JP3704781B2 - パイプ加工方法及びその加工方法に用いる装置及びジョイントコネクタ - Google Patents
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Description
【産業上の属する技術分野】
本発明は、例えば熱交換器等に使用されるパイプの曲げ等を行なうパイプ加工方法及びその加工方法に用いる装置及びジョイントコネクタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車のエンジンルーム内の高密度化及びクーラ等の各種熱交換器の複雑化により、配管に割けるスペースは減少傾向にある。
また、これらの状況において、配管のデッドスペース(曲げのために必要とされる空間)の極小化や、配管取り回しの自由度向上のために、配管曲げR(即ち配管の曲率半径)の極小化へのニーズが高まっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、配管の曲げ加工において曲げRを小さくすると、曲げた場合のパイプの外側部分(以下曲げ外側部と称す)の板厚が極端に減少したり、曲げた場合のパイプの内側部分(以下曲げ内側部と称す)が座屈する不具合が発生する。
【0004】
つまり、パイプは、通常パイプベンダー等を用いて曲げ加工が行なわれるが、パイプの材料の伸び率、パイプの外径及びパイプの肉厚等によって最小曲率半径が決定され、この最小曲率半径以下に曲げるとパイプが潰れてしまって、曲げ加工が不可能であるという問題があった。
【0005】
この対策として、例えば図28(a),(b)に示す様に、2部品を接合する加工を行なうことによって、R極小エルボ部品を得ることはできるが、作業工程が増大して、大幅なコストアップを招き、量産品には向かないという問題がある。
【0006】
また、これとは別に、コストダウン及び量産化を目的として、特開昭61−137629号公報に記載の技術が提案されている。この技術は、被加工パイプ内に弾性体を配置してパイプを曲げるという方法であり、小さなRの曲げ加工は可能であるが、作業の手間が増大するという問題がある。つまり、この方法では、予め被加工パイプに弾性体を挿入する作業、挿入した弾性体を支えるために加工する反対の管端から弾性体を保持する作業、加工後に弾性体を取り除く作業等の弾性体挿入・除去の作業が必要になり、作業能率が低下したりコストアップを招くという問題がある。また、弾性体を保持する必要があるため、曲げ節点の多い部品には適用することができないという問題もある。
【0007】
更に、他の先行技術としては、特開平6−262282号公報記載の様に、湾曲部を備えたパイプ中間体を形成した後にスプール加工を行なって湾曲部を整形する方法や、特開平4−220120号公報記載の様に、曲げ加工時に曲げ型とクランプ型で構成するクランプ部においてワークが前方に滑り移動して曲げ加工を行なう方法等があるが、いずれの方法も極小R曲げの問題点の一つである曲げ内側の座屈を防止して真円度を向上する点に関しては効果があると思われるものの、もう一つの問題点である曲げ外側の割れ防止については何ら解決案を示すものではない。即ち、材料固有の伸び率により成形可能な極小曲げRが決まるため、ステンレス・軟鋼等の伸び量の大きい材料には適用可能であるものの、アルミニウム等の材料伸びの小さな材料には適用できないという欠点がある。
【0008】
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、材料の伸び量の大小とは無関係に、且つ弾性体挿入等の特殊設備・機構を設けずに、即ち、現状設備の微改造によりR極小エルボ形状を得ることができるパイプ加工法及びその加工方法に用いる装置及びジョイントコネクタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明では、第1工程にて、長尺パイプ等の例えば管端近傍を、例えばNCベンダー等を用いて、最小曲率半径より大きな曲率半径で曲げて、大Rのエルボ部を形成する。即ち、曲げ外側部の板厚の極端な減少や割れ、パイプの大きなくびれ、又は曲げ内側部の座屈が発生しない領域にて、図1(a)に示す様に、大きな曲率半径(R)で曲げて大Rのエルボ部を形成する。次に、第2工程にて、パイプの曲げ側壁を拘束しながら、管端方向からパイプの管端部を押圧することにより、図1(b)に示す様に、大Rのエルボ部の曲げ内側部をへこませるとともに、曲げ外側部を拘束治具の内部空間に広げて、小さな曲率半径で曲げてエルボ部を小R(極小R)に整形する。
【0010】
つまり、本発明では、第2工程にて、パイプの(曲げ方向とは垂直方向である)側面が広がらない様に拘束した状態で、押圧部材等を用いて、管端方向から管端部(例えば端面)を押圧することによって、曲げ内側部が座屈することなく極小Rにてパイプを曲げることができる。
【0011】
また、この場合、図1(b)に示す様に、パイプの曲げ内側部は90゜より小さい角度まで曲げられるので、パイプを曲げる場合のデッドスペース(図1(a)の斜線部分)がなくなるという利点がある。
従って、本発明によれば、材料の伸び量の大小とは無関係に、且つ現状設備の微改造によりR極小エルボ形状を得ることができるという顕著な効果を奏する。
【0012】
請求項2の発明では、小Rのエルボ部の曲率半径を、1.5D未満とすることができるので、極めて小さなRに対応することが可能である。
請求項3の発明では、第2工程の加工により、図1(b)に示す様に、パイプの管端側のストレート部分が曲げ内側部に食い込み、その食い込み部分の断面形状が角形状となるので、小さなRの場合でも、座屈等の発生を防止することができる。
【0013】
つまり、一旦パイプが略四角形状に成形されると、その四角形状を変更するためには極めて大きな力を必要とするので、その以上の座屈等の許容できない変形が防止され、それによって、好適にR極小エルボ部の形成が可能となる。
請求項4の発明では、第2工程の後に、第3工程にて、パイプの曲げ側壁を拘束しながら、図1(c)に示す様な管端部の整形加工を行なうので、座屈等の不具合が発生することなく、他のパイプと嵌合させるための管端部の整形が容易である。
【0014】
請求項5の発明では、第3工程の加工として、パイプの管端部を鍔状に形成するいわゆるバルジ加工を採用することができる。
請求項6の発明は、パイプ加工方法の第1工程によって加工された大Rのエルボ部を有するL字状のパイプを固定する装置であり、この装置には、その内部の空間に面して、パイプの曲げ側壁の側方向(即ち曲げ方向に対して垂直方向)への拡開を規制する拘束壁を有するので、曲げ側壁を拘束した状態にて、前記第2工程における加工を容易に行なうことができる。
【0015】
請求項7の発明では、装置の内部の空間において、大Rのエルボ部の曲げ外側部の外側を覆うように、円弧状にカーブする曲げ空間を有するので、例えば曲げ外側部の内側面をパンチ等によって押圧することにより、曲げ外側部を曲げ空間内に広げる様にして、パイプの曲げ外側部を滑らかに曲げることができる。
【0016】
請求項8の発明では、パンチ等の押圧部材によって、パイプの管端側から管端部を押圧することにより、例えば長尺パイプの管端側のストレート部分を曲げ内側部に食い込ませる様にして、第2工程における小さなRの曲げを行なうことができる。
【0017】
請求項9の発明では、パイプの管端側から管内部に挿入される押圧部材が、パイプの曲げ外側部の内側面を押圧する内側押圧部を有するので、例えば第2工程において、パイプの曲げ外側部を滑らかに曲げることができる。
請求項10の発明では、第2工程にて、下パイプ保持部にて、エルボ部の曲げ方向外側部分の外面側及び長尺側ストレートの下面側を保持する。つまり、パイプの下側半分程度と(曲げられて立設された状態の)パイプの側面の半分程度とを保持する。また、上パイプ保持部にて、エルボ部の曲げ方向内側部分の外面側及び長尺側ストレートの上面側を保持する。これにより、下パイプ保持部及び上パイプ保持部でパイプをしっかりと挟持することができるので、第2工程の加工を容易に行なうことができる。
【0018】
請求項11の発明では、第1工程にて曲げられたパイプの管端部は、上パイプ保持部の貫通孔内に配置されてしっかりと固定されるので、この状態で、貫通孔にパンチ等の押圧部材を圧入してパイプの端面等を押圧することにより、パイプの小R曲げを行なうことができる。
【0019】
請求項12の発明では、下パイプ保持部は、第2工程の後のエルボ部の曲げ側壁を拘束できる形状であるので、その後の第3工程においても、しっかりとパイプを保持して必要な管端部の加工を行なうことができる。
請求項13の発明では、第2工程の後に、パイプの管端部に他のパイプと嵌合させるための整形加工を行なう第3工程にて、下パイプ保持部の上に、バルジ形状を整形するための治具を装着する。よって、第2工程と第3工程において、同じ下パイプ保持部を治具として使用できるので、生産性が向上するという効果がある。
【0020】
請求項14の発明では、第2工程の後に、パイプの管端部にジョイントコネクタを装着するので、ジョイントコネクタを備えたパイプを容易に加工することができる。また、例えばクーラ配管の接続の際には、通常のバルジ加工された管端部だけでなく、このジョイントコネクタを使用してより強固な接続を行なうことができる。
【0021】
請求項15の発明では、第3工程にて、ジョイントコネクタが挿入された状態で、パイプの曲げ側壁を拘束しながら他のパイプと嵌合させるための管端部の整形加工を行なうので、ジョイントコネクタの装着及び管端部の加工を同時に行なうことができ、生産性が向上するという利点がある。
【0022】
請求項16の発明では、第3工程の管端部の整形加工の際に、ジョイントコネクタ及びパイプを固定する治具を用いるので、ジョイントコネクタの装着及び管端部の加工を同時に行なうことができ、生産性が向上するという利点がある。
請求項17の発明では、下パイプ保持部にて、エルボ部の曲げ方向外側部分の外面側及び長尺側ストレートの下面側を保持するとともに、クランプにて、下パイプ保持部の上方からパイプを押圧する。これにより、パイプを挟持することができるので、第2工程の加工を容易に行なうことができる。
【0023】
請求項18の発明では、下パイプ保持部とクランプとにより挟持されたパイプの管端部にスリーブを嵌挿し、このスリーブの貫通孔から押圧部材を圧入して小R曲げを行なうことができる。
請求項19の発明では、第2工程の後に、パイプの管端部にジョイントコネクタを取り付けてクランプにて固定した状態で、第3工程の管端部の整形加工を行なうので、連続的に加工を行なうことができ生産性が向上する。つまり、第2工程と第3工程とで下パイプ保持部を取り替える必要が無いので、作業能率が向上する。
【0024】
請求項20の発明では、ジョイントコネクタが、第1孔部を有する厚肉部と第2孔部を有する薄肉部とを備えており、この第2孔部にて、パイプの管端部を回動可能に保持することができる。従って、ジョイントコネクタの向きを同一平面内でかなり自由に変更することができるので、接続する対象が広くなるという効果がある。よって、例えば各種のクーラ配管等にも僅かな種類のジョイントコネクタを用意すれば足りるので、コスト的に有利である。
【0025】
請求項21の発明では、ジョイントコネクタが、第1孔部を有する厚肉部と第2孔部を有する薄肉部と板状部とを備えており、この第2孔部にて、パイプの管端部を保持するとともに、板状部にはパイプの回動を規制する例えばパイプの側面が嵌り込む溝等の規制部を備えている。従って、パイプを保持方向をしっかりと規定することができるという利点がある。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明するために、実施例を図面とともに説明する。
(実施例1)
実施例1のパイプ加工方法は、例えば図2に示す様な、「長尺パイプの管端に曲率半径(R)の小さい(R<1.5D;但しDは管直径)エルボ部のある部品」を、高生産性かつ低コストで得ようとする加工方法である。
【0027】
a)本実施例では、まず、図1(a)に示す様に、長尺のパイプ1の管端部3近傍を、破損や座屈等の不具合が生じない最小曲率半径より大きな曲率半径で曲げた後(第1工程における第1曲げ)、図1(b)に示す様に、押圧部材であるパンチ5によって管端方向から管端部3の端面3aを圧縮することにより、小R曲げを行ない(第2工程における第2曲げ)、その後、図1(c)に示す様に、管端部3の整形を行なう。以下、その方法及び該加工に使用する装置について詳細に説明する。
【0028】
(1)(第1工程)
まず、通常のNCベンダー等を用いて、エルボ部9の曲げ外側部9aの板厚減少により割れが発生せず、且つ曲げ内側部9bに座屈が発生しない曲率半径で曲げて、第1曲げを行なう。具体的には、材質・板厚により最小曲率半径(限界曲げR)は異なるが、例えば材質:A3003−0,管径:φ17,板厚:1・0の場合、限界曲げ中心Rは約1.5D(但しDは管の直径)である。これによって、図1(a)に示す様な大きくカーブするパイプ形状となる。
【0029】
(2)(第2工程)
次に、第1曲げを行なったパイプ1を、例えば図3に示す様な左右に分割可能な拘束治具7を用いて、拘束治具7の内部のL字状の筒状の空間7a内にて、第1曲げにより成形されたエルボ部9の曲げ側壁11を外側から挟んで拘束した状態で固定する。従って、拘束治具7の筒状の空間7aの(エルボ部9に対応する)側方部分が拘束壁(図示せず)となる。また、この時、エルボ部9の曲げ外側部9aの外側部分には、円弧状に広がる曲げ空間7bが存在している。
【0030】
次に、拘束治具7によって固定されたパイプ1の開口部1aより、芯金付き端面圧縮用のパンチ5を挿入し、パンチ5の段部5aにて管端部3の端面3aを押し込みながら、前記第1曲げにて成形されたエルボ部9の曲げ内側部9bをへこませて、第2曲げ(小R曲げ)を行なう。このパンチ5の先端側の形状は、パイプ1の曲げ外側部9aに対応した形状とされており、パンチ5が管端部3を押圧する時に、同時に、曲げ外側部9aをその内側面から前記曲げ空間7bに広げる様に押圧する。
【0031】
これによって、図1(b)に示すパイプ形状となる。即ち、曲げ内側部9bは、その角度が90゜よりも狭くなる様に曲がり、パイプ1の水平に伸びる長尺側ストレート部14の上面より下方に移動する。
(3)(第3工程)
次に、対となるパイプと嵌合させるために、管端部3の整形を行なう。この加工は、図4に示す様に、前記図3と類似の拘束治具17にて、前記第2曲げされたエルボ部9の曲げ側壁11の両側を拘束する。尚、この拘束治具17は、バルジ(鍔部)19を形成する部分に環状の段差17aが設けてある点が前記拘束治具7と大きく異なる。
【0032】
そして、整形したい形状に応じた各種のパンチを管端方向から挿入して、拡管,絞り,成形の各工程を経ることにより、所望のバルジ19の形状を得る。
次に、このバルジ形成工程について、詳しく述べる。
図5(a)に示す様に、まず、第1外パンチ21を、拘束治具17の凹部17b内にて、パイプ1に対して僅かの隙間を保って外嵌する。ついで、パイプ1の内径より大きな径の第1内パンチ23をパイプ1の内側に挿入して、段差17aの位置までのパイプ1を外側に広げる(拡管工程)。
【0033】
次に、図5(b)に示す様に、第2内パンチ25の段差25aにて、パイプ1の端面1aを押圧するとともに、第1外パンチ21の内径より小さな内径の第2外パンチ27をパイプ1に外嵌することによりパイプ1を絞り、それとともに、傾斜面27aの内側にてパイプ1を緩やかに曲げる(絞り工程)。
【0034】
次に、図5(c)に示す様に、第3内パンチ29をパイプ1に内嵌した状態で、第3外パンチ31の段差31aにてパイプ1の端面1aを押圧して、段差17a部分にてパイプ1を折曲げてバルジ19を形成する。
この様に、本実施例では、最小曲率半径より大きな曲率半径での曲げ加工(第1工程)の後、拘束治具7にてエルボ部9の曲げ側壁11を拘束した状態で、管端方向から押圧加工する(第2工程)という、非常に簡単な方法にて、低コストで見かけ上曲げ内側部9bの曲率半径をゼロに加工する、即ちデッドスペースを無くすることができるという顕著な効果を奏する。つまり、本実施例では、安定して且つ高生産性にて、極小Rのエルボ部9を有するパイプ1を製造することができる。
【0035】
また、第2工程の後に、エルボ部9の曲げ側壁11を拘束した状態で、各種のパンチを用いて、座屈を生ずることなく、容易に管端部3にバルジ19を形成できるという利点がある。
b)次に、本実施例において、極小Rのエルボ部9を有するパイプ1を、安定して、また高生産性で得られる理由を示す。
【0036】
前記第1曲げにて得られたエルボ部9の曲げ壁面11を外側から拘束した後、パンチ5により押圧すると、図6(a)に示す様に、管端側ストレート部4が、長尺側ストレート部14と直角に交わる部分(曲げ内側部9b)に食い込んでいこうとする。これにより曲げ内側部9bは、側方に広がる楕円形状に変形しようとするが、前記拘束治具7により曲げ側壁11を拘束してあるため、この部分が拘束治具7と張り合い、図6(b)に示す様に、角形状が成形される。この部分は、全体が滑らかなR形状であるのに対し特異点形状となり、この角形状の成形以降は、管端側ストレート部4が曲げ内側部9bの内側へ大きくへこもうとする座屈現象の抑制ができるので、安定的に図6(b)に示す形状が得られる。
【0037】
この時、パンチ5の先端部が、エルボ部9の曲げ外側部9aの内側面を押圧し、曲げ外側部9aに相当するR形状を成形する様にすると、更に良好な形状が得られる。ここで良好な形状とは、極端な断面積・形状変化がなく、パイプ1内に流れる流体に抵抗を極端に増加させない形状である。
【0038】
次に、管端部3の整形について説明する。この場合も、前記第1曲げ加工と同様に、曲げ側壁11を拘束して管端部3から整形したい形状に応じた各種のパンチを挿入し所望の形状を得る。この加工においても、前記図6(b)に示す特異点形状があるために、バルジ19等を行なう加工力に対する抵抗力となり、曲げ内側部9bへの座屈を防止できる。
【0039】
c)次に、本実施例のパイプ加工方法の効果を確認するために行なった実験例について説明する。
この実験では、まず、図7(a)に示す様に、第1曲げを行なったパイプ1に対し、その板厚分布を測定した。測定は、パイプ1に沿って図7(a)に示す18箇所で行なった。その結果を下記表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
次に、第2曲げ及び管端バルジ加工を行なったパイプ1に対し、同様に板厚分布を測定した。測定は、パイプ1に沿って図7(b)に示す10箇所で行なった。その結果を下記表2に示す。
【0042】
【表2】
【0043】
この表1及び表2から明らかな様に、第1曲げにより約70%以上確保された(曲げ外側部9a近傍の)板厚が、その後の加工により減少していないことがわかる。つまり、本実施例のパイプ加工方法では、安定して且つ高生産性を保ちながら、見かけ上曲げ内側部9bのRをゼロとし、且つ板厚減少が従来の曲げ加工以下に抑制できることが分かる。
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。
【0044】
本実施例のパイプ加工方法は、前記実施例1の(1) 〜 (4)の工程を、ロボット等の装置を用いて、連続した工程で行なうものである。
図8に示す様に、この連続工程を構成する装置では、まず、パイプ供給機41により供給されたパイプ1を、NCベンダー43により、前記第1曲げに該当する曲げを含めた多節の曲げ加工を行なう。
【0045】
その後、ロボット等の搬送装置45により、管端加工装置47に搬送する。そして、この管端加工装置47にて、第2曲げ及び管端バルジ加工を、タレット方式等により次々にパンチを挿入して行なう。
この様に、本実施例では、連続的にパイプ1の加工を行なうことができるとともに、従来のバルジ加工用タレットステージに、1工程(即ち小R曲げ工程)を追加するだけで、全ての加工を行なうことができるという利点がある。
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。
【0046】
本実施例では、パイプ1を第1曲げにおいて、図9に示す様に、エルボ部9に到る管端部3の所定範囲(例えばエルボ部9を中心に左右同じ長さ)まで、曲げ方向の寸法Aより曲げと垂直の方向の寸法Bが小さくなる様な楕円形状に整形しておく。それによって、第2曲げ(小R曲げ)において、曲げ内側部9bの座屈を抑制する剛性が向上し、良好な小R曲げ形状が得られる。
【0047】
尚、この実施例においては、第1曲げにおいて管端部3を楕円形状に整形しておいても、小R曲げ及び管端部整形(管端バルジ加工)において、真円の芯金(およびそれに対応する嵌合治具)を挿入することにより、楕円部分が真円に再整形されるため、実施例1と同様な形状が得られる。
(実施例4)
次に、実施例4について説明する。
【0048】
前記実施例1では、小R曲げと管端部3の整形に用いる拘束治具は異なるものであったが、本実施例では、同一のものを用いる。具体的には、管端部3の整形の際に使用した段部17aのある拘束治具17を用いる。
尚、同一の治具を用いることができるか否かは管端部3の整形形状によるが、前記実施例1に示したバルジ形状では同一治具を用いることができる。
【0049】
この様に、同一治具を用いた場合、被加工物であるパイプ1の持ち替えを行なう必要がなくなり、更に作業能率が向上するので、コストダウンに寄与する。
(実施例5)
次に、実施例5について説明する。
【0050】
本実施例は、管端部の整形形状に依存せずに拘束治具を共用化できる技術である。
a)まず、本実施例に使用する治具等について説明する。
パイプのエルボ部を小R形状に整形する第2工程に用いる装置として、図10に示す様に、パイプ100の下半分を拘束する拘束治具である下パイプ保持部102と、パイプ100の上半分及ぶ管端部100aを拘束するスリーブである上パイプ保持部103と、パイプ端面を押圧するパンチ104とを用いる。
【0051】
また、パイプ100の管端部100aを整形する第3工程に用いる装置として、図11に示す様に、パイプ100の下半分を拘束する前述の下パイプ保持部102と、バルジ形状の鍔部100fを支えるバルジ用治具105と、バルジ形状を整形するパンチ106及びスリーブ107とを用いる。
b)次に、本実施例のパイプ加工方法を説明する。
【0052】
(1)まず、第2工程を説明する。
図10(a)に示す様に、拘束治具である下パイプ保持部102に、前記実施例1の第1工程と同様にして曲げられたパイプ100を配置する。
下パイプ保持部102は、図12に示す様に、パイプ100の横投影形状(L形状)の約半分を覆う形状である。つまり、断面L形状の部材の中央に、パイプ100の下半分及び(図の左側面である)横半分が嵌る溝102aが形成されている。尚、溝102aの上端の周囲には、第3工程のバルジ加工のための半鍔形状の切欠102bが形成されている。
【0053】
(2)そして、図10(b)に示す様に、下パイプ保持部102の溝102aにパイプ100を配置した状態で、上方より上パイプ保持部(スリーブ)103を下降させて、上下のパイプ保持部102,103でパイプ100を挟む様にして、パイプを固定する。
【0054】
この上パイプ保持部103には、図10(a)に示す様に、パイプ100の管端部100aが挿入される(上下方向に貫通する)挿入孔103aと、挿入孔103aの下端から側方向に伸びてパイプ100の上半分及び(図の右側面である)横半分が嵌る溝103bとが形成されている。尚、挿入孔103aの下端の周囲には、前記半鍔形状の切欠102bと対応する半鍔形状の凸部103cが形成されている。
【0055】
(3)次に、この状態で、図10(b)及び図13に示す様に、パンチ104を、挿入孔103aに挿入し、前記実施例1と同様にして、エルボ部100bの曲げ外側部100cにおける小R曲げ加工を行なう。
(4)これにより、図10(c)に示す様に、エルボ部100bの曲げ内側部100dは、長尺ストレート部100eの上面より下方に移動して直角状に曲げられる。その後、上パイプ保持部103を上方に移動させる。尚、パンチ104及び上パイプ保持部103を上昇させた状態が第2工程の終了状態である。
【0056】
(5)次に、第3工程を説明する。
図11(a)に示す様に、前記第2工程でエルボ部100bが小R化されたパイプ100を下パイプ保持部102にセットしたまま、図11(b)に示す様に、バルジ用治具105を下パイプ保持部102に密着するようにセットする。この実施例では、図14に示す様に、バルジ用治具105は、左右対象の2分割されるもので、パイプ100の曲げ形状に応じた、L字状の溝105aと半鍔形状の切欠105bとを有しており、図14では、サイドからスライドしてセットする方法を示してある。
【0057】
(6)これにより、実施例1の第3工程と同様の状態となるので、スリーブ107及びパンチ106を下降させて、実施例1と同様なバルジ加工を行なえば、所望のバルジ形状を得ることができる。
(7)最後に、スリーブ107及びパンチ106を上昇させ、バルジ用治具105を下パイプ保持部102から外す。尚、図11(c)の状態が、第3工程の終了状態である。
【0058】
以上説明したように、本実施例に示した構成を用いれば、管端部100aの整形形状に依らず、第2工程及び第3工程にて同一の拘束治具(下パイプ保持部102)を用いることができる。
よって、本実施例のように同一の拘束治具を用いた場合、被加工物であるパイプ100の持ち替えを行なう必要がなくなり、バルジ用治具105のスライド及びパンチ104,106の連続挿入のみで所望の形状が得られるので、更にコストダウンに寄与する。
【0059】
尚、前記バルジ用治具105は、下パイプ保持部102にセットできれば良いため、分割なしでも或は多分割されていても同様の効果を発揮する。
(実施例6)
次に、実施例6について説明する。
【0060】
本実施例は、図15に示す様に、締結力を向上させるためにクーラ配管等で用いられているジョイントコネクタ205付き配管(パイプ)200の整形加工に関するものである。
a)まず、本実施例に使用する治具等について説明する。
【0061】
図16に示す様に、パイプ200のエルボ部200aを、小R形状に整形する第2工程に用いる装置として、L字形の貫通孔201cを備えた拘束治具201と、パイプ端面を押圧するパンチ203とを用いる。尚、拘束治具201には、貫通孔201cに面して、パイプ200の曲げ側壁を拘束する部分201a及びパイプ200を保持する部分201bを有している。
【0062】
また、図17に示す様に、他のパイプと締結させるためのジョイントコネクタ205が挿入された状態で、パイプ200の管端部200bを整形する第3工程に用いる装置として、パイプ200を保持する部分204aを有する保持治具204と、パイプ200をジョイントコネクタ205に結合させるためのパンチ206,207,208(図18参照)とを用いる。尚、パンチ206,207,208は、実施例1と同様のものを用いる。
b)次に、本実施例のパイプ加工方法を説明する。
【0063】
(1)まず、第2工程を図16を用いて説明する。
第2工程は、基本的には実施例1と同様であり、パイプ200の側面が広がらないように(左右に2分割される)拘束治具201で拘束した状態で、パンチ203を用いて、パイプ200の管端方向から管端部(例えば端面)200bを押圧する。これにより、曲げ内側部200cが座屈することなく極小Rにてパイプ200を曲げることができる。
【0064】
(2)次に、第3工程を図17及び図18を用いて説明する。
図17に示す様に、前記第2工程にて小R形状に曲げられたパイプ200の管端部200bに、ジョイントコネクタ205を装着した状態で、パンチ206,207,208を、図18に示す様に順次連続して下降・加圧することにより、所望の嵌合形状が得られる。尚、前記ジョイントコネクタ205の貫通孔205aの上端の周囲には、バルジ200dを形成するための切欠205bが設けられている。
【0065】
尚、この工程におけるパイプ200の側壁拘束は、保持治具204を用いても、或はコネクタ205を用いても可能である。また、パイプ200とコネクタ205の結合は、図18に示す様に、パンチ206によるア部で行なうこともできるし、他のパンチ208による鍔部(イ部)の拡管力によって行なうことも可能である。
【0066】
この様に、本実施例では、簡易な手順で、管端部200bの整形加工を行なうとともに、小R形状に曲げられたパイプ200の管端近傍に、相手部材との締結力を向上させるためのジョイントコネクタ205を装着することができる。この場合、コネクタ205と相手部材をボルト等で締結することにより、管単独で相手部材と締結する場合に比べ、その締結力が大幅に向上するという効果を奏する。
(実施例7)
次に、実施例7について説明する。
【0067】
本実施例は、前記実施例6と同様に、締結力を向上させるためのジョイントコネクタ付き配管(パイプ)の整形加工に関するものであるが、前記実施例6より生産性を向上させた方法である。
a)まず、本実施例に使用する治具等について説明する。
【0068】
第2工程に用いる装置として、図19に示す様に、パイプ300の保持及び下半分を拘束する拘束治具301と、パイプ300の曲げ側壁を拘束するスリーブ302と、パイプ端面を押圧するパンチ303とを用いる。ここで、パイプ300の下半分を保持・拘束する拘束治具301は、パイプ300の側壁を拘束できる形状である。
【0069】
また、ジョイントコネクタ305が挿入された状態で、パイプ300の管端部300bを整形する第3工程に用いる装置として、図20に示す様に、パイプ300の下半分を保持・拘束する前記拘束治具301と、ジョイントコネクタ305をパイプ300に結合させるためのパンチ306,307,308とを用いる。このパンチ306,307,308は実施例1と同様のものを用いる。尚、ジョイントコネクタ305は、拘束治具301上に位置決めしてセットできるようにしてある。
b)次に、本実施例のパイプ加工方法について説明する。
【0070】
(1)まず、第2工程を図19を用いて説明する。
第2工程は基本的には実施例6と同様で、図19(a)に示す様に、拘束治具301のパイプ形状に設けられたL字状の溝301aに、パイプ300を配置する。そして、パイプ300の側面が広がらないように拘束した状態で、クランプ309にてパイプの長尺ストレート部300aを押圧してパイプ300を固定する。
【0071】
次に、図19(b)に示す様に、スリーブ302にてパイプ300の管端部300bの周囲を固定した状態で、図19(c)に示す様に、パンチ303にて管端方向から管端部(例えば端面)300bを押圧することによって、曲げ内側部300cが座屈することなく極小Rにてパイプ300を曲げる。
【0072】
(2)次に、第3工程を図20を用いて説明する。
次に、図20(a)に示す様に、前記第2工程にて小R形状に曲げられたパイプ300のエルボ部300d寄りに、クランプ309の位置を移動させる。そして、パイプ300の管端部300b側に、ジョイントコネクタ305を装着するとともに、別のクランプ310にて、ジョイントコネクタ305を拘束治具301側に押圧して固定する。
【0073】
次に、この状態で、前記図18で示したのと同様なパンチを、連続して下降・加圧することにより、所望の嵌合形状が得られる。
ここで、この工程におけるパイプ300の側壁拘束は、拘束治具301を用いても、ジョイントコネクタ305を用いても可能である。
【0074】
この様に、本実施例では、拘束治具301,スリーブ302,クランプ309,310等を用いて加工を行なう際に、拘束治具301を第2工程及び第3工程で共通して使用できるので、前記実施例6と同様な効果を奏するとともに、前記実施例6より生産性が向上するという利点がある。
【0075】
尚、図21に示す様に、予めクランプ309をパイプ300のエルボ部300d側に近づけて取り付け、使用するスリーブ302Aとして、クランプ309に当たる部分に切欠302aのあるものを使用すれば、第2工程後にクランプ309を移動させる必要がないので、一層生産性が向上する。
(実施例8)
次に、実施例8について説明する。
【0076】
本実施例は、前記実施例7と同様に、締結力を向上させるためのジョイントコネクタ付き配管(パイプ)の整形加工に関するものであるが、ジョイントコネクタ等の形状が異なる。
図22に示す様に、本実施例のジョイントコネクタ400は、大小2つの円筒部分400a,400bが横方向に接合された形状をしており、小さな円筒部分400bの方が大きな円筒部分400aより厚く設定されている。また、大きな円筒部分400aの孔400cの内側断面は、S字状の凹凸部分を有している。
そして、図23に示す様に、前記孔400cにパイプ401の管端部401aが回転自由に取り付けられており、それにより、パイプ401は所定範囲で回転可能となっている。
また、図24(a)に示す様に、本実施例に使用する拘束治具403は、L字状の溝403aと半円弧状の凸部403bとを備えている。
【0077】
従って、パイプ401を加工する場合には、まず、この拘束治具403の溝403aにパイプ401を配置する。
そして、前記実施例7と同様にして第2工程の加工を行なった後に、図24(b)に示す様に、パイプ401の管端部401aにジョイントコネクタ400を取り付け、前記実施例7と同様に第3工程の整形加工を行なう。
【0078】
本実施例では、この様なジョイントコネクタ400を使用するので、前記実施例7と同様な効果を奏するとともに、パイプ401の向きを自由に設定できるという利点がある。つまり、1種類の形状のジョイントコネクタ400と1種類の拘束治具403とを用いて、任意の取り付け角度を有するジョイントコネクタ400付のパイプ401が得られるので、製造コストを大幅に低減できるという効果がある。
【0079】
また、パイプを直角よりも広い角度(曲げ角度)で曲げた場合には、図25(a)に示す様に、傾斜のついた溝500aを有する拘束治具500を使用する。つまり、図25(b)に示す様に、この溝500aにパイプ502を嵌め込んで、第2工程のパイプ加工を行ない、その後、パイプ502の管端部502aにジョイントコネクタ501を取り付けて第3工程のパイプ加工を行なうことができる。つまり、この様な簡易な手段で任意の取り付け角度及び曲げ角度が得られるため、製造コストを大幅に低減することができるという利点がある。
(実施例9)
次に、実施例9について説明する。
【0080】
本実施例は、前記実施例8と同様に、締結力を向上させるためのジョイントコネクタ付き配管(パイプ)の整形加工に関するものであるが、ジョイントコネクタの形状が異なる。
図26に示す様に、本実施例のジョイントコネクタ600は、大小2つの円筒部分600a,600bと直方体部分600cとが横方向に接合された形状をしており、中央の大きな円筒部分600bの厚さが薄くなっている。また、大きな円筒部分600bの孔600dの一端から直方体部分600にかけて、パイプ形状に合わせた溝600eが伸びている。
【0081】
従って、本実施例では、図27に示す様に、前記孔600dにパイプ601の管端部601aが取り付けられるとともに、パイプ601の長尺ストレート部601bは前記溝600eに嵌り込んで、パイプ601の回転が規制されている。本実施例では、この様なジョイントコネクタ600を使用するので、前記実施例7と同様な効果を奏するとともに、パイプ601をしっかりと固定できるという利点がある。
【0082】
尚、本発明は前記実施例になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施しうることはいうまでもない。
例えば前記ジョイントコネクタのパイプとの接触面に、ローレット等の溝付け加工を施したものを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の作業手順を示す説明図である。
【図2】 多節のパイプを示す平面図である。
【図3】 第2曲げを示し、(a)はその治具を示す平面図、(b)はその治具を使用する第2曲げの加工方法を示す説明図である。
【図4】 管端バルジ加工を行なう治具に固定されたパイプを示す説明図である。
【図5】 管端バルジ加工の手順を示す説明図である。
【図6】 実施例1の加工の原理を示す説明図である。
【図7】 パイプの端面を示し、(a)は第1曲げを行なったパイプの端面図、(b)は加工が完了したパイプの端面図である。
【図8】 実施例2の連続加工装置を示す説明図である。
【図9】 実施例3の加工方法を示す説明図である。
【図10】 実施例5の加工方法の第2工程を示す説明図である。
【図11】 実施例5の加工方法の第3工程を示す説明図である。
【図12】 実施例5の加工方法に使用する拘束治具を示す斜視図である。
【図13】 実施例5の加工方法を示し、(a)その加工状態を上面から示す説明図、(b)はその加工状態を正面から破断して示す説明図、(c)はその加工状態を側面から示す説明図である。
【図14】 実施例5の加工方法に使用するバルジ用治具等を示す斜視図である。
【図15】 実施例6のパイプを一部破断して示す正面図である。
【図16】 実施例6の加工方法の第2工程を示し、(a)はパイプを拘束した状態を上方より示す説明図、(b)は拘束した状態を破断して示す説明図である。
【図17】 実施例6の加工方法の第3工程を示し、(a)はパイプを拘束した状態を上方より示す説明図、(b)は拘束した状態を破断して示す説明図である。
【図18】 実施例6のバルジ加工の手順を示す説明図である。
【図19】 実施例7の加工方法の第2工程を示す説明図である。
【図20】 実施例7の加工方法の第3工程を示す説明図である。
【図21】 実施例7の加工方法の変形例を示す説明図である。
【図22】 実施例8の加工方法に使用するジョイントコネクタを示し、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図23】 実施例8のジョイントコネクタに接続されたパイプの状態を示し、(a)はその平面から見た説明図、(b)はその一部を破断して示す説明図である。
【図24】 実施例9の加工方法を示し、(a)はその拘束治具を示す斜視図、(b)はパイプにジョイントコネクタを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図25】 実施例9の加工方法の変形例を示し、(a)はその拘束治具を示す斜視図、(b)はパイプにジョイントコネクタを取り付けた状態を示す斜視図である。
【図26】 他のジョイントコネクタを示し、(a)はその平面図、(b)はその断面図である。
【図27】 他のジョイントコネクタに接続されたパイプの状態を示し、(a)はその平面から見た説明図、(b)はその一部を破断して示す説明図である。
【図28】 従来技術を示す説明図である。
【符号の説明】
1,100,200,300,401,502,601…パイプ
3,100a,200b,300b,401a,502a,601a…管端部
3a…端面
5,21,23,25,27,29,31,104,106,203,206,207,208,303…パンチ
7,17,102,103,201,301,403,500…拘束治具
9,100b,200a,300d…エルボ部
9a,100c…曲げ外側部
9b,100d,200c,300c…曲げ内側部
11…曲げ側壁
105…バルジ用治具
107,302,302A…スリーブ
205,305,400,501,600…ジョイントコネクタ
Claims (21)
- パイプを、最小曲率半径より大きな曲率半径で曲げて大Rのエルボ部を形成する第1工程と、
該第1工程の後に、前記パイプの曲げ方向に対して垂直方向に位置する曲げ側壁を拘束しながら、管端方向からパイプの管端部を押圧することにより、前記第1工程により成形された大Rのエルボ部の曲げ内側部をへこませるとともに、曲げ外側部を拘束治具の内部空間に広げて、前記第1工程により成形された大Rのエルボ部を、より小さな曲率半径で曲げて小Rのエルボ部に整形する第2工程と、
を有することを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記請求項1記載のパイプ加工方法において、
前記小Rのエルボ部の曲率半径が、1.5D(但しDはパイプ直径)未満であることを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記請求項1又は2記載のパイプ加工方法において、
前記第2工程の加工により、前記パイプの管端側のストレート部分を前記小Rのエルボ部の曲げ方向内側に食い込ませ、該食い込み部分の断面形状を角形状とすることを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記請求項1〜3のいずれか記載のパイプ加工方法において、
前記第2工程の後に、前記パイプの曲げ側壁を拘束しながら、他のパイプと嵌合させるための管端部の整形加工を行なう第3工程を有することを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記請求項4記載のパイプ加工方法において、
前記第3工程の加工が、パイプの管端部のバルジ加工であることを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記請求項1〜5のいずれか記載のパイプ加工方法に用いられ、前記大Rのエルボ部を有するL字状のパイプを固定する装置であって、
前記パイプを内部の空間に収容するとともに、前記パイプの曲げ側壁に対し、該パイプの曲げ方向に対して垂直方向への拡開を規制する拘束壁を有することを特徴とするパイプ加工方法に用いる装置。 - 前記請求項6記載の内部の空間において、
前記大Rのエルボ部の曲げ方向外側部分を外側から覆うように、円弧状にカーブする曲げ空間を有することを特徴とするパイプ加工方法に用いる装置。 - 前記請求項6又は7記載の装置に固定されたパイプを加工する装置であって、
前記パイプの管端側から管端部を押圧する押圧部材を有することを特徴とするパイプ加工方法に用いる装置。 - 前記請求項8の押圧部材が、前記パイプの管端側から管内部に挿入されて、前記大Rのエルボ部の曲げ方向外側部分のパイプ内側面を押圧する内側押圧部を有することを特徴とするパイプ加工方法に用いる装置。
- 前記請求項1〜5のいずれか記載のパイプ加工方法において、
前記第2工程にて、前記エルボ部の曲げ方向外側部分の外面側及び長尺側ストレートの下面側を保持する下パイプ保持部と、前記エルボ部の曲げ方向内側部分の外面側及び長尺側ストレートの上面側を保持する上パイプ保持部とを用い、前記下パイプ保持部及び上パイプ保持部で前記パイプを挟持することを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記上パイプ保持部の貫通孔内に前記パイプの管端部を配置した状態で、該貫通孔に押圧部材を圧入してパイプの小R曲げを行なうことを特徴とする前記請求項10記載のパイプ加工方法。
- 前記下パイプ保持部は、前記第2工程の後のエルボ部の曲げ側壁を拘束できる形状であることを特徴とする前記請求項10又は11記載のパイプ加工方法。
- 前記第2工程の後に、前記パイプの管端部に他のパイプと嵌合させるための整形加工を行なう第3工程にて、前記下パイプ保持部の上に、バルジ形状を整形するための治具を装着することを特徴とする前記請求項10〜12のいずれか記載のパイプ加工方法。
- 前記請求項1〜5のいずれか記載のパイプ加工方法において、
前記第2工程の後に、前記パイプの管端部にジョイントコネクタを装着することを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記第3工程にて、前記ジョイントコネクタが挿入された状態で、前記パイプの曲げ側壁を拘束しながら他のパイプと嵌合させるための管端部の整形加工を行なうことを特徴とする前記請求項14記載のパイプ加工方法。
- 前記第3工程の前記管端部の整形加工の際に、前記ジョイントコネクタ及びパイプを固定する治具を用いることを特徴とする前記請求項15記載のパイプ加工方法。
- 前記請求項1〜5のいずれか記載のパイプ加工方法において、
前記第2工程にて、前記エルボ部の曲げ方向外側部分の外面側及び長尺側ストレートの下面側を保持する下パイプ保持部と、下パイプ保持部の上方からパイプを押圧するクランプとを用いて、前記パイプを挟持することを特徴とするパイプ加工方法。 - 前記下パイプ保持部とクランプとにより挟持された前記パイプの管端部にスリーブを嵌挿し、該スリーブの貫通孔から押圧部材を圧入して小R曲げを行なうことを特徴とする前記請求項17記載のパイプ加工方法。
- 前記第2工程の後に、前記パイプの管端部にジョイントコネクタを取り付けてクランプにて固定した状態で、前記第3工程の前記管端部の整形加工を行なうことを特徴とする前記請求項17又は18記載のパイプ加工方法。
- 前記請求項19記載のパイプ加工方法に使用されるジョイントコネクタであって、
前記ジョイントコネクタが、第1孔部を有する厚肉部と第2孔部を有する薄肉部とを備え、該第2孔部にて、前記パイプの管端部を回動可能に保持することを特徴とするジョイントコネクタ。 - 前記請求項19記載のパイプ加工方法に使用されるジョイントコネクタであって、
前記ジョイントコネクタが、第1孔部を有する厚肉部と第2孔部を有する薄肉部と板状部とを備え、該第2孔部にて、前記パイプの管端部を保持するとともに、前記板状部には前記パイプの回動を規制する規制部を備えたことを特徴とするジョイントコネクタ。
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