JP5087732B2 - ポリテトラフルオロエチレン水性分散液およびその製造方法 - Google Patents
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Description
重合後のPTFE水性乳化重合液は、非イオン系界面活性剤を添加してPTFE低濃度水性分散液として使用されたり、濃縮されてPTFE高濃度水性分散液にして使用される。また、非イオン系界面活性剤、フィラー、その他公知の成分を必要に応じて配合したPTFE水性分散液として使用されるが、これまで、PTFE水性分散液中のPFCAを除去することは工業的に行なわれていなかった。
このPFCAは自然界で分解されにくいため、製品中の含有量をできるだけ少なくすることが望ましい。
一般式(2) R2−O−A−H (式中、R2は炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
一般式(3) R3−C6H4−O−B−H (式中、R3は炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
一般式(4) R4−COOY (式中、R4は炭素数6〜16で、水素原子のフッ素置換率が20%以下のアルキル基若しくはアルケニル基、またはアリール基であり、Yは式{HO(CH2)n}xN+H4−xで表されるカチオン基であり、前記カチオン基におけるnは2〜4の整数であり、xは0〜4の整数である。)
PTFEの平均分子量は任意に選ぶことができるが、50万〜3000万の範囲が好ましく、100万〜2500万の範囲が特に好ましい。平均分子量が50万よりも小さいとPTFEの機械的物性が低下し、3000万よりも大きいと工業的に製造することが困難である。
本発明において、PTFEとは、TFEの単独重合物のみでなく、実質的に溶融加工のできない程度の微量のクロロトリフルオロエチレン等のハロゲン化エチレン、ヘキサフルオロプロピレン等のハロゲン化プロピレン、パーフルオロ(アルキルビニルエーテル)等のフルオロビニルエーテル等の、TFEと共重合しうる共重合成分に基づく重合単位を含むいわゆる変性PTFEも含まれる。
一般式(1) R1−COOX (式中、R1は炭素数5〜9で、水素原子の90〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基(ただし、アルキル基中には1〜2個のエーテル性の酸素原子を含有してもよい。)であり、Xはアンモニウムイオンである。)
一般式(1)のPFCAの具体例としては、C7F15COONH4、HC7F14COONH4、C6F13COONH4、HC6F12COONH4、C8F17COONH4、C4F9OC2F4OCF2COONH4およびC2F5OC2F4OC2F4OCF2COONH4からなる等が挙げられるが、C7F15COONH4(パーフルオロオクタン酸アンモニウム)が最も重合プロセスが安定するので好ましい。
一般式(1)のPFCAは、TFEモノマーの重合時に、生成するPTFEの質量に対して0.05〜1.0質量%を使用することが好ましい。より好ましくはPTFEの質量に対して0.1〜0.5質量%であり、さらに好ましくは0.15〜0.3質量%である。 一般式(1)のPFCAの使用量が、0.05質量%よりも少ないとPTFE微粒子が凝集して製品の歩留まりが低下し、1.0質量%よりも多いとPTFEが微粒子として得られにくくなる。
一般式(2) R2−O−A−H (式中、R2は炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
一般式(3) R3−C6H4−O−B−H (式中、R3は炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
一般式(2)において、親水基であるAはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。オキシエチレン基数7〜12およびオキシプロピレン基数0〜2のポリオキシアルキレン鎖が粘度および安定性の点から好ましい。特に親水基A中にオキシプロピレン基数を0.5〜1.5有する場合には泡消え性が良好であり好ましい。
一般式(3)において、親水基であるBはオキシエチレン基数5〜20から構成されるポリオキシエチレン鎖である。オキシエチレン基数は粘度および安定性の点から6〜16が好ましく、特に好ましくは7〜12である。
H4)10-OH、C10H21CH(CH3)CH2-(OC2H4)9-OH、C13H27-(OC2H4)9-OCH(CH3)CH2-OH、C16H33-(OC2H4)10-OH、HC(C5H11)(C7H15)-(OC2H4)9-OH、などの分子構造をもつ非イオン系界面活性剤が挙げられ、市販品ではダウ社製タージトール(登録商標)15Sシリーズ、ライオン社製ライオノール(登録商標)TDシリーズなどが挙げられる。
一般式(3)の非イオン系界面活性剤の具体例としては、例えば、C8H17-C6H4-(OC2H4)10-OH、C9H19-C6H4-(OC2H4)10-OH、などの分子構造をもつ非イオン系界面活性剤が挙げられ、市販品ではダウ社製トライトン(登録商標)Xシリーズ、日光ケミカル社製ニッコール(登録商標)OPシリーズまたはNPシリーズなどが挙げられる。
なお、非イオン系界面活性剤は分子構造の異なる複数物質の混合物であり、非イオン系界面活性剤中のアルキル基の炭素数、ポリオキシアルキレン鎖におけるオキシエチレン基やオキシプロピレン基の数を平均値で扱うものとする。各数値は整数に限らない。
本発明において、非イオン系界面活性剤は、PTFE水性乳化重合液へ添加してプロセス中の安定性を維持するために使用するほか、濃縮後のPTFE高濃度水性分散液に添加して利用に適した粘度やぬれ性にするために物性を調整するために使用する。
PTFE低濃度水性分散液中の好ましいPFCA濃度は、PTFE質量に対して0.001〜0.02質量%である。PFCA濃度が、0.001質量%より少ないPFCA濃度を得ることは工業的に困難であり、0.02質量%より多い場合には環境への影響を考慮すると好ましくない。
一般式(4)におけるR4のアルキル基およびアルケニル基は、直鎖でも分岐していてもよく、1級、2級または3級であってもよく、ベンゼン環を有していても良い。また、一般式(4)におけるR4のアリール基は、オルト位、メタ位、パラ位、またはこれらの複数の位置にアルキル基を有していてもよい。アルキル基若しくはアルケニル基、またはアリール基は、炭素数が6〜16のものであり、炭素数が6〜15のものがより好ましく、炭素数が6〜12のものが特に好ましい。炭素数が6よりも少ないと濃縮工程での濃縮促進効果が弱く、炭素数が16よりも大きいと溶解しにくく、pHの変動で析出することがある。
なお、一般式(4)の化合物は、異なる炭素数を有するアルキル基、アルケニル基、またはアリール基を有するものの混合物であってもよく、その場合のR4の炭素数は、数平均値をいうものとする。
Yの具体例としては、アンモニウムイオン、エタノールアミンイオン、ジエタノールアミンイオン、トリエタノールアミンイオンから選択されたカチオン基が好ましく、アンモニウムイオンが乾燥時に揮発しやすく除去が容易であるため特に好ましい。
一般式(4)のカルボン酸塩は、対応するカルボン酸を水に加え、過剰のアンモニア水等で中和することにより、水溶液として得ることができる。対応する各カルボン酸のpKaは4.1以上であり、4.1〜6が好ましい。
一般式(4)の化合物の他の例として、天然ヤシ油、パーム油、パーム核油などの天然油脂の加水分解によって得られるカルボン酸(以下、天然ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸ともいう。)またはその精製物のアンモニウム塩やトリエタノールアミン塩であってもよく、この場合はカルボン酸が混合物であるためにpH変動があった場合にも析出しにくい特長があるほか、比較的安価に入手できるので好ましい。
一般式(4)のカルボン酸塩は熱分解しやすいため、PTFE水性分散液を380℃前後で焼付け加工を行なっても、製品の着色の原因になることがなく、また、イオン性不純物が生成せず、製品の品質が向上する。
本発明のPTFE水性分散液の製造方法においては、一般式(4)のカルボン酸塩を溶解させた後、PTFE低濃度水性分散液を濃縮する。濃縮には、種々の濃縮プロセスを用いることができる。
濃縮プロセスとしては、例えば、ふっ素樹脂ハンドブックp32(日刊工業新聞社、里川孝臣編)に記載されるように、遠心沈降法、電気泳動法、相分離法などの公知の方法が利用できる。
濃縮プロセスにおいて、PFCAの一部は上澄みとともに除去されるが、一般式(4)のカルボン酸塩を濃縮プロセス前に添加した場合、より多量のPFCAが上澄みに移行し、上澄みとともに除去される利点もある。
なお、濃縮プロセス前に添加された、一般式(4)に示すカルボン酸塩は、濃縮中に一部が上澄みとともに除去されるが、大部分はPTFE微粒子に吸着し、沈降層として得られるPTFE高濃度水性分散液中に残る。
このようにして、PTFE高濃度水性分散液から本発明のPTFE水性分散液を調製することができる。
また、本発明のPTFE水性分散液中の非イオン系界面活性剤濃度は、PTFEの質量に対して1〜20質量%が好ましく、2.0〜12質量%がより好ましく、3.0〜10.0質量%が特に好ましい。20質量%よりも大きいと粘度が高なりすぎ、1質量%よりも小さいとPTFE微粒子が沈降しやすく保存安定性が低下する他、塗布時のぬれ性が低下する。
本発明のPTFE水性分散液中の一般式(4)のカルボン酸塩の濃度は、0.001〜0.10質量%であり、好ましくは0.005〜0.08質量%であり、特に好ましくは0.01〜0.05質量%である。0.001質量%より少ない場合、こすれ安定性の改良効果を得ることができず、0.10質量%より大きい場合、PTFE水性分散液の粘度が増大し、塗布プロセスでの塗布厚みの制御が困難となる。
本発明のPTFE水性分散液中のpHは、7〜12がよく、好ましくは8〜11であり、特に好ましくは8.5〜10.5である。pH調整のためにはアンモニア等の焼成工程で除去されうるアルカリ性物質を必要量溶解させることが望ましい。pHが7より小さいと、一般式(4)に示すカルボン酸塩が不安定化し析出する場合がある。また、pHが12より大きいと、アンモニア等の臭気が強くなるほか、皮膚接触時などに人体への影響が大きくなり好ましくない。
なお、実施例は例1〜5および11であり、比較例は例6〜10である。
各項目の評価方法は以下に示す。
(A)PTFEの平均分子量:諏訪(J.Appl.Polym.Sci.,17,3253(1973)記載)の方法に従い、示差熱分析での潜熱から求めた。
(B)PTFEの平均粒径:PTFE水性乳化重合液を乾燥後、走査型電子顕微鏡を用いて10000倍で写真撮影し、平均値を求めた。
(C)PTFE濃度および界面活性剤濃度:各分散液サンプル約10gを重量既知のアルミ皿に入れ、120℃1時間後の水分乾燥後の重量、および380℃35分加熱後の界面活性剤分解後の重量を求め、PTFE濃度、およびPTFE質量に対する界面活性剤濃度を算出した。なお本発明でいう界面活性剤濃度はPFCAを含む数値である。
(E)pH:ガラス電極法によった。
(F)粘度:ブルックフィールド型粘度計でNo.1スピンドルを用い、60回転で測定した。
(H)塗布テストおよび色の判定:1m2当たりの重量が80グラムのガラス繊維布を10cm×5cmの大きさに切断後、400℃1時間カラ焼きした。ついで、ガラス繊維布をビーカーに入れたPTFE水性分散液に浸漬し、引上げ塗布し、120℃10分乾燥後、380℃10分焼成した。さらにPTFE水性分散液を塗布し乾燥し焼成する操作を6回繰り返し、PTFEが塗布されたガラス繊維布を作成した。塗布後のガラス繊維布の色相L*、a*、b*をスガ試験機製SMカラーコンピューターで測定し、塗布前のガラス繊維布の色相L0*、a0*、b0*を引いて色相の変化値ΔL*、Δa*、Δb*を算出した。黄色の着色を示すΔb*の値が3未満の場合には良好、3以上の場合には不良とした。また、塗膜にクラックが発生した場合には不良とした。
なお、各例で使用した添加剤(a)〜(i)は、表1、表2のそれぞれに対応する符号の添加剤に相当する。各添加剤の化学構造を表3に示す。
PFCAとしてパーフルオロオクタン酸アンモニウムを使用し、PTFEの重合質量に対して0.25質量%を重合前に添加し、乳化重合法により平均粒径が0.25μmであり平均分子量が約300万であり、PTFE濃度が29質量%であるPTFE水性乳化重合液を得た。
このPTFE水性乳化重合液に、PTFEに対して5質量%の非イオン系界面活性剤(a)を溶解させ、強塩基型アニオン交換樹脂である三菱化学製ダイアイオン(登録商標)HPA−25をPTFEに対して2質量%加えて24時間攪拌を行ない、PFCA濃度を低減させた後、ナイロン製200メッシュフィルターでろ過してアニオン交換樹脂を除去した。さらにカルボン酸塩(d)であるラウリル酸アンモニウム水溶液(水1680gに対してラウリル酸200g、28質量%アンモニア水120gを加えて水溶液にしたもの)をPTFE質量に対して0.3質量%を加え(これはラウリル酸アンモニウムとしてPTFE質量に対して0.03質量%に相当する。)、PFCA濃度がPTFE質量に対して0.0067質量%であるPTFE低濃度水性分散液を得た。
このPTFE高濃度水性分散液に対して、PTFEに対して2.6質量%の割合の(a)の非イオン系界面活性剤、PTFEに対して0.05質量%の割合の28質量%アンモニア水、および水を加え、PTFE濃度が約60.5質量%のPTFE水性分散液を得た。
得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は良好であり、ガラス繊維布への塗布テストでも着色が少なく、溶出テストでの不純物の溶出も少なく、良好であった。
非イオン系界面活性剤として(b)を使用し、カルボン酸塩として(e)を使用するほかは例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。
[例3]
非イオン系界面活性剤として(c)を使用し、カルボン酸塩として(f)を使用するほかは例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。
例1のPTFE水性乳化重合液に、PTFEに対して15質量%の割合の(a)の非イオン系界面活性剤を溶解させ、弱塩基型アニオン交換樹脂である三菱化学製ダイアイオン(登録商標)WA−30をPTFEに対して2.5質量%加えて24時間攪拌を行ない、PFCA濃度を低減させた。ついで、ナイロン製200メッシュフィルターでろ過してアニオン交換樹脂を除去した。さらにカルボン酸塩(d)をPTFE質量に対して0.02質量%分を加え、PFCA濃度がPTFE質量に対して0.0066質量%であるPTFE低濃度水性分散液を得た。
このPTFE低濃度水性分散液を10リッター容器中で80℃1晩放置し、相分離法により24時間の濃縮を行ない、PTFE濃度が約68.3質量%であり、界面活性剤濃度がPTFEの質量に対して3.2質量%であり、PFCA濃度がPTFEの質量に対して0.0027質量%であるPTFE高濃度水性分散液を得た。
このPTFE高濃度水性分散液に対して、PTFEに対して2.6質量%の割合の非イオン系界面活性剤(a)、PTFEに対して0.05質量%の28質量%アンモニア水、および水を加え、PTFE水性分散液を得た。
カルボン酸塩として(g)を使用し、非イオン系界面活性剤の配合を変えたほかは例4と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。
[例6]
カルボン酸塩を使用しない以外は例1と同様の工程を用いたが、得られたPTFE高濃度水性分散液のPTFE濃度は58.5質量%と低かった。また、非イオン系界面活性剤およびアンモニアを追加して得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は低く、好ましくなかった。
[例7]
含硫黄アニオン性界面活性剤である(h)をPTFE質量に対して0.05質量%添加した以外は例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。このPTFE水性分散液で行なった塗布テストで得られた塗布サンプルは茶色く着色しており、またイオン性不純物の量を示す導電率も大きく、好ましくなかった。
カルボン酸塩として(d)をPTFE質量に対して0.13質量%添加した以外は例1と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。得られたPTFE水性分散液の粘度は非常に高く、塗布テスト時のPTFE付着量が多くなり、クラックが発生し好ましくなかった。
[例9]
カルボン酸塩を使用しない以外は例4と同様の工程を用い、得られたPTFE高濃度水性分散液は55.3質量%と低かった。また、非イオン系界面活性剤およびアンモニアを追加して得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は低く、好ましくなかった。
含硫黄アニオン性界面活性剤である(i)をPTFE質量に対して0.05質量%添加した以外は例4と同様の工程を用い、PTFE水性分散液を得た。このPTFE水性分散液で行なった塗布テストで得られた塗布サンプルは茶色く着色しており、導電率も大きく、好ましくなかった。
[例11]
天然ヤシ油脂肪酸(R4の数平均の炭素数は11.2、カプリル酸8質量%、カプリン酸7質量%、ラウリン酸48質量%、ミリスチン酸18質量%、パルミチン酸9質量%、ステアリン酸3質量%、オレイン酸6質量%、リノール酸1質量%の混合物;商品名は花王社製ルナックL−50)の100gに28質量%アンモニア水の55gおよび水を加え、濃度10質量%で、pHが10.2である天然ヤシ油脂肪酸アンモニウム水溶液を作製した。例1において、ラウリン酸アンモニウム水溶液に替えて、該天然ヤシ油脂肪酸アンモニウム水溶液を、PTFEの質量に対して0.3質量%(これは天然ヤシ油脂肪酸アンモニウムとしてPTFEの質量に対して0.03質量%に相当する。)を加える以外は、例1と同様にして、PTFE濃度が66.2質量%であり界面活性剤濃度が2.2質量%/PTFEでありpHが9.0であるPTFE高濃度水性分散液を得た。
このPTFE高濃度水性分散液に対して、PTFEに対して2.8質量%の割合の(a)の非イオン系界面活性剤、PTFEに対して0.05質量%の割合の28質量%アンモニア水および水を加え、PTFE濃度が約60.6質量%のPTFE水性分散液を得た。
得られたPTFE水性分散液のこすれ安定性は良好であり、ガラス繊維布への塗布テストでも着色が少なく、溶出テストでの不純物の溶出も少なく、良好であった。
Claims (6)
- 平均粒径が0.1〜0.5μmのポリテトラフルオロエチレン微粒子を55〜70質量%、一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.0001〜0.02質量%、一般式(2)および/または一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して1〜20質量%、一般式(4)で示されるカルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.001〜0.08質量%含有することを特徴とするポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
一般式(1) R1−COOX (式中、R1は炭素数5〜9で、水素原子の90〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基(ただし、アルキル基中には1〜2個のエーテル性の酸素原子を含有してもよい。)であり、Xはアンモニウムイオンである。)
一般式(2) R2−O−A−H (式中、R2は炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
一般式(3) R3−C6H4−O−B−H (式中、R3は炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
一般式(4) R4−COOY (式中、R4は炭素数6〜16で、水素原子のフッ素置換率が20%以下のアルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、Yは式{HO(CH2)n}xN+H4−xで表されるカチオン基であり、前記カチオン基におけるnは2〜4の整数であり、xは0〜4の整数である。) - 前記一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩が、C7F15COONH4、HC7F14COONH4、C6F13COONH4、HC6F12COONH4、C8F17COONH4、C4F9OC2F4OCF 2 COONH4およびC2F5OC2F4OC2F4OCF 2 COONH4からなる群から選ばれる少なくとも1種である特許請求の範囲1に記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
- 一般式(2)で示される非イオン系界面活性剤における、R2が炭素数10〜16のアルキル基であり、Aにおけるオキシエチレン基数が7〜12である特許請求の範囲1又は2に記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
- 一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤における、R3が炭素数6〜10のアルキル基であり、Bにおけるオキシエチレン基数が6〜16である特許請求の範囲1〜3のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
- 前記一般式(4)で示されるカルボン酸塩に対応するカルボン酸R4−COOHのpKaが、4.1〜6である特許請求の範囲1〜4のいずれかに記載のポリテトラフルオロエチレン水性分散液。
- 平均粒径が0.1〜0.5μmのポリテトラフルオロエチレン微粒子を1〜40質量%、一般式(1)で示される含フッ素カルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.0001〜0.02質量%、一般式(2)および/または一般式(3)で示される非イオン系界面活性剤をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して1〜20質量%含有するポリテトラフルオロエチレン低濃度水性分散液に、一般式(4)で示されるカルボン酸塩をポリテトラフルオロエチレンの質量に対して0.001〜0.08質量%溶解させ、その後ポリテトラフルオロエチレン低濃度水性分散液を濃縮し、ポリテトラフルオロエチレン濃度が60〜75質量%のポリテトラフルオロエチレン高濃度水性分散液を得ることを特徴とするポリテトラフルオロエチレン水性分散液の製造方法。
一般式(1) R1−COOX (式中、R1は炭素数5〜9で、水素原子の90〜100%がフッ素原子で置換されたアルキル基(ただし、アルキル基中には1〜2個のエーテル性の酸素原子を含有してもよい。)であり、Xはアンモニウムイオンである。)
一般式(2) R2−O−A−H (式中、R2は炭素数8〜18のアルキル基であり、Aはオキシエチレン基数5〜20およびオキシプロピレン基数0〜2より構成されるポリオキシアルキレン鎖である。)
一般式(3) R3−C6H4−O−B−H (式中、R3は炭素数4〜12のアルキル基であり、Bはオキシエチレン基数5〜20より構成されるポリオキシエチレン鎖である。)
一般式(4) R4−COOY (式中、R4は炭素数6〜16で、水素原子のフッ素置換率が20%以下のアルキル基、アルケニル基、またはアリール基であり、Yは式{HO(CH2)n}xN+H4−xで表されるカチオン基であり、前記カチオン基におけるnは2〜4の整数であり、xは0〜4の整数である。)
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