JP7054057B2 - ベンドパイプおよびその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、たとえば熱交換器における伝熱管の構成要素として、あるいは配管部材などとして用いられるベンドパイプ、およびその製造方法に関する。
たとえば、熱交換器の伝熱管を製作する場合、複数の金属製の直状管体を、略半円弧状の曲げ部を有するベンドパイプを用いて接続するといった手段がよく採用される。ここで、前記ベンドパイプは、原材料となる直管状の金属製パイプに、パイプベンダ(たとえば特許文献1,2など)を用いて曲げ加工を施した後に、前記金属製パイプを適当な箇所で切断することにより製造される。好ましくは、ベンドパイプの両端部には、拡管加工などの端末処理が施され、その寸法精度が高められる。
しかしながら、従来技術においては、次に述べるように、未だ改善すべき余地があった。
すなわち、パイプベンダを用いて直管状の金属製パイプに曲げ加工を施す工程においては、金属製パイプを引っ張りながら、パイプベンダのロールブロックの周面に沿わせて曲げていくのが一般的である。このような曲げ加工においては、半円弧状に湾曲した金属製パイプの曲げ部は、曲げ始め側部分の方が曲げ終わり側部分よりも、引っ張り荷重を多く受ける。このため、曲げ加工を終えた金属製パイプを、曲げ部の両端付近で切断し、ベンドパイプを形成した場合、このベンドパイプの両端部のそれぞれの直径や肉厚は、相違したものとなる場合が多い。曲げ始め側の端部の方が、曲げ終わり側の端部よりも小径かつ薄肉となる。
一方、たとえばベンドパイプを他の直状管体と、ロウ付け手段などを用いて接続し、伝熱管を製作する場合、ベンドパイプの両端部の寸法管理を適切に図る必要がある。このため、ベンドパイプの両端部には、端末処理を施すが、ベンドパイプの両端部のそれぞれ直径や肉厚が相違している場合には、たとえば同一サイズの拡管用パンチをベンドパイプの両端部に圧入したとしても、最終的な仕上がり寸法は、同一にはならない。仕上がり寸法を同一またはこれに近い状態にするには、ベンドパイプの両端部のそれぞれのいずれの側が曲げ始め側(小直径側)、または曲げ終わり側(大直径側)であるのかを事前に察知し、これに対応した拡管用パンチを用いる必要がある。
ところが、従来においては、ベンドパイプの両端部のいずれの側が曲げ始め側、または曲げ終わり側であるのかを判別するための手段はなんら講じられていない。また、ベンドパイプの両端部を目視しただけでは、両者の直径や肉厚の相違は殆ど見分けがつかない。したがって、ベンドパイプの両端部の直径や肉厚の相違に応じて適切な端末処理を施すといったことが困難なものとなっていた。
本発明は、前記したような事情のもとで考え出されたものであり、曲げ部の両端部のう
ち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるのかを容易かつ的確に識別可能であり、かつ製造コストの上昇なども適切に抑制することが可能なベンドパイプ、およびその製造方法を提供することを、その課題としている。
ち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるのかを容易かつ的確に識別可能であり、かつ製造コストの上昇なども適切に抑制することが可能なベンドパイプ、およびその製造方法を提供することを、その課題としている。
上記の課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
本発明の第1の側面により提供されるベンドパイプは、略半円弧状に湾曲した曲げ部を有する金属製のベンドパイプであって、前記曲げ部の両端部のうち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを識別可能とする識別部が、凸状および/または凹状の立体的な部位として一体的に形成されていることを特徴としている。
このような構成によれば、次のような効果が得られる。
第1に、前記識別部を確認することにより、ベンドパイプの両端部のうちのいずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを容易かつ正確に識別することができる。このため、たとえばベンドパイプの端末処理などに際し、小径側の曲げ始め側の端部に、大径側の曲げ終わり側用のパンチを圧入させるといった不具合を生じないようにし、ベンドパイプの端末が曲げ始め側であるか、曲げ終わり側であるかに応じて適切な対応をとることができる。これは、ベンドパイプの両端部の寸法精度などを高めたり、ベンドパイプの加工処理の迅速化などを図る上において好ましい効果である。
第2に、前記識別部は、凸状および/または凹状の立体的な部位として一体的に形成されているため、シール貼付や印刷などとは異なり、ベンドパイプの取り扱い中に剥離や消失などを生じないようにできることは勿論のこと、ベンドパイプを製作する工程や、その後のベンドパイプを処理する工程において、前記識別部を容易に設けることが可能である。したがって、生産性を悪化させるようなこともなく、ベンドパイプの製造コストの上昇も適切に抑えることが可能である。
第1に、前記識別部を確認することにより、ベンドパイプの両端部のうちのいずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを容易かつ正確に識別することができる。このため、たとえばベンドパイプの端末処理などに際し、小径側の曲げ始め側の端部に、大径側の曲げ終わり側用のパンチを圧入させるといった不具合を生じないようにし、ベンドパイプの端末が曲げ始め側であるか、曲げ終わり側であるかに応じて適切な対応をとることができる。これは、ベンドパイプの両端部の寸法精度などを高めたり、ベンドパイプの加工処理の迅速化などを図る上において好ましい効果である。
第2に、前記識別部は、凸状および/または凹状の立体的な部位として一体的に形成されているため、シール貼付や印刷などとは異なり、ベンドパイプの取り扱い中に剥離や消失などを生じないようにできることは勿論のこと、ベンドパイプを製作する工程や、その後のベンドパイプを処理する工程において、前記識別部を容易に設けることが可能である。したがって、生産性を悪化させるようなこともなく、ベンドパイプの製造コストの上昇も適切に抑えることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記識別部は、前記曲げ部の中心線から前記両端部のいずれか一方側にオフセットされた位置に設けられている。
このような構成によれば、前記識別部が曲げ部の中心線に対していずれの側にオフセットされているかを確認することにより、ベンドパイプの両端部のいずれが曲げ始め側であるかといったことを迅速に判断することが可能である。識別部の位置により判断できるため、識別部を複雑な形状などに形成する必要をなくすことも可能である。
本発明において、好ましくは、前記識別部として、このベンドパイプの外面に形成された凹状部として構成された識別部を備えている。
このような構成によれば、たとえばベンドパイプをクランプ部材を用いてクランプするような処理工程において、前記クランプ部材に凸状部を形成しておくことにより、凹状部としての識別部を容易に設けることが可能である。
本発明において、好ましくは、前記識別部として、前記曲げ部の内周面に設けられた皺部として構成された識別部を備えている。
このような構成によれば、ベンドパイプの曲げ部を形成する曲げ工程において、前記皺部としての識別部を容易に形成することが可能である。
本発明の第2の側面により提供されるベンドパイプの製造方法は、原材料となる直管状の金属製パイプを引っ張りながら、パイプベンダのロールブロックの周面に沿わせて曲げ
ていくことにより、前記金属製パイプに略半円弧状の曲げ部を形成する曲げ工程と、この曲げ工程の後において、前記金属製パイプを切断する切断工程と、を有している、ベンドパイプの製造方法であって、前記曲げ工程の開始時から前記切断工程の終了時までのいずれかの時期において、前記金属製パイプには、前記曲げ部の両端部のうち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを識別可能とする識別部を、凸状および/または凹状の立体的な部位として一体的に形成する識別部付与工程を、さらに有していることを特徴としている。
ていくことにより、前記金属製パイプに略半円弧状の曲げ部を形成する曲げ工程と、この曲げ工程の後において、前記金属製パイプを切断する切断工程と、を有している、ベンドパイプの製造方法であって、前記曲げ工程の開始時から前記切断工程の終了時までのいずれかの時期において、前記金属製パイプには、前記曲げ部の両端部のうち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを識別可能とする識別部を、凸状および/または凹状の立体的な部位として一体的に形成する識別部付与工程を、さらに有していることを特徴としている。
このような構成によれば、本発明の第1の側面により提供されるベンドパイプを適切に製造することができる。
本発明において、好ましくは、前記切断工程においては、一対のクランプ部材を用いて前記曲げ部をクランプする一方、前記一対のクランプ部材の少なくとも一方には、識別部形成用の凸部を予め設けておき、前記識別部付与工程として、前記曲げ部をクランプした際に、前記凸部を利用して前記識別部としての凹部を前記曲げ部の外面に形成する工程を有している。
このような構成によれば、金属製パイプを切断すべくクランプする場合に、前記識別部を効率よく設けることができる。
本発明において、好ましくは、前記曲げ部を一対のクランプ部材を用いて固定させる工程を有し、これら一対のクランプ部材のそれぞれは、前記曲げ部を嵌入させてセットするための略半円弧状の凹部を有しており、この凹部は、左右非対称の形状とされて、左右幅方向の一方の第1領域は、前記曲げ部の曲げ始め側に対応した形状およびサイズとされ、かつ前記第1領域と反対側の第2領域は、前記曲げ部の曲げ終わり側に対応した形状およびサイズとされており、前記凹部に前記曲げ部を嵌入する場合の前記曲げ部の向きが誤っているときには、前記曲げ部が前記凹部に一致した状態に嵌入しないように構成されている。
このような構成によれば、一対のクランプ部材に対し、本来の適正な向きとは異なる向きに金属製パイプの曲げ部が設定されることは阻止される。したがって、金属製パイプに未だ前記識別部が設けられていない場合、あるいは金属製パイプに前記識別部が設けられているにも拘わらず、作業者の過誤などによって、金属製パイプを一対のクランプ部材に誤った向きに設定することを防止することが確実化される。
本発明において、好ましくは、前記ロールブロックの周面には、凹状および/または凸状の皺形成部を設けておき、前記識別部付与工程として、前記曲げ工程において、前記金属製パイプに曲げ部を形成するときに、前記皺形成部によって前記曲げ部の内周面に、前記識別部としての皺部を形成する工程を有している。
このような構成によれば、金属製パイプに曲げ部を形成すべく曲げ加工を行なう際に、前記識別部を効率よく、かつ適切に設けることができる。
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行なう発明の実施の形態の説明から、より明らかになるであろう。
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1に示すベンドパイプ1は、たとえばステンレス製であり、略半円弧状に湾曲した曲げ部10、この曲げ部10の両端部10a,10bに一体的に繋がった短管状の一対の直状管部11a,11b、および識別部5を備えている。
識別部5は、たとえば正面視円形の凹状部であり、曲げ部10の幅方向の中心線CLから曲げ部10の端部10b寄りにオフセットして設けられている。曲げ部10は、後述する曲げ加工により形成された部位であり、端部10aは、曲げ始め側であり、端部10bは、曲げ終わり側である。曲げ始め側の端部10aおよびこれに繋がった直状管部11aの直径Daは、曲げ終わり側の端部10bおよびこれに繋がった直状管部11bの直径Dbよりも、僅かながら小径である。また、端部10aおよび直状管部11aは、端部10bおよび直状管部11bよりも僅かに薄肉である。識別部5は、幅方向の中心線CLから曲げ終わり側の端部10b寄りにオフセットされた配置である。
図2に示すベンドパイプ1Aは、ベンドパイプ1の直状管部11a,11bに、拡管部としての端末処理部12a,12bが設けられた構成である。
図2に示すベンドパイプ1Aは、ベンドパイプ1の直状管部11a,11bに、拡管部としての端末処理部12a,12bが設けられた構成である。
前記したベンドパイプ1,1Aは、次のような一連の工程を経て製造される。
一連の工程の概要をまず説明すると、ベンドパイプ1の原材料として、図3(a)に示すような直管状の金属製パイプ1’(ステンレス製パイプ)を用い、これに曲げ加工を施すことにより、同図(b)に示すように、曲げ部10を部分的に有する金属製パイプ1’を製作する。次いで、同図(c)に示すように、金属製パイプ1’を仮想線L1の位置で適当な寸法に切断し、同図(d)に示すようにベンドパイプ1を得る。その後、同図(e)に示すように、拡管用のパンチ6a,6bを利用してベンドパイプ1の両端を拡管し、端末処理部12a,12bを形成する。
ただし、図3(c)に示した切断工程においては、後述するように、金属製パイプ1’
を、クランプするためのクランプ部材7に凸状部70を形成しておき、この凸状部70を利用して識別部5を設ける。
ただし、図3(c)に示した切断工程においては、後述するように、金属製パイプ1’
を、クランプするためのクランプ部材7に凸状部70を形成しておき、この凸状部70を利用して識別部5を設ける。
前記一連の工程のうち、金属製パイプ1’の曲げ加工は、たとえば図4に示すようなパイプベンダBを用いて行なう。このパイプベンダBは、ロールブロック2、プレッシャ型3、およびクランプ型4を備えている。ロールブロック2は、軸部20を中心として水平回転可能であり、その外周面には、第1のパイプ嵌入用凹部21が一連に形成されており、この第1のパイプ嵌入用凹部21は、180°の角度範囲にわたって円弧状に湾曲した湾曲部21aを有している。プレッシャ型3は、金属製パイプ1’をロールブロック2側に押し付けるためのものであり、側面には、第2のパイプ嵌入用凹部31が形成されている。クランプ型4は、ロールブロック2との間で金属製パイプ1’をクランプし、金属製パイプ1’の引っ張り動作を生じさせるためのものである。その側面には、第3のパイプ嵌入用凹部41が設けられている。
金属製パイプ1’に曲げ加工を施す場合には、図4に示したようなセッティング状態において、軸部20を中心として、ロールブロック2およびクランプ型4を矢印Na,Nbで示すように、180°水平回転させる。このことにより、図5に示すように、金属製パイプ1’の一部は、ロールブロック2の湾曲部21aに沿った状態に曲げられ、曲げ部10が形成される。
前記した曲げ加工においては、クランプ型4によって金属製パイプ1’が強く引っ張られるが、曲げ部10の曲げ始め側部分の方が、曲げ終わり側部分よりも引っ張り荷重を多く受ける。このため、金属製パイプ1’のうち、曲げ始め側部分は、曲げ終わり側部分よりも小径かつ薄肉になり易い。
前記した曲げ加工においては、クランプ型4によって金属製パイプ1’が強く引っ張られるが、曲げ部10の曲げ始め側部分の方が、曲げ終わり側部分よりも引っ張り荷重を多く受ける。このため、金属製パイプ1’のうち、曲げ始め側部分は、曲げ終わり側部分よりも小径かつ薄肉になり易い。
図6は、図3(c)に示した金属製パイプ1’の切断工程において、金属製パイプ1’を固定するのに用いられる一対のクランプ部材7(7a,7b)を示している。これら一対のクランプ部材7a,7bは、金属製パイプ1’を嵌入させるための凹部71を有しているが、一方のクランプ部材7aの凹部71内には、凸状部70が設けられている。金属製パイプ1’をクランプ固定する際には、凸状部70が金属製パイプ1’に押し付けられることにより、この金属製パイプ1’の外面に凹状部としての識別部5が設けられる。このことにより、図3(d)に示したベンドパイプ1が得られる。
図7は、図3(e)に示した端末処理工程において、ベンドパイプ1を固定するのに用いられる上下一対のクランプ部材8(8a,8b)を示している。なお、本実施形態とは異なり、ベンドパイプ1を、図3(c)の切断工程で用いたクランプ部材7に保持させたまま、端末処理工程を引き続いて実行することも可能である。
図7に示すクランプ部材8は、ベンドパイプ1の曲げ部10を嵌入させるための略半円弧状の凹部81を有しているが、この凹部81は、左右非対称の形状とされ、中心線Caの左側の第1領域Saは、曲げ部10の曲げ始め側の端部10a付近に対応した形状およびサイズであり、これとは反対の中心線Caの右側の第2領域Sbは、曲げ部10の曲げ終わり側の端部10b付近に対応した形状およびサイズである。第1領域Saの端部の幅La、深さdaと、第2領域Sbの端部の幅Lb、深さdbとは、La<Lb、da<dbの関係である(図7および図8では、理解を容易にするため、前記寸法差を誇張した状態に示している)。
前記した構成によれば、図7に示すように、クランプ部材8bの凹部81に、ベンドパイプ1を嵌入してセッティングを行なう場合に、ベンドパイプ1の向きが正しく、ベンドパイプ1の曲げ始め側の端部10aが第1領域Saに位置し、かつ曲げ終わり側の端部10bが第2領域Sbに位置する場合には、ベンドパイプ1を遊びの少ない状態で適切にク
ランプ部材8bにセッティングすることができる。
これに対し、図8に示すように、ベンドパイプ1の向きを、図7に示した場合とは反対の誤った向きにした場合には、曲げ部10が凹部81に一致する適切な状態には嵌入しないこととなる。これは、ベンドパイプ1の向きが誤っていることを、作業者に容易に気づかせる効果をもたらせる。
ランプ部材8bにセッティングすることができる。
これに対し、図8に示すように、ベンドパイプ1の向きを、図7に示した場合とは反対の誤った向きにした場合には、曲げ部10が凹部81に一致する適切な状態には嵌入しないこととなる。これは、ベンドパイプ1の向きが誤っていることを、作業者に容易に気づかせる効果をもたらせる。
ベンドパイプ1をクランプ部材8bにセッティングする場合、図8に示した誤った向きにすることなく、最初から正しい向きにすることが望まれる。これに対し、ベンドパイプ1に設けられている識別部5を確認すれば、この識別部5が設けられている側が、曲げ部10の曲げ終わり側である旨を容易かつ迅速に認識することができるため、ベンドパイプ1をクランプ部材8bに対し、最初から正しい向きにセッティングすることが可能である。
なお、ベンドパイプ1を固定するためのクランプ部材としては、ベンドパイプ1の向きを問うことなく、曲げ部10の全体を嵌入可能な凹部が形成されたものとすることも可能である(たとえば、図6に示したクランプ部材7は、そのような構成とされている)。ただし、そのような構成を採用した場合には、凹部内における曲げ部10の遊び代を比較的大きくとる必要がある。これに対し、図7および図8に示したクランプ部材8においては、そのような遊び代をかなり小さくし、ベンドパイプ1を安定的に固定させる上で好ましいものとなる。
図3(e)の端末処理工程において、一対の拡管用のパンチ6a,6bの外径は、相違している。既述したように、ベンドパイプ1の曲げ部10の両端部10a,10bおよびその近傍の直状管部11a,11bのサイズは相違しているため、パンチ6a,6bのサイズを同一にしても、端末処理部12a,12bの直径Da', Db'は同一にはならない。パンチ6a,6bのサイズを相違させることにより、端末処理部12a,12bの直径Da', Db'を略同一に揃えることが可能となる。
ベンドパイプ1は、たとえば熱交換器の伝熱管の構成要素として用いられ、直状管体部の端部と接続される。この場合、たとえばロウ付けがなされるため、前記した端末処理部12a,12bの直径Da', Db'の寸法精度を高くする必要がある。とくに、ベンドパイプ1がステンレス製である場合、本来的にロウ付け性が余り良好ではないため、ロウ付け用の寸法精度をより高くすることが要望される。これに対し、本実施形態のベンドパイプ1は、そのような要望に的確に応えることが可能である。
前記したように、本実施形態においては、ベンドパイプ1に識別部5を設けたことにより、端末処理部12a,12bを設ける場合に、その処理を適切に行なうことができる。勿論、端末処理以外の処理、あるいはベンドパイプ1の取り扱い時において、曲げ部10のいずれの側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを区別しなければならない場合に、便利である。
また、識別部5は、金属製パイプ1’の切断工程におけるクランプ時において、クランプ部材7を利用して設けられるため、識別部5を設けるための専用の作業を別途行なう必要はなく、生産性が低下するといった不具合もない。
また、識別部5は、金属製パイプ1’の切断工程におけるクランプ時において、クランプ部材7を利用して設けられるため、識別部5を設けるための専用の作業を別途行なう必要はなく、生産性が低下するといった不具合もない。
図9~図12は、本発明の他の実施形態を示している。これらの図において、前記実施形態と同一または類似の要素には、前記実施形態と同一の符号を付すこととし、重複説明は省略する。
図9に示すベンドパイプ1Bにおいては、曲げ部10の内周面のうち、幅方向の中心線CLから曲げ部10の曲げ終わり側の端部10b側にオフセットされた位置に、皺部とし
ての識別部5Aが設けられている。
ての識別部5Aが設けられている。
前記したベンドパイプ1Bは、図10および図11に示すような工程を経て製造することが可能である。すなわち、図10に示すパイプベンダBのロールブロック2の湾曲部21aには、部分的に窪んだ凹部21bが設けられている。このような構成のパイプベンダBを利用し、図4および図5を参照して先に説明したのと同様な工程で金属製パイプ1’に曲げ加工を施すと、曲げ部10の内周面には、凹部21bに対応する凸状の皺部としての識別部5Aが形成される。本実施形態においても、前記実施形態と同様に、識別部5Aを設けるための工程を、それ専用の工程として別途行なう必要はない。
図9に示したベンドパイプ1Bにおいても、先に述べたベンドパイプ1,1Aと同様に、識別部5Aの位置を確認することにより、曲げ部10の両端部10a,10bのいずれの側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを容易かつ的確に認識することが可能である。
図12に示すベンドパイプ1Cは、端末処理部12a,12bの直径Da', Db'が意図的に相違したものとされ、異径のパイプどうしを接続するのに用いられる。本発明はこのような構成とすることも可能である。
本発明は、上述した実施形態の内容に限定されない。本発明に係るベンドパイプの各部の具体的な構成は、本発明の意図する範囲内において種々に設計変更自在である。本発明に係るベンドパイプの製造方法の各工程の具体的な構成も、本発明の意図する範囲内において種々に変更自在である。
上述の実施形態においては、識別部が凹状部や皺部として設けられた例を示したが、本発明はこれに限定されない。本発明の識別部は、曲げ部の両端部のうち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを識別可能に、凸状および/または凹状の立体的な部位としてベンドパイプに一体的に形成されていればよい。識別部を、立体的な模様、文字、記号などとして形成することもできる。また、形状などが相違する識別部を、ベンドパイプの両端部に設けた構成とすることもできる。
識別部は、金属製パイプの切断工程や曲げ工程などの際に同時に設けられることが好ましいものの、本発明はこれに限定されず、それ専用の工程で設けられてもよい。識別部は、刻印などの手段を用いて設けることもできる。
本発明に係るベンドパイプは、端末処理が施されているか否か、曲げ部に直状管部が繋がっているか否かなどは限定されない。たとえば、図1および図2に示した2つのベンドパイプ1,1Aは、いずれも本発明の技術的範囲に包摂される。
ベンドパイプは、熱交換器の伝熱管の構成要素として用いるのに適するが、その具体的な用途は限定されず、たとえば一般的な配管部材などとして用いることもできる。ベンドパイプの材質は、ステンレスに限定されない。
ベンドパイプは、熱交換器の伝熱管の構成要素として用いるのに適するが、その具体的な用途は限定されず、たとえば一般的な配管部材などとして用いることもできる。ベンドパイプの材質は、ステンレスに限定されない。
B パイプベンダ
1,1A~1C ベンドパイプ
1’ 金属製パイプ
10 曲げ部
10a,10b 両端部
11a,11b 直状管部
12a,12b 端末処理部
2 ロールブロック
21b 凹部
5,5A 識別部
7 クランプ部材
70 凸状部
1,1A~1C ベンドパイプ
1’ 金属製パイプ
10 曲げ部
10a,10b 両端部
11a,11b 直状管部
12a,12b 端末処理部
2 ロールブロック
21b 凹部
5,5A 識別部
7 クランプ部材
70 凸状部
Claims (8)
- 略半円弧状に湾曲した曲げ部を有する金属製のベンドパイプであって、
前記曲げ部の両端部のうち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを識別可能とする識別部が、凸状および/または凹状の立体的な部位として一体的に形成されていることを特徴とする、ベンドパイプ。 - 請求項1に記載のベンドパイプであって、
前記識別部は、前記曲げ部の中心線から前記両端部のいずれか一方側にオフセットされた位置に設けられている、ベンドパイプ。 - 請求項2に記載のベンドパイプであって、
前記識別部として、このベンドパイプの外面に形成された凹状部として構成された識別部を備えている、ベンドパイプ。 - 請求項2または3に記載のベンドパイプであって、
前記識別部として、前記曲げ部の内周面に設けられた皺部として構成された識別部を備えている、ベンドパイプ。 - 原材料となる直管状の金属製パイプを引っ張りながら、パイプベンダのロールブロックの周面に沿わせて曲げていくことにより、前記金属製パイプに略半円弧状の曲げ部を形成する曲げ工程と、
この曲げ工程の後において、前記金属製パイプを切断する切断工程と、
を有している、ベンドパイプの製造方法であって、
前記曲げ工程の開始時から前記切断工程の終了時までのいずれかの時期において、前記金属製パイプには、前記曲げ部の両端部のうち、いずれの端部側が曲げ始め側または曲げ終わり側であるかを識別可能とする識別部を、凸状および/または凹状の立体的な部位として一体的に形成する識別部付与工程を、
さらに有していることを特徴とする、ベンドパイプの製造方法。 - 請求項5に記載のベンドパイプの製造方法であって、
前記切断工程においては、一対のクランプ部材を用いて前記曲げ部をクランプする一方、前記一対のクランプ部材の少なくとも一方には、識別部形成用の凸部を予め設けておき、
前記識別部付与工程として、前記曲げ部をクランプした際に、前記凸部を利用して前記識別部としての凹部を前記曲げ部の外面に形成する工程を有している、ベンドパイプの製造方法。 - 請求項5または6に記載のベンドパイプの製造方法であって、
前記曲げ部を一対のクランプ部材を用いて固定させる工程を有し、
これら一対のクランプ部材のそれぞれは、前記曲げ部を嵌入させてセットするための略半円弧状の凹部を有しており、この凹部は、左右非対称の形状とされて、左右幅方向の一方の第1領域は、前記曲げ部の曲げ始め側に対応した形状およびサイズとされ、かつ前記第1領域と反対側の第2領域は、前記曲げ部の曲げ終わり側に対応した形状およびサイズとされており、前記凹部に前記曲げ部を嵌入する場合の前記曲げ部の向きが誤っているときには、前記曲げ部が前記凹部に一致した状態に嵌入しないように構成されている、ベンドパイプの製造方法。 - 請求項5ないし7のいずれかに記載のベンドパイプの製造方法であって、
前記ロールブロックの周面には、凹状および/または凸状の皺形成部を設けておき、
前記識別部付与工程として、前記曲げ工程において、前記金属製パイプに曲げ部を形成するときに、前記皺形成部によって前記曲げ部の内周面に、前記識別部としての皺部を形成する工程を有している、ベンドパイプの製造方法。
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