JP7121258B2 - 光走査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光走査装置に関する。
従来から圧電薄膜の上面に上部電極、下面に下部電極を形成した圧電素子を駆動源とするアクチュエータを用いて、入射光を反射させるミラーを回転軸回りに回転させ、反射光を走査する光走査装置が知られている。このアクチュエータでは、圧電薄膜に電圧を印加するために、上部電極に接続される上部配線と、下部電極に接続される下部配線とが形成されている(例えば特許文献1及び特許文献2参照)。
上記のアクチュエータは、ミラーを回転軸回りに回転させるためのMEMS構造体を有しており、MEMS構造体は厚さ方向に大きく変形する。MEMS構造体としては、表面の面内方向の剛性を確保しつつ、厚さ方向の剛性を下げるために蛇腹構造とすることができる。また、MEMS構造体としてトーションバーを有する構成とし、トーションバーの捻れによってミラーを回転軸周りに回転させることができる。
トーションバーを有するアクチュエータを用いた光走査装置において、トーションバーに捻れ変形が生じるように共振駆動を行う際に、トーションバーの捻れ変形による応力がミラーにかかり、ミラーにも変形が発生することが知られている。特許文献3には、上記のミラーの変形を抑制するためにミラーの裏面にリブを設けることが提案されている。リブは、トーションバーの捻れによるミラーの変形を抑制するため、トーションバーとミラーの接続部の剛性が高くなるように配置される。
特開2016-1325号公報 特許5876329号 特開2016-170376号公報
しかしながら、トーションバーを用いない非共振駆動の光走査装置の場合では、梁の捻れ動作で生じる応力によるミラーの変形よりも、ミラーを支持するミラー支持部の表面に形成された表面膜の膜応力による反りによってミラーが変形することの方が大きな問題となる。その場合、ミラーの全体が反る応力を受け、ミラーのリブが設けられていない部分は大きく変形し、ミラーの平面度が低下してしまう。
ミラーの支持部の表面に形成された表面膜の膜応力による反りを抑制してミラーの平面度を高めるために、ミラーの支持部全体を厚くして剛性を高めることが考えられる。しかしその場合、ミラーの支持部の質量が増加するため共振点が下がり、不要な共振が起きやすくなる問題が生じる。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、ミラー支持部の表面に形成される表面膜の膜応力によるミラーの平面度の悪化を抑えることを目的とする。
本発明の一態様に係る光走査装置は、レーザ光を反射するミラーが形成されたミラー支持部(120)と、所定の軸に垂直な方向に延在する梁を有し、前記ミラー支持部に接続された駆動梁(130A、130B)と、前記梁の一方の面上に形成された駆動源(131A、131B)と、前記ミラー支持部の裏面において前記ミラーと対向する位置に形成されたリブ(112)と、前記ミラーを除く領域の前記ミラー支持部の表面において前記ミラー支持部が露出する露出部(120D)と、を有しており、前記駆動梁は、前記所定の軸に垂直な方向に延在する複数の前記梁を有し、隣接する前記梁の端部同士が折り返し部で連結されて全体としてジグザグ状の蛇腹構造を有し、前記露出部では、前記ミラーの領域を形成する膜の少なくともひとつからなる表面膜が、前記ミラー支持部の表面から除去されて活性層が露出され、前記駆動源の駆動により前記所定の軸を回転する方向に前記ミラー支持部を揺動駆動する。
なお、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例にすぎず、図示の態様に限定されるものではない。
開示の技術によれば、ミラー支持部の表面に形成される表面膜の膜応力によるミラーの平面度の悪化を抑えることができる。
実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す上面側の斜視図(A)と下面側の斜視図(B)である。 実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す上面側の平面図である。 実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す下面側の平面図である。 実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例の要部を拡大した下面側の斜視図である。 実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例の要部を拡大した上面側の平面図である。 実施の形態に係る光走査装置の光走査部の断面図である。 変形例に係る光走査装置の光走査部の要部を拡大した下面側の斜視図(A)と上面側の平面図(B)である。 実施例1に係る光走査装置の駆動時のミラーの変形を説明する図である。 実施例2に係る光走査装置の駆動時のミラーの変形を説明する図である。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
<実施の形態>
図1(A)は、実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す上面側の斜視図である。図1(B)は、実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す下面側の斜視図である。図2は、実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す上面側の平面図である。図3は、実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例を示す下面側の平面図である。本実施の形態に係る光走査部100は、セラミックパッケージとパッケージカバー等のパッケージ部材に収容して用いることができる。
光走査部100は、ミラー110を揺動させて光源から照射されるレーザ入射光を走査する部分である。光走査部100は、例えば圧電素子である駆動源によりミラー110を駆動させるMEMSミラー等である。光走査部100に設けられたミラー110にレーザ入射光を入射して、ミラー110から出射される光を2次元に走査する。
図1(A)、図1(B)及び図2に示されるように、光走査部100は、ミラー110と、ミラー支持部120と、連結梁121A、121Bと、水平駆動梁130A、130Bと、可動枠160と、垂直駆動梁170A、170Bと、固定枠180とを有する。ミラー支持部120の上面にミラー110が設けられている。
ミラー110を支持するミラー支持部120の両側に、ミラー支持部120に接続される一対の水平駆動梁130A、130Bが配置されている。ミラー支持部120と水平駆動梁130A、130Bは連結梁121A、121Bにより接続されている。また、水平駆動梁130A、130B、連結梁121A、121B、ミラー支持部120及びミラー110は、可動枠160によって外側から支持されている。水平駆動梁130Aは、水平回転軸AXHと直交する垂直回転軸AXVの方向に延在する複数の矩形状の水平梁を有し、隣接する水平梁の端部同士が折り返し部131X2、131X3、131X4により連結され、全体としてジグザグ状の蛇腹構造を有する。水平駆動梁130Aの一方が可動枠160の内周側に、他方が折り返し部131X1及び連結梁121Aを介してミラー支持部120に接続される。また、水平駆動梁130Bは、水平回転軸AXHと直交する垂直回転軸AXVの方向に延在する複数の矩形状の水平梁を有し、隣接する水平梁の端部同士が折り返し部131Y2、131Y3、131Y4により連結され、全体としてジグザグ状の蛇腹構造を有する。水平駆動梁130Bの一方が可動枠160の内周側に、他方が折り返し部131Y1及び連結梁121Bを介してミラー支持部120に接続される。
また、可動枠160の両側に、可動枠160に接続される一対の垂直駆動梁170A、170Bが配置されている。垂直駆動梁170Aは、水平回転軸AXH方向に延在する複数の矩形状の垂直梁を有し、隣接する垂直梁の端部同士が折り返し部171Xにより連結され、全体としてジグザグ状の蛇腹構造を有する。垂直駆動梁170Aの一方が固定枠180の内周側に、他方が可動枠160の外周側に接続される。また、垂直駆動梁170Bは、水平回転軸AXH方向に延在する複数の矩形状の垂直梁を有し、隣接する垂直梁の端部同士が折り返し部171Yにより連結され、全体としてジグザグ状の蛇腹構造を有する。垂直駆動梁170Bの一方が固定枠180の内周側に、他方が可動枠160の外周側に接続される。
水平駆動梁130A、130Bは、それぞれ圧電素子である水平駆動源131A、131Bを有する。また、垂直駆動梁170A、170Bは、それぞれ圧電素子である垂直駆動源171A、171Bを有する。水平駆動梁130A、130B、垂直駆動梁170A、170Bは、ミラー110を上下又は左右に揺動駆動してレーザ光を走査するアクチュエータとして機能する。
水平駆動梁130A、130Bの上面には、それぞれ曲線部を含まない矩形単位である水平梁ごとに水平駆動源131A、131Bが形成されている。水平駆動源131Aは、水平駆動梁130Aの上面に形成された圧電素子であり、圧電薄膜と、圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。水平駆動源131Bは、水平駆動梁130Bの上面に形成された圧電素子であり、圧電薄膜と、圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。
水平駆動梁130A、130Bは、水平梁ごとに隣接している水平駆動源131A、131B同士で、駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形の駆動電圧を印加することにより、隣接する水平梁を上方向に反らせ、各水平梁の上下動の蓄積をミラー支持部120に伝達する。水平駆動梁130A、130Bの動作によりミラー110及びミラー支持部120が水平回転軸AXHを回転する方向に揺動駆動され、この揺動する方向を水平方向と呼び、ミラー110の光反射面の中心を通る上記の揺動軸を水平回転軸AXHという。例えば水平駆動梁130A、130Bによる水平駆動には、非共振振動を用いることができる。
例えば、水平駆動源131Aは、水平駆動梁130Aを構成する1番目から4番目の各水平梁の上にそれぞれ形成された4つの水平駆動源131A1、131A2、131A3、131A4を含む。また、水平駆動源131Bは、水平駆動梁130Bを構成する1番目から4番目の各水平梁の上にそれぞれ形成された4つの水平駆動源131B1、131B2、131B3、131B4を含む。この場合、水平駆動源131A1、131B1、131A3、131B3を同波形、水平駆動源131A2、131B2、131A4、131B4を前者と駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形で駆動することで、ミラー110及びミラー支持部120を水平方向へ揺動駆動できる。
垂直駆動梁170A、170Bの上面には、それぞれ曲線部を含まない矩形単位である垂直梁ごとに垂直駆動源171A、171Bが形成されている。垂直駆動源171Aは、垂直駆動梁170Aの上面に形成された圧電素子であり、圧電薄膜と、圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。垂直駆動源171Bは、垂直駆動梁170Bの上面に形成された圧電素子であり、圧電薄膜と、圧電薄膜の上に形成された上部電極と、圧電薄膜の下面に形成された下部電極とを含む。
垂直駆動梁170A、170Bは、垂直梁ごとに隣接している垂直駆動源171A、171B同士で、駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形の駆動電圧を印加することにより、隣接する垂直梁を上方向に反らせ、各垂直梁の上下動の蓄積を可動枠160に伝達する。垂直駆動梁170A、170Bの動作によりミラー110及びミラー支持部120が水平回転軸AXHの方向と直交する方向に揺動駆動され、この揺動する方向を垂直方向と呼び、ミラー110の光反射面の中心を通る上記の揺動軸を垂直回転軸AXVという。例えば垂直駆動梁170A、170Bによる垂直駆動には、非共振振動を用いることができる。
例えば、垂直駆動源171Aは、垂直駆動梁170Aを構成する1番目から2番目の各垂直梁の上にそれぞれ形成された2つの垂直駆動源171A1、171A2を含む。また、垂直駆動源171Bは、垂直駆動梁170Bを構成する1番目から2番目の各垂直梁の上にそれぞれ形成された2つの垂直駆動源171B1、171B2を含む。この場合、垂直駆動源171A1、171B1を同波形、垂直駆動源171A2、171B2を前者と駆動波形の中央値を基準に上下反転した波形で駆動することで、ミラー110に接続されている可動枠160を垂直方向へ揺動できる。
本実施の形態の光走査装置において、アクチュエータとして機能するMEMS構造体は、例えば支持層、埋め込み(BOX)層及び活性層を有するSOI(Silicon on Insulator)基板から形成されている。上記の固定枠180と可動枠160等は、支持層、BOX層及び活性層の3層から形成されている。一方、水平駆動梁130A,130B及び垂直駆動梁170A、170B等の固定枠180と可動枠160等を除く部分は活性層の単層によって形成されている。あるいは、BOX層と活性層の2層で形成されていてもよい。
本実施の形態の光走査装置において、ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面においてミラー110と対向する位置に、リブ112が形成されている。ミラー支持部120の裏面に形成されているリブ112は、ミラー支持部120の剛性を高める目的で設けられている。ミラー支持部120のミラー110の形成面の裏面に形成されているリブ112の形状については後述する。
また、本実施の形態の光走査装置において、水平駆動梁130A、130Bを構成する水平梁の一方の面(上面)には上記のように水平駆動源131A、131Bが形成されており、他方の面(裏面)には水平駆動梁130A、130Bを構成する水平梁の中央部である水平回転軸AXH上にリブ132が形成されている。リブ132は、水平梁の長手方向に短く、短手方向に長い形状である。水平駆動梁130A、130Bを構成する水平梁の他方の面(裏面)に形成されているリブ132は、例えば、MEMS構造体の製造工程においてダイシングを行う際に、振動や水流によって蛇腹部分が振動し破損することを抑制するために設けられている。
また、本実施の形態の光走査装置においては、垂直駆動梁170A、170Bを構成する垂直梁の一方の面(上面)には上記のように垂直駆動源171A、171Bが形成されている。垂直梁の他方の面(裏面)にはリブ172が形成されている。リブ172は、例えば垂直梁と折り返し部171X、171Yの連結部分からの距離が垂直梁の長さの10~20%である位置に形成されている。リブ172は、垂直梁の長手方向に短く、短手方向に長い形状である。垂直駆動梁170A、170Bを構成する垂直梁の他方の面(裏面)に形成されているリブ172を設けることで、垂直駆動梁170A、170Bの上方向への反りと直交する方向(垂直梁の幅(短手)方向)へ不要に反ってしまうことを防止し、ミラー支持部120の厚さ方向の変位量を抑制できる。
ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面に形成されているリブ112は、固定枠180及び可動枠160と同じ高さ(厚さ)を有する。即ち、光走査装置のアクチュエータとして機能するMEMS構造体がSOI基板で形成される場合、活性層から形成されるミラー支持部の裏面において、BOX層と支持層からリブ112が形成され、リブ112周囲の面は、支持層及びBOX層が除去され活性層が露出している。水平駆動梁130A、130Bを構成する水平梁は活性層から形成され、水平梁の他方の面(裏面)に形成されているリブ132は、BOX層と支持層から形成される。垂直駆動梁170A、170Bを構成する垂直梁は活性層から形成され、垂直梁の他方の面(裏面)に形成されているリブ172は、BOX層と支持層から形成される。また、リブはSOI基板の支持層を利用するほかに、バルクシリコンをエッチングすることで段差を形成することで設けてもよい。
本実施の形態の光走査装置において、ミラー110の領域において、ミラー支持部120の表面に表面膜が形成されている。表面膜は、例えば、ミラー支持部120の表面に形成されたシリコン酸化膜と、シリコン酸化膜の上層に形成された酸化アルミニウム膜と、酸化アルミニウム膜の上層に形成された銀含有膜と、銀含有膜の上層に形成された増反射膜とを含む。銀含有膜の表面は、ミラー110となる。表面膜の構成については後述する。
一方で、ミラー110を除く領域のミラー支持部120の表面において、上記の表面膜が除去されており、ミラー支持部120が露出している露出部120Dを有する。これにより、ミラーの平面度を悪化させる膜応力を発生する表面膜の面積が狭められ、表面膜で発生する膜応力が抑制される。このため、ミラー支持部の表面に形成される表面膜の膜応力によるミラーの平面度の悪化を抑えることができる。
露出部120Dは、ミラー110の領域を形成する膜の少なくともひとつからなる表面膜が、ミラー支持部120の表面から除去されて露出された構成とすることができる。
表面膜は、シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、銀含有膜、増反射膜のいずれかひとつ、または組み合わせによって形成された構成とすることができる。
さらに、本実施の形態の光走査装置において、上記のようにミラー支持部120のミラー110形成面の裏面にリブ112が形成されており、これによってミラー支持部120の剛性が高められているので、ミラー支持部の表面に形成される表面膜の膜応力によるミラーの平面度の悪化を抑えることができる。
次に、ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面にリブ112の形状について説明する。図4は、本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例の要部を拡大した下面側の斜視図である。図4に示されるように、ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面に形成されたリブ112は、第1の方向に延びる複数の第1リブ112aと、第1の方向とは直交する第2の方向に延びる複数の第2リブ112bが交差してできる井桁形状である。第1リブ112aの本数は、図面上2本であるが、3本以上であってもよい。第2リブ112bの本数は、図面上2本であるが、3本以上であってもよい。ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面に形成されたリブ112を設けたことによるミラー支持部120の共振周波数の低下と慣性モーメントの増大を抑えながら、ミラー支持部120の剛性を高めることができる。
図5は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の一例の要部を拡大した上面側の平面図である。図5に示されるように、ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面に、破線で示される位置にリブ112が形成されている。ここで、第1リブ112aを延長してできる一点鎖線で示される第1仮想直線112ai及び第2リブ112bを延長してできる一点鎖線で示される第2仮想直線112biとミラー110の外周とが●で示される交点CPで交差する時、隣り合う交点CPで決定されるミラー110の外周の長さがほぼ等しい構成とすることができる。図5に示されるリブにより、ミラー支持部の重量化による共振周波数の低下と慣性モーメントの増加を抑えながら、ミラー支持部120の全体で均等に剛性を高めることができる。ここで、隣り合う交点CPで決定されるミラー110の外周の長さについての「ほぼ等しい」とは、上記の共振周波数の低下と慣性モーメントの増加を抑えながら、ミラー支持部120の全体で均等に剛性を高めるという効果が、隣り合う交点CPで決定されるミラー110の外周の長さが等しい場合と同様に得られる範囲を示す。
図4あるいは図5に示されるリブ112は、ミラー110の外周に沿った環状の第3リブをさらに有していてもよい。さらに、第1リブ112aと第2リブ112bは、それぞれミラー110の外周に沿った環状の第3リブと交点を有していてもよい。即ち、図5において、第1リブと第2リブがそれぞれ環状の第3リブに交差するまで延伸した形状であってよい。第3リブを設け、さらに第3リブとの交点を有する構成とすることで、ミラー支持部の剛性をさらに高めることができる。
図6(A)は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部のミラーの領域におけるミラー支持部の断面図である。ミラー110の領域において、ミラー支持部120となる活性層10(SOI基板の活性層)の表面に表面膜が形成されている。図6(A)では、表面膜は、例えば、ミラー支持部120となる活性層10の表面に形成されたシリコン酸化膜11と、シリコン酸化膜11の上層に形成された酸化アルミニウム膜12と、酸化アルミニウム膜12の上層に形成された銀含有膜13と、銀含有膜13の上層に形成された増反射膜14とを含む。ミラー110となる膜は銀を含有する銀含有膜13である。
図6(B)は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部のミラーを除く領域におけるミラー支持部の断面図である。ミラー支持部120が露出している露出部120Dに相当する。ミラー110を除く領域のミラー支持部120となる活性層10(SOI基板の活性層)の表面において、図6(A)におけるシリコン酸化膜11、酸化アルミニウム膜12、銀含有膜13及び増反射膜14からなる表面膜が除去されており、ミラー支持部120となる活性層10が露出している。これにより、ミラーの平面度を悪化させる膜応力を発生する表面膜の面積が狭められ、表面膜で発生する膜応力が抑制される。このため、ミラー支持部の表面に形成される表面膜の膜応力によるミラーの平面度の悪化を抑えることができる。
図6(C)は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の水平駆動梁または垂直駆動梁(以下駆動梁と称する)の断面図であり、水平駆動源または垂直駆動源(以下駆動源と称する)が形成されていない領域に相当する。駆動梁となる活性層10(SOI基板の活性層)の表面に表面膜が形成されている。図6(C)では、表面膜は、例えば、駆動梁となる活性層10の表面に形成されたシリコン酸化膜11と、シリコン酸化膜11の上層に形成された酸化アルミニウム膜12と、酸化アルミニウム膜12の上層に形成された増反射膜14とを含む。
図6(D)は本実施の形態に係る光走査装置の光走査部の駆動梁の断面図であり、駆動源が形成されている領域に相当する。駆動梁となる活性層10(SOI基板の活性層)の表面に表面膜が形成されている。図6(D)では、表面膜は、例えば、駆動梁となる活性層10の表面に形成されたシリコン酸化膜11と、シリコン酸化膜11の上層に形成された圧電素子15と、圧電素子15の上層に形成された酸化アルミニウム膜12と、酸化アルミニウム膜12の上層に形成された増反射膜14とを含む。圧電素子15は、圧電薄膜の上層及び下層に電極を設けてなる素子である。
表面膜は、シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、銀含有膜、増反射膜のいずれかひとつ、または組み合わせによって形成された構成とすることができる。例えば、図6(A)においてミラー110の領域において、ミラー支持部120となる活性層10(SOI基板の活性層)の表面に形成されている表面膜は、ミラーとなる銀含有膜の他には、シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、増反射膜のいずれかひとつ、または組み合わせを有していてもよい。図6(C)において駆動源が形成されていない領域において、駆動梁となる活性層10(SOI基板の活性層)の表面に形成されている表面膜は、シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、増反射膜のいずれかひとつ、または組み合わせを有していてもよい。図6(D)において駆動源が形成されている領域において、駆動梁となる活性層10(SOI基板の活性層)の表面に形成されている表面膜は、駆動源となる圧電素子の他には、シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、増反射膜のいずれかひとつ、または組み合わせを有していてもよい。但し、図6(B)に示される露出部に120Dおいては、上記のシリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、銀含有膜、増反射膜のいずれかひとつ、または組み合わせによって形成された表面膜は全て除去されている。
熱酸化膜であるシリコン酸化膜は圧縮方向の膜応力が働くため、SOI基板の支持層側に反らせる要因となる。酸化アルミニウム膜は、引張り方向の膜応力が発生するため、SOI基板の活性層側に反らせる要因となる。増反射膜については膜の構成によって反り方向が異なる。シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜及び増反射膜で発生する膜応力の合力によってミラーの反り方向が決定される。
ミラーの領域以外のミラー支持部上にも上記のシリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜及び増反射膜等の表面膜が存在する場合、ミラー支持部全体に反りが発生し、その影響によってミラーの部分の反り量は大きくなる。そのため、ミラーの領域以外のミラー支持部から表面膜を除去する。これにより、ミラーの領域での表面膜による反りは残るものの、ミラー支持部全体において表面膜に起因する反りを抑制することができる。
ミラーの領域には表面膜が残っているため、それらによる反りは発生するが、ミラーの裏面にリブを設けることにより反りに対する剛性を上げ、さらにミラーの平面度を向上させることができる。
平面度の向上の観点からいえばミラーの裏面だけでなく、ミラー支持部の裏面全体に支持層を残すことで表面膜の有無に依らずミラー部の反りを抑えることができる。しかしながら、ミラー支持部の全面に支持層を残した場合、ミラー支持部の質量が増加し、共振周波数が低下する。それによりミラーを揺動させた際に不要な共振が発生しやすくなる。また、慣性モーメントが増加するため、振動や衝撃が加わった際にも可動部が大きく動く要因になり破損しやすくなる。そのため、ミラー支持部の裏面におけるリブとする部分は可能な限り少なくして質量を低減させることが望ましい。
ミラーの裏面側におけるリブの形状は、ミラーの端から端までを結んだ複数の直線で構成されることが望ましい。ミラーの端から端まで届いていない途中で途切れた直線パターンのリブを使用した場合、その部分で大きな反りが発生し、その先をリブで抑えたとしてもすでに角度としての反りを持っているため、ミラーの端部では厚さ方向に対して大きな変位量となる。ミラーの端部の変位が最も大きく、また、リブとリブの間は反りが大きくなるため、ミラーの外周部分を等間隔に分割できるようにリブを組むと、部分的に突出する大きい反りが発生しなくなり、全体的な平面度(高低差)を抑制できる。
<変形例>
図7(A)は、変形例に係る光走査装置の光走査部の要部を拡大した下面側の斜視図であり、図7(B)は上面側の平面図である。ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面に、破線で示される位置にリブ112Xが形成されている。ここで、リブ112Xは、第1の方向に延びる第1リブ112aと、第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2リブ112bと、ミラーの外周に沿った環状の第3リブ112cを有し、第1リブ112aと第2リブ112bは、それぞれ第3リブと交点を有する。図7に示されるリブにより、ミラー支持部の重量化による共振周波数の低下と慣性モーメントの増加を抑えながら、ミラー支持部120の全体で均等に剛性を高めることができる。
ミラー支持部120のミラー110形成面の裏面に形成されるリブは、十字形状パターンあるいは十字形状パターンの組み合わせであってよい。さらに、それらと環状パターンを組み合わせてもよい。十字形状に加えてミラーの外周部に沿った楕円系の環状パターンのリブを加えることによって、最も反りあがる外周部が押さえられることで平面度はより改善される。ただし、ミラーの外周部にリブが設けられた構成では、ミラーの揺動に対する慣性モーメントが大きくなり、共振周波数が低下し、不要な共振が発生しやすくなる場合がある。
<実施例1>
図8は実施例1に係る光走査装置の駆動時のミラーの変形を説明する図である。光走査装置の駆動時のミラーの変形をシミュレーションにより算出した。図面上、リブ形成面を下側とし、ミラー形成面を上側とし、グラデーションが濃いほど(―)の符号で示す位置で下側への変形量が大きくなり、グラデーションが薄いほど(+)の符号で示す位置で上方への変形量が大きくなっていることを示す。
図8(A)は図7に示される変形例に対応する。リブ112Xは、第1の方向に延びる第1リブ112aと、第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2リブ112bと、ミラーの外周に沿った環状の第3リブ112cを有し、第1リブ112aと第2リブ112bは、それぞれ第3リブと交点を有するパターンである。第1リブと第2リブのパターンに沿って十字の形状に下側に抑えられており、さらにミラーの外周に沿って第3リブにより変形が抑えられている。図面上、(-)の箇所と(+)の箇所でグラデーション濃度の差が小さく、全体として変形が抑制され、ミラーの平面度が高められている。但し、環状の第3リブが設けられているので、慣性モーメントの増大と共振周波数の低下に注意する必要がある。
図8(B)は図4及び図5に示される実施の形態に対応する。リブ112は、第1の方向に延びる2本の第1リブ112aと、第1の方向と直交する第2の方向に延びる2本の第2リブ112bとを有する、井桁形状のパターンである。第1リブと第2リブのパターンに沿って井桁の形状に下側に抑えられており、さらにミラーの外周は上方に変形が発生する。図8(A)の場合よりもグラデーションの濃度差が大きい箇所はあるが、井桁形状のリブによりミラー全体の変形が抑制され、ミラーの平面度は高められている。
<実施例2>
図9は実施例2に係る光走査装置の駆動時のミラーの変形を説明する図である。光走査装置の駆動時のミラーの変形をシミュレーションにより算出した。ミラー110、ミラー支持部120及び連結梁121A、121Bに相当する部分に対応する。図面上、リブ形成面を下側とし、ミラー形成面を上側とし、グラデーションが濃いほど(―)の符号で示す位置で下側への変形量が大きくなり、グラデーションが薄いほど(+)の符号で示す位置で上方への変形量が大きくなっていることを示す。
図9(A)は比較例に対応し、図4及び図5に示される光走査装置において、ミラー支持部の裏面にリブが形成されておらず、ミラーの領域以外におけるミラー支持部の表面膜の除去がされていない場合に相当する。(-)の箇所と(+)の箇所でグラデーション濃度の差が大きく、全体として大きく変形している。
図9(B)は参考例に対応し、図4及び図5に示される光走査装置において、ミラー支持部の裏面にリブが形成されておらず、ミラーの領域以外におけるミラー支持部の表面膜の除去がされている場合に相当する。(-)の箇所と(+)の箇所でグラデーション濃度の差が図9(A)より抑えられており、全体の変形は抑制されている。
図9(C)は、図4及び図5に示される光走査装置に対応し、ミラー支持部の裏面にリブが形成されており、ミラーの領域以外におけるミラー支持部の表面膜の除去がされている場合に相当する。(-)の箇所と(+)の箇所でグラデーション濃度の差が図9(B)よりさらに抑えられており、全体の変形は大きく抑制されている。
上記のように、本実施の形態に係る光走査装置の光走査部によれば、ミラーの領域以外のミラー支持部から表面膜を除去することによって、ミラー支持部全体で起因する反りを抑制することができる。さらに、ミラーの裏面にリブを設けることにより反りに対する剛性を上げ、さらに平面度を向上させることができる。
上記の実施の形態では、水平駆動梁及び垂直駆動梁はともに全体としてジグザグ状の蛇腹構造を有し、非共振駆動で駆動される。トーションバーを用いない非共振駆動の光走査装置の場合では、ミラー支持部の表面に形成された表面膜の膜応力による反りによってミラーが変形してしまうが、本実施の形態によれば、駆動時のミラーの変形が抑制され、平面度が向上されている。
以上、好ましい実施の形態について説明したが、上述した実施の形態に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。例えば、上記の実施の形態では、ミラーを有する光走査装置にアクチュエータを適用した形態を説明しているが、アクチュエータの駆動対象物はミラーでなくてもよく、本発明はミラーを持たないアクチュエータにも適用することが可能である。また、本発明の光走査装置は、眼底検査装置の光干渉断層計に好ましく適用することができる。眼底検査装置の光干渉断層計では、プロジェクタのように一方の軸が高速動作するため共振駆動を必要とされず、振角量を自由に設定して調整して光走査ができることを求められているため、本実施例のような二軸とも非共振駆動の構成が適している。また、プロジェクション装置にも適用可能である。
10 活性層
11 シリコン酸化膜
12 酸化アルミニウム膜
13 銀含有膜
14 増反射膜
15 圧電素子
100 光走査部
110 ミラー
112、112X リブ
112a 第1リブ
112ai 第1仮想直線
112b 第2リブ
112bi 第2仮想直線
112c 第3リブ
120 ミラー支持部
121A、121B 連結梁
130A、130B 水平駆動梁
131A、131B 水平駆動源
131A1、131A2、131A3、131A4 水平駆動源
131B1、131B2、131B3、131B4 水平駆動源
131X1、131X2、131X3、131X4 折り返し部
131Y1、131Y2、131Y3、131Y4 折り返し部
132 リブ
160 可動枠
170A、170B 垂直駆動梁
171A、171B 垂直駆動源
171A1、171A2 垂直駆動源
171B1、171B2 垂直駆動源
171X、171Y 折り返し部
172 リブ
180 固定枠

Claims (11)

  1. レーザ光を反射するミラーが形成されたミラー支持部と、
    所定の軸に垂直な方向に延在する梁を有し、前記ミラー支持部に接続された駆動梁と、
    前記梁の一方の面上に形成された駆動源と、
    前記ミラー支持部の裏面において前記ミラーと対向する位置に形成されたリブと、
    前記ミラーを除く領域の前記ミラー支持部の表面において前記ミラー支持部が露出する露出部と、を有しており、
    前記駆動梁は、前記所定の軸に垂直な方向に延在する複数の前記梁を有し、隣接する前記梁の端部同士が折り返し部で連結されて全体としてジグザグ状の蛇腹構造を有し、
    前記露出部では、前記ミラーの領域を形成する膜の少なくともひとつからなる表面膜が、前記ミラー支持部の表面から除去されて活性層が露出され、
    前記駆動源の駆動により前記所定の軸を回転する方向に前記ミラー支持部を揺動駆動する
    光走査装置。
  2. 前記リブは、第1の方向に延びる複数の第1リブと、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる複数の第2リブとが交差してできる井桁形状である
    請求項1に記載の光走査装置。
  3. 前記第1リブを延長してできる第1仮想直線及び前記第2リブを延長してできる第2仮想直線と前記ミラーの外周とが交点で交差する時、隣り合う前記交点で決定される前記ミラーの外周の長さが等しい
    請求項2に記載の光走査装置。
  4. 前記リブは、前記ミラーの外周に沿った環状の第3リブをさらに有する
    請求項2または3に記載の光走査装置。
  5. 前記第1リブと前記第2リブは、それぞれ前記第3リブと交点を有する
    請求項4に記載の光走査装置。
  6. 前記リブは、第1の方向に延びる第1リブと、前記第1の方向と直交する第2の方向に延びる第2リブと、前記ミラーの外周に沿った環状の第3リブを有し、
    前記第1リブと前記第2リブは、それぞれ前記第3リブと交点を有する
    請求項1に記載の光走査装置。
  7. 前記表面膜は、シリコン酸化膜、酸化アルミニウム膜、銀含有膜、増反射膜のいずれかひとつ、または組み合わせによって形成される
    請求項1乃至6のいずれか1項に記載の光走査装置。
  8. 前記表面膜は、前記ミラー支持部の表面に形成されたシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜の上層に形成された酸化アルミニウム膜と、前記酸化アルミニウム膜の上層に形成された前記銀含有膜と、前記銀含有膜の上層に形成された増反射膜とを含む
    請求項に記載の光走査装置。
  9. 前記駆動源が設けられた領域の前記梁において、前記梁の表面に形成されたシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜の上層に形成された前記駆動源となる圧電素子と、前記圧電素子の上層に形成された酸化アルミニウム膜と、前記酸化アルミニウム膜の上層に形成された増反射膜とを含む第2の表面膜が形成されている
    請求項に記載の光走査装置。
  10. 前記駆動源が設けられた領域を除く前記梁において、前記梁の表面に形成されたシリコン酸化膜と、前記シリコン酸化膜の上層に形成された酸化アルミニウム膜と、前記酸化アルミニウム膜の上層に形成された増反射膜とを含む第3の表面膜が形成されている
    請求項記載の光走査装置。
  11. 前記駆動源による非共振駆動により、前記ミラー支持部を前記所定の軸を回転する方向に揺動駆動する
    請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光走査装置。
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