これより本発明の特定の実施形態を詳細に参照するが、それらの例は、添付の構造及び式に例証されている。本発明は、列挙される実施形態と組み合わせて説明されるが、それらは、本発明をそれらの実施形態に限定することを意図するものではないことを理解されたい。逆に、本発明は、全ての代替形、修正形、及び同等物を網羅することが意図されており、それらは、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に含まれ得る。
当業者であれば、本発明の実施に使用することができる、本明細書に記載されるものに類似または同等である多くの方法及び材料を理解するであろう。本発明は、決して記載される方法及び材料に限定されるものではない。
いくつかの実施形態において、本開示は、概して、式(II)のPBD単量体プロドラッグ化合物を対象とし、
式中、R
2、R
3、R
6、R
7、R
8、R
9、X、R
10、R
11、及び*は、本明細書の別の箇所でより詳細に定義される。
いくつかの実施形態において、本開示は、N10位でR
10を有する第1のPBD単量体を含むPBD二量体プロドラッグ化合物を対象とする。二量体は、さらに、N10位で、(1)置換なし、(2)R
10、または(3)リンカーを有する、第2のPBD単量体を含む。PBD二量体は、概して、以下の2つの構造のうちの1つであり、
式中、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9、R
9’、X、R
10、R
11、R
11’、Q、Q’、T、*、及びリンカーは、本明細書の別の箇所でより詳細に定義される。
いくつかの実施形態において、本開示は、N10位で、(i)GSH活性化ジスルフィドトリガーを含む保護基、(ii)DTD活性化キノントリガーを含む保護基、または(iii)ROS活性化アリールボロン酸もしくはアリールボロン酸エステルトリガーを含む保護基を有する第1のPBD単量体を含むPBD二量体プロドラッグ化合物を対象とする。二量体は、さらに、N10位で、抗体スルフヒドリル部分にコンジュゲートされるリンカーを有する第2のPBD単量体を含む。PBD二量体は、概して、以下のとおりであり、
式中、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9、R
9’、X、R
10、R
11、R
11’、T、*、リンカー、抗体、及びpは、本明細書の別の箇所でより詳細に定義される。
I.定義
別段定義されない限り、本明細書で使用される技術的及び科学的な用語は、本開示が属する分野の当業者により一般的に理解されるものと同じ意味を有し、それらは、Singleton et al.(1994)Dictionary of Microbiology and Molecular Biology,2nd Ed.,J.Wiley&Sons,New York,NY、及びJaneway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immunobiology,5th Ed.,Garland Publishing,New Yorkと一致する。
本明細書に定義される「プロドラッグ」は、トリガーを含む保護基で、N10位で置換されたPBDであり、保護基は、薬物毒性を隠す。保護基は、酵素(例えば、DTD)、ROS、またはGSHなどのトリガーへの刺激の適用によって活性薬物を生成するために、酵素的または化学的に活性化される(切断される)。いくつかの実施形態において、トリガーは、ジスルフィド、環式ジオン(例えば、キノン)、またはアリールボロン酸もしくはアリールボロン酸エステルである。
本明細書に定義される「保護基」とは、特定の官能性を遮断または保護する官能基の化学修飾によって薬物分子に導入される部分を指す。
「DTD」とは、DT-ジアフォラーゼを指し、「ROS」とは、活性酸素種を指し、「GSH」とは、グルタチオンを指す。
「リンカー」(L)は、1つ以上の薬物部分(D)を抗体(Ab)に連結して、一般式、
抗体-[L-D]p
(式中、pは、1、2、3、4、5、6、7、または8であり得る)の担体-リンカー-薬物コンジュゲートを形成するために使用することができる、二機能性または多機能性部分である。リンカーは、概して、抗体(Ab)への接続、任意の抗体スペーサ単位、犠牲を提供するための任意のトリガー単位、任意の薬物(D)スペーサ単位、及び薬物への接続を含み、以下の一般の構造からなる。
Ab-[Ab接続]-[Abスペーサ]opt-[トリガー]opt-[Dスペーサ]opt-[D接続]-D
いくつかの実施形態において、抗体-Dコンジュゲートは、薬物に及び抗体に共有結合するための反応性官能基を有するリンカーを使用して調製することができる。例えば、いくつかの実施形態において、システイン操作された抗体(Ab)のシステインチオールは、リンカーの反応性官能基または薬物-リンカー中間体と結合を形成して、ADCを作製することができる。一実施形態において、リンカーは、抗体上に存在する遊離システインと反応して、共有ジスルフィド結合を形成することができる官能性を有する(例えば、Klussman,et al(2004),Bioconjugate Chemistry15(4):765-773の766頁のコンジュゲーション方法及び本明細書の実施例を参照されたく、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。いくつかの実施形態において、リンカーは、ペプチド、ペプチド模倣物、またはジスルフィドトリガーなどの切断可能な犠牲部分を含んでもよい。リンカーは、任意に、犠牲部分と薬物部分(p-アミノ-ベンジル(「PAB」))との間、及び/または犠牲部分と抗体(カプロン酸に由来する部分などの)との間に1つ以上の「スペーサ」単位を含んでもよい。スペーサの非限定的な例としては、バリン-シトルリン(「val-cit」または「vc」)、アラニン-フェニルアラニン(「ala-phe」)、及びp-アミノベンジルオキシカルボニル(「PABC」)が挙げられる。いくつかの実施形態において、スペーサは、犠牲性であってもよい。
「犠牲性」及び「犠牲」とは、酵素(例えば、プロテアーゼまたはDTD)、GSH、ROS、及び/またはpH変化などによって、インビボ及び/またはインビトロで切断可能であるリンカー、スペーサ、及び/またはプロドラッグなどの部分を指す。犠牲部分の例には、ジスルフィド、ペプチド、及びペプチド模倣物が含まれる。
「ペプチド」とは、アミド(ペプチド)結合によって連結された、2つ以上のアミノ酸の単量体の短鎖を指す。アミノ酸の単量体は、天然型及び/または非天然型アミノ酸類似体であり得る。
「ペプチド模倣物」とは、アミノ酸またはペプチドの一般の化学構造とは異なるが、天然型アミノ酸またはペプチドと同様の様式で機能する、構造を有する一群または部分を指す。
「束縛リンカー」とは、ジスルフィド結合を形成することができる硫黄を有する炭素原子を有するリンカーを指し、炭素原子は、H以外の少なくとも1つの置換基で置換され、より具体的には、本明細書の以下でさらに詳述されるように、ヒドロカルビルまたは置換ヒドロカルビル部分で置換される。
「親和性」とは、分子(例えば、抗体)とその結合パートナー(例えば、抗原)との単一結合部位の間の非共有結合相互作用の合計の強度を指す。別途指示されない限り、本明細書で使用される場合、「結合親和性」とは、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗原)間の1:1の相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般に、解離定数(Kd)で表され得る。親和性は、本明細書に記載される方法を含む当該技術分野で既知の一般的な方法によって測定することができる。
「細胞標的部分」とは、抗原を発現する標的に対する結合親和性を有する抗体を指す。
「を主に含む」とは、引用に基づいて、例えば、非限定的に、重量%、体積%、重量体積%、モル%、または当量%などに基づいて、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも90%、少なくとも95%、または少なくとも99%の参照構成成分を指す。「から本質的になる」は一般に、特徴、化合物、組成物、または方法を引用される要素及び/またはステップに限定するが、引用される特徴、化合物、組成物、または方法の機能、組成、及び/または特徴に実質的に影響を与えない追加の要素及び/またはステップの可能性は除外しない。
本明細書における「抗体」及び「Ab」という用語は、最も広義に使用され、それらが所望される生物活性を呈する限り、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、二量体、多量体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を具体的に網羅する(Miller et al.(2003)Jour.of Immunology170:4854-4861)。抗体は、マウス、ヒト、ヒト化、キメラであり得るか、または他の種に由来するものであり得る。抗体は、特定の抗原を認識し、それに結合することができる、免疫系によって生成されるタンパク質である(Janeway,C.,Travers,P.,Walport,M.,Shlomchik(2001)Immuno Biology,5th Ed.,Garland Publishing,New York)。標的抗原は一般に、複数の抗体のCDRによって認識されるエピトープとも呼ばれる多数の結合部位を有する。異なるエピトープに特異的に結合する各抗体は、異なる構造を有する。したがって、1つの抗原は、2つ以上の対応する抗体を有し得る。抗体は、完全長免疫グロブリン分子、または完全長免疫グロブリン分子の免疫学的に活性な部分、すなわち、対象となる標的抗原またはその一部に免疫特異的に結合する抗原結合部位を含有する分子を含み、そのような標的としては、自己免疫疾患に関連する自己免疫抗体を産生するがん細胞(複数可)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に開示される免疫グロブリンは、免疫グロブリン分子の任意の種類(例えば、IgG、IgE、IgM、IgD、及びIgA)、クラス(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)、またはサブクラスのものであり得る。免疫グロブリンは、任意の種に由来し得る。しかしながら、一実施形態において、免疫グロブリンは、ヒト、マウス、またはウサギ起源のものである。
「抗体断片」は、完全長抗体の一部分、一般にはその抗原結合領域または可変領域を含む。抗体断片の例としては、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、ダイアボディ、線状抗体、ミニボディ(Olafsen et al.(2004)Protein Eng.Design&Sel.17(4):315-323)、Fab発現ライブラリによって産生される断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、CDR(相補性決定領域)、及びがん細胞抗原、ウイルス抗原、または微生物抗原に免疫特異的に結合する、本明細書に記載されるもののうちのいずれかのエピトープ結合断片、一本鎖抗体分子、ならびに抗体断片から形成される多重特異性抗体が挙げられる。
本明細書で使用される場合、「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体の集団から得られた抗体を指し、すなわち、その集団からなる個々の抗体は、少量で存在し得る天然に存在する変異の可能性を除いて同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原部位を対象としている。さらに、異なる決定基(エピトープ)に対して指向される異なる抗体を含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、抗原上の単一の決定基に対して指向される。それらの特異性に加えて、モノクローナル抗体は、それらが他の抗体が混入することなく合成され得るという点で有利である。「モノクローナル」という修飾語句は、実質的に同種の抗体集団から得られるという抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本発明に従って使用されるモノクローナル抗体は、Kohler et al.(1975)Nature256:495によって最初に説明されたハイブリドーマ法によって作製され得るか、または組換えDNA法(例えば、US4816567、US5807715を参照されたい)によって作製され得る。モノクローナル抗体はまた、例えば、Clackson et al.(1991)Nature,352:624-628、Marks et al.(1991)J.Mol.Biol.,222:581-597に説明される技術を使用して、ファージ抗体ライブラリから単離され得る。
本明細書におけるモノクローナル抗体には、特に、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来するかまたは特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種であり、一方で鎖(複数可)の残りが別の種に由来するかまたは別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体における対応する配列と同一または同種である、「キメラ」抗体、ならびにそのような抗体の断片が含まれるが、これは、それらが所望される生物学的活性を呈する限りにおいてである(US4816567及びMorrison et al(1984)Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855)。本明細書において対象となるキメラ抗体としては、非ヒト霊長類(例えば、旧世界ザル、類人猿など)に由来する可変ドメイン抗原結合配列と、ヒト定常領域配列とを含む、「霊長類化」抗体が挙げられる。
本明細書における「無傷抗体」は、VL及びVHドメイン、ならびに軽鎖定常ドメイン(CL)及び重鎖定常ドメインCH1、CH2、及びCH3を含むものである。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒトの天然配列の定常ドメイン)またはそのアミノ酸配列バリアントであり得る。無傷抗体は、1つ以上の「エフェクター機能」を有し得、この機能は、抗体のFc定常領域(天然配列のFc領域またはアミノ酸配列バリアントのFc領域)に起因し得る生物学的活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合、補体依存性細胞毒性、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、食作用、ならびにB細胞受容体及びBCRなどの細胞表面受容体の下方制御が挙げられる。
重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて、無傷抗体には、異なる「クラス」が割り当てられ得る。無傷免疫グロブリン抗体には、IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMの5つの主要なクラスが存在し、これらのうちのいくつかは、「サブクラス」(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA、及びIgA2にさらに分けられ得る。抗体の異なるクラスに対応する重鎖定常ドメインはそれぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構成は、周知である。Igの形態は、ヒンジ修飾またはヒンジなしの形態を含む(Roux et al.(1998)J.Immunol.161:4083-4090、Lund et al.(2000)Eur.J.Biochem.267:7246-7256、US2005/0048572、US2004/0229310)。
「システイン操作抗体」または「システイン操作抗体バリアント」は、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている抗体である。本開示に従って、システイン操作された抗体のチオール基(複数可)は、本開示のプロドラッグにコンジュゲートされて、THIOMAB(商標)ADC(すなわち、THIOMAB(商標)薬物コンジュゲート(TDC))を形成し得る。特定の実施形態において、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基がそれにより抗体の到達可能な部位に位置付けられ、本明細書にさらに記載されるように、それを使用して、抗体を薬物部分にコンジュゲートして、免疫コンジュゲートを作製することができる。例えば、THIOMAB(商標)抗体は、軽鎖内での非システイン天然残基のシステインへの単一の変異(例えば、Kabat番号付けによるG64C、K149C、もしくはR142C)または重鎖内でのもの(例えば、Kabat番号付けによるD101CもしくはV184CもしくはT205C)を有する抗体であり得る。具体的な例において、THIOMAB(商標)抗体は、重鎖または軽鎖のいずれかに単一のシステイン変異を有し、そのために各完全長抗体(すなわち、2つの重鎖及び2つの軽鎖を有する抗体)は、2つの操作されたシステイン残基を有することになる。システイン操作された抗体及び調製方法は、US2012/0121615A1(その全体が参照によって本明細書に組み込まれる)によって開示されている。
「がん」及び「がん性」という用語は、未制御の細胞成長/増殖を典型的に特徴とする、哺乳動物における生理学的病態を指すか、または説明する。がんの例としては、癌腫、リンパ腫(例えば、ホジキン及び非ホジキンリンパ腫)、芽細胞腫、肉腫、ならびに白血病が挙げられるが、これらに限定されない。そのようながんのより具体的な例としては、急性骨髄性白血病(AML)、骨髄異形成症候群(MDS)、慢性骨髄性白血病(CML)、慢性骨髄単球性白血病、急性前骨髄球性白血病(APL)、慢性骨髄増殖性障害、血小板性白血病、前駆体B細胞急性リンパ芽球性白血病(pre-B-ALL)、前駆体T細胞急性リンパ芽球性白血病(preT-ALL)、多発性骨髄腫(MM)、肥満細胞疾患、肥満細胞性白血病、肥満細胞肉腫、骨髄性肉腫、リンパ性白血病、及び未分化白血病が挙げられる。いくつかの実施形態において、がんは、骨髄性白血病である。いくつかの実施形態において、がんは、急性骨髄性白血病(AML)である。
「キメラ」抗体という用語は、重鎖及び/または軽鎖の一部が特定の源または種に由来し、一方で重鎖及び/または軽鎖の残りが異なる源または種に由来する抗体を指す。
抗体の「クラス」は、その重鎖が所有する定常ドメインまたは定常領域の種類を指す。抗体の5つの主要なクラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgMが存在し、これらのいくつかは、サブクラス(アイソタイプ)、例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2にさらに分けることができる。異なるクラスの免役グロブリンに対応する重鎖定常ドメインは、それぞれ、α、δ、ε、γ、及びμと呼ばれる。
「エフェクター機能」は、抗体アイソタイプにより異なる抗体のFc領域に帰せられる生物活性を指す。抗体エフェクター機能の例としては、C1q結合及び補体依存性細胞毒性(CDC)、Fc受容体結合、抗体依存性細胞媒介性細胞毒性(ADCC)、食作用、細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体)の下方制御、ならびにB細胞活性化が挙げられる。
薬剤、例えば、薬学的製剤の「有効量」とは、必要な投与量で必要な期間にわたって所望の治療または予防結果を達成するのに有効な量を指す。
「エピトープ」という用語は、抗体が結合する抗原分子上の特定の部位を指す。いくつかの実施形態において、抗体が結合する抗原分子上の特定の部位は、ヒドロキシルラジカルフットプリント法によって決定される。
本明細書の「Fc領域」という用語は、定常領域の少なくとも一部を含有する免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するために使用される。本用語は、天然配列Fc領域及び変異型Fc領域を含む。一実施形態において、ヒトIgG重鎖Fc領域は、Cys226から、またはPro230から、重鎖のカルボキシル末端までに及ぶ。しかしながら、Fc領域のC末端リジン(Lys447)は、存在することもあれば、しないこともある。本明細書において別段明記されない限り、Fc領域または定常領域内のアミノ酸残基の番号付けは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD,1991に記載される、EUインデックスとも呼ばれるEU番号付けシステムに従う。
「フレームワーク」または「FR」は、超可変領域(HVR)残基以外の可変ドメイン残基を指す。可変ドメインのFRは一般に、FR1、FR2、FR3、及びFR4の4つのFRドメインからなる。したがって、HVR及びFR配列は、一般に、VH(またはVL)において次の配列中に出現する:FR1-H1(L1)-FR2-H2(L2)-FR3-H3(L3)-FR4。
「完全長抗体」、「無傷抗体」、及び「全抗体」という用語は、本明細書で、天然抗体構造と実質的に同様の構造を有するか、または本明細書に定義されるFc領域を含有する重鎖を有する抗体を指すように同義に使用される。
「宿主細胞」、「宿主細胞株」、及び「宿主細胞培養物」という用語は、同義に使用され、外因性核酸が中に導入されている細胞を指し、そのような細胞の子孫を含む。宿主細胞は、初代形質転換細胞及び継代の数に関わらずそれに由来する子孫を含む、「形質転換体」及び「形質転換細胞」を含む。子孫は、核酸含有量が親細胞と完全に同一ではない場合があるが、突然変異を含み得る。最初に形質転換された細胞についてスクリーニングまたは選択されたものと同じ機能または生物活性を有する変異子孫が、本明細書に含まれる。
「ヒト抗体」は、ヒトもしくはヒト細胞により産生された抗体、またはヒト抗体レパートリーもしくは他のヒト抗体コード配列を利用する非ヒト源に由来する抗体のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を保有するものである。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を明確に除外する。
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンVLまたはVHフレームワーク配列のセレクションにおいて最も一般的に生じるアミノ酸残基を表すフレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンVLまたはVH配列のセレクションは、可変ドメイン配列の下位群に由来する。一般に、この配列の下位群は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,Fifth Edition,NIH Publication91-3242,Bethesda MD(1991),vols.1-3にある下位群である。一実施形態において、VLについては、下位群は、Kabat et al.,(上記参照)における下位群カッパIである。一実施形態において、VHについては、下位群は、Kabat et al.,(上記参照)における下位群IIIである。
「ヒト化」抗体は、非ヒトHVRからのアミノ酸残基及びヒトFRからのアミノ酸残基を含むキメラ抗体を指す。ある特定の実施形態において、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、及び典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、そのHVR(例えば、CDR)の全てまたは実質的に全てが非ヒト抗体のものに対応し、FRの全てまたは実質的に全てがヒト抗体のものに対応する。ヒト化抗体は、任意で、ヒト抗体に由来する抗体定常領域の少なくとも一部分を含み得る。抗体、例えば、非ヒト抗体の「ヒト化型」は、ヒト化を受けた抗体を指す。
「可変領域」または「可変ドメイン」という用語は、抗体の抗原への結合に関与する抗体の重鎖または軽鎖のドメインを指す。天然抗体の重鎖及び軽鎖の可変ドメイン(それぞれ、VH及びVL)は一般に、類似の構造を有し、各ドメインが4つの保存フレームワーク領域(FR)及び3つの超可変領域(HVR)を含む。(例えば、Kindt et al.Kuby Immunology,6th ed.,W.H.Freeman and Co.,page91(2007)を参照されたい。)単一のVHドメインまたはVLドメインは、抗原結合特異性を付与するのに十分であり得る。さらに、特定の抗原に結合する抗体は、VHドメインまたはVLドメインを使用して抗原に結合する抗体から単離されて、それぞれ相補的VLドメインまたはVHドメインのライブラリをスクリーニングすることができる。例えば、Portolano et al.,J.Immunol150:880-887(1993)、Clarkson et al.,Nature352:624-628(1991)を参照されたい。
「ベクター」という用語は、本明細書で使用される場合、それが連結している別の核酸を増殖させることができる核酸分子を指す。この用語は、自己複製核酸構造としてのベクター、及びそれが導入される宿主細胞のゲノム内に組み込まれたベクターを含む。ある特定のベクターは、それらが作動可能に結合している核酸の発現を誘導することができる。かかるベクターは、本明細書で「発現ベクター」と称される。
本明細書で使用される場合、「超可変領域」または「HVR」という用語は、配列が超可変である、及び/または構造的に定義されたループ(「超可変ループ」)を形成する、抗体可変ドメインの領域の各々を指す。一般に、天然4本鎖抗体は、6つのHVRを含み、3つがVHにあり(H1、H2、H3)、3つがVLにある(L1、L2、L3)。HVRは一般に、超可変ループ及び/または「相補性決定領域」(CDR)からのアミノ酸残基を含み、後者は、最も高い配列可変性を有する、及び/または抗原認識に関与する。例示的な超可変ループは、アミノ酸残基26~32(L1)、50~52(L2)、91~96(L3)、26~32(H1)、53~55(H2)、及び96~101(H3)において生じる。(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)。)例示的なCDR(CDR-L1、CDR-L2、CDR-L3、CDR-H1、CDR-H2、及びCDR-H3)は、アミノ酸残基24~34(L1)、50~56(L2)、89~97(L3)、31~35B(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3)に生じる。(Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)。)VH内のCDR1を除いて、CDRは一般に、超可変ループを形成するアミノ酸残基を含む。CDRはまた、抗原と接触する残基である「特異性決定残基」または「SDR」も含む。SDRは、短縮-CDR、またはa-CDRと呼ばれるCDRの領域内に収容される。例示的なa-CDR(a-CDR-L1、a-CDR-L2、a-CDR-L3、a-CDR-H1、a-CDR-H2、及びa-CDR-H3)は、アミノ酸残基31~34(L1)、50~55(L2)、89~96(L3)、31~35B(H1)、50~58(H2)、及び95~102(H3)に生じる。(Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい。)本明細書で別途示されない限り、可変ドメイン中のHVR残基及び他の残基(例えば、FR残基)は、Kabat et al.,(上記参照)に従って本明細書において番号付けされる。
「個体」または「対象」は、哺乳動物である。哺乳動物としては、家畜(例えば、ウシ、ヒツジ、ネコ、イヌ、及びウマ)、霊長類(例えば、ヒト、及びサルなどの非ヒト霊長類)、ウサギ、ならびに齧歯類(例えば、マウス及びラット)が挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態において、個体または対象は、ヒトである。
「単離された抗体」は、その天然環境の構成成分から分離された抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、例えば、電気泳動(例えば、SDS-PAGE、等電点電気泳動法(IEF)、キャピラリー電気泳動法)またはクロマトグラフ(例えば、イオン交換もしくは逆相HPLC)によって決定される、95%または99%を超える純度に精製される。抗体の純度を評価するための方法の概説については、例えば、Flatman et al.,J.Chromatogr.B848:79-87(2007)を参照されたい。
「天然抗体」は、異なる構造を有する天然に存在する免疫グロブリン分子を指す。例えば、天然IgG抗体は、ジスルフィド結合されている2つの同一の軽鎖及び2つの同一の重鎖で構成される、約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。N末端からC末端まで、各重鎖は、可変重ドメインまたは重鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VH)を有し、その後に3つの定常ドメイン(CH1、CH2、及びCH3)が続く。同様に、N末端からC末端まで、各軽鎖は、可変軽ドメインまたは軽鎖可変ドメインとも呼ばれる可変領域(VL)を有し、その後に定常軽(CL)ドメインが続く。抗体の軽鎖は、その定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(κ)及びラムダ(λ)と呼ばれる2つの種類のうちの1つに割り当てられ得る。
「添付文書」という用語は、そのような治療製品の適応症、使用法、投薬量、投与、併用療法、禁忌症、及び/またはその使用に関する警告についての情報を含有する、治療製品の商業用パッケージに通例含まれる指示書を指すために使用される。
基準ポリペプチド配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」は、最大の配列同一性パーセントを達成するように、配列を整列させ、必要に応じてギャップを導入した後に、かついかなる保存的置換も配列同一性の一部とは見なさずに、候補配列内のアミノ酸残基が、基準ポリペプチド配列内のアミノ酸残基と同一であるパーセンテージとして定義される。アミノ酸配列同一性パーセントを決定するための整列は、当業者が備えている技能の範囲内の様々な方法で、例えば、BLAST、BLAST-2、ALIGN、またはMegalign(DNASTAR)ソフトウェアなどの公的に入手可能なコンピュータソフトウェアを使用して達成され得る。当業者であれば、比較されている配列の完全長にわたって最大の整列を達成するために必要な任意のアルゴリズムを含む、配列を整列させるための適切なパラメータを決定することができる。しかしながら、本明細書における目的のために、アミノ酸配列同一性%値は、配列比較コンピュータプログラムALIGN-2を使用して生成される。ALIGN-2配列比較コンピュータプログラムは、Genentech,Inc.によって記述され、ソースコードは、ユーザ文書とともに米国著作権庁(Washington D.C.,20559)に提出されており、米国著作権番号TXU510087の下に登録されている。ALIGN-2プログラムは、Genentech,Inc.,South San Francisco,Californiaから公的に入手可能であるか、またはソースコードからコンパイルされ得る。ALIGN-2プログラムは、デジタルUNIX V4.0Dを含むUNIXオペレーティングシステムで使用する場合はコンパイルされるべきである。全ての配列比較パラメータは、ALIGN-2プログラムにより設定されており、変動しない。
アミノ酸配列比較のためにALIGN-2が用いられる状況下で、所与のアミノ酸配列Aの、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対するアミノ酸配列同一性%(あるいは、所与のアミノ酸配列Bへの、所与のアミノ酸配列Bとの、または所与のアミノ酸配列Bに対するある特定のアミノ酸配列同一性%を有するか、または含む所与のアミノ酸配列Aと表現され得る)は、以下のように計算される:100×分数X/Y。式中、Xは、配列整列プログラムALIGN-2によってそのプログラムのAとBとの整列において完全な一致とスコア化されるアミノ酸残基の数であり、Yは、B内のアミノ酸残基の総数である。アミノ酸配列Aの長さがアミノ酸配列Bの長さと等しくない場合、AのBに対するアミノ酸配列同一性%が、BのAに対するアミノ酸配列同一性%と等しくないことが理解される。別途具体的に明記されない限り、本明細書で使用される全てのアミノ酸配列同一性%値は、直前の段落に記載されるようにALIGN-2コンピュータプログラムを使用して得られる。
「薬学的製剤」という用語は、その中に含有される活性成分の生物学的活性が有効となるような形態であり、かつ製剤が投与され得る対象に許容できない毒性を有する追加の成分を含有しない、調製物を指す。
「薬学的に許容される担体」は、対象にとって無毒である、活性成分以外の薬学的製剤中の成分を指す。薬学的に許容される担体には、緩衝液、賦形剤、安定剤、または保存剤が含まれるが、これらに限定されない。
「治療する」及び「治療」という用語は、治療的処置及び予防的または防止的処置の両方を指し、その目的は、所望されない生理学的変化または障害(がんの発症または伝播など)を予防または減速(緩和)することである。本開示の目的では、有益または所望される臨床結果としては、検出可能であるか検出不能であるかに関わらず、症状の軽減、疾患の程度の減弱、安定化した(すなわち、悪化していない)疾患状態、疾患進行の遅延または緩徐化、疾患状態の緩和または緩解、及び(部分的であるか完全であるかに関わらず)寛解が挙げられるが、これらに限定されない。「治療」はまた、治療を受けていなかった場合に予想される生存期間と比較して、生存期間を延長することも意味し得る。治療を必要とする者としては、病態もしくは障害を既に有する者、及び病態もしくは障害を有する傾向にある者、または病態もしくは障害を予防する必要がある者が挙げられる。
「治療有効量」という用語は、哺乳動物において疾患または障害を治療するのに有効な薬物の量を指す。がんの場合、治療有効量の薬物は、がん細胞の数を低下、腫瘍サイズを低下、末梢器官へのがん細胞浸潤を阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止)、腫瘍転移を阻害(すなわち、ある程度の減速及び好ましくは停止)、腫瘍成長をある程度阻害、及び/またはがんに関連する症状のうちの1つ以上をある程度軽減し得る。薬物が既存のがん細胞の成長の予防及び/またはそれらの殺滅を行うことができる限り、この薬物は細胞増殖抑制性及び/または細胞毒性であり得る。がん療法に関して、有効性は、例えば、疾患進行までの時間(TTP)の評価及び/または奏効率(RR)の決定によって、測定することができる。
本明細書で使用される場合、「離脱基」という用語は、本明細書に記載される基に関与する化学反応の過程で離れる、部分を指す。
本明細書で使用される場合、「ヒドロカルビル」という用語は、専ら水素及び水素の元素のみからなる有機化合物またはラジカルを説明する。これらの部分としては、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール部分が挙げられるが、これらに限定されない。これらの部分はまた、アルカリル、アルケンアリール、及びアルキンアリールなどの他の脂肪族もしくは環式炭化水素基で置換された、アルキル、アルケニル、アルキニル、及びアリール部分も含む。別段示されない限り、これらの部分は、好ましくは、1~20個の炭素原子、1~10個の炭素原子、または1~6個の炭素原子を含む。
本明細書で使用される場合、「アルキル」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、別段指示されない限り、表記される炭素原子の数(すなわち、C1-8は、1~8個の炭素を意味する)を有する直鎖または分岐鎖炭化水素を意味する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n-プロピル、イソ-プロピル、n-ブチル、t-ブチル、イソ-ブチル、sec-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、n-オクチルなどが挙げられる。別段示されない限り、本明細書に記載されるアルキル基は、好ましくは、主鎖に1~10個または1~8個の炭素原子を含有する低級アルキルである。それらは、直鎖もしくは分岐鎖、または環式であり得、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、アリール、ベンジル、ヘキシルなどを含むが、これらに限定されない。アルキル部分は、任意に、O、S、及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでもよく、「ヘテロアルキル」と称される。
「炭素環」、「カルボシクリル」、「環式炭素」、及び「シクロアルキル」という用語は、単環式環として3~12個の炭素原子(C3-12)または二環式環として7~12個の炭素原子を有する一価の非芳香族の飽和環または部分的不飽和環を指す。7~12個の原子を有する二環式炭素環は、例えば、ビシクロ[4,5]、[5,5]、[5,6]、もしくは[6,6]系として配置することができ、9もしくは10個の環原子を有する二環式炭素環は、ビシクロ[5,6]もしくは[6,6]系として、またはビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、及びビシクロ[3.2.2]ノナンなどの架橋系として配置することができる。単環式炭素環の例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、1-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-1-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、1-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、及びシクロドデシルなどが挙げられるが、これらに限定されない。炭素環及びシクロアルキル部分は、任意に、O、S、及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでもよい。
「アルコキシ」という用語は、酸素原子を介して分子の残りの部分に付加されるアルキル基を指す。アルコキシ部分は、任意に、O、S、及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでもよく、「ヘテロアルコキシ」と称される。
「アルキレン」という用語は、それ自体でまたは別の置換基の一部として、-CH2CH2CH2CH2CH2-などのアルカンに由来する二価のラジカルを意味する。
別段示されない限り、本明細書に記載されるアルキニル基は、好ましくは、主鎖に2~8個の炭素原子及び最大20個の炭素原子を含有する低級アルキニルである。それらは、直鎖または分岐鎖であり得、エチニル、プロピニル、ブチニル、イソブチニル、ヘキシニルなどを含むが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、単独での、または別の基の一部としての「アリール」という用語は、任意で置換された同素環芳香族基、好ましくは環部分内に5~20個の炭素、5~10個の炭素、または5~6個の炭素を含有する単環式基または二環式基(フェニル、ビフェニル、ナフチル、置換フェニル、置換ビフェニル、または置換ナフチルを含むが、これらに限定されない)を表す。アリール部分は、任意に、O、S、及びNから選択される1個以上のヘテロ原子を含んでもよく、「ヘテロアリール」または「ヘテロ二環式」と称される。そのようなヘテロ芳香族は、環内に1個または2個の窒素原子、1個または2個の硫黄原子、1個または2個の酸素原子、及びこれらの組み合わせを含んでもよく、各ヘテロ原子は、炭素を通して分子の残りに結合する。非限定的な代表的な基としては、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピラゾール、ピロール、イミダゾール、チオペン(thiopene)、チオピリリウム(thiopyrrilium)、ピラチアジン、インドール、プリン、ベンゾイミダゾール、キノロン、フェノチアジンが挙げられる。非限定的な例示の置換基としては、以下の基:ヒドロカルビル、置換ヒドロカルビル、アルキル、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、アルケニル、アルケノキシ、アリール、アリールオキシ、アミノ、アミド、アセタール、カルバミル、カルボシクロ、シアノ、エステル、エーテル、ハロゲン、ヘテロシクロ、ヒドロキシ、ケト、ケタール、ホスホ、ニトロ、及びチオのうちの1つ以上が挙げられる。
「アリールアルキル」という用語は、本明細書で使用される場合、少なくとも1つのアルキル基で置換され、任意に、さらに置換されたアリール部分を指す。アリールアルキルの一例は、フェニルメチルであり、ベンジル(C6H5CH3)またはベンジレン(-C6H4CH2-)とも称される。
本明細書に記載される「置換」部分は、炭素以外の少なくとも1つの原子で置換されるヒドロカルビル、アルキル、ヘテロアリール、二環式、及びヘテロ二環式などの部分であり、炭素鎖原子が、窒素、酸素、ケイ素、亜リン酸、ホウ素、硫黄、またはハロゲン原子などのヘテロ原子で置換される部分を含む。これらの置換基としては、ハロゲン、ヘテロシクロ、アルコキシ、アルケンオキシ、アルキンオキシ、アリールオキシ、ヒドロキシ、ケト、アシル、アシルオキシ、ニトロ、第三級アミノ、アミド、ニトロ、シアノ、チオ、スルフィネート、スルホンアミド、ケタール、アセタール、エステル、エーテルが挙げられるが、これらに限定されない。
本明細書で使用される場合、単独での、または別の基の一部としての「ハロゲン」及び「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素、及びヨウ素を指す。
「環式ジオン」という用語は、偶数の-C(O)-基を有する環式及び複素環式化合物を指す。いくつかの実施形態において、この環式化合物は、アリール(キノン)である。いくつかの実施形態において、複素環式化合物ヘテロアリール。環式ジオンの非限定的な一覧には、ナフトキノン及びインドールジオンが含まれる。
Uとして表される、「薬学的に許容可能なカチオン」という用語は、一価カチオンを指す。薬学的に許容可能な一価カチオンの例は、Berge,et al.,J Pharm.Sci.,66,1-19(1977)に論じられており、これは参照により本明細書に組み込まれる。いくつかの態様では、薬学的に許容可能なカチオンは、アルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオンまたはカリウムイオン)及びアンモニアが挙げられるが、これらに限定されない、無機である。例えば、いくつかの態様では、部分SOzUは、SO3Na、SO3K、またはSO3NH4であり得る。
本開示のある特定の化合物は、非対称炭素原子(光学中心)または二重結合を有し得る。同じ分子式を有するが、その原子の結合の性質もしくは配列、または空間内におけるその原子の配置が異なる化合物は、「異性体」と称される。空間内におけるその原子の配置が異なる異性体は、「立体異性体」と称される。ジアステレオマーは、鏡像異性体ではない、1個以上のキラル中心において逆の配置を有する立体異性体である。互いの重ね合わせることができない鏡像である1個以上の非対称中心を有する立体異性体は、「鏡像異性体」と称される。化合物が非対称中心を有するとき、例えば、炭素原子が4個の異なる基に結合している場合、1対の鏡像異性体が可能である。鏡像異性体は、その非対称中心(複数可)の絶対配置によって特徴付けることができ、そして、Cahn、Ingold、及びPrelogのR-及びS-配列ルールによって、または分子が偏光面を回転させる方式によって説明され、そして、右旋性または左旋性(すなわち、それぞれ(+)または(-)異性体)と表される。キラル化合物は、いずれかの個々の鏡像異性体として、またはその混合物として存在し得る。等比率の鏡像異性体を含有する混合物を「ラセミ混合物」と呼ぶ。ある特定の実施態様では、化合物は、単一のジアステレオマーまたは鏡像異性体が少なくとも約90重量%まで富化される。他の実施態様では、化合物は、単一のジアステレオマーまたは鏡像異性体が少なくとも約95重量%、98重量%、または99重量%まで富化される。本開示の化合物は、ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体、位置異性体、及びそれらの個々の異性体(例えば、別個の鏡像異性体)は、全て、本開示の範囲内に包含されることを意図する。
II.プロドラッグ単量体、二量体、及びコンジュゲート
いくつかの実施形態において、薬物は、PBD単量体またはPBD二量体である。いくつかの実施形態において、PDB二量体は、特定のDNA配列を認識し、それに結合する。天然産物アントラマイシンであるPBDは、1965年に最初に報告された(Leimgruber,et al.,(1965)J.Am.Chem.Soc.,87:5793-5795、Leimgruber,et al.,(1965)J.Am.Chem.Soc.,87:5791-5793)。それ以来、いくつかのPBD(天然に存在するもの及び類似体の両方)が報告されている(Thurston,et al.,(1994)Chem.Rev.1994,433-465(US6884799、US7049311、US7067511、US7265105、US7511032、US7528126、US7557099)。いかなる特定の理論にも拘束されることを意図するものではないが、二量体構造が、B型DNAの副溝との等螺旋性(isohelicity)に適切な三次元形状を付与し、それによって結合部位において滑合がもたらされると考えられている(Kohn,In Antibiotics III.Springer-Verlag,New York,pp.3-11(1975)、Hurley and Needham-VanDevanter,(1986)Acc.Chem.Res.,19:230-237)。C2アリール置換基を有する二量体PBD化合物は、細胞傷害性薬剤として有用であることが示されてきた(Hartley et al(2010)Cancer Res.70(17):6849-6858、Antonow(2010)J.Med.Chem.53(7):2927-2941、Howard et al(2009)Bioorganic and Med.Chem.Letters19(22):6463-6466)。この段落に引用される各参考文献は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
本開示の範囲内のPBD単量体及びPBD二量体が、知られている。例えば、US2010/0203007、WO2009/016516、US2009/304710、US2010/047257、US2009/036431、US2011/0256157、WO2011/130598)、WO00/12507、WO2005/085250、及びWO2005/023814(これらの各々が参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。本開示の範囲内のPBD二量体は、各PBD単量体のC8炭素原子で連結された2つのPBD単量体から形成される。
A.コンジュゲート
いくつかの実施形態において、PBDプロドラッグ二量体-抗体コンジュゲートは、第1のPBDプロドラッグ単量体M1と、第2のPBD抗体単量体M2と、を含む式(I)のコンジュゲートである。
M1は、PBD単量体(式中、破線は、(i)C1とC2、(ii)C2とC3、及び(iii)C2とR2のうちの1つの間で、任意の二重結合を表す)である。いくつかの実施形態において、C1とC2との間の結合は、単結合であり、C2とC3との間の結合は、単結合であり、C2とR2との間の結合は、単結合である。
R
2は、-H、=CH
2、-CN、-R、=CHR、アリール、ヘテロアリール、二環式環、及びヘテロ二環式環から選択される。いくつかの実施形態において、R
2は、=CH
2、
である。
R3は、水素であり、Xは、S、O、及びNHから選択され、R11は、から選択され、(i)XがOまたはNHであるとき、H及びR、ならびに(ii)XがSであるとき、H、R、及びOzU(式中、zは、2または3であり、Uは、一価の薬学的に許容可能なカチオンである)から選択される。
R6、R7、及びR9は、独立して、H、R、OH、OR、ハロ、アミノ、ニトロ、SH、及びSRから選択される。いくつかの実施形態において、R6及びR9は、Hである。いくつかの実施形態において、R7は、OCH3である。
R10は、本明細書の別の箇所でより詳細に記載される、(i)グルタチオン活性化ジスルフィド、(ii)DT-ジアフォラーゼ活性化キノン、または(iii)活性酸素種活性化アリールボロン酸もしくはアリールボロン酸エステルを含む、プロドラッグ部分である。
Rは、1~10個の炭素原子を有する低級アルキル基、及び最大12個の炭素原子のアリールアルキル基から選択され、(i)式中、アルキル基は、任意に、1つ以上の炭素-炭素二重もしくは三重結合、または最大12個の炭素原子のアリール基を含有し、(ii)式中、Rは、任意に、1つ以上のハロ、ヒドロキシ、アミノ、またはニトロ基によって置換され、任意に、1つ以上のヘテロ原子を含有する。
M2は、PBD単量体(式中、破線は、(i)C1’とC2’、(ii)C2’とC3’、及び(iii)C2’とR2’のうちの1つの間で、任意の二重結合を表す)である。いくつかの実施形態において、C1’とC2’との間の結合は、単結合であり、C2’とC3’との間の結合は、単結合であり、C2’とR2’との間の結合は、二重結合である。
R2’、R3’、R6’、R7’、R9’、R11’、及びX’は、それぞれ、R2、R3、R6、R7、R9、R11、及びXに対応し、それらと同じように定義される。
Lは、ジスルフィド部分、ペプチド部分、及びペプチド模倣部分のうちの少なくとも1つを含む、自壊性リンカーである。いくつかの実施形態において、リンカーは、ジスルフィド部分またはペプチド部分を含む。
各アスタリスクは、独立して、ラセミまたは未定義の立体化学のキラル中心を表す。
M1及びM2は、部分-Q-T-Q’-(式中、Q及びQ’は、独立して、O、NH、及びSから選択され、Tは、1つ以上のヘテロ原子及び/または芳香環によってさらに任意に中断される、任意に置換されたC1-12アルキレン基である)によってC8位で結合される。いくつかの実施形態において、Q及びQ’は、Oであり、Tは、C3アルキレンまたはC5アルキレンである。
Abは、本明細書の別の箇所に定義される抗体である。いくつかの実施形態において、抗体は、少なくとも1つのシステインスルフヒドリル部分を含み、抗体は、(1)BMPR1B(骨形成タンパク質受容体-IB型)、(2)E16(LAT1、SLC7A5)、(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原)、(4)MUC16(0772P、CA125)、(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン)、(6)Napi2b(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b)、(7)Sema5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B)、(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA2700050C12、RIKEN cDNA2700050C12遺伝子)、(9)ETBR(エンドセリンB型受容体)、(10)MSG783(RNF124、仮説上のタンパク質FLJ20315)、(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質)、(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4)、(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌種由来の成長因子)、(14)CD21(CR2(補体受容体2)もしくはC3DR(C3d/Epstein Barrウイルス受容体)またはHs73792)、(15)CD79b(CD79B、CD79β、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29)、(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C)、(17)HER2、(18)NCA、(19)MDP、(20)IL20Rα、(21)ブレビガン、(22)EphB2R、(23)ASLG659、(24)PSCA、(25)GEDA、(26)BAFF-R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3)、(27)CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム)、(28)CD79a(CD79A、CD79α、免疫グロブリン関連アルファ)、(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1)、(30)HLA-DOB(MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、(31)P2X5(プリン受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5)、(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb-2)、(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチ反復(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質)、(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1)、(35)FcRH5(IRTA2、免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2)、(36)TENB2(推定上の膜貫通プロテオグリカン)、(37)PMEL17(silver相同体、SILV、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、(38)TMEFF1(EGF様ドメイン及び2つのフォリスタチン様ドメイン1を有する膜貫通タンパク質1、トモレグリン-1)、(39)GDNF-Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR-アルファ1、GFR-ALPHA-1)、(40)Ly6E(リンパ球抗原6複合物、遺伝子座E、Ly67、RIG-E、SCA-2、TSA-1)、(41)TMEM46(shisa相同体2(Xenopus laevis)、SHISA2)、(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6-D、MEGT1)、(43)LGR5(ロイシンリッチ反復含有Gタンパク質共役型受容体5、GPR49、GPR67)、(44)RET(retがん原遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET-ELE1)、(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226)、(46)GPR19(Gタンパク質結合型受容体19、Mm.4787)、(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12)、(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982)、(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3)、(50)TMEM118(ringフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ14627)、(51)GPR172A(Gタンパク質結合型受容体172A、GPCR41、FLJ11856、D15Ertd747e)、(52)CD33、及び(53)CLL-1から選択される1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体に結合する。いくつかの実施形態において、抗体は、コンジュゲーションのために操作される。いくつかの実施形態において、抗体は、LC K149C、HC A118C、HC A140C、またはLC V205Cをリンカーコンジュゲートの部位として含む、システイン操作抗体である。いくつかの実施形態において、抗体またはシステイン操作抗体は、抗HER2、抗CD22、抗CD33、抗Napi2b、抗Ly6E、及び抗CLL-1から選択される。
整数pは、1、2、3、4、5、6、7、または8である。いくつかの実施形態において、pは、1、2、3、または4である。いくつかの実施形態において、PBDプロドラッグ二量体-抗体コンジュゲートの混合物を含む組成物が提供され、コンジュゲート化合物の混合物中の1抗体当たりの平均薬物負荷は、約2~約5である。
いくつかの実施形態において、R
7、及びR
7’は、-OCH
3であり、R
3、R
3’、R
6、R
6’、R
9、及びR
9’は、Hであり、R
2及びR
2’は、=CH
2、
である。
いくつかの実施形態において、M1のC1とC2との間の結合は、単結合であり、M1のC2とC3との間の結合は、単結合であり、M2のC1’とC2’との間の結合は、単結合であり、M2のC2’とC3’との間の結合は、単結合であり、M1のC3は、2つのR3基で置換され、これらの各々はHであり、M2のC3’は、2つのR3’基で置換され、これらの各々はHであり、M1のC2とR2との間の結合は、二重結合であり、M2のC2’とR2’との間の結合は、二重結合である。
いくつかの実施形態において、PBDプロドラッグ二量体-抗体コンジュゲート化合物は、式(Ia)の化合物であり、
式中、R
10、L、p、及びAbは、本明細書で他に定義されるとおりである。
B.単量体
いくつかの実施形態において、PBD単量体化合物は、式(II)の化合物であり、
式中、R
2、R
3、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10、R
11、X、*、及びピロリジン環Aにおける結合スキームは、PBD二量体に関連して本明細書の別の箇所で記載されるとおりである。
いくつかの実施形態において、PBD単量体化合物は、式(IIa)の化合物であり、
式中、R
10は、本明細書で他に定義されるとおりである。
C.二量体
いくつかの実施形態において、PBDプロドラッグ二量体化合物は、第1のPBDプロドラッグ単量体M1と、第2のPBD単量体M2と、を含む、式(VIII)の化合物であり、
式中、R
2、R
2’、R
3、R
3’、R
6、R
6’、R
7、R
7’、R
9、R
9’、R
10、R
11、R
11’、X、X’、Q、Q’、T、*、ならびにピロリジン環A及びBにおける結合スキームは、PBD二量体に関連して本明細書の別の箇所で記載されるとおりである。
いくつかの実施形態において、R12は、不在であり、N10’とC11’との間の結合は、二重結合である。いくつかの実施形態において、R12は、-C(O)O-L及び-C(O)O-R10から選択され、式中、R10は、本明細書の別の箇所に記載されるプロドラッグ部分である。Lは、本明細書で他に定義されるとおりである。
いくつかの実施形態において、PBDプロドラッグ二量体化合物は、式(VIIIa)の化合物であり、
式中、R
10は、本明細書で他に定義されるとおりである。
いくつかの実施形態において、PBDプロドラッグ二量体化合物は、式(VIIb)の化合物であり、
式中、R
10及びLは、本明細書で他に定義されるとおりである。
III.プロドラッグ保護基-トリガー
本開示の範囲内のトリガーを含むプロドラッグ保護基は、ジスルフィド、環式ジオン、アリールボロン酸、及びアリールボロン酸エステルを含む。トリガーを含むプロドラッグ保護基は、カルバメート部分によって、N10位でPBDにコンジュゲートされる。保護基は、酵素(例えば、DTD)、ROS、またはGSHなどの刺激の適用によって活性薬物を生成するために、酵素的または化学的に切断される。
A.ジスルフィド保護基-トリガー
本開示のジスルフィド保護基-トリガーR
10部分は、一般式(V)のものであり、
式中、波線は、PBD N10位(すなわち、
)への結合点を示す。
R
50は、任意に置換されたC
1-8アルキルまたはC
2-6アルキル、任意に置換されたC
1-8またはC
2-6ヘテロアルキル、2~6個の炭素原子を含む任意に置換されたシクロアルキル、及び2~6個の炭素原子を含む任意に置換されたヘテロシクロアルキルから選択される。いくつかの特定の実施形態において、R
50は、-CH
2-CH
3、-CH(CH
3)
2、-C(CH
3)
3、-CH
2-CH
2OH、-CH
2-CH
2-C(O)OH、-CH
2-CH
2-O-CH
3、及び3~6員シクロアルキルまたはヘテロシクロアルキルから選択される。いくつかの実施形態において、シクロアルキル及びヘテロシクロアルキルR
50部分は、以下から選択される。
いくつかの実施形態において、R
50は、CH
3CH
2-、(CH
3)
2CH-、及び(CH
3)
3C-から選択される。
R
51は、任意に置換されたC
2アルキレンまたは任意に置換されたベンジレンである。いくつかのかかる実施形態において、R
51は、式のものである。
いくつかの実施形態において、R61及びR62は、独立して、H、及び任意に置換されたC1-6アルキル、及び任意に置換されたC1-6ヘテロアルキルから選択される。いくつかの特定の実施形態において、R61及びR62は、独立して、H、及び任意に置換されたC1-4アルキル、及び任意に置換されたC1-4エーテルまたは第三級アミンから選択される。いくつかの他の特定の実施形態において、R61及びR62の一方は、Hである。さらに他の特定の実施形態において、R61及びR62の一方は、Hであり、R61及びR62のもう一方は、-CH3、C1-4エーテルまたはC第三級アミンである。いくつかの他の特定の実施形態において、R61及びR62は、それぞれ、Hであるか、またはR61及びR62は、それぞれ、CH3である。
いくつかの実施形態において、R61及びR62は、それらが結合している炭素原子で一緒に、任意に置換されたシクロアルキル、任意に置換されたヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリール、または任意に置換されたヘテロアリール部分を形成し、各環置換は、2~6個の炭素原子を含む。
いくつかの実施形態において、R63及びR64は、独立して、H及びCH3から選択される。いくつかの他の特定の実施形態において、R63及びR64は、Hである。
例示的なR
51部分の非限定的な一覧は、以下のとおりである。
いくつかの代替の実施形態において、R
51は、アリールアルキルである。1つのかかる実施形態において、R
51は、
である。
例示的なジスルフィド保護基-トリガー部分の非限定的な一覧は、以下のとおりである。
本開示に従い、現在までのインビトロ実験的証拠に基づいて、本開示のジスルフィド保護基-トリガーが、上昇したGSHを発現する、がん細胞などの増殖細胞において細胞内に切断され、概して、正常GSHレベルを発現する非増殖細胞、ならびに全血/血漿において一般に安定していることが発見されている。より具体的には、GSHの血液濃度は、非常に低い(マイクロモル範囲内など)ことが知られている一方で、細胞内GSH濃度は典型的には、最大3桁より大きい(ミリモル範囲内など)。がん細胞内のGSH濃度は、還元酵素の活性の増加のために、さらにより大きいとさらに考えられる。
増殖細胞と非増殖細胞との間の細胞内還元電位(mVで表された)間の差は、増殖細胞中のジスルフィドトリガー活性化及び薬物放出に影響を及ぼすように利用され得るが、非増殖細胞、全血、及び血漿中のプロドラッグの安定性を提供することがさらに発見されている。より具体的には、GSH/GSSGレドックス対における低減されたGSH対酸化されたGSHの比(GSHジスルフィドまたは「GSSG」とも称される)、典型的には、mVで表される、還元電位と相関されることが考えられる。ある特定のGSH/GSSG比は、増殖細胞の特徴であるとさらに考えられる。GSH/GSSGの比が増加するにつれて(すなわち、GSHの増加の相対濃度が増加するにつれて)、還元電位に否定性が増加する。典型的なGSH/GSSGの還元電位をが、以下の表に示す。
システイン(Cys)及びシステインジスルフィド(CySS)レドックス対の還元電位はまた、ジスルフィドプロドラッグからの細胞内薬物放出に影響を及ぼし得、血液/血漿Cys/CySSの還元電位は、典型的には、-80mV~0mVであり、細胞質中のCys/CySSの還元電位は、典型的には、約-160mVである。
B.環式ジオン保護基-トリガー
いくつかの実施形態において、R
10環式ジオン保護基-トリガーは、以下の一般式の1,4-または1,2-キノンである。
A、D、E、G、及びJは、独立して、C及びNから選択され、Nは、第二級
アミン、第三級アミン、またはイミン(=N-)である。各mは、独立して、0及び1から選択される。破線は、E-DまたはD-Aのいずれかの間の任意の二重結合を表す。R
A、R
D、R
E、R
G、及びR
Jは、存在するとき、独立して、H、OH、任意に置換されたC
1-4アルキルもしくはヘテロアルキル、C
1-4アルコキシもしくはヘテロアルコキシ、及びハロゲンから選択されるが、但し、R
A、R
D、R
E、R
G、及びR
Jのうちの少なくとも1つは、PBDのN10位でカルバメート部分の酸素原子に共有結合しているC
1-4の任意に置換されたアルキルまたはヘテロアルキルリンカーである。いくつかの実施形態において、R
A、R
D、及びR
Eのうちの1つは、C
1-4の任意に置換されたアルキルまたはヘテロアルキルリンカーである。いくつかの他の実施形態において、A-(R
A)
m、D-(R
D)
m、及びE-(R
E)
mのうちの1つは、
である。いくつかの他の実施形態において、A-(R
A)
mは、
であり、Dは、Cであり、R
Dは、C
1リンカーであり、E-(R
E)
mは、
であり、DとEとの間の結合は、二重結合である。他の実施形態において、G及びJは、C(炭素)である。他の実施形態において、G及びJは、Cであり、R
G及びR
Jのうちの1つは、-O-CH
3である。いくつかの実施形態において、環式ジオンは、1,4-環式ジオンである。
いくつかの実施形態において、環式ジオンプロドラッグ部分は、
から選択されるキノンであり、式中、ヒドロキシル部分は、PBDへの結合点を提供する。
いくつかの特定の実施形態において、環式ジオンは、以下の式のうちの1つのインドールジオンであり、
式中、波線は、PBDのN10位(すなわち、
)で酸素原子への結合点を示す。
いくつかの実施形態において、R
10環式ジオン保護基-トリガーは、以下の式の1,4-または1,2-環式ジオンである。
A、D、E、F、G、及びJは、独立して、C及びNから選択され、A、D、E、及びFの少なくとも1つは、Cであり、G及びJの少なくとも1つは、Cであり、Nは、第二級
アミン、第三級アミン、またはイミン(=N-)である。各nは、独立して、0及び1から選択される。破線は、任意の二重結合を表す。R
A、R
D、R
E、R
F、R
G、及びR
Jは、存在するとき、独立して、H、OH、任意に置換されたC
1-4アルキルもしくはヘテロアルキル、C
1-4アルコキシもしくはヘテロアルコキシ、及びハロゲンから選択されるが、但し、R
A、R
D、R
E、R
F、R
G、及びR
Jのうちの少なくとも1つが、存在し、PBDのN10位でカルバメート部分の酸素原子に共有結合しているC
1-4の任意に置換されたアルキルまたはヘテロアルキルリンカーである。いくつかの実施形態において、R
A、R
D、R
E、及びR
Fのうちの1つは、C
1-4の任意に置換されたアルキルまたはヘテロアルキルリンカーである。いくつかの実施形態において、D-R
DまたはE-R
Eは、C
1-4の任意に置換されたアルキルまたはヘテロアルキルリンカーに結合する炭素原子を有する部分であり、A、
F、ならびにD及び
Eの他方
のうちの少なくとも1つは、Nである。いくつかの実施形態において、R
A、R
E、及びR
Fのうちの1つは、独立して、H、任意に置換されたC
1-4アルキルもしくはヘテロアルキル、及び任意に置換されたC
1-4アルコキシもしくはヘテロアルコキシから選択され、Dは、Cであり、R
Dは、C
1リンカーである。いくつかの他の実施形態において、G-(R
G)
n及びJ-(R
J)
nのうちの少なくとも1つは、
である。いくつかの他の実施形態において、G-R
G及びJ-R
Jのうちの一方は、C-O-CH
3であり、G-R
G及びJ-R
Jのうちの他方は、CHであり、GとJとの間の結合は、二重結合である。いくつかの他の実施形態において、A、D、E、及びFから形成された環は、不飽和であるか、または部分的に飽和される。他の実施形態において、A、B、D、及びEから形成された環は、不飽和であるか、または部分的に飽和される。
環式ジオン保護基-トリガーを有するプロドラッグは、多くのヒト腫瘍及び血管の内皮細胞内で過剰発現されると考えられているDTDの2電子還元酵素で活性化され得る。DTDは、補因子としてNADHまたはNADPHを用いてキノンの直接2電子移動を触媒するNAD(P)H:キノン酸化還元酵素I型(NQO1)酵素(EC1.6.99.2)である(例えば、Mendoza,et al.,“Human NAD(P)H:quinone oxidoreductase type I(HNQO1)activation of quinone propionic acid trigger groups”,Biochemistry,2012 October9;51(40):8014-8026を参照されたく、参照により本明細書に組み込まれる)。DTDは、好気性及び低酵素条件下でプロドラッグ活性化剤であると考えられる。
ヒト乳癌及び肺癌は、高いDTDレベルを発現することが知られている。例えば、NQO1発現のnRPKM(nRPKMは、マッピングされた100万読み取り当たりの転写長のKb当たりの読み取りを指す)は、典型的には、約0.5~約20の範囲であるnRPKM値を有する血液癌及びリンパ癌と比較して、約30~2000である。以下の表に開示されるように、DTDは、多くのがんにおいて正常組織と比較して過剰発現され(S.Danson,et al.,“DT-diaphorase:a target for new anticancer drugs”,Cancer Treatment Reviews(2004)30,437-449を参照されたい)、ここで、「NS」は、有意でないことを指す。
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、細胞内放出機構は、あるキノン種によって表されるように、以下の機構に従って、通常進行すると考えられており、プロドラッグキノントリガー活性化及び薬物放出は、DTD2つの電子還元によって媒介される。
C.アリールボロン酸及びアリールボロン酸エステル保護基-トリガー
本開示のアリールボロン酸及びアリールボロン酸エステル保護基-トリガーR
10部分は、一般式(IVa)のものであり、
、
式中、波線は、PBDのN10位(すなわち、-O-C(O)-N
10<PBD)で酸素原子への結合点を示す。R
20及びR
21は、独立して、H、任意に置換されたアルキルまたはヘテロアルキル、任意に置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル、及び任意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択される。あるいは、R
20及びR
21はともに、任意に置換された部分-(CH
2)
n-(式中、nは、2または3である)であり、前記部分は、それらが結合するO原子
とB原子と
一緒にヘテロシクロアルキル環を形成する。ヘテロシクロアルキル環は、任意に、縮合ヘテロアルキル環、縮合アリール環、または縮合ヘテロアリール環を含んでもよい。波線は、PBD N10位への結合点を示す。
いくつかの実施形態において、アリールボロン酸及びアリールボロン酸エステルトリガーは、式のものであり、
式中、R
30、R
31、R
32、R
33、R
40、R
41、R
42、R
43、R
44、及びR
45は、独立して、H、ハロゲン、-CN、-OH、-NH
2、-COOH、-CONH
2、-NO
2、-SH、-SO
2Cl、-SO
3H、-SO
4H、-SO
2NH
2、-NHNH
2、-ONH
2、-NHC=(O)NHNH
2、任意に置換されたC
1-8アルキルもしくはヘテロアルキル、2~7個の炭素原子を含む任意に置換されたシクロアルキルまたはヘテロシクロアルキル、任意に置換されたアリールまたはヘテロアリールから選択される。いくつかの実施形態において、(i)R
30もしくはR
31のうちの1つ及びR
32もしくはR
33のうちの1つ、(ii)R
40もしくはR
41のうちの1つ及びR
42もしくはR
43のうちの1つ、ならびに/または(iii)R
42もしくはR
43のうちの1つ及びR
44もしくはR
45のうちの1つは、2~7個の炭素原子を有する、任意に置換された縮合シクロアルキル環、縮合ヘテロシクロアルキル環、縮合アリール環、もしくは縮合ヘテロアリール環を形成する。波線は、PBD N10位への結合点を示す。
例示的なアリールボロン酸及びアリールボロン酸エステル保護基-トリガーの非限定的な一覧は、以下のとおりである。
一実施形態において、保護基-トリガーは、アリールボロン酸であり、すなわち、R20及びR21は、Hである。
アリールボロン酸またはアリールボロン酸エステル保護基-トリガーを有するプロドラッグは、H2O2などのROSで活性化され得る。(例えば、Kuang,Y.,et al.,“Hydrogen Peroxide Inducible DNA Cross-Linking Agents:Targeted Anticancer Prodrugs”,J.Am.Chem.Soc.(2011),133(48),19278-19281、Peng,X.,et al.,“ROS-activated anticancer prodrugs:a new strategy for tumor-specific damage”,Ther Deliv.(2012),3(7),823-833、及びChen,W.,et al.,“Reactive Oxygen Species(ROS)Inducible DNA Cross-Linking Agents and Their Effect on Cancer Cells and Normal Lymphocytes”,J.Med.Chem.(2014),57,4498-4510(これらの各々は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)を参照されたい。)
がん細胞は、正常な非がん性細胞と比較して酸化的ストレスの増加を示すと考えられ、H2O2などのROSの細胞内濃度を増加していると考えられ、H2O2濃度は、がん細胞中で最大0.5nmol/104細胞/時などの10倍増加し得る。(例えば、Peng;Chen;Zieba,M.,et al.,“Comparison of hydrogen peroxide generation and the content of lipid peroxidation products in lung cancer tissue and pulmonary parenchyma”,Respiratory Medicine(2000),94,800-805、Szatrowski,T.et al.,“Production of Large Amounts of Hydrogen Peroxide in Human Tumor Cells”,Cancer Research(1991),51,794-798(これらの各々は、参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい。)がん細胞中の高いROS濃度、及び同時ROSシグナル伝達は、DNA変異を介して腫瘍形成、発達、増殖、及び生存、転移、血管新生、及び治療剤への感受性の低下の主要な要因であることが考えられる(例えば、Pengを参照されたい)。
いかなる特定の理論にも拘束されるものではないが、ROS活性化細胞内プロドラッグ放出機構は、以下の機構に従って進行すると考えられている。
IV.リンカー
本開示のリンカーは、酸部分分子への抗体及び薬物(「D」)を一緒に共有結合させることができる二官能性化学部分である。本開示の範囲内のリンカーは、狭く制限されず、以下の構造からのものであり、
Ab-[Ab接続]-[Abスペーサ]opt-[トリガー]opt-[Dスペーサ]opt-[D接続]-D
Ab接続、任意のAbスペーサ単位、任意の犠牲(トリガー)単位、及び任意の薬物スペーサ、及び薬物接続を含む。
いくつかの実施形態において、リンカーは、自壊性部分(トリガー)を含む。本開示の範囲内の自壊性部分の非限定的な例には、ペプチド、ペプチド模倣物、及びジスルフィドが含まれる。
いくつかの実施形態において、リンカーは、例えば、プロテアーゼによるリンカーの切断を可能にし、それによって、リソソーム酵素などの細胞内プロテアーゼへの曝露時に免疫コンジュゲートからの薬物の放出を容易にする(Doronina et al.(2003)Nat.Biotechnol.21:778-784)。例示的なペプチド単位としては、ジペプチド、トリペプチド、テトラペプチド、及びペンタペプチドが挙げられるが、これらに限定されない。例示的なジペプチドとしては、バリン-シトルリン(vcまたはval-cit)、バリン-アラニン(vaまたはval-ala)、アラニン-フェニルアラニン(afまたはala-phe)、フェニルアラニン-リジン(fkまたはphe-lys)、フェニルアラニン-ホモリジン(phe-homolys)、及びN-メチル-バリン-シトルリン(Me-val-cit)が挙げられるが、これらに限定されない。例示的なトリペプチドには、グリシン-バリン-シトルリン(gly-val-cit)及びグリシン-グリシン-グリシン(gly-gly-gly)が含まれるが、これらに限定されない。ペプチド単位は、自然発生アミノ酸残基、及び/または微量アミノ酸、及び/またはシトルリン等の非自然発生アミノ酸類似体を含んでもよい。ペプチド単位は、特定の酵素、例えば、腫瘍関連プロテアーゼ、カテプシンB、C、及びD、またはプラスミンプロテアーゼによる酵素的切断のために設計して最適化することができる。
いくつかの実施形態において、リンカーは、リンカーの切断を可能にする犠牲ペプチド模倣単位を含む。例示的なペプチド模倣単位としては、トリアゾール、シクロブタン-1-1-ジカルバルデヒド、シクロブタン-1-1-ジカルバルデヒド-シトルリン、アルケン、ハロアルケン、及びイソオキサゾールが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかのペプチド模倣単位の例には、以下のものを含み、ペプチド模倣単位の左側の波線は、スペーサまたは抗体接続部分への接続点であり、ペプチド模倣単位の右側の波線は、スペーサまたは薬物接続部分への接続点である。
本開示の範囲内のいくつかのAb-[ペプチド模倣リンカー単位]-薬物基は、以下のとおりであり、式中、「AA」はアミノ酸を指し、AA1及びAA2は、同じまたは異なる天然または非天然アミノ酸であり得る。
いくつかの実施形態において、リンカーは、リンカーの切断を可能にする犠牲ジスルフィド単位を含む。ジスルフィドリンカーは、式のものである。
式中、S
Cは、抗体システイン硫黄原子であり、R
70及びR
71は、独立して、H及びC
1-3アルキルから選択され、式中、R
70及びR
71のうちの1つのみがHであり得るか、またはR
70及びR
71は、それらが結合する炭素原子と一緒に、酸素ヘテロ原子を任意に含む4~6員環を形成し、波線は、PBD N10位にカルバメート部分の酸素原子への結合点を示す。いくつかの他の実施形態において、R
70及びR
71は、独立して、H、-CH
3、及び-CH
2CH
3から選択され、R
70及びR
71のうちの1つのみがHであり得るか、またはR
70及びR
71は、それらが結合する炭素原子と一緒に、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、テトラヒドロフラン、及びテトラヒドロピランから選択される環を形成する。
いくつかの実施形態において、リンカーは、スペーサ単位を含み得る。いくつかの実施形態において、スペーサ単位は、p-アミノベンジルオキシカルボニル(PAB)である。いくつかのかかる実施形態において、p-アミノベンジルアルコールスペーサ単位は、アミド結合を介してアミノ酸単位に結合し、カルバミン酸塩、メチルカルバミン酸塩、または炭酸塩が、ベンジルアルコールと薬物との間に作製される(Hamann et al.(2005)Expert Opin.Ther.Patents(2005)15:1087-1103)。他の実施形態において、リンカー抗体部分は、以下のとおりに、PBD N10位にカルバメート部分の酸素原子に結合される。
いくつかの他の実施形態において、スペーサとしては、2-アミノイミダゾール-5-メタノール誘導体などの、PAB基と電子的に同様である芳香族化合物(米国特許第7,375,078号、Hay et al.(1999)Bioorg.Med.Chem.Lett.9:2237)及びオルト-またはパラ-アミノベンジルアセタールが挙げられるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、置換及び非置換4-アミノ酪酸アミド(Rodrigues et al(1995)Chemistry Biology2:223)、適切に置換されたビシクロ[2.2.1]及びビシクロ[2.2.2]環系(Storm et al(1972)J.Amer.Chem.Soc.94:5815)、ならびに2-アミノフェニルプロピオン酸アミド(Amsberry,et al(1990)J.Org.Chem.55:5867)など、アミド結合加水分解により環化されるスペーサが用いられ得る。グリシン残基のアルファ-炭素への薬物の結合は、有用であり得るスペーサの別の例である(Kingsbury et al(1984)J.Med.Chem.27:1447)。いくつかの態様において、スペーサ単位は、自壊性である。
リンカーは、抗体への共有結合コンジュゲーションに好適な反応基を含む。いくつかの実施形態において、抗体は、少なくとも1つの反応性スルフヒドリル部分を含み、リンカーは、反応性硫黄原子、マレイミド、ブロムアセトアミド、及びヨードアセトアミド、またはアルケンを含み、抗体は、当業者に既知の方法に従って、抗体反応性スルフヒドリルと、リンカー反応性硫黄原子、マレイミド、ブロムアセトアミド、ヨードアセトアミド、またはアルケンとの反応によって形成される共有結合によってリンカーにコンジュゲートされる。
薬物-リンカー部分に反応性スルフヒドリル部分を有する抗体をコンジュゲートするためのスキームの非限定的な例は、以下のとおりに示される。
いくつかの特定の薬物-[L]コンジュゲートの例は、以下のとおりであり、式中、xは、1~8であり、[Conj]は、本明細書の別の箇所で記載される反応基を指す。
犠牲性ジスルフィドを含む実施形態において、Abへのコンジュゲーションは、出願第PCT/CN2015/092084号(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載の方法に従って行うことができる。全般に、以下の式の活性化脱離基-ジスルフィド-薬物化合物は、
少なくとも1つのスルフヒドリル部分を有する抗体と接触され、脱離基(X
L)が置換され、硫黄原子は、スルフヒドリル硫黄原子に共有結合して、ジスルフィドを形成する。上記の式において、X
Lは、チオール脱離基であり、脱離基及びリンカーは、ジスルフィド結合を介して結合され、R
70及びR
71は、本明細書の別の箇所に定義されるとおりであり、Spは、本明細書の別の箇所で記載される任意のスペーサであり、nは、0または1である。R
70及びR
71のうちの1つは、Hであり得るため、リンカーは、束縛リンカーであると考えられ得る。
いくつかの実施形態において、脱離基は、以下のものから好適に選択され得る。
そのような実施形態において、波線は、脱離基の束縛リンカーS原子への結合点を示し、それによりジスルフィド結合を形成する。X
1、X
2、X
3、X
4、及びX
5は、独立して、C、N、S、またはOであり、但し、X
1~X
5のうちの少なくとも1つがNであることを条件とし、破線は、任意の二重結合を表し、Aは、6員環を表す。Y
1、Y
2、Y
3、及びY
4は、独立して、C、N、S、またはOであり、但し、Y
1~Y
4のうちの少なくとも1つがNであることを条件とし、破線は、任意の二重結合を表し、Bは、5員環を表す。Z
1、Z
2、Z
3、Z
4、Z
5、及びZ
6は、独立して、C、N、S、またはOであり、但し、Z
1及びZ
2のうちの少なくとも1つがNであることを条件とし、破線は、任意の二重結合を表し、Cは、6員環を表し、Dは、縮合5員環を表す。各R
3は独立して、-NO
2、-NH
2、-C(O)OH、R
5S(O)(O)-、-C(O)N(R
5)(R
5)、-Cl、-F、-CN、及び-Brから選択される。各R
5は独立して、H、任意に置換されたC
1-6ヒドロカルビル、任意に置換されたC
5-6炭素環、及び任意に置換されたC
5-6複素環から選択され、qは、1、2、または3である。脱離基1、脱離基2、脱離基3、及び/または脱離基4の環構造内の各炭素原子は、任意に、R
5で置換される。脱離基1、脱離基2、脱離基3、及び/または脱離基4の環構造内の各窒素原子は、任意に、R
5で置換されて、第三級アミンまたは第四級アミンを形成する。
いくつかの特定のそのような実施形態において、X1、X2、X3、X4、及びX5は独立して、CまたはNであり、X1~X5のうちの2つ以下は、Nであり、環Aは、不飽和である。他の特定の実施形態において、Y1、Y2、Y3、及びY4は独立して、CまたはNであり、B環は、不飽和である。さらに他の特定の実施形態において、Z1は、Nであり、Z2は、N、S、及びOから選択され、Z3~Z6は、C及びNから選択され、Z3~Z6のうちの2つ以下は、Nであり、環Cは、不飽和である。さらに他の特定の実施形態において、各R3は独立して、-NO2、-NH2、-C(O)OH、H3CS(O)(O)-、及び-C(O)N(CH3)2から選択される。
いくつかの実施形態において、脱離基は、
であり、式中、波線は、脱離基の束縛リンカーS原子への結合点を示し、それによりジスルフィド結合を形成する。いくつかの特定の実施形態において、C
1-4アルキルは、メチルである。
束縛ジスルフィドリンカーの例は以下のとおりであり、式中、硫黄原子の波線は、本明細書の他の箇所で定義される脱離基への結合点を指し、カルボニル部分の波線は、PBD N10原子への結合点を指す。
V.抗体
本開示の抗体は、1つ以上の腫瘍関連抗原または細胞表面受容体に結合する任意の細胞標的化生物学的化合物であり、抗体は、リンカーへのコンジュゲーションに好適な少なくとも1つの反応性システインスルフヒドリル部分を含む。
がん細胞などのある特定の種類の細胞は、周辺組織と比較して特有である表面分子(抗原)を発現する。これらの表面分子に結合する細胞標的化部分は、本明細書で他に記載される薬物の、特に標的細胞への標的化された送達を可能にする。例えばかつ非限定的に、細胞標的化部分は、肺、乳房、脳、前立腺、脾臓、膵臓、子宮頸部、卵巣、頭頸部、食道、肝臓、皮膚、腎臓、白血病、骨、精巣、結腸、または膀胱細胞に結合し、それによって内部移行され得る。
A.腫瘍関連抗原
本開示のいくつかの特定の態様において、標的細胞は、腫瘍関連抗原(TAA)を発現するか、または細胞表面受容体を含む、がん細胞である。腫瘍関連抗原は、当該技術分野において既知であり、当該技術分野において周知の方法及び情報を使用して抗体を生成する上で使用するために調製され得る。がんの診断及び療法のための有効な細胞標的を発見する試みとして、研究者らは、1つ以上の正常な非がん性細胞(複数可)と比較して、1つ以上の特定の種類(複数可)のがん細胞の表面上で特異的に発現される膜貫通ポリペプチドまたはさもなければ腫瘍関連ポリペプチドを特定しようとした。多くの場合、そのような腫瘍関連ポリペプチドは、非がん性細胞の表面上と比較して、がん細胞の表面上でより豊富に発現される。そのような腫瘍関連細胞表面の抗原ポリペプチドの特定により、抗体に基づく療法を介してがん細胞の破壊のために特異的に標的とする能力が生じた。
腫瘍関連抗原TAAの例としては、本明細書に列挙されるTAA(1)~(53)が挙げられるが、これらに限定されない。便宜上、これらの抗原(これら全てが当該技術分野において既知である)に関する情報を本明細書に列挙し、この情報は、名称、別称、Genbank受託番号及び主な参考文献(複数可)に続き、National Center for Biotechnology Information(NCBI)の核酸及びタンパク質配列を特定する慣例を含む。TAA(1)~(53)に対応する核酸及びタンパク質配列は、GenBankなどの公的データベースにおいて入手可能である。抗体によって標的とされる腫瘍関連抗原としては、引用される参考文献において特定されている配列と比較して、少なくとも約70%、80%、85%、90%、もしくは95%の配列同一性を保有する全てのアミノ酸配列バリアント及びアイソフォーム、または引用される参考文献中に見出される配列を有するTAAと実質的に同じ生物学的特性もしくは特徴を呈するものが挙げられる。例えば、バリアント配列を有するTAAは一般に、列挙されている対応する配列を有するTAAに特異的に結合する抗体に特異的に結合することができる。本明細書に具体的に引用される参考文献中の配列及び開示は、参照により明示的に組み込まれる。
(1)BMPR1B(骨形成タンパク質受容体-IB型、Genbank受託番号NM_001203)ten Dijke,P.,et al.Science264(5155):101-104(1994)、Oncogene14(11):1377-1382(1997))、WO2004/063362(請求項2)、WO2003/042661(請求項12)、US2003/134790-A1(38~39頁)、WO2002/102235(請求項13、296頁)、WO2003/055443(91~92頁)、WO2002/99122(実施例2、528~530頁)、WO2003/029421(請求項6)、WO2003/024392(請求項2、図112)、WO2002/98358(請求項1、183頁)、WO2002/54940(100~101頁)、WO2002/59377(349~350頁)、WO2002/30268(請求項27、376頁)、WO2001/48204(実施例、図4)NP_001194骨形成タンパク質受容体、IB型/pid=NP_001194.1-相互参照:MIM:603248、NP_001194.1、AY065994。
(2)E16(LAT1、SLC7A5、Genbank受託番号NM_003486)Biochem.Biophys.Res.Commun.255(2),283-288(1999)、Nature395(6699):288-291(1998)、Gaugitsch,H.W.,et al.(1992)J.Biol.Chem.267(16):11267-11273)、WO2004/048938(実施例2)、WO2004/032842(実施例IV)、WO2003/042661(請求項12)、WO2003/016475(請求項1)、WO2002/78524(実施例2)、WO2002/99074(請求項19、127~129頁)、WO2002/86443(請求項27、222、393頁)、WO2003/003906(請求項10、293頁)、WO2002/64798(請求項33、93~95頁)、WO2000/14228(請求項5、133~136頁)、US2003/224454(図3)、WO2003/025138(請求項12、150頁)、NP_003477溶質担体ファミリー7(カチオン性アミノ酸輸送体、y+システム)、メンバー5/pid=NP_003477.3-Homo sapiens、相互参照:MIM:600182、NP_003477.3、NM_015923、NM_003486_1。
(3)STEAP1(前立腺の6回膜貫通上皮抗原、Genbank受託番号NM_012449)Cancer Res.61(15),5857-5860(2001)、Hubert,R.S.,et al.(1999) Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(25):14523-14528)、WO2004/065577(請求項6)、WO2004/027049(図1L)、EP1394274(実施例11)、WO2004/016225(請求項2)、WO2003/042661(請求項12)、US2003/157089(実施例5)、US2003/185830(実施例5)、US2003/064397(図2)、WO2002/89747(実施例5、618~619頁)、WO2003/022995(実施例9;図13A、実施例53;173頁、実施例2;図2A)、NP_036581前立腺の6回膜貫通上皮抗原、相互参照:MIM:604415、NP_036581.1、NM_012449_1。
(4)0772P(CA125、MUC16、Genbank受託番号AF361486)J.Biol.Chem.276(29):27371-27375(2001))、WO2004/045553(請求項14)、WO2002/92836(請求項6、図12)、WO2002/83866(請求項15、116~121頁)、US2003/124140(実施例16)、US798959。相互参照:GI:34501467、AAK74120.3、AF361486_1。
(5)MPF(MPF、MSLN、SMR、巨核球増強因子、メソテリン、Genbank受託番号NM_005823)Yamaguchi,N.,et al.Biol.Chem.269(2),805-808(1994),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.96(20):11531-11536(1999),Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.93(1):136-140(1996),J.Biol.Chem.270(37):21984-21990(1995))、WO2003/101283(請求項14)、(WO2002/102235(請求項13、287~288頁)、WO2002/101075(請求項4、308~309頁)、WO2002/71928(320~321頁)、WO9410312(52~57頁)、相互参照:MIM:601051、NP_005814.2、NM_005823_1。
(6)Napi3b(NAPI-3B、NPTIIb、SLC34A2、溶質輸送体ファミリー34(リン酸ナトリウム)、メンバー2、II型ナトリウム依存性リン酸輸送体3b、Genbank受託番号NM_006424)J.Biol.Chem.277(22):19665-19672(2002)、Genomics62(2):281-284(1999)、Feild,J.A.,et al.(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.258(3):578-582)、WO2004/022778(請求項2)、EP1394274(実施例11)、WO2002/102235(請求項13、326頁)、EP875569(請求項1、17~19頁)、WO2001/57188(請求項20、329頁)、WO2004/032842(実施例IV)、WO2001/75177(請求項24、139~140頁)、相互参照:MIM:604217、NP_006415.1、NM_006424_1。
(7)Sema5b(FLJ10372、KIAA1445、Mm.42015、SEMA5B、SEMAG、セマフォリン5b Hlog、セマドメイン、7回トロンボスポンジン反復(1型及び1型様)、膜貫通ドメイン(TM)、及び短い細胞質ドメイン、(セマフォリン)5B、Genbank受託番号AB040878)Nagase T.,et al.(2000)DNA Res.7(2):143-150)、WO2004/000997(請求項1)、WO2003/003984(請求項1)、WO2002/06339(請求項1、50頁)、WO2001/88133(請求項1、41~43頁、48~58頁)、WO2003/054152(請求項20)、WO2003/101400(請求項11)、受託番号:Q9P283、EMBL、AB040878、BAA95969.1.Genew;HGNC:10737。
(8)PSCA hlg(2700050C12Rik、C530008O16Rik、RIKEN cDNA2700050C12、RIKEN cDNA2700050C12遺伝子、Genbank受託番号AY358628)、Ross et al.(2002)Cancer Res.62:2546-2553、US2003/129192(請求項2)、US2004/044180(請求項12)、US2004/044179(請求項11)、US2003/096961(請求項11)、US2003/232056(実施例5)、WO2003/105758(請求項12)、US2003/206918(実施例5)、EP1347046(請求項1)、WO2003/025148(請求項20)、相互参照:GI:37182378、AAQ88991.1、AY358628_1。
(9)ETBR(エンドセリンB型受容体、Genbank受託番号AY275463)、Nakamuta M.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.177,34-39,1991、Ogawa Y.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.178,248-255,1991、Arai H.,et al.Jpn.Circ.J.56,1303-1307,1992、Arai H.,et al.J.Biol.Chem.268,3463-3470,1993、Sakamoto A.,Yanagisawa M.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.178,656-663,1991、Elshourbagy N.A.,et al.J.Biol.Chem.268,3873-3879,1993、Haendler B.,et al.J.Cardiovasc.Pharmacol.20,s1-S4,1992、Tsutsumi M.,et al.Gene228,43-49,1999、Strausberg R.L.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899-16903,2002、Bourgeois C.,et al.J.Clin.Endocrinol.Metab.82,3116-3123,1997、Okamoto Y.,et al.Biol.Chem.272,21589-21596,1997、Verheij J.B.,et al.Am.J."Med.Genet.108,223-225,2002、Hofstra R.M.W.,et al.Eur.J.Hum.Genet.5,180-185,1997、Puffenberger E.G.,et al.Cell79,1257-1266,1994、Attie T.,et al.,Hum.Mol.Genet.4,2407-2409,1995、Auricchio A.,et al.Hum.Mol.Genet.5:351-354,1996、Amiel J.,et al.Hum.Mol.Genet.5,355-357,1996、Hofstra R.M.W.,et al.Nat.Genet.12,445-447,1996、Svensson P.J.,et al.Hum.Genet.103,145-148,1998、Fuchs S.,et al.Mol.Med.7,115-124,2001、Pingault V.,et al.(2002)Hum.Genet.111,198-206、WO2004/045516(請求項1)、WO2004/048938(実施例2)、WO2004/040000(請求項151)、WO2003/087768(請求項1)、WO2003/016475(請求項1)、WO2003/016475(請求項1)、WO2002/61087(図1)、WO2003/016494(図6)、WO2003/025138(請求項12、144頁)、WO2001/98351(請求項1、124~125頁)、EP522868(請求項8、図2)、WO2001/77172(請求項1、297~299頁)、US2003/109676、US6518404(図3)、US5773223(請求項1a、31~34欄)、WO2004/001004。
(10)MSG783(RNF124、仮説上のタンパク質FLJ20315、Genbank受託番号NM_017763)、WO2003/104275(請求項1)、WO2004/046342(実施例2)、WO2003/042661(請求項12)、WO2003/083074(請求項14、61頁)、WO2003/018621(請求項1)、WO2003/024392(請求項2、図93)、WO2001/66689(実施例6)、相互参照:遺伝子座ID:54894、NP_060233.2、NM_017763_1。
(11)STEAP2(HGNC_8639、IPCA-1、PCANAP1、STAMP1、STEAP2、STMP、前立腺癌関連遺伝子1、前立腺癌関連タンパク質1、前立腺の6回膜貫通上皮抗原2、6回膜貫通前立腺タンパク質、Genbank受託番号AF455138)Lab.Invest.82(11):1573-1582(2002))、WO2003/087306、US2003/064397(請求項1、図1)、WO2002/72596(請求項13、54~55頁)、WO2001/72962(請求項1、図4B)、WO2003/104270(請求項11)、WO2003/104270(請求項16)、US2004/005598(請求項22)、WO2003/042661(請求項12)、US2003/060612(請求項12、図10)、WO2002/26822(請求項23、図2)、WO2002/16429(請求項12、図10)、相互参照:GI:22655488、AAN04080.1、AF455138_1。
(12)TrpM4(BR22450、FLJ20041、TRPM4、TRPM4B、一過性受容体電位カチオンチャネル、サブファミリーM、メンバー4、Genbank受託番号NM_017636)Xu,X.Z.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(19):10692-10697(2001),Cell109(3):397-407(2002),J.Biol.Chem.278(33):30813-30820(2003))、US2003/143557(請求項4)、WO2000/40614(請求項14、100~103頁)、WO2002/10382(請求項1、図9A)、WO2003/042661(請求項12)、WO2002/30268(請求項27、391頁)、US2003/219806(請求項4)、WO2001/62794(請求項14、図1A~D)、相互参照:MIM:606936、NP_060106.2、NM_017636_1。
(13)CRIPTO(CR、CR1、CRGF、CRIPTO、TDGF1、奇形癌種由来の成長因子、Genbank受託番号NP_003203またはNM_003212)Ciccodicola,A.,et al.EMBOJ.8(7):1987-1991(1989),Am.J.Hum.Genet.49(3):555-565(1991))、US2003/224411(請求項1)、WO2003/083041(実施例1)、WO2003/034984(請求項12)、WO2002/88170(請求項2、52~53頁)、WO2003/024392(請求項2、図58)、WO2002/16413(請求項1、94~95、105頁)、WO2002/22808(請求項2、図1)、US5854399(実施例2、17~18欄)、US5792616(図2)、相互参照:MIM:187395、NP_003203.1、NM_003212_1。
(14)CD21(CR2(補体受容体2)もしくはC3DR(C3d/Epstein Barrウイルス受容体)またはHs.73792Genbank受託番号M26004)Fujisaku et al.(1989)J.Biol.Chem.264(4):2118-2125)、Weis J.J.,et al.J.Exp.Med.167,1047-1066,1988、Moore M.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.84,9194-9198,1987、Barel M.,et al.Mol.Immunol.35,1025-1031,1998、Weis J.J.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83,5639-5643,1986、Sinha S.K.,et al.(1993)J.Immunol.150,5311-5320、WO2004/045520(実施例4)、US2004/005538(実施例1)、WO2003/062401(請求項9)、WO2004/045520(実施例4)、WO9102536(図9.1~9.9)、WO2004/020595(請求項1)、受託番号:P20023、Q13866、Q14212、EMBL、M26004、AAA35786.1。
(15)CD79b(CD79B、CD79b、IGb(免疫グロブリン関連ベータ)、B29、Genbank受託番号NM_000626または11038674)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.(2003)100(7):4126-4131,Blood(2002)100(9):3068-3076、Muller et al.(1992)Eur.J.Immunol.22(6):1621-1625)、WO2004/016225(請求項2、図140)、WO2003/087768、US2004/101874(請求項1、102頁)、WO2003/062401(請求項9)、WO2002/78524(実施例2)、US2002/150573(請求項5、15頁)、US5644033、WO2003/048202(請求項1、306及び309頁)、WO99/558658、US6534482(請求項13、図17A/B)、WO2000/55351(請求項11、1145~1146頁)、相互参照:MIM:147245、NP_000617.1、NM_000626_1。
(16)FcRH2(IFGP4、IRTA4、SPAP1A(SH2ドメイン含有ホスファターゼアンカータンパク質1a)、SPAP1B、SPAP1C、Genbank受託番号NM_030764,AY358130)Genome Res.13(10):2265-2270(2003)、Immunogenetics54(2):87-95(2002)、Blood99(8):2662-2669(2002)、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.98(17):9772-9777(2001)、Xu,M.J.,et al.(2001)Biochem.Biophys.Res.Commun.280(3):768-775、WO2004/016225(請求項2)、WO2003/077836、WO2001/38490(請求項5、図18D-1~18D-2)、WO2003/097803(請求項12)、WO2003/089624(請求項25)、相互参照:MIM:606509、NP_110391.2、NM_030764_1。
(17)HER2(ErbB2、Genbank受託番号M11730)Coussens L.,et al.Science(1985)230(4730):1132-1139)、Yamamoto T.,et al.Nature319,230-234,1986、Semba K.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.82,6497-6501,1985、Swiercz J.M.,et al.J.Cell Biol.165,869-880,2004、Kuhns J.J.,et al.J.Biol.Chem.274,36422-36427,1999、Cho H.-S.,et al.Nature421,756-760,2003、Ehsani A.,et al.(1993)Genomics15,426-429、WO2004/048938(実施例2)、WO2004/027049(図1I)、WO2004/009622、WO2003/081210、WO2003/089904(請求項9)、WO2003/016475(請求項1)、US2003/118592、WO2003/008537(請求項1)、WO2003/055439(請求項29、図1A~B)、WO2003/025228(請求項37、図5C)、WO2002/22636(実施例13、95~107頁)、WO2002/12341(請求項68、図7)、WO2002/13847(71~74頁)、WO2002/14503(114~117頁)、WO2001/53463(請求項2、41~46頁)、WO2001/41787(15頁)、WO2000/44899(請求項52、図7)、WO2000/20579(請求項3、図2)、US5869445(請求項3、31~38欄)、WO9630514(請求項2、56~61頁)、EP1439393(請求項7)、WO2004/043361(請求項7)、WO2004/022709、WO2001/00244(実施例3、図4)、受託番号:P04626、EMBL、M11767、AAA35808.1.EMBL、M11761、AAA35808.1。
(18)NCA(CEACAM6、Genbank受託番号M18728)、Barnett T.,et al.Genomics3,59-66,1988、Tawaragi Y.,et al.Biochem.Biophys.Res.Commun.150,89-96,1988、Strausberg R.L.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99:16899-16903,2002、WO2004/063709、EP1439393(請求項7)、WO2004/044178(実施例4)、WO2004/031238、WO2003/042661(請求項12)、WO2002/78524(実施例2)、WO2002/86443(請求項27、427頁)、WO2002/60317(請求項2)、受託番号:P40199;Q14920、EMBL、M29541、AAA59915.1.EMBL、M18728。
(19)MDP(DPEP1、Genbank受託番号BC017023)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99(26):16899-16903(2002))、WO2003/016475(請求項1)、WO2002/64798(請求項33、85~87頁)、JP05003790(図6~8)、WO9946284(図9)、相互参照:MIM:179780、AAH17023.1、BC017023_1。
(20)IL20Ra(IL20Ra、ZCYTOR7、Genbank受託番号AF184971)、Clark H.F.,et al.Genome Res.13,2265-2270,2003、Mungall A.J.,et al.Nature425,805-811,2003、Blumberg H.,et al.Cell104,9-19,2001、Dumoutier L.,et al.J.Immunol.167,3545-3549,2001、Parrish-Novak J.,et al.J.Biol.Chem.277,47517-47523,2002、Pletnev S.,et al.(2003)Biochemistry42:12617-12624、Sheikh F.,et al.(2004)J.Immunol.172,2006-2010、EP1394274(実施例11)、US2004/005320(実施例5)、WO2003/029262(74~75頁)、WO2003/002717(請求項2、63頁)、WO2002/22153(45~47頁)、US2002/042366(20~21頁)、WO2001/46261(57~59頁)、WO2001/46232(63~65頁)、WO9837193(請求項1、55~59頁)、受託番号:Q9UHF4、Q6UWA9、Q96SH8、EMBL、AF184971、AAF01320.1。
(21)ブレビガン(BCAN、BEHAB、Genbank受託番号AF229053)Gary S.C.,et al.Gene256,139-147,2000、Clark H.F.,et al.Genome Res.13,2265-2270,2003、Strausberg R.L.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.99,16899-16903,2002、US2003/186372(請求項11)、US2003/186373(請求項11)、US2003/119131(請求項1、図52)、US2003/119122(請求項1、図52)、US2003/119126(請求項1)、US2003/119121(請求項1、図52)、US2003/119129(請求項1)、US2003/119130(請求項1)、US2003/119128(請求項1、図52)、US2003/119125(請求項1)、WO2003/016475(請求項1)、WO2002/02634(請求項1)。
(22)EphB2R(DRT、ERK、Hek5、EPHT3、Tyro5、Genbank受託番号NM_004442)Chan,J.and Watt,V.M.,Oncogene6(6),1057-1061(1991)Oncogene10(5):897-905(1995),Annu.Rev.Neurosci.21:309-345(1998),Int.Rev.Cytol.196:177-244(2000))、WO2003/042661(請求項12)、WO2000/53216(請求項1、41頁)、WO2004/065576(請求項1)、WO2004/020583(請求項9)、WO2003/004529(128~132頁)、WO2000/53216(請求項1、42頁)、相互参照:MIM:600997、NP_004433.2、NM_004442_1。
(23)ASLG659(B7h、Genbank受託番号AX092328)US2004/0101899(請求項2)、WO2003/104399(請求項11)、WO2004/000221(図3)、US2003/165504(請求項1)、US2003/124140(実施例2)、US2003/065143(図60)、WO2002/102235(請求項13、299頁)、US2003/091580(実施例2)、WO2002/10187(請求項6、図10)、WO2001/94641(請求項12、図7b)、WO2002/02624(請求項13、図1A~1B)、US2002/034749(請求項54、45~46頁)、WO2002/06317(実施例2;320~321頁、請求項34;321~322頁)、WO2002/71928(468~469頁)、WO2002/02587(実施例1、図1)、WO2001/40269(実施例3、190~192頁)、WO2000/36107(実施例2、205~207頁)、WO2004/053079(請求項12)、WO2003/004989(請求項1)、WO2002/71928(233~234、452~453頁)、WO0116318。
(24)PSCA(前立腺幹細胞抗原前駆体、Genbank受託番号AJ297436)Reiter R.E.,et al.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.95,1735-1740,1998、Gu Z.,et al.Oncogene19,1288-1296,2000、Biochem.Biophys.Res.Commun.(2000)275(3):783-788、WO2004/022709、EP1394274(実施例11)、US2004/018553(請求項17)、WO2003/008537(請求項1)、WO2002/81646(請求項1、164頁)、WO2003/003906(請求項10、288頁)、WO2001/40309(実施例1、図17)、US2001/055751(実施例1、図1b)、WO2000/32752(請求項18、図1)、WO9851805(請求項17、97頁)、WO9851824(請求項10、94頁)、WO9840403(請求項2、図1B)、受託番号:O43653、EMBL、AF043498、AAC39607.1。
(25)GEDA(Genbank受託番号AY260763)、AAP14954脂肪腫HMGIC融合パートナー様タンパク質/pid=AAP14954.1-Homo sapiens種:Homo sapiens(ヒト)WO2003/054152(請求項20)、WO2003/000842(請求項1)、WO2003/023013(実施例3、請求項20)、US2003/194704(請求項45)、相互参照:GI:30102449、AAP14954.1、AY260763_1。
(26)BAFF-R(B細胞活性化因子受容体、BLyS受容体3、BR3、Genbank受託番号AF116456)、BAFF受容体/pid=NP_443177.1-Homo sapiens Thompson,J.S.,et al.Science293(5537),2108-2111(2001)、WO2004/058309、WO2004/011611、WO2003/045422(実施例、32~33頁)、WO2003/014294(請求項35、図6B)、WO2003/035846(請求項70、615~616頁)、WO2002/94852(Col136~137)、WO2002/38766(請求項3、133頁)、WO2002/24909(実施例3、図3)、相互参照:MIM:606269、NP_443177.1、NM_052945_1、AF132600。
(27)CD22(B細胞受容体CD22-Bアイソフォーム、BL-CAM、Lyb-8、Lyb8、SIGLEC-2、FLJ22814、Genbank受託番号AK026467)、Wilson et al.(1991)J.Exp.Med.173:137-146、WO2003/072036(請求項1、図1)、相互参照:MIM:107266、NP_001762.1、NM_001771_1。
(28)CD79a(CD79A、CD79a、免疫グロブリン関連アルファ、Igベータ(CD79B)と共有結合により相互作用し、IgM分子と表面上で複合体を形成し、B細胞分化に関与するシグナルを伝達するB細胞特異的タンパク質)、pI:4.84、分子量:25028、TM:2[P]遺伝子染色体:19q13.2、Genbank受託番号NP_001774.10)WO2003/088808、US2003/0228319、WO2003/062401(請求項9)、US2002/150573(請求項4、13~14頁)、WO9958658(請求項13、図16)、WO9207574(図1)、US5644033、Ha et al.(1992)J.Immunol.148(5):1526-1531、Mueller et al.(1992)Eur.J.Biochem.22:1621-1625、Hashimoto et al.(1994)Immunogenetics40(4):287-295、Preud’homme et al.(1992)Clin.Exp.Immunol.90(1):141-146、Yu et al.(1992)J.Immunol.148(2)633-637、Sakaguchi et al.(1988)EMBOJ.7(11):3457-3464。
(29)CXCR5(バーキットリンパ腫受容体1、CXCL13ケモカインによって活性化され、リンパ球移動及び体液性防御において機能し、HIV-2感染症、ならびに恐らく、AIDS、リンパ腫、骨髄腫、及び白血病の発症に役割を果たすGタンパク質共役型受容体)、372aa,pI:8.54分子量:41959TM:7[P]遺伝子染色体:11q23.3、Genbank受託番号NP_001707.1)WO2004/040000、WO2004/015426、US2003/105292(実施例2)、US6555339(実施例2)、WO2002/61087(図1)、WO2001/57188(請求項20、269頁)、WO2001/72830(12~13頁)、WO2000/22129(実施例1、152~153頁、実施例2、254~256頁)、WO9928468(請求項1、38頁)、US5440021(実施例2、col49~52)、WO9428931(56~58頁)、WO9217497(請求項7、図5)、Dobner et al.(1992)Eur.J.Immunol.22:2795-2799、Barella et al.(1995)Biochem.J.309:773-779。
(30)HLA-DOB(ペプチドに結合し、CD4+Tリンパ球にそれらを提示する、MHCクラスII分子のベータサブユニット(Ia抗原))、273aa、pI:6.56、分子量:30820TM:1[P]遺伝子染色体:6p21.3、Genbank受託番号NP_002111.1)Tonnelle et al.(1985)EMBOJ.4(11):2839-2847、Jonsson et al.(1989)Immunogenetics29(6):411-413、Beck et al.(1992)J.Mol.Biol.228:433-441、Strausberg et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci USA99:16899-16903、Servenius et al.(1987)J.Biol.Chem.262:8759-8766、Beck et al.(1996)J.Mol.Biol.255:1-13、Naruse et al.(2002)Tissue Antigens59:512-519、WO9958658(請求項13、図15)、US6153408(35~38欄)、US5976551(168~170欄)、US6011146(145~146欄)、Kasahara et al.(1989)Immunogenetics30(1):66-68、Larhammar et al.(1985)J.Biol.Chem.260(26):14111-14119。
(31)P2X5(プリン受容体P2Xリガンド開口型イオンチャネル5、シナプス伝達及び神経発生に関与し得る、細胞外ATPによって開閉されるイオンチャネル、欠損すると特発性の排尿筋不安定の病態生理に寄与し得る)、422aa)、pI:7.63、分子量:47206、TM:1[P]遺伝子染色体:17p13.3、Genbank受託番号NP_002552.2)Le et al.(1997)FEBS Lett.418(1-2):195-199、WO2004/047749、WO2003/072035(請求項10)、Touchman et al.(2000)Genome Res.10:165-173、WO2002/22660(請求項20)、WO2003/093444(請求項1)、WO2003/087768(請求項1)、WO2003/029277(82頁)。
(32)CD72(B細胞分化抗原CD72、Lyb-2)PROTEIN SEQUENCE Full maeaity...tafrfpd(1..359;359aa)、pI:8.66、分子量:40225TM:1[P]遺伝子染色体:9p13.3、Genbank受託番号NP_001773.1)WO2004/042346(請求項65)、WO2003/026493(51~52、57~58頁)、WO2000/75655(105~106頁)、Von Hoegen et al.(1990)J.Immunol.144(12):4870-4877、Strausberg et al.(2002)Proc.Natl.Acad.Sci USA99:16899-16903。
(33)LY64(リンパ球抗原64(RP105)、ロイシンリッチ反復(LRR)ファミリーのI型膜タンパク質、B細胞の活性化及びアポトーシスを制御し、機能喪失は、全身性エリテマトーデスを有する患者における疾患活性の増加に関連する)、661aa、pI:6.20、分子量:74147、TM:1[P]遺伝子染色体:5q12、Genbank受託番号NP_005573.1)US2002/193567、WO9707198(請求項11、39~42頁)、Miura et al.(1996)Genomics38(3):299-304、Miura et al.(1998)Blood92:2815-2822、WO2003/083047、WO9744452(請求項8、57~61頁)、WO2000/12130(24~26頁)。
(34)FcRH1(Fc受容体様タンパク質1、C2型Ig様ドメイン及びITAMドメインを含有する免疫グロブリンFcドメインの推定上の受容体は、B-リンパ球分化において役割を有し得る)、429aa、pI:5.28、分子量:46925、TM:1[P]遺伝子染色体:1q21-1q22、Genbank受託番号NP_443170.1)WO2003/077836、WO2001/38490(請求項6、図18E-1~18-E-2)、Davis et al.(2001)Proc.Natl.Acad.Sci USA98(17):9772-9777、WO2003/089624(請求項8)、EP1347046(請求項1)、WO2003/089624(請求項7)。
(35)IRTA2(免疫グロブリンスーパーファミリー受容体転座関連2、B細胞の成長及びリンパ腫形成に潜在的な役割を有する推定上の免疫受容体、転座による遺伝子の制御解除が一部のB細胞悪性腫瘍で生じる)、977aa、pI:6.88分子量:106468TM:1[P]遺伝子染色体:1q21、Genbank受託番号Human:AF343662、AF343663、AF343664、AF343665、AF369794、AF397453、AK090423、AK090475、AL834187、AY358085、Mouse:AK089756、AY158090、AY506558、NP_112571.1。WO2003/024392(請求項2、図97)、Nakayama et al.(2000)Biochem.Biophys.Res.Commun.277(1):124-127、WO2003/077836、WO2001/38490(請求項3、図18B-1~18B-2)。
(36)TENB2(TMEFF2、トモレグリン、TPEF、HPP1、TR、推定上の膜貫通プロテオグリカン、成長因子のEGF/ヘレグリンファミリー及びフォリスタチンに関連する)、374aa、NCBI受託番号:AAD55776、AAF91397、AAG49451、NCBI参照配列:NP_057276、NCBI遺伝子:23671、OMIM:605734、SwissProt Q9UIK5、Genbank受託番号AF179274、AY358907、CAF85723、CQ782436WO2004/074320(配列番号810)、JP2004/113151(配列番号2、4、8)、WO2003/042661(配列番号580)、WO2003/009814(配列番号411)、EP1295944(69~70頁)、WO2002/30268(329頁)、WO2001/90304(配列番号2706)、US2004/249130、US2004/022727、WO2004/063355、US2004/197325、US2003/232350、US2004/005563、US2003/124579、Horie et al.(2000)Genomics67:146-152、Uchida et al.(1999)Biochem.Biophys.Res.Commun.266:593-602、Liang et al.(2000)Cancer Res.60:4907-12、Glynne-Jones et al.(2001)Int J Cancer.Oct15;94(2):178-84。
(37)PMEL17(silver相同体、SILV、D12S53E、PMEL17、SI、SIL)、ME20、gp100)BC001414、BT007202、M32295、M77348、NM_006928、McGlinchey,R.P.et al.(2009)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.106(33),13731-13736、Kummer,M.P.et al.(2009)J.Biol.Chem.284(4),2296-2306。
(38)TMEFF1(EGF様ドメイン及び2つのフォリスタチン様ドメイン1を有する膜貫通タンパク質1、トモレグリン-1)、H7365、C9orf2、C9ORF2、U19878、X83961、NM_080655、NM_003692、Harms,P.W.(2003)Genes Dev.17(21),2624-2629、Gery,S.et al.(2003)Oncogene22(18):2723-2727。
(39)GDNF-Ra1(GDNFファミリー受容体アルファ1、GFRA1、GDNFR、GDNFRA、RETL1、TRNR1、RET1L、GDNFR-アルファ1、GFR-ALPHA-1)、U95847、BC014962、NM_145793NM_005264、Kim,M.H.et al.(2009)Mol.Cell.Biol.29(8),2264-2277、Treanor,J.J.et al.(1996)Nature382(6586):80-83。
(40)Ly6E(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座E、Ly67、RIG-E、SCA-2、TSA-1)、NP_002337.1、NM_002346.2、de Nooij-van Dalen,A.G.et al.(2003)Int.J.Cancer103(6),768-774、Zammit,D.J.et al.(2002)Mol.Cell.Biol.22(3):946-952。
(41)TMEM46(shisa相同体2(Xenopus laevis)、SHISA2)、NP_001007539.1、NM_001007538.1、Furushima,K.et al.(2007)Dev.Biol.306(2),480-492、Clark,H.F.et al.(2003)Genome Res.13(10):2265-2270。
(42)Ly6G6D(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座G6D、Ly6-D、MEGT1)、NP_067079.2、NM_021246.2、Mallya,M.et al.(2002)Genomics80(1):113-123、Ribas,G.et al.(1999)J.Immunol.163(1):278-287。
(43)LGR5(ロイシンリッチ反復含有Gタンパク質共役型受容体5、GPR49、GPR67)、NP_003658.1、NM_003667.2、Salanti,G.et al.(2009)Am.J.Epidemiol.170(5):537-545、Yamamoto,Y.et al.(2003)Hepatology37(3):528-533。
(44)RET(retがん原遺伝子、MEN2A、HSCR1、MEN2B、MTC1、PTC、CDHF12、Hs.168114、RET51、RET-ELE1)、NP_066124.1、NM_020975.4、Tsukamoto,H.et al.(2009)Cancer Sci.100(10):1895-1901、Narita,N.et al.(2009)Oncogene28(34):3058-3068。
(45)LY6K(リンパ球抗原6複合体、遺伝子座K、LY6K、HSJ001348、FLJ35226)、NP_059997.3、NM_017527.3、Ishikawa,N.et al.(2007)Cancer Res.67(24):11601-11611、de Nooij-van Dalen,A.G.et al.(2003)Int.J.Cancer103(6):768-774。
(46)GPR19(Gタンパク質共役型受容体19、Mm.4787)、NP_006134.1、NM_006143.2、Montpetit,A.and Sinnett,D.(1999)Hum.Genet.105(1-2):162-164、O’Dowd,B.F.et al.(1996)FEBS Lett.394(3):325-329。
(47)GPR54(KISS1受容体、KISS1R、GPR54、HOT7T175、AXOR12)、NP_115940.2、NM_032551.4、Navenot,J.M.et al.(2009)Mol.Pharmacol.75(6):1300-1306、Hata,K.et al.(2009)Anticancer Res.29(2):617-623。
(48)ASPHD1(アスパラギン酸ベータヒドロキシラーゼドメイン含有1、LOC253982)、NP_859069.2、NM_181718.3、Gerhard,D.S.et al.(2004)Genome Res.14(10B):2121-2127。
(49)チロシナーゼ(TYR、OCAIA、OCA1A、チロシナーゼ、SHEP3)、NP_000363.1、NM_000372.4、Bishop,D.T.et al.(2009)Nat.Genet.41(8):920-925、Nan,H.et al.(2009)Int.J.Cancer125(4):909-917。
(50)TMEM118(ringフィンガータンパク質、膜貫通2、RNFT2、FLJ14627)、NP_001103373.1、NM_001109903.1、Clark,H.F.et al.(2003)Genome Res.13(10):2265-2270、Scherer,S.E.et al.(2006)Nature440(7082):346-351。
(51)GPR172A(Gタンパク質結合型受容体172A、GPCR41、FLJ11856、D15Ertd747e)、NP_078807.1、NM_024531.3、Ericsson,T.A.et al.(2003)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(11):6759-6764、Takeda,S.et al.(2002)FEBS Lett.520(1-3):97-101。
(52)シアル酸に結合する免疫グロブリン様レクチンファミリーのメンバーであるCD33は、67kDaのグリコシル化膜貫通タンパク質である。CD33は、拘束された骨髄単球性前駆細胞及び赤血球前駆細胞に加えて、ほとんどの骨髄性白血病細胞及び単球性白血病細胞上で発現される。これは、最初期の多能性幹細胞、成熟顆粒球、リンパ系細胞、または非造血系細胞には見られない(Sabbath et al.,(1985)J.Clin.Invest.75:756-56、Andrews et al.,(1986)Blood68:1030-5)。CD33は、その細胞質尾部に2つのチロシン残基を含有し、これらの各々に、多くの阻害性受容体に見られる免疫受容体チロシン系阻害モチーフ(ITIM)に類似する疎水性残基が続いている。
(53)CLL-1(CLEC12A、MICL、及びDCAL2)は、C型レクチン/C型レクチン様ドメイン(CTL/CTLD)スーパーファミリーのメンバーをコードする。このファミリーのメンバーは、共通のタンパク質折り畳みを共有し、細胞接着、細胞間シグナル伝達、糖タンパク質代謝回転、ならびに炎症及び免疫応答における役割などの多様な機能を有する。この遺伝子によってコードされるタンパク質は、顆粒球及び単球の機能の負の制御因子である。この遺伝子のいくつかの代替的なスプライス転写物バリアントが記載されているが、これらのバリアントのうちのいくつかに関しては完全長の性質が決定されていない。この遺伝子は、染色体12p13上のナチュラルキラー遺伝子複合体領域内の他のCTL/CTLDスーパーファミリーメンバーに緊密に連結している(Drickamer K(1999)Curr.Opin.Struct.Biol.9(5):585-90、van Rhenen A,et al.,(2007)Blood110(7):2659-66、Chen CH,et al.(2006)Blood107(4):1459-67、Marshall AS,et al.(2006)Eur.J.Immunol.36(8):2159-69、Bakker AB,et al.(2005)Cancer Res.64(22):8443-50、Marshall AS,,et al.(2004)J.Biol.Chem.279(15):14792-802)。CLL-1は、単一のC型レクチン様ドメイン(カルシウムまたは糖類のいずれにも結合することが予測されていない)、ストーク領域、膜貫通ドメイン、及びITIMモチーフを含有する短い細胞質尾部を含む、II型膜貫通受容体であることが示されている。
本開示の抗体の実施形態のいずれにおいても、抗体は、ヒト化されている。一実施形態において、抗体は、本開示の実施形態のいずれかにおけるようなHVRを含み、ヒトアクセプターフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークをさらに含む。ある特定の実施形態において、ヒトアクセプターフレームワークは、ヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/またはVHフレームワークVH1である。ある特定の実施形態において、ヒトアクセプターフレームワークは、以下の変異のうちのいずれか1つを含む、ヒトVLカッパIコンセンサス(VLKI)フレームワーク及び/またはVHフレームワークVH1である。
別の実施形態において、抗体は、本明細書に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVHと、本明細書に提供される実施形態のいずれかにおけるようなVLとを含む。
本開示のさらなる一実施形態において、本明細書の実施形態のいずれかに従う抗体は、ヒト抗体を含むモノクローナル抗体である。一実施形態において、抗体は、抗体断片、例えば、Fv、Fab、Fab’、scFv、ダイアボディ、またはF(ab’)2断片である。別の実施形態において、抗体は、実質的に完全長の抗体、例えば、本明細書に定義されるIgG1抗体、IgG2a抗体、または他の抗体クラスもしくはアイソタイプである。いくつかの特定の実施形態において、抗体は、抗HER2、抗CD22、抗CD33、抗Napi2b、及び抗CLL-1から選択される。
さらなる一実施形態において、本明細書の実施形態のいずれかに従う抗体は、本明細書に記載される特徴のうちのいずれかを、単独で、または組み合わせて組み込むことができる。
B.抗体親和性
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、1μM以下、100nM以下、50nM以下、10nM以下、5nM以下、1nM以下、0.1nM以下、0.01nM以下、または0.001nM以下の解離定数(Kd)を有し、任意に、10-13M以下である(例えば、10-8M以下、例えば、10-8M~10-13M、例えば、10-9M~10-13M)。
一実施形態において、Kdは、以下のアッセイによって説明されるように、対象となる抗体のFabバージョン及びその抗原によって実行される放射標識抗原結合アッセイ(RIA)によって測定される。抗原に対するFabの溶液結合親和性は、Fabを、未標識抗原の一連の滴定の存在下で、最小濃度の(125I)標識抗原と平衡化し、次いで抗Fab抗体コーティングプレートと結合した抗原を捕捉することによって、測定される(例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい)。アッセイのための条件を確立するために、MICROTITER(登録商標)マルチウェルプレート(Thermo Scientific)を、50mMの炭酸塩(pH9.6)中5μg/mlの捕捉用抗Fab抗体(Cappel Labs)で一晩コーティングし、続いて、室温(約23℃)で2~5時間、PBS中2%(w/v)のウシ血清アルブミンによってブロッキングする。非吸着性のプレート(Nunc番号#269620)中で、100pMまたは26pM[125I]-抗原を、目的とするFabの段階希釈液と混合する(例えば、Presta et al.,Cancer Res.57:4593-4599(1997)の抗VEGF抗体Fab-12の評価と一致する)。次に、目的とするFabを一晩インキュベートするが、このインキュベーションは、平衡が達成されることを確実にするために、より長い期間(例えば、約65時間)継続し得る。その後、混合物を、室温でのインキュベーション(例えば、1時間)のため、捕捉プレートに移す。次いで、溶液を除去し、プレートをPBS中0.1%ポリソルベート20(TWEEN-20(登録商標))で8回洗浄する。プレートが乾燥したら、150μL/ウェルのシンチラント(scintillant)(MICROSCINT-20(商標);Packard)を付加し、プレートをTOPCOUNT(商標)ガンマ計数器(Packard)上で10分間、計数する。20%以下の最大結合を付与する各Fabの濃度を競合結合アッセイにおける使用のために選択する。
別の実施形態に従うと、Kdは、BIACORE(登録商標)-2000,BIACORE(登録商標)-T200、またはBIACORE(登録商標)-3000(BIAcore,Inc.,Piscataway,NJ)を使用する表面プラズモン共鳴アッセイを使用して、25℃で、約10応答単位(RU)で固定化された抗原CM5チップによって測定される。簡潔には、カルボキシメチル化デキストランバイオセンサーチップ(CM5、BIACORE,Inc.)を、供給業者の指示に従って、N-エチル-N’-(3-ジメチルアミノプロピル)-カルボジイミド塩酸塩(EDC)及びN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)で活性化する。抗原を10mMの酢酸ナトリウム(pH4.8)で5μg/mL(約0.2μM)になるまで、及び/またはHBS-P(0.01MのHepes(pH7.4)、0.15MのNaCl、0.005%の界面活性剤P20)で希釈した後に、5μL/分及び/または30μl/分の流量で注入して、およそ10の応答単位(RU)の共役タンパク質を達成する。抗原の注射に続いて、1Mのエタノールアミンを注射して、未反応群をブロッキングする。動態測定のために、Fabの2倍段階希釈液(0.78nM~500nM)を、25℃の0.05%ポリソルベート20(TWEEN-20(商標))界面活性剤(PBST)を有するPBS中約25μL/分の流量で注入する。会合速度(kon)及び解離速度(koff)を、会合センサグラム及び解離センサグラムを同時に適合することによって、単純1対1Langmuir結合モデル(BIACORE(登録商標)Evaluation Softwareバージョン3.2)を使用して計算する。平衡解離定数(Kd)は、koff/kon比として計算される。例えば、Chen et al.,J.Mol.Biol.293:865-881(1999)を参照されたい。本明細書に記載される表面プラズモン共鳴アッセイによる会合速度が106M-1s-1を超える場合、会合速度は、ストップフローを備えた分光光度計(Aviv Instruments)または撹拌キュベットを有する8000シリーズSLM-AMINCO(商標)分光光度計(ThermoSpectronic)などの分光計で測定される場合に、増加する抗原濃度の存在下で、25℃で、PBS中20nMの抗-抗原抗体(Fab形態)(pH7.2)の蛍光発光強度(励起=295nm、発光=340nm、16nm帯域通過)の増加または減少を測定する蛍光消光技術を使用して決定することができる。
C.抗体断片
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、抗体断片である。抗体断片としては、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、Fv、及びscFv断片、ならびに本明細書に記載される他の断片が挙げられるが、これらに限定されない。ある特定の抗体フラグメントの概説については、Hudson et al.Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。scFvの概説については、例えば、Pluckthun,in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,(Springer-Verlag,New York),pp.269-315(1994)を参照されたく、WO93/16185ならびに米国特許第5,571,894号及び同第5,587,458号も参照されたい。サルベージ受容体結合エピトープ残基を含み、増加したインビボ半減期を有する、Fab及びF(ab’)2断片の考察については、米国特許第5,869,046号を参照されたい。
ダイアボディは、二価または二重特異性であり得る2つの抗原結合部位を有する抗体断片である。例えば、EP404,097、WO1993/01161、及びHudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)、及びHollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA90:6444-6448(1993)においてより十分に記載されている。トリアボディ及びテトラボディも、Hudson et al.,Nat.Med.9:129-134(2003)に記載されている。
単一ドメイン抗体は、抗体の重鎖可変ドメインの全てもしくは一部、または軽鎖可変ドメインの全てもしくは一部を含む、抗体断片である。ある特定の実施形態において、単一ドメイン抗体は、ヒト単一ドメイン抗体である(Domantis,Inc.,Waltham,MA;例えば、米国特許第6,248,516B1号を参照されたい)。
抗体断片は、本明細書に記載の、無傷抗体のタンパク質消化、ならびに組換え宿主細胞(例えば、E.coliまたはファージ)による産生を含むが、これらに限定されない、種々の技術によって作製され得る。
D.キメラ抗体及びヒト化抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、キメラ抗体である。ある特定のキメラ抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号及びMorrison et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,81:6851-6855(1984))に記載されている。一例では、キメラ抗体は、非ヒト可変領域(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、または非ヒト霊長類、例えばサルに由来する可変領域)及びヒト定常領域を含む。さらなる例では、キメラ抗体は、クラスまたはサブクラスが親抗体のクラスまたはサブクラスから変化した「クラススイッチ」抗体である。キメラ抗体には、その抗原結合断片が含まれる。
ある特定の実施形態において、キメラ抗体はヒト化抗体である。典型的には、非ヒト抗体は、非ヒト親抗体の特異性及び親和性を保持しながら、ヒトに対する免疫原性を低減させるために、ヒト化される。一般に、ヒト化抗体は、HVR、例えば、CDR(またはその一部)が非ヒト抗体に由来し、及びFR(またはその一部)がヒト抗体配列に由来する1つ以上の可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、任意選択で、ヒト定常領域の少なくとも一部も含むことになる。いくつかの実施形態では、ヒト化抗体中のいくつかのFR残基は、例えば、抗体特異性または親和性を復元または改善するために、非ヒト抗体(例えば、HVR残基が由来する抗体)由来の対応する残基で置換される。
ヒト化抗体及びそれらの作製方法は、例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)に概説され、例えば、Riechmann et al.,Nature332:323-329(1988)、Queen et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA86:10029-10033(1989)、米国特許第5,821,337号、同第7,527,791号、同第6,982,321号、及び同第7,087,409号、Kashmiri et al.,Methods36:25-34(2005)(SDR(a-CDR)グラフトについて記載)、Padlan,Mol.Immunol.28:489-498(1991)(「表面再構成」について記載)、Dall’Acqua et al.,Methods36:43-60(2005)(「FRシャッフリング」について記載)、ならびにOsbourn et al.,Methods36:61-68(2005)及びKlimka et al.,Br.J.Cancer,83:252-260(2000)(FRシャッフリングへの「誘導選択」アプローチについて記載)にさらに記載されている。
ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域は、「ベスト-フィット」方法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.Immunol.151:2296(1993)を参照されたい)、軽鎖可変領域または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列に由来するフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)を参照されたい)、ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖系フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)を参照されたい)、ならびにFRライブラリのスクリーニングから得られるフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)を参照されたい)が含まれるが、これらに限定されない。
E.ヒト抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、ヒト抗体である。ヒト抗体は、当該技術分野で既知の種々の技法を使用して産生することができる。ヒト抗体は、概して、van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)及びLonberg,Curr.Opin.Immunol.20:450-459(2008)に記載されている。
ヒト抗体は、抗原投与に応答して、無傷ヒト抗体またはヒト可変領域を有する無傷抗体を産生するように修飾されたトランスジェニック動物に免疫原を投与することによって調製され得る。かかる動物は、典型的には、内因性免疫グロブリン遺伝子座を置き換えるか、または染色体外に存在するかもしくは動物の染色体内にランダムに組み込まれているヒト免疫グロブリン遺伝子座の全てまたは一部を含有する。かかるトランスジェニックマウスにおいて、内因性免疫グロブリン遺伝子座は一般に、不活性化されている。トランスジェニック動物からヒト抗体を得るための方法の概説については、Lonberg,Nat.Biotech.23:1117-1125(2005)を参照されたい。例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584(XENOMOUSE(商標)技術を記載)、米国特許第5,770,429号(HuMab(登録商標)技術を記載)、米国特許第7,041,870号(K-M MOUSE(登録商標)技術を記載)、ならびに米国特許出願公開第US2007/0061900号(VelociMouse(登録商標)技術を記載)も参照されたい。かかる動物により生成されたインタクトな抗体由来のヒト可変領域は、例えば、異なるヒト定常領域と組み合わせることによりさらに修飾され得る。
ヒト抗体は、ハイブリドーマに基づく方法によっても作製され得る。ヒトモノクローナル抗体の産生のためのヒト骨髄腫及びマウス-ヒトヘテロ骨髄腫細胞株が説明されている。(例えば、KozborJ.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987)、及びBoerner et al.,J.Immunol.,147:86(1991)を参照されたい。)ヒトB細胞ハイブリドーマ技術により生成されるヒト抗体についても、Li et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)に記載されている。さらなる方法としては、例えば、米国特許第7,189,826号(ハイブリドーマ細胞株からのモノクローナルヒトIgM抗体の産生について記載)及びNi,Xiandai Mianyixue,26(4):265-268(2006)(ヒト-ヒトハイブリドーマについて記載)に記載されるものが挙げられる。ヒトハイブリドーマ技術(トリオーマ技術)については、Vollmers and Brandlein,Histology and Histopathology,20(3):927-937(2005)及びVollmers and Brandlein,Methods and Findings in Experimental and Clinical Pharmacology,27(3):185:91(2005)にも記載されている。
ヒト抗体は、ヒト由来ファージディスプレイライブラリから選択されるFvクローン可変ドメイン配列を単離することによっても生成され得る。次いで、かかる可変ドメイン配列は、所望のヒト定常ドメインと組み合わせられ得る。抗体ライブラリからヒト抗体を選択するための技術が、本明細書に記載される。
F.ライブラリ由来抗体
本開示の抗体は、コンビナトリアルライブラリを所望される活性(複数可)を有する抗体についてスクリーニングすることによって、単離することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリを生成し、所望の結合特性を保有する抗体に関してかかるライブラリをスクリーニングするための様々な方法が当該技術分野で既知である。かかる方法は、例えば、Hoogenboom et al.in Methods in Molecular Biology178:1-37(O’Brien et al.,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2001)に概説され、例えば、McCafferty et al.,Nature348:552-554、Clackson et al.,Nature352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Marks and Bradbury,in Methods in Molecular Biology248:161-175(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Natl.Acad.Sci.USA101(34):12467-12472(2004);及びLee et al.,J.Immunol.Methods284(1-2):119-132(2004)にさらに記載されている。
ある特定のファージ提示法において、VH及びVL遺伝子のレパートリーが、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により別個にクローニングされ、ファージライブラリ内で無作為に組み換えられ、これがその後、Winter et al.,Ann.Rev.Immunol.,12:433-455(1994)に記載されるように、抗原結合ファージについてスクリーニングされ得る。ファージは典型的には、一本鎖Fv(scFv)断片またはFab断片のいずれかとして抗体断片をディスプレイする。免疫化源由来のライブラリは、ハイブリドーマの構築を必要とすることなく、高親和性抗体を免疫原に提供する。あるいは、Griffiths et al.,EMBO J,12:725-734(1993)によって記載されるように、ナイーブレパートリーは、(例えば、ヒトから)クローニングされて、いかなる免疫化も伴わずに、幅広い非自己抗原及び自己抗原に対する抗体の単一源を提供することができる。最後に、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381-388(1992)に記載されるように、幹細胞からの再編成されていないV遺伝子セグメントをクローニングし、ランダム配列を含有するPCRプライマーを使用して高度に可変的なCDR3領域をコードし、インビトロでの再編成を達成することによってナイーブライブラリを合成的に作製することもできる。ヒト抗体ファージライブラリを説明している特許公開には、例えば、米国特許第5,750,373号、ならびに米国特許出願公開第2005/0079574号、同第2005/0119455号、同第2005/0266000号、同第2007/0117126号、同第2007/0160598号、同第2007/0237764号、同第2007/0292936号、及び同第2009/0002360号が挙げられる。
ヒト抗体ライブラリから単離された抗体または抗体断片は、本明細書でヒト抗体またはヒト抗体断片と見なされる。
G.多重特異性抗体
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される抗体は、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体である。「多重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、多重エピトープ特異性を有する(すなわち、1つの生物学的分子上の2つもしくはそれ以上の異なるエピトープに特異的に結合することができるか、または2つもしくはそれ以上の異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる)抗原結合ドメインを含む抗体を具体的に網羅する。いくつかの実施形態において、多重特異性抗体は、少なくとも2つの異なる部位に対する結合特異性を有するモノクローナル抗体である。いくつかの実施形態において、多重特異性抗体(二重特異性抗体など)の抗原結合ドメインは、2つのVH/VL単位を含み、第1のVH/VL単位は、第1のエピトープに特異的に結合し、第2のVH/VL単位は、第2のエピトープに特異的に結合し、各VH/VL単位は、重鎖可変ドメイン(VH)及び軽鎖可変ドメイン(VL)を含む。そのような多重特異性抗体としては、完全長抗体、2つ以上のVL及びVHドメインを有する抗体、抗体断片(Fab、Fv、dsFv、scFv、ダイアボディ、二重特異性ダイアボディ、及びトリアボディなど)、共有結合的または非共有結合的に連結されている抗体断片が挙げられるが、これらに限定されない。重鎖可変領域の少なくとも一部分及び/または軽鎖可変領域の少なくとも一部分をさらに含むVH/VL単位はまた、「アーム」または「ヘミマー」または「半抗体」とも称され得る。いくつかの実施形態において、ヘミマーは、第2のヘミマーとの分子内ジスルフィド結合が形成されることを可能にするのに十分な重鎖可変領域の一部分を含む。いくつかの実施形態において、ヘミマーは、例えば、相補的ホール変異またはノブ変異を含む第2のヘミマーまたは半抗体とのヘテロ二量体化を可能にする、ノブ変異またはホール変異を含む。ノブ変異及びホール変異は、本明細書においてさらに考察される。
ある特定の実施形態において、本明細書に提供される多重特異性抗体は、二重特異性抗体であり得る。「二重特異性抗体」という用語は、最も広義に使用され、1つの生物学的分子上の2つの異なるエピトープに特異的に結合することができるか、または2つの異なる生物学的分子上のエピトープに特異的に結合することができる抗原結合ドメインを含む多重特異性抗体を網羅する。二重特異性抗体はまた、本明細書において、「二重特異性」を有するもの、または「二重特異性」であるとも称される。二重特異性抗体は、完全長抗体または抗体断片として調製され得る。本明細書で使用される場合、「二重パラトピック抗体」という用語は、第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインが、同じ抗原分子上の2つの異なるエピトープに結合する二重特異性抗体を指すか、またはそれは、2つの異なる抗原分子上のエピトープに結合してもよい。
いくつかの実施形態において、二重パラトピック抗体の第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、1つかつ同一の抗原分子内の2つのエピトープに結合してもよい(分子内結合)。例えば、二重パラトピック抗体の第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、同じ抗体分子上の2つの異なるエピトープに結合してもよい。ある特定の実施形態において、二重パラトピック抗体が結合する2つの異なるエピトープは、通常1つの単一特異性抗体(例えば、従来の抗体など)または1つの免疫グロブリンの単一可変ドメインに同時には結合しないエピトープである。
いくつかの実施形態において、二重パラトピック抗体の第1の抗原結合ドメイン及び第2の抗原結合ドメインは、2つの別個の抗原分子内に位置するエピトープに結合してもよい。
多重特異性抗体を作製するための技術としては、異なる特異性を有する2つの免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の組換え共発現(Milstein and Cuello,Nature305:537(1983))、WO93/08829、及びTraunecker et al.,EMBOJ.10:3655(1991)を参照されたい)、ならびに「ノブインホール」操作(例えば、米国特許第5,731,168号)、WO2009/089004、US2009/0182127、US2011/0287009、Marvin and Zhu,Acta Pharmacol.Sin.Sin.(2005)26(6):649-658、及びKontermann(2005)Acta Pharmacol.Sin.,26:1-9を参照されたい)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で使用される場合、「ノブイントゥホール」または「KnH」技術という用語は、2つのポリペプチドを、それらが相互作用する界面で一方のポリペプチドに隆起(ノブ)を導入し、他方のポリペプチドに空洞(ホール)を導入することによって、インビトロまたはインビボでの対合を指向する技術を指す。例えば、KnHは、抗体のFc:Fc結合界面、CL:CH1界面、またはVH/VL界面に導入されている(例えば、US2011/0287009、US2007/0178552、WO96/027011、WO98/050431、及びZhu et al.,1997,Protein Science6:781-788を参照されたい)。いくつかの実施形態において、KnHにより、多重特異性抗体の製造中に2つの異なる重鎖の対合が駆動される。例えば、それらのFc領域内にKnHを有する多重特異性抗体は、各Fc領域に連結された単一可変ドメインをさらに含み得るか、または類似のもしくは異なる軽鎖可変ドメインと対合する異なる重鎖可変ドメインをさらに含み得る。KnH技術を使用して、2つの異なる受容体細胞外ドメインをともに、または異なる標的認識配列を含む(例えば、アフィボディ、ペプチボディ、及び他のFc融合を含む)任意の他のポリペプチド配列を対合させることもできる。
本明細書で使用される「ノブ変異」という用語は、ポリペプチドが別のポリペプチドと相互作用する界面で隆起(ノブ)をポリペプチドに導入する変異を指す。いくつかの実施形態において、他のポリペプチドは、ホール変異を有する。
「隆起」は、第1のポリペプチドの界面から突出し、したがって、隣接界面(すなわち、第2のポリペプチドの界面)の補償空洞内に位置付け可能となることで、例えば、ヘテロ多量体を安定させ、それによりホモ多量体形成よりもヘテロ多量体形成が好都合になる、少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。隆起は、元の界面に存在し得るか、または合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。いくつかの実施形態において、第1のポリペプチドの界面をコードする核酸は、隆起をコードするように改変される。これを達成するために、第1のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも大きい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードする核酸で置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解されるだろう。様々なアミノ残基の側鎖体積は、例えば、US2011/0287009の表1に示される。「隆起」を導入する変異は、「ノブ変異」と称され得る。
いくつかの実施形態において、隆起の形成のための移入残基は、アルギニン(R)、フェニルアラニン(F)、チロシン(Y)、及びトリプトファン(W)から選択される天然に存在するアミノ酸残基である。いくつかの実施形態において、移入残基は、トリプトファンまたはチロシンである。いくつかの実施形態において、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グリシン、セリン、トレオニン、またはバリンなどの隆起の形成のための元の残基は、小さい側鎖体積を有する。
「空洞」は、第2のポリペプチドの界面から凹んでおり、したがって、隣接する第1のポリペプチドの界面上の対応する隆起を収容する少なくとも1つのアミノ酸側鎖を指す。空洞は、元の界面に存在し得るか、または合成的に(例えば、界面をコードする核酸を改変することによって)導入され得る。いくつかの実施形態において、第2のポリペプチドの界面をコードする核酸は、空洞をコードするように改変される。これを達成するために、第2のポリペプチドの界面の少なくとも1つの「元の」アミノ酸残基をコードする核酸が、元のアミノ酸残基よりも小さい側鎖体積を有する少なくとも1つの「移入」アミノ酸残基をコードするDNAで置き換えられる。2つ以上の元の残基及び対応する移入残基が存在し得ることが理解されるだろう。いくつかの実施形態において、空洞の形成のための移入残基は、アラニン(A)、セリン(S)、トレオニン(T)、及びバリン(V)から選択される天然に存在するアミノ酸残基である。いくつかの実施形態において、移入残基は、セリン、アラニン、またはトレオニンである。いくつかの実施形態において、チロシン、アルギニン、フェニルアラニン、またはトリプトファンなどの空洞の形成のための元の残基は、大きい側鎖体積を有する。「空洞」を導入する変異は、「ホール変異」と称され得る。
隆起は、空洞内で「位置付け可能」であり、これは、それぞれ、第1のポリペプチド及び第2のポリペプチドの界面の隆起及び空洞の空間的位置、ならびに隆起及び空洞の大きさが、界面での第1のポリペプチドと第2のポリペプチドとの正常な会合を著しく乱すことなく隆起が空洞内に位置し得るようなものであることを意味する。Tyr、Phe、及びTrpなどの隆起は典型的には、界面の軸から垂直には延びず、好ましい立体構造を有さず、隆起と対応する空洞との整列は、場合によっては、X線結晶学または核磁気共鳴(NMR)によって得られるものなどの三次元構造に基づいて隆起/空洞の対をモデル化することに依存し得る。これは、当該技術分野で広く受け入れられている技術を使用して達成され得る。
いくつかの実施形態において、IgG1定常領域内のノブ変異は、T366Wである。いくつかの実施形態において、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態において、IgG1定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
いくつかの実施形態において、IgG4定常領域内のノブ変異は、T366Wである。いくつかの実施形態において、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vから選択される1つ以上の変異を含む。いくつかの実施形態において、IgG4定常領域内のホール変異は、T366S、L368A、及びY407Vを含む。
多重特異性抗体はまた、静電ステアリング効果を操作して抗体Fc-ヘテロ二量体分子を作製すること(WO2009/089004A1)、2つ以上の抗体または断片を架橋すること(例えば、US4676980及びBrennan et al.,Science,229:81(1985)を参照されたい)、ロイシンジッパーを使用して二重特異性抗体を産生すること(例えば、Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)を参照されたい)、「ダイアボディ」技術を使用して二重特異性抗体断片を作製すること(Hollinger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993))、ならびに一本鎖Fv(sFv)二量体を使用すること(Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994))、ならびに例えば、Tutt et al.J.Immunol.147:60(1991)に記載されている三重特異性抗体を調製することによって作製してもよい。
「オクトパス抗体」または「二重可変ドメイン免疫グロブリン」(DVD)を含む3つ以上の機能的抗原結合部位を有する操作された抗体もまた、本明細書に含まれる(US2006/0025576A1、及びWu et al.(2007)Nature Biotechnology)。
ある特定の実施形態において、1つ以上のアミノ酸修飾が、本明細書に提供される抗体のFc領域に導入され、それによりFc領域バリアントが生成され得る。Fc領域バリアントは、1つ以上のアミノ酸位置にアミノ酸修飾(例えば、置換)を含むヒトFc領域配列(例えば、ヒトIgG1、IgG2、IgG3、またはIgG4Fc領域)を含み得る。
特定の実施形態において、本開示は、全てではないが一部のエフェクター機能を有し、それによりインビボでの抗体の半減期が重要であるが、特定のエフェクター機能(例えば補体及びADCCなど)が不要または有害である用途にとって望ましい候補となる、抗体バリアントを企図する。インビトロ及び/またはインビボ細胞傷害性アッセイを行って、CDC及び/またはADCC活性の低減/欠乏を確認することができる。例えば、Fc受容体(FcR)結合アッセイを実行して、抗体がFcγR結合を欠く(故にADCC活性を欠く可能性が高い)が、FcRn結合能力を保持していることを確実にすることができる。ADCCを媒介するための初代細胞であるNK細胞がFc(RIIIのみを発現する一方で、単球は、Fc(RI、Fc(RII、及びFc(RIIIを発現する。造血細胞でのFcR発現は、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-492(1991)の464頁の表3に要約されている。対象となる分子のADCC活性を評定するためのインビトロアッセイの非限定的な例は、US5500362(例えば、Hellstrom,I.et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA83:7059-7063(1986)を参照されたい)及びHellstrom,I et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA82:1499-1502(1985)、5,821,337(Bruggemann,M.et al.,J.Exp.Med.166:1351-1361(1987)を参照されたい)に記載されている。あるいは、非放射性アッセイ法を用いてもよい(例えば、フローサイトメトリーのためのACTI(商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(CellTechnology,Inc.Mountain View,CA、及びCytoTox96(登録商標)非放射性細胞傷害性アッセイ(Promega,Madison,WI)を参照のこと)。かかるアッセイに有用なエフェクター細胞には、末梢血単核細胞(PBMC)及びナチュラルキラー(NK)細胞が含まれる。あるいは、または加えて、目的とする分子のADCC活性は、インビボで、例えば、Clynes et al.Proc.Nat’l Acad.Sci.USA95:652-656(1998)に開示される動物モデルにおいて評価することができる。C1q結合アッセイを実行して、抗体がC1qに結合することができないためにCDC活性を欠くことを確認することもできる。例えば、WO2006/029879及びWO2005/100402におけるC1q及びC3c結合ELISAを参照されたい。補体活性化を評価するために、CDCアッセイが行われ得る(例えば、Gazzano-Santoro et al.,J.Immunol.Methods 202:163(1996)、Cragg,M.S.et al.,Blood101:1045-1052(2003)、及びCragg,M.S.and M.J.Glennie,Blood103:2738-2743(2004))。FcRn結合及びインビボクリアランス/半減期決定もまた、当該技術分野において既知である方法を使用して実行することができる(Petkova,S.B.et al.,Int’l.Immunol.18(12):1759-1769(2006))。
低減したエフェクター機能を有する抗体としては、Fc領域残基238、265、269、270、297、327、及び329のうちの1つ以上の置換を有する抗体が挙げられる(US6,737,056(参照によりその全体が組み込まれる))。そのようなFc変異体は、残基265及び297のアラニンへの置換を有するいわゆる「DANA」Fc変異体を含む、アミノ酸265位、269位、270位、297位、及び327位のうちの2つ以上に置換を有するFc変異体を含む(US7332581(参照によりその全体が組み込まれる))。
ある特定の実施形態において、野生型ヒトFc領域のPro329が、グリシンもしくはアルギニン、または、Fcのプロリン329とFcgRIIIのトリプトファン残基Trp87及びTrp110との間に形成される、Fc/Fcγ受容体界面内のプロリンサンドイッチを破壊するのに十分に大きなアミノ酸残基で置換される(Sondermann et al.:Nature406,267-273(2000年7月20日))。さらなる一実施形態において、Fcバリアント内の少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換は、S228P、E233P、L234A、L235A、L235E、N297A、N297D、またはP331Sであり、さらに別の実施形態において、該少なくとも1つのさらなるアミノ酸置換は、ヒトIgG1Fc領域のL234A及びL235A、またはヒトIgG4Fc領域のS228P及びL235Eである(US8969526(参照によりその全体が組み込まれる))。
ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、野生型ヒトIgG Fc領域のFc変異体を含み、このポリペプチドは、グリシンで置換されたヒトIgG Fc領域のPro329を有し、Fcバリアントは、ヒトIgG1Fc領域のL234A及びL235A、またはヒトIgG4Fc領域のS228P及びL235Eにおいて少なくとも2つのさらなるアミノ酸置換を含み、残基は、KabatのEUインデックスに従って付番される(米国特許第8,969,526号、これは参照によりその全体が組み込まれる)。ある特定の実施形態において、P329G、L234A、及びL235Aの置換を含むポリペプチドは、ヒトFcγRIIIA及びFcγRIIAに対する親和性の低減を示し、野生型ヒトIgG Fc領域を含むポリペプチドによって誘発されるADCCの少なくとも20%にADCCを下方調節し、かつ/またはADCPを下方調節する(米国特許第8,969,526号、これは参照によりその全体が組み込まれる)。
特定の一実施形態において、野生型ヒトFcポリペプチドのFcバリアントを含むポリペプチドは、三重変異、つまり、Pro329位におけるアミノ酸置換、L234A変異、及びL235A変異(P329/LALA)を含む(米国特許第8,969,526号、これは参照によりその全体が組み込まれる)。特定の実施形態において、ポリペプチドは、以下のアミノ酸置換、つまり、P329G、L234A、及びL235Aを含む。
FcRへの結合が改善または低減されたある特定の抗体バリアントが記載されている。(例えば、米国特許第6,737,056号、WO2004/056312、及びShields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)を参照されたい)。
ある特定の実施形態において、抗体バリアントは、ADCCを改善する1つ以上のアミノ酸置換、例えば、Fc領域の298、333、及び/または334位(残基のEU番号付け)での置換を有するFc領域を含む。
いくつかの実施形態において、例えば、米国特許第6,194,551号、WO99/51642、及びIdusogie et al.J.Immunol.164:4178-4184(2000)に記載されるように、改変(すなわち、改善または縮小のいずれか)したC1q結合及び/または補体依存性細胞毒性(CDC)をもたらす改変が、Fc領域内で行われる。
母体IgGの胎児への移入に関与する、増加した半減期及び新生児型Fc受容体(FcRn)への改善された結合を有する抗体(Guyer et al.,J.Immunol.117:587(1976)、及びKim et al.,J.Immunol.24:249(1994))については、US2005/0014934A1(Hintonら)に記載されている。それらの抗体は、FcRnへのFc領域の結合を改善する、1つ以上の置換を内部に有するFc領域を含む。かかるFcバリアントは、Fc領域残基:238、256、265、272、286、303、305、307、311、312、317、340、356、360、362、376、378、380、382、413、424、または434のうちの1つ以上での置換、例えば、Fc領域残基434の置換を有するものを含む(米国特許第7,371,826号)。
Fc領域バリアントの他の例に関して、Duncan&Winter,Nature 322:738-40(1988)、米国特許第5,648,260号、米国特許第5,624,821号、及びWO94/29351も参照されたい。
H.システイン操作された抗体バリアント
特定の実施形態において、抗体の1つ以上の残基がシステイン残基で置換されている、システイン操作された抗体、例えば、「THIOMAB(商標)抗体」を作製することが望ましい場合がある。特定の実施形態において、置換された残基は、抗体の利用しやすい部位で生じる。それらの残基をシステインで置換することによって、反応性チオール基がそれにより抗体の到達可能な部位に位置付けられ、本明細書にさらに記載されるように、それを使用して、抗体を薬物部分にコンジュゲートして、免疫コンジュゲートを作製することができる。ある特定の実施形態において、以下の残基、軽鎖のV205(Kabat番号付け)、軽鎖のK149(Kabat番号付け)、重鎖のA118(EU番号付け)、及び重鎖Fc領域のS400(EU番号付け)のいずれか1つ以上が、システインで置換され得る。システイン操作された抗体は、例えば、米国特許第7,521,541号で説明されているように生成し得る。
いくつかの実施形態において、THIOMAB(商標)抗体は、以下の表Aに列挙される重鎖及び軽鎖システイン置換のうちの1つを含む。
他の実施形態において、THIOMAB(商標)抗体は、表Bに列挙される重鎖システイン置換のうちの1つを含む。
いくつかの他の実施形態において、THIOMAB(商標)抗体は、表Cに列挙される軽鎖システイン置換のうちの1つを含む。
いくつかの他の実施形態において、THIOMAB(商標)抗体は、表Dに列挙される重鎖及び軽鎖システイン置換のうちの1つを含む。
がんの治療における本開示の抗体-薬物コンジュゲート(ADC)に有用であり得るシステイン操作された抗体としては、細胞表面受容体及び腫瘍関連抗原(TAA)に対する抗体が挙げられるが、これらに限定されない。腫瘍関連抗原は、当該技術分野において既知であり、当該技術分野において周知の方法及び情報を使用して抗体を生成する上で使用するために調製され得る。がんの診断及び療法のための有効な細胞標的を発見する試みとして、研究者らは、1つ以上の正常な非がん性細胞(複数可)と比較して、1つ以上の特定の種類(複数可)のがん細胞の表面上で特異的に発現される膜貫通ポリペプチドまたはさもなければ腫瘍関連ポリペプチドを特定しようとした。多くの場合、そのような腫瘍関連ポリペプチドは、非がん性細胞の表面上と比較して、がん細胞の表面上でより豊富に発現される。そのような腫瘍関連細胞表面の抗原ポリペプチドの特定により、抗体に基づく療法を介してがん細胞の破壊のために特異的に標的とする能力が生じた。
腫瘍関連抗原TAAの例としては、本明細書に列挙されるTAA(1)~(53)が挙げられるが、これらに限定されない。便宜上、これらの抗原(これら全てが当該技術分野において既知である)に関する情報を本明細書に列挙し、この情報は、名称、別称、Genbank受託番号及び主な参考文献(複数可)に続き、National Center for Biotechnology Information(NCBI)の核酸及びタンパク質配列を特定する慣例を含む。TAA(1)~(53)に対応する核酸及びタンパク質配列は、GenBankなどの公的データベースにおいて入手可能である。抗体によって標的とされる腫瘍関連抗原としては、引用される参考文献において特定されている配列と比較して、少なくとも約70%、80%、85%、90%、もしくは95%の配列同一性を保有する全てのアミノ酸配列バリアント及びアイソフォーム、または引用される参考文献中に見出される配列を有するTAAと実質的に同じ生物学的特性もしくは特徴を呈するものが挙げられる。例えば、バリアント配列を有するTAAは一般に、列挙されている対応する配列を有するTAAに特異的に結合する抗体に特異的に結合することができる。本明細書に具体的に引用される参考文献中の配列及び開示は、参照により明示的に組み込まれる。
VI.プロドラッグ調製
本開示の範囲内に、PBD単量体プロドラッグ及びPBD二量体プロドラッグの調製のための方法は、本明細書の別の箇所で記載されている。
VII.リンカー-薬物コンジュゲーション
リンカーのPBDアミンへのコンジュゲーションは、WO2013/055987、WO2015/023355、及びWO2015/095227(これらの各々は参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)の方法に従って好適に行うことができる。
いくつかのそのような実施形態において、本明細書の別の箇所で記載される活性化リンカーをPBD単量体または二量体の溶液と組み合わせて、リンカー-PBDコンジュゲートを形成する。一般に、1リットル当たり約0.05~約1モルのPBDを含む溶液を提供することができる任意の溶媒が好適である。いくつかの実施形態において、溶媒は、DCMである。いくつかの他のリンカー-PBDコンジュゲーションの実施形態において、PBDの溶液、化学量論過剰のトリホスゲン(またはジホスゲンもしくはホスゲン)、塩基(例えば、4-ジメチルアミノピリジン)は、溶媒(例えば、乾燥DCM)中で形成される。(本明細書の別の箇所で記載される)アルコール部分を有するリンカー中間体をPBD溶液と組み合わせて、反応混合物を形成し、これを反応が完了するまで撹拌して、リンカー-PBDコンジュゲートを含む生成混合物を形成する。反応混合物は、1リットルのPBD当たり約0.005モル~1リットル当たり約0.5モルであり、1当量のPBD当たり約2~約10当量のリンカー中間体、約0.02~約0.5当量の塩基を好適に含み得る。反応の完了後、リンカー-PBDコンジュゲートは、溶媒蒸発などによって単離され、抽出、逆相高圧液体クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、またはフラッシュクロマトグラフィーのうちの1つ以上などの当該技術分野において既知の方法によって精製され得る。
VIII.ジスルフィドコンジュゲート化合物の調製
いくつかの実施形態において、本開示の式のジスルフィドコンジュゲート化合物は、
(1)水を含む、溶媒系、(2)スルフヒドリル部分を有する少なくとも1つのシステインを含む、抗体源、及び(3)以下の式の、化学量論過剰のリンカー-PBDコンジュゲートの源を含む、反応混合物を形成することによって調製され得る。
抗体、X
L、R
1、R
2、Sp、n、及びDは、本明細書の別の箇所で記載されるとおりである。反応混合物を反応させて、式(II)(式中、pは、1、2、3、4、5、6、7、または8である)のジスルフィドコンジュゲート化合物を含む混合物を形成する。混合物中の個々のジスルフィドコンジュゲート化合物は、1~8のp値を有してもよく、そのような混合物中のいくつかの抗体分子は、コンジュゲートされていなくてもよいものの(p=0)、PBD当量対抗体当量の比として表される、生成混合物中の複数の形成されたジスルフィドコンジュゲート化合物のPBD対抗体比は、約1~約5、約1.5~約3、約1.5~約2.5、約1.7~約2.3、約1.8~約2.2、または約2である。
そのような実施形態の様々な実施形態のいずれにおいても、抗体源は、水性緩衝液中の溶液中に提供され得る。いくつかのそのような実施形態において、緩衝液は、好適に、N-(2-アセトアミド)-アミノエタンスルホン酸(「ACES」);酢酸塩;N-(2-アセトアミド)-イミノ二酢酸(「ADA」);2-アミノエタンスルホン酸、タウリン(「AES」);2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール(「AMP」);2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール、アメジオール(Ammediol)(「AMPD」);N-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-3-アミノ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(「AMPSO」);N,N-ビス-(2-ヒドロキシエチル)-2-アミノエタンスルホン酸(「BES」);N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-グリシン(「ビシン」);[ビス-(2-ヒドロキシエチル)-イミノ]-トリス-(ヒドロキシメチルメタン)(「ビス-トリス」);1,3-ビス[トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]プロパン(「ビス-トリス-プロパン」);ジメチルアルシン酸(「カコジル酸」);3-(シクロヘキシルアミノ)-2-ヒドロキシ-1-プロパンスルホン酸(「CAPSO」);シクロヘキシルアミノエタンスルホン酸(「CHES」);クエン酸塩;3-[N-ビス(ヒドロキシエチル)アミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(「DIPSO」);N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N’-エタンスルホン酸(「HEPES」);N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N’-3-プロパンスルホン酸(「HEPPS、EPPS」);N-(2-ヒドロキシエチル)-ピペラジン-N’-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(「HEPPSO」);2-(N-モルホリノ)-エタンスルホン酸(「MES」);3-(N-モルホリノ)-プロパンスルホン酸(「MOPS」);3-(N-モルホリノ)-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(「MOPSO」);ピペラジン-N,N’-ビス(2-エタンスルホン酸)(「PIPES」);ピペラジン-N,N’-ビス(2-ヒドロキシプロパンスルホン酸)(「POPSO」);コハク酸塩;3-{[トリス(ヒドロキシメチル)-メチル]-アミノ}-プロパンスルホン酸(「TAPS」);3-[N-トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸(「TAPSO」);2-アミノエタンスルホン酸、AES(「タウリン」);トリエタノールアミン(「TEA」);2-[トリス(ヒドロキシメチル)-メチルアミノ]-エタンスルホン酸(「TES」);N-[トリス(ヒドロキシメチル)-メチル]-グリシン(「トリシン」);トリス(ヒドロキシメチル)-アミノメタン(「トリス」)であり得る。いくつかのかかる実施形態において、緩衝液は、コハク酸またはトリスであり得る。緩衝液濃度は、好適に、約5mM、約10mM、約15mM、約20mM、約50mM、約100mM、または約150nM(約5mM~約150mM、約5mM~約30mM、約5mM~約20mM、約5mM~約10mM、または約50mM~約100nMなど)である。緩衝液中の抗体の濃度は、約1mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mLまたはそれ以上であり得る。抗体溶液のpHは、好適に、約4~約8、約4~約6、または約5である。
そのような実施形態の様々な実施形態のいずれにおいても、リンカー-PBDコンジュゲート化合物(「活性化リンカー-PBDコンジュゲート」)源は、一般に、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、プロピレングリコール、エチレングリコール、及びジクロロメタンから選択される少なくとも1つの極性非プロトン溶媒を含む溶媒中に、活性化束縛リンカー-PBDコンジュゲートを溶解することによって形成され得る。いくつかの実施形態において、溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド及び/またはジメチルアセトアミドを含むか、主にそれを含むか、またはそれから本質的になる。
抗体源及び活性化リンカー-PBDコンジュゲート源を好適に混合して、反応混合物を形成し得る。反応混合物中の抗体濃度は、好適に、約1mg/mL、約5mg/mL、約10mg/mL、約15mg/mL、約20mg/mL、または約25mg/mL、及びそれらの範囲(約1mg/mL~約25mg/mL、約1mg/mL~約20mg/mL、約1mg/mL~約15mg/mL、約1mg/mL~約10mg/mL、約5mg/mL~約25mg/mL、約5mg/mL~約20mg/mL、または約5mg/mL~約15mg/mLなど)である。活性化リンカー-PBDコンジュゲート対抗体の当量比は、好適に、約2:1、約3:1、約5:1、約10:1、約15:1、または約20:1、及びそれらの範囲(約2:1~約20:1、約3:1~約15:1、約3:1~約10:1、または約5:1~約10:1など)である。本開示のいくつかの実施形態において、反応混合物溶媒系は、主に水を含む。いくつかの他の実施形態において、反応混合物溶媒系は、一般に、少なくとも75体積%の本明細書の別の箇所で記載される緩衝液と、約5体積%、約10体積%、約15体積%、約20体積%、約25体積%、または約30体積%、及びそれらの範囲(約5体積%~約30体積%、約5体積%~約20体積%、約5体積%~約15体積%、または約10体積%など)の本明細書の別の箇所で記載される極性非プロトン溶媒と、を含み得る。いくつかの他の実施形態において、反応混合物溶媒系は、一般に、少なくとも50体積%の本明細書の別の箇所で記載される緩衝液と、約10体積%~約50体積%(約10体積%、約20体積%、約30体積%、約40体積%、または50体積%超など)のプロピレングリコールまたはエチレングリコールと、を含み得る。換言すると、反応混合物溶媒系は、約50体積%、約60体積%、約70体積%、75体積%、約80体積%、約85体積%、約90体積%、または約95体積%の水から、約95体積%及びその範囲の水(約50体積%~約95体積%の水、約75体積%~約95体積%の水、約80体積%~約95体積%の水、または約85体積%~約95体積%の水)を含み得る。反応混合物のpHは、好適に、約5.0、約5.5、約6.0、約6.5、約7.0、約7.5、約8.0、約8.5、または約9.0、及びその範囲(約5.0~約9.0、約5.0~約9.0、約6.0~約9.0、約6.5~約9.0、または約7.0~約9.0、または約7.5~約8.5など)である。
反応混合物を、約10℃、約15℃、約20℃、約25℃、約30℃、約35℃、約40℃、約45℃、または約50℃、及びその範囲(約10℃~約50℃、約15℃~約45℃、約15℃~約40℃、約20℃~約40℃、約20℃~約35℃、または約20℃~約30℃など)で、約0.5時間、約1時間、約4時間、約8時間、約12時間、約18時間、約24時間、約36時間、約48時間、及びその範囲(約0.5時間~約48時間、または約1時間~約24時間など)インキュベートして、式(II)のジスルフィドコンジュゲート化合物を含む生成混合物を形成する。
生成混合物は、MS/LCによって決定される、少なくとも60A%、少なくとも65面積%、少なくとも70面積%、少なくとも75面積%、少なくとも80面積%、少なくとも85面積%、または少なくとも90面積%の抗体-リンカー-PBDコンジュゲートを含み得る。生成混合物は、少なくとも1つの脱離基副生成物種をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、MS/LCによって測定される、形成されたジスルフィドコンジュゲート化合物の面積パーセンテージと比較して、全脱離基副生成物種の面積パーセンテージは、10面積%未満、5面積%未満、4面積%未満、3面積%未満、2面積%未満、1面積%未満、0.5面積%未満である。抗体の場合、現在までの実験的証拠に基づいて、脱離基副生成物種は、
と、を含み得、式中、X
Lは、本明細書の他の箇所で定義されるとおりであり、Qは、硫黄連結原子を有しないX
L部分を指す。例示的なX及び対応するQを、以下に例示する。
反応混合物は、(i)2つのシステインスルフヒドリル部分の反応によって形成される、少なくとも1つのジスルフィド結合を含む非コンジュゲート抗体単量体種と、(ii)2つのシステインスルフヒドリル部分の反応によって形成される、少なくとも1つのジスルフィド結合を含む非コンジュゲート抗体二量体種と、(iii)非コンジュゲート抗体単量体種と非コンジュゲート抗体二量体種との組み合わせと、を含む、非コンジュゲート抗体化合物をさらに含み得る。いくつかの実施形態において、MS/LCによって測定される、形成されたジスルフィドコンジュゲート化合物の面積パーセンテージと比較して、非コンジュゲート抗体化合物の合計濃度は、10面積%未満、5面積%未満、4面積%未満、3面積%未満、2面積%未満、1面積%未満、0.5面積%未満、0.3面積%未満、0.1面積%未満であるか、または検出不能である。
IX.PBDプロドラッグでの治療方法
本開示のPBDプロドラッグコンジュゲート化合物は、例えば、腫瘍抗原の過剰発現を特徴とする、様々な疾患または障害を治療するために使用され得ることが企図される。例示的な病態または過剰増殖性障害としては、良性または悪性の固形腫瘍、ならびに白血病及びリンパ系腫瘍などの血液疾患が挙げられる。他には、ニューロン性、膠細胞性、星状細胞性、視床下部性、腺性、マクロファージ性、上皮性、間質性、胞胚腔性、炎症性、血管新生性、及び免疫性(自己免疫性を含む)障害が挙げられる。
一実施形態において、本明細書に提供されるPBDプロドラッグコンジュゲート化合物は、がん細胞の増殖を阻害する方法において使用され、この方法は、抗体または抗体-プロドラッグコンジュゲートの、細胞表面上の腫瘍関連抗原への結合を許容する条件下で、細胞を抗体-プロドラッグコンジュゲートに曝露し、それにより細胞の増殖を阻害することを含む。特定の実施形態において、この方法は、インビトロ方法またはインビボ方法である。さらなる実施形態において、細胞は、リンパ球、リンパ芽球、単球、または骨髄単球細胞である。
インビトロでの細胞増殖の阻害は、Promega(Madison、WI)から市販されている、CellTiter-Glo(商標)Luminescent Cell Viabilityアッセイを使用してアッセイされてもよい。そのアッセイは、代謝的に活性な細胞を示す、存在するATPの定量に基づいて、培養物中の生存細胞の数を決定する。Crouch et al.(1993)J.Immunol.Meth.160:81-88、米国特許第6602677を参照されたい。アッセイは96ウェルまたは384ウェル形式で実行して、自動化高スループットスクリーニング(HTS)にとって扱いやすくしてもよい。Cree et al.(1995)AntiCancer Drugs6:398-404を参照されたい。アッセイ手順は、単一の試薬(CellTiter-Glo(登録商標)試薬)を培養細胞に直接添加することを伴う。これにより、細胞溶解及びルシフェラーゼ反応によって産生される発光シグナルの生成がもたらされる。発光シグナルは存在するATPの量に比例し、これは培養物中に存在する生細胞の数に直接比例する。データは、ルミノメーターまたはCCDカメラ画像化デバイスによって記録することができる。発光出力は、相対発光単位(RLU)として表される。
別の実施形態において、医薬品として使用するためのPBDプロドラッグコンジュゲート化合物が提供される。さらなる実施形態において、治療方法において使用するためのPBDプロドラッグコンジュゲート化合物が提供される。ある特定の実施形態において、がんの治療において使用するためのPBDプロドラッグコンジュゲート化合物が提供される。ある特定の実施形態において、本開示は、個体に有効量のPBDプロドラッグコンジュゲート化合物を投与することを含む、個体を治療する方法において使用するためのPBDプロドラッグコンジュゲート化合物を提供する。
本開示のPBDプロドラッグコンジュゲート化合物は、単独で、または治療における他の薬剤と組み合わせてのいずれかで使用することができる。例えば、本開示の抗体または免疫コンジュゲートは、少なくとも1つの追加の治療剤と同時投与されてもよい。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、アントラサイクリンである。いくつかの実施形態において、アントラサイクリンは、ダウノルビシンまたはイダルビシンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、シタラビンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、クラドリビンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、フルダラビンまたはトポテカンである。いくつかの実施形態において、追加の治療剤は、5-アザシチジンまたはデシタビンである。
本明細書に記述されるそのような併用治療法は、併用投与(2つ以上の治療薬が同一または別個の製剤に含まれる)及び個別投与を包含し、個別投与の場合、本開示の組成物の投与は、追加の治療剤及び/またはアジュバントの投与前、投与と同時、及び/または投与後に生じ得る。本開示の化合物はまた、放射線療法と組み合わせて使用することもできる。
本開示の化合物(及び任意の追加の治療剤)は、非経口、肺内、及び鼻腔内を含み、局所治療に所望される場合、病巣内投与を含む、任意の好適な手段によって投与され得る。非経口注入は、筋肉内、静脈内、動脈内、腹腔内、または皮下投与を含む。投薬は、部分的には、投与が短時間であるか、または慢性的であるかに応じて、例えば、任意の好適な経路によるもの、例えば、静脈内注射または皮下注射などの注射によるものであり得る。単回または様々な時点にわたる複数回投与、ボーラス投与、及びパルス注入を含むがこれらに限定されない、様々な投薬スケジュールが本明細書で企図される。
本開示の化合物は、良好な医療行為と一致する様式で、製剤化され、投薬され、投与されるだろう。この背景で検討する因子には、治療される特定の障害、治療される特定の哺乳動物、個々の患者の臨床状態、障害の原因、薬剤の送達部位、投与方法、投与スケジュール、及び医療従事者に既知である他の因子が含まれる。本開示の化合物、必ずしもそうである必要はないが、任意で、問題の障害を予防または治療するために現在使用されている1つ以上の薬剤とともに製剤化される。有効量のそのような他の薬剤は、製剤中に存在する本開示の化合物の量、障害または治療の種類、及び本明細書で考察される他の要素に依存する。これらは、一般に、本明細書に記載のものと同じ投薬量で、本明細書記載の投与経路によって、または本明細書に記載の投薬量の約1~99%、または適切であると経験的/臨床的に決定される任意の投薬量及び任意の経路で使用される。
疾患の予防または治療に関して、本開示の化合物の適切な投薬量は(単独で、または1つ以上の他の追加の治療剤と組み合わせて使用される場合)、治療される疾患の種類、化合物の種類、疾患の重症度及び経過、化合物が予防目的または治療目的で投与されるかどうか、以前の療法、患者の病歴、及び化合物への応答、ならびに主治医の裁量に左右される。化合物は、一度に、または一連の治療にわたって患者に好適に投与される。疾患の種類及び重症度によって、例えば、1回以上の別個の投与によるものであれ、連続注入によるものであれ、約1μg/kg~15mg/kg(例えば、0.1mg/kg~10mg/kg)の本開示の化合物が、患者への投与のための初回候補投薬量であり得る。1つの典型的な1日投薬量は、本明細書において言及される要因に応じて、約1μg/kg~100mg/kg以上の範囲であり得る。数日以上にわたって繰り返される投与に関して、状態に応じて、処置は、疾患の症状の所望される抑制が発生するまで、一般に持続される。化合物の1つの例示的な投与量は、約0.05mg/kg~約10mg/kgの範囲内である。したがって、約0.5mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、または10mg/kg(またはこれらの任意の組み合わせ)のうちの1つ以上の用量が、患者に投与され得る。そのような用量は、断続的に、例えば、毎週または3週間毎(例えば、患者が約2~約20回、または例えば、約6回の用量の抗体を受けるように)投与されてもよい。最初のより高い負荷用量が投与され得て、1つ以上のより低い用量が続く。しかしながら、他の投与量レジメンは有用であり得る。この療法の進行は、従来の技術及び解析によって容易に監視される。
標的細胞中のPBDプロドラッグコンジュゲート化合物から薬物の細胞内放出は、リンカー犠牲と、(i)ジスルフィドトリガーのGSH活性化、(ii)キノントリガーのDTD活性化、または(iii)アリールボロン酸もしくはアリールボロン酸エステルトリガーのROS活性化との組み合わせから生じると考えられている。
ジスルフィド部分を含むリンカーに関連して、GSH媒介放出は、酸不安定性ヒドラジンリンカーなどの先行技術において既知のある特定のリンカーと比較して、利点を提供する。より具体的には、GSHの血液濃度は、非常に低い(マイクロモル範囲内など)ことが知られている一方で、細胞内GSH濃度は典型的には、最大3桁より大きい(ミリモル範囲内など)。がん細胞内のGSH濃度は、還元酵素の活性の増加のために、さらにより大きいとさらに考えられる。硫黄原子を有するリンカー炭素原子の立体束縛は、改善された血流安定性及び改善された細胞内放出を提供すると依然さらに考えられる。したがって、本開示のジスルフィドコンジュゲート化合物は、血流中での改善された安定性及び改善された細胞内放出速度を提供すると考えられる。
PBDプロドラッグに関連して、PBD N10保護基のGSH-、DTD-、またはROS-活性化は、血流及び血漿中の毒性を覆い、保護するプロドラッグ部分を含まないPBD薬物と比較して、選択的毒性利点を提供する。より具体的には、GSH、DTD、及びROSの血液濃度は、がん細胞と比較して低いことが知られている。したがって、本開示のPBDプロドラッグコンジュゲート化合物は、血流中での毒性の減少及びPBDへの標的された細胞内活性化を提供すると考えられる。
X.製造品
本開示の別の態様では、本明細書に記載される障害の治療、予防、及び/または診断に有用な材料を含有する製造品が提供される。製造品は、容器と、容器上のもしくは容器に関連するラベルまたは添付文書とを含む。好適な容器としては、例えば、ボトル、バイアル、シリンジ、静脈注射用溶液バッグなどが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチック等の様々な材料から形成され得る。容器は、それ自体で、または別の組成物との組み合わせで、障害の治療、予防、及び/または診断に有効である組成物を保持し、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、静脈注射用溶液バッグまたは皮下注射針によって穿孔可能な栓を有するバイアルであり得る)。組成物中の少なくとも1つの活性薬剤は、本開示のPBDプロドラッグコンジュゲート化合物である。ラベルまたは添付文書は、組成物が、選択される病態を治療するために使用されることを示す。さらに、製造品は、(a)本開示のPBDプロドラッグコンジュゲート化合物を含む組成物をその中に収容した第1の容器と、(b)さらなる細胞傷害性剤、またはさもなければ治療剤を含む組成物をその中に収容した第2の容器と、を含み得る。本発明のこの実施形態における製造品は、組成物が特定の病態を治療するために使用され得ることを示す添付文書をさらに含み得る。あるいは、または加えて、製造品は、注入用静菌水(BWFI)、リン酸緩衝生理食塩水、リンガー溶液、またはデキストロース溶液などの薬学的に許容される緩衝液を含む第2の(または第3の)容器をさらに含んでもよい。製品は、他の緩衝剤、希釈剤、フィルター、針、及びシリンジを含む、商業的観点及びユーザの観点から望ましい他の材料をさらに含み得る。
以下は、本開示の方法及び化合物の実施例である。本明細書に提供される概要を考慮して、様々な他の実施形態が実施され得ることが理解される。
本実施例に開示されるPBD単量体及び二量体化合物の構造は、対応する参照タグとともに以下に示され、アスタリスクは、ラセミまたは未定義立体化学のキラル中心を指す。
実施例1:ADC調製のための一般方法
システイン操作された抗体(表A~Dに列挙されるものなど)を、DTT(クリーランド試薬、ジチオスレイトール)またはTCEP(トリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン塩酸塩などの還元剤で処理することによって、本開示のいくつかの態様においてリンカー-薬物中間体とのコンジュゲーションのために反応性にし(Getz et al(1999)Anal.Biochem.Vol273:73-80(参照により本明細書に組み込まれる)、Soltec Ventures,Beverly,MA)を参照されたい)、その後、デヒドロアスコルビン酸などの穏やかな酸化体で鎖間ジスルフィド結合を再形成(再酸化)した。CHO細胞中で発現された完全長のシステイン操作されたモノクローナル抗体(THIOMAB(商標))(Gomez et al.(2010)Biotechnology and Bioeng.105(4):748-760(参照により本明細書に組み込まれる)、及びGomez et al(2010)Biotechnol.Prog.26:1438-1445(参照により本明細書に組み込まれる)を参照されたい)を、例えば、2mMのEDTAを有する50mMのトリス(pH8.0)中、約50倍過剰のDTTで、室温で一晩還元し、これにより、システイン及びGSH付加物を除去し、抗体内の鎖間ジスルフィド結合を低減した。付加物の除去を、PLRP-Sカラムを使用する逆相液体クロマトグラフィー/質量分析(「LC/MS」)によって監視した。還元されたTHIOMAB(商標)を希釈し、少なくとも4体積の10mMのコハク酸ナトリウム(pH5)緩衝液に添加することによって酸性にした。あるいは、抗体を希釈し、少なくとも4体積の10mMのコハク酸(pH5)に添加し、pHが約5になるまで10%の酢酸によって滴定することによって酸性にした。pHを下げ、希釈したTHIOMAB(商標)を、その後、HiTrap Sカチオン交換カラムに負荷し、数カラム体積の10mMの酢酸ナトリウム(pH5)で洗浄し、50mMのトリス(pH8.0)、150mMの塩化ナトリウムで溶出した。
再酸化を実行することによって、親Mab内に存在するシステイン残基間のジスルフィド結合を再度確立した。溶出され、還元された上述のTHIOMAB(商標)を、15×デヒドロアスコルビン酸(DHAA)で約3時間、またはあるいは、200nM~2mMの硫酸銅水溶液(CuSO4)で、室温で一晩処理した。当該技術分野において既知である他の酸化体(すなわち、酸化剤)及び酸化条件が使用され得る。周囲空気酸化もまた、効果的であり得る。この穏やかな部分的再酸化ステップにより、高い忠実度で鎖内ジスルフィドが効率的に形成された。再酸化は、PLRP-Sカラムを使用する逆相LC/MSによって監視した。再酸化したTHIOMAB(商標)を上述のコハク酸緩衝液で希釈して、約pH5に到達させ、10mMのコハク酸(pH5)、10mMのコハク酸(pH5)(緩衝液A)中300mMの塩化ナトリウム(緩衝液B)の勾配で溶出を実行したことを除いて、上述のようにSカラムで精製を実行した。2mMの最終濃度になるまで、溶出したTHIOMAB(商標)にEDTAを添加し、必要に応じて5mg/mL超の最終濃度に到達するまで濃縮した。
コンジュゲーションに好適な、結果として得られたTHIOMAB(商標)を、アリコートで、-20℃で保管した。6200シリーズTOFまたはQTOF Agilent LC/MSにおいてLC/MS分析を実行した。80℃まで加熱したPRLP-S(登録商標)1000A、ミクロボアカラム(50mm×2.1mm、Polymer Laboratories,Shropshire,UK)で試料のクロマトグラフィーを行った。30~40%のBという線形勾配(溶媒A、水中の0.05%TFA、溶媒B、アセトニトリル中0.04%TFA)を使用し、溶離液を、エレクトロスプレー源を用いて直接イオン化させた。データを回収し、MassHunterソフトウェアによってデコンボリューションした。LC/MS分析前、抗体または薬物コンジュゲート(50マイクログラム)を、ペプチドN-グルコシダーゼF(「PNGase F」)(2単位/ml、PROzyme,San Leandro,CA)で、37℃で2時間処理して、N連結炭水化物を除去した。あるいは、抗体または薬物コンジュゲートをLysC(50ugの抗体またはコンジュゲート当たり0.25ug)で、37Cで15分間部分的に消化させて、LC/MSによって分析するためのFab及びFc断片をもたらした。デコンボリューションしたLC/MSスペクトルのピークを割り当て、定量化した。観察された全てのピークと比較して、薬物-コンジュゲートされた抗体に対応するピーク(複数可)の強度の比率を計算することによって、薬物対抗体比(DAR)を計算した。
10mMのコハク酸(pH5)、150mMのNaCl、2mMのEDTA中、コンジュゲーションのためのTHIOMAB(商標)を、1MのトリスでpH7.5~8.5に調整した。約3~20モル当量の過剰の、チオール-反応性ピリジルジスルフィド基を有する本開示のリンカー-薬物中間体を、DMFまたはDMA中に溶解し、還元、再酸化、及びpH調整した抗体に添加した。反応を室温または37℃でインキュベートし、反応混合物のLC/MS分析によって決定される完了まで(1~約24時間)監視した。反応の完了時、いくつかの方法のうちの1つまたは任意の組み合わせによってコンジュゲートを精製して、残りの未反応リンカー-薬物中間体及び凝集タンパク質(有意なレベルで存在する場合)を除去し得る。例えば、コンジュゲートを、最終pHが約5.5になるまで10mMのヒスチジン-酢酸(pH5.5)で希釈し、Akta精製システムに接続されたHiTrap Sカラム(GE Healthcare)またはSマキシスピンカラム(Pierce)のいずれかを使用するSカチオン交換カラムクロマトグラフィーによって精製し得る。あるいは、コンジュゲートを、Akta精製システムに接続されたS200カラムまたはZebaスピンカラムを使用するゲル濾過クロマトグラフィーによって精製し得る。あるいは、透析を使用してもよい。ゲル濾過または透析のいずれかを使用して、THIOMAB(商標)薬物コンジュゲートを、240mMのスクロースを有する20mMのHis/酢酸(pH5)中に製剤化した。精製されたコンジュゲートを、遠心分離限外濾過によって濃縮し、無菌条件下で0.2μmのフィルターを通して濾過し、保管のために凍結する。抗体-薬物コンジュゲートをBCAアッセイによって特性評価して、タンパク質濃度を決定し、凝集分析のために分析的SEC(サイズ排除クロマトグラフィー)を行い、リジンCエンドペプチダーゼ(LysC)での処理後にLC/MSを行って、DARを計算した。
0.75ml/分の流量で、0.25mMの塩化カリウム及び15%のIPAを有する0.2Mのリン酸カリウム(pH6.2)中、Shodex KW802.5カラムを使用して、コンジュゲートに対してサイズ排除クロマトグラフィーを実行した。コンジュゲートの凝集状態を、280nmでの溶出ピーク面積吸光度の積分によって決定した。
Agilent QTOF6520ESI機器を使用して、コンジュゲートに対してLC/MS分析を実行し得る。一例として、抗体-薬物コンジュゲートを、トリス(pH7.5)中、1:500w/wエンドプロテイナーゼLys C(Promega)で37℃で30分間処理した。結果として得られた切断断片を、80℃に加熱した1000Å(Angstrom)、8μm(ミクロン)PLRP-S(高度架橋ポリスチレン)カラムに負荷し、30%のB~40%のBまでの勾配で5分間溶出した。移動相Aは、0.05%のTFAを有するH2Oであり、移動相Bは、0.04%のTFAを有するアセトニトリルであった。流量は、0.5ml/分であった。タンパク質溶出を、280nmでのUV吸光度検出によって、エレクトロスプレーイオン化及びMS分析の前に監視した。非コンジュゲートFc断片、残渣非コンジュゲートFab、及び薬物化Fabのクロマトグラフィー分解が、通常達成された。得られたm/zスペクトルを、Mass Hunter(商標)ソフトウェア(Agilent Technologies)を使用してデコンボリューションして、抗体断片の質量を計算した。
実施例2:ハーセプチンA118C抗体-プローブコンジュゲート
リンカー及びチオール脱離基を含む様々なプローブ化合物を、ハーセプチンA118Cとコンジュゲートした。各コンジュゲーションにおいて、溶媒系中5mg/mLの抗体をプローブ-リンカー-脱離基化合物と10:1のプローブ化合物対抗体の当量比で接触させた(プローブ-リンカーは、ジスルフィド結合を介して抗体にコンジュゲートされる)。溶媒系は、75mMのトリス(pH8.5)及び10体積%のDMFを含んだ。コンジュゲーション反応を、室温で24時間実行した。反応生成混合物をLC/MSによって分析して、薬物対抗体比(DAR)、抗体-プローブコンジュゲートとの比較での脱離基副生成物の面積パーセント、抗体-プローブコンジュゲートとの比較での非コンジュゲート二量体の面積パーセント、及び抗体-プローブコンジュゲートとの比較での非コンジュゲート単量体の面積パーセントを決定した。
プローブは、以下の式のものであった(式中、波線はリンカーへの結合点を示す)。
評価したプローブ-リンカー-脱離基化合物としては、
が含まれる。
結果を以下の表1に報告し、「DAR」は薬物-抗体比を指し、「LG(%)」は、脱離基副産物の割合を指し、「非コンジュゲート二量体(%)」は、非コンジュゲート抗体二量体の割合を指し、「非コンジュゲート単量体(%)は、非コンジュゲート抗体二量体の割合を指す。
実施例3:ハーセプチンK149C抗体-プローブコンジュゲート
実施例2の反応条件下、ジスルフィド結合を介したハーセプチンK149Cへのコンジュゲーションについて、実施例2のプローブ化合物を評価した。反応生成混合物をLC/MSによって分析して、薬物対抗体比(DAR)、及び抗体-プローブコンジュゲートとの比較での脱離基副生成物の面積パーセントを決定した。結果を以下の表2に報告する。
実施例4:ハーセプチンA118C ADC
リンカー及び5-ニトロPDSチオール脱離基を含む様々な薬物化合物を、ジスルフィド結合を介してハーセプチン2 4D5HC A118C抗体とコンジュゲートした。各コンジュゲーションにおいて、溶媒系中5mg/mLの抗体を薬物-リンカー-脱離基化合物と3:1の薬物-リンカー-脱離基化合物対抗体の当量比で接触させた。溶媒系は、75mMのトリス(pH8.5)を含んだ。コンジュゲーション反応を、室温で3時間実行した。反応生成混合物をLC/MSによって分析して、薬物対抗体比(DAR)、及び抗体-プローブコンジュゲートとの比較での脱離基副生成物の面積パーセントを決定した。
薬物は、以下の式のものであった(式中、波線はリンカーへの結合点を示す)。
評価した薬物-リンカー-脱離基化合物が、含まれ、式中、「D」は、薬物を示す。
実施例5:xCD22K149C ADC
第1の評価において、メチルスルホン酸脱離基(MTS)(リンカー1)を含むリンカー-薬物化合物を、ジスルフィド結合を介してxCD22K149C抗体とコンジュゲートした。第2の評価において、第2の評価において、MTS脱離基(リンカー2)を含むリンカー-薬物化合物を抗体とコンジュゲートした。各コンジュゲーションにおいて、溶媒系中5mg/mLの抗体を薬物-リンカー-脱離基化合物と3:1のプローブ化合物対抗体の当量比で接触させた。溶媒系は、75mMのトリス(pH8.5)を含んだ。コンジュゲーション反応を、室温で3時間実行した。リンカー1及び2を、以下に例示する。
反応生成混合物をLC/MSによって分析して、薬物対抗体比(DAR)、及び抗体-プローブコンジュゲートとの比較での脱離基副生成物の面積パーセントを決定した。リンカー1については、薬物対抗体比は、2.0であり、抗体-薬物コンジュゲートの面積パーセントは、約91%であり、非コンジュゲートの面積パーセントは、0.1%未満であり、MTS副生成物の面積パーセントは、約0.5%であった。リンカー2については、薬物対抗体比は、1.5であり、抗体-薬物コンジュゲートの面積パーセントは、約91%であり、非コンジュゲートの面積パーセントは、0.1%未満であり、MTS副生成物の面積パーセントは、約0.5%であった。
実施例6:KPL-4及びWSU-DLCL2細胞株に対するPBD単量体ジスルフィドプロドラッグの毒性
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ及びジアフォラーゼプロドラッグの毒性を、KPL-4、WSU-DLCL2、HCT-116、HCC1395、及びJurkat細胞培養に対して評価した。KPL-4(乳癌細胞株)は、Her2を発現し、約12~約24mMの高いGSHレベルを示す。KPL-4細胞は、およそ約839nRPKMのDTDの高い発現をさらに有する(nRPKMは、マッピングされた100万読み取り当たりの転写長のKb当たりの読み取りを指す)。WSU-DLCL2(非ホジキンリンパ腫細胞株)は、約1.4mMの低いGSHレベル及び約1.4nRPKMの低いDTD発現を示す。
ジスルフィド及びDT-ジアフォラーゼプロドラッグの効力を、以下のプロトコルを用いる細胞増殖アッセイによって測定した(CELLTITER GLO(商標)Luminescent Cell Viability Assay,Promega Corp.)。第1に、WSU-DLCL2細胞の約8000個の細胞(低いNQO1遺伝子及びGSHレベル)、RPMI-1640培養培地(10%ウシ胎仔血清、2mMのグルタミン、50uMのシスチン、及び0.015g/LのL-メチオニンを補充した)中のKPL-4(高いNQO1遺伝子及びGSHレベル)、HCT-116細胞、HCC1395細胞、またはJurkat細胞の4000個の細胞を含有する、40ulの細胞培養のアリコートを、384ウェルの平坦な透明な底部白色ポリスチレン組織培養処理済みのマイクロプレート(Corning,NY)の各ウェルに堆積させた。第2に、細胞を有する、及び有しない、培地を含有する、対照ウェルを調製した。第3に、ジスルフィドまたはDT-ジアフォラーゼプロドラッグ(n=3)を有する、及び有しない、化合物を、ECHO音響液体処理技術(Labcyte Inc,Sunnyvale,CA)を使用する実験ウェルに添加して、1:3×連続希釈で三重に10点用量応答曲線を作製した。第4に、細胞を、37℃に設定された加湿インキュベータ中に培養し、5%CO2の雰囲気を維持した。第5に、プレートを、約30分間室温で平衡化した。第6に、各ウェル内に存在する細胞培養培地の体積と等しい体積のCELLTITER GLO(商標)試薬を添加した。第7に、暗室中の軌道振盪機で内容物を10分間混合して、細胞溶解を誘導した。第8に、プレートを室温で30分間インキュベートして、発光シグナルを安定化した。第9に、発光を記録し、活性%としてグラフで報告し、RLU(相対発光単位)は対照に対して正規化した(化合物なし対照マイナス細胞なし対照)。第10に、データは、例えば、各繰り返しセットの発光の平均として、標準偏差誤差範囲を伴って、各抗体について各反復(n=3)における個々の点としてプロットした。
IC
50の効力の結果を、以下の表4にnMで示し、括弧内のデータは、反復評価におけるIC
50の結果を表す。
KPL-4に対する、PBD単量体対照1及びPBD単量体ジスルフィドプロドラッグ1~4の結果を、図1に示し、WSU-DLCL2に対する、PBD単量体対照1及びPBD単量体ジスルフィドプロドラッグ1~4の結果を、図2に示し、各図は、活性[%]対プロドラッグ濃度の対数(モル/リットル)のプロットである。活性[%]は、細胞生存率の低下を指す負の値について報告される。例えば、-50の活性[%]は、細胞生存率の50%の低下を指す。プロドラッグ4を除いて、KPL-4、プロドラッグ1~3については、最大のIC50を有するプロドラッグ(プロドラッグ2)に対する親化合物の比は、約1.5であった。プロドラッグ4を除いて、WSU-DLDL2、プロドラッグ1~3については、最大のIC50を有するプロドラッグ(プロドラッグ2)に対する親化合物の比は、約9.6であった。分化のジスルフィドプロドラッグ活性化は、高いGSH細胞株(KPL-4)及び低いGSH細胞株(WSU-DLCL2)の両方で観察された。WSU-DLCL2細胞株と比較して、分化は、KPL-4細胞株に対してあまり観察されなかった。
効力評価に加えて、PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1の放出を評価した。この放出は、以下の方法に従って90分間のインキュベーション後に、12%であると測定された。第1に、0.5uMのPBDプロドラッグ、50uMのPBD、200mMのNADPHを含有する、主な混合反応を、調製し、反応停止処理し、96ウェルポリプロピレンプレート中で40uLの0.1%ギ酸で希釈した。第2に、反応混合物を、室温で、5、30、90分間インキュベートした。第3に、DMSO中の標準物質を、ECHO音響液体処理技術(Labcyte Inc,Sunnyvale,CA)を使用して、0.1%ギ酸中で調製して、96ウェルポリプロピレンプレート中で1:2.5×連続希釈で三重に10点用量応答曲線を作製した。第4に、10uLの試料及び標準物質を、液体クロマトグラフィーに結合されたAB SCIEX QTRAP(登録商標)6500質量分光計に注入した。使用したLC勾配は、Phenomenex Kinetex C18、1.7μm、100Å、100×2.1mmのカラムであり、移動相A(水中の0.1%のギ酸)及びB(アセトニトリル中0.1%のギ酸)が、0~0.5分の5%のB、1~1.10分の70~95%のB、2.49~2.5分の95%のB、2.5~3.0分の95~5%のB、0.8mL/分の流量(30℃のカラム温度)を有した。保持時間は、1.06分であった。MSの多重反応監視(MRM)移行は、(585/257.0)及び(585/504.2)であった。MRM(585/257.0)における化合物依存性のMSパラメータは、CE、CXP、DP、及びEPについては、それぞれ、51、20、206、及び10であり、MRM(585/504.2)では、CE、CXP、DP、及びEPについては、それぞれ、27、12、206、及び10であった。最終的に、データは、MultiQuant分析ソフトウェアを用いて分析し、標準は、GraphPad Prism6直線回帰適合を使用して計算した。
実施例7:SK-BR-3細胞株に対するPBD単量体ジスルフィドプロドラッグの毒性
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ1~4、PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1及び4、PBD単量体対照1及びPBD二量体対照1の毒性を、SK-BR-3細胞培養に対して評価した。SK-BR-3細胞株は、HER2を過剰発現し、約3~約10mMのGSHレベルを示す、乳腺腺癌である。HER2陽性乳癌細胞株であるSK-BR-3を、配列分析によって検証された後に、Genentechで内部に得た。細胞を、このアッセイ期間にわたって、2mMのL-グルタミンを補充したDMEM+10%FBS中で、37℃で成長させた。「-1日目」と示された実験の第1日目に、SK-BR-3細胞を、組織培養フラスコから採取し、計数し、次いで、1ウェル当たり7,500個の細胞の濃度で96ウェルプレートに播種した。「0日目」と示された、翌日、細胞培養培地を、細胞から除去し、以下の表5中の連続希釈(1:3)の化合物を含有する100uLの新鮮な培地と置き換えた。次いで、プレートを37℃のインキュベータに戻し、3日間インキュベートした。アッセイの「3日目」に、プレートを、インキュベータから取り出し、室温で100uLのCellTiter-Glo試薬(Promega)を添加する前に、室温まで平衡化した。次いで、プレートを、300rpmで10分間振とうした。この反応から生じた発光シグナルを、Envisionプレートリーダー(Perkin-Elmer)上に記録した。データをExcel(Microsoft)で配置し、Kaleidagraph(Synergy Software)でグラフ化した。
SK-BR-3の結果を、図3及び10に示し、図は、細胞生存率(対照(%))対nM基準のPBD化合物濃度のプロットを示す。結果に基づいて、よりかさ高いジスルフィドプロドラッグ部分が効力を低減していると考えられる。さらに、これまでの実験結果に基づいて、効力がジスルフィド安定性と相関すると考えられる。
実施例8:PBD単量体及び二量体プロドラッグの全血安定性
本発明の様々なPBD単量体及びPBD二量体プロドラッグの全血安定性を評価した。
全血安定性試料を、以下のとおりに調製した。マウス(CB17SCID)、ラット(Sprague-Dawley)、カニクイザル、及びヒト全血血漿ならびに緩衝液中の安定性試料を生成した(0時間及び24時間)。血液はBioreclamationにより採取し、次いで一晩冷却輸送され、全血の到着後即座に試料を作成した。安定性試料を作製するために、全ての分子が1mg/mLの濃度となるように、原料物質の緩衝液(1倍PBS、0.5%BSA、15PPM Proclin)中への初回希釈物を作製した。次いで、1:10倍希釈(36uLの1mg/mL初回希釈物+324uLの血液もしくは緩衝液)を行って、100ug/mLの最終濃度で安定性試料を生成した。混合した後、150μLの全血/緩衝液の安定性試料を、2つの異なる時点で2つの別個のチューブセットにアリコートした。次いで、0時間の時点で、-80℃のフリーザーに入れ、24時間の時点で、37℃のインキュベータの振盪機上に置いた。所与の時点に達したときに、24時間の試料も-80℃のフリーザーに入れた。
全血安定性試料を、親和性捕捉LC-MSアッセイによって評価した。第1に、ストレプトアビジンでコーティングした磁気ビーズ(Life Technologies Corporation,Grand Island,NY)を、HBS-EP緩衝液(GE Healthcare,Sunnyvale,CA)で2回洗浄し、次いで、KingFisher Flex(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA)を用いてビオチニル化したCD22の抗イディオタイプ抗体と混合し、穏やかに撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。2時間後に、SAビーズ/ビオチンxId Ab複合体を、HBS-EP緩衝液で2回洗浄し、希釈した全血安定性試料と混合し、次いで、穏やかに撹拌しながら室温で2時間インキュベートした。2時間後に、SAビーズ/ビオチンxId Ab/試料複合体を、HBS-EP緩衝液で2回洗浄し、脱グリコシル化酵素PNGase F(New England BioLabs,Ipswich,MA)と混合し、次いで、穏やかに撹拌しながら37℃で一晩インキュベートした。一晩インキュベーションした後に、脱グリコシル化SAビーズ/Biotin-xId Ab/試料の複合体を、HBS-EP緩衝液で2回洗浄し、続いて、水(Optima H2O,Fisher Scientific,Pittsburgh,PA)で2回洗浄し、最終的に、10%アセトニトリルで1回洗浄した。次いで、溶出のためにビーズを30%アセトニトリル/0.1%ギ酸に入れ、穏やかに撹拌しながら室温で30分間インキュベートした後、ビーズを回収した。溶出した試料を注入し、65℃で維持した、Thermo Scientific PepSwift RPモノリシックカラム(500μm×5cm)に充填した。試料を、20μL/分の流量で、勾配:0~2分で20%のB(95%アセトニトリル+0.1%ギ酸)、2.5分で35%のB、5分で65%のB、5.5分で95%のB、6分で5%のBを伴って、Waters Acquity UPLCシステムを用いてカラム上で分離した。カラムを、500~5000Th(m/z)の獲得質量範囲で正のESIで操作されたWaters Synapt G2-SQ-ToF質量分析計を用いてオンライン検出のために直接結合した。
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ2~6、8、10、及び13、ならびにPBD単量体対照1のインビトロ全血安定性は、ヒト及びラットにおいて、4及び24時間間隔で評価した。これらの結果は、時間ゼロと比較して残りの親化合物のパーセントとして図4に提示される。
PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1、PBD二量体ADCジアフォラーゼプロドラッグ1B、ならびにPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1、2A、2B、及び3~5のインビトロ全血安定性は、マウス、ラット、カニクイザル、及びヒトにおいて評価し、これらの結果を、以下の表6に提示し、「DAR」は、薬物対抗体比を指し、「デルタ%DAR2」は、0時間で緩衝液と比較して24時間でデルタDAR2を指し、「プロドラッグ損失」は、0時間で緩衝液と比較して24時間でプロドラッグ損失を指す。
実施例9:様々な細胞株に対してPBD単量体ジスルフィドプロドラッグ及びPBD二量体ジスルフィドプロドラッグの毒性
様々なPBD単量体ジスルフィドプロドラッグ及びPBD二量体ジスルフィドプロドラッグの毒性を、UACC-257、Igrov-1、及びA2058細胞株で評価した。細胞を、384ウェルプレートで播種し、薬物で24時間後に処理した。4日間の薬物インキュベーション後、ATPレベルを測定する(細胞数の間接的測定)Promega CellTiter-Glo発光試薬を使用して細胞生存率を決定した。PerkinElmer Envisionリーダーで発光強度を測定した。非薬物処理対照に対して正規化することによって相対的細胞生存率を計算し、KleidaGraphソフトウェアパッケージを使用してグラフ化した。IC50値を濃度として決定して、50%の最大細胞殺滅を得た。
IC50比がそれぞれの対照と比較して各プロドラッグについて計算され得ることに留意する。例えば、PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1のIC50比は、以下のとおりに計算される、細胞株UACC-257及びIGROV-1については、それぞれ、2.3及び3.4である:(PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1 UACC-257 2.2のIC50)/(PBD二量体対照1UACC-257 0.95のIC50)=2.3の比);及び(PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1 IGROV-1 0.21のIC50)/(PBD二量体対照1IGROV-1 0.061のIC50)=3.4の比)。
PBD二量体対照1及びPBD二量体対照2を、多数の細胞株に対して標準細胞パネルにおいてさらに評価した。IC50の結果を、以下の表7Bに報告する。
SK-BR-3に対する、PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ2、3、5、6、PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1~3、PBD単量体対照1、及びPBD二量体対照1の結果を、図5に示し、KPL-4の結果を、図6に示し、各図は、細胞生存率(対照の(%))対PBD化合物濃度(μg/mL)のプロットである。分化のジスルフィドプロドラッグ活性化は、高いGSH細胞株(KPL-4)及び低いGSH細胞株(WSU-DLCL2)の両方で観察された。WSU-DLCL2細胞株と比較して、分化は、KPL-4細胞株に対してあまり観察されなかった。
UACC-257及びIGROV-1細胞株に対するPBD二量体対照1の結果を、図7に示す。UACC-257及びIGROV-1細胞株に対するPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ化合物1の結果を、図8に示す。UACC-257及びIGROV-1細胞株に対するPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ化合物4の結果を、図9に示す。
実施例10;SK-BR-3及びKPL-4細胞株に対してPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ-抗体コンジュゲートの毒性
様々なPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ、PBD二量体ADCジアフォラーゼプロドラッグ、及び非プロドラッグPBD二量体ADC対照の毒性を、KPL-4及びSK-BR-3細胞培養に対して評価した。細胞を、黒色壁96ウェルプレート(SK-BR-3について4000/ウェル、KPL-4について1200細胞/ウェル)中に播種し、5%CO2の加湿雰囲気中で、37℃で一晩付着させた。次いで、培地を除去し、異なる濃度のADCを含有する新鮮な培養培地で置き換えた。5日後、細胞力価-Glo試薬を、室温で10分間ウェルに添加し、発光シグナルを、PerkinElmer EnVisionを使用して測定した。
SK-BR-3に対する、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ2A、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1B、非プロドラッグPBD二量体ADC対照1、及び非プロドラッグPBD二量体ADC対照2の結果を、図11に示し、KPL-4の結果を、図12に示し、各図は、5日後の細胞生存率(対照の(%))対PBD化合物濃度(μg/mL)のプロットである。分化のジスルフィドプロドラッグ活性化は、HER2細胞株においてHER2コンジュゲートで観察された。
実施例11:SK-BR-3及びKPL-4細胞株に対してPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ-抗体コンジュゲートの毒性
PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1、2B、3、及び4ならびに非プロドラッグPBD二量体ADC対照1及び2の毒性を、5日後、細胞生存率について、SK-BR-3及びKPL-4細胞株に対して評価した。細胞を、黒色壁96ウェルプレート(SK-BR-3について4000/ウェル、KPL-4について1200細胞/ウェル)中に播種し、5%CO2の加湿雰囲気中で、37℃で一晩付着させた。次いで、培地を除去し、異なる濃度のADCを含有する新鮮な培養培地で置き換えた。5日後、細胞力価-Glo試薬を、室温で10分間ウェルに添加し、発光シグナルを、PerkinElmer EnVisionを使用して測定した。
これらの結果を、図13及び14に報告する。
実施例12:PBD二量体-抗体コンジュゲートジスルフィドプロドラッグの全血安定性
PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1及び2Bの安定性を、緩衝液(「緩衝液」)、カニクイザル全血(「カニクイザルWB」)、ヒト全血(「ヒトWB)、マウス全血(「マウスWB」)、及びラット全血(「ラットWB」)において評価した。実験プロトコルを、実施例8に記載する。結果を以下の表9に報告し、パーセント損失は、時間ゼロでプロドラッグ濃度と比較して、プロドラッグの全喪失を指す。プロドラッグの損失は、イミン形態(すなわち、N10プロドラッグ置換点に隣接するC11でヒドロキシル部分)の損失を含む。
実施例13:ROS活性化PBD二量体-抗体コンジュゲートアリールボロン酸プロドラッグの全血安定性の毒性
様々なPBD単量体及び二量体ボロン酸プロドラッグ化合物の毒性を、細胞毒性について評価した。インビトロ細胞死滅アッセイにおいて、細胞を、8,000細胞/ウェルで96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルに添加し、5%CO2の加湿雰囲気中で、37℃で一晩インキュベートした。細胞を示されたプロドラッグ、陽性対照、及び陰性対照化合物の様々な濃度に曝露した。シルベストロールを評価し、1:3の連続希釈を使用した。3日間インキュベーションした後、細胞力価Glo試薬(Promega,Madison WI)を、100μL/ウェルでウェルに添加し、続いて、室温で10分間インキュベーションし、発光シグナルを、Packard/Perkin-Elmer TopCountを使用して測定した。
PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1A及び1Bの毒性を、細胞生存率について、WSU-DLCL及びBJAB腫瘍細胞株に対して評価した。PBD二量体ADCボロン酸対照1Aを、陰性対照として使用し、PBD二量体ADCボロン酸対照2を、陽性対照として使用した。これらの結果を、投与量(μg/mL)に対する時間ゼロでの細胞数と比較して、3日後の生存細胞の正規化した割合として、図15A、15B、及び16に報告する。PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1Aは、1.701nMのEC50を提供し、非プロドラッグPBD二量体ADC対照2は、0.0236nMのEC50を提供した。PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1Aは、0.0509nMのEC50を提供し、PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1Bは、15.86nMのEC50を提供し、PBD二量体ADCボロン酸対照2は、0.0274のEC50を提供した。
PBD単量体ボロン酸プロドラッグ1の毒性を、細胞生存率について、MDA-MB-453腫瘍細胞株に対して評価した。PBD単量体対照1を、陽性対照として使用し、PBD単量体対照2を、陰性対照として使用した。毒性研究を繰り返し、PBDプロドラッグ及び対照を、シルベストロールと組み合わせて投与した。図15Cは、(i)PBD単量体対照、(ii)N10PBD位でギ酸ベンジル部分を有するPBD単量体対照、及び(iii)PBD単量体のボロン酸プロドラッグへの曝露から3日後、MDA-MB-453細胞死滅対薬物濃度(μM)のプロットを示す。図15Dは、(i)シルベストロール、(ii)PBD単量体対照、(iii)N10PBD位でギ酸ベンジル部分を有するPBD単量体対照、(iv)PBD単量体ボロン酸プロドラッグ、(v)PBD単量体対照及びシルベストロール、(vi)N10PBD位でギ酸ベンジル部分を有するPBD単量体対照及びシルベストロール、ならびに(vii)PBD単量体ボロン酸プロドラッグ及びシルベストロールへの曝露から3日後、MDA-MB-453細胞死滅対薬物濃度(μM)のプロットを示す。PBD単量体対照1は、0.1635nMのEC50を提供し、PBD単量体ボロン酸プロドラッグ1は、1.846nMのEC50を提供し、PBD単量体プロドラッグ2は、267,356nMのEC50を提供した。
これらの結果は、ROSアリールボロン酸プロドラッグが陰性対照と比較して細胞死滅の増加を提供したことを示す。
実施例14:抗CD22及び抗Her2抗体薬物コンジュゲートの有効性
抗CD22抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の有効性を、BJAB-lucヒトバーキットリンパ腫のマウス異種移植片モデルにおいて調査した。BJAB-luc細胞株を、Genentech細胞株レポジトリから得た。この細胞株は、Promega PowerPlex16Systemを使用して短いタンデム反復(STR)プロファイリングにより認証され、細胞株の外部STRプロファイルと比較して細胞株の先祖を判定した。BJAB-luc細胞株は、FACS及びIHCによって決定される、CD22を発現する。異種移植片モデルを確立するために、雌C.B-17SCIDマウス(Charles River Laboratories)に、それぞれ、BJAB-luc細胞(0.2mLのハンクス平衡塩溶液に懸濁された2000万個の細胞;Invitrogen)で側面領域に皮下的に接種した。
抗Her2抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の有効性を、KPL4ヒト乳癌のマウス異種移植片モデルにおいて調査した。KPL4細胞株を、Dr.J.Kurebayashi lab(Japan)から得、この細胞株は、FACS及びIHCによって決定される、HER2を発現する。異種移植片モデルを確立するために、雌C.B-17SCID-ベージュ色マウス(Charles River Laboratories)に、それぞれ、KPL4細胞(0.2mLのハンクス平衡塩溶液の1:1の混合物に懸濁された300万個の細胞;Invitrogen and Matrigel;BD Biosciences)で胸部乳房脂肪パッド領域に接種した。KPL4異種移植片は、動物が腫瘍それ自体に応答してそれらの初期体重を約5%減少した悪液質誘導モデルである。抗Her2ADCの投与は、この腫瘍関連の体重減少を減少させ、動物において十分許容された。
腫瘍が100~300mm3の平均腫瘍体積に到達したとき(0日目と称される)に、動物を各々5~10匹のマウスの群に無作為に分け、ADCの単回静脈内注射を施した。図23及び24に示される第1の評価において、マウスを、ビヒクル(ヒスチジン緩衝液#8、100μLの静脈内1回)、非プロドラッグPBD二量体ADC対照2(0.1mg/kg及び0.2mg/kgの静脈内1回)、PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1A(0.2、0.5、1、2、及び5mg/kgの静脈内1回)、PBD二量体ADCボロン酸対照1A(1mg/kgの静脈内1回)、PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1B(1mg/kgの静脈内1回)、及び非プロドラッグPBD二量体ADC対照3(0.2及び1mg/kgの静脈内1回)で処理した。図25及び26に示される第2の評価において、マウスを、ビヒクル(ヒスチジン緩衝液#8、100μLの静脈内1回)、非プロドラッグPBD二量体ADC対照1(0.3、1、及び3mg/kgの静脈内1回)ならびにPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1B(1、3、6、及び10mg/kgの静脈内1回)で処理した。研究を通して、マウスの腫瘍及び体重を1週間に1~2回測定した。体重減少がそれらの出発体重の20%を超えたとき、マウスを即座に殺処分した。腫瘍が3000mm3に到達するか、または切迫した潰瘍化の兆候を示す前に、全ての動物を殺処分した。腫瘍体積を、カリパスを使用して2次元(長さ及び幅)で測定し、その腫瘍体積を、以下の式を使用して計算した。腫瘍サイズ(mm3)=0.5×(長さ×幅×幅)。
これらの結果を、図23~26に示す。
図23は、BJAB-lucヒトバーキットリンパ腫を有するC.B-17SCIDマウスにおける抗CD22ADCの有効性を示す。評価された最高用量(0.2mg/kg)で非プロドラッグPBD二量体ADC対照2のみが、適度な腫瘍成長遅延をもたらした。対照的に、PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1Aは、非常に効果的であり、低くても0.2mg/kgの用量で腫瘍退縮をもたらした。PBD二量体ADCボロン酸対照1は、腫瘍成長へのいかなる効果を示さなかった。PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1A及び非プロドラッグPBD二量体ADC対照3コンジュゲートは、いくつかの抗腫瘍活性を有したが、一致した用量レベルで抗CD22コンジュゲートの活性は、さらに優れた。
図24は、BJAB-lucヒトバーキットリンパ腫を有するC.B-17SCIDマウスの体重における抗CD22ADC(1)非プロドラッグPBD二量体ADC対照2、(2)PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1A、及び(3)PBD二量体ADCボロン酸対照1の効果を示す。抗CD22ADCの投与は、体重減少が観察されなかった動物において十分許容された。
図25は、KPL-4ヒト乳房腫瘍を有するC.B-17SCID-ベージュ色マウスにおける抗Her2ADCの有効性を示す。非プロドラッグPBD二量体ADC対照1は、腫瘍成長の用量依存的阻害を示し、1mg/kg以上で腫瘍退縮を有した。同様に、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1はまた、用量依存的有効性も示し、6mg/kg以上で腫瘍退縮を有した。
図26は、KPL4ヒト乳房腫瘍を有するC.B-17SCID-ベージュ色の体重における非プロドラッグPBD二量体ADC対照1及びPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1(抗Her2ADC)の効果を示す。KPL4異種移植片は、動物が腫瘍それ自体に応答してそれらの初期体重を約5%減少した悪液質誘導モデルである。抗Her2ADCの投与は、この腫瘍関連の体重減少を減少させ、動物において十分許容された。
実施例15:DTD活性化PBD単量体及び二量体キノンプロドラッグの毒性
PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1、PBD単量体ジアフォラーゼプロドラッグ2、PBD二量体対照1、及びPBD単量体対照1の毒性を、細胞生存率について、KPL-4及びWSU細胞株に対して評価した。KPL-4細胞株は、839のNQO1nRPKMを特徴とする高いDTD細胞株であり、WSU細胞株は、1.36のNQO1nRPKMを特徴とする低いDTD細胞株であるであった。IC50比は、PBD二量体対照と比較して、プロドラッグのIC50値に基づいている。
これらの結果を、以下の表10及び図17~20に報告する。
実施例16:DTD活性化PBD単量体及び二量体キノンプロドラッグの毒性
PBD二量体ADCジアフォラーゼプロドラッグ1A及び1Bならびに非プロドラッグPBD二量体ADC対照5の毒性を、細胞生存率について、KPL-4及びSK-BR-3細胞株に対して評価した。KPL-4細胞株は、839のNQO1nRPKMを特徴とする高いDTD細胞株であり、SK-BR03細胞株は、171のNQO1nRPKMを特徴とする低いDTD細胞株であった。これらの結果を、以下の図21及び22に報告する。
実施例17:PBD類似体のジスルフィド切断及びDNAオリゴ結合
システイン及びグルタチオン(GSH)への曝露から24時間後に、本開示の様々なプロドラッグジスルフィド化合物を評価し、PBD類似体のDNA結合を評価した。
ジスルフィド切断の決定のために、化合物を、5%のメタノールを含有する100mMのトリス緩衝液(pH7.0)中、0.2mMのシステインまたは4mMのGSHとともに、37℃、15μMでインキュベートした。アリコートを指定の時点で取得し、試料を、Hypersil Gold C18カラム(100×2.1、1.9μM、Thermo Scientific)上、Sciex TripleTOF5600でLC/MSによって分析した。緩衝液A(10mMの酢酸アンモニウム中0.1%のギ酸)から緩衝液B(90%のアセトニトリル中、10mMの酢酸アンモニウム中0.1%のギ酸)への勾配、0.4mL/分で、5%のB0~0.5分、5~25%のB0.5~8分、25~75%のB8~13分、及び75~95%のB13~13.5分、95%のB13.5~14.5分、95~5%のB14.5~15分によってカラムを溶出した。全ての生成物を、分離し、陽性ESIイオンモードのLC/MS/MSによって特徴付けした。全ての分析物は、主要な種としてプロトン化した分子MH+を有し、源断片化をほとんど有しなかった。フルスキャン精密質量ピーク面積を使用して、各構成成分の相対存在量を推定した。
DNA結合の決定のために、化合物を、100μMの二重ストランドDNAオリゴ1及び2とともに100μMで、10mMのビス-トリス(pH7.1)中、37℃で1時間インキュベートした。単一ストランドDNAオリゴ(5’-TATAGAATCTATA-3’及び3’-ATATCTTAGATAT-5’)を、Genentechで合成した。試料を、Hypersil Gold C18カラム(100×2.1、1.9μM、Thermo Scientific)上、Sciex TripleTOF5600でLC/MS/UV(210~450nm)によって分析した。緩衝液A(50mMのヘキサフルオロ-イソプロパノール及び15mMのジイソプロピルエチルアミン)から緩衝液B(50%のA及び50%の1:1のメタノール:アセトニトリル)への勾配、0.4mL/分で、5%の0~0.5分、5~25%のB0.5~25分、25~95%のB25~40分、及び95%のB40~42分によって、カラムを溶出した。残りの割合(%)は、インキュベーション中に残存する開始DNAオリゴの平均であった(n=2)。生成物を、陰性ESIイオンモードのLC/MSによって特徴付けした。
実施例18:キノンのGSH付加物形成及び安定性
GSH及び関連するGSH付加物形成への曝露時に、本開示の範囲内のキノンならびにPBD単量体及び二量体ジアフォラーゼプロドラッグの安定性を、評価した。
分解分析のために、化合物を、5%のメタノールを含有する200mMのトリス緩衝液(pH7.0)中、15mMのGSHとともに、37℃で3時間、25μMでインキュベートした。対照インキュベーションを、GSHを有しないで行った。試料を、Hypersil Gold C18カラム(100×2.1、1.9μM、Thermo Scientific)上、Sciex TripleTOF5600でLC/MSによって分析した。緩衝液A(10mMの酢酸アンモニウム中0.1%のギ酸)から緩衝液B(90%のアセトニトリル中、10mMの酢酸アンモニウム中0.1%のギ酸)への勾配、0.4mL/分で、5%のB0~0.5分、5~25%のB0.5~8分、25~75%のB8~13分、及び75~95%のB13~13.5分、95%のB13.5~14.5分、95~5%のB14.5~15分によってカラムを溶出した。全ての生成物を、分離し、陽性ESIイオンモードのLC/MS/MSによって特徴付けした。フルスキャン精密質量ピーク面積を使用して、各構成成分の相対存在量を推定した。
インビトロDTジアフォラーゼ活性化薬物放出アッセイを使用して、NADPH枯渇を測定した。ノルフロキサシン及び負荷量(PBD)のDTジアフォラーゼ活性化放出を、NADPHのインビトロでの枯渇によって測定した。アッセイ方法は、化合物の干渉により、A340でNADPHの吸光測定から修正された(Osman et.al,Chemico-Biological Interactions147(2004)99-108)。NADPHの枯渇は、340nMで励起された後に、480nmでNADPHの蛍光の減少を観察することによって測定された。材料及び試薬は、以下のとおりであった:(1)ウシ血清アルブミン(BSA):Sigmaカタログ番号A7030-50G(98%以上(アガロースゲル電気泳動)、凍結乾燥粉末、本質的に脂肪酸フリー、本質的にグロブリンフリー、(2)アッセイ緩衝液:50mMのトリス-HCl/0.007%BSA緩衝液(pH7.4)、(3)DTジアフォラーゼ調製:50U/0.2mg/ml(6.25uMのタンパク質)として8.1mlのH2O中の凍結乾燥したヒトDTジアフォラーゼ(Sigmaカタログ番号D1315、ロット番号SLBJ9723V、分子量=32,253U/mg、1.6mgのタンパク質/バイアル、1つの単位は、37℃でメナジオン基質の存在下で毎分1マイクロモルのシトクロムCを低減するであろう)を溶解し、-20℃でアリコートを保存する。アッセイ前に、5倍の希釈標準溶液(20U/mL、2.5uM、0.08ug/mL)としてアッセイ緩衝液中の保存液を2.5倍に希釈する、(4)β-ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスファート(NADPH、ジナトリウム塩水和物の低下、カタログ番号N6505-5G、>=94%(HPLC):アッセイ緩衝液中の48mMのNADPH保存液を調製し、-20Cで保存する。アッセイ前に、5倍の希釈標準溶液として1mMになるまで保存液を希釈する、(5)DTジアフォラーゼ特異的阻害剤:0.13NのNaOH中の40mMのジクマロール保存液(Sigma、カタログ番号M1390-5G、分子量=336.29)を調製し、4℃で保存した。5倍の希釈標準溶液として250uMになるまで保存液を希釈する、(6)化合物:5倍の希釈標準溶液として250uMになるまでアッセイ緩衝液中のノルフロキサシン及びPBDコンジュゲート化合物を希釈する、(7)透明な底部を有する384ウェル黒色プレート。アッセイ手順については、(1)0.5uMのDT-D、50uMの化合物、200mMのNADPHを含有する反応混合物を、50ul/ウェルで384ウェルプレート中に設定した。DTジアフォラーゼ阻害剤を有する対照については、ジクマロールを、各化合物については最終の50uMで反応混合物に添加した。NADPH及び化合物のみを含有する反応混合物もまた、ベースライン対照として添加した。DTジアフォラーゼを、最後のステップに添加した、(2)反応混合物を、室温で、5、30、90分間インキュベートした。DNAPHの蛍光強度(RFU)を、340nMで励起及び480nMで発光を有するM1000プレートリーダー(Tecan)に記録した。データ分析については、データを分析し、Prism GraphPad6を用いてプロットした。NADPHの枯渇を、90分の反応時点で以下の式によって計算した:NADPHの枯渇(%)=[RFU阻害剤を有しない-(RFU阻害剤を有する/RFU阻害剤を有しない)]*100。
これらの結果を、以下の表12に報告し、「Remの割合(%)」は、3時間後の残りの割合を指し、「Degr」は、分解を指し、「Pay.Rel」は、出発材料の2μMに基づいて負荷量放出(MRM Qunat)(0時間と比較して90分での回収(%))を指し、「NADPH Dep.」は、90分でのNADPHの枯渇を指す。
実施例19:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグの調製
実施例19一般スキーム1
一般スキーム1のための全反応スキームは、以下のとおりであった。
THF(10L)中の化合物1(1.13kg、4.59mol、1.00当量)の溶液に、2つの分量(LiBH4の添加時にほとんど温度で荷電しない)で、LiBH4(99.90g、4.59mol、1.00当量)を0℃で添加した。懸濁液を、0℃で1時間、次いで、10~20℃で18時間撹拌した。混合物を、0℃に冷却し、NH4Cl水溶液(5L)を添加した。層を分離し、水性層をEA(5L×3)で抽出した。合わせた有機物をブラインで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥し、濾過し、濃縮して、透明油として化合物2(1600g、7.36mol、収率80.22%)を得た。
50Lのフラスコに、化合物2(1.60kg、7.36mol、1.00当量)、DCM(20L)を充填し、続いて、0℃で撹拌しながら、TEA(1.12kg、11.05mol、1.50当量)及び塩化アセチル(635.54g、8.10mol、1.10当量)を滴加した。添加後、得られた溶液を、15~25℃で18時間撹拌し、5Lの水の添加によって反応停止処理し、3×2LのDCMで抽出した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、無色油として化合物3(2.46kg、9.49mol、収率128.90%)を得た。
20Lの3口丸底フラスコに、DCM(12L)中の化合物3(1.23kg、4.75mol、1.00当量)を充填し、続いて、いくつかのバッチにおいて、PCC(1.54kg、7.13mol)を15℃で添加した。得られた溶液を、15~25℃で18時間撹拌した。固体を濾過し、濾液を真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:5)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、淡黄色液体として化合物4(1.13kg、4.38mol、収率46.15%)を得た。
10Lの3口丸底フラスコに、メチル(トリフェニル)臭化ホスホニウム(958.03g、2.68mol)、THF(2.5L)を充填し、続いて、2時間にわたって、少量に分けてt-BuOH(300.94g、2.68mol)を0℃で添加した。これに、THF(2.5L)中の溶液化合物4(460.00g、1.79mol)を、0℃で撹拌しながら、滴加した。得られた溶液を、-5~0℃で20分間撹拌し、500mLの水の添加によって反応停止処理し、3×500mLの酢酸エチルで抽出した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:20)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、淡黄色液体として化合物5(275.00g、1.08mol、30.09%)を得た。
HCl(ガス)/EtOAc(3L、4M/L)中の化合物5(330.00g、1.29mol)の混合物を、0℃で20分間撹拌した。次いで、混合物を、10~30℃で1時間撹拌した。混合物を、真空中で濃縮して、黄色固体として化合物6(250.00g、1.30mol、101.12%)を得、これを精製することなく、次のステップで使用する。
窒素不活性雰囲気でパージされ、維持された3000mLの3口丸底フラスコに、THF(1.5L)中の化合物7(354.42g、1.56mol、1.30当量)の溶液を充填し、続いて、撹拌しながら、SOCl2(1.71kg、14.33mol、11.94当量)を滴加した。得られた溶液を、20~30℃で4時間撹拌し、次いで、真空下で濃縮した。窒素不活性雰囲気でパージされ、維持された別の3000mLの3口丸底フラスコに、DCM(2.5L)中の化合物6(230.00g、1.20mol、1.00当量)の溶液を充填した。これに、Et3N(485.75g、4.80mol、4.00当量)を、-40℃で撹拌しながら、添加し、続いて、-40℃で第1のフラスコにこの溶液を添加した。温度を、自然に0℃まで加温し、3000mLの水/氷の添加により反応停止処理し、3×1000mLのジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、EtOAc:PE(1:3)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、薄茶色油として化合物8(210.00g)を得、これを精製することなく、次のステップで使用した。
THF(400mL)中の化合物8(90.00g、247.02mmol、1.00当量)、MeOH(100mL)、H2O(400mL)の混合物に、NaOH(29.64g、741.05mmol、3.00当量)を0℃で一度に添加した。混合物を、20~30℃で18時間撹拌した。水性相を、EtOAc(300mL×3)で抽出した。合わせた有機層を、飽和ブライン(100mL)で洗浄し、無水Na2SO4で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、黄色固体として化合物9(90.26g、粗物)を得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
温度プローブ、磁気撹拌器、及び窒素入口を装備した2000mLの3口丸底フラスコに、DMF(1L)中のTBDMSCl(126.62g、840.12mmol)、イミダゾール(57.20g、840.12mmol、3.00当量)を添加した。次いで、DMF(1L)中の化合物9(90.26g、280.04mmol、1.00当量)の溶液を、0℃で混合物に添加した。得られた反応混合物を、25~30℃で2時間撹拌した。反応混合物を氷水(1L)中に注ぎ、次いで、DCM(200mL×3)で抽出した。合わせた有機相を、ブライン(100mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、真空中で濃縮して、残渣を得、黄色油として化合物10(126.00g)を得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。
AcOH(1L)中の化合物10(126.00g、288.61mmol、1.00当量)の混合物に、30℃以下の温度を維持することによって、Zn(188.72g、2.89mol)を少量ずつ添加した。混合物を、20~30℃で30分間撹拌した。残渣を、EtOAc(500mL)中に注ぎ、濾過した。濾液を真空中で濃縮した。残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(PE/EtOAc=10/1、1/1)によって精製して、黄色油として11(58.00g、142.64mmol、収率49%)を得た。1H NMR(400MHz,クロロホルム-d)d ppm6.71(s,1H)6.22(s,1H)4.85-4.97(m,2H)4.52(br.s.,1H)4.14-4.23(m,1H)3.99-4.13(m,1H)3.82(s,3H)3.77(s,3H)3.59(d,J=5.73Hz,1H)2.63-2.72(m,2H)2.01-2.04(m,1H)1.23(t,J=7.06Hz,1H)0.85(s,9H)-0.06-0.06(m,5H)。
実施例19以下のとおりに、一般スキーム2は、本開示のPBDジスルフィドプロドラッグを調製するための一般スキームである。
構造Cにおける、及び実施例19に示される他の箇所のアスタリスクは、キラル中心を表す。いくつかの態様において、上記のスキームに記載されるR
1は、本明細書に記載されるR
61に対応し、上記のスキームに記載されるR
2は、本明細書に記載されるR
62に対応し、上記のスキームに記載されるR
3は、本明細書に記載されるR
50に対応する。
実施例19A:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ10の調製
実施例19A一般的な手順IA-カーボネート法Aの形成:
(2-アミノ-4,5-ジメトキシ-フェニル)-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-イル]メタノン(222mg、0.5460mmol)を、3mLのDCMに溶解し、次いで、Et3Nを、ピペットを介して添加し、続いて、トリホスゲンを添加した。合計20分後、2mLのDCM(0.5mLのすすぎを含む)中の2-(tert-ブチルジスルファニル)-2-メチル-プロパン-1-オール(B、1.05当量、0.5733mmol、100質量%)を添加し、続いて、10uLのジブチル錫ジアセテート(20μL、0.07487mmol)を添加した。約1.5時間後、別の35uL(28mg)のジスルフィドアルコール及び8uLのジブチル錫ジアセテート(2:57pm)を添加し、反応物を一晩撹拌した。反応物をEtOAcで稀釈し、次いで、1N HCl溶液で洗浄した。有機物を飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで、濃縮した。残渣を、フラッシュクロマトグラフィー(25gシリカゲル、20%-30%-50%EtOPc/Hept)によって精製して、無色油として所望のカーボネート(227mg、収率67%)を得た。
実施例19A一般的な手順II-HOAcによるTBS基の除去:
[2-(tert-ブチルジスルファニル)-2-メチル-プロピル]N-[2-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-カルボニル]-4,5-ジメトキシ-フェニル]カルバメート(200mg、0.319mmol)を、3mLのTHFに溶解し、次いで、水(0.8mL)及び酢酸(3.4mL)を室温で添加した。反応が終了した後、炭酸ナトリウムを添加して、酢酸を中和した。混合物をEtOAcで3回抽出した。合わせたEtOAc抽出物を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗アルコール(233mg)を得、これを精製することなく次のステップで使用した。
実施例19A一般的な手順III-DMPの酸化及び環化:
DCM(3.5mL中の2-(イソプロピルジスルファニル)-2-メチル-プロピル]N-[2-[(2S)-2-(ヒドロキシメチル)-4-メチレン-ピロリジン-1-カルボニル]-4,5-ジメトキシ-フェニル]カルバメート(99.2mg、0.199mmol、100質量%)に、デスマーチンペルヨージナン(86.1mg、0.203mmol、1.02当量)を室温で添加した。反応混合物を、DCMで希釈し、次いで、混合した飽和NaHCO3(約3mL)及び1M亜硫酸ナトリウム(約3mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、約120mgの粗(油)を得、これを逆相HPLCによって精製して、回収されたアルコール出発材料(10.3mg)とともに所望のカルバメート(28.9mg)を得た。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.69分,m/z=497[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08(s,1H),6.82(s,1H),6.64(d,J=6.0Hz,1H),5.49-5.33(m,1H),5.13(d,J=7.3Hz,2H),4.21-4.05(m,2H),4.04-3.91(m,1H),3.81(s,4H),3.79-z3.72(m,1H),3.46(t,J=9.3Hz,1H),3.31(s,3H),2.99-2.76(m,2H),2.63-2.51(m,1H),1.38-0.94(m,12H)。
実施例19B:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ4の調製
以下の一般的な手順IBを、ジスルフィド形成のために使用したことを除いて、表題化合物は、実施例19Aと同じ様式で合成した。
実施例19B一般的な手順Ib-カーボネート法Bの形成:
(2-アミノ-4,5-ジメトキシ-フェニル)-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-イル]メタノン(121mg、0.2976mmol)及びN,N-ジイソプロピルアミン(3当量、0.8928mmol)を、3mLのTHF中で混合し、次いで、(4-ニトロフェニル)カルボノクロリデート(75mg、0.3720mmol)を室温で添加した。混合物を、75℃まで加熱した。約1時間50分後、1.5mLのTHF中の2-(イソプロピルジスルファニル)-2-メチル-プロパン-1-オール(71mg、0.3938mmol)を添加した。混合物を、75℃で一晩撹拌し、室温まで冷却し、EtOAcで希釈し、1N HCl及び飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。溶液を濃縮し、得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(20%、次いで30%、次いで50%EtOAc/Hept)によって精製して、ジスルフィド(34mg、収率19%)を得た。
LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.78分,m/z=511[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08(s,1H),6.81(s,1H),6.63(d,J=5.9Hz,1H),5.49-5.34(m,1H),5.13(d,J=6.1Hz,2H),4.19-3.91(m,3H),3.81(s,3H),3.78-3.67(m,1H),3.46(t,J=9.2Hz,1H),3.32(s,35H),2.96-2.82(m,1H),2.61-2.53(m,1H),1.18(s,9H),1.04(d,J=3.7Hz,6H)。
実施例19C:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ15の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ15を、以下の反応スキーム3に従って調製した。
トリホスゲン(116mg、0.39mmol)を2mLのDCMに溶解し、次いで、2mLのDCM中の(2R)-2-[(5-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]プロパン-1-オール(277mg、1.125mmol)及びピリジン(0.14mL、1.761mmol)を添加した。30分後、この溶液を、(2-アミノ-4,5-ジメトキシ-フェニル)-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-イル]メタノン(410mg、0.978mmol、97質量%)の溶液、及び3mLのDCM(+0.5mLのすすぎ)中に添加した。反応が終了した後、混合物を、EtOAcで稀釈し、1N HCl水溶液で洗浄し、次いで、飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(25gシリカゲル、30%、次いで40%、次いで50%EtOAc/Hept)によって精製して、[(2R)-2-[(5-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]プロピル]N-[2-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-カルボニル]-4,5-ジメトキシ-フェニル]カルバメート(480mg、収率72%)を得た。
DMF(0.5mL)中の[(2R)-2-[(5-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]プロピル]N-[2-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-カルボニル]-4,5-ジメトキシ-フェニル]カルバメート(45mg、0.066mmol、100質量%)に、いかなる溶媒を用いずに、シリンジを介してプロパン-2-チオール(40mg、0.53mmol)を添加した。混合物を、密封バイアル中で59℃に加熱した。反応が終了した後、混合物を減圧下で濃縮し、トルエンで1回共沸した(azotrope)。得られた残渣を、シリカゲルクロマトグラフィー(40gシリカゲル、20%-35%-50%EtOAc/Hept)によって精製して、黄色油として[(2R)-2-(イソプロピルジスルファニル)プロピル]N-[2-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-カルボニル]-4,5-ジメトキシ-フェニル]カルバメート(134mg、収率89%)を得た。
次いで、PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ15を、実施例19Aの一般的な手順II及びIIIに従って調製した。
LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.58分,m/z=483[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.07(s,1H),6.82(s,1H),6.63(d,J=6.1Hz,1H),5.38(dd,J=9.7,6.1Hz,1H),5.20-5.07(m,2H),4.20(dd,J=11.1,6.1Hz,1H),4.15-4.05(m,1H),3.97(d,J=15.4Hz,2H),3.80(s,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),3.10-2.82(m,3H),2.58-2.53(m,1H),1.18(t,J=6.2Hz,7H),1.04(d,J=6.9Hz,3H)。
実施例19D:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ13の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ13を、実施例19Cの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.70分,m/z=497[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.07(s,1H),6.81(s,1H),6.65(d,J=5.9Hz,1H),5.38(dd,J=9.7,5.9Hz,1H),5.19-5.04(m,2H),4.20(dd,J=11.2,5.9Hz,1H),4.10(d,J=15.8Hz,1H),4.04-3.91(m,2H),3.80(s,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),3.04-2.82(m,2H),2.58-2.53(m,1H),1.23(s,9H),1.03(d,J=6.9Hz,3H)。
実施例19E:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ2の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ2を、以下の反応スキームに従って調製した。
いくつかの態様において、R
3は、本明細書の別の箇所で記載されるR
50に対応する。
トリホスゲン(268mg、0.9046mmol、100質量%)を、フラスコ内で3mLのDCMに溶解し、次いで、6mLのDCM中の2-[(5-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]エタノール(604mg、2.601mmol)の溶液を添加し、純粋なピリジン(1.8当量、4.071mmol、100質量%)を添加した。30分後、この溶液を、(2-アミノ-4,5-ジメトキシ-フェニル)-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-イル]メタノン(948mg、2.262mmol)の溶液、及び5mLのDCM(+0.8mLのすすぎ)中に添加した。約20分後、混合物をEtOAcで希釈し、1N HCl及び飽和重炭酸ナトリウムで洗浄した。有機物を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮し、カラムして(40gシリカゲル、25%次いで45%EtOAc/Hept)、綿毛状の黄色固体としてカルバメート(1.07g、収率71%)を得た。
2-[(5-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]エチルN-[2-[(2S)-2-[[tert-ブチル(ジメチル)シリル]オキシメチル]-4-メチレン-ピロリジン-1-カルボニル]-4,5-ジメトキシ-フェニル]カルバメート(1.067g、1.61mmol)を、THFに溶解し、次いで、水(1.5mL)を添加し、続いて、酢酸(8mL)を室温で添加した。混合物を、55℃に加熱し、一晩撹拌した。混合物を室温に冷却した後、炭酸ナトリウムを添加して、酢酸を中和した。混合物をEtOAcで3回抽出した。合わせたEtOAc抽出物を、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮して、粗アルコール(1.26g)を得、これを精製することなく次のステップで使用した。
DCM(16mL)中の上記のアルコール(884mg、1.61mmol)に、デスマーチンペルヨージナン(715mg、1.685mmol)を室温で添加した。約70分後、さらに105mgのD-Mペルヨージナンを添加した。2.5時間後、さらに76mgのD-Mペルヨージナンを添加した。全ての出発材料が消費されるとすぐに、混合物をDCMで希釈し、次いで、混合した飽和NaHCO3(約6mL)及び1M亜硫酸ナトリウム(約6mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮した。得られた残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(40gシリカゲル、50%、次いで80%、次いで100%EtOAc/Hept)によって精製して、黄色固体として2-[(5-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]エチル(6S,6aR)-6,6a-ジヒドロキシ-2,3-ジメトキシ-8-メチレン-11-オキソ-7,9-ジヒドロ-6H-ピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-5-カルボキシレート(765mg、収率84%)を得た。
0.2mLのDMSO中の2-[(5-ニトロ-2-ピリジル)ジスルファニル]エチル(6aS)-6-ヒドロキシ-2,3-ジメトキシ-8-メチレン-11-オキソ-6,6a,7,9-テトラヒドロピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-5-カルボキシレート(63mg、0.115mmol)に、シリンジを介してプロパン-2-チオール(0.5mL)を添加し、次いで、59℃に加熱した。反応が終了した後、混合物を、室温まで冷却し、ロータバップ中でEtOAcを2回共蒸発させて、可能な限りチオールを除去した。得られた残渣を、逆相HPLCによって精製して、2-スルファニルエチル(6aS)-6-ヒドロキシ-2,3-ジメトキシ-8-メチレン-11-オキソ-6,6a,7,9-テトラヒドロピロロ[2,1-c][1,4]ベンゾジアゼピン-5-カルボキシレート(38.6mg)を得た。
LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.42分,m/z=469[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.06(s,1H),6.80(s,1H),6.62(s,1H),5.37(dd,J=9.6,5.4Hz,1H),5.13(d,J=7.0Hz,2H),4.37(dt,J=12.2,6.3Hz,1H),4.14-3.93(m,4H),3.80(s,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),3.01-2.83(m,3H),1.23-1.16(m,6H)。
実施例19F:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ16の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ16を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.56分,m/z=483[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.06(s,1H),6.79(s,1H),6.62(s,1H),5.37(dd,J=9.7,5.9Hz,1H),5.16-5.09(m,2H),4.35(dt,J=12.2,6.3Hz,1H),4.10(d,J=16.0Hz,1H),3.98(d,J=16.0Hz,2H),3.80(s,6H),3.44(t,J=9.3Hz,1H),2.88(t,J=12.6Hz,3H),2.54(s,1H),1.25(s,9H),0.08(s,1H)。
実施例19G:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ29の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ29を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=1.72分,m/z=471[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.06(s,1H),6.79(d,J=4.9Hz,1H),6.62(s,1H),5.37(dd,J=9.7,5.8Hz,1H),5.13(d,J=7.0Hz,2H),4.88-4.80(m,1H),4.45-4.34(m,1H),4.14-4.05(m,1H),4.02-3.93(m,1H),3.80(s,6H),3.79-3.78(m,1H),3.60(dq,J=14.2,6.5Hz,2H),3.49-3.40(m,1H),2.94-2.69(m,4H),2.54(s,1H)。
実施例19H:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ28の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ28を、実施例19Dの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.68分,m/z=495[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.06(s,1H),6.80(s,1H),6.62(s,1H),5.37(dd,J=9.7,5.8Hz,1H),5.13(d,J=6.8Hz,2H),4.44-4.33(m,1H),4.15-4.05(m,1H),4.02-3.93(m,1H),3.81(s,6H),3.44(t,J=9.1Hz,1H),2.88(d,J=7.8Hz,3H),2.55(dt,J=5.7,2.5Hz,2H),2.48-2.42(m,1H),1.89(d,J=8.4Hz,2H),1.64(s,2H),1.53(s,4H)。
実施例19I:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ27の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ27を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=1.83分,m/z=499[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.06(s,1H),6.80(s,1H),5.37(d,J=9.7Hz,1H),5.16-5.09(m,2H),4.45-4.34(m,1H),4.16-3.93(m,2H),3.80(s,6H),3.44(t,J=9.2Hz,1H),3.05-2.79(m,5H),2.65-2.50(m,1H),2.46(s,1H),2.07(s,3H)。
実施例19J:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ7の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ7を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.62分,m/z=495[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.07(s,1H),6.82(s,1H),6.66-6.60(m,1H),5.41-5.36(m,1H),5.16-5.09(m,2H),4.30(d,J=11.7Hz,1H),4.15-4.06(m,1H),4.02-3.88(m,2H),3.81(s,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),2.91(td,J=16.0,8.6Hz,2H),2.57-2.53(m,1H),1.14(dd,J=11.4,6.6Hz,6H),0.96-0.81(m,4H)。
実施例19K:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ1の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ1を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.20分,m/z=455[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.06(s,1H),6.80(s,1H),6.62(s,1H),5.37(dd,J=9.7,5.1Hz,1H),5.16-5.09(m,2H),4.39(dt,J=12.2,6.3Hz,1H),4.15-3.93(m,3H),3.80(s,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),2.88(dd,J=16.1,9.0Hz,3H),2.65(q,J=12.6,6.8Hz,2H),2.54(d,J=2.3Hz,1H),1.23-1.14(m,3H)。
実施例19L:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ26の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ26を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.08分,m/z=497[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08(s,1H),6.82(s,1H),6.65(s,1H),5.38(d,J=9.7Hz,1H),5.13(d,J=6.6Hz,2H),4.77(s,3H),4.45-4.34(m,1H),4.26-4.06(m,3H),4.02-3.93(m,1H),3.81(s,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),3.09(s,1H),2.94-2.83(m,1H),2.62-2.53(m,1H),1.04(d,J=6.9Hz,2H),-0.03--0.13(m,1H)。
実施例19M:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ25の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ25を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.16分,m/z=499[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.07(s,1H),6.82(s,1H),6.63(br s,1H),5.38(d,J=9.7Hz,1H),5.14(s,2H),4.2-4.1(m,2H),3.99(s,1H),3.81(s,6H),3.46(s,4H),3.22(s,3H),2.79(s,2H),2.69-2.54(m,3H),1.05(s,2H)。
実施例19N:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ24の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ24を、実施例19Eの方法に従って調製した。
MTBE(50mL)中のテトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルバルデヒド14a(5g、43.8mmol)の溶液に、S2Cl2(2.96g、21.9mmol)を添加した。反応混合物を、窒素下、55℃で16時間撹拌し、次いで、反応混合物を、周囲温度まで冷却し、真空下で溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EtOAc=5/1)によって精製して、黄色油としてジスルフィド14b(5g、58%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ9.05(s,1H),3.92-3.42(m,8H),2.22-1.58(m,8H)。
THF(50mL)中の4,4’-ジスルファンジイルビス(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-カルバルデヒド)7(5g、12.82mmol)の溶液に、LiAlH4(0.97g、25.64mmol)を少量ずつ添加した。添加後、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、次いで、反応混合物を、PH=6までHCl(3N)で酸性化し、エチルアセテート(30mL×3)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EA=10/1)で精製して、黄色油としてチオール14c(2.02g、34%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ3.86-.383(m,4H),3.53(s,2H),2.25(s,1H),1.86-1.43(m,5H)。GCMS(m/z)ES=148。
LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.24分,m/z=525[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.07(s,1H),6.82(s,1H),6.61(s,1H),5.37(d,J=9.6Hz,1H),5.13(d,J=7.0Hz,2H),4.23(dd,J=11.1,6.0Hz,1H),4.10(d,J=15.7Hz,1H),4.02-3.83(m,4H),3.81(s,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),3.02(dt,J=11.1,4.1Hz,1H),2.94-2.83(m,2H),2.59-2.52(m,2H),1.95-1.76(m,2H),1.55-1.37(m,2H),1.27-1.21(m,1H),1.05(d,J=6.9Hz,3H)。
実施例19O:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグの調製
上記のPBD単量体ジスルフィドプロドラッグを、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=1.86分,m/z=485[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.06(s,1H),6.79(s,1H),6.62(s,1H),5.37(dd,J=9.7,6.0Hz,1H),5.13(d,J=7.0Hz,2H),4.88(t,J=5.7Hz,1H),4.38(d,J=7.5Hz,1H),4.16-3.95(m,2H),3.80(s,6H),3.46(d,J=11.3Hz,2H),3.38-3.34(m,1H),2.86(s,4H),2.58-2.53(m,1H),1.19(dd,J=12.6,6.6Hz,3H)。
実施例19P:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ12の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ12を、実施例19Eの方法に従って調製した。LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.40分,m/z=469[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.07(s,1H),6.82(s,1H),6.63(s,1H),5.38(dd,J=9.7,5.9Hz,1H),5.13(d,J=6.7Hz,2H),4.21(dd,J=11.1,6.2Hz,1H),4.10(d,J=16.0Hz,1H),3.97(d,J=16.1Hz,2H),3.81(d,J=2.3Hz,6H),3.45(t,J=9.3Hz,1H),3.05(s,1H),2.94-2.83(m,1H),2.70-2.53(m,3H),2.45(p,J=1.9Hz,1H),1.16(t,J=7.2Hz,3H),1.08-1.02(m,2H)。
実施例19Q:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ3の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ3を、実施例19Eの方法に従って調製した。
パラ-ニトロピリジンジスルフィドを、以下のスキームに従って合成した。
MTBE(80mL)中のシクロブタンカルバルデヒド17a(9.8g、120mmol)の溶液に、S2Cl2(8.1g、60mmol)を添加した。反応混合物を、窒素下、55℃で16時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、真空下で溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EtOAc=20/1)で精製して、茶色油として1,1’-ジスルファンジイルジクロロブタンカルバルデヒド(11.2g、83%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ9.28(s,2H),3.06-1.20(m,12H)。
THF(200mL)中の1,1’-ジスルファンジシクロブタンカルバルデヒド5(11.2g、49mmol)の溶液に、LiAlH4(3.7g、97mmol)を少量ずつ添加した。添加後、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌した。反応混合物を、pH=6までHCl(3N)で酸性化し、エチルアセテート(200mL×3)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EtOAc=10/1)で精製して、黄色油としてチオール17c(3.8g、33%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ3.64(s,2H),2.35-2.09(m,5H),2.05-1.87(m,2H),1.81(s,1H)。GCMS(ES)m/z=+118。
MeOH(100mL)中の17c(4.88g、41.35mmol)及び1,2-ビス(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファン(12.82g、41.35mmol)の混合物を、窒素下、周囲温度で16時間撹拌した。溶液を、真空下で濃縮し、残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EA=10/1)によって精製して、黄色固体として標的化合物17d(2.01g、18%)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO)δ9.30(s,1H),8.34(dd,J=8.8,2.6Hz,1H),7.60(d,J=8.8Hz,1H),3.57(s,2H),3.41(s,1H),2.27-2.14(m,5H),2.08-1.93(m,1H)。;LCMS(ES)m/z=+273(M+1)。
LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.61分,m/z=495[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08(s,1H),6.82(s,1H),6.64(d,J=6.0Hz,1H),5.45-5.36(m,1H),5.13(d,J=7.2Hz,2H),4.30(d,J=11.5Hz,1H),4.10(d,J=15.8Hz,1H),3.97(d,J=13.7Hz,2H),3.80(s,6H),3.46(td,J=9.5,1.8Hz,1H),2.89(dd,J=15.8,9.2Hz,1H),2.62-2.52(m,2H),1.91(s,6H),1.63(s,1H),1.13(t,J=7.5Hz,3H)。
実施例19R:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ5の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ5を、実施例19Eの方法に従って調製した。
パラ-ニトロピリジンジスルフィドを、以下のスキームに従って合成した。
MTBE(30mL)中のシクロペンタンカルバルデヒド18a(9.0g、92mmol)の溶液に、S2Cl2(7.4g、55mmol)を添加した。反応混合物を、窒素下、55℃で16時間撹拌した。反応混合物を周囲温度まで冷却し、真空下で溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EtOAc=80/1)で精製して、茶色油として1,1’-ジスルファンジイルジシクロペンタンカルバルデヒド18b(5.5g、46%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ9.23(s,2H),2.41-1.51(m,16H)。
THF(60mL)中の1,1’-ジスルファンジイルジシクロペンタンカルバルデヒド18b(8.5g、32.9mmol)の溶液に、LiAlH4(2.5g、65.8mmol)を少量ずつ添加した。添加後、反応混合物を周囲温度で2時間撹拌し、次いで、溶液を、PH=6までHCl(3N)で酸性化し、エチルアセテート(150mL×2)で抽出し、Na2SO4で乾燥させ、溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EtOAc=20/1)によって精製して、黄色油として18c(5.5g、63%)を得た。1H NMR(300MHz,CDCl3)δ3.51(s,2H),2.04(s,1H),1.85-1.67(m,7H),1.64(s,1H)。GCMS(ES)m/z=+132。
MeOH(50mL)中の18c(3.5g、26.5mmol)及び1,2-ビス(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファン3(12.3g、39.8mmol)の混合物を、窒素下、周囲温度で16時間撹拌した。反応が完了した後、溶液を真空下で濃縮した。残渣を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(シリカ:200~300メッシュ、PE/EtOAc=10/1)で精製して、黄色固体として標的化合物18d(1.9g、25%)を得た。1H NMR(400MHz,DMSO):δ9.24-9.20(m,1H),8.58(dd,J=8.9,2.7Hz,1H),8.17(dd,J=8.9,0.5Hz,1H),5.18(t,J=5.5Hz,1H),3.40(d,J=5.5Hz,2H),1.63-1.82(m,8H);LCMS(ES)m/z=+287(M+1)。
LCMS:(5-95,AB,5分),RT=2.48分,m/z=509[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08(s,1H),6.82(s,1H),6.73-6.60(m,1H),5.40(d,J=7.7Hz,1H),5.13(d,J=7.2Hz,2H),4.22(d,J=11.0Hz,1H),4.10(d,J=15.9Hz,1H),4.01-3.84(m,2H),3.81(s,6H),3.46(t,J=9.2Hz,1H),2.88(dd,J=15.9,9.3Hz,1H),2.55(dd,J=4.1,2.3Hz,2H),1.81-1.39(m,10H),1.12(t,J=7.3Hz,3H)。
実施例19S:PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ11及び30の調製
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ11及び30は、上記の構造に対応し、アスタリスクで表されるキラル中心のうちの1つ以上に異なる立体配置を有するジアステレオマーである。化合物は、実施例19Eの方法に従って調製した。
パラ-ニトロピリジンジスルフィドを、実施例19Nに記載される手順を用いて以下のスキームに従って合成した。
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ11LCMS:(5-95,AB,5分),RT=1.95分,m/z=511[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08(s,1H),6.83(s,1H),6.64(s,1H),5.39(d,J=9.7Hz,1H),5.13(d,J=7.1Hz,2H),4.34(d,J=11.5Hz,1H),4.10(d,J=16.0Hz,1H),3.98(t,J=15.3Hz,2H),3.81(d,J=2.4Hz,6H),3.78-3.72(m,1H),3.63(s,1H),3.54(s,2H),3.46(t,J=9.2Hz,1H),2.89(dd,J=15.7,9.4Hz,1H),2.62-2.50(m,3H),1.83(d,J=37.2Hz,2H),1.12(t,J=7.3Hz,3H)。
PBD単量体ジスルフィドプロドラッグ30LCMS:(5-95,AB,5分),RT=1.99分,m/z=511[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ7.08(s,1H),6.82(s,1H),6.66(s,1H),5.48-5.34(m,1H),5.21-5.07(m,2H),4.33(d,J=11.5Hz,1H),4.18-3.91(m,3H),3.81(s,6H),3.79-3.70(m,0H),3.48(d,J=17.5Hz,2H),2.97-2.82(m,1H),2.55(dd,J=4.2,2.2Hz,2H),2.47-2.29(m,1H),1.85(d,J=13.2Hz,2H),1.13(t,J=7.4Hz,3H)。
実施例20:PBD二量体ジスルフィドプロドラッグの調製
実施例20A:PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ4の調製
PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ4を、以下の反応スキームに従って調製した。
上記構造における、及び実施例20に示される他の箇所のアスタリスクは、キラル中心を表す。
DCM(2.0mL)中のトリホスゲン(83.2mg、0.280mmol)の溶液に、DCM(3.0mL)中の化合物A2及びピリジンの溶液を0℃で添加した。混合物を、20℃で30分間撹拌し、真空中で濃縮した。それを、DCM(5.0mL)に溶解し、ピリジン(18.5mg、0.234mmol)及び化合物A1(124mg、0.516mmol)の溶液に20℃で滴加した。反応混合物を、20℃で2時間撹拌した後、それを、真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~50%EtOAc)によって精製して、黄色固体として化合物A3(150mg、54%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.419分,m/z=1261.4[M+1]+。
THF(4.0mL)、H2O(4.0mL)、及びHOAc(6.0mL)中の化合物A3(150mg、0.119mmol)の溶液を、10℃で8時間撹拌した。混合物を、EtOAc(15mL)で希釈し、H2O(10mL)、NaHCO3水溶液(10mL)、及びブライン(10mL)で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、分取TLC(DCM中の5%CH3OH)によって精製して、無色油として化合物A4(75mg、60.4%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.941分,m/z=1033.3[M+1]+。
DCM(15mL)中の化合物A4(44mg、0.04mmol)及びDMP(54mg、0.13mmol)の混合物を、13℃で16時間撹拌した。反応混合物を、真空中で濃縮し、分取TLC(DCM中の5.6% MeOH Rf=0.5)によって精製し、続いて、分取HPLC(10mM、NH4HCO3-ACN)によって精製して、白色固体としてPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ4(15mg、34%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.941分,m/z=1051.2[M+23]+;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.19(s,2H),6.73(s,2H),5.59-5.57(m,2H),5.12(s,4H),4.43(d,J=10.8Hz,2H),4.26-4.15(m,1H),4.11(s,1H),4.02-3.98(m,3H),3.96(s,4H),3.88(s,6H),3.80-3.65(m,2H),3.62(m,2H),2.90-2.80(m,2H),2.72-2.60(m,6H),2.18(br,2H),2.02-1.92(br,13H),1.70-1.63(m,3H),1.22-1.19(m,6H)。
実施例20B:PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1の調製
PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(4.0mL)中のトリホスゲン(42.02mg、0.140mmol)の溶液に、DCM(4mL)中の化合物A1(300.0mg、0.310mmol)及びトリエチルアミン(63.68mg、0.630mmol)の溶液を滴加した。混合物を0℃で30分間撹拌した後、DCM(2.0mL)中の化合物A2(112.16mg、0.630mmol)及びトリエチルアミン(127mg、1.26mmol)の溶液を添加し、混合物を18℃で18時間撹拌した。混合物を、水(20.0mL)とDCM(40.0mL)との間に分配し、有機層を、水(20.0mL)、ブライン(20.0mL)で洗浄し、濃縮した。それを、カラムクロマトグラフィー(EtOAc:石油エーテル1:2)上で精製して、黄色油として化合物A3(240mg、65%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.296分,m/z=1157.4[M+1]+。
THF(1.5mL)中の化合物A3(240.0mg、0.210mmol)の溶液に、HOAc/H2Oの混合物(4.0mL、3/1)を添加した。混合物を、8℃で18時間撹拌した。NaHCO3溶液を用いて、pHが8になるまで調節し、それを、EtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。それを、カラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1)によって精製して、黄色油として化合物A4(130mg、68%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.868分,m/z=929.3[M+1]+。
DCM(6.0mL)中の化合物A4(60.0mg,0.0600mmol)の溶液に、DMP(95.83mg、0.230mmol)を添加し、混合物を、18℃で1.0時間撹拌した。混合物を濾過し、Na2SO3水溶液(20.0mL)、ブライン(20.0mL)、及び水(20.0mL)で洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取TLC(DCM中の7%MeOH)によって精製して、白色固体として化合物A5(30mg、49%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.804分,m/z=925.3[M+1]+。
TFA(1.0mL)を、化合物A5(30.0mg、0.030mmol)に0℃で滴加した。それを20分間撹拌した後、混合物を飽和NaHCO3溶液(40.0mL)に0℃で滴加し、DCM(3×15mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取TLC(DCM中の18%MeOH、Rf=0.6)によって精製して、白色固体としてPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1(5.8mg、22%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.890分,m/z=807.2[M+1]+。
実施例20C:PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ2の調製
PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ2を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(5.0mL)中のトリホスゲン(89.43mg、0.300mmol)及び4Å分子篩(50mg)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A2(165.0mg、0.710mmol)及びピリジン(168.58mg、2.13mmol)の溶液を添加した。混合物を0℃で30分間撹拌した。得られた混合物を、DCM(5.0mL)中の化合物A1(745mg、0.780mmol)、ピリジン(169mg、2.13mmol)、及び4ÅMSの溶液に添加した。それを、0℃で30分間撹拌し、水(5.0mL)で洗浄した。有機相を乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中の5%MeOH)によって精製して、黄色油として生成物A3(698mg、81%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.187分,m/z=606.5[M/2+1]+。
DCM(10.0mL)中の化合物A3(698.0mg、0.580mmol)の溶液に、2-プロパンエチオール(439mg、5.76mmol)を添加した。混合物を20℃で1時間撹拌した後、MnO2(100mg)を添加し、5分間撹拌し、濾過した。濾液を、濃縮し、分取TLC(石油エーテル中の50%EtOAc)によって精製して、黄色固体として化合物A5(620mg、95%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.221分,m/z=1131.4[M+1]+。
THF(6.0mL)及び水(6.0mL)中の化合物A5(620.0mg、0.550mmol)の溶液に、HOAc(3.29g、54.8mmol)を添加した。混合物を、40℃で16時間撹拌し、濃縮した。それを、カラムクロマトグラフィー(DCM中の10%MeOH)によって精製して、黄色油として化合物A6(208mg、42%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.854分,m/z=903.3[M+1]+。
DCM(8.0mL)中の化合物A6(208.0mg、0.230mmol)の溶液に、4Å分子篩、DMP(224.7mg、0.530mmol)を添加した。混合物を、20℃で2時間撹拌し、飽和NaHCO3及びNa2S2O3溶液(2.0mL/2.0mL)で反応停止処理した。それを、5分間撹拌し、DCM(5.0mL)を添加し、分離した。DCM相を、水(2×5mL)で洗浄した。それを、乾燥させ、濃縮し、分取TLC(DCM中の5%MeOH、Rf=0.2)によって精製して、淡黄色発泡体として化合物A7(121mg、58%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.783分,m/z=781.3[M-100+1]+。
TFA(1.0mL、13.5mmol)を、化合物A7(121.0mg、0.130mmol)に0℃で添加した。混合物を10分間撹拌した後、それを、冷飽和NaHCO3溶液(20mL)に添加し、DCM(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、濃縮し、分取TLC(DCM中の10%MeOH、Rf=0.2)によって精製し、続いて、分取HPLC(ACN、アセトニトリル:42~62%、0.225%FA)によって精製して、PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ2(7.2mg、7.0%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.868分,m/z=781.3[M+1]+。
実施例20D:PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ3の調製
PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ3を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(2.0mL)中のトリホスゲン(65.37mg、0.220mmol)の溶液を、DCM(3.0mL)中の化合物A1(420.0mg、0.440mmol)及びトリエチルアミン(89.16mg、0.880mmol)の混合物に、N2下、0℃で添加した。混合物を、21℃で30分間撹拌した後、それを濃縮し、DCM(18mL)を添加した。DCM(2.0mL)中のA2(75.0mg、0.390mmol)及びトリエチルアミン(78.91mg、0.780mmol)の溶液を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を20℃で1時間撹拌した後、それを真空中で濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~50%EtOAC)によって精製して、化合物A3(350mg、74%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.379分,m/z=1171.5[M+1]+。
THF(30mL)及び水(15mL)中の化合物A3(415.2mg、0.350mmol)の溶液に、HOAc(2.02mL、35.2mmol)を添加した。反応溶液を、20℃で12時間撹拌した。それを、真空中で濃縮し、EtOAc(200mL)で希釈し、H2O(2×100mL)で洗浄し、次いで、NaHCO3水溶液(2×60mL)で洗浄した。EtOAc層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。それを、カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~10%MeOH)によって精製して、黄色固体として化合物A4(320mg、87.1%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.080分,m/z=943.5[M+1]+。
DCM(20mL)中の化合物A4(170.0mg、0.180mmol)の溶液に、DMP(229.3mg、0.540mmol)を添加した。反応混合物を、18℃で1時間撹拌し、それを、H2O(20mL)及びNa2SO3水溶液(20mL)で希釈し、NaHCO3水溶液(20mL)を添加した。混合物を、EtOAc(3×60mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~5%MeOH)によって精製して、白色固体として化合物A5(150mg、75%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.814分,m/z=961.5[M+23]+。
TFA(9.5mL)及び水(0.50mL)中の化合物A5(75.0mg、0.080mmol)の溶液を、14℃で1時間撹拌した。反応混合物を、冷飽和NaHCO3(100mL)中に注ぎ、DCM(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ、濃縮し、分取TLC(DCM中の4%MeOH Rf=0.5)によって精製して、続いて、分取HPLC(Waters Xbridge Prep OBD C18 150*30 5u、条件:0.225%FA-CAN)によって精製して、白色固体としてPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ3(9.5mg、14%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.956分,m/z=821.3[M+23]+。
実施例20E:PBD二量体対照1の調製
PBD二量体対照1を、以下の反応スキームに従って調製した。
HOAc/THF/H2O(9.0mL/4.5mL/3.0mL)中の化合物A1(1.80g、1.71mmol)の溶液を、室温で48時間撹拌した。溶液を、EtOAc(150mL)で希釈し、H2O(4×40mL)、NaHCO3水溶液(4×40mL)、及びH2O(40mL)で洗浄した。EtOAc層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、油として化合物A2(1.38g、91%)を得た。
DCM(20mL)中の化合物A2(800mg、0.99mmol)の撹拌溶液に、DMP(1.26g、2.97mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温で3時間撹拌した。それを、EtOAc(100mL)で希釈し、Na2SO3水溶液(30mL)で、0℃で反応停止処理した。有機層を、H2O(3×30mL)、NaHCO3水溶液(30mL)、及びH2O(30mL)で洗浄した。それを、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、分取TLC(DCM/MeOH=15:1)によって精製して、無色固体として化合物A3(400mg、50.0%)を得た。LCMS(ESI,5-95AB/1.5分):RT=0.767分,[M+Na]+=843.4。
95%TFA/H2O(4.0mL)中の化合物A3(300mg、0.36mmol)の溶液を、0℃で2時間撹拌した。次いで、溶液を、飽和NaHCO3溶液(120mL)に0℃で滴加した。混合物を、DCM(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、乾燥させ、濃縮し、分取HPLCによって精製して、白色固体としてPBD二量体対照1(70mg、33%)を得た。LCMS(ESI,5-95AB/1.5分):RT=0.767分,[M+Na]+=843.4 1H NMR(400MHz,CDCl3)δppm7.69(d,J=4.80Hz,2H),7.50(s,2H),6.81(s,2H),5.19(d,J=10.80Hz,4H),4.29(s,5H),4.02-4.19(m,4H),3.94(s,6H),3.83-3.92(m,3H),3.09-3.16(m,2H),2.90-2.99(m,2H),1.98-1.94(m,4H),1.66-1.70(m,2H)。
実施例20F:PBD二量体対照2の調製
PBD二量体対照2を、以下の反応スキームに従って調製した。
HOAc/THF/H2O(9.0mL/4.5mL/3.0mL)中の化合物A1(1.80g、1.71mmol)の溶液を、室温で、48時間撹拌した。それを、EtOAc(150mL)で希釈し、H2O(4×40mL)、NaHCO3水溶液(2×40mL)、及びH2O(40mL)で洗浄した。EtOAc層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮して、油として化合物2(1.38g、91%)を得た。
DCM(20mL)中の化合物A2(800mg、0.99mmol)の撹拌溶液に、DMP(1.26g、2.97mmol)を0℃で添加し、反応混合物を室温で3時間撹拌した。次いで、混合物を、EtOAc(100mL)で希釈し、Na2SO3水溶液(30mL)で、0℃で反応停止処理した。有機層を、H2O(3×30mL)、飽和NaHCO3溶液(30mL)、及びH2O(30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM/MeOH=15:1)によって精製して、無色固体として化合物A3(400mg、50.0%)を得た。LCMS(ESI,5-95AB/1.5分):RT=0.867分,[M+Na]+=843.4。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.20(s,2H),6.61(s,2H),5.49(d,J=9.2Hz,2H),5.14(d,J=4.8Hz,4H),4.32-4.14(m,5H),4.07-3.99(m,5H),3.90(s,6H),3.62(t,J=9.2Hz,2H),2.96-2.89(m,2H),2.73-2.69(m,2H),1.98-1.94(m,4H),1.69-1.67(m,2H),1.37(s,18H)。
95%TFA/H2O(2.0mL)中の化合物A3(120mg、0.147mmol)の溶液を、0℃で2時間撹拌した。次いで、溶液を、飽和NaHCO3溶液(120mL)に0℃で滴加した。混合物を、DCM(3×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、粗生成物として化合物4(86mg、100%)を得た。LCMS(ESI,5-95AB/1.5分):RT=0.764分,[M+H]+=585.3。
無水DCM/MeOH(5.0mL/2.5mL)中の化合物A4(86mg、0.147mmol)の溶液に、NaBH3CN(92mg、1.47mmol)を添加した。反応混合物を、室温で一晩撹拌した。それを濃縮し、残渣を、飽和NaHCO3(20mL)で希釈し、DCM(3×20mL)で抽出した。合わせたDCM層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を、分取HPLC(FA)によって精製して、白色固体としてPBD二量体対照2(15.6mg、18.1%)を得た。LCMS(ESI,5-95AB/1.5分):RT=0.808分,[M+H]+=589.3。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.58(s,2H),6.05(s,2H),5.06(d,J=11.6Hz,4H),4.42-4.27(m,6H),3.98(t,J=6.8Hz,6H),3.84(s,6H),3.55(d,J=12.0Hz,2H),3.35-3.30(dd,J=12.4,9.6Hz,2H),2.93-2.87(m,2H),2.46-2.42(m,2H),1.94-1.89(m,4H),1.62-1.60(m,2H)。
実施例21:抗体へのコンジュゲーションのためのリンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグの調製
実施例21A:リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ4の調製
リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ4を、以下の反応スキームに従って調製した。
上記構造における、及び実施例21に示される他の箇所のアスタリスクは、キラル中心を表す。
DCM(10mL)中のA6(400.0mg、1.47mmol)の混合物に、エタンチオールA7(2.74g、44.1mmol)を添加した。反応混合物を、40℃で30時間撹拌した。混合物を、MnO2(0.20g)で5分間処理し、濾過した。濾液を濃縮し、残渣を、分取TLC(100%DCM、Rf=0.5)によって精製して、無色油として化合物A2(110mg、42%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ3.74(s,2H),2.75-2.70(m,2H),2.13-1.87(m,6H),1.84(s,1H),1.30(t,J=7.6Hz,3H)。
DCM(4.0mL)中のトリホスゲン(82.4mg、0.28mmol)の溶液に、DCM(4.0mL)中のA2(110.0mg、0.620mmol)及びピリジン(146.4mg、1.85mmol)の溶液を滴加した。混合物を、15℃で30分間撹拌し、濃縮した。それを、DCM(5.0mL)に溶解し、DCM(15.0mL)中のA1(1.05g、1.23mmol)及びピリジン(145.87mg、1.84mmol)の溶液に0℃で滴加した。混合物を15℃で2時間撹拌した後、それを濃縮し、残渣をカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~50%EtOAc)によって精製して、黄色油としてA3(310mg、45.8%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.151分,m/z=1057.4[M+1]+。
DCM(5.0mL)中のトリホスゲン(26.5mg、0.090mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中のA3(210mg、0.200mmol)及びトリエチルアミン(60.28mg、0.60mmol)の溶液を0℃で添加した。反応混合物を、15℃で30分間撹拌した。上記の混合物に、DMSO(3.0mL)中のMC-VC-PAB(166.0mg、0.290mmol)及びトリエチルアミン(59.0mg、0.58mmol)の溶液を滴加した。反応混合物を、40℃で2時間撹拌した。混合物を、DCM(30mL)で希釈し、水(3×10mL)で洗浄した。合わせた有機層を、乾燥させ、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~10%MeOH)によって精製して、黄色油としてA4(160mg、48.4%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.271分,m/z=828.6[M/2+1]+。
THF(3.0mL)及び水(3.0mL)中のA4(160.0mg、0.100mmol)の混合物に、酢酸(4.5mL)を添加した。反応混合物を、15℃で15時間撹拌した。混合物を、EtOAc(30mL)で希釈し、水(2×10mL)、飽和NaHCO3(2×10mL)、及びブライン(10mL)で洗浄した。有機相を、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、黄色油として粗物A5(120mg、82.7%)を得、これをさらに精製することなく次のステップで使用した。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.801分,m/z=714.6[M/2+1]+。
DMSO(3.0mL)中のA5(60.0mg、0.040mmol)の混合物に、IBX(58.8mg、0.21mmol)を添加した。反応混合物を、40℃で16時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(ACN40~70%/水中の0.225%FA)によって精製して、白色固体として(15mg、25.1%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.758分,m/z=712.5[M/2+1]+。
本開示のいくつかの態様において、リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ4は、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ4を形成するために、抗体にコンジュゲートされてもよい。
実施例21B:リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ3の調製
リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ3を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(10mL)中のトリホスゲン(486.9mg、1.64mmol)の溶液に、DCM(10mL)中の化合物A1(1.40g、1.64mmol)及びトリエチルアミン(664mg、6.56mmol)の溶液を添加した。混合物を、8℃で10分間撹拌した。混合物を濃縮して、黄色固体として粗生成物(1.48g、99.6%)を得た。DCM(15mL)中の上記の粗生成物(1.41g、1.56mmol)の溶液に、DCM(6.0mL)中の化合物A2(150.0mg、0.780mmol)及びトリエチルアミン(158mg、1.56mmol)の溶液を添加した。混合物を8℃で1時間撹拌した後、それを濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の50%EtOAc)によって精製して、黄色固体として生成物化合物A3(300mg、30%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.193分,m/z=1071.5[M+1]+。
DCM(6.0mL)中のトリホスゲン(41.6mg、0.140mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A3(300mg、0.280mmol)及びトリエチルアミン(56.7mg、0.560mmol)の溶液を添加した。混合物を、8℃で15分間撹拌した。混合物を濃縮して、黄色固体として粗生成物(307mg、99.9%)を得、これを次のステップに直接使用した。DCM(10mL)中の粗生成物(300.0mg、0.270mmol)の溶液に、DMF(6.0mL)中のMC_VC_PAB(156mg、0.270mmol)及びトリエチルアミン(27.7mg、0.270mmol)の溶液を添加した。混合物を8℃で12時間撹拌した後、それを濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中の6%MeOH)によって精製して、黄色固体として生成物化合物A4(140mg、31%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.354分,m/z=836.4[M/2+1]+。
THF(2.0mL)、水(2.0mL)、及び酢酸(3.0mL)中の化合物A4(140.0mg、0.080mmol)の混合物を、8℃で12時間撹拌した。混合物を、EtOAc(60mL)で希釈し、水(3×50mL)、飽和NaHCO3(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄した。有機層を、乾燥させ、濃縮して、黄色固体として粗生成物化合物A5(120mg、99%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.983分,m/z=722.0[M/2+1]+。
DMSO(4.0mL)中の化合物A5(140.0mg、0.100mmol)の溶液に、IBX(108mg、0.390mmol)を18℃で添加した。反応混合物を、40℃で8時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(ACN40~70%/水中の0.225%FA)によって精製して、白色固体として、リンカーを含む生成物PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ2(20mg、14%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.760分,m/z=719.7[M/2+1]+。
本開示のいくつかの態様において、リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ3は、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ2AまたはPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ2Bを形成するために、抗体にコンジュゲートされてもよい。
実施例21C:リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ2の調製
リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ2を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(25.0mL)中の化合物A8(3.18g、10.24mmol)の溶液に、化合物A9(400mg、5.12mmol)を添加した。混合物を、8℃で12時間撹拌した。混合物に、MnO2(100mg)を添加し、10分間撹拌し、濾過した。濾液を、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(100%DCM)によって精製して、黄色固体として化合物2(620mg、2.67mmol、52.1%)を得た。
DCM(5.0mL)中のトリホスゲン(191.6mg、0.65mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A2(300mg、1.29mmol)及びピリジン(306mg、3.87mmol)の溶液を添加した。混合物を、8℃で10分間撹拌した。得られた混合物を、DCM(15.0mL)中の化合物A1(1.43g、1.68mmol)及びピリジン(306mg、3.87mmol)の溶液に滴加した。混合物を8℃で30分間撹拌した後、それを濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の50%EtOAc)によって精製して、黄色油として生成物化合物A3(0.50g、0.427mmol、33.1%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.077分,m/z=1111.7[M+1]+。
DCM(10mL)中の化合物A3(300mg、0.270mmol)の溶液に、化合物A4(205mg、2.7mmol)を添加した。混合物を、8℃で10分間撹拌した。混合物に、MnO2(100mg)を添加し、10分間撹拌し、濾過した。濾液を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の50%EtOAc)によって精製して、黄色固体として生成物化合物A5(210mg、0.204mmol、75.4%)を得た。
DCM(5.0mL)中のトリホスゲン(30.2mg、0.100mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A5(210mg、0.200mmol)及びトリエチルアミン(61.7mg、0.610mmol)の溶液を添加した。混合物を8℃で30分間撹拌した。次いで、混合物を、DMF(5.0mL)中のMC_VC_PAB(139.8mg、0.240mmol)及びトリエチルアミン(61.7mg、0.610mmol)の溶液に滴加した。混合物を、8℃で12時間撹拌した。混合物を、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中の8%MeOH)によって精製して、黄色油として生成物化合物A6(140mg、0.085mmol、41.8%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.248分,m/z=816.1[M/2+1]+。
酢酸(3.0mL)、THF(2.0mL)、及び水(2.0mL)中の化合物A6(140.0mg、0.090mmol)の混合物を、8℃で8時間撹拌した。混合物を、EtOAc(60mL)で希釈し、水(3×50mL)、飽和NaHCO3(50mL)、ブライン(50mL)で洗浄し、濃縮して、白色固体として生成物化合物A7(120mg、0.0856mmol、99.7%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.787分,m/z=701.6[M/2+1]+。
DMSO(3.0mL)中の化合物A7(130.0mg、0.090mmol)の溶液に、IBX(129.9mg、0.460mmol)を9℃で添加した。反応混合物を、50℃で48時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(ACN35~65%/水中の0.225%FA)によって精製して、白色固体として、リンカーを含む生成物PBD二量体ジスルフィドプロドラッグ4(10mg、0.0071mmol、7.6%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.728分,m/z=1397.9[M+1]+。
本開示のいくつかの態様において、リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ2は、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ4を形成するために、抗体にコンジュゲートされてもよい。
実施例21D:二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1A及び1Bを形成するためにコンジュゲーションのためのリンカーを含み、構造、
、
、及び名称:4-(tert-ブチルジスルファネイル)ベンジル(11aS)-8-((5-(((11aS)-10-(((4-((S)-2-((S)-2-(6-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)ヘキサンアミド)-3-メチルブタンアミド)-5-ウレイドペンタンアミド)ベンジル)オキシ)カルボニル)-11-ヒドロキシ-7-メトキシ-2-メチレン-5-オキソ-2,3,5,10,11,11a-ヘキサヒドロ-1H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピン-8-イル)オキシ)ペンチル)オキシ)-11-ヒドロキシ-7-メトキシ-2-メチレン-5-オキソ-2,3,11,11a-テトラヒドロ-1H-ベンゾ[e]ピロロ[1,2-a][1,4]ジアゼピン-10(5H)-カルボキシレート、を有する、PBD二量体ジスルフィドプロドラッグの調製。
リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグを、以下の反応スキームに従って調製した。
95%EtOH(10mL)中のA7(250mg、1.78mmol)の溶液に、A8(2.01mL、17.85mmol)を添加した。混合物を、0℃まで冷却し、混合物の色が無色から茶色に変化するまで、95%EtOH(10mL)中のヨウ素(200mg、0.79mmol)の溶液を滴加した。それを2時間撹拌した後、pHが7を超えるまで、飽和NaHCO3(2.0mL)を、0℃で添加した。溶液を、真空中で濃縮した。EtOAc(20mL)を添加し、有機層を、10%NaHCO3(3×15mL)及びブラインで洗浄した。有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~32%EtOAc)によって精製して、黄色油として化合物A2(280mg、68.8%)を得た。1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.51(d,J=8.4Hz,2H),7.23(d,J=8.4Hz,2H),4.57(s,2H),2.40(br,1H),1.29(s,9H)。
DCM(1.0mL)中のトリホスゲン(26mg、0.090mmol)の溶液に、DCM(4.0mL)中の化合物A2(50.0mg、0.220mmol)及びピリジン(18.0mg、0.230mmol)の溶液を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、N2下、0℃で5分間撹拌した後、それを、ピリジン(34.0mg、0.430mmol)及びA1(277mg、0.320mmol)の溶液に、N2下、0℃で滴加した。反応混合物を、N2下、20℃で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を、分取TLC(石油エーテル中の50%EtOAc、Rf=0.4)によって精製して、黄色発泡体として化合物A3(70mg、28.3%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.328分,m/z=1108.7[M+1]+。
DCM(7.0mL)中のトリホスゲン(46.0mg、0.160mmol)の溶液に、DCM(3.0mL)中の化合物A3(400.0mg、0.360mmol)及びトリエチルアミン(37.0mg、0.370mmol)の混合物を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、DMF(3.0mL)中のMC-VC-PAB(247.0mg、0.430mmol)及びトリエチルアミン(73.0mg、0.720mmol)の溶液を、N2下、20℃で添加した。反応混合物を、N2下、40℃で8時間撹拌した。混合物を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM中の0~6%MeOH)によって精製して、黄色固体として化合物A4(190mg、30.7%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.308分,m/z=854.2[M/2+1]+。
水(2.0mL)及びTHF(2mL)中の化合物A4(415mg、0.240mmol)の溶液に、HOAc(6.47mL、113mmol)を、15℃で添加した。反応混合物を、15℃で7時間撹拌した後、それを、EtOAc(30mL)で希釈し、水(2×15mL)、飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びブライン(15mL)で洗浄した。それを乾燥させ、濃縮して、黄色固体として粗化合物A5(150mg、41.7%)を得、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.997分,m/z=739.4[M/2+1]+。
DMSO(3.0mL)中の化合物A5(50.0mg、0.030mmol)の溶液に、IBX(38.0mg、0.140mmol)を18℃で添加した。反応混合物を、37℃で8時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(ACN40~70%/水中の0.225%FA)によって精製して、白色固体として、リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1(17.2mg、33.1%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.806分,m/z=737.1[M/2+1]+。
本開示のいくつかの態様において、リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグは、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1AまたはPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ1Bを形成するために、抗体にコンジュゲートされてもよい。
実施例21E:リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ5の調製
リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ5を、以下の反応スキームに従って調製した。
DMF(40mL)中のTBDPSCl(8.62g、31.36mmol)の溶液に、DMF(30mL)中の化合物A8(2.27g、29.05mmol)の溶液を滴加した。溶液を10分間撹拌した後、DMF(8.0mL)中のイミダゾール(4.27g、62.7mmol)を添加し、反応混合物を20℃24時間撹拌した。混合物を濃縮し、DCM(30mL)に取り込み、濾過し、H2O(3×30mL)で洗浄した。有機層を、MgSO4で乾燥させ、濾過し、溶媒を除去した。残渣を、フラッシュカラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の3%EtOAc)によって精製して、無色油として化合物A9(7.0g、76%)を得た。
DCM(10mL)中の化合物A9(1.00g、3.16mmol)の溶液に、DCM(10mL)中の化合物A10(1.96mg、6.32mmol)の溶液を15分間にわたって滴加した。混合物を26℃でさらに1時間撹拌した後、二酸化マンガン(1.00g、11.5mmol)を添加し、黄色溶液が無色になるまで、10分間撹拌した。二酸化マンガンを濾過し、濾液を濃縮した。MeOH(5.0mL)を添加し、固体を濾過して、化合物A10を除去した。残渣を、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~2.5%EtOAc)によって精製して、黄色固体として化合物A11(0.90g、61%)を得た。
DCM(6.0mL)中の化合物A11(250mg、1.89mmol)の溶液に、DCM(4.0mL)中の化合物A12(0.50g、1.58mmol)の溶液を、15分間にわたって滴加した。添加後、混合物を26℃でさらに1時間撹拌した。二酸化マンガン(1.0g、11.5mmol)を添加した。黄色反応溶液が無色になるまで、混合物を、さらに10分間撹拌した。二酸化マンガンを濾過し、濾液を濃縮し、MeOH(5.0mL)を添加した。固体を濾過し、残渣を、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~14%EtOAc)によって精製して、黄色油として化合物A2(0.500g、71%)を得た。
DCM(5.0mL)中のトリホスゲン(695mg、2.34mmol)の溶液に、DCM(10mL)中の化合物A1(2.0g、2.34mmol)及びトリエチルアミン(711.0mg、7.03mmol)の溶液を0℃で添加した。混合物を0℃で30分間撹拌した。反応混合物を濃縮し、DCM(4.0mL)中の化合物A2(680mg、1.52mmol)及びトリエチルアミン(308mg、3.04mmol)の溶液を添加した。混合物を、25℃で2時間撹拌し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~50%EtOAc)によって精製して、黄色固体としてA3(700mg、33%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.401分,m/z=1326.0[M+1]+。
DCM(10mL)中のトリホスゲン(54.0mg、0.180mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A3(500mg、0.450mmol)及びトリエチルアミン(50.0mg、0.490mmol)の混合物を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、0℃で30分間撹拌した。反応混合物に、DMF(3.0mL)中のFmoc-VC_PAB(260.0mg、0.450mmol)及びトリエチルアミン(78.0mg、0.770mmol)の溶液を添加した。混合物を、40℃で8時間撹拌し、濃縮し、カラムクロマトグラフィー(DCM中0~8%MeOH)によって精製して、黄色固体として化合物A4(130mg、14%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.474分,m/z=978.1[M/2+1]+。
水(2.0mL)及びTHF(2.0mL)中の化合物A4(130.0mg、0.070mmol)の溶液に、HOAc(3.0mL、52.5mmol)を26℃で添加し、26℃で7時間撹拌した。反応混合物を、EtOAc(20mL)で希釈し、水(2×15mL)、飽和NaHCO3(10mL)、及びブライン(10mL)で洗浄した。それを乾燥させ、濃縮して、黄色固体として粗化合物A5(130mg、83%)を得、これをさらに精製することなく次のステップに直接使用した。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.065分,m/z=863.2[M/2+1]+。
DMSO(3.0mL)中の化合物A5(130.0mg、0.080mmol)の溶液に、2-ヨードキシ安息香酸(84.4mg、0.300mmol)を25℃で添加した。混合物を、40℃で10時間撹拌した後、それを、分取HPLC(ACN85~100%、水中の0.225%FA)によって精製して、白色固体として生成物A6(60mg、45%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.178分,m/z=861.4[M/2+1]+。
THF(3.0mL)中の化合物A6(60.0mg、0.035mmol)の溶液に、TBAF(39.4mg、0.150mmol)を26℃で添加した。反応混合物を、26℃で2時間撹拌した。反応混合物を、DCM(20mL)で希釈し、水(3×15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、黄色油として粗化合物A7(70mg、粗物)を得た。
DMF(2.0mL)中の化合物A7(70.0mg、0.060mmol)の撹拌溶液に、MC_OSu(51.4mg、0.170mmol)を26℃で添加した。混合物を、26℃で2時間撹拌した。反応混合物を、分取HPLC(ACN35~55%/水中の0.225%FA)によって精製して、白色固体として(5.5mg、6.7%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.852分,m/z=1453.5[M+1]+。
本開示のいくつかの態様において、リンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ5は、PBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグ5を形成するために、抗体にコンジュゲートされてもよい。
実施例22:抗体へのコンジュゲーションのためのリンカーを含むPBD二量体ボロン酸プロドラッグの調製
実施例22A:リンカーを含むPBD二量体ボロン酸プロドラッグ1の調製
リンカーを含むPBD二量体ボロン酸プロドラッグ1を、以下の反応スキームに従って調製した。
上記構造における、及び実施例22に示される他の箇所のアスタリスクは、キラル中心を表す。
THF(15mL)中のトリホスゲン(228mg、0.77mmol)の溶液に、THF(5.0mL)中の溶液A2(450mg、1.92mmol)及びピリジン(304mg、3.84mmol)を、N2下、0℃で添加した。混合物を、N2下、0℃で20分間撹拌し、DCM(20mL)中のA1(2.04g、2.39mmol)及びトリエチルアミン(389mg、3.84mmol)の溶液を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、10℃で2時間撹拌した。混合物を濃縮し、分取TLC(石油エーテル中の30~60%EtOAc)によって精製して、黄色固体として化合物A3(500mg、26%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.268分,m/z=1113.4[M+1]+。
DCM(15mL)中のトリホスゲン(53mg、0.18mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A3(500mg、0.39mmol)及びトリエチルアミン(45mg、0.44mmol)の混合物を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、0℃で30分間撹拌した。この反応混合物に、DMSO(4.0mL)中のMC_VC_PAB(308mg、0.54mmol)及びトリエチルアミン(90mg、0.89mmol)の溶液を、N2下、10℃で添加した。反応混合物を、N2下、40℃で6時間撹拌した。混合物を、DCM(30mL)で希釈し、水(2×15mL)で洗浄し、水層をEtOAc(2×20mL)で抽出した。合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、フラッシュカラム(DCM中0~10%MeOH)によって精製して、黄色固体として化合物8(300mg、収率34%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.253分,m/z=857.1[M/2+1]+。
水(2.0mL)及びTHF(2.0mL)中の化合物A4(100.0mg、0.050mmol)の溶液に、HOAc(3.0mL)を10℃で添加した。反応混合物を、10℃で6時間撹拌した。反応混合物を、EtOAc(20mL)で希釈し、水(2×15mL)、飽和NaHCO3水溶液(15mL)及びブライン(15mL)で洗浄した。それを、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、黄色固体として粗化合物A5(71mg、収率99.8%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.829分,m/z=857.1[M/2-17]+。
DMSO(3.0mL)中の化合物A5(36mg、0.030mmol)の溶液に、2-ヨードキシ安息香酸(22mg、0.080mmol)を9℃で添加した。反応混合物を、40℃で6時間撹拌した。混合物を、分取HPLC(ACN27~47%/水中の0.225%FA)によって精製して、白色固体として、リンカーを含むPBD二量体ボロン酸プロドラッグ1(2.0mg、5.5%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.813分,HRMS:m/z=1397.5906[M+1]+。
本開示のいくつかの態様において、リンカーを含むPBD二量体ボロン酸プロドラッグ1は、PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1AまたはPBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1Bを形成するために、抗体にコンジュゲートされてもよい。
実施例22B:リンカーを含むPBD二量体ボロン酸対照1の調製
リンカーを含むPBD二量体ボロン酸対照1を、以下の反応スキームに従って調製した。
DMF(2.0mL)中の化合物A1(500.0mg、0.590mmol)に、Cbz-OSu(161mg、0.640mmol)を添加した。混合物を、50℃で4時間撹拌した後、さらなるバッチのCbz-OSu(161mg、0.640mmol)を添加した。混合物を、50℃でさらに16時間撹拌した後、分取TLC(DCM中5%MeOH、Rf=0.8)によって精製し、続いて、分取HPLCによって精製して、橙色油として化合物A2(220mg、35.2%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.097分,m/z=987.5[M+1]+。
DCM(3.0mL)中のトリホスゲン(26.45mg、0.090mmol)及び4ÅMS(30mg)の混合物に、DCM(2.0mL)中の化合物A2(220.0mg、0.220mmol)及びトリエチルアミン(22.6mg、0.220mmol)の溶液を、0℃で添加した。混合物を、0℃で1時間撹拌し、濃縮した。この溶液に、DCM(6.0mL)中のこのイソシアネート(225.0mg、0.220mmol)を、DMF(2.0mL)中のMC_VC_PAB(34.59mg、0.060mmol)、Et3N(23mg、0.22mmol)、及び4ÅMS(30mg)の溶液を0℃で添加した。混合物を、20℃で16時間撹拌した後、それを水で反応停止処理した。DCM(10mL)を添加し、分離し、DCM相を濃縮し、分取TLC(DCM中15%MeOH、Rf=0.4)によって精製して、淡黄色油として化合物A3(70mg、19.8%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.107分,m/z=793.9[M/2+1]+。
THF(3.0mL)及び水(2.0mL)の混合物中の化合物A3(70.0mg、0.040mmol)を、HOAc(1.0mL、17.49mmol)に添加し、混合物を40℃で8時間撹拌した。混合物を濃縮し、分取TLC(DCM中13%MeOH、Rf=0.5)によって精製して、黄色油として化合物A4(40mg、67.8%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.751分,m/z=679.6[M/2+1]+。
DMSO(3.0mL)中の化合物A4(30.0mg、0.020mmol)の溶液に、2-ヨードキシ安息香酸(30.9mg、0.110mmol)を18℃で添加した。反応混合物を40℃16時間撹拌した後、それを、分取TLC(DCM中10%MeOH、Rf=0.4)によって精製して、白色固体として、リンカーを含むPBD二量体ボロン酸対照1(13mg、43.5%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.726分,m/z=677.5[M/2+1]+。
本開示のいくつかの態様において、リンカーを含むPBD二量体ボロン酸対照1は、PBD二量体ADCボロン酸対照1AまたはPBD二量体ADCボロン酸対照1Bを形成するために、抗体にコンジュゲートされてもよい。
実施例23:PBD単量体及び二量体ジアフォラーゼプロドラッグの調製
実施例23A:PBD単量体ジアフォラーゼプロドラッグ2の調製
PBD単量体ジアフォラーゼプロドラッグ2を、以下の反応スキームに従って調製した。
上記構造における、及び実施例23に示される他の箇所のアスタリスクは、キラル中心を表す。
DCM(2.0mL)中のトリホスゲン(58.39mg、0.200mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A1を、N2下、0℃でゆっくりと添加し、混合物を、0℃で1時間撹拌した。DCM(2.0mL)中の化合物A2(100.0mg、0.450mmol)及びトリエチルアミン(91.5mg、0.900mmol)を、上記の溶液に、10分間にわたって0℃で滴加した。混合物を、0℃で1時間撹拌した。混合物を、水(5.0mL)で反応停止処理し、分離し、濃縮した。それを、分取TLC(DCM中の5%MeOH、Rf=0.7)によって精製して、橙色固体として化合物A3(63mg、19%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.007分,m/z=654.3[M+1]+。
化合物A3(63.0mg、0.100mmol)、THF(2.0mL)及び水(1.0mL)の溶液に、酢酸(2.0mL、2.1mmol)を添加した。混合物を、15℃で16時間撹拌した。混合物を濃縮し、分取TLC(DCM中の5%MeOH、Rf=0.3)によって精製して、橙色固体としてA4(40mg、77%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.761分,m/z=540.1[M+1]+。
DCM(3.0mL)中の化合物A4(26.0mg、0.050mmol)を、DMP(40.0mg、0.090mmol)に添加し、混合物を、10℃で16時間撹拌した。混合物を、飽和Na2SO3及びNaHCO3溶液の混合物(3.0mL/3.0mL)で反応停止処理した。有機相を、分離し、濃縮し、分取HPLC(Diamonsil150*20mm*5um、0.225%FA-ACN、ACN23~53%)によって精製して、橙色固体としてPBD単量体ジアフォラーゼプロドラッグ2(20mg、74%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.747分,m/z=538.1[M+1]+。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.22(s,1H),6.64(s,1H),6.52(s,1H),5.69(s,1H),5.59-5.57(d,J=9.6Hz,1H),5.30-5.27(d,J=13.6Hz,1H),5.16-5.15(m,2H),4.94-4.90(d,J=13.6Hz,1H),4.32-4.27(d,J=16.4Hz,1H),4.17-4.13(d,J=16.4,1H),3.93(s,3H),3.83(s,3H),3.78-3.76(m,6H),3.64-3.59(m,1H),2.47(m,1H),2.96-2.89(m,1H),2.73-2.69(m,1H)。
実施例23B:PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1の調製
PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(2.0mL)中のトリホスゲン(56.03mg、0.190mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A1(400mg、0.420mmol)及びトリエチルアミンの溶液を、0℃で滴加した。混合物を、19℃で1時間撹拌した後、DMSO(0.50mL)/DCM(2.50mL)中の化合物A2(92.8mg、0.420mmol)及びトリエチルアミン(42.5mg、0.420mmol)の溶液を添加した。混合物を、19℃で2.0時間撹拌した。混合物を、DCM(20.0mL)で希釈し、水(2×10.0mL)で洗浄し、分離した。水層を、EtOAc(2×20mL)で抽出し、合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取TLC(DCM中の20%MeOH、Rf=0.7)によって精製して、化合物A3(150mg、30%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.118分,m/z=1201.7[M+1]+。
THF(2.0mL)中の化合物A3(130.0mg、0.110mmol)の溶液に、酢酸(3.0mL)及び水(1.0mL)を添加した。混合物を、18℃で18時間撹拌した。飽和NaHCO3を添加して、pH=8に調整し、混合物を、DCM(2×50mL)で抽出した。有機層を合わせ、ブライン(30mL)及び水(30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させた。それを、濃縮し、分取TLC(DCM中の6.7%MeOH)によって精製して、黄色固体として化合物A4(72mg、68%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.766分,m/z=972.3[M+1]+。
DCM(10mL)中の化合物4(50.0mg、0.050mmol)の溶液に、DMP(76.36mg、0.180mmol)を添加し、混合物を18℃で18時間撹拌した。混合物を濾過し、濾液を、飽和Na2CO3(20.0mL)で洗浄した。水層を、DCM(2×20.0mL)で抽出し、有機層を合わせ、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。それを、分取TLC(DCM中の6.7%MeOH、Rf=0.5)によって精製して、黄色固体として化合物A5(40mg、74%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.731分,m/z=990.2[M+23]+。
TFA(1.0mL)を、化合物A5(40.0mg、0.040mmol)に0℃で滴加した。混合物を0℃で30分間撹拌した。飽和NaHCO3を、混合物に0℃で滴加して、pH=7に調整した。それを、DCM(3×20.0mL)で抽出し、合わせた有機層を、ブライン(20.0mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM中の6.7%MeOH、Rf=0.6)によって精製して、黄色固体としてPBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1(4.9mg、14%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.807分,m/z=850.2[M+23]+。
実施例23C:PBD単量体ジアフォラーゼプロドラッグ3の調製
PBD単量体ジアフォラーゼプロドラッグ3を、以下の反応スキームに従って調製した。
DMF(10mL)中の化合物A1(280mg、1.27mmol)の溶液に、DIEA(490mg、3.79mmol)及びビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(770mg、2.53mmol)を16℃で添加した。反応混合物を、N2下、16℃で2時間撹拌した。反応溶液を、濃縮し、MTBEで洗浄して、橙色固体として化合物A2(500mg、78%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.726分,m/z=491.0[M+23]+。
DMF(8.0mL)中の化合物A2(500mg、0.99mmol)、化合物A3(240mg、1.95mmol)、及びHOBt(13mg、0.10mmol)の溶液に、DIEA(340mg、2.63mmol)を16℃で添加した。反応混合物を、N2下、50℃で2時間撹拌した。反応物を濃縮し、残渣を、MeCN(3×8mL)で洗浄して、橙色固体として化合物A4(350mg、95%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.745分,m/z=393.1[M+23]+。
DCM(8.0mL)中のトリホスゲン(58mg、0.20mmol)の溶液に、DCM(1.5mL)中の化合物A5(200mg、0.49mmol)及びトリエチルアミン(60.0mg、0.59mmol)の溶液を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、N2下、12℃で30分間撹拌し、DCM(1.5mL)及びDMSO(1.0mL)中の化合物A4(91mg、0.25mmol)、TEA(75mg、0.74mmol)、及びDMAP(6mg、0.05mmol)の溶液を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、N2下、12℃で6時間撹拌し、それを、DCM(30mL)で希釈し、水(2×15mL)で洗浄した。水層を、EtOAc(2×20mL)で抽出し、合わせた有機層を、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取HPLC(ACN66~86%/水中の0.225%FA)によって精製して、橙色固体として化合物A6(60mg、12%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.051分,m/z=803.2[M+1]+。
水(1.0mL)及びTHF(1.0mL)中の化合物A6(40mg、0.05mmol)の溶液に、HOAc(1.5mL、26mmol)を10℃で添加した。反応混合物を、10℃で6時間撹拌した。反応混合物を、EtOAc(20mL)で希釈し、水(2×15mL)、飽和NaHCO3(15mL)、及びブライン(15mL)で洗浄した。それを、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取TLC(DCM中の6.25%MeOH)によって精製して、橙色固体として化合物A7(35mg、97%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.819分,m/z=689.1[M+1]+。
DCM(4.0mL)中の化合物A7(35mg、0.050mmol)の溶液に、DMP(61mg、0.14mmol)を0℃で添加した。反応混合物を、10℃で10時間撹拌した。反応物を、飽和NaHCO3/Na2SO3(4.0mL/4.0mL)で反応停止処理し、DCM(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、NaHCO3/Na2SO3(4.0mL/4.0mL)、ブライン(7.0mL)で洗浄した。それを、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取HPLC(ACN30~60%/水中の0.225%FA)によって精製して、橙色固体としてPBD単量体ジアフォラーゼプロドラッグ3(15mg、45%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.806分,m/z=687.2[M+1]+;1H NMR(400MHz,CDCl3)δ7.30-7.25(m,2H),7.18-7.15(M,4H),6.77(s,1H),6.69(S,1H),6.50(s,1H),5.67(s,1H),5.56(d,J=9.2Hz,1H),5.27(d,J=12.4Hz,1H),5.17-5.12(m,4H),4.81(d,J=12.4Hz,1H),4.27(d,J=16.0Hz,1H),4.12(d,J=16.0Hz,1H),3.33(s,3H),3.89(s,3H),3.81(s,3H),3.68-3.59(m,4H),2.93-2.87(m,1H),2.69(d,J=15.6Hz,1H)。
実施例23D:PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ2の調製
PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ2を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(12mL)中のトリホスゲン(62.0mg、0.210mmol)の溶液に、DCM(2.0mL)中の化合物A1(500.0mg、0.520mmol)及びトリエチルアミン(63.0mg、0.620mmol)の溶液を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、N2下、12℃で30分間撹拌し、DCM(1.5mL)及びDMSO(0.60mL)中の化合物A2(97.0mg、0.260mmol)、DMAP(6.0mg、0.050mmol)、及びトリエチルアミン(79.0mg、0.780mmol)の溶液を、N2下、0℃で添加した。反応混合物を、N2下、12℃で6時間撹拌した。それを、DCM(30mL)で希釈し、水(2×15mL)で洗浄した。水層を、EtOAc(2×20mL)で抽出し、有機層を、Na2SO4で乾燥させた。それを、シリカクロマトグラフィー(DCM中の3%MeOH)によって精製して、橙色固体として化合物A3(200mg、49%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.294分,m/z=1349.6[M+1]+。
水(2.0mL)及びTHF(2.0mL)中の化合物A3(206.9mg、0.130mmol)の溶液に、HOAc(3.0mL、52.46mmol)を9℃で添加した。反応混合物を、9℃で10時間撹拌した。それを、DCM(20mL)で希釈し、混合物を、NaHCO3(2×15mL)、水(15mL)で洗浄した。それを、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取TLC(DCM中の6.25%MeOH)によって精製して、黄色固体として化合物A4(100mg、66%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.932分,m/z=1121.6[M+1]+。
DCM(10mL)中の化合物A4(100.0mg、0.090mmol)の溶液に、DMP(113.0mg、0.270mmol)を0℃で添加した。反応混合物を、9℃で10時間撹拌した。反応物を、飽和NaHCO3/Na2SO3溶液(5.0mL/5.0mL)で反応停止処理し、DCM(3×10mL)で抽出した。合わせた有機層を、NaHCO3/Na2SO3(5mL/5mL)、ブライン(10mL)で洗浄し、乾燥させ、濃縮した。残渣を、分取TLC(DCM中の6.25%MeOH)によって精製して、橙色固体として化合物A5(45mg、46%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.884分,m/z=1140.0[M+23]+。
低温TFA(水中95%、2.0mL)を化合物A15(35.0mg、0.030mmol)に0℃で添加した。反応混合物を、0℃で15分間撹拌した。反応混合物を、飽和NaHCO3水溶液(4.0mL)に、0℃で滴加し、DCM(4×8.0mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(15mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮した。それを、分取HPLC(ACN36~66/水中の0.225%FA)によって精製して、橙色固体としてPBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ2(6.1mg、19%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.831分,m/z=999.3[M+1]+。
実施例23E:PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ3の調製
PBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ3を、以下の反応スキームに従って調製した。
DCM(5.0mL)中のトリホスゲン(28.0mg、0.090mmol)の溶液に、DCM(3.0mL)中の化合物A1(200mg、0.210mmol)及びトリエチルアミン(42.0mg、0.420mmol)の溶液を0℃で添加した。それを、N2下、26℃で20分間撹拌した。混合物を濃縮し、DCM(3.0mL)に溶解し、DCM(3.0mL)中のトリエチルアミン(38.0mg、0.380mmol)及び化合物A2(51.0mg、0.230mmol)の溶液に0℃で添加した。それを、N2下、26℃で2時間撹拌し、カラムクロマトグラフィー(石油エーテル中の0~40%EtOAc)によって精製して、黄色固体として化合物A3(240mg、90%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.159分,m/z=1200.5[M+1]+。
THF(4.0mL)及び水(4.0mL)中の化合物A3(240.0mg、0.200mmol)の溶液を、HOAc(6.0mL、153mmol)に25℃で添加した。混合物を、25℃で10時間撹拌し、EtOAc(100mL)を添加した。それを、水(50mL)、飽和NaHCO3(50mL)、次いでブライン(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮して、黄色固体として粗生成物化合物A4(194mg、99.8%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.767分,m/z=972.4[M+1]+。
DCM(15mL)中の化合物A4(194.0mg、0.200mmol)の溶液に、DMP(211.6mg、0.500mmol)を添加した。混合物を、26℃で1時間撹拌し、飽和Na2SO3/NaHCO3(10mL/10mL)で反応停止処理した。それを、DCM(2×30mL)で希釈し、分離した。DCM相を、水(20mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮し、分取HPLC(ACN43~63/水中の0.225%FA)によって精製して、黄色固体として化合物A5(70mg、収率36%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.733分,m/z=968.6[M+1]+。
TFA(0.20mL、2.68mmol)を、化合物A5(40.0mg、0.040mmol)に0℃で添加した。反応混合物を、0℃で30分間撹拌し、冷却飽和NaHCO3(2.0mL)で反応停止処理した。DMSO(2.0mL)を添加し、混合物を、分取HPLC(ACN36~66%/水中の10mM NH4HCO3)によって精製して、黄色固体としてPBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ3(9.9mg、28%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.695分,m/z=850.3[M+1]+。
実施例24:キノンの合成
実施例24A:キノン1の合成
キノン1を、以下の反応スキームに従って調製した。
DMF(300mL)中のNaH(8.9g、0.223mol)の懸濁液に、氷浴中で冷却した。これに、DMF(150mL)中の出発アミン(30g、0.171mol)の溶液を滴加した。反応混合物を、室温で60分間撹拌した。次いで、ヨードメタン(31.5g、0.223mol)を添加した。反応混合物を、室温で1時間撹拌した。次いで、混合物を、10%のNaHCO3水溶液に注ぎ、EAで抽出した。合わせた有機相を、10%のNaHCO3水溶液、ブラインで洗浄し、乾燥させた。溶液を濃縮して、粗生成物を得、これを、EA/Hexから粉砕して、淡黄色固体として生成物(29.5g、91.2%)を得た。
出発アルデヒド(29.5g、156mmol、1当量)の溶液に、酢酸(300mL)中の5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-3-カルバルデヒドを、10℃まで冷却した。これに、酢酸(20mL)中の硝酸(4.6mL)の混合物を添加した。次いで、反応混合物を、室温で16時間撹拌した。黄色懸濁液を得、これを氷水混合物上に注ぎ、得られた結晶を、濾過し、乾燥させた。粗生成物を、EA/Hexから粉砕して、黄色固体として生成物(30.0g、82.1%)を得た。
エタノール(600mL)中の出発材料(10g、43mmol)の懸濁液に、錫粉末(44.23g、0.37mol)を添加した。続いて、3N HCl(200mL)を添加した。反応物を、室温で2時間撹拌した。溶液を、飽和NaHCO3水溶液で希釈した。混合物を、濾過し、EAで洗浄した。有機相を分離し、水性相を、EAで抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得、これをEA/Hex=1/20から粉砕して、灰色固体として生成物(6.0g、68.3%)を得た。
出発アルデヒド(5.0g、24.5mmol、1当量)を、100mLのTHFに溶解した。200mLのTHF中のLiAlH4(1.86g、49mmol、2当量)の懸濁液に、0℃まで冷却した。アルデヒドの溶液を、LiAlH4溶液に滴加した。反応物が、室温に達し、室温で30分間撹拌した。それを、水で反応停止処理し、次いで、セライトを通して濾過し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。残渣を、次の反応で直接使用した。残渣を、300mLのアセトンに溶解した。300mLの0.3M NaH2PO4の溶液に、19.7g(73.5mmol、3当量)のFremy塩を添加した。この混合物を、アセトン中の残渣に添加し、室温で0.5時間撹拌した。過剰アセトンを真空中で除去した。得られた残渣を、ジクロロメタンで抽出し、水で洗浄した。有機層を、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。粗生成物を、EA/Hexから粉砕して、橙色固体として生成物(2.51g、46.1%、2つのステップ)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ6.70(s,1H),5.69(s,1H),4.64(d,J=6.9Hz,2H),3.93(s,3H),3.84(s,3H),3.78(t,J=7.0Hz,1H)。
実施例24B:キノン2の合成
キノン2を、以下の反応スキームに従って調製した。
4.6gのシリカゲルを、エチル3-オキソブタノエート(50g、0.38mmol)に添加した。これに、メチルアミン溶液(水性;40%、35.7g、0.46mol)を添加し、混合物を一晩撹拌した。反応混合物を、DCMで抽出し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、無色油として生成物(50g、92%)を得た。
50g(0.35mol1当量)のイミン及び37.7(0.35mol1当量)の1,4-ベンゾキノンを、400mLのニトロメタンに溶解する。混合物を、24時間放置する(撹拌なし)。生成物の結晶を沈殿させる。それらを濾過し、ニトロメタンで洗浄し、EtOAcから再結晶化した。黄色固体、収率:25g、30.6%。
DMSO(200mL)中のアルコール(25g、0.11mol)及びKOH(25.5g、0.46mol)の溶液に、室温で30分間撹拌した。次いで、ヨードメタン(62g、0.44mol)を添加した。混合物を、EA(700mL)で希釈し、1N HCl、ブラインで洗浄し、乾燥させた。溶液を濃縮して、粗生成物を得、これを、シリカゲルカラムによって精製して、灰色固体として生成物(20g、75.5%)を得た。
0℃に冷却した、酢酸(200mL)中の20g(81mmol、1当量)のエチル5-メトキシ-1,2-ジメチル-1H-インドール-3-カルボキシレートの溶液に、硝酸(4.6mL)及び酢酸(20mL)の混合物を添加した。次いで、混合物を、室温で2時間撹拌した。黄色懸濁液を得、これを氷水混合物上に注ぎ、得られた結晶を、濾過し、乾燥させた。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、黄色固体として生成物(14.0g、59.3%)を得た。
エタノール(600mL)中の出発エステル(8.0g、27mmol)の懸濁液に、錫粉末(14.6g、0.123mol)を添加した。続いて、3N HCl(200mL)を添加した。反応物を、室温で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を、水で希釈し、飽和NaHCO3で中和させた。混合物を、濾過し、EAで洗浄した。有機相を分離し、水性相を、EAで抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得、これをEA/Hex=1/20から粉砕して、灰色固体として生成物(5.0g、70.6%)を得た。
5.0g(19.06mmol、1当量)の出発材料を、50mLのTHFに溶解した。2.9g(76.25mmol、4当量)のLiAlH4を、250mLのTHFに溶解し、0℃に冷却した。出発材料の溶液を、LiAlH4溶液に滴加した。反応物が、室温に達し、室温で30分間撹拌した。それを、水、NaOH、及びシリカゲルで反応停止処理した。それを、セライトを通して濾過し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。残渣を、次の反応で直接使用した。残渣を、330mLのアセトンに溶解した。330mLの0.3M NaH2PO4の溶液に、15.32g(57.18mmol、3当量)のFremy塩を添加した。この混合物を、アセトン中のヒドロキシメチルインドールに添加し、室温で1時間撹拌した。過剰アセトンを真空中で除去した。得られた残渣を、ジクロロメタンで抽出し、水で洗浄した。有機層を、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、赤色固体として生成物(2.51g、56%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.63(s,1H),4.61(s,2H),3.88(s,3H),3.82(s,3H),2.23(s,3H)。
実施例24C:キノン3の合成
キノン3を、以下の反応スキームに従って調製した。
4-メトキシアニリン(32g、259.2mmol)を、HCl(37%、64mL)及び水(112mL)に溶解した。水(32mL)中のNaNO2(19.5g、283.2mmol)の溶液を、-5℃で滴加した。添加後、混合物を0℃で15分間撹拌し、CH3COONa(16.8g、204.8mmol)の添加により、pHを3~4にした。エチル-2-エチルアセトアセテート(44.8g、283.2mmol)を、エタノール(200mL)に0℃で溶解した。この溶液に、水(24mL)中のKOH(15.6g、283.2mmol)の溶液を添加した。得られた溶液を、320gの氷で処理した。4-メトキシアニリンのジアゾニウム塩を、直ちに添加した。次いで、混合物を、pH5~6に調節し、0℃で4時間撹拌した。溶液を、4℃で一晩保存し、EA(4×200mL)で抽出した。合わせた抽出物を、ブラインで洗浄し、NaSO4で乾燥させた。ほとんどの溶媒を蒸発させ、残渣を、次の反応(180mL)で直接使用した。
(Z)-エチル2-(2-(4-メトキシフェニル)ヒドラジノ)ブタノエート(180mL)を、3M HCl/EtOH(180mL)の溶液に80℃で滴加した。添加後、混合物を、80℃で3時間保持した。溶媒を蒸発させ、残渣を、水(60mL)及びDCM(300mL)で処理した。次いで、水層を、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(150mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて、粗化合物を得、これをHexから粉砕して、黄色固体として生成物(32.0g、53.2%)を得た。
エチル5-メトキシ-3-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(20.0g、85.7mmol)を、DCM(200mL)に溶解し、混合物を-20℃まで冷却し、HNO3(70%、9mL)を添加し、混合物を20分間撹拌した。それを、NaHO3で中和させ、DCM(3×100mL)で抽出し、NaSO4で乾燥させ、乾燥するまで濃縮した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーによって精製して、黄色固体として生成物(15.5g、59.3%)を得た。
MeI(30mL)を、KOH(10g.178mmol)を含有するアセトン(500mL)中のエチル5-メトキシ-3-メチル-4-ニトロ-1H-インドール-2-カルボキシレート(14.5g、52.1mmol)に添加した。添加後、混合物を、室温で1時間撹拌した。溶媒を、過剰KOHらデカントし、混合物をHClで中和させた。次いで、混合物を、DCM(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層を、ブライン(150mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、乾燥するまで蒸発させて、粗化合物を得、これをHex及びDCMから粉砕して、黄色固体として生成物(14.0g、53.2%)を得た。
錫粉末(9.14g、77mol)を、エタノール(500mL)中のエチル5-メトキシ-1,3-ジメチル-4-ニトロ-1H-インドール-2-カルボキシレート(5.0g、17.1mmol)の懸濁液に添加した。次いで、3N HCl(130mL)を添加した。反応物を、室温で2時間撹拌した。溶媒を除去し、残渣を、水で希釈し、飽和NaHCO3で中和させた。混合物を、濾過し、DCMで洗浄した。有機相を分離し、水性相をDCMで抽出した。合わせた有機相を、ブラインで洗浄し、乾燥させ、濃縮して、粗生成物を得、これをEA/Hex=1/20から粉砕して、灰色固体として生成物(4.0g、80%)を得た。
エチル4-アミノ-5-メトキシ-1,3-ジメチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(1.5g、5.72mmol)を、90mLのTHFに溶解した。0.88g(22.68mmol、4当量)のLiAlH4を、180mLのTHFに溶解し、0℃に冷却した。エチル4-アミノ-5-メトキシ-1,3-ジメチル-1H-インドール-2-カルボキシレートの溶液を、LiAlH4溶液に滴加した。反応物が、室温に達し、室温で30分間撹拌した。次いで、それを、水、NaOH、及びシリカゲルで反応停止処理した。次いで、それを、セライトを通して濾過し、MgSO4で乾燥させ、蒸発させた。残渣を、170mLのアセトンに溶解し、次の反応で直接使用した。180mLの0.3M NaH2PO4の溶液に、Fremy塩(4.6g、17.16mmol、3当量)を添加した。この混合物を、アセトン中のヒドロキシメチルインドールに添加し、室温で1時間撹拌した。過剰アセトンを真空中で除去した。得られた残渣を、ジクロロメタンで抽出し、水で洗浄した。有機層を、乾燥させ(MgSO4)、蒸発させた。粗生成物をフラッシュクロマトグラフィーによって精製して、橙色固体として生成物(1.0g、56%)を得た。
1H NMR(400MHz,CDCl3)δ5.63(s,1H),4.65(s,2H),4.02(s,3H),3.81(s,3H),2.34(s,3H)。
実施例24D:キノン4の合成
キノン4を、以下の反応スキームに従って調製した。
250mLの丸底フラスコに、メタノール(100mL)中の5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸(10g、52.31mmol、1.00当量)の溶液を入れ、撹拌しながら、塩化チオニル(12.5g、105.07mmol、2.00当量)を滴加した。得られた溶液を、4時間加熱還流し、真空下で濃縮して、灰色固体として11g(粗物)のメチル5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボキシレートを得た。
窒素の雰囲気でパージされ、維持された5Lの4口丸底フラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(2L)を入れ、続いて、撹拌しながら、いくつかのバッチにおいて、水素化ナトリウム(37.6g、1.10mol、1.50当量、70%)を添加した。これに、10℃未満で撹拌しながら、メチル5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボキシレート(150g、730.96mmol、1.00当量)を滴加した。混合物を、0.5時間撹拌した。混合物に、撹拌しながら、MeI(125g、0.88mol、1.20当量)を滴加した。得られた溶液を、室温で一晩撹拌し、5Lの水で希釈した。固体を濾過によって収集し、3×1Lの水で洗浄し、乾燥させて、黄色固体として163g(粗物)のメチル5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレートを得た。
窒素の雰囲気でパージされ、維持された5000mLの4口丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(1500mL)中のLiAlH4(111g、2.92mol、4.00当量)の溶液を入れ、30分間にわたって0℃で撹拌しながら、テトラヒドロフラン(1000mL)中のメチル5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(160g、729.81mmol、1.00当量)の溶液を滴加した。混合物を、0℃で1時間、室温で3時間撹拌した。次いで、混合物を、111gの水、333mLのNaOH水溶液(15%)、及び111gの水を0℃で添加することによって反応停止処理した。固体を濾過した。濾液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、黄色固体として100g(72%)の(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メタノールを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された3000mLの4口丸底フラスコに、ジクロロメタン(2000mL)中の(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メタノール(100g、522.94mmol、1.00当量)の溶液を入れ、室温で撹拌しながら、トリエチルアミン(61.6g、608.76mmol、1.50当量)を滴加した。混合物を30分間撹拌した。これに、室温で撹拌しながら、塩化アセチル(79g、1.01mol,1.50当量)を滴加した。得られた溶液を、室温で3時間撹拌し、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:10~1:5)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として75g(61%)の(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の雰囲気でパージされ、維持された250mLの3口丸底フラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(20g、273.64mmol、6.00当量)を入れ、0℃で撹拌しながら、POCl3(9.85g、0.0642mol、1.50当量)を滴加した。混合物を、室温で30分間撹拌した。これに、(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(10g、42.87mmol、1.00当量)を、0℃未満で撹拌しながら、少量ずつ添加した。得られた溶液を、室温で2時間撹拌し、100mLの水/氷によって反応停止処理した。溶液のpH値を、水酸化ナトリウム水溶液(2N)で7~8に調整した。得られた溶液を、3×200mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:3)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として9g(80%)の(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された250mLの3口丸底フラスコに、(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(9g、3.60mmol、1.00当量)、AcOH(100mL)を入れ、続いて、5℃未満で撹拌しながら、AcOH(50mL)中のHNO3(20mL)の溶液を滴加した。得られた溶液を、室温で30分間撹拌し、1000mLの水で希釈し、30分間撹拌した。固体を濾過によって収集し、3×100mLの水で洗浄して、薄赤色固体として8.6g(粗物)の(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4-ニトロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された1000mLの3口丸底フラスコに、(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4-ニトロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(8g、26.12mmol、1.00当量)、エタノール(400mL)を入れ、続いて、0℃で撹拌しながら、Sn(34.1g、11.00当量)を少量ずつ添加した。これに、撹拌しながら、塩化水素(4N)(400mL)を滴加した。得られた溶液を、0℃で2時間撹拌し、真空下で濃縮し、500mLの水で希釈した。溶液のpH値を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で7~8に調整した。固体を濾過し、3×50mLのEAで洗浄した。濾液を、4×200mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:2)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として6.5g(90%)の(4-アミノ-3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された2000mLの3口丸底フラスコに、(4-アミノ-3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(6g、21.72mmol、1.00当量)、アセトン(600mL)を入れ、続いて、10℃未満で撹拌しながら、NaH2PO4(0.4M)(1200mL)中の(KO3S)2NO(17.48g、65.2mol、3.00当量)を滴加した。得られた溶液を、室温で2時間撹拌し、真空下で濃縮した。残渣を、3×300mLのジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、3×300mLの水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:2)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として3.5g(55%)の(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された500mLの3口丸底フラスコに、(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(3.5g、12.02mmol、1.00当量)、CH3CN(200mL)、NaH2PO4(0.6g、4mmol、0.30当量)、H2O2(2g、59mmol、5.00当量)、NaClO2(2.5g、28mmol、2.41当量)、及びH2O(50mL)を入れた。得られた溶液を、室温で2時間撹拌し、500mLの水の添加によって反応停止処理した。溶液のpH値を、HCl(2mol/L)で2に調整した。得られた溶液を、4×300mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、2×200mLのブラインで洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、赤色固体として3.5g(95%)の2-[(アセチルオキシ)メチル]-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-3-カルボン酸を得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された250mLの3口丸底フラスコに、2-[(アセチルオキシ)メチル]-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-3-カルボン酸(3.8g、12.37mmol、1.00当量)、メタノール(100mL)、及び塩化水素(20mL)を入れた。得られた溶液を、60℃で4時間撹拌し、真空下で濃縮し、500mLの水の添加によって反応停止処理し、4×200mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:3)で溶出するシリカゲルカラム上で精製した。粗生成物を、分取HPLCによって精製して、黄色固体として0.3g(9%)のメチル2-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-3-カルボキシレートを得た。
LC-MS(ES,m/z):280[M+H]+。1H-NMR-300MHz,CDCl3,ppm):δ5.73(s,1H),4.77(s,2H),4.09(s,3H),3.95(s,3H),3.85(s,3H)。
実施例24E:キノン5の合成
キノン5を、以下の反応スキームに従って調製した。
250mLの丸底フラスコに、メタノール(100mL)中の5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボン酸(10g、52.31mmol、1.00当量)の溶液を入れ、撹拌しながら、塩化チオニル(12.5g、105.07mmol、2.00当量)を滴加した。得られた溶液を、4時間加熱還流し、真空下で濃縮して、灰色固体として11g(粗物)のメチル5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボキシレートを得た。
窒素の雰囲気でパージされ、維持された5Lの4口丸底フラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(2L)を入れ、続いて、撹拌しながら、いくつかのバッチにおいて、水素化ナトリウム(37.6g、1.10mol、1.50当量、70%)を添加した。これに、10℃未満で撹拌しながら、メチル5-メトキシ-1H-インドール-2-カルボキシレート(150g、730.96mmol、1.00当量)を滴加した。混合物を、0.5時間撹拌した。混合物に、撹拌しながら、MeI(125g、0.88mol、1.20当量)を滴加した。得られた溶液を、室温で一晩撹拌し、5Lの水で希釈した。固体を濾過によって収集し、3×1Lの水で洗浄し、乾燥させて、黄色固体として163g(粗物)のメチル5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレートを得た。
窒素の雰囲気でパージされ、維持された5000mLの4口丸底フラスコに、テトラヒドロフラン(1500mL)中のLiAlH4(111g、2.92mol、4.00当量)の溶液を入れ、30分間にわたって0℃で撹拌しながら、テトラヒドロフラン(1000mL)中のメチル5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-カルボキシレート(160g、729.81mmol、1.00当量)の溶液を滴加した。混合物を、0℃で1時間、室温で3時間撹拌した。次いで、混合物を、111gの水、333mLのNaOH水溶液(15%)、及び111gの水を0℃で添加することによって反応停止処理した。固体を濾過した。濾液を、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮して、黄色固体として100g(72%)の(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メタノールを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された3000mLの4口丸底フラスコに、ジクロロメタン(2000mL)中の(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メタノール(100g、522.94mmol、1.00当量)の溶液を入れ、室温で撹拌しながら、トリエチルアミン(61.6g、608.76mmol、1.50当量)を滴加した。混合物を30分間撹拌した。これに、室温で撹拌しながら、塩化アセチル(79g、1.01mol,1.50当量)を滴加した。得られた溶液を、室温で3時間撹拌し、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:10~1:5)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として75g(61%)の(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の雰囲気でパージされ、維持された250mLの3口丸底フラスコに、N,N-ジメチルホルムアミド(20g、273.64mmol、6.00当量)を入れ、0℃で撹拌しながら、POCl3(9.85g、0.0642mol、1.50当量)を滴加した。混合物を、室温で30分間撹拌した。これに、(5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(10g、42.87mmol、1.00当量)を、0℃未満で撹拌しながら、少量ずつ添加した。得られた溶液を、室温で2時間撹拌し、100mLの水/氷によって反応停止処理した。溶液のpH値を、水酸化ナトリウム水溶液(2N)で7~8に調整した。得られた溶液を、3×200mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:3)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として9g(80%)の(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された250mLの3口丸底フラスコに、(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(9g、3.60mmol、1.00当量)、AcOH(100mL)を入れ、続いて、5℃未満で撹拌しながら、AcOH(50mL)中のHNO3(20mL)の溶液を滴加した。得られた溶液を、室温で30分間撹拌し、1000mLの水で希釈し、30分間撹拌した。固体を濾過によって収集し、3×100mLの水で洗浄して、薄赤色固体として8.6g(粗物)の(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4-ニトロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された1000mLの3口丸底フラスコに、(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4-ニトロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(8g、26.12mmol、1.00当量)、エタノール(400mL)を入れ、続いて、0℃で撹拌しながら、Sn(34.1g、11.00当量)を少量ずつ添加した。これに、撹拌しながら、塩化水素(4N)(400mL)を滴加した。得られた溶液を、0℃で2時間撹拌し、真空下で濃縮し、500mLの水で希釈した。溶液のpH値を、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で7~8に調整した。固体を濾過し、3×50mLのEAで洗浄した。濾液を、4×200mLの酢酸エチルで抽出した。有機層を合わせ、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:2)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として6.5g(90%)の(4-アミノ-3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
窒素の不活性雰囲気でパージされ、維持された2000mLの3口丸底フラスコに、(4-アミノ-3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(6g、21.72mmol、1.00当量)、アセトン(600mL)を入れ、続いて、10℃未満で撹拌しながら、NaH2PO4(0.4M)(1200mL)中の(KO3S)2NO(17.48g、65.2mol、3.00当量)を滴加した。得られた溶液を、室温で2時間撹拌し、真空下で濃縮した。残渣を、3×300mLのジクロロメタンで抽出した。有機層を合わせ、3×300mLの水で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:2)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として3.5g(55%)の(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテートを得た。
250mLの3口丸底フラスコに、(3-ホルミル-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-2-イル)メチルアセテート(3.5g、12.02mmol、1.00当量)、ジクロロメタン(47mL)を入れ、撹拌しながら、メタノール(40mL)中のLiOH(380mg、15.87mmol、1.30当量)の溶液を滴加した。得られた溶液を、室温で30分間撹拌し、80mLのDCMで希釈し、3×100mLの水で洗浄した。有機相を、無水硫酸ナトリウム上で乾燥させ、真空下で濃縮した。残渣を、酢酸エチル:石油エーテル(1:2)で溶出するシリカゲルカラム上で精製して、黄色固体として1.1g(37%)の2-(ヒドロキシメチル)-5-メトキシ-1-メチル-4,7-ジオキソ-4,7-ジヒドロ-1H-インドール-3-カルバルデヒドを得た。
LC-MS(ES,m/z):250[M+H]+。1H-NMR(CDCl3,300MHz,ppm):δ10.55(s,1H),5.79(s,1H),4.83(s,2H),4.09(s,3H),3.89(s,3H)。
実施例24F:キノン6の合成
キノン6を、以下の反応スキームに従って調製した。
乾燥DMF(2.0mL)中の化合物1(30mg、0.135mmol)の撹拌溶液に、ビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(82.5mg、0.271mmol)及びDIEA(87.5mg、0.678mmol)を0℃で添加し、次いで、混合物を、N2下、25℃で2時間撹拌した。混合物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。
上記の混合物に、化合物3(100.2mg、0.814mmol)、DIEA(87.6mg、0.678mmol)、DMF(2.0mL)、及び触媒量のHOBt(5.0mg)を0℃で添加した。次いで、混合物を、N2下、25℃で15時間撹拌した。それを、水(15mL)で希釈し、EtOAc(30mL×4)で抽出した。合わせた有機相を、ブライン(30mL)で洗浄し、Na2SO4で乾燥させ、濃縮して、赤色固体として所望の生成物(26mg、52%)を得た。LCMS:(5-95AB,1.5分),0.714分,MS=392.8[M+23]。
乾燥DMF(1.0mL)中の化合物4(26mg、0.070mmol)の溶液に、ビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(42.7mg、0.140mmol)及びDIEA(45.4mg、0.351mmol)を0℃で添加した。次いで、混合物を、N2下、25℃で15時間撹拌した。混合物を、さらに精製することなく次のステップで使用した。
乾燥DMF(1.0mL)中の化合物5(37.59mg、0.070mmol)の溶液に、ノルフロキサシン(44.83mg、0.140mmol)及びDIEA(45.36mg、0.351mmol)を0℃で添加した。混合物を、N2下、25℃で2時間撹拌した。それを濾過し、濾液を分取HPLC(FA)によって精製して、黄色固体として生成物(30mg、59.7%)を得た。LCMS:(5-95,AB,1.5分),RT=0.862分,MS=715.9[M+1]+;1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ9.86(s,1H),8.95(s,1H),8.28(s,1H),7.95-7.93(d,J=8.0Hz,1H),7.46-7.44(d,J=8.0Hz,2H),7.33-7.31(d,J=8.0,2H),7.19(s,1H),6.68(s,1H),5.85(s,1H),5.22(s,2H),5.04(s,2H),4.57(s,2H),3.96(s,3H),3.77(s,3H),3.60(s,8H),1.40(s,3H)。
実施例24G:キノン7の合成
キノン7を、以下の反応スキームに従って調製した。
乾燥DMF(10mL)中の化合物1(100mg、0.45mmol)の溶液に、ビス(4-ニトロフェニル)カーボネート(280mg、0.9mmol)及びDIEA(175mg、1.36mmol)を30℃で添加した。混合物を、N2下、30℃で16時間撹拌した。それを、さらに精製することなく次のステップで使用した。
乾燥DMF(10.0mL)中の化合物2、ノルフロキサシン(288mg、0.9mmol)の溶液に、DIEA(116mg、0.90mmol)を30℃で添加した。混合物を、30℃で2時間撹拌し、それを濾過し、濾過ケーキを、DCM/MeOH(10/1)で洗浄し、次いで濃縮して、黄色固体として所望の生成物(150mg、59%)を得た。
LCMS:(5-95,AB,1.5分),RT=0.824分,MS=566.9[M+1];1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.89(s,1H),7.94(d,J=13.2Hz,1H),7.20(d,J=7.2Hz,1H),6.63(s,1H),5.83(s,1H),5.22(s,2H),4.57(d,J=6.8Hz,2H),3.97(s,2H),3.80(s,2H),3.63(s,3H),3.37(s,3H),3.21(s,4H),1.46(d,J=7.2Hz,3H)。
実施例24H:キノン8の合成
キノン8を、以下の反応スキームに従って調製した。
アルコール(100mg、0.4mmol)を、DMF(2mL)に溶解した。p-ニトロフェニルカーボネート(610mg、2.0mmol、5当量)を添加し、続いて、DIPEA(0.35mL、2.0mmol、5当量)を添加し、反応物を室温で3時間撹拌した。反応物を濃縮して、粗物に移された。
ノルフロキサシン(130mg、0.4mmol、1当量)を、バイアルに添加し、続いて、出発カーボネート(200mg、0.4mmol)に添加し、続いて、DMF(3mL)に添加した。次いで、HOBt(10mg、0.08mmol、0.2当量)、ピリジン(0.3mL、4mmol、10当量)を添加し、反応物を室温で19時間撹拌した。反応物を、HPLCによって精製して、136mgの生成物(2つのステップにわたり57%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ10.40(s,1H),8.96(s,1H),7.94(d,J=13.2Hz,1H),7.20(d,J=7.2Hz,1H),5.99(s,1H),5.49(s,2H),4.58(q,J=7.1Hz,2H),4.02(s,3H),3.83(s,3H),3.63-3.48(m,5H),2.07(s,3H),1.41(t,J=7.1Hz,3H)。
実施例24I:キノン9の合成
キノン9を、以下の反応スキームに従って調製した。
アルコール(200mg、0.9mmol)を、DMF(4mL)に溶解した。p-ニトロフェニルカーボネート(284mg、1mmol、1.1当量)を添加し、続いて、DIPEA(0.3mL、1.7mmol、2当量)を添加し、反応物を室温で19時間撹拌した。反応物を濃縮して、粗物に移された。
ノルフロキサシン(290mg、0.9mmol、1当量)をバイアルに添加し、続いて、出発カーボネート(350mg、0.9mmol)を添加し、続いて、DMF(4mL)を添加した。HOBt(25mg、0.18mmol、0.2当量)を添加し、次いで、ピリジン(0.74mL、9mmol、10当量)を添加し、反応物を、室温で24時間撹拌した。反応物を、HPLCによって精製して、103mgの生成物(2つのステップにわたり20%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.99(s,1H),7.98(d,J=12.8Hz,1H),7.31(s,1H),7.24(d,J=7.0Hz,1H),5.86(s,1H),5.19(s,2H),4.61(d,J=9.9Hz,4H),3.92(s,3H),3.80(s,3H),3.63(s,6H),1.58-1.33(m,3H)。
実施例24J:キノン10の合成
キノン10を、以下の反応スキームに従って調製した。
アルコール(100mg、0.43mmol)を、DMF(2mL)に溶解した。p-ニトロフェニルカーボネート(142mg、0.47mmol、1.1当量)を添加し、続いて、DIPEA(0.15mL、0.85mmol、2当量)を添加し、反応物を室温で19時間撹拌した。反応物を濃縮して、粗物に移された。
ノルフロキサシン(136mg、0.43mmol、1当量)をバイアルに添加し、続いて、出発カーボネート(170mg、0.43mmol)を添加し、続いて、DMF(7mL)を添加した。HOBt(12mg、0.09mmol、0.2当量)を添加し、次いで、ピリジン(0.35mL、4.3mmol、10当量)を添加し、反応物を、室温で24時間撹拌した。反応物を、HPLCによって精製して、18mgの生成物(2つのステップにわたり7%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.95(s,1H),8.48(s,1H),7.94(d,J=13.0Hz,1H),7.20(d,J=7.1Hz,1H),6.80(s,1H),5.78(s,1H),5.17(s,2H),4.58(d,J=7.7Hz,2H),3.86(s,3H),3.76(s,4H),3.53(s,5H),2.28(s,3H),1.40(t,J=7.0Hz,3H)。
実施例24K:キノン11の合成
キノン11を、以下の反応スキームに従って調製した。
アルコール(100mg、0.43mmol)を、DMF(2mL)に溶解した。p-ニトロフェニルカーボネート(142mg、0.47mmol、1.1当量)を添加し、続いて、DIPEA(0.15mL、0.85mmol、2当量)を添加し、反応物を室温で19時間撹拌した。反応物を濃縮して、粗物に移された。
ノルフロキサシン(136mg、0.43mmol、1当量)をバイアルに添加し、続いて、出発カーボネート(170mg、0.43mmol)を添加し、続いて、DMF(7mL)を添加した。HOBt(12mg、0.09mmol、0.2当量)を添加し、次いで、ピリジン(0.35mL、4.3mmol、10当量)を添加し、反応物を、室温で24時間撹拌した。反応物を、HPLCによって精製して、31mgの生成物(2つのステップにわたり12%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.95(s,1H),8.49(s,2H),7.94(d,J=13.1Hz,1H),6.76(s,2H),5.19(s,2H),4.58(d,J=7.5Hz,2H),3.96(s,3H),3.83-3.69(m,5H),3.58(t,J=5.1Hz,4H),2.30(s,3H),1.40(t,J=7.1Hz,3H)。
実施例24L:キノン12の合成
キノン12を、以下の反応スキームに従って調製した。
アルコール(100mg、0.36mmol)を、DMF(2mL)に溶解した。p-ニトロフェニルカーボネート(545mg、1.8mmol、5当量)を添加し、続いて、DIPEA(0.31mL、1.8mmol、5当量)を添加し、反応物を室温で3時間撹拌した。反応物を濃縮して、粗物に移された。
ノルフロキサシン(110mg、0.36mmol、1当量)をバイアルに添加し、続いて、出発カーボネート(160mg、0.36mmol)を添加し、続いて、DMF(3mL)を添加した。HOBt(10mg、0.07mmol、0.2当量)を添加し、次いで、ピリジン(0.29mL、3.6mmol、10当量)を添加し、反応物を室温で19時間撹拌した。さらにノルフロキサシン(110mg、0.36mmol、1当量)を添加し、反応物を2.5日間撹拌した。反応物を、HPLCによって精製して、89mgの生成物(2つのステップにわたり40%)を得た。
1H NMR(400MHz,DMSO-d6)δ8.96(s,1H),7.94(d,J=13.1Hz,1H),7.20(d,J=7.2Hz,1H),5.93(s,1H),5.32(s,2H),4.58(q,J=7.1Hz,2H),4.00(s,3H),3.80(d,J=3.3Hz,6H),3.64-3.49(m,8H),1.41(t,J=7.1Hz,3H)。
実施例25:抗体へのコンジュゲーションのためのリンカーを含むPBD二量体ジスルフィドプロドラッグ1の合成
リンカーを含むPBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1を、以下の反応スキームに従って調製した。
上記構造における、及び実施例25に示される他の箇所のアスタリスクは、キラル中心を表す。
DCM(30mL)中の化合物A1(1.00g、1.17mmol)の溶液に、DCM(10mL)中のトリホスゲン(347mg、1.17mmol)及びEt3N(356mg、3.52mmol)の溶液を30℃で添加した。混合物を、30℃で30分間撹拌した後、それを濃縮し、ジブチル錫ジアセテート(0.32mL、1.22mmol)を添加し、続いて、DMF(15mL)中の化合物A2(215mg、0.97mmol)及びEt3N(369mg、3.65mmol)の溶液を添加した。混合物を、25℃で1時間撹拌した。混合物を、水(10mL)で希釈し、20分間撹拌した。次いで、混合物を濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中の0~5%MeOH)によって精製して、黄色固体として化合物A3(800mg、26.9%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.032分,m/z=1100.5[M+1]+。
DCM(15mL)中のトリホスゲン(97.1mg、0.33mmol)の溶液に、DCM(5.0mL)中の化合物A3(800.0mg、0.33mmol)及びEt3N(99.31mg、0.98mmol)の溶液を添加した。混合物を、30℃で30分間撹拌し、それを濃縮した。上記の残渣に、DMF(15mL)中のMC_VC_PAB(368.0mg、0.33mmol)及びEt3N(0.14mL、0.98mmol)の溶液を添加した。混合物を、25℃で12時間撹拌した。混合物を、濃縮し、フラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM中の5~10%MeOH)によって精製して、黄色固体としてA4(300mg、37%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=1.023分,m/z=850.5[M/2+1]+。
THF(1.0mL)中の化合物A4(300.0mg、0.18mmol)の溶液に、水(1.0mL)及びHOAc(1.5mL)を添加し、25℃で12時間撹拌した。混合物を、EtOAc(80mL)で希釈し、飽和NaHCO3(3×40mL)で洗浄し、濃縮して、赤色固体として化合物A5(160mg、61.7%)を得た。
DMSO(5.0mL)中の化合物A5(140.0mg、0.10mmol)の溶液に、IBX(266mg、0.95mmol)を添加した。混合物を、38℃で12時間撹拌した後、それを、分取HPLC(ACN37~67%/水中の0.225%FA)によって精製し、続いて、分取TLC(DCM中の10%MeOH、Rf=0.5)によって精製して、黄色固体として、リンカーを含むPBD二量体ジアフォラーゼプロドラッグ1(15mg、10.5%)を得た。LCMS(5-95,AB,1.5分):RT=0.712分,m/z=734.2[M/2+1]+。
実施例26:PBD二量体プロドラッグ抗体-薬物コンジュゲート(ADC)の合成
ADC1A及び1Bを、抗体及び実施例21DのPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグリンカー-薬物中間体のコンジュゲーションによって調製し、以下の構造を有する。
ADC2A及び2Bを、抗体及び実施例21BのPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグリンカー-薬物中間体のコンジュゲーションによって調製し、以下の構造を有する。
ADC3を、抗体及び実施例21AのPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグリンカー-薬物中間体のコンジュゲーションによって調製し、以下の構造を有する。
ADC4を、抗体及び実施例21CのPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグリンカー-薬物中間体のコンジュゲーションによって調製し、以下の構造を有する。
ADC5を、抗体及び実施例21EのPBD二量体ADCジスルフィドプロドラッグリンカー-薬物中間体のコンジュゲーションによって調製し、以下の構造を有する。
PBD二量体ADCボロン酸プロドラッグ1A及び1Bを、抗体及び実施例22AのPBD二量体ADCボロン酸プロドラッグリンカー-薬物中間体のコンジュゲーションによって調製し、以下の構造を有する。
PBD二量体ADCジアフォラーゼプロドラッグ1A及び1Bを、抗体及び実施例25のPBD二量体ADCジアフォラーゼプロドラッグリンカー-薬物中間体のコンジュゲーションによって調製し、以下の構造を有する。
本開示の要素またはその好ましい実施形態(複数可)を導入するとき、「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その」、及び「該」という冠詞は、1つ以上の要素が存在することを意味することが意図される。「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する」という用語は、包括的であることが意図され、列挙される要素以外の追加の要素が存在し得ることを意味する。
この明細書は、最良の様式を含む本発明を開示するため、かつ任意の当業者による任意のデバイスまたはシステムの作製及び使用、ならびに任意の組み込まれる方法の実行を含む、本発明の実施を可能にするために、実施例を使用する。本発明の特許取得の対象となる範囲は、特許請求の範囲によって定義され、当業者に想起される他の実施例を含み得る。そのような他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と異ならない構造的要素を有する場合、またはそれらが特許請求の範囲の文言と実質的な差異を有さない同等の構造的要素を含む場合、特許請求の範囲内であることが意図される。