JP7179617B2 - シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末およびその製造方法 - Google Patents
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Description
本願は、2017年10月4日に、日本に出願された特願2017-194545号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
まずFe粉末またはFe基合金粉末などの軟磁性粉末に樹脂粉末を添加して混合粉末を作製し、この混合粉末を圧縮成形し、次いで熱処理して圧粉磁心を得る。
前記軟磁性粉末を用いて圧粉磁心を製造する場合、軟磁性粉末単体では比抵抗が低いため、軟磁性粉末の表面に絶縁皮膜の被覆を行うか、有機化合物や絶縁材を混合するなどして軟磁性粉末どうしの焼結を防止し、比抵抗を上げる対策が講じられている。例えば、この種の圧粉磁心において、渦電流損失を抑制するため、軟磁性粉末の表面を非鉄金属の下層絶縁皮膜と無機化合物を含む上層絶縁皮膜で2重に覆い、この2層の絶縁被膜で被覆された軟磁性粉末を成形し、熱処理して得られた圧粉磁心が知られている。
また、低プロセスコストを実現するために、シリコーン樹脂などをコーティングした鉄粉からなる圧粉材を大気中において熱処理して鉄粉界面に鉄の酸化物と層状のSi酸化物とを含む層である酸化影響層を形成した圧粉軟磁性体が知られている(特許文献2参照)。
また、これらの圧粉磁心は、低プロセスコストを実現するため、あるいは、粉末表面に被覆したシリコーン樹脂などを酸化してSi酸化物を形成するため、圧粉材の熱処理を大気中で実施しているので、鉄損が増大するという問題を有していた。
ただし、前記C量、前記O量、前記Si量、前記P量、前記Fe量は、前記シリカ系絶縁皮膜表面のXPS分析によるナロースキャン分析により得られる、C1sピーク、O1sピーク、Si2pピーク、P2pピーク及びFe2pピークの面積割合の合計を100%となるように各ピークの面積割合を算出した結果の値である。
(3)本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末において、前記シリカ系絶縁皮膜中において、前記Fe酸化物と前記Si酸化物の合計量は68~83at%であり、残部17~32at%がP酸化物あるいは水酸基を有する不純物成分と炭化水素であることが好ましい。
(4)本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末において、平均粒径(D50)が5~500μmであることが好ましい。
(7)本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法において、前記シリカ系絶縁皮膜に含まれるC量がat%で19.3~22.47%、O量が50.31~53.21%、Si量が20.69~24.11%、P量が0.42~1.55%、Fe量が1.56~6.38%、前記C量、前記O量、前記Si量、前記P量、前記Fe量の合計が100%であることが好ましい。
ただし、前記C量、前記O量、前記Si量、前記P量、前記Fe量は、前記シリカ系絶縁皮膜の表面をXPS分析によるナロースキャン分析により、C1sピーク、O1sピーク、Si2pピーク、P2pピーク及びFe2pピークの面積割合の合計が100%となるように各ピークの面積割合を算出した結果の値である。
(8)本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法において、乾燥後の前記シリカ系絶縁皮膜の膜厚を、3nm~20nmとすることが好ましい。
(9)本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法において、前記シリコーンレジンを前記溶媒に溶解し、次いで前記Siアルコキシドを添加し攪拌混合し、次いで酸触媒と水を添加し攪拌混合することで、前記シリカゾル-ゲルコーティング液を得て、このシリカゾル-ゲルコーティング液を前記Fe系の軟磁性粉末に塗布し、乾燥してもよい。
(10)本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法において、前記Fe系の軟磁性粉末として、表面にリン酸塩皮膜が被覆されたFe系の軟磁性粉末を用いてもよい。
(11)本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法において、前記シリカ系絶縁皮膜に、前記Fe酸化物と前記Si酸化物を合計量で68~83at%含み、残部17~32at%がP酸化物あるいは水酸基を有する不純物成分と炭化水素であることが好ましい。
また、軟磁性粉末を覆っているシリカ系絶縁皮膜はFeとSiの個々の酸化物あるいは複合酸化物であり、高温の熱処理を経たとしても絶縁性に優れている。このため、本発明の一態様に係るシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末を圧縮成形し、600℃以上などの高温に加熱して得られる圧粉磁心において、磁束密度が高く、比抵抗が高く、鉄損の少ない優れた特性が得られる。
図1は本発明に係る第1実施形態のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末を示すもので、この実施形態のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bは、純鉄粉末などのFe系の軟磁性粉末5の周囲にリン酸塩皮膜6が被覆され、その周囲にシリカ系絶縁皮膜7が被覆されてなる。
詳細には、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bは、複数のFe系の軟磁性粉末粒子と、それぞれのFe系の軟磁性粉末粒子の表面に被覆されたシリカ系絶縁皮膜7を有する。シリカ系絶縁皮膜7は、リン酸塩皮膜6を介してFe系の軟磁性粉末粒子の表面に被覆されている。すなわち、Fe系の軟磁性粉末粒子の表面にリン酸塩皮膜6が被覆され、リン酸塩皮膜6の表面にシリカ系絶縁皮膜7が被覆されている。
なお、図1において、符号Bは、1個のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末粒子を表し、符号5は、1個のFe系の軟磁性粉末粒子を表しているとも言える。また、以下、Fe系の軟磁性粉末を単に軟磁性粉末とも言う。
軟磁性粉末5は一例として純鉄粉末からなり、平均粒径(D50):5~500μmの範囲内にある粉末を主体とすることが好ましい。その理由は、平均粒径が5μmより小さすぎると、純鉄粉末の圧縮性が低下し、純鉄粉末の体積割合が低くなるために磁束密度が低下する傾向がある。一方、平均粒径が500μmより大きすぎると、純鉄粉末内部の渦電流が増大して高周波における鉄損が増大するなどの理由によるものである。なお、純鉄系の軟磁性粉末5の平均粒径はレーザー回折法による測定で得られる粒径である。
リン酸塩皮膜6は、例えば、リン酸鉄皮膜、リン酸亜鉛皮膜、リン酸マンガン皮膜、リン酸カルシウム皮膜などからなる。このリン酸塩皮膜6は本実施形態において必須ではなく、省略しても良い。
図2においては、2つの軟磁性粉末粒子11の境界部分とそれらの間に存在する粒界層12の一部分のみを示しているが、圧粉磁心Aは、複数の軟磁性粉末粒子11を個々に粒界層12を介し接合して一体化し、目的の形状に成形することにより得られる。
詳細には、圧粉磁心Aは、複数の軟磁性粉末粒子11と、軟磁性粉末粒子11間に介在する粒界層12を有する。複数の軟磁性粉末粒子11は、それらの間に粒界層12を介在した状態で接合されている。それぞれの軟磁性粉末粒子11の表面(外周)には、下地皮膜13が形成されている。
図3に示すリアクトルコア14aは、例えば、後述するシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末と潤滑剤や結着材を混合して金型に投入し、金型を用いて目的の環状に圧縮成形し、成形体を焼成することで得られる。
シリコーンレジンとSiアルコキシドを溶媒に溶解または分散させてシリカゾル-ゲルコーティング液を作製する。Siアルコキシドとしては、TEOS(テトラエトキシシラン:Si(OC2H5)4)、TMOS(テトラメトキシシラン:Si(OCH3)4)、TEES(トリエトキシエチルシラン:Si(OC2H5)3C2H5)、MTES(トリエトキシメチルシラン:Si(OC2H5)3CH3)、ETMS(エチルトリメトキシシラン:Si(OCH3)3C2H5)、MTMS(メチルトリメトキシシラン:Si(OCH3)3CH3)、テトラプロポキシシラン:Si(OC3H7)4、テトラブトキシシラン:Si(OC4H9)4などが挙げられる。このシリカゾル-ゲルコーティング液をFe系の軟磁性粉末に塗布し乾燥させる。Fe系の軟磁性粉末としては、表面にリン酸塩皮膜が被覆された軟磁性粉末などが挙げられる。以上により、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bが得られる。
次に、必要量のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bを潤滑剤とともに成形用の金型に投入し、目的の形状に成形する。そして、成形体を熱処理する。以上により、圧粉磁心Aが得られる。
(シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bの製造方法)
まず、軟磁性粉末の外周(表面)に塗布するシリカゾル-ゲルコーティング液を作製する。
なお、以下、シリカゾル-ゲルコーティング液を単にコーティング液とも言う。
コーティング液を作製するには、図4、図5(A)に示すようにIPA(2-プロパノール)などの溶媒15にシリコーンレジン16を添加する。シリコーンレジン16と溶媒15の混合液を25~50℃程度の温度に加熱しながら2~24時間程度攪拌し、溶媒15にシリコーンレジン16を溶解する(溶解工程)。
加熱温度が25℃未満であると、シリコーンレジン16の溶解が不十分となる可能性がある。加熱温度が50℃を超える場合は、溶媒の蒸発が進みやすくなり、シリコーンレジン16が溶媒中に十分に分散しない状態となることが問題となる。
溶解撹拌時間は2時間以上とすることが望ましいが、溶解撹拌時間が短時間では溶解が不十分となり易い。24時間を超える溶解撹拌時間を設定しても、時間が無駄になる。このため、溶解撹拌時間は2~12時間程度が望ましい。
溶媒15に対するシリコーンレジン16の溶解量は、溶媒1Lに対してシリコーンレジン20g~350g程度が好ましい。
混合撹拌時間(溶解攪拌時間)は4時間以上とすることが望ましいが、溶解攪拌時間が短時間では溶解が不十分となり易い。24時間を超える溶解攪拌時間を設定しても、時間が無駄になる。このため、溶解攪拌時間は4~12時間程度が望ましい。
このTEOS17の混合量に関して、TEOS17の量に対する溶媒15の量のモル比が[溶媒]/[TEOS]=4~15程度、好ましくは7~13の範囲であることが望ましい。溶液15,16にTEOS17を添加する場合の温度は室温(RT)で良いが前述のシリコーンレジン16を溶解する場合と同程度の温度域(25~50℃)に加熱しても良い。
塩酸18として、濃度12NのHClを用いる場合、Siアルコキシド(TEOS17)の量に対する12NHClの量のモル比[12NHCl]/[Siアルコキシド]は、好ましくは0.003~0.2であり、より好ましくは0.01~0.1である。Siアルコキシド(TEOS17)の量に対する水19の量のモル比[H2O]/[Siアルコキシド]は、好ましくは1.5~8.0であり、より好ましくは1.5~4.0である。塩酸18を添加することで加水分解反応を優先的に進行させ、縮合重合反応を進行させる。ここで用いる酸触媒としては、塩酸の他に、硝酸、酢酸、ギ酸、リン酸等を用いることができる。これら酸触媒の添加は、加水分解を素早く進行させるために重要である。
以上の工程により図4、図5(D)に示すようにゾル-ゲルコーティング液(シリカ系絶縁皮膜形成用コーティング液)20を得ることができる。このゾル-ゲルコーティング液20は、TEOSを溶媒中に添加した液体中に目視できない程度の微細なシリコーンレジンの微粒子が分散された状態である。
なお、この塗布工程22で用いる軟磁性粉末21としては、リン酸塩皮膜6を設けていない軟磁性粉末21でも良く、リン酸塩皮膜6は省略しても差し支えない。
前記乾燥時に190℃未満の温度で乾燥すると、シリカ系絶縁皮膜中に生成するFe酸化物(Fe2O3またはFeO)の量が少なくなるので、後の工程で圧粉磁心とした場合の比抵抗が低下する。290℃を超える温度で乾燥すると、後の工程で圧粉磁心とした場合に皮膜に亀裂や欠陥が入り易くなり、比抵抗が低下する問題を生じる。
なお、本願明細書において「~」を用いて数値範囲の上限となる数値と数値範囲の下限となる数値を結んで表記する場合、特に限定記載しない限り、数値範囲は上限と下限を含むものとする。このため、上述の220~280℃は220℃以上280℃以下の範囲を意味する。
乾燥後のシリカ系絶縁皮膜7に関しては、一例として、TEOS由来のSiO2皮膜の膜厚は、3nm~20nm程度であり、より好ましくは4~17nmであり、例えば5nmである。TEOS(Siアルコキシド)由来のSiO2皮膜の膜厚とは、コーティング液中のTEOS(Siアルコキシド)の全てが、軟磁性粉末の表面を被覆するSiO2皮膜となると仮定した場合に、形成されるSiO2皮膜の厚さを意味する。
また、このシリカ系絶縁皮膜7は、Fe酸化物(Fe2O3またはFeO)とSi酸化物を主体として含む。シリカ系絶縁皮膜7において、Fe酸化物中のO量をO(-Fe)(at%)とし、Si酸化物中のO量をO(-Si)(at%)とすると、Fe酸化物とSi酸化物は、O(-Fe)/O(-Si)(シリカ系絶縁皮膜中のSi酸化物中のO量に対するFe酸化物中のO量の比)=0.05~1.0(at%比(原子%の比))を満たす。一例として、シリカ系絶縁皮膜7は、Fe酸化物とSi酸化物を合計量で68~83at%含有し、残りの17~32at%程度がP酸化物あるいは水酸基を有する不純物成分、炭化水素成分などである。Fe酸化物とSi酸化物の合計量のより好ましい範囲は、69~81at%である。
シリカ系絶縁皮膜中のFe酸化物とSi酸化物の合計量や、Si酸化物中のO量に対するFe酸化物中のO量の比は、XPS(X線光電子分光法)による表面分析結果において、皮膜表面から深さ5nm以下、例えば表面から深さ2~3nm程度までの深さの領域を直径φ200μm程度の範囲で計測した平均値として求めることができる。すなわち、直径φ200μm程度の範囲において、1個又は複数個のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末粒子の表面から深さ5nm以下の領域をXPS(X線光電子分光法)により表面分析して、Fe量(at%)、Si量(at%)、Fe酸化物中のO量(at%)、及びSi酸化物中のO量(at%)を計測する。Fe量の計測値の平均値をシリカ系絶縁皮膜中のFe量とし、Si量の計測値の平均値をシリカ系絶縁皮膜中のSi量とし、Fe酸化物中のO量の計測値の平均値をシリカ系絶縁皮膜中のFe酸化物中のO量とし、Si酸化物中のO量の計測値の平均値をシリカ系絶縁皮膜中のSi酸化物中のO量とする。
またナロースキャン分析で得られるO1sのスペクトルを解析し、Fe酸化物のピーク(Feと結合しているOのピーク)とSi酸化物のピーク(Siと結合しているOのピーク)とリン酸あるいは水酸化物のピークとを分離することで、O(-Fe)とO(-Si)を求めることができる。試料によってはこれらのピークに加えて吸着水のピークが観測されることがある。O1sのピークから分離されたピークのうち、吸着水のピーク以外のピークの面積割合の合計が100%となるように各ピークの面積割合を算出する。Fe酸化物のピークの面積割合にO1sのピークの面積率を掛けることで、O(-Fe)(at%)を求めることができる。Si酸化物のピークの面積割合にO1sのピークの面積率を掛けることで、O(-Si)(at%)を求めることができる。このため、O(-Fe)とO(-Si)のat%の比(原子%の比)を算出することができる。また、Si2pのピークの面積割合(Si量)、Fe2pのピークの面積割合(Fe量)、O(-Fe)、及びO(-Si)の合計がFe酸化物とSi酸化物の合計量となる。
シリカ系絶縁皮膜7は、シリコーンレジンも含む。シリコーンレジンの構成元素は、C,H,Si,Oであるが、Hに由来するピークは測定されない。このため、シリカ系絶縁皮膜7中のシリコーンレジンの量は不明である。
これらのピーク分離結果から、O(-Fe)/O(-Si)の比が0.05~1.0(at%比)の範囲となるシリカ系絶縁皮膜7であることが望ましい。この理由は、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bを用いて後述する圧粉磁心Aを製造した場合、高い飽和磁束密度を示し、比抵抗が高く、鉄損が少ない圧粉磁心Aを得ることができるためである。
上述の結果は、シリカ系絶縁皮膜7において、観測面積あたり、Siに化合している酸素の量に対するFeに化合している酸素の量の比率を求めたこととなる。
上述の比率の範囲であれば、シリカ系絶縁皮膜7において、FeはFe2O3またはFeOとして存在しており、このFe2O3またはFeOの存在する量が多い。このため、下地の軟磁性粉末5あるいはリン酸塩皮膜6を介して軟磁性粉末5にシリカ系絶縁皮膜7が強く密着していると推定できる。
従って、O(-Fe)/O(-Si)の比率が0.05~1.0(at%比)の範囲となるシリカ系絶縁皮膜7であることが必要である。O(-Fe)/O(-Si)の比率は、さらに好ましくは0.1~1.0(at%比)である。
本実施形態のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bにシリコーンレジン粉末を0質量%~0.9質量%の割合で混合し、成形用原料混合粉末を得る。シリコーンレジン粉末の割合は、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末B100質量%に対する量であり、例えば0.03質量%、0.09質量%、あるいは、0.18質量%などである。この成形用原料混合粉末に0質量%~0.8質量%の割合でワックス系潤滑剤を混合する(混合工程24)。ワックス系潤滑剤の割合は、成形用原料混合粉末100質量%に対する量であり、例えば0.6質量%である。
得られた成形用原料混合粉末(ワックス系潤滑剤を含む成形用原料混合粉末)をプレス成形機の金型に投入し、目的の形状、例えば円環状、ロッド状、円盤状などの形状に圧縮成形する(成形工程25)。
例えば700~1570MPa程度の圧力で80℃程度の温間成形により圧縮成形できる。成形時の加圧力は、例えば790MPaである。
溶媒中にシリコーンレジンとTEOSを十分に溶解し分散させてゾル-ゲルコーティング液が作製され、このゾル-ゲルコーティング液の乾燥物(シリカ系絶縁皮膜7)を焼成して粒界層12が生成する。このため、粒界層12は、層内においてゾル-ゲルコーティング液由来のSi-O骨格とシリコーンレジン由来の樹脂骨格の複合化がなされた複合酸化物層であると想定できる。なお、シリコーンレジンは、シリカ系絶縁皮膜7に含まれるシリコーンレジンと、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bと混合されたシリコーンレジンである。また、粒界層12にはFe系の軟磁性粉末5から拡散されたFeの酸化物が含まれる。
粒界層12は、一例として図2に示すように、FeとSiの個々の酸化物あるいはFeとSiの複合酸化物にCが含まれている基層12aと、粒界層12中に分散されたSiO2リッチな斑点状または不定形の領域12bとから構成されている。
即ち、ESEMにより、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bを加熱(昇温)しながら観察すると、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末Bの周面に酸化鉄の微結晶の析出が少ないことが分かった。このため、高温での焼成を経ても高い比抵抗を維持することができると推定される。減圧不活性ガス雰囲気中での昇温時に酸化鉄の微結晶の析出が少ないことは、焼成前の皮膜に存在する欠陥の数が少ないことを意味する。
前記リン酸鉄被覆鉄粉(軟磁性粉末)の表面のTEOS由来のSiO2皮膜の厚さが4nmとなる量のTEOSと、軟磁性粉末の量に対して0.24質量%の量のシリコーンレジンを含有するコーティング液を作製した。このコーティング液を用いて実施例1の試料(シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末)及び成形用原料混合粉末を後述する工程に従い作製した。
前記リン酸鉄被覆鉄粉(軟磁性粉末)の表面のTEOS由来のSiO2皮膜の厚さが5nmとなる量のTEOSと、軟磁性粉末の量に対して0.30質量%の量のシリコーンレジンを含有するコーティング液を作製した。このコーティング液を用いて実施例2、実施例5、実施例6、比較例1、比較例3の試料及び成形用原料混合粉末を後述する工程に従い作製した。
前記純鉄粉末(軟磁性粉末)の表面のTEOS由来のSiO2皮膜の厚さが5nmとなる量のTEOSと、軟磁性粉末の量に対して0.30質量%の量のシリコーンレジンを含有するコーティング液を作製した。このコーティング液を用いて実施例3の試料及び成形用原料混合粉末を後述する工程に従い作製した。
前記リン酸鉄被覆鉄粉(軟磁性粉末)の表面のTEOS由来のSiO2皮膜の厚さが11.3nmとなる量のTEOSと、軟磁性粉末の量に対して0.14質量%の量のシリコーンレジンを含有するコーティング液を作製した。このコーティング液を用いて比較例2の試料及び成形用原料混合粉末を後述する工程に従い作製した。
なお、これら各実施例と比較例において、シリコーンレジンは粒径1mm以下のグレード品を用いた。
メチル系シリコーンレジンを液温45~50℃の2-プロパノール(IPA)に混合し2時間攪拌してメチル系シリコーンレジンをIPAに溶解した。得られた溶液にテトラエトキシシラン(TEOS)を添加し、溶液を室温にて4時間攪拌して混合した。混合撹拌時間は、マグネチックスターラーを用いて攪拌速度150rpmで撹拌する際の時間を意味する。以下、他の実施例においても撹拌する場合の撹拌条件は同等とした。
この後、溶液に9.2mass%の希塩酸を添加し、溶液を4~24時間攪拌し(液温:約35℃)、シリカゾル-ゲルコーティング液を得た。
また、実施例1~3、実施例5、実施例6、比較例1~3においても、実施例4と同等の配合順序に従い各成分を混合した。上述したそれぞれのシリコーンレジン量、IPA量、TEOS量、水量、12NHCl量を調整することで、前述のTEOS由来のSiO2皮膜の厚さ及びシリコーンレジン量となるように添加成分を調整した。以上により、シリカゾル-ゲルコーティング液を作製した。
TEOS添加量は、TEOS由来のSiO2皮膜の厚さとして計算し、比表面積が4.0×10-2m2/gの軟磁性粉末をベースに換算した。
TEOS由来のSiO2皮膜の膜厚は、軟磁性粉末の比表面積(BET3点法による測定値)、SiO2密度(水晶の物性値2.65g/cm3)を用いて以下の式から算出した。
TEOS由来のSiO2皮膜の膜厚(nm)=TEOSの物質量(mol)×SiO2分子量(g/mol)/SiO2密度(g/cm3)/軟磁性粉末の比表面積(m2/g)/軟磁性粉末重量(g)(*)
TEOS重量7.45g、鉄粉比表面積4.0×10-2m2/g、鉄粉重量300gの場合、上記計算式(*)にTEOSの分子量208.33g/mol、SiO2の分子量60.1g/molを代入すると、TEOS由来のSiO2皮膜の膜厚は、以下の値となる。
TEOS由来のSiO2皮膜の膜厚=7.45(g)/208.33(g/mol)×60.1(g/mol)/2.65(g/cm3)/4.0×10-2(m2/g)/300(g)=6.76×10-8(m)=67.6(nm)
なお、厳密には、長さの単位をmに統一するために、SiO2密度として2.65×106(g/m3)を用いる。
(H2O質量)=(TEOS質量/(208.33g/mol(TEOS分子量)))×2×18.016g/mol(H2Oの分子量)
TEOSの量に対する希塩酸(12NHCl)の量のモル比を[12NHCl]/[TEOS]=0.025とした。このため、希塩酸の添加量は、以下の式で算出される。
(12NHCl質量)=(TEOS質量/(208.33g/mol(TEOS分子量)))×0.025×36.458g/mol(HClの分子量)
あるいは、[12NHCl]/[TEOS]=0.025であるため、TEOSの量に対する100%の塩酸の量のモル比は[100%HCl]/[TEOS]=0.009となる。このため、希塩酸の添加量は、以下の式でも算出される。
(12NHCl質量)=(TEOS質量/(208.33g/mol(TEOS分子量)))×0.009×36.458g/mol(HClの分子量)×100/36
なお、12NHCl質量を表す二つ目の式は、塩酸試薬12NHClのHCl濃度を36%として計算する。
95℃に加熱したヘンシェルミキサーの容器内で撹拌されているリン酸鉄被覆鉄粉(300g)に対し、前述の工程で得たコーティング液を供給して減圧下で加熱しながら、攪拌、混合した。コーティング液を供給したことによりリン酸鉄被覆鉄粉の温度が一旦低下した。リン酸鉄被覆鉄粉の温度がコーティング開始温度の例えば94℃まで回復してからさらに3分間、減圧下で撹拌と加熱を続けた。詳細には、攪拌しながらコーティング液を供給し、次にコーティング液の供給を停止し、減圧下で加熱しながら、攪拌、混合した。この一連の操作を複数回繰り返した。上述の比率で鉄粉とコーティング液を用いることでTEOS由来のSiO2皮膜の厚さが16.9nmのコーティング鉄粉(実施例4の試料作製用)を得た。
ヘンシェルミキサーで鉄粉にゾル-ゲルコーティング液を塗布する工程において、鉄粉表面を覆うゾル-ゲルコーティング液(シリカ系絶縁皮膜形成用コーティング液)の塗布を大気中95℃で3分間加熱し続けると、繰り返しコーティング液を供給する度にゾル-ゲルコーティング液膜が溶解することなく鉄粉上に塗り重ねられて定着していく。95℃での加熱時間が3分間未満であると、ゾル-ゲルコーティング液膜が鉄粉表面上に定着せずに剥離しやすくなるので、3分間以上処理することが好ましい。
他の実施例においては、コーティング液量やコーティング液中の各成分の配合量を変更してそれぞれのコーティング鉄粉を作製した。
詳細には、実施例5、比較例2では、200℃で乾燥してシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末(試料)を得た。実施例1、実施例3、実施例4、実施例6では、250℃で乾燥してシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末(試料)を得た。比較例1では、300℃で乾燥してシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末(試料)を得た。
また、実施例2、比較例3では、ゾル-ゲルコーティング液を塗布したリン酸鉄被覆鉄粉を以下の雰囲気で乾燥した。実施例2では、窒素ガスフロー中(低酸素分圧雰囲気中)において250℃で乾燥してシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末(試料)を得た。比較例3では、乾燥炉を真空引きし、次いで窒素ガスに置換して100%窒素雰囲気中で250℃に加熱乾燥してシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末(試料)を得た。
XPS分析装置としてULVAC PHI 5000 VersaProbe II を用い、X線源としてMonochromated Al Kα:25Wを用いた。パスエネルギー:187.85eV(Survey)、46.95eV(Narrow)、測定間隔:0.8eV/Step(Survey)、0.1eV/Step(Narrow)、試料面に対する光電子取り出し角:45deg、分析エリア:直径φ約200μmの範囲の条件で表面分析を行った。
大気中200℃で乾燥した試料((1)の試料:実施例5)と、大気中250℃で乾燥した試料((2)の試料:実施例6)と、大気中300℃で乾燥した試料((3)の試料:比較例1)と、窒素中250℃で乾燥(低酸素分圧で乾燥)した試料((4)の試料:実施例2)と、窒素中250℃で乾燥(真空引き後に窒素ガスで置換して乾燥)した試料((5)の試料:比較例3)を用意した。
図9は、(1)~(5)の試料に対しXPS分析法によりナロースキャン分析して得られたC1sピークを示す。
図10は、(1)~(5)の試料に対しXPS分析法によるナロースキャン分析して得られたO1sピークを示す。
図11は、(1)~(5)の試料に対しXPS分析法によるナロースキャン分析して得られたSi2pピークを示す。
図12は、(1)~(5)の試料に対しXPS分析法によるナロースキャン分析して得られたP2pピークを示す。
図13は、(1)~(5)の試料に対しXPS分析法によるナロースキャン分析して得られたFe2pピークを示す。
このため、図10に示す(4)の試料のピークについて、図14に示すようにナロースペクトルのピーク分離を行った。
図10に示す(4)の試料のピークは、図14に示すようにSi酸化物のピークと、Fe酸化物のピークと、リン酸または水酸化物のピークと、吸着水に起因すると推定されるピークに分離することができた。そして、吸着水を除外したO1sピークの面積のうち、Fe酸化物中の(Feと結合している)Oのピークの面積割合(area%)(=at%)と、Si酸化物中の(Siと結合している)Oのピークの面積割合(area%)(=at%)の比率を計算することができる。
再計算すると、Fe-Oの面積率は25.83%、P-O,-OHの面積率は10.44%、Si-Oの面積率は63.73%となり、これらの合計を100%とする。
ここから、O1sは53.21at%であるので、O(-Si)は53.21×63.73/100=33.91at%、O(-P)あるいは-OHは53.21×10.44/100=5.56at%、O(-Fe)は53.21×25.83/100=13.74at%となる。
よって、(O(-Fe)/O(-Si))=13.74/33.91で0.41(小数点第三位で四捨五入)となり、この値を以下の表1に記載した。他の試料についても同様に、O(-Fe)/O(-Si)の比を計算し、表1に記載した。
比較例2の試料に、試料の量に対して0.03質量%の量のシリコーンレジン粉末と、鉄粉の量に対して0.6質量%の量のワックス系潤滑剤を添加して原料混合粉末を得た。
これら実施例1~6の原料混合粉末と比較例1~3の原料混合粉末のそれぞれを用い、成形圧790MPa(8t/cm2)で80℃の温間成形によりリング状の成形体を得た。
前記リング状の成形体を窒素雰囲気中において650℃に加熱し30分間焼成した。焼成後、徐冷して圧粉磁心を得た。リング状圧粉磁心のサイズは、OD35×ID25×H5mmである(OD:外径、ID:内径、H:高さ)。
なお、純鉄粉末の表面に被覆したコーティング液は650℃の焼成により一部の成分が消失するがコーティング液中のSiが主体として残留し、SiとFeのそれぞれの酸化物あるいはSiとFeと酸素を含有する複合酸化物となって隣接するリン酸鉄被覆鉄粉末粒子間の粒界に粒界層として残留した。
表2に記載した(O(-Fe)/O(-Si))の値は各試料の分析視野10ヶ所における測定値の平均値である。
前記10kA/mでの磁束密度の測定は、リング状試料を用いてB-Hトレーサ(メトロン技研(株)製直流磁化特性試験装置 SK110)で行った。
前記0.1T、周波数10kHzでの鉄損の測定は、リング状試料を用いてB-Hアナライザ(岩通計測(株)製交流磁気特性測定装置 SY-8218)により行った。
また、実施例1~6の試料は、XPS分析法で得られたデータに基づき計算した(O(-Fe)/O(-Si))の値が0.05~0.89の範囲であり、O(-Fe)/O(-Si)=0.05~1.0の範囲内に収まっていた。
表面にシリカ系絶縁皮膜を被覆したFe系の軟磁性粉末であって、シリカ系絶縁皮膜には、主体としてFe酸化物とSi酸化物が含まれ、Fe酸化物とSi酸化物は、O(-Fe)/O(-Si)(シリカ系絶縁皮膜中のSi酸化物中のO量に対するFe酸化物中のO量の比)=0.05~1.0(at%比)を満たす。
図7は、実施例4の圧粉磁心の粒界層を含む軟磁性粒子の部分断面組織を電界放射型走査電子顕微鏡により低加速電圧で観察した結果(SEM反射電子像)を示す写真である。
これらの写真から、軟磁性粉末をシリカ系絶縁皮膜で完全に覆った構造のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末が得られたことがわかる。すなわち、それぞれの軟磁性粉末粒子の表面が完全にシリカ系絶縁皮膜で被覆されていることが分かった。また、シリカ系絶縁被覆軟磁性粉末を用いて圧粉磁心を製造した場合、軟磁性粉末粒子が粒界層で接合された組織が得られたことがわかった。
また、図8は、リン酸鉄被覆鉄粉にコーティング液を塗布し、次いで、大気中にて175℃または350℃で1時間乾燥して得られた試料の結果も合わせて示す。この試料の製造条件は、大気中での乾燥温度のみ異なる以外は、実施例5と同等であり、比較例の試料である。
Claims (11)
- 表面にリン酸塩皮膜を介しシリカ系絶縁皮膜が被覆されたFe系の軟磁性粉末であって、前記シリカ系絶縁皮膜にはFe酸化物とSi酸化物とP酸化物および水酸基を有する不純物が含まれ、
前記シリカ系絶縁皮膜に含まれるC量がat%で19.3~22.47%、O量が50.31~53.21%、Si量が20.69~24.11%、P量が0.42~1.55%、Fe量が1.56~6.38%、前記C量、前記O量、前記Si量、前記P量、前記Fe量の合計が100%であり、
前記Fe酸化物と前記Si酸化物は、O(-Fe)/O(-Si)(前記シリカ系絶縁皮膜中のSi酸化物中のO量に対するFe酸化物中のO量の比)=0.05~1.0(at%比)を満たすことを特徴とするシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末。
ただし、前記C量、前記O量、前記Si量、前記P量、前記Fe量は、前記シリカ系絶縁皮膜表面のXPS分析によるナロースキャン分析により得られる、C1sピーク、O1sピーク、Si2pピーク、P2pピーク及びFe2pピークの面積割合の合計を100%とするように各ピークの面積割合を算出した結果の値である。 - 前記シリカ系絶縁皮膜の膜厚が、3nm~20nmであることを特徴とする請求項1に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末。
- 前記シリカ系絶縁皮膜中において、前記Fe酸化物と前記Si酸化物の合計量は68~83at%であり、残部17~32at%がP酸化物あるいは水酸基を有する不純物成分と炭化水素であることを特徴とする請求項1または2に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末。
- 平均粒径(D 50 )が5~500μmであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末。
- シリコーンレジンとSiアルコキシドを溶媒に添加し攪拌混合してシリカゾル-ゲルコーティング液を作製する工程と、このシリカゾル-ゲルコーティング液をFe系の軟磁性粉末に塗布し乾燥させる塗布、乾燥工程を有し、
前記シリコーンレジンを前記溶媒1Lに対し20~350g溶解し、
前記シリコーンレジンを溶解した溶媒に対し、前記Siアルコキシドをモル比で[溶媒]/[Siアルコキシド]=4~15の割合で混合し、
前記塗布、乾燥工程において、乾燥温度を190~290℃の範囲内に設定し、
前記乾燥雰囲気として、大気又は酸素分圧0.001MPa以上0.021MPa以下の低酸素分圧雰囲気を用い、
前記工程により、表面にシリカ系絶縁皮膜を被覆したFe系の軟磁性粉末であって、前記シリカ系絶縁皮膜にはFe酸化物とSi酸化物とP酸化物および水酸基を有する不純物が含まれ、前記Fe酸化物と前記Si酸化物は、O(-Fe)/O(-Si)(前記シリカ系絶縁皮膜中のSi酸化物中のO量に対するFe酸化物中のO量の比)=0.05~1.0(at%比)を満たすシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末を得ることを特徴とするシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法。 - 前記Siアルコキシドとして、TEOS(テトラエトキシシラン)を用いることを特徴とする請求項5に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法。
- 前記シリカ系絶縁皮膜に含まれるC量がat%で19.3~22.47%、O量が50.31~53.21%、Si量が20.69~24.11%、P量が0.42~1.55%、Fe量が1.56~6.38%、前記C量、前記O量、前記Si量、前記P量、前記Fe量の合計が100%であることを特徴とする請求項5または請求項6に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法。
ただし、前記C量、前記O量、前記Si量、前記P量、前記Fe量は、前記シリカ系絶縁皮膜の表面をXPS分析によるナロースキャン分析により、C1sピーク、O1sピーク、Si2pピーク、P2pピーク及びFe2pピークの面積割合の合計を100%とするように各ピークの面積割合を算出した結果の値である。 - 乾燥後の前記シリカ系絶縁皮膜の膜厚を、3nm~20nmとすることを特徴とする請求項5~7のいずれか一項に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末。
- 前記シリコーンレジンを前記溶媒に溶解し、次いで前記Siアルコキシドを添加し攪拌混合し、次いで酸触媒と水を添加し攪拌混合することで、前記シリカゾル-ゲルコーティング液を得て、このシリカゾル-ゲルコーティング液を前記Fe系の軟磁性粉末に塗布し、乾燥することを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法。
- 前記Fe系の軟磁性粉末として、表面にリン酸塩皮膜が被覆されたFe系の軟磁性粉末を用いることを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法。
- 前記シリカ系絶縁皮膜に、前記Fe酸化物と前記Si酸化物を合計量で68~83at%含み、残部17~32at%がP酸化物あるいは水酸基を有する不純物成分と炭化水素であることを特徴とする請求項7~10のいずれか一項に記載のシリカ系絶縁被覆軟磁性粉末の製造方法。
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