JP7085024B2 - 表皮材止着用クリップおよび表皮材止着構造 - Google Patents
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Description
本発明の表皮材止着用クリップによれば、ワイヤの径寸法の大型化の要望に対応することができる。
本発明の表皮材止着用クリップによれば、寸法L1~L3が前述した設定とされているため、例えば、表皮材に装着された被保持体がチャック部に保持され、且つ、フック部および係止凸部の間の係合開口の寸法よりも大きい径寸法を有したワイヤがフック部に係合した場合、本発明の表皮材止着用クリップは、被保持体にチャック部からの引抜き力が加えられて保持片部が第二方向に押し拡げられることで、係止凸部にワイヤに向かう移動力が発生して当該係止凸部によるワイヤの抜止めをすることができる一方、係止凸部がワイヤに当接することで保持片部が第二方向に押し拡げられることが抑制され、チャック部における被保持体の保持力を維持することができる。
このような構成によれば、被保持体を第一、第二保持片部の間に差し込む際、厚さ寸法が小さい基底部に弾性変形を生じさせることで、当該被保持体を差し込みやすい構成にできる。また、フック部にワイヤを係合させた状態では、被保持体が第一、第二保持片部の間から引き抜かれようとしても、係止凸部がワイヤに圧接することで第一保持片部の開きを抑制できる。
このような構成によれば、基底部のうち凹部が形成された部分の厚さ寸法が小さくなるため、前記部分において弾性変形を生じさせやすくなり、前記部分の弾性変形によって被保持体を一対の保持片部の間に差し込みやすく、且つ、係止凸部にワイヤに向かう移動力を発生させられる構成にできる。
このような構成によれば、第一、第二保持片部の基端部分よりも基底部において弾性変形を生じさせやすい構成にでき、このため、保持片部の強度を高めて被保持体の保持力を向上させる一方、被保持体がチャック部から引き抜かれようとした際には基底部が弾性変形することで係止凸部にワイヤに向かう移動力を発生させてワイヤの抜止めをすることができる。
このような構成によれば、被保持体を第一、第二保持片部の間に差込み可能な程度の弾性を先端側の領域に残しつつ基端側の領域における強度が高められた保持片部を構成でき、一対の保持片部の間に被保持体を差込み可能でありながら被保持体に対するチャック部の保持力を高めることができる。
このような構成によれば、被保持体を第一、第二保持片部の間に差込み可能な程度の弾性を第一、第二保持片部の先端側における領域に残しつつ第一、第二保持片部の基端側における強度を高めることができ、更に、第一、第二保持片部の弾性変形が局所的に発生することを抑制できる。
本発明の表皮材止着用クリップによれば、ワイヤが挿入される係合開口がワイヤ受け面とフック部の先端との間にあるので、表皮材止着用クリップ全体をクッション材の溝への差込方向に対して傾けつつワイヤを係合開口に挿入することとなる。本発明では、フック部の先端がチャック部の第一保持片部側の外側面よりも第二保持片部側に配置されているので、表皮材止着用クリップを差込方向に対して大きく傾けることなくチャック部のワイヤ受け面でワイヤを受けることができ、これにより、フック部の先端およびワイヤ受け面の間の係合開口にワイヤを円滑に挿入でき、フック部にワイヤを簡単に係合させることができる。
ここで、フック部の先端およびワイヤ受け面の間の寸法よりも大きい径寸法を有したワイヤをフック部に係合させる場合であっても、前述したようにワイヤをワイヤ受け面で受けることができるので、ワイヤをフック部の先端とワイヤ受け面とに当接した状態にできて係合開口に簡単に挿入できる。
このような構成によれば、フック部の先端に連続したガイド面が前述したように傾斜しているので、表皮材止着用クリップをクッション材の溝内に挿入し、ガイド面をワイヤに当てながら滑らせることで、表皮材止着用クリップに傾動を生じさせつつワイヤを係合開口に向かって案内できる。
このような構成によれば、フック部を第二保持片部に連続させることで、チャック部のワイヤ受け面に連続した溝形成面によって形成される係合溝を大きく構成でき、より径寸法の大きなワイヤにフック部を係合させることができる。
また、所定サイズの係合溝を構成しつつフック部の先端をより第二保持片部側に寄せて配置でき、これにより、フック部をワイヤに係合させるために表皮材止着用クリップを差込方向に対して傾ける角度を、より小さくできる。
このような構成によれば、例えばフック部の前記端部が前記仮想線よりも第一保持片部側に配置される場合と比べて、ガイド面をその傾斜方向に長く形成できる。このため、クッション材の溝に差し込まれる表皮材止着用クリップが差込方向に直交する左右方向に位置ズレしていても、広範囲においてガイド面をワイヤに当てることができる。
このような構成によれば、例えばワイヤ受け面の前記部分が第二方向に沿って形成されている場合と比べて、表皮材止着用クリップを差込方向に対して傾けた際にワイヤ側に投影される面領域を広くとることができ、この面領域でワイヤを安定して受けることができる。
前記第一方向および前記第二方向に交差する第三方向における前記幅狭凸部の幅寸法は、前記フック部および前記チャック部のうちの少なくとも一方の前記第三方向における幅寸法よりも小さくてもよい。
このような構成によれば、フック部の先端およびチャック部のうちの少なくとも一方に形成された幅狭凸部と当該他方とによって係合開口が形成されるか、または、前記双方に形成された幅狭凸部によって係合開口が形成される。このため、係合開口にワイヤを挿入する際、当該ワイヤが接触するクリップの接触面積を減らすことができて、ワイヤ挿入性を向上できる。
このような構成によれば、両テーパー面によってフック部の先端側を先窄まり形状とすることで、係合開口に対するワイヤの挿入力を減少できる。
このような構成によれば、前述したワイヤ挿入性を向上できると共に、ワイヤを適切に抜け止めできる。
このような構成によれば、係合開口に挿入される直前のワイヤを先端ガイド面によって係合開口に案内できてワイヤ挿入性を向上できる。
本発明の表皮材止着構造では、前述した本発明の表皮材止着用クリップの作用効果を発揮可能な表皮材止着構造を構成できる。
以下、本発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、第1実施形態に係る表皮材止着構造10は、自動車等の車両用の座席のクッション材2の表面を覆う表皮材3を止着する構造である。表皮材止着構造10は、クッション材2に形成された溝2Aに配置された線状体である断面円形状のワイヤ20と、表皮材3の裏面に装着された被保持体30と、ワイヤ20に係合し且つ被保持体30を保持する表皮材止着用クリップ40(以下、「クリップ」と称する)とによって構成されている。
以下の説明において、クリップ40の長さ方向(第三方向(被保持体30の長さ方向と同じ方向))をX軸方向とし、クリップ40の左右方向(第二方向)をY軸方向とし、クリップ40の上下方向(第一方向)をZ軸方向とする。X,Y,Z軸方向は互いに直交する。
第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの爪部57は、Y軸方向において互いに接近する側に突出しており、爪部57同士の間には被保持体30が差し込まれる保持開口58が形成されている。
基底部51の底面511、第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの内側面54並びに爪部57の係合内面571によって被保持体30が配置される保持溝59が形成されている。
このフック部60においては、溝形成面61および円弧面72,512によってワイヤ20が配置される係合溝65が形成されている。本実施形態では、係合溝65の径寸法はワイヤ20の径寸法よりも若干大きい寸法に設定されている。
以下、本実施形態に係る表皮材止着構造10の施工手順について説明する。
先ず、表皮材3が装着された被保持体30をクリップ40の保持開口58に差し込んで保持溝59に配置しつつ爪部57の係合内面571と係合させて抜止めをする。
次に、クリップ40をクッション材2の溝2A内にZ軸方向に沿って差し込んでクリップ40をワイヤ20に係合する。具体的には次の通りである。先ず図5に示すように、クリップ40を溝2A内に差し込みつつZ軸方向(クリップの差込方向)に対して傾け、フック部60の先端63および係止凸部70をワイヤ20の周面に当接する。続いて、クリップ40をワイヤ20に押し当て、係合開口41が開くようにフック部60を弾性変形させながらワイヤ20を係合開口41から係合溝65に押し込んで図6に示す状態にする。図6に示す状態では、ワイヤ20は溝形成面61および円弧面72,512に囲まれており、これにより、フック部60にワイヤ20が係合されることとなる。
(1)第1実施形態では、係合開口41の開口寸法Wが保持溝59の幅寸法W3に対して50~80%の寸法とされている。このため、例えば保持溝59の幅寸法W3に対して60%~100%の寸法を径寸法として有した大型のワイヤ20に対応できる。
また、開口寸法Wをワイヤ20の径寸法よりも小さい寸法に設定することで、ワイヤ20を係合溝65に入れ込んだ際のクリック感を得ることができると共に、ワイヤ20の係合溝65からの抜け防止効果を得ることができる。
このため、被保持体30にチャック部50からの引抜き力が加えられて第一保持片部52AがY軸方向外側に押し拡げられることで、係止凸部70にワイヤ20に向かう移動力が発生して当該係止凸部70によるワイヤ20の抜止めをすることができる一方、係止凸部70がワイヤ20に当接することで第一保持片部52AがY軸方向外側に押し拡げられることが抑制され、チャック部50における被保持体30の保持力を維持することができる。このように、第1実施形態では、径寸法が2mm程度の一般的な金属ワイヤと比べて径寸法が4mm程度と大きいワイヤ20に対して、クリップ40を好適に係合させることができる。
このため、被保持体30を第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの間に差し込む際、厚さ寸法T1が小さい基底部51に弾性変形を生じさせることで、当該被保持体30を差し込みやすい構成にできる。また、フック部60にワイヤ20を係合させた状態では、被保持体30が第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの間から引き抜かれようとしても、係止凸部70がワイヤ20に圧接することで第一保持片部52Aの開きを抑制できる。
このため、第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの基端56の部分よりも基底部51において弾性変形を生じさせやすい構成にでき、このため、第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの強度を高めて被保持体30の保持力を向上させる一方、被保持体30がチャック部50から引き抜かれようとした際には基底部51が弾性変形することで係止凸部70にワイヤ20に向かう移動力を発生させてワイヤ20の抜止めをすることができる。
このため、被保持体30を第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの間に差込み可能な程度の弾性を先端55側の領域に残しつつ基端56側の領域における強度が高められた第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bを構成でき、第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの間に被保持体30を差込み可能でありながら被保持体30に対するチャック部50の保持力を高めることができる。
このため、被保持体30を第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの間に差込み可能な程度の弾性を第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの先端55側における領域に残しつつ基端56側における強度を高めることができ、更に、第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの弾性変形が局所的に発生することを抑制できる。
以下、本発明の第2実施形態を図面に基づいて説明する。
図7および図8において、第2実施形態に係る表皮材止着構造10Bは、ワイヤ20、被保持体30Bおよびクリップ40B(表皮材止着用クリップ)によって構成されている。ワイヤ20および被保持体30Bは第1実施形態のものと概略同様に構成されている。
第一保持片部521Aおよび第二保持片部521Bは、基底部51BのY軸方向における両側部に連続している。第一保持片部521Aおよび第二保持片部521Bの内側面54は前述した内面541および傾斜内面542によって構成されている。第一保持片部521Aおよび第二保持片部521Bの先端55には爪部57がそれぞれ形成されており、爪部57の間に保持開口58が形成されている。第一保持片部521Aおよび第二保持片部521Bの基端側におけるY軸方向の厚さ寸法は、基底部51のZ軸方向の厚さ寸法に対して二倍以上の寸法に設定されている。
以下、本実施形態に係る表皮材止着構造10Bの施工手順について説明する。
先ず、第1実施形態と同様に、被保持体30Bをクリップ40Bの保持開口58に差し込んで保持溝59に配置しつつ爪部57と係合させて抜止めをする。次に、クリップ40Bをクッション材2の溝2A(図5および図6参照)に差し込んでフック部60Bをワイヤ20に係合させる。具体的には次の通りである。図9に示すように、先ずクリップ40Bを溝2A内に差し込むことでフック部60Bをワイヤ20に当接させ、クリップ40Bを差込方向に対して傾かせてガイド面64に沿ってワイヤ20を係合開口41に案内する。このように案内されたワイヤ20はワイヤ受け面501に当接し且つフック部60Bの先端63に当接した状態とされ、フック部60Bが弾性変形しながら係合溝65に押し込まれ、係合溝65に配置される。このようにしてフック部60Bにワイヤ20を係合させる。フック部60Bにワイヤ20が係合された状態では、図8に示すように、ワイヤ20の軸心Oは仮想線CよりもY軸方向において第二保持片部521B側に位置する。なお、図9では被保持体30Bの図示を省略している。
ここで、第2実施形態では、フック部60Bの先端63およびワイヤ受け面501の間の径寸法よりも大きい径寸法を有したワイヤ20をフック部60Bに係合させるが、この場合でも、前述同様に、ワイヤ20をフック部60Bの先端63とワイヤ受け面501とに当接した状態にできて係合開口41に簡単に挿入できる。
このため、クリップ40Bをクッション材2の溝2A内に挿入し、ガイド面64をワイヤ20に当てながら滑らせることで、クリップ40Bに傾動を生じさせつつワイヤ20を係合開口41に向かって案内できる。
また、所定サイズの係合溝65を構成しつつフック部60Bの先端63をより第二保持片部521B側に寄せて配置でき、これにより、フック部60Bをワイヤ20に係合させるためにクリップ40Bを差込方向に対して傾ける角度を、より小さくできる。
このため、例えばフック部60Bの前記端部が仮想線Cよりも第一保持片部521A側に配置される場合と比べて、ガイド面64をその傾斜方向に長く形成できる。このため、クッション材2の溝2Aに差し込まれるクリップ40Bが差込方向に直交する左右方向(Y軸方向)に位置ズレしていても、広範囲においてガイド面64をワイヤ20に当てることができる。
このため、例えばワイヤ受け面501がY軸方向に沿って形成されている場合と比べて、クリップ40Bを差込方向に対して傾けた際にワイヤ20側に投影される面領域を広くとることができ、この面領域でワイヤ20を安定して受けることができる。
第1、第2実施形態におけるクリップ40,40Bは、係合開口41の開口寸法Wよりも径寸法が大きいワイヤ20に係合させているが、例えばこの開口寸法Wよりも径寸法が小さい2mm程度のワイヤに係合させることも可能である。
このように凹部514を形成することで、基底部51のうち凹部514が形成された部分のZ軸方向の厚さ寸法が小さくなるため、前記部分において弾性変形を生じさせやすくなり、前記部分の弾性変形によって被保持体30を第一保持片部52Aおよび第二保持片部52Bの間に差し込みやすく、且つ、係止凸部70にワイヤ20に向かう移動力を発生させられる構成にできる。
ワイヤ受け面502のうちY軸方向においてフック部60Bの先端63よりも第一保持片部521Aの外側面53側に位置する部分502Aは、Y軸方向に対して、第一保持片部521A側から第二保持片部521B側に向かうに連れてフック部60Bの先端63に接近する側に傾斜しており、図12において右上がりに傾斜している。一方、ワイヤ受け面502のうちY軸方向においてフック部60Bの先端63よりも第二保持片部521B側に位置する部分502Bは、Y軸方向に対して、第二保持片部521B側から第一保持片部521A側に向かうに連れてフック部60Bの先端63に接近する側に傾斜している。このため、ワイヤ受け面502は屈曲形状となっている。
このようにワイヤ受け面502の部分502Bを部分502Aとは逆向きに傾斜させることで、クリップ40Bの上下寸法を大きくすることなく、径寸法の大きなワイヤ20に対応した所定の広さの係合溝65を形成できる。
また、第3変形例では、第2実施形態と比べて、フック部60Bの先端63側とは反対側に位置するガイド面64の端部は仮想線Cに対して第二保持片部521B側に大きく寄って配置されている。このため、ガイド面64はより長く形成され、ワイヤ20に当てやすい構成にできる。
先ず、フック部60Bをワイヤ20に当接させ、クリップ40Bを差込方向に対して傾かせてガイド面64に沿ってワイヤ20を係合開口41に案内する。このように案内されたワイヤ20はワイヤ受け面502の部分502Aに当接し且つフック部60Bの先端63に当接した状態とされ、フック部60Bが弾性変形しながら係合溝65に押し込まれ、係合溝65に配置される。このようにしてフック部60Bをワイヤ20に係合させる。
また、幅狭凸部80のX軸方向における幅寸法81はフック部60Bの最大幅寸法82に対して18~70%、好ましくは18~45%の寸法とされている。このため、前述したワイヤ挿入性を向上できると共に、幅狭凸部80の幅寸法81が過度に小さくならないのでワイヤ20を適切に抜け止めできる。
更に、幅狭凸部80には、係合開口41の外側に向かうに連れて基底部51Bから離間する側に傾斜した先端ガイド面83が形成されている。このため、係合開口41に挿入される直前のワイヤ20を先端ガイド面83によって係合開口41に案内できてワイヤ挿入性を向上できる。
加えて、フック部60BのX軸方向に対向する両側面のうち先端63側の部分には、フック部60Bを先端63に向かって先窄まり形状とするテーパー面601が形成されている。テーパー面601の先端間におけるX軸方向の幅寸法は最大幅寸法82よりも小さく、幅寸法81よりも大きい寸法とされている。これにより、ワイヤ20の係合開口41への挿入力を減少できる。
なお、例えばフック部60Bの最大幅寸法82を8mmとし且つ係合開口41の開口寸法Wを3.1mmとした場合、幅狭凸部80の幅寸法を3mmとし、テーパー面601の先端間におけるX軸方向の幅寸法を5.5mmとしてもよい。また、幅狭凸部80の幅寸法を1.5~5.5mmの範囲で設定してもよく、幅狭凸部80の幅寸法を5.5mmとする場合には、幅狭凸部80の幅寸法とテーパー面601の先端間におけるX軸方向の幅寸法とが同寸法となる。
また、幅狭凸部80は、フック部60Bの先端63に代えて、または加えて、基底部51Bに形成されていてもよく、この場合、幅狭凸部80の幅寸法81は基底部51Bの最大幅寸法82よりも小さい寸法とされ、前述したように最大幅寸法82に対して18~70%、好ましくは18~45%の寸法とされてもよい。また、フック部60Bの先端63および基底部51Bの双方に幅狭凸部80が形成される場合、双方の幅狭凸部80のフック部60Bおよび基底部51Bの最大幅寸法82に対して25%程度の寸法とされてもよく、双方の幅狭凸部80が互いにX軸方向に異なる位置にオフセットされていてもよい。更に、前述した幅狭凸部80はその突出端が尖った尖端として形成されていてもよい。
なお、図15および図16では、説明の便宜上、第4変形例に係るクリップ40Bに幅狭凸部80が形成されたものを第5変形例としたが、これに限られず、第1、第2実施形態や第1~第3変形例に幅狭凸部80を形成したものとしてもよい。第1実施形態および第1、第2変形例に係るクリップ40では、係止凸部70のX軸方向における幅寸法84を小さくしたり形状変更したりすることで幅狭凸部80を形成してもよい。
このような構成でも前述した作用効果と同様の作用効果を発揮できる。
例えば係合するワイヤ20に例えば径寸法Rが4mm程度のワイヤを採用する場合、係合溝65の上下寸法が小さいと、ワイヤ20の周面に残るウレタンフォームが溝形成面61Bやワイヤ受け面504(図19参照)に当たって係合溝65を押し拡げて開口寸法Wが大きくなり、ワイヤ20が脱落しやすくなるおそれがある。しかし、第6変形例では、係合溝65の上下寸法を前述したように大きい寸法としているので、ワイヤ20の周面にウレタンフォームが残っていても、ワイヤ20とワイヤ受け面504(図19参照)との間に空間651が確保される。このため、ワイヤ20の周面に残るウレタンフォームなどによって係合溝65が押し拡げられて開口寸法Wが大きくなることを抑制でき、ワイヤ20の係合状態をしっかりと維持できる。
抜止め返し面66およびガイド面64にはY軸方向に対して傾斜した挿入案内面67が形成されている。挿入案内面67の幅寸法(抜止め返し面66およびガイド面64間の寸法)は例えば2mm程度となるべく長くすることで、ワイヤ20を係合開口41へ案内しやすい構成とされる。
溝形成面61Bのうち抜止め返し面66に連続する部分は、第二保持片部521B側から第一保持片部521A側に向かってY軸方向に対して上方に若干傾斜した傾斜面652とされている。このように傾斜面652を形成することで、係合溝65の溝奥側のZ軸方向における長さ寸法を大きくできると共に、係合溝65に挿入されたワイヤ20を傾斜面652によって溝奥側に案内できて、寸法C1を十分に確保できる。また、傾斜面652を形成することでワイヤ20が抜止め返し面66側に移動しにくくなるのでワイヤ20の保持力を向上できる。
抜止め凸部68(特に先端部分)は、Y軸方向において抜止め返し面66に対して差分D1分をもって第一保持片部521A側(係合開口41の外側)に位置している。差分D1は例えば0.7mmから1.4mm程度である。このため、図20に示すように抜止め返し面66に当たったワイヤ20が更に抜止め返し面66を乗り越えて係合開口41から抜け出るように移動したとしても、抜止め凸部68がワイヤ20に当たることで抜止めされる。このように、抜止め返し面66による第一段階の抜止めと抜止め凸部68による第二段階の抜止めとを行えるので、ワイヤ20の脱落をより効果的に抑制できる。
また、第二保持片部521Bは図19の左斜め下に向かってZ軸方向に対して傾斜した外側面522を有している。一方、抜止め凸部68は前述したように抜止め返し面66に対して差分D1をもって係合開口41の外側(図19の右側)に位置している。このため、ワイヤ20を係合開口に押し込む向きは図19において左斜め上であり、これに対して、第二保持片部521Bの外側面522を右斜め下に押えることができ、ワイヤ20を係合溝65に容易に挿入できる。
Claims (7)
- 表皮材(3)に装着された被保持体(30)を保持する保持溝(59)を形成するチャック部(50,50B)と、クッション材(2)の溝(2A)内に配置されたワイヤ(20)と係合するフック部(60,60B)と、前記チャック部(50,50B)と前記フック部(60,60B)の先端(63)との間に形成される係合開口(41)とを有した表皮材止着用クリップ(40,40B)であって、
前記チャック部(50)は、基底部(51)と、前記基底部(51)から第一方向に延出した第一保持片部(52A)および第二保持片部(52B)と、前記フック部(60)の先端(63)側に向かって突出する係止凸部(70)とを有しており、
前記第一保持片部(52A)および前記第二保持片部(52B)は、前記第一方向に交差する第二方向において互いに接近する側に突出した爪部(57)をそれぞれ有しており、
前記フック部(60)の基端(62)は、前記第二保持片部(52B)側において前記チャック部(50)と連続しており、
前記係止凸部(70)は、前記第一保持片部(52A)側において前記チャック部(50)と連続しており、
前記係合開口(41)の開口寸法(W)は、前記保持溝(59)の幅寸法(W3)に対して50~80%の寸法とされており、
前記第二方向における前記爪部(57)の寸法を寸法L1とし、前記第一方向における前記爪部(57)から前記基底部(51)までの寸法を寸法L2とし、前記第一方向において前記基底部(51)および前記係止凸部(70)を合わせた寸法を寸法L3とし、前記フック部(60)に係合した状態における前記ワイヤ(20)と前記係止凸部(70)との間の寸法を寸法L4とした場合、前記寸法L1、前記寸法L2および前記寸法L3は、前記寸法L2を前記寸法L3で割った寸法に前記寸法L1をかけて算出した寸法が前記寸法L4よりも大きくなる設定とされている
ことを特徴とする表皮材止着用クリップ。 - 前記基底部(51)の厚さ寸法は、前記第一保持片部(52A)および前記第二保持片部(52B)の基端(56)側における厚さ寸法よりも小さい寸法とされている
ことを特徴とする請求項1に記載の表皮材止着用クリップ。 - 前記フック部(60)の基端(62)および前記係止凸部(70)は前記第二方向に間隔を隔てて配置されており、
前記基底部(51)のうち前記フック部(60)の基端(62)と前記係止凸部(70)との間に位置する部分には、前記チャック部(50)側に向かって凹んだ凹部(514)が形成されている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の表皮材止着用クリップ。 - 前記第一保持片部(52A)および前記第二保持片部(52B)の基端(56)における厚さ寸法は、前記基底部(51)の厚さ寸法よりも大きい寸法とされている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の表皮材止着用クリップ。 - 前記第一保持片部(52A)および前記第二保持片部(52B)の基端(56)から前記第一方向における半分以上の領域における厚さ寸法が、当該領域に対して先端(55)側に位置する領域における厚さ寸法よりも大きい寸法とされている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の表皮材止着用クリップ。 - 前記第一保持片部(52A)および前記第二保持片部(52B)の厚さ寸法は、その基端(56)側から先端(55)側に向かって漸減している
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の表皮材止着用クリップ。 - 表皮材(3)に装着される被保持体(30,30B)と、クッション材(2)の溝(2A)内に配置されるワイヤ(20)と、前記被保持体(30,30B)を保持し且つ前記ワイヤ(20)に係合される請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の表皮材止着用クリップ(40,40B)とによって構成されている
ことを特徴とする表皮材止着構造。
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