JP5087732B2 - ポリテトラフルオロエチレン水性分散液およびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという。)水性分散液およびその製造方法に関する。
乳化重合法によるPTFEは、純水、重合開始剤、含フッ素カルボン酸塩系乳化剤(以下、PFCAという。)およびパラフィンワックス安定剤の存在下で、テトラフルオロエチレン(以下、TFEという。)モノマーを重合させることにより、PTFE微粒子を含有するPTFE水性乳化重合液として得られる(ふっ素樹脂ハンドブックP28、里川孝臣編、日刊工業新聞社発行)。
重合後のPTFE水性乳化重合液は、非イオン系界面活性剤を添加してPTFE低濃度水性分散液として使用されたり、濃縮されてPTFE高濃度水性分散液にして使用される。また、非イオン系界面活性剤、フィラー、その他公知の成分を必要に応じて配合したPTFE水性分散液として使用されるが、これまで、PTFE水性分散液中のPFCAを除去することは工業的に行なわれていなかった。
このPFCAは自然界で分解されにくいため、製品中の含有量をできるだけ少なくすることが望ましい。
PFCA含有量を低減する方法としては、例えば、PTFE水性乳化重合液に特定量の水と特定のノニオン系界面活性剤を添加し、複数回の濃縮を行なうことによりPTFE水性分散液のPFCA含有量を低減する方法(特許文献1参照)が提案されているが、PTFE水性分散液においてPFCA濃度が低い場合には、PTFE低濃度水性分散液の濃縮プロセスにおいてPTFE微粒子が濃縮されにくい。特にPFCA濃度が200ppm/PTFE以下であると濃縮速度が極端に低下し、濃縮後のPTFE高濃度水性分散液中のPTFE濃度が高いものが得られない問題があった。
また、イオン交換樹脂を用いてPFCA濃度が低減されたPTFE水性分散液を得る方法(特許文献2参照)が提案されているが、実際にPFCA濃度が低減されたPTFE水性分散液は、こすれ安定性が低下する問題があった。一般に、PTFE水性分散液にこすれ作用やせん断作用を加えた場合、PTFE微粒子が繊維化して凝集物となり、水性分散液の均一性が損なわれやすい傾向があるが、特に、PFCA濃度を低減したPTFE水性分散液は、こすれ安定性が低下し、送液時のポンプの詰まりや、コーティング加工時の凝集物発生による厚みむらや異物発生が懸念される。
さらに、pKaが4以下の酸基を有するアニオン性界面活性剤を添加することにより液の粘度を調整する方法(特許文献3参照)が提案されているが、例示されている含硫黄のアニオン系界面活性剤であるラウリル硫酸ナトリウムを使用した場合、焼成後の塗膜に黄褐色の着色を生ずるのみでなく、焼成後の塗膜中に硫酸塩がイオン性不純物として残留するために、プリント基板等の電子材料用途等には好ましいものではなかった。
国際公開WO 03/078479号パンフレット 国際公開WO 00/35971号パンフレット(公表特許2002−532583号公報) 国際公開WO 03/020836号パンフレット(公表特許2005−501956号公報)
本発明は、PFCA濃度が低いPTFE低濃度水性分散液を原料としても、PTFE濃度の高いPTFE高濃度水性分散液を得る方法を提供することを目的とし、さらに、焼付け後の塗膜の着色が少なく、イオン性不純物等の問題を生ぜず、こすれ安定性が良好であるPTFE水性分散液を提供することを目的とする。
本発明者は、前述の課題を克服するために鋭意研究を重ねた結果、PTFE低濃度水性分散液に特定のカルボン酸塩を加えて濃縮することにより、PFCA濃度が低いPTFE低濃度水性分散液を原料としても、高いPTFE濃度のPTFE高濃度水性分散液が得られることを発見し、さらにこのPTFE高濃度水性分散液から得られるPTFE水性分散液は、焼付け後の塗膜の着色が少なく、イオン性不純物等の問題を生ぜず、こすれ安定性も良好であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、平均粒径が0.1〜0.5μmのPTFE微粒子を55〜70質量%、一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩をPTFEの質量に対して0.0001〜0.02質量%、一般式(2)および/または一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤をPTFEの質量に対して1〜20質量%、一般式(4)で示されるカルボン酸塩をPTFEの質量に対して0.001〜0.08質量%含有することを特徴とするPTFE水性分散液を提供するものである。
一般式(1) R−COOX (式中、Rは炭素数5〜9で、水素原子の90〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基(ただし、アルキル基中には1〜2個のエーテル性の酸素原子を含有してもよい。)であり、Xはアンモニウムイオンである。)
一般式(2) R−O−A−H (式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
一般式(3) R−C−O−B−H (式中、Rは炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
一般式(4) R−COOY (式中、Rは炭素数6〜16で、水素原子のフッ素置換率が20%以下のアルキル基若しくはアルケニル基、またはアリール基であり、Yは式{HO(CH4−xで表されるカチオン基であり、前記カチオン基におけるnは2〜4の整数であり、xは0〜4の整数である。)
また、本発明は、平均粒径が0.1〜0.5μmのPTFE微粒子を1〜40質量%、一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩をPTFEの質量に対して0.0001〜0.02質量%、一般式(2)および/または一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤をPTFEの質量に対して1〜20質量%含有するPTFE低濃度水性分散液に、一般式(4)で示されるカルボン酸塩をPTFEの質量に対して0.001〜0.08質量%溶解させ、その後PTFE低濃度水性分散液を濃縮し、PTFE濃度が60〜75質量%のPTFE高濃度水性分散液を得ることを特徴とするPTFE水性分散液の製造方法を提供するものである。
本発明は、PFCA濃度を低減したPTFE水性分散液の製造工程において、PTFE高濃度水性分散液を容易に得ることができる。また、得られたPTFE水性分散液はこすれ安定性が良好であり、PTFE水性分散液を用いて得られた焼付け加工製品は着色やイオン性不純物の問題を生ずることがない。
本発明のPTFE水性分散液に用いるPTFE微粒子は、乳化重合法により得られる平均粒径が0.10〜0.50μmのものを用いることができ、平均粒径0.15〜0.40μmのものが好ましく、0.20〜0.35μmのものが特に好ましい。平均粒径が0.10μmよりも小さいとPTFEの分子量が低くPTFEの機械的物性が低下し、0.50μmよりも大きい場合はPTFE微粒子の沈降が速すぎて保存安定性が劣り好ましくない。
PTFEの平均分子量は任意に選ぶことができるが、50万〜3000万の範囲が好ましく、100万〜2500万の範囲が特に好ましい。平均分子量が50万よりも小さいとPTFEの機械的物性が低下し、3000万よりも大きいと工業的に製造することが困難である。
なお、平均分子量は、結晶化熱を用い、諏訪ら(J.Appl.Polym.Sci.,17,3253(1973))の方法から求められる。
本発明において、PTFEとは、TFEの単独重合物のみでなく、実質的に溶融加工のできない程度の微量のクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化エチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化プロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のフルオロビニルエーテル等の、TFEと共重合しうる共重合成分に基づく重合単位を含むいわゆる変性PTFEも含まれる。
PTFE微粒子は、純水、過酸化物系重合開始剤、PFCAおよびパラフィンワックス安定剤の存在下で、TFEモノマーを2〜50気圧の加圧下で注入し重合させることにより、PTFE水性乳化重合液として得られるものが好ましい。PTFE水性乳化重合液は、PTFE濃度が1〜40質量%のものが用いられるが、PTFE濃度が10〜40質量%であることが好ましく、15〜35質量%がより好ましく、20〜30質量%が特に好ましい。PTFE濃度が、1質量%より小さいと濃縮のために時間とエネルギーを要し、40質量%より大きいとPTFE微粒子が凝集して製品の歩留まりが低下する場合がある。
本発明において使用されるPFCAは一般式(1)で示されるものである。
一般式(1) R−COOX (式中、Rは炭素数5〜9で、水素原子の90〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基(ただし、アルキル基中には1〜2個のエーテル性の酸素原子を含有してもよい。)であり、Xはアンモニウムイオンである。)
一般式(1)のPFCAの具体例としては、C15COONH、HC14COONH、C13COONH、HC12COONH、C17COONH、COCOCFCOONHおよびCOCOCOCFCOONHからなる等が挙げられるが、C15COONH(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)が最も重合プロセスが安定するので好ましい。
一般式(1)のPFCAは、TFEモノマーの重合時に、生成するPTFEの質量に対して0.05〜1.0質量%を使用することが好ましい。より好ましくはPTFEの質量に対して0.1〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.15〜0.3質量%である。 一般式(1)のPFCAの使用量が、0.05質量%よりも少ないとPTFE微粒子が凝集して製品の歩留まりが低下し、1.0質量%よりも多いとPTFEが微粒子として得られにくくなる。
本発明で使用される非イオン系界面活性剤は、一般式(2)および/または一般式(3)で示されるものである。
一般式(2) R−O−A−H (式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
一般式(3) R−C−O−B−H (式中、Rは炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
一般式(2)において、Rのアルキル基は、炭素数が8〜18のものであり、10〜16が好ましく、12〜16が特に好ましい。炭素数が18より大きい場合には流動温度が高いために取扱いにくい。また、PTFE水性分散液を長期間放置した場合にPTFE微粒子が沈降し易く、保存安定性が損なわれやすい。また、炭素数が8より小さい場合には、PTFE水性分散液の表面張力が高くなり、コーティング時のぬれ性が低下しやすい。
一般式(2)において、親水基であるAはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。オキシエチレン基数7〜12およびオキシプロピレン基数0〜2のポリオキシアルキレン鎖が粘度および安定性の点から好ましい。特に親水基A中にオキシプロピレン基数を0.5〜1.5有する場合には泡消え性が良好であり好ましい。
一般式(3)において、Rのアルキル基は炭素数が4〜12のものであり、6〜10が好ましく、8〜9のものが特に好ましい。アルキル基の炭素数が、4よりも小さいとPTFE水性分散液の表面張力が高くなりぬれ性が低下し、12よりも大きいと分散液を長時間放置した場合、PTFE微粒子が沈降しやすく保存安定性が損なわれる。
一般式(3)において、親水基であるBはオキシエチレン基数5〜20から構成されるポリオキシエチレン鎖である。オキシエチレン基数は粘度および安定性の点から6〜16が好ましく、特に好ましくは7〜12である。
一般式(2)または一般式(3)の非イオン系界面活性剤は、平均分子量が450〜800であるものが好ましく、500〜750であるものがより好ましく、550〜700であるものが特に好ましい。平均分子量が800より大きい場合には流動温度が高いために取扱いにくく、また450より小さい場合にはPTFE水性分散液のコーティング時のぬれ性が低下し好ましくない。
一般式(2)の非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、C1327-(OC10-OH、C1225-(OC
10-OH、C1021CH(CH)CH-(OC-OH、C1327-(OC-OCH(CH)CH-OH、C1633-(OC10-OH、HC(C11)(C15)-(OC-OH、などの分子構造をもつ非イオン系界面活性剤が挙げられ、市販品ではダウ社製タージトール(登録商標)15Sシリーズ、ライオン社製ライオノール(登録商標)TDシリーズなどが挙げられる。
一般式(3)の非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、C17-C-(OC10-OH、C19-C-(OC10-OH、などの分子構造をもつ非イオン系界面活性剤が挙げられ、市販品ではダウ社製トライトン(登録商標)Xシリーズ、日光ケミカル社製ニッコール(登録商標)OPシリーズまたはNPシリーズなどが挙げられる。
一般式(2)および/または一般式(3)の非イオン系界面活性剤は、単独もしくは2種以上の複数を混合して使用することができる。
なお、非イオン系界面活性剤は分子構造の異なる複数物質の混合物であり、非イオン系界面活性剤中のアルキル基の炭素数、ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシエチレン基やオキシプロピレン基の数を平均値で扱うものとする。各数値は整数に限らない。
本発明において、非イオン系界面活性剤は、PTFE水性乳化重合液へ添加してプロセス中の安定性を維持するために使用するほか、濃縮後のPTFE高濃度水性分散液に添加して利用に適した粘度やぬれ性にするために物性を調整するために使用する。
非イオン系界面活性剤のPTFE水性乳化重合液への添加量は、PTFEの質量に対して1〜20質量%がよく、さらに好ましくは2.0〜16質量%である。1質量%より少ない場合にはPTFE水性乳化重合液の安定化効果が小さく、20質量%より多い場合には濃縮工程で発生する上澄み中に存在し廃棄される非イオン系界面活性剤の濃度が高くなり、不経済である。
本発明において使用するPTFE低濃度水性分散液は、PTFE水性乳化重合液に非イオン系界面活性剤を添加して安定化させたのち、PTFE質量に対するPFCA濃度が0.0001〜0.02質量%になるように、国際公開WO 03/078479号公報に記載される方法、WO 00/35971に示される方法、特開55−120630に示される方法等の公知の方法により、PFCA濃度を低減させることにより調製することができる。
PTFE低濃度水性分散液中の好ましいPFCA濃度は、PTFE質量に対して0.001〜0.02質量%である。PFCA濃度が、0.001質量%より少ないPFCA濃度を得ることは工業的に困難であり、0.02質量%より多い場合には環境への影響を考慮すると好ましくない。
本発明のPTFE水性分散液の製造方法においては、PFCA濃度が低いPTFE低濃度水性分散液の濃縮性を改善するために、PTFE低濃度水性分散液に一般式(4)に示すカルボン酸塩を添加し、溶解させる。理由は明らかではないが、濃縮の前に一般式(4)のカルボン酸塩を加えると、濃縮性が改良され、PTFE濃度が60〜75質量%のPTFE高濃度水性分散液を容易に得ることができる。一般式(4)のカルボン酸塩を添加しない場合、濃縮後のPTFE濃度が高くなりにくくなる。
一般式(4) R−COOY (式中、Rは炭素数6〜16で、水素原子のフッ素置換率が20%以下のアルキル基若しくはアルケニル基、またはアリール基であり、Yは式{HO(CH4−xで表されるカチオン基であり、前記カチオン基におけるnは2〜4の整数であり、xは0〜4の整数である。)
一般式(4)におけるRのアルキル基およびアルケニル基は、直鎖でも分岐していてもよく、1級、2級または3級であってもよく、ベンゼン環を有していても良い。また、一般式(4)におけるRのアリール基は、オルト位、メタ位、パラ位、またはこれらの複数の位置にアルキル基を有していてもよい。アルキル基若しくはアルケニル基、またはアリール基は、炭素数が6〜16のものであり、炭素数が6〜15のものがより好ましく、炭素数が6〜12のものが特に好ましい。炭素数が6よりも少ないと濃縮工程での濃縮促進効果が弱く、炭素数が16よりも大きいと溶解しにくく、pHの変動で析出することがある。
なお、一般式(4)の化合物は、異なる炭素数を有するアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を有するものの混合物であってもよく、その場合のRの炭素数は、数平均値をいうものとする。
また、Rのアルキル基若しくはアルケニル基、またはアリール基中の水素原子は、フッ素原子によって20%以下が置き換えられたものであってもよい。フッ素原子置換率が20%超の場合、環境への影響を考慮すると好ましくない。
Yの具体例としては、アンモニウムイオン、エタノールアミンイオン、ジエタノールアミンイオン、トリエタノールアミンイオンから選択されたカチオン基が好ましく、アンモニウムイオンが乾燥時に揮発しやすく除去が容易であるため特に好ましい。
一般式(4)のカルボン酸塩は、対応するカルボン酸を水に加え、過剰のアンモニア水等で中和することにより、水溶液として得ることができる。対応する各カルボン酸のpKaは4.1以上であり、4.1〜6が好ましい。
一般式(4)のカルボン酸塩の具体例としては、たとえば、ラウリル酸アンモニウム(ラウリル酸の炭素数は12、pKaは4.6である)、ラウリル酸エタノールアミン、ケイ皮酸アンモニウム(ケイ皮酸の炭素数は9、pKaは4.4である)、p−t−ブチル安息香酸アンモニウム(p−t−ブチル安息香酸の炭素数は11、pKaは4.4である)、フルオロフェニル酢酸アンモニウム(フルオロフェニル酢酸の炭素数は8、pKaは4.3である)、p−フルオロ安息香酸アンモニウム(p−フルオロ安息香酸の炭素数は7、pKaは4.14である)等が挙げられる。
一般式(4)の化合物の他の例として、天然ヤシ油、パーム油、パーム核油などの天然油脂の加水分解によって得られるカルボン酸(以下、天然ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸ともいう。)またはその精製物のアンモニウム塩やトリエタノールアミン塩であってもよく、この場合はカルボン酸が混合物であるためにpH変動があった場合にも析出しにくい特長があるほか、比較的安価に入手できるので好ましい。
一般式(4)のカルボン酸塩は熱分解しやすいため、PTFE水性分散液を380℃前後で焼付け加工を行なっても、製品の着色の原因になることがなく、また、イオン性不純物が生成せず、製品の品質が向上する。
一般式(4)のカルボン酸塩の添加量は、PTFE質量に対して0.001〜0.08質量%であり、好ましくは0.005〜0.08質量%であり、特に好ましくは0.01〜0.05質量%である。0.001質量%より少ない場合、濃縮性やこすれ安定性の改良効果を得ることができず、0.10質量%より大きい場合、PTFE水性分散液の粘度が増大し、塗布プロセスでの塗布厚みの制御が困難となる。
本発明のPTFE水性分散液の製造方法においては、一般式(4)のカルボン酸塩を溶解させた後、PTFE低濃度水性分散液を濃縮する。濃縮には、種々の濃縮プロセスを用いることができる。
濃縮プロセスとしては、例えば、ふっ素樹脂ハンドブックp32(日刊工業新聞社、里川孝臣編)に記載されるように、遠心沈降法、電気泳動法、相分離法などの公知の方法が利用できる。
濃縮時のPTFE水性分散液のpHは、6以上が好ましく、7〜12がより好ましく、7〜10がさらに好ましい。
濃縮プロセスにおいて、PFCAの一部は上澄みとともに除去されるが、一般式(4)のカルボン酸塩を濃縮プロセス前に添加した場合、より多量のPFCAが上澄みに移行し、上澄みとともに除去される利点もある。
なお、濃縮プロセス前に添加された、一般式(4)に示すカルボン酸塩は、濃縮中に一部が上澄みとともに除去されるが、大部分はPTFE微粒子に吸着し、沈降層として得られるPTFE高濃度水性分散液中に残る。
本発明において、濃縮プロセスによって得られるPTFE高濃度水性分散液は、PTFE濃度が60〜75質量%であり、63〜72質量%であることがより好ましく、65〜70質量%であることが特に好ましい。PTFE濃度が、75質量%よりも高いと、PTFE微粒子の部分凝集を生じやすく製品歩留まりが低下する。また、PTFE濃度が、60質量%よりも低いと、PTFE水性分散液の粘度が低くなりすぎて、塗布しにくくなったり、保存安定性が低下する等の問題を生ずる。
得られたPTFE高濃度水性分散液は、そのままもしくは水で希釈して、または、さらに安定性向上のためあるいは粘性やぬれ性の適正化のために、追加の非イオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、各種レベリング剤、防腐剤、着色剤、フィラー、有機溶剤、その他公知の他の成分を必要に応じて添加し、本発明のPTFE水性分散液とすることができる。また、特に、ポリエチレンオキサイドやポリウレタン系の粘性調整剤を併用すると、こすれ安定性を更に改良させる効果があり好ましい。ポリエチレンオキサイドやポリウレタン系の粘性調整剤としては、特開2000−198899号公報に記載のものが好ましい。この粘性調整剤の添加量は、通常PTFEの質量に対して0.01〜1質量%が好ましく、0.1〜0.5質量%がより好ましい。
このようにして、PTFE高濃度水性分散液から本発明のPTFE水性分散液を調製することができる。
本発明のPTFE水性分散液のPTFE濃度は、PTFE濃度が55〜70質量%であり、58〜68質量%であることがより好ましく、60〜65質量%であることが特に好ましい。PTFE濃度が、70質量%よりも大きいと粘度が高くなりすぎ、55質量%よりも小さいとPTFE微粒子が沈降しやすく保存安定性が低下する。
また、本発明のPTFE水性分散液中の非イオン系界面活性剤濃度は、PTFEの質量に対して1〜20質量%が好ましく、2.0〜12質量%がより好ましく、3.0〜10.0質量%が特に好ましい。20質量%よりも大きいと粘度が高なりすぎ、1質量%よりも小さいとPTFE微粒子が沈降しやすく保存安定性が低下する他、塗布時のぬれ性が低下する。
また、本発明のPTFE水性分散液中のPFCA濃度は、PTFE質量に対して0.0001〜0.02質量%であり、好ましくは0.001〜0.01質量%であり、特に好ましくは0.002〜0.005質量%である。0.0001質量%より少ないPFCA濃度を得ることは工業的に困難であり、0.02質量%より多い場合には環境への影響を考慮すると好ましくない。
本発明のPTFE水性分散液中の一般式(4)のカルボン酸塩の濃度は、0.001〜0.10質量%であり、好ましくは0.005〜0.08質量%であり、特に好ましくは0.01〜0.05質量%である。0.001質量%より少ない場合、こすれ安定性の改良効果を得ることができず、0.10質量%より大きい場合、PTFE水性分散液の粘度が増大し、塗布プロセスでの塗布厚みの制御が困難となる。
本発明のPTFE水性分散液中のpHは、7〜12がよく、好ましくは8〜11であり、特に好ましくは8.5〜10.5である。pH調整のためにはアンモニア等の焼成工程で除去されうるアルカリ性物質を必要量溶解させることが望ましい。pHが7より小さいと、一般式(4)に示すカルボン酸塩が不安定化し析出する場合がある。また、pHが12より大きいと、アンモニア等の臭気が強くなるほか、皮膚接触時などに人体への影響が大きくなり好ましくない。
本発明のPTFE水性分散液中のカルボン酸塩は、原因は明らかではないが、PTFE水性分散液のこすれ安定性を改善する効果がある。PTFE水性分散液をポンプで移送する際に凝集物発生を軽減してポンプ詰まりを改良し、塗布プロセスにおけるこすれ部での凝集物発生を軽減する効果もある。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、これらは何ら本発明を限定するものではない。
なお、実施例は例1〜5および11であり、比較例は例6〜10である。
各項目の評価方法は以下に示す。
(A)PTFEの平均分子量:諏訪(J.Appl.Polym.Sci.,17,3253(1973)記載)の方法に従い、示差熱分析での潜熱から求めた。
(B)PTFEの平均粒径:PTFE水性乳化重合液を乾燥後、走査型電子顕微鏡を用いて10000倍で写真撮影し、平均値を求めた。
(C)PTFE濃度および界面活性剤濃度:各分散液サンプル約10gを重量既知のアルミ皿に入れ、120℃1時間後の水分乾燥後の重量、および380℃35分加熱後の界面活性剤分解後の重量を求め、PTFE濃度、およびPTFE質量に対する界面活性剤濃度を算出した。なお本発明でいう界面活性剤濃度はPFCAを含む数値である。
(D)PFCA濃度、カルボン酸塩濃度、およびアニオン性界面活性剤濃度:LCMS(質量分析装置付き高速液体クロマトグラフィー)を用い、あらかじめ濃度既知のPFCA水溶液、カルボン酸塩水溶液またはアニオン性界面活性剤を使用して得られたピーク面積から検量線を作成した。次にPTFE低濃度水性分散液またはPTFE高濃度分散液50gを70℃で16時間乾燥後、エタノールで抽出し、LCMSでのピーク面積を測定し、検量線を用いてサンプル中のPFCA濃度またはカルボン酸塩濃度、およびアニオン性界面活性剤濃度を求めた。
(E)pH:ガラス電極法によった。
(F)粘度:ブルックフィールド型粘度計でNo.1スピンドルを用い、60回転で測定した。
(G)こすれ安定性:コールパルマー社製チューブ式ポンプに外径7.9mm内径4.8mmのタイゴン製チューブを装着し、100ccのPTFE水性分散液を入れた200ccビーカーにチューブ両端を入れ、液が乾燥しないようにアルミ箔で開口部を覆った。この装置を用い、室温23℃、送液量毎分200ccにてPTFE水性分散液を1時間循環させ、終了後に200メッシュナイロンフィルターで濾過し凝集物を補集し、120℃1時間乾燥後の重量を測定した。なお、この凝集物量が1g以下であればこすれ安定性は良好であり、逆に2g以上は不良とした。
(H)塗布テストおよび色の判定:1m当たりの重量が80グラムのガラス繊維布を10cm×5cmの大きさに切断後、400℃1時間カラ焼きした。ついで、ガラス繊維布をビーカーに入れたPTFE水性分散液に浸漬し、引上げ塗布し、120℃10分乾燥後、380℃10分焼成した。さらにPTFE水性分散液を塗布し乾燥し焼成する操作を6回繰り返し、PTFEが塗布されたガラス繊維布を作成した。塗布後のガラス繊維布の色相L*、a*、b*をスガ試験機製SMカラーコンピューターで測定し、塗布前のガラス繊維布の色相L0*、a0*、b0*を引いて色相の変化値ΔL*、Δa*、Δb*を算出した。黄色の着色を示すΔb*の値が3未満の場合には良好、3以上の場合には不良とした。また、塗膜にクラックが発生した場合には不良とした。
(I)導電率:色の判定に用いたPTFE塗布後のガラス繊維布を10倍質量の蒸留水に1週間浸漬し、水の導電率をラコム社製導電率テスターによって測定した。導電率が1μS未満の場合にはイオン成分の溶出が少ないために良好とした。1μS以上の場合には不良とした。
なお、各例で使用した添加剤(a)〜(i)は、表1、表2のそれぞれに対応する符号の添加剤に相当する。各添加剤の化学構造を表3に示す。
[例1]
PFCAとしてパーフルオロオクタン酸アンモニウムを使用し、PTFEの重合質量に対して0.25質量%を重合前に添加し、乳化重合法により平均粒径が0.25μmであり平均分子量が約300万であり、PTFE濃度が29質量%であるPTFE水性乳化重合液を得た。
このPTFE水性乳化重合液に、PTFEに対して5質量%の非イオン系界面活性剤(a)を溶解させ、強塩基型アニオン交換樹脂である三菱化学製ダイアイオン(登録商標)HPA−25をPTFEに対して2質量%加えて24時間攪拌を行ない、PFCA濃度を低減させた後、ナイロン製200メッシュフィルターでろ過してアニオン交換樹脂を除去した。さらにカルボン酸塩(d)であるラウリル酸アンモニウム水溶液(水1680gに対してラウリル酸200g、28質量%アンモニア水120gを加えて水溶液にしたもの)をPTFE質量に対して0.3質量%を加え(これはラウリル酸アンモニウムとしてPTFE質量に対して0.03質量%に相当する。)、PFCA濃度がPTFE質量に対して0.0067質量%であるPTFE低濃度水性分散液を得た。
このPTFE低濃度水性分散液を、電気泳動法により30時間かけて濃縮を行ない、PTFE濃度が約67.2質量%であり、界面活性剤濃度がPTFEの質量に対して2.3質量%であり、PFCA濃度がPTFEの質量に対して0.0032質量%であるPTFE高濃度水性分散液を得た。
このPTFE高濃度水性分散液に対して、PTFEに対して2.6質量%の割合の(a)の非イオン系界面活性剤、PTFEに対して0.05質量%の割合の28質量%アンモニア水、および水を加え、PTFE濃度が約60.5質量%のPTFE水性分散液を得た。
得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は良好であり、ガラス繊維布への塗布テストでも着色が少なく、溶出テストでの不純物の溶出も少なく、良好であった。
[例2]
非イオン系界面活性剤として(b)を使用し、カルボン酸塩として(e)を使用するほかは例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。
[例3]
非イオン系界面活性剤として(c)を使用し、カルボン酸塩として(f)を使用するほかは例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。
[例4]
例1のPTFE水性乳化重合液に、PTFEに対して15質量%の割合の(a)の非イオン系界面活性剤を溶解させ、弱塩基型アニオン交換樹脂である三菱化学製ダイアイオン(登録商標)WA−30をPTFEに対して2.5質量%加えて24時間攪拌を行ない、PFCA濃度を低減させた。ついで、ナイロン製200メッシュフィルターでろ過してアニオン交換樹脂を除去した。さらにカルボン酸塩(d)をPTFE質量に対して0.02質量%分を加え、PFCA濃度がPTFE質量に対して0.0066質量%であるPTFE低濃度水性分散液を得た。
このPTFE低濃度水性分散液を10リッター容器中で80℃1晩放置し、相分離法により24時間の濃縮を行ない、PTFE濃度が約68.3質量%であり、界面活性剤濃度がPTFEの質量に対して3.2質量%であり、PFCA濃度がPTFEの質量に対して0.0027質量%であるPTFE高濃度水性分散液を得た。
このPTFE高濃度水性分散液に対して、PTFEに対して2.6質量%の割合の非イオン系界面活性剤(a)、PTFEに対して0.05質量%の28質量%アンモニア水、および水を加え、PTFE水性分散液を得た。
[例5]
カルボン酸塩として(g)を使用し、非イオン系界面活性剤の配合を変えたほかは例4と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。
[例6]
カルボン酸塩を使用しない以外は例1と同様の工程を用いたが、得られたPTFE高濃度水性分散液のPTFE濃度は58.5質量%と低かった。また、非イオン系界面活性剤およびアンモニアを追加して得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は低く、好ましくなかった。
[例7]
含硫黄アニオン性界面活性剤である(h)をPTFE質量に対して0.05質量%添加した以外は例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。このPTFE水性分散液で行なった塗布テストで得られた塗布サンプルは茶色く着色しており、またイオン性不純物の量を示す導電率も大きく、好ましくなかった。
[例8]
カルボン酸塩として(d)をPTFE質量に対して0.13質量%添加した以外は例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液の粘度は非常に高く、塗布テスト時のPTFE付着量が多くなり、クラックが発生し好ましくなかった。
[例9]
カルボン酸塩を使用しない以外は例4と同様の工程を用い、得られたPTFE高濃度水性分散液は55.3質量%と低かった。また、非イオン系界面活性剤およびアンモニアを追加して得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は低く、好ましくなかった。
[例10]
含硫黄アニオン性界面活性剤である(i)をPTFE質量に対して0.05質量%添加した以外は例4と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。このPTFE水性分散液で行なった塗布テストで得られた塗布サンプルは茶色く着色しており、導電率も大きく、好ましくなかった。
[例11]
天然ヤシ油脂肪酸(Rの数平均の炭素数は11.2、カプリル酸8質量%、カプリン酸7質量%、ラウリン酸48質量%、ミリスチン酸18質量%、パルミチン酸9質量%、ステアリン酸3質量%、オレイン酸6質量%、リノール酸1質量%の混合物;商品名は花王社製ルナックL−50)の100gに28質量%アンモニア水の55gおよび水を加え、濃度10質量%で、pHが10.2である天然ヤシ油脂肪酸アンモニウム水溶液を作製した。例1において、ラウリン酸アンモニウム水溶液に替えて、該天然ヤシ油脂肪酸アンモニウム水溶液を、PTFEの質量に対して0.3質量%(これは天然ヤシ油脂肪酸アンモニウムとしてPTFEの質量に対して0.03質量%に相当する。)を加える以外は、例1と同様にして、PTFE濃度が66.2質量%であり界面活性剤濃度が2.2質量%/PTFEでありpHが9.0であるPTFE高濃度水性分散液を得た。
このPTFE高濃度水性分散液に対して、PTFEに対して2.8質量%の割合の(a)の非イオン系界面活性剤、PTFEに対して0.05質量%の割合の28質量%アンモニア水および水を加え、PTFE濃度が約60.6質量%のPTFE水性分散液を得た。
得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は良好であり、ガラス繊維布への塗布テストでも着色が少なく、溶出テストでの不純物の溶出も少なく、良好であった。
Figure 0005087732



Figure 0005087732
Figure 0005087732
本発明のPTFE水性分散液は、プリント基板等の電子材料用途等のほか、膜構造建築物の屋根材とする用途、調理用品の表面コーティング用途、紡糸してPTFE繊維とする用途、発塵防止用途、電池の活性物質バインダー用途、プラスチックに添加する用途等、多くの用途に使用できる。

Claims (6)

  1. 平均粒径が0.1〜0.5μmのポリテトラフルオロエチレン微粒子を55〜70質量%、一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.0001〜0.02質量%、一般式(2)および/または一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して1〜20質量%、一般式(4)で示されるカルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.001〜0.08質量%含有することを特徴とするポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
    一般式(1) R−COOX (式中、Rは炭素数5〜9で、水素原子の90〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基(ただし、アルキル基中には1〜2個のエーテル性の酸素原子を含有してもよい。)であり、Xはアンモニウムイオンである。)
    一般式(2) R−O−A−H (式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
    一般式(3) R−C−O−B−H (式中、Rは炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
    一般式(4) R−COOY (式中、Rは炭素数6〜16で、水素原子のフッ素置換率が20%以下のアルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、Yは式{HO(CH4−xで表されるカチオン基であり、前記カチオン基におけるnは2〜4の整数であり、xは0〜4の整数である。)
  2. 前記一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩が、C15COONH、HC14COONH、C13COONH、HC12COONH、C17COONH、COCOCF COONHおよびCOCOCOCF COONHからなる群から選ばれる少なくとも1種である特許請求の範囲1記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
  3. 一般式(2)で示される非イオン系界面活性剤における、Rが炭素数10〜16のアルキル基であり、Aにおけるオキシエチレン基数が7〜12である特許請求の範囲1又は2に記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
  4. 一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤における、Rが炭素数6〜10のアルキル基であり、Bにおけるオキシエチレン基数が6〜16である特許請求の範囲1〜のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
  5. 前記一般式(4)で示されるカルボン酸塩に対応するカルボン酸R−COOHのpKaが、4.1〜6である特許請求の範囲1〜のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
  6. 平均粒径が0.1〜0.5μmのポリテトラフルオロエチレン微粒子を1〜40質量%、一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.0001〜0.02質量%、一般式(2)および/または一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して1〜20質量%含有するポリテトラフルオロエチレン低濃度水性分散液に、一般式(4)で示されるカルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.001〜0.08質量%溶解させ、その後ポリテトラフルオロエチレン低濃度水性分散液を濃縮し、ポリテトラフルオロエチレン濃度が60〜75質量%のポリテトラフルオロエチレン高濃度水性分散液を得ることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン水性分散液の製造方法。
    一般式(1) R−COOX (式中、Rは炭素数5〜9で、水素原子の90〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基(ただし、アルキル基中には1〜2個のエーテル性の酸素原子を含有してもよい。)であり、Xはアンモニウムイオンである。)
    一般式(2) R−O−A−H (式中、Rは炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
    一般式(3) R−C−O−B−H (式中、Rは炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
    一般式(4) R−COOY (式中、Rは炭素数6〜16で、水素原子のフッ素置換率が20%以下のアルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、Yは式{HO(CH4−xで表されるカチオン基であり、前記カチオン基におけるnは2〜4の整数であり、xは0〜4の整数である。)
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