JP7201948B2 - フルオロポリマーの製造方法、ポリテトラフルオロエチレン組成物及びポリテトラフルオロエチレン粉末 - Google Patents

フルオロポリマーの製造方法、ポリテトラフルオロエチレン組成物及びポリテトラフルオロエチレン粉末 Download PDF

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Description

本開示は、フルオロポリマーの製造方法、ポリテトラフルオロエチレン組成物及びポリテトラフルオロエチレン粉末に関する。
乳化重合によりフルオロポリマーを製造する場合、含フッ素アニオン界面活性剤が使用されてきた。最近では、含フッ素アニオン界面活性剤に代えて、炭化水素系界面活性剤の使用も提案されており、種々検討が行われている。
特許文献1には、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記方法が、初期期間、および前記初期期間の後の安定化期間を含み、前記初期期間が:前記重合反応器において前記水性媒体中のフルオロポリマー粒子の初期分散体を調製する工程を含み、前記安定化期間が:前記重合反応器においてフルオロモノマーを重合する工程と、炭化水素含有界面活性剤を前記重合反応器に加える工程とを含み、前記安定化期間中、フッ素系界面活性剤が加えられない方法が記載されている。
特許文献2には、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記方法が、前記重合反応器に:(a)水性媒体、(b)水溶性炭化水素含有化合物、(c)分解剤、(d)フルオロモノマー、および(e)重合開始剤を加える工程を含む初期期間を含み、前記初期期間中、フッ素系界面活性剤は加えられず、前記分解剤が、前記重合開始剤の前に加えられる方法が記載されている。
特許文献3には、重合反応器において、フルオロモノマーを重合して、水性媒体中のフルオロポリマー粒子の分散体を形成するための方法であって、前記重合反応器に:水性媒体、重合開始剤、フルオロモノマー、および炭化水素含有界面活性剤を加える工程と、前記炭化水素含有界面活性剤を不活性化する工程とを含む方法が記載されている。
特許文献4には、フッ素化ポリマー樹脂の熱誘起変色を低減させる方法であって、前記フッ素化ポリマー樹脂は、水性分散媒体中のフルオロモノマーを重合して水性フッ素化ポリマー分散体を形成するステップ、前記水性媒体から湿潤形態のフッ素化ポリマー樹脂を分離することにより前記水性媒体から前記フッ素化ポリマーを単離するステップ、および、乾燥させて乾燥形態のフッ素化ポリマー樹脂を生成するステップにより生成され、前記方法は、湿潤もしくは乾燥形態の前記フッ素化ポリマー樹脂を酸化剤に曝露させるステップを含む方法が記載されている。
また、特許文献5には、フッ素系界面活性剤を用いずに製造可能な変性ポリテトラフルオロエチレンについて記載されている。具体的には、テトラフルオロエチレンに基づく単位を有する重合体と、下記式で表される単量体に基づく単位を有する重合体とを含む変性ポリテトラフルオロエチレンであって、下記式で表される単量体に基づく単位の含有量が、前記変性ポリテトラフルオロエチレンの全単位に対して、10~500質量ppmであり、標準比重が2.155~2.175である、変性ポリテトラフルオロエチレンが記載されている。
式 CH=CR1z-L-R2z
1zは、水素原子またはアルキル基を表す。Lは、単結合、-CO-O-*、-O-CO-*または-O-を表す。*はR2zとの結合位置を表す。R2zは、水素原子、アルキル基またはニトリル基を表す。
特表2013-542308号公報 特表2013-542309号公報 特表2013-542310号公報 国際公開第2013/169581号 国際公開第2019/065644号
本開示は、高分子量のフルオロポリマーを得ることができる製造方法を提供する。
本開示は、炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含むことを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第1の製造方法」ともいう)を提供する。
本開示はまた、アニオン性の炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含み、上記炭化水素系界面活性剤が、上記炭化水素系界面活性剤の塩を含むことを特徴とするフルオロポリマーの製造方法(以下「本開示の第2の製造方法」ともいう)を提供する。
上記重合工程は、実質的に有機酸の形態の上記炭化水素系界面活性剤の非存在下で重合するものであることが好ましい。
上記炭化水素系界面活性剤はカルボン酸型であることが好ましい。
上記重合開始剤がレドックス開始剤であることが好ましく、上記レドックス開始剤は、塩である酸化剤と塩である還元剤との組合せである好ましい。
上記レドックス開始剤は、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤を含む組成物を重合開始後に添加する添加工程を含むことが好ましい。
上記組成物は、pHが5.0以上である水溶液であることが好ましい。
上記組成物に含まれる前記炭化水素系界面活性剤はカルボン酸型であることが好ましい。
上記重合工程は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下にフルオロモノマーを重合するものであることが好ましい。
上記フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンであることが好ましい。
上記ポリテトラフルオロエチレンは、延伸可能なものであることが好ましい。
本開示はそして、ポリテトラフルオロエチレン、及び、マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含み、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン組成物を提供する。
上記マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の原子は、マンガンであることが好ましい。
本開示のポリテトラフルオロエチレン組成物は、上記マンガンの含有量が0.1質量%以下であることが好ましい。
本開示はまた、240℃の温度で熱処理し、下記条件(A)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末を提供する。
条件(A):
ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで1000%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
条件(X):
上記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
本開示は更に、240℃の温度で熱処理し、下記条件(B)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が22.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末を提供する。
条件(B):
ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで100%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
条件(X):
上記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
本開示はまた、下記条件(A)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末を提供する。
条件(A):
ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで1000%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
条件(X):
上記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
本開示は更に、下記条件(B)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末を提供する。
条件(B):
ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで100%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
条件(X):
上記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
本開示の製造方法は、高分子量のフルオロポリマーを得ることができる。
本開示を具体的に説明する前に、本明細書で使用するいくつかの用語を定義又は説明する。
本明細書において、フッ素樹脂とは、部分結晶性フルオロポリマーであり、フルオロプラスチックスである。フッ素樹脂は、融点を有し、熱可塑性を有するが、溶融加工性であっても、非溶融加工性であってもよい。
本明細書において、溶融加工性とは、押出機及び射出成形機等の従来の加工機器を用いて、ポリマーを溶融して加工することが可能であることを意味する。従って、溶融加工性のフッ素樹脂は、後述する測定方法により測定されるメルトフローレートが0.01~500g/10分であることが通常である。
本明細書において、フッ素ゴムとは、非晶質フルオロポリマーである。「非晶質」とは、フルオロポリマーの示差走査熱量測定〔DSC〕(昇温速度10℃/分)あるいは示差熱分析〔DTA〕(昇温速度10℃/分)において現われた融解ピーク(ΔH)の大きさが4.5J/g以下であることをいう。フッ素ゴムは、架橋することにより、エラストマー特性を示す。エラストマー特性とは、ポリマーを延伸することができ、ポリマーを延伸するのに必要とされる力がもはや適用されなくなったときに、その元の長さを保持できる特性を意味する。
本明細書において、部分フッ素化ゴムとは、フルオロモノマー単位を含み、全重合単位に対するパーフルオロモノマー単位の含有量が90モル%未満のフルオロポリマーであって、20℃以下のガラス転移温度を有し、4.5J/g以下の融解ピーク(ΔH)の大きさを有するフルオロポリマーである。
本明細書において、パーフルオロゴム(パーフルオロエラストマー)とは、全重合単位に対するパーフルオロモノマー単位の含有量が90モル%以上のフルオロポリマーであって、20℃以下のガラス転移温度を有し、4.5J/g以下の融解ピーク(ΔH)の大きさを有するフルオロポリマーであり、更に、フルオロポリマーに含まれるフッ素原子の濃度が71質量%以上であるポリマーである。本明細書において、フルオロポリマーに含まれるフッ素原子の濃度は、フルオロポリマーを構成する各モノマーの種類と含有量より、フルオロポリマーに含まれるフッ素原子の濃度(質量%)を計算により求めるものである。
本明細書において、パーフルオロモノマーとは、分子中に炭素原子-水素原子結合を含まないモノマーである。上記パーフルオロモノマーは、炭素原子及びフッ素原子の他、炭素原子に結合しているフッ素原子のいくつかが塩素原子で置換されたモノマーであってもよく、炭素原子の他、窒素原子、酸素原子、硫黄原子、燐原子、硼素原子又は珪素原子を有するものであってもよい。上記パーフルオロモノマーとしては、全ての水素原子がフッ素原子に置換されたモノマーであることが好ましい。上記パーフルオロモノマーには、架橋部位を与えるモノマーは含まれない。
架橋部位を与えるモノマーとは、硬化剤により架橋を形成するための架橋部位をフルオロポリマーに与える架橋性基を有するモノマー(キュアサイトモノマー)である。
本明細書において、ポリテトラフルオロエチレン〔PTFE〕は、全重合単位に対するテトラフルオロエチレンの含有量が99.0質量%以上であるフルオロポリマーであることが好ましい。
本明細書において、フッ素樹脂(但し、ポリテトラフルオロエチレンを除く)及びフッ素ゴムは、いずれも、全重合単位に対するテトラフルオロエチレンの含有量が99.0質量%未満であるフルオロポリマーであることが好ましい。
本明細書において、フルオロポリマーを構成する各モノマーの含有量は、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
本明細書中、特に断りのない限り、「有機基」は、1個以上の炭素原子を含有する基、又は有機化合物から1個の水素原子を除去して形成される基を意味する。
当該「有機基」の例は、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
シアノ基、
ホルミル基、
RaO-、
RaCO-、
RaSO-、
RaCOO-、
RaNRaCO-、
RaCONRa-、
RaOCO-、
RaOSO-、及び、
RaNRbSO
(これらの式中、Raは、独立して、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアルキニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルケニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいシクロアルカジエニル基、
1個以上の置換基を有していてもよいアリール基、
1個以上の置換基を有していてもよいアラルキル基、
1個以上の置換基を有していてもよい非芳香族複素環基、又は
1個以上の置換基を有していてもよいヘテロアリール基、
Rbは、独立して、H又は1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基である)
を包含する。
上記有機基としては、1個以上の置換基を有していてもよいアルキル基が好ましい。
本明細書中、特に断りのない限り、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、及び、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
上記脂肪族基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~4のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、シクロヘキシル基、カルバモイルメチル基等が挙げられる。
上記芳香族基は、例えば、ニトロ基、ハロゲン原子、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族基としては、炭素数6~12、好ましくは総炭素原子数6~10のアリール基、例えば、フェニル基、4-ニトロフェニル基、4-アセチルアミノフェニル基、4-メタンスルホニルフェニル基等が挙げられる。
上記ヘテロ環基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記ヘテロ環基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~10の5~6員ヘテロ環、例えば2-テトラヒドロフリル基、2-ピリミジル基等が挙げられる。
上記アシル基は、脂肪族カルボニル基、アリールカルボニル基、ヘテロ環カルボニル基、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアシル基、例えばアセチル基、プロパノイル基、ベンゾイル基、3-ピリジンカルボニル基等が挙げられる。
上記アシルアミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよく、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは2~8のアシルアミノ基、総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシカルボニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシカルボニル基としては、総炭素原子数2~8、好ましくは2~4のアルコキシカルボニル基、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、(t)-ブトキシカルボニル基等が挙げられる。
上記カルバモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイル基としては、無置換のカルバモイル基、総炭素数2~9のアルキルカルバモイル基、好ましくは無置換のカルバモイル基、総炭素原子数2~5のアルキルカルバモイル基、例えばN-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-フェニルカルバモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホニル基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、ヒドロキシ基、芳香族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記脂肪族スルホニル基としては、総炭素原子数1~6、好ましくは総炭素原子数1~4のアルキルスルホニル基、例えばメタンスルホニル基等が挙げられる。
上記芳香族スルホニル基は、ヒドロキシ基、脂肪族基、脂肪族オキシ基、カルバモイル基、脂肪族オキシカルボニル基、脂肪族チオ基、アミノ基、脂肪族アミノ基、アシルアミノ基、カルバモイルアミノ基等を有していてもよい。上記芳香族スルホニル基としては、総炭素原子数6~10のアリールスルホニル基、例えばベンゼンスルホニル基等が挙げられる。
上記アミノ基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。
上記アシルアミノ基は、例えば、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等を有していてもよい。上記アシルアミノ基としては、総炭素原子数2~12、好ましくは総炭素原子数2~8のアシルアミノ基、より好ましくは総炭素原子数2~8のアルキルカルボニルアミノ基、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、2-ピリジンカルボニルアミノ基、プロパノイルアミノ基等が挙げられる。
上記脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基は、例えば、メタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、2-ピリジンスルホンアミド基等であってもよい。
上記スルファモイル基は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記スルファモイル基としては、スルファモイル基、総炭素原子数1~9のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数2~10のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数7~13のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~12のヘテロ環スルファモイル基、より好ましくはスルファモイル基、総炭素原子数1~7のアルキルスルファモイル基、総炭素原子数3~6のジアルキルスルファモイル基、総炭素原子数6~11のアリールスルファモイル基、総炭素原子数2~10のヘテロ環スルファモイル基、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、N,N-ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基、4-ピリジンスルファモイル基等が挙げられる。
上記脂肪族オキシ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、メトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等を有していてもよい。上記脂肪族オキシ基としては、総炭素原子数1~8、好ましくは1~6のアルコキシ基、例えばメトキシ基、エトキシ基、i-プロピルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
上記芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基は、脂肪族基、脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、カルバモイル基、該アリール基と縮環したヘテロ環基、脂肪族オキシカルボニル基、好ましくは総炭素原子数1~4の脂肪族基、総炭素原子数1~4の脂肪族オキシ基、ハロゲン原子、総炭素原子数1~4のカルバモイル基、ニトロ基、総炭素原子数2~4の脂肪族オキシカルボニル基を有していてもよい。
上記脂肪族チオ基は、飽和であっても不飽和であってもよく、また、総炭素原子数1~8、より好ましくは総炭素原子数1~6のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、カルバモイルメチルチオ基、t-ブチルチオ基等が挙げられる。
上記カルバモイルアミノ基は、脂肪族基、アリール基、ヘテロ環基等を有していてもよい。上記カルバモイルアミノ基としては、カルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~9のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~13のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~12のヘテロ環カルバモイルアミノ基、好ましくはカルバモイルアミノ基、総炭素原子数2~7のアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~6のジアルキルカルバモイルアミノ基、総炭素原子数7~11のアリールカルバモイルアミノ基、総炭素原子数3~10のヘテロ環カルバモイルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、メチルカルバモイルアミノ基、N,N-ジメチルカルバモイルアミノ基、フェニルカルバモイルアミノ基、4-ピリジンカルバモイルアミノ基等が挙げられる。
本明細書においては更に、端点によって表わされる範囲には、その範囲内に含まれるすべての数値が含まれる(例えば、1~10には、1.4、1.9、2.33、5.75、9.98等が含まれる)。
本明細書においては更に、「少なくとも1」の記載には、1以上の全ての数値が含まれる(例えば、少なくとも2、少なくとも4、少なくとも6、少なくとも8、少なくとも10、少なくとも25、少なくとも50、少なくとも100等)。
本明細書において、ppmおよびppbは特に記載のない限り、質量換算で求めた値を意味する。
以下、本開示の製造方法について詳細に説明する。
本開示の第1の製造方法は、炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含む。
従来、フルオロポリマーを製造するための重合工程においては酸性を示す重合開始剤が使用されていたため、重合で使用される水性媒体のpHは4.0未満であった。本開示者等が鋭意検討したところ、意外なことに、重合に用いる水性媒体のpHを4.0以上にすることによって重合の安定性が向上し、分子量が高いフルオロポリマーを製造することができることが見出された。
本開示の第1の製造方法は、pHが4.0以上の水性媒体中でフルオロモノマーを重合する。上記pHは4.0以上であればよく、4.0超が好ましく、4.5以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、5.5以上が更により好ましく、6.0以上が殊更に好ましく、6.5以上が特に好ましく、7.0以上が特に好ましく、7.5以上が特に好ましく、8.0以上が特に好ましい。上記pHの上限値は特に限定されないが、例えば、13.0以下であってよい。重合槽の腐食の観点からは、12.0以下であることが好ましく、11.5以下であることがより好ましく、11.0以下であることがより好ましい。上記pHは、pHメーターにより測定することができる。
本開示の第1の製造方法において、水性媒体のpHを4.0以上にする方法は限定されないが、例えば、アルカリ性水溶液を使用したり、アルカリ性を示す水性分散液を使用したり、pH調整剤を使用したりすることによってpHを4.0以上にすることができるが、特に限定されるものではない。
また、水性媒体に溶解させた時に酸性を示す重合開始剤を使用する場合でも、更に、水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物を加えることでpHを4.0以上に調整することもできる。上記アルカリ化合物としては、水に溶けて電離し、OHを生じる化合物であればよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;アルカリ土類金属の水酸化物;アンモニア;アミン等が挙げられるが、特に限定されるものではない。上記重合工程は、アルカリ化合物を水性媒体に添加する工程を含んでもよい。
本開示の第1の製造方法は、重合工程の全ての期間において水性媒体のpHが4.0以上であってもよい。また、重合工程の中盤においてpHが4.0以上であってもよいし、重合工程の後半でpHが4.0以上であってもよい。また、重合工程の中盤及び後半でpHが4.0以上であってもよい。
例えば、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が3質量%以上である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。言い換えると、本開示の第1の製造方法は、炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中でフルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含み、上記水性媒体は、ポリマー固形分濃度が3質量%以上である時にpHが4.0以上であることが好ましい。上記水性媒体は、ポリマー固形分濃度が5質量%以上である時にpHが4.0以上であることがより好ましく、ポリマー固形分濃度が8質量%以上である時にpHが4.0以上であることが更に好ましく、ポリマー固形分濃度が10質量%以上である時にpHが4.0以上であることが更により好ましく、ポリマー固形分濃度が15質量%以上である時にpHが4.0以上であることが殊更に好ましく、ポリマー固形分濃度が18質量%以上である時にpHが4.0以上であることが特に好ましく、20質量%以上である時にpHが4.0以上であることがより好ましく、25質量%以上である時にpHが4.0以上であることが更に好ましい。
また、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が25質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが好ましく、20質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることがより好ましく、18質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更に好ましく、15質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更により好ましく、10質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが殊更に好ましく、8質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが特に好ましく、5質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることがより好ましく、3質量%となった時点から重合終了まで水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更に好ましい。
また、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることも好ましい。上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が3質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることがより好ましく、5質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることがより好ましく、8質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることが更に好ましく、10質量%以上、15質量%未満である時に、水性媒体のpHが4.0以上であることが更により好ましい。
また、上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が10質量%以上、15質量%までの間、水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが好ましく、8質量%以上、15質量%までの間、水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることがより好ましく、5質量%以上、15質量%までの間、水性媒体のpHを4.0以上で維持するものであることが更に好ましい。
上記水性媒体のpHは、いずれの場合においても、4.0超が好ましく、4.5以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、5.5以上が更により好ましく、6.0以上が殊更に好ましく、6.5以上が特に好ましく、7.0以上がより好ましく、7.5以上が更に好ましく、8.0以上が更により好ましい。
上記重合工程において、重合開始の時点から、ポリマー固形分濃度が3質量%(好ましくは5質量%、より好ましくは8質量%、更に好ましくは10質量%、更により好ましくは15質量%、殊更に好ましくは18質量%、殊更により好ましくは20質量%、特に好ましくは25質量%)の時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、殊更に好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が10質量%(好ましくは8質量、より好ましくは5質量%、更に好ましくは3質量%、更により好ましくは重合開始)の時点から、ポリマー固形分濃度が15質量%の時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、殊更に好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が15質量%の時点から、ポリマー固形分濃度が18質量%(好ましくは20質量%、より好ましくは25質量%)の時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、殊更に好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記重合工程において、ポリマー固形分濃度が25質量%(好ましくは20質量、より好ましくは18質量%、更に好ましくは15質量%、更により好ましくは10質量%、殊更に好ましくは8質量%、特に好ましくは5質量%、より好ましくは3質量%、更に好ましくは重合開始)の時点から、重合終了時点迄の60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上、更に好ましくは90%以上、更により好ましくは95%以上、より好ましくは99%以上、特に好ましくは100%)の期間で水性媒体のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記水性媒体のpHは、いずれの場合においても、4.0超が好ましく、4.5以上がより好ましく、5.0以上が更に好ましく、5.5以上が更により好ましく、6.0以上が殊更に好ましく、6.5以上が特に好ましく、7.0以上がより好ましく、7.5以上が更に好ましく、8.0以上が更により好ましい。
本開示の第1の製造方法において、上記炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤であることが好ましく、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤であることがより好ましい。
本開示の第2の製造方法は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含み、上記炭化水素系界面活性剤が、該炭化水素系界面活性剤の塩を含む。言い換えると、上記重合工程におけるアニオン性の炭化水素系界面活性剤の少なくとも一部が塩の形態である。
本開示者等が鋭意検討したところ、意外なことに、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が、アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩を含むことによって重合の安定性が向上し、分子量が大きいフルオロポリマーを製造することができることが見出された。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤については後述する。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤が、該炭化水素系界面活性剤の塩を含むことは、導電率の測定により確認することができる。
本開示の第2の製造方法において、上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩の濃度が、アニオン性の炭化水素系界面活性剤の総質量に対して50質量%以上であることが好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、80質量%以上が更により好ましく、90質量%以上が殊更に好ましく、95質量%以上が特に好ましい。
上記塩の割合は、溶液濃度と導電率により測定することができる。
本開示の第2の製造方法において、上記炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤であることがより好ましい。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩において、酸の水素原子を置き換える陽イオン(但し、水素原子を除く)は、例えば、金属原子、NR (Rは、各々、同一でも異なっていてもよく、H又は有機基である)、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムである。上記RはH又はアルキル基が好ましく、H又は炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤の塩における上記陽イオンとしては、金属原子、又は、NR が好ましく、NR がより好ましく、NHが更に好ましい。
導電率は、温度の影響が大きく変化することから、恒温槽を用いて、サンプル液温を25℃に保ち、pHメーターのセルの温度も同じにしてから導電率を測定する。
本開示の第1及び第2の製造方法において、上記重合工程は、実質的に有機酸の形態の上記炭化水素系界面活性剤の非存在下で重合するものであることが好ましい。実質的に有機酸の形態の上記炭化水素系界面活性剤の非存在下で重合するものであることによって、重合の安定性がより向上し、高分子量のフルオロポリマーを得ることができる。
実質的に有機酸の形態の上記炭化水素系界面活性剤の非存在下とは、有機酸の濃度が得られた水性分散液の質量に対して、1.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以下がより好ましく、0.1質量%以下が更に好ましく、0.05質量%以下が殊更好ましく、0.01質量%以下が特に好ましい。
本明細書中で「有機酸」とは、酸性を示す有機化合物を意味する。有機酸としては、-COOH基を有するカルボン酸や、-SOH基を有するスルホン酸等が挙げられ、有機酸を含む水溶液のpHを調整するのが容易であるとの観点からカルボン酸が好ましい。
また、「有機酸の形態」とは、有機酸に含まれる酸性基(例えば、-COOH基、-SOH基等)のHが遊離していない形態である。
本開示の第1の製造方法の場合、上記炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤であることが好ましい。
なお、本明細書において、特に断りなく「本開示の製造方法」と記載する場合、第1の製造方法及び第2の製造方法の両方を含む。また、特に断りなく「上記重合工程」と記載する場合、第1の製造方法における重合工程と第2の製造方法における重合工程の両方を含む。
上記重合工程において、重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、水性媒体に対して50ppm超であることが好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、好ましくは60ppm以上であり、より好ましくは70ppm以上であり、更に好ましくは80ppm以上であり、更により好ましくは100ppm以上である。上限は特に限定されないが、例えば、10000ppmであることが好ましく、5000ppmであることがより好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、上記範囲であることによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができ、分子量がより高いフルオロポリマーを得ることができる。
なお、重合は、反応器中の気体フルオロモノマーがフルオロポリマーになり、反応器中の圧力降下が起こる時に開始したということができる。米国特許第3,391,099号明細書(Punderson)には、重合プロセスの2つの別個の段階、まず、核形成部位としてのポリマー核の形成、および次に、確立された粒子の重合を含む成長段階からなる、水性媒体中のテトラフルオロエチレンの分散重合が開示されている。なお、重合は通常、重合されるモノマーと重合開始剤との両方が反応器に充填された時に開始される。また、本開示では、核形成部位の形成に関する添加剤を核形成剤とする。
上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤を含む組成物を重合開始後に添加する添加工程を含むことが好ましい。上記添加工程によって、重合の安定性がより向上し、より高分子量のフルオロポリマーが得られる。
上記炭化水素系界面活性剤は、例えば、固体(例えば、炭化水素系界面活性剤の粉末)の形態であってもよいし、液体の形態であってもよい。
上記組成物は、炭化水素系界面活性剤を含むものであればよく、炭化水素系界面活性剤のみからなるものであってもよいし、炭化水素系界面活性剤と液状媒体とを含む炭化水素系界面活性剤の溶液又は分散体であってもよい。従って、上記添加工程は、炭化水素系界面活性剤単体又は炭化水素系界面活性剤を含む組成物を重合開始後に添加する工程ということもできる。
炭化水素系界面活性剤は1種類に限定されず、2種類以上の混合物であってもよい。
上記液状媒体としては、水性媒体及び有機溶媒のいずれでもよく、水性媒体及び有機溶媒を組み合わせて用いてもよい。
上記組成物として具体的には、炭化水素系界面活性剤が水性媒体に溶解した水溶液、炭化水素系界面活性剤が水性媒体に分散した水性分散液等が挙げられる。
上記添加工程において添加される炭化水素系界面活性剤は、水性媒体に対して、0.0001~10質量%であることが好ましい。水性媒体に対して、より好ましくは、0.001質量%以上であり、更に好ましくは、0.01質量%以上であり、特に好ましくは、0.05質量%以上である。また、水性媒体に対して、より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは、3質量%以下であり、特に好ましくは、1質量%以下である。
重合の安定性が向上し、より高分子量のフルオロポリマーが得られることから、上記組成物は、炭化水素系界面活性剤を含み、pHが5.0以上である水溶液であることが好ましい。
上記水溶液のpHは、6.0以上がより好ましく、6.5以上が更に好ましく、7.0以上が更により好ましく、7.5以上が殊更に好ましく、8.0以上が特に好ましい。また、pHの上限は特に限定されないが、12.0以下であってよく、また、11.0以下であってもよい。
上記添加工程における炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤であることが好ましく、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤であることがより好ましい。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤及びカルボン酸型の炭化水素系界面活性剤としては特に限定されないが、例えば、後述する炭化水素系界面活性剤の中で例示したアニオン性の炭化水素系界面活性剤及びカルボン酸型炭化水素系界面活性剤を好適に使用できる。
上記重合工程はまた、更に、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含んでもよい。炭化水素系界面活性剤を連続的に添加するとは、例えば、炭化水素系界面活性剤を一括ではなく、経時的に、かつ、間断なく又は分割して、添加することである。
上記重合工程において、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程は、水性媒体中に形成されるフルオロポリマーの濃度が0.60質量%未満であるときに、炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始めるものであることが好ましい。上記炭化水素系界面活性剤は、上記濃度が0.50質量%以下であるときに添加し始めることがより好ましく、0.36質量%以下であるときに添加し始めることが更に好ましく、0.30質量%以下であるときに添加し始めることが更により好ましく、0.20質量%以下であるときに添加し始めることが殊更に好ましく、0.10質量%以下であるときに添加し始めることが特に好ましく、重合開始とともに、添加し始めることが最も好ましい。上記濃度は、水性媒体及びフルオロポリマーの合計に対する濃度である。
なお、「水性媒体中に形成されるフルオロポリマーの濃度が0.60質量%未満であるときに、炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始める」場合、フルオロポリマーの濃度が0.60質量%未満である時に、連続的に添加される炭化水素系界面活性剤の少なくとも一部が添加されればよく、0.60質量%以上になった後にも継続して添加されてよい。
上記工程を含むことによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができ、分子量がより高いフルオロポリマーを得ることができる。
上記炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、上記炭化水素系界面活性剤の添加量は、水性媒体100質量%に対して0.0001~10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、更に好ましい下限は0.01質量%であり、より好ましい上限は5質量%であり、更に好ましい上限は1質量%である。
上記重合工程において、炭化水素系界面活性剤の添加量の総量は、水性媒体100質量%に対して0.001~10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.01質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。
なお、上記総量は、重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量、重合開始後に添加される炭化水素系界面活性剤の合計量であり、重合終了後に添加される炭化水素系界面活性剤の量は含まれない。
上記重合工程は、重合反応器に、水性媒体、上記炭化水素系界面活性剤、モノマー及び必要に応じて他の添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の重合開始剤を加え、重合反応を開始することにより行うことができる。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤及び上記炭化水素系界面活性剤等を追加添加してもよい。上記炭化水素系界面活性剤を重合反応が開始した後に添加してもよい。
上記重合工程における重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
例えば、重合温度が10~150℃であることが好ましい。重合温度は、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。
重合圧力は0.05~10MPaGであることが好ましい。重合圧力は、0.3MPaG以上がより好ましく、0.5MPaG以上が更に好ましい。また、5.0MPaG以下がより好ましく、3.0MPaG以下が更に好ましい。特に、PTFEの得量を向上させる観点からは、1.0MPaG以上が好ましく、1.2MPaG以上がより好ましく、1.5MPaG以上が更により好ましく、1.8MPaG以上が殊更に好ましく、2.0MPaG以上が特に好ましい。
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。
上記重合開始剤としては、油溶性ラジカル重合開始剤、水溶性ラジカル重合開始剤又はレドックス開始剤を使用できる。
上記重合開始剤の濃度は、モノマーの種類、目的とするフルオロポリマーの分子量、反応速度によって適宜決定される。
重合開始剤の添加量は、特に限定はないが、重合速度が著しく低下しない程度の量(たとえば、数ppm対水濃度)以上を重合の初期に一括して、または逐次的に、または連続して添加すればよい。上限は、装置面から重合反応熱で除熱を行いながら、反応温度を上昇させてもよい範囲であり、より好ましい上限は、装置面から重合反応熱を除熱できる範囲である。
油溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の油溶性の過酸化物であってよく、たとえばジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジsec-ブチルパーオキシジカーボネートなどのジアルキルパーオキシカーボネート類、t-ブチルパーオキシイソブチレート、t-ブチルパーオキシピバレートなどのパーオキシエステル類、ジt-ブチルパーオキサイドなどのジアルキルパーオキサイド類などが、また、ジ(ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-テトラデカフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(ω-ハイドロ-ヘキサデカフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロバレリル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロヘプタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(パーフルオロノナノイル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-ヘキサフルオロブチリル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-デカフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(ω-クロロ-テトラデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ω-ハイドロ-ドデカフルオロヘプタノイル-ω-ハイドロヘキサデカフルオロノナノイル-パーオキサイド、ω-クロロ-ヘキサフルオロブチリル-ω-クロ-デカフルオロヘキサノイル-パーオキサイド、ω-ハイドロドデカフルオロヘプタノイル-パーフルオロブチリル-パーオキサイド、ジ(ジクロロペンタフルオロブタノイル)パーオキサイド、ジ(トリクロロオクタフルオロヘキサノイル)パーオキサイド、ジ(テトラクロロウンデカフルオロオクタノイル)パーオキサイド、ジ(ペンタクロロテトラデカフルオロデカノイル)パーオキサイド、ジ(ウンデカクロロドトリアコンタフルオロドコサノイル)パーオキサイドのジ[パーフロロ(またはフルオロクロロ)アシル]パーオキサイド類などが代表的なものとしてあげられる。
水溶性ラジカル重合開始剤としては、公知の水溶性過酸化物であってよく、たとえば、過硫酸、過ホウ酸、過塩素酸、過リン酸、過炭酸などのアンモニウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、ジコハク酸パーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド等の有機過酸化物、t-ブチルパーマレエート、t-ブチルハイドロパーオキサイドなどがあげられる。サルファイト類のような還元剤も併せて含んでもよく、その使用量は過酸化物に対して0.1~20倍であってよい。
本開示の製造方法において、重合開始剤はレドックス開始剤であることが好ましく、酸化剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤であることがより好ましい。
上記酸化剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;ジコハク酸パーオキサイド、ジグルタル酸パーオキサイド等の有機過酸化物;過マンガン酸、過マンガン酸アンモニウム、過マンガン酸のアルカリ金属塩(過マンガン酸カリウム等)、過マンガン酸のアルカリ土類金属塩等の過マンガン酸塩;三酢酸マンガン(CMnO);セリウム硝酸アンモニウム、セリウム硫酸アンモニウム等のセリウム(IV)塩;臭素酸、臭素酸アンモニウム、臭素酸のアルカリ金属塩、臭素酸のアルカリ土類金属塩等の臭素酸又はその塩等が挙げられる。
上記還元剤としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸等のジカルボン酸又はその塩;臭素酸又はその塩;ジイミン;等が挙げられる。ジカルボン酸又はその塩としては、シュウ酸又はその塩が好ましい。臭素酸又はその塩としては、臭素酸カリウムが好ましい。
開始剤の分解速度を上げるため、レドックス開始剤の組み合わせには、銅塩、鉄塩を加えることも好ましい。銅塩としては、硫酸銅(II)、鉄塩としては硫酸鉄(II)が挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、三酢酸マンガン、セリウム(IV)塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩、若しくは、ジイミンであることが好ましい。
より好ましくは、酸化剤が、過マンガン酸又はその塩、過硫酸塩、若しくは、臭素酸又はその塩であり、還元剤が、ジカルボン酸又はその塩である。
上記レドックス開始剤としては、例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウム等の組合せが挙げられる。
レドックス開始剤を用いる場合は、酸化剤又は還元剤のいずれかをあらかじめ重合槽に仕込み、ついでもう一方を連続的又は断続的に加えて重合を開始させてもよい。例えば、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウムを用いる場合、重合槽にシュウ酸アンモニウムを仕込み、そこへ過マンガン酸カリウムを連続的に添加することが好ましい。
なお、本明細書のレドックス開始剤において、「過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム」と記載した場合、過マンガン酸カリウムとシュウ酸アンモニウムとの組合せを意味する。他の化合物においても同じである。
上記レドックス開始剤としては、レドックス開始剤水溶液のpHを4.0以上とすることができる酸化剤又は還元剤を使用することが好ましい。上記レドックス開始剤水溶液とは、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、または、還元剤の0.50質量%濃度水溶液を意味する。
すなわち、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の少なくとも一方のpHが4.0以上であればよく、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の両方のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記レドックス開始剤水溶液(酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、又は、還元剤の0.50質量%濃度水溶液)のpHは、それぞれ、5.0以上がより好ましく、5.5以上が更に好ましく、6.0以上が特に好ましい。
上記レドックス開始剤は特に、塩である酸化剤と塩である還元剤との組み合わせであることが好ましい。
例えば、上記塩である酸化剤は、過硫酸塩、過マンガン酸塩、セリウム(IV)塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、過マンガン酸塩が更に好ましく、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
また、上記塩である還元剤は、シュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、シュウ酸塩が更に好ましく、シュウ酸アンモニウムが特に好ましい。
上記レドックス開始剤として具体的には、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記重合工程でレドックス開始剤を用いることによって、得られるフルオロポリマーの分子量を高くすることができる。そのため、フルオロポリマーがPTFEである場合、SSGを小さくすることができ、延伸可能なものとすることができる。
また、上記重合工程でレドックス開始剤を用いることによって、水性分散液中に生成されるフルオロポリマーの粒子数を多くすることができる。また、フルオロポリマーの得量を高くすることもできる。
レドックス開始剤を使用する場合、重合初期に酸化剤と還元剤を一括で添加してもよいし、重合初期に還元剤を一括で添加し、酸化剤を連続して添加してもよいし、重合初期に酸化剤を一括で添加し、還元剤を連続して添加してもよいし、酸化剤と還元剤の両方を連続して添加してもよい。
重合開始剤としてレドックス開始剤を使用する場合、水性媒体に対して、酸化剤の添加量が5~10000ppmであることが好ましく、10~1000ppmであることがより好ましく、還元剤の添加量が5~10000ppmであることが好ましく、10~1000ppmであることがより好ましい。
また、上記重合工程でレドックス開始剤を用いる場合、重合温度は、100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましく、90℃以下が更に好ましい。また、10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、30℃以上が更に好ましい。
上記レドックス開始剤を用いる場合のフルオロポリマーは限定されず、後述する(I)非溶融加工性フッ素樹脂としてのTFE重合体(PTFE)が、(II)溶融加工性フッ素樹脂としての、エチレン/TFE共重合体[ETFE]、TFE/HFP共重合体[FEP]、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体[PFA、MFA等]、TFE/VDF共重合体、電解質ポリマー前駆体が、(III)フッ素ゴムとして、TFE/プロピレン共重合体、TFE/プロピレン/第3モノマー共重合体(上記第3モノマーは、VDF、HFP、CTFE、フルオロアルキルビニルエーテル類等)、TFEとフルオロアルキルビニルエーテル類とからなる共重合体;HFP/エチレン共重合体、HFP/エチレン/TFE共重合体;PVDF;VDF/HFP共重合体、HFP/エチレン共重合体、VDF/TFE/HFP共重合体等の熱可塑性エラストマー;及び、特公昭61-49327号公報に記載の含フッ素セグメント化ポリマー等の製造で好適に使用できる。中でも、PTFE、FEP、PFA、又はフッ素ゴムの製造に好適であり、PTFEの製造に特に好適である。
上記重合工程は、更に核形成剤の存在下に、フルオロモノマーを重合するものであってもよい。
上記核形成剤としては、例えば、フルオロポリエーテル、非イオン性界面活性剤、及び、連鎖移動剤からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
この場合、本開示の第1の製造方法において、上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤(但し、非イオン性界面活性剤を除く)、核形成剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得るものであってもよい。
本開示の第2の製造方法において、上記重合工程は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤、核形成剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得るものであってもよい。
上記フルオロポリエーテルとしては、パーフルオロポリエーテルが好ましい。
上記フルオロポリエーテルは、式(1a)~(1d)で表される繰り返し単位を有するものであることが好ましい。
(-CFCF-CF-O-) (1a)
(-CF-CF-CF-O-) (1b)
(-CF-CF-O-)-(-CF-O-) (1c)
(-CF-CFCF-O-)-(-CF-O-) (1d)
(式(1a)~(1d)中、m及びnは1以上の整数である。)
上記フルオロポリエーテルとしては、フルオロポリエーテル酸又はその塩が好ましく、上記フルオロポリエーテル酸は、カルボン酸、スルホン酸、スルホンアミド、又は、ホスホン酸であることが好ましく、カルボン酸であることがより好ましい。フルオロポリエーテル酸又はその塩のなかでも、フルオロポリエーテル酸の塩が好ましく、フルオロポリエーテル酸のアンモニウム塩がより好ましく、フルオロポリエーテルカルボン酸のアンモニウム塩が更に好ましい。
上記フルオロポリエーテル酸又はその塩は、分子の主鎖中の酸素原子が、1~3個の炭素原子を有する飽和フルオロカーボン基により分離されているいずれかの鎖構造を有することが可能である。2種以上のタイプのフルオロカーボン基が分子中に存在し得る。
上記フルオロポリエーテル酸又はその塩としては、下記式:
CF-CF-CF-O(-CFCF-CF-O-)CFCF-COOH、CF-CF-CF-O(-CF-CF-CF-O-)-CF-CFCOOH、又は、
HOOC-CF-O(-CF-CF-O-)-(-CF-O-)CFCOOH
(式中、m及びnは前記と同じ。)
で表わされる化合物又はそれらの塩であることが好ましい。
これらの構造は、J.Appl.Polymer Sci.、57、797(1995年)においてKasaiにより検討されている。ここに開示されているとおり、このようなフルオロポリエーテルは、一端または両端に、カルボン酸基またはその塩を有することが可能である。同様に、このようなフルオロポリエーテルは、一端または両端に、スルホン酸またはホスホン酸基またはその塩を有し得る。加えて、両端に酸官能基を有するフルオロポリエーテルは、異なる基を各端部に有し得る。単官能性フルオロポリエーテルについて、分子の他端は通常は過フッ素化されているが、水素または塩素原子を含有していてもよい。
一端または両端に酸基を有するフルオロポリエーテルは、少なくとも2つのエーテル酸素、好ましくは少なくとも4つのエーテル酸素、およびさらにより好ましくは少なくとも6つのエーテル酸素を有する。好ましくは、エーテル酸素を分離するフルオロカーボン基の少なくとも1つ、より好ましくはこのようなフルオロカーボン基の少なくとも2つは、2または3個の炭素原子を有する。さらにより好ましくは、エーテル酸素を分離するフルオロカーボン基の少なくとも50%が2または3個の炭素原子を有する。また、好ましくは、フルオロポリエーテルは合計で少なくとも15個の炭素原子を有し、例えば、上記の繰り返し単位構造中のnまたはn+mの好ましい最小値は、少なくとも5である。酸基を一端または両端に有する2種以上のフルオロポリエーテルを、本開示による方法において用いることが可能である。典型的には、単一種の特定のフルオロポリエーテル化合物の製造において特別な注意が払われない限り、フルオロポリエーテルは、平均分子量に対する分子量範囲内の様々な割合で複数種の化合物を含有し得る。
上記フルオロポリエーテルは、数平均分子量が800g/mol以上であることが好ましい。フルオロポリエーテル酸又はその塩は、水性媒体中への分散が困難であるおそれがあることから、数平均分子量が6000g/mol未満であることが好ましい。フルオロポリエーテル酸又はその塩は、数平均分子量が800~3500g/molであることがより好ましく、1000~2500g/molであることが更に好ましい。
上記フルオロポリエーテルの量は、水性媒体に対して5~3000ppmであることが好ましく、5~2000ppmであることがより好ましく、さらに好ましい下限は10ppm、さらに好ましい上限は、100ppmである。
上記核形成剤としての非イオン性界面活性剤としては、後述する炭化水素系界面活性剤としての非イオン性界面活性剤が挙げられ、フッ素を含有しない非イオン性界面活性剤であることが好ましい。例えば、下記一般式(i)
3z-O-A-H (i)
(式中、R3zは、炭素数8~18の直鎖状若しくは分岐鎖状の1級又は2級アルキル基であり、Aは、ポリオキシアルキレン鎖である。)により表される化合物が挙げられる。
3zの炭素数は10~16が好ましく、12~16がより好ましい。R3zの炭素数が18以下であると水性分散液の良好な分散安定性が得られやすい。またR3zの炭素数が18を超えると流動温度が高いため取扱い難い。R3zの炭素数が8より小さいと水性分散液の表面張力が高くなり、浸透性やぬれ性が低下しやすい。
ポリオキシアルキレン鎖はオキシエチレンとオキシプロピレンとからなるものであってもよい。ポリオキシアルキレン鎖として好ましくは、オキシエチレン基の平均繰り返し数5~20およびオキシプロピレン基の平均繰り返し数0~2からなるポリオキシアルキレン鎖であり、親水基である。オキシエチレン単位数は、通常提供される広いまたは狭い単峰性分布、またはブレンドすることによって得られるより広いまたは二峰性分布のいずれかを含み得る。オキシプロピレン基の平均繰り返し数が0超の場合、ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシエチレン基とオキシプロピレン基はブロック状に配列しても、ランダム状に配列してもよい。
水性分散液の粘度および安定性の点からは、オキシエチレン基の平均繰り返し数7~12およびオキシプロピレン基の平均繰り返し数0~2より構成されるポリオキシアルキレン鎖が好ましい。特にAがオキシプロピレン基を平均して0.5~1.5有すると低起泡性が良好であり好ましい。
より好ましくは、R3zは、(R’)(R’’)HC-であり、ここで、R’及びR’’は、同じか又は異なる直鎖、分岐鎖、又は環式のアルキル基であり、炭素原子の合計量は、少なくとも5個、好ましくは7~17個である。好ましくは、R’またはR’’のうちの少なくとも一つは、分岐状または環状炭化水素基である。
上記一般式(i)により表される化合物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の具体例としては、C1327-O-(CO)10-H、C1327-O-(CO)-H、C1225-O-(CO)10-H、C1021CH(CH)CH-O-(CO)-H、C1327-O-(CO)-(CH(CH)CHO)-H、C1633-O-(CO)10-H、HC(C11)(C15)-O-(CO)-H等が挙げられる。上記一般式(i)により表される化合物(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)の市販品としては、例えば、Genapol X080(製品名、クラリアント社製)、ノイゲンTDS-80(商品名)を例とするノイゲンTDSシリーズ(第一工業製薬社製)、レオコールTD-90(商品名)を例とするレオコールTDシリーズ(ライオン社製)、ライオノール(登録商標)TDシリーズ(ライオン社製)、T-Det A138(商品名)を例とするT-Det Aシリーズ(Harcros Chemicals社製)、タージトール(登録商標)15Sシリーズ(ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤は、平均約4~約18個のエチレンオキシド単位を有する2,6,8-トリメチル-4-ノナノールのエトキシレート、平均約6~約12個のエチレンオキシド単位を有する2,6,8-トリメチル-4-ノナノールのエトキシレート、またはその混合物であることも好ましい。この種類の非イオン性界面活性剤は、例えば、TERGITOL TMN-6、TERGITOL TMN-10、及びTERGITOL TMN-100X(いずれも製品名、ダウ・ケミカル社製)としても市販されている。
また、非イオン性界面活性剤の疎水基は、アルキルフェノール基、直鎖アルキル基及び分岐アルキル基の何れかであってもよい。
例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系非イオン性化合物としては、例えば、下記一般式(ii)
4z-C-O-A-H (ii)
(式中、R4zは、炭素数4~12の直鎖状又は分岐鎖状の1級若しくは2級のアルキル基であり、Aは、ポリオキシアルキレン鎖である。)で示される化合物が挙げられる。記ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル系非イオン性化合物として具体的には、トライトン(登録商標)X-100(商品名、ダウ・ケミカル社製)等が挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤としてはポリオール化合物も挙げられる。具体的には、国際公開第2011/014715号に記載されたもの等が挙げられる。
ポリオール化合物の典型例としては、ポリオール単位として1個以上の糖単位を有する化合物が挙げられる。糖単位は、少なくとも1個の長鎖を含有するように変性されてもよい。少なくとも1つの長鎖部分を含有する好適なポリオール化合物としては、例えば、アルキルグリコシド、変性アルキルグリコシド、糖エステル、及びこれらの組み合わせが挙げられる。糖としては、単糖、オリゴ糖、及びソルビタンが挙げられるが、これらに限定されない。単糖としては、五炭糖及び六炭糖が挙げられる。単糖の典型例としては、リボース、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、アラビノース、キシロースが挙げられる。オリゴ糖としては、2~10個の同一又は異なる単糖のオリゴマーが挙げられる。オリゴ糖の例としては、サッカロース、マルトース、ラクトース、ラフィノース、及びイソマルトースが挙げられるが、これらに限定されない。
典型的に、ポリオール化合物として使用するのに好適な糖としては、4個の炭素原子と1個のヘテロ原子(典型的に、酸素又は硫黄であるが、好ましくは酸素原子)との五員環を含有する環状化合物、又は5個の炭素原子と上述のような1個のヘテロ原子、好ましくは酸素原子との六員環を含有する環状化合物が挙げられる。これらは、炭素環原子に結合している少なくとも2個の又は少なくとも3個のヒドロキシ基(-OH基)を更に含有する。典型的に、糖は、エーテル又はエステル結合が長鎖残基と糖部分との間に作製されるように、炭素環原子に結合しているヒドロキシ基(及び/又はヒドロキシアルキル基)の水素原子のうちの1個以上が、長鎖残基によって置換されているという点で変性されている。
糖系ポリオールは、1個の糖単位又は複数の糖単位を含有してもよい。1個の糖単位又は複数の糖単位は、上述のような長鎖部分で変性されてもよい。糖系ポリオール化合物の特定の例としては、グリコシド、糖エステル、ソルビタンエステル、並びにこれらの混合物及び組み合わせが挙げられる。
ポリオール化合物の好ましい種類は、アルキル又は変性アルキルグルコシドである。これらの種類の界面活性剤は、少なくとも1個のグルコース部分を含有する。
Figure 0007201948000001
(式中、xは、0、1、2、3、4、又は5を表し、R1y及びR2yは、独立して、H又は少なくとも6個の炭素原子を含有する長鎖単位を表すが、但しR1y及びR2yのうちの少なくとも1個はHではない)によって表される化合物が挙げられる。R1y及びR2yの典型例としては、脂肪族アルコール残基が挙げられる。脂肪族アルコールの例としては、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール(ラウリルアルコール)、テトラデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、エイコサン酸、及びこれらの組み合わせ挙げられる。
上記の式は、ピラノース形態のグルコースを示すアルキルポリグルコシドの特定の例を表すが、他の糖又は同じ糖であるが異なる鏡像異性体又はジアステレオマー形態である糖を用いてもよいことが理解される。
アルキルグルコシドは、例えば、グルコース、デンプン、又はn-ブチルグルコシドと脂肪族アルコールとの酸触媒反応によって入手可能であり、これからは、典型例に、様々なアルキルグルコシドの混合物が得られる(Alkylpolygylcoside,Rompp,Lexikon Chemie,Version 2.0,Stuttgart/New York,Georg Thieme Verlag,1999)。脂肪族アルコールの例としては、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール(ラウリルアルコール)、テトラデカノール、ヘキサデカノール(セチルアルコール)、ヘプタデカノール、オクタデカノール(ステアリルアルコール)、エイコサン酸、及びこれらの組み合わせ挙げられる。また、アルキルグルコシドは、Cognis GmbH,Dusseldorf,Germanyから商品名GLUCOPON又はDISPONILとして市販されている。
その他の非イオン性界面活性剤として、BASF社からPluronic(登録商標)Rシリーズとして供給される二官能基ブロックコポリマー、BASF社からIconol(登録商標)TDAシリーズとして供給されるトリデシルアルコールアルコキシレート、炭化水素含有シロキサン界面活性剤などが挙げられる。
上記非イオン性界面活性剤の量は、水性媒体に対して0.1~0.0000001質量%であることが好ましく、0.01~0.000001質量%であることがより好ましい。
上記連鎖移動剤としては、たとえばマロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、コハク酸ジメチルなどのエステル類のほか、イソペンタン、メタン、エタン、プロパン、イソブタン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、各種メルカプタン、四塩化炭素などの各種ハロゲン化炭化水素、シクロヘキサンなどがあげられる。
連鎖移動剤として臭素化合物又はヨウ素化合物を使用してもよい。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用して行う重合方法としては、たとえば、実質的に無酸素状態で、臭素化合物又はヨウ素化合物の存在下に、水性媒体中でフルオロモノマーの重合を行う方法があげられる(ヨウ素移動重合法)。使用する臭素化合物又はヨウ素化合物の代表例としては、たとえば、一般式:
Br
(式中、xおよびyはそれぞれ0~2の整数であり、かつ1≦x+y≦2を満たすものであり、Rは炭素数1~16の飽和もしくは不飽和のフルオロ炭化水素基またはクロロフルオロ炭化水素基、または炭素数1~3の炭化水素基であり、酸素原子を含んでいてもよい)で表される化合物があげられる。臭素化合物又はヨウ素化合物を使用することによって、ヨウ素または臭素が重合体に導入され、架橋点として機能する。
臭素化合物又はヨウ素化合物としては、たとえば1,3-ジヨードパーフルオロプロパン、2-ヨードパーフルオロプロパン、1,3-ジヨード-2-クロロパーフルオロプロパン、1,4-ジヨードパーフルオロブタン、1,5-ジヨード-2,4-ジクロロパーフルオロペンタン、1,6-ジヨードパーフルオロヘキサン、1,8-ジヨードパーフルオロオクタン、1,12-ジヨードパーフルオロドデカン、1,16-ジヨードパーフルオロヘキサデカン、ジヨードメタン、1,2-ジヨードエタン、1,3-ジヨード-n-プロパン、CFBr、BrCFCFBr、CFCFBrCFBr、CFClBr、BrCFCFClBr、CFBrClCFClBr、BrCFCFCFBr、BrCFCFBrOCF、1-ブロモ-2-ヨードパーフルオロエタン、1-ブロモ-3-ヨードパーフルオロプロパン、1-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブタン、2-ブロモ-3-ヨードパーフルオロブタン、3-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、2-ブロモ-4-ヨードパーフルオロブテン-1、ベンゼンのモノヨードモノブロモ置換体、ジヨードモノブロモ置換体、ならびに(2-ヨードエチル)および(2-ブロモエチル)置換体などがあげられ、これらの化合物は、単独で使用してもよく、相互に組み合わせて使用することもできる。
これらのなかでも、重合反応性、架橋反応性、入手容易性などの点から、アルカン及びアルコールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。アルカンの炭素数は、1~6が好ましく、1~5がより好ましい。またアルコールは、炭素数1~5が好ましく、1~4がより好ましい。連鎖移動剤としては、特に、メタン、エタン、プロパン、イソブタン、メタノール、エタノール、プロパノール、及び、イソプロパノールからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記連鎖移動剤の量は、水性媒体に対して0.001~10000ppmが好ましい。上記連鎖移動剤の量は、水性媒体に対して0.01ppm以上がより好ましく、0.05ppm以上が更に好ましく、0.1ppm以上が特に好ましい。また、水性媒体に対して1000ppm以下がより好ましく、500ppm以下が更に好ましく、100ppm以下が特に好ましい。
上記連鎖移動剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
また、本開示の製造方法において、上記炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤、所望により用いる核形成剤等に加え、各化合物を安定化するため添加剤を使用することができる。上記添加剤としては、緩衝剤、pH調整剤、安定化助剤、分散安定剤などが挙げられる。
安定化助剤としては、パラフィンワックス、フッ素系オイル、フッ素系溶剤、シリコーンオイルなどが好ましい。安定化助剤は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。安定化助剤としては、パラフィンワックスがより好ましい。パラフィンワックスとしては、室温で液体でも、半固体でも、固体であってもよいが、炭素数12以上の飽和炭化水素が好ましい。パラフィンワックスの融点は、通常40~65℃が好ましく、50~65℃がより好ましい。
安定化助剤の使用量は、使用する水性媒体の質量基準で0.1~12質量%が好ましく、0.1~8質量%がより好ましい。安定化助剤は十分に疎水的で、TFE等のフルオロモノマーの重合後にPTFE乳化液等のフルオロポリマーを含む水性乳化液と完全に分離されて、コンタミ成分とならないことが望ましい。
上記重合工程で使用されるフルオロモノマーとしては、二重結合を少なくとも1つ有するものが好ましい。
上記フルオロモノマーとしては、テトラフルオロエチレン[TFE]、ヘキサフルオロプロピレン[HFP]、クロロトリフルオロエチレン[CTFE]、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン[VDF]、トリフルオロエチレン、フルオロアルキルビニルエーテル、フルオロアルキルエチレン、フルオロアルキルアリルエーテル、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、一般式(100):CHX101=CX102Rf101(式中、X101およびX102は、一方がHであり、他方がFであり、Rf101は炭素数1~12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、フッ素化ビニルヘテロ環状体、及び、架橋部位を与えるモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記フルオロアルキルビニルエーテルとしては、例えば、
一般式(110):CF=CF-ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(120):CF=CF-OCH-Rf121
(式中、Rf121は、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、
一般式(130):CF=CFOCFORf131
(式中、Rf131は炭素数1~6の直鎖又は分岐状パーフルオロアルキル基、炭素数5~6の環式パーフルオロアルキル基、1~3個の酸素原子を含む炭素数2~6の直鎖又は分岐状パーフルオロオキシアルキル基である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(140):CF=CFO(CFCF(Y141)O)(CF
(式中、Y141はフッ素原子又はトリフルオロメチル基を表す。mは1~4の整数である。nは1~4の整数である。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(150):CF=CF-O-(CFCFY151-O)-(CFY152-A151
(式中、Y151は、フッ素原子、塩素原子、-SOF基又はパーフルオロアルキル基を表す。パーフルオロアルキル基は、エーテル性の酸素及び-SOF基を含んでもよい。nは、0~3の整数を表す。n個のY151は、同一であってもよいし異なっていてもよい。Y152は、フッ素原子、塩素原子又は-SOF基を表す。mは、1~5の整数を表す。m個のY152は、同一であってもよいし異なっていてもよい。A151は、-SO151、-COZ151又は-POZ152153を表す。X151は、F、Cl、Br、I、-OR151又は-NR152153を表す。Z151、Z152及びZ153は、同一又は異なって、-NR154155又は-OR156を表す。R151、R152、R153、R154、R155及びR156は、同一又は異なって、H、アンモニウム、アルカリ金属、フッ素原子を含んでも良いアルキル基、アリール基、若しくはスルホニル含有基を表す。)で表されるフルオロモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf111が炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。
一般式(110)におけるパーフルオロ有機基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、更に、上記一般式(110)において、Rf111が炭素数4~9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 0007201948000002
(式中、mは、0又は1~4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rf111が下記式:
Figure 0007201948000003
(式中、nは、1~4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
一般式(110)で表されるフルオロモノマーとしては、なかでも、
一般式(160):CF=CF-ORf161
(式中、Rf161は、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基を表す。)で表されるフルオロモノマーが好ましい。Rf161は、炭素数が1~5のパーフルオロアルキル基であることが好ましい。
フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(160)、(130)及び(140)で表されるフルオロモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(160)で表されるフルオロモノマーとしては、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、及び、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
一般式(130)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFOCF、CF=CFOCFOCFCF、及び、CF=CFOCFOCFCFOCFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(140)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)O(CFF、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFF、及び、CF=CFO(CFCF(CF)O)(CFFからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
一般式(150)で表されるフルオロモノマーとしては、CF=CFOCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFSOF、CF=CFOCFCF(CFCFSOF)OCFCFSOF及びCF=CFOCFCF(SOF)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、Rf101が直鎖のフルオロアルキル基であるフルオロモノマーが好ましく、Rf101が直鎖のパーフルオロアルキル基であるフルオロモノマーがより好ましい。Rf101の炭素数は1~6であることが好ましい。一般式(100)で表されるフルオロモノマーとしては、CH=CFCF、CH=CFCFCF、CH=CFCFCFCF、CH=CFCFCFCFH、CH=CFCFCFCFCF、CHF=CHCF(E体)、CHF=CHCF(Z体)等が挙げられ、なかでも、CH=CFCFで示される2,3,3,3-テトラフルオロプロピレンが好ましい。
フルオロアルキルエチレンとしては、
一般式(170):CH=CH-(CF-X171
(式中、X171はH又はFであり、nは3~10の整数である。)で表されるフルオロアルキルエチレンが好ましく、CH=CH-C、及び、CH=CH-C13からなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記フルオロアルキルアリルエーテルとしては、例えば、
一般式(180):CF=CF-CF-ORf111
(式中、Rf111は、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマーが挙げられる。
一般式(180)のRf111は、一般式(110)のRf111と同じである。Rf111としては、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基または炭素数1~10のパーフルオロアルコキシアルキル基が好ましい。一般式(180)で表されるフルオロアルキルアリルエーテルとしては、CF=CF-CF-O-CF、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、CF=CF-CF-O-CFCFCFがさらに好ましい。
上記フッ素化ビニルヘテロ環状体としては、一般式(230):
Figure 0007201948000004
(式中、X231及びX232は、独立に、F、Cl、メトキシ基又はフッ素化メトキシ基であり、Y231は式Y232又は式Y233である。
Figure 0007201948000005
(式中、Z231及びZ232は、独立に、F又は炭素数1~3のフッ素化アルキル基である。))で表されるフッ素化ビニルヘテロ環状体が挙げられる。
架橋部位を与えるモノマーとしては、
一般式(180):CX181 =CX182-R 181CHR181183
(式中、X181及びX182は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 181は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロ(ポリ)オキシアルキレン基又はパーフルオロ(ポリ)オキシアルキレン基、R181は、水素原子又はCH、X183は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(190):CX191 =CX192-R 191193
(式中、X191及びX192は、独立に、水素原子、フッ素原子又はCH、R 191は、フルオロアルキレン基、パーフルオロアルキレン基、フルオロポリオキシアルキレン基又はパーフルオロポリオキシアルキレン基、X193は、ヨウ素原子又は臭素原子である。)で表されるフルオロモノマー、
一般式(200):CF=CFO(CFCF(CF)O)(CF-X201
(式中、mは0~5の整数、nは1~3の整数、X201は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、-CHIである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(210):CH=CFCFO(CF(CF)CFO)(CF(CF))-X211
(式中、mは0~5の整数、nは1~3の整数、X211は、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は-CHOHである。)で表されるフルオロモノマー、及び、
一般式(220):CR221222=CR223-Z221-CR224=CR225226
(式中、R221、R222、R223、R224、R225及びR226は、同一又は異なって、水素原子又は炭素数1~5のアルキル基である。Z221は、直鎖又は分岐状で酸素原子を有していてもよい、炭素数1~18のアルキレン基、炭素数3~18のシクロアルキレン基、少なくとも部分的にフッ素化している炭素数1~10のアルキレン基若しくはオキシアルキレン基、又は、
-(Q)-CFO-(CFCFO)(CFO)-CF-(Q)
(式中、Qはアルキレン基又はオキシアルキレン基である。pは0又は1である。m/nが0.2~5である。)で表され、分子量が500~10000である(パー)フルオロポリオキシアルキレン基である。)で表されるモノマー
からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
183及びX193は、ヨウ素原子であることが好ましい。R 181及びR 191は炭素数が1~5のパーフルオロアルキレン基であることが好ましい。R181は、水素原子であることが好ましい。X201は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は、-CHIであることが好ましい。X211は、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は-CHOHであることが好ましい。
架橋部位を与えるモノマーとしては、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOH、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCHI、CF=CFOCFCFCHI、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CN、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOH、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)CHOH、CH=CHCFCFI、CH=CH(CFCH=CH、CH=CH(CFCH=CH、及び、CF=CFO(CFCNからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCN及びCF=CFOCFCFCHIからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
上記重合工程において、上記フルオロモノマーとフッ素非含有モノマーとを重合してもよい。上記フッ素非含有モノマーとしては、上記フルオロモノマーと反応性を有する炭化水素系モノマー等が挙げられる。上記炭化水素系モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン等のアルケン類;エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等のアルキルビニルエーテル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、n-酪酸ビニル、イソ酪酸ビニル、吉草酸ビニル、ピバリン酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、バーサチック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、パラ-t-ブチル安息香酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、モノクロル酢酸ビニル、アジピン酸ビニル、アクリル酸ビニル、メタクリル酸ビニル、クロトン酸ビニル、ソルビン酸ビニル、桂皮酸ビニル、ウンデシレン酸ビニル、ヒドロキシ酢酸ビニル、ヒドロキシプロピオイン酸ビニル、ヒドロキシ酪酸ビニル、ヒドロキシ吉草酸ビニル、ヒドロキシイソ酪酸ビニル、ヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類;エチルアリルエーテル、プロピルアリルエーテル、ブチルアリルエーテル、イソブチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル等のアルキルアリルエーテル類;エチルアリルエステル、プロピルアリルエステル、ブチルアリルエステル、イソブチルアリルエステル、シクロヘキシルアリルエステル等のアルキルアリルエステル類等が挙げられる。
上記フッ素非含有モノマーとしては、また、官能基含有炭化水素系モノマー(但し、架橋部位を与えるモノマーを除く)であってもよい。上記官能基含有炭化水素系モノマーとしては、例えば、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル等のヒドロキシアルキルビニルエーテル類;イタコン酸、コハク酸、無水コハク酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、マレイン酸、無水マレイン酸、パーフルオロブテン酸等のカルボキシル基を有するフッ素非含有モノマー;グリシジルビニルエーテル、グリシジルアリルエーテル等のグリシジル基を有するフッ素非含有モノマー;アミノアルキルビニルエーテル、アミノアルキルアリルエーテル等のアミノ基を有するフッ素非含有モノマー;(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド等のアミド基を有するフッ素非含有モノマー等が挙げられる。
上記重合工程において、上記フルオロモノマーの1種又は2種以上を重合することにより、所望のフルオロポリマーの粒子を得ることができる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、例えば、特表2013-542308号公報、特表2013-542309号公報、特表2013-542310号公報に記載されているもの等を使用することができる。
上記炭化水素系界面活性剤は、同じ分子上に親水性部分及び疎水性部分を有する界面活性剤であってよい。これらは、カチオン性、非イオン性またはアニオン性であってよい。
カチオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、アルキル化臭化アンモニウムなどのアルキル化ハロゲン化アンモニウムなどの正に帯電した親水性部分と、長鎖脂肪酸などの疎水性部分を有する。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤は、通常、カルボン酸塩、スルホン酸塩又は硫酸塩などの親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有する。
非イオン性炭化水素系界面活性剤は、通常、帯電した基を含まず、長鎖炭化水素である疎水性部分を有する。非イオン性炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、エチレンオキシドとの重合から誘導されるエチレンエーテルの鎖などの水溶性官能基を含む。
非イオン性炭化水素系界面活性剤の例
ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ソルビタンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、グリセロールエステル、それらの誘導体。
ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルの具体例:ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等。
ポリオキシエチレンアルキルエステルの具体例:ポリエチレングリコールモノラウリレート、ポリエチレングリコールモノオレエート、ポリエチレングリコールモノステアレート等。
ソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート等。
ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステルの具体例:ポリオキシエチレンソルビタンモノラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート等。
グリセロールエステルの具体例:モノミリスチン酸グリセロール、モノステアリン酸グリセロール、モノオレイン酸グリセロール等。
上記誘導体の具体例:ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルフェニル-ホルムアルデヒド凝縮物、ポリオキシエチレンアルキルエーテルホスフェート等。
上記エーテル及びエステルは、10~18のHLB値を有してよい。
非イオン性炭化水素系界面活性剤としては、ダウ・ケミカル社製のTriton(登録商標)Xシリーズ(X15、X45、X100等)、Tergitol(登録商標)15-Sシリーズ、Tergitol(登録商標)TMNシリーズ(TMN-6、TMN-10、TMN-100等)、Tergitol(登録商標)Lシリーズ、BASF社製のPluronic(登録商標)Rシリーズ(31R1、17R2、10R5、25R4(m~22、n~23)、Iconol(登録商標)TDAシリーズ(TDA-6、TDA-9、TDA-10)等が挙げられる。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、Resolution Performance ProductsのVersatic(登録商標)10、BASF社製のAvanel Sシリーズ(S-70、S-74等)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R-L-M(式中、Rが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Lが、-ArSO 、-SO 、-SO-、-PO 又は-COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、-ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。R5zは、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましい。具体的には、ラウリル酸、ラウリル硫酸(ドデシル硫酸)などに代表されるようなCH-(CH-L-M(式中、nが、6~17の整数である。LおよびMが、上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
が、12~16個の炭素原子を有するアルキル基であり、L-Mが、硫酸塩であるものの混合物も使用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R6z(-L-M)(式中、R6zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキレン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Lが、-ArSO 、-SO 、-SO-、-PO 又は-COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zは、H又は有機基、-ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、R7z(-L-M)(式中、R7zが、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキリジン基、又は、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキリジン基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Lが、-ArSO 、-SO 、-SO-、-PO 又は-COOであり、Mが、H、金属原子、NR5z 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R5zはH又は有機基である。-ArSO は、アリールスルホン酸塩である。)によって表されるアニオン性界面活性剤も挙げられる。
上記R5zはH又はアルキル基が好ましく、H又は炭素数1~10のアルキル基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。
本明細書中、特に断りのない限り、「置換基」は、置換可能な基を意味する。当該「置換基」の例は、脂肪族基、芳香族基、ヘテロ環基、アシル基、アシルオキシ基、アシルアミノ基、脂肪族オキシ基、芳香族オキシ基、ヘテロ環オキシ基、脂肪族オキシカルボニル基、芳香族オキシカルボニル基、ヘテロ環オキシカルボニル基、カルバモイル基、脂肪族スルホニル基、芳香族スルホニル基、ヘテロ環スルホニル基、脂肪族スルホニルオキシ基、芳香族スルホニルオキシ基、ヘテロ環スルホニルオキシ基、スルファモイル基、脂肪族スルホンアミド基、芳香族スルホンアミド基、ヘテロ環スルホンアミド基、アミノ基、脂肪族アミノ基、芳香族アミノ基、ヘテロ環アミノ基、脂肪族オキシカルボニルアミノ基、芳香族オキシカルボニルアミノ基、ヘテロ環オキシカルボニルアミノ基、脂肪族スルフィニル基、芳香族スルフィニル基、脂肪族チオ基、芳香族チオ基、ヒドロキシ基、シアノ基、スルホ基、カルボキシ基、脂肪族オキシアミノ基、芳香族オキシアミノ基、カルバモイルアミノ基、スルファモイルアミノ基、ハロゲン原子、スルファモイルカルバモイル基、カルバモイルスルファモイル基、ジ脂肪族オキシホスフィニル基、又は、ジ芳香族オキシホスフィニル基を包含する。
炭化水素系界面活性剤としては、シロキサン炭化水素系界面活性剤も挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤としては、Silicone Surfactants,R.M.Hill,Marcel Dekker,Inc.,ISBN:0-8247-00104に記載されているものが挙げられる。シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造は、明確な疎水性部分および親水性部分を含む。疎水性部分は、1つ以上のジヒドロカルビルシロキサン単位を含み、ここで、シリコーン原子上の置換基が、完全に炭化水素である。
ヒドロカルビル基の炭素原子が、フッ素などのハロゲンによって置換され得る場合に、水素原子によって完全に置換されるという意味では、これらのシロキサン炭化水素系界面活性剤は、炭化水素系界面活性剤とみなすこともでき、すなわち、ヒドロカルビル基の炭素原子上の一価置換基は水素である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、スルフェート、スルホネート、ホスホネート、リン酸エステル、カルボキシレート、カーボネート、スルホサクシネート、タウレート(遊離酸、塩またはエステルとしての)、ホスフィンオキシド、ベタイン、ベタインコポリオール、第4級アンモニウム塩などのイオン性基を含む1つ以上の極性部分を含んでもよい。イオン性疎水性部分は、イオン的に官能化されたシロキサングラフトも含み得る。
このようなシロキサン炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ポリジメチルシロキサン-グラフト-(メタ)アクリル酸塩、ポリジメチルシロキサン-グラフト-ポリアクリレート塩およびポリジメチルシロキサングラフト化第4級アミンが挙げられる。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分の極性部分は、ポリエチレンオキシド(PEO)、および混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテル(PEO/PPO)などのポリエーテル;単糖類および二糖類;およびピロリジノンなどの水溶性複素環によって形成される非イオン性基を含み得る。エチレンオキシド対プロピレンオキシド(EO/PO)の比率は、混合されたポリエチレンオキシド/プロピレンオキシドポリエーテルにおいて変化され得る。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の親水性部分は、イオン性部分と非イオン性部分との組合せも含み得る。このような部分としては、例えば、イオン的に末端官能化されたまたはランダムに官能化されたポリエーテルまたはポリオールが挙げられる。本開示の実施に好ましいのは、非イオン性部分を有するシロキサン、すなわち、非イオン性シロキサン炭化水素系界面活性剤である。
シロキサン炭化水素系界面活性剤の構造の疎水性および親水性部分の配置は、ジブロックポリマー(AB)、トリブロックポリマー(ABA)(ここで、「B」は、分子のシロキサン部分を表す)、またはマルチブロックポリマーの形態をとってもよい。あるいは、シロキサン界面活性剤は、グラフトポリマーを含んでいてもよい。
シロキサン炭化水素系界面活性剤については、米国特許第6,841,616号明細書にも開示されている。
シロキサンベースのアニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、Lubrizol Advanced Materials,Inc.のNoveon(登録商標)Consumer Specialtiesから入手可能なSilSenseTMPE-100シリコーン、SilSenseTMCA-1シリコーン等が挙げられる。
アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、Akzo Nobel Surface Chemistry LLCのスルホサクシネート界面活性剤Lankropol(登録商標)K8300等も挙げられる。
スルホサクシネート界面活性剤としては、スルホコハク酸ジイソデシルNa塩、(ClariantのEmulsogen(登録商標)SB10)、スルホコハク酸ジイソトリデシルNa塩(Cesapinia ChemicalsのPolirol(登録商標)TR/LNA)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、Omnova Solutions,Inc.のPolyFox(登録商標)界面活性剤(PolyFoxTMPF-156A、PolyFoxTMPF-136A等)も挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましい。アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては上述したものを採用できるが、例えば、下記の化合物を好適に採用できる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、下記式(α):
100-COOM (α)
(式中、R100は、1個以上の炭素原子を含有する1価の有機基である。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R101はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)で示される化合物(α)が挙げられる。R101の有機基としてはアルキル基が好ましい。R101としてはH又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。
界面活性能の観点から、R100の炭素数は2個以上が好ましく、3個以上がより好ましい。また、水溶性の観点から、R100の炭素数は、29個以下であることが好ましく、23個以下がより好ましい。
上記Mの金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Mとしては、H、金属原子又はNR101 が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR101 がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
上記化合物(α)としては、R102-COOM(式中、R102が、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基、若しくは、置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでもよいし、環を形成していてもよい。Mは上記と同じ。)によって表されるアニオン性の炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
具体的には、CH-(CH-COOM(式中、nが、2~28の整数である。Mは上記と同じ)によって表されるものが挙げられる。
上記化合物(α)は、乳化安定性の観点で、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を含まないものであってもよい。
上記カルボニル基を含まない炭化水素含有界面活性剤としては、例えば、下記式(A):
103-COO-M (A)
(式中、R103は、アルキル基、アルケニル基、アルキレン基又はアルケニレン基であり、これらはエーテル結合を含んでもよい。Mは、H、金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムである。R101は、同一又は異なって、H又は有機基である。)の化合物が好ましく例示される。
上記式(A)において、R103は、アルキル基又はアルケニル基(これらはエーテル基を含んでいてもよい)であることが好ましい。上記R103におけるアルキル基又はアルケニル基は、直鎖状でも分岐状でもよい。上記R103の炭素数は限定されないが、例えば、2~29である。
上記アルキル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は3~29であることが好ましく、5~23であることがより好ましい。上記アルキル基が分岐状である場合、R103の炭素数は5~25であることが好ましく、11~23であることがより好ましい。
上記アルケニル基が直鎖状である場合、R103の炭素数は2~29であることが好ましく、9~23であることがより好ましい。上記アルケニル基が分岐状である場合、R103の炭素数は2~29であることが好ましく、3~29であることがより好ましく、9~23であることがさらに好ましい。
上記アルキル基及びアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、イソブチル基、t-ブチル基、ビニル基等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、ブチル酸、バレリアン酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、(9,12,15)-リノレン酸、(6,9,12)リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、8、11-エイコサジエン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、サピエン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エイコセン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、エイコサジエン酸、ドコサジエン酸、リノレン酸、ピノレン酸、α-エレオステアリン酸、β-エレオステアリン酸、ミード酸、ジホモ-γ-リノレン酸、エイコサトリエン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサテトラエン酸、アドレン酸、ボセオペンタエン酸、エイコサペンタエン酸、オズボンド酸、イワシ酸、テトラコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、ニシン酸、及びこれらの塩が挙げられる。
特に、ラウリン酸、ウンデカン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ラウリン酸及びその塩がさらに好ましく、ラウリン酸の塩が特に好ましく、ラウリン酸ナトリウムまたはラウリン酸アンモニウムが最も好ましい。
上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としてはまた、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤も挙げられる。
上記カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭化水素系界面活性剤としては、式:
-X
(式中、Rは、カルボニル基(但し、カルボキシル基中のカルボニル基を除く)を1つ以上有する炭素数1~2000のフッ素非含有有機基であり、Xは、-OSOX1、-COOXX1又は-SOX1(XX1は、H、金属原子、NRX1 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、RX1はH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。))で示される界面活性剤が好ましい。Rは、炭素数が500以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、50以下であることが更に好ましく、30以下であることが更により好ましい。RX1の有機基としてはアルキル基が好ましい。RX1としてはH又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。
上記特定の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(a):
Figure 0007201948000006
(式中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(a)、下記式(b):
Figure 0007201948000007
(式中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。R3bは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。R1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、-CO-B-*、-OCO-B-*、-CONR6b-B-*、-NR6bCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO-B-、-OCO-B-、-CONR6b-B-、-NRCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中の-OSOに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(b)、下記式(c):
Figure 0007201948000008
(式中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素原子に結合した水素原子がヒドロキシ基又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよく、炭素数が2以上の場合はカルボニル基を含んでもよく、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。R1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。Aは、-COOX又は-SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(c)、及び、下記式(d):
Figure 0007201948000009
(式中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基であり、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含んでも環を形成していてもよい。R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。R3dは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。nは、1以上の整数である。p及びqは、独立に、0以上の整数である。Aは、-SO又は-COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。Lは、単結合、-CO-B-*、-OCO-B-*、-CONR6d-B-*、-NR6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO-B-、-OCO-B-、-CONR6d-B-、-NR6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1から10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。*は、式中のAに結合する側を指す。)で示される界面活性剤(d)からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
界面活性剤(a)について説明する。
式(a)中、R1aは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(-C(=O)-)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH-C(=O)-で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1aにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH-C(=O)-CH-で示される基は炭素数が3であり、CH-C(=O)-C-C(=O)-C-で示される基は炭素数が7であり、CH-C(=O)-で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R101a(式中、R101aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式中、R2a及びR3aは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2a及びR3aは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R102a(式中、R102aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1a、R2a及びR3aは、炭素数が合計で6以上である。合計の炭素数としては、8以上が好ましく、9以上がより好ましく、10以上が更に好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1a、R2a及びR3aは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(a)中、Xは、H、金属原子、NR4a 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4aはH又は有機基である。4つのR4aは、同一でも異なっていてもよい。R4aにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4aとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4a が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1aとしては、カルボニル基を含まない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3~8の環状のアルキル基、1~10個のカルボニル基を含む炭素数2~45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3~45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3~45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1aとしては、下記式:
Figure 0007201948000010
(式中、n11aは0~10の整数であり、R11aは炭素数1~5の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~5の環状のアルキル基であり、R12aは炭素数0~3のアルキレン基である。n11aが2~10の整数である場合、R12aは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11aとしては、0~5の整数が好ましく、0~3の整数がより好ましく、1~3の整数が更に好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R103a(式中、R103aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11aとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12aは炭素数0~3のアルキレン基である。上記炭素数は1~3が好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12aとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12aとしては、エチレン基(-C-)又はプロピレン基(-C-)がより好ましい。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R104a(式
中、R104aはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12aとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2a及びR3aとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(-C-)又はプロピレン基(-C-)が更に好ましい。
界面活性剤(a)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Xは上述のとおりである。
Figure 0007201948000011
Figure 0007201948000012
Figure 0007201948000013
Figure 0007201948000014
Figure 0007201948000015
Figure 0007201948000016
Figure 0007201948000017
Figure 0007201948000018
次に界面活性剤(b)について説明する。
式(b)中、R1bは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1bにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1bとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1bとしては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(-CH)又はエチル基(-C)が特に好ましく、メチル基(-CH)が最も好ましい。
式(b)中、R2b及びR4bは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2b及びR4bは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2b及びR4bとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2b及びR4bとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(-CH)又はエチル基(-C)が特に好ましい。
2b及びR4bとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(-CH)又はエチル基(-C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(b)中、R3bは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。R3bは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-C-)、イソプロピレン基(-CH(CH)CH-)又はプロピレン基(-C-)が更に好ましい。
1b、R2b、R3b及びR4bは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよいが、環を形成していないことが好ましい。
式(b)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1~40の整数が好ましく、1~30の整数がより好ましく、5~25の整数が更に好ましく、5~9、11~25の整数が特に好ましい。
式(b)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0~10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0~10の整数が好ましく、0~5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が5以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(b)中、Xは、H、金属原子、NR5b 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5bはH又は有機基である。4つのR5bは、同一でも異なっていてもよい。R5bにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5bとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5b (R5bは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5b が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(b)中、Lは、単結合、-CO-B-*、-OCO-B-*、-CONR6b-B-*、-NR6bCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO-B-、-OCO-B-、-CONR6b-B-、-NRCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R6bは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1~5であることがより好ましい。また、上記Rは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中の-OSOに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
界面活性剤(b)としては、下記式:
Figure 0007201948000019
(式中、R1b、R2b、L、n及びXは、上記のとおり。)で示される化合物が好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10%以上であることが好ましい。
上記界面活性剤(b)は、H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤(b)において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
界面活性剤(b)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCH(CHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHOSONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCHOSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OSONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOH、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOLi、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSOK、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHOSONa等が挙げられる。
界面活性剤(c)について説明する。
式(c)中、R1cは、炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合、2つの炭素原子間にカルボニル基(-C(=O)-)を含んでもよい。また、上記アルキル基は、炭素数が2以上の場合、上記アルキル基の末端に上記カルボニル基を含むこともできる。すなわち、CH-C(=O)-で示されるアセチル基等のアシル基も、上記アルキル基に含まれる。
また、上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1cにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、カルボニル基を構成する炭素原子の数及び上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。例えば、CH-C(=O)-CH-で示される基は炭素数が3であり、CH-C(=O)-C-C(=O)-C-で示される基は炭素数が7であり、CH-C(=O)-で示される基は炭素数が2である。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R101c(式中、R101cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
式(c)中、R2c及びR3cは、独立に、単結合又は2価の連結基である。
2c及びR3cは、独立に、単結合又は炭素数1以上の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基又は炭素数3以上の環状のアルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cを構成する上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R102c(式中、R102cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
1c、R2c及びR3cは、炭素数が合計で5以上である。合計の炭素数としては、7以上が好ましく、9以上がより好ましく、20以下が好ましく、18以下がより好ましく、15以下が更に好ましい。
1c、R2c及びR3cは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(c)中、式中、Aは、-COOX又は-SO(Xは、H、金属原子、NR4c 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R4cはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R4cにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R4cとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR4c が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
1cとしては、カルボニル基を含まない炭素数1~8の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含まない炭素数3~8の環状のアルキル基、1~10個のカルボニル基を含む炭素数2~45の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、カルボニル基を含む炭素数3~45の環状のアルキル基、又は、炭素数が3~45の1価又は2価の複素環を含むアルキル基が好ましい。
また、R1cとしては、下記式:
Figure 0007201948000020
(式中、n11cは0~10の整数であり、R11cは炭素数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~5の環状のアルキル基であり、R12cは炭素数0~3のアルキレン基である。n11cが2~10の整数である場合、R12cは各々同じであっても異なっていてもよい。)で示される基がより好ましい。
11cとしては、0~5の整数が好ましく、0~3の整数がより好ましく、1~3の整数が更に好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R103c(式中、R103cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
11cとしての上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
12cは炭素数0~3のアルキレン基である。上記炭素数は1~3が好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、直鎖状又は分岐鎖状であってよい。
12cとしての上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。R12cとしては、エチレン基(-C-)又はプロピレン基(-C-)がより好ましい。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子が官能基により置換されていてもよく、例えば、ヒドロキシ基(-OH)又はエステル結合を含む1価の有機基により置換されていてもよいが、如何なる官能基によっても置換されていないことが好ましい。
上記エステル結合を含む1価の有機基としては、式:-O-C(=O)-R104c(式中、R104cはアルキル基)で示される基が挙げられる。
12cとしての上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
2c及びR3cとしては、独立に、カルボニル基を含まない炭素数1以上のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~3のアルキレン基がより好ましく、エチレン基(-C-)又はプロピレン基(-C-)が更に好ましい。
上記界面活性剤(c)としては、次の界面活性剤が例示できる。各式中、Aは上述のとおりである。
Figure 0007201948000021
Figure 0007201948000022
Figure 0007201948000023
Figure 0007201948000024
Figure 0007201948000025
Figure 0007201948000026
Figure 0007201948000027
Figure 0007201948000028
界面活性剤(d)について説明する。
式(d)中、R1dは、置換基を有してもよい炭素数1以上の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3以上の環状のアルキル基である。
上記アルキル基は、炭素数が3以上の場合は1価又は2価の複素環を含むこともできるし、環を形成することもできる。上記複素環としては、不飽和複素環が好ましく、含酸素不飽和複素環がより好ましく、例えば、フラン環等が挙げられる。R1dにおいて、2価の複素環が2つの炭素原子間に挿入されていてもよいし、2価の複素環が末端に位置して-C(=O)-と結合してもよいし、1価の複素環が上記アルキル基の末端に位置してもよい。
なお、本明細書において、上記アルキル基の「炭素数」には、上記複素環を構成する炭素原子の数も含めるものとする。
1dとしての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
1dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
1dとしては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(-CH)又はエチル基(-C)が特に好ましく、メチル基(-CH)が最も好ましい。
式(d)中、R2d及びR4dは、独立に、H又は置換基である。複数個のR2d及びR4dは、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
2d及びR4dとしての上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
2d及びR4dとしての上記アルキル基としては、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、メチル基(-CH)又はエチル基(-C)が特に好ましい。
2d及びR4dとしては、独立に、H又はカルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、H、メチル基(-CH)又はエチル基(-C)が更により好ましく、Hが特に好ましい。
式(d)中、R3dは、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基である。R3dは、複数個存在する場合、同一でも異なっていてもよい。
上記アルキレン基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキレン基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
上記アルキレン基としては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキレン基が好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基がより好ましく、メチレン基(-CH-)、エチレン基(-C-)、イソプロピレン基(-CH(CH)CH-)又はプロピレン基(-C-)が更に好ましい。
1d、R2d、R3d及びR4dは、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
式(d)中、nは、1以上の整数である。nとしては、1~40の整数が好ましく、1~30の整数がより好ましく、5~25の整数が更に好ましい。
式(d)中、p及びqは、独立に、0以上の整数である。pとしては、0~10の整数が好ましく、0又は1がより好ましい。qとしては、0~10の整数が好ましく、0~5の整数がより好ましい。
n、p及びqは、合計が6以上の整数であることが好ましい。n、p及びqの合計は8以上の整数であることがより好ましい。n、p及びqの合計はまた、60以下の整数であることが好ましく、50以下の整数であることがより好ましく、40以下の整数であることが更に好ましい。
式(d)中、Aは、-SO又は-COOX(Xは、H、金属原子、NR5d 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R5dはH又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。)である。R5dにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R5dとしては、H又は炭素数1~10の有機基が好ましく、H又は炭素数1~4の有機基がより好ましく、H又は炭素数1~4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。Xは金属原子又はNR5d (R5dは上記のとおり)であってよい。
としては、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR5d が好ましく、水に溶解しやすいことから、H、Na、K、Li又はNHがより好ましく、水に更に溶解しやすいことから、Na、K又はNHが更に好ましく、Na又はNHが特に好ましく、除去が容易であることから、NHが最も好ましい。XがNHであると、上記界面活性剤の水性媒体への溶解性が優れるとともに、PTFE中又は最終製品中に金属成分が残留しにくい。
式(d)中、Lは、単結合、-CO-B-*、-OCO-B-*、-CONR6d-B-*、-NR6dCO-B-*、又は、-CO-(但し、-CO-B-、-OCO-B-、-CONR6d-B-、-NR6dCO-B-に含まれるカルボニル基を除く。)であり、Bは単結合もしくは置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキレン基であり、R6dは、H又は置換基を有していてもよい、炭素数1~4のアルキル基である。上記アルキレン基は、炭素数が1~5であることがより好ましい。また、上記R6dは、H又はメチル基であることがより好ましい。*は、式中のAに結合する側を指す。
Lは単結合であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が10以上であることが好ましい。
上記界面活性剤は、H-NMRスペクトルにおいて、ケミカルシフト2.0~5.0ppmの領域に観測される全ピーク強度の積分値が上記範囲内にあることが好ましい。この場合、上記界面活性剤は分子中にケトン構造を有することが好ましい。
上記界面活性剤において、上記積分値は、15以上がより好ましく、95以下が好ましく、80以下がより好ましく、70以下が更に好ましい。
上記積分値は、重水溶媒にて室温下に測定する。重水を4.79ppmとする。
上記界面活性剤(d)としては、例えば、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCHCOONa、
CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHCOONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(O)COONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHC(CHCOOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
(CHCHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHSONa、
CHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOCHCHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)NHCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHNHC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)SONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHC(O)OCHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHOC(O)CHSONa、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOH、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOK、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSOLi、
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHCHSONH
CHC(O)CHCHCHCHCHCHCHCHC(CHSONa
等が挙げられる。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記一般式(1):
Figure 0007201948000029
(式中、R~RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:-Y-Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:-X-Aで示される基、又は、一般式:-Y-Rで示される基を表す。
また、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、-COOM、-SOM又は-OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
Yは、各出現において同一又は異なって、-S(=O)-、-O-、-COO-、-OCO-、-CONR-及び-NRCO-からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基;
は、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素-炭素原子間に含んでもよい炭素数1以上のアルキル基;
を表す。
~Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(以下、界面活性剤(1)ともいう)が挙げられる。
界面活性剤(1)について説明する。
式中、R~RはH又は一価の置換基を表し、但し、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:-Y-Rで示される基、R及びRのうち、少なくとも1つは、一般式:-X-Aで示される基、又は、一般式:-Y-Rで示される基を表す。R~Rのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。
としての上記アルキル基が有してもよい上記置換基としては、ハロゲン原子、炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は炭素数3~10の環状のアルキル基、ヒドロキシ基が好ましく、メチル基、エチル基が特に好ましい。
としての上記アルキル基は、カルボニル基を含まないことが好ましい。
上記アルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アルキル基は、如何なる置換基も有していないことが好ましい。
としては、置換基を有してもよい炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又は置換基を有してもよい炭素数3~10の環状のアルキル基が好ましく、カルボニル基を含まない炭素数1~10の直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基又はカルボニル基を含まない炭素数3~10の環状のアルキル基がより好ましく、置換基を有さない炭素数1~10の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更に好ましく、置換基を有さない炭素数1~3の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が更により好ましく、メチル基(-CH)又はエチル基(-C)が特に好ましく、メチル基(-CH)が最も好ましい。
一価の置換基としては、一般式:-Y-Rで示される基、一般式:-X-Aで示される基、-H、置換基を有していてもよいC1-20のアルキル基、-NH、-NHR(Rは有機基)、-OH、-COOR(Rは有機基)又は-OR(Rは有機基)が好ましい。上記アルキル基の炭素数は1~10が好ましい。
としては、C1-10のアルキル基又はC1-10のアルキルカルボニル基が好ましく、C1-4のアルキル基又はC1-4のアルキルカルボニル基がより好ましい。
式中、Xは、各出現において同一又は異なって、2価の連結基、又は、結合手を表す。
がカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基のいずれをも含まない場合は、Xはカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を含む2価の連結基であることが好ましい。
Xとしては、-CO-、-S(=O)-、-O-、-COO-、-OCO-、-S(=O)-O-、-O-S(=O)-、-CONR-及び-NRCO-からなる群より選択される少なくとも1種の結合を含む2価の連結基、C1-10のアルキレン基、又は、結合手が好ましい。RはH又は有機基を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Aは、各出現において同一又は異なって、-COOM、-SOM又は-OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、RはH又は有機基である。4つのRは、同一でも異なっていてもよい。)を表す。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
Mとしては、H、金属原子又はNR が好ましく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR がより好ましく、H、Na、K、Li又はNHが更に好ましく、Na、K又はNHが更により好ましく、Na又はNHが特に好ましく、NHが最も好ましい。
式中、Yは、各出現において同一又は異なって、-S(=O)-、-O-、-COO-、-OCO-、-CONR-及び-NRCO-からなる群より選択される2価の連結基、又は、結合手、RはH又は有機基を表す。
Yとしては、結合手、-O-、-COO-、-OCO-、-CONR-及び-NRCO-からなる群より選択される2価の連結基が好ましく、結合手、-COO-及び-OCO-からなる群より選択される2価の連結基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
式中、Rは、各出現において同一又は異なって、カルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を炭素-炭素原子間に含んでもよい炭素数1以上のアルキル基を表す。上記Rの有機基の炭素数は、2以上が好ましく、20以下が好ましく、2~20がより好ましく、2~10がさらに好ましい。
のアルキル基は、炭素数が2以上である場合、炭素-炭素原子間にカルボニル基、エステル基、アミド基及びスルホニル基からなる群より選択される少なくとも1種を1又は2以上含むことができるが、上記アルキル基の両末端にこれらの基を含まない。上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
としては、
一般式:-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-R10-COO-R11で示される基、
一般式:-R11で示される基、
一般式:-R10-NRCO-R11で示される基、又は、
一般式:-R10-CONR-R11で示される基、
(式中、RはH又は有機基を表す。R10はアルキレン基、R11は置換基を有してもよいアルキル基)が好ましい。
としては、一般式:-R10-CO-R11で示される基がより好ましい。
における有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル
基が更に好ましく、Hが更により好ましい。
10のアルキレン基の炭素数は、1以上が好ましく、3以上がより好ましく、20以下が好ましく、12以下がより好ましく、10以下が更に好ましく、8以下が特に好ましい。また、R10のアルキレン基の炭素数は、1~20が好ましく、1~10がより好ましく、3~10が更に好ましい。
11のアルキル基の炭素数は、1~20であってよく、1~15が好ましく、1~12がより好ましく、1~10が更に好ましく、1~8が更により好ましく、1~6が殊更好ましく、1~3が尚更に好ましく、1又は2が特に好ましく、1が最も好ましい。また、上記R11のアルキル基は、1級炭素、2級炭素、3級炭素のみで構成されていることが好ましく、1級炭素、2級炭素のみで構成されるのが特に好ましい。すなわち、R11としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基が好ましく、特にメチル基が最も好ましい。
界面活性剤(1)としては、一般式(1-1)で示される化合物、一般式(1-2)で示される化合物又は一般式(1-3)で示される化合物が好ましく、一般式(1-1)で示される化合物又は一般式(1-2)で示される化合物がより好ましい。
一般式(1-1):
Figure 0007201948000030
(式中、R~R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1-2):
Figure 0007201948000031
(式中、R~R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式(1-3):
Figure 0007201948000032
(式中、R、R~R、X、A及びYは、上記のとおり。)
一般式:-X-Aで示される基としては、
-COOM、
-R12COOM、
-SOM、
-OSOM、
-R12SOM、
-R12OSOM、
-OCO-R12-COOM、
-OCO-R12-SOM、
-OCO-R12-OSO
-COO-R12-COOM、
-COO-R12-SOM、
-COO-R12-OSOM、
-CONR-R12-COOM、
-CONR-R12-SOM、
-CONR-R12-OSOM、
-NRCO-R12-COOM、
-NRCO-R12-SOM、
-NRCO-R12-OSOM、
-OS(=O)-R12-COOM、
-OS(=O)-R12-SOM、又は
-OS(=O)-R12-OSO
(式中、R及びMは、上記のとおり。R12はC1-10のアルキレン基。)が好ましい。
上記R12のアルキレン基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキレン基であることが好ましい。
一般式:-Y-Rで示される基としては、
一般式:-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-OCO-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-COO-R10-CO-R11で示される基、
一般式:-OCO-R10-COO-R11で示される基、
一般式:-COO-R11で示される基、
一般式:-NRCO-R10-CO-R11で示される基、又は、
一般式:-CONR-R10-NRCO-R11で示される基
(式中、R、R10及びR11は上記のとおり。)が好ましい。
式中、R及びRとしては、独立に、H又はC1-4のアルキル基が好ましい。
上記R及びRのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1-1)におけるRとしては、H又は置換基を有していてもよいC1-20のアルキル基が好ましく、H又は置換基を有していないC1-20のアルキル基がより好ましく、Hが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
一般式(1-3)におけるRとしては、H、OH又は置換基を有していてもよいC1-20のアルキル基が好ましく、H、OH又は置換基を有していないC1-20のアルキル基がより好ましく、H又はOHが更に好ましい。
上記Rのアルキル基は、炭素原子に結合した水素原子の75%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、50%以下がハロゲン原子により置換されていてもよく、25%以下がハロゲン原子により置換されていてもよいが、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子を含まない非ハロゲン化アルキル基であることが好ましい。
上記アニオン性の炭化水素系界面活性剤としては、下記式(1-0A):
Figure 0007201948000033
(式中、R1A~R5Aは、H、炭素-炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基、又は、一般式:-X-Aで示される基である。但し、R2A及びR5Aの少なくとも1つは、一般式:-X-Aで示される基を表す。
は、各出現において同一又は異なって、2価の炭化水素基、又は、結合手;
Aは、各出現において同一又は異なって、-COOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基);
1A~R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)で示される界面活性剤(1-0A)等も挙げられる。
一般式(1-0A)中、R1A~R5Aにおいて、炭素-炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基の炭素数は1~50であることが好ましく、5~20であることがより好ましい。R1A~R5Aのうち、いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。上記炭素-炭素原子間にエステル基を含んでもよい1価の炭化水素基としては、アルキル基が好ましい。
式中、Xにおいて、2価の炭化水素基の炭素数は1~50であることが好ましく、5~20であることがより好ましい。上記2価の炭化水素基としては、アルキレン基、アルカンジイル基等が挙げられ、アルキレン基が好ましい。
一般式(1-0A)中、R2A及びR5Aのいずれか1つが、上記一般式:-X-Aで示される基であることが好ましく、R2Aが上記一般式:-X-Aで示される基であることがより好ましい。
一般式(1-0A)中、好適な態様としては、R2Aが、一般式:-X-Aで示される基であり、R1A、R3A、R4A及びR5AがHである態様である。この場合、Xは結合手又は炭素数1~5のアルキレン基であることが好ましい。
一般式(1-0A)中、好適な態様としてはまた、R2Aが、一般式:-X-Aで示される基であり、R1A及びR3Aが-Y-Rで示される基であり、Yは、各出現において同一又は異なって、-COO-、-OCO-、又は、結合手であり、Rは各出現において同一又は異なって、炭素数1以上のアルキル基である態様である。この場合、R4A及びR5AがHであることが好ましい。
一般式(1-0A)で表される炭化水素系界面活性剤としては、例えば、グルタル酸又はその塩、アジピン酸又はその塩、ピメリン酸又はその塩、スベリン酸又はその塩、アゼライン酸又はその塩、セバシン酸又はその塩等が挙げられる。
また、一般式(1-0A)で表される脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤は2鎖2親水基型合成界面活性剤であってもよく、例えば、ジェミニ型界面活性剤として、ジェミニサ-フ(中京油脂株式会社)、Gemsurf α142(炭素数12 ラウリル基)、Gemsurf α102(炭素数10)、Gemsurf α182(炭素数14)等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤は、ラジカル処理または酸化処理を行ったものであってもよい。
上記ラジカル処理とは、上記炭化水素系界面活性剤にラジカルを発生させる処理であればよく、例えば、反応器に、脱イオン水、炭化水素系界面活性剤を加え、反応器を密閉し、系内を窒素で置換し、反応器を昇温・昇圧した後、重合開始剤を仕込み、一定時間撹拌した後、反応器を大気圧になるまで脱圧を行い、冷却を行う処理である。上記酸化処理とは、炭化水素系界面活性剤に酸化剤を添加させる処理である。酸化剤としては、例えば、酸素、オゾン、過酸化水素水、酸化マンガン(IV)、過マンガン酸カリウム、二クロム酸カリウム、硝酸、二酸化硫黄などが挙げられる。ラジカル処理または酸化処理を促進するために、ラジカル処理または酸化処理をpHが調整された水溶液中で行ってもよい。ラジカル処理または酸化処理を行うための水溶液のpHは7未満であることが好ましく、たとえば、硫酸、硝酸、塩酸などを用いて、水溶液のpHを調整できる。
本開示の製造方法においては、上記炭化水素系界面活性剤を2種以上同時に用いてもよく、上記重合工程及び添加工程で使用される炭化水素系界面活性剤は、同じでも異なってもよい。
上記重合工程及び添加工程における炭化水素系界面活性剤は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましく、上記化合物(α)、上記界面活性剤(a)、上記界面活性剤(b)、上記界面活性剤(c)、上記界面活性剤(d)、上記界面活性剤(1)及び上記界面活性剤(1-0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
本開示の第1及び第2の製造方法において、上記炭化水素系界面活性剤は、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤であることがより好ましい。
上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤は、通常、カルボン酸塩の親水性部分と、アルキルなどの長鎖炭化水素部分である疎水性部分とを有するアニオン性の炭化水素系界面活性剤である。具体的には、カルボキシル基(-COOH)又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオン(例えば、金属原子、アンモニウム等)で置換された基を有するものであればよい。
カルボン酸型炭化水素系界面活性剤としては、脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤であってもよいし、脂肪族型以外のカルボン酸型炭化水素系であってもよい。
なお、本明細書では、「脂肪族型のカルボン酸型炭化水素系界面活性剤」とは、カルボニル基(但し、カルボキシル基及びエステル基中のカルボニル基を除く)を含まないカルボン酸型の炭化水素系界面活性剤を意味する。
なお、上記エステル基は、-COO-又は-OCO-で示される基を意味する。
上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤としては、例えば、上述した炭化水素系界面活性剤の中から、カルボキシル基又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオンに置換された基を有する炭化水素系界面活性剤を使用することができる。
本開示の第1及び第2の製造方法において、上記重合工程及び添加工程で使用するカルボン酸型の炭化水素系界面活性剤としては、上記界面活性剤(1)、上述した式:R6z(-L-M)によって表されるアニオン性界面活性剤、及び、上述した式:R7z(-L-M)によって表されるアニオン性界面活性剤のうち、カルボキシル基(-COOH)又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオン(例えば、金属原子、アンモニウム等)で置換された基を有するもの、上記化合物(α)、上記界面活性剤(1-0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤は、1種で用いてもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
上記化合物(α)には、上述した式:R102-COOM(式中、R102及びMは上記と同じ。)によって表されるアニオン性の炭化水素系界面活性剤(好ましくは、式(A)で表される化合物)だけでなく、上述した式:R-L-M(式中、R、L及びMは上記と同じ)によって表されるアニオン性界面活性剤、上記界面活性剤(c)及び上記界面活性剤(d)のうち、カルボキシル基(-COOH)又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオン(例えば、金属原子、アンモニウム等)で置換された基を有するもの等も含まれる。
上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤は、上記化合物(α)が好ましく、上記式(A)で表される化合物、上記式(c)においてAが-COOXである化合物、上記式(d)においてAが-COOXである化合物、上記式(1)においてAが-COOMである化合物、上記式(1-0A)においてAが-COOMである化合物、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、上記式(A)で表される化合物及び該化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
特に、ラウリン酸、ウンデカン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、ラウリン酸及びその塩、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、ラウリン酸の塩及びこれにラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましく、ラウリン酸ナトリウム及びこれにラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種がさらに好ましい。上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記重合工程は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下にフルオロモノマーを重合するものであることが好ましい。
従来、フルオロポリマーの重合には含フッ素界面活性剤が使用されてきたが、本開示の製造方法は、含フッ素界面活性剤を使用しなくても高分子量のフルオロポリマーを得ることができる。
本明細書において「実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に」とは、水性媒体に対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味し、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更に好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下である。
上記含フッ素界面活性剤としては、アニオン性含フッ素界面活性剤等が挙げられる。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤は、例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよい。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよい。
なお、上記「アニオン性部分」は、上記含フッ素界面活性剤のカチオンを除く部分を意味する。例えば、後述する式(I)で表されるF(CFn1COOMの場合には、「F(CFn1COO」の部分である。
上記含フッ素界面活性剤としてはまた、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤が挙げられる。上記LogPOWは、1-オクタノールと水との分配係数であり、LogP[式中、Pは、含フッ素界面活性剤を含有するオクタノール/水(1:1)混合液が相分離した際のオクタノール中の含フッ素界面活性剤濃度/水中の含フッ素界面活性剤濃度比を表す]で表されるものである。
上記LogPOWは、カラム;TOSOH ODS-120Tカラム(φ4.6mm×250mm、東ソー(株)製)、溶離液;アセトニトリル/0.6質量%HClO水=1/1(vol/vol%)、流速;1.0ml/分、サンプル量;300μL、カラム温度;40℃、検出光;UV210nmの条件で、既知のオクタノール/水分配係数を有する標準物質(ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸及びデカン酸)についてHPLCを行い、各溶出時間と既知のオクタノール/水分配係数との検量線を作成し、この検量線に基づき、試料液におけるHPLCの溶出時間から算出する。
上記含フッ素界面活性剤として具体的には、米国特許出願公開第2007/0015864号明細書、米国特許出願公開第2007/0015865号明細書、米国特許出願公開第2007/0015866号明細書、米国特許出願公開第2007/0276103号明細書、米国特許出願公開第2007/0117914号明細書、米国特許出願公開第2007/142541号明細書、米国特許出願公開第2008/0015319号明細書、米国特許第3250808号明細書、米国特許第3271341号明細書、特開2003-119204号公報、国際公開第2005/042593号、国際公開第2008/060461号、国際公開第2007/046377号、国際公開第2007/119526号、国際公開第2007/046482号、国際公開第2007/046345号、米国特許出願公開第2014/0228531号、国際公開第2013/189824号、国際公開第2013/189826号に記載されたもの等が挙げられる。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、下記一般式(N):
n0-Rfn0-Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl又は及びFである。Rfn0は、炭素数3~20で、鎖状、分枝鎖状または環状で、一部または全てのHがFにより置換されたアルキレン基であり、該アルキレン基は1つ以上のエーテル結合を含んでもよく、一部のHがClにより置換されていてもよい。Yはアニオン性基である。)で表される化合物が挙げられる。
のアニオン性基は、-COOM、-SOM、又は、-SOMであってよく、-COOM、又は、-SOMであってよい。
Mは、H、金属原子、NR8y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R8yは、H又は有機基である。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、例えば、Na、K又はLiである。
8yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。
8yとしては、H又はC1-10の有機基であってよく、H又はC1-4の有機基であってよく、H又はC1-4のアルキル基であってよい。
Mは、H、金属原子又はNR8y であってよく、H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又はNR8y であってよく、H、Na、K、Li又はNHであってよい。
上記Rfn0は、Hの50%以上がフッ素に置換されているものであってよい。
上記一般式(N)で表される化合物としては、
下記一般式(N):
n0-(CFm1-Y (N
(式中、Xn0は、H、Cl及びFであり、m1は3~15の整数であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn1-O-(CF(CF)CFO)m2CFXn1-Y (N
(式中、Rfn1は、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基であり、m2は、0~3の整数であり、Xn1は、F又はCFであり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn2(CHm3-(Rfn3-Y (N
(式中、Rfn2は、炭素数1~13のエーテル結合を含み得る、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、m3は、1~3の整数であり、Rfn3は、直鎖状又は分岐状の炭素数1~3のパーフルオロアルキレン基であり、qは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、下記一般式(N):
Rfn4-O-(CYn1n2CF-Y (N
(式中、Rfn4は、炭素数1~12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Yn1及びYn2は、同一若しくは異なって、H又はFであり、pは0又は1であり、Yは、上記定義したものである。)で表される化合物、及び、下記一般式(N):
Figure 0007201948000034
(式中、Xn2、Xn3及びXn4は、同一若しくは異なってもよく、H、F、又は、炭素数1~6のエーテル結合を含んでよい直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基である。Rfn5は、炭素数1~3のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yは、上記定義したものである。但し、Xn2、Xn3、Xn4及びRfn5の合計炭素数は18以下である。)で表される化合物が挙げられる。
上記一般式(N)で表される化合物としてより具体的には、下記一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、下記一般式(II)で表されるω-Hパーフルオロカルボン酸(II)、下記一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、下記一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、下記一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、下記一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、下記一般式(VII)で表されるω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)、下記一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、下記一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、下記一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、下記一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、下記一般式(XII)で表される化合物(XII)、下記一般式(XIII)で表される化合物(XIII)などが挙げられる。
上記パーフルオロカルボン酸(I)は、下記一般式(I)
F(CFn1COOM (I)
(式中、n1は、3~14の整数であり、Mは、H、金属原子、NR8y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであり、R8yは、H又は有機基である。)で表されるものである。
上記ω-Hパーフルオロカルボン酸(II)は、下記一般式(II)
H(CFn2COOM (II)
(式中、n2は、4~15の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)は、下記一般式(III)
Rf-O-(CF(CF)CFO)n3CF(CF)COOM (III)
(式中、Rfは、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基であり、n3は、0~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)は、下記一般式(IV)
Rf(CHn4RfCOOM (IV)
(式中、Rfは、炭素数1~5のパーフルオロアルキル基であり、Rfは、直鎖状又は分岐状の炭素数1~3のパーフルオロアルキレン基、n4は、1~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロカルボン酸(V)は、下記一般式(V)
Rf-O-CYCF-COOM (V)
(式中、Rfは、炭素数1~12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルスルホン酸(VI)は、下記一般式(VI)
F(CFn5SOM (VI)
(式中、n5は、3~14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記ω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)は、下記一般式(VII)
H(CFn6SOM (VII)
(式中、n6は、4~14の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記パーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)は、下記一般式(VIII)
Rf(CHn7SOM (VIII)
(式中、Rfは、炭素数1~13のパーフルオロアルキル基であり、n7は、1~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルキルアルキレンカルボン酸(IX)は、下記一般式(IX)
Rf(CHn8COOM (IX)
(式中、Rfは、炭素数1~13のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、n8は、1~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記フルオロカルボン酸(X)は、下記一般式(X)
Rf-O-Rf-O-CF-COOM (X)
(式中、Rfは、炭素数1~6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rfは、炭素数1~6の直鎖状または分枝鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記アルコキシフルオロスルホン酸(XI)は、下記一般式(XI)
Rf-O-CYCF-SOM (XI)
(式中、Rfは、炭素数1~12のエーテル結合を含み得る直鎖状または分枝鎖状であって、塩素を含んでもよい、部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Y及びYは、同一若しくは異なって、H又はFであり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。
上記化合物(XII)は、下記一般式(XII):
Figure 0007201948000035
(式中、X、X及びXは、同一若しくは異なってもよく、H、F及び炭素数1~6のエーテル結合を含み得る直鎖状または分岐鎖状の部分または完全フッ素化されたアルキル基であり、Rf10は、炭素数1~3のパーフルオロアルキレン基であり、Lは連結基であり、Yはアニオン性基である。)で表されるものである。
は、-COOM、-SOM、又は、-SOMであってよく、-SOM、又は、COOMであってよい(式中、Mは上記定義したものである。)。
Lとしては、例えば、単結合、炭素数1~10のエーテル結合を含みうる部分又は完全フッ素化されたアルキレン基が挙げられる。
上記化合物(XIII)は、下記一般式(XIII):
Rf11-O-(CFCF(CF)O)n9(CFO)n10CFCOOM (XIII)
(式中、Rf11は、塩素を含む炭素数1~5のフルオロアルキル基であり、n9は、0~3の整数であり、n10は、0~3の整数であり、Mは、上記定義したものである。)で表されるものである。化合物(XIII)としては、CFClO(CFCF(CF)O)n9(CFO)n10CFCOONH(平均分子量750の混合物、式中、n9およびn10は上記定義したものである。)が挙げられる。
上述したように上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等が挙げられる。
上記重合工程では、通常、上記フルオロポリマーからなる粒子と、上記炭化水素系界面活性剤と、上記水性媒体とを含有する水性分散液が得られる。上記水性分散液は、上記炭化水素系界面活性剤の存在下、フルオロポリマーからなる粒子が水性媒体中に分散しているものである。
本開示の製造方法は、フルオロポリマー水性分散液を得るものであってもよい。本開示の製造方法で得られるフルオロポリマー水性分散液は、重合工程で得られる水性分散液そのままであってもよいし、重合工程で得られる水性分散液を処理したものであってもよい。
本開示の製造方法で得られるフルオロポリマー水性分散液の固形分濃度は限定されないが、例えば、1.0~70.0質量%であってよい。上記固形分濃度は、8.0質量%以上が好ましく、10.0質量%以上がより好ましく、また、60.0質量%以下が好ましく、50.0質量%以下がより好ましい。
本開示の製造方法は、重合工程で得られたフルオロポリマー水性分散液に水を添加して希釈する工程を含んでもよい。例えば、上記希釈により、上記固形分濃度が10.0~25.0質量%になるように希釈することができる。
フルオロポリマー粉末の嵩密度を高めるには、フルオロポリマー水性分散液中のフルオロポリマー固形分濃度が高いことが好ましい。凝析用フルオロポリマー水性分散液中のフルオロポリマー固形分濃度が高いと、フルオロポリマーの一次粒子の会合度合いが高まり、フルオロポリマーの一次粒子が密に会合・凝集して造粒する。フルオロポリマー水性分散液のフルオロポリマー固形分濃度が8質量%未満であると、フルオロポリマーの一次粒子の凝集密度が疎になり易く、嵩密度の高いフルオロポリマー粉末が得られ難い。一方、フルオロポリマー水性分散液中のフルオロポリマー固形分濃度が高すぎると、未凝集のフルオロポリマーが増大し、凝集排水中の未凝集のフルオロポリマー固形分濃度が増加する。凝析排水中の未凝集のフルオロポリマー固形分濃度が高いと、配管閉塞や、排水処理にコストや手間がかかる。また、フルオロポリマー粉末の収率が低下する。凝析排水中の未凝集のフルオロポリマー固形分濃度は、フルオロポリマー粉末の生産性の観点から低いことが好ましく、0.4質量%未満がより好ましく、0.3質量%未満が更に好ましく、0.2質量%未満が特に好ましい。フルオロポリマー水性分散液のフルオロポリマー固形分濃度が25質量%を超えると、凝析排水の未凝集のフルオロポリマー固形分濃度を0.4質量%未満にすることが困難である。
未凝析分を少なくする観点から、上記固形分濃度は10.0~25.0質量%であることも好ましく、10.0~22.0質量%が好ましく、10.0~20.0質量%がより好ましい。
なお、上記重合工程で得られるフルオロポリマー水性分散液中のフルオロポリマー固形分濃度は、およそ8~45質量%であるので、フルオロポリマー固形分濃度が高い場合は、水等の希釈溶媒を添加して8~25質量%に調整してもよい。また、乳化重合後のフルオロポリマー水性分散液中のフルオロポリマー固形分濃度が8~25質量%である場合は、フルオロポリマー水性分散液を、そのままフルオロポリマー水性分散液として用いることができる。
フルオロポリマー粉末の平均粒子径(平均二次粒子径)を調整するために、凝析用フルオロポリマー水性分散液の温度を3~80℃にすることも好ましい。
上記フルオロポリマー水性分散液は、含フッ素界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。本明細書の水性分散液において、「含フッ素界面活性剤を実質的に含まない」とは、フルオロポリマーに対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味する。含フッ素界面活性剤の含有量は、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下であり、特に好ましくは、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC/MS/MS)による測定による、含フッ素界面活性剤が検出限界以下である。
上記含フッ素界面活性剤量は、公知な方法で定量できる。例えば、LC/MS/MS分析にて定量することが出来る。まず、得られた水性分散液をメタノールの有機溶剤に抽出し、抽出液をLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる界面活性剤の構造式との一致を確認する。
その後、確認された界面活性剤を5水準以上の濃度の水溶液を作成し、それぞれの濃度のLC/MS/MS分析を行ない、エリア面積との検量線を作成する。
得られた水性分散液をメタノールにてソックスレー抽出を行ない、抽出液をLC/MS/MS分析を行なうことで定量測定することが出来る。
すなわち、含フッ素界面活性剤の含有量は、例えば、LC/MS/MS分析にて定量することができる。まず、水性分散液にメタノールを加え、抽出を行ない、得られた抽出液をLC/MS/MS分析する。さらに抽出効率を高めるために、ソックスレー抽出、超音波処理等による処理を行ってもよい。得られたLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる含フッ素界面活性剤の構造式との一致を確認する。その後、確認された含フッ素界面活性剤の5水準以上の含有量の水溶液を作製し、それぞれの含有量の水溶液のLC/MS/MS分析を行ない、含有量と、その含有量に対するエリア面積と関係をプロットし、検量線を描く。そして、検量線を用いて、抽出液中の含フッ素界面活性剤のLC/MS/MSクロマトグラムのエリア面積を、含フッ素界面活性剤の含有量に換算することができる。
上記含フッ素界面活性剤としては、上述した本開示の製造方法において例示したものと同じである。例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよく、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよく、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤であってよい。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、上記一般式(N)で表される化合物が挙げられ、具体的には、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、及び、一般式(N)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、一般式(II)で表されるω-Hパーフルオロカルボン酸(II)、一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、一般式(VII)で表されるω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)、一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、一般式(XII)で表される化合物(XII)、一般式(XIII)で表される化合物(XIII)等が挙げられる。
上記フルオロポリマー水性分散液において、フルオロポリマーの平均一次粒子径は、例えば、50~1000nmである。平均一次粒子径の下限は、好ましくは100nm、より好ましくは150nmである。平均一次粒子径の上限は、好ましくは400nm、より好ましくは350nmである。
上記平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定することが出来る。上記平均一次粒子径は、フルオロポリマー固形分濃度約1.0質量%に調整したフルオロポリマー水性分散液を作成し、動的光散乱法を使用して25℃、溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・s、積算70回にて測定できる。動的光散乱法としては、例えばELSZ-1000S(大塚電子株式会社製)が使用できる。
上記炭化水素系界面活性剤は、フルオロポリマーを水性媒体に分散させるための分散剤としても、好適に用いることができる。
上記フルオロポリマー水性分散液における炭化水素系界面活性剤の含有量の下限値は、フルオロポリマーに対して10ppbであることが好ましく、100ppbであることがより好ましく、1ppmであることが更に好ましく、10ppmであることが更により好ましく、50ppmであることが特に好ましい。上限値は、フルオロポリマーに対して100000ppmであることが好ましく、50000ppmであることがより好ましく、10000ppmであることが更に好ましく、5000ppmであることが更に好ましい。
フルオロポリマー水性分散液における炭化水素系界面活性剤の含有量は、たとえば、フルオロポリマー水性分散液を、高速遠心分離機を用いて遠心分離し、得られた上澄み水を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析装置で測定することにより求めることができる。
上述した重合工程により得られたフルオロポリマー水性分散液は、濃縮するか又は分散安定化処理してディスパージョンとしてもよい。
上記フルオロポリマー水性分散液は、重合工程で得られたフルオロポリマー水性分散液を、(A)非イオン性界面活性剤の存在下に、陰イオン交換樹脂又は陰イオン交換樹脂及び陽イオン交換樹脂を含む混床と接触させる工程(A)、及び/又は、(B)固形分濃度が水性分散液100質量%に対して30~70質量%となるように濃縮する工程(B)に供することで得てもよい。
上記非イオン性界面活性剤は、特に限定されるものではないが、上述した核形成剤として記載したものを用いることができる。
上記陰イオン交換樹脂は、特に限定されるものではないが、公知のものを用いることができる。また、上記陰イオン交換樹脂と接触させる方法は、公知の方法を用いることができる。
上記フルオロポリマー水性分散液は、上記重合工程により得られた水性分散液に工程(A)を行ない、工程(A)で得られた水性分散液に工程(B)を行なって製造することができる。また、工程(A)を行なわずに、工程(B)を行ない製造することもできる。また、工程(A)及び工程(B)を繰り返し行うこともできるし、組み合わせることも可能である。
上記陰イオン交換樹脂としては、例えば、官能基として-N(CH基(Xは、Cl又はOHを表す。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂、-N(CH(COH)基(Xは、上記と同じ。)を有する強塩基性陰イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられる。具体的には、国際公開第99/62858号、国際公開第03/020836号、国際公開第2004/078836号、国際公開第2013/027850号、国際公開第2014/084399号に記載されたもの等が挙げられる。
上記陽イオン交換樹脂としては特に限定されず、例えば、官能基として-SO 基を有する強酸性陽イオン交換樹脂、官能基として-COO基を有する弱酸性陽イオン交換樹脂等、公知のものが挙げられるが、なかでも、除去効率の観点から、強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、H型の強酸性陽イオン交換樹脂がより好ましい。
上記「陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂とからなる混床」としては特に限定されず、両者が同一のカラムに充填されている場合、両者がそれぞれ異なるカラムに充填されている場合、両者が水性分散液に分散している場合等を含むものである。
上記濃縮の方法としては公知の方法が採用される。具体的には、国際公開第2007/046482号、国際公開第2014/084399号に記載されたもの等が挙げられる。例えば相分離、遠心沈降、曇点濃縮、電気濃縮、電気泳動、限外ろ過を用いた濾過処理、逆浸透膜(RO膜)を用いた濾過処理、ナノ濾過処理等が挙げられる。上記濃縮は、用途に応じて、フルオロポリマー濃度を30~70質量%に濃縮することができる。濃縮によりディスパージョンの安定性が損なわれることがあるが、その場合は更に分散安定剤を添加してもよい。
上記分散安定剤としては、上記非イオン性界面活性剤や、その他の各種の界面活性剤を添加してもよい。
上記非イオン性界面活性剤としては、上述した核形成剤として例示した非イオン性界面活性剤と同じであり、上述した非イオン性界面活性剤を適宜採用できる。上記非イオン性界面活性剤は、芳香族部分を含まないことが好ましい。
また、非イオン性界面活性剤の曇点は、水への界面活性剤の溶解性の尺度である。本開示の水性分散液中で使用される界面活性剤は、曇点約30℃~約90℃、好ましくは約35℃~約85℃を有する。
上記分散安定剤の総量は、上記ディスパージョンの固形分に対し0.5~20質量%の濃度である。0.5質量%未満であると、分散安定性に劣る場合があり、20質量%を超えると、存在量に見合った分散効果がなく実用的でない。上記分散安定剤のより好ましい下限は2質量%であり、より好ましい上限は12質量%である。
本開示のフルオロポリマーの製造方法は、上記重合工程で得られたフルオロポリマー水性分散液を回収する工程、フルオロポリマー水性分散液中のフルオロポリマーを凝集させる工程、凝集したフルオロポリマーを回収する工程、及び、回収したフルオロポリマーを100~300℃(好ましくは100~250℃)で乾燥させる工程のうち、少なくとも1つの工程を含むことが好ましい。このような工程を含むことにより、フルオロポリマー粉末を得ることができる。
上記フルオロポリマー水性分散液に含まれるフルオロポリマーを凝集させることにより粉末を製造できる。上記フルオロポリマー水性分散液は、必要に応じて濃縮等の後処理した後、凝集、洗浄、乾燥を経て粉末として各種用途に使用することができる。
上記フルオロポリマー水性分散液に対して凝集を行う場合、通常、ポリマーラテックス等の重合により得た水性分散液を、水を用いて10~25質量%のポリマー濃度になるように希釈し、場合によっては、pHを酸性、中性又はアルカリ性に調整した後、撹拌機付きの容器中で反応中の撹拌よりも激しく撹拌して行う。上記凝集は、メタノール、アセトン等の水溶性有機化合物、硝酸カリウム、炭酸アンモニウム等の無機塩や、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸等を凝析剤として添加しながら撹拌を行ってもよい。上記凝集は、また、インラインミキサー等を使用して連続的に行ってもよい。
上記凝析前や凝析中に、着色のための顔料や機械的性質を改良するための各種充填剤を添加することにより、顔料や充填剤が均一に混合した顔料入り又は充填剤入りのフルオロポリマーの粉末を得ることもできる。
本開示の製造方法において、上記フルオロポリマーを凝析して得られた湿潤粉末の乾燥は、通常、上記湿潤粉末をあまり流動させない状態、好ましくは静置の状態を保ちながら、真空、高周波、熱風等の手段を用いて行う。
例えば、フルオロポリマーがPTFEである場合、粉末同士の、特に高温での摩擦は、一般にファインパウダー型のPTFEに好ましくない影響を与える。これは、この種のPTFEからなる粒子が小さな剪断力によっても簡単にフィブリル化して、元の安定な粒子構造の状態を失う性質を持っているからである。上記乾燥は、10~300℃(より好適には10~250℃)、好ましくは100~300℃(より好適には100~250℃)の乾燥温度で行うことができる。
本明細書において、フィブリル化性の有無は、TFEの乳化重合体から作られた粉末(ファインパウダー)である「高分子量PTFE粉末」を成形する代表的な方法である「ペースト押出し」で判断できる。通常、ペースト押出しが可能であるのは、高分子量PTFE粉末がフィブリル化性を有するからである。ペースト押出しで得られた未焼成の成形物に実質的な強度や伸びがない場合、例えば伸びが0%で引っ張ると切れるような場合はフィブリル化性がないとみなすことができる。
本開示の製造方法で得られたフルオロポリマーが粉末である場合、粉末は、平均粒子径(平均二次粒子径)が100~2000μmであることが好ましい。平均二次粒子径の下限は、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましい。平均二次粒子径の上限は1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることが更に好ましく、700μm以下が特に好ましい。上記平均粒子径は、JIS K 6891に準拠して測定した値である。
上記粉末は、炭化水素系界面活性剤を含有してもよい。上記粉末は、炭化水素系界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。本明細書の粉末において、「炭化水素系界面活性剤を実質的に含まない」とは、粉末に対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味する。炭化水素系界面活性剤の含有量は、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下である。
上記炭化水素系界面活性剤量は、例えば、粉末を、水/メタノール混合水溶液(1/1vol)にて抽出し、エバポレーターを用いて得られた抽出液からメタノールを除去し、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析装置で測定することにより求めることができる。
上記粉末は、含フッ素界面活性剤を実質的に含まないことが好ましい。本明細書の粉末において、「含フッ素界面活性剤を実質的に含まない」とは、粉末に対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味する。含フッ素界面活性剤の含有量は、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下であり、特に好ましくは、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC/MS/MS)による測定による、含フッ素界面活性剤が検出限界以下である。
上記含フッ素界面活性剤量は、公知な方法で定量できる。例えば、LC/MS/MS分析にて定量することが出来る。まず、得られた粉末をメタノールの有機溶剤に抽出し、抽出液をLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる界面活性剤の構造式との一致を確認する。
その後、確認された界面活性剤を5水準以上の濃度の水溶液を作成し、それぞれの濃度のLC/MS/MS分析を行ない、エリア面積との検量線を作成する。
得られた粉末をメタノールにてソックスレー抽出を行ない、抽出液をLC/MS/MS分析を行なうことで定量測定することが出来る。
すなわち、含フッ素界面活性剤の含有量は、例えば、LC/MS/MS分析にて定量することができる。まず、メタノールに得られた粉末を加え、抽出を行ない、得られた抽出液をLC/MS/MS分析する。さらに抽出効率を高めるために、ソックスレー抽出、超音波処理等による処理を行ってもよい。得られたLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる含フッ素界面活性剤の構造式との一致を確認する。その後、確認された含フッ素界面活性剤の5水準以上の含有量の水溶液を作製し、それぞれの含有量の水溶液のLC/MS/MS分析を行ない、含有量と、その含有量に対するエリア面積と関係をプロットし、検量線を描く。そして、検量線を用いて、抽出液中の含フッ素界面活性剤のLC/MS/MSクロマトグラムのエリア面積を、含フッ素界面活性剤の含有量に換算することができる。
上記含フッ素界面活性剤としては、上述した製造方法において例示したものと同じである。例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよく、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよく、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤であってよい。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、上記一般式(N)で表される化合物が挙げられ、具体的には、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、及び、一般式(N)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、一般式(II)で表されるω-Hパーフルオロカルボン酸(II)、一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、一般式(VII)で表されるω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)、一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、一般式(XII)で表される化合物(XII)、及び、一般式(XIII)で表される化合物(XIII)等が挙げられる。
本開示の製造方法において、凝析、または、洗浄により発生した排水、及び/又は、乾燥工程で発生するオフガスから、上記炭化水素系界面活性剤、上記炭化水素系界面活性剤から副生する上記炭化水素系界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収し、精製することにより、上記炭化水素系界面活性剤、上記炭化水素系界面活性剤から副生する上記炭化水素系界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を再利用してもよい。上記回収、及び、精製を行う方法としては特に限定されるものではないが、公知の方法により行うことができる。例えば、特表2011-520020号公報に記載の方法により、実施可能である。
上記凝析により発生した排水、洗浄により発生した排水、及び、乾燥工程で発生するオフガスから、上記炭化水素系界面活性剤、上記炭化水素系界面活性剤から副生する上記炭化水素系界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収し、精製する方法としては特に限定されるものではないが、従来公知の方法を採用することができ、例えば、米国特許出願公開第2007/15937号明細書、米国特許出願公開第2007/25902号明細書、米国特許出願公開第2007/27251号明細書に記載の方法が挙げられ、具体的には以下の方法が挙げられる。
上記排水から炭化水素系界面活性剤、上記炭化水素系界面活性剤から副生する上記炭化水素系界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収する方法としては、排水にイオン交換樹脂、活性炭、シリカゲル、クレイ、ゼオライト等の吸着粒子を接触させて上記炭化水素系界面活性剤等を吸着させた後、排水と吸着粒子とを分離する方法が挙げられる。上記炭化水素系界面活性剤等を吸着した吸着粒子を焼却すれば、上記炭化水素系界面活性剤等の環境への放出を防ぐことができる。
また、上記炭化水素系界面活性剤等を吸着したイオン交換樹脂粒子から公知の方法により上記炭化水素系界面活性剤等を脱離・溶出させて回収することもできる。例えば、イオン交換樹脂粒子が陰イオン交換樹脂粒子である場合、鉱酸を陰イオン交換樹脂に接触させることにより界面活性剤等を溶出させることができる。続いて得られる溶出液に水溶性有機溶媒を添加すると通常2相に分離するので、炭化水素系界面活性剤等を含む下相を回収して中和することにより、炭化水素系界面活性剤等を回収できる。上記水溶性有機溶媒としては、アルコール、ケトン、エーテル等の極性溶媒が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤等をイオン交換樹脂粒子から回収する別の方法としては、アンモニウム塩と水溶性有機溶媒を使用する方法、アルコールと所望により酸とを使用する方法が挙げられる。後者の方法では上記界面活性剤等のエステル誘導体が生成するので、蒸留することによりアルコールと容易に分離できる。
上記排水にフルオロポリマー粒子や他の固形分が含まれる場合、排水と吸着粒子とを接触させる前にこれらを除去しておくことが好ましい。フルオロポリマー粒子や他の固形分を除去する方法としては、アルミニウム塩等を添加することによりこれらを沈殿させた後、排水と沈殿物とを分離させる方法、電気凝固法等が挙げられる。また、機械的な方法により除去してもよく、例えば、交差流ろ過法、深層ろ過法、プレコートろ過法が挙げられる。
上記排水中の未凝集の上記フルオロポリマー濃度は、生産性の観点から低いことが好ましく、0.4質量%未満がより好ましく、0.3質量%未満が特に好ましい。
上記オフガスから上記炭化水素系界面活性剤等を回収する方法としては、スクラバーを使用して、脱イオン水、アルカリ水溶液、グリコールエーテル溶媒などの有機溶媒等と接触させて、界面活性剤等を含むスクラバー溶液を得る方法が挙げられる。アルカリ水溶液として高濃度アルカリ水溶液を使用すると、上記界面活性剤等が相分離した状態でスクラバー溶液が回収できるので、上記界面活性剤等の回収と再利用が容易である。アルカリ化合物としてはアルカリ金属水酸化物、第4級アンモニウム塩等が挙げられる。
上記炭化水素系界面活性剤等を含むスクラバー溶液に逆浸透膜等を使用して濃縮してもよい。濃縮したスクラバー溶液は通常フッ素イオンを含むが、濃縮後さらにアルミナを添加して該フッ素イオンを除去することにより、上記界面活性剤等の再利用を容易にすることもできる。また、スクラバー溶液に吸着粒子を接触させて上記炭化水素系界面活性剤等を吸着させて、上述した方法により炭化水素系界面活性剤等を回収してもよい。
上記のいずれかの方法により回収した炭化水素系界面活性剤等は、フルオロポリマーの製造に再利用することができる。
以下に、本開示の製造方法で得ることができるフルオロポリマーについて詳述する。
本開示の製造方法で得られるフルオロポリマーは、ポリマーにおけるモノマーのモル分率が最も多いモノマー(以下、「最多単量体」)がTFEであるTFE重合体、最多単量体がVDFであるVDF重合体、最多単量体がCTFEであるCTFE重合体等が挙げられる。以下、フルオロポリマー毎により好適な態様を記載する。
TFE重合体としては、好適には、TFE単独重合体であってもよいし、(1)TFE、(2)炭素原子2~8個を有する1つ又は2つ以上のTFE以外のフッ素含有モノマー、特にVDF、HFP若しくはCTFE、及び、(3)その他のモノマーからなる共重合体であってもよい。上記(3)その他のモノマーとしては、例えば、炭素原子1~5個、特に炭素原子1~3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール;パーフルオロアルキルエチレン;ω-ヒドロパーフルオロオレフィン等が挙げられる。
TFE重合体としては、また、TFEと、1つ又は2つ以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体であってもよい。上記フッ素非含有モノマーとしては、例えば、エチレン、プロピレン等のアルケン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類が挙げられる。TFE重合体としては、また、TFEと、炭素原子2~8個を有する1つ又は2つ以上のフッ素含有モノマーと、1つ又は2つ以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体であってもよい。
VDF重合体としては、好適には、VDF単独重合体[PVDF]であってもよいし、(1)VDF、(2)炭素原子2~8個を有する1つ又は2つ以上のVDF以外のフルオロオレフィン、特にTFE、HFP若しくはCTFE、及び、(3)炭素原子1~5個、特に炭素原子1~3個を有するアルキル基を持つパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる共重合体等であってもよい。
CTFE重合体としては、好適には、CTFE単独重合体であってもよいし、(1)CTFE、(2)炭素原子2~8個を有する1つ又は2つ以上のCTFE以外のフルオロオレフィン、特にTFE若しくはHFP、及び、(3)炭素原子1~5個、特に炭素原子1~3個を有するアルキル基を持つパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)からなる共重合体であってもよい。
CTFE重合体としては、また、CTFEと、1つ又は2つ以上のフッ素非含有モノマーとの共重合体であってもよく、上記フッ素非含有モノマーとしては、エチレン、プロピレン等のアルケン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類等が挙げられる。
本開示の製造方法により製造されるフルオロポリマーは、ガラス状、可塑性又はエラストマー性であり得る。これらのものは非晶性又は部分的に結晶性であり、圧縮焼成加工、溶融加工又は非溶融加工に供することができる。
本開示の製造方法では、例えば、(I)非溶融加工性フッ素樹脂として、テトラフルオロエチレン重合体[TFE重合体(PTFE)]が、(II)溶融加工性フッ素樹脂として、エチレン/TFE共重合体[ETFE]、TFE/HFP共重合体[FEP]、TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体[PFA、MFA等]、TFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体、TFE/VDF共重合体、電解質ポリマー前駆体が、(III)フッ素ゴムとして、TFE/プロピレン共重合体、TFE/プロピレン/第3モノマー共重合体(上記第3モノマーは、VDF、HFP、CTFE、フルオロアルキルビニルエーテル類等)、TFEとフルオロアルキルビニルエーテル類とからなる共重合体;HFP/エチレン共重合体、HFP/エチレン/TFE共重合体;PVDF;VDF/HFP共重合体、HFP/エチレン共重合体、VDF/TFE/HFP共重合体等の熱可塑性エラストマー;及び、特公昭61-49327号公報に記載の含フッ素セグメント化ポリマー等が好適に製造されうる。
上記フルオロポリマーとしては、フッ素樹脂が好ましく、なかでも下記式により算出されるフッ素置換率が50%以上のフッ素樹脂がより好ましく、上記フッ素置換率が50%を超えるフッ素樹脂が更に好ましく、上記フッ素置換率が55%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が60%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が75%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が80%以上のフッ素樹脂が特に好ましく、上記フッ素置換率が90~100%のフッ素樹脂、すなわちパーフルオロ樹脂が最も好ましい。
(式)
フッ素置換率(%)=(フルオロポリマーを構成する炭素原子に結合するフッ素原子の個数)/((フルオロポリマーを構成する炭素原子に結合する水素原子の個数)+(フルオロポリマーを構成する炭素原子に結合するフッ素原子及び塩素原子の個数))×100
上記パーフルオロ樹脂としては、上記フッ素置換率が95~100%のフッ素樹脂がより好ましく、PTFE、FEP、PFAが更に好ましく、PTFEが特に好ましく、高分子量のPTFEが殊更好ましい。言い換えると、本開示の製造方法において、上記フルオロポリマーはPTFEであることが好ましく、また、高分子量PTFEであることがより好ましい。
上記フルオロポリマーは、コアシェル構造を有していてもよい。コアシェル構造を有するフルオロポリマーとしては、例えば、粒子中に高分子量のPTFEのコアと、より低分子量のPTFEまたは変性のPTFEシェルとを含むPTFEが挙げられる。このようなPTFEとしては、例えば、特表2005-527652号公報に記載されるPTFEが挙げられる。
上記コアシェル構造としては、次の構造をとり得る。
コア:TFE単独重合体 シェル:TFE単独重合体
コア:変性PTFE シェル:TFE単独重合体
コア:変性PTFE シェル:変性PTFE
コア:TFE単独重合体 シェル:変性PTFE
コア:低分子量PTFE シェル:高分子量PTFE
コア:高分子量PTFE シェル:低分子量PTFE
上記コアシェル構造を有するフルオロポリマーにおいて、コアの比率の下限は、好ましくは0.5質量%、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは3.0質量%、特に好ましくは5.0質量%、最も好ましくは10.0質量%である。コアの比率の上限は、好ましくは99.5質量%、より好ましくは99.0質量%、更に好ましくは98.0質量%、更により好ましくは97.0質量%、特に好ましくは95.0質量%、最も好ましくは90.0質量%である。
上記コアシェル構造を有するフルオロポリマーにおいて、シェルの比率の下限は、好ましくは0.5質量%、より好ましくは1.0質量%、更に好ましくは3.0質量%、特に好ましくは5.0質量%、最も好ましくは10.0質量%である。シェルの比率の上限は、好ましくは99.5質量%、より好ましくは99.0質量%、更に好ましくは98.0質量%、更により好ましくは97.0質量%、特に好ましくは95.0質量%、最も好ましくは90.0質量%である。
上記コアシェル構造を有するフルオロポリマーにおいて、上記コア又は上記シェルを2層以上の構成とすることもできる。例えば、PTFEのコア中心部と、TFE単独重合体のコア外層部と、変性PTFEのシェルとを有する3層構造を有するフルオロポリマーであってよい。このような3層構造を有するフルオロポリマーとしては、例えば、国際公開第2006/054612号に記載されるPTFEが挙げられる。
本開示の製造方法により好適に製造される上述の(I)非溶融加工性フッ素樹脂及び(II)溶融加工性フッ素樹脂は、以下の態様で製造することが好ましい。
(I)非溶融加工性フッ素樹脂[PTFE]
本開示の製造方法において、TFEの重合は、通常、重合温度10~150℃、重合圧力0.05~5MPaGにて行われる。例えば、重合温度は、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。また、重合圧力は、0.3MPaG以上がより好ましく、0.5MPaG以上が更に好ましく、また、5.0MPaG以下がより好ましく、3.0MPaG以下が更に好ましい。特に、フルオロポリマーの得量を向上させる観点からは、1.0MPaG以上が好ましく、1.2MPaG以上がより好ましく、1.5MPaG以上が更に好ましく、2.0MPaG以上がより好ましい。
一の態様において、上記重合は、攪拌機を備えた耐圧の反応容器に純水を仕込み、脱酸素後、TFEを仕込み、所定の温度にし、重合開始剤を添加して反応を開始する。反応の進行とともに圧力が低下する場合は、初期圧力を維持するように、追加のTFEを連続的又は間欠的に追加供給する。所定量のTFEを供給した時点で、供給を停止し、反応容器内のTFEをパージし、温度を室温に戻して反応を終了する。圧力が低下しないように、追加のTFEを連続的又は間欠的に追加供給してもよい。
上記TFE重合体(PTFE)の製造において、知られている各種変性モノマーを併用することもできる。本明細書において、上記PTFEは、TFE単独重合体のみならず、TFEと変性モノマーとの共重合体であって、非溶融加工性であるもの(以下、「変性PTFE」という。)をも含む概念である。
上記PTFEは、TFEの単独重合体であってもよいし、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む変性PTFEであってもよい。
上記変性PTFEは、変性モノマーに基づく重合単位(以下「変性モノマー単位」とも記載する)が0.00001~1.0質量%の範囲であることが好ましい。変性モノマー単位の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましい。変性モノマー単位の上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が特に好ましい。
本明細書において、上記変性モノマー単位とは、PTFEの分子構造の一部分であって変性モノマーに由来する部分を意味する。
本明細書において、PTFEを構成する各単量体単位の含有量は、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析を単量体の種類によって適宜組み合わせることで算出できる。
また、PTFEを構成する各単量体単位の含有量は、重合に用いた変性モノマーの添加量から計算により求めることもできる。
上記変性モノマーとしては、TFEとの共重合が可能なものであれば特に限定されず、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;(パーフルオロアルキル)エチレン、エチレン等が挙げられる。また、用いる変性モノマーは1種であってもよいし、複数種であってもよい。
上記変性モノマーとしては、例えば、HFP、CTFE、パーフルオロビニルエーテル等のパーハロオレフィン;炭素原子1~5個、特に炭素原子1~3個を有するアルキル基を持つフルオロ(アルキルビニルエーテル);フルオロジオキソール等の環式のフッ素化された単量体;(パーフルオロアルキル)エチレン等のパーハロアルキルエチレン;ω-ヒドロパーハロオレフィン等が挙げられる。変性モノマーの供給は、目的や、TFEの供給に応じて、初期一括添加、又は、連続的若しくは間欠的に分割添加を行うことができる。
上記変性モノマーとしては、フルオロモノマーおよび非フルオロモノマーが挙げられる。
非フルオロモノマーとしては、特に限定されず、一般式:
CH=CRQ1-LRQ2
(式中、RQ1は、水素原子またはアルキル基を表す。Lは、単結合、-CO-O-*、-O-CO-*または-O-を表す。*はRQ2との結合位置を表す。RQ2は、水素原子、アルキル基またはニトリル基を表す。)で表されるモノマーが挙げられる。
非フルオロモノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、プロピルアクリレート、プロピルメタクリレートブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ビニルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテルなどが挙げられる。非フルオロモノマーとしては、なかでも、ブチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリル酸が好ましい。
フルオロモノマーとして、例えば、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕等のパーフルオロオレフィン;トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデン〔VDF〕等の水素含有フルオロオレフィン;クロロトリフルオロエチレン等のパーハロオレフィン;パーフルオロビニルエーテル;(パーフルオロアルキル)エチレン;パーフルオロアリルエーテル等が挙げられる。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては特に限定されず、例えば、下記一般式(A):CF=CF-ORf (A)
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるパーフルオロ不飽和化合物等が挙げられる。本明細書において、上記「パーフルオロ有機基」とは、炭素原子に結合する水素原子が全てフッ素原子に置換されてなる有機基を意味する。上記パーフルオロ有機基は、エーテル酸素を有していてもよい。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、例えば、上記一般式(A)において、Rfが炭素数1~10のパーフルオロアルキル基であるパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)〔PAVE〕が挙げられる。上記パーフルオロアルキル基の炭素数は、好ましくは1~5である。
上記PAVEにおけるパーフルオロアルキル基としては、例えば、パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、パーフルオロプロピル基、パーフルオロブチル基、パーフルオロペンチル基、パーフルオロヘキシル基等が挙げられる。
上記パーフルオロビニルエーテルとしては、更に、上記一般式(A)において、Rfが炭素数4~9のパーフルオロ(アルコキシアルキル)基であるもの、Rfが下記式:
Figure 0007201948000036
(式中、mは、0又は1~4の整数を表す。)で表される基であるもの、Rfが下記式:
Figure 0007201948000037
(式中、nは、1~4の整数を表す。)で表される基であるもの等が挙げられる。
水素含有フルオロオレフィンとしては、CH=CF、CFH=CH、CFH=CF、CF=CFCF、CH=CFCF、CH=CHCF、CHF=CHCF(E体)、CHF=CHCF(Z体)等が挙げられる。
(パーフルオロアルキル)エチレン(PFAE)としては特に限定されず、例えば、(パーフルオロブチル)エチレン(PFBE)、(パーフルオロヘキシル)エチレン等が挙げられる。
パーフルオロアリルエーテルとしては、例えば、
一般式:CF=CF-CF-ORf
(式中、Rfは、パーフルオロ有機基を表す。)で表されるフルオロモノマーが挙げられる。
上記一般式のRfは、一般式(A)のRfと同じである。Rfとしては、炭素数1~10のパーフルオロアルキル基または炭素数1~10のパーフルオロアルコキシアルキル基が好ましい。パーフルオロアリルエーテルとしては、CF=CF-CF-O-CF、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CF=CF-CF-O-C、CF=CF-CF-O-C、及び、CF=CF-CF-O-Cからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、CF=CF-CF-O-CFCFCFがさらに好ましい。
上記変性モノマーとしては、モノマー反応性比が0.1~8である変性モノマー(3)も好ましく例示される。変性モノマー(3)を存在させることによって、粒子径が小さいPTFE粒子を得ることができ、分散安定性の高い水性分散液を得ることができる。
ここで、TFEとの共重合におけるモノマー反応性比とは、成長ラジカルがTFEに基づく繰り返し単位未満であるときに、該成長ラジカルがTFEと反応する場合の速度定数を、該成長ラジカルがコモノマーと反応する場合の速度定数で除した値である。この値が低いほど、コモノマーがTFEと高反応性であることを表す。モノマー反応性比は、TFEとコモノマーとを共重合して開始直後の生成ポリマー中の組成を求め、ファインマン-ロスの式より算出できる。
上記共重合は、内容積6.0Lのステンレス製オートクレーブに3600gの脱イオン脱気水、上記水に対して1000ppmのパーフルオロオクタン酸アンモニウム、100gのパラフィンワックスを使用して、圧力0.78MPaG、温度70℃で実施する。0.05g、0.1g、0.2g、0.5g、1.0gのコモノマーをそれぞれ反応器に加え、0.072gの過硫酸アンモニウム(対水20ppm)を加えて、重合圧力0.78MPaGを維持させるため、TFEを連続的に供給する。TFE仕込量が1000gに到達したとき、撹拌を停止して、反応器が大気圧になるまで脱圧を行なう。冷却後、パラフィンワックスを分離することにより、生成ポリマーを含む水性分散液が得られる。上記水性分散液を撹拌して生成ポリマーを凝析させ、150℃で乾燥させる。得られた生成ポリマー中の組成を、NMR、FT-IR、元素分析、蛍光X線分析をモノマーの種類によって適宜組み合わせることで算出する。
モノマー反応性比が0.1~8である変性モノマー(3)としては、式(3a)~(3d)で表されるコモノマーからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
CH=CH-Rf (3a)
(式中、Rfは炭素数が1~10のパーフルオロアルキル基である。)
CF=CF-O-Rf (3b)
(式中、Rfは炭素数が1~2のパーフルオロアルキル基である。)
CF=CF-O-(CFCF=CF (3c)
(式中、nは1又は2である。)
Figure 0007201948000038
(式中、X及びXはF、Cl又はメトキシ基であり、Yは式Y1又はY2である。)
Figure 0007201948000039
(式Y2中、Z及びZ’はF又は炭素数1~3のフッ素化アルキル基である。)
変性モノマー(3)単位の含有量は、PTFEの全重合単位に対して0.00001~1.0質量%の範囲であることが好ましい。下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が特に殊更に好ましい。
上記変性モノマーとしては、変性ポリテトラフルオロエチレン粒子の平均一次粒子径が小さく、一次粒子のアスペクト比が小さく、安定性に優れる水性分散液を得ることができることから、ヘキサフルオロプロピレン、フッ化ビニリデン、フルオロ(アルキルビニルエーテル)、(パーフルオロアルキル)エチレン、エチレン、及び、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。上記変性モノマーを使用することで、より平均一次粒子径が小さく、一次粒子のアスペクト比が小さく、分散安定性に優れるPTFEの水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマーが少ない水性分散液を得ることができる。
上記変性モノマーは、TFEとの反応性の観点からは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。
より好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び、(パーフルオロオクチル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことである。
上記ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位及び(パーフルオロアルキル)エチレン単位の合計量は、PTFEの全重合単位に対して、0.00001~1質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましい。上限としては、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が特に好ましい。
上記変性モノマーは、ラジカル重合で反応可能な官能基と親水基とを有する変性モノマー(以下「変性モノマー(A)」と記載する。)を含むことも好ましい。
上記変性モノマー(A)を存在させることによって、一次粒子径が小さいPTFE粒子を得ることができ、分散安定性の高い水性分散液を得ることができる。また、未凝析ポリマー量を少なくすることもできる。更に、一次粒子のアスペクト比を小さくすることができる。
上記変性モノマー(A)の使用量は、水性媒体の0.1ppmに相当する量を超える量であることが好ましく、0.5ppmを超える量であることがより好ましく、1.0ppmを超える量であることが更に好ましく、5ppm以上であることが更により好ましく、10ppm以上であることが特に好ましい。上記変性モノマー(A)が少なすぎると、得られるPTFEの平均一次粒子径が小さくならないおそれがある。
上記変性モノマー(A)の使用量は、上記範囲であればよいが、例えば、上限を5000ppmとすることができる。また、上記製造方法では、反応中または反応後の水性分散液の安定性を向上させるために、反応途中で変性モノマー(A)を系中に追加してもよい。
上記変性モノマー(A)は水溶性が高いので、未反応の変性モノマー(A)が水性分散液中に残存したとしても、濃縮工程、あるいは凝析・洗浄工程での除去は容易である。
上記変性モノマー(A)は、重合の過程で生成ポリマー中に取り込まれるが、重合系中の変性モノマー(A)の濃度そのものが低く、ポリマーに取り込まれる量が少ないため、PTFEの耐熱性が低下したり焼成後に着色したりする問題はない。
上記変性モノマー(A)における親水基としては、例えば、-NH、-POM、-P(O)(OM)、-OPOM、-OP(O)(OM)、-SOM、-OSOM、-COOM(各式において、Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7yは、H又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)が挙げられる。上記親水基としては、なかでも、-SOM又は-COOMが好ましい。
7yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R7yとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記変性モノマー(A)における「ラジカル重合で反応可能な官能基」としては、例えば、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有する基が挙げられる。エチレン性不飽和結合を有する基は、下記式:
CX=CXR-
(式中、X、X及びXは、それぞれ独立して、F、Cl、H、CF、CFH、CFH、又は、CHであり;Rは連結基である。)で示すことができる。Rの連結基としては後述するRとしての連結基が挙げられる。好ましくは-CH=CH、-CF=CH2、-CH=CF2、-CF=CF、-CH-CH=CH、-CF-CF=CH、-CF-CF=CF、-(C=O)-CH=CH、-(C=O)-CF=CH、-(C=O)-CH=CF、-(C=O)-CF=CF、-(C=O)-C(CH)=CH、-(C=O)-C(CF)=CH、-(C=O)-C(CH)=CF、-(C=O)-C(CF)=CF、-O-CH-CH=CH、-O-CF-CF=CH、-O-CH-CH=CF、-O-CF-CF=CF等の不飽和結合を有する基が挙げられる。
上記変性モノマー(A)は、ラジカル重合で反応可能な官能基を有するので、上記重合において使用すると、重合反応初期に含フッ素モノマーと反応し、上記変性モノマー(A)に由来する親水基を有し安定性が高い粒子が形成されると推測される。このため、上記変性モノマー(A)の存在下に重合を行うと、粒子数が多くなると考えられる。
上記重合は、上記変性モノマー(A)を1種存在させるものであってもよいし、2種以上存在させるものであってもよい。
上記重合において、上記変性モノマー(A)として、不飽和結合を有する化合物を使用することができる。
変性モノマー(A)は、一般式(4):
CX=CX-(CZ-Y (4)
(式中、X、X及びXは、それぞれ独立して、F、Cl、H又はCFであり;Yは、親水基であり;Rは連結基であり;Z及びZは、それぞれ独立して、H、F又はCFであり、kは0又は1である)で表される化合物が好ましい。
上記親水基としては、例えば、-NH、-POM、-P(O)(OM)、-OPOM、-OP(O)(OM)、-SOM、-OSOM、-COOM(各式において、Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7yは、H又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)が挙げられる。上記親水基としては、なかでも、-SOM又は-COOMが好ましい。R7yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。R7yとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。上記金属原子としては、1、2価の金属原子が挙げられ、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記変性モノマー(A)を用いることによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができる。また、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
上記Rは、連結基である。本明細書において「連結基」は、二価連結基を指す。連結基は、単結合であってもよく、少なくとも1個の炭素原子を含むことが好ましく、炭素原子の数は、2以上であってよく、4以上であってよく、8以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってもよい。上限は限定されないが、例えば、100以下であってよく、50以下であってよい。
上記連結基は、鎖状又は分岐状、環状又は非環状構造、飽和又は不飽和、置換又は非置換であってよく、所望により硫黄、酸素、及び窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を含み、所望によりエステル、アミド、スルホンアミド、カルボニル、カーボネート、ウレタン、尿素及びカルバメートからなる群から選択される1つ以上の官能基を含んでよい。上記連結基は、炭素原子を含まず、酸素、硫黄又は窒素等のカテナリーヘテロ原子であってもよい。
上記Rは、例えば、酸素、硫黄、窒素等のカテナリーヘテロ原子、又は、2価の有機基であることが好ましい。
が2価の有機基である場合、炭素原子に結合する水素原子は、フッ素以外のハロゲン、例えば塩素等で置き換えられてもよく、二重結合を含んでも含まなくてもよい。また、Rは、鎖状及び分岐状のいずれでもよく、環状及び非環状のいずれでもよい。また、Rは、官能基(例えば、エステル、エーテル、ケトン、アミン、ハロゲン化物等)を含んでもよい。
はまた、非フッ素の2価の有機基であってもよいし、部分フッ素化又は過フッ素化された2価の有機基であってもよい。
としては、例えば、炭素原子にフッ素原子が結合していない炭化水素基、炭素原子に結合する水素原子の一部がフッ素原子で置換された炭化水素基、炭素原子に結合する水素原子の全てがフッ素原子で置換された炭化水素基、-(C=O)-、-(C=O)-O-、又は、-(C=O)-を含有する炭化水素基であってもよく、これらは酸素原子を含んでいてもよく、二重結合を含んでいてもよく、官能基を含んでいてもよい。
は、-(C=O)-、-(C=O)-O-、又は、エーテル結合を含んでいてもよく、カルボニル基を含んでいてもよい炭素数1~100の炭化水素基であることが好ましく、該炭化水素基は、炭素原子に結合する水素原子の一部又は全部がフッ素に置換されていてもよい。
として好ましくは、-(CH-、-(CF-、-O-(CF-、-(CF-O-(CF-、-O(CF-O-(CF-、-(CF-[O-(CF-、-O(CF-[O-(CF-、-[(CF-O]-[(CF-O]-、-O[(CF-O]-[(CF-O]-、-O-[CFCF(CF)O]-(CF-、-(C=O)-、-(C=O)-O-、-(C=O)-(CH-、-(C=O)-(CF-、-(C=O)-O-(CH-、-(C=O)-O-(CF-、-(C=O)-[(CH-O]-、-(C=O)-[(CF-O]-、-(C=O)-O[(CH-O]-、-(C=O)-O[(CF-O]-、-(C=O)-O[(CH-O]-(CH-、-(C=O)-O[(CF-O]-(CF-、-(C=O)-(CH-O-(CH-、-(C=O)-(CF-O-(CF-、-(C=O)-O-(CH-O-(CH-、-(C=O)-O-(CF-O-(CF-、-(C=O)-O-C-、及び、これらの組み合わせから選択される少なくとも1種である。
式中、a、b、c及びdは独立して少なくとも1以上である。a、b、c及びdは独立して、2以上であってよく、3以上であってよく、4以上であってよく、10以上であってよく、20以上であってよい。a、b、c及びdの上限は、例えば、100である。
として好適な具体例としては、-CF-O-、-CF-O-CF-、-CF-O-CH-、-CF-O-CHCF-、-CF-O-CFCF-、-CF-O-CFCH-、-CF-O-CFCFCH-、-CF-O-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)CF-、-CF-O-CF(CF)CF-O-、-CF-O-CF(CF)CH-、-(C=O)-、-(C=O)-O-、-(C=O)-(CH)-、-(C=O)-(CF)-、-(C=O)-O-(CH)-、-(C=O)-O-(CF)-、-(C=O)-[(CH-O]-、-(C=O)-[(CF-O]-、-(C=O)-O[(CH-O]-、-(C=O)-O[(CF-O]-、-(C=O)-O[(CH-O]-(CH)-、-(C=O)-O[(CF-O]-(CF)-、-(C=O)-(CH-O-(CH)-、-(C=O)-(CF-O-(CF)-、-(C=O)-O-(CH-O-(CH)-、-(C=O)-O-(CF-O-(CF)-、-(C=O)-O-C-等が挙げられる。中でも、上記Rは、具体的には、-CF-O-、-CF-O-CF-、-CF-O-CFCF-、-CF-O-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)CF-、-CF-O-CF(CF)CF-O-、-(C=O)-、-(C=O)-O-、-(C=O)-(CH)-、-(C=O)-O-(CH)-、-(C=O)-O[(CH-O]-、-(C=O)-O[(CH-O]-(CH)-、-(C=O)-(CH-O-(CH)-、又は、-(C=O)-O-C-が好ましい。
上記式中、nは1~10の整数である。
上記一般式(4)における-R-(CZとしては、-CF-O-CF-、-CF-O-CF(CF)-、-CF-O-C(CF-、-CF-O-CF-CF-、-CF-O-CF-CF(CF)-、-CF-O-CF-C(CF-、-CF-O-CFCF-CF-、-CF-O-CFCF-CF(CF)-、-CF-O-CFCF-C(CF-、-CF-O-CF(CF)-CF-、-CF-O-CF(CF)-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)-C(CF-、-CF-O-CF(CF)-CF-、-CF-O-CF(CF)-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)-C(CF-、-CF-O-CF(CF)CF-CF-、-CF-O-CF(CF)CF-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)CF-C(CF-、-CF-O-CF(CF)CF-O-CF-、-CF-O-CF(CF)CF-O-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)CF-O-C(CF-、-(C=O)-、-(C=O)-O-、-(C=O)-(CH)-、-(C=O)-(CF)-、-(C=O)-O-(CH)-、-(C=O)-O-(CF)-、-(C=O)-[(CH-O]-(CH)-、-(C=O)-[(CF-O]-(CF)-、-(C=O)-[(CH-O]-(CH)-(CH)-、-(C=O)-[(CF-O]-(CF)-(CF)-、-(C=O)-O[(CH-O]-(CF)-、-(C=O)-O[(CH-O]-(CH)-(CH)-、-(C=O)-O[(CF-O]-(CF)-、-(C=O)-O[(CF-O]-(CF)-(CF)-、-(C=O)-(CH-O-(CH)-(CH)-、-(C=O)-(CF-O-(CF)-(CF)-、-(C=O)-O-(CH-O-(CH)-(CH)-、-(C=O)-O-(CF-O-(CF)-(CF)-、-(C=O)-O-(CH-O-(CH)-C(CF-、-(C=O)-O-(CF-O-(CF)-C(CF-、又は、-(C=O)-O-C-C(CF-が好ましく、-CF-O-CF(CF)-、-CF-O-CF-CF(CF)-、-CF-O-CFCF-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)CF-CF(CF)-、-CF-O-CF(CF)CF-O-CF(CF)-、-(C=O)-、-(C=O)-O-(CH)-、-(C=O)-O-(CH)-(CH)-、-(C=O)-O[(CH-O]-(CH)-(CH)-、-(C=O)-O-(CH-O-(CH)-C(CF-、又は、-(C=O)-O-C-C(CF-がより好ましい。
上記式中、nは1~10の整数である。
一般式(4)で表される化合物の具体例としては、
Figure 0007201948000040
(式中、X及びYは上記と同じ。nは1~10の整数である。)等が挙げられる。
としては、下記一般式(r1):
-(C=O)-(O)-CF-O-(CX -{O-CF(CF)}-(O)- (r1)
(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0~3の整数であり、fは0~3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1である)で表される2価の基が好ましく、下記一般式(r2):
-(C=O)-(O)-CF-O-(CX -(O)- (r2)(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0~3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1である。)で表される2価の基も好ましい。
上記一般式(4)の-R-(CZ-としてはまた、下記式(t1):
-(C=O)-(O)-CF-O-(CX -{O-CF(CF)}-(O)-CZ- (t1)
(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0~3の整数であり、fは0~3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1であり、Z及びZは、それぞれ独立して、F又はCFである)で表される2価の基も好ましく、式(t1)において、Z及びZは、一方がFで他方がCFであることがより好ましい。
また、上記一般式(4)において、-R-(CZ-としては、下記式(t2):
-(C=O)-(O)-CF-O-(CX -(O)-CZ- (t2)
(式中、Xはそれぞれ独立してH、F又はCFであり、eは0~3の整数であり、gは0又は1であり、hは0又は1であり、iは0又は1であり、Z及びZは、それぞれ独立して、F又はCFである)で表される2価の基も好ましく、式(t2)において、Z及びZは、一方がFで他方がCFであることがより好ましい。
一般式(4)で表される化合物は、親水基(Y)を除いて、C-F結合を有し、C-H結合を有していないことも好ましい。すなわち、一般式(4)において、X、X、及びXの全てがFであり、Rは炭素数が1以上のパーフルオロアルキレン基であることが好ましく、上記パーフルオロアルキレン基は、鎖状及び分岐状のいずれでもよく、環状及び非環状のいずれでもよく、少なくとも1つのカテナリーヘテロ原子を含んでもよい。上記パーフルオロアルキレン基の炭素数は、2~20であってよく、4~18であってもよい。
一般式(4)で表される化合物は、部分フッ素化されたものであってもよい。すなわち、一般式(4)で表される化合物は、親水基(Y)を除いて、炭素原子に結合した少なくとも1つの水素原子を有し、炭素原子に結合した少なくとも1つのフッ素原子を有することも好ましい。
一般式(4)で表される化合物は、下記式(4a)で示される化合物であることも好ましい。
CF=CF-O-Rf-Y (4a)
(式中、Yは親水基であり、Rfは、過フッ素化されており、鎖状又は分岐状、環状又は非環状構造、飽和又は不飽和、置換又は非置換であってもよく、硫黄、酸素、及び窒素からなる群から選択される1つ以上のヘテロ原子を任意追加的に含有する過フッ素化二価連結基である。)
一般式(4)で表される化合物は、下記式(4b)で示される化合物であることも好ましい。
CH=CH-O-Rf-Y (4b)
(式中、Yは親水基であり、Rfは式(4a)で定義される過フッ素化二価連結基である。)
一般式(4)において、Yは-OSOMであることが好ましい形態の一つである。Yが-OSOMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFCHOSOM)、CH=CH((CFCHOSOM)、CF=CF(O(CFCHOSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)CHOSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCHOSOM)、CH=CH((CFCHOSOM)、CF=CF(OCFCFSON(CH)CHCHOSOM)、CH=CH(CFCFCHOSOM)、CF=CF(OCFCFCFCFSON(CH)CHCHOSOM)、CH=CH(CFCFCHOSOM)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは-SOMであることも好ましい形態の一つである。Yが-SOMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFSOM)、CF=CF(O(CFSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)SOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFSOM)、CH=CH(CFCFSOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCFCFSOM)、CH=CH((CFSOM)、CH=CH(CFCFSOM)、CH=CH((CFSOM)等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは-COOMであることも好ましい形態の一つである。Yが-COOMである場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFCOOM)、CF=CF(OCFCFCFCOOM)、CF=CF(O(CFCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)COOM)、CF=CF(OCFCF(CF)O(CFCOOM)(nは1より大きい)、CH=CH(CFCFCOOM)、CH=CH((CFCOOM)、CH=CH(CFCFCOOM)、CH=CH((CFCOOM)、CF=CF(OCFCFSONR’CHCOOM)、CF=CF(O(CFSONR’CHCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)SONR’CHCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFSONR’CHCOOM)、CH=CH(CFCFSONR’CHCOOM)、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCFCFSONR’CHCOOM)、CH=CH((CFSONR’CHCOOM)、CH=CH(CFCFSONR’CHCOOM)、CH=CH((CFSONR’CHCOOM)等が挙げられる。上記式中、R’はH又はC1-4アルキル基であり、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは-OPOMまたは-OP(O)(OM)であることも好ましい形態の一つである。Yが-OPOMまたは-OP(O)(OM)である場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFCHOP(O)(OM))、CF=CF(O(CFCHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)CHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFCHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCFSON(CH)CHCHOP(O)(OM))、CF=CF(OCFCFCFCFSON(CH)CHCHOP(O)(OM))、CH=CH(CFCFCHOP(O)(OM)、CH=CH((CFCHOP(O)(OM))、CH=CH(CFCFCHOP(O)(OM))、CH=CH((CFCHOP(O)(OM))等が挙げられる。上記式中、Mは上記と同じである。
一般式(4)において、Yは-POMまたは-P(O)(OM)であることも好ましい形態の一つである。Yが-POMまたは-P(O)(OM)である場合、一般式(4)で表される化合物としては、CF=CF(OCFCFP(O)(OM))、CF=CF(O(CFP(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)P(O)(OM))、CF=CF(OCFCF(CF)OCFCFP(O)(OM))、CH=CH(CFCFP(O)(OM))、CH=CH((CFP(O)(OM))、CH=CH(CFCFP(O)(OM))、CH=CH((CFP(O)(OM))等が挙げられ、式中、Mは上記と同じである。
上記一般式(4)で表される化合物としては、下記一般式(5):
CX=CY(-CZ-O-Rf-Y) (5)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Yは、前記と同じである。)で表される単量体、下記一般式(6):
CX=CY(-O-Rf-Y) (6)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Yは、前記と同じである。)で表される単量体、及び、下記一般式(7):
CX=CY(-Rf-Y) (7)
(式中、Xは、同一又は異なって、-H又は-Fであり、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基であり、Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。Yは、前記と同じである。)で表される単量体、からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なお、上記炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、酸素原子が末端である構造を含まず、炭素炭素間にエーテル結合を含んでいるアルキレン基である。
上記一般式(5)において、Xは-H又は-Fである。Xは、両方が-Hであってもよいし、両方が-Fであってもよいし、少なくとも1つが-Hであってよい。例えば、片方が-Fで他方が-Hであってもよいし、両方が-Hであってもよい。
上記一般式(5)において、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Yとしては、-H、-F又は-CFが好ましく、-Fがより好ましい。
上記一般式(5)において、Zは、同一又は異なって、-H、-F、アルキル基又はフルオロアルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Zとしては、-H、-F又は-CFが好ましく、-Fがより好ましい。
上記一般式(5)において、上記X、Y及びZの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。例えば、Xが-Hであり、Y及びZが-Fであってよい。
上記一般式(5)において、上記Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、-CF-、-CHCF-、-CFCF-、-CFCH-、-CFCFCH-、-CF(CF)-、-CF(CF)CF-、-CF(CF)CH-等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は3以上が好ましい。また、エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基の炭素数は、60以下が好ましく、30以下がより好ましく、12以下が更に好ましい。
エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基としては、例えば、下記式:
Figure 0007201948000041
(式中、ZはFまたはCF;Z及びZはそれぞれHまたはF;ZはH、FまたはCF;p1+q1+r1が1~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数)で表される2価の基であることも好ましい。
上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基として具体的には、-CF(CF)CF-O-CF(CF)-、-(CF(CF)CF-O)-CF(CF)-(式中、nは1~10の整数)、-CF(CF)CF-O-CF(CF)CH-、-(CF(CF)CF-O)-CF(CF)CH-(式中、nは1~10の整数)、-CHCFCFO-CHCFCH-、-CFCFCFO-CFCF-、-CFCFCFO-CFCFCH-、-CFCFO-CF-、-CFCFO-CFCH-等が挙げられる。上記エーテル結合を有する含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
上記一般式(5)において、Yは、-COOM、-SOM又は-OSOM(Mは、H、金属原子、NR7y 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、R7yは、H又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)であることが好ましい。
7yにおける有機基としてはアルキル基が好ましい。
7yとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記Mとしては、-H、金属原子又は-NR7y が好ましく、-H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は-NR7y がより好ましく、-H、-Na、-K、-Li又は-NHが更に好ましく、-Na、-K又は-NHが更により好ましく、-Na又は-NHが特に好ましく、-NHが最も好ましい。
上記Yとしては、-COOM又は-SOMが好ましく、-COOMがより好ましい。
一般式(5)で表される単量体
は、下記一般式(5a)で表される単量体(5a)であることが好ましい。
CH=CF(-CF-O-Rf-Y) (5a)
(式中、Rf及びYは前記と同じ。)
一般式(5a)で表される単量体として具体的には、下記式
Figure 0007201948000042
(式中、ZはFまたはCF;Z及びZはそれぞれHまたはF;ZはH、FまたはCF;p1+q1+r1が0~10の整数;s1は0または1;t1は0~5の整数、Yは前記と同じ。ただし、Z及びZがともにHの場合、p1+q1+r1+s1が0でない)で表される単量体が挙げられる。より具体的には、
Figure 0007201948000043
などが好ましく挙げられ、なかでも
Figure 0007201948000044
であることが好ましい。
上記一般式(5a)で表される単量体としては、式(5a)中のYが-COOMであることが好ましく、特に、CH=CFCFOCF(CF)COOM、及び、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましく、CH=CFCFOCF(CF)COOMがより好ましい。
一般式(5)で表される単量体は、下記一般式(5b)で表される単量体(5b)であることが好ましい。
CX =CFCF-O-(CF(CF)CFO)n5-CF(CF)-Y (5b)
(式中、各Xは、同一であり、F又はHを表す。n5は、0又は1~10の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)
上記式(5b)において、上記n5は、得られる水性分散液の安定性の点で0又は1~5の整数であることが好ましく、0、1又は2であることがより好ましく、0又は1であることが更に好ましい。上記Yは、適度な水溶性と水性分散液の安定性が得られる点で-COOMであることが好ましく、上記Mは、不純物として残留しにくく、得られた成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(5b)で表される単量体としては、例えば、CH=CFCFOCF(CF)COOM、CH=CFCFOCF(CF)CFOCF(CF)COOM(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
また、一般式(5)で表される単量体としては、下記一般式(5c)で表される単量体等も挙げられる。
CF=CFCF-O-Rf-Y (5c)
(式中、Rf及びYは上記と同じ)
より具体的には、
Figure 0007201948000045
等が挙げられる。
上記一般式(6)において、Xは-H又は-Fである。Xは、両方が-Fであってもよいし、少なくとも1つが-Hであってよい。例えば、片方が-Fで他方が-Hであってもよいし、両方が-Hであってもよい。
上記一般式(6)において、Yは-H、-F、アルキル基又は含フッ素アルキル基である。
上記アルキル基は、フッ素原子を含有しないアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記含フッ素アルキル基は、フッ素原子を少なくとも1つ含有するアルキル基であり、炭素数は1以上であればよい。上記含フッ素アルキル基の炭素数は6以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。
上記Yとしては、-H、-F又は-CFが好ましく、-Fがより好ましい。
上記一般式(6)において、上記X及びYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。例えば、Xが-Hであり、Y及びZが-Fであってよい。
上記一般式(6)において、上記Rfは炭素数1~40の含フッ素アルキレン基、又は、炭素数2~100のエーテル結合を有する含フッ素アルキレン基である。
上記含フッ素アルキレン基の炭素数は2以上が好ましい。また、含フッ素アルキレン基の炭素数は、30以下が好ましく、20以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。上記含フッ素アルキレン基としては、-CF-、-CHCF-、-CFCF-、-CFCH-、-CFCFCH-、-CF(CF)-、-CF(CF)CF-、-CF(CF)CH-等が挙げられる。上記含フッ素アルキレン基は、パーフルオロアルキレン基であることが好ましい。
上記一般式(6)において、Yは、-COOM、-SOM又は-OSOM(Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウム、Rは、H又は有機基であり、同一でも異なっていてもよい。いずれか2つがお互いに結合して、環を形成してもよい。)であることが好ましい。
の有機基としてはアルキル基が好ましい。Rとしては、H又はC1-10の有機基が好ましく、H又はC1-4の有機基がより好ましく、H又はC1-4のアルキル基が更に好ましい。
上記金属原子としては、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)等が挙げられ、Na、K又はLiが好ましい。
上記Mとしては、-H、金属原子又は-NR が好ましく、-H、アルカリ金属(1族)、アルカリ土類金属(2族)又は-NR がより好ましく、-H、-Na、-K、-Li又は-NHが更に好ましく、-Na、-K又は-NHが更により好ましく、-Na又は-NHが特に好ましく、-NHが最も好ましい。
上記Yとしては、-COOM又は-SOMが好ましく、-COOMがより好ましい。
上記一般式(6)で表される単量体は、下記一般式(6a)、(6b)、(6c)、(6d)及び(6e)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
CF=CF-O-(CFn1-Y (6a)
(式中、n1は、1~10の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)
CF=CF-O-(CFC(CF)F)n2-Y (6b)
(式中、n2は、1~5の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)
CF=CF-O-(CFXn3-Y (6c)
(式中、Xは、F又はCFを表し、n3は、1~10の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)
CF=CF-O-(CFCFXO)n4-(CFn6-Y (6d)
(式中、n4は、1~10の整数を表し、n6は、1~3の整数を表し、Y及びXは、前記定義と同じ。)
CF=CF-O-(CFCFCFXO)n5-CFCFCF-Y (6e)
(式中、n5は、0~10の整数を表し、Y及びXは、前記定義と同じ。)
上記式(6a)において、上記n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。上記Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性を得られる点で、-COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6a)で表される単量体としては、例えば、CF=CF-O-CFCOOM、CF=CF(OCFCFCOOM)、CF=CF(OCFCFCFCOOM)(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
上記式(6b)において、上記n2は、得られる水性分散液の安定性の点で、3以下の整数であることが好ましく、Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性が得られる点で、-COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6c)において、上記n3は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性が得られる点で、-COOMであることが好ましく、上記Mは、分散安定性がよくなる点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6d)において、上記Xは、水性分散液の安定性の点で、-CFであることが好ましく、上記n4は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Yは、適度な水溶性と水性分散液の安定性が得られる点で-COOMであることが好ましく、上記Mは、H又はNHであることが好ましい。
上記式(6d)で表される単量体としては、例えば、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCOOM、CF=CFOCFCF(CF)OCFCOOM、CF=CFOCFCF(CF)OCFCFCFOOM(式中、Mは、H、NH又はアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
一般式(6e)において、上記n5は、水溶性の点で5以下の整数であることが好ましく、上記Yは、適度な水溶性と組成物の優れた沈降安定性が得られる点で-COOMであることが好ましく、上記Mは、H又はNHであることが好ましい。
一般式(6e)で表される単量体としては、例えば、CF=CFOCFCFCFCOOM(式中、Mは、H、NH又はアルカリ金属を表す。)が挙げられる。
上記一般式(7)において、Rfは、炭素数1~40の含フッ素アルキレン基であることが好ましい。一般式(7)において、X及びYの少なくとも1つはフッ素原子を含むことが好ましい。
上記一般式(7)で表される単量体は、下記一般式(7a):
CF=CF-(CFn1-Y (7a)
(式中、n1は、1~10の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)で表される単量体、及び、下記一般式(7b):
CF=CF-(CFC(CF)F)n2-Y (7b)
(式中、n2は、1~5の整数を表し、Yは、前記定義と同じ。)で表される単量体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
上記Yは、-SOM又は-COOMが好ましく、Mは、H、金属原子、NR 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム又は置換基を有していてもよいホスホニウムであることが好ましい。上記Rは、H又は有機基を表す。
上記式(7a)において、上記n1は、5以下の整数であることが好ましく、2以下の整数であることがより好ましい。上記Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性を得られる点で、-COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記式(7a)で表される単量体としては、例えば、CF=CFCFCOOM(式中、Mは上記定義と同じ。)が挙げられる。
上記式(7b)において、上記n2は、得られる水性分散液の安定性の点で、3以下の整数であることが好ましく、Yは、適度な水溶性及び水性分散液の安定性が得られる点で、-COOMであることが好ましく、Mは、不純物として残留しにくく、得られる成形体の耐熱性が向上する点で、H又はNHであることが好ましい。
上記変性モノマーは、変性モノマー(A)を含むことが好ましく、一般式(5a)、一般式(5b)、一般式(6a)、一般式(6b)、一般式(6c)、及び、一般式(6d)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましく、一般式(5a)または一般式(5b)で表される化合物を含むことがより好ましい。
上記変性モノマーが上記変性モノマー(A)を含む場合、変性モノマー(A)に基づく重合単位の含有量は、PTFEの全重合単位に対して、0.00001~1.0質量%の範囲であることが好ましい。下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、0.005質量%が更により好ましい。上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が最も好ましい。
上記PTFEは、コアシェル構造を有していてもよい。上記コアシェル構造とは、従来公知の構造であり、米国特許第6841594号明細書に記載された方法等で製造することができる水性分散液中の一次粒子の構造である。
コアシェル構造を有するポリテトラフルオロエチレンとしては、例えば、TFE単独重合体のコア部と変性PTFEのシェル部とを含むコアシェル構造、変性PTFEのコア部とTFE単独重合体のシェル部とを含むコアシェル構造、変性PTFEのコア部と、該コア部を構成する変性PTFEとは異なる単量体組成を有する変性PTFEのシェル部とを含むコアシェル構造が挙げられる。
上記コアシェル構造のPTFEは、例えば、先ずTFE及び必要に応じて変性モノマーを重合してコア部(TFE単独重合体又は変性PTFE)を製造し、次いで、TFE及び必要に応じて変性モノマーを重合してシェル部(TFE単独重合体又は変性PTFE)を製造することによって得ることができる。
上記シェル部は、PTFE一次粒子表面から粒子内部への所定の厚みを構成している部分を意味し、コア部は、シェル部の内部を構成している部分を意味する。
本明細書において、上記コアシェル構造には、(1)コア部とシェル部とが異なるモノマー組成を有するもの、(2)コア部とシェル部とが同一のモノマー組成を有し、かつ、両部の数平均分子量が異なるもの、(3)コア部とシェル部とが異なるモノマー組成を有し、かつ、両部の数平均分子量も異なるもの、のすべてが含まれる。
シェル部が変性PTFEである場合、シェル部における変性モノマーの含有量は、0.00001~1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.0001質量%以上であり、更に好ましくは0.001質量%以上であり、更により好ましくは0.01質量%以上である。また、より好ましくは0.50質量%以下であり、更に好ましくは0.30質量%以下である。
コア部が変性PTFEである場合、コア部における変性モノマーの含有量は、0.00001~1.0質量%であることが好ましい。より好ましくは0.0001質量%以上であり、更に好ましくは0.001質量%以上である。また、より好ましくは0.50質量%以下であり、更に好ましくは0.30質量%以下である。
上記PTFEは、平均一次粒子径が1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、400nm以下であることが更に好ましく、350nm以下であることが特に好ましい。本開示の製造方法により、平均一次粒子径が小さいPTFEを得ることができる。平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、例えば、50nmでもよいし、100nmであってよい。分子量の観点からは、例えば高分子量PTFEの場合、100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
上記平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。上記平均一次粒子径は、固形分濃度約1.0質量%に調整したPTFE水性分散液を作成し、動的光散乱法を使用して、25℃、溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・s、積算70回にて測定できる。動的光散乱法としては、例えばELSZ-1000S(大塚電子株式会社製)が使用できる。
上記PTFEは、一次粒子のアスペクト比が1.45以下であることが好ましい。上記アスペクト比は、1.40以下がより好ましく、1.35以下が更に好ましく、1.30以下が更により好ましく、1.25以下が殊更好ましく、1.20以下が特に好ましく、1.15以下が殊更特に好ましい。
水性分散液中で測定する場合は、上記アスペクト比は、固形分濃度が約1質量%となるように希釈したPTFE水性分散液を走査電子顕微鏡(SEM)で観察し、無作為に抽出した400個以上の粒子について画像処理を行い、その長径と短径の比の平均より求める。粉末で測定する場合、上記アスペクト比は、PTFE粉末に電子線を照射後、フッ素系界面活性剤水溶液に添加して、超音波にて再分散させることで、PTFE水性分散液を得ることが出来る。このPTFE水性分散液から上記水性分散液で測定する方法と同じ方法でアスペクト比を求める。
上記PTFEにおいて、分子量の指標として用いられる標準比重(SSG)、および溶融粘度(MV)は特に限定されない。
本開示の製造方法で得られるPTFE粉末は、平均粒子径(平均二次粒子径)が100~2000μmであることが好ましい。平均二次粒子径の下限は、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましい。平均二次粒子径の上限は1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることが更に好ましく、700μm以下が特に好ましい。上記平均粒子径は、JIS K 6891に準拠して測定した値である。
本開示の製造方法で得られるPTFE粉末は、押出圧力が50.0MPa以下であることが好ましく、40.0MPa以下であることがより好ましく、10.0MPa以上であることが好ましく、15.0MPa以上であることがより好ましい。上記押出圧力は、特開2002-201217号公報記載の方法に従い、下記方法で求めた値である。
PTFE粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。押出圧力は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値である。
上記PTFEは、標準比重(SSG)が2.280以下であることが好ましく、2.200であることがより好ましく、2.190であることが更に好ましく、2.180以下であることが更により好ましい。また、2.130以上であることが好ましい。上記SSGは、ASTM D 4895-89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定する。
上記PTFEは、ピーク温度が348℃以下であることが好ましく、346℃以下であることがより好ましく、344℃以下であることが更に好ましく、342℃以下であることが更により好ましく、340℃以下であることが特に好ましい。上記ピーク温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のない粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。ピーク温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、示差熱(DTA)曲線の極大値に対応する温度とした。
上記PTFEは、通常、フィブリル化特性および非溶融二次加工性を有する。
上記非溶融二次加工性とは、ASTM D 1238及びD 2116に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質、すなわち溶融温度領域でも容易に流動しない性質を意味する。
上記PTFEは、延伸可能なものであることが好ましい。延伸可能であるか否かは後述の延伸試験により確認することができる。
上記PTFEの製造において、上記炭化水素系界面活性剤は、上述した本開示の製造方法における使用範囲で用いることができる。上記炭化水素系界面活性剤の濃度は、上記範囲であれば特に限定されないが、通常、重合開始時に臨界ミセル濃度(CMC)以下で添加される。添加量が多いとアスペクト比の大きい針状粒子が生成し、水性分散液がゲル状となり安定性が損なわれる。
上記炭化水素系界面活性剤の使用量の下限は、水性媒体に対して、好ましくは0.0001質量%、より好ましくは0.001質量%、更に好ましくは0.01質量%、特に好ましくは0.1質量%である。上記界面活性剤の使用量の上限は、水性媒体に対して、好ましくは10質量%、より好ましくは5質量%、更に好ましくは3質量%、特に好ましくは2質量%である。
上記炭化水素系界面活性剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
上記PTFEの製造において、上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。
上記重合開始剤としてより好適には、上述した油溶性ラジカル重合開始剤、水溶性ラジカル重合開始剤又はレドックス開始剤を使用でき、特にレドックス開始剤が好ましい。レドックス開始剤としては、上述した全ての態様を採用し得る。
上記レドックス開始剤としては、レドックス開始剤水溶液のpHを4.0以上とすることができる酸化剤又は還元剤を使用することが好ましい。上記レドックス開始剤水溶液とは、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、または、還元剤の0.50質量%濃度水溶液を意味する。
すなわち、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の少なくとも一方のpHが4.0以上であればよく、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の両方のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記レドックス開始剤水溶液(酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、又は、還元剤の0.50質量%濃度水溶液)のpHは、それぞれ、5.0以上がより好ましく、5.5以上が更に好ましく、6.0以上が特に好ましい。
上記レドックス開始剤は特に、塩である酸化剤と塩である還元剤との組み合わせであることが好ましい。
例えば、上記塩である酸化剤は、過硫酸塩、過マンガン酸塩、セリウム(IV)塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、過マンガン酸塩が更に好ましく、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
また、上記塩である還元剤はシュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、シュウ酸塩が更に好ましく、シュウ酸アンモニウムが特に好ましい。
上記レドックス開始剤として具体的には、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記PTFEの製造において、連鎖移動剤としては、公知のものが使用できるが、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の飽和炭化水素、クロロメタン、ジクロロメタン、ジフルオロエタン等のハロゲン化炭化水素類、メタノール、エタノール等のアルコール類、水素等が挙げられるが、常温常圧で気体状態のものが好ましい。
上記連鎖移動剤の使用量は、通常、供給されるTFE全量に対して、1~10000ppmであり、好ましくは1~5000ppmである。上記使用量は、1~1000ppmであってもよく、1~500ppmであってもよい。
上記PTFEの製造において、更に、反応系の分散安定剤として、実質的に反応に不活性であって、上記反応条件で液状となる炭素数が12以上の飽和炭化水素を、水性媒体100質量部に対して2~10質量部で使用することもできる。また、反応中のpHを調整するための緩衝剤として、アンモニア水、炭酸アンモニウム、リン酸アンモニウム等を添加してもよい。
上記PTFEの重合が終了した時点で、固形分濃度が1.0~70質量%、平均一次粒子径が50~1000nmの水性分散液を得ることができる。上記水性分散液は、上記界面活性剤、及び、フルオロポリマーを含有する。また、上記界面活性剤を使用することによって0.5μm以下の微小粒子径のTFE重合体からなる粒子を有する水性分散液を得ることができる。
上記PTFEの製造における重合工程は、TFEに基づく重合単位を含む粒子を得る工程(I)、及び、工程(I)で得られた粒子を含む水性媒体中でTFEを重合してPTFEを得る工程(II)を含む工程であることも好ましい。
上記のように上記工程(I)で前記粒子を得て、その後、工程(I)で得られた粒子を含む水性媒体中でTFEを重合することによって、PTFEの粒子数を増加させ、得量を大きくすることができる。
例えば、本開示の第1の製造方法においてPTFEを製造する場合、上記重合工程は、炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で、TFEを重合して、TFEに基づく重合単位を含む粒子を得る工程(Ia)、及び、工程(Ia)で得られた粒子を含む水性媒体中でTFEを重合してPTFEを得る工程(IIa)を含む工程であることも好ましい。
本開示の第2の製造方法においてPTFEを製造する場合、上記重合工程は、アニオン性の炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中で、TFEを重合して、TFEに基づく重合単位を含む粒子を得る工程(Ib)、及び、工程(Ib)で得られた粒子を含む水性媒体中でTFEを重合してPTFEを得る工程(IIb)を含む工程であることも好ましい。
上記重合工程が上記工程(I)及び工程(II)を含む場合、上記工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液をそのまま用いて工程(II)を行ってもよい。
また、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を希釈又は濃縮して工程(II)を行ってもよい。上記希釈又は濃縮は、反応器中でそのまま行ってもよいし、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を反応器から回収して行ってもよい。従って、上記重合工程が、上記工程(I)の後、上記工程(II)の前に、更に、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を回収する工程を含んでもよい。
また、工程(I)の後、工程(II)の前に、工程(I)で得られた粒子を含む水性分散液を50℃未満、30℃未満又は10℃未満にする工程を含んでもよい。
工程(I)と工程(II)とを連続的に行う場合、工程(I)の後、一旦攪拌を停止し、その後、攪拌を再開させて引き続き工程(II)を行なうことができる。
また、工程(I)と工程(II)とを連続的に行う場合、工程(I)の後、場合によって攪拌を停止し、反応器内の圧力を変化させて、攪拌を再開させて、引き続き工程(II)を行なうことができる。
また、反応器のモノマー組成比を変えるために、工程(I)の後に、反応器の圧力を大気圧まで脱圧し、反応器に各々のモノマーを仕込んだのちに、引き続き工程(II)を行ってもよい。工程(I)の後、重合温度を変えて、引き続き工程(II)を行なうことができる。
上記重合工程が上記工程(I)及び工程(II)を含む場合、上記工程(I)でレドックス開始剤を使用することが特に好ましい。レドックス開始剤を用いることで上記粒子の粒子数を増加させることができる。
工程(I)と工程(II)とを連続的に行う場合、工程(I)でレドックス開始剤の仕込みを止めた後に、工程(II)の重合開始剤を仕込むことで連続的に製造することができる。レドックス開始剤としては、上述したものが挙げられる。
上記工程(I)における重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。例えば、上記重合工程について記載した条件を適宜採用できる。
例えば、重合温度が10~150℃であることが好ましい。重合温度は、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。
また、重合圧力が0.05~10MPaGであることが好ましい。重合圧力は、0.3MPaG以上がより好ましく、0.5MPaG以上が更に好ましく、また、5.0MPaG以下がより好ましく、3.0MPaG以下が更に好ましい。
特に、得量を向上させる観点からは、1.0MPaG以上が好ましく、2.0MPaG以上がより好ましい。
上記工程(I)は、炭化水素系界面活性剤の存在下で行う。
上記工程(I)は、炭化水素系界面活性剤の量が、水性媒体に対して0.0001~15質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。0.0001質量%未満であると、分散力が不充分となるおそれがあり、15質量%を超えると、添加量に見合った効果が得られない。上記炭化水素系界面活性剤の添加量は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFEの分子量等によって適宜決定される。
上記炭化水素系界面活性剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
また、上記工程(I)では、上述した重合工程として記載した条件を全て採用できる。
上記重合工程が上記工程(I)及び工程(II)を含む場合、上記工程(I)は、上記粒子の濃度が20.0質量%以下の水性分散液を得る工程であることが好ましい。上記固形分濃度は、より好ましくは15.0質量%以下であり、更に好ましくは10.0質量%以下であり、更により好ましくは8.0質量%以下であり、特に好ましくは5.0質量%以下である。また、上記固形分濃度は0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、0.8質量%以上が更により好ましく、1.0質量%以上が殊更に好ましく、1.5質量%以上が特に好ましい。
上記粒子は、TFEに基づく重合単位のみからなるTFE単独重合体であってもよいし、TFEに基づく重合単位が99.0質量%以上であり、変性モノマーに基づく重合単位が1.0質量%以下である変性PTFEであってもよい。
上記変性PTFEは、変性モノマーに基づく重合単位(以下「変性モノマー単位」とも記載する)が0.00001~1.0質量%の範囲であることが好ましい。変性モノマー単位の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.0005質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましい。変性モノマー単位の上限としては、0.90質量%が好ましく、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.08質量%が特に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が最も好ましい。
上記工程(I)より得られた粒子は、平均一次粒子径が300nm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下であり、更に好ましくは150nm以下である。また、上記平均一次粒子径は、0.1nm以上が好ましく、より好ましくは1.0nm以上であり、更に好ましくは3.0nm以上である。
上記平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。上記平均一次粒子径は、固形分濃度約1.0質量%に調整したPTFE水性分散液を作成し、動的光散乱法を使用して、25℃、溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・s、積算70回にて測定できる。動的光散乱法としては、例えばELSZ-1000S(大塚電子株式会社製)が使用できる。
上記水性媒体は、重合を行わせる反応媒体であって、水を含む液体を意味する。上記水性媒体は、水を含むものであれば特に限定されず、水と、例えば、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、及び/又は、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒とを含むものであってもよい。
上記工程(II)における水性媒体は、工程(I)で得られた上記粒子を含む水性分散液に含まれる水性媒体を含むことが好ましい。上記粒子を含む水性分散液に含まれる水性媒体に加えて、他の水性媒体を加えてもよい。
上記工程(II)における重合温度、重合圧力は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。
例えば、重合温度が10~150℃であることが好ましい。重合温度は、30℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、120℃以下がより好ましく、100℃以下が更に好ましい。
また、重合圧力が0.05~10MPaGであることが好ましい。重合圧力は、0.3MPaG以上がより好ましく、0.5MPaG以上が更に好ましく、また、5.0MPaG以下がより好ましく、3.0MPaG以下が更に好ましい。
特に、得量を向上させる観点からは、1.0MPaG以上が好ましく、2.0MPaG以上がより好ましい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤の存在下で行ってもよいし、炭化水素系界面活性剤の非存在下で行ってもよい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤の存在下、上記粒子を含む水性媒体中でTFEを重合する工程であることが好ましい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤の量が、水性媒体に対して0.0001~15質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.001質量%であり、より好ましい上限は1質量%である。0.0001質量%未満であると、分散力が不充分となるおそれがあり、15質量%を超えると、添加量に見合った効果が得られない。上記炭化水素系界面活性剤の添加量は、使用するモノマーの種類、目的とするPTFEの分子量等によって適宜決定される。
上記炭化水素系界面活性剤は、重合開始前に一括して反応容器中に添加してもよいし、重合開始後に一括して添加してもよいし、重合中に複数回に分割して添加してもよいし、また、重合中に連続的に添加してもよい。
上記工程(II)は、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程を含むことが好ましい。炭化水素系界面活性剤を連続的に添加するとは、例えば、炭化水素系界面活性剤を一括ではなく、経時的に、かつ、間断なく又は分割して、添加することである。上記連続的に添加する工程を含むことによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができ、分子量がより高いPTFEを得ることができる。
上記工程(II)において、重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、水性媒体に対して1ppb以上であることが好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、好ましくは10ppb以上であり、より好ましくは50ppb以上であり、更に好ましくは100ppb以上であり、更により好ましくは200ppb以上である。上限は特に限定されないが、例えば、100000ppmであることが好ましく、50000ppmであることがより好ましい。重合開始時の炭化水素系界面活性剤の量は、上記範囲であることによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができ、分子量がより高いPTFEを得ることができる。
また、一次粒子のアスペクト比をより小さくすることもできる。
上記工程(II)において、炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程は、水性媒体中に形成されるPTFEの濃度が10質量%以下であるときに、炭化水素系界面活性剤を水性媒体中に添加し始めるものであることが好ましい。上記炭化水素系界面活性剤は、8.0質量%以下である時に添加し始めることがより好ましく、5.0質量%以下である時に添加し始めることが更に好ましく、4.0質量%以下である時に添加し始めることが更により好ましく、上記濃度が3.0質量%以下である時に添加し始めることが殊更好ましく、2.0質量%以下である時に添加し始めることが特に好ましく、1.5質量%以下である時に添加し始めることが特により好ましく、1.0質量%以下である時に添加し始めることが殊更特に好ましい。また、上記濃度が0.60質量%未満である時に添加し始めることが好ましく、0.50質量%以下であるときに添加し始めることがより好ましく、0.36質量%以下であるときに添加し始めることが更に好ましく、0.30質量%以下であるときに添加し始めることが更により好ましく、0.20質量%以下であるときに添加し始めることが殊更に好ましく、0.10質量%以下であるときに添加し始めることが特に好ましい。また、工程(II)の重合開始とともに、添加し始めることが好ましい。上記濃度は、水性媒体及びPTFEの合計に対する濃度である。
上記工程を含むことによって、より平均一次粒子径が小さく、より安定性に優れる水性分散液を得ることができ、分子量がより高いPTFEを得ることができる。
上記炭化水素系界面活性剤を連続的に添加する工程において、上記炭化水素系界面活性剤の添加量は、水性媒体100質量%に対して0.01~10質量%であることが好ましい。より好ましい下限は0.05質量%であり、更に好ましい下限は0.1質量%であり、より好ましい上限は5質量%であり、更に好ましい上限は1質量%である。
上記炭化水素系界面活性剤としては、アニオン性の炭化水素系界面活性剤が好ましく、上記化合物(α)、上記界面活性剤(a)、上記界面活性剤(b)、上記界面活性剤(c)、上記界面活性剤(d)、上記界面活性剤(1)及び上記界面活性剤(1-0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
また、上記炭化水素系界面活性剤としてはカルボン酸型の炭化水素系界面活性剤が好ましく、カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤としては、カルボン酸、または、カルボン酸塩がより好ましい。カルボン酸型の炭化水素系乳化剤は、具体的には、上記界面活性剤(1)、上述した式:R6z(-L-M)によって表されるアニオン性界面活性剤、及び、上述した式:R7z(-L-M)によって表されるアニオン性界面活性剤のうち、カルボキシル基(-COOH)又はカルボキシル基の水素原子が無機陽イオン(例えば、金属原子、アンモニウム等)で置換された基を有するもの、上記化合物(α)、上記界面活性剤(1-0A)、並びに、これらの界面活性剤にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤は、1種で用いてもよいし、2種以上の混合物であってもよい。
上記カルボン酸型の炭化水素系界面活性剤は、上記化合物(α)が好ましく、上記式(A)で表される化合物、上記式(c)においてAが-COOXである化合物、上記式(d)においてAが-COOXである化合物、上記式(1)においてAが-COOMである化合物、上記式(1-0A)においてAが-COOMである化合物、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種であることがより好ましく、上記式(A)で表される化合物及び該化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が更に好ましい。
特に、ラウリン酸、カプリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、及び、これらの塩、並びに、これらの化合物にラジカル処理または酸化処理を行ったものからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。上記塩としては、カルボキシル基の水素が上述した式Mの金属原子、NR101 、置換基を有していてもよいイミダゾリウム、置換基を有していてもよいピリジニウム、又は、置換基を有していてもよいホスホニウムであるものが挙げられるが特に限定されない。
上記工程(II)は、例えば、重合反応器に、上記粒子を含む水性分散液、TFE、必要に応じて水性媒体、変性モノマー、炭化水素系界面活性剤、他の添加剤を仕込み、反応器の内容物を撹拌し、そして反応器を所定の重合温度に保持し、次に所定量の重合開始剤を加え、重合反応を開始することにより行うことができる。重合反応開始後に、目的に応じて、モノマー、重合開始剤、連鎖移動剤及び上記炭化水素系界面活性剤等を追加添加してもよい。上記炭化水素系界面活性剤を重合反応が開始した後に添加してもよい。
上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。上記重合開始剤の濃度は、モノマーの種類、目的とするPTFEの分子量、反応速度によって適宜決定される。
上記重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。
上記重合開始剤としてより好適には、上述した油溶性ラジカル重合開始剤、水溶性ラジカル重合開始剤又はレドックス開始剤を使用でき、特にレドックス開始剤が好ましい。レドックス開始剤としては、上述した全ての態様を採用し得る。
上記レドックス開始剤としては、レドックス開始剤水溶液のpHを4.0以上とすることができる酸化剤又は還元剤を使用することが好ましい。上記レドックス開始剤水溶液とは、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、または、還元剤の0.50質量%濃度水溶液を意味する。
すなわち、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の少なくとも一方のpHが4.0以上であればよく、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の両方のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記レドックス開始剤水溶液(酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、又は、還元剤の0.50質量%濃度水溶液)のpHは、それぞれ、5.0以上がより好ましく、5.5以上が更に好ましく、6.0以上が特に好ましい。
上記レドックス開始剤は特に、塩である酸化剤と塩である還元剤との組み合わせであることが好ましい。
例えば、上記塩である酸化剤は、過硫酸塩、過マンガン酸塩、セリウム(IV)塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、過マンガン酸塩が更に好ましく、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
また、上記塩である還元剤はシュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、シュウ酸塩が更に好ましく、シュウ酸アンモニウムが特に好ましい。
上記レドックス開始剤として具体的には、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記工程(II)は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に、TFE及び必要に応じて変性モノマーを重合するものであることが好ましい。「実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下に」とは、重合で得られるPTFEに対して含フッ素界面活性剤が1ppm以下であることを意味し、好ましくは100ppb以下であり、より好ましくは10ppb以下であり、更に好ましくは1ppb以下である。
本開示の製造方法で得られたPTFEの粉末(例えば、PTFEファインパウダー)は、粉末として使用してもよいし、粉末を水に添加して水性分散液として使用することもできる。
得られるPTFEファインパウダーは、成形用として好ましく、好適な用途としては、航空機及び自動車等の油圧系、燃料系のチューブ等が挙げられ、薬液、蒸気等のフレキシブルホース、電線被覆用途等が挙げられる。
また、本開示の製造方法で得られたPTFE水性分散液は、また、非イオン性界面活性剤を加えることにより、安定化して更に濃縮し、目的に応じ、有機又は無機の充填剤を加えた組成物として各種用途に使用することも好ましい。上記組成物は、金属又はセラッミクスからなる基材上に被覆することにより、非粘着性と低摩擦係数を有し、光沢や平滑性、耐摩耗性、耐候性及び耐熱性に優れた塗膜表面とすることができ、ロールや調理器具等の塗装、ガラスクロスの含浸加工等に適している。
上記PTFE水性分散液からPTFEのオルガノゾルを調製することもできる。上記オルガノゾルは、上記PTFE及び有機溶剤を含むことができ、上記有機溶剤としては、エーテル系溶媒、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エステル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、ハロゲン化炭化水素系溶剤が挙げられ、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルアセトアミド等を好適に使用できる。上記オルガノゾルの調製は、例えば、国際公開第2012/002038号に記載の方法により実施できる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、加工助剤として使用することも好ましい。加工助剤として使用する場合、上記水性分散液又は上記ファインパウダーをホストポリマー等に混合することにより、ホストポリマー溶融加工時の溶融強度向上や、得られたポリマーの機械的強度、電気特性、難燃性、燃焼時の滴下防止性、摺動性を向上することができる。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、電池用結着剤、防塵用途として使用することも好ましい。
上記PTFEの水性分散液又は上記PTFEファインパウダーは、また、PTFE以外の樹脂と複合させてから加工助剤として使用することも好ましい。上記水性分散液又は上記ファインパウダーは、例えば、特開平11-49912号公報、米国特許第5804654号明細書、特開平11-29679号公報、特開2003-2980号公報に記載されたPTFEの原料として好適である。上記水性分散液又は上記ファインパウダーを使用した加工助剤は、上記各刊行物に記載された加工助剤に比べてもなんら劣るものではない。
上記PTFEの水性分散液は、溶融加工性フッ素樹脂の水性分散液と混合して凝析させることにより、共凝析粉末とすることも好ましい。上記共凝析粉末は、加工助剤として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、TFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体、ETFE、エチレン/TFE/HFP共重合体[EFEP]等が挙げられるが、中でもFEPが好ましい。
上記水性分散液は、上記溶融加工性フッ素樹脂を含むことも好ましい。上記溶融加工性フッ素樹脂としては、例えば、FEP、PFA、TFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体、ETFE、EFEP等が挙げられる。上記溶融加工性フッ素樹脂を含む上記水性分散液は、塗料として使用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂は、上記TFE重合体の粒子同士を充分に融着させることができるので、造膜性を向上させ、得られる被膜に光沢を出すことができる。
上記共凝析粉末を添加するフッ素非含有樹脂は、パウダー状であってもよいし、ペレット状であってもよいし、エマルションであってもよい。上記添加は、各樹脂を充分に混合する点で、押出混練、ロール混練等の公知の方法により剪断力を与えながら行うことが好ましい。
上記水性分散液の用途としては特に限定されず、水性分散液のまま適用するものとして、基材上に塗布し乾燥した後必要に応じて焼成することよりなる塗装;不織布、樹脂成形品等の多孔性支持体を含浸させ乾燥した後、好ましくは焼成することよりなる含浸;ガラス等の基材上に塗布し乾燥した後、必要に応じて水中に浸漬し、基材を剥離して薄膜を得ることよりなるキャスト製膜等が挙げられ、これら適用例としては、水性分散型塗料、テント膜、コンベアベルト、プリント基板(CCL)、電極用結着剤、電極用撥水剤等が挙げられる。
上記水性分散液は、公知の顔料、増粘剤、分散剤、消泡剤、凍結防止剤、成膜助剤等の配合剤を配合することにより、又は、更に他の高分子化合物を複合して、コーティング用水性塗料として用いることができる。
また添加剤用途として、電極の活物質の脱落を抑える結着剤、バインダー用途、ドリップ防止剤などのコンパウンド用途、土砂や埃等の舞い立ちを防止する塵埃抑制処理用途等に用いることができる。
上記水性分散液の粘度を調整する目的で、あるいは顔料、フィラーなどの混和性改良の目的で、アニオン性界面活性剤を好ましく含むことができる。アニオン性界面活性剤は、経済面、環境面で問題のない範囲で適宜添加することができる。
上記アニオン性界面活性剤としては、非フッ素化アニオン性界面活性剤や含フッ素アニオン性界面活性剤が挙げられるが、フッ素を含まない非フッ素化アニオン性界面活性剤、即ち炭化水素アニオン性界面活性剤が好ましい。
粘度を調整する目的の場合、公知のアニオン性界面活性剤であれば種類は特に限定されないが、例えば国際公開第2013/146950号や国際公開第2013/146947号に記載されているアニオン性界面活性剤を用いることができる。例えば、炭素数6~40、好ましくは炭素数8~20、より好ましくは炭素数9~13の飽和又は不飽和の脂肪族鎖を有するものが挙げられる。上記飽和又は不飽和の脂肪族鎖は、直鎖又は分岐鎖の何れであってもよく、環状構造を有するものであってもよい。上記炭化水素は、芳香族性であってもよいし、芳香族基を有するものであってもよい。上記炭化水素は、酸素、窒素、硫黄等のヘテロ原子を有するものであってもよい。
アニオン性界面活性剤としては、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、アルキルアリールサルフェート及びそれらの塩;脂肪族(カルボン)酸及びその塩;リン酸アルキルエステル、リン酸アルキルアリールエステル又はそれらの塩;等が挙げられるが、中でも、アルキルスルホネート、アルキルサルフェート、脂肪族カルボン酸またはそれらの塩が好ましい。
アルキルサルフェートまたはその塩としては、ラウリル硫酸アンモニウム、またはラウリル硫酸ナトリウム等が好ましい。
脂肪族カルボン酸またはその塩としては、コハク酸、デカン酸、ウンデカン酸、ウンデセン酸、ラウリン酸、ハイドロドデカン酸、またはそれらの塩が好ましい。
アニオン性界面活性剤の添加量は、アニオン性界面活性剤やその他配合剤の種類にもよるが、フルオロポリマーの固形分質量に対して10ppm~5000ppmであることが好ましい。
アニオン性界面活性剤の添加量の下限としては、50ppm以上がより好ましく、100ppm以上が更に好ましい。添加量が少なすぎると、粘度調整効果が乏しい。
アニオン性界面活性剤の添加量の上限としては、3000ppm以下がより好ましく、2000ppm以下が更に好ましい。添加量が多すぎると水性分散液の機械的安定性、貯蔵安定性が損なわれることがある。
上記水性分散液の粘度を調整する目的で、アニオン性界面活性剤以外に、例えば、メチルセルロース、アルミナゾル、ポリビニルアルコール、カルボキシル化ビニルポリマー等を配合することもできる。
上記水性分散液のpHを調整する目的で、アンモニア水などのpH調整剤を配合することもできる。
上記水性分散液に、必要に応じ、水性分散液の特徴を損なわない範囲でその他の水溶性高分子化合物を含有するものであってもよい。
上記その他の水溶性高分子化合物としては特に限定されず、例えば、ポリエチレンオキサイド(分散安定剤)、ポリエチレングリコール(分散安定剤)、ポリビニルピロリドン(分散安定剤)、フェノール樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、シリコーン樹脂、シリコーンポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。更に、イソチアゾロン系、アゾール系、プロノポール、クロロタロニル、メチルスルホニルテトラクロルピロジン、カルベンタジム、フルオロフォルベット、二酢酸ナトリウム、ジヨードメチルパラトリルスルホンなどの防腐剤を含有してもよい。
上記PTFEの水性分散液は、塵埃抑制処理剤として使用することも好ましい。上記塵埃抑制処理剤は、発塵性物質と混合し、該混合物に20~200℃の温度で圧縮-せん断作用を施すことによりTFE重合体をフィブリル化して発塵性物質の塵埃を抑制する方法、例えば特許第2827152号公報、特許第2538783号公報等の方法において、用いることができる。
上記PTFEの水性分散液は、例えば、国際公開第2007/004250号に記載の塵埃抑制処理剤組成物に好適に用いることができ、国際公開第2007/000812号に記載の塵埃抑制処理方法にも好適に用いることができる。
上記塵埃抑制処理剤は、建材分野、土壌安定材分野、固化材分野、肥料分野、焼却灰及び有害物質の埋立処分分野、防爆分野、化粧品分野、猫砂に代表されるペット排泄用の砂等の塵埃抑制処理に好適に用いられる。
上記PTFEの水性分散液は、分散紡糸法(Dispersion Spinning method)によりTFE重合体繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記分散紡糸法とは、上記TFE重合体の水性分散液とマトリックス高分子の水性分散液とを混合し、当該混合物を押出加工して中間体繊維構造物を形成し、該中間体繊維構造物を焼成することによって上記マトリックス高分子を分解及びTFE重合体粒子の焼結を行ってTFE重合体繊維を得る方法である。
本開示の製造方法では高分子量PTFEを製造することもできる。本開示の製造方法は、従来の含フッ素界面活性剤を使用せずとも、従来の含フッ素界面活性剤を使用する製造方法と同等の分子量を有するPTFEを製造可能である。
高分子量PTFEを製造する場合、重合温度は、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、100℃以下が好ましく、95℃以下がより好ましい。重合圧力は、0.5MPaG以上が好ましく、0.7MPaG以上が好ましく、1.0MPaG以上が好ましく、また、5.0MPaG以下が好ましく、4.0MPaG以下がより好ましく、3.0MPaG以下が更に好ましい。
重合により得られる高分子量PTFE粉末は、延伸性及び非溶融加工性を有し、延伸体(多孔体)の原料としても有用である。この延伸体が膜である場合(PTFE延伸膜またはPTFE多孔膜)、公知のPTFE延伸方法によって延伸することができる。延伸することにより高分子量PTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなるPTFE多孔体(膜)となる。
好ましくは、シート状または棒状のペースト押出物を押出方向にロール延伸することで、一軸延伸膜を得ることができる。
更に、テンター等により幅方向に延伸して、二軸延伸膜も得ることができる。
延伸前に半焼成処理を行うことも好ましい。
このPTFE延伸体は、高い空孔率を持つ多孔体であり、エアフィルター、薬液フィルター等の各種精密濾過フィルターの濾材、高分子電解質膜の支持材等として好適に利用できる。
また、繊維分野、医療分野、エレクトロケミカル分野、シール材分野、空気濾過分野、換気/内圧調整分野、液濾過分野、一般消費材分野等で使用する製品の素材としても有用である。
以下に、具体的な用途を例示する。
エレクトロケミカル分野
誘電材料プリプレグ、EMI遮蔽材料、伝熱材料等。より詳細には、プリント配線基板、電磁遮蔽シールド材、絶縁伝熱材料、絶縁材料等。
シール材分野
ガスケット、パッキン、ポンプダイアフラム、ポンプチューブ、航空機用シール材等。
空気濾過分野
ULPAフィルター(半導体製造用)、HEPAフィルター(病院・半導体製造用)、円筒カートリッジフィルター(産業用)、バグフィルター(産業用)、耐熱バグフィルタ-(排ガス処理用)、耐熱プリーツフィルター(排ガス処理用)、SINBRANフィルター(産業用)、触媒フィルター(排ガス処理用)、吸着剤付フィルター(HDD組込み)、吸着剤付ベントフィルター(HDD組込み用)、ベントフィルター(HDD組込み用他)、掃除機用フィルター(掃除機用)、汎用複層フェルト材、GT用カートリッジフィルター(GT向け互換品用)、クーリングフィルター(電子機器筐体用)等。
換気/内圧調整分野
凍結乾燥用の容器等の凍結乾燥用材料、電子回路やランプ向けの自動車用換気材料、容器キャップ向け等の容器用途、タブレット端末や携帯電話端末等の小型端末を含む電子機器向け等の保護換気用途、医療用換気用途等。
液濾過分野
半導体液ろ過フィルター(半導体製造用)、親水性PTFEフィルター(半導体製造用)、化学薬品向けフィルター(薬液処理用)、純水製造ライン用フィルター(純水製造用)、逆洗型液ろ過フィルター(産業排水処理用)等。
一般消費材分野
衣類、ケーブルガイド(バイク向け可動ワイヤ)、バイク用衣服、キャストライナー(医療サポーター)、掃除機フィルター、バグパイプ(楽器)、ケーブル(ギター用信号ケーブル等)、弦(弦楽器用)等。
繊維分野
PTFE繊維(繊維材料)、ミシン糸(テキスタイル)、織糸(テキスタイル)、ロープ等。
医療分野
体内埋設物(延伸品)、人工血管、カテーテル、一般手術(組織補強材料)、頭頸部製品(硬膜代替)、口内健康(組織再生医療)、整形外科(包帯)等。
本開示の製造方法では低分子量PTFEを製造することもできる。
低分子量PTFEは、重合により製造しても良いし、重合で得られた高分子量PTFEを公知の方法(熱分解、放射線照射分解等)で低分子量化して製造することもできる。
低分子量PTFEを製造する場合、重合温度は、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。また、100℃以下が好ましく、90℃以下がより好ましく、80℃以下が更に好ましい。重合圧力は、0.3MPaG以上が好ましく、0.4MPaG以上が好ましく、0.5MPaG以上が好ましく、また、5.0MPaG以下が好ましく、4.0MPaG以下がより好ましく、3.0MPaG以下が更に好ましい。
分子量60万以下の低分子量PTFE(PTFEマイクロパウダーとも呼ばれる)は、化学的安定性に優れ、表面エネルギーが極めて低いことに加え、フィブリル化が生じにくいので、滑り性や塗膜表面の質感を向上させることなどを目的とした添加剤として、プラスチック、インク、化粧品、塗料、グリース、オフィスオートメーション機器部材、トナー等の製造に好適である(例えば、特開平10-147617号公報参照。)。
また、更に連鎖移動剤の存在下、水性媒体中に重合開始剤及び上記炭化水素系界面活性剤を分散させ、TFE、又は、TFEと共重合し得るモノマーとTFEを重合させることによって、低分子量PTFEを得てもよい。
本開示において、高分子量PTFEとは、非溶融加工性及びフィブリル化性を有するPTFEを意味する。他方、低分子量PTFEとは、溶融加工性を有し、フィブリル化性を有しないPTFEを意味する。
上記非溶融加工性とは、ASTM D 1238に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質を意味する。
上記高分子量PTFEは、標準比重(SSG)が2.130~2.280であることが好ましい。上記標準比重は、ASTM D 4895-89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定する。本開示において、「高分子量」とは、上記標準比重が上記の範囲内にあることを意味する。
上記低分子量PTFEは、380℃における溶融粘度が1×10~7×10Pa・sである。本開示において、「低分子量」とは、上記溶融粘度が上記の範囲内にあることを意味する。
上記高分子量PTFEは、上記低分子量PTFEよりも溶融粘度が極めて高く、その正確な溶融粘度を測定することは困難である。他方、上記低分子量PTFEの溶融粘度は測定可能であるが、上記低分子量PTFEからは、標準比重の測定に使用可能な成形品を得ることが難しく、その正確な標準比重を測定することが困難である。従って、本開示では、上記高分子量PTFEの分子量の指標として、標準比重を採用し、上記低分子量PTFEの分子量の指標として、溶融粘度を採用する。なお、上記高分子量PTFE及び上記低分子量PTFEのいずれについても、直接に分子量を特定できる測定方法は知られていない。
上記高分子量PTFEは、ピーク温度が333~347℃であることが好ましく、335~345℃であることがより好ましい。上記低分子量PTFEは、ピーク温度が322~333℃であることが好ましく、324~332℃であることがより好ましい。
上記ピーク温度は、300℃以上の温度に加熱した履歴のない粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。ピーク温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、示差熱(DTA)曲線の極大値に対応する温度とした。
上記高分子量PTFEは、300℃以上の温度に加熱した履歴がないPTFEについて示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線において、333~347℃の範囲に少なくとも1つ以上の吸熱ピークが現れ、上記融解熱曲線から算出される290~350℃の融解熱量が62mJ/mg以上であることが好ましい。
上述の界面活性剤を用いて得られたPTFEファインパウダーから、未焼成テープ(生テープ)を得ることもできる。
上記凝析、または、洗浄により発生した排水、及び/又は、乾燥工程で発生するオフガスから、上記炭化水素系界面活性剤、上記炭化水素系界面活性剤から副生する上記炭化水素系界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を回収し、精製することにより、上記炭化水素系界面活性剤、上記炭化水素系界面活性剤から副生する上記炭化水素系界面活性剤の分解物や副生成物、残留モノマー等を再利用してもよい。上記回収、及び、精製を行う方法としては特に限定されるものではないが、公知の方法により行うことができる。例えば、特表2011-520020号公報に記載の方法により、実施可能である。
(II)溶融加工性フッ素樹脂
(1)本開示の製造方法において、FEPの重合は、重合温度10~150℃、重合圧力0.3~6.0MpaGにて行うことが好ましい。
FEPの好ましい単量体組成(質量%)は、TFE:HFP=(60~95):(5~40)、より好ましくは(85~92):(8~15)である。上記FEPとしては、また、更に第3成分としてパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類を用い、全単量体の0.1~2質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。
上記FEPの重合において、上記炭化水素系界面活性剤は、本開示の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001~10質量%の量を添加する。
上記FEPの重合において、連鎖移動剤としては、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等を使用することが好ましく、pH緩衝剤としては、炭酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム等を使用することが好ましい。
本開示の製造方法で得られるFEPの水性分散液を必要に応じて濃縮等の後処理した後、乾燥、粉末にし、次いで溶融押出することによってペレットにしても良い。FEPの水性分散液中の水性媒体は、必要に応じて非イオン性界面活性剤などの添加剤を含むものであってもよいが、水溶性アルコール等の水溶性有機溶媒を含むものであってもよいし、水溶性有機溶媒を含まないものであってもよい。
また、溶融押出は、一般にペレット化可能な押出条件であれば、押出条件を適宜設定して行うことができる。
本開示の製造方法では、得られるFEPが、ポリマー主鎖及びポリマー側鎖の少なくとも一方の部位に、-CF、-CFH等の末端基を有しているものであってよいが、-COOH、-CHOH、-COF、-CF=CF-、-CONH、-COOCH等の熱的に不安定な基(以下「不安定末端基」という)は含有量が低いか、ないことが好ましい。
上記不安定末端基は、化学的に不安定であることから、樹脂の耐熱性を低下させるだけでなく、得られた電線の減衰量が増大する原因となる。
本開示の製造方法では、重合終了時のポリマーを、不安定末端基と-CFH末端基とを合計した数が炭素数1×10個当たり50個以下となるように製造することが好ましい。より好ましくは炭素原子1×10個あたり20個未満であることが好ましく、さらに好ましくは5個以下であることが好ましい。上記不安定末端基および-CFH末端基が存在せず全て-CF末端基であってもよい。
不安定末端基および-CFH末端基はフッ素化処理により-CF末端基に変換させて安定化させることができる。フッ素化処理方法は特に限定されないが、重合体を、フッ素化処理条件下にてフッ素ラジカルを発生するフッ素ラジカル源にさらす方法を挙げることができる。上記フッ素ラジカル源としては、フッ素ガスや、CoF、AgF、UF、OF、N、CFOF、及び、フッ化ハロゲン、例えば、IF、ClF等が挙げられる。なかでも、フッ素ガスと本開示の製造方法によって得られるFEPを直接接触させる方法が好ましく、上記接触は、反応制御の点で、フッ素ガス濃度10~50質量%の希釈フッ素ガスを用いて行うことが好ましい。上記希釈フッ素ガスは、窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガスでフッ素ガスを希釈することにより得ることができる。上記フッ素ガス処理は、例えば、100~250℃の温度で行うことができる。なお、処理温度は、先の範囲に限定されることなく、状況に応じて適宜設定することができる。上記フッ素ガス処理は、希釈フッ素ガスを連続的又は間欠的に反応器内に供給して行うことが好ましい。このフッ素化処理は重合後の乾燥粉末でも溶融押出したペレットでもよい。
本開示の製造方法で得られるFEPは、成形性がよく、成形不良が生じにくいことに加え、良好な耐熱性、耐薬品性、耐溶剤性、絶縁性、電気特性等を有する。
上記FEPの粉末の製造方法は、上述した本開示の製造方法で得られたFEPを乾燥させて粉末化することによって粉末を得る方法である。
上記粉末は、フッ素化されていてもよい。上記のフッ素化された粉末の製造方法は、上述した粉末の製造方法で得られた粉末にフッ素ガスを供給することでフッ素化させることによってフッ素化された粉末を得る方法である。
上記FEPのペレットの製造方法は、上述した本開示の製造方法で得られたFEPをペレット化することによってペレットを得る方法である。
上記ペレットは、フッ素化されていてもよい。上記のフッ素化されたペレットの製造方法は、上述したペレットの製造方法で得られたペレットにフッ素ガスを供給することでフッ素化させることによってフッ素化されたペレットを得る方法である。
このため、このFEPは、例えば、電線、発泡電線、ケーブル、ワイヤ等の被覆材、チューブ、フィルム、シート、フィラメント等の種々の成形品の製造に供することができる。
(2)本開示の製造方法において、PFA、MFA等のTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体およびTFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体の重合は、通常、重合温度10~100℃、重合圧力0.3~6.0MpaGで行うことが好ましい。
TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)=(90~99.7):(0.3~10)、より好ましくは(97~99):(1~3)である。上記パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)としては、式:CF=CFORf(式中、Rfは炭素数1~6のパーフルオロアルキル基)で表されるものを使用することが好ましい。
TFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:パーフルオロアリルエーテル=(90~99.7):(0.3~10)、より好ましくは(97~99):(1~3)である。上記パーフルオロアリルエーテルとしては、式:CF=CFCFORf(式中、Rfは炭素数1~6のパーフルオロアルキル基)で表されるものを使用することが好ましい。
上記TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体およびTFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体の重合において、上述の界面活性剤は、本開示の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001~10質量%の量で添加することが好ましい。
上記TFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体およびTFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体の重合において、連鎖移動剤としてシクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル、メタン、エタン等を使用することが好ましく、pH緩衝剤として、炭酸アンモニウム、燐酸水素二ナトリウム等を使用することが好ましい。
本開示の製造方法で得られるPFA、MFA等のTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体の水性分散液を必要に応じて濃縮等の後処理した後、乾燥、粉末にし、次いで溶融押出することによってペレットにしても良い。上記の水性分散液中の水性媒体は、必要に応じて非イオン性界面活性剤などの添加剤を含むものであってもよいが、水溶性アルコール等の水溶性有機溶媒を含むものであってもよいし、水溶性有機溶媒を含まないものであってもよい。
また、溶融押出は、一般にペレット化可能な押出条件であれば、押出条件を適宜設定して行うことができる。
上記の共重合体は、その耐熱性を向上させ、さらに成形品の薬液透過抑制効果をさらに強化する目的でフッ素ガス処理を施すことが好ましい。
フッ素ガス処理は、フッ素ガスを薬液透過抑制剤に接触させることにより行なう。しかし、フッ素との反応は非常に発熱性であるから、フッ素を窒素のような不活性ガスで希釈することが好適である。フッ素ガス/不活性ガス混合物中のフッ素量は1~100質量%、好ましくは10~25質量%である。処理温度は150~250℃、好ましくは200~250℃であり、フッ素ガス処理時間は3~16時間、好ましくは4~12時間である。フッ素ガス処理のガス圧は1~10気圧の範囲であるが、好ましくは大気圧が使用される。反応器を大気圧で用いる場合、フッ素ガス/不活性ガス混合物を反応器中へ連続的に通過させればよい。その結果、上記共重合体の不安定な末端は-CF末端に転化され、熱的に安定となる。
上記共重合体およびその組成物の成形方法としては、従来のPFAと同様に圧縮成形、トランスファ成形、押出成形、射出成形、ブロー成形などの成形法が適用できる。
このような成形法により所望の成形品を得ることができるが、成形品の例をあげると、シート、フィルム、パッキン、丸棒、角棒、パイプ、チューブ、丸槽、角槽、タンク、ウェハーキャリア、ウェハーボックス、ビーカー、フィルターハウジング、流量計、ポンプ、バルブ、コック、コネクター、ナット、電線、耐熱電線などがある。
これらのうち、特に薬液の不透過性が要求される各種の化学反応装置、半導体製造装置、さらには酸系またはアルカリ系の薬液供給装置などに使用するチューブ、パイプ、タンク、コネクターなどに好適に使用できる。
更に、PFA、MFA等のTFE/パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)共重合体およびTFE/パーフルオロアリルエーテル共重合体の水性分散液に、非イオン性界面活性剤を適宜加え、必要に応じて、ポリエーテルスルホン、ポリアミドイミドおよび/またはポリイミド、並びに金属粉末を、有機溶媒中に溶解または分散させることで、プライマー組成物を得ることができる。このプライマー組成物を金属表面に施し、かくして形成されたプライマー層上に溶融加工性フッ素樹脂組成物を施し、プライマー層と共に溶融加工性フッ素樹脂組成物層を焼成することからなる金属表面へのフッ素樹脂の被覆方法にも用いることができる。
(3)本開示の製造方法において、ETFEの重合は、重合温度10~100℃、重合圧力0.3~2.0MPaGで行うことが好ましい。
ETFEの好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:エチレン=(50~99):(50~1)である。上記ETFEとしては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0~20質量%である範囲内で変性させたものであってもよい。好ましくは、TFE:エチレン:第3モノマー=(63~94):(27~2):(1~10)である。上記第3モノマーとしては、パーフルオロブチルエチレン、パーフルオロヘキシルエチレン、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクタ-1-エン、2,3,3,4,4,5,5-ヘプタフルオロ-1-ペンテン(CH=CFCFCFCFH)、2-トリフルオロメチル-3,3,3-トリフルオロプロペン((CFC=CH)が好ましい。
上記ETFEの重合において、上述の界面活性剤は、本開示の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001~10質量%の量で添加する。
上記ETFEの重合において、連鎖移動剤として、シクロヘキサン、メタノール、エタノール、プロパノール、エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン、四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、塩化メチル等を使用することが好ましい。
本開示の製造方法で得られるETFEの水性分散液を必要に応じて濃縮等の後処理した後、乾燥、粉末にし、次いで溶融押出することによってペレットにしても良い。上記の水性分散液中の水性媒体は、必要に応じて非イオン性界面活性剤などの添加剤を含むものであってもよいが、水溶性アルコール等の水溶性有機溶媒を含むものであってもよいし、水溶性有機溶媒を含まないものであってもよい。
また、溶融押出は、一般にペレット化可能な押出条件であれば、押出条件を適宜設定して行うことができる。
上記ETFEのシートは、押出成形してシートにすることができる。すなわち、ETFE粉末、またはペレットを溶融させ、ダイから連続的に押し出し、冷却して得られるシート状の成形品にすることができる。ETFEには添加剤が添加されていてもよい。
添加剤としては、公知のものを適宜用いることができる。具体例としては、紫外線吸収剤、光安定剤、酸化防止剤、赤外線吸収剤、難燃剤、難燃フィラー、有機顔料、無機顔料、染料等が挙げられる。耐候性が優れる点からは無機系添加剤が好ましい。
上記ETFEのシートにおける添加剤の含有量は、ETFEのシートの総質量に対し、20質量%以下が好ましく、10質量%以下が特に好ましい。
上記ETFEのシートは、機械的強度および外観に優れることから、膜構造建築物(運動施設、園芸施設、アトリウム等)用の膜材(屋根材、天井材、外壁材、内壁材、被覆材等)として好適である。
また、膜構造建築物の膜材だけではなく、たとえば、屋外使用板材(防音壁、防風フェンス、越波柵、車庫天蓋、ショッピングモール、歩行路壁、屋根材)、ガラス飛散防止フィルム、耐熱・耐水シート、建材等(テント倉庫のテント材、日よけ用膜材、明かり取り用の部分屋根材、ガラスに替わる窓材、防炎仕切り用膜材、カーテン、外壁補強、防水膜、防煙膜、不燃透明仕切り、道路補強、インテリア(照明、壁面、ブランド等)、エクステリア(テント、看板等)等)、生活レジャー用品(釣りざお、ラケット、ゴルフクラブ、映写幕等)、自動車用材料(幌、制振材、ボディ等)、航空機材料、船舶材料、家電外装、タンク、容器内壁、フィルタ、工事用膜材、電子材料(プリント基板、配線基板、絶縁膜、離型膜等)、太陽電池モジュールの表面材料、太陽熱発電用のミラー保護材、ソーラー温水器の表面材等に有用である。
(4)本開示の製造方法を使用して、電解質ポリマー前駆体を製造することもできる。本開示の製造方法において、電解質ポリマー前駆体の重合は、重合温度10~100℃、重合圧力0.1~2.0MPaGで行うことが好ましい。電解質ポリマー前駆体とは、下記に示すようなビニルエーテルモノマーからなり、加水分解処理を経てイオン交換性ポリマーに変換しうるものである。
電解質ポリマー前駆体に用いられるビニルエーテルモノマーとしては、
上述した一般式(150):CF=CF-O-(CFCFY151-O)-(CFY152-A151
で表されるフルオロモノマーを挙げることができる。電解質ポリマー前駆体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:ビニルエーテル=(50~99):(50~1)であり、より好ましくは、TFE:ビニルエーテル=(50~93):(50~7)である。
上記電解質ポリマー前駆体は、全単量体の0~20質量%である範囲内で第3モノマーで変性させたものであってもよい。第3モノマーとしては、CTFE、フッ化ビニリデン、パーフルオロアルキルビニルエーテル、ジビニルベンゼン等の多官能モノマー等を挙げることができる。
このようにして得られた電解質ポリマー前駆体は、例えば膜状に成形した後、アルカリ溶液による加水分解及び、鉱酸による処理を経て、高分子電解質膜として燃料電池や電解装置及びレドックスフロー電池等に使用することができる。
また、電解質ポリマー前駆体の分散状態を維持したまま、アルカリ溶液による加水分解を施すことにより電解質ポリマー分散液を得ることができる。
引き続き、加圧容器内で、120℃以上に加熱することで、例えば、水/アルコール混合溶媒に溶解させ、溶液状態にすることが出来る。
このようにして得られた溶液は、例えば電極のバインダーとして使用したり、種々の添加剤と複合してキャスト製膜し、例えば防汚塗膜や有機アクチュエーター等に使用することができる。
(5)TFE/VDF共重合体
本開示の製造方法において、TFE/VDF共重合体の重合温度としては特に限定されず、0~100℃であってよい。重合圧力は、重合温度等の他の重合条件に応じて適宜定められるが、通常、0~9.8MPaGであってよい。
TFE/VDF共重合体の好ましい単量体組成(モル%)は、TFE:VDF=(5~90):(95~10)である。TFE/VDF共重合体としては、また、更に第3モノマーを用い、全単量体の0~50モル%である範囲内で変性させたものであってもよい。好ましくは、TFE:エチレン:第3モノマー=(30~85):(10~69.9):(0.1~10)である。
上記第3モノマーとしては、
式: CX1112=CX13(CX1415n1116
(式中、X11~X16は同一又は異なってH、F又はClを表し、n11は0~8の整数を表す。但し、TFE及びVDFを除く。)で示されるモノマー、又は、
式: CX2122=CX23-O(CX2425n2126
(式中、X21~X26は同一又は異なってH、F又はClを表し、n21は0~8の整数を表す。)で示されるモノマーが好ましい。
また、第3モノマーはフッ素非含有エチレン性単量体でもよい。上記フッ素非含有エチレン性単量体は、耐熱性や耐薬品性を維持する点で、炭素数6以下のエチレン性単量体から選ばれることが好ましい。例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、2-ブテン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アルキルビニルエーテル(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等)、マレイン酸、イタコン酸、3-ブテン酸、4-ペンテン酸ビニルスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸等が挙げられる。
TFE/VDF共重合体の重合において、上述の界面活性剤は、本開示の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001~5質量%の量で添加する。
重合により得られたTFE/VDF共重合体を、アンモニア水、アンモニアガス又はアンモニアを生成しうる窒素化合物と接触させることによりアミド化処理してもよい。
上述した方法により得たTFE/VDF共重合体は、紡糸延伸方法によりTFE/VDF共重合体繊維を得る原料として使用することも好ましい。上記紡糸延伸方法とは、TFE/VDF共重合体を溶融紡糸してから冷却固化して未延伸糸を得た後、該未延伸糸を加熱筒状体中に走行させて延伸することによりTFE/VDF共重合体繊維を得る方法である。
上記TFE/VDF共重合体を、有機溶剤に溶解させて、上記TFE/VDF共重合体の溶液を得ることもできる。上記有機溶剤としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド等の含窒素系有機溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;更に、それらの混合溶剤等の低沸点の汎用有機溶剤を挙げることができる。上記溶液は、電池用結着剤として使用できる。
上記TFE/VDF共重合体の水性分散液をポリオレフィン樹脂からなる多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。水性分散液に無機粒子、及びまたは有機系粒子を分散させ、多孔性基材上にコーティングし複合多孔膜として使用することも好ましい。このようにして得られた複合多孔膜はリチウム二次電池のセパレーターなどの使用することができる。
上記溶融加工性フッ素樹脂の粉末は、粉末塗料として好適に利用できる。上記溶融加工性フッ素樹脂粉末からなる粉末塗料を基材に適用すると、表面が平滑な皮膜を得ることができる。平均粒径が1μm以上100μm未満である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に静電塗装に使用する粉末塗料として好適であり、平均粒径が100μm以上1000μm以下である溶融加工性フッ素樹脂粉末は、特に回転塗装又は回転成形に使用する粉末塗料として好適である。
上記溶融加工性フッ素樹脂粉末は、上述した本開示の製造方法で得られた溶融加工性フッ素樹脂を乾燥させて粉末化することによって粉末を得る方法により製造できる。上記溶融加工性フッ素樹脂粉末を製造するための製造方法も本開示の一つである。
(III)フッ素ゴム
本開示の製造方法において、上記フッ素ゴムの重合は、攪拌機を備えた耐圧の反応容器に純水及び上記炭化水素系界面活性剤を仕込み、脱酸素後、モノマーを仕込み、所定の温度にし、重合開始剤を添加して、反応を開始する。反応の進行とともに圧力が低下するので、初期圧力を維持するように、追加のモノマーを連続的又は間欠的に追加供給する。所定量のモノマーを供給した時点で、供給を停止し、反応容器内のモノマーをパージし、温度を室温に戻して反応を終了する。この場合、ポリマーラテックスを連続的に反応容器より取り出すことができる。
特に、上記フッ素ゴムとして、熱可塑性エラストマーを製造する場合、国際公開第00/01741号に開示されているように、一旦フルオロポリマー微粒子を高い上記濃度で合成してから希釈して更に重合を行うことで、通常の重合に比べて、最終的な重合速度を速くできる方法を使用することも可能である。
上記フッ素ゴムの重合は、目的とするポリマーの物性、重合速度制御の観点から適宜条件を選択するが、重合温度は通常-20~200℃、好ましくは5~150℃、重合圧力は通常0.5~10MPaG、好ましくは1~7MPaGにて行われる。また、重合媒体中のpHは、公知の方法等により、後述するpH調整剤等を用いて、通常4.0~13に維持することが好ましい。
上記フッ素ゴムの重合に用いるモノマーとしては、フッ化ビニリデンの他に、炭素原子と少なくとも同数のフッ素原子を有しフッ化ビニリデンと共重合し得る含フッ素エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。上記含フッ素エチレン性不飽和モノマーとしては、トリフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、へキサフルオロブテン、オクタフルオロブテンが挙げられる。なかでも、へキサフルオロプロペンは、それが重合体の結晶成長を遮断した場合に得られるエラストマーの特性のために特に好適である。上記含フッ素エチレン性不飽和モノマーとしては、また、トリフルオロエチレン、TFE及びCTFE等が挙げられるし、1種若しくは2種以上の塩素及び/又は臭素置換基をもった含フッ素モノマーを用いることもできる。パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)、例えばパーフルオロ(メチルビニルエーテル)も用いることができる。TFE及びHFPは、フッ素ゴムを製造するのに好ましい。
フッ素ゴムの好ましい単量体組成(質量%)は、フッ化ビニリデン:HFP:TFE=(20~70):(30~48):(0~32)である。この組成のフッ素ゴムは、良好なエラストマー特性、耐薬品性、及び、熱的安定性を示す。
上記フッ素ゴムの重合において、上述の界面活性剤は、本開示の製造方法における使用範囲で用いることができるが、通常、水性媒体100質量%に対して0.0001~20質量%の量で添加する。好ましくは10質量%以下であり、より好ましくは2質量%以下である。
上記フッ素ゴムの重合において、重合開始剤としては、上記重合温度範囲でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。更に、還元剤等と組み合わせてレドックスとして重合を開始することもできる。
上記重合開始剤としてより好適には、上述した油溶性ラジカル重合開始剤、水溶性ラジカル重合開始剤又はレドックス開始剤を使用でき、特にレドックス開始剤が好ましい。レドックス開始剤としては、上述した全ての態様を採用し得る。
上記レドックス開始剤としては、特に、過マンガン酸カリウム/シュウ酸、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウム等の組合せが挙げられる。
上記レドックス開始剤としては、レドックス開始剤水溶液のpHを4.0以上とすることができる酸化剤又は還元剤を使用することが好ましい。上記レドックス開始剤水溶液とは、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、または、還元剤の0.50質量%濃度水溶液を意味する。
すなわち、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の少なくとも一方のpHが4.0以上であればよく、酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、及び、還元剤の0.50質量%濃度水溶液の両方のpHが4.0以上であることが好ましい。
上記レドックス開始剤水溶液(酸化剤の0.50質量%濃度水溶液、又は、還元剤の0.50質量%濃度水溶液)のpHは、それぞれ、5.0以上がより好ましく、5.5以上が更に好ましく、6.0以上が特に好ましい。
上記レドックス開始剤は特に、塩である酸化剤と塩である還元剤との組み合わせであることが好ましい。
例えば、上記塩である酸化剤は、過硫酸塩、過マンガン酸塩、セリウム(IV)塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、過マンガン酸塩が更に好ましく、過マンガン酸カリウムが特に好ましい。
また、上記塩である還元剤はシュウ酸塩、マロン酸塩、コハク酸塩、グルタル酸塩及び臭素酸塩からなる群より選択される少なくとも1種がより好ましく、シュウ酸塩が更に好ましく、シュウ酸アンモニウムが特に好ましい。
上記レドックス開始剤として具体的には、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、三酢酸マンガン/シュウ酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましく、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記重合開始剤の添加濃度は、目的とするフッ素ゴムの分子量や、重合反応速度によって適宜決定されるが、モノマー全量100質量%に対して0.0001~10質量%、好ましくは0.01~5質量%の量に設定する。
上記フッ素ゴムの重合において、連鎖移動剤としては、公知のものを使用することができるが、炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、ケトン、塩素化合物、カーボネート等を用いることができ、熱可塑性エラストマーでは、炭化水素、エステル、エーテル、アルコール、塩素化合物、ヨウ素化合物等を用いることができる。なかでも、アセトン、イソプロピルアルコールが好ましく、熱可塑性エラストマーの重合では、イソペンタン、マロン酸ジエチル及び酢酸エチルは、反応速度が低下しにくいという観点から好ましく、I(CFI、I(CFI、ICHI等のジヨウ素化合物は、ポリマー末端のヨウ素化が可能で、反応性ポリマーとして使用できる観点から好ましい。
上記連鎖移動剤の使用量は、供給されるモノマー全量に対して、通常0.5×10-3~5×10-3モル%、好ましくは1.0×10-3~3.5×10-3モル%であることが好ましい。
上記フッ素ゴムの重合において、乳化安定剤としてパラフィンワックス等を好ましく用いることができ、熱可塑性エラストマーの重合では、pH調整剤として、リン酸塩、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を好ましく用いることができる。
本開示の製造方法によって得られるフッ素ゴムは、重合が終了した時点で、固形分濃度が1.0~40質量%、平均粒子径が0.03~1μm、好ましくは0.05~0.5μm、数平均分子量が1,000~2,000,000のものである。
本開示の製造方法によって得られるフッ素ゴムは、必要に応じて、炭化水素系界面活性剤等の分散安定剤の添加、濃縮等をすることにより、ゴム成形加工に適したディスパージョンにすることができる。上記ディスパージョンは、pH調節、凝固、加熱等を行い処理される。各処理は次のように行われる。
上記pH調節は、硝酸、硫酸、塩酸若しくはリン酸等の鉱酸、及び/又は、炭素数5以下でpK=4.2以下のカルボン酸等を加え、pHを2以下とすることからなる。
上記凝固は、アルカリ土類金属塩を添加することにより行われる。上記アルカリ土類金属塩としては、カルシウム又はマグネシウムの硝酸塩、塩素酸塩及び酢酸塩が挙げられる。
上記pH調節及び上記凝固は、いずれを先に行ってもよいが、先にpH調節を行うことが好ましい。
各操作の後、フッ素ゴムと同容量の水で洗浄を行い、フッ素ゴム内に存在する少量の緩衝液や塩等の不純物を除去し、乾燥を行う。乾燥は、通常、乾燥炉内で、高温下、空気を循環させながら、約70~200℃で行われる。
上記フッ素ゴムとしては、部分フッ素化ゴムであってもよいし、パーフルオロゴムであってもよい。
部分フッ素化ゴムとしては、ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン(Pr)系フッ素ゴム、テトラフルオロエチレン(TFE)/プロピレン/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/ビニリデンフルオライド(VdF)系フッ素ゴム、エチレン/ヘキサフルオロプロピレン(HFP)/テトラフルオロエチレン(TFE)系フッ素ゴム等が挙げられる。なかでも、ビニリデンフルオライド系フッ素ゴム及びテトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムからなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムは、ビニリデンフルオライド45~85モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他のモノマー55~15モル%とからなる共重合体であることが好ましい。より好ましくは、ビニリデンフルオライド50~80モル%と、ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他のモノマー50~20モル%とからなる共重合体である。
上記ビニリデンフルオライドと共重合可能な少なくとも1種の他のモノマーとしては、テトラフルオロエチレン〔TFE〕、ヘキサフルオロプロピレン〔HFP〕、フルオロアルキルビニルエーテル、クロロトリフルオロエチレン〔CTFE〕、トリフルオロエチレン、トリフルオロプロピレン、ペンタフルオロプロピレン、トリフルオロブテン、テトラフルオロイソブテン、ヘキサフルオロイソブテン、フッ化ビニル、一般式(100):CH=CFRf101(式中、Rf101は炭素数1~12の直鎖又は分岐したフルオロアルキル基)で表されるフルオロモノマー、一般式(170):CH=CH-(CF-X171(式中、X171はH又はFであり、nは3~10の整数である。)で表されるフルオロモノマー、架橋部位を与えるモノマー等のモノマー;エチレン、プロピレン、アルキルビニルエーテル等の非フッ素化モノマーが挙げられる。これらをそれぞれ単独で、又は、任意に組み合わせて用いることができる。これらのなかでも、TFE、HFP、フルオロアルキルビニルエーテル及びCTFEからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好ましい。フルオロアルキルビニルエーテルとしては、一般式(160)で表されるフルオロモノマーが好ましい。
ビニリデンフルオライド系フッ素ゴムの具体例としては、VdF/HFP系ゴム、VdF/HFP/TFE系ゴム、VdF/CTFE系ゴム、VdF/CTFE/TFE系ゴム、VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー系ゴム、VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー/TFE系ゴム、VDF/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)〔PMVE〕系ゴム、VDF/PMVE/TFE系ゴム、VDF/PMVE/TFE/HFP系ゴム等が挙げられる。VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー系ゴムとしては、VDF/CH=CFCF系ゴムが好ましく、VDF/一般式(100)で表されるフルオロモノマー/TFE系ゴムとしては、VDF/TFE/CH=CFCF系ゴムが好ましい。
上記VDF/CH=CFCF系ゴムは、VDF40~99.5モル%、及び、CH=CFCF0.5~60モル%からなる共重合体であることが好ましく、VDF50~85モル%、及び、CH=CFCF20~50モル%からなる共重合体であることがより好ましい。
上記テトラフルオロエチレン/プロピレン系フッ素ゴムは、テトラフルオロエチレン45~70モル%、プロピレン55~30モル%、及び、架橋部位を与えるフルオロモノマー0~5モル%からなる共重合体であることが好ましい。
上記フッ素ゴムは、パーフルオロゴムであってもよい。上記パーフルオロゴムとしては、TFEを含むパーフルオロゴム、例えばTFE/一般式(160)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー共重合体及びTFE/一般式(160)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるモノマー共重合体からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
その組成は、TFE/PMVE共重合体の場合、好ましくは、45~90/10~55(モル%)であり、より好ましくは、55~80/20~45であり、更に好ましくは、55~70/30~45である。
TFE/PMVE/架橋部位を与えるモノマー共重合体の場合、好ましくは、45~89.9/10~54.9/0.01~4(モル%)であり、より好ましくは、55~77.9/20~49.9/0.1~3.5であり、更に好ましくは、55~69.8/30~44.8/0.2~3である。
TFE/炭素数が4~12の一般式(160)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー共重合体の場合、好ましくは、50~90/10~50(モル%)であり、より好ましくは、60~88/12~40であり、更に好ましくは、65~85/15~35である。
TFE/炭素数が4~12の一般式(160)、(130)又は(140)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるモノマー共重合体の場合、好ましくは、50~89.9/10~49.9/0.01~4(モル%)であり、より好ましくは、60~87.9/12~39.9/0.1~3.5であり、更に好ましくは、65~84.8/15~34.8/0.2~3である。
これらの組成の範囲を外れると、ゴム弾性体としての性質が失われ、樹脂に近い性質となる傾向がある。
上記パーフルオロゴムとしては、TFE/一般式(140)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるフルオロモノマー共重合体、TFE/一般式(140)で表されるパーフルオロビニルエーテル共重合体、TFE/一般式(160)で表されるフルオロモノマー共重合体、及び、TFE/一般式(160)で表されるフルオロモノマー/架橋部位を与えるモノマー共重合体からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
上記パーフルオロゴムとしては、国際公開第97/24381号、特公昭61-57324号公報、特公平4-81608号公報、特公平5-13961号公報等に記載されているパーフルオロゴムも挙げることができる。
上記フッ素ゴムは、高温における圧縮永久歪みに優れる点から、ガラス転移温度が-70℃以上であることが好ましく、-60℃以上であることがより好ましく、-50℃以上であることが更に好ましい。また、耐寒性が良好であるという点から、5℃以下であることが好ましく、0℃以下であることがより好ましく、-3℃以下であることが更に好ましい。
上記ガラス転移温度は、示差走査熱量計(メトラー・トレド社製、DSC822e)を用い、試料10mgを10℃/minで昇温することによりDSC曲線を得て、DSC曲線の二次転移前後のベースラインの延長線と、DSC曲線の変曲点における接線との2つの交点の中点を示す温度として求めることができる。
上記フッ素ゴムは、耐熱性が良好な点で、170℃におけるムーニー粘度ML(1+20)が30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。また、加工性が良好な点で、150以下であることが好ましく、120以下であることがより好ましく、110以下であることが更に好ましい。
上記フッ素ゴムは、耐熱性が良好な点で、140℃におけるムーニー粘度ML(1+20)が30以上であることが好ましく、40以上であることがより好ましく、50以上であることが更に好ましい。また、加工性が良好な点で、180以下であることが好ましく、150以下であることがより好ましく、110以下であることが更に好ましい。
上記フッ素ゴムは、耐熱性が良好な点で、100℃におけるムーニー粘度ML(1+10)が10以上であることが好ましく、20以上であることがより好ましく、30以上であることが更に好ましい。また、加工性が良好な点で、120以下であることが好ましく、100以下であることがより好ましく、80以下であることが更に好ましい。
上記ムーニー粘度は、ALPHA TECHNOLOGIES社製 ムーニー粘度計MV2000E型を用いて、170℃又は140℃、100℃において、JIS K6300に従い測定することができる。
本開示の製造方法により得られるフッ素ゴムは、上記重合から得られるものであれば何れの形態にあってもよく、重合上がりの水性分散液であってもよいし、上記重合上がりの水性分散液から従来公知の方法で凝析、乾燥等することにより得られるガム(gum)又はクラム(crumb)として使用することもできる。本開示の製造方法で用いる炭化水素系界面活性剤は水性分散液の安定性を向上させることが可能であり、上記のように重合途中で有機パーオキサイドのような開始剤、ヨウ素または臭素化合物のような連鎖移動剤など難水溶性物質を添加する重合方法においてより好ましく使用される。
上記ガム(gum)は、フッ素ゴムからなる粒状の小さな塊であり、上記クラム(crumb)とは、フッ素ゴムが、室温でガムとして小粒状の形を保つことができず互いに融着した結果、不定形な塊状の形態となったものである。
上記フッ素ゴムは、硬化剤、充填剤等を加え、フッ素ゴム組成物に加工することができる。
上記硬化剤としては、ポリオール、ポリアミン、有機過酸化物、有機スズ、ビス(アミノフェノール)テトラアミン、又は、ビス(チオアミノフェノール)等が挙げられる。
上記フッ素ゴム組成物は、上述のフッ素ゴムからなるものであるので、乳化剤を実質的に含有せず、成形加工時に架橋し易い点で優れている。
上記フッ素ゴムを用いて成形加工することによりフッ素ゴム成形体を得ることができる。上記成形加工する方法としては、特に限定されず、上述の硬化剤を用いて行う公知の方法が挙げられる。
上記フッ素ゴム成形体は、シール、ガスケット、電線被覆、ホース、チューブ、積層体、アクセサリー等として好適であり、特に半導体製造装置用部品、自動車部品、等に好適である。
本開示の製造方法で得られるフルオロポリマーとしては、フッ素樹脂が好ましく、なかでも上述したフッ素置換率が50%以上のフッ素樹脂が更に好ましく、上記フッ素置換率が50%を超えるフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が55%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が60%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が75%以上のフッ素樹脂が更により好ましく、上記フッ素置換率が80%以上のフッ素樹脂が特に好ましく、上記フッ素置換率が90~100%のフッ素樹脂、すなわちパーフルオロ樹脂が最も好ましい。上記パーフルオロ樹脂としては、上記フッ素置換率が95~100%のフッ素樹脂がより好ましく、PTFE、FEP、PFAが更に好ましく、PTFEが特に好ましく、高分子量のPTFEであることが殊更に好ましい。
本開示はまた、ポリテトラフルオロエチレン、並びに、マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含み、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするPTFE組成物を提供する。
本開示のPTFE組成物は、例えば、炭化水素系界面活性剤の存在下及び実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下でTFEを重合し、重合開始剤としてレドックス開始剤を用い、レドックス開始剤の酸化剤として、過マンガン酸、過マンガン酸塩、三酢酸マンガン、セリウム塩、臭素酸又は臭素酸塩等のマンガン、セリウム又は臭素を含む化合物を使用することで得ることができる。
本開示のPTFE組成物は、上記レドックス開始剤の酸化剤として、過マンガン酸塩、臭素酸塩等のマンガン又は臭素を含む化合物を使用することで得られたものがより好ましく、過マンガン酸塩等のマンガンを含む化合物を使用することで得られたものが更に好ましい。
本開示のPTFE組成物において、上記マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の原子は、マンガンであることが好ましい。言い換えると、本開示のPTFE組成物は、PTFE、及び、マンガンを含み、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
本開示のPTFE組成物は、マンガン、臭素及びセリウムの合計含有量が0.10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量%以下であり、更に好ましくは、0.03質量%以下である。上記合計含有量の下限は特に限定されないが、例えば、0.0001質量%以上であってよい。この場合、マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の原子は、マンガンであることが好ましい。本開示のPTFE組成物における、マンガン、臭素及びセリウムの含有量は、たとえば、PTFE組成物を600℃で加熱分解することにより得られる残渣を塩酸に溶解し、得られた溶液について、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)または誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP-AES)を行うことにより測定することができる。
本開示のPTFE組成物はまた、マンガンの含有量が0.10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは、0.05質量%以下であり、更に好ましくは、0.03質量%以下である。上記含有量の下限は特に限定されないが、例えば、0.0001質量%以上であってよい。
本開示のPTFE組成物におけるPTFEとしては、上述した本開示の製造方法において記載したPTFEの特徴を全て採用できる。特に、高分子量のPTFEであることが好ましい。
本開示のPTFE組成物において、上記PTFEは非溶融加工性を有することが好ましい。上記非溶融加工性とは、ASTM D 1238に準拠して、結晶化融点より高い温度でメルトフローレートを測定できない性質を意味する。
また、上記PTFEはフィブリル化性を有することが好ましい。PTFEがフィブリル化性を有することは、上述したようにペースト押出が可能であるか否かによって判断できる。従って、上記PTFEは、ペースト押出可能であることが好ましい。
本開示のPTFE組成物において、上記PTFEは、乳化重合で得られたものであることが好ましい。乳化重合で得られたPTFEの粉末は、一般に、PTFEファインパウダーと言われる。
本開示のPTFE組成物において、上記PTFEは、平均一次粒子径が1000nm以下であることが好ましく、500nm以下であることがより好ましく、400nm以下であることが更に好ましく、350nm以下であることが特に好ましい。平均一次粒子径の下限は特に限定されないが、例えば、50nmでもよいし、100nmであってよい。分子量の観点からは、例えば高分子量PTFEの場合、100nm以上であることが好ましく、150nm以上であることがさらに好ましい。
上記平均一次粒子径は、動的光散乱法により測定することができる。上記平均一次粒子径は、固形分濃度約1.0質量%に調整したPTFE水性分散液を作成し、動的光散乱法を使用して、25℃、溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・s、積算70回にて測定できる。動的光散乱法としては、例えばELSZ-1000S(大塚電子株式会社製)が使用できる。
このようなPTFEは、乳化重合で得ることができ、懸濁重合で得られるPTFEとは区別される。
本開示のPTFE組成物において、上記PTFEは、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む変性PTFEであることが好ましい。特に、上記変性モノマーは、TFEとの反応性の観点からは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び、(パーフルオロオクチル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことである。
上記ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位及び(パーフルオロアルキル)エチレン単位の合計量は、PTFEに対して、0.00001~1質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましい。上限としては、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が最も好ましい。
本開示のPTFE組成物は、PTFEと、マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種との合計含有量が、99.0質量%以上であることが好ましく、99.5質量%以上であることがより好ましく、99.9質量%以上であることが更に好ましく、実質的に100.0質量%であってよい。本開示のPTFE組成物において、「実質的に100.0質量%」とは、PTFE、マンガン、臭素及びセリウム以外の成分が1ppm以下であることを意味する。
本開示はまた、240℃の温度で熱処理し、下記条件(A)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするPTFE粉末(以下「本開示の第1のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
条件(A):
PTFE粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むPTFE押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたPTFE押出ビードを得る。次に、乾燥されたPTFE押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチ(38mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで1000%/秒で離し、ストレッチ試験(延伸試験)を実施して延伸ビードを得る。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さに対する比率として表される。
条件(X):
上記延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
上記潤滑剤としては、イソパラフィン炭化水素100%からなり、初留点180℃、乾点188℃、引火点54℃、密度(15℃)0.758g/cm、KB(カウリ・ブタノール値)26、アニリン点85℃、芳香族含有量<0.01質量%である潤滑剤を使用することができ、このような潤滑剤として具体的にはエクソン社製のアイソパーH(登録商標)を使用できる。
本開示は更に、240℃の温度で熱処理し、条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることを特徴とするPTFE粉末(以下「本開示の第2のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
本開示の第1及び第2のPTFE粉末は、条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上である。上記破断強度は、30.0N以上がより好ましく、32.0N以上が更に好ましく、35.0N以上がより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、80.0N以下であってよく、50.0N以下であってよい。上記破断強度は、下記方法で求めた値である。
上記の熱処理の後、条件(A)で作製された延伸体について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
本開示はまた、240℃の温度で熱処理し、下記条件(B)で作製した延伸ビードの条件(X)で測定した破断強度が22.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末(以下「本開示の第3のPTFE粉末」ともいう)。
条件(B):
PTFE粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。
上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むPTFE押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたPTFE押出ビードを得る。次に、乾燥されたPTFE押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチ(51mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで100%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さに対する比率として表される。
条件(X):
上記延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
上記潤滑剤としては、イソパラフィン炭化水素100%からなり、初留点180℃、乾点188℃、引火点54℃、密度(15℃)0.758g/cm、KB(カウリ・ブタノール値)26、アニリン点85℃、芳香族含有量<0.01質量%である潤滑剤を使用することができ、このような潤滑剤として具体的にはエクソン社製のアイソパーH(登録商標)を使用できる。
本開示は更に、240℃の温度で熱処理し、条件(B)で作製した延伸体の破断強度が22.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることを特徴とするPTFE粉末(以下「本開示の第4のPTFE粉末」ともいう)。
本開示の第3及び第4のPTFE粉末は、条件(B)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が22.0N以上である。上記破断強度は、23.0N以上がより好ましく、25.0N以上が更に好ましく、28.0N以上がより好ましく、30.0N以上が特に好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、80.0N以下であってよく、50.0N以下であってよい。
本開示の第1~4のPTFE粉末は、固形分全質量に対して、PTFEが99.0質量%以上であり、PTFE以外の成分が1.0質量%以下であることが好ましく、PTFEが99.5質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.5質量%以下であることがより好ましく、PTFEが99.9質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.1質量%以下であることが更に好ましく、PTFEが実質的に100.0質量%であることが特に好ましい。
本開示の第1~4のPTFE粉末は、湿潤粉末であってよく、0.0001~50質量%の水性媒体を含むものであってよい。水性媒体の量は、0.0001~1.0質量%であってよく、また、0.0001~0.01質量%であってよい。
上記水性媒体の量は、150℃、60分の条件で乾燥した時の重量減少によって求めることができる。
本開示の第1~4のPTFE粉末において、上記熱処理は240℃で行う。より具体的には、240℃、18時間の条件で行う。
上記熱処理は、本開示の第1~4のPTFE粉末を乾燥するものであってよい。例えば、本開示の第1~4のPTFE粉末が、PTFEの湿潤粉末である場合、該湿潤粉末中に含まれる水分を乾燥させるものであってよい。
本開示の第1~4のPTFE粉末において、延伸体の作製は上記条件(A)または条件(B)で行う。
本開示の第1~4のPTFE粉末は、本開示の製造方法により得ることができる。本開示の製造方法は、炭化水素系界面活性剤の存在下で、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下であっても高分子量のPTFEを製造することができるため、上記の破断強度を満足しながら、実質的に炭化水素系界面活性剤を含まないPTFE粉末とすることができる。また、上記不安定指数(TII)は、炭化水素系界面活性剤の存在下で重合することによって20以上とすることができる。
本開示は更に、押出圧力が50.0MPa以下であり、条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末(以下「本開示の第5のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
本開示の第5のPTFE粉末において、熱不安定指数(TII)は、20以上であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895-89に準拠して測定する。
本開示は更に、押出圧力が50.0MPa以下であり、条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末(以下「本開示の第6のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
本開示の第6のPTFE粉末は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
本開示の第5及び6のPTFE粉末は、条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、30.0N以上であることがより好ましく、32.0N以上であることが更に好ましく、35.0N以上であることがより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、破断強度の上限は、例えば、80.0Nである。
本開示の第5及び6のPTFE粉末は、条件(B)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が22.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、23.0N以上がより好ましく、25.0N以上が更に好ましく、28.0N以上がより好ましく、30.0N以上が特に好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、80.0N以下であってよく、50.0N以下であってよい。
本開示は更に、上記条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末(以下「本開示の第7のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
本開示の第7のPTFE粉末において、熱不安定指数(TII)は、20以上であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895-89に準拠して測定する。
本開示はまた、上記条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末(以下「本開示の第8のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
本開示の第8のPTFE粉末は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
本開示は更に、上記条件(B)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末(以下「本開示の第9のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
本開示の第9のPTFE粉末において、熱不安定指数(TII)は、20以上であってよい。このようなPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895-89に準拠して測定する。
本開示はまた、上記条件(B)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末(以下「本開示の第10のPTFE粉末」ともいう)を提供する。
本開示の第10のPTFE粉末は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
本開示の第7~10のPTFE粉末は、条件(A)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、35.0N以上であることがより好ましく、37.0N以上であることが更に好ましく、40.0N以上であることがより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、破断強度の上限は、例えば、100.0Nである。
本開示の第7~10のPTFE粉末は、条件(B)で作製した延伸ビード(延伸体)の条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、30.0N以上がより好ましく、32.0N以上が更に好ましく、35.0N以上がより好ましい。破断強度は高ければ高いほどよく破断強度の上限は限定されないが、例えば、100.0N以下であってよく、80.0N以下であってよい。
本開示の第5~10のPTFE粉末は、PTFEを含むものである。PTFEとしては、本開示の製造方法において記載したPTFEの構成を全て採用できる。
本開示の第5~10のPTFE粉末は、PTFEが99.0質量%以上であり、PTFE以外の成分が1.0質量%以下であることが好ましく、PTFEが99.5質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.5質量%以下であることがより好ましく、PTFEが99.9質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.1質量%以下であることが更に好ましく、PTFEが実質的に100.0質量%であることが特に好ましい。
本開示の第5~10のPTFE粉末は、本開示の製造方法により得ることができる。本開示の製造方法は、炭化水素系界面活性剤の存在下で、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下であっても高分子量のPTFEを製造することができるため、上記の破断強度を満足しながら、実質的に炭化水素系界面活性剤を含まないPTFE粉末とすることができる。また、上記不安定指数(TII)は、炭化水素系界面活性剤の存在下で重合することによって20以上とすることができる。
本開示の第1~10のPTFE粉末は、熱不安定指数(TII)が25以上であってよく、30以上であってよく、35以上であってよく、40以上であってよい。
本開示の第1~10のPTFE粉末は、押出圧力が50.0MPa以下であることが好ましく、40.0MPa以下であることがより好ましく、8.0MPa以上であることが好ましく、10.0MPa以上であることがより好ましい。上記押出圧力は、特開2002-201217号公報記載の方法に従い、下記方法で求めた値である。
PTFE粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。押出圧力は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値である。
本開示の第1~10のPTFE粉末は、延伸可能なものであることが好ましい。本明細書において「延伸可能」とは、下記の基準で判断する。
PTFEの粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。ペースト押出により得られたビードを230℃で30分加熱することにより、潤滑剤をビードから除去する。次に、ビード(押出成形体)を適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチ(38mm)の間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを所望のストレッチ(総ストレッチ)に相当する分離距離となるまで所望の速度(ストレッチ速度)で離し、ストレッチ試験を実施する。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さとに対する比率として表される。上記作製方法において、上記ストレッチ速度は、1000%/秒であり、上記総ストレッチは2400%である。このストレッチ試験で切断せずに、均一な外観を持つ延伸ビードが得られることを意味する。
本開示の第1~10のPTFE粉末は、応力緩和時間が50秒以上であることが好ましく、80秒以上であることがより好ましく、100秒以上であることが更に好ましく、120秒以上であることが特に好ましい。上記応力緩和時間は、下記方法にて測定した値である。
上記条件(A)で作製された延伸体(延伸ビード)の両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間とする。
本開示の第1~10のPTFE粉末は、0.1%質量減少温度が400℃以下であってよい。0.1%質量減少温度が400℃以下であるPTFE粉末は、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記0.1%質量減少温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFEの粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。0.1%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、0.1mass%の重量減少した点に対応する温度とした。
本開示の第1~10のPTFE粉末は、1.0%質量減少温度が492℃以下であってよい。1.0%質量減少温度が492℃以下であるPTFEは、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記1.0%質量減少温度は、下記方法にて測定した値である。
300℃以上の温度に加熱した履歴のないPTFEの粉末約10mgを精秤し、専用のアルミパンに収納してTG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて測定する。1.0%質量減少温度は、アルミパンを大気雰囲気下、25℃から600℃までの温度範囲を10℃/分の条件で昇温させ、1.0mass%の重量減少した点に対応する温度とした。
本開示の第1~10のPTFE粉末は、平均粒子径(平均二次粒子径)が100~2000μmであることが好ましい。平均二次粒子径の下限は、200μm以上であることがより好ましく、300μm以上であることが更に好ましい。平均二次粒子径の上限は1000μm以下であることが好ましく、800μm以下であることが更に好ましく、700μm以下が特に好ましい。上記平均粒子径は、JIS K 6891に準拠して測定した値である。
本開示の第1~10のPTFE粉末におけるPTFEとしては、上述した本開示の製造方法において記載したPTFEの特徴を全て採用できる。特に、高分子量のPTFEであることが好ましい。
また、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む変性PTFEであることが好ましい。特に、上記変性モノマーは、TFEとの反応性の観点からは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び、(パーフルオロオクチル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことである。
上記ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位及び(パーフルオロアルキル)エチレン単位の合計量は、PTFEに対して、0.00001~1質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく、上限としては、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が最も好ましい。
なお、本開示の第1~4のPTFE粉末において、熱不安定指数(TII)、延伸可能な判断基準、押出圧力、応力緩和時間、0.1%質量減少温度、1.0%質量減少温度、弾性率、平均粒子径(平均二次粒子径)等を評価する場合、240℃で熱処理(乾燥)して得られたPTFE粉末を用いて評価する。
本開示の第1~10のPTFE粉末において、「実質的に含フッ素界面活性剤を含まない」とは、PTFEに対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味する。含フッ素界面活性剤の含有量は、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下であり、特に好ましくは、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC/MS/MS)による測定による、含フッ素界面活性剤が検出限界以下である。
上記含フッ素界面活性剤量は、公知な方法で定量できる。例えば、LC/MS/MS分析にて定量することが出来る。まず、得られた粉末をメタノールの有機溶剤に抽出し、抽出液をLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる界面活性剤の構造式との一致を確認する。
その後、確認された界面活性剤を5水準以上の濃度の水溶液を作成し、それぞれの濃度のLC/MS/MS分析を行ない、エリア面積との検量線を作成する。
得られた粉末をメタノールにてソックスレー抽出を行ない、抽出液をLC/MS/MS分析を行なうことで定量測定することが出来る。
すなわち、含フッ素界面活性剤の含有量は、例えば、LC/MS/MS分析にて定量することができる。まず、メタノールに得られた粉末を加え、抽出を行ない、得られた抽出液をLC/MS/MS分析する。さらに抽出効率を高めるために、ソックスレー抽出、超音波処理等による処理を行ってもよい。得られたLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる含フッ素界面活性剤の構造式との一致を確認する。その後、確認された含フッ素界面活性剤の5水準以上の含有量の水溶液を作製し、それぞれの含有量の水溶液のLC/MS/MS分析を行ない、含有量と、その含有量に対するエリア面積と関係をプロットし、検量線を描く。そして、検量線を用いて、抽出液中の含フッ素界面活性剤のLC/MS/MSクロマトグラムのエリア面積を、含フッ素界面活性剤の含有量に換算することができる。
上記含フッ素界面活性剤としては、上述した製造方法において例示したものと同じである。例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよく、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよく、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤であってよい。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、上記一般式(N)で表される化合物が挙げられ、具体的には、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、及び、一般式(N)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、一般式(II)で表されるω-Hパーフルオロカルボン酸(II)、一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、一般式(VII)で表されるω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)、一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、一般式(XII)で表される化合物(XII)、及び、一般式(XIII)で表される化合物(XIII)などが挙げられる。
本開示はまた、破断強度が29.0N以上であり、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン延伸体(以下「本開示の第1のPTFE延伸体」ともいう)を提供する。
本開示の第1のPTFE延伸体は、熱不安定指数(TII)が20以上であってよい。このようなPTFE延伸体は、炭化水素系界面活性剤を用いることにより得られる。上記TIIは、ASTM D 4895-89に準拠して測定する。
本開示は更に、破断強度が29.0N以上であり、熱不安定指数(TII)が20以上であることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン延伸体「本開示の第2のPTFE延伸体」を提供する。
本開示の第2のPTFE延伸体は、実質的に含フッ素界面活性剤を含まないものであることが好ましい。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、PTFEを含むものである。PTFEとしては、本開示の製造方法において記載したPTFEの構成を全て採用できる。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体におけるPTFEとしては、上述した本開示の製造方法において記載したPTFEの特徴を全て採用できる。特に、高分子量のPTFEであることが好ましい。また、99.0質量%以上のTFEに基づく重合単位と、1.0質量%以下の変性モノマーに基づく重合単位を含む変性PTFEであることが好ましい。特に、上記変性モノマーは、TFEとの反応性の観点からは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)及び(パーフルオロアルキル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。より好ましくは、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、(パーフルオロブチル)エチレン、(パーフルオロヘキシル)エチレン、及び、(パーフルオロオクチル)エチレンからなる群より選択される少なくとも1種を含むことである。上記ヘキサフルオロプロピレン単位、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)単位及び(パーフルオロアルキル)エチレン単位の合計量は、PTFEに対して、0.00001~1質量%の範囲であることが好ましい。上記合計量の下限としては、0.0001質量%がより好ましく、0.001質量%が更に好ましく。上限としては、0.50質量%がより好ましく、0.40質量%が更に好ましく、0.30質量%が更により好ましく、0.10質量%が殊更に好ましく、0.05質量%が特に好ましく、0.01質量%が最も好ましい。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、PTFEが99.0質量%以上であり、PTFE以外の成分が1.0質量%以下であることが好ましく、PTFEが99.5質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.5質量%以下であることがより好ましく、PTFEが99.9質量%以上であり、PTFE以外の成分が0.1質量%以下であることが更に好ましく、PTFEが実質的に100.0質量%であることが特に好ましい。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体において、「実質的に含フッ素界面活性剤を含まない」とは、PTFEに対して含フッ素界面活性剤が10ppm以下であることを意味する。含フッ素界面活性剤の含有量は、好ましくは1ppm以下であり、より好ましくは100ppb以下であり、更により好ましくは10ppb以下であり、更により好ましくは1ppb以下であり、特に好ましくは、液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC/MS/MS)による測定による、含フッ素界面活性剤が検出限界以下である。
上記含フッ素界面活性剤量は、公知な方法で定量できる。例えば、LC/MS/MS分析にて定量することが出来る。まず、得られた微細化された延伸体をメタノールの有機溶剤に抽出し、抽出液をLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる界面活性剤の構造式との一致を確認する。
その後、確認された界面活性剤を5水準以上の濃度の水溶液を作成し、それぞれの濃度のLC/MS/MS分析を行ない、エリア面積との検量線を作成する。
得られた微細化された延伸体をメタノールにてソックスレー抽出を行ない、抽出液をLC/MS分析を行なうことで定量測定することが出来る。
すなわち、含フッ素界面活性剤の含有量は、例えば、LC/MS/MS分析にて定量することができる。まず、メタノールに得られた微細化された延伸体を加え、抽出を行ない、得られた抽出液をLC/MS/MS分析する。さらに抽出効率を高めるために、ソックスレー抽出、超音波処理等による処理を行ってもよい。得られたLC/MS/MSスペクトルから、分子量情報を抜出し、候補となる含フッ素界面活性剤の構造式との一致を確認する。その後、確認された含フッ素界面活性剤の5水準以上の含有量の水溶液を作製し、それぞれの含有量の水溶液のLC/MS/MS分析を行ない、含有量と、その含有量に対するエリア面積と関係をプロットし、検量線を描く。そして、検量線を用いて、抽出液中の含フッ素界面活性剤のLC/MS/MSクロマトグラムのエリア面積を、含フッ素界面活性剤の含有量に換算することができる。
上記含フッ素界面活性剤としては、上述した本開示の製造方法において例示したものと同じである。例えば、アニオン性基を除く部分の総炭素数が20以下のフッ素原子を含む界面活性剤であってよく、アニオン性部分の分子量が800以下のフッ素を含む界面活性剤であってよく、LogPOWが3.5以下の含フッ素界面活性剤であってよい。
上記アニオン性含フッ素界面活性剤としては、上記一般式(N)で表される化合物が挙げられ、具体的には、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、一般式(N)で表される化合物、及び、一般式(N)で表される化合物が挙げられる。より具体的には、一般式(I)で表されるパーフルオロカルボン酸(I)、一般式(II)で表されるω-Hパーフルオロカルボン酸(II)、一般式(III)で表されるパーフルオロポリエーテルカルボン酸(III)、一般式(IV)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンカルボン酸(IV)、一般式(V)で表されるパーフルオロアルコキシフルオロカルボン酸(V)、一般式(VI)で表されるパーフルオロアルキルスルホン酸(VI)、一般式(VII)で表されるω-Hパーフルオロスルホン酸(VII)、一般式(VIII)で表されるパーフルオロアルキルアルキレンスルホン酸(VIII)、一般式(IX)で表されるアルキルアルキレンカルボン酸(IX)、一般式(X)で表されるフルオロカルボン酸(X)、一般式(XI)で表されるアルコキシフルオロスルホン酸(XI)、一般式(XII)で表される化合物(XII)、及び、一般式(XIII)で表される化合物(XIII)等が挙げられる。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、熱不安定指数(TII)が25以上であってよく、30以上であってよく、35以上であってよく、40以上であってよい。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、破断強度が29.0N以上であることが好ましい。上記破断強度は、30.0N以上であることがより好ましく、32.0N以上であることが更に好ましく、35.0N以上であることがより好ましく、37.0N以上であることが更により好ましく、40.0N以上であることが更により好ましい。破断強度は高ければ高いほどよいが、破断強度の上限は、例えば、100.0N以下であってよく、80.0Nであってよい。上記破断強度は、下記方法で求めた値である。
上記延伸体を、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、上記延伸体が破断した時の強度を破断強度とする。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、応力緩和時間が50秒以上であることが好ましく、80秒以上であることがより好ましく、100秒以上であることが更に好ましく、110秒以上であることが更により好ましく、120秒以上であることが特に好ましい。上記応力緩和時間は、下記方法にて測定した値である。
上記延伸体の両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間とする。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、ピーク温度が325~350℃の間に存在することが好ましい。また、本開示の延伸体は、ピーク温度が325~350℃の間と、360~390℃の間のいずれにも存在することが好ましい。
上記ピーク温度は、延伸体について示差走査熱量計〔DSC〕を用いて10℃/分の速度で昇温したときの融解熱曲線における極大値に対応する温度である。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、その形状が膜、チューブ、繊維、ロッドであることも好ましい。
本開示の第1及び2のPTFE延伸体は、空孔率が30%~99%の範囲が好ましい。空孔率は60%以上が好ましく、70%以上がより好ましい。延伸体におけるPTFEの割合が小さ過ぎると、延伸体の強度が十分でなくなるおそれがあるので、空孔率は98%以下が好ましく、95%以下が好ましく、90%以下がより好ましい。
延伸体の空孔率は、見掛け密度ρを用いて下記式から算出することができる。
空孔率(%)=[(2.2-ρ)/2.2]×100
上記式中、2.2はPTFEの真密度(g/cm)である。
上記延伸体の密度ρは、延伸体が膜またはシート状の場合、特定の大きさにカットした試料の質量を精密天秤にて測定し、測定した資料の質量及び膜厚みから、以下の式により試料の密度を計算する。
ρ=M/(4.0×12.0×t)
ρ=密度(膜密度)(g/cm
M=質量(g)
t=膜厚み(cm)
3か所について上記測定および計算を行い、それらの平均値を膜密度とする。
膜厚みは、膜厚計を使用し、延伸体を5枚重ねて全体の膜厚みを測定し、その値を5で割った数値を1枚の膜厚みとする。
延伸体が円柱状の場合、上記延伸体の密度ρは、一定の長さにカットした試料の質量を精密天秤にて測定し、測定した試料の質量及び外径から、以下の式により試料の密度を計算する。
ρ=M/(r×r×π)×L
ρ=密度(g/cm
M=質量(g)
r=半径(cm)
L=長さ(cm)
π=円周率
延伸体の外径はレーザ式変位センサを使用して測定する。半径はその値を2で割った数値とする。
3か所について上記測定および計算を行い、それらの平均値を密度とする。
本開示のPTFE延伸体は、例えば、本開示の製造方法で得られるPTFEをペースト押出し圧延後、未焼成又は半焼成し、少なくとも1方向に延伸して(好ましくは、圧延方向にロール延伸し次いでテンターにより幅方向に延伸して)、製造することができる。延伸条件としては、5~1000%/秒の速度、500%以上の延伸倍率が好ましく採用される。延伸することによりPTFEは容易にフィブリル化し、結節と繊維からなる延伸体となる。
次に本開示を実施例をあげて説明するが、本開示はかかる実施例のみに限定されるものではない。
実施例の各数値は以下の方法により測定した。
pH値
pH値は、25℃で、HORIBA pH/ION METER F-72で測定した値を採用した。
PTFE水性分散液(フルオロポリマー水性分散液)の固形分濃度
PTFE水性分散液(フルオロポリマー水性分散液)1gを、送風乾燥機中で150℃、60分の条件で乾燥し、水性分散液の質量(1g)に対する、加熱残分の質量の割合を百分率で表した値を採用した。
PTFE水性分散液におけるラウリン酸アンモニウムの含有量
得られたPTFE水性分散液を、高速遠心分離機を用いて遠心分離し、得られた上澄み水を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析装置で測定し、PTFE水性分散液におけるラウリン酸アンモニウムの含有量を求めた。用いた装置は以下の通りである。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析装置本体:Waters製 Allianceセパレーションモジュール2695
検出器:Waters製 Waters2487検出器
平均一次粒子径
動的光散乱法により測定される。得られたPTFE粉末を用いて、固形分濃度を約1.0質量%に調整したPTFE粉末の水性分散液を作成し、ELSZ-1000S(大塚電子株式会社製)を使用して25℃、積算70回にて測定した。溶媒(水)の屈折率は1.3328、溶媒(水)の粘度は0.8878mPa・sとした。
標準比重(SSG)
ASTM D 4895-89に準拠して成形されたサンプルを用い、ASTM D 792に準拠した水置換法により測定した。
熱不安定指数(TII)
ASTM D 4895-89に準拠して測定した。
HFP含有量
HFP含有量は、PTFE粉末をプレス成形することで、薄膜ディスクを作成して測定した赤外線吸光度から求めた。982cm-1における吸光度/935cm-1における吸光度の比に0.3を乗じて求めた。
押出圧力
得られたPTFE粉末100gに、潤滑剤(商品名:アイソパーH(登録商標)、エクソン社製)21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビード(beading;押出成形体)を得る。押出スピード、すなわち、ラムスピードは、20インチ/分(51cm/分)とする。押出圧力は、ペースト押出において押出負荷が平衡状態になった時の負荷を測定し、ペースト押出に用いたシリンダーの断面積で除した値とした。
延伸試験
上記のペースト押出しにより得られたビードを230℃で30分加熱することにより、潤滑剤をビードから除去する。次に、ビード(押出成形体)を適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチ(38mm)となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを所望のストレッチ(総ストレッチ)に相当する分離距離となるまで所望の速度(ストレッチ速度)で離し、ストレッチ試験を実施する。このストレッチ方法は、押出スピード(84cm/分でなく51cm/分)が異なることを除いて、本質的に米国特許第4,576,869号明細書に開示された方法に従う。『ストレッチ』とは、延伸による長さの増加であり、通常元の長さに対する比率として表される。上記作製方法において、上記ストレッチ速度は、1000%/秒であり、上記総ストレッチは2400%である。このようにして延伸ビードを得る。
破断強度A
上記延伸試験で得られた延伸ビード(ビードをストレッチすることによって作製されたもの)について、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Aとして測定した。
破断強度B
上記延伸試験でクランプ間隔を2.0インチ(51mm)、及び、ストレッチ速度が100%/秒に変更する以外は同じ方法で得られた延伸ビードについて、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Bとして測定した。
応力緩和時間
上記延伸試験で得られた延伸ビードの両方の末端を固定具につなげ、ぴんと張られた全長8インチ(20cm)のビードサンプルとする。オーブンを390℃に保ち、オーブン側部にある(覆われた)スリットを通して固定具をオーブン中に挿入する。オーブンに挿入した時点からビードサンプルが破断するまでに要する時間を応力緩和時間として測定した。
ピーク温度
実施例により得られたPTFE粉末について、TG/DTA(示差熱熱重量同時測定装置)を用いて、昇温速度10℃/分の条件にて融解熱曲線を描き、上記融解熱曲線に現れる吸熱ピークの極大値に対応する温度とした。
破断強度C
得られた湿潤PTFE粉末を285℃で18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末を上記押出圧力の測定方法と同じ方法で押出を行ない、ビードを得た。得られたビードを上記延伸試験と同じ方法で延伸ビードを得た。得られた延伸ビードについて、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Cとして測定した。
破断強度D
得られた湿潤PTFE粉末を285℃で18時間乾燥し、PTFE粉末を得た。得られたPTFE粉末を上記押出圧力の測定方法と同じ方法で押出を行ない、ビードを得た。延伸試験でクランプ間隔を2.0インチ(51mm)、及び、ストレッチ速度を100%/秒に変更する以外は上記破断強度Cの測定と同じ方法で延伸ビードを得た。得られた延伸ビードについて、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度Dとして測定した。
PTFE粉末におけるマンガンの含有量
得られたPTFE粉末約5gを白金皿に採取し、電気炉で600℃にて、1時間保って加熱分解した。得られた残渣に高純度濃塩酸を約2ml加えて加熱し溶解させ、試料溶液を得た。得られた試料溶液に希塩酸30mlを加えウォーターバス上で加熱濃縮し、約20mlの溶液を得た。得られた溶液について誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)を用いて定量分析し、PTFE粉末におけるマンガンの含有量を求めた。
調製例1
16gの脱イオン水に0.273gのラウリン酸を入れて攪拌しながら2.77gのアンモニア2.8%水溶液を徐々に加えて水溶液Aを得た。
調製例2
100gの脱イオン水に10gのラウリン酸を入れて攪拌しながら25gのアンモニア10%水溶液を徐々に加えて水溶液Bを得た。このときのpHは、9.6を示した。
実施例1
内容積3LのSUS製の撹拌機付き反応器に1748gの脱イオン水、90gのパラフィンワックス、19.0gの水溶液A、0.5gのシュウ酸アンモニウムを加えた。この時の水性媒体のpHは9.0であった。反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、2.0gのHFPを加え、さらに、TFEにて昇圧し、2.70MPaGとした。重合開始剤として、0.5質量%の過マンガン酸カリウム水溶液を反応器に連続的に仕込むことで反応を行なった。反応圧を2.70MPaG一定となるようにTFEを仕込んだ。80gのTFEを仕込んだ時に撹拌を停止し、反応圧が大気圧になるまで脱圧を行なった。直ちに、反応器にTFEを充填し、反応圧を2.70MPaGとし、撹拌を再開して、反応を継続した。
水溶液Bを直ちに反応器に連続的に仕込み始めた。590gのTFEを仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器を大気圧になるまで脱圧を行なった。反応終了までに72.4gの過マンガン酸カリウム水溶液と30gの水溶液Bを仕込んだ。水性分散液を反応器から取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液のpHは8.3であった。
得られたPTFE水性分散液を、10%濃度に水で希釈した後、高速撹拌条件下で、凝固させ、水と分離して、湿潤PTFE粉末を得た。得られた湿潤PTFE粉末を240℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末の物性を下記表1、2に示す。
実施例2
実施例1と同様にして反応を行ない、680gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止した。反応終了までに56.0gの過マンガン酸カリウム水溶液と26.2gの水溶液Bを仕込んだ。得られたPTFE水性分散液のpHは8.8であった。
実施例1と同様にして凝固・乾燥した。得られたPTFE粉末の物性を下記表1、2に示す。
調製例3
100gの脱イオン水に、9.9gのラウリン酸を入れて攪拌しながら、14gのアンモニア10%水溶液を仕込んで水溶液Cを得た。この時のpHは9.5であった。
実施例3
水溶液Aの代わりに0.273gのラウリン酸を使用したこと以外は実施例1と同様に反応器に仕込んだ。この時の水性媒体のpHは6.7であった。
その後、実施例1と同様にして反応を行なった。反応途中で水溶液Bの代わりに水溶液Cを反応器に連続的に仕込む以外は同様に反応を継続した。800gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、実施例1と同様な操作を行なった。反応終了までに52.2gの過マンガン酸カリウム水溶液と25.5gの水溶液Cを仕込んだ。
得られたPTFE水性分散液のpHは8.2であった。また、得られたPTFE水性分散液におけるラウリン酸アンモニウムの含有量は55.5ppmであった。得られたPTFE水性分散液を、実施例1と同様にして凝固・乾燥した。得られたPTFE粉末における、マンガンの含有量は、24.3ppmであった。得られたPTFE粉末の物性を下記表1、2に示す。
調製例4
16gの脱イオン水に0.273gのミリスチン酸を入れて攪拌しながら2.77gのアンモニア2.8%水溶液を徐々に加えて水溶液Dを得た。
調製例5
94gの脱イオン水に4.3gのラウリン酸を入れて攪拌しながら、8.8gのアンモニア10%水溶液を徐々に加えて水溶液Eを得た。
実施例4
内容積3LのSUS製の撹拌機付き反応器に1728gの脱イオン水、90gのパラフィンワックス、19.0gの水溶液D、0.5gのシュウ酸アンモニウムを加えた。この時の水性媒体のpHは10.0であった。反応器を密閉し、系内を窒素で置換を行ない、酸素を取り除いた。反応器を70℃に昇温し、1.8gのHFPを加え、さらに、TFEにて昇圧し、2.70MPaGとした。重合開始剤として、0.5質量%の過マンガン酸カリウム水溶液を反応器に連続的に仕込むことで反応を行なった。反応圧を2.70MPaG一定となるようにTFEを仕込んだ。65gのTFEを仕込んだ時に撹拌を停止し、反応圧が大気圧になるまで脱圧を行なった。直ちに、反応器にTFEを充填し、反応圧を2.70MPaGとし、撹拌を再開して、反応を継続した。
水溶液Eを直ちに反応器に連続的に仕込み始めた。380gのTFEを仕込んだ時に、撹拌を停止し、反応器を大気圧になるまで脱圧を行なった。反応終了までに52.0gの過マンガン酸カリウム水溶液と20gの水溶液Eを仕込んだ。水性分散液を反応器から取り出し、冷却後、パラフィンワックスを分離し、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液のpHは9.8であった。
得られたPTFE水性分散液を、13%濃度に水で希釈した後、高速撹拌条件下で、凝固させ、水と分離して、湿潤PTFE粉末を得た。得られた湿潤PTFE粉末を210℃で18時間乾燥した。得られたPTFE粉末の物性を下記表1に示す。
調製例6
16gの脱イオン水に0.179gのウンデカン酸を入れて攪拌しながら1.89gのアンモニア2.8%水溶液を徐々に加えて水溶液Fを得た。
実施例5
水溶液Dの代わりに、18.0gの水溶液Fを使用したこと以外は実施例4と同様に反応器に仕込んだ。この時の水性媒体のpHは9.8であった。
その後、実施例4と同様にして反応を行なった。反応途中で水溶液Bの代わりに水溶液Cを反応器に連続的に仕込む以外は同様に反応を継続した。反応途中で水溶液Eの代わりに水溶液Cを反応器に連続的に仕込む以外は同様に反応を継続した。770gのTFEを仕込んだ時に攪拌を停止し、実施例4と同様な操作を行なった。反応終了までに53.0gの過マンガン酸カリウム水溶液と25.0gの水溶液Cを仕込んだ。
得られたPTFE水性分散液のpHは9.5であった。得られたPTFE水性分散液を、実施例1と同様にして凝固・乾燥した。得られたPTFE粉末の物性を下記表1、2に示す。
Figure 0007201948000046
Figure 0007201948000047

Claims (18)

  1. 炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、pHが4.0以上の水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含み、前記炭化水素系界面活性剤はカルボン酸型であり、前記重合開始剤がレドックス開始剤であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法。
  2. アニオン性の炭化水素系界面活性剤及び重合開始剤の存在下、水性媒体中で、フルオロモノマーを重合してフルオロポリマーを得る重合工程を含み、前記炭化水素系界面活性剤が、前記炭化水素系界面活性剤の塩を含み、前記炭化水素系界面活性剤はカルボン酸型であり、前記重合開始剤がレドックス開始剤であることを特徴とするフルオロポリマーの製造方法。
  3. 前記重合工程は、実質的に有機酸の形態の前記炭化水素系界面活性剤の非存在下で重合する請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 前記レドックス開始剤は、塩である酸化剤と塩である還元剤との組合せである請求項1~3のいずれかに記載の製造方法。
  5. 前記レドックス開始剤は、過マンガン酸カリウム/シュウ酸アンモニウム、臭素酸カリウム/亜硫酸アンモニウム、及び、セリウム硝酸アンモニウム/シュウ酸アンモニウムからなる群より選択される少なくとも1種である請求項1~4のいずれかに記載の製造方法。
  6. 前記重合工程は、前記炭化水素系界面活性剤を含む組成物を重合開始後に添加する添加工程を含む請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  7. 前記組成物は、pHが5.0以上である水溶液である請求項記載の製造方法。
  8. 前記組成物に含まれる前記炭化水素系界面活性剤はカルボン酸型である請求項又は記載の製造方法。
  9. 前記重合工程は、実質的に含フッ素界面活性剤の非存在下にフルオロモノマーを重合する請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  10. 前記フルオロポリマーは、ポリテトラフルオロエチレンである請求項1~のいずれかに記載の製造方法。
  11. 前記ポリテトラフルオロエチレンは、延伸可能なものである請求項10記載の製造方法。
  12. ポリテトラフルオロエチレン、及び、
    マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の原子を含み、
    実質的に含フッ素界面活性剤を含まない
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン組成物。
  13. 前記マンガン、臭素及びセリウムからなる群より選択される少なくとも1種の原子は、マンガンである請求項12記載のポリテトラフルオロエチレン組成物。
  14. 前記マンガンの含有量が0.1質量%以下である請求項12又は13記載のポリテトラフルオロエチレン組成物。
  15. 240℃の温度で熱処理し、下記条件(A)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、
    実質的に含フッ素界面活性剤を含まない
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末。
    条件(A):
    ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
    上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで1000%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
    条件(X):
    前記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
  16. 240℃の温度で熱処理し、下記条件(B)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が22.0N以上であり、
    実質的に含フッ素界面活性剤を含まない
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末。
    条件(B):
    ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
    上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで100%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
    条件(X):
    前記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
  17. 下記条件(A)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が34.0N以上であり、
    実質的に含フッ素界面活性剤を含まない
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末。
    条件(A):
    ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
    上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が1.5インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで1000%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
    条件(X):
    前記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
  18. 下記条件(B)で作製した延伸ビードの下記条件(X)で測定した破断強度が29.0N以上であり、
    実質的に含フッ素界面活性剤を含まない
    ことを特徴とするポリテトラフルオロエチレン粉末。
    条件(B):
    ポリテトラフルオロエチレン粉末100gに、潤滑剤21.7gを添加し、室温にてガラスビン中で3分間混合する。次いで、ガラスビンを、押出前少なくとも1時間、室温(25℃)に放置し、潤滑化樹脂を得る。潤滑化樹脂をオリフィス(直径2.5mm、ランド長11mm、導入角30°)を通して、室温で100:1の減速比でペースト押出し、均一なビードを得る。押出スピードは、20インチ/分とする。
    上記のペースト押出により得られた潤滑剤を含むポリテトラフルオロエチレン押出ビードを230℃で30分間乾燥し、潤滑剤をビードから除去することで乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを得る。次に、乾燥されたポリテトラフルオロエチレン押出ビードを適当な長さに切断し、クランプ間隔が2.0インチの間隔となるよう、各末端をクランプに固定し、空気循環炉中で300℃に加熱する。次いでクランプを2400%に相当する分離距離となるまで100%/秒で離し、ストレッチ試験を実施して延伸ビードを得る。
    条件(X):
    前記延伸ビードについて、5.0cmのゲージ長である可動ジョーにおいて挟んで固定し、25℃で300mm/分の速度で引っ張り試験を行い、破断した時の強度を破断強度とする。
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