JP2006274506A - 産業資材用ポリエステル繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】
従来品に比べて高品位であり、撚糸時強力利用率、および耐光性に優れることからタイヤコード、ベルト、ホースなどのゴム補強用繊維、シートベルト用、および漁網用繊維など産業資材用として種々の用途に好適に活用できるポリエステル繊維を提供する。
【解決手段】
(1)チタン錯体のキレート剤がヒドロキシカルボン酸であるチタン化合物、(2)リン化合物、(3)アルカリ金属化合物、および(4)アルカリ土類金属化合物および/又はマンガン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を特定量含んだポリエステルであって、固有粘度が0.80以上、強度が6.5cN/dtex以上であることを特徴とする産業資材用ポリエステル繊維。
【選択図】なし

Description

本発明は、産業資材用ポリエステル繊維に関するものである。更に詳しくは、毛羽がなく品位が良好であると共に、撚糸時の強力利用率、および耐光性に優れることから、タイヤコード、ベルト、ホースなどのゴム補強用繊維、シートベルト用、および漁網用繊維など、産業資材用として種々の用途に好適に活用できるポリエステル繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(以下、PETという)に代表されるポリエステルは機械的強度、耐薬品性などに優れるため、繊維、フィルムあるいは樹脂用途などに広く使用されており、例えば繊維の場合には衣料用途だけでなく、タイヤコード、ベルト、ホース等のゴム製品の補強用材料として産業資材用途にも幅広く用いられている。
産業資材用ポリエステル繊維としては、特に強度低下をもたらす異物が繊維中に含まれないこと、また製糸時にろ圧上昇や口金汚れのないことが求められており、これらの問題はポリエステルの重縮合触媒であるアンチモン化合物に起因したポリマー中に不溶性な異物(アンチモン触媒残渣)であることが知られている。このアンチモン触媒残渣は比較的大きな粒子状物となりやすいために成形加工時のフィルター詰まりによるろ圧上昇、紡糸の際の糸切れ等の原因になる等の好ましくない特性を有しており、操業性を低下させる一因となっている。アンチモン化合物に起因する異物を少なくすることによって高強度糸を得る方法として、アンチモン化合物に替えてゲルマニウム化合物を用いたり(特許文献1)、アンチモン化合物にゲルマニウム化合物を併用したポリエステルを使用する方法(特許文献2)が提案されているものの、ゲルマニウム化合物は非常に高価であり汎用的に用いることは難しい。また、アンチモン化合物やゲルマニウム化合物以外の重縮合触媒として、アルミニウム化合物を用いる方法(特許文献3)やテトラアルコキシチタネートなどのチタン化合物をはじめとしてチタン化合物とリン化合物からなるチタン錯体や特定のチタン錯体を用いる方法(特許文献4、および5)等についても提案されている。これらチタン化合物の適用によって、確かにアンチモン化合物を適用した場合のような触媒起因の異物生成は少なくなり、得られた繊維の強度やタフネスについては改善ができるものの、従来から知られているようなチタン化合物を単に適用するだけでは、紡糸初期段階においては特に問題ないものの経時的に毛羽が頻発するようになり、得られたポリエステル繊維の品位が劣ったものとなること、また、産業資材用として用いる場合、撚糸時における強力利用率の低下や耐光性については不十分なレベルにあることから使用にあたっては、更なる改善が必要な状況にあった。
特開平2−182914号公報 特開平3−161509号公報 特開2002−194618号公報 特表2001−524536号公報 特開2004−149938号公報
本発明の目的は上記従来の問題を解消し、従来品に比べて高品位であり、撚糸時の強力利用率、および耐光性に優れることからタイヤコード、ベルト、ホースなどのゴム補強用繊維、シートベルト用、および漁網用繊維など、産業資材用として種々の用途に好適に活用できるポリエステル繊維を提供することにある。
上記課題を解決するため本発明のポリエステル繊維は、主として次の構成を有する。すなわち、(1)チタン錯体のキレート剤がヒドロキシカルボン酸であるチタン化合物、(2)リン化合物、(3)アルカリ金属化合物、および(4)アルカリ土類金属化合物および/又はマンガン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を、下記式を満足する量含んだポリエステルであって、固有粘度が0.80以上、強度が6.5cN/dtex以上であることを特徴とする産業資材用ポリエステル繊維によって達成することができる。
0.01≦Ti≦3.0
0.05≦Ti/P≦20
0.5≦A/P≦100
0.05≦M≦10
(式中、Ti、PおよびAは、それぞれポリエステル10g中に含まれるチタン原子、リン原子、およびアルカリ金属原子のモル数を示す。また、Mはポリエステル10g中に含まれるアルカリ土類金属原子および/又はマンガン原子の合計モル数を示す。)
本発明のポリエステル繊維は従来の問題を解消し、従来品に比べて高品位であり、撚糸時の強力利用率、および耐光性に優れることから産業資材用として種々の用途に好適に活用できるポリエステル繊維を提供することができる。
本発明のポリエステルは、芳香族ジカルボン酸であるテレフタル酸とエチレングリコールを主成分とするジオールから構成される。
また、本発明のポリエステルには、ジエチレングリコール以外に共重合成分としてアジピン酸、イソフタル酸、セバシン酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体、ポリエチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリプロピレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等のジオキシ化合物、p−(β−オキシエトキシ)安息香酸等のオキシカルボン酸及びそのエステル形成性誘導体等が共重合されていてもよい。
本発明における重合用触媒としてのチタン錯体は、チタン原子に配位する能力をもったキレート剤を含有するチタン化合物であって、ヒドロキシカルボン酸のチタンキレート化合物であることが必要である。特にヒドロキシ多価カルボン酸、又は含窒素多価カルボン酸が、ポリマーの溶融時の熱安定性や色調の観点から好ましい。
このようなチタン錯体を形成するキレート剤としては、乳酸、サリチル酸、ベンジル酸等のヒドロキシカルボン酸系化合物、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸等のヒドロキシ多価カルボン酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三プロピオン酸、カルボキシイミノ二酢酸、カルボキシメチルイミノ二プロピオン酸、ジエチレントリアミノ五酢酸、トリエチレンテトラミノ六酢酸、イミノ二酢酸、イミノ二プロピオン酸、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸、ヒドロキシエチルイミノ二プロピオン酸、メトキシエチルイミノ二酢酸等の含窒素多価カルボン酸からなる官能基が挙げられる。
なお、本発明の重縮合触媒とは、ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体及びジオールまたはそのエステル形成性誘導体から合成されるポリマーにおいて、以下の(1)〜(3)の反応全て又は一部の素反応の反応促進に実質的に寄与する化合物を指す。
(1)ジカルボン酸成分とジオール成分との反応であるエステル化反応
(2)ジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体とジオール成分との反応であるエステル交換反応
(3)実質的にエステル反応が終了し、得られた低重合体を脱ジオール反応にて高重合度化せしめる重縮合反応
本発明のチタン化合物は、ポリエステル10g中にチタン原子のモル数として0.01〜3.0であることが必要であり、この範囲とすることで重合活性が高く、得られるポリマーの溶融時の耐熱性や色調が良好となる。チタン原子のモル数が0.01以上では重合反応性が十分となり、実用的な固有粘度を有するポリマーを良好な生産性で得ることができる。また、3.0以下では溶融時の熱安定性の低下がなく、繊維特性も良好となる。より好ましくは0.05〜2.0モル、更に好ましくは0.1〜1.0モルである。
本発明の触媒としてのチタン化合物は、ポリエステルの反応系にそのまま添加してもよいが、予め該化合物をエチレングリコール等のポリエステルを形成するジオール成分を含む溶媒と混合し、溶液またはスラリーとし、必要に応じて該化合物合成時に用いたアルコール等の低沸点成分を除去した後、反応系に添加すると、ポリマー中での異物生成がより抑制されるため好ましい。添加時期はエステル化反応触媒として、原料添加直後に触媒を添加する方法や、原料と同伴させて触媒を添加する方法がある。また、重縮合反応触媒として添加する場合は、実質的に重縮合反応開始前であればよく、エステル化反応の前、あるいは該反応終了後、重縮合反応触媒が開始される前に添加してもよい。
また、本発明で用いられるリン化合物としては、リン酸系、亜リン酸系、ホスホン酸系、ホスフィン酸系、ホスフィンオキサイド系、亜ホスホン酸系、亜ホスフィン酸系、ホスフィン系のいずれか1種または2種であることが好ましい。具体的には、例えば、リン酸、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル等のリン酸系、亜リン酸、亜リン酸トリメチル、亜リン酸トリエチル、亜リン酸トリフェニル等の亜リン酸系、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、プロピルホスホン酸、イソプロピルホスホン酸、ブチルホスホン酸、フェニルホスホン酸などが好ましく用いられる。
このリン化合物の含有量は、ポリエステル10g中に含まれるチタン原子とリン原子のモル比率Ti/Pとして0.05〜20であることが必要である。この範囲とすることによって、ポリエステル溶融時の熱安定性や色調が良好となり、かつ、毛羽発生がなく高品位となることから好ましい。より好ましくは0.2〜10であり、さらに好ましくは0.3〜5である。
また、本発明のポリエステルは、アルカリ金属化合物を含有すると共に、アルカリ土類金属化合物および/又はマンガン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を含有することが必要である。
アルカリ金属化合物は、ポリエステル10g中に含まれるアルカリ金属原子とリン原子のモル比率(A/P)として0.5〜100であることが必要であり、より好ましくは1〜50であり、さらに好ましくは2〜20である。また、アルカリ土類金属原子および/又はマンガン原子の合計モル数として0.05〜10であることが必要であり、より好ましくは0.1〜5、さらに好ましくは0.2〜5である。これらアルカリ金属原子とリン原子のモル比率、さらにアルカリ土類金属原子および/又はマンガン原子のモル数を上記した範囲とすることによって、毛羽がなく得られる繊維は従来品に比べて高品位であり、また、撚糸時の強力利用率、および耐光性に優れるので好ましい。
なお、本発明のアルカリ金属化合物としては、アルカリ金属としてリチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムなどが挙げられるが、なかでもナトリウムが特に好ましく用いられ、また、アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属としてマグネシウム、カルシウム、ストロンチウム等が挙げられるが、なかでもマグネシウムが特に好ましく用いられる。
ここで、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物は酢酸塩、安息香酸塩、蟻酸塩、塩酸塩、シュウ酸塩、硝酸塩、炭酸塩等が使用されるが、ポリマーへの溶解性から酢酸塩、安息香酸塩が特に好ましく使用される。また、これらアルカリ金属化合物、アルカリ土類化合物は水和物であってもよく、無水物であってもよい。
また、マンガン化合物としては、酢酸マンガン、炭酸マンガン、塩化マンガン、蟻酸マンガン、マンガンアセチルアセトナート等が挙げられるが、ポリマーへの溶解性から酢酸塩である酢酸マンガンを使用するのが特に好ましい。
なお、上記したアルカリ金属やアルカリ土類金属化合物、マンガン化合物は、チタン化合物を含めてポリエステルの重合反応における、エステル化反応やエステル交換反応の触媒として用いても良い。
本発明のポリエステル繊維の固有粘度は0.80以上が必要であり、好ましくは0.85以上である。固有粘度が0.80未満では産業資材用として強度、タフネスが劣る。また、製糸時における安定性から固有粘度は1.30以下が好ましい。
さらに、従来公知の酸化チタン、酸化ケイ素、炭酸カルシウム、チッ化ケイ素、クレー、タルク、カオリン、カーボンブラック等の顔料のほか、従来公知の着色防止剤、安定剤、抗酸化剤等の添加剤を含有させてもよい。
本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、例えば以下の方法によって得られるが、具体例としてPETの例を記載する。
先ず、ポリエステルポリマーは、通常、次のいずれかのプロセスで製造される。すなわち、(1)テレフタル酸とエチレングリコールを原料とし、直接エステル化反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得るプロセス、(2)ジメチルテレフタレートとエチレングリコールを原料とし、エステル交換反応によって低重合体を得、さらにその後の重縮合反応によって高分子量ポリマーを得る。ここでエステル化反応は無触媒でも反応は進行するが、本発明のチタン化合物を触媒として添加してもよい。
本発明のポリエステルポリマーは上記(1)又は(2)の一連の反応の任意の段階、好ましくは(1)又は(2)の一連の反応の前半で得られた低重合体にチタン化合物すると共に、アルカリ金属化合物、もしくはアルカリ金属化合物と、アルカリ土類金属化合物および/又はマンガン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を添加して重縮合反応を行い、高分子量のPETを得る。また、重縮合に際しては、仕込量、重合温度、重合時間を適宜選択し、極限粘度0.65以上のPETチップを得る。
また、上記の反応は回分式、半回分式あるいは連続式等の形式で実施されるが、本発明の製造方法はそのいずれの形式にも適応し得る。
上記のポリエステルポリマーを用いて、本発明の産業資材用ポリエステル繊維を製造する方法としては、従来公知の方法を採用することができ、例えば該チップを定法にて固相重合して固有粘度0.85以上とし、この高分子量ポリエステルポリマーをエクストルーダー型紡糸機で溶融し、紡糸パックでろ過した後、口金の細孔を通して紡出、冷風で冷却固化した後、油剤を付与し、次いで2〜3.5倍に延伸した後、緊張又は弛緩熱処理する方法を採用することができる。得られた本発明の産業資材用ポリエステル繊維は強度が6.5cN/dtex以上、伸度が8〜30%、150℃での乾熱収縮率が2〜15%の優れた物性を有するものである。
また、本発明の産業資材用ポリエステル繊維は、上記のような優れた特性を有することから、主にタイヤコードやベルト、ホースなどのゴム補強用繊維として、また、シートベルト用や漁網用繊維などの産業資材用として種々な用途に適用することができる。
本発明のポリエステル繊維は毛羽なく従来品に比べて高品位な繊維であること、さらに撚糸時強力保持率、および耐光性に優れる理由については明らかでないが、下記のように推定される。
すなわち、特定のチタン化合物を用いると共に、アルカリ金属化合物と、アルカリ土類金属化合物および/又はマンガン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物の存在によって、ポリマーの移動がほとんどない紡糸パックでの滞留部やポリマー配管壁面部分における経時的なポリマー変性の抑制、さらにポリマー中に極めて微細な粒子を存在させることができるために溶融紡糸時における繊維の構造形成過程に影響を及ぼすこと等により、得られた繊維は毛羽がなく従来に比べて高品位であり、かつ、撚糸時強力利用率や耐光性に優れた特性となっているものと推定される。
上述したようなポリエステル繊維の製造上、および品質上の問題点を改善することについて鋭意検討した結果、本発明に到達したものである。
以下実施例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、実施例中の物性値は以下に述べる方法で測定した。
(1)ポリエステルの固有粘度IV
オルソクロロフェノールを溶媒として25℃で測定した。
(2)ポリエステル中のチタン元素、アルカリ元素、アルカリ土類元素、マンガン元素およびリン元素含有量
蛍光X線元素分析装置(堀場製作所社製、MESA−500W型)またはICP発光分析装置(セイコーインスツルメンツ社製、SPS1700)により求めた。
(3)強伸度
東洋ボードウイン社製テンシロン引張試験機を用いて、試料長25cm、引張速度30cm/分でS−S曲線を求め、強伸度を算出した。
(4)毛羽数
(株)大広製高速毛羽評価装置(KH−222−TOKA)を用いて、糸速度200m/分、測定時間250分間での毛羽数をカウントして次のようにランク付けし、aおよびb級を合格とした。
a級:0〜1回
b級:2〜4回
c級:5〜20回
d級:21回以上
(5)乾熱収縮率
試料をかせ状にとり、20℃、65%RHの温調室に24時間以上放置したのち、試料の0.1g/dtexに相当する荷重をかけて測定された長さlの試料を無張力状態で150℃のオーブン中に30分放置した後、オーブンから取り出して前記温調室で4時間放置し、再び上記荷重をかけて測定した長さlから次式により算出した。
乾熱収縮率={(l−l)/l}×100(%)
(6)撚糸時の強力利用率
撚糸時の原糸強力と原糸を撚糸した時に強力から求めた。
(7)耐光性
サンシャインウェザーメーターによりブラックパネル温度83℃で200時間原糸に光照射した後、処理前後の強力の比から強力保持率を求め、従来糸並のレベルを×、従来比1〜4%アップを○、4%以上を◎で示した。
参考例
なお、以下に触媒の合成方法を記す。
触媒イ.クエン酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた3Lのフラスコ中に温水(371g)にクエン酸・一水和物(532g、2.52モル)を溶解させた。この撹拌されている溶液に滴下漏斗からチタンテトライソプロポキシド(288g、1.00モル)をゆっくり加えた。この混合物を1時間加熱、還流させて曇った溶液を生成させ、これよりイソプロパノール/水混合物を真空下で蒸留した。その生成物を70℃より低い温度まで冷却し、そしてその撹拌されている溶液にNaOH(380g、3.04モル)の32重量/重量%水溶液を滴下漏斗によりゆっくり加えた。得られた生成物をろ過し、次いでエチレングリコール(504g、80モル)と混合し、そして真空下で加熱してイソプロパノール/水を除去し、わずかに曇った淡黄色の生成物(Ti含有量3.85重量%)を得た。
触媒ロ.乳酸キレートチタン化合物の合成方法
撹拌機、凝縮器及び温度計を備えた1Lのフラスコ中に撹拌されているチタンテトライソプロポキシド(285g、1.00モル)に滴下漏斗からエチレングリコール(218g、3.51モル)を加えた。添加速度は、反応熱がフラスコ内容物を約50℃に加温するように調節された。その反応混合物を15分間撹拌し、そしてその反応フラスコに乳酸アンモニウム(252g、2.00モル)の85重量/重量%水溶液を加えると、透明な淡黄色の生成物(Ti含有量6.54重量%)を得た。
実施例1
高純度テレフタル酸(三井化学社製)100kgとエチレングリコール(日本触媒社製)45kgのスラリーを予めビス(ヒドロキシエチル)テレフタレート約123kgが仕込まれ、温度250℃、圧力1.2×10Paに保持されたエステル化反応槽に4時間かけて順次供給し、供給終了後もさらに1時間かけてエステル化反応を行い、このエステル化反応生成物の123kgを重縮合槽に移送した。引き続いて、エステル化反応生成物が移送された前記重縮合反応槽に、触媒イ(クエン酸キレートチタン化合物)の2重量%エチレングリコール溶液(ポリマー10当たりのチタン原子のモル数0.21)、酢酸ナトリウム無水物のエチレングリコール溶液(ポリマー10当たりのナトリウム原子のモル数2.5)、酢酸マンガンのエチレングリコール溶液(ポリマー10当たりのマンガン原子のモル数0.73)、およびリン酸の2重量%エチレングリコール溶液(ポリマー10当たりのリン原子のモル数0.32)を添加した。その後、低重合体を30rpmで攪拌しながら、反応系を250℃から290℃まで徐々に昇温するとともに、圧力を40Paまで下げた。最終温度、最終圧力到達までの時間はともに60分とした。所定の攪拌トルクとなった時点で反応系を窒素パージし常圧に戻し重縮合反応を停止し、冷水にストランド状に吐出、直ちにカッティングしてポリマーのペレットを得た。なお、減圧開始から所定の撹拌トルク到達までの時間は2時間50分であった。
得られたポリマーの極限粘度は0.75であった。また、ポリマーから測定したポリマー10中のナトリウム原子、マンガン原子、およびリン原子のモルのモル数はそれぞれ2.5、0.73、および0.32であり、また、チタン触媒由来のチタン原子のモル数は0.21であることを確認した。
このポリエステルを乾燥した後、210℃で固相重合を行い、固有粘度1.10のチップを得た。この固相重合チップをエクストルーダー型紡糸機に供給し、紡糸温度300℃にて溶融紡糸した。この際、フィルターとして絶対ろ過径15μmの金属不織布を用い、口金は0.6mmφの丸孔を用いた。引き続き250℃の温度で延伸熱処理した後、リラックス処理して巻取り、1100dtex/140フィラメントの延伸糸を得た。この延伸糸の毛羽はなく高品位であり、強度は8.4cN/dtex、伸度14.5%であった。また、撚糸時強力利用率、および耐光性は良好であり、優れた特性を有していた。結果を表1に示す。
実施例2
実施例2は、参考例での触媒ロを使用した以外は、いずれも実施例1と同様にして重合を行い、固相重合後のチップを用いて紡糸・延伸した。この延伸糸の毛羽はなく物性は良好であり、撚糸時の強力利用率、耐光性が優れていた。
実施例3、および実施例4
実施例3は、アルカリ金属化合物として酢酸ナトリウム、アルカリ土類金属物として、酢酸マグネシウムおよび酢酸マンガン化合物を併用、また、実施例4はアルカリ土類金属物として酢酸マグネシウム化合物を併用した以外は、いずれも実施例1と同様にして重合を行い、固相重合後のチップを用いて紡糸・延伸した。表1から明らかように毛羽はなく延伸糸の物性は良好であり、撚糸時の強力利用率、耐光性に優れていた。
実施例5〜7および比較例1〜2
重縮合触媒としてのチタン化合物の添加量を変更した以外は、いずれも実施例1と同様にして重合を行い、固相重合したチップを用いて紡糸・延伸した。表1から明らかなとおり毛羽はなく、延伸糸の物性は良好であり、撚糸時の強力利用率、耐光性に優れていた。
一方、本発明の重縮合触媒としてのチタン化合物量が少ない比較例1は重合反応性が劣るため重合時間が極めて長く、途中で中止した。表2に示したようにチタン化合物の添加量が多い比較例2は毛羽が多数あり品位に劣るものであった。また、延伸糸の強伸度、撚糸時強力利用率、耐光性が劣っていた。
実施例8〜11、および比較例3,4
リン量を変更した以外は、いずれも実施例1と同様にして重合を行い、固相重合したチップを用いて紡糸・延伸した。表1から明らかように毛羽はほとんどなく延伸糸の物性は良好であり、撚糸時の強力利用率、耐光性に優れていた。
一方、リン量の少ない比較例3は、表2に示したように紡糸時のIV低下が大きいだけでなく毛羽が多数あり品位に劣るものであった。また、延伸糸の強伸度、撚糸時強力利用率、および耐光性が劣っていた。なお、A/Pの大きい比較例4は重合反応性が劣るため重合時間が極めて長く、途中で中止した。
実施例12、13および比較例5
アルカリ金属化合物(酢酸ナトリウム)の量を変更した以外は、いずれも実施例1と同様にして重合を行い、固相重合したチップを用いて紡糸・延伸した。表1から明らかなとおり、本発明の範囲を満たす実施例12、および実施例13は毛羽はほとんどなく延伸糸の物性は良好であり、撚糸時の強力利用率、耐光性に優れていた。
一方、表2に示したように発明のアルカリ金属化合物のない比較例5は毛羽が多数あり品位に劣るものであった。また、延伸糸の強伸度、撚糸時の強力利用率、および耐光性が劣っていた。
実施例14〜18
実施例14、15は本発明のアルカリ金属化合物の種類を変更、また、実施例16〜18はアルカリ土類金属化合物および/又はマンガン化合物の種類を変更した以外は、実施例1と同様にして重合を行い、固相重合したチップを用いて紡糸・延伸した。表2から明らかなとおり、本発明の範囲を満たす実施例14、15、および実施例16〜18は毛羽はなく延伸糸の物性は良好であり、撚糸時の強力利用率、耐光性に優れていた。
比較例6
重縮合触媒としてテトラブトキシチタン(以下TBTという)を用いた(ポリマー10当たりのチタン原子のモル数0.21)以外は、実施例1と同様にして重合を行い、固相重合したチップを用いて紡糸・延伸した。毛羽が多数あり品位に劣るものであった。また、延伸糸の強伸度、撚糸時の強力利用率、および耐光性が劣っていた。
比較例7
重縮合触媒として三酸化アンチモン(住友金属鉱山社製)を得られるポリマーに対してアンチモン原子換算で330ppm(ポリマー10当たりのアンチモン原子のモル数1.36)添加した以外は、実施例1と同様にして重合を行い、固相重合したチップを用いて紡糸・延伸した。毛羽が多数あり品位に劣るものであった。また、表2に示したように延伸糸の強伸度、撚糸時の強力利用率、および耐光性が劣っていた。
Figure 2006274506
Figure 2006274506

Claims (3)

  1. (1)チタン錯体のキレート剤がヒドロキシカルボン酸であるチタン化合物、(2)リン化合物、(3)アルカリ金属化合物、および(4)アルカリ土類金属化合物および/又はマンガン化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を、下記式を満足する量含んだポリエステルであって、固有粘度が0.80以上、強度が6.5cN/dtex以上であることを特徴とする産業資材用ポリエステル繊維。
    0.01≦Ti≦3.0
    0.05≦Ti/P≦20
    0.5≦A/P≦100
    0.05≦M≦10
    (式中、Ti、PおよびAは、それぞれポリエステル10g中に含まれるチタン原子、リン原子、およびアルカリ金属原子のモル数を示す。また、Mはポリエステル10g中に含まれるアルカリ土類金属原子および/又はマンガン原子の合計モル数を示す。)
  2. ヒドロキシカルボン酸が、ヒドロキシ多価カルボン酸、又はヒドロキシ含窒素多価カルボン酸であることを特徴とする請求項1記載の産業資材用ポリエステル繊維。
  3. ポリエステル繊維の伸度が8〜30%、150℃での乾熱収縮率が2〜15%であることを特徴とする請求項1又は2記載の産業資材用ポリエステル繊維。
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