JP7030833B2 - ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜に関する。
本願は、2017年10月20日に日本に出願された、特願2017-203752号、特願2017-203753号、特願2017-203754号、及び特願2017-203755号と、2017年11月10日に日本に出願された特願2017-217815号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
ポリイソシアネートを硬化剤とするウレタン系塗料組成物は、得られる塗膜の耐薬品性、可撓性、耐候性等が優れているため、自動車、建築内外装、家電等の塗料として広く用いられている。その中でも、脂肪族ジイソシアネートから誘導されるポリイソシアネートから得られる塗膜は無黄変という特徴がある。さらに、イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、耐候性、耐薬品性の塗膜物性に優れることが知られており、これらの性能が要求される分野に使用されている。
イソシアヌレート型ポリイソシアネートに関する先行文献として、例えば、特許文献1には、ポリイソシアネート組成物中のリン濃度を一定の範囲に制御することで、湿気安定性に優れるポリイソシアネート組成物が開示されている。
また、特許文献2、3には、組成物中の構成成分とその構成比率を特定することで、低粘度で、貯蔵時における1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記する、あるいは、1,6-ジイソシアナトヘキサンと称する場合がある。)の発生が少ないポリイソシアネート組成物が開示されている。
さらに、特許文献4には、モノアルコールとHDIとをまず反応させ、ウレタン体を生成後、イソシアヌレート化させる方法が開示されている。これにより、高固形分、低粘度、低極性有機溶剤希釈性を有するポリイソシアネート組成物が得られることが開示されている。
一方で、HDIを含む脂肪族ジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物は、耐候性に加え耐熱性にも優れるため、従来から、各種用途に幅広く使用されている。
また、近年、地球環境保護の高まりから、硬化剤として使用されるポリイソシアネート組成物の低粘度化に向けた技術開発が盛んに行われている(例えば、特許文献5~8参照)。これは、ポリイソシアネート組成物を低粘度化することにより、塗料組成物に使用される有機溶剤の使用量を低減できるためである。
ところが、有機溶剤を低減させるハイソリッド塗料及び無溶剤塗料では、使用する溶剤量が減少することから、溶剤による塗装済層への染み込みが低下し、リコート時の密着性が低下する傾向がある。また、一般的に、低粘度化のため、使用されるポリオールの分子量も低下することにより、架橋密度が低下することになり、塗膜としての各種耐久性(塩水噴霧耐久性、耐汚染性)が低下する傾向がある。
ところで、HDIを含む脂肪族ジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物の中でも、ビュレット基を有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物は、優れた耐候性及び耐熱性に加え、各種基材との密着性、特に各種金属や極性の高い樹脂基材との密着性に優れるため、幅広く使用されている。そのため、ビュレット基を有するポリイソシアネート組成物に関する技術開発が多く実施されてきた(例えば、特許文献9~17参照)。
しかし、一般に、ビュレット基を有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物と比較して、製造後、貯蔵時にジイソシアネートモノマーが増加し、ジイソシアネート由来の臭気等が課題とされてきた。この課題を解決すべく、最近、25℃貯蔵時のジイソシアネートモノマーの増加が少ないビュレット基を有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物が開発されている(例えば、特許文献18~19参照)。
一方で、近年の地球環境保護の高まりや労働安全衛生等の観点から、溶剤系塗料として利用されている2液ウレタン塗料組成物の水系化が望まれている。例えば、ポリイソシアネート中にノニオン親水性基を導入する方法により、水への分散性を可能にしている(例えば、特許文献20及び21参照)。
また、ポリイソシアネート組成物は、ポリオールと常温で架橋塗膜を形成する。一液型の焼付塗料用には、メラミン系硬化剤が広く使用されているが、近年、メラミン系硬化剤を使用した場合にホルマリンが発生することが指摘されている。そのため、地球環境、安全、衛生等の観点から、ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基を加熱により解離するブロック剤によってブロックされたブロックポリイソシアネートを含むブロックポリイソシアネート組成物が注目されている。
比較的低温で架橋塗膜を形成することが可能なブロックポリイソシアネート組成物としては、例えば、ピラゾール系化合物をブロック剤として用いたブロックポリイソシアネート組成物(例えば、特許文献22参照)等が挙げられる。また、例えば、ピラゾール系化合物及びオキシム系化合物をブロック剤として用いてブロック化した、脂肪族イソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群より選択される1種以上のイソシアネートを含むブロックイソシアネート組成物(例えば、特許文献23参照)等が挙げられる。
特許第4201582号公報 特許第5178200号公報 特許第5183206号公報 特許第3065889号公報 特開平05-222007号公報 特許第3055197号公報 国際公開第2007/046470号 特表2004-534870号公報 特開昭49-134629号公報 特開昭63-174961号公報 特公昭61-060093号公報 特公昭61-026778号公報 特公昭62-041496号公報 特公平02-062545号公報 特公平05-017222号公報 特開平08-225511号公報 特許第4367988号公報 中国特許出願公開第105601565号明細書 中国特許出願公開第106084182号明細書 特開平5-222150号公報 特開平9-328654号公報 欧州特許出願公開第159117号明細書 特開2011-236388号公報
しかし、特許文献1~4に記載の技術では、得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵時のHDI発生量、色度安定性、及び、粘度安定性の点で、未だ改良の余地があった。
特許文献5、6に記載されている技術を用いることにより、低粘度のポリイソシアネート組成物を得ることは可能であるが、これらの技術で得られるポリイソシアネート組成物は、架橋性が低く、また、これらのポリイソシアネート組成物は、貯蔵時にジイソシアネートモノマー濃度が増加する傾向がある。そのため、使用用途が制限されているという問題を有している。
さらに、一般に、ハイソリッド塗料及び無溶剤塗料に、低粘度のポリイソシアネート組成物を使用した場合、塗膜となった場合の各種耐久性(塩水噴霧時耐久性、耐汚染性)が不足し、改善が望まれている。特許文献7、8に記載のポリイソシアネート組成物においても、塗膜としての各種耐久性(塩水噴霧耐久性、耐汚染性)が不足する場合があった。
また、特許文献18、19に記載の技術では、25℃での貯蔵時のジイソシアネートの増加を評価しているが、夏場又は塗装された後は、より高温にさらされる場合がある。そのため、50℃程度の高温条件で貯蔵された後、又は、塗装され、更にエージングされた後でも、ジイソシアネートモノマーの増加が少ないビュレット基を有するポリイソシアネートを含むポリイソシアネート組成物が望まれていた。
また、特許文献20又は21に記載のポリイソシアネート組成物は、組成物内にジイソシアネートが多く残留するため、塗膜の硬度や耐水性が悪くなる懸念があった。
また、ブロックポリイソシアネート組成物を使用した塗膜において、直射日光が当たる用途、高温高湿度下で使用される用途においては、高温等の過酷な条件での耐薬品性(耐酸性、耐ガソホール性)が必須とされる。しかしながら、従来のブロックポリイソシアネート組成物を使用した塗膜では、それら特性が不足する場合があった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、第1の実施態様において、HDI由来の臭気が抑制され、色度安定性及び粘度安定性が良好なポリイソシアネート組成物を提供する。また、上記ポリイソシアネート組成物を含み、溶剤希釈性が良好な塗料組成物を提供する。また、上記塗料組成物を含み、耐薬品性に優れた塗膜を提供する。
また、第2の実施態様において、低粘度であり、且つ、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成可能なポリイソシアネート組成物及び該ポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物を提供する。また、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜を提供する。
また、第3の実施態様において、ジイソシアネートモノマー由来の臭気が少なく、基材との密着性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成可能なポリイソシアネート組成物及び該ポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物を提供する。また、ジイソシアネートモノマー由来の臭気が少なく、基材との密着性及び耐汚染性に優れた塗膜を提供する。
また、第4の実施形態において、硬度及び耐水性に優れた硬化物が得られるポリイソシアネート組成物を提供する。
また、第5の実施態様において、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性に優れた塗膜が得られるブロックポリイソシアネート組成物を提供する。また、上記ブロックポリイソシアネート組成物を用いた塗料組成物及び塗膜を提供する。
すなわち、本発明は、以下の態様を含む。
(1) 50℃で製造時点から1か月間貯蔵する場合に、以下の1)~3)に示す条件を満たすポリイソシアネート組成物。
1)貯蔵前のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下である。
2)貯蔵後のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.001質量%以上0.1質量%以下である。
3)貯蔵前後のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量の差が、0.08質量%以下である。
2) ポリイソシアネート組成物の粘度が、1000mPa・s以上5000mPa・s以下である上記(1)に記載のポリイソシアネート組成物。
) 上記(又は(2)に記載のポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物。
) 上記()に記載の塗料組成物により形成された塗膜。
) 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含む脂肪族ジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを含み、
ポリイソシアネート組成物の総質量に対する、数平均分子量が700以下の成分の比率が、70質量%以上であり、且つ、
上記条件2)において、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下である、上記(1)に記載のポリイソシアネート組成物。
) 上記()に記載のポリイソシアネート組成物と、
水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるアクリルポリオール、及び、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリエステルポリオールのうち少なくとも一つと、
を含む塗料組成物。
) 上記()に記載の塗料組成物により形成された塗膜。
) 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含む脂肪族ジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基とビュレット基を有するポリイソシアネートを含み、
イソシアヌレート基のモル量をA、ウレトジオン基のモル量をB、イミノオキサジアジンジオン基のモル量をC、及び、ビュレット基のモル量をDとした場合に、D/(A+B+C+D)が0.50以上である、上記(1)に記載のポリイソシアネート組成物。
(9) 上記条件1)において、貯蔵前のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.02質量%超0.05質量%以下であり、且つ、
上記条件2)において、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.05質量%超0.1質量%以下である、上記(8)に記載のポリイソシアネート組成物。
10) 上記(又は(9)に記載のポリイソシアネート組成物と、
水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるアクリルポリオール、及び、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリエステルポリオールのうち少なくとも一つと、
を含む塗料組成物。
11) 上記(10)に記載の塗料組成物により形成された塗膜。
(12) 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含むジイソシアネート及び下記一般式(IV-I)で示されるポリイソシアネートを含み、50℃で製造時点から1か月間貯蔵する場合に、以下の1)~3)に示す条件を満たすポリイソシアネート組成物。
1)貯蔵前のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有量が0.002質量%以上0.1質量%以下である;
2)貯蔵後のポリイソシアネート組成物中の上記ジイソシアネートの含有量が0.002質量%以上0.1質量%以下である;
3)貯蔵前後のポリイソシアネート組成物中の上記ジイソシアネートの含有量の差が、0.01質量%以下である。
Figure 0007030833000001
上記一般式(IV-I)中、R11は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群により選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートのイソシアネート基を除く残基である。X11は、活性水素基及び親水性基を有する化合物の活性水素基を除く残基である。Y11は、イソシアネート基と上記活性水素基との結合構造である。(n11+n12)は2以上10以下の整数である。n11及びn12はいずれも0ではない。n11/(n11+n12)×100は、1以上50以下である。
13) 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、アニオン性化合物、カチオン性化合物及びノニオン性化合物からなる群より選ばれる1種以上である上記(12)に記載のポリイソシアネート組成物。
14) 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、上記アニオン性化合物であり、
上記アニオン性化合物が、カルボン酸基を有する化合物、リン酸基を有する化合物及びスルホン酸基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上である、上記(13)に記載のポリイソシアネート組成物。
15) 上記アニオン性化合物が、上記スルホン酸基を有する化合物であり、
上記スルホン酸基を有する化合物が、水酸基を有するスルホン酸及びアミノ基を有するスルホン酸からなる群より選ばれる1種以上である、上記(14)に記載のポリイソシアネート組成物。
16) 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、上記カチオン性化合物であり、
上記カチオン性化合物が、アミノ基を有する化合物であり、アニオン基を有する化合物で中和されたものである上記(13)に記載のポリイソシアネート組成物。
17) 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、上記ノニオン性化合物であり、
上記ノニオン性化合物が、下記一般式(IV-II)で示されるポリアルキレングリコールエーテルである上記(13)に記載のポリイソシアネート組成物。
Figure 0007030833000002
上記一般式(IV-II)中、R21は、炭素数1以上4以下のアルキレン基である。R22は、炭素数1以上8以下のアルキル基である。n21は3以上30以下の整数である。
18) 上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート基及びアロファネート基を有し、
上記ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基及びアロファネート基の合計モル量に対するイソシアヌレート基のモル量の比率(イソシアヌレート基/(イソシアヌレート+アロファネート基)が0.80以上0.99未満である、上記(12)~(17)のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
19) 上記(12)~(18)のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物及び水を含む塗料組成物。
20) 上記(19)に記載の塗料組成物により形成された硬化物。
本発明の第1の実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを含み、HDI由来の臭気が抑制され、粘度安定性及び色度安定性に優れる。また、本発明の第1の実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物を塗料用硬化剤として含み、溶剤希釈性が良好である。また、本発明の第1の実施形態の塗膜は、上記塗料組成物から得られ、耐薬品性が良好である。
本発明の第2の実施形態のポリイソシアネート組成物は、低粘度であり、且つ、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成することができる。本発明の第2の実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物を含み、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成することができる。本発明の第2の実施形態の塗膜は、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れている。
本発明の第3の実施形態のポリイソシアネート組成物によれば、ジイソシアネートモノマー由来の臭気が少なく、基材との密着性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成することができる。本発明の第3の実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物を含み、ジイソシアネートモノマー由来の臭気が少なく、基材との密着性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成することができる。本発明の第3の実施形態の塗膜は、ジイソシアネートモノマー由来の臭気が少なく、基材との密着性及び耐汚染性に優れている。
本発明の第4の実施形態のポリイソシアネート組成物及び水系塗料組成物によれば、硬度及び耐水性に優れた硬化物が得られる。上記態様の硬化物は、硬度及び耐水性に優れている。
本発明の第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物によれば、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性に優れた塗膜を得ることができる。上記実施形態の塗料組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物を含み、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性に優れた塗膜を得ることができる。上記実施形態の塗膜は、上記塗料組成物を含み、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性が良好である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
なお、本明細書において、「ポリイソシアネート」とは、1つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する化合物が複数結合した反応物を意味する。なお、ポリイソシアネートを構成する1つ以上のイソシアネート基(-NCO)を有する化合物1分子を単量体(モノマー)と称する場合がある。
本明細書において、「(メタ)アクリル」はメタクリルとアクリルとを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートとを包含するものとする。
本発明のポリイソシアネート組成物は、50℃で1か月間貯蔵する場合に、以下の1)及び2)に示す条件を満たす。
1)貯蔵前のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、「HDI」と略記する場合がある。1,6-ジイソシアナトヘキサンと称する場合もある。)含有量が、貯蔵前のポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.001質量%以上0.1質量%以下(好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上0.1質量%以下)である。
2)貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量が、貯蔵後のポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.001質量%以上0.1質量%以下(好ましくは0.01質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.02質量%以上0.1質量%以下)である。
ここで、「貯蔵前」とは、ポリイソシアネート組成物の製造直後を意味し、「貯蔵後」とは、50℃でポリイソシアネート組成物を1か月間貯蔵し終えた時点を意味する。
貯蔵前及び貯蔵後のHDI含有量を上記上限値以下とすることで、刺激を伴うようなHDI由来の臭気がより効果的に抑制され、ポリイソシアネート組成物の粘度安定性、色度安定性、溶剤希釈性、及び、得られる塗膜の耐薬品性をより優れたものとすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、通常ガスクロマトグラフィーにより測定されるが、イソシアヌレート構造体が主体のポリイソシアネート組成物の場合はゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定してもよい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の貯蔵前のHDI含有量(初期HDI含有量)及び、50℃で1か月間貯蔵後のHDI含有量は、ポリイソシアネート組成物の合成後の薄膜蒸留条件及び加熱条件を組み合わせることで、上記の適切な範囲に制御することができる。
次に、本発明の第1の実施形態のポリイソシアネート組成物について説明する。
<<ポリイソシアネート組成物(第1の実施形態)>>
本発明の第1の実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート(以下、「イソシアヌレート型ポリイソシアネート」と称する場合がある)を含む。
「イソシアヌレート基」とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(I-I)で示される基である。
Figure 0007030833000003
<ポリイソシアネート>
[イソシアヌレート型ポリイソシアネート]
イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を含む脂肪族ジイソシアネートモノマーから誘導される反応物である。具体的には、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート化触媒及び助触媒としてのアルコールを使用して、反応させることでイソシアヌレート型ポリイソシアネートが得られる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、HDIを含むジイソシアネートモノマーを原料として用いて、該イソシアヌレート型ポリイソシアネートを合成及び精製する際に、後述の実施例に示すように、薄膜蒸留条件及び加熱処理条件を組み合わせることで、ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量及び貯蔵時に発生するHDI含有量を特定の範囲となるように制御することができる。
イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造に用いられるジイソシアネートモノマーとしては、HDIが使用されるが、HDI以外の脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族ジイソシアネート等を組み合わせて用いてもよい。
HDI以外の脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4以上30以下のものが好ましい。脂肪族ジイソシアネートとして具体的には、例えば、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、1,5-ペンタメチレンジイソシアネート、、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8以上30以下のものが好ましい。脂環族ジイソシアネートとして具体的には、例えば、イソホロンジイソシアネート(以下、「IPDI」と称する)、1,3-ビス(イソシアネートメチル)-シクロヘキサン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート等が挙げられ、これらの中でも、IPDIが好ましい。
イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造に用いられるイソシアヌレート化触媒としては、例えば、脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、ヘプタン酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等が挙げられる。また、これら脂肪酸は直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
4級アンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ブチルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ジベンジルジメチルアンモニウム、フェニルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
イソシアヌレート化触媒の使用量は、助触媒及び溶剤の使用量により異なるが、通常、HDIの質量に対して、0.001質量%以上0.05質量%以下とすることができる。
助触媒としてのアルコールとしては、例えば、フェノール性ヒドロキシ化合物、アルコール性ヒドロキシ化合物を用いることができる。これによって、イソシアヌレート化反応はさらに容易に進行する。
フェノール性ヒドロキシ化合物としては、例えば、フェノール、クレゾール、トリメチルフェノール等が挙げられる。
アルコール性ヒドロキシ化合物としては、例えば、直鎖状アルコール、分岐鎖状アルコール、環状アルコール、多価アルコール等が挙げられる。
直鎖状アルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、n-ブタノール、1-ヘキサノール等が挙げられる。
分岐鎖状アルコールとしては、例えば、イソブタノール、2-エチルヘキサノール等が挙げられる。
環状アルコールとしては、例えば、シクロヘキサノール等が挙げられる。
多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール等が挙げられる。
アルコールの使用量は、本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートのアロファネート基の存在量と相関がある。アルコールの使用量は、HDIに対して、質量比で500ppm以上30000ppm以下が好ましい。アルコールの使用量を上記上限値以下とすることで、最終的な本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートのイソシアヌレート基の存在比率が適度に保たれ、耐候性及び耐薬品性がより良好となる。一方、アルコールの使用量を上記下限値以上とすることで、反応速度がより高く保たれ、経済性の面でより良好な生産性となる。
イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造において、アルコールの添加タイミングとしては、イソシアヌレート化反応中にアルコールが反応系中に存在するように添加されていればよい。具体的には、イソシアヌレート化反応前、イソシアヌレート化触媒と同時、及び、イソシアヌレート化触媒添加終了後ヌレート化反応進行中、のいずれのタイミングで添加してもよい。また、上記タイミングのうち、いずれかひとつのタイミングでのみ添加してもよいし、すべてのタイミングで添加してもよい。アルコールの添加方法は、一括添加及び連続添加のいずれでもよい。ただし、反応及び発熱の制御等の観点から、イソシアヌレート化反応進行中のアルコール添加に関しては、連続添加が好ましい。イソシアヌレート化反応前のアルコール添加に関しては、経済性の面で一括添加が好ましい。
イソシアヌレート化反応温度は70℃以下であることが好ましく、30℃以上65℃以下がより好ましい。イソシアヌレート化反応温度を上記上限値以下とすることで、色度のよりよいポリイソシアネートを得ることができる。一方、イソシアヌレート化反応温度を上記下限値以上とすることで、反応速度がより適度に保たれ、経済性の面でより良好な生産性となる。
反応時間は、触媒量、助触媒であるアルコールの量及び添加方法、並びに、反応温度等によっても異なるが、通常、1時間以上6時間以下とすることができる。
イソシアヌレート化の進行にともなうイソシアネート基の含有量(NCO%)の低下は、滴定分析によって測定できるので、所定のNCO%になった時に反応を停止すればよい。
反応停止時のNCO%によって、イソシアヌレート型ポリイソシアネートのNCO%、粘度等を自由に変更できる。
反応停止剤としては、酸性化合物を用いることができる。酸性化合物としては、例えば、塩酸、リン酸、リン酸ジメチル、リン酸ジエチル、リン酸ジブチル、リン酸ジ2-エチルヘキシル、リン酸ジシクロヘキシル、P-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、アルキルベンゼンスルホン酸、アセチルクロライド、ベンゾイルクロライド等が挙げられる。また、これら酸性化合物の類似化合物を用いてもよい。
反応停止剤の使用量としては、イソシアヌレート化触媒中のカルボン酸含有量1モルに対して、0.5倍モル量以上10倍モル量以下とすることができ、1倍モル量以上8倍モル量以下であることが好ましい。原料であるジイソシアネートモノマーと、反応で生成したポリイソシアネートの混合溶液に可溶性の反応停止剤を使用する場合には、イソシアヌレート化触媒中のカルボン酸含有量1モルに対して、1倍モル量前後とすることができ、不溶性の反応停止剤を使用する場合には、イソシアヌレート化触媒中のカルボン酸含有量1モルに対して、2倍モル量以上8倍モル量以下とすることができる。
反応停止剤投入後、停止反応を完全にするために加熱養生を行ってもよい。加熱養生する場合、その温度は、80℃以上150℃以下が好ましく、80℃以上130℃以下がより好ましく、90℃以上120℃以下がさらに好ましい。温度が上記上限値以下であることにより、得られるイソシアヌレート型ポリイソシアネートを含有するポリイソシアネート組成物中の1-ナイロン体の減少をより抑制することができ、さらに、色度の低下、及び、イソシアヌレート型ポリイソシアネートの多量化の進行による高粘度化をより抑制することができる。温度が上記下限値以上であることにより、停止反応により生成する塩の成長をより早くでき、特に不溶性の塩を形成する触媒と反応停止剤との組み合わせの場合には、ろ別可能な大きさの塩をより形成させることができるため、経済性の面でより良好な生産性となる。
加熱養生の時間は、温度により最適な時間が異なるが、10分以上120分以下とすることができ、10分以上90分以下であることが好ましく、10分以上60分以下であることがより好ましい。温度にもよるが、時間が上記上限値以下であることにより、着色、及び、ポリイソシアネートのさらなる多量化による高粘度化をより抑制することができる。時間が上記下限値以上であることにより、塩の形成及び成長をより十分なものとすることができ、不溶性の塩の場合、ろ別による分離をより容易にすることができる。
一般に、ジイソシアネートモノマー3分子以上からなる三量体以上の多環生成物がポリイソシアネート組成物中に多く存在すると、粘度や硬度等物性上の問題の他に、溶剤との相容性が低下して白濁を生ずる。そのため、蒸留後の反応生成物の溶液中のイソシアネート基の含有量(NCO%)が20質量%前後となるように、上記反応停止剤を用いて反応を調整することができる。
生成物中のHDI含有量はガスクロマトグラフィーにより測定できる。また、生成物中の三量体の含有量は、液体クロマトグラフィーにより分子量504付近に明確に現われるので、これを定量することができる。また、イソシアヌレート基の含有量は赤外線吸収スペクトルにより1680cm-1に明確な吸収が現われるので、これを定量することができる。
生成物中の多環化合物の含有量も、三量体と同様の方法により定量することができる。
また、生成物中の二量体の含有量は、赤外吸収スペクトルにより1780cm-1に明確な吸収が現われるので、これを定量することができる。
また、イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造方法としては、HDIの一部をウレタン化したポリオール付加体を用いて、上記と同じ条件下でイソシアヌレート化を行うことも好ましい方法として例示できる。
ポリオール付加体を生成させるウレタン化反応は、公知の方法を用いて行えばよい。具体的には、まず、HDI中へポリオールを添加し、反応温度は100℃以下とすることができ、70℃以上90℃以下とすることが好ましく、反応時間は約2時間とすることができる。これにより、ポリオール付加体を得ることができる。反応温度が上記上限値以下であることにより、得られる生成物の着色及び副反応をより抑制することができる。
ウレタン化に用いるポリオールとしては、数平均分子量が3000以下の2官能又は3官能ポリオールが好ましい。ポリオールとして具体的には、例えば、ジオール(2価アルコール)、トリオール(3価アルコール)、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール等が挙げられる。
2価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブタンジオール(以下、「1,3-BG」と略記する場合がある)、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサングリコール(以下、「1,6-HG」と略記する場合がある)等が挙げられる。
3価アルコールとしては、例えば、グリセロール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン等が挙げられる。
これらポリオールは、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
上記製造方法により得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネートをそのまま本実施形態のポリイソシアネート組成物として用いてもよく、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを精製して用いてもよい。中でも、製造面での簡便性から、上記製造方法により得られたイソシアヌレート型ポリイソシアネートをそのまま本実施形態のポリイソシアネート組成物として用いることが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、50℃で1か月間貯蔵する場合に、以下の1a)、2a)、及び3)の条件を満たすことが好ましく、更に、以下の1b)条件を満たすことがより好ましい。
1a)貯蔵前のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、0.01質量%以上0.1質量%以下である;
2a)貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、0.01質量%以上0.1質量%以下である;
3)貯蔵前後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の差(以下、「ΔHDI」と称する場合がある)は、0.08質量%以下である。
1b)貯蔵前のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、0.01質量%以上0.08質量%以下である。
貯蔵前のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の上限値は、0.1質量%であり、0.08質量%がより好ましく、0.05質量%がよりさらに好ましい。
また、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の上限値は、0.1質量%である。
さらに、ΔHDIの上限値は、0.08質量%が好ましく、0.06質量%がさらに好ましい。
貯蔵前及び貯蔵後のHDI含有量、並びに、ΔHDIを上記上限値以下とすることで、刺激を伴うようなHDI由来の臭気がより効果的に抑制され、ポリイソシアネート組成物の粘度安定性、色度安定性、溶剤希釈性、及び、得られる塗膜の耐薬品性をより優れたものとすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、後述の実施例に記載の方法を用いて、測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の貯蔵前のHDI含有量(初期HDI含有量)、50℃で1か月間貯蔵した後のHDI含有量、及び、ΔHDIは、ポリイソシアネート組成物の合成後の薄膜蒸留条件及び加熱条件を組み合わせることで、上記の適切な範囲に制御することができる。
(薄膜蒸留工程)
薄膜蒸留工程は、高沸成分からの低沸成分の分離効率を高めるための工程である。具体的な対策法としては、例えば、流量を少なくし滞留時間を延ばす、蒸留時の温度を高くする、ワイパー回転数を高くする、蒸留回数を増やす等の対策が考えられ、いずれの方法を選択しても構わない。中でも、熱履歴を小さくし、分離効率を高める目的から、蒸留回数を増やす方法が好ましい。蒸留回数としては、1回以上5回以下が好ましい。
(加熱処理工程)
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、初期HDI含有量を低減させるだけではなく、50℃で1か月間貯蔵した後のHDI含有量を少ない量で維持することが望まれている。そのため、加熱処理工程を行うことが好ましい。
加熱処理温度の下限値としては、60℃が好ましく、80℃がより好ましく、100℃がさらに好ましく、110℃が特に好ましい。
加熱処理温度の上限値としては、200℃が好ましく、180℃がより好ましく、160℃がさらに好ましく、150℃が特に好ましい。
加熱処理温度は、60℃以上200℃以下が好ましく、80℃以上180℃以下がより好ましく、100℃以上160℃以下がさらに好ましく、110℃以上150℃以下が特に好ましい。
加熱処理温度を上記下限値以上とすることにより、加熱処理工程時間をより短時間とすることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート組成物の着色をより抑制することができる。
また、加熱処理時間の下限値は、0.2時間が好ましく、0.5時間がより好ましく、0.7時間がさらに好ましく、1.0時間が特に好ましい。
加熱処理時間の上限値は、6時間が好ましく、5時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましい。
加熱処理時間は、0.2時間以上6時間以下が好ましく、0.5時間以上5時間以下がより好ましく、0.7時間以上4時間以下がさらに好ましく、1.0時間以上3時間以下が特に好ましい。
また、加熱処理工程は、ポリイソシアネート組成物の着色抑制、及び、ΔHDIの削減等の観点から、窒素雰囲気下、又は、減圧下で実施することが好ましく、減圧下で実施することがより好ましい。
また、ポリイソシアネートのジイソシアネートモノマーへの分解を抑制するため、加熱処理工程の後、薄膜蒸留工程を実施し、ジイソシアネートモノマー濃度を下げた後、再度加熱処理工程を行い、次いで、再度、薄膜蒸留工程を行うことが好ましい。
上記の処理を行うことで、初期HDI含有量をより低く抑えつつ、50℃で1か月間貯蔵した後のHDI含有量もより低減することができる。
上記加熱処理工程と上記薄膜蒸留工程とはセットで行うことが好ましい。また、最後に行う薄膜蒸留工程における温度は、製造直後のHDI含有量をより低く抑える観点で、直前の加熱処理工程での加熱処理温度より低い温度とすることが好ましい。
上記加熱処理工程と上記薄膜蒸留工程とによる制御方法を組み合わせることで、初期HDI含有量、50℃で1か月間貯蔵した後のHDI含有量、及び、ΔHDIを適切な範囲に制御することができる。これにより、50℃で1か月間貯蔵した時の色度安定性及び粘度安定性が良好なポリイソシアネート組成物が得られる。また、ポリイソシアネート組成物を塗料化する際に、溶剤希釈時の濁りを抑制することができる。さらに、該塗料組成物から得られる塗膜の耐薬品性を良好なものとすることができる。
[その他のポリイソシアネート]
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、イソシアヌレート基に加えて、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基及びアロファネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。
「ウレトジオン基」とは、ジイソシアネートモノマー2分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(I-II)で示される基である。
Figure 0007030833000004
「イミノオキサジアジンジオン基」とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(I-III)で示される基である。
Figure 0007030833000005
「アロファネート基」とは、アルコールの水酸基とイソシアネート基とから形成される官能基であり、下記式(I-IV)で示される基である。
Figure 0007030833000006
(ウレトジオン基を有するポリイソシアネート)
ウレトジオン基を有するポリイソシアネート(ウレトジオン基含有ポリイソシアネート)は、ウレトジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
ウレトジオン化反応触媒としては、以下に限定されないが、例えば、トリアルキルホスフィン、トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン、シクロアルキルホスフィン等の第3ホスフィンが挙げられる。
トリアルキルホスフィンとしては、例えば、トリ-n-ブチルホスフィン、トリ-n-オクチルホスフィン等が挙げられる。
トリス(ジアルキルアミノ)ホスフィンとしては、例えば、トリス-(ジメチルアミノ)ホスフィンなどのトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン等が挙げられる。
シクロアルキルホスフィンとしては、例えば、シクロヘキシル-ジ-n-ヘキシルホスフィン等が挙げられる。
これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートに加えて、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを生成する。
所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のウレトジオン化反応触媒の失活剤を添加してウレトジオン化反応を停止する。
上述したウレトジオン化反応触媒の使用量は、原料であるジイソシアネートに対して、質量比で10ppm以上10000ppm以下であることが好ましく、10ppm以上1000ppm以下であることがより好ましく、10ppm以上500ppm以下であることがさらに好ましい。
ウレトジオン化の反応温度の下限値は、20℃であることが好ましく、25℃であることがより好ましく、30℃であることがさらに好ましく、35℃であることが特に好ましい。
ウレトジオン化の反応温度の上限値は、120℃であることが好ましく、110℃であることがより好ましく、100℃であることがさらに好ましく、90℃であることが特に好ましい。
ウレトジオン化の反応温度は、20℃以上120℃以下であることが好ましく、25℃以上110℃以下であることがより好ましく、30℃以上100℃以下であることがさらに好ましく、35℃以上90℃以下であることが特に好ましい。
ウレトジオン化の反応温度が上記上限値以下であることにより、着色等の得られるポリイソシアネート組成物の特性変化がより効果的に防止できる。
また、上記ウレトジオン化反応触媒を用いることなく、ジイソシアネートモノマーを加熱することでウレトジオン基含有ポリイソシアネートを得ることもできる。
上記ウレトジオン化反応触媒を用いない場合、ジイソシアネートモノマーの加熱温度の下限値としては、120℃が好ましく、130℃がより好ましく、140℃がさらに好ましく、145℃が特に好ましい。
ジイソシアネートモノマーの加熱温度の上限値は、180℃が好ましく、175℃がより好ましく、170℃がさらに好ましく、165℃が特に好ましい。
ジイソシアネートモノマーの加熱温度は、120℃以上180℃以下が好ましく、130℃以上175℃以下がより好ましく、140℃以上170℃以下がさらに好ましく、145℃以上165℃以下が特に好ましい。
上記ウレトジオン化反応触媒を用いない場合、加熱時間の下限値は、0.2時間が好ましく、0.4時間がより好ましく、0.6時間がさらに好ましく、0.8時間が特に好ましく、1.0時間が最も好ましい。
加熱時間の上限値は、8時間が好ましく、6時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましく、2時間が最も好ましい。
加熱時間は、0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1.0時間以上2時間以下が最も好ましい。
加熱時間を上記下限値以上とすることで、より低粘度とするできることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
ウレトジオン化反応触媒を使用せずに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得る場合、加熱のみによるウレトジオン化反応と前述したイソシアヌレート化反応が終了した後、未反応ジイソシアネートモノマー濃度の低減、得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵後の分子量変化率の低減、及び、高温焼付時の黄変性の低減等の観点から、未反応ジイソシアネートモノマーを除去することが好ましい。
(イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート)
イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート(イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート)は、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
イミノオキサジアジンジオン化触媒としては、以下が例示される。
(1)一般式M[F]、又は、一般式M[F(HF)]で表される(ポリ)フッ化水素(上記式中、m及びnは、m/n>0の関係を満たす整数である。Mはn荷電カチオン(混合物)又は合計でn価の1個以上のラジカルである。)
(1)の化合物((ポリ)フッ化水素)として具体的には、例えば、テトラメチルアンモニウムフルオリド水和物、テトラエチルアンモニウムフルオリド等が挙げられる。
(2)一般式R-CR’-C(O)O-、又は、一般式R=CR’-C(O)O-で表される化合物と、第4級アンモニウムカチオン、又は、第4級ホスホニウムカチオンとからなる化合物。(式中、R及びRは、必要に応じて分岐状、環状、及び/又は不飽和の炭素数1~30のパーフルオロアルキル基であり、R’は同一又は異なって、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、及びアリール基からなる群から選択され、必要に応じてヘテロ原子を含有する。)
(2)の化合物として具体的には、例えば、3,3,3-トリフルオロカルボン酸;4,4,4,3,3-ペンタフルオロブタン酸;5,5,5,4,4,3,3-ヘプタフルオロペンタン酸;3,3-ジフルオロプロパ-2-エン酸等が挙げられる。
イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量の下限値は、特に限定されないが、反応性等の観点から、原料であるHDIに対して、質量比で、5ppmが好ましく、10ppmがより好ましく、20ppmがさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量の上限値は、生成物の着色及び変色の抑制や反応制御等の観点から、原料であるHDIに対して、質量比で、5000ppmが好ましく、2000ppmがより好ましく、500ppmがさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化触媒の使用量は、原料であるHDIに対して、質量比で、5ppm以上5000ppm以下であることが好ましく、10ppm以上2000ppm以下がより好ましく、20ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化の反応温度の下限値は、特に限定されないが、反応速度等の観点から、40℃が好ましく、50℃がより好ましく、60℃がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化の反応温度の上限値は、生成物の着色及び変色の抑制等の観点から、150℃が好ましく、120℃がより好ましく、110℃がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化の反応温度は、40℃以上150℃以下が好ましく、50℃以上120℃以下がより好ましく、60℃以上110℃以下がさらに好ましい。
イミノオキサジアジンジオン化反応が所望のイミノオキサジアジンジオン基含有量に達した時点で、イミノオキサジアジンジオン化反応を停止させることができる。イミノオキサジアジンジオン化反応は、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで、停止することができる。これにより、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒を中和、熱分解、又は、化学分解等により不活性化される。反応停止後、必要があれば、ろ過を行う。
(アロファネート基を有するポリイソシアネート)
アロファネート基を有するポリイソシアネート(アロファネート基含有ポリイソシアネート)は、HDIにアルコール化合物等を併用し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。
アロファネート基含有ポリイソシアネートの製造に用いられるアルコール化合物としては、以下に限定されないが、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましい。また、アルコール化合物は数平均分子量が200以下であることが好ましい。
アルコール化合物としては、例えば、モノアルコール、ジアルコール等が挙げられる。
モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール等が挙げられる。
ジアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチルヘキサンジオール等が挙げられる。
これらアルコール化合物は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、アルコール化合物としては、モノアルコールが好ましい。
アルコール化合物の使用量は、以下に限定されないが、HDIのイソシアネート基とアルコール化合物の水酸基とのモル比で10/1以上1000/1以下であることが好ましく、100/1以上1000/1以下であることがより好ましい。上記下限値以上であることで、得られるポリイソシアネートにおいて、イソシアネート基平均数をより適切な数確保することができる。
アロファネート化反応触媒としては、以下に限定されないが、例えば、錫、鉛、亜鉛、ビスマス、ジルコニウム、ジルコニル等のアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。
錫のアルキルカルボン酸塩(有機錫化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸錫、ジブチル錫ジラウレート等が挙げられる。
鉛のアルキルカルボン酸塩(有機鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸鉛等が挙げられる。
亜鉛のアルキルカルボン酸塩(有機亜鉛化合物)としては、例えば、2-エチルヘキサン酸亜鉛等が挙げられる。
ビスマスのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ビスマス等が挙げられる。
ジルコニウムのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム等が挙げられる。
ジルコニルのアルキルカルボン酸塩としては、例えば、2-エチルヘキサン酸ジルコニル等が挙げられる。
所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチル等のアロファネート化反応触媒の失活剤を添加して、アロファネート化反応を停止することができる。
上記アロファネート化反応触媒の使用量は、原料であるジイソシアネートに対して、質量比で、10ppm以上10000ppm以下が好ましく、10ppm以上1000ppm以下がより好ましく、10ppm以上500ppm以下がさらに好ましい。
アロファネート化の反応温度の下限値は、60℃が好ましく、70℃がより好ましく、80℃がさらに好ましく、90℃が特に好ましい。
アロファネート化の反応温度の上限値は、160℃が好ましく、155℃がより好ましく、150℃がさらに好ましく、145℃が特に好ましい。
アロファネート化の反応温度は、60℃以上160℃以下が好ましく、70℃以上155℃以下がより好ましく、80℃以上150℃以下がさらに好ましく、90℃以上145℃以下が特に好ましい。
アロファネート化反応温度が上記上限値以下であることにより、得られるポリイソシアネートの着色等の特性変化をより効果的に防止できる。
反応時間の下限値は、0.2時間が好ましく、0.4時間がより好ましく、0.6時間がさらに好ましく、0.8時間が特に好ましく、1.0時間が最も好ましい。
反応時間の上限値は、8時間以下が好ましく、6時間がより好ましく、4時間がさらに好ましく、3時間が特に好ましく、2時間が最も好ましい。
アロファネート化の反応時間は0.2時間以上8時間以下が好ましく、0.4時間以上6時間以下がより好ましく、0.6時間以上4時間以下がさらに好ましく、0.8時間以上3時間以下が特に好ましく、1.0時間以上2時間以下が最も好ましい。
アロファネート化の反応時間を上記下限値以上とすることで、より低粘度とするできることができ、上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる。
また、上記イソシアヌレート化反応触媒をアロファネート化反応触媒として用いることができる。上記イソシアヌレート化反応触媒を用いて、アロファネート化反応を行う場合、イソシアヌレート型ポリイソシアネートも同時に生成させる。中でも、経済面から生産性の向上等の観点から、アロファネート化反応触媒として、上記イソシアヌレート化反応触媒を用い、アロファネート化反応とイソシアヌレート反応とを行うことが好ましい。
上記イソシアヌレート化反応、及び、上記ウレトジオン化反応はそれぞれを逐次行うこともできるし、並行して行うこともできる。
また、アロファネート化反応を伴う場合には、製造工程を簡略化できるため、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を並行して先行させ、次いで、ウレトジオン化反応を行うことが好ましい。
アロファネート化反応は、所望のアロファネート基含有量に達した時点で、停止させることができる。
アロファネート化反応は、以下に限定されないが、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで、停止することができる。これにより、アロファネート化反応触媒を中和、熱分解、又は、化学分解等により不活性化させることができる。反応停止後、必要があれば、ろ過を行う。
<<塗料組成物(第1の実施形態)>>
上記第1の実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。
本発明の第1の実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物を含有する。
<樹脂成分>
本実施形態の塗料組成物は、更に、主剤として樹脂成分を含有する。該樹脂成分としては、特に限定されないが、イソシアネート基との反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有することが好ましい。
活性水素を分子内に2個以上有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール等が挙げられる。中でも、活性水素を分子内に2個以上有する化合物としては、ポリオールが好ましい。ポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール等が挙げられる。
本実施形態の塗料組成物は、溶剤ベース、水系ベース、無溶剤系のいずれにも使用可能である。
溶剤ベースの塗料組成物とする場合には、例えば、まず、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂、又は、その溶剤希釈物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等のその他添加剤を加えたものを調製する。次いで、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整する。次いで、手攪拌、又は、マゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの塗料組成物を得ることができる。
水系ベースの塗料組成物とする場合には、例えば、まず、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂の水分散体、又は、その水溶液に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等のその他添加剤を加えたものを調製する。次いで、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶剤を更に添加する。次いで、攪拌機器を用いて強制攪拌することによって、水系ベースの塗料組成物を得ることができる。
[ポリエステルポリオール]
ポリエステルポリオールは、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
上記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの具体的な製造方法としては、例えば、上記の成分を混合し、約160~220℃で加熱することによって、縮合反応を行うことができる。
又は、例えば、ε-カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。
上述の製造方法で得られたポリエステルポリオールは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られる化合物等を用いて変性させることができる。中でも、得られる塗膜の耐候性及び耐黄変性等の観点から、ポリエステルポリオールは、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られる化合物を用いて変性させることが好ましい。
本実施形態の塗料組成物が水分量の多い溶剤を含む場合には、ポリエステルポリオール中の二塩基酸等に由来する一部のカルボン酸を残存させておき、アミン、アンモニア等の塩基で中和することで、ポリエステルポリオールを水溶性又は水分散性の樹脂とすることができる。
[ポリエーテルポリオール]
ポリエーテルポリオールは、例えば、以下の(1)~(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
上記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
上記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、ポリエーテルポリオール類を得る方法。
上記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
上記アルキレンオキシドとしては、方法(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して、いわゆるポリマーポリオール類を得る方法。
上記方法(1)で使用される多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
[アクリルポリオール]
アクリルポリオールは、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーのみを重合させる、又は、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、必要に応じて、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
上記一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーとしては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、アクリル酸-2-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するアクリル酸エステル類。
(ii)メタクリル酸-2-ヒドロキシエチル、メタクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-2-ヒドロキシブチル、メタクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、メタクリル酸-4-ヒドロキシブチル等の活性水素を有するメタクリル酸エステル類。
(iii)グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類。
(iv)ポリエーテルポリオール類(例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル。
(v)グリシジル(メタ)アクリレートと一塩基酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、p-tert-ブチル安息香酸等)との付加物。
(vi)上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類(例えば、ε-カプロラクタム、γ-バレロラクトン等)を開環重合させることにより得られる付加物。
上記重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとしては、例えば、以下の(i)~(iv)に示すものが挙げられる。これらを単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(i)アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸-n-ブチル、アクリル酸-2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸-n-ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸-n-ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等の(メタ)アクリル酸エステル類。
(ii)アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等)、不飽和アミド類(アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等の不飽和カルボン酸類。
(iii)ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類。
(iv)スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等のその他の重合性モノマー。
アクリルポリオールの具体的な製造方法としては、例えば、上記のモノマーを、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶剤等で希釈することによって、アクリルポリオールを得ることができる。
本実施形態の塗料組成物が水分量の多い溶剤を含む場合には、上記のモノマーを溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合などの公知の方法で製造することができる。その場合、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分を、アミンやアンモニアで中和することによって、アクリルポリオールに水溶性又は水分散性を付与することができる。
[ポリオレフィンポリオール]
ポリオレフィンポリオールとしては、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリブタジエン、水酸基を2個以上有するポリイソプレン、水酸基を2個以上有する水素添加ポリイソプレン等が挙げられる。
また、ポリオレフィンポリオールの統計的1分子が持つ水酸基数(以下、「水酸基平均数」と称する場合がある)は、2以上であることが好ましい。
[フッ素ポリオール]
本明細書において、「フッ素ポリオール」とは、分子内にフッ素を含むポリオールを意味する。フッ素ポリオールとして具体的には、例えば、特開昭57-34107号公報(参考文献1)、特開昭61-275311号公報(参考文献2)等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
[ポリオールの水酸基価及び酸価]
ポリオールの水酸基価の下限値は、10mgKOH/gが好ましく、20mgKOH/gがより好ましく、30mgKOH/gがさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価の上限値は、200mgKOH/gが好ましく、180mgKOH/gがより好ましく、160mgKOH/gがさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価は、10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下が好ましく、20mgKOH/g以上180mgKOH/g以下がより好ましく、30mgKOH/g以上160mgKOH/g以下がさらに好ましい。
ポリオールの水酸基価が上記下限値以上であることにより、本実施形態の塗料組成物から得られる塗膜の耐薬品性をより向上させることができる。
ポリオールの水酸基価が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物との混合後のポットライフをより向上させることができる。
なお、一般に、「ポットライフ」とは、塗料、接着剤等の組成物において、主剤と硬化剤とを混合して組成物を調製後、硬化前の組成物としての性能を確保している時間を意味する。可使時間ともいう。
ポリオールの酸価は0mgKOH/g以上30mgKOH/g以下であることが好ましい。
水酸基価及び酸価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
中でも、本実施形態の塗料組成物に含まれるポリオールとしては、耐候性、耐薬品性、及び、硬度の観点から、アクリルポリオールが好ましい。又は、機械強度、及び、耐油性の観点から、ポリエステルポリオールが好ましい。
すなわち、本実施形態の塗料組成物は、上記実施形態のポリイソシアネート組成物と、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるアクリルポリオール、及び、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリエステルポリオールのうち少なくとも一つと、を含むことが好ましい。
[NCO/OH]
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物の水酸基に対する、上記実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、0.2以上5.0以下が好ましく、0.4以上3.0がより好ましく、0.5以上2.0以下がさらに好ましい。
NCO/OHが上記下限値以上であると、より強靱な塗膜が得られる傾向にある。一方、NCO/OHが上記上限値以下であると、塗膜の平滑性がより向上する傾向にある。
<その他添加剤>
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物及び上記樹脂成分に加えて、必要に応じて、完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有してもよい。
また、上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物、上記実施形態のポリイソシアネート組成物、及び、本実施形態の塗料組成物は、いずれも、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが好ましく、ポリイソシアネート組成物と十分に相溶することが好ましい。このような有機溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、一般に塗料溶剤として用いられているエステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤等が挙げられる。
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物、上記実施形態のポリイソシアネート組成物、及び、本実施形態の塗料組成物は、いずれも、その目的や用途に応じて、本実施形態の所望の効果を損なわない範囲で、硬化促進用の触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
硬化促進用の触媒の例としては、以下に限定されないが、例えば、金属塩、3級アミン類等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン等が挙げられる。
顔料としては、例えば、酸化チタン、カーボンブラック、インジゴ、キナクリドン、パールマイカ等が挙げられる。
レベリング剤としては、特に限定されないが、例えば、シリコーン、エアロジル、ワックス、ステアリン酸塩、ポリシロキサン等が挙げられる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、及び、光安定剤としては、例えば、燐酸若しくは亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、リン化合物、フェノール系誘導体(特に、ヒンダードフェノール化合物)、イオウを含む化合物、スズ系化合物等が挙げられる。これらを単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。
リン化合物としては、例えば、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等が挙げられる。
イオウを含む化合物としては、例えば、チオエーテル系化合物、ジチオ酸塩系化合物、メルカプトベンズイミダゾール系化合物、チオカルバニリド系化合物、チオジプロピオン酸エステル等が挙げられる。
スズ系化合物としては、例えば、スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等が挙げられる。
可塑剤としては、特に限定されないが、例えば、フタル酸エステル類、燐酸エステル類、脂肪酸エステル類、ピロメリット酸エステル、エポキシ系可塑剤、ポリエーテル系可塑剤、液状ゴム、非芳香族系パラフィンオイルが挙げられる。
フタル酸エステル類としては、例えば、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ジエチルフタレート、ブチルベンジルフタレート、ジ-2-エチルヘキシルフタレート、ジイソデシルフタレート、ジウンデシルフタレート、ジイソノニルフタレート等が挙げられる。
燐酸エステル類としては、例えば、トリクレジルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート、トリ-2-エチルヘキシルホスフェート、トリメチルヘキシルホスフェート、トリス-クロロエチルホスフェート、トリス-ジクロロプロピルホスフェート等が挙げられる。
脂肪酸エステル類としては、例えば、トリメリット酸オクチルエステル、トリメリット酸イソデシルエステル、トリメリット酸エステル類、ジペンタエリスリトールエステル類、ジオクチルアジペート、ジメチルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート、メチルアセチルリシノケート等が挙げられる。
ピロメリット酸エステルとしては、例えば、ピロメリット酸オクチルエステル等が挙げられる。
エポキシ系可塑剤としては、例えば、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等が挙げられる。
ポリエーテル系可塑剤としては、例えば、アジピン酸エーテルエステル、ポリエーテル等が挙げられる。
液状ゴムとしては、例えば、液状NBR、液状アクリルゴム、液状ポリブタジエン等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
<用途>
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。さらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
<<塗膜(第1の実施形態)>>
本発明の第1の実施形態の塗膜は、上記第1の実施形態の塗料組成物から形成されたものである。本実施形態の塗膜は、上記実施形態の塗料組成物を、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等により塗装し、硬化することにより得られる。そのため、本実施形態の塗膜は、常に、安定した品質を発現し、且つ、耐薬品性に優れている。
<<ポリイソシアネート組成物(第2の実施形態)>>
次に、本発明の第2の実施形態のポリイソシアネート組成物について説明する。上記第1の実施形態と同様の方法については記載を省略する場合がある。
本発明の第2の実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート型ポリイソシアネートを含む。なお、「イソシアヌレート」は、第1の実施形態で記載の通りであり、イソシアヌレート3量体と称する場合がある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中において、数平均分子量が700以下の成分の比率の下限値は、70質量%であり、72質量%が好ましく、74質量%がより好ましく、76質量%がより更に好ましい。
数平均分子量が700以下の成分の比率の上限値は90質量%が好ましく、86質量%がより好ましく、82質量%がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の数平均分子量が700以下の成分の比率は、70質量%以上90質量%以下が好ましく、72質量%86質量%以下がより好ましく、74質量%82質量%以下がさらに好ましく、76質量%82質量%以下が特に好ましい。
数平均分子量700以下の成分の比率は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」と略記する場合がある。)により測定することができる。
具体的には、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の下限値は、0.01質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましく、0.03質量%がさらに好ましい。
貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の上限値は、0.10質量%である。
貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、0.01質量%以上0.1質量%以下が好ましく、0.02質量%以上0.1質量%以下がより好ましく、0.03質量%以上0.1質量%以下がよりさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記構成を有するため、低粘度であり、且つ、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成することができる。
<ポリイソシアネート>
[イソシアヌレート型ポリイソシアネート]
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるイソシアヌレート型ポリイソシアネートは、第1の実施形態と同様に、HDIを含む脂肪族ジイソシアネートモノマーから誘導される反応物である。
イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造に用いられるジイソシアネートモノマーとしては、HDIが用いられるが、例えば、第1の実施形態と同様に、脂肪族ジイソシアネート及び/又は脂環族ジイソシアネート等をHDIと組み合わせて用いることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のイソシアヌレート3量体の含有量は特に限定されないが、ポリイソシアネート組成物中の総固形分に対して55質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上95質量%以下がより好ましい。
イソシアヌレート3量体の含有量が上記下限値以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の粘度をより低減できる。一方、イソシアヌレート3量体の含有量が上記上限値以下であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の収率をより高くすることができる。
イソシアヌレート3量体の含有量は、GPCにより測定することができる。
[その他ポリイソシアネート]
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、上記第1の実施形態と同様に、イソシアヌレート基に加えて、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基及びアロファネート基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有していてもよい。
(ウレトジオン基)
本実施形態のポリイソシアネート組成物において、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率の下限値は、0.01が好ましく、0.15がより好ましく、0.2がさらに好ましく、0.3が特に好ましい。
ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率の上限値は、0.5が好ましく、0.45がより好ましく、0.4がさらに好ましく、0.38が特に好ましい。
ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、0.01以上0.5以下が好ましく、0.15以上0.45以下がより好ましく、0.2以上0.4以下がさらに好ましく、0.3以上0.38以下が特に好ましい。
ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率が上記下限値以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の粘度をより低下させることができる。一方、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率が上記上限値以下であることにより、架橋性をより向上させることができる。
ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、13C-NMRの測定によって求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を、上記範囲に制御する方法としては、例えば、以下の(1)又は(2)方法が挙げられる。
(1)HDIのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させる。次いで、140℃以上160℃以下程度(好ましくは、145℃以上165℃以下)の温度、数時間程度(好ましくは、1時間以上3時間以下)反応させる。これにより、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を、上記範囲に制御することができる。
(2)HDIのイソシアヌレート化反応を実施し、第1のポリイソシアネート組成物を得る。次いで、第3ホスフィン等のウレトジオン化触媒を添加する。次いで、20℃以上80℃以下程度の温度で、数時間以上数十時間以下程度、反応させて、第2のポリイソシアネート組成物を得る。次いで、第1のポリイソシアネート組成物に、第2のポリイソシアネート組成物を一部混合される。これにより、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を、上記範囲に制御することができる。
中でも、入手の容易さ等の観点から、上記(1)に示す方法が好ましい。
(イミノオキサジアジンジオン基)
イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。
イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を、制御する方法としては、例えば、以下の(1)又は(2)方法が挙げられる。
(1)HDIのイソシアヌレート化反応を実施した後、触媒を失活させる。次いで、140℃以上160℃以下程度の温度で、数時間程度反応させる。これにより、イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を制御することができる。
(2)HDIに対し、1-ブチルホスホラン等のヘテロ環含有リン系化合物を触媒とし、20℃以上80℃以下程度の温度で、数時間以上数十時間以下程度、反応させて、第2のポリイソシアネート組成物を得る。次いで、(1)で得たポリイソシアネート組成物に、第2のポリイソシアネート組成物を一部混合される。これにより、イミノオキサジアジンジオン基/イソシアヌレート基のモル比率を制御することができる。
(アロファネート基)
本実施形態のポリイソシアネート組成物におけるイソシアヌレート基のモル量をA、ウレトジオン基のモル量をB、イミノオキサジアジンジオン基のモル量をC、アロファネート基のモル量をEとする場合に、A/(A+B+C+E)は、特に制限はないが、0.1以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、0.5以上が特に好ましい。
A/(A+B+C+E)は、13C-NMRの測定によって求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
(その他の基)
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、上記官能基以外に、ウレタン基、ウレア基、ビュレット基、カルボジイミド基等を有してもよい。
<粘度>
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度の下限値は、100mPa・sが好ましく、140mPa・sがより好ましく、180mPa・sがさらに好ましく、200mPa・sが特に好ましく、220mPa・sが最も好ましい。
粘度の上限値は、1500mPa・sが好ましく、1000mPa・sがより好ましく、800mPa・sがさらに好ましく、700mPa・sが特に好ましく、600mPa・sが最も好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、100mPa・s以上1500mPa・s以下が好ましく、140mPa・s以上1000mPa・s以下がより好ましく、180mPa・s以上800mPa・s以下がさらに好ましく、200mPa・s以上700mPa・s以下がよりさらに好ましく、220mPa・s以上600mPa・s以下がより更に好ましい。
粘度が上記下限値以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の架橋性をより向上させることができる。一方、粘度が上記上限値以下であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物を使用した塗料組成物の固形分濃度をより高くできる。
粘度は、不揮発性分を99.5質量%以上に精製したポリイソシアネート組成物を、E型粘度計(トキメック社製)を用いることによって測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<イソシアネート基の含有率(NCO含有率)>
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の含有率(NCO含有率)の下限値は、21質量%が好ましく、21.5質量%がより好ましく、22.0質量%がさらに好ましい。
NCO含有率の上限値は、25質量%が好ましく、24質量%がより好ましく、23.7質量%がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のNCO含有率は、21質量%以上25質量%以下が好ましく、21.5質量%以上24質量%以下がより好ましく、22.0質量%以上23.7質量%以下がさらに好ましく、22.0質量%以上23.0質量%以下がより更に好ましい。
NCO含有率が上記下限値以上であることにより、得られる塗膜の硬度等の塗膜物性をより良好とすることができる。一方、NCO含有率が上記上限値以下であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の収率をより高くすることができる。
NCO含有率は、本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めることができる。
なお、NCO含有率は、本実施形態のポリイソシアネート組成物の固形分に対する値である。また、ポリイソシアネート組成物の固形分は、後述の実施例に示す不揮発分の測定方法に準じて測定することができる。
<イソシアネート基平均数(NCO基平均数)>
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基平均数(NCO基平均数)の下限値は、2.3が好ましく、2.5がより好ましく、2.7がさらに好ましい。
NCO基平均数の上限値は、4.0が好ましく、3.8がより好ましく、3.5がさらに好ましく、3.2が特に好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のNCO基平均数は、2.3以上4.0以下が好ましく、2.5以上3.8以下がより好ましく、2.7以上3.5以下がさらに好ましく、2.7以上3.2以下が特に好ましい。
NCO基平均数が上記下限値以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の架橋性をより向上させることができる。一方、NCO基平均数が上記上限値以下であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物をより低粘度とすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基平均数は以下の式(II-A)により、算出することができる。
NCO基平均数=(ポリイソシアネート数平均分子量×NCO含有率×0.01)/42 ・・・(II-A)
<数平均分子量>
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量の下限値は、400が好ましく、430がより好ましく、460がさらに好ましく、480が特に好ましい。
数平均分子量の上限値は、1000が好ましく、800がより好ましく、700がさらに好ましく、600が特に好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量は、400以上1,000以下が好ましく、430以上800以下がより好ましく、460以上700以下がさらに好ましく、480以上600以下が特に好ましい。
数平均分子量が上記下限値以上であることで、得られるポリイソシアネート組成物の収率がより向上する傾向にある。一方、数平均分子量が上記上限値以下であることで、得られる塗膜の光沢がより向上する傾向にある。
数平均分子量は、GPCによってポリスチレン基準の数平均分子量を求めることができる。
<<ポリイソシアネート組成物の製造方法(第2の実施形態)>>
次に、本発明の第2の実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法について説明する。上記第1の実施形態と同様の工程については記載を省略する場合がある。
<イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造方法>
イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、第1の実施形態と同様に、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート化触媒及び助触媒としてのアルコールを使用して、反応させることでイソシアヌレート型ポリイソシアネートが得られる。
<ウレトジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法>
ウレトジオン基を有するポリイソシアネート(ウレトジオン基含有ポリイソシアネート)は、第1の実施形態と同様に、ウレトジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
<イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法>
イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート(イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート)は、第1の実施形態と同様に、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
<アロファネート基を有するポリイソシアネート>
アロファネート基を有するポリイソシアネート(アロファネート基含有ポリイソシアネート)は、第1の実施形態と同様に、HDIにアルコール化合物等を併用し、アロファネート化反応触媒を用いることにより得られる。
<収率>
本実施形態のポリイソシアネート組成物中において、数平均分子量700以下の成分の比率を上記範囲に制御するために、収率の下限値は、5質量%が好ましく、10質量%がより好ましく、15質量%がさらに好ましい。
収率の上限値は、40質量%が好ましく、35質量%がより好ましく、30質量%がさらに好ましい。
収率は、5質量%以上40質量%以下が好ましく、10質量%以上35質量%以下がより好ましく、15質量%以上30質量%以下がさらに好ましい。
収率が上記下限値以上であることで、生産性をより向上することができる。一方、収率が上記上限値以下であることで、数平均分子量700以下の成分の比率をより高くすることができる。
また、数平均分子量700以下の成分の比率を上記範囲に制御するため、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ウレトジオン基及びアロファネート基を有するポリイソシアネートを含むことが好ましい。
<薄膜蒸留工程及び加熱処理工程>
反応停止直後の反応液は、通常、未反応のHDI等のジイソシアネートモノマーを含むため、これを薄膜蒸発缶、抽出等で除去することが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、50℃で1か月間貯蔵する場合に、貯蔵後のHDI含有量を上記上限値以下に制御するために、通常の薄膜蒸留を1回以上4回以下行うことができ、薄膜蒸留及び加熱処理を各々2回以上4回以下繰り返して行うことが好ましい。
[薄膜蒸留工程]
薄膜蒸留工程は、高沸成分からの低沸成分の分離効率を高めるための工程であり、第1の実施形態と同様の方法で実施される。
[加熱処理工程]
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物を50℃で1か月間貯蔵する場合、貯蔵前のHDI含有量(以下、「初期HDI含有量」と称する場合がある。)を低減させるだけではなく、貯蔵後のHDI含有量を少ない量で維持することが望まれている。そのため、第1の実施形態と同様の方法で加熱処理工程を行うことが好ましい。
また、第1の実施形態と同様に、ポリイソシアネートのジイソシアネートモノマーへの分解を抑制するため、加熱処理工程の後、薄膜蒸留工程を実施し、ジイソシアネートモノマー濃度を下げた後、再度加熱処理工程を行い、その後、再度、薄膜蒸留工程を行うことが好ましい。
上記の処理を行うことで、初期HDI含有量をより低く抑えつつ、50℃で1か月間貯蔵した後のHDI含有量もより低減することができる。
なお、本実施形態のポリイソシアネート組成物中の初期HDI含有量は、0.10質量%以下であり、0.08質量%以下がより好ましく、0.06質量%以下がよりさらに好ましく、0.05質量%以下が特に好ましい。
初期HDI含有量を上記上限値以下とすることで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の毒性をより低減でき、安全性をより向上させることができる。
<<塗料組成物(第2の実施形態)>>
本発明の第2の実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記第1の実施形態と同様に、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。
本実施形態の塗料組成物は、上記第2の実施形態のポリイソシアネート組成物を含有する。
<樹脂成分>
本実施形態の塗料組成物は、更に、主剤として樹脂成分を含有する。該樹脂成分としては、特に限定されないが、上記第1の実施形態と同様のものが用いられる。
本実施形態の塗料組成物は、上記第1の実施形態と同様に、溶剤ベース、水系ベース、無溶剤系のいずれにも使用可能である。
<その他添加剤>
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物及び上記樹脂成分に加えて、必要に応じて、上記第1の実施形態と同様に、完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有してもよい。
また、上記第2の実施形態のポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、上記第1の実施形態と同様のものを用いることができる。
上記第2の実施形態のポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、その目的や用途に応じて、本実施形態の所望の効果を損なわない範囲で、上記第1の実施形態と同様に、硬化促進用の触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
<用途>
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。さらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
<<塗膜(第2の実施形態)>>
本実施形態の塗膜は、上記第2の実施形態の塗料組成物から形成されたものである。本実施形態の塗膜は、上記第2の実施形態の塗料組成物を、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等により塗装し、硬化することにより得られる。そのため、本実施形態の塗膜は、常に、安定した品質を発現し、且つ、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れている。
<<ポリイソシアネート組成物(第3の実施形態)>>
次に、本発明の第3の実施形態のポリイソシアネート組成物について説明する。
上記第1及び/又は第2の実施形態と同様の構成については、その説明を省略する場合がある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、HDIを含む脂肪酸ジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートを含む。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート基のモル量をA、ウレトジオン基のモル量をB、イミノオキサジアジンジオン基のモル量をC、ビュレット基のモル量をDとした場合の、D/(A+B+C+D)が0.50以上であることが好ましい。
上記官能基のモル量は、13C-NMRを用いて測定し、求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記構成を有するため、基材との密着性及び耐汚染性に優れる塗膜を形成することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、50℃で1か月間貯蔵した場合での、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の下限値は、0.01質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましく、0.03質量%がさらに好ましい。
貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量の上限値は、0.10質量%である。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<ポリイソシアネート>
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、HDIを含む脂肪族ジイソシアネートモノマーから誘導される反応物である。
(ジイソシアネートモノマー)
ポリイソシアネートの製造に用いられるジイソシアネートモノマーとしては、HDIが用いられるが、例えば、HDI以外の脂肪族ジイソシアネート、及び/又は、脂環族ジイソシアネート等をHDIと組み合わせて用いることができる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、炭素数4以上30以下のものが好ましく、第1の実施形態と同様のものが挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては炭素数8以上30以下のものが好ましく、第1の実施形態と同様のものが挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、ビュレット基を有する。
なお、「ビュレット基」とは、ジイソシアネートモノマー3分子とビュレット化剤とからなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(III-I)で示される基である。
Figure 0007030833000007
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、ビュレット基に加えて、イソシアヌレート基、ウレトジオン基及びイミノオキサジアジンジオン基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するポリイソシアネートを含んでいてもよい。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、上記官能基以外に、アロファネート基、ウレタン基、ウレア基、カルボジイミド基等を有してもよい。
<粘度>
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度の下限値は、300mPa・sが好ましく、500mPa・sがより好ましく、1000mPa・sがさらに好ましく、1500mPa・sが特に好ましく、2000mPa・sが最も好ましい。
粘度の上限値は、15000mPa・sが好ましく、12000mPa・sがより好ましく、10000mPa・sがさらに好ましく、7000mPa・sが特に好ましく、5000mPa・sが最も好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、300mPa・s以上15000mPa・以下が好ましく、500mPa・s以上12000mPa・s以下がより好ましく、1000mPa・s以上10000mPa・s以下がさらに好ましく、1500mPa・s以上7000mPa・s以下が特に好ましく、2000mPa・s以上5000mPa・s以下が最も好ましい。
粘度が上記下限値以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の架橋性をより向上させることができる。一方、粘度が上記上限値以下であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物を使用した塗料組成物の固形分濃度をより高くできる。
粘度は、不揮発性分を99.5質量%以上に精製したポリイソシアネート組成物を、E型粘度計(トキメック社製)を用いることによって測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定することができる。
<イソシアネート基の含有率(NCO含有率)>
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の含有率(NCO含有率)の下限値は、20質量%が好ましく、21質量%がより好ましく、21.5質量%がさらに好ましく、22質量%が特に好ましい。
NCO含有率の上限値は、25質量%が好ましく、24質量%がより好ましく、23.7質量%がさらに好ましい。
すなわち、本実施形態のポリイソシアネート組成物のNCO含有率は、20質量%以上25質量%以下が好ましく、21質量%以上24質量%以下がより好ましく、21.5質量%以上23.7質量%以下がさらに好ましく、22質量%以上23.7質量%以下が特に好ましい。
NCO含有率が上記下限値以上であることにより、得られる塗膜の硬度等の塗膜物性をより良好とすることができる。一方、NCO含有率が上記上限値以下であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の収率をより高くすることができる。
NCO含有率は、第2の実施形態と同様の方法で求めることができる。
<イソシアネート基平均数(NCO基平均数)>
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基平均数(NCO基平均数)の下限値は、2.3が好ましく、2.5がより好ましく、2.7がさらに好ましい。
NCO基平均数の上限値は、4.0が好ましく、3.8がより好ましく、3.5がさらに好ましく、3.2が特に好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のNCO基平均数は、2.3以上4.0以下が好ましく、2.5以上3.8以下がより好ましく、2.7以上3.5以下がさらに好ましく、2.7以上3.2以下が特に好ましい。
NCO基平均数が上記下限値以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の架橋性をより向上させることができる。一方、NCO基平均数が上記上限値以下であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物をより低粘度とすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基平均数は第2の実施形態と同様の方法で、算出することができる。
<数平均分子量>
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量の下限値は、400が好ましく、430がより好ましく、460がさらに好ましく、480が特に好ましい。
数平均分子量の上限値は、1000が好ましく、800がより好ましく、700がさらに好ましく、600が特に好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量は、400以上1,000以下が好ましく、430以上800以下がより好ましく、460以上700以下がさらに好ましく、480以上600以下が特に好ましい。
数平均分子量が上記下限値以上であることで、得られるポリイソシアネート組成物の収率がより向上する傾向にある。一方、数平均分子量が上記上限値以下であることで、得られる塗膜の光沢がより向上する傾向にある。
数平均分子量は、GPCによってポリスチレン基準の数平均分子量を求めることができる。
<<ポリイソシアネート組成物の製造方法(第3の実施形態)>>
次に、第3の実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法について説明する。第1及び/又は第2の実施形態と同様の方法についてはその記載を省略する場合がある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、原料として、少なくともHDIを用いる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアネート基から誘導されるビュレット基を形成するビュレット化反応を必須とする。また、場合により、イソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応、ウレトジオン基を形成するウレトジオン化反応、及び、イミノオキサジアジンジオン基を形成するイミノオキサジアジンジオン化反応を、それぞれ逐次、又は、そのいくつかを並行して、過剰のジイソシアネートモノマー存在下で行う。さらに、反応終了後、未反応のジイソシアネートモノマーを除去することにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得られる。
又は、ビュレット基含有ポリイソシアネートに、他の上記3反応を別々に実施させたものを混合することによっても得られる。
中でも、本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法としては、入手の容易さから、上記3反応をそれぞれ逐次行う、又は、そのいくつかを並行して実施する方法が好ましい。
さらに、副原料として、アルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール化合物等も併用することができる。
<ビュレット基を有するポリイソシアネートの製造方法>
ビュレット基を有するポリイソシアネート(ビュレット基含有ポリイソシアネート)はジイソシアネートモノマーとビュレット化剤とを反応させて得ることができる。
[ビュレット化剤]
ビュレット化剤としては、例えば、水、1価の第3級アルコール、蟻酸、硫化水素、有機第1モノアミン、有機第1ジアミン等を挙げられる。
ビュレット化反応は、ビュレット化剤1モルに対して、ジイソシアネートモノマー3モル以上とすることができ、5モル以上が好ましく、5モル以上40モル以下がより好ましい。
[溶剤]
ビュレット化反応の際に溶剤を用いることができる。
溶剤は、ジイソシアネートモノマーと水等のビュレット化剤とを溶解し、反応条件下で均一相を形成できるものを用いることができる。溶剤は、均一相を形成するのに必要な量が添加することができる。これにより、ポリ尿素等の副生成物の生成を抑制できる。
また、溶剤としては、水等のビュレット化剤が適度な溶解度を示す溶剤であることが好ましい。これにより、溶剤の添加量を削減することができ、反応終了後に、溶剤を分離し、容易に回収することができる。具体的には、溶剤に対する水等のビュレット化剤の溶解度が0.5%以上であることが好ましい。
また、溶剤の沸点は、未反応ジイソシアネート等の回収分離を考慮すると、原料であるジイソシアネートモノマーの沸点より低いことが好ましい。
溶剤として具体的には、例えば、エチレングリコール系溶剤、リン酸系トリエステル等が挙げられる。
エチレングリコール系溶剤として好ましいものは、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。これらエチレングリコール系溶剤は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
リン酸系トリエステルとして好ましいものは、例えば、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル等が挙げられる。これらリン酸系トリエステルは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。中でも、リン酸系トリエステルとしては、リン酸トリメチル又はリン酸トリエチルが好ましい。
エチレングリコール系溶剤及びリン酸系トリエステルを併用する場合に、その混合比率(エチレングリコール系溶剤/リン酸系トリエステル)は、質量比で、3/7以上9/1以下とすることができる。
溶剤の使用量は、原料であるジイソシアネートモノマー及び溶剤の総質量に対して、20質量%以上50質量%以下とすることができる。
また、場合により、特開平8-225511号公報(特許文献8)に例示されるOH-酸性化合物を添加することもできる。
[反応条件]
反応温度は70℃以上200℃以下とすることができ、90℃以上180℃以下が好ましい。
これらの反応は、バッチ法で行ってもよく、連続法で行ってもよい。中でも、生産性等から、連続法が好ましい。特に、特公昭62-41496号公報(特許文献5)で開示されている連続的製造法が好ましい。この連続的製造法では、まず、ジイソシアネートモノマーとビュレット化剤との反応を攪拌均質下に反応を行う。次いで、得られた反応生成物をパイプリアクターに導き、該パイプリアクター中押出し流れ下で反応を進行せしめることで、ビュレット基含有ポリイソシアネートを得ることができる。
<イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの製造方法>
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネート(イソシアヌレート基含有ポリイソシアネート)は、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート化触媒を使用して、反応させることで得られる。
イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートの好ましい製造方法としては、例えば、原料であるHDIにイソシアヌレート化触媒を添加し、所定の重合度に到達するまで反応を進行させた後、必要に応じて未反応のHDIを除去することによってイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを誘導する場合は、通常、イソシアヌレート化反応触媒を用いる。
イソシアヌレート化反応触媒としては塩基性を有するものが好ましい。このようなイソシアヌレート化反応触媒としては、具体的には、以下の1)~7)に示すものが挙げられる。
1)テトラアルキルアンモニウムのヒドロオキシド又は有機弱酸塩。
上記テトラアルキルアンモニウムとしては、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。
上記塩を形成する有機弱酸としては、例えば、酢酸、カプリン酸等が挙げられる。
2)ヒドロキシアルキルアンモニウムのヒドロオキシド又は有機弱酸塩。
上記ヒドロキシアルキルアンモニウムとしては、例えば、トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等が挙げられる。
上記塩を形成する有機弱酸としては、例えば、酢酸、カプリン酸等が挙げられる。
3)アルキルカルボン酸の金属塩。
上記アルキルカルボン酸としては、例えば、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等が挙げられる。
上記塩を形成する金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。
4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート。
5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物。
6)マンニッヒ塩基類。
7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用。
中でも、イソシアヌレート化反応触媒としては、触媒効率の観点から、上記1)、2)又は3)が好ましく、上記1)の有機弱酸塩がより好ましい。
イソシアヌレート化触媒の使用量は、溶剤等の使用量により異なるが、ポリイソシアネートの原料として用いるHDIの質量に対して、10質量ppm以上1000質量ppm以下が好ましく、10質量ppm以上500質量ppm以下がより好ましく、10質量ppm以上100質量ppm以下がさらに好ましい。
イソシアヌレート化反応温度の下限値は、50℃が好ましく、54℃がより好ましく、57℃がさらに好ましく、60℃が特に好ましい。
イソシアヌレート化反応温度の上限値は、120℃が好ましく、100℃がより好ましく、90℃がさらに好ましく、80℃が特に好ましい。
イソシアヌレート化反応温度は、50℃以上120℃以下が好ましい。54℃以上100℃以下がより好ましく、57℃以上90℃以下がさらに好ましく、60℃以上80℃以下が特に好ましい。
イソシアヌレート化反応温度が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物の着色等の特性変化がより効果的に防止できる。
イソシアヌレート化反応が所望の重合度に達した時点で、イソシアヌレート化反応を停止させる。イソシアヌレート化反応は、以下に限定されないが、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで停止できる。これにより、イソシアヌレート化反応触媒を中和、熱分解、又は、化学分解等により不活性化させることができる。
反応停止後、必要があれば、濾過を行う。
<ウレトジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法>
ウレトジオン基を有するポリイソシアネート(ウレトジオン基含有ポリイソシアネート)は、第1の実施形態と同様の方法により得られる。
<イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法>
イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート(イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート)も、第1の実施形態と同様の方法により得られる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上述したように、イソシアヌレート基のモル量をA、ウレトジオン基のモル量をB、イミノオキサジアジンジオン基のモル量をC、ビュレット基のモル量をDとした場合に、D/(A+B+C+D)が0.50以上であることが好ましい。
例えば、以下の(1)又は(2)の製造方法を行うことでポリイソシアネート組成物における上記比率を制御することができる。
(1)まず、ビュレット化反応の前後に、ぞれぞれの触媒を添加することで、イソシアヌレート化、ウレトジオン化、及び、イミノオキサジアジンジオン化反応を実施する。次いで、必要であれば、反応停止剤を使用し、反応を停止した後、精製によりジイソシアネートモノマーを除去することで、ポリイソシアネート組成物を得ることができる。
(2)まず、ビュレット化反応し、精製によりジイソシアネートモノマーを除去した第1のポリイソシアネートを製造する。次いで、ビュレット化反応以外の反応を実施し、精製によりジイソシアネートモノマーを除去した第2のポリイソシアネートを製造する。次いで、精製した第1のポリイソシアネートと第2のポリイソシアネートとを、所定比率で混合することで、ポリイソシアネート組成物を得ることができる。
<薄膜蒸留工程及び加熱処理工程>
反応停止直後の反応液は、通常、未反応のHDI等のジイソシアネートモノマーを含むため、これを薄膜蒸発缶、抽出等で除去することが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、50℃で1か月間貯蔵する場合に、貯蔵後のHDI含有量を上記上限値以下に制御するために、通常の薄膜蒸留を1回以上5回以下行うことができ、薄膜蒸留及び加熱処理を行うことが好ましく、薄膜蒸留及び加熱処理を各々4~5回繰り返すことがより好ましい。
[薄膜蒸留工程]
薄膜蒸留工程は、第1及び/又は第2の実施形態と同様の方法で実施することができる。
[加熱処理工程]
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物を50℃で1か月間貯蔵する場合、貯蔵前のHDI含有量(以下、「初期HDI含有量」と称する場合がある。)を低減させるだけではなく、貯蔵後のHDI含有量を少ない量で維持することが望まれている。そのため、第1及び/又は第2の実施形態と同様の方法で加熱処理工程を行うことが好ましい。
なお、本実施形態のポリイソシアネート組成物中の初期HDI含有量は、0.10質量%以下であり、0.08質量%以下が好ましく、0.06質量%以下がさらに好ましく、0.05質量%以下がより更に好ましい。
初期HDI含有量を上記上限値以下とすることで、本実施形態のポリイソシアネート組成物の毒性をより低減でき、安全性をより向上させることができる。
<<塗料組成物(第3の実施形態)>>
本発明の第3の実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記第1及び/又は第2の実施形態と同様に、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。
本実施形態の塗料組成物は、上記第3の実施形態のポリイソシアネート組成物を含有する。
<樹脂成分>
本実施形態の塗料組成物は、更に、主剤として樹脂成分を含有する。該樹脂成分としては、特に限定されないが、上記第1及び/又は第2の実施形態と同様のものが用いられる。
本実施形態の塗料組成物は、上記第1及び/又は第2の実施形態と同様に、溶剤ベース、水系ベース、無溶剤系のいずれにも使用可能である。
<その他添加剤>
本実施形態の塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物及び上記樹脂成分に加えて、必要に応じて、上記第1及び/又は第2の実施形態と同様に、完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有してもよい。
また、上記第3の実施形態のポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、上記第1及び/又は第2の実施形態と同様のものを用いることができる。
上記第3の実施形態のポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、その目的や用途に応じて、本実施形態の所望の効果を損なわない範囲で、上記第1及び/又は第2の実施形態と同様に、硬化促進用の触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
<用途>
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。さらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
<<塗膜(第3の実施形態)>>
本実施形態の塗膜は、上記第3の実施形態の塗料組成物から形成されたものである。本実施形態の塗膜は、上記第3の実施形態の塗料組成物を、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等により塗装し、硬化することにより得られる。そのため、本実施形態の塗膜は、常に、安定した品質を発現し、且つ、ジイソシアネートモノマー由来の臭気が少なく、且つ、密着性及び耐汚染性に優れている。
<<ポリイソシアネート組成物(第4の実施形態)>>
次に、本発明の第4の実施形態のポリイソシアネート組成物について説明する。
上記第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様の構成については、その説明を省略する場合がある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、HDIを含むジイソシアネート及び下記一般式(IV-I)で示されるポリイソシアネート(以下、「ポリイソシアネート(IV-I)」と称する場合がある)を含む。
Figure 0007030833000008
上記一般式(IV-I)中、R11は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群により選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートのイソシアネート基を除く残基である。X11は、活性水素基及び親水性基を有する化合物の活性水素基を除く残基である。Y11は、イソシアネート基と上記活性水素基との結合構造である。(n11+n12)は2以上10以下の整数である。n11及びn12はいずれも0ではない。n11/(n11+n12)×100は、1以上50以下である。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネート(IV-I)は、イソシアネート基の一部が活性水素基及び親水性基を有する化合物によって変性された親水性ポリイソシアネートである。
本実施形態におけるポリイソシアネート組成物において、活性水素基及び親水性基を有する化合物によって変性されたポリイソシアネートの割合(変性率)は、原料のポリイソイソシアネートのイソシアネート基100モル量に対して、イソシアネート基と反応して結合した活性水素基及び親水性基を有する化合物の活性水素基の割合である。また、変性率は、上記一般式(IV-I)中のn11及びn12から、{n11/(n11+n12)×100}で算出される値である。
上記変性率の下限値は、1モル%が好ましく、2モル%がより好ましく、3モル%がさらに好ましく、4モル%が特に好ましい。
一方、上記変性率の上限値は、50モル%が好ましく、40モル%がより好ましく、35モル%がさらに好ましく、30モル%が特に好ましい。
上記変性率は、1モル%以上50モル%以下が好ましく、2モル%以上40モル%以下がより好ましく、3モル%以上35モル%以下がさらに好ましく、4モル%以上30モル%以下が特に好ましい。
変性率が上記下限値以上であることにより、本実施形態のポリイソシアネート組成物の水分散性がより優れる。一方、変性率が上記上限値以下であることにより、得られる硬化物の耐水性がより優れる。
変性率は、後述する実施例に記載する方法により、測定及び算出することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるジイソシアネートは、ポリイソシアネート(IV-I)に用いられるポリイソシアネート前駆体の製造時に発生する未反応の原料ジイソシアネートである。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有量の下限値は、0.002質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましく、0.01質量%がさらに好ましく、0.02質量%が特に好ましい。
一方、本実施形態のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有量の上限値は、0.1質量%である。
さらに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を50℃、1ヶ月間貯蔵する場合に、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有量の下限値は、0.002質量%が好ましく、0.005質量%がより好ましく、0.01質量%がさらに好ましく、0.02質量%が特に好ましい。
一方、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有量の上限値は、0.10質量%である。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有量は、GPCにより測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記構成であることにより、優れた硬度及び耐水性の硬化物を得ることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の各構成成分について、以下に詳細を説明する。
<ポリイソシアネート(IV-I)>
ポリイソシアネート(IV-I)は、下記一般式(IV-I)で示されるポリイソシアネートである。具体的には、ポリイソシアネート(IV-I)は、ポリイソシアネート前駆体と活性水素基及び親水性基を有する化合物とから得られる反応物である。
Figure 0007030833000009
一般式(IV-I)中、R11は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群により選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートのイソシアネート基を除く残基である。X11は、活性水素基及び親水性基を有する化合物の活性水素基を除く残基である。Y11は、イソシアネート基と上記活性水素基との結合構造である。(n11+n12)は2以上10以下の整数である。n11及びn12はいずれも0ではない。n11/(n11+n12)×100は、1以上50以下である。
[ポリイソシアネート前駆体]
上記一般式(IV-I)中、R11は、ポリイソシアネート前駆体のイソシアネート基を除く残基である。
ポリイソシアネート(IV-I)の製造に用いられるポリイソシアネート前駆体としては、HDIを含むジイソシアネート化合物から誘導されたものであることが好ましい。HDIを含むジイソシアネート化合物は、HDI以外の脂肪族ポリイソシアネーオ及び/又は脂環族ポリイソシアネーオを含んでいてもよい。
HDI以外の脂肪族ジイソシアネートとしては、以下のものに限定されないが、例えば、1,4-ジイソシアナトブタン、1,5-ジイソシアナトペンタン、エチル(2,6-ジイソシアナト)ヘキサノエート、1,9-ジイソシアナトノナン、1,12-ジイソシアナトドデカン、2,2,4-又は2,4,4-トリメチル-1、6-ジイソシアナトヘキサン等が挙げられる。
脂環族ジイソシアネートとしては、以下のものに限定されないが、例えば、1,3-又は1,4-ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「水添XDI」と称する)、1,3-又は1,4-ジイソシアナトシクロヘキサン、3,5,5-トリメチル1-イソシアナト-3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン(以下、「IPDI」と称する)、4-4’-ジイソシアナト-ジシクロヘキシルメタン(以下、「水添MDI」と称する)、2,5-又は2,6-ジイソシアナトメチルノルボルナン等が挙げられる。これらの中でも、IPDI、水添XDI又は水添MDIが好ましい。
ポリイソシアネート(IV-I)の製造に用いられるポリイソシアネート前駆体としては、以下のものに限定されないが、例えば、下記式(IV-III)~(IV-XI)で表される基を有するポリイソシアネート化合物等が挙げられる。すなわち、ポリイソシアネート(IV-I)において、R11としては、例えば、下記式(IV-III)~(IV-XI)で表される基等が挙げられる。
下記式(IV-III)で表される基(以下、「基(IV-III)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、2つのイソシアネート基を環化二量化して得られるウレトジオン基(基(IV-III))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000010
下記式(IV-IV)で表される基(以下、「基(IV-IV)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、3つのイソシアネート基を環化三量化して得られるイソシアヌレート基(基(IV-IV))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000011
下記式(IV-V)で表される基(以下、「基(IV-V)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、イミノオキサジアジンジオン基(基(IV-V))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000012
下記式(IV-VI)で表される基(以下、「基(IV-VI)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、3つのイソシアネート基と1つの水分子とを反応させて得られるビュレット基(基(IV-VI))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000013
下記式(IV-VII)で表される基(以下、「基(IV-VII)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、2つのイソシアネート基と1分子の二酸化炭素とを反応させて得られるオキサダイアジントリオン基(基(IV-VII))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000014
下記式(IV-VIII)で表される基(以下、「基(IV-VIII)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、1つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるウレタン基(基(IV-VIII))を複数有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000015
下記式(IV-IX)で表される基(以下、「基(IV-IX)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、2つのイソシアネート基と1つの水酸基とを反応させて得られるアロファネート基(基(IV-IX))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000016
下記式(IV-X)で表される基(以下、「基(IV-X)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、1つのイソシアネート基と1つのカルボキシル基とを反応させて得られるアシル尿素(ウレア)基(基(IV-X))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000017
下記式(IV-XI)で表される基(以下、「基(IV-XI)」と称する場合がある)を有するポリイソシアネート化合物は、1つのイソシアネート基と1つの1級又は2級アミンとを反応させて得られる尿素(ウレア)基(基(IV-XI))を有するポリイソシアネート化合物である。
Figure 0007030833000018
(イソシアヌレート基/(イソシアヌレート基+アロファネート基))
本実施形態のポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネート(IV-I)がイソシアヌレート基及びアロファネート基を有する場合、上記ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基及びアロファネート基の合計モル量に対するイソシアヌレート基のモル量の比率(イソシアヌレート基/(イソシアヌレート+アロファネート基)は0.80以上0.99未満であることが好ましい。
(ポリイソシアネート前駆体の粘度)
本実施形態のポリイソシアネート前駆体の25℃における粘度の下限値は、10mPa・sが好ましく、30mPa・sがよりに好ましく、50mPa・sがさらに好ましい。
一方、本実施形態のポリイソシアネート前駆体の25℃における粘度の上限値は、10,000mPa・sが好ましく、9,000mPa・sがより好ましく、8,000mPa・sがさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート前駆体の25℃における粘度は、10mPa・s以上10,000mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以上9,000mPa・s以下がよりに好ましく、50mPa・s以上8,000mPa・s以下がさらに好ましい。
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて、測定することができる。
[活性水素基及び親水性基を有する化合物]
上記一般式(IV-I)中、X11は、活性水素基及び親水性基を有する化合物の活性水素基を除く残基である。また、Y11は、イソシアネート基と上記活性水素基との結合構造である。活性水素基及び親水性基を有する化合物において、活性水素基及び親水性基の種類は同一であってもよく、異なっていてもよい。活性水素基及び親水性基の同一である場合、当該官能基を2つ以上有することが好ましい。
ポリイソシアネート(IV-I)の製造に用いられる活性水素基及び親水性基を有する化合物は、特に限定されないが、アニオン性化合物、カチオン性化合物、及び、ノニオン性化合物からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。また、上記アニオン性化合物、カチオン性化合物、及び、ノニオン性化合物は、各々独立に、ポリイソシアネート組成物が含むイソシアネート基と反応させるために、活性水素基を含有していることが好ましい。活性水素基としては、特に限定されないが、例えば、水酸基、アミノ基、メルカプト基、カルボキシ基等が挙げられる。また、親水性基としては、特別な限定はなく、例えば、アニオン性基、カチオン性基、ノニオン性基等が挙げられる。
また、Y11としては、例えば、イソシアネート基と上記例示した活性水素基との結合構造が挙げられる。
具体的には、イソシアネート基と活性水素基との結合構造としては、例えば、イソシアネート基と水酸基とが反応して得られる結合構造としては、ウレタン基(-NH-CO-O-)が挙げられる。
例えば、イソシアネート基とアミノ基とが反応して得られる結合構造としては、ウレア基(-NH-CO-NH-)が挙げられる。
例えば、イソシアネート基とメルカプト基とが反応して得られる結合構造としては、チオウレタン基(-NH-CO-S-)が挙げられる。
例えば、イソシアネート基とカルボキシ基とが反応して得られる結合構造としては、アミド基(-NH-CO-)が挙げられる。
(アニオン性化合物)
アニオン性化合物は、特に限定されないが、カルボン酸基を含有する化合物、リン酸基を含有する化合物、及び、スルホン酸基を含有する化合物からなる群より選ばれる1種以上であることが好ましい。
・カルボン酸基を含有する化合物
カルボン酸基を含有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、モノヒドロキシカルボン酸、ポリヒドロキシカルボン酸等の水酸基を含有するカルボン酸が挙げられる。
モノヒドロキシカルボン酸としては、例えば、1-ヒドロキシ酢酸、3-ヒドロキシプロパン酸、12-ヒドロキシ-9-オクタデカン酸、ヒドロキシピバル酸、乳酸等が挙げられる。
ポリヒドロキシカルボン酸としては、例えば、ジメチロール酢酸、2,2-ジメチロール酪酸、2,2-ジメチロールペンタン酸、ジヒドロキシコハク酸、ジメチロールプロピオン酸等が挙げられる。
中でも、カルボン酸基を含有する化合物としては、ヒドロキシピバル酸又はジメチロールプロピオン酸が好ましい。
・リン酸基を含有する化合物
リン酸基を含有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、酸性リン酸エステル、酸性亜リン酸エステル、酸性次亜リン酸エステル、特定のポリエーテルホスホネート(例えば、RHODAFAC(登録商標)の商品名で市販されているもの(ソルベイ日華株式会社))等が挙げられる。中でも、リン酸基を含有する化合物としては、酸性リン酸エステルが好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のリン原子の含有率の下限値は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.03質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましい。
一方、本実施形態のポリイソシアネート組成物中のリン原子の含有率の上限値は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、6.0質量%が好ましく、3.0質量%がより好ましく、1.0質量%がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のリン原子の含有率は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.03質量%以上6.0質量%以下が好ましく、0.05質量%以上3.0質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のリン原子の含有率が上記下限値以上であることで界面張力が下がり、より良好な水分散性を示す傾向にある。一方、リン原子の含有率が上記上限値以下であることで、架橋に使用されるイソシアネート基が多くなることに起因して、塗膜物性がより良好となる傾向にある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のリン原子の含有率を上記範囲に制御する方法としては、以下のものに限定されないが、例えば、上記リン酸基を含有する化合物とポリイソシアネート前駆体との配合比を調整する方法等が挙げられる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物中のリン原子の含有率は、後述の実施例に記載する方法により測定することができる。
・スルホン酸基を含有する化合物
スルホン酸基を含有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、水酸基を含有するスルホン酸、アミノ基を含有するスルホン酸等が挙げられる。
水酸基を含有するスルホン酸としては、例えば、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、3-ヒドロキシプロパンスルホン酸、4-ヒドロキシブタンスルホン酸、5-ヒドロキシペンタンスルホン酸、6-ヒドロキシヘキサンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ヒドロキシ(メチル)ベンゼンスルホン酸、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンエタンスルホン酸、4-(2-ヒドロキシエチル)-1-ピペラジンプロパンスルホン酸、2-ヒドロキシ-3-モルホリノプロパンスルホン酸、特定のポリエーテルスルホネート(例えば、Tegomer(登録商標)の商品名で市販されているもの(The Goldschmidt AG,Essen,ドイツ))等が挙げられる。
アミノ基を含有するスルホン酸としては、例えば、2-アミノエタンスルホン酸、2-メチルアミノエタンスルホン酸、2-(シクロヘキシルアミノ)- エタンスルホン酸、3-(シクロヘキシルアミノ)-プロパンスルホン酸、4-アミノトルエン-2-スルホン酸、5-アミノトルエン-2-スルホン酸、2-アミノナフタレン-4-スルホン酸、4-アミノベンゼンスルホン酸、3-アミノベンゼンスルホン酸等が挙げられる。
中でも、スルホン酸基を含有する化合物としては、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、3-ヒドロキシプロパンスルホン酸、ヒドロキシベンゼンスルホン酸、ヒドロキシ(メチル)ベンゼンスルホン酸、2-(シクロヘキシルアミノ)-エタンスルホン酸、又は、3-(シクロヘキシルアミノ)-プロパンスルホン酸が好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の硫黄原子の含有率の下限値は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.03質量%が好ましく、0.05質量%がより好ましく、0.1質量%がさらに好ましい。
一方、本実施形態のポリイソシアネート組成物中の硫黄原子の含有率の上限値は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、6.0質量%が好ましく、3.0質量%がより好ましく、1.0質量%がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の硫黄原子の含有率は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.03質量%以上6.0質量%以下が好ましく、0.05質量%以上3.0質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1.0質量%以下がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の硫黄原子の含有率が上記下限値以上であることで界面張力が下がり、より良好な水分散性を示す傾向にある。一方、硫黄原子の含有率が上記上限値以下であることで、架橋に使用されるイソシアネート基が多くなることに起因して、塗膜物性がより良好となる傾向にある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の硫黄原子の含有率を上記範囲に制御する方法としては、以下のものに限定されないが、例えば、上記スルホン酸基を含有する化合物とポリイソシアネート前駆体との配合比を調整する方法等が挙げられる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物中の硫黄原子の含有率は、後述の実施例に記載する方法により測定することができる。
・中和剤
アニオン性化合物のカルボン酸基、リン酸基、スルホン酸基等のアニオン基は、無機塩基や有機アミン化合物で中和されていることが好ましい。無機塩基としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、その他の金属、アンモニア等が挙げられる。
アルカリ金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等が挙げられる。
アルカリ土類金属としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、バリウム等が挙げられる。
その他の金属としては、例えば、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、銀、カドミウム、鉛、アルミニウム等が挙げられる。
有機アミン化合物としては、例えば、直鎖状脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類、分岐鎖状脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類、直鎖及び分岐鎖の混合脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類、環状脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類、芳香環炭化水素基を有する第三級アミン類、環状アミン類等が挙げられる。これら有機アミン化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
直鎖状脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類しては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリトリデシルアミン、トリステアリルアミン等が挙げられる。
分岐鎖状脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類としては、例えば、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ-2-エチルヘキシルアミン、トリ分岐トリデシルアミン等が挙げられる。
直鎖及び分岐鎖の混合脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類としては、例えば、N,N-ジメチルエチルアミン、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチルイソブチルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルラウリルアミン、N,N-ジメチル(分岐)トリデシルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミン、N,N-ジエチルブチルアミン、N,N-ジエチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルオクチルアミン、N,N-ジエチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルラウリルアミン、N,N-ジイソプロピルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジイソプロピルブチルアミン、N,N-ジイソプロピル-2-エチルヘキシルアミン等が挙げられる。
環状脂肪族炭化水素基を有する第三級アミン類としては、例えば、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルエチルアミン、トリシクロヘキシルアミン等が挙げられる。
芳香環炭化水素基を有する第三級アミン類としては、例えば、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、N,N-ジベンジルメチルアミン、トリベンジルアミン、N,N-ジメチル-4-メチルベンジルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン、N,N-ジエチルフェニルアミン、N,N-ジフェニルメチルアミン等が挙げられる。
環状アミン類としては、例えば、N-メチルピロリジン、N-エチルピロリジン、N-プロピルピロリジン、N-ブチルピロリジン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N-プロピルピペリジン、N-ブチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、N-プロピルモルホリン、N-ブチルモルホリン、N-sec-ブチルモルホリン、N-tert-ブチルモルホリン、N-イソブチルモルホリン、キヌクリジン等が挙げられる。
中でも、有機アミン化合物としては、炭素数5以上30以下の第三級のアミン類であることが好ましい。好ましい有機アミン化合物として具体的には、例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリオクチルアミン、トリラウリルアミン、トリデシルアミン、トリイソプロピルアミン、トリイソブチルアミン、トリ-2-エチルヘキシルアミン、トリ分岐トリデシルアミン、N,N-ジメチルプロピルアミン、N,N-ジメチルイソプロピルアミン、N,N-ジメチルブチルアミン、N,N-ジメチルイソブチルアミン、N,N-ジメチルオクチルアミン、N,N-ジメチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジメチルラウリルアミン、N,N-ジメチル(分岐)トリデシルアミン、N,N-ジメチルステアリルアミン、N,N-ジエチルブチルアミン、N,N-ジエチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルオクチルアミン、N,N-ジエチル-2-エチルヘキシルアミン、N,N-ジエチルラウリルアミン、N,N-ジイソプロピルメチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジエチルシクロヘキシルアミン、N,N-ジシクロヘキシルメチルアミン、N,N-ジシクロヘキシルエチルアミン、N,N-ジメチルベンジルアミン、N,N-ジエチルベンジルアミン、N,N-ジベンジルメチルアミン、トリベンジルアミン、N,N-ジメチルフェニルアミン、N,N-ジエチルフェニルアミン、N,N-ジフェニルメチルアミン、N-メチルピペリジン、N-エチルピペリジン、N-メチルモルホリン、N-エチルモルホリン、キヌクリジン、ピリジン、及び、キノリンからなる群より選ばれる1種以上が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、ポリイソシアネート前駆体の水分散性を向上させるために、活性水素基及び親水性基を有する化合物で変性を行い、上記ポリイソシアネート(IV-I)を得る。このとき、活性水素基及び親水性基を有する化合物により変性する割合を高くしすぎないことにより、塗膜物性(硬度、耐水性)の低下を抑制できる傾向にある。すなわち、アニオン性化合物は乳化力が高いため、少量を用いてポリイソシアネート前駆体を変性させることで、高い乳化効果を得ることができる。
ポリイソシアネート前駆体と上記アニオン性化合物とを反応させる方法として、以下のものに限定されないが、例えば、ポリイソシアネート前駆体が有する末端イソシアネート基と、上記アニオン性化合物が有する活性水素基とを反応させる方法が挙げられる。
(カチオン性化合物)
カチオン性化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノール、N,N,N‘-トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N-メチル-N-(ジメチルアミノプロピル)アミノエタノール等の水酸基を含有するアミン化合物が挙げられる。また、ポリイソシアネート前駆体のイソシアネート基と結合したアミン化合物の第三級アミノ基(カチオン型親水基)は、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル等でさらに四級化することもできる。
中でも、カチオン性化合物としては、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、N,N-ジメチルアミノヘキサノール、N,N-ジメチルアミノエトキシエタノール、又は、N,N-ジメチルアミノエトキシエトキシエタノールが好ましい。
カチオン性化合物の第三級アミノ基は、アニオン基を有する化合物で中和されていることが好ましい。このアニオン基としては、特に限定されないが、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、燐酸基、ハロゲン基、硫酸基等が挙げられる。
上記カルボキシル基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、乳酸等が挙げられる。
上記スルホン基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、エタンスルホン酸等が挙げられる。
上記燐酸基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、燐酸、酸性燐酸エステル等が挙げられる。
上記ハロゲン基を有する化合物としては、特に限定されないが、例えば、塩酸等が挙げられる。
上記硫酸基を有する化合物としては特に限定されないが、例えば、硫酸等が挙げられる。
中でも、アニオン基を有する化合物としては、カルボキシル基を1つ有する化合物が好ましく、酢酸、プロピオン酸又は酪酸がより好ましい。
(ノニオン性化合物)
ノニオン性化合物としては、特に限定されないが、例えば、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル等が挙げられる。このポリアルキレングリコールアルキルエーテルは、下記一般式(IV-II)で表される化合物(以下、「ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(IV-II)」と称する場合がある)である。
Figure 0007030833000019
上記一般式(IV-II)中、R21は、炭素数1以上4以下のアルキレン基である。R22は、炭素数1以上8以下のアルキル基である。n21は3以上30以下の整数である。
・R21
21は、炭素数1以上4以下のアルキレン基である。複数あるR21は、同一であってもよく、異なっていてもよい。中でも、製造しやすさから、複数あるR21は、同一であることが好ましい。
21におけるアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基等が挙げられる。
中でも、R21としては、親水性付与の観点から、炭素数2であるエチレン基が好ましい。
・R22
22は、炭素数1以上8以下のアルキル基である。R22の炭素数は、1以上4以下が好ましく、1がより好ましい。
22におけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基等が挙げられる。
中でも、R22としては、親水性付与の観点から、炭素数1であるメチル基が好ましい。
・n21
n21は、アルキレングリコール繰り返し単位の平均数である。n21は、ポリイソシアネート組成物の水分散性と主剤への分散性との観点から、3.0以上20以下が好ましく、3.5以上16以下がより好ましく、4.0以上12以下がさらに好ましい。
n21が上記下限値以上であると、乳化力が増すため分散性がより向上する傾向にあり、上記上限値以下であると、粘度上昇を防ぐため、より容易に分散することができる傾向にある。
ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(IV-II)は、1種単独で、又は、n21が異なるものを2種以上組み合わせて使用することができる。
ポリアルキレングリコールアルキルエーテルのアルキレングリコール繰り返し単位の平均数n21は、NMR法により測定することができる。
好ましいポリアルキレングリコールアルキルエーテル(IV-II)としては、例えば、ポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテル、ポリ(エチレン、プロピレン)グリコール(モノ)メチルエーテル、ポリエチレングリコール(モノ)エチルエーテル等が挙げられる。
中でも、ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(IV-II)としては、親水性付与の観点から、ポリエチレングリコール(モノ)メチルエーテルが好ましい。
ノニオン性化合物として用いられるポリアルキレングリコールアルキルエーテルが有する水酸基の数は、本実施形態のポリイソシアネート組成物の粘度をより低くする観点から、1つが好ましい。
本実施形態におけるポリイソシアネート組成物において、活性水素基及び親水性基を有する化合物に由来する構造(X11及びY11)の含有率の下限値は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.5質量%が好ましく、2質量%がより好ましく、3質量%がさらに好ましく、5質量%が特に好ましい。
一方、本実施形態におけるポリイソシアネート組成物において、活性水素基及び親水性基を有する化合物に由来する構造(X11及びY11)の含有率の上限値は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、50質量%が好ましく、40質量%がより好ましく、35質量%がさらに好ましく、30質量%が特に好ましい。
本実施形態におけるポリイソシアネート組成物において、活性水素基及び親水性基を有する化合物に由来する構造(X11及びY11)の含有率は、0.5質量%以上50質量%以下が好ましく、2質量%以上40質量%以下がより好ましく、3質量%以上35質量%以下がさらに好ましく、5質量%以上30質量%以下が特に好ましい。
本実施形態におけるポリイソシアネート組成物において、活性水素基及び親水性基を有する化合物に由来する構造(X11及びY11)の含有率が上記下限値以上であることにより、ポリイソシアネート組成物の水分散性がより良好なものとなる。一方、活性水素基及び親水性基を有する化合物に由来する構造(X11及びY11)の含有率が上記上限値以下であることにより、得られる塗膜の乾燥性及び耐水性がより良好なものとなる。
特に、一般式(IV-I)において、X11がポリアルキレングリコールアルキルエーテルの活性水素基(水酸基)を除く残基であり、且つ、Y11がイソシアネート基と活性水素基(水酸基)との結合構造(ウレタン基)である場合、本実施形態のポリイソシアネート組成物中のX11及びY11の合計含有率は、ポリイソシアネート組成物の総質量に対して、0.5質量%以上50質量%以下が好ましい。X11及びY11の合計含有率が上記範囲であることにより、架橋に使用されるイソシアネート基がより多くなり、塗膜物性(外観、硬度、表面乾燥性、及び、耐水性)、並びに、湿気安定性がより良好となる傾向にある。
11の含有率を上記範囲に制御する方法としては、以下のものに限定されないが、例えば、上記ポリアルキレングリコールアルキルエーテル(IV-II)とポリイソシアネート前駆体との配合比を調整する方法が挙げられる。
<ポリイソシアネート組成物の粘度>
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度の下限値は、特に制限を受けないが、硬化性の点で、10mPa・sが好ましく、30mPa・sがより好ましく、50mPa・sがさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度の上限値は、特に制限を受けないが、水分散性の点で、15,000mPa・sが好ましく、14,000mPa・sがより好ましく、13,000mPa・sがさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、10mPa・s以上15,000mPa・s以下が好ましく、30mPa・s以上14,000mPa・s以下がより好ましく、50mPa・s以上13,000mPa・s以下がさらに好ましい。
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)によって測定することができる。
<ポリイソシアネート組成物の平均NCO基数>
本実施形態のポリイソシアネート組成物における1分子あたりの平均NCO基数(平均官能基数)の下限値は、2.0が好ましく、2.3がより好ましく、2.5がさらに好ましい。
一方、本実施形態のポリイソシアネート組成物における1分子あたりの平均NCO基数(平均官能基数)の上限値は、6.0が好ましく、5.5がより好ましく、5.0がさらに好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物における1分子あたりの平均NCO基数(平均官能基数)は、2.0以上6.0以下が好ましく、2.3以上5.5以下がより好ましく、2.5以上5.0以下がさらに好ましい。
ポリイソシアネート組成物の平均NCO基数は、後述の実施例に記載の方法を用いて、測定することができる。
<<ポリイソシアネート組成物の製造方法(第4の実施形態)>>
本実施形態のポリイソシアネート組成物を製造する方法としては、ポリイソシアネート前駆体と活性水素基及び親水性基を有する化合物とを反応させる反応工程を備える方法が挙げられる。この方法としては、下記に限定されないが、例えば、ポリイソシアネート前駆体が有する末端イソシアネート基と、活性水素基及び親水性基を有する化合物が有する活性水素基とを反応させる方法が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物を製造する方法として、具体的には、例えば、以下の1)~3)に示す方法等が挙げられる。
1)未反応の原料ジイソシアネートの含有量が0.01質量%以上0.3質量%以下であるポリイソシアネート前駆体、及び、活性水素基及び親水性基を有する化合物を反応させる方法。
2)未反応の原料ジイソシアネートの含有量が任意のポリイソシアネート前駆体、及び、活性水素基及び親水性基を有する化合物を反応させ、さらに精製して未反応の原料ジイソシアネートを除去する方法。
3)1)の工程の後に、更に、2)を組み合わせる方法。
中でも、本実施形態のポリイソシアネート組成物を製造する方法としては、製造工程の簡便性の点で、上記1)の方法が好ましい。
上記反応工程において、反応温度や反応時間は、反応の進行に応じて適宜決められるが、反応温度は0℃以上150℃以下が好ましく、反応時間は0.5時間以上48時間以下が好ましい。
また、反応工程において、場合により公知の触媒を使用してもよい。
触媒として、具体的には、有機スズ化合物、有機亜鉛化合物、有機チタン化合物、有機ジルコニウム化合物、第三級アミン類、ジアミン類が挙げられる。これら触媒は単独又は混合して使用してもよい。
有機スズ化合物としては、例えば、オクタン酸スズ、2-エチル-1-ヘキサン酸スズ、エチルカプロン酸スズ、ラウリン酸スズ、パルミチン酸スズ、ジブチルスズオキシド、ジブチルスズジクロライド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジマレート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジアセテート、ジオクチルスズジラウレート等が挙げられる。
有機亜鉛化合物としては、例えば、塩化亜鉛、オクタン酸亜鉛、2-エチル-1-ヘキサン酸亜鉛、2-エチルカプロン酸亜鉛、ステアリン酸亜鉛、ナフテン酸亜鉛、アセチルアセトン酸亜鉛等が挙げられる。
第三級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジメチルエタノールアミン等が挙げられる。
ジアミン類としては、例えば、トリエチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法において、溶剤を使用してもよく、使用しなくてもよい。本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法に用いられる溶剤は、親水性溶剤でもよく、疎水性溶剤でもよい。
疎水性溶剤としては、例えば、ミネラルスピリット、ソルベントナフサ、LAWS(Low Aromatic White Spirit)、HAWS(High Aromatic White Spirit)、トルエン、キシレン、シクロヘキサン、エステル類、ケトン類が挙げられる。これら疎水性溶剤は単独又は混合して使用することができる。
エステル類としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等が挙げられる。
親水性溶剤として、例えば、アルコール類、エーテル類、エーテルアルコール類のエステル類が挙げられる。これら親水性溶剤は単独又は混合して使用することができる。
アルコール類としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、2-エチルヘキサノール等が挙げられる。
エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
エーテルアルコール類のエステル類としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法において、上記ポリイソシアネート前駆体と上記活性水素基及び親水性基を有する化合物とに加えて、酸化防止剤、光安定剤、重合禁止剤、及び、界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上を更に添加してもよい。
酸化防止剤、光安定剤、及び、重合禁止剤としては、例えば、燐酸若しくは亜燐酸の脂肪族、芳香族又はアルキル基置換芳香族エステルや次亜燐酸誘導体、リン化合物、フェノール系誘導体(特に、ヒンダードフェノール化合物)、イオウを含む化合物、スズ系化合物等が挙げられる。これらを単独で含有してもよく、2種以上含有してもよい。
リン化合物としては、例えば、フェニルホスホン酸、フェニルホスフィン酸、ジフェニルホスホン酸、ポリホスホネート、ジアルキルペンタエリスリトールジホスファイト、ジアルキルビスフェノールAジホスファイト等が挙げられる。
イオウを含む化合物としては、例えば、チオエーテル系化合物、ジチオ酸塩系化合物、メルカプトベンズイミダゾール系化合物、チオカルバニリド系化合物、チオジプロピオン酸エステル等が挙げられる。
スズ系化合物としては、例えば、スズマレート、ジブチルスズモノオキシド等が挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、公知のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。
<用途>
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤として好適に用いることができる。該塗料組成物は、特に限定されず、有機溶剤系の塗料組成物としても、水を主とする媒体中に塗膜形成成分である樹脂類が溶解又は分散している水系塗料組成物としてしてもよい。中でも、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、有機溶剤の使用量低減の観点から、水系塗料組成物の硬化剤として用いることが好ましい。
<<水系塗料組成物(第4の実施形態)>>
本発明の第4の実施形態の塗料組成物は、上記第4の実施形態のポリイソシアネート組成物と、水と、を含む水系塗料組成物である。
本実施形態の水系塗料組成物は、例えば、建築用塗料、自動車用塗料、自動車補修用塗料、プラスチック用塗料、粘着剤、接着剤、建材、家庭用水系塗料、その他樹脂剤、シーリング剤、インキ、注型材、エラストマー、フォーム、プラスチック原料、繊維処理剤等に使用することができる。
<主剤>
上記水系塗料組成物は、樹脂類を主剤として更に含むことができる。当該樹脂類として、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂類、ポリエステル樹脂類、ポリエーテル樹脂類、エポキシ樹脂類、フッ素樹脂類、ポリウレタン樹脂類、ポリ塩化ビニリデン共重合体、ポリ塩化ビニル共重合体、酢酸ビニル共重合体、アクリロニトリルブタジエン共重合体、ポリブタジエン共重合体、及び、スチレンブタジエン共重合体等が挙げられる。
中でも、主剤の樹脂類としては、アクリル樹脂類又はポリエステル樹脂類が好ましい。
[アクリル樹脂類]
アクリル樹脂類としては、特に限定されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類、不飽和カルボン酸類、不飽和アミド類、その他の重合性モノマー類を単独又は2種以上の混合物を重合させて得られるアクリル樹脂類が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸-n-ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。
活性水素を持つ(メタ)アクリル酸エステル類としては、例えば、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸-3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸類としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等が挙げられる。
不飽和アミド類としては、例えば、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等が挙げられる。
その他の重合性モノマー類としては、例えば、メタクリル酸グリシジル、スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、フマル酸ジブチル、p-スチレンスルホン酸、アリルスルホコハク酸等が挙げられる。
重合方法としては、乳化重合が一般的であるが、懸濁重合、分散重合、又は、溶液重合でも製造できる。乳化重合では段階的に重合することもできる。
[ポリエステル樹脂類]
ポリエステル樹脂類としては、例えば、二塩基酸の単独又は2種類以上の混合物と、多価アルコールの単独又は2種類以上の混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。
上記二塩基酸としては、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等が挙げられる。
上記多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2-メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等が挙げられる。
ポリエステルポリオールの具体的な製造方法としては、例えば、上記の成分を混合し、約160~220℃で加熱することによって、縮合反応を行うことができる。
又は、例えば、ε-カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステル樹脂類として用いることができる。
[ポリエーテル樹脂類]
ポリエーテル樹脂類は、例えば、以下の(1)~(3)のいずれかの方法等を用いて得ることができる。
(1)触媒を使用して、アルキレンオキシドの単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、ランダム又はブロック付加して、ポリエーテル樹脂類を得る方法。
上記触媒としては、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等が挙げられる。
上記アルキレンオキシドとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
(2)ポリアミン化合物にアルキレンオキシドを反応させて、ポリエーテル樹脂類を得る方法。
上記ポリアミン化合物としては、例えば、エチレンジアミン類等が挙げられる。
上記アルキレンオキシドとしては、(1)で例示されたものと同様のものが挙げられる。
(3)(1)又は(2)で得られたポリエーテル樹脂類を媒体としてアクリルアミド等を重合して、いわゆるポリマーポリオール類を得る方法。
上記多価ヒドロキシ化合物としては、例えば、以下の(i)~(vi)に示すものが挙げられる。
(i)ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等。
(ii)エリトリトール、D-トレイトール、L-アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物。
(iii)アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類。
(iv)トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類。
(v)ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類。
(vi)スタキオース等の四糖類。
(NCO/OH)
上記樹脂類の水酸基に対する、上記実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、例えば0.2以上5.0以下とすることができ、例えば0.4以上3.0とすることができ、例えば0.5以上2.0以下とすることができる。
NCO/OHが上記下限値以上であると、より強靱な塗膜が得られる傾向にある。一方、NCO/OHが上記上限値以下であると、塗膜の平滑性がより向上する傾向にある。
[その他樹脂]
本実施形態の水系塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物及び上記主剤に加えて、必要に応じて、メラミン系硬化剤、ウレタンディスパージョン、ウレタンアクリルエマルジョン等のその他樹脂を含有することができる。
これらの樹脂類は、水に乳化、分散又は溶解することが好ましい。そのために、樹脂類に含まれるカルボキシル基、スルホン基等を中和することができる。
(中和剤)
カルボキシル基、スルホン基等を中和するための中和剤として、具体的には、例えば、アンモニア、水溶性アミノ化合物等が挙げられる。上記水溶性アミン化合物としては、例えば、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミン等が挙げられる。
第一級アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、プロピレンジアミン等が挙げられる。
第二級アミンとしては、例えば、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、2-エチルヘキシルアミン、メチルエタノールアミン、モルホリン等が挙げられる。
第三級アミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン等が挙げられる。
これら中和剤は1種単独で、又は、2種以上を組み合わせて用いることができる。
中でも、中和剤としては、第三級アミンが好ましく、トリエチルアミン又はジメチルエタノールアミンがより好ましい。
<その他添加剤>
本実施形態の水系塗料組成物は、上記ポリイソシアネート組成物及び上記主剤に加えて、一般的に塗料に加えられる硬化促進用の触媒(架橋反応触媒)、無機顔料、有機顔料、体質顔料、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、有機リン酸塩、有機亜リン酸塩、増粘剤、レベリング剤、チキソ化剤、消泡剤、凍結安定剤、艶消し剤、皮張り防止剤、分散剤、湿潤剤、充填剤、可塑剤、潤滑剤、還元剤、防腐剤、防黴剤、消臭剤、黄変防止剤、紫外線吸収剤、静電防止剤又は帯電調整剤、沈降防止剤等のその他添加剤を含有することができる。中でも、その他添加剤として、硬化促進用の触媒(架橋反応触媒)を含有することが好ましい。
硬化促進用の触媒(架橋反応触媒)としては、例えば、以下に限定されないが、例えば、金属塩、3級アミン類等が挙げられる。
金属塩としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、2-エチルヘキサン酸スズ、2-エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩等が挙げられる。
3級アミン類としては、例えば、トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、N-メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’-エンドエチレンピペラジン、N,N’-ジメチルピペラジン等が挙げられる。
また、本実施形態の水系塗料組成物は、塗料への分散性を良くするために、更に、界面活性剤を含有することができる。
界面活性剤としては、上記「<<ポリイソシアネート組成物の製造方法(第4の実施形態)>>」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
また、本実施形態の水系塗料組成物は、塗料の保存安定性を良くするために、更に、酸化防止剤、光安定剤、及び、重合禁止剤を含有することができる。
酸化防止剤、光安定剤、及び、重合禁止剤としては、上記「<<ポリイソシアネート組成物の製造方法(第4の実施形態)>>」において例示されたものと同様のものが挙げられる。
<<硬化物(第4の実施形態)>>
本発明の第4の実施形態の硬化物は、上記第4の実施形態の水系塗料組成物により形成されたものである。
本実施形態の硬化物としては、例えば、コーティング基材等が挙げられる。コーティグ基材は、基材と、該基材上に積層された上記水系塗料組成物により形成された塗膜とを備える。
基材としては、上記水系塗料組成物を塗装できるものであれば、特に限定されない。基材として具体的には、例えば、金属、木材、ガラス、石、セラミック材料、コンクリート、硬質及び可撓性プラスチック、繊維製品、皮革製品、紙等が挙げられる。必要に応じて、基材と上記水系塗料組成物からなる層との間に、通常のプライマーからなる層を備えてもよい。
コーティング基材は、例えば、基材上に、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等により上記水系塗料組成物を塗装し、硬化することにより得られる。得られるコーティング基材は、上記水系塗料組成物からなる塗膜を備え、該塗膜は塗膜硬度及び耐水性に優れる。
<<ブロックポリイソシアネート組成物(第5の実施形態)>>
次に、本発明の第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物について説明する。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、ブロックポリイソシアネート及びブロックジイソシアネートを含むブロックポリイソシアネート組成物である。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物中のブロックジイソシアネートの含有量の下限値は、0.01質量%が好ましく、0.02質量%がより好ましく、0.03質量%がさらに好ましく、0.04質量%が特に好ましい。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物中のブロックジイソシアネートの含有量の上限値は、0.16質量%が好ましく、0.15質量%がより好ましく、0.10質量%がより更に好ましい。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物中のブロックジイソシアネートの含有量は、後述する実施例に記載のとおり、GPCにより測定することができる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、上記構成を有するため、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性に優れた塗膜を得ることができる。
<ブロックポリイソシアネート>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物に含まれるブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートのイソシアネート基をブロック剤によりブロックしたものである。
[ポリイソシアネート組成物]
ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、HDIを含むジイソシアネートモノマーから誘導される反応物であり、第1、第2、及び/又は、第3の実施形態と同様の構成については、説明を省略する場合がある。
(ジイソシアネートモノマー)
ポリイソシアネートの製造に用いられるジイソシアネートモノマーとしては、HDIが用いられるが、例えば、HDI以外の脂肪族ジイソシアネート、及び/又は、脂環族ジイソシアネート等をHDIと組み合わせて用いることもできる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、第1の実施形態と同様に炭素数4以上30以下のものが好ましい。
脂環族ジイソシアネートとしては、第1の実施形態と同様に、炭素数8以上30以下のものが好ましい。
ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、イソシアヌレート基を有することが好ましい。
ポリイソシアネート組成物中のイソシアヌレート3量体の含有量は、特に限定されないが、第2の実施形態と同様に、50質量%以上95質量%以下が好ましく、55質量%以上95質量%以下がより好ましく、60質量%以上95質量%以下がさらに好ましい。
ポリイソシアネート組成物中のイソシアヌレート3量体の含有量が上記下限値以上であることにより、ポリイソシアネート組成物の粘度をより低減することができる。一方、ポリイソシアネート組成物中のイソシアヌレート3量体の含有量が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物の収率をより高くすることができる。
また、ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、イソシアヌレート基に加えて、ウレトジオン基、イミノオキサジアジンジオン基及びビュレット基からなる群より選ばれる少なくとも1種を有するポリイソシアネートを含んでいてもよい。
ウレトジオン基を含むことで、本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物の粘度をより低下させることができる。
ポリイソシアネート組成物において、イソシアヌレート基のモル量をA、ウレトジオン基のモル量をB、イミノオキサジアジンジオン基のモル量をC、及び、ビュレット基のモル量をDとする場合に、A/(A+B+C+D)は、特に制限はないが、第2の実施形態と同様に、0.1以上が好ましく、0.25以上がより好ましく、0.4以上がさらに好ましく、0.5以上が特に好ましい。
また、ポリイソシアネート組成物に含まれるポリイソシアネートは、第2の実施形態と同様に、上記官能基以外に、ウレタン基、ウレア基、ビュレット基、カルボジイミド基等を有してもよい。
[粘度]
ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度の下限値は、100mPa・sが好ましく、150mPa・sがより好ましく、200mPa・sがさらに好ましく、250mPa・sが特に好ましい。
粘度の上限値は、15000mPa・sが好ましく、12000mPa・sがより好ましく、10000mPa・sがさらに好ましく、7000mPa・sが特に好ましく、5000mPa・sが最も好ましい。
ポリイソシアネート組成物の25℃における粘度は、100mPa・s以上15000mPa・以下が好ましく、150mPa・s以上12000mPa・s以下がより好ましく、200mPa・s以上10000mPa・s以下がさらに好ましく、250mPa・s以上7000mPa・s以下が特に好ましく、250mPa・s以上5000mPa・s以下が最も好ましい。
粘度が上記下限値以上であることにより、ポリイソシアネート組成物の架橋性をより向上させることができる。一方、粘度が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物を使用した塗料組成物の固形分濃度をより高くできる。
粘度は、第2の実施形態と同様に、測定することができる。
[イソシアネート基の含有率(NCO含有率)]
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の含有率(NCO含有率)の下限値は、20質量%が好ましく、21質量%がより好ましく、21.5質量%がさらに好ましく、22質量%が特に好ましい。
NCO含有率の上限値は、25質量%が好ましく、24質量%がより好ましく、23.7質量%がさらに好ましい。
ポリイソシアネート組成物のNCO含有率は、20質量%以上25質量%以下が好ましく、21質量%以上24質量%以下がより好ましく、21.5質量%以上23.7質量%以下がさらに好ましく、22質量%以上23.7質量%以下が特に好ましい。
NCO含有率が上記下限値以上であることにより、得られる塗膜の硬度等の塗膜物性をより良好とすることができる。一方、NCO含有率が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物の収率をより高くすることができる。
NCO含有率は、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めることができる。
なお、NCO含有率は、ポリイソシアネート組成物の固形分に対する値である。また、ポリイソシアネート組成物の固形分は、後述の実施例に示す不揮発分の測定方法に準じて測定することができる。
[イソシアネート基平均数(NCO基平均数)]
第2の実施形態と同様に、ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基平均数(NCO基平均数)の下限値は、2.3が好ましく、2.5がより好ましく、2.7がさらに好ましい。
また、NCO基平均数の上限値は、4.0が好ましく、3.8がより好ましく、3.5がさらに好ましく、3.2が特に好ましい。
ポリイソシアネート組成物のNCO基平均数は、2.3以上4.0以下が好ましく、2.5以上3.8以下がより好ましく、2.7以上3.5以下がさらに好ましく、2.7以上3.2以下が特に好ましい。
NCO基平均数が上記下限値以上であることにより、ポリイソシアネート組成物の架橋性をより向上させることができる。一方、NCO基平均数が上記上限値以下であることにより、ポリイソシアネート組成物をより低粘度とすることができる。
ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基平均数は、第2の実施形態と同様に、算出することができる。
[数平均分子量]
第2の実施形態と同様に、ポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量の下限値は、400が好ましく、430がより好ましく、460がさらに好ましく、480が特に好ましい。
数平均分子量の上限値は、1000が好ましく、800がより好ましく、700がさらに好ましく、600が特に好ましい。
ポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量は、400以上1,000以下が好ましく、430以上800以下がより好ましく、460以上700以下がさらに好ましく、480以上600以下が特に好ましい。
数平均分子量が上記下限値以上であることで、得られるポリイソシアネート組成物の収率がより向上する傾向にある。一方、数平均分子量が上記上限値以下であることで、得られる塗膜の光沢がより向上する傾向にある。
数平均分子量は、第2の実施形態と同様に、GPCによってポリスチレン基準の数平均分子量を求めることができる。
[HDI含有量]
ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、0.10質量%以下であり、0.05質量%以下が好ましい。
ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、後述する実施例に記載の方法を用いて、測定することができる。
<ブロックジイソシアネート>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物に含まれるブロックジイソシアネートは、ポリイソシアネート組成物に含まれる未反応のジイソシアネートモノマーのイソシアネート基をブロック剤によりブロックしたものである。
ジイソシアネートモノマーとしては、上述のポリイソシアネート組成物で例示されたものが挙げられる。
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物中に含まれるブロックジイソシアネートの含有量を上記範囲とすることで、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性に優れた塗膜を得ることができる。
<ブロック剤>
本実施形態のブロックイソシアネート組成物は1種又は2種以上のブロック剤を含む。
ブロック剤としては、例えば、(1)ピラゾール系化合物、(2)アミン系化合物、(3)活性メチレン系化合物、(4)オキシム系化合物、(5)アルコール系化合物、(6)アルキルフェノール系化合物、(7)フェノール系化合物、(8)メルカプタン系化合物、(9)酸アミド系化合物、(10)酸イミド系化合物、(11)イミダゾール系化合物、(12)尿素系化合物、(13)イミン系化合物、(14)重亜硫酸塩、(15)トリアゾール系化合物等が挙げられる。ブロック剤としてより具体的には、以下に示すもの等が挙げられる。
(1)ピラゾール系化合物:ピラゾール、3-メチルピラゾール、3,5-ジメチルピラゾール等。
(2)アミン系化合物:ジフェニルアミン、アニリン、カルバゾール、ジーn-プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、イソプロピルエチルアミン、tert-ブチルベンジルアミン等。
(3)活性メチレン系化合物:マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、マロン酸ジイソプロピル、マロン酸ジ-tert-ブチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン等。
(4)オキシム系化合物:ホルムアルドオキシム、アセトアルドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシム等。
(5)アルコール系化合物:メタノール、エタノール、2-プロパノール、n-ブタノール、sec-ブタノール、2-エチル-1-ヘキサノール、2-メトキシエタノール、2-エトカシエタノール、2-ブトキシエタノール等のアルコール類。
(6)アルキルフェノール系化合物:炭素原子数4以上のアルキル基を置換基として有するモノ及びジアルキルフェノール類。アルキルフェノール系化合物として具体的には、例えば、n-プロピルフェノール、iso-プロピルフェノール、n-ブチルフェノール、sec-ブチルフェノール、t-ブチルフェノール、n-ヘキシルフェノール、2-エチルヘキシルフェノール、n-オクチルフェノール、n-ノニルフェノール等のモノアルキルフェノール類;ジ-n-プロピルフェノール、ジイソプロピルフェノール、イソプロピルクレゾール、ジ-n-ブチルフェノール、ジ-t-ブチルフェノール、ジ-sec-ブチルフェノール、ジ-n-オクチルフェノール、ジ-2-エチルヘキシルフェノール、ジ-n-ノニルフェノール等のジアルキルフェノール類。
(7)フェノール系化合物:フェノール、クレゾール、エチルフェノール、スチレン化フェノール、ヒドロキシ安息香酸エステル等。
(8)メルカプタン系化合物:ブチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン等。
(9)酸アミド系化合物:アセトアニリド、酢酸アミド、ε-カプロラクタム、δ-バレロラクタム、γ-ブチロラクタム等。
(10)酸イミド系化合物:コハク酸イミド、マレイン酸イミド等。
(11)イミダゾール系化合物:イミダゾール、2-メチルイミダゾール等。
(12)尿素系化合物:尿素、チオ尿素、エチレン尿素等。
(13)イミン系化合物:エチレンイミン、ポリエチレンイミン等。
(14)重亜硫酸塩:重亜硫酸ソーダ等。
(15)トリアゾール系化合物:3,5-ジメチル-1,2,4-トリアゾール等。
中でも、本実施形態のブロックイソシアネート組成物は、アミン系化合物、オキシム系化合物、ピラゾール系化合物、及び、活性メチレン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。また、中でも、低温硬化性の観点から、アミン系化合物、ピラゾール系化合物、及び、活性メチレン系化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。また、中でも、入手の容易さ、合成のしやすさ等からピラゾール系化合物を含むことが好ましい。
中でも、上記ピラゾール系化合物としては、本実施形態のブロックイソシアネート組成物が奏する効果(例えば、耐酸性及び耐ガソホール性等)を実現し、且つ入手の容易性の観点から、3,5-ジメチルピラゾールが好ましい。
中でも、上記アミン系化合物としては、ジイソプロピルアミン又はtert-ブチルベンジルアミンが好ましい。
中でも、上記活性メチレン系化合物としては、マロン酸ジエチル又はアセト酢酸エチルが好ましい。
中でも、上記オキシム系化合物としては、メチルエチルケトオキシムが好ましい。
<<ブロックポリイソシアネート組成物の製造方法(第5の実施形態)>>
以下、本発明の第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物の製造方法の一例を説明するが、第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様の工程については、その説明を省略する場合がある。
<ポリイソシアネート組成物の製造方法>
本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、原料としてポリイソシアネート組成物を用いる。また、ポリイソシアネート組成物は、原料としてジイソシアネートモノマーを用いる。ポリイソシアネート組成物の製造に用いられるジイソシアネートモノマーとしては、上述のポリイソシアネート組成物において例示されたものが挙げられる。
ポリイソシアネート組成物は、イソシアネート基から誘導されるイソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応を必須とする。また、場合により、イソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応、ウレトジオン基を形成するウレトジオン化反応、及び、イミノオキサジアジンジオン基を形成するイミノオキサジアジンジオン化反応を、それぞれ逐次、又は、そのいくつかを並行して、過剰のジイソシアネートモノマー存在下で行う。さらに、反応終了後、未反応のジイソシアネートモノマーを除去することにより、ポリイソシアネート組成物を得られる。
又は、イソシアヌレート基含有ポリイソシアネートに、他の上記3反応を別々に実施させたものを混合することによっても得られる。
中でも、ポリイソシアネート組成物の製造方法としては、入手の容易さから、上記3反応をそれぞれ逐次行う、あるいは、そのいくつかを並行して実施する方法が好ましい。
[イソシアヌレート型ポリイソシアネートの製造方法]
イソシアヌレート型ポリイソシアネートは、第1の実施形態と同様に、ジイソシアネートモノマーを、イソシアヌレート化触媒及び助触媒としてのアルコールを使用して、反応させることでイソシアヌレート型ポリイソシアネートが得られる。
[ウレトジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法]
ウレトジオン基を有するポリイソシアネート(ウレトジオン基含有ポリイソシアネート)は、第1の実施形態と同様に、ウレトジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
[イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネートの製造方法]
イミノオキサジアジンジオン基を有するポリイソシアネート(イミノオキサジアジンジオン基含有ポリイソシアネート)は、第1の実施形態と同様に、イミノオキサジアジンジオン化反応触媒を用いることにより得られる。
[ビュレット基を有するポリイソシアネートの製造方法]
ビュレット基を有するポリイソシアネーは、第2の実施形態と同様に、ジイソシアネートモノマーとビュレット化剤とを反応させて得ることができる。
[薄膜蒸留工程及び加熱処理工程]
反応停止直後の反応液は、通常、未反応のHDI等のジイソシアネートモノマーを含むため、これを薄膜蒸発缶、抽出等で除去することが好ましい。
なお、ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、0.10質量%以下であり、0.05質量%以下が好ましい。
ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量を上記上限値以下とすることで、本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物中のブロックジイソシアネートの含有量を上記範囲とすることができ、耐酸性及び耐ガソホール性がより優れた塗膜を得ることができる。
ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量を上記上限値以下に制御するために、通常の薄膜蒸留を1回以上5回以下行うことができ、薄膜蒸留及び加熱処理を行うことが好ましい。蒸留回数としては、1回以上5回以下が好ましく、3回以上5回以下がより好ましい。
また、ポリイソシアネートのジイソシアネートモノマーへの分解を抑制するため、加熱処理工程の後、薄膜蒸留工程を実施し、ジイソシアネートモノマー濃度を下げた後、再度加熱処理工程を行い、その後、再度、薄膜蒸留工程を行うことが好ましい。
上記の処理を行うことで、本実施形態のブロックポリイソシアネート組成物中のブロックジイソシアネートの含有量を上記範囲とすることができ、耐酸性及び耐ガソホール性がより優れた塗膜を得ることができる。
<ブロック化反応>
上記ポリイソシアネート組成物と上記ブロック剤とのブロック化反応は溶剤の存在の有無に関わらず行うことができ、ブロックポリイソシアネート組成物が得られる。
また、溶剤を用いる場合、イソシアネート基に対して不活性な溶剤を用いればよい。
ブロック化反応に際して、有機金属塩、3級アミン系化合物、アルカリ金属のアルコラート等を触媒として用いてもよい。有機金属塩に含まれる金属としては、例えば、錫、亜鉛、鉛等が挙げられる。アルカリ金属のアルコラートに含まれるアルカリ金属としては、例えば、ナトリウム等が挙げられる。
ブロック化反応は、一般に、-20℃以上150℃以下で行うことができ、30℃以上100℃以下で行うことが好ましい。
ブロック反応の温度が上記下限値以上であることにより、反応速度をより高めることができる。
一方、ブロック反応の温度が上記上限値以下であることにより、副反応をより効果的に抑制することができる。さらに、ブロック化反応中に、原料であるポリイソシアネートからのジイソシアネートモノマーの発生をより効果的に抑制し、得られるブロックポリイソシアネート組成物中のブロックジイソシアネート含有量をより低く保つことができる。
<<塗料組成物(第5の実施形態)>>
本発明の第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、上記第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様に、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることができる。
本実施形態の塗料組成物は、上記第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物を含有する。
<樹脂成分>
本実施形態の塗料組成物は、更に、主剤として樹脂成分を含有する。該樹脂成分としては、特に限定されないが、上記第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様のものが用いられる。
本実施形態の塗料組成物は、上記第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様に、溶剤ベース、水系ベース、無溶剤系のいずれにも使用可能である。
<その他添加剤>
本実施形態の塗料組成物は、上記ブロックポリイソシアネート組成物及び上記樹脂成分に加えて、必要に応じて、上記第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様に、完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を含有してもよい。
また、上記第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、有機溶剤を含有してもよい。
有機溶剤としては、特に限定されないが、上記第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様のものを用いることができる。
上記第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、その目的や用途に応じて、本実施形態の所望の効果を損なわない範囲で、上記第1、第2及び/又は第3の実施形態と同様に、硬化促進用の触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
<用途>
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。さらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
<<塗膜(第5の実施形態)>>
本実施形態の塗膜は、上記第5の実施形態の塗料組成物から形成されたものである。本実施形態の塗膜は、上記第5の実施形態の塗料組成物を、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等により塗装し、硬化することにより得られる。そのため、本実施形態の塗膜は、常に、安定した品質を発現し、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性に優れている。
以下に実施例により、さらに本発明を説明するが、本発明は、これに制限されるものではない。実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物の物性の測定方法、及び、評価方法を以下に示す。
但し、実施例5-1~5-3は参考例である。
[物性1-1]イソシアネート基濃度(NCO%)の測定
ポリイソシアネートのイソシアネート基濃度(NCO%)は、ポリイソシアネートが含有するイソシアネート基の含有量(質量%)と定義され、以下の方法により測定した。
まず、ポリイソアシネート5~10gを精秤してトルエン20mLに溶解した。得られた溶液に2規定のn-ジブチルアミンのトルエン溶液を20mL加え、室温で15分間放置して反応を行った。反応終了後、京都電子社製APB-410型自動滴定装置を用いて、得られた反応混合液の全量を1規定塩酸で逆滴定し、反応混合物中の未反応n-ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(試料滴定量)を求めた。一方、ポリイソシアネートを用いないこと以外は上記と同じ操作を行い、同様に未反応n-ジブチルアミンの中和に要する1規定塩酸の体積(ブランク滴定量)を求めた。得られた試料滴定量及びブランク滴定量を用いて、以下の式(I-A)により、イソシアネート基濃度(質量%)を算出した。
イソシアネート基濃度(質量%)=[{ブランク滴定量(mL)-試料滴定量(mL)}×42/{試料質量(g)×1000}]×100 (I-A)
[物性1-2]HDI含有量の測定
下記に記載のGPCの測定条件により、HDIの分子量に対応する保持時間を有するピークの面積を求めた。このピーク面積のクロマトグラム中の全ピークの総面積に対するパーセンテージを求め、その値をHDI含有量(質量%)とした。なお、各ポリイソシアネート組成物は、50℃で1か月間貯蔵した。貯蔵前の初期HDI含有量及び貯蔵後のHDI含有量をそれぞれ測定し、その差(ΔHDI=(貯蔵後HDI含有量)-(初期HDI含有量))を算出した。
(測定条件)
・キャリア:テトラヒドロフラン(以下、「THF」と称する場合がある)
・流速:0.6mL/min
・カラム:「TSKgel SuperH1000」、「TSKgel SuperH2000」、「TSKgel SuperH3000」(いずれも東ソー社製)のカラムシリーズを連結
・検出器:屈折計
・GPC装置:「HLC-8120GPC」(東ソー社製)
[物性1-3]色度の測定
ロビボンド自動比色計PFXi-195を用い、ハーゼン色数(APHA)を測定した。なお、各ポリイソシアネート組成物は、50℃で1か月間貯蔵した。貯蔵前の初期色度及び貯蔵後の色度をそれぞれ測定し、その差(ΔAPHA=(貯蔵後の色度)-(初期色度))を算出した。
[物性1-4]粘度の測定
トキメック社製VISCONIC・ED型、E型粘度計を用い、25℃にて測定した。なお、各ポリイソシアネート組成物は、50℃で1か月間貯蔵した。貯蔵前の初期粘度及び貯蔵後の粘度をそれぞれ測定し、その差(Δ粘度=(貯蔵後の粘度)-(初期粘度))を算出した。
[物性1-5]イソシアヌレート基の確認
まず、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物のCDCl溶液を調製した。次いで、得られた溶液を以下の測定条件で13C-NMR測定を行い、イソシアヌレート基を確認した。各シグナルの積分値より、イソシアヌレート基を「100」としたときの、アロファネート基、ウレトジオン基の各成分比(モル比)を算出した。
(測定条件)
・測定装置:Burker Biospin Avance600
・観測核:13C(150MHz)
・溶媒:CDCl
・積算回数:10000回
・化学シフト基準:CDCl(77ppm)
・各組成物の特徴的ピーク(化学シフト値)
イソシアヌレート基:148.5ppm付近の強いピーク
アロファネート基:154.0ppm付近の強いピーク
ウレトジオン基:157.3ppm付近の強いピーク
[評価1-1]色度の測定及び評価(ΔAPHA判定)
物性1-3で得られたΔAPHAを以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:ΔAPHAが6以上
△:ΔAPHAが5
×:ΔAPHAが4以下
[評価1-2]粘度の評価(Δ粘度判定)
物性1-4で得られたΔ粘度を以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:Δ粘度が30以下
△:Δ粘度が31以上90以下
×:Δ粘度が91以上
[評価1-3]溶剤希釈時濁度(NTU)による評価(塗料の溶剤希釈性)
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を溶剤として酢酸ブチルに、質量比でポリイソシアネート組成物:酢酸ブチル=1:1となるように混合して、希釈液を調製した。次いで、得られた希釈液を、濁度計/色度計(HACH社製、「2100AN」(商品名))を用い、25℃、測定波長860nmで測定した。測定結果から、溶剤希釈性を以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:0.4未満
△:0.4以上0.6未満
×:0.6以上
[評価1-4]耐薬品性試験
下記配合の塗料組成物を作製した。次いで、ガラス板上に乾燥膜厚が60~80μmとなるように得られた塗料組成物を塗装した。次いで、室温で20分間放置後、120℃で20分間焼き付けを行い、ウレタン塗膜を得た。
(塗料組成物の配合)
・実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物
・ポリオール(Setalux1767)
・配合比率(NCO/OH=1.05)
・希釈溶剤:酢酸ブチル
・塗料固形分:50質量%
得られたウレタン塗膜上に、メチルエチルケトンをしみこませた脱脂綿を置き30分間放置した。次いで、脱脂綿を取り除き、黒色版の上にガラス板を設置して、塗膜の外観変化(白濁の有無、つや引けの有無、タック発生の有無、膨潤の有無)を目視及び触診で評価した。評価基準を以下に示す。
(評価基準)
○:全く変化なし
△:わずかに変化あり
×:明らかに変化あり
[評価1-5]貯蔵後の臭気の評価
乾燥窒素で置換されたグローブボックス内にて、50mLのガラス瓶に、ろ紙(25mm×50mm)を5枚筒状に丸めて入れた。次いで、そこに各ポリイソシアネート組成物を10mLずつ注ぎ、蓋をした。次いで、50℃で1か月間貯蔵した。貯蔵後、ふたを開けた際の臭気を、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:HDI由来の臭気を感じないもの
△:HDI由来の臭気が極わずかに感じられるもの
×:HDI由来の臭気が刺激を伴って感じられるもの
[実施例1-1]
温度計、撹拌機及び窒素シール管を持つ1L四ツ口ガラスフラスコにHDI100質量部を計量し、フラスコ中の空気を窒素で置換し、65℃に加温した。次いで、2-エチルヘキサノール(2-EHOH)0.35質量部を添加し、10分間攪拌を行った。次いで、カプリン酸テトラメチルアンモニウム(TMACA)を含有する5質量%のイソブタノール(i-BuOH)溶液を、TMACAの配合量が0.006質量部となるように60分間かけて添加した。反応中は、65±2℃となるように温度調整を行った。目的のNCO%となったところで、反応停止剤として85%リン酸水溶液0.012質量部を加え、100℃に昇温した。100℃に到達後、1時間撹拌を続けた。反応液は無色透明の液体であった。この反応液を細孔サイズ1μmのメンブレンフィルターでろ過して、反応残渣を分離した反応液を得た。次いで、得られた反応液を下記第1表に記載の薄膜蒸留条件及び加熱処理条件にて処理して、ポリイソシアネート組成物(PI-1)を得た。なお、加熱処理は攪拌を行いながら実施した。得られたポリイソシアネート組成物(PI-1)について、上記の方法に基づき、物性を測定し、評価を行った。結果を下記第1表に示す。
[実施例1-2~1-3及び比較例1-1~1-6]
反応、停止処理及び反応液のろ過処理までは実施例1-1と同様の方法を用いて行い、得られた反応液の薄膜蒸留及び加熱処理の条件、並びに、回数を下記第1表に示す各条件に変更して、ポリイソシアネート組成物(PI-2~PI-9)を得た。得られた各ポリイソシアネート組成物(PI-2~PI-9)について、上記の方法に基づき、物性を測定し、評価を行った。結果を下記第1表に示す。
Figure 0007030833000020
Figure 0007030833000021
第1表から、ポリイソシアネート組成物PI-1~PI-3(実施例1-1~1-3)は、貯蔵後にHDI由来の臭気がない、又は、わずかであり、色度安定性、粘度安定性及び溶剤希釈性が良好であった。また、これらポリイソシアネート組成物から得られた塗膜は、耐薬品性も良好であった。
一方、ポリイソシアネート組成物PI-4~PI-9(比較例1-1~1-6)は、貯蔵後にHDI由来の刺激を伴った臭気があり、色度安定性、粘度安定性、溶剤希釈性及び塗膜の耐薬品性の全てが良好なものはなかった。
以上のことから、本発明の第1の実施形態のポリイソシアネート組成物は、HDI発生量が少なく、貯蔵後において刺激を伴うようなHDI由来の臭気が少なく、色度安定性、粘度安定性、溶剤希釈性及び塗膜の耐薬品性が良好であることが確かめられた。
[物性2-1]粘度
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりとした。
100rpm(128mPa・s未満の場合)
50rpm(128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20rpm(256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10rpm(640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5rpm(1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
[物性2-2]不揮発分
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物の不揮発分を以下に記載の方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定に供した。
不揮発分は、まず、各ポリイソシアネート組成物の質量を測定した。次いで、105℃、3時間加熱し、その残存量を測定した。得られた加熱前後の質量を用いて、下記式(II-B)から不揮発分(質量%)を求めた。
不揮発分(質量%)=(加熱後のポリイソシアネート組成物の質量)/(加熱前のポリイソシアネート組成物の質量)×100 (II-B)
[物性2-3]イソシアネート基含有率(NCO含有率)
NCO含有率(質量%)は、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
[物性2-4]数平均分子量及び数平均分子量700以下の成分の比率
ポリイソシアネート組成物の数平均分子量は、下記測定条件にてGPCにより、ポリスチレン基準の数平均分子量を求めた。
(測定条件)
装置:東ソー社製「HLC-8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperH1000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH2000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH3000」(商品名)×1本
キャリア:テトラハイドロフラン(THF)
検出方法:示差屈折計
試料濃度:5wt/vol%
検出方法:視差屈折計
流出量:0.6mL/min
カラム温度:30℃
次いで、得られた数平均分子量を用いて、下記式(II-C)から数平均分子量700以下の成分の比率(質量%)を求めた。
数平均分子量700以下の成分の比率(質量%)
=(数平均分子量700以下の成分の質量)/(ポリイソシアネート組成物の全質量)×100 (II-C)
[物性2-5]初期HDI含有量
まず、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ、試料として、実施例又は比較例で調製されたポリイソシアネート組成物を約1g精秤した。次に、ニトロベンゼン(内部標準液)を0.03~0.04g加え精秤した。さらに、酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりしてよく混合し、サンプルを調製した。
上記サンプルを以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、HDI含有量を算出した。
(測定条件)
装置:SHIMADZU(株)GC-8A
カラム:信和化工(株)Silicone OV-17
カラムオーブン温度:120℃
インジェクション/ディテクター温度:160℃
[物性2-6]イソシアヌレート基の確認
BrukerBiospin社製 Avance600(商品名)を用いた、13C-NMRの測定により、イソシアヌレート基を確認した。
具体的な測定条件は以下の通りとした。
(測定条件)
13C-NMR装置:AVANCE600(ブルカーバイオスピン社製)
クライオプローブ:CP DUL 600S3 C/H-D-05 Z
(ブルカーバイオスピン社製)
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
各組成物の特徴的ピーク(化学シフト値)
イソシアヌレート基:148.5ppm付近の強いピーク
[物性2-7]貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量
各ポリイソシアネート組成物を窒素雰囲気下、50℃で1か月間貯蔵後、上記物性2-5に記載の測定条件のガスクロマトグラフ測定により、貯蔵後のHDI含有量を測定した。
[評価2-1]顔料分散性
1.塗料組成物の調製
アクリルポリオール(東亜合成社製、「ARUFON UH-2041」(商品名)、樹脂固形分濃度97%以上、水酸基価120mgKOH/樹脂g)と各ポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基とのモル比率が1:1になるように配合した。
その後、アクリルポリオールとポリイソシアネート組成物との樹脂合計量100質量部に対し、酸化チタン(堺化学工業株式会社製、「R-62N」(商品名))を10質量部添加し、万能混合機を用いて、5分間混合し、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物をアルミ板に膜厚100μmとなるように塗布して、1時間自然乾燥させて塗膜を得た。
3.顔料分散性の評価
得られた各塗膜の状態を目視で観測し、以下の評価基準に基づいて、評価した。
(評価基準)
○:顔料である酸化チタンのダマが見られないもの
△:一部に顔料である酸化チタンのダマが見られるが、実用上問題がないもの
×:全体に顔料である酸化チタンのダマが見られ、実用上問題があるもの
[評価2-2]リコート密着性
1.塗料組成物の調製
アクリルポリオール(東亜合成社製、「ARUFON UH-2041」(商品名)、脂固形分濃度97%以上、水酸基価120mgKOH/樹脂g)と各ポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基とのモル比率が1:1になるように配合した。その後、アクリルポリオールとポリイソシアネート組成物との合計量100質量部に対し、酸化チタン(堺化学工業株式会社製、「R-62N」(商品名))を10質量部添加し、万能混合機を用いて、10分間混合し、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物を膜厚100μmとなるように、軟鋼板に塗布し、23℃で1日間乾燥させた。その後、再度、得られた各塗料組成物を膜厚100μmとなるように、塗布し、23℃で5日間乾燥させて、塗膜を得た。
3.リコート密着性の評価
得られた各塗膜の密着性試験を、JIS K5600-5-6に準じて行った。また、以下の評価基準に基づいて、評価した。
○:剥離塗膜がなかったもの
△:半分以下の剥離塗膜があったもの
×:半分以上剥離塗膜があったもの
[評価2-3]塩水噴霧耐久性
1.塗料組成物の調製
評価2-2の「1.」と同様の方法を用いて、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物を膜厚100μmとなるように、アルミ板に塗布した。その後、23℃で1週間乾燥させて、塗膜を得た。
3.塩水噴霧耐久性の評価
得られた塗膜を、複合サイクル試験機(スガ試験機製、「CYP-90」(商品名))を使用し、以下の条件のサイクルで100時間耐久試験を実施した。
(試験条件)
(1)塩水噴霧5%塩化ナトリウム水溶液を噴霧(30℃、0.5時間)→(2)湿潤95%湿度下で静置(30℃、1.5時間)→(3)熱風50℃、2時間
→(4)温風30℃、2時間
→(1)~(4)の繰り返し(約17回)
試験後の塗膜について、目視で、以下の評価基準に基づき、塩水噴霧耐久性を評価した。
(評価基準)
◎:クラックも光沢の低下も見られなかったもの
○:クラックの発生はないが、若干、光沢の低下が見られたもの
△:一部にクラックが発生していたもの
×:塗膜全体的にクラックが発生していたもの
[評価2-4]耐汚染性
1.塗料組成物の調製
評価2-2の「1.」と同様の方法を用いて、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
評価2-3の「2.」と同様の方法を用いて、各塗膜を得た。
3.耐汚染性の評価
得られた各塗膜に、市販の毛染め液を直径3cm大に付着させた。次いで、50℃で100時間保持した。次いで、から拭き、水拭き、エタノール拭き、から拭きの順で毛染め剤を拭き取り、汚染度合いを目視にて観察した。以下の評価基準に基づき、耐汚染性を評価した。
(評価基準)
◎:毛染め液の茶色が残っておらず、ほぼ変化が見られなかったもの
○:毛染め液の茶色が一部で薄く残ったもの
△:毛染め液の茶色が全体的に薄く残ったもの
×:毛染め液の茶色が全体的に強く残ったもの
[比較例2-1]ポリイソシアネート組成物PII-1の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、及び、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で2時間保持した。次いで、イソシアヌレート化触媒トリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。次いで、反応液のNCO含有率が44.6質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。次いで、反応液を更に150℃で2時間保持した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で1回精製後、140℃、1Hrの加熱処理を行った。次いで、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PII-1を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-1は、不揮発分99.7質量%、粘度480mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、初期HDI含有量0.12質量%、貯蔵後HDI含有量0.18質量%であった。また、13C-NMR測定により、イソシアヌレート基を有していることを確認した。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
[実施例2-1]ポリイソシアネート組成物PII-2の製造
比較例2-1で得たポリイソシアネート組成物PII-1をさらに、140℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PII-2を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-2は、不揮発分99.8質量%、粘度490mPa・s(25℃)、NCO含有率23.0質量%、初期HDI含有量0.05質量%、貯蔵後HDI含有量0.08質量%であった。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
[実施例2-2]ポリイソシアネート組成物PII-3の製造
実施例2-1で得たポリイソシアネート組成物PII-2をさらに、140℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PII-3を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-3は、不揮発分99.8質量%、粘度500mPa・s(25℃)、NCO含有率23.0質量%、初期HDI含有量0.03質量%、貯蔵後HDI含有量0.05質量%であった。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
[実施例2-3]ポリイソシアネート組成物PII-4の製造
実施例2-2で得たポリイソシアネート組成物PII-3をさらに、140℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PII-4を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-4は、不揮発分99.8質量%、粘度500mPa・s(25℃)、NCO含有率23.0質量%、初期HDI含有量0.01質量%、貯蔵後HDI含有量0.02質量%であった。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
[比較例2-2]ポリイソシアネート組成物PII-5の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000gを仕込み、60℃で保持した。次いで、テトラブチルホスホニウム1,2,4-トリアゾレートを2-エチルヘキサノールで10質量%に希釈した溶液を1分間に6gのペースで、1~2℃の内温上昇が確認されるまで、滴下した。次いで、反応液のNCO含有率が41.8質量%になった時点でジブチルリン酸を添加し反応を停止した。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で1回精製した。次いで、140℃で1時間の加熱処理、及び、薄膜蒸留缶を用いた160℃、0.1Torr条件での精製を2回繰り返し、ポリイソシアネート組成物PII-5を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-5は、不揮発分99.7質量%、粘度700mPa・s(25℃)、NCO含有率21.8質量%、初期HDI含有量0.09質量%、貯蔵後HDI含有量0.24質量%であった。また、13C-NMR測定により、イソシアヌレート基を有していることを確認した。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
[比較例2-3]ポリイソシアネート組成物PII-6の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で2時間保持した。次いで、薄イソシアヌレート化触媒トリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が38.7質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、ポリイソシアネート組成物PII-6を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-6は、不揮発分99.7質量%、粘度2500mPa・s(25℃)、NCO含有率21.8質量%、初期HDI含有量0.12質量%、貯蔵後HDI含有量0.19質量%であった。また、13C-NMR測定により、イソシアヌレート基を有していることを確認した。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
[比較例2-4]ポリイソシアネート組成物PII-7の製造
比較例2-1で得たポリイソシアネート組成物PII-1にHDIを0.23質量%添加し、ポリイソシアネート組成物PII-7を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-7は、不揮発分99.7質量%、粘度460mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、初期HDI含有量0.35質量%、貯蔵後HDI含有量0.41質量%であった。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
[比較例2-5]ポリイソシアネート組成物PII-8の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000gを仕込み、60℃で保持した。次いで、テトラブチルホスホニウムベンゾトリアゾレートを2-エチルヘキサノールで30質量%に希釈した溶液を1分間に3gのペースで、1~2℃の内温上昇が確認されるまで、滴下した。反応液のNCO含有率が40.5質量%になった時点でジブチルリン酸を添加し反応を停止した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製後、ポリイソシアネート組成物PII-8を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PII-8は、不揮発分99.7質量%、粘度460mPa・s(25℃)、NCO含有率22.2質量%、初期HDI含有量0.15質量%、貯蔵後HDI含有量0.40質量%であった。また、13C-NMR測定により、イソシアヌレート基を有していることを確認した。
次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第2表に示す。
Figure 0007030833000022
第2表から、ポリイソシアネート組成物PII-2~PII-4(実施例2-1~2-3)は、粘度を500mPa・s以下に保ちながら、リコート密着性、塩水噴霧耐久性及び耐汚染性が良好な塗膜を得た。
以上のことから、本発明の第2の実施形態のポリイソシアネート組成物は、低粘度であり、且つ、リコート密着性、塩水噴霧耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成できることが確認された。
[物性3-1]粘度
粘度は、上記物性2-1と同様の方法で、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。
[物性3-2]不揮発分
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物の不揮発分は、上記物性2-2と同様の方法で測定し、算出した。
[物性3-3]イソシアネート基含有率(NCO含有率)
NCO含有率(質量%)は、上記物性2-3と同様に、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
[物性3-4]数平均分子量
ポリイソシアネート組成物の数平均分子量は、上記物性2-4と同様に、GPCにより、ポリスチレン基準の数平均分子量を求めた。
[物性3-5]HDI含有量
初期HDI含有量は、上記物性2-5と同様に、サンプルを調製後、ガスクロマトグラフィー分析し、算出した。
[物性3-6]ビュレット基、イソシアヌレート基、ウレトジオン基及びイミノオキサジアジンジオン基のモル量及びビュレット基/(イソシアヌレート基+ウレトジオン基+イミノオキサジアジンジオン基+ビュレット基)のモル比率
BrukerBiospin社製 Avance600(商品名)を用いた、13C-NMRの測定により、イソシアヌレート基のモル量(A)、ウレトジオン基のモル量(B)、イミノオキサジアジンジオン基のモル量(C)及びビュレット基のモル量(D)をそれぞれ求めた。
具体的な測定条件は以下の通りとした。
(測定条件)
13C-NMR装置:AVANCE600(ブルカーバイオスピン社製)
クライオプローブ:CP DUL 600S3 C/H-D-05 Z
(ブルカーバイオスピン社製)
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
なお、上記測定においては、以下のシグナルの積分値を、測定している炭素の数で除し、その値から各モル量を求めた。
ビュレット基:156.2ppm付近:積分値÷2
イソシアヌレート基:148.6ppm付近:積分値÷3
ウレトジオン基:157.5ppm付近:積分値÷2
イミノオキサジアジンジオン基:137.3ppm付近:積分値÷1
得られた各モル量を用いて、D/A+B+C+Dを算出した。
[物性3-7]貯蔵後のポリイソシアネート組成物中のHDI含有量
各ポリイソシアネート組成物を窒素雰囲気下、50℃で1か月間貯蔵後、上記HDI含有量の測定条件のガスクロマトグラフ測定により、貯蔵後のHDI含有量を測定した。
[評価3-1]顔料分散性
1.塗料組成物の調製
アクリルポリオール(Nuplex Resin社製、「Setalux1903」(商品名)、樹脂固形分濃度:75%、水酸基量:樹脂中4.5質量%)とポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基とのモル比率が1:1になるように配合した。次いで、アクリルポリオール及びポリイソシアネート組成物の合計量100質量部に対し、10質量部の酸化チタン(堺化学工業株式会社製、「R-62N」(商品名))を添加し、スリーワンモーターを用いて、100回転/分で、5分間混合した。次いで、酢酸ブチルで塗料粘度がフォードカップNo.4で20秒になるように調整し、さらに100回転/分で、5分撹拌後、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物をガラス板に膜厚40μmとなるように塗布して、1時間自然乾燥させて塗膜を得た。
3.顔料分散性の評価
得られた各塗膜の状態を目視で観測し、以下の評価基準に基づいて、評価した。
(評価基準)
○:顔料である酸化チタンのダマが見られないもの
△:一部に顔料である酸化チタンのダマが見られるが、実用上問題がないもの
×:全体に顔料である酸化チタンのダマが見られ、実用上問題があるもの
[評価3-2]臭気
1.塗料組成物の調製
アクリルポリオール(Nuplex Resin社製、「Setalux1903」(商品名)、樹脂固形分濃度:75%、水酸基量:樹脂中4.5質量%)とポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基とのモル比率が1:1になるように配合した。次いで、アクリルポリオール及びポリイソシアネート組成物の合計量100質量部に対し、10質量部の酸化チタン(堺化学工業株式会社製、「R-62N」(商品名))を添加し、スリーワンモーターを用いて、200回転/分で10分間混合した。次いで、酢酸ブチルで塗料粘度がフォードカップNo.4で20秒になるように調整し、さらに200回転/分で、5分撹拌後、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物をアルミ板に膜厚40μmとなるように塗布して、23℃で24時間乾燥させて塗膜を得た。
3.臭気の評価
得られた各塗膜から25cm離れた高さから臭気を確認し、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:特に臭気を感じないもの
×:ジイソシアネートモノマー由来の刺激性の臭気がしたもの
[評価3-3]密着性
1.塗料組成物の調製
評価3-2の「1.」と同様の方法を用いて、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物をポリアミド板(TECAMID製、品番:6natural(PA6)、5mm×50mm)に膜厚40μmとなるように塗布して、23℃で7日間乾燥させて塗膜を得た。
3.密着性の評価
得られた各塗膜の密着性試験を、JIS K5600-5-6に準じて行った。試験結果から、以下の評価基準に基づいて評価した。
(評価基準)
○:剥離塗膜がなかったもの
△:半分以下の剥離塗膜があったもの
×:半分以上剥離塗膜があったもの
[評価3-4]耐汚染性
1.塗料組成物の調製
評価3-2の「1.」と同様の方法を用いて、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物をアルミ板に膜厚40μmとなるように塗布して、23℃で1週間乾燥させて塗膜を得た。
3.耐汚染性の評価
得られた各塗膜に、市販の毛染め液を直径3cm大に付着させた。次いで、50℃で100時間保持した。次いで、から拭き、水拭き、エタノール拭き、から拭きの順で毛染め剤を拭き取り、汚染度合いを目視にて観察した。以下の評価基準に基づき、耐汚染性を評価した。
(評価基準)
◎:毛染め液の茶色が残っておらず、ほぼ変化が見られなかったもの
○:毛染め液の茶色が一部で薄く残ったもの
△:毛染め液の茶色が全体的に薄く残ったもの
×:毛染め液の茶色が全体的に強く残ったもの
[比較例3-1]ポリイソシアネート組成物PIII-1の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 560g、トリメチル燐酸 120g、メチルセロソルブアセテート 120g、及び、水 7.5g(HDI/水のモル比=8)を仕込み、液温度を160℃で1時間保持した。得られた反応液を真空度5Torr、温度160℃の薄膜蒸発缶に500g/時間でフィードした。得られた4質量%の未反応ジイソシアネートモノマー(HDI)を含むポリイソシアネート組成物を、窒素雰囲気下で、液温度120℃で1時間の加熱処理を実施した。この組成物を再度、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で精製を行った。この時点のHDI含有量は0.3質量%であった。さらに、120℃で1時間の加熱処理を実施し、再度、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PIII-1を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-1は、揮発分99.7質量%、粘度1630mPa・s(25℃)、NCO含有率23.4質量%、初期HDI含有量0.17質量%、貯蔵後HDI含有量0.24質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
[比較例3-2]ポリイソシアネート組成物PIII-2の製造
比較例3-1で得たポリイソシアネート組成物PIII-1をさらに、120℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PIII-2を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-2は、不揮発分99.8質量%、粘度1650mPa・s(25℃)、NCO含有率23.3質量%、初期HDI含有量0.10質量%、貯蔵後HDI含有量0.16質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
[実施例3-1]ポリイソシアネート組成物PIII-3の製造
比較例3-2で得たポリイソシアネート組成物PIII-2をさらに、110℃で2時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PIII-3を得た。
得られたポリイソシアネート組成物P-3は、不揮発分99.8質量%、粘度1670mPa・s(25℃)、NCO含有率23.3質量%、初期HDI含有量0.05質量%、貯蔵後HDI含有量0.09質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
[実施例3-2]ポリイソシアネート組成物PIII-4の製造
実施例3-1で得たポリイソシアネート組成物PIII-3をさらに、110℃で2時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PIII-4を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-4は、不揮発分99.8質量%、粘度1680mPa・s(25℃)、NCO含有率23.3質量%、初期HDI含有量0.02質量%、貯蔵後HDI含有量0.05質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
[比較例3-3]ポリイソシアネート組成物PIII-6の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下、反応器内温度を80℃で2時間保持した。次いで、イソシアヌレート化触媒トリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。次いで、反応液のNCO含有率が44.6質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。次いで、反応液を更に150℃で2時間保持した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で1回精製した。次いで、140℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PIII-5を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-5は、不揮発分99.7質量%、粘度480mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、初期HDI含有量0.12質量%であった。
次いで、比較例3-1で得られたポリイソシアネート組成物PIII-1とポリイソシアネート組成物PIII-5とを75:25の質量比率でブレンド混合し、ポリイソシアネート組成物ポリイソシアネート組成物PIII-6を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-6は、不揮発分99.8質量%、粘度1200mPa・s(25℃)、NCO含有率23.3質量%、初期HDI含有量0.15質量%、貯蔵後HDI含有量0.23質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
[比較例3-4]ポリイソシアネート組成物PIII-7の製造
ポリイソシアネート組成物PIII-1及びPIII-5を40:60の質量比率でブレンド混合した以外は、比較例3-3と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物PIII-7を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-7は、不揮発分99.8質量%、粘度790mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、初期HDI含有量0.14質量%、貯蔵後HDI含有量0.22質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
[比較例3-5]ポリイソシアネート組成物PIII-8の製造
比較例3-1で得たポリイソシアネート組成物PIII-1にHDIモノマーを0.18質量%添加し、ポリイソシアネート組成物PIII-8を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-8は、不揮発分99.6質量%、粘度1560mPa・s(25℃)、NCO含有率23.5質量%、初期HDI含有量0.35質量%、貯蔵後HDI含有量0.44質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
[比較例3-6]ポリイソシアネート組成物PIII-9の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 560g、トリメチル燐酸 120g、メチルセロソルブアセテート 120g、及び、水 7.5g(HDI/水のモル比=8)を仕込み、液温度を160℃で1時間保持した。得られた反応液を真空度5Torr、温度160℃の薄膜蒸発缶に500g/時間でフィードした。得られた、4質量%の未反応ジイソシアネート(HDI)モノマーを含むポリイソシアネート組成物を、窒素雰囲気下、液温度120℃で1時間の加熱処理を実施した。この組成物を再度、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で精製を行った。この時点のHDI含有量は0.3質量%であった。さらに、再度、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PIII-9を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PIII-9は、不揮発分99.7質量%、粘度1630mPa・s(25℃)、NCO含有率23.4質量%、初期HDI含有量0.18質量%、貯蔵後HDI含有量0.42質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第3表に示す。
Figure 0007030833000023
第3表から、ポリイソシアネート組成物PIII-3~PIII-4(実施例3-1~3-2)は、臭気が少なく、密着性が良好であり、耐汚染性が特に優れた塗膜が得られた。
以上のことから、本発明の第3の実施形態のポリイソシアネート組成物は、臭気が少なく、基材との密着性及び耐汚染性に優れた塗膜を形成できることが確認された。
[物性4-1]粘度
粘度は、上記物性2-1と同様に、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。
[物性4-2]ポリアルキレングリコールアルキルエーテルによる変性率
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、活性水素基及び親水性基を有する化合物であるポリアルキレングリコールアルキルエーテルによるポリイソシアネート組成物の変性率は、原料のポリイソシアネートのイソシアネート基100当量に対して、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルによって変性された割合である。具体的な測定方法としては、液体クロマトグラフィー(LC)の220nmにおける、未変性原料イソシアネート、1変性原料イソシアネート、2変性原料イソシアネート、及び、3変性原料イソシアネートのピーク面積比からポリアルキレングリコールアルキルエーテルによる変性率(モル%)求めた。用いた装置及び条件は以下のとおりである。
(測定条件)
LC装置:Waters社製、UPLC(商品名)
カラム:Waters社製、ACQUITY UPLC HSS T3 1.8μm
C18 内径2.1mm×長さ50mm
流速:0.3mL/min
移動相:A=10mM酢酸アンモニウム水溶液、B=アセトニトリル
グラジェント条件:初期の移動相組成はA/B=98/2で、試料注入後Bの比率を直線的に上昇させ、10分後にA/B=0/100とした。
検出方法:フォトダイオードアレイ検出器、測定波長は220nm
[物性4-3]NCO含有率(NCO%)
NCO含有率(質量%)は、上記物性2-3と同様に、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
[物性4-4]ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの含有率
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの含有率は、NCO含有率(質量%)と、アルキレングリコール繰り返し単位n21の平均数から算出されるポリアルキレングリコールアルキルエーテルの分子量と、上記ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの変性率(モル%)とから以下の式(i)を用いて、算出した。
含有率(質量%)=(NCO含有率)/100%/42/{100-(変性率)}×(変性率)×(ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの数平均分子量)×100% (i)
[物性4-5]ポリイソシアネート組成物の総質量に対するリン原子の含有率
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の、リン酸基に由来するリン原子含有率は、以下の装置及び条件を用いて誘導結合プラズマ発光分光分析法(ICP-AES)により求めた。
(測定条件)
ICP-AES装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、iCAP6300Duo(商品名)
高周波出力:1150W
クーラントガス:12L/min
プラズマガス:0.5L/min
キャリアガス:0.5L/min
パージガス:0.5L/min
トーチ:横軸
検出器:CID
測定波長:180.731nm
前処理方法:試料を硫酸及び過酸化水素で分解し検液とした。
[物性4-6]ポリイソシアネート組成物の総質量に対する硫黄原子の含有率
実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、ポリイソシアネート組成物中の、スルホン酸基に由来する硫黄原子含有率は、以下の装置及び条件を用いてイオンクロマトグラフィー(IC)により求めた。
(測定条件)
IC装置:サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製、ICS-1500(商品名)
カラム:AS12A
移動相:2.7mmol/L NaCO,0.3mmol/L NaHCO
流量:1.5mL/min
試料注入量:1mL
サプレッサー:AERS-500
検出器:電気伝導度検出器
前処理方法:試料を炉内で燃焼させ、その燃焼ガスを吸収液に吸収させた。
[物性4-7]ジイソシアネート含有量
上記物性2-5と同様に、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物を試料として、約1g精秤した。次に、ニトロベンゼン(内部標準液)を0.03~0.04g加え精秤した。さらに、酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりしてよく混合し、サンプルを調製した。次いで、上記調整液を以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、ジイソシアネートの分子量に対応する保持時間を有するピークの面積を求めた。このピーク面積のクロマトグラム中の全ピークの総面積に対するパーセンテージを求め、その値を初期ジイソシアネート含有量(質量%)とした。また、50℃で1か月間貯蔵した後の実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物についても、上記方法を用いて、分析及び定量し、貯蔵後ジイソシアネート含有量(質量%)を算出した。
(測定条件)
装置:SHIMADZU(株)GC-8A
カラム:信和化工(株)Silicone OV-17
カラムオーブン温度;120℃
インジェクション/ディテクター温度;160℃
[評価4-1]塗膜硬度
1.水系塗料組成物の調製
アクリルディスパージョン(Allnex社製、「SETAQUA6515」(商品名)、樹脂分濃度:45質量%、水酸基濃度:3.3質量%(樹脂基準))と、実施例及び比較例で得られたポリイソシアネート組成物とを、イソシアネート基/水酸基のモル比が1.00になるよう配合した。次いで、水で固形分45質量%になるように調整し、水系塗料組成物とした。
2.塗膜の作製
次いで、「1.」で得られた各水系塗料組成物を用いて、ガラス板上に、厚さ50μmの塗膜を塗装し、23℃及び50%RHの雰囲気下で24時間養生して、塗膜を得た。
3.塗膜硬度の評価
次いで、得られた塗膜について、ケーニッヒ硬度計(BYK Garder社製、「Pendulum hardness tester」(商品名))を用いて、硬度を測定し、塗膜硬度を評価した。評価基準は以下のとおりとした。
(評価基準)
○:ケーニッヒ硬度が50以上
△:ケーニッヒ硬度が40以上50未満
×:ケーニッヒ硬度が40未満
[評価4-2]耐水性
1.水系塗料組成物の調製
「[評価4-1]」と同様の方法を用いて、水系塗料組成物を調製した。
2.塗膜の作製
次いで、「1.」で得られた各水系塗料組成物を用いて、アルミ板上に、厚さ50μmの塗膜を塗装し、60℃で30分間焼成した。次いで、23℃及び50%RHの雰囲気下で24時間冷却し、塗膜を得た。
3.耐水性の評価
次いで、得られた塗膜上に直径30mmのシリコン製Oリングを載せ、その中に水を0.5g注ぎ入れた。次いで、23℃で24時間置き、表面に残った水を除いた後の塗膜の様子を観察し、耐水性を評価した。評価基準は以下のとおりとした。
(評価基準)
○:透明、ブリスターなし
△:わずかに白濁、又は、わずかにブリスターあり
×:白濁、又は、ブリスターあり
[合成例4-1]HDIポリイソシアネート前駆体PIV-1の合成
撹拌機、温度計及びガス導入管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、モノマーとしてHDI 500g、及び、イソブタノール0.5gを仕込み、温度を80℃、2時間保持した。次いで、イソシアヌレート化触媒ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシドを50mg加え、イソシアヌレート化反応を行った。次いで、収率が12%になった時点でジブチルリン酸を添加し反応を停止した。反応液を更に120℃、15分保持し、HDIポリイソシアネート反応液を得た。得られた反応液を、薄膜蒸留装置にて、160℃×0.4Torrの条件で1回、160℃×0.1Torrの条件で2回蒸留を行い、HDIを除去し、HDIポリイソシアネート前駆体PIV-1を得た。
得られたHDIポリイソシアネート前駆体PIV-1の粘度は2,300mPa・s/25℃、NCO含有率は22.4質量%、ポリイソシアネート前駆体PIV-1中のHDI含有率は0.06質量%であった。
[合成例4-2]HDIポリイソシアネート前駆体PIV-2の合成
合成例4-1と同様の条件にてHDI反応液を得た。得られた反応液を、薄膜蒸留装置にて、160℃×0.1Torrの条件で1回蒸留を行い、HDIを除去し、HDIポリイソシアネート前駆体PIV-2を得た。
得られたHDIポリイソシアネート前駆体PIV-2の粘度は2,250mPa・s/25℃、NCO含有率は22.6質量%、ポリイソシアネート前駆体PIV-2中のHDI含有率は0.60質量%であった。
[実施例4-1]ポリイソシアネート組成物A-1の製造
合成例4-1と同様の装置を用いて、装置内を窒素雰囲気にし、HDIポリイソシアネート前駆体PIV-1を70質量部に、エチレングリコール繰り返し単位の平均数が9.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、「MPG-130」(商品名))30.0質量部を添加し、窒素下、100℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、ポリイソシアネート組成物A-1を得た。ポリイソシアネート組成物A-1の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。
[実施例4-2]ポリイソシアネート組成物A-2の製造
合成例4-1と同様の装置を用いて、装置内を窒素雰囲気にし、HDIポリイソシアネート前駆体PIV-1 80.0質量部と、エチレングリコール繰り返し単位の平均数が11.8であり、分子量550のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日油株式会社製、「M550」(商品名))20.0質量部と、を添加した。次いで、エチレングリコール繰り返し単位の平均数が6.0となるように調整し、窒素下、100℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、ポリイソシアネート組成物A-2を得た。ポリイソシアネート組成物A-2の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。
[実施例4-3]ポリイソシアネート組成物A-3の製造
合成例4-1と同様の装置を用いて、装置内を窒素雰囲気にし、HDIポリイソシアネート前駆体PIV-1 80.0質量部と、エチレングリコール繰り返し単位の平均数が15.0のポリエチレングリコールモノメチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、「MPG-081」(商品名))8.0質量部と、を添加し、窒素下、100℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、ポリイソシアネート組成物A-3を得た。ポリイソシアネート組成物A-3の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。
[実施例4-4]ポリイソシアネート組成物A-4の製造
合成例4-1と同様の装置を用いて、装置内を窒素雰囲気にし、モノブチルリン酸20gと、トリエチルアミン13.0gと、を混合し、モノブチルリン酸の一部を中和した。HDIポリイソシアネート前駆体PIV-1 1000質量部に、上記より得られたモノブチルリン酸及びトリエチルアミンの混合物(以下、「リン酸基を有する化合物」と称する場合がある)33.0質量部を添加し、窒素下、90℃で4時間攪拌して反応を行った。反応終了後、ポリイソシアネート組成物A-4を得た。ポリイソシアネート組成物A-4の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。なお、ポリイソシアネート組成物A-4について、ICP-AESで検出されたP原子の濃度は0.31質量%であった。
[実施例4-5]ポリイソシアネート組成物A-5の製造
合成例4-1と同様の装置を用いて、装置内を窒素雰囲気にし、2-ヒドロキシエタンスルホン酸70質量%水溶液20質量部に、1-プロパノールを10質量部添加して撹拌して溶液を得た。更に、モル比が1となるようにトリエチルアミンを量り取り、同質量部の1-プロパノールで希釈した液を、撹拌中の上記溶液に滴下していった。滴下開始から1時間後に撹拌を止め、エバポレーターで脱水及び脱溶剤し、固形分99.0質量%の2-ヒドロキシエタンスルホン酸トリエチルアミン塩(以下、「スルホン酸基を有する化合物」と称する場合がある)を得た。次いで、ポリイソシアネート前駆体PIV-1 1000gに、上記で得られた2-ヒドロキシエタンスルホン酸トリエチルアミン塩(スルホン酸基を有する化合物)2.5g、アセトン200g、及び、ジブチルスズジラウレート0.05gを添加し、還流下、70℃で5時間攪拌して反応を行った。次いで、還流を外して、水0.3質量部を添加し、100℃で0.5時間撹拌して反応を継続した。反応終了後、ポリイソシアネート組成物A-5を得た。ポリイソシアネート組成物A-5の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。なお、ポリイソシアネート組成物A-5について、イオンクロマトグラフィーで検出されたS原子の濃度は0.20質量%であった。
[比較例4-1]ポリイソシアネート組成物A-6の製造
実施例4-1と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物A-1を製造した。次いで、得られたポリイソシアネート組成物A-1を薄膜蒸留装置にて、160℃×0.1Torrの条件で1回蒸留を行い、HDIを除去し、ポリイソシアネート組成物A-6を得た。ポリイソシアネート組成物A-6の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。
[実施例4-6]ポリイソシアネート組成物A-7の製造
実施例4-1と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物A-1を製造した。次いで、得られたポリイソシアネート組成物A-1を薄膜蒸留装置にて、160℃×0.1Torrの条件で2回蒸留を行い、HDIを除去し、ポリイソシアネート組成物A-7を得た。ポリイソシアネート組成物A-7の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。
[比較例4-2]ポリイソシアネート組成物A-8の製造
合成例4-1で得られたポリイソシアネート前駆体PIV-1の代わりに、合成例4-2で得られたポリイソシアネート前駆体PIV-2を用いた以外は、実施例4-1と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物A-8を得た。ポリイソシアネート組成物A-8の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。
[比較例4-3]ポリイソシアネート組成物A-9の製造
比較例4-1と同様の方法を用いて、ポリイソシアネート組成物A-8を製造した。次いで、得られたポリイソシアネート組成物A-8を薄膜蒸留装置にて、160℃×0.1Torrの条件で1回蒸留を行い、HDIを除去し、ポリイソシアネート組成物A-9を得た。ポリイソシアネート組成物A-9の物性及び評価結果を以下の第4表に示す。
Figure 0007030833000024
Figure 0007030833000025
第4表から、ポリイソシアネート組成物A-1~A5及びA-7(実施例1~6)は、塗膜硬度及び耐水性に優れた塗膜が得られることが確かめられた。
[物性5-1]粘度
粘度は、上記物性2-1と同様に、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。
[物性5-2]不揮発分
合成例例で得られたポリイソシアネート組成物の不揮発分を、上記物性2-2と同様に測定し、算出した。
[物性5-3]イソシアネート基含有率(NCO含有率)
NCO含有率(質量%)は、上記物性2-3と同様に、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。
[物性5-4]計算イソシアネート基含有率(計算NCO含有率)
各ブロックポリイソシアネート組成物について、製造時に仕込んだブロックポリイソシアネート組成物の質量、及び、上記[物性5-3]で求められたNCO含有率から、計算NCO含有率を、下記式(V-C)を用いて、算出した。
計算NCO含有率(質量%)=100×(NCO含有率)/(ブロックポリイソシアネート組成物の質量) (V-C)
[物性5-5]ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量
ポリイソシアネート組成物中のHDI含有量は、上記物性2-5と同様に測定し、算出した。
[物性5-6]ブロックジイソシアネートの含有量
ブロックポリイソシアネート組成物中のブロックジイソシアネートの含有量は、下記の測定条件にて、GPCによるポリスチレン基準の数平均分子量で求めた。
(測定条件)
装置:東ソー社製「HLC-8120GPC」(商品名)
カラム:東ソー社製「TSKgel SuperH1000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH2000」(商品名)×1本
「TSKgel SuperH3000」(商品名)×1本
キャリアー:テトラハイドロフラン(THF)
検出方法:示差屈折計
試料濃度:5wt/vol%
検出方法:視差屈折計
流出量:0.6mL/min
カラム温度:30℃
[評価5-1]顔料分散性
1.塗料組成物の調製
アクリルポリオール(Nuplex Resin社製、「Setalux1903」(商品名)、樹脂固形分濃度:75%、水酸基量:樹脂中4.5質量%)とブロックポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基とのモル比率が1:1になるように配合した。次いで、アクリルポリオール及びブロックポリイソシアネート組成物の合計量100質量部に対し、10質量部の銅フタロシアニンブルー顔料(大日精化社製、「シアニンブルー5206」(商品名))を添加し、スリーワンモーターを用いて、100回転/分で、5分間混合した。次いで、酢酸ブチルで塗料粘度がフォードカップNo.4で20秒になるように調整し、さらに100回転/分で、5分撹拌後、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物をガラス板に膜厚40μmとなるように塗布して、1時間自然乾燥させて塗膜を得た。
3.顔料分散性の評価
得られた各塗膜の状態を目視で観測し、以下の評価基準に基づいて、評価した。
(評価基準)
○:顔料のダマが見られないもの
△:一部に顔料のダマが見られるが、実用上問題がないもの
×:全体に顔料のダマが見られ、実用上問題があるもの
[評価5-2]耐酸性
1.塗料組成物の調製
アクリルポリオール(Nuplex Resin社製、「Setalux1903」(商品名)、樹脂固形分濃度:75%、水酸基量:樹脂中4.5質量%)とブロックポリイソシアネート組成物とを、水酸基とイソシアネート基とのモル比率が1:1になるように配合した。次いで、アクリルポリオール及びブロックポリイソシアネート組成物の合計量100質量部に対し、10質量部の銅フタロシアニンブルー顔料(大日精化社製、「シアニンブルー5206」(商品名))を添加し、スリーワンモーターを用いて、200回転/分で、10分間混合した。次いで、酢酸ブチルで塗料粘度がフォードカップNo.4で20秒になるように調整し、さらに200回転/分で、5分撹拌後、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物をアルミ板に膜厚30μmとなるように塗布した。次いで、130℃で30分間焼付を行い、塗膜を得た。
3.耐酸性の評価
得られた各塗膜に40%硫酸水溶液0.5mLをスポットし、60℃で0.5時間保持した。次いで、塗膜表面は流水で洗い流し、乾燥後、塗膜の外観を目視で観察し、以下の評価基準に基づいて、評価した。
(評価基準)
◎:ほぼ変化が見られなかったもの
○:周りにくぼみがみられたもの
△:スポットした部分において部分的に塗膜が劣化したもの
×:スポットした部分が全体的に溶けているもの
[評価5-3]耐ガソホール性
1.塗料組成物の調製
評価5-2の「1.」と同様の方法を用いて、各塗料組成物を得た。
2.塗膜の調製
得られた各塗料組成物について、評価5-2の「2.」と同様の方法を用いて、各塗膜を得た。
3.耐ガソホール性の評価
得られた各塗膜の上に、ガソリン及びメタノールの混合試験液(ガソリン/メタノール=90/10、質量比)中に浸したコットンボール(直径25mm)を置き、さらにその上に、ディスポカップを置き、40℃で30分間保持した。次いで、コットンボールを取り除き、経過時のふくれ、剥がれの塗面状態を観察し、以下の評価基準に基づいて、評価した。
(評価基準)
◎:全く異常がないもの
○:一部に膨れ、又は、剥がれが生じているもの
△:接触面の半分程度のふくれ、はがれが生じているもの
×:接触面が全体的にふくれ、剥がれが生じているもの
[合成例5-1]ポリイソシアネート組成物PV-1の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI600g、及び、イソブタノール0.7gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃で2時間保持した。次いで、イソシアヌレート化触媒トリメチル-2-メチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液0.5gを加え、イソシアヌレート化反応を行った。次いで、反応液のNCO含有率が44.6質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。次いで、反応液を更に150℃で2時間保持した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で1回精製後、140℃、1Hrの加熱処理を行った。次いで、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PV-1を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-1は、不揮発分99.7質量%、粘度480mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、HDI含有量0.12質量%であった。また、13C-NMR測定により、イソシアヌレート基を有していることを確認した。
[合成例5-2]ポリイソシアネート組成物PV-2の製造
合成例5-1で得たポリイソシアネート組成物PV-1をさらに、140℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PV-2を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-2は、不揮発分99.8質量%、粘度490mPa・s(25℃)、NCO含有率23.0質量%、HDI含有量0.05質量%であった。
[合成例5-3]ポリイソシアネート組成物PV-3の製造
合成例5-2で得たポリイソシアネート組成物PV-2をさらに、140℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PV-3を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-3は、不揮発分99.8質量%、粘度500mPa・s(25℃)、NCO含有率23.0質量%、HDI含有量0.03質量%であった。
[合成例5-4]ポリイソシアネート組成物PV-4の製造
合成例5-3で得たポリイソシアネート組成物PV-3をさらに、140℃で1時間の加熱処理を行い、再度、薄膜蒸留缶を用いて、160℃、0.1Torrの条件で精製を行い、ポリイソシアネート組成物PV-4を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-4は、不揮発分99.8質量%、粘度490mPa・s(25℃)、NCO含有率23.0質量%、HDI含有量0.01質量%であった。
[合成例5-5]ポリイソシアネート組成物PV-5の製造
合成例5-1で得たポリイソシアネート組成物(PV-1)100gにHDIモノマーを0.05g添加し、10分間混合して、ポリイソシアネート組成物PV-5を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-5は、不揮発分99.8質量%、粘度480mPa・s(25℃)、NCO含有率23.1質量%、HDI含有量0.17質量%であった。
[合成例5-6]ポリイソシアネート組成物PV-6の製造
合成例5-1で得たポリイソシアネート組成物(PV-1)100gにHDIモノマーを0.10g添加し、10分間混合して、ポリイソシアネート組成物PV-6を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-6は、不揮発分99.8質量%、粘度470mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、HDI含有量0.23質量%であった。
[合成例5-7]ポリイソシアネート組成物PV-7の製造
合成例5-1で得たポリイソシアネート組成物(PV-1)100gにHDIモノマーを0.20g添加し、10分間混合して、ポリイソシアネート組成物PV-7を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-7は、不揮発分99.8質量%、粘度460mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、HDI含有量0.33質量%であった。
[合成例5-8]ポリイソシアネート組成物PV-8の製造
合成例5-1で得たポリイソシアネート組成物(PV-1)100gにHDIモノマーを0.60g添加し、10分間混合して、ポリイソシアネート組成物PV-8を得た。
得られたポリイソシアネート組成物PV-8は、不揮発分99.5質量%、粘度430mPa・s(25℃)、NCO含有率23.4質量%、HDI含有量0.62質量%であった。
[比較例5-1]ブロックイソシアネート組成物B-1の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管及び窒素吹き込み管を取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、ポリイソシアネート組成物PV-1を200g、酢酸ブチル(131g)を仕込み、温度を70℃とした。次いで、4ツ口フラスコに3,5-ジメチルピラゾール(106g、100モル%)を数回に分け添加し2時間保持した。次いで、NCO含有率0.0質量%を確認し、固形分濃度70質量%のブロックイソシアネート組成物B-1を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-1は、計算NCO含有率が10.6質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
[比較例5-2]ブロックイソシアネート組成物B-2の製造
ポリイソシアネート組成物PV-1の代わりに、PV-5を使用した以外は比較例5-1と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物B-2を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-2は、計算NCO含有率が10.6質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を第5表に示す。
[実施例5-1]ブロックイソシアネート組成物B-3の製造
ポリイソシアネート組成物PV-1の代わりに、PV-2を使用した以外は比較例5-1と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物B-3を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-3は、計算NCO含有率が10.5質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
[実施例5-2]ブロックイソシアネート組成物B-4の製造
ポリイソシアネート組成物PV-1の代わりに、PV-3を使用した以外は比較例5-1と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物B-4を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-4は、計算NCO含有率が10.5質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
[実施例5-3]ブロックイソシアネート組成物B-5の製造
ポリイソシアネート組成物PV-1の代わりに、PV-4を使用した以外は比較例5-1と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物B-5を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-5は、計算NCO含有率が10.5質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
[比較例5-3]ブロックイソシアネート組成物B-6の製造
ポリイソシアネート組成物PV-1の代わりに、PV-6を使用した以外は比較例5-1と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物B-6を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-6は、計算NCO含有率が10.6質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
[比較例5-4]ブロックイソシアネート組成物B-7の製造
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、ポリイソシアネート組成物PV-1を200g、及び、酢酸ブチルを127g仕込み、温度を70℃とした。次いで、4ツ口フラスコにメチルエチルケトオキシム(96g、100モル%)を滴下して添加し2時間保持した。次いで、NCO含有率が0.0質量%となったことを確認し、固形分濃度70質量%のブロックイソシアネート組成物B-7を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-7は、計算NCO含有率が10.9質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
[比較例5-5]ブロックイソシアネート組成物B-8の製造
ポリイソシアネート組成物PV-1の代わりに、PV-7を使用した以外は比較例5-1と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物B-8を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-8は、計算NCO含有率が10.9質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
[比較例5-6]ブロックイソシアネート組成物B-9の製造
ポリイソシアネート組成物PV-1の代わりに、PV-8を使用した以外は比較例5-1と同様の方法を用いて、ブロックポリイソシアネート組成物B-9を得た。
得られたブロックイソシアネート組成物B-9は、計算NCO含有率が11.0質量%であった。次いで、上記の方法に基づき、評価を行った。結果を下記第5表に示す。
Figure 0007030833000026
第5表から、ブロックポリイソシアネート組成物B-3~B-5(実施例5-1、5-2、5-3)では、40~60℃の高温下の耐酸性及び耐ガソホール性に優れた塗膜を形成できることが確かめられた。
一方、ブロックポリイソシアネート組成物B-1~B-2及びB-6~B-9(比較例5-1~5-6)では、40~60℃の高温下の耐酸性及び耐ガソホール性共に良好な塗膜は得られなかった。
以上のことから、第5の実施形態のブロックポリイソシアネート組成物は、高温条件下での耐酸性及び耐ガソホール性が良好な塗膜を形成できることが確かめられた。
本発明の第1の実施形態において、HDI由来の臭気が抑制され、色度安定性及び粘度安定性が良好なポリイソシアネート組成物が提供される。また、当該ポリイソシアネート組成物を含み、溶剤希釈性が良好な塗料組成物が提供される。また、当該塗料組成物を含み、耐薬品性に優れた塗膜が提供される。
本発明の第2の実施形態において、低粘度であり、且つ、リコート密着性、塩水噴霧時耐久性及び耐汚染性に優れた塗膜、及び当該塗膜を形成可能とするポリイソシアネート組成物及び当該ポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物が提供される。
本発明の第3の実施形態において、HDI由来の臭気が抑制され、基材との密着性及び耐汚染性に優れた塗膜、及び当該塗膜を形成可能とするポリイソシアネート組成物及び当該ポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物が提供される。
本発明の第4の実施形態において、硬度及び耐水性に優れた硬化物、及び当該硬化物を形成可能とするポリイソシアネート組成物及び当該ポリイソシアネート組成物を含む水系塗料組成物が提供される。
本発明の第5の実施形態において、高温条件における耐酸性及び耐ガソホール性に優れた塗膜、及び当該塗膜を形成可能とするブロックポリイソシアネート組成物及び当該ブロックポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物が提供される。

Claims (20)

  1. 50℃で製造時点から1か月間貯蔵する場合に、以下の1)~3)に示す条件を満たすポリイソシアネート組成物。
    1)貯蔵前のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.001質量%以上0.05質量%以下である;
    2)貯蔵後のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.001質量%以上0.1質量%以下である;
    3)貯蔵前後のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量の差が、0.08質量%以下である。
  2. 上記ポリイソシアネート組成物の粘度が、1000mPa・s以上5000mPa・s以下である請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  3. 請求項1又は2に記載のポリイソシアネート組成物を含む塗料組成物。
  4. 請求項3に記載の塗料組成物により形成された塗膜。
  5. 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含む脂肪族ジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基を有するポリイソシアネートを含み、
    ポリイソシアネート組成物の総質量に対する、数平均分子量が700以下の成分の比率が、70質量%以上であり、且つ、
    上記条件2)において、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.01質量%以上0.1質量%以下である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  6. 請求項5に記載のポリイソシアネート組成物と、
    水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるアクリルポリオール、及び、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリエステルポリオールのうち少なくとも一つと、
    を含む塗料組成物。
  7. 請求項6に記載の塗料組成物により形成された塗膜。
  8. 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含む脂肪族ジイソシアネートから誘導された、イソシアヌレート基とビュレット基を有するポリイソシアネートを含み、
    イソシアヌレート基のモル量をA、ウレトジオン基のモル量をB、イミノオキサジアジンジオン基のモル量をC、及び、ビュレット基のモル量をDとした場合に、D/(A+B+C+D)が0.50以上である、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  9. 上記条件1)において、貯蔵前のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.02質量%超0.05質量%以下であり、且つ、
    上記条件2)において、貯蔵後のポリイソシアネート組成物中の1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート含有量が0.05質量%超0.1質量%以下である、請求項8に記載のポリイソシアネート組成物。
  10. 請求項8又は9に記載のポリイソシアネート組成物と、
    水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるアクリルポリオール、及び、水酸基価が10mgKOH/g以上200mgKOH/g以下であるポリエステルポリオールのうち少なくとも一つと、
    を含む塗料組成物。
  11. 請求項10に記載の塗料組成物により形成された塗膜。
  12. 1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートを含むジイソシアネート及び下記一般式(IV-I)で示されるポリイソシアネートを含み、50℃で製造時点から1か月間貯蔵する場合に、以下の1)~3)に示す条件を満たすポリイソシアネート組成物。
    1)貯蔵前のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートの含有量が0.002質量%以上0.1質量%以下である;
    2)貯蔵後のポリイソシアネート組成物中の上記ジイソシアネートの含有量が0.002質量%以上0.1質量%以下である;
    3)貯蔵前後のポリイソシアネート組成物中の上記ジイソシアネートの含有量の差が、0.01質量%以下である。
    Figure 0007030833000027
    上記一般式(IV-I)中、R11は、脂肪族ジイソシアネート及び脂環族イソシアネートからなる群により選ばれる1種以上のジイソシアネートから誘導されたポリイソシアネートのイソシアネート基を除く残基であり、X11は、活性水素基及び親水性基を有する化合物の活性水素基を除く残基であり、Y11は、イソシアネート基と上記活性水素基との結合構造であり、(n11+n12)は2以上10以下の整数であり、n11及びn12はいずれも0ではなく、n11/(n11+n12)×100は、1以上50以下である。
  13. 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、アニオン性化合物、カチオン性化合物及びノニオン性化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項12に記載のポリイソシアネート組成物。
  14. 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、上記アニオン性化合物であり、
    上記アニオン性化合物が、カルボン酸基を有する化合物、リン酸基を有する化合物及びスルホン酸基を有する化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項13に記載のポリイソシアネート組成物。
  15. 上記アニオン性化合物が、上記スルホン酸基を有する化合物であり、
    上記スルホン酸基を有する化合物が、水酸基を有するスルホン酸及びアミノ基を有するスルホン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項14に記載のポリイソシアネート組成物。
  16. 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、上記カチオン性化合物であり、
    上記カチオン性化合物が、アミノ基を有する化合物であり、アニオン基を有する化合物で中和されたものである請求項13に記載のポリイソシアネート組成物。
  17. 上記活性水素基及び親水性基を有する化合物が、上記ノニオン性化合物であり、
    上記ノニオン性化合物が、下記一般式(IV-II)で示されるポリアルキレングリコールエーテルである請求項13に記載のポリイソシアネート組成物。
    Figure 0007030833000028
    上記一般式(IV-II)中、R21は、炭素数1以上4以下のアルキレン基であり、R22は、炭素数1以上8以下のアルキル基であり、n21は3以上30以下の整数である。
  18. 上記ポリイソシアネートがイソシアヌレート基及びアロファネート基を有し、
    上記ポリイソシアネート組成物中のイソシアネート基及びアロファネート基の合計モル量に対するイソシアヌレート基のモル量の比率(イソシアヌレート基/(イソシアヌレート+アロファネート基))が0.80以上0.99未満である請求項12~17のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  19. 請求項12~18のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物及び水を含む塗料組成物。
  20. 請求項19に記載の塗料組成物により形成された硬化物。
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