JP7147440B2 - ポリエステル組成物の製造方法 - Google Patents

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本発明は、色調に優れるポリエステル組成物の製造方法に関するものである。
ポリオレフィン系繊維の一種であるポリエチレン繊維やポリプロピレン繊維は、軽量性や耐薬品性に優れるものの、極性官能基を有さないため染色することが困難であるという衣料用繊維としての欠点を有している。そのため、衣料用途には適さず、現状ではタイルカーペット、家庭用敷物、自動車用マットなどのインテリア用途や、ロープ、養生ネット、ろ過布、細幅テープ、組紐、椅子張りなどの資材用途などの限られた用途において利用されている。
このような状況の中、ポリオレフィン系繊維の簡便な染色方法として、染色性の低いポリオレフィンと染色可能なポリマーとを複合化する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1では、染色可能なポリマーとして、シクロヘキサンジカルボン酸(以下、CHDAと略すことがある。)を共重合した共重合ポリエステルを用いてなる可染性ポリオレフィン繊維が提案されている。本文献では、ポリオレフィンにブレンドした共重合ポリエステルの分散径を特定範囲に制御することで、より高い発色性を示す可染性ポリオレフィン繊維が得られることが記載されている。
さらに鋭意検討を重ねた結果、特許文献1で示される共重合ポリエステルとしては、テレフタル酸および/またはそのエステル形成性誘導体、およびCHDAおよび/またはそのエステル形成性誘導体からなるジカルボン酸成分と、エチレングリコール(以下、EGと略すことがある。)を共重合した共重合ポリエチレンテレフタレート(以下、共重合PETと略すことがある。)であることが好ましいことを見出した(特許文献2)。
そこで次に、上記共重合PETの製造方法について検討した。
一般的に、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと略すことがある。)の工業的製造方法としては、テレフタル酸とEGの直接エステル化または、テレフタル酸ジメチルとEGのエステル交換反応によって、まずテレフタル酸のジグリコールエステル(以下、BHTと略すことがある。)とする第一段目の反応と、高温・高真空下においてBHTの重縮合を進める第二段目の反応に分けて実施される(例えば非特許文献1)。
この中で、テレフタル酸とEGを原料とする直接エステル化反応では、テレフタル酸がEGに難溶であることから、特にEG/テレフタル酸のモル比が小さい領域では不均一系での反応となり、反応速度が著しく低下することが知られている。
前記問題を解決するため、直接エステル化反応時に反応系全体を加圧とすることで、反応温度を上昇させ、エステル化反応速度を増大する技術が知られている。しかしながら、本方法を用いると、EGの二量化エーテル副生物であるジエチレングリコール(以下、DEGと略すことがある。)形成速度も増大してしまい、熱特性に劣るPETが得られるという問題があった。
一方で、テレフタル酸はBHTに少量溶解することが知られており、テレフタル酸とEGの直接エステル化反応時にBHTを共存させることで、エステル化反応速度が増大する技術が知られている。
そこで、上記共重合PETの重合においては、テレフタル酸ジメチルとEGのエステル交換反応によりBHTを合成する第一段目の反応の後、テレフタル酸、CHDAおよびEGを添加する第二段目の反応を実施することで、共重合PETオリゴマーを合成し、その後共重合PETオリゴマーを高温・高真空下に重縮合することで、効率よく共重合PETを得ることに成功した(特許文献2)。
しかしながら、前記製造方法では、第一段目の反応で合成したBHTが第二段目の反応中も熱履歴を受けるため、得られた共重合PETの色調が悪化し、またDEG含有量が増大するという問題があった。色調が悪化すると染色可能ポリマーとしての役割を十分に発揮することができず、DEG含有量が増大するとポリオレフィンと複合化して紡糸する際の紡糸性に悪影響を及ぼす懸念がある。
国際公開WO2017/154665号パンフレット 特願2018-35185 湯木和男編:「飽和ポリエステル樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社、1989年出版、90頁―205頁
色調が良く、DEG含有量が少ないポリエステル組成物の製造方法を提供する。
本発明者らは、上記課題に向けて鋭意検討を重ねた結果、CHDAとEGの混合物を100℃以上に加熱することで、CHDAの大部分がEGに溶解することを見出した。また、前記加熱溶液にテレフタル酸とEGの混合物を逐次添加または連続添加しながら、混合物全体を250℃まで昇温することで、BHTを共存させなくてもテレフタル酸とEGのエステル化反応速度を増大することを見出した。その結果、熱履歴が少なく、色調が良好であり、DEG含有量が少ない共重合PETを得ることができる。
すなわち、共重合ポリエステル組成物の製造方法として、以下の方法により製造することにより、共重合ポリエステル組成物にかかる熱履歴を抑制し、その結果、色調が良好であり、DEG含有量の少ない共重合ポリエステル組成物が得られる。
テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびエチレングリコールを重縮合した共重合ポリエステルを主成分とするポリエステル組成物の製造方法であって、
100℃以上に加熱したシクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールの混合物に対して、
テレフタル酸とエチレングリコールの混合物を逐次添加または連続添加しながら、
混合物全体を大気圧下で230℃以上に昇温し、脱水せる直接エステル化工程の後、
重縮合反応させるポリエステル組成物の製造方法。
本発明の製造方法にて製造したポリエステル組成物は色調が良く、DEG含有量が少ないことから、このポリエステル組成物をポリオレフィンにブレンドすることで、長期紡糸性および色調に優れた可染性ポリオレフィン組成物を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の製造方法にて得られるポリエステル組成物は、ジカルボン酸成分としてテレフタル酸およびCHDA、ジオール成分としてEGを原料とする共重合ポリエステルを主成分とするポリエステル組成物である。
本発明において、長期紡糸性および染色性の観点から、ジカルボン酸成分はテレフタル酸を40~90モル%、CHDAを10~60モル%から成ることが好ましい。本発明の効果を損なわない範囲で、その他のジカルボン酸が含まれていてもよい。
本発明において、CHDAとしては、例えば1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられ、これらのいずれか1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸は、耐熱性および機械的特性の観点より好適に採用できる。
本発明において、ジオール成分としてはEGが用いられるが、本発明の効果を損なわない範囲で、その他のジオールが含まれていてもよい。
本発明のポリエステル組成物は次のプロセスで製造される。
すなわち、(1)テレフタル酸、CHDAおよびEGを原料とし、直接エステル化反応によってポリエステルオリゴマー組成物を得、(2)さらにその後の重縮合反応によって高分子量のポリエステル組成物を得るプロセスである。
(1)のプロセスの直接エステル化反応の際、始めに反応装置にCHDAとEGの混合物を添加し、100℃以上に加熱することが必須である。100℃以上に加熱することで、CHDAがEGに一部溶解し、混合物の粘度が大幅に低下することで、次プロセスにてテレフタル酸およびEGの混合物を逐次添加した際のエステル化反応速度が向上する。150℃以上がより好ましく、170℃以上が特に好ましい。
続いて、100℃以上に加熱したCHDAとEGの混合物に、テレフタル酸とEGの混合物を逐次添加または連続添加しながら、反応系全体を230℃以上まで昇温し、脱水縮合させる直接エステル化工程が必須である。反応速度が上昇するため250℃以上まで昇温することがより好ましい。急激な昇温によるEG突沸等の危険を避けるため、昇温時間は60分以上、150分以下であることが好ましい。また、反応副生物である水を速やかに系外に留出させるため、反応系全体を大気圧下で行うことが好ましい。テレフタル酸とEGの混合物を逐次添加または連続添加することで、反応系中に存在する未反応EG量を最小限にできるため、DEG形成速度が低下する。
(1)のプロセスの直接エステル化反応において、ジオール成分とジカルボン酸成分のモル比を以下式(1)にて表した際、CHDAとEGの混合物におけるCHDAとEGのモル比を1.05~1.50に調製し、テレフタル酸とEGの混合物におけるテレフタル酸とEGのモル比を1.05~1.50とすることが好ましい。モル比を1.05以上とすることにより、高分子量のポリエステル組成物を得ることができる。また、モル比を1.50以下とすることにより、DEG含有量の少ないポリエステル組成物を得ることができる。なお、モル比は以下式(1)にて表される。
モル比=(ジオール成分のモル量)/(ジカルボン酸成分のモル量) (1)
(2)のプロセスの重縮合反応では、反応温度を290℃以下、圧力は減圧にすればするほど重合時間が短くなり好ましい。
重縮合の際に用いられる触媒としては、チタン化合物、アルミニウム化合物、スズ化合物、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物などが用いられる。これら金属化合物は、水和物であってもよい。
この場合に用いるマグネシウム化合物としては、具体的には、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、マグネシウムアルコキシド、酢酸マグネシウム、炭酸マグネシウム等が挙げられる。
マンガン化合物としては、具体的には、塩化マンガン、臭化マンガン、硝酸マンガン、炭酸マンガン、マンガンアセチルアセトネート、酢酸マンガン等が挙げられる。
カルシウム化合物としては、具体的には、酸化カルシウム、水酸化カルシウム、カルシウムアルコキシド、酢酸カルシウム、炭酸カルシウム等が挙げられる。
コバルト化合物としては、具体的には、塩化コバルト、硝酸コバルト、炭酸コバルト、コバルトアセチルアセトネート、ナフテン酸コバルト、酢酸コバルト等が挙げられる。
リチウム化合物としては、具体的には、酸化リチウム、水酸化リチウム、リチウムアルコキシド、酢酸リチウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
チタン化合物としては、チタン錯体、テトラ-i-プロピルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネート、テトラ-n-ブチルチタネートテトラマーなどのチタンアルコキシド、チタンアルコキシドの加水分解により得られるチタン酸化物、チタンアセチルアセトナートなどが挙げられる。中でも多価カルボン酸および/またはヒドロキシカルボン酸および/または多価アルコールをキレート剤とするチタン錯体であることが、ポリマーの熱安定性、色調および口金まわりの堆積物の少なさの観点から好ましい。チタン化合物のキレート剤としては、乳酸、クエン酸、マンニトール、トリペンタエリスリトール等が挙げられる。
アルミニウム化合物としては、カルボン酸アルミニウム、アルミニウムアルコキシド、アルミニウムキレート化合物、塩基性アルミニウム化合物などが挙げられ、具体的には酢酸アルミニウム、水酸化アルミニウム、炭酸アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムアセチルアセトナート、塩基性酢酸アルミニウムなどが挙げられる。
スズ化合物としてはモノブチルスズオキシド、酢酸スズ、オクチル酸スズやスズアルコキシドなどが挙げられる。
アンチモン化合物としてはアンチモンアルコキシド、アンチモングリコラートや三酸化アンチモンが挙げられる。
ゲルマニウム化合物としては、ゲルマニウムアルコキシドや酸化ゲルマニウム等が挙げられる。
本発明の製造方法において得られるポリエステル組成物は、安定剤としてリン化合物が10~1000ppm添加されていることが好ましい。具体的にはリン酸、リン酸トリメチル、ジエチルホスホノ酢酸エチル等が好ましく、3,9-ビス(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノキシ)-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン(PEP-36:旭電化社製)や亜りん酸トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)(IRGAFOS168:BASF社製)などの3価リン化合物が色調や耐熱性改善の面からより好ましい。
本発明の製造方法において得られるポリエステル組成物は、酸化防止剤が100~10000ppm添加されていることが好ましい。なかでもラジカル連鎖反応禁止剤であるフェノール系酸化防止剤がより好ましい。フェノール系酸化防止剤として、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート)(例えば、BASF製Irganox1010)、2,4,6-トリス(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシベンジル)メシチレン(例えば、ADEKA製アデカスタブAO-330)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]-ウンデカン(例えば、住友化学製スミライザーGA-80、ADEKA製アデカスタブAO-80)、1,3,5-トリス[[4-(1,1-ジメチルエチル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルフェニル]メチル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン(例えば、東京化成工業製THANOX1790、CYTEC製CYANOX1790)は、酸化分解抑制効果が高いため、好適に採用でき、これらの中で1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。なかでも、ペンタエリスリトール-テトラキス(3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェノール)プロピオネート)(例えば、BASF製Irganox1010)、3,9-ビス[1,1-ジメチル-2-[β-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]-ウンデカン(例えば、住友化学製スミライザーGA-80、ADEKA製アデカスタブAO-80)は、ポリエステル組成物の重縮合温度においても飛散が少なく、特に好適に採用できる。
さらに本発明の製造方法において得られるポリエステル組成物には、紫外線吸収剤、難燃剤、蛍光増白剤、艶消剤、可塑剤もしくは消泡剤又はその他の添加剤等を必要に応じて配合してもよい。
これらリン化合物、酸化防止剤、その他の添加剤の添加方法としては公知の方法を用いることができ、添加する添加剤に応じて適切な方法を採用することができる。
本発明の製造方法において得られたポリエステル組成物は色調に優れ、DEG含有量が少ないため、ポリオレフィンにブレンドすることで、特許文献1に示すような可染性ポリオレフィン樹脂組成物からなる繊維、およびそれからなる繊維構造体に好適に使用できる。耐熱性の指標である融点(Tm)が低下しないため、DEG含有量は1.7wt%以下が好ましく、1.6wt%以下がより好ましい。また、染色可能ポリマーとしての役割を十分に発揮するために、チップの黄味の度合いを示す色調b値は1.2以下が好ましく、1.0以下がより好ましい。
上記可染性ポリオレフィン繊維は、従来のポリオレフィン系繊維が使用されている用途に加えて、衣料用途ならびに軽量性や発色性が要求される用途への展開が可能である。従来のポリオレフィン系繊維が使用されている用途として、タイルカーペット、家庭用敷物、自動車用マットなどのインテリア用途、ふとん用詰め綿、枕の充填材などの寝具、ロープ、養生ネット、ろ過布、細幅テープ、組紐、椅子張りなどの資材用途などが挙げられるが、これらに限定されない。さらに、本発明によって拡張される用途として、婦人服、紳士服、裏地、下着、ダウン、ベスト、インナー、アウターなどの一般衣料、ウインドブレーカー、アウトドアウェア、スキーウェア、ゴルフウェア、水着などのスポーツ衣料、ふとん用側地、ふとんカバー、毛布、毛布用側地、毛布カバー、枕カバー、シーツなどの寝具、テーブルクロス、カーテンなどのインテリア、ベルト、かばん、縫糸、寝袋、テントなどの資材などの用途が挙げられるが、これらに限定されない。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。
用いた原料は以下のとおりである。
1.テレフタル酸:三井化学社製高純度テレフタル酸。
2.1,4-シクロヘキサンジカルボン酸:新日本理化株式会社製。
3.エチレングリコール:三菱化学社製
なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
A.固有粘度(IV)
得られたポリエステル組成物を、o-クロロフェノール溶媒に溶解し、0.5g/dL、0.2g/dL、0.1g/dLの濃度の溶液を調整した。その後、得られた濃度Cの溶液の25℃における相対粘度(ηr)を、ウベローデ粘度計により測定し、(ηr-1)/CをCに対してプロットした。得られた結果を濃度0に外挿することにより、固有粘度を求めた。
B.融点(Tm)および融解熱量(ΔHm)
ポリエステル組成物を130℃の真空乾燥機中で12時間真空乾燥させ、真空乾燥後のポリマー約5mgを秤量し、TAインスツルメント製示差走査熱量計(DSC)Q2000型を用いて、0℃から280℃まで昇温速度16℃/分で昇温後、280℃で5分間保持してDSC測定を行った。昇温過程中に観測された融解ピークより融点(Tm)および融解熱量(ΔHm)を算出した。測定は1試料につき3回行い、その平均値を融解熱量とした。なお、融解ピークが複数観測された場合には、最も高温側の融解ピークトップをTmとし、Tmを含む一続きの融解熱量の合計をΔHmとした。
C.チップ色調
得られたペレットを試料とし、石英ガラス製の容器に充填した状態でハンター型色差計(スガ試験機(株)製SMカラーコンピュー型式SM-3)を用いて測定した。なお、測定は1試料につき3回行い、その平均値とした。
D.ポリマーのジエチレングリコール(DEG)含有量
2-アミノエタノールを溶媒とし、内部標準物質である1,6-ヘキサンジオールを加えて260℃で分解した。冷却後、メタノールを加えたのち酸で中和し、析出物をろ過した。ろ液をガスクロマトグラフィ(島津製作所社製、GC-14B)にて測定した。
実施例1
(直接エステル化反応)
大気圧に保持されたエステル化反応槽に、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸31kgおよびエチレングリコール13kgを供給し、温度170℃まで昇温した。続いて、テレフタル酸56kg、エチレングリコール25kgのスラリーを120分かけて連続供給しながら水を留出させつつ、またスラリー供給開始直後から90分かけて250℃まで昇温した。スラリー供給終了後もさらに180分かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物を全量重縮合槽に移送した。
(重縮合)
移送後、エステル化反応生成物に、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で300ppm相当の三酸化アンチモン、リン原子換算で40ppm相当のリン酸、フェノール系酸化防止剤としてBASF社製IRGANOX1010を150gエチレングリコール溶液として添加した。その後、30rpmで撹拌しながら反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を110Paまで下げた。最終温度および最終圧力到達までの時間は60分とした。所定の攪拌トルクに到達した後、ストランド状に吐出して冷却し、直ちにカッティングした。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は120分であった。ポリマー物性を表1にまとめた。
Figure 0007147440000001
実施例2~7
直接エステル化反応における各種条件を表1の通り変更した以外は実施例1と同様にしてポリエステル組成物を得た。ポリマー物性を表1にまとめた。
比較例1
(エステル交換反応)
得られるポリマーに対してマグネシウム原子換算で600ppm相当の酢酸マグネシウムとテレフタル酸ジメチル100kgとエチレングリコール56kgを、150℃、窒素雰囲気下で溶融後、攪拌しながら230℃まで180分かけて昇温し、メタノールを留出させ、エステル交換反応をおこない、ビス(ヒドロキシエチル)テレフタレートを得た。
(BHT共存エステル化反応1回目)
続いて、温度250℃、圧力1.2×100,000Paに保持されたエステル化反応槽に、テレフタル酸26kg、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸62kgおよびエチレングリコール38kgのスラリーを240分かけて順次供給し、水を留出させ、供給終了後もさらに60分かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物106kgを重縮合槽に移送した。
(重縮合1回目)
移送後、エステル化反応生成物に、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で300ppm相当の三酸化アンチモン、リン原子換算で40ppm相当のリン酸をエチレングリコール溶液として添加し、フェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010を150g添加した。その後、30rpmで撹拌しながら反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を110Paまで下げた。最終温度および最終圧力到達までの時間は60分とした。所定の攪拌トルクに到達した後、ストランド状に吐出して冷却し、直ちにカッティングした。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は120分であった。ポリマー物性を表2にまとめた。
Figure 0007147440000002
比較例2
(エステル化反応2回目)
比較例1のBHT共存エステル化反応1回目で得られ、温度250℃、圧力1.2×100,000Paに保持された、エステル化反応物が残留しているエステル化反応槽に、テレフタル酸56kg、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸31kgおよびエチレングリコール38kgのスラリーを再び240分かけて順次供給し、水を留出させ、供給終了後もさらに60分かけてエステル化反応を行い、得られたエステル化反応生成物106kgを重縮合槽に移送した。
(重縮合2回目)
移送後、エステル化反応生成物に、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で300ppm相当の三酸化アンチモン、リン原子換算で40ppm相当のリン酸をエチレングリコール溶液として添加し、フェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010を150g添加した。その後、30rpmで撹拌しながら反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を110Paまで下げた。最終温度および最終圧力到達までの時間は60分とした。所定の攪拌トルクに到達した後、反応系を窒素パージして常圧に戻して重縮合反応を停止させ、30分間吐出前滞留を実施した。吐出前滞留実施後、ストランド状に吐出して冷却し、直ちにカッティングしてポリエステル組成物のペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は120分であった。ポリマー物性を表2にまとめた。
比較例3
(加圧あり直接エステル化反応)
エステル化反応槽にテレフタル酸56kg、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸31kgおよびエチレングリコール38kgを仕込み、原料仕込みと同時に昇温を開始して、250℃の温度で1.9kgf/cmゲージ圧下で水を留出させつつエステル化反応を実施した。その後、反応を開始して225分後に、得られたエステル化反応生成物を全量重縮合槽に移送した。
(重縮合)
移送後、エステル化反応生成物に、得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で300ppm相当の三酸化アンチモン、リン原子換算で40ppm相当のリン酸をエチレングリコール溶液として添加し、フェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010を150g添加した。その後、30rpmで撹拌しながら反応系を減圧して反応を開始した。反応器内を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を110Paまで下げた。最終温度および最終圧力到達までの時間は60分とした。所定の攪拌トルクに到達した後、ストランド状に吐出して冷却し、直ちにカッティングした。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は120分であった。ポリマー物性を表2にまとめた。
実施例1~7および比較例1~3を比較すると、本発明の方法にて製造したポリエステル組成物は、従来の製造法対比DEG含有量が少なく熱特性に優れ、黄味の少ないペレットであることが分かる。
本発明の製造方法にて得られたポリエステル組成物を含む可染性ポリオレフィン組成物は、長期連続紡糸性に優れ、かつ優れた発色性が付与されたものであり、繊維および繊維構造体として好適に用いることができる。

Claims (2)

  1. テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸およびエチレングリコールを重縮合した共重合ポリエステルを主成分とするポリエステル組成物の製造方法であって、100℃以上に加熱したシクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールの混合物に対して、テレフタル酸とエチレングリコールの混合物を逐次添加または連続添加しながら、混合物全体を大気圧下で230℃以上に昇温し、脱水せる直接エステル化工程の後、重縮合反応させるポリエステル組成物の製造方法。
  2. シクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールの混合物におけるシクロヘキサンジカルボン酸とエチレングリコールのモル比を1.05~1.50に調製し、テレフタル酸とエチレングリコールの混合物におけるテレフタル酸とエチレングリコールのモル比を1.05~1.50に調製することを特徴とする請求項1記載のポリエステル組成物の製造方法。なお、モル比は以下式(1)にて表される。
    モル比=(ジオール成分のモル量)/(ジカルボン酸成分のモル量) (1)
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