以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[光走査システム]
まず、本実施形態の制御装置を適用した光走査システムについて、図1〜図4に基づいて詳細に説明する。
図1には、光走査システムの一例の概略図が示されている。
図1に示すように、光走査システム10は、制御装置11の制御に従って光源装置12から照射された光を可動装置13の有する反射面14により偏向して被走査面15を光走査するシステムである。
光走査システム10は、制御装置11,光源装置12、反射面14を有する可動装置13により構成される。
制御装置11は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびFPGA(Field-Programmable Gate Array)等を備えた電子回路ユニットである。可動装置13は、例えば反射面14を有し、反射面14を可動可能なMEMS(Micro Electromechanical Systems)デバイスである。光源装置12は、例えばレーザを照射するレーザ装置である。なお、被走査面15は、例えばスクリーンである。
制御装置11は、取得した光走査情報に基づいて光源装置12および可動装置13の制御命令を生成し、制御命令に基づいて光源装置12および可動装置13に駆動信号を出力する。
光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光源の照射を行う。可動装置13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14を1軸方向または2軸方向の少なくともいずれかに可動させる。
これにより、例えば、光走査情報の一例である画像情報に基づいた制御装置11の制御によって、可動装置13の反射面14を所定の範囲で2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する光源装置12からの照射光をある1軸周りに偏向して光走査することにより、被走査面15に任意の画像を投影することができる。
なお、可動装置の詳細および本実施形態の制御装置による制御の詳細については後述する。
次に、光走査システム10一例のハードウェア構成について図2を用いて説明する。
図2は、光走査システム10の一例のハードウェア構成図である。
図2に示すように、光走査システム10は、制御装置11、光源装置12および可動装置13を備え、それぞれが電気的に接続されている。
このうち、制御装置11は、CPU20、RAM21(Random Access Memory)、ROM22(Read Only Memory)、FPGA23、外部I/F24、光源装置ドライバ25、可動装置ドライバ26を備えている。
CPU20は、ROM22等の記憶装置からプログラムやデータをRAM21上に読み出し、処理を実行して、制御装置11の全体の制御や機能を実現する演算装置である。
RAM21は、プログラムやデータを一時保持する揮発性の記憶装置である。
ROM22は、電源を切ってもプログラムやデータを保持することができる不揮発性の記憶装置であり、CPU20が光走査システム10の各機能を制御するために実行する処理用プログラムやデータを記憶している。
FPGA23は、CPU20の処理に従って、光源装置ドライバ25および可動装置ドライバ26に適した制御信号を出力する回路である。
外部I/F24は、例えば外部装置やネットワーク等とのインタフェースである。外部装置には、例えば、PC(Personal Computer)等の上位装置、USBメモリ、SDカード、CD、DVD、HDD、SSD等の記憶装置が含まれる。また、ネットワークは、例えば自動車のCAN(Controller Area Network)やLAN(Local Area Network)、インターネット等である。外部I/F24は、外部装置との接続または通信を可能にする構成であればよく、外部装置ごとに外部I/F24が用意されてもよい。
光源装置トライバは、入力された制御信号に従って光源装置12に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
可動装置ドライバ26は、入力された制御信号に従って可動装置13に駆動電圧等の駆動信号を出力する電気回路である。
制御装置11において、CPU20は、外部I/F24を介して外部装置やネットワークから光走査情報を取得する。なお、CPU20が光走査情報を取得することができる構成であればよく、制御装置11内のROM22やFPGA23に光走査情報を格納する構成としてもよいし、制御装置11内に新たにSSD等の記憶装置を設けて、その記憶装置に光走査情報を格納する構成としてもよい。
ここで、光走査情報とは、被走査面15にどのように光走査させるかを示した情報であり、例えば、光走査により画像を表示する場合は、光走査情報は画像データである。また、例えば、光走査により光書込みを行う場合は、光走査情報は書込み順や書込み箇所を示した書込みデータである。他にも、例えば、光走査により物体認識を行う場合は、光走査情報は物体認識用の光を照射するタイミングと照射範囲を示す照射データである。
本実施形態に係る制御装置11は、CPU20の命令および図2に示したハードウェア構成によって、次に説明する機能構成を実現することができる。
次に、光走査システム10の制御装置11の機能構成について図3を用いて説明する。図3は、光走査システムの制御装置の一例の機能ブロック図である。
図3に示すように、制御装置11は、機能として制御部30と駆動信号出力部31とを有する。
制御部30は、例えばCPU20、FPGA23等により実現され、外部装置から光走査情報を取得し、光走査情報を制御信号に変換して駆動信号出力部31に出力する。例えば、制御部30は、外部装置等から画像データを光走査情報として取得し、所定の処理により画像データから制御信号を生成して駆動信号出力部31に出力する。
駆動信号出力部31は、光源装置12ドライバ25、可動装置13ドライバ26等により実現され、入力された制御信号に基づいて光源装置12または可動装置13に駆動信号を出力する。
駆動信号は、光源装置12または可動装置13の駆動を制御するための信号である。例えば、光源装置12においては、光源の照射タイミングおよび照射強度を制御する駆動電圧である。また、例えば、可動装置13においては、可動装置13の有する反射面14を可動させるタイミングおよび可動範囲を制御する駆動電圧である。
次に、光走査システム10が被走査面15を光走査する処理について図4を用いて説明する。図4は、光走査システムに係る処理の一例のフローチャートである。
ステップS11において、制御部30は、外部装置等から光走査情報を取得する。
ステップS12において、制御部30は、取得した光走査情報から制御信号を生成し、制御信号を駆動信号出力部31に出力する。
ステップS13において、駆動信号出力部31は、入力された制御信号に基づいて駆動信号を光源装置12および可動装置13に出力する。
ステップ14において、光源装置12は、入力された駆動信号に基づいて光照射を行う。また、可動装置13は、入力された駆動信号に基づいて反射面14の可動を行う。光源装置12および可動装置13の駆動により、任意の方向に光が偏向され、光走査される。
なお、上記光走査システム10では、1つの制御装置11が光源装置12および可動装置13を制御する装置および機能を有しているが、光源装置用の制御装置および可動装置用の制御装置と、別体に設けてもよい。
また、上記光走査システム10では、一つの制御装置11に光源装置12および可動装置13の制御部30の機能および駆動信号出力部31の機能を設けているが、これらの機能は別体として存在していてもよく、例えば制御部30を有した制御装置11とは別に駆動信号出力部31を有した駆動信号出力装置を設ける構成としてもよい。なお、上記光走査システム10のうち、反射面14を有した可動装置13と制御装置11により、光偏向を行う光偏向システムを構成してもよい。
[画像投影装置]
次に、本実施形態の制御装置を適用した画像投影装置について、図5および図6を用いて詳細に説明する。
図5は、画像投影装置の一例であるヘッドアップディスプレイ装置500を搭載した自動車400の実施形態に係る概略図である。また、図6はヘッドアップディスプレイ装置500の一例の概略図である。
画像投影装置は、光走査により画像を投影する装置であり、例えばヘッドアップディスプレイ装置である。
図5に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、例えば、自動車400のウインドシールド(フロントガラス401等)の付近に設置される。ヘッドアップディスプレイ装置500から発せられる投射光Lがフロントガラス401で反射され、ユーザーである観察者(運転者402)に向かう。これにより、運転者402は、ヘッドアップディスプレイ装置500によって投影された画像等を虚像として視認することができる。なお、ウインドシールドの内壁面にコンバイナを設置し、コンバイナによって反射する投射光によってユーザーに虚像を視認させる構成にしてもよい。
図6に示すように、ヘッドアップディスプレイ装置500は、赤色、緑色、青色のレーザ光源501R,501G,501Bからレーザ光が出射される。出射されたレーザ光は、各レーザ光源に対して設けられるコリメータレンズ502,503,504と、2つのダイクロイックミラー505,506と、光量調整部507と、から構成される入射光学系を経た後、反射面14を有する可動装置13にて偏向される。そして、偏向されたレーザ光は、自由曲面ミラー509と、中間スクリーン510と、投射ミラー511とから構成される投射光学系を経て、スクリーンに投影される。なお、上記ヘッドアップディスプレイ装置500では、レーザ光源501R,501G,501B、コリメータレンズ502,503,504、ダイクロイックミラー505,506は、光源ユニット530として光学ハウジングによってユニット化されている。
上記ヘッドアップディスプレイ装置500は、中間スクリーン510に表示される中間像を自動車400のフロントガラス401に投射することで、その中間像を運転者402に虚像として視認させる。
レーザ光源501R,501G,501Bから発せられる各色レーザ光は、それぞれ、コリメータレンズ502,503,504で略平行光とされ、2つのダイクロイックミラー505,506により合成される。合成されたレーザ光は、光量調整部507で光量が調整された後、反射面14を有する可動装置13によって二次元走査される。可動装置13で二次元走査された投射光Lは、自由曲面ミラー509で反射されて歪みを補正された後、中間スクリーン510に集光され、中間像を表示する。中間スクリーン510は、マイクロレンズが二次元配置されたマイクロレンズアレイで構成されており、中間スクリーン510に入射してくる投射光Lをマイクロレンズ単位で拡大する。
可動装置13は、反射面14を2軸方向に往復可動させ、反射面14に入射する投射光Lを二次元走査する。この可動装置13の駆動制御は、レーザ光源501R,501G,501Bの発光タイミングに同期して行われる。
以上、画像投影装置の一例としてのヘッドアップディスプレイ装置500の説明をしたが、画像投影装置は、反射面14を有した可動装置13により光走査を行うことで画像を投影する装置であればよい。例えば、机等に置かれ、表示スクリーン上に画像を投影するプロジェクタや、観測者の頭部等に装着される装着部材に搭載され、装着部材が有する反射透過スクリーンに投影、または眼球をスクリーンとして画像を投影するヘッドマウントディスプレイ装置等にも、同様に適用することができる。
また、画像投影装置は、車両や装着部材だけでなく、例えば、航空機、船舶、移動式ロボット等の移動体、あるいは、その場から移動せずにマニピュレータ等の駆動対象を操作する作業ロボットなどの非移動体に搭載されてもよい。
[光書込装置]
次に、本実施形態の制御装置11を適用した光走査装置としての光書込装置について図7および図8を用いて詳細に説明する。
図7は、光書込装置600を組み込んだ画像形成装置の一例である。また、図8は、光書込装置の一例の概略図である。
図7に示すように、上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有するレーザプリンタ650等に代表される画像形成装置の構成部材として使用される。画像形成装置において光書込装置600は、1本または複数本のレーザビームで被走査面15である感光体ドラムを光走査することにより、感光体ドラムに光書込を行う。
図8に示すように、光書込装置600において、レーザ素子などの光源装置12からのレーザ光は、コリメータレンズなどの結像光学系601を経た後、反射面14を有する可動装置13により1軸方向または2軸方向に偏向される。そして、可動装置13で偏向されたレーザ光は、その後、第一レンズ602aと第二レンズ602b、反射ミラー部602cからなる走査光学系602を経て、被走査面15(例えば感光体ドラムや感光紙)に照射し、光書込みを行う。走査光学系602は、被走査面15にスポット状に光ビームを結像する。また、光源装置12および反射面14を有する可動装置13は、制御装置11の制御に基づき駆動する。
このように上記光書込装置600は、レーザ光によるプリンタ機能を有する画像形成装置の構成部材として使用することができる。また、走査光学系を異ならせて1軸方向だけでなく2軸方向に光走査可能にすることで、レーザ光をサーマルメディアに偏向して光走査し、加熱することで印字するレーザラベル装置等の画像形成装置の構成部材として使用することができる。
上記光書込装置に適用される反射面14を有した可動装置13は、ポリゴンミラー等を用いた回転多面鏡に比べ駆動のための消費電力が小さいため、光書込装置の省電力化に有利である。また、可動装置13の振動時における風切り音は回転多面鏡に比べ小さいため、光書込装置の静粛性の改善に有利である。光書込装置は回転多面鏡に比べ設置スペースが圧倒的に少なくて済み、また可動装置13の発熱量もわずかであるため、小型化が容易であり、よって画像形成装置の小型化に有利である。
[物体認識装置]
次に、上記本実施形態の制御装置を適用した物体認識装置について、図9および図10を用いて詳細に説明する。
図9は、物体認識装置の一例であるレーザレーダ装置を搭載した自動車の概略図である。また、図10はレーザレーダ装置の一例の概略図である。レーザレーダ装置は、ライダ(LIDAR:LIght Detection And Ranging)装置とも呼ばれる。
物体認識装置は、対象方向の物体を認識する装置であり、例えばレーザレーダ装置である。
図9に示すように、レーザレーダ装置700は、例えば自動車701に搭載され、対象方向を光走査して、対象方向に存在する被対象物702からの反射光を受光することで、被対象物702を認識する。
図10に示すように、光源装置12から出射されたレーザ光は、発散光を略平行光とする光学系であるコリメートレンズ703と、平面ミラー704とから構成される入射光学系を経て、反射面14を有する可動装置13で1軸もしくは2軸方向に走査される。そして、投光光学系である投光レンズ705等を経て装置前方の被対象物702に照射される。光源装置12および可動装置13は、制御装置11により駆動を制御される。被対象物702で反射された反射光は、光検出器709により光検出される。すなわち、反射光は入射光検出受光光学系である集光レンズ706等を経て撮像素子707により受光され、撮像素子707は検出信号を信号処理装置708に出力する。信号処理回路708は、入力された検出信号に2値化やノイズ処理等の所定の処理を行い、結果を測距回路710に出力する。
測距回路710は、光源装置12がレーザ光を発光したタイミングと、光検出器709でレーザ光を受光したタイミングとの時間差、または受光した撮像素子707の画素ごとの位相差によって、被対象物702の有無を認識し、さらに被対象物702との距離情報を算出する。
反射面14を有する可動装置13は多面鏡に比べて破損しづらく、小型であるため、耐久性の高い小型のレーダ装置を提供することができる。このようなレーダレーダ装置は、例えば車両、航空機、船舶、ロボット等に取り付けられ、所定範囲を光走査して障害物の有無や障害物までの距離を認識することができる。
上記物体認識装置では、一例としてのレーザレーダ装置700の説明をしたが、物体認識装置は、反射面14を有した可動装置13を制御装置11で制御することにより光走査を行い、光検出器により反射光を受光することで被対象物702を認識する装置であればよく、上述した実施形態に限定されるものではない。
例えば、手や顔を光走査して得た距離情報から形状等の物体情報を算出し、記録と参照することで対象物を認識する生体認証や、対象範囲への光走査により侵入物を認識するセキュリティセンサ、光走査により得た距離情報から形状等の物体情報を算出して認識し、3次元データとして出力する3次元スキャナの構成部材などにも同様に適用することができる。
[パッケージング]
次に、本実施形態の制御装置により制御される可動装置のパッケージングについて図11を用いて説明する。
図11は、パッケージングされた可動装置の一例の概略図である。
図11に示すように、可動装置13は、パッケージ部材802の内側に配置される取付部材802に取り付けられ、パッケージ部材の一部を透過部材803で覆われて、密閉されることでパッケージングされる。さらに、パッケージ内は窒素等の不活性ガスが密封されている。これにより、可動装置13の酸化による劣化が抑制され、さらに温度等の環境の変化に対する耐久性が向上する。
以上に説明した光偏向システム、光走査システム、画像投射装置、光書込装置、物体認識装置に使用される可動装置の詳細および本実施形態の詳細について、図12〜図23を用いて説明する。
[可動装置]
まず、可動装置について図12〜図14を用いて説明する。
図12は、2軸方向に光偏向可能な片持ちタイプの可動装置の平面図である。図13(c)は、図12のP−P’断面図である。図14は図12のQ−Q’断面図である。
図12に示すように、可動装置13は、入射した光を反射するミラー部101と、ミラー部に接続され、ミラー部101をY軸に平行な第1軸周りに駆動する第1駆動部110a、110bと、ミラー部101および第1駆動部110a、110bを支持する第1支持部120と、第1支持部120に接続され、ミラー部101、第1駆動部110a、110bおよび第1支持部120をX軸に平行な第2軸周りに駆動する第2駆動部130a、130bと、第2駆動部130a、130bを支持する第2支持部150と、第1駆動部110a、110bおよび第2駆動部130a、130bおよび制御装置11に電気的に接続される電極接続部160と、を有する。
可動装置13は、例えば、1枚のSOI(Silicon On Insulator)基板をエッチング処理等により成形し、成形した基板上に反射面14や第1圧電駆動部112a、112b、第2圧電駆動部131a〜131f、132a〜132f、電極接続部160等を形成することで、各構成部が一体的に形成されている。なお、上記の各構成部の形成は、SOI基板の成形後に行ってもよいし、SOI基板の成形中に行ってもよい。
SOI基板は、単結晶シリコン(Si)からなる第1のシリコン層の上に酸化シリコン層172が設けられ、その酸化シリコン層172の上にさらに単結晶シリコンからなる第2のシリコン層が設けられている基板である。以降、第1のシリコン層をシリコン支持層171、第2のシリコン層をシリコン活性層173とする。なお、シリコン活性層173を焼結して使用するのが好ましい。この場合、シリコン活性層173の表面に薄い酸化シリコン層が形成され、電極との短絡を抑制することができる。
シリコン活性層173は、X軸方向またはY軸方向に対してZ軸方向への厚みが小さいため、シリコン活性層173のみで構成された部材は、弾性を有する弾性部としての機能を備える。
なお、SOI基板は、必ず平面状である必要はなく、曲率等を有していてもよい。また、エッチング処理等により一体的に成形でき、部分的に弾性を持たせることができる基板であれば可動装置13の形成に用いられる部材はSOI基板に限られない。
ミラー部101は、例えば、円形状のミラー部基体102と、ミラー部基体の+Z側の面上に形成された反射面14とから構成される。ミラー部基体102は、例えば、シリコン活性層173から構成される。反射面14は、例えば、アルミニウム、金、銀等を含む金属薄膜で構成される。
第1駆動部110a、110bは、ミラー部基体102に一端が接続し、第1軸方向にそれぞれ延びてミラー部101を可動可能に支持する2つのトーションバー111a、112bと、一端がトーションバーに接続され、他端が第1支持部120の内周部に接続される第1圧電駆動部112a、112bと、から構成される。
図13(c)に示されるように、トーションバー111a、111bはシリコン活性層173から構成される。また、第1圧電駆動部112a、112bは、カンチレバーとして機能する弾性部であるシリコン活性層173の+Z側の面上に下部電極210、圧電部220、上部電極230の順に形成されて構成される。上部電極230および下部電極210は、例えば金(Au)、白金(Pt)、IrO2(二酸化イリジウム)、SR0(SrRuO3:ストロンチウムルテニウムオキサイド)等から構成される。圧電部220は、例えば、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。
図12に戻り、第1支持部120は、例えば、シリコン支持層171、酸化シリコン層172、シリコン活性層173から構成され、ミラー部101を囲うように形成された矩形形状の支持体である。
第2駆動部130a、130bは、例えば、折り返すように連結された複数の第2圧電駆動部131a〜131f、132a〜132fから構成されており、第2駆動部130a、130bの一端は第1支持部120の外周部に接続され、他端は第2支持部150の内周部に接続されている。このとき、第2駆動部130aと第1支持部120の接続箇所および第2駆動部130bと第1支持部120の接続箇所、さらに第2駆動部130aと第2支持部150の接続箇所および第2駆動部130bと第2支持部150の接続箇所は、反射面14の中心に対して点対称となっている。
図14に示されるように、第2圧電駆動部130a、130bは、カンチレバーとして機能する弾性部であるシリコン活性層173の+Z側の面上に下部電極210、圧電部220、上部電極230の順に形成されて構成される。上部電極230および下部電極210は、例えば金(Au)または白金(Pt)等から構成される。圧電部220は、例えば、圧電材料であるPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)からなる。
図12に戻り、第2支持部150は、例えば、シリコン支持層171、酸化シリコン層172、シリコン活性層173から構成され、ミラー部101、第1駆動部110a、110b、第1支持部120、第2駆動部130a、130bを囲うように形成された矩形の支持体である。
電極接続部160は、例えば、第2支持部150の+Z側の面上に形成され、第1圧電駆動部112a、112b、第2圧電駆動部131a〜131f、132a〜132fの各上部電極230および各下部電極210,および制御装置11にアルミニウム(Al)等の電極配線を介して電気的に接続されている。なお、上部電極230または下部電極210は、それぞれが電極接続部と直接接続されていてもよいし、電極同士を接続する等により間接的に接続されていてもよい。
なお、本実施形態では、圧電部220が弾性部であるシリコン活性層173の一面(+Z側の面)のみに形成された場合を一例として説明したが、弾性部の他の面(例えば−Z側の面)に設けても良いし、弾性部の一面および他面の双方に設けても良い。
また、ミラー部を第1軸周りまたは第2軸周りに駆動可能であれば、各構成部の形状は実施形態の形状に限定されない。例えば、トーションバー111a、111bや第1圧電駆動部112a、112bが曲率を有した形状を有していてもよい。
さらに、第1駆動部110a、110bの上部電極230の+Z側の面上、第1支持部の+Z側の面上、第2駆動部130a、130bの上部電極230の+Z側の面上、第2支持部の+Z側の面上の少なくともいずれかに酸化シリコン膜からなる絶縁層が形成されていてもよい。このとき、絶縁層の上に電極配線を設け、また、上部電極230または下部電極210と電極配線とが接続される接続スポットのみ、開口部として部分的に絶縁層を除去または絶縁層を形成しないことにより、第1駆動部110a、110b、第2駆動部130a、130bおよび電極配線の設計自由度をあげ、さらに電極同士の接触による短絡を抑制することができる。また、酸化シリコン膜は、反射防止材としていの機能も備える。
[制御装置の制御の詳細]
次に、可動装置の第1駆動部および第2駆動部を駆動させる制御装置の制御の詳細について説明する。
第1駆動部110a、110b、第2駆動部130a、130bが有する圧電部220は、分極方向に正または負の電圧が印加されると印加電圧の電位に比例した変形(例えば、伸縮)が生じ、いわゆる逆圧電効果を発揮する。第1駆動部110a,110b,第2駆動部130a、130bは、上記の逆圧電効果を利用してミラー部101を可動させる。
このとき、ミラー部101の反射面14に入射した光束が偏向される角度(偏向角度)を振れ角と呼ぶ。この振れ角は、圧電部に電圧が印加されていないときをゼロとし、その角度よりも偏向角度が大きい場合を正の振れ角、小さい場合を負の振れ角とする。
まず、第1駆動部を駆動させる制御装置の制御について説明する。
第1駆動部110a、110bでは、第1圧電駆動部112a、112bが有する圧電部220に、上部電極230および下部電極210を介して駆動電圧が並列に印加されると、それぞれの圧電部220が変形する。この圧電部220の変形による作用により、第1圧電駆動部112a、112bが屈曲変形する。その結果、2つのトーションバー111a、111bのねじれを介してミラー部101に第1軸周りの駆動力が作用し、ミラー部101が第1軸周りに可動する。第1駆動部110a、110bに印加される駆動電圧は、制御装置11によって制御される。
そこで、制御装置11によって、第1駆動部110a、110bが有する第1圧電駆動部112a、112bに所定の正弦波形の駆動電圧を並行して印加することで、ミラー部101を、第1軸周りに所定の正弦波形の駆動電圧の周期で可動させることができる。
特に、例えば、正弦波形電圧の周波数がトーションバー111a、111bの共振周波数と同程度である約20kHzに設定された場合、トーションバー111a、111bのねじれによる機械的共振が生じるのを利用して、ミラー部101を約20kHzで共振振動させることができる。
[可動装置の詳細]
図13(a)は、本実施形態の図12のP−P´断面図である図13(c)に対応する比較例1の断面図である。図13(b)は、本実施形態の図13(c)に対応する比較例2の断面図である。ここでは、便宜上、比較例1、2において、本実施形態の可動装置13と同一の構成及び機能を有する部材には、可動装置13と同一の符号を付している。
図13(a)に示される比較例1では、第1圧電駆動部112bにおいて下部電極210及び圧電部220が第1支持部120とトーションバー111bとの間のシリコン活性層173上に形成されている。同様に、比較例1では、第1圧電駆動部112aにおいても下部電極210及び圧電部220が第1支持部120とトーションバー111bの間のシリコン活性層173上に形成されている。
図13(b)に示される比較例2では、第1圧電駆動部112bにおいて下部電極210、圧電部220及び上部電極230が、第1支持部120とトーションバー111bとの間のシリコン活性層173上及び第1支持部120のシリコン活性層173上に形成されている。すなわち、比較例2では、第1圧電駆動部112bの下部電極210、圧電部220及び上部電極230が第1支持部120上に突出している。同様に、比較例2では、第1圧電駆動部112aの下部電極210、圧電部220及び上部電極230が第1支持部120上に突出している。
図13(c)に示される本実施形態では、第1圧電駆動部112bにおいて下部電極210及び圧電部220が、第1支持部120とトーションバー111bとの間のシリコン活性層173上及び第1支持部120のシリコン活性層173上に形成されている。すなわち、本実施形態では、第1圧電駆動部112bの下部電極210及び圧電部220が第1支持部120上に突出している。図13(c)において下部電極210の第1支持部120上の部分(以下では「下部電極突出部1」とも呼ぶ)に符号211を付し、圧電部220の第1支持部120上の部分(以下では「圧電部突出部1」とも呼ぶ)に符号221を付している。同様に、本実施形態では、第1圧電駆動部112bの下部電極210及び圧電部220が第1支持部120上に突出している。
ここで、比較例1、2、本実施形態のいずれにおいても、電極接続部160に一端が接続される配線の他端を下部電極210に接続するためのコンタクトホールや切り欠き部を第1圧電駆動部に形成する必要がある。
図16(a)〜図16(c)は、それぞれ比較例1、2、本実施形態の図12におけるS領域(符号Sが付された破線で囲まれた領域)の上面図である。ここでは、便宜上、比較例1、2において、本実施形態の可動装置13と同一の構成及び機能を有する部材には、可動装置13と同一の符号を付している。
比較例1では、第1支持部120とトーションバーとの間のシリコン活性層173上の上部電極230及び圧電部220の一部を例えばエッチングにより除去して上記コンタクトホールや切り欠き部を形成することになる(図16(a)参照)。しかし、この場合、第1圧電駆動部の駆動力が低下することが懸念される。
比較例2では、第1支持部120のシリコン活性層173上の上部電極230及び圧電部220の一部を例えばエッチングにより除去して上記コンタクトホールや切り欠き部を形成することができる(図16(b)参照)。しかし、この場合、上部電極230、圧電部220及び下部電極210から成る駆動源が第1支持部120上にあるため、上部電極230と下部電極210の間に電圧が印加されたときに圧電部220の駆動力が第1支持部120に作用し、不要な励起振動が発生することが懸念される。
本実施形態では、第1支持部120のシリコン活性層173上の圧電部220(圧電部突出部1)の一部を例えばエッチングにより除去して下部電極突出部1上に上記コンタクトホールや切り欠き部を形成することができる(図16(c)参照)。この場合、比較例1のような駆動力の低下や、比較例2のような不要な励起振動の発生を、抑制することができる。なお、図16(c)では、下部電極突出部1や圧電部突出部1の形状は、矩形とされているが、矩形以外の多角形等の他の形状であっても良い。
図15(c)は本実施形態の図12のR−R´断面図である。図15(a)は比較例1の図15(c)に対応する断面図であり、図15(b)は比較例2の図15(c)に対応する断面図である。ここでは、便宜上、比較例1、2において、本実施形態の可動装置13と同一の構成及び機能を有する部材には、可動装置13と同一の符号を付している。
図15に示されるように、各第2圧電駆動部は、カンチレバーとして機能する弾性部であるシリコン活性層173の+Z側の面上に下部電極210、圧電部220、上部電極230の順に形成されて構成される。第2圧電駆動部131a〜131f、132a〜132fを折り返し状に接続する連結部141ab〜141ef、142ab〜142efは例えば、シリコン活性層173で形成される。なお、シリコン支持層、酸化シリコン層により構成されていてもよい。
図15(a)に示される比較例1では、第2圧電駆動部131cにおいて下部電極210及び圧電部220が対応する2つの連結部141bc、141cd間のシリコン活性層173上に形成されている。同様に、比較例1では、他の第2圧電駆動部においても下部電極210及び圧電部220が対応する2つの連結部間のシリコン活性層173上に形成されている。
図15(b)に示される比較例2では、第2圧電駆動部131cにおいて下部電極210、圧電部220及び上部電極230が対応する2つの連結部141bc、141cd間のシリコン活性層173上及び連結部141bcのシリコン活性層173上及び連結部141cdのシリコン活性層173上に形成されている。すなわち、比較例2では、第2圧電駆動部131cの下部電極210、圧電部220及び上部電極230が対応する2つの連結部141bc、141cd上に突出している。同様に、比較例2では、他の第2圧電駆動部の下部電極210、圧電部220及び上部電極230が対応する2つの連結部上に突出している。
図15(c)に示される本実施形態では、第2圧電駆動部131cにおいて下部電極210及び圧電部220が、対応する2つの連結部141bc、141cd間のシリコン活性層173上及び連結部141bcのシリコン活性層173上及び連結部141cdのシリコン活性層173上に形成されている。すなわち、本実施形態では、第2圧電駆動部131cの下部電極210及び圧電部220が対応する2つの連結部141bc、141cd上に突出している。図15(c)において下部電極210の連結部上の部分(「以下では下部電極突出部2」とも呼ぶ)に符号211を付し、圧電部220の連結部上の部分(「以下では圧電部突出部2」とも呼ぶ)に符号221を付している。同様に、比較例3では、他の第2圧電駆動部の下部電極210及び圧電部220が対応する2つの連結部上に突出している。
ここで、比較例1、2、本実施形態のいずれにおいても、電極接続部160に一端が接続される配線の他端を下部電極210に接続するためのコンタクトホールや切り欠き部を第2圧電駆動部に、形成する必要がある。
図16(a)〜図16(c)は、それぞれ比較例1、2、本実施形態の図12におけるT領域(符号Tが付された破線で囲まれた領域)の上面図である。ここでは、便宜上、比較例1、2において、本実施形態の可動装置13と同一の構成及び機能を有する部材には、可動装置13と同一の符号を付している。
比較例1では、2つの連結部間のシリコン活性層173上の上部電極230及び圧電部220の一部を除去して上記コンタクトホールや切り欠き部を形成することになる(図17(a)参照)。しかし、この場合、第2圧電駆動部の駆動力が低下することが懸念される。
比較例2では、2つの連結部のシリコン活性層173上の上部電極230及び圧電部220の一部を除去して上記コンタクトホールや切り欠き部を形成することができる(図17(b)参照)。しかし、この場合、上部電極230、圧電部220及び下部電極210から成る駆動源が各連結部上にあるため、上部電極230と下部電極210の間に電圧が印加されたときに圧電部220の駆動力が該連結部に作用し、不要な励起振動が発生することが懸念される。
本実施形態では、2つの連結部のシリコン活性層173上の圧電部220(圧電部突出部2)の一部を除去して下部電極突出部2上に上記コンタクトホールや切り欠き部を形成することができる(図17(c)参照)。この場合、比較例1のような駆動力の低下や、比較例2のような不要な励起振動の発生を、抑制することができる。なお、図17(c)では、下部電極突出部2や圧電部突出部2の形状は、矩形とされているが、矩形以外の多角形等の他の形状であっても良い。なお、図17において、上部電極230に接続される配線は省略されている。
なお、第1圧電駆動部の上部電極230の+Z側の面上、第1支持部の+Z側の面上、第2圧電駆動部の上部電極230の+Z側の面上、連結部の+Z側の面上、第3支持部の+Z側の面上の少なくとも1つに酸化シリコン膜からなる絶縁層が形成されていてもよい。このとき、絶縁層の上に電極配線を設け、また、上部電極230または下部電極210と電極配線とが接続される接続スポットのみ、開口部として部分的に絶縁層を除去または絶縁層を形成しないことにより、第1圧電駆動部、第2圧電駆動部および電極配線の設計自由度をあげ、さらに電極同士の接触による短絡を抑制することができる。絶縁層としての酸化シリコン膜は、反射防止材としての機能も備える。
なお、本実施形態では、圧電部220が弾性部であるシリコン活性層173の一面(+Z側の面)のみに形成された場合を一例として説明したが、弾性部の他の面(例えば−Z側の面)に設けても良いし、弾性部の一面および他面の双方に設けても良い。
また、ミラー部を第1軸周りまたは第2軸周りに駆動可能であれば、各構成部の形状は実施形態の形状に限定されない。例えば、トーションバー111a、111bや第1圧電駆動部112a、112bが曲率を有した形状を有していてもよい。
[可動装置の動作と作用・効果の詳細]
次に、可動装置13の第1圧電駆動部および第2圧電駆動部の駆動方法、回動状態、作用・効果について説明する。
第1駆動部110a、110b、第2駆動部130a、130bが有する圧電部220は、分極方向に正または負の電圧が印加されると印加電圧の電位に比例した変形(例えば、伸縮)が生じ、いわゆる逆圧電効果を発揮する。第1駆動部110a,110b、第2駆動部130a、130bは、上記の逆圧電効果を利用することで圧電部220に連動して第1圧電駆動部、第2圧電駆動部のZ方向層構造に含まれるシリコン活性層173が変形伸縮する。これによりミラー部101を可動させる。
第1圧電駆動部は反射ミラーが図12におけるY軸周りに往復回転動作することを実現する。これを第1軸周りの回転とする。第1駆動部110a、110bでは、第1圧電駆動部112a、112bが有する圧電部220に、上部電極230および下部電極210を介して駆動電圧が並列に印加されると、それぞれの圧電部220が変形する。この圧電部220の変形による作用により、第1圧電駆動部112a、112bが屈曲変形する。その結果、2つのトーションバー111a、111bのねじれを介してミラー部101に第1軸周りの駆動力が作用し、ミラー部101が第1軸周りに可動する。第1駆動部110a、110bに印加される駆動電圧は正弦波とされることが多く、このときミラー部101は共振動作により正弦波形の駆動電圧の周期で回動される。
特に、例えば、正弦波形電圧の周波数がトーションバー111a、111bの共振周波数と同程度である約20kHzに設定された場合、トーションバー111a、111bのねじれによる機械的共振が生じるのを利用して、ミラー部101を約20kHzで共振振動させることができる。
第1駆動部110a、110bが駆動され、ミラー部101が回動される際、第1支持部120は第1圧電駆動部の固定端の役割となる。第1支持部120は第2圧電駆動部と連続する層を有するため、第1圧電駆動部の駆動源が第1支持部120上に存在することは望ましくない。これは、第1支持部120のシリコン活性層173は第2圧電駆動部のシリコン活性層173と連続しているためである。2軸動作の際、第1圧電駆動部の振動は第2圧電駆動部の振動に対しての振動クロストークとなる。
図18は、可動装置13の第2駆動部130bの駆動を模式的に表した模式図である。破線で表されているのはミラー部101、第1駆動部110a、110b、第1支持部120を含み第2軸周りに可動する系(以下では「第2軸周り可動系」とも呼ぶ)である。
図18(a)に示すように、第2駆動部130bに駆動電圧が印加されていない状態では、第2駆動部130bによる振れ角はゼロである。
図12の第2駆動部130aが有する複数の第2圧電駆動部131a〜131fのうち、最もミラー部101に距離が近い第2圧電駆動部(131a)から数えて偶数番目の第2圧電駆動部、すなわち第2圧電駆動部131b、131d、131fを圧電駆動部群Aとする。また、さらに第2駆動部130bが有する複数の第2圧電駆動部132a〜132fのうち、最もミラー部101に距離が近い第2圧電駆動部(132a)から数えて奇数番目の第2圧電駆動部、すなわち第2圧電駆動部132a、132c、132eを同様に圧電駆動部群Aとする。圧電駆動部群Aは、駆動電圧が並行に印加されると、図18(b)に示すように、圧電駆動部群Aが同一方向に屈曲変形し、ミラー部101が−Z方向に第2軸周りに可動する。
また、第2駆動部130aが有する複数の第2圧電駆動部131a〜131fのうち、最もミラー部101に距離が近い第2圧電駆動部(131a)から数えて奇数番目の第2圧電駆動部、すなわち第2圧電駆動部131a、131c、131eを圧電駆動部群Bとする。また、さらに第2駆動部130bが有する複数の第2圧電駆動部132a〜132fのうち、最もミラー部に距離が近い第2圧電駆動部(132a)から数えて偶数番目の第2圧電駆動部、すなわち、132b、132d、132fを同様に圧電駆動部群Bとする。圧電駆動部群Bは、駆動電圧が並行に印加されると、図18(d)に示すように、圧電駆動部群Bが同一方向に屈曲変形し、ミラー部101が+Z方向に第2軸周りに可動する。
図18(b)、図18(d)に示すように、第2駆動部130aまたは第2駆動部130bでは、圧電駆動部群Aが有する複数の圧電部220または圧電駆動部群Bが有する複数の圧電部220を同時に屈曲変形させることにより、屈曲変形による可動量を累積させ、ミラー部101によるX軸周りの振れ角を大きくすることができる。これを第2軸周りの回転とする。例えば、図12に示すように、第2駆動部130a、130bが、第1支持部120の中心点に対して第1支持部120に点対称で接続されている。そのため、圧電駆動部群Aに駆動電圧を印加すると、第2駆動部130aでは第1支持部120と第2駆動部130aの接続部に+Z方向に動かす駆動力が生じ、第2駆動部130bでは第1支持部120と第2駆動部130bの接続部に−Z方向に動かす駆動力が生じ、可動量が累積されてミラー部101による第2軸周りの振れ角を大きくすることができる。
また、図18(c)に示すように、電圧印加による圧電駆動部群Aによるミラー部101の可動量と電圧印加による圧電駆動群Bによるミラー部101の可動量が釣り合っている時は、振れ角はゼロとなる。
図18(b)〜図18(d)を連続的に繰り返すように第2圧電駆動部に駆動電圧を印加することにより、ミラー部101を第2軸周りに駆動させることができる。この場合、構造固有の共振周波数での動作に限定されない駆動が可能になる。
第2圧電駆動部に印加される駆動電圧としては、圧電駆動部群Aに印加される駆動電圧(以下、駆動電圧A)と圧電駆動部群Bに印加される駆動電圧(以下、駆動電圧B)がある。
図19(a)は、可動装置13の圧電駆動部群Aに印加される駆動電圧Aの波形の一例である。図19(b)は、可動装置13の圧電駆動部群Bに印加される駆動電圧の波形Bの一例である。図19(c)は、駆動電圧Aの波形と駆動電圧Bの波形を重ね合わせた図である。
図19(a)に示すように、圧電駆動部群Aに印加される駆動電圧Aは、例えば、ノコギリ波状の波形の駆動電圧であり、周波数は、例えば60HZである。また、駆動電圧Aの波形は、電圧値が極小値から次の極大値まで増加していく立ち上がり期間の時間幅をTrA、電圧値が極大値から次の極小値まで減少していく立ち下がり期間の時間幅をTfAとしたとき、例えば、TrA:TfA=9:1となる比率があらかじめ設定されている。このとき、一周期に対するTrAの比率を駆動電圧Aのシンメトリという。
図19(b)に示すように、圧電駆動部群Bに印加される駆動電圧Bは、例えば、ノコギリ波状の波形の駆動電圧であり、周波数は、例えば60HZである。また、駆動電圧Bの波形は、電圧値が極小値から次の極大値まで増加していく立ち上がり期間の時間幅をTrB、電圧値が極大値から次の極小値まで減少していく立ち下がり期間の時間幅をTfBとしたとき、例えば、TfB:TrB=9:1となる比率があらかじめ設定されている。このとき、一周期に対するTfBの比率を駆動電圧Bのシンメトリという。また、図19(c)に示すように、例えば、駆動電圧Aの波形の周期TAと駆動電圧Bの波形の周期TBは、同一となるように設定されている。
なお、上記の駆動電圧Aおよび駆動電圧Bのノコギリ波状の波形は、正弦波の重ね合わせによって生成される。また、本実施形態では、駆動電圧A、Bとしてノコギリ波状の波形の駆動電圧を用いているが、これに限らず、ノコギリ波状の波形の頂点を丸くした波形の駆動電圧や、ノコギリ波状の波形の直線領域を曲線とした波形の駆動電圧など、可動装置のデバイス特性に応じて波形を変えることも可能である。
前述のとおり、第2駆動部は複数のカンチレバーを同時に屈曲変形させることにより、屈曲変形による可動量を累積させ、さらに圧電駆動部群Aと圧電駆動部群Bに入力する駆動信号波形を制御することで所望の振れ角が得られる非共振駆動が可能である。
しかし、第2駆動部も構造それ自体が有する固有の共振周波数を有している。特に、例えば、Y軸を回転軸として第2圧電駆動部131a〜131f、132a〜132fの各カンチレバーがねじれる振動モードである。図20に示されるように、第2圧電駆動部を構成するシリコン活性層の各カンチレバーがY軸を中心にねじれる挙動である。この動きは、第2圧電駆動部の支持端としての役割を果たす連結部141ab〜141ef、142ab〜142efが+Z方向に振動することで強まる。
第2駆動部のねじれ振動モードは、Y軸周りの回動、つまり第1駆動部による第1軸周りの回動に重畳し、これが2軸動作の振動クロストークとなる。
図21に示すように、第1駆動部と第2駆動部を同時に動作させることで、ミラー部101が反射した光は2次元の走査軌跡を描き、図1で示されるような光走査装置を実現することが可能になる。より高性能な光偏向器としての可動装置を設計するにあたり、ミラー部101による振れ角はより電圧に対して高い感度を有し、大振れ角が可能であることが望ましい。一方で、前述の2軸動作時におけるクロストークに関する問題はミラー部による振れ角を大きくするほど顕著になる。結果として、意図しない走査線揺らぎによる画質低下、照射光の光軸ずれ、環境振動に対する脆弱性等の悪影響を招く。高品質、高信頼性の光偏向器、光走査装置、画像投影装置、光書込装置、画像形成装置、物体認識装置を実現するには、第1駆動部ならびに第2駆動部において意図する動き以外の振動成分を低減することが望ましい。
第1圧電駆動部や第2圧電駆動部において、圧電部は上部電極と下部電極で挟まれ、これが駆動源となる。そして駆動源に電気配線を接続することで圧電アクチュエータとしての機能を実現する。このとき、圧電部220、上部電極230、下部電極210で構成される駆動源は大面積であることが望ましい一方で、本来駆動部の支持枠にあたる部材において駆動源が存在することは、第1駆動部ならびに第2駆動部における意図しない振動の誘起とそれにともなう振動クロストークを発生させうる。
図22に第1駆動部によるミラー部101の回転に対応した共振感度のピークと、第2駆動部におけるねじれ振動によるクロストークピークの模式図を示す。fmが第1駆動部を駆動させた際のミラー部101による振れ角を縦軸として観測した共振周波数、fdは第2駆動部を駆動させた際のねじれ振動による振動クロストークを、ミラー部101による振れ角を縦軸として観測した共振周波数である。
図22に示すような振動モードと周波数が存在するとき、従来例の光偏向器と、本実施形態の光偏向器としての可動装置13の共振ピークを比較したのが図23である。図23は図22と同様、ミラー部による振れ角の共振周波数特性を示している。実線が本実施形態の一実施例における共振振れ角の周波数依存性、破線が従来例における共振振れ角の周波数依存性である。本実施形態の一実施例においては、fdのピーク値が低減し、光偏向器の2軸動作時に発生する振動クロストークを低減することができた。
図23に示されるような結果が得られることで、光偏向器は互いに独立した二次元方向の回動動作を確保でき、また駆動部の圧電カンチレバー領域を最大限活用することができる。
以上説明した本実施形態の圧電アクチュエータ(第1圧電駆動部や第2圧電駆動部)は、第1及び第2の部材に一端及び他端がそれぞれ接続されたカンチレバー(梁)と、少なくともカンチレバー上に設けられた下部電極210(第1の電極)と、下部電極210上に設けられた圧電部220(圧電体)と、該圧電部220上に設けられた上部電極230(第2の電極)と、を備え、下部電極210は、第1及び第2の部材の少なくとも一方上に突出している。第1及び第2の部材としては、例えばトーションバー111a、111b、第1支持部120、連結部、第2支持部150が挙げられる。
この場合、下部電極210、圧電部220及び上部電極230から成る駆動源を第1及び第2の部材上に設けることなく、第1及び第2の部材の少なくとも一方上に突出した下部電極210に配線を接続することができる。
これにより、不要な励起振動の発生を抑制でき、かつ所望の駆動力を得ることができる。
結果として、本実施形態の圧電アクチュエータによれば、所望の動力性能(駆動性能)を安定して得ることができる。
また、圧電部220は、第1及び第2の部材の少なくとも一方上に突出しており、第2の電極は、第1及び第2の部材の少なくとも一方上に突出していない。
また、下部電極210の突出部(下部電極突出部)には、圧電部220の突出部(圧電部突出部)が設けられていない領域があり、該領域に配線が接続されることが好ましい。
また、上部電極230と下部電極210と圧電部220は、非相似の形状である。
また、圧電部220のカンチレバー上に設けられている部分は、圧電部220の突出部(圧電部突出部)よりも大きい。
また、下部電極210のカンチレバー上に設けられている部分は、下部電極210の突出部(下部電極突出部)よりも大きい。
また、カンチレバーに、該カンチレバーの振動を検知するための振動センサが設けられることが好ましい。この振動センサは、本実施形態の圧電アクチュエータと同様の構成によって実現することができる。
本実施形態の圧電アクチュエータは、光偏向器や振動センサのみならず、圧電効果を利用する機器全般に適用可能である。
また、本実施形態の圧電アクチュエータと、該圧電アクチュエータのカンチレバーの一端に接続されたトーションバーと、カンチレバーの他端を支持する支持部120と、トーションバーに接続されたミラー部101と、を備える可動装置13によれば、所望の振れ角が得られ、かつ動作信頼性の高い光偏向器を実現できる。
また、全体として蛇行構造(ミアンダ形状)を形成するように連結部を介してカンチレバー同士が接続された複数の本実施形態の圧電アクチュエータを含む駆動系と、該駆動系の一端に接続される、ミラー部101を含む第2軸周り可動系(可動系)と、駆動系の他端を支持する第2支持部150と、を備える可動装置13によれば、所望の振れ角が得られ、かつ動作信頼性の高い光偏向器を実現できる。
また、可動系は、ミラー部101に接続されたトーションバーと、トーションバーにカンチレバーの一端が接続された本実施形態の圧電アクチュエータと、カンチレバーの他端を支持する支持部120と、を更に含むことが好ましい。この場合、所望の振れ角が得られ、かつ動作信頼性の高い2軸光偏向器を実現できる。
また、本実施形態の光走査装置(例えば光書込装置600)は、光により対象物を走査する光走査装置であって、光源装置12と、該光源装置12からの光を偏向する光偏向素子としての可動装置13と、を備えている。
この場合、光により対象物を安定して精度良く走査することができる。
また、本実施形態の画像形成装置としてのレーザプリンタ650は、感光体ドラム(像担持体)と、該感光体ドラムの表面である被走査面15を光により走査する光書込装置600と、を備えている。
この場合、被走査面15に形成される画像の品質を向上できる。
なお、上記光書込装置600は、感光体ドラムを複数備えるカラープリンタやカラー複写機等の画像形成装置にも適用可能である。このようなカラー対応の画像形成装置には、例えば複数の感光体ドラムに対応して複数の可動装置13を設けても良い。
また、本実施形態の画像投影装置としてのヘッドアップディスプレイ装置500は、光源装置12及び可動装置13を含む光走査装置からの光が照射され画像が形成される中間スクリーン510と、該中間スクリーン510を介した画像を形成する光を投射する投射ミラー511(光学系)と、を備えている。
この場合、投影画像の品質を向上できる。
また、本実施形態の物体認識装置(レーザレーダ装置)は、光源装置12及び可動装置13を有する光走査装置を含む投光系と、該投光系から投光され被対象物702(物体)で反射もしくは散乱された光を受光する受光系と、を備えている。
この場合、被対象物702を安定して精度良く認識できる。
また、本実施形態の画像投影装置及び物体認識装置の少なくとも一方と、該少なくとも一方が搭載される移動体と、を備える移動体装置を実現することもできる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した実施形態は本発明の一適用例を示したものである。本発明は、上述した実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で様々な変形や変更を加えて具体化することができる。
例えば、光源装置12及び可動装置13を含む光走査装置からの光を熱可逆記録媒体(例えばリライタブルラベル)に照射することにより該熱可逆記録媒体を光走査して画像の記録及び消去の少なくとも一方を行っても良い。
このような画像の記録や消去を行う装置は、熱可逆記録媒体を対象物とする画像書換装置や画像記録装置や画像消去装置として用いることができる。
この場合、熱可逆記録媒体に対して安定して精度良く画像の記録や消去を行うことができる。
また、光源装置12及び可動装置13を含む光走査装置からの光を眼底に照射することにより該眼底を光走査し、該眼底で反射もしくは散乱された光を解析手段で解析しても良い。
このように眼底に光(例えば弱い赤外線)を照射し戻ってきた光を解析することで、網膜の断層を描き出すことができる。このような装置は「光干渉断層計」と呼ばれ、加齢黄斑変性症や黄斑浮腫、黄斑円孔の診断や、緑内障における視神経繊維の状態を調べる際に用いられる。
また、上記実施形態では、可動装置13は図12に示されるように、トーションバー111a、111bから+X方向に向かって第1圧電駆動部112a、112bが延びる片持ちタイプの可動装置を用いているが、電圧印加された圧電部を可動させる構成であれば、これに限られない。例えば、図24に示される例のように、圧電アクチュエータとしての駆動部240の梁の一端部が固定端としての支持部250に接続される可動装置を用いても良い。また、図25に示すように、トーションバー211a、211bから+X方向に向かって延びる駆動部241a、241bおよび−X方向に向かって延びる駆動部241c、241dを有する両持ちタイプの可動装置を用いてもよい。また、1軸周りのみに反射面を可動させる場合は、図26に示すように、可動部260に反射面14を設ける構成としてもよい。また、図27に示すように、ミラー部101、第1駆動部110a、110b、支持部120によって1軸周りのみに反射面14を可動させる可動装置を用いても良い。
また、ミラー部101は、ミラー部基体102の−Z側の面にミラー部補強用のリブが形成されていてもよい。リブは、例えば、シリコン支持層171および酸化シリコン層172から構成され、可動によって生じる反射面14の歪みを抑制することができる。
なお、上記実施形態では、不要な励起振動を抑制するために第1支持部120上や連結部上に圧電体と該圧電体を挟む2つの電極を含む駆動源が設けられることを回避したが、このような駆動源がトーションバー上に設けられる場合も不要な励起振動が発生することが懸念される。
しかし、トーションバー上に下部電極210及び圧電部220の少なくとも一方のみが突出していても、トーションバー上に駆動源が構成されないため、差し支えない。
また、上記実施形態では、第1圧電駆動部において、下部電極210及び圧電部220が支持部120上にのみ突出しているが、これに加えて、例えば図28(a)に示されるように下部電極210及び圧電部220がトーションバー上にも突出していても良いし、例えば図28(b)に示されるように、下部電極210のみがトーションバー上に突出していても良い。
また、上記実施形態では、第1圧電駆動部において、下部電極210及び圧電部220が支持部120上にのみ突出しているが、これに代えて、例えば図29(a)に示されるように下部電極210のみが支持部120上にのみ突出していても良いし、例えば図29(b)に示されるように下部電極210のみが支持部120及びトーションバー上に突出していても良い。
また、上記実施形態では、第1圧電駆動部において、下部電極210及び圧電部220が支持部120上にのみ突出しているが、これに代えて、例えば図30に示されるように下部電極210のみが支持部120上に突出し、かつ下部電極210及び圧電部220がトーションバー上に突出していても良い。
また、上記実施形態では、第2圧電駆動部において、下部電極210及び圧電部220が両側の2つの連結部上に突出しているが、これに代えて、例えば図31(a)に示されるように下部電極210のみが両側の連結部上に突出していても良いし、例えば図31(b)に示されるように下部電極210のみが片側の連結部上にのみ突出していても良い。
また、上記実施形態では、第2圧電駆動部において、下部電極210及び圧電部220が両側の2つの連結部上に突出しているが、これに代えて、例えば図32(a)に示されるように下部電極210及び圧電部220が片側の連結部上にのみ突出していても良いし、例えば図32(b)に示されるように下部電極210が両側の連結部上に突出し、かつ圧電部220が片側の連結部上にのみ突出していても良い。
さらに、図33に示されるように、第1圧電駆動部の下部電極及び圧電部が第1支持部上に突出するように設けても良い。この際、図33のように、第2軸に関して線対称となるように下部電極及び圧電部を第1支持部上に突出させることが好ましい。この場合、歪みが生じる位置について第2軸からの距離に差がないのでつり合いが保たれ、ミラー部の回転軸としての第1軸に対して垂直な第2軸の周りの回転成分による励振がミラー部に発生するのを抑制できる。なお、図33において、下部電極のみを第1の支持部上に突出させても良い。
一方、図34に示される比較例のように、第2軸に関して非対称となるように下部電極及び圧電部を第1支持部上に突出させると、歪みが生じる位置について第2軸からの距離に差があるのでつり合いがくずれ、第2軸の周りの回転成分による励振がミラー部に発生し易くなる。
以上に、発明者らが、上記実施形態を発案するに至った思考プロセスを説明する。
近年、半導体製造技術を応用したマイクロマシニング技術によって製造される小型の光偏向ミラーが開発されている。この光偏向ミラーは、シリコンやガラスを微細加工して製造されるMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスとして、基板上に反射面を設けた可動部や弾性梁状部を一体形成してなり、光ビームを偏向・走査する。
このような光偏向ミラーには、ミラーの駆動用の梁状弾性部材に薄膜化した圧電材料を重ね合わせた圧電アクチュエータ式のものがある。この構成においては、圧電効果による圧電材料の伸縮が梁となる支持体に伝わり、この梁が上下に振動することによって反射面が回動する。
光偏向ミラーを互いに直交する第1軸(水平方向)と第2軸(垂直方向)との2軸を中心として回動させることにより2次元光走査が可能となり、水平方向の光走査は機械的な共振周波数を使用する共振駆動を用い、垂直方向の光走査に関しては、非共振駆動を用いることが通例となっている。
このとき、非共振駆動を実現する振動梁は、通例として、複数の折り返し部と、複数の連結部とを有し、連続した複数の折り返し形状から実質的に成るミアンダ形状とされることが多い。
このようなミアンダ形状の連結部の屈曲変位を重畳させる際、振動梁に掛かる大きな応力が原因となり、圧電膜上部全面にある電極がストレスマイグレーションを起こし、断線するという課題があった。特に、連結部の上下振動等によって折り返し部の内周の中点近傍にねじれ応力が掛かり、連結部の曲がり変形等によって曲率変化点近傍に曲げ応力が掛かる。そのため、折り返し部の内周の中点近傍または曲率変化点近傍に設けられた圧電膜または電極には特に大きな応力が掛かるという問題があった。
そこで、特許文献1(WO2012−111332号公報)では、ミアンダ構造における、複数の折り返し部のそれぞれの内周の中点とその近傍または複数の折り返し形状のそれぞれの内周の曲率が変化する曲率変化点とその近傍の少なくとも一方に圧電膜が存在しない不存在領域が設けることで上記課題を解消することができるとしている。
しかしながら、特許文献1に開示されたような従来の光偏向器は、曲率変化点近傍に圧電膜が存在しない領域を設けることで、電極デザインの自由度低下に伴う形状の複雑化が発生する。
結果として、特許文献1では、光偏向器の設計自由度の低下、電極デザインの複雑化にともなう意図しない走査線揺らぎによる画質低下、照射光の光軸ずれ、環境振動に対する脆弱性等の悪影響を招くという課題があった。
そこで、発明者らは、このような課題を解決するために、電極形状を簡略化しつつ、可動装置の動作中に励起され得る不要な励起振動を低減でき、ミラー部の回動動作の安定性を向上させることができる可動装置(光偏向器)を実現すべく、上記実施形態を発案した。