時間攪拌した。反応液を飽
和塩化アンモニウム水溶液50mlおよび酢酸エチル5
0mlに加え抽出した。有機層を飽和食塩水(50ml
×2)で洗浄した。水層を酢酸エチル(50ml)で抽
出した。有機層を合せて、無水硫酸マグネシウムで脱水
乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去した。得られた濃縮物
をシリカゲルカラムクロマトグラフィー[ヘキサン:酢
酸エチル=1:1〜1:4(0.1%酢酸含有)]にて
分離精製を行ってジオール体5c 37mg(86%)
を得た。
【0075】1H NMR(CDCl3 )δ:0.8〜
0.9(3H,m),1.2〜1.6(10H,m),
1.9〜2.1(1H,m),2.2〜2.5(3H,
m),3.0〜3.2(3H,m),3.65(2H,
s),3.7〜3.8(1H,m),4.0〜4.1
(1H,m),5.0〜5.2(3H,bs),5.4
5(1H,bs),5.45〜5.60(2H,m),
7.35〜7.4(2H,d,J=8Hz),8.0〜
8.05(2H,d,J=8Hz) 高分解能―MS(m/z):計算値:C25323 S (M―H2 O)+ :412.2074:測定値:41
2.2123 [実施例9]
【0076】
【化20】
【0077】カルボン酸5c 20mg(0.047m
mol)をアセトニトリル2mlに溶解し、N,N―ジ
イソプロピルエチルアミン(12μl)およびヨードメ
タン(6μl)を加えて40℃で16時間攪拌した。冷
却後、アセトニトリルを減圧留去した。濃縮残渣に水
(10ml)および酢酸エチル(10ml)を加え、抽
出した。有機層を1N HCl水溶液(10ml)、飽
和炭酸水素ナトリウム水溶液(10ml)、飽和食塩水
(10ml×2)で洗浄した。有機層を無水硫酸マグネ
シウムで脱水乾燥し、濾過後、溶媒を減圧留去し、得ら
れた濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘ
キサン:酢酸エチル=1:1〜1:4)にて分離精製を
行なってエステル体4c 15mg(72%)を得た。
【0078】1H NMR(CDCl3 )δ:0.9
(3H,t,J=8Hz),1.2〜1.45(6H,
m),1.45〜2.0(9H,m),3.05(2
H,s),3.0〜3.1(2H,bs),3.65
(2H,s),3.7〜3.8(1H,m),3.9
(3H,s),4.0〜4.1(1H,m),5.45
(1H,bs),5.5〜5.6(2H,m),7.3
〜7.4(2H,d,J=10Hz),7.9〜8.0
(2H,d,J=10Hz) 高分解能―MS(m/z):計算値:C26343 S (M―H2 O)+ :426.2230:測定値:42
6.2187 [参考例1]
【0079】
【化21】
【0080】200mlフラスコにメチル―4―ヨード
メチルベンゾエート1.38g(5mmol)およびチ
オ尿素0.76g(10mmol)を加え、EtOH
40mlを加え攪拌した。水2.5mlを更に加えて1
00℃の油浴上で4時間加熱攪拌した。次に苛性ソーダ
0.60gと水(10ml)を加え2時間100℃の油
浴上で加熱攪拌した。氷冷後1N HCl水溶液(16
ml)を加え30分間攪拌した。反応混合物を飽和食塩
水(150ml)中へ加え、ベンゼン(150ml)で
抽出した。有機層を飽和食塩水(150ml×2)で洗
浄し、有機層を無水硫酸マグネシウムで脱水乾燥し、濾
過後、溶媒を減圧留去し、得られた濃縮物をシリカゲル
カラムクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=1
0:1)にて分離精製を行なってチオール3c 0.6
3g(75%)が得られた。
【0081】1H NMR(CDCl3 )δ:1.8
(1H,t,J=10Hz),3.8(2H,d,J=
10Hz),7.45(2H,d,J=15Hz),
8.10(2H,d,J=15Hz) IR(液膜):2557,1705,1610,157
6,1510,1428,1318,1291,125
0,1177,1127,1105,1020,94
7,860,770,710cm-1 [参考例2]
【0082】
【化22】
【0083】100mlフラスコにアルコール体2a
1.00g(1.97mmol)およびジクロロメタン
40mlを加え、氷冷攪拌した。塩化メタンスルホニル
(MeSO2 Cl)0.19ml(d=1.48、2.
4mmol)およびN,N―ジメチルアミノピリジン1
0mg(0.08mmol)、さらにトリエチルアミン
0.55ml(d=0.726、3.95mmol)を
加えて16時間攪拌した。反応液を水50ml中へ注
ぎ、ジクロロメタンを加えて抽出した。分液した有機層
を1N HCl(50ml×2回)、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液(50ml)、飽和食塩水(50ml×2
回)で洗浄し、得られた有機層を無水硫酸マグネシウム
で乾燥した。濾過後、溶媒を減圧留去し、得られた濃縮
物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン:
酢酸エチル=20:1)にて分離精製を行なって化合物
2b 0.55g(51%)を得た。
【0084】1H NMR(CDCl3 )δ:0.08
(12H,m),0.8〜0.9(21H,m),1.
2〜1.4(9H,m),2.0〜2.65(5H,
m),2.9〜3.1(1H,m),3.7〜3.85
(1H,m),4.05〜4.15(1H,m),4.
10(2H,s),5.45〜5.50(2H,m),
5.65(1H,bs)13 C NMR(CDCl3 )δ:−4.25, −4.
12, −4.00, −3.69, 11.45,1
4.55, 18.60, 18.76, 23.1
4, 23.48,24.24, 25.68, 2
6.37, 26.43, 29.41,30.85,
32.33, 38.25, 39.12, 39.
21,40.33, 43.94, 44.13, 4
6.04, 57.40,68.63, 73.62,
78.25, 129.28,130.77,13
1.36, 134.62, 135.24, 13
7.92 高分解能―MS(m/z):計算値:C25462 Si
2 Cl (M―tBu)+ :469.2727:測定値:46
9.2660
【0085】
【発明の効果】本発明のインターフェニレン型イソカル
バサイクリンは、生体内において安定に存在し、その結
果、薬効に優れた医薬品となり得る。例えば血小板凝集
抑制剤として用いることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 323/62 7419−4H C07C 323/62 C07F 7/18 C07F 7/18 J Q W

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記式(1) 【化1】 [式中、R1 は水素原子、メチル基、またはビニル基を
    表わし、R2 は直鎖もしくは分岐鎖のC3 〜C8 アルキ
    ル基、アルケニル基、もしくはアルキニル基であるか、
    またはC3 〜C7 シクロアルキル基を表わし、R3 は水
    素原子、C1 〜C 10アルキル基、置換されていてもよい
    フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、または一価のカ
    チオンを表わし、Z1 とZ2 は同一もしくは異なり、水
    素原子、トリ(C1 〜C7 炭化水素)シリル基、ジフェ
    ニル(C1 〜C7 炭化水素)シリル基、またはそれが結
    合している酸素原子とともにアセタール結合またはエス
    テル結合を形成する基を表わし、YはA―(CH2 m
    を表わし(ここで、Aは酸素原子または硫黄原子を表わ
    し、mは0〜4の整数を表わす。)、nは0または1を
    表わし、xは0〜3の整数を表わす。]で表わされるイ
    ンターフェニレン型イソカルバサイクリン類。
  2. 【請求項2】 上記式(1)において、xが0である請
    求項1に記載のインターフェニレン型イソカルバサイク
    リン類。
  3. 【請求項3】 上記式(1)において、nが0である請
    求項1または2に記載のインターフェニレン型イソカル
    バサイクリン類。
  4. 【請求項4】 上記式(1)において、R1 が水素原子
    である請求項1から3のいずれかに記載のインターフェ
    ニレン型イソカルバサイクリン類。
  5. 【請求項5】 上記式(1)において、R2 がC3 〜C
    8 アルキル基である請求項1から4のいずれかに記載の
    インターフェニレン型イソカルバサイクリン類。
  6. 【請求項6】 上記式(1)において、R3 が水素原子
    またはC1 〜C10アルキル基である請求項1から5のい
    ずれかに記載のインターフェニレン型イソカルバサイク
    リン類。
  7. 【請求項7】 下記式(2) 【化2】 [式中、Z11とZ21は同一もしくは異なり、トリ(C1
    〜C7 炭化水素)シリル基、ジフェニル(C1 〜C7
    化水素)シリル基、またはそれが結合している酸素原子
    とともにアセタール結合またはエステル結合を形成する
    基を表わし、R1、R2 、nは前記定義に同じである。
    Bは水酸基またはハロゲン原子を表わす。]で表わされ
    るビシクロ[3.3.0]―2―オクテン類と、下記式
    (3) 【化3】 [式中、Dはハロゲン原子、水酸基、またはチオール基
    を表わし、R31は水素原子、C1 〜C10アルキル基、置
    換されていてもよいベンジル基、ナフチル基、または一
    価のカチオンを表わす。x、mは前記定義に同じであ
    る。]で表わされる化合物とを塩基性化合物存在下に反
    応せしめ、必要により脱保護せしめることを特徴とする
    上記式(1)で表わされるインターフェニレン型イソカ
    ルバサイクリン類の製造法。
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