JP6617867B2 - 軟磁性粒子粉末及び該軟磁性粒子粉末を含む圧粉磁心 - Google Patents

軟磁性粒子粉末及び該軟磁性粒子粉末を含む圧粉磁心 Download PDF

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本発明は、高い絶縁性を維持しつつ高温での焼き鈍しに耐えうる耐熱性に優れた絶縁被膜を有する軟磁性粒子粉末の提供、ならびに該軟磁性粒子粉末を用いた高い成型体密度を有する圧粉磁心を提供する。
近年、家電及び電子機器の省エネルギー化及び小型化に伴い、これらに使用される磁心材料に対しても、小型で高出力、且つ電力変換効率の高効率化の要求が強まっている。機器サイズの小型化、高出力化及び電力変換効率の高効率化には動作周波数の高周波化が有効であることが知られており、高周波領域においても高い磁束密度と透磁率及び低鉄損を有する磁心材料が強く求められている。
また、近年注目されているHEV、EV、PHEV等の車のインバーターユニット内にはDC−DCコンバータが使用されており、大出力の駆動用モータへの電力供給を行うことから、リアクトル用コアには大電流への対応が求められている。また、車載用であることから小型化が求められており、上記と同様に高周波領域においても低鉄損を有する磁心材料が強く求められている。
従来、このような磁心材料としては、ケイ素鋼板を用いた積層型磁心等が使用されているが、積層型磁心は、動作周波数が高くなるに従って磁心内部で発生する渦電流損失が増大するという欠点を有している。
そのため、近年では、積層型磁心に比べて高周波領域での鉄損が低いと共に、成形性に優れた、軟磁性粉末をフェノール樹脂やエポキシ樹脂等の絶縁性樹脂で被覆し圧縮成形した圧粉磁心が、積層型磁心の代替品として広く用いられている。
近年、圧粉磁心に対して、更なる小型化および高性能化、即ち、高出力化・高効率化が望まれており、そのために高磁束密度化および低鉄損化が必要となる。このような高磁束密度化のために、軟磁性粉末の充填密度を増加することのできる、即ち、高い成型体密度を得ることのできる軟磁性粉末が求められている。
一方、圧粉磁心の鉄損の主要因として、ヒステリシス損失と渦電流損失が知られている。ヒステリシス損失は、軟磁性粉末を高充填するために高圧で圧縮成形を行うことにより、軟磁性粉末に歪みが残ることが原因で増加することが知られている。歪みによるヒステリシス損失を低減するために、通常、成形品に対して焼き鈍しが行われているが、従来の絶縁被膜では耐熱性が低いため、高温で焼き鈍しを行うと絶縁被膜が破壊され渦電流損失が増加してしまうという問題があった。
一方、渦電流損失を低減するために軟磁性粉末の粒子表面を絶縁被膜で被覆することが一般的に行われているが、高い絶縁性と耐熱性を確保するために絶縁被膜を厚くすると成型体密度が下がり、圧粉磁心の成型時に高い圧力が必要となるため歪みが大きくなりヒステリシス損失が増加する。従って、従来の方法では、高磁束密度化および低鉄損化の両方を満足することは困難であった。
これまでに、鉄損を低減することができる軟磁性材料を得ることを目的として、金属磁性粒子表面にリン酸と鉄からなる第1絶縁層と、リン酸とAl、Si、Mn、Ti、ZrおよびZnから選ばれる1種以上の原子を含む第2絶縁層とを含む軟磁性金属粉末(特許文献1)が開示されている。
また、耐熱性絶縁被覆を有する鉄基粉末を得ることを目的として、鉄粉などの軟磁性金属粒子表面にシリコーン樹脂及び顔料を含有する被膜で被覆された鉄基粉末(特許文献2)が開示されている。
また、ケイ素を含有する鉄粉などの磁性粉末表面にリン酸塩被膜からなる第1絶縁層とシリコーン樹脂からなる第2絶縁層を形成した軟磁性粒子(特許文献3乃至特許文献6)が開示されている。
また、耐食性および耐熱性に優れた絶縁層を有する軟磁性粒子粉末を得ることを目的として、軟磁性金属粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該被覆に表面改質剤によって被覆された無機化合物からなる絶縁層が形成されている軟磁性粒子粉末(特許文献7)が開示されている。
また、鉄を含む金属磁性粒子の表面を取り囲む非鉄金属の酸化物を含む下層被膜と、前記下層被膜を取り囲み無機化合物を含む絶縁性の上層被膜とを有する軟磁性粒子(特許文献8)が開示されている。
特開2006−128663号公報 特開2003−303711号公報 特開2006−24869号公報 特開2008−63651号公報 特開2009−266973号公報 特開2009−212143号公報 特開2010−62217号公報 特開2007−42891号公報
高い絶縁性を維持しつつ高温での焼き鈍しに耐えうる耐熱性に優れた絶縁被膜を有する軟磁性粒子粉末および高温で焼成した場合においても比抵抗値が低下しにくく、かつ、高い成型体密度を有する圧粉磁心は、現在最も要求されているところであるが、未だ得られていない。
即ち、特許文献1乃至7は、金属磁性粒子表面にリン酸と鉄からなる第1絶縁層と、リン酸とAl、Si、Mn、Ti、ZrおよびZnから選ばれる1種以上の原子を含む第2絶縁層を形成すること、ケイ素を含有する鉄粉などの磁性粉末表面にリン酸塩被膜からなる第1絶縁層とシリコーン樹脂からなる第2絶縁層を形成した軟磁性粒子、あるいは軟磁性金属粒子粉末の粒子表面が表面改質剤によって被覆されていると共に該被覆に表面改質剤によって被覆された無機化合物からなる絶縁層が形成されている軟磁性粒子粉末等が記載されているが、いずれの特許文献にも本発明の軟磁性粒子粉末のように絶縁被膜が、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層と、該第1絶縁層を被覆する無機化合物およびシリコーン樹脂からなる第2絶縁層とからなる構成とはなっていないため、耐熱性に優れると共に、これを用いて得られた圧粉磁心の成型体密度の向上という、相反する特性を同時に満足することができない。
また、特許文献8には、鉄を含む金属磁性粒子の表面を取り囲む非鉄金属の酸化物を含む下層被膜と、前記下層被膜を取り囲み無機化合物を含む絶縁性の上層被膜とを有する軟磁性粒子が記載されているが、本発明の軟磁性粒子粉末のように上層の無機化合物による絶縁層がシリコーン樹脂とともに形成されていないため、後出比較例に示す通り、耐熱性に優れると共に、これを用いて得られた圧粉磁心の成型体密度の向上という、相反する特性を同時に満足することができない。
そこで、本発明は、高い絶縁性を維持しつつ高温での焼き鈍しに耐えうる耐熱性に優れた絶縁被膜を有する軟磁性粒子粉末の提供、ならびに該軟磁性粒子粉末を用いた高い成型体密度を有する圧粉磁心を得ることを技術的課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、軟磁性金属粒子粉末の粒子表面に形成された絶縁被膜が、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層と、該第1絶縁層を被覆する無機化合物およびシリコーン樹脂からなる第2絶縁層とから形成されることによって、耐熱性に優れると共に、これを用いて得られた圧粉磁心の成型体密度の向上という、相反する特性を同時に満足することができることを見いだし、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、粒子表面に絶縁被膜を有する軟磁性金属粒子粉末であって、該絶縁被膜が、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層と、該第1絶縁層を被覆する無機化合物およびシリコーン樹脂からなる第2絶縁層とからなることを特徴とする軟磁性粒子粉末である(本発明1)。
また、本発明は、無機微粒子粉末が表面改質剤によってあらかじめ分散・被覆されたものである本発明1の軟磁性粒子粉末である(本発明2)。
また、本発明は、無機微粒子粉末が、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタニウム、カルシウム、セリウム及びマグネシウムから選ばれる元素を含有する1種又は2種以上の化合物からなる本発明1または本発明2の軟磁性粒子粉末である(本発明3)。
また、本発明は、無機化合物が、リン化合物と、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、鉄及びイットリウムから選ばれる元素を含有する化合物の1種又は2種以上からなる本発明1〜3のいずれかに記載の軟磁性粒子粉末である(本発明4)。
また、本発明は、シリコーン樹脂の被覆量が軟磁性粒子粉末に対して0.1〜10.0重量%である本発明1〜4のいずれかに記載の軟磁性粒子粉末である(本発明5)。
また、本発明は、本発明1〜5のいずれかに記載の軟磁性材粒子粉末を圧縮成形してなる圧粉磁心である(本発明6)。
本発明に係る軟磁性粒子粉末は、耐熱性に優れた絶縁層を有するとともに、該軟磁性粒子粉末を用いることにより高い成型体密度を有する圧粉磁心をえることができるので、圧粉磁心用軟磁性材料として好適である。
本発明に係る圧粉磁心は、前記軟磁性粒子粉末を用いたことにより、高温で焼き鈍しをした場合においても高い比抵抗値を維持すると共に、高い成型体密度を有しているので、高性能圧粉磁心として好適である。
本発明の構成をより詳しく説明すれば次の通りである。
先ず、本発明に係る軟磁性粒子粉末について述べる。
本発明に係る軟磁性粒子粉末は、粒子表面に絶縁被膜を有する軟磁性金属粒子粉末であって、該絶縁被膜は軟磁性金属粒子の粒子表面に第1絶縁層が形成され更に該第1絶縁層に第2絶縁層が順に形成されており、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層と、無機化合物およびシリコーン樹脂からなる第2絶縁層とからなっている。
本発明における軟磁性金属粒子粉末としては、アトマイズ鉄粉、還元鉄粉、カルボニル鉄粉等の各種製法による鉄粉、珪素鋼粉、センダスト粉、パーマロイ粉、パーメンダー粉等を用いることができる。得られる圧粉磁心の透磁率と磁束密度を考慮すれば、鉄粉が好ましい。軟磁性金属粒子粉末の平均粒子径は1.0〜500.0μmが好ましく、より好ましくは2.0〜400.0μm、更により好ましくは3.0〜300.0μmである。
本発明における無機微粒子粉末としては、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタニウム、カルシウム、セリウム及びマグネシウムから選ばれる元素を含有する1種又は2種以上の化合物を用いることができる。好ましくは前記元素を含有する酸化物であり、第2絶縁層を形成するシリコーン樹脂との相性とを考慮すれば、より好ましくはシリカ微粒子粉末である。
本発明における無機微粒子粉末の平均粒子径は100nm未満であることが好ましく、より好ましくは1〜80nm、更により好ましくは3〜50nmである。無機微粒子粉末の平均粒子径が100nm以上の場合には、軟磁性金属粒子表面への無機微粒子粉末からなる均一な絶縁層の形成が困難となる。
本発明における無機微粒子粉末の付着量は、被処理粒子である軟磁性金属粒子粉末の比表面積にもよるが、各無機微粒子粉末の元素換算で0.005〜5.0重量%が好ましく、より好ましくは0.075〜4.0重量%、更により好ましくは0.01〜3.0重量%である。0.005〜5.0重量%の範囲で絶縁層を形成することにより、耐熱性の優れた軟磁性粒子粉末を得ることができる。5.0重量%を超える場合には、絶縁被膜が厚くなるため、これを用いて得られた圧粉磁心は成型体密度が下がるため好ましくない。
本発明における無機微粒子粉末は、表面改質剤によってあらかじめ分散・被覆しておくことが好ましい。
本発明における表面改質剤としては、無機微粒子粉末を所望の程度まで分散することができるものであれば何を用いてもよく、好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤及びオルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物、チタネート系、アルミネート系及びジルコネート系などのカップリング剤、低分子あるいは高分子界面活性剤等の一種又は二種以上であり、より好ましくはアルコキシシラン、フルオロアルキルシラン、シラン系カップリング剤、オルガノポリシロキサン等の有機ケイ素化合物である。
有機ケイ素化合物としては、テトラエトキシシラン、テトラメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン及びデシルトリエトキシシラン等のアルコキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、トルフルオロプロピルトリエトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリエトキシシラン及びトリデカフルオロオクチルトリエトキシシラン等のフルオロアルキルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ―アミノプロピルトリエトキシシラン、γ―グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ―メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ―メタクロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、ポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、変性ポリシロキサン等のオルガノポリシロキサン等が挙げられる。
チタネート系カップリング剤としては、イソプロピルトリステアロイルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルパイロホスフェート)チタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル・アミノエチル)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスフェートチタネート、テトラ(2,2ジアリルオキシメチル−1−ブチル)ビス(ジトリデシル)ホスフェートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)オキシアセテートチタネート、ビス(ジオクチルパイロホスフェート)エチレンチタネート等が挙げられる。
アルミネート系カップリング剤としては、アセトアルコキシアルミニウムジイソプロピレート、アルミニウムジイソプロポキシモノエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスエチルアセトアセテート、アルミニウムトリスアセチルアセトネート等が挙げられる。
ジルコネート系カップリング剤としては、ジルコニウムテトラキスアセチルアセトネート、ジルコニウムジブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリボトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート等が挙げられる。
低分子系界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ジオクチルスルホンコハク酸塩、アルキルアミン酢酸塩、アルキル脂肪酸塩等が挙げられる。高分子系界面活性剤としては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸塩、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸−マレイン酸塩コポリマー、オレフィン−マレイン酸塩コポリマー等が挙げられる。
表面改質剤による被覆は、被覆量が増えると圧縮成形後に軟磁性金属粒子粉末に加えられた歪みを開放するための焼き鈍しを高温で行うことができるため鉄損を低減することができるが、圧粉磁心の成型体密度が下がる。一方、表面改質剤による被覆量が少ないと、軟磁性粒子粉末の耐熱性が低いため、焼き鈍しの温度を高くすることができず鉄損を低減できないが、成型体密度は向上する。トレードオフの関係にあるため、従って、表面改質剤による被覆量は、軟磁性粒子粉末の耐熱性と圧粉磁心の成型体密度のバランスを考慮して、軟磁性粒子粉末に対してC換算で0.001〜3.0重量%の範囲で用いることが好ましい。より好ましくは0.002〜2.0重量%、更に好ましくは0.003〜1.0重量%である。
本発明におけるシリコーン樹脂としては、シロキサン結合による三次元的網状構造を有するポリオルガノシロキサン、もしくはシロキサン結合による三次元的網状構造を形成することのできるポリオルガノシロキサンである。軟磁性金属粒子粉末の表面にシロキサン結合による三次元的網状構造を形成することにより、焼き鈍しのために高温で焼成した際に、シリコーン樹脂を構成する有機成分は揮発してもシロキサン結合部分は残るため、軟磁性粒子粉末の絶縁性の低下を防ぐことができる。
シリコーン樹脂の被覆量は、軟磁性粒子粉末に対して0.05〜5.0重量%であり、好ましくは0.075〜2.5重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。シリコーン樹脂の被覆量が0.05重量%未満の場合には、得られる圧粉磁心の絶縁性が低下するので好ましくない。一方、1.0重量%を超える場合には、絶縁被膜が厚くなるため、これを用いて得られた圧粉磁心は成型体密度が下がるため好ましくない。
本発明における無機化合物としては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、鉄、イットリウム及びリンから選ばれる元素を含有する1種又は2種以上の化合物を用いることができ、好ましくはアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ケイ素及びリンから選ばれる元素を含有する1種又は2種以上の化合物である。
本発明における無機化合物の被覆量は、各元素換算の合計で0.001〜10.0重量%が好ましく、より好ましくは0.002〜7.5重量%、更により好ましくは0.005〜5.0重量%である。0.001〜10.0重量%の添加により、得られる軟磁性粒子粉末の耐熱性をより改善することができる。10.0重量%を超える場合には、これを用いて得られる圧粉磁心の成形体密度が低下するため好ましくない。
本発明に係る軟磁性粒子粉末の平均粒子径は、用途や特性に応じて選べばよいが、1.0〜500.0μmの範囲が好ましい。平均粒子径が500.0μmを超える場合には粒子径が大きすぎ、圧粉磁心に用いた場合、成型体密度が下がるため好ましくない。平均粒子径が1.0μm未満の場合には粒子径が小さすぎ、圧縮成形性が低下するため好ましくない。より好ましくは2.0〜400.0μm、更により好ましくは3.0〜300.0μmである。
本発明に係る軟磁性粒子粉末の比抵抗値は、5.0×10μΩ・m以上であることが好ましく、より好ましくは6.0×10μΩ・m以上、更に好ましくは7.0×10μΩ・m以上である。
本発明に係る軟磁性粒子粉末の耐熱性は、後述する測定方法により、25%以上であることが好ましく、より好ましくは28%以上、更に好ましくは30%以上である。耐熱性が25%未満の場合には、絶縁被膜の耐熱性が十分とは言えず、圧縮成形後に軟磁性金属粒子粉末に加えられた歪みを開放するための高温での焼き鈍しを行うことができない。そのため、これにより得られた軟磁性粒子粉末を用いて作製された圧粉磁心は、ヒステリシス損を低減することができないため、鉄損を低減することが困難となる。
本発明に係る軟磁性粒子粉末の圧縮性は、後述する測定方法により、2.12以下が好ましく、より好ましくは2.11以下、更に好ましくは2.10以下である。圧縮度が2.12を超える場合には、これを用いて得られた圧粉磁心の成型体密度が低下するため好ましくない。
次に、本発明に係る軟磁性粒子粉末の製造法について述べる。
本発明に係る軟磁性粒子粉末は、軟磁性金属粒子粉末と無機微粒子粉末を混合し、次いで、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層を形成した軟磁性金属粒子粉末と有機溶剤に溶解させたシリコーン樹脂と金属アルコキシドの溶液及び/またはリン酸溶液とを混合・攪拌後、30〜120℃で乾燥させることによって得ることができる。
表面改質剤によってあらかじめ分散・被覆された無機微粒子粉末を用いる場合には、無機微粒子粉末と表面改質剤とを機械的に混合攪拌すればよい。
無機微粒子粉末の表面改質剤による前分散処理、並びに、無機微粒子粉末と軟磁性金属粒子粉末との混合攪拌をするための機器としては、特には限定されないが、粉体層に衝撃力、せん断力、圧縮力、及び/または摩擦力を加えることのできる装置が好ましく、例えば、ボール型混練機、高速せん断ミル、ホイール型混練機、ブレード型混練機、ロール型混練機等を用いることができる。本発明の実施にあたっては、ボール型混練機及び高速せん断ミルがより効果的に使用できる。
前記ホイール型混練機としては、具体的に、エッジランナー(「ミックスマラー」、「シンプソンミル」、「サンドミル」と同義語である)、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、コナーミル、リングマラー等があり、好ましくはエッジランナー、マルチマル、ストッツミル、ウエットパンミル、リングマラー、であり、より好ましくはエッジランナーである。前記高速せん断ミルとしては、ハイブリダイザー(奈良機械製作所製)、ノビルタ(ホソカワミクロン製)等がある。前記ボール型混練機としては、転動ボールミル、振動ボールミル、遊星ミル等がある。前記ブレード型混練機としては、ヘンシェルミキサー、プラネタリーミキサー、ナウターミキサー等がある。前記ロール型混練機としては、エクストルーダー等がある。
軟磁性金属粒子粉末の粒子表面に無機微粒子粉末、もしくは表面改質剤によって分散処理された無機微粒子粉末を添加し、混合・攪拌して軟磁性金属粒子粉末表面に無機微粒子粉末からなる第1絶縁層を形成する。
本発明における無機化合物およびシリコーン樹脂からなる第2絶縁層の形成は、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層を形成した軟磁性金属粒子粉末と、あらかじめ有機溶剤中に溶解もしくは分散したシリコーン樹脂溶液中に金属アルコキシドの溶液及び/またはリン酸溶液を加えた混合溶液とを混合・攪拌することにより処理を行うことができる。
有機溶剤としては、シリコーン樹脂を溶解することができるものであれば何を用いてもよい。具体的には、エチルアルコール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン、フェノール、安息香酸等の芳香族系溶剤、n−ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル、エーテルエステル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテル、エーテルアルコール系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)等のグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリドン等を用いることができる。
シリコーン樹脂による処理の均一性を考慮すれば、溶解度パラメーター(SP値)が低くシリコーン樹脂に対して良溶媒であり、且つ、水との相溶性を有している有機溶媒が好ましい。溶解度パラメーター(SP値)は12.0以下であることが好ましく、より好ましくは11.5以下、更により好ましくは11.0以下である。具体的には、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル、エーテルエステル系溶剤、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のエーテル、エーテルアルコール系溶剤、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PM)等のグリコールエーテル系溶剤、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PMA)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のグリコールエステル系溶剤、プロピルアルコール、ブチルアルコール、アセトン等を用いることができ、最も好ましくはアセトンである。
シリコーン樹脂の被覆量は、軟磁性粒子粉末に対して0.05〜5.0重量%であり、好ましくは0.075〜2.5重量%、より好ましくは0.1〜1.0重量%である。シリコーン樹脂の被覆量が0.05重量%未満の場合には、得られる圧粉磁心の絶縁性が低下するので好ましくない。一方、5.0重量%を超える場合には、これを用いて得られる圧粉磁心の成形体密度が低下するため好ましくない。
金属アルコキシドとしては、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、鉄、イットリウム等を構成元素として有するものを用いることができ、好ましくはアルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ケイ素である。また、アルコキシドの種類としては、メトキシド、エトキシド、プロポキシド、イソプロポキシド、オキシイソプロポキシド、ブトキシド等を用いることができる。処理の均一性及び処理効果を考慮すれば、テトラエトキシシラン、アルミニウムトリイソプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、チタニウムテトライソプロポキシド等が好ましい。
また、上記金属アルコキシドは、より均一な処理を行うために、前述の有機溶剤に予め分散又は溶解させて用いることが好ましい。
また、上記金属アルコキシドの加水分解は、選択的に軟磁性金属粒子の第1絶縁層上に付着もしくは被覆させるために、特に水分を添加する必要はなく、軟磁性金属粒子ならびに第1絶縁層を形成する無機微粒子粉末が有する水分により加水分解を行うことが好ましい。
本発明においては、前記金属アルコキシドに加えて、もしくは前記金属アルコキシドに代えて、リン酸溶液又はリン酸塩溶液を添加してもよい。より好ましくは金属アルコキシドの溶液を加えた懸濁液中にリン酸溶液又はリン酸塩溶液を添加する。
金属アルコキシド及び/又はリン酸もしくはリン酸塩の添加量は軟磁性金属粒子粉末の比表面積によって異なるが、通常、軟磁性金属粒子粉末100重量部当たり、各元素換算の合計で0.001〜10.0重量部であることが好ましく、より好ましくは0.002〜7.5重量部、更により好ましくは0.005〜5.0重量部である。
軟磁性金属粒子粉末と金属アルコキシド溶液及び/又はリン酸もしくはリン酸塩溶液とを混合するための機器としては、高速アジテート型ミキサー、具体的にはヘンシェルミキサー、スピードミキサー、ボールカッター、パワーミキサー、ハイブリッドミキサー等を使用すればいい。
軟磁性金属粒子粉末と金属アルコキシド溶液及び/又はリン酸もしくはリン酸塩溶液との混合・攪拌は、室温から用いる有機溶剤の沸点以下で行うことが好ましい。また、軟磁性粒子粉末の酸化防止の観点から、Nガスなどの不活性ガス雰囲気下で反応を行ってもよい。
得られた軟磁性粒子粉末は、室温下、ドラフト中で3〜24時間乾燥させた後、60〜120℃の温度範囲で乾燥させるか、もしくは30〜80℃の温度範囲で減圧乾燥を行うことにより得ることができる。乾燥は、空気中及びNガスなどの不活性ガス雰囲気下のいずれでも行うことができる。
次に、本発明に係る圧粉磁心について述べる。
本発明に係る圧粉磁心は、本発明に係る軟磁性粒子粉末に、必要により、ステアリン酸亜鉛等の潤滑剤や結合剤樹脂等の添加剤を混合し、該混合粒子粉末を圧縮成形した後、加熱処理することによって得ることができる。
結合剤樹脂としては、エポキシ樹脂、イミド樹脂、フェノール樹脂、又はシリコーン樹脂等を単独又は混合して用いることができる。
圧縮成形は、通常行われている、金型を用いた圧縮成形法で行うことができる。なお、成形圧は、用途に応じて適宜選べばよい。
圧縮成形後の歪み取りのための焼き鈍し温度は、磁性粒子自体が熱拡散による粒子成長が起こらない高温が望ましい。好ましくは500〜1200℃であり、より好ましくは600〜1000℃である。焼き鈍しの雰囲気は、窒素やArガスなどの不活性ガス雰囲気中、水素などの還元性雰囲気中、あるいは真空などの非酸化性雰囲気中で行うことが望ましい。
本発明に係る圧粉磁心は、高温(750℃)における焼き鈍し後の比抵抗値が、250μΩ・m以上であることが好ましく、より好ましくは260μΩ・m以上、更に好ましくは270μΩ・m以上である。また、750℃における焼き鈍し後の成型密度は6.8g/mL以上が好ましく、より好ましくは6.9g/mL以上と、更に好ましくは7.0g/mL以上である。
<作用>
本発明における最も重要な点は、軟磁性金属粒子粉末の粒子表面に、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層と、該第1絶縁層を被覆する無機化合物およびシリコーン樹脂からなる第2絶縁層の順に形成された絶縁被膜を有する軟磁性粒子粉末は、耐熱性に優れており、これを用いて得られた圧粉磁心は成型体密度が低下しにくいという、相反する特性を同時に満足することができるという事実である。
本発明に係る軟磁性粒子粉末の耐熱性が優れている理由として、本発明者は、軟磁性金属粒子粉末の粒子表面にシリコーン樹脂を被覆する場合と比べて、無機微粒子粉末を介して被覆することにより、シリコーン樹脂がより三次元的網状構造を形成し易くなり、その結果、焼き鈍しのために高温で焼成した際に、シリコーン樹脂を構成する有機成分は揮発しても軟磁性金属粒子粉末の粒子表面に網状に形成されたシロキサン結合部分は残るため、軟磁性粒子粉末の絶縁性の低下を防ぐことができたものと考えている。
また、無機化合物とシリコーン樹脂を同時に処理することにより、シリコーン樹脂がより三次元的網状構造を形成し易くなったものと推定している。
以下、本発明における実施例を示し、本発明を具体的に説明する。
各粒子粉末の平均粒子径は、いずれも電子顕微鏡写真(SEM)に示される粒子50〜350個の粒子径をそれぞれ測定し、その平均値で示した。
軟磁性粒子粉末の粒子表面に形成されている第1絶縁層中の無機微粒子粉末、および第2絶縁層中の無機化合物の含有量は、「蛍光X線分析装置3063M型」(理学電機工業株式会社製)を使用し、JIS K0119の「けい光X線分析通則」に従って測定した。
軟磁性粒子粉末の粒子表面に形成されている第2絶縁層中のシリコーン樹脂の被覆量は、「堀場金属炭素・硫黄分析装置EMIA−2200型」(株式会社堀場製作所製)を用い、カーボン量を測定することにより求めた。
比抵抗値は、試料粉体を試料台にセットし、4端子法にて荷重を40MPaかけたときの比抵抗値を測定することにより求めた。
軟磁性粒子粉末の耐熱性は、絶縁層を形成する前の未処理の軟磁性粒子粉末の比抵抗値(ρ1)と750℃で1時間加熱した後の軟磁性粒子粉末の比抵抗値(ρ2)をそれぞれ測定し、下記数1にそれぞれの値を挿入して、求めた値を耐熱性(%)として示した。
<数1>
耐熱性(%)=(ρ2/ρ1)×100
軟磁性粒子粉末の圧縮性は、比抵抗値を求める際に40MPaかけた時の体積を示した。一定の圧力をかけた際の体積が小さいほど圧縮性が優れていることを示す。
圧粉磁心の比抵抗値及び成型密度は、まず、軟磁性粒子粉末6.0gを測り取り、短冊形成型金型(幅26mm×奥行5mm)を用いて、成型圧力1960MPaで加圧成型を行うことにより、短冊状成形体を複数個作製し、該短冊状成型体を大気下にて450℃、600℃および750℃でそれぞれ30分間加熱処理を行ったものを評価試料として用いた。
圧粉磁心の比抵抗値は、上述の各温度にて焼き鈍ししたものについて、成型体両端に100mAの電流を印加、プレス面の電圧を電圧計で測定し(7.6mmピッチ)求めた。
圧粉磁心の成型密度は、750℃にて焼き鈍しした短冊状成型体について、重量を秤量、デジタルノギスで幅、奥行、高さを測定し体積を求め算出した。
<実施例1−1:軟磁性粒子粉末の製造>
無機微粒子1(種類:SiO、粒子形状:球状、平均粒子径:15nm)2kgと表面改質剤としてメチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)240gをミックスマラー「MSH0LH」(製品名、新東工業株式会社製)に投入し、30分間混合攪拌を行い、表面改質剤であらかじめ分散・被覆された無機微粒子粉末4を得た。
軟磁性金属粒子A(種類:鉄粉、粒子形状:粒状、平均粒子径:83.0μm、比抵抗値:2087μΩ・m)10kgに、無機微粒子4を100g加えた後、ミックスマラーを用いて60分間混合・攪拌を行い、軟磁性金属粒子粉末の表面に無機微粒子粉末からなる第1絶縁層が形成された複合粒子粉末を得た。
次いで、予めメチルシリコーン(商品名:YR3370、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)25gを溶解したアセトン溶液と、アルミニウムトリイソプロポキシド32.2gとリン酸(85%溶液)18.2gを溶解、分散したアセトン溶液を用意し、混合した後、上記で得られた複合粒子粉末5kgを加え、混合機を用いて回転混合させながら、20分間攪拌・混合を行った。
次いで、得られた混合溶液を45℃において減圧乾燥を行い、粒子表面にシリコーン樹脂からなる絶縁被膜を有する軟磁性粒子粉末を得た。次いで、得られた混合溶液を45℃において減圧乾燥を行った後、大気中で80℃、6時間乾燥を行い、粒子表面にシリコーン樹脂と無機化合物からなる第2絶縁層を有する軟磁性粒子粉末(実施例1−1)を得た。
得られた軟磁性粒子粉末は、平均粒子径が84.7μmであり、比抵抗値は8.6×10μΩ・m、耐熱性は42%、圧縮性は2.02cmであった。
<実施例2−1:圧粉磁心の製造>
前記軟磁性粒子粉末6.0gを秤量し、ステアリン酸亜鉛を塗布した金型を用い、成形圧力1960MPaで短冊状(幅26mm×奥行5mm)に圧縮成形し、圧粉磁心を得た。
得られた圧粉磁心の、450℃×30分焼鈍後の比抵抗値は7417μΩ・m、600℃×30分焼鈍後の比抵抗値は1283μΩ・m、750℃×30分焼鈍後の比抵抗値は408μΩ・m、750℃×30分焼鈍後の成型密度は7.28g/mLであった。
前記実施例1−1及び2−1に従って軟磁性粒子粉末及び圧粉磁心を作製した。各製造条件及び得られた軟磁性粒子粉末及び圧粉磁心の諸特性を示す。
軟磁性金属粒子A〜E:
被処理粒子粉末として表1に示す特性を有する軟磁性金属粒子粉末を用意した。
Figure 0006617867
無機微粒子1〜3:
第1絶縁層を形成する無機微粒子粉末として表2に示す無機微粒子粉末を用意した。
Figure 0006617867
無機微粒子4〜6:
表面改質剤の種類および添加量、無機微粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記実施例1−1と同様にして表面改質剤被覆無機微粒子を得た。
このときの製造条件および得られた表面改質剤被覆無機微粒子粉末の諸特性を表3に示す。
Figure 0006617867
実施例1−2〜1−5、参考例1−1、比較例1−1〜1−5:
軟磁性金属粒子粉末の種類、第1絶縁層を形成するための無機微粒子粉末の種類および添加量、並びに第2絶縁層を形成するためのシリコーン樹脂の種類および添加量、ならびに無機化合物の種類および添加量を種々変化させた以外は実施例1−1と同様にして軟磁性粒子粉末を得た。
なお、比較例1−5は、軟磁性金属粒子粉末として、軟磁性金属粒子粉末の粒子表面を下記方法にてあらかじめ表面改質剤で被覆したものを用いて、第1絶縁層を形成した。
軟磁性金属粒子A(種類:鉄粉、粒子形状:粒状、平均粒子径:83.0μm、比抵抗値:2087μΩ・m)10kgと表面改質剤としてメチルハイドロジェンポリシロキサン(商品名:TSF484、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン製)50gをミックスマラー「MSH0LH」(製品名、新東工業株式会社製)に投入し、30分間混合攪拌を行い、表面改質剤であらかじめ被覆された軟磁性金属粒子Aを得た。
このときの製造条件を表4に、得られた軟磁性粒子粉末の諸特性を表5に示す。
Figure 0006617867
Figure 0006617867
実施例2−2〜実施例2−5、参考例2−1、比較例2−1〜2−5
軟磁性粒子粉末の種類を種々変化させた以外は、前記実施例2−1と同様にして圧粉磁心を得た。
得られた圧粉磁心の諸特性を表6に示す。
Figure 0006617867
本発明に係る軟磁性粒子粉末は、耐熱性に優れた絶縁層を有するとともに、該軟磁性粒子粉末を用いることにより高い成型体密度を有する圧粉磁心を得ることができるので、圧粉磁心用軟磁性材料として好適である。
本発明に係る圧粉磁心は、前記軟磁性粒子粉末を用いたことにより、高温で焼き鈍しをした場合においても高い比抵抗値を維持すると共に、高い成型体密度を有しているので、高性能圧粉磁心として好適である。

Claims (5)

  1. 粒子表面に絶縁被膜を有する軟磁性金属粒子粉末であって、該絶縁被膜が、無機微粒子粉末からなる第1絶縁層と、該第1絶縁層を被覆する無機化合物およびシリコーン樹脂からなる第2絶縁層とからなり、前記無機化合物が、リン化合物と、アルミニウム、ジルコニウム、チタニウム、ケイ素、カルシウム、マグネシウム、鉄及びイットリウムから選ばれる元素を含有する1種又は2種以上の化合物とからなることを特徴とする軟磁性粒子粉末。
  2. 無機微粒子粉末が表面改質剤によってあらかじめ分散・被覆されたものである請求項1に記載の軟磁性粒子粉末。
  3. 無機微粒子粉末が、アルミニウム、ケイ素、ジルコニウム、チタニウム、カルシウム、セリウム及びマグネシウムから選ばれる元素を含有する1種又は2種以上の化合物からなる請求項1または2に記載の軟磁性粒子粉末。
  4. シリコーン樹脂の被覆量が軟磁性粒子粉末に対して0.1〜5.0重量%であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の軟磁性粒子粉末。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の軟磁性材粒子粉末を圧縮成形してなる圧粉磁心。
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