JP6445806B2 - ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物、塗料組成物及び塗膜に関する。
1,6−ジイソシアナトヘキサン(以下、HDI;ヘキサメチレンジイソシアネートとも記載する。)を含む脂肪族ジイソシアネートから得られ、イソシアヌレート構造を含有するポリイソシアネート組成物は、耐候性、耐熱性に優れるため、幅広く使用されている。
また、近年、地球環境保護の高まりから、硬化剤として使用されるポリイソシアネートの低粘度化に向けた技術開発が盛んに行われている(例えば、特許文献1参照)。ポリイソシアネートを低粘度化することにより、塗料組成物に使用される有機溶剤の使用量を低減できるからである。一方、HDIを含む脂肪族ジイソシアネートなどから誘導された各種ポリイソシアネートの低粘度化技術の一つとして、低粘度であるウレトジオン基を有するポリイソシアネートに関する技術が挙げられる(例えば、特許文献2参照)。
さらに、黄変性の改善として、製造時に亜リン酸エステル系化合物を添加することで、黄変度の小さいポリイソシアネートが得られる技術も提案されている(例えば、特許文献3参照)。
加えて、イソシアヌレート基を含有するポリイソシアネートに、酸性リン酸化合物や酸性リン酸エステルといったリン系化合物を添加することにより、密閉容器内及び湿気接触状況での安定性を向上させる技術も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特開平05−222007号公報 特許第3055197号明細書 特開昭63−96178号公報 特開2004−175888号公報
しかし、特許文献1、2に記載のポリイソシアネートには、耐熱性に劣るウレトジオン基を有するため、貯蔵条件によっては、貯蔵後の分子量変化が起こり、かつ、塗料用硬化剤として使用し、塗装後、高温で焼付を実施した際、黄変する場合がある。
また、特許文献3、4は、それぞれ、イソシアヌレート型ポリイソシアネートの黄変防止及び安定化を目的とするものであり、ウレトジオン基を含有する低粘度ポリイソシアネート組成物に関する、貯蔵後のポリイソシアネートの分子量変化、高温焼付時の黄変性について、何ら検討がなされていない。
そこで、本発明は、イソシアヌレート基とウレトジオン基を含むポリイソシアネートにおいて、貯蔵後の分子量変化が小さく、高温焼付時に黄変性が小さいポリイソシアネートを提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意研究した結果、少なくともHDIを含む脂肪族ジイソシアネート単位から得られ、かつ、イソシアヌレート基及びウレトジオン基を有するポリイソシアネートに対して、特定のリン酸トリエステル化合物を特定量添加したポリイソシアネート組成物が上記課題を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネート単位から得られ、かつ、イソシアヌレート基及びウレトジオン基を有するポリイソシアネートと、
下記式(I)で表されるリン酸トリエステル化合物0.1〜100質量ppmと、
を含有する、ポリイソシアネート組成物。
(式中、R1、R2、R3は、同じでも異なっていてもよく、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、又はアリール基を表す。)
[2]
[1]に記載のポリイソシアネート組成物と、
水酸基価が10〜200mgKOH/gであるアクリルポリオール及び/又は水酸基価が10〜200mgKOH/gであるポリエステルポリオールと、
を含む、塗料組成物。
[3]
[2]に記載の塗料組成物を硬化させることにより得られる、塗膜。
本発明によれば、貯蔵後の分子量変化が小さく、高温焼付時に黄変性が小さいポリイソシアネート組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」はメタクリルとアクリルを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートを包含するものとする。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、少なくともHDIを含む脂肪族ジイソシアネート単位から得られ、かつ、イソシアヌレート基及びウレトジオン基を有するポリイソシアネートと、下記式(I)で表されるリン酸トリエステル化合物0.1〜100質量ppmと、を含有する。本実施形態のポリイソシアネート組成物は、上記のように構成されているため、貯蔵後の分子量変化が小さく、高温焼付時に黄変性が小さいものとなる。
(式中、R1、R2、R3は、同じでも異なっていてもよく、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20個のアルキル基、又はアリール基を表す。)
脂肪族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、炭素数4〜30のものが好ましく、例えば、HDIの他に、1,4−ジイソシアナトブタン、1,5−ジイソシアナトペンタン、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナトヘキサン、リジンジイソシアネートなどが挙げられる。中でも、工業的入手の容易さ及びポリイソシアネート製造時の反応性の観点から、本実施形態ではHDIを含む脂肪族ジイソシアネート単位から得られるポリイソシアネートを用いる。脂肪族ジイソシアネートは、単独で使用してもいいし、2種以上を併用しても構わない。
本実施形態のポリイソシアネート組成物には、脂環族ジイソシアネートを一部含んでも構わない。脂環族ジイソシアネートとしては、特に限定されないが、炭素数8〜30のものが好ましく、イソホロンジイソシアネート(以下、IPDIとも記載する)、1,3−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネートなどが例示される。中でも、耐候性、工業的入手の容易さの観点から、IPDIが好ましい。脂環族ジイソシアネートは単独で使用してもいいし、2種以上を併用しても構わない。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の構成成分の1つである、イソシアヌレート基とは、ジイソシアネートモノマー3分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(II)で示される。
本実施形態のポリイソシアネート組成物におけるイソシアヌレート3量体の濃度は特に限定されないが、55〜95質量%であることが好ましく、より好ましくは60〜95質量%である。ポリイソシアネート組成物の粘度を低減する観点から、55質量%以上であることが好ましく、ポリイソシアネート組成物の収率を高く保つ観点から、95質量%以下であることが好ましい。当該濃度は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(以下GPCとも記載する)の測定によって求めることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の構成成分の1つである、ウレトジオン基とは、ジイソシアネートモノマー2分子からなるポリイソシアネート由来の官能基であり、下記式(III)で示される。
ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は、特に限定されないが、0.01〜0.50であることが好ましい。当該モル比率の下限値は0.02であることがより好ましく、さらに好ましくは0.03であり、一層好ましくは0.05である。当該モル比率の上限値は、0.45であることがより好ましく、さらに好ましくは0.40であり、一層好ましくは、0.35である。ポリイソシアネート組成物の粘度を低減する観点から、0.01以上であることが好ましく、架橋性を向上させる観点から、0.50以下であることが好ましい。当該モル比率は、13C−NMRの測定によって求めることができる。具体的には実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物には、アロファネート基が含まれても構わない。アロファネート基とはアルコールの水酸基とイソシアネート基から形成され、下記式(IV)で示される。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に用いうるアルコールは、炭素、水素及び酸素のみで形成されるアルコールが好ましく、さらに好ましくはモノアルコールである。特に分子量200以下が好ましい。その具体的な化合物は、以下に限定されないが、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノールなどのモノアルコール、エチレングリコール、1,3−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−エチルヘキサンジオールなどのジアルコールなどがあり、2種以上を併用してもよい。
アルコールから誘導されるアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率は0.01〜0.20であることが好ましく、より好ましくは、0.01〜0.10、さらに好ましくは0.01〜0.05である。架橋性を向上させる観点から、0.20以下であることが好ましい。当該モル比率は、13C−NMRの測定によって求めることができる。具体的には実施例に記載の方法に準じ、148.6ppm付近(イソシアヌレート)、154ppm付近(アロファネート)のシグナルの積分値を用いて測定することができる。
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物には、上記以外に、ウレタン基、ウレア基、ビュレット基、カルボジイミド基等が含まれても構わない。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中のジイソシアネートモノマー濃度は、好ましくは1質量%以下であり、より好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%、一層好ましくは0.2質量%である。架橋性を向上させる観点から、1質量%以下であることが好ましい。当該濃度は、ガスクロマトグラフィーの測定によって求めることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の、25℃における粘度は特に限定されないが、100〜1500mPa・sであることが好ましい。下限値としては、150mPa・sであることがより好ましく、さらに好ましくは200mPa・sである。上限値は、1000mPa・sであることがより好ましく、さらに好ましくは、800mPa・sであり、一層好ましくは700mPa・sである。架橋性を向上させる観点から、100mPa・s以上であることが好ましく、ポリイソシアネート組成物を使用した塗料の固形分濃度を高くできる観点から、1500mPa・s以上であることが好ましい。粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いることによって測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の含有率(NCO含有率)は好ましくは、21〜25質量%である。下限値はより好ましくは22質量%であり、上限値はより好ましくは24質量%である。塗膜硬度などの塗膜物性を良好とする観点から、21質量%以上であることが好ましく、ジイソシアネートモノマー濃度を低減する観点から、25質量%以下であることが好ましい。NCO含有率は、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めることができる。なお、NCO含有率は、ポリイソシアネート組成物の固形分に対する値であり、ポリイソシアネート組成物の固形分は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量は、特に限定されないが、400〜1,000であることが好ましい。数平均分子量の下限値は、より好ましくは440であり、さらに好ましくは480である。数平均分子量の上限値は、より好ましくは800であり、さらに好ましくは700であり、一層好ましくは、600である。数平均分子量を400以上とすることで、得られるポリイソシアネート組成物の収率が一層向上する傾向にある。数平均分子量を1,000以下とすることで、得られる塗膜の光沢が一層向上する傾向にある。数平均分子量は、GPCによって求めることができる。具体的には実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態のポリイソアネート組成物は、貯蔵後の分子量変化低減、高温焼付時の黄変低減の観点から、上記式(I)で示されるリン酸トリエステル系化合物を、0.1〜100質量ppm含有する。リン酸トリエステル系化合物の含有量の下限値としては、貯蔵時の色度変化低減、粘度及び分子量の変化低減をより良好に発現させる観点から、1ppmであることがより好ましく、さらに好ましくは、3ppmであり、一層好ましくは、5ppmであり、さらに一層好ましくは、10ppmである。また、リン酸トリエステル系化合物の含有量の上限値としては、湿気安定性をより良好にする観点から、80ppmであることがより好ましく、さらに好ましくは、65ppm、一層好ましくは、50ppmであり、より一層好ましくは35ppm以下である。リン酸トリエステル系化合物の濃度は、GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)測定によって求めることができる。具体的には実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
リン酸トリエステル系化合物を以下に具体的に説明する。
式(I)におけるR1、R2、R3の具体例としては、以下に限定されないが、メチル
基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2-エチルヘキシル基、フェニル基、クレジル基、キシリル基、エチルフェニル基、イソプロピルフェニル基、ベンジル基等が例示される。R1、R2、R3の炭素数の上限値は、貯蔵後の色度変化低減、粘度、分子量の変化低減の観点から、15であることがより好ましく、さらに好ましくは10であり、一層好ましくは5であり、より一層好ましくは、3である。
リン酸エステル化合物はリン酸とアルコール化合物類又はフェノール化合物類のトリエステル化合物であれば特に限定されず、脂肪族リン酸トリエステル、脂環族リン酸トリエステル、芳香族リン酸トリエステル及び脂肪族−芳香族リン酸トリエステル等のいずれであってもよい。
脂肪族リン酸トリエステルの具体例としては、以下に限定されないが、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ(n−プロピル)、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリ(n−ブチル)、リン酸トリイソブチル、リン酸トリ(n−ペンチル)、リン酸トリ(n−ヘキシル)、リン酸トリ(2−エチルヘキシル)等が例示される。その中でも、貯蔵後の色度変化低減、粘度、分子量の変化低減の観点から、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ(n−プロピル)、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリ(n−ブチル)、リン酸トリイソブチル、リン酸トリ(n−ペンチル)から選ばれる1種であることが好ましく、より好ましくは、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ(n−プロピル)、リン酸トリイソプロピル、リン酸トリ(n−ブチル)、リン酸トリイソブチルから選ばれる1種であり、さらに好ましくは、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸トリ(n−プロピル)、リン酸トリイソプロピルから選ばれる1種である。
脂環族リン酸トリエステルの具体例としては、以下に限定されないが、リン酸トリシクロヘキシル等が挙げられる。
芳香族リン酸トリエステルの具体例としては、以下に限定されないが、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリキシリル、リン酸クレジル(ジフェニル)、リン酸トリ(イソプロピルフェニル)等が挙げられる。
脂肪族−芳香族リン酸トリエステルの具体例としては、以下に限定されないが、リン酸メチル(ジフェニル)、リン酸ジメチル(フェニル)、リン酸エチル(ジフェニル)、リン酸ジエチル(フェニル)等が挙げられる。
これらの中でも脂肪族リン酸トリエステル、脂肪族−芳香族リン酸トリエステルが好ましく、より好ましくは脂肪族リン酸トリエステルである。
以下、本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法の一例を説明する。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の原料は、少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いる。さらに、本実施形態のポリイソシアネート組成物はイソシアネート基から誘導されるイソシアヌレート基を形成するイソシアヌレート化反応、ウレトジオン基を形成するウレトジオン化反応を、過剰のジイソシアネートモノマー存在下で行い、反応終了後、未反応のジイソシアネートモノマーを除去して得ることができる。
さらに、副原料として、アルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール化合物等も併用することができる。ここで、アルコール化合物を用いる場合には、ポリイソシアネート組成物におけるアロファネート基/イソシアヌレート基のモル比率が0.01〜0.20の範囲となるように用いることが好ましい。
原料の1,6−ジイソシアナトヘキサンや上記した副原料に、重合触媒を添加し、所定の重合度に到達するまで反応を進行させた後、必要に応じて未反応の1,6−ジイソシアナトヘキサンを除去することによってポリイソシアネート組成物を得ることができる。
ジイソシアネートモノマーからイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを誘導する場合は通常、イソシアヌレート化反応触媒を用いる。具体的なイソシアヌレート化反応触媒としては、例えば一般に塩基性を有するものが好ましい。具体的な例を以下に示す。
1)テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、カプリン酸等との有機弱酸塩、
2)トリメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、カプリン酸等との有機弱酸塩
3)酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸の、例えば、錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等との金属塩
4)ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート
5)ヘキサメチルジシラザン等のアミノシリル基含有化合物
6)マンニッヒ塩基類
7)第3級アミン類とエポキシ化合物との併用
等が挙げられる。触媒効率の観点から上記1)、2)及び3)が好ましい。より好ましくは、1)の有機弱酸塩である。
これらの触媒を、仕込んだジイソシアネート質量に対して10〜1000ppm、より好ましくは10〜500ppm、さらに好ましくは10〜100ppmの量で使用し、イソシアヌレート化反応温度を50〜120℃で行うことが好ましい。温度の下限値としては、60℃であることがより好ましい。また、温度の上限値としては、100℃であることがより好ましく、さらに好ましくは90℃であり、一層好ましくは80℃である。イソシアヌレート化反応温度が120℃以下であることが、着色などの特性変化が防止できる観点から好ましい。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に存在するウレトジオン基はウレトジオン化反応触媒を用いて得られる。ウレトジオン化反応触媒の具体的な化合物の例としては、以下に限定されないが、第3ホスフィンである、トリ−n−ブチルホスフィン、トリ−n−オクチルホスフィンなどのトリアルキルホスフィン、トリス−(ジメチルアミノ)ホスフィンなどのトリス(ジアルキルアミノ)ホスフィン、シクロヘキシル−ジ−n−ヘキシルホスフィンなどのシクロアルキルホスフィンなどが挙げられる。これらの化合物の多くは、同時にイソシアヌレート化反応も促進し、ウレトジオン基含有ポリイソシアネートに加えてイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを生成する。所望の収率となった時点で、リン酸、パラトルエンスルホン酸メチルなどのウレトジオン化反応触媒の失活剤を添加してウレトジオン化反応を停止する。
また、前記のような触媒を用いることなく、ジイソシアネートのモノマーを加熱することでウレトジオン基を得ることもできる。その加熱温度は120℃から180℃であり、下限値としては130℃がより好ましく、さらに好ましくは140℃であり、一層好ましくは145℃である。また、上限値は、175℃であることがより好ましく、さらに好ましくは170℃であり、一層好ましくは165℃である。また、加熱時間は0.2Hrから8Hrであることが好ましい。下限値としては、0.4Hrであることがより好ましく、さらに好ましくは0.7Hrであり、一層好ましくは1.0Hrである。上限値としては、6Hrであることがより好ましく、さらに好ましくは、4Hrであり、一層好ましくは、2Hrである。0.2Hr以上とすることで、より低粘度化を図ることができる傾向にあり、8Hr以下とすることで、ポリイソシアネート自体の着色をより抑制することができる傾向にある。
ウレトジオン化反応触媒を使用せずに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を得る場合、加熱のみによるウレトジオン化反応と前述したイソシアヌレート化反応が終了した後、未反応ジイソシアネートモノマーを除去することが、未反応ジイソシアネートモノマー濃度の低減、及び得られたポリイソシアネート組成物の貯蔵後の分子量変化率の低減効果、高温焼付時の黄変性の低減効果がより一層得られる観点から好ましい。
前述した、イソシアヌレート化反応、ウレトジオン化反応はそれぞれを逐次行うこともできるし、そのいくつかを並行して行うこともできる。また、アロファネート化反応を伴う場合には、好ましくは、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応を並行して先行させ、その後、ウレトジオン化反応を行う。より好ましくは、イソシアヌレート化反応とアロファネート化反応は共通した触媒を用いて同時に行い、その後熱によるウレトジオン化反応を行う場合、製造工程を簡略化できるため、さらに好ましいといえる。
重合反応が所望の重合度に達した時点で、重合反応を停止させる。重合反応の停止は、以下に限定されないが、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで、重合反応触媒を中和、あるいは熱分解、化学分解等により不活性化させることで達成できる。反応停止後、必要があれば、濾過を行う。
反応停止直後の反応液は、通常、未反応のHDIモノマーを含むため、これを薄膜蒸発缶、抽出等で除去することが好ましい。このような後処理を行うことで、ポリイソシアネート組成物に含有されるHDIモノマー濃度を1質量%以下に制御することが好ましい。HDIモノマー濃度の上限値は、より好ましくは0.7質量%以下であり、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、一層好ましくは0.3質量%以下であり、より一層好ましくは0.2質量%以下である。HDIモノマー濃度を上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート組成物の毒性を一層低減でき、安全性がより向上する傾向にある。
本実施形態のポリイソシアネート組成物に必須成分であるリン酸トリエステル化合物は、ジイソシアネートとポリオール化合物の反応前に添加してもよいし、反応終了後の反応液に添加してもよい。また、HDIモノマーを除去したポリイソシアネートに添加しても構わない。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることもできる。すなわち、本実施形態の塗料組成物は、本実施形態のポリイソシアネート組成物を含有する。本実施形態の塗料組成物の樹脂成分としては、特に限定されないが、イソシアネート基との反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有することが好ましい。活性水素を分子内に2個以上有する化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリオールが好ましい。ポリオールの具体例としては、以下に限定されないが、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素ポリオール等が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物を用いた塗料組成物は、溶剤ベース、水系ベースどちらにも使用可能である。
溶剤ベースの塗料組成物とした場合には、例えば、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂、あるいはその溶剤希釈物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加えたものに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整した後、手攪拌、あるいはマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの塗料組成物を得ることができる。
水系ベースの塗料組成物とした場合には、例えば、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂の水分散体、又は水溶物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加えたものに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶剤を更に添加した後、攪拌機器により強制攪拌することによって、水系ベースの塗料組成物を得ることができる。
ポリエステルポリオールは、以下に限定されないが、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等の二塩基酸等の単独又は混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等の多価アルコールの単独又は混合物とを、縮合反応させることによって得ることができる。例えば、上記の成分を混合し、そして約160〜220℃で加熱することによって、縮合反応を行うことができる。さらに、例えば、ε−カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。これらのポリエステルポリオールは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られるポリイソシアネートを用いて変性させることができる。この場合、特に脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られるポリイソシアネートが、耐候性及び耐黄変性等の観点から好ましい。水系ベース塗料として用いる場合には、二塩基酸等の一部のカルボン酸を残存させておき、アミン、アンモニア等の塩基で中和することで、水溶性、あるいは水分散性の樹脂とすることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等を使用して、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等)の単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物にランダム又はブロック付加して、得られるポリエーテルポリオール類;ポリアミン化合物(エチレンジアミン類等)にアルキレンオキシドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類;及びこれらポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が挙げられる。
上記多価ヒドロキシ化合物としては、以下に限定されないが、(i)例えば、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等、(ii)例えば、エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物、(iii)例えば、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、(iv)例えば、トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類、(v)例えば、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類、(vi)例えば、スタキオース等の四糖類、等が挙げられる。
アクリルポリオールは、以下に限定されないが、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
アクリルポリオールは、以下に限定されないが、例えば、活性水素を有するアクリル酸エステル類(アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等)、又は活性水素を有するメタクリル酸エステル類(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等)、グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエーテルポリオール類(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸との付加物;上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類(ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等)を開環重合させることにより得られる付加物からなる群より選ばれる1種以上を必須成分として、必用に応じて(メタ)アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等)、不飽和アミド類(アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等)、又は加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類(ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等)、その他の重合性モノマー(スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等)からなる群より選ばれる1種以上を、常法により共重合させて得ることができる。
例えば、上記の単量体成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶剤等で希釈することによって、アクリルポリオールを得ることができる。水系ベースアクリルポリオールを得る場合には、オレフィン性不飽和化合物を溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合などの公知の方法で製造することができる。その場合、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分をアミンやアンモニアで中和することによって水溶性、あるいは水分散性を付与することができる。
ポリオレフィンポリオールとしては、以下に限定されないが、例えば、水酸基を2個以上有するポリブタジエン、水素添加ポリブタジエン、ポリイソプレン、水素添加ポリイソプレンなどが挙げられる。
フッ素ポリオールとは、分子内にフッ素を含むポリオールであり、以下に限定されないが、例えばフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
上記ポリオールの水酸基価は、特に限定されないが、10〜200mgKOH/gであることが好ましい。その中でも、下限値は20mgKOH/gであることがより好ましく、さらに好ましくは、30mgKOH/gである。ポリオールの酸価は、0〜30mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価及び酸価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
上記の中でも、ポリオールとしては、耐候性、耐薬品性、及び硬度の観点から、アクリルポリオールが好ましく、機械強度、及び耐油性の観点から、ポリエステルポリオールが好ましい。すなわち、本実施形態の塗料組成物は、本実施形態のポリイソシアネート組成物と、水酸基価が10〜200mgKOH/gであるアクリルポリオール及び/又は水酸基価が10〜200mgKOH/gであるポリエステルポリオールと、を含むことが好ましい。
上記した活性水素を分子内に2個以上有する化合物の水酸基に対する、本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH比)は、好ましくは0.2〜5.0であり、より好ましくは0.4〜3.0であり、さらに好ましくは0.5〜2.0である。当該当量比が0.2以上であると、一層強靱な塗膜が得られる傾向にある。当該当量比が5.0以下であると、塗膜の平滑性が一層向上する傾向にある。
塗料組成物には、必要に応じて完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を添加することができる。
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物、本実施形態のポリイソシアネート組成物及び本実施形態の塗料組成物は、いずれも、有機溶剤と混合して使用できる。有機溶剤としては、特に限定されないが、水酸基及びイソシアネート基と反応する官能基を有していないことが好ましく、ポリイソシアネート組成物と十分に相溶することが好ましい。このような有機溶剤としては、以下に限定されないが、例えば、一般に塗料溶剤として用いられているエステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系の化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系の化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤等が挙げられる。
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物、本実施形態のポリイソシアネート組成物及び本実施形態の塗料組成物は、いずれも、その目的や用途に応じて、本実施形態の所望の効果を損なわない範囲で、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
硬化促進用の触媒の例としては、以下に限定されないが、例えば、ジブチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩、等の金属塩;トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、等の3級アミン類等が挙げられる。
本実施形態の塗料組成物は、以下に限定されないが、例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として用いることができる。例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料としても有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としてもまた有用である。さらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
本実施形態の塗膜は、本実施形態の塗料組成物を硬化させることにより得られる。このように構成されているため、本実施形態の塗膜は、常に、安定した品質を発現し、かつ、高温焼付時においても黄変性が小さい塗膜である。
本実施形態の塗膜の膜厚は特に限定されないが、5〜200μmであることが好ましい。下限値としては、10μmであることがより好ましく、さらに好ましくは25μmであり、一層好ましくは、30μmである。上限値としては、150μmであることがより好ましく、さらに好ましくは100μmであり、一層好ましくは75μmである。
また、本実施形態の塗膜は、基材に対し、単層膜であってもいいし、2層以上の層の複層塗膜であっても構わない。
以下、本実施形態を実施例及び比較例に基づいてさらに詳しく説明するが、本実施形態は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<粘度>
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下のとおりとした。
100rpm (128mPa・s未満の場合)
50rpm (128mPa・s〜256mPa・sの場合)
20rpm (256mPa・s〜640mPa・sの場合)
10rpm (640mPa・s〜1280mPa・sの場合)
5rpm (1280mPa・s〜2560mPa・sの場合)
なお、後述する各実施例及び各比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分を以下に記載の方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま各種の測定に供した。
<不揮発分>
不揮発分は、ポリイソシアネート組成物を105℃、3時間加熱した場合の残存量から求めた。
不揮発分(質量%)=(105℃、3時間加熱後のポリイソシアネート組成物の質量)/(加熱前のポリイソシアネート組成物の質量)×100
<NCO含有率>
NCO含有率(質量%)は、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。なお、後述する実施例及び比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分を上述した方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定に供した。
<数平均分子量>
測定試料の数平均分子量は、GPCによって測定した。GPCの測定方法は以下のとおりとした。
使用機器:HLC−8120(東ソー社製)、
使用カラム:TSK GEL SuperH1000、TSK GEL SuperH2000、TSK GEL SuperH3000(何れも東ソー社製)、
試料濃度:5wt/vol%(試料50mgを1mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた)、
キャリア:THF、
検出方法:視差屈折計、
流出量0.6mL/分、カラム温度30℃)。
検量線の作成には、分子量1000〜20000のポリスチレンと、1,6−ジイソシアナトヘキサンのイソシアヌレート体(3量体、5量体、7量体)を用いた。なお、後述する各実施例及び各比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分を上述した方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定に供した。そうでなかったものは、薄膜蒸発缶を用いて不揮発分の濃度を98質量%以上にして測定に供することとした。
<HDIモノマー質量濃度の測定>
最初にまず、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ試料を約1g精秤するした。次に、ニトロベンゼン(内部標準液)を0.03〜0.04g加え精秤するした。最後にさらに、酢酸エチルを約9mL加えた後、蓋をしっかりして良よく混合し、サンプルを調整した。上記調整液を以下の条件で、ガスクロマトグラフィー分析し、定量した。
装置:SHIMADZU(株)GC−8A
カラム:信和化工(株)Silicone OV−17
カラムオーブン温度;120℃
インジェクション/ディテクター温度;160℃
<ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率>
Bruker社製Biospin Avance600(商品名)を用いた、13C−NMRの測定により、ウレトジオン基とイソシアヌレート基のモル比率(Ud/Nuのモル比率)を求めた。具体的な測定条件は以下のとおりとした。
13C−NMR装置:AVANCE600(ブルカー社製)
クライオプローブ(ブルカー社製)
Cryo Probe
CPDUL
600S3−C/H−D−05Z
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
以下のシグナルの積分値を、測定している炭素の数で除し、その値から各モル比を求めた。
イソシアヌレート基:148.6ppm付近:積分値÷3
ウレトジオン基:157.5ppm付近:積分値÷2
<ポリイソシアネート組成物中のリン酸トリエステル化合物の定性、定量方法>
まず、20mLサンプル瓶をデジタル天秤に乗せ試料を約2g精秤した。次に、クロロホルム約8gを加えた後、蓋をしっかりしてよく混合し、サンプルを調整した。上記調整液を以下の条件で、GC/MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)測定により、リン酸トリエステル化合物の定性を行った。リン酸トリエステル化合物の定量については、各リン酸トリエステル化合物のGC感度をリン酸トリエチルと同じとみなし、定量した。本分析の検出限界は0.05ppmであった。
リン酸ジエステル化合物、リン酸モノエステル化合物、リン酸系化合物のように、リン原子上に水酸基を有する化合物は、水酸基をトリメチルシリル化処理した後に、リン酸トリエステル化合物と同様の方法で、定性、定量を実施した。
GC装置:Agilent Technologies 6890
注入口温度:320℃
注入量:1μL
注入法:スプリット法(スプリット比 10:1)
カラム:DB−1(長さ30m、内径0.25mm、液相厚 0.25μm)
カラム温度:40℃(5分保持)→20℃/分昇温→320℃(11分保持)
MS装置:Agilent Technologies 5973MSD
イオン源温度:230℃
インターフェイス温度:300℃
イオン化法:電子イオン化法(EI)
測定法:SCAN法
<貯蔵後分子量安定性>
得られたポリイソシアネート組成物をサンプル瓶に添加し、50℃下、30日間貯蔵した。上述した方法に基づき、貯蔵前後の数平均分子量を測定することで貯蔵後分子量安定性を評価した。数平均分子量の貯蔵前後での変化量が、75以上の場合を×、50以上75未満の場合を△、30以上50未満の場合を○、30未満の場合を◎と評価した。
<焼付時の耐塗膜黄変性評価>
溶剤系の2液型ウレタン塗料(ポリオール:アクリルポリオール系ウレタン;商品名「マイティラック(白)」、日本ペイント社製)を、厚さ50μmとなるようにアルミ板にスプレー塗装した。その後、23℃、50%湿度の条件下で2週間静置した後、1000番のサンドペーパーで表面を研磨し、白板を作製した。
次に、以下の合成例1で得られたアクリルポリオールAc−1と各実施例、比較例で得られたポリイソシアネート組成物を、アクリルポリオールのOH基に対するポリイソシアネート組成物のNCO基のモル比(NCO/OH)が1.0となる割合で混合し、「ソルベッソ#100」(商品名、エクソン社製の芳香族系溶剤)を用いて、固形分55質量%となるように調整して、塗料組成物を調製した。スプレーを用いて、上記で作成した白板に、乾燥膜厚で40μmとなるように塗料組成物を塗装した。これを160℃、30分間の条件で焼き付けた後、色度系「SM−T45」(スガ試験機社製)を用いて、ASTM D1925に準拠してイエローインデックス(YI)を測定した。焼付後塗膜のYIが2.0未満の場合を○、2.0以上〜3.0未満の場合を△、3.0以上の場合を×として焼付時黄変性を評価した。
(合成例1;アクリルポリオールAc−1の合成)
攪拌器、温度計及び冷却管を備えた四つ口フラスコに、「ソルベッソ#150」(エクソン化学社製の芳香族系溶剤)120.0gとキシレン60.0gを仕込み、内部を窒素置換した後、120℃に昇温させた。その後、以下に示した(メタ)アクリル系モノマー(メチルメタクリレート128.8g、n−ブチルアクリレート84.8g、シクロヘキサンメタクリレート80.0g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート74.4g、スチレン32.0g)とベンゾイルパーオキサイド8.0gを2時間かけて滴下し、攪拌反応させた。滴下終了後、さらに120℃で4時間反応を続け、アクリルポリオールAc−1を得た。
得られたアクリルポリオールAc−1は、不揮発分70質量%、水酸基価80mgKOH/g、ガラス転移温度(Tg)40℃、数平均分子量1700であった。なお、水酸基価はJIS K1557に準拠し、樹脂分に対して仕込み比から計算した値とした。また、ガラス転移温度は、JIS K7121に準じて測定した。
(実施例1)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管及び滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール11gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2Hr保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が45.5質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1質量%以下であった。反応液を更に160℃、1Hr保持した。この加熱によりウレトジオン基含有ポリイソシアネートが生成した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度260mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、HDIモノマー濃度0.13質量%のポリイソシアネートp−1を得た。また、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は0.42であった。
その後、得られたポリイソシアネートp−1 1,000gに対し、リン酸トリイソプロピルを15mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−1を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−1は、粘度260mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量510、リン酸トリイソプロピルの含有量は15ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例2)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2Hr保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が45.2質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1質量%以下であった。反応液を更に160℃、1Hr保持した。この加熱によりウレトジオン基含有ポリイソシアネートが生成した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度400mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、HDIモノマー濃度0.11質量%のポリイソシアネートp−2を得た。また、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は0.32であった。
その後、得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸トリメチルを20mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−2を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−2は、粘度400mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量540、リン酸トリメチルの含有量は20ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸トリエチルを20mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−3を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−3は、粘度400mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量540、リン酸トリエチルの含有量は20ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸トリエチルを2mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−4を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−4は、粘度400mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量540、リン酸トリエチルの含有量は2ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例5)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸トリエチルを50mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−5を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−5は、粘度390mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量540、リン酸トリエチルの含有量は50ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例6)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸トリエチルを90mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−6を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−6は、粘度380mPa.S(25℃)、NCO含有率23.1質量%、数平均分子量540、HDIモノマー質量濃度0.22%、リン酸トリエチルの含有量は90ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例7)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸トリフェニルを25mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−7を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−7は、粘度380mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量540、リン酸トリフェニルの含有量は25ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例8)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2Hr保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が44.6質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1質量%以下であった。
反応液を更に140℃、1Hr保持した。この加熱によりウレトジオン基含有ポリイソシアネートが生成した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度480mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、HDIモノマー濃度0.10質量%のポリイソシアネートp−3を得た。また、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は0.07であった。
得られたポリイソシアネートp−3 1,000gに対し、リン酸トリエチルを50mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物P−8を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−8は、粘度480mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量580、リン酸トリエチルの含有量は50ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表1に示す。
(実施例9)
撹拌機、温度計、還流冷却管、窒素吹き込み管、滴下ロートを取り付けた4ツ口フラスコ内を窒素雰囲気にし、HDI 6,000g、イソブタノール7.0g、リン酸トリエチル6.0gを仕込み、撹拌下反応器内温度を80℃、2Hr保持した。その後、イソシアヌレート化触媒トリメチル−2−メチル−2−ヒドロキシエチルアンモニウムヒドロキシドをイソブタノールで5質量%に希釈した溶液5.0gを加え、イソシアヌレート化反応を行い、反応液のNCO含有率が44.6質量%になった時点でリン酸を添加し反応を停止した。この反応で増加したウレトジオン2量体濃度は1%質量以下であった。
反応液を更に160℃、1Hr保持した。この加熱によりウレトジオン基含有ポリイソシアネートが生成した。薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度390mPa・s(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量530、HDIモノマー濃度0.12質量%、リン酸トリエチルの含有量は12ppmであるポリイソシアネート組成物P−9を得た。また、ウレトジオン基/イソシアヌレート基のモル比率は0.32であった。結果を表2に示す。
(比較例1)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2をそのまま使用し、ポリイソシアネート組成物C−1とした。リン酸トリエステル化合物の含有量は検出されなかった。(検出下限0.05ppm)また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
(比較例2)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸トリエチルを150mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物C−2を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−2は、粘度380mPa.S(25℃)、NCO含有率23.1質量%、数平均分子量540、リン酸トリエチルの含有量は150ppmであった。また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
(比較例3)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、リン酸ジブチルを15mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物C−3を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−3は、粘度390mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量540、リン酸トリエステル化合物は検出されなかった。(検出下限0.05ppm)また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
(比較例4)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、ポリリン酸(キシダ化学社製)を25mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物C−4を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−4は、粘度410mPa.S(25℃)、NCO含有率23.1質量%、数平均分子量540、リン酸トリエステル化合物は検出されなかった。(検出下限0.05ppm)また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
(比較例5)
実施例2で得られたポリイソシアネートp−2 1,000gに対し、亜リン酸トリブチルを20mg添加し、窒素雰囲気下、50℃で1時間攪拌し、ポリイソシアネート組成物C−5を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−5は、粘度400mPa.S(25℃)、NCO含有率23.2質量%、数平均分子量540、リン酸トリエステル化合物は検出されなかった。(検出下限0.05ppm)また、貯蔵後分子量安定性、高温焼付時黄変性の評価を実施した。得られた結果を表2に示す。
以上より、各実施例のポリイソシアネート組成物は、貯蔵後の分子量変化が小さく、焼付時に黄変性が小さいことが確認された。
本発明のポリイソシアネート組成物を硬化剤として用いた塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として利用することができる。さらには、鋼板、表面処理鋼板等の金属、及びプラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材へのプライマーや上中塗り塗料として用いることができる。さらには、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に耐熱性、美粧性(表面平滑性、鮮鋭性)等を付与する塗料としても有用である。またさらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。更には、水系塗料の硬化剤に用いた場合、VOC成分を減らすことも可能となるため、水系のプラスチック用塗料、水系の自動車塗料の原料等としても幅広い分野において利用できる。

Claims (3)

  1. 1,6−ジイソシアナトヘキサンを含む脂肪族ジイソシアネート単位から得られ、かつ、イソシアヌレート基及びウレトジオン基を有するポリイソシアネートと、
    下記式(I)で表されるリン酸トリエステル化合物2〜90質量ppmと、
    を含有する、ポリイソシアネート組成物。
    (式中、R1、R2、R3は、同じでも異なっていてもよく、直鎖状、分岐状若しくは環状の炭素数1〜20のアルキル基、又はアリール基を表す。)
  2. 請求項1に記載のポリイソシアネート組成物と、
    水酸基価が10〜200mgKOH/gであるアクリルポリオール及び/又は水酸基価が10〜200mgKOH/gであるポリエステルポリオールと、
    を含む、塗料組成物。
  3. 請求項2に記載の塗料組成物を硬化させることにより得られる、塗膜。
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