JP6297398B2 - ポリイソシアネート組成物及び塗料組成物 - Google Patents

ポリイソシアネート組成物及び塗料組成物 Download PDF

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Description

本発明は、ポリイソシアネート組成物及び塗料組成物に関する。
従来、1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI;ヘキサメチレンジイソシアネートともいう。)から得られ、イソシアヌレート構造を有するポリイソシアネート組成物は、塗料等の材料として用いられている(例えば、特許文献1〜3)。
特公昭45−027982号公報 特開昭55−038380号公報 特開昭57−150677号公報
しかし、特許文献1〜3等に記載されている従来のポリイソシアネート組成物では、密着性、鮮鋭性、表面平滑性、光沢、及び耐候性の全てに優れる塗膜を作製することは困難であり、改善の余地が十分にある。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、密着性、鮮鋭性、表面平滑性、光沢、及び耐候性が優れた塗膜を作製できるポリイソシアネート組成物を提供することを目的とする。
本発明者が、鋭意研究した結果、少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて得られ、イソシアヌレート構造を有し、かつ、特定の重量保持率を有するポリイソシアネート組成物を用いることで、上記課題を達成できることを発見し、本発明を成すに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて得られるポリイソシアネート組成物であり、
イソシアヌレート構造を有し、かつ、
示差熱熱重量同時測定装置を用いた、210℃、5時間加熱後の重量保持率が、90.0〜99.0%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率が、80.0〜88.0%である、ポリイソシアネート組成物。
〔2〕
イミノオキサジアジンジオン構造を更に有する、〔1〕に記載のポリイソシアネート組成物。
〔3〕
13C−NMRにより測定された、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、6.0/100〜25/100である、〔2〕に記載のポリイソシアネート組成物。
〔4〕
ウレトジオン構造をさらに有し、13C−NMRにより測定されたウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜5.0/100である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
〔5〕
アロファネート構造をさらに有し、13C−NMRにより測定された、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜4.0/100である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
〔6〕
(a)アクリルポリオール又はポリエステルポリオールを含有し、水酸基価が50〜250mgKOH/gであり、ガラス転移点(Tg)が0〜80℃であり、数平均分子量が500〜10000である、ポリオール組成物と、
(b)〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物と、
を含有し、
前記(a)成分中の水酸基に対する、前記(b)成分中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、0.6〜1.5である、塗料組成物。
本発明によれば、密着性、鮮鋭性、表面平滑性、光沢、及び耐候性が優れた塗膜を作製できるポリイソシアネート組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。なお、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」はメタクリルとアクリルを包含し、「(メタ)アクリレート」はメタクリレートとアクリレートを包含するものとする。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて得られるポリイソシアネート組成物であり、イソシアヌレート構造を有し、かつ、示差熱熱重量同時測定装置を用いた、210℃、5時間加熱後の重量保持率が、90.0〜99.0%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率が、80.0〜88.0%である、ポリイソシアネート組成物である。かかるポリイソシアネート組成物を用いることで、密着性、鮮鋭性、表面平滑性、光沢、及び耐候性に優れた塗膜を作製することができる。
少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いてポリイソシアネート組成物を作製することで、それから得られる塗膜を、粘度が低く、柔軟かつ強靱な塗膜とすることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、イソシアヌレート構造を含有している。イソシアヌレート構造を含有することで、耐熱性に優れたポリイソシアネート組成物を得ることができる。イソシアヌレート構造は式(1)で表される構造である。
Figure 0006297398
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、示差熱熱重量同時測定装置を用いた、210℃、5時間加熱後の重量保持率が90.0〜99.0%である。この重量保持率の下限値は、好ましくは92.0%以上であり、より好ましくは94.0%以上である。この重量保持率の上限値は、好ましくは97.0%以下であり、より好ましくは96.0%以下である。この重量保持率が上記下限値以上であると、塗膜の光沢及び耐候性が十分なものとなり、上記上限値以下であると、塗膜の表面平滑性が良好なものとなる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、示差熱熱重量同時測定装置を用いた、240℃、5時間加熱後の重量保持率が80.0〜88.0%である。この重量保持率の下限値は、好ましくは82.0%以上であり、より好ましくは83.0%以上である。この重量保持率の上限値は、好ましくは86.0%以下であり、より好ましくは85.0%以下である。この重量保持率が上記下限値以上であると、塗膜の光沢及び耐候性が十分なものとなり、上記上限値以下であると、基材に対する塗膜の密着性が良好なものとなる。
上述した210℃、5時間加熱後の重量保持率と240℃、5時間加熱後の重量保持率は、後述する実施例に記載の方法に準じて求めることができる。この210℃、5時間加熱後の重量保持率と、240℃、5時間加熱後の重量保持率は、例えば、ポリイソシアネート組成物の構造をコントロールすることによって制御できる。例えば、本実施形態のポリイソシアネート組成物はイソシアヌレート構造を含有するが、イソシアヌレート構造以外に、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造等を適宜含有させ、これらの含有率を制御することによって、上述した210℃、5時間加熱後の重量保持率や240℃、5時間加熱後の重量保持率を制御することもできる。さらには、イソシアヌレート構造、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造以外にも、ウレタン構造、ビウレット構造、ウレア構造、ウレトンイミン構造、カルボジイミド構造等も適宜に更に含有させ、これらの含有率も制御することで、上述した210℃、5時間加熱後の重量保持率や240℃、5時間加熱後の重量保持率を一層効率よく制御することもできる(但し、本実施形態の作用はこれに限定されない。)。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、粘度調整等の観点から、イミノオキサジアジンジオン構造を更に有することが好ましい。イミノオキサジアジンジオン構造を有することで、ポリイソシアネート組成物の粘度を低く抑えられる。これにより、ポリオールとの相溶性が向上し、その結果、塗膜とした際の鮮鋭性、表面平滑性、及び光沢が優れたものとなる。さらに、各種基材との密着性も優れたものとなる。イミノオキサジアジンジオン構造は式(2)で表される構造である。
Figure 0006297398
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、粘度調整の観点から、ウレトジオン構造を更に含有することが好ましい。ウレトジオン構造を有することで、塗膜とした際に鮮鋭性と表面平滑性に優れた塗膜を得ることができる。ウレトジオン構造は式(3)で表される構造である。
Figure 0006297398
また、本実施形態のポリイソシアネート組成物は、粘度調整の観点から、アロファネート構造を有することが好ましい。アロファネート構造を有することで、塗膜とした際の鮮鋭性、表面平滑性を一層向上させることができる。アロファネート構造は式(4)で表される構造である。
Figure 0006297398
本実施形態のポリイソシアネート組成物における各構造比率に関しては、特に限定されないが、例えば、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は6.0/100〜25/100であることが好ましい。また、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は0.1/100〜5.0/100であることが好ましい。さらに、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は0.1/100〜4.0/100であることが好ましい。また、(ウレトジオン構造+アロファネート構造)/イソシアヌレート構造のモル比は0.2/100〜8.0/100であること等が好ましい。
そして、これらの組み合わせとしては、例えば、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が6.0/100〜25/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が0.1/100〜5.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が0.1/100〜4.0/100であることが好ましい。
上述したように、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、6.0/100〜25/100であることが好ましい。イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比の下限値は、より好ましくは7.0/100以上であり、更に好ましくは8.5/100以上であり、より更に好ましくは10/100以上である。イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比の上限値は、より好ましくは20/100以下であり、更に好ましくは17/100以下であり、より更に好ましくは15/100以下である。イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が上記下限値以上であると、ポリオールとの相溶性が向上し、その結果、塗膜とした際の鮮鋭性、表面平滑性、及び光沢が優れたものとなる。さらに、各種基材との密着性も優れたものとなる。イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が上記上限値以下であると、塗膜の光沢、耐候性、及び耐熱性が優れたものとなる。
上述したように、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.1/100〜5.0/100であることが好ましい。ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比の下限値は、より好ましくは0.2/100以上であり、更に好ましくは0.5/100以上である。ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比の上限値は、より好ましくは3.0/100以下であり、更に好ましくは2.0/100以下である。ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が上記下限値以上であると、ポリイソシアネート組成物の高粘度化を抑制でき、塗膜とした際の鮮鋭性や平滑性が一層優れたものとなる。ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が上記上限値以下であると、ポリイソシアネート組成物の耐熱性、及び耐候性が一層優れたものとなる。
上述したように、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.1/100〜4.0/100であることが好ましい。アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比の下限値は、より好ましくは0.2/100以上であり、更に好ましくは0.5/100以上である。アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比の上限値は、より好ましくは3.0/100以下であり、更に好ましくは2.0/100以下である。アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が上記下限値以上であると、ポリイソシアネート組成物の粘度を一層低減することができ、鮮鋭性、及び平滑性を一層向上させることができる。アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が上記上限値以下であると、ポリイソシアネート組成物の耐熱性、及び耐候性を一層向上させることができる。
(ウレトジオン構造+アロファネート構造)/イソシアヌレート構造のモル比は、0.2/100〜8.0/100であることが好ましい。(ウレトジオン構造+アロファネート構造)/イソシアヌレート構造のモル比の下限値は、より好ましくは0.3/100以上であり、更に好ましくは0.6/100以上である。(ウレトジオン構造+アロファネート構造)/イソシアヌレート構造のモル比の上限値は、より好ましくは6.0/100以下であり、更に好ましくは4.0/100以下である。(ウレトジオン構造+アロファネート構造)/イソシアヌレート構造のモル比が上記下限値以上であると、ポリイソシアネート組成物の粘度を低減でき、鮮鋭性、及び平滑性を一層向上させることができる。(ウレトジオン構造+アロファネート構造)/イソシアヌレート構造のモル比が上記上限値以下であると、ポリイソシアネート組成物の耐熱性、及び耐候性が一層優れたものとなる。
ポリイソシアネート組成物が上記したイソシアヌレート構造、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレトジオン構造やアロファネート構造等を含有することは、13C−NMR測定によって確認することができる。具体的には実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の1,6−ジイソシアナトヘキサン(HDI)モノマーの質量濃度(HDIモノマー濃度)は、好ましく1質量%以下であり、より好ましくは0.7質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下である。HDIモノマー濃度を上記上限値以下とすることで、取り扱い時の危険性を一層低減でき、かつ、塗料組成物としたときの硬化性を一層向上させることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の含有率(NCO含有率)は、不揮発分98質量%以上の条件で、好ましくは19.0〜24.0質量%である。NCO含有率の下限値は、より好ましくは20.0質量%以上であり、更に好ましくは21.0質量%以上である。NCO含有率の上限値は、より好ましくは23.0質量%以下であり、更に好ましくは22.5質量%以下である。NCO含有率が上記下限値以上であると、ポリイソシアネート組成物の架橋性を一層向上させることができる。NCO含有率が上記上限値以下であると、ポリイソシアネート組成物のHDIモノマー濃度を低下でき、危険性を一層低減することができる。なお、NCO含有率は、ポリイソシアネート組成物のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めることができる。不揮発分は、ポリイソシアネート組成物を105℃、3時間加熱した場合の残存量から求めることができる。

不揮発分(質量%)=(105℃、3時間加熱後のポリイソシアネート組成物の質量)/(加熱前のポリイソシアネート組成物の質量)×100
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の25℃における粘度は、不揮発分98質量%以上の条件で、好ましくは1000mPa・s〜4000mPa・sである。粘度の下限値は、より好ましくは1500mPa・s以上であり、更に好ましくは2000mPa.s以上である。粘度の上限値は、より好ましくは3500mPa・s以下であり、更に好ましくは3000mPa・s以下である。ポリイソシアネート組成物の粘度を上記下限値以上とすることで、ポリイソシアネート組成物の収率が一層向上する。ポリイソシアネート組成物の粘度を上記上限値以下とすることで、得られる塗膜の光沢が一層向上する。粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて測定することができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物中の固形分の数平均分子量は、不揮発分98質量%以上の条件で、550〜800である。数平均分子量の下限値は、より好ましくは600以上であり、更に好ましくは630以上である。数平均分子量の上限値は、より好ましくは750以下であり、更に好ましくは700以下である。数平均分子量を550以上とすることで、得られるポリイソシアネート組成物の収率が一層向上する。数平均分子量が800以下であると、得られる塗膜の光沢が一層向上する。数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって求めることができる。具体的には実施例に記載の方法に準じて測定することができる。
以下、本実施形態のポリイソシアネート組成物の製造方法の一例を説明する。
本実施形態のポリイソシアネート組成物の原料は、少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いる。さらに、副原料として、アルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール化合物等も併用することができるが、アルコール化合物を用いる場合には、ポリイソシアネート組成物におけるアロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が0.1/100〜4.0/100の範囲となる量にすることが好ましい。
原料の1,6−ジイソシアナトヘキサンや上記した副原料に、重合触媒を添加し、所定の重合度に到達するまで反応を進行させた後、必要に応じて未反応の1,6−ジイソシアナトヘキサンを除去することによってポリイソシアネート組成物を得ることができる。
重合触媒の具体例としては、以下のA成分とB成分を、A成分/B成分の質量比として、5/100〜100/5の割合で含む混合物等が好ましい。
A成分:以下の(1)〜(5)のいずれか1種の成分。
(1)例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、酪酸、デカン酸等の有機弱酸塩、
(2)例えば、テトラメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、酪酸、デカン酸等の有機弱酸塩、
(3)酢酸、カプリン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸塩の、例えば、錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等との金属塩、
(4)例えば、ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、
(5)例えば、ヘキサメチルジジラサン等のアミノシリル基含有化合物。
(B)成分:以下の(6)〜(7)のいずれか1種の成分。
(6)テトラメチルアンモニウムフルオリド水和物、テトラエチルアンモニウムフルオリド等の、一般式M[Fn]、あるいは一般式M[Fn(HF)m]で表される(ポリ)フッ化水素(式中、m及びnは、m/n>0の関係を満たす整数であり、Mはn荷電カチオン(混合物)又は合計でn価の1個以上のラジカルを表す。)
(7)3,3,3−トリフルオロカルボン酸;4,4,4,3,3−ペンタフルオロブタン酸;5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンタン酸;3,3−ジフルオロプロパ−2−エン酸等の一般式R1−CR’2−C(O)O−、又は、一般式R2=CR’−C(O)O−(式中、R1は、必要に応じて分岐状、環状、及び/又は不飽和の炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基であり、R2は、必要に応じて分岐状、環状、及び/又は不飽和の炭素数1〜30のパーフルオロアルキレン基であり、R’は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及びアリール基からなる群から選択され、必要に応じてヘテロ原子を含有する。)と、第4級アンモニウムカチオン、又は第4級ホスホニウムカチオンからなる化合物。
上記した(A)成分の中では、触媒効率の観点から上記(1)及び(2)が好ましい。上記した(B)成分の中では、入手容易性の観点から上記(6)が好ましく、安全性の観点から(7)が好ましい。
1,6−ジイソシアナトヘキサンに対する重合触媒の使用量は、特に限定されないが、好ましくは5〜5000ppmである。重合触媒の使用量の下限値は、反応性の観点から、より好ましくは10ppm以上であり、更に好ましくは20ppm以上である。重合触媒の使用量の上限値は、生成物の着色・変色の抑制や反応制御の観点から、より好ましくは2000ppm以下であり、更に好ましくは500ppm以下である。
重合反応温度は、特に限定されないが、好ましくは40〜150℃である。重合反応温度の下限値は、反応速度の観点から、より好ましくは50℃以上であり、更に好ましくは60℃以上である。重合反応温度の上限値は、生成物の着色及び変色の抑制の観点から、より好ましくは120℃以下であり、更に好ましくは110℃以下である。
重合反応が所望の重合度に達した時点で、重合反応を停止させる。重合反応の停止は、例えば、リン酸、酸性リン酸エステル、硫酸、塩酸、スルホン酸化合物等の酸性化合物を反応液に添加することで、重合反応触媒を中和、あるいは熱分解、化学分解等により不活性化させることで達成できる。反応停止後、必要があれば、濾過を行う。
反応停止直後の反応液は、通常、未反応のHDIモノマーを含むため、これを薄膜蒸発缶、抽出等で除去することが好ましい。このような後処理を行うことで、ポリイソシアネート組成物に含有されるHDIモノマー濃度を1質量%以下に制御することが好ましい。HDIモノマー濃度の上限値は、より好ましくは0.7質量%以下であり、更に好ましくは0.5質量%以下であり、より更に好ましくは0.3質量%以下であり、一層好ましくは0.1質量%以下である。HDIモノマー濃度を上記上限値以下とすることで、ポリイソシアネート組成物の毒性を一層低減でき、安全性を向上させることができる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物は、塗料組成物の硬化剤等として好適に用いることもできる。すなわち、本実施形態のポリイソシアネート組成物を含有する塗料組成物とすることができる。その塗料組成物の樹脂成分としては、イソシアネート基との反応性を有する活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有することが好ましい。活性水素を分子内に2個以上有する化合物として、例えば、ポリオール、ポリアミン、ポリチオール等が挙げられる。これらの中でも、ポリオールが好ましい。ポリオールの具体例としては、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、アクリルポリオール、ポリオレフィンポリオール、フッ素含有ポリオール等が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物を用いた塗料組成物は、溶剤ベース、水系ベースのどちらにも使用可能である。
溶剤ベースの塗料組成物とした場合には、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂、あるいはその溶剤希釈物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加えたものに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、更に溶剤を添加して、粘度を調整した後、手攪拌、又はマゼラー等の攪拌機器を用いて攪拌することによって、溶剤ベースの塗料組成物を得ることができる。
水系ベースの塗料組成物とした場合には、活性水素を分子内に2個以上有する化合物を含有する樹脂の水分散体、又は水溶物に、必要に応じて他の樹脂、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の添加剤を加えたものに、本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として添加し、必要に応じて、水や溶剤を更に添加した後、攪拌機器により強制攪拌することによって、水系ベースの塗料組成物を得ることができる。
ポリエステルポリオールは、例えば、コハク酸、アジピン酸、ダイマー酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸等のカルボン酸等の二塩基酸等の単独又は混合物と;エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチルペンタンジオール、シクロヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、2−メチロールプロパンジオール、エトキシ化トリメチロールプロパン等の多価アルコールの単独又は混合物と;を縮合反応させることによって得ることができる。例えば、上記の成分を一緒にし、そして約160〜220℃で加熱することによって、縮合反応を行うことができる。更に、例えば、ε−カプロラクトン等のラクトン類を、多価アルコールを用いて開環重合して得られるようなポリカプロラクトン類等もポリエステルポリオールとして用いることができる。これらのポリエステルポリオールは、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られるポリイソシアネートを用いて変性させることができる。この場合、特に脂肪族ジイソシアネート、脂環族ジイソシアネート、及びこれらから得られるポリイソシアネートが、耐候性及び耐黄変性等の観点から好ましい。水系ベース塗料として用いる場合には、一部残した二塩基酸等の一部のカルボン酸を残存させておき、アミン、アンモニア等の塩基で中和することで、水溶性、あるいは水分散性の樹脂とすることができる。
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、多価ヒドロキシ化合物の単独又は混合物に、例えば、水酸化物(リチウム、ナトリウム、カリウム等)、強塩基性触媒(アルコラート、アルキルアミン等)、複合金属シアン化合物錯体(金属ポルフィリン、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛錯体等)等を使用して、アルキレンオキシド(エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、シクロヘキセンオキシド、スチレンオキシド等)の単独又は混合物を、多価ヒドロキシ化合物にランダム又はブロック付加して、得られるポリエーテルポリオール類;ポリアミン化合物(エチレンジアミン類等)にアルキレンオキシドを反応させて得られるポリエーテルポリオール類;及びこれらポリエーテルポリオール類を媒体としてアクリルアミド等を重合して得られる、いわゆるポリマーポリオール類等が挙げられる。
上記多価ヒドロキシ化合物としては、(i)例えば、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等、(ii)例えば、エリトリトール、D−トレイトール、L−アラビニトール、リビトール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、ガラクチトール、ラムニトール等の糖アルコール系化合物、(iii)例えば、アラビノース、リボース、キシロース、グルコース、マンノース、ガラクトース、フルクトース、ソルボース、ラムノース、フコース、リボデソース等の単糖類、(iv)例えば、トレハロース、ショ糖、マルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、メリビオース等の二糖類、(v)例えば、ラフィノース、ゲンチアノース、メレチトース等の三糖類、(vi)例えば、スタキオース等の四糖類、等が挙げられる。
アクリルポリオールは、例えば、一分子中に1個以上の活性水素を有する重合性モノマーと、当該重合性モノマーと共重合可能な他のモノマーとを、共重合させることによって得ることができる。
アクリルポリオールは、例えば、活性水素を有するアクリル酸エステル類(アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−2−ヒドロキシブチル等)、又は活性水素を有するメタクリル酸エステル類(メタクリル酸−2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−2−ヒドロキシブチル、メタクリル酸−3−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−4−ヒドロキシブチル等)、グリセリンやトリメチロールプロパン等のトリオールの(メタ)アクリル酸モノエステル等の多価活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類;ポリエーテルポリオール類(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール等)と上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類とのモノエーテル;グリシジル(メタ)アクリレートと酢酸、プロピオン酸、p−tert−ブチル安息香酸等の一塩基酸との付加物;上記の活性水素を有する(メタ)アクリル酸エステル類の活性水素にラクトン類(ε−カプロラクタム、γ−バレロラクトン等)を開環重合させることにより得られる付加物からなる群より選ばれる1種以上と、必用に応じて(メタ)アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−ヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸グリシジル等)、不飽和カルボン酸類(アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸等)、不飽和アミド類(アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド等)、又は加水分解性シリル基を有するビニルモノマー類(ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロプロピルトリメトキシシラン等)、その他の重合性モノマー(スチレン、ビニルトルエン、酢酸ビニル、アクリルニトリル、フマル酸ジブチル等)からなる群より選ばれる1種以上を、常法により共重合させて得ることができる。
例えば、上記の単量体成分を、公知の過酸化物やアゾ化合物等のラジカル重合開始剤の存在下で溶液重合し、必要に応じて有機溶剤等で希釈することによって、アクリルポリオールを得ることができる。水系ベースアクリルポリオールを得る場合には、オレフィン性不飽和化合物を溶液重合し、水層に転換する方法や乳化重合等の公知の方法で製造することができる。その場合、アクリル酸、メタアクリル酸等のカルボン酸含有モノマーやスルホン酸含有モノマー等の酸性部分をアミンやアンモニアで中和することによって水溶性、あるいは水分散性を付与することができる。
フッ素含有ポリオールとは、分子内にフッ素を含むポリオールであり、例えば、特開昭57−341075号公報、特開昭61−215311号公報等で開示されているフルオロオレフィン、シクロビニルエーテル、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、モノカルボン酸ビニルエステル等の共重合体等が挙げられる。
上記ポリオールの水酸基価は、特に限定されないが、通常、30〜200mgKOH/gであり、酸価は0〜30mgKOH/gである。水酸基価は、JIS K1557に準拠して測定することができる。
上記の中でも、ポリオールとしては、耐候性、耐薬品性、及び硬度の観点から、アクリルポリオールが好ましく、機械強度、及び耐油性の観点から、ポリエステルポリオールが好ましい。
上記した活性水素を分子内に2個以上有する化合物の水酸基に対する、本実施形態のポリイソシアネート組成物のイソシアネート基の当量比(NCO/OH比)は、好ましくは0.2〜5.0であり、より好ましくは0.4〜3.0であり、更に好ましくは0.5〜2.0である。当該当量比が0.2以上であると、一層強靱な塗膜を得ることが可能となる。当該当量比が5.0以下であると、塗膜の平滑性を一層向上させることができる。
塗料組成物には、必要に応じて完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を添加することができる。
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物、本実施形態のポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、有機溶剤と混合して使用できる。有機溶剤としては、水酸基又はイソシアネート基と反応する官能基を有していない方が好ましい。また、ポリイソシアネート組成物と相溶する方が好ましい。このような有機溶剤としては、一般に塗料溶剤として用いられているエステル化合物、エーテル化合物、ケトン化合物、芳香族化合物、エチレングリコールジアルキルエーテル系化合物、ポリエチレングリコールジカルボキシレート系化合物、炭化水素系溶剤、芳香族系溶剤等が挙げられる。
この中で、好適な塗料組成物としては、
(a)アクリルポリオール又はポリエステルポリオールを含有し、水酸基価が50〜250mgKOH/gであり、ガラス転移点(Tg)が0〜80℃であり、数平均分子量が500〜10000である、ポリオール組成物と、
(b)本実施形態のポリイソシアネート組成物と、
を含有し、
(a)成分中の水酸基に対する、(b)成分中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、0.6〜1.5である、塗料組成物が挙げられる。
本実施形態では、例えば、(b)成分は、いわゆる硬化剤組成物として用いることができる。
(a)成分は、アクリルポリオール又はポリエステルポリオールを含有するポリオール組成物であり、いわゆる主剤として用いることもできる。
ポリオール組成物に含有されるポリオールとしては、耐候性、耐薬品性、及び硬度の観点からは、アクリルポリオールが好ましく、機械強度、耐油性、及び顔料分散性の観点からは、ポリエステルポリオールが好ましい。特に自動車補修用塗料のトップコートとして用いる場合には、耐候性、耐薬品性、硬度等が重視されるため、アクリルポリオールが好ましい。一方、中塗り、ベース、プラサフとして用いる場合には、機械強度、顔料分散性等が重視されるため、ポリエステルポリオールが好ましい。
本実施形態で用いるポリオール組成物では、上記のアクリルポリオール又はポリエステルポリオールを、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。さらには、アクリルポリオールやポリエステルポリオールに、他の樹脂等を更に混合したものであってもよい。
併用可能な他の樹脂としては、例えば、ポリエーテルポリオール、フッ素含有ポリオール、脂肪族炭化水素ポリオール、ケイ素含有系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、エポキシ樹脂、アルキドポリオール類等が挙げられる。
ポリオール組成物には、上記のアクリルポリオールやポリエステルポリオールを、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート又はこれらから得られるポリイソシアネートで変性した、ウレタン変性アクリルポリオールやウレタン変性ポリエステルポリオール等を用いることができる。
本実施形態の塗料組成物で用いるポリオール組成物の数平均分子量は、好ましくは500〜10000である。数平均分子量の下限値は、より好ましくは800以上であり、更に好ましくは1200以上である。数平均分子量の上限値は、より好ましくは6000以下であり、更に好ましくは4000以下である。数平均分子量が上記下限値以上であると、塗膜とした際の架橋密度が十分に高くなる。数平均分子量が上記上限値以下であると、塗料組成物の粘度を十分低く抑えることができる。数平均分子量は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定できる。
ポリオール組成物の水酸基価は、好ましくは50〜250mgKOH/gである。水酸基価の下限値は、より好ましくは60mgKOH/g以上であり、更に好ましくは70mgKOH/g以上である。水酸基価の上限値は、より好ましくは200mgKOH/g以下であり、更に好ましくは150mgKOH/g以下である。水酸基価が上記下限値以上であると、塗膜とした際の耐溶剤性が十分である。水酸基価が上記上限値以下であると、塗膜の平滑性が良好となる。水酸基価は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定できる。
ポリオール組成物のガラス転移点(Tg)は、好ましくは0℃〜80℃である。ガラス転移点(Tg)の下限値は、より好ましくは10℃以上であり、更に好ましくは20℃以上である。ガラス転移点(Tg)の上限値は、より好ましくは60℃以下であり、更に好ましくは50℃以下である。ガラス転移点(Tg)が上記下限値以上であると、塗膜の硬度が十分である。ガラス転移点(Tg)が上記上限値以下であると、塗膜の強靱性が十分である。ガラス転移点(Tg)は、後述する実施例に記載の方法に準じて測定できる。
本実施形態において、(a)成分の水酸基価は、好ましくは50〜250mgKOH/gであり、より好ましくは60〜200mgKOH/gである。(a)成分の数平均分子量は、好ましくは500〜10000であり、より好ましくは800〜6000である。さらに、(a)成分として、より好適なものとしては、アクリルポリオールを含有し、水酸基価が60〜200mgKOH/gであり、かつ、数平均分子量が800〜6000である、ポリオール組成物である。これらの条件を合わせ持つことによって、アクリルポリオールの粘度を抑えながら、強靱な塗膜を形成することも十分に期待できる。このようなポリオール成分を用いた塗料組成物も低粘度であるため、塗料としての使用時に必要溶剤量が少なくてすむ。そのため、塗料中の固形分(不揮発分)量が高比率である、所謂ハイソリッド塗料等として使用することも十分に期待できる。また、例えば、溶剤の使用量を濃度基準で数%程度でも低減できるのならば、特に工業的規模での使用において大きな意義がある。
上記活性水素を分子内に2個以上有する化合物、ポリオール組成物、本実施形態のポリイソシアネート組成物及び塗料組成物は、いずれも、目的及び用途に応じて、本実施形態の効果を損なわない範囲で、触媒、顔料、レベリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤、界面活性剤等の当該技術分野で使用されている各種添加剤を混合して使用することもできる。
硬化促進用の触媒の具体例としては、ジブチルスズジラウレート、2−エチルヘキサン酸スズ、2−エチルヘキサン酸亜鉛、コバルト塩、等の金属塩;トリエチルアミン、ピリジン、メチルピリジン、ベンジルジメチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N−メチルピペリジン、ペンタメチルジエチレントリアミン、N,N’−エンドエチレンピペラジン、N,N’−ジメチルピペラジン、等の3級アミン類等が挙げられる。
本実施形態のポリイソシアネート組成物を硬化剤として用いた塗料組成物は、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として用いることができる。例えば、金属(鋼板、表面処理鋼板等)、プラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材に対するプライマーや上中塗り塗料として有用である。また、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に美粧性、耐候性、耐酸性、防錆性、耐チッピング性等を付与するための塗料としても有用である。またさらに、接着剤、粘着剤、エラストマー、フォーム、表面処理剤等のウレタン原料としても有用である。
以下、本発明を実施例及び比較例に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明は、以下の実施例により何ら限定されるものではない。
<210℃、5時間加熱後の重量保持率>
示差熱熱重量同時測定装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、測定試料10mgをアルミニウム製のサンプル容器にいれた。ブランク容器もアルミニウム製の容器を用いた。窒素を100mL/分の条件で流しながら、設定温度を220℃にすると、実際の温度は210℃に加熱された。この条件で5時間保持した後の重量保持率を測定した。なお、この重量保持率は以下の式の基づき求めた。

重量保持率(%)=(加熱後の測定試料の質量/加熱前の測定試料の質量)×100
<240℃、5時間加熱後の重量保持率>
示差熱熱重量同時測定装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、測定試料10mgをアルミニウム製のサンプル容器にいれた。ブランク容器もアルミニウム製の容器を用いた。窒素を100mL/分の条件で流しながら、設定温度を250℃にすると、実際の温度は240℃に加熱された。この条件で5時間保持した後の重量保持率を測定した。なお、この重量保持率は以下の式に基づき求めた。

重量保持率(%)=(加熱後の測定試料の質量/加熱前の測定試料の質量)×100
<粘度>
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下の通り。
100rpm (128mPa・s未満の場合)
50rpm (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20rpm (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10rpm (640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5rpm (1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)

なお、後述する各実施例・比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分の割合を以下に記載の方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま用いて粘度を測定した。また、98質量%未満であったものは、薄膜蒸発缶等の精製装置を用いて、不揮発分を98質量%以上にした上で、粘度を測定することとした。
<不揮発分>
不揮発分の割合は、ポリイソシアネート組成物を105℃、3時間加熱した場合の残存量から求めた。

不揮発分(質量%)=(105℃、3時間加熱後のポリイソシアネート組成物の質量/加熱前のポリイソシアネート組成物の質量)×100
<NCO含有率(NCO%)>
NCO含有率(質量%)は、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。なお、後述する各実施例・比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分を上述した方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定した。また、98質量%未満であったものは、薄膜蒸発缶等の精製装置を用いて、不揮発分を98質量%以上にした上で、NCO含有率を測定することとした。
<数平均分子量>
測定試料の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPCの測定方法は以下の通りであった。
使用機器:HLC−8120(東ソー社製)、
使用カラム:TSK GEL SuperH1000、TSK GEL SuperH2000、TSK GEL SuperH3000(何れも東ソー社製)、
試料濃度:5wt/vol%(試料50mgを1mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた)、
キャリア:THF、
検出方法:示差屈折計、
流出量0.6mL/分、カラム温度30℃)。
検量線の作成には、分子量1000〜20000のポリスチレンと、1,6−ジイソシアナトヘキサンのイソシアヌレート体(3量体、5量体、7量体)を用いた。
なお、後述する各実施例及び各比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分を上述した方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定した。また、98質量%未満であったものは、薄膜蒸発缶等の精製装置を用いて、不揮発分を98質量%以上にした上で、数平均分子量を測定することとした。
<イソシアヌレート構造とイミノオキサジアジンジオン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造のモル比率>
イソシアヌレート構造、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造に関するモル比率は、測定試料の13C−NMR測定を行うことによって求めた。具体的な測定条件は以下の通りであった。
13C−NMR装置:AVANCE600(ブルカー社製)
クライオプローブ(ブルカー社製)
Cryo Probe
CPDUL
600S3−C/H−D−05Z
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
以下のシグナルの積分値を、測定している炭素の数で除し、その値から各モル比を求めた。
イソシアヌレート構造:149ppm付近 積分値÷3
イミノオキサジアジンジオン構造:145ppm付近 積分値÷1
ウレトジオン構造:157.5ppm付近:積分値÷2
アロファネート構造:154ppm付近:積分値÷1
<白板の作製>
溶剤系の2液型ウレタン塗料(商品名「マイティーラック(白)」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚50μmとなるようにアルミニウム板(150mm×75mm×1mm、型番:A1050P(JIS H4000)、テストピース社製)にスプレー塗装した。その後、23℃、50%湿度下で2週間静置した後、1000番のサンドペーパーで表面を研磨し、白板を作製した。
<耐候性>
デューパネルウェザーメーター(DPW)
使用機器:「FDP/DPWL−5W」(スガ試験機社製)
光源:紫外線蛍光灯:「SUGA−FS40」(波長313nm)
条件:照射(4hr)
ブラックパネル温度 60℃
湿度 設定なし
放射照度 30W/m2
:暗黒+湿潤(4hr)
ブラックパネル温度 40℃
湿度 100%
放射照度 設定なし

光沢保持率(%)=測定時の光沢/初期光沢×100
(合成例1;触媒の合成)
窒素置換した500mLナス型フラスコに、室温でテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(10質量%メタノール溶液)(東京化成社製)200g(0.116mol)をいれ、滴下ロートでデカン酸(東京化成社製)12.1gを滴下(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド/デカン酸=1/1.1(モル比))して、室温で30分間攪拌した。その後、10Torr、50℃で30分間の条件でメタノールを留去した。これに32gのn−ブタノールを添加し、テトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液を作製した。また、このテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液10gにn−ブタノール40gを加えて、テトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液を作製した。またさらに、このテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液10gに、n−ブタノール15gを加えて、テトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール4質量%溶液を作製した。
(実施例1)
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製、CAS番号665−46−3)のn−ブタノール10質量%溶液1.5g(0.77mmol)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液0.5g(0.20mmol相当)を添加し、反応液中のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.3質量%、粘度2700mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量656のポリイソシアネート組成物P−1を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−1の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/14/1.0/2.8であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、14/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、1.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.8/100であった。ポリイソシアネート組成物P−1の210℃、5時間加熱後の重量保持率は93.7%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は82.6%であった。
(実施例2)
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール50質量%溶液0.20g(0.51mmol)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液0.10g(0.20mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.60g(2.9mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.4質量%、粘度2700mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量660のポリイソシアネート組成物P−2を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−2の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/11/0.9/0.2であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、11/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.9/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.2/100であった。ポリイソシアネート組成物P−2の210℃、5時間加熱後の重量保持率は95.2%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は85.0%であった。
(実施例3)
HDI 1000gを60℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール50質量%溶液0.30g(0.77mmol相当)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液(触媒濃度50質量%)0.15g(0.31mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.2質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.90g(4.3mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.4質量%、粘度2800mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量664のポリイソシアネート組成物P−3を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−3の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/7.0/0.4/0.7であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、7.0/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.4/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.7/100であった。ポリイソシアネート組成物P−3の210℃、5時間加熱後の重量保持率は96.0%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は87.8%であった。
(比較例1)
HDI 1000gを80℃に加熱した。合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液を、n−ブタノールで更に希釈してn−ブタノール4.0質量%溶液とした。これを2.0g(0.32mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度2700mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量655のポリイソシアネート組成物C−1を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−1の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/3.0/1.0/2.8であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、3.0/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、1.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.8/100であった。ポリイソシアネート組成物C−1の210℃、5時間加熱後の重量保持率は96.8%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は88.7%であった。
(比較例2)
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール10質量%溶液1.9g(1.0mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.2質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.3質量%、粘度2500mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量660のポリイソシアネート組成物C−2を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−2の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/30/1.0/2.7であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、30/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、1.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.7/100であった。ポリイソシアネート組成物C−2の210℃、5時間加熱後の重量保持率は88.7%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は64.2%であった。
(比較例3)
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール10質量%溶液1.5g(0.77mmol)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液0.5g(0.20mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。その後、160℃で1時間加熱した。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.1質量%、粘度2600mPa・s(23℃)、NCO含有率22.2質量%、数平均分子量653のポリイソシアネート組成物C−3を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−3の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/14/9.0/2.6であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、14/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、9.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.6/100であった。ポリイソシアネート組成物C−3の210℃、5時間加熱後の重量保持率は84.9%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は74.1%であった。
(合成例2;アクリルポリオールの合成)
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、「ソルベッソ#150」(エクソン化学社製の芳香族系溶剤)120.0g、キシレン60.0gを仕込み、内部を窒素置換した後、120℃に昇温した。その後、以下に述べる(メタ)アクリル系モノマーとベンゾイルパーオキサイド8.0gを2時間かけて滴下し、攪拌反応させた。滴下終了後、さらに120℃で4時間反応を続け、アクリルポリオールAc−1を得た。
原料に用いた(メタ)アクリル系モノマー
メチルメタクリレート:128.8g
n−ブチルアクリレート:84.8g
シクロヘキサンメタクリレート:80.0g
2−ヒドロキシエチルメタクリレート:74.4g
スチレン:32.0g
得られたアクリルポリオールAc−1は、不揮発分70質量%、水酸基価80mgKOH/g(樹脂分に対して、仕込み比からの計算値、JIS K1557)、ガラス転移温度(Tg)40℃、数平均分子量1700であった。
<実施例4>
合成例1で作製したアクリルポリオールAc−1をポリオール組成物とした。そして、このポリオール組成物と実施例1で作製したポリイソシアネート組成物P−1とを硬化剤組成物とし、これから塗料組成物を作製した。具体的には、アクリルポリオールAc−1(40.0g)と、ポリイソシアネート組成物P−1(7.6g)に、「ソルベッソ#100」(エクソン社製の芳香族系溶剤)(17.1g)を加えて、固形分を55質量%にした。これを、110mLのサンプル瓶(商品名「TSスクリュー管」、マルエム社製)に入れて、震盪機で30分間混合した後、20分静置して塗料組成物とした。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物P−1のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
<実施例5>
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物P−2を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物P−2のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
<実施例6>
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物P−3を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物P−3のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
<比較例4>
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物C−1を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物C−1のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
<比較例5>
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物C−2を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物C−2のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
<比較例6>
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物C−3を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物C−3のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
1.塗膜の耐熱性試験
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーでポリプロピレン板(150mm×150mm、テストピース社製)に乾燥膜厚50μmとなるように塗装した。これを60℃、30分の条件で焼き付けた後、更に23℃、湿度50%の条件で1週間静置して、ポリプロピレン板上に塗膜を形成させた。得られた塗膜を5mm角に切り出して、サンプルとした。示差熱熱重量同時測定装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、5mm角に切り出した塗膜10mgをアルミニウム製のサンプル容器にいれた。ブランク容器もアルミニウム製の容器を用いた。窒素を100mL/分の条件で流しながら、設定温度を220℃にすると、実際の温度は210℃に加熱された。この条件で5時間保持した後の重量保持率を測定した。なお、重量保持率は以下の式で求めた。

重量保持率=(加熱後のサンプル重量/加熱前のサンプル重量)×100(%)
2.塗膜の密着性評価
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いてアルミニウム板(150mm×75mm×1mm、型番:A1050P(JIS H4000)、テストピース社製)に塗料組成物を塗布した。塗布したアルミニウム板を180℃、30分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度55%の条件で1日静置して、アルミニウム板上に塗膜を形成させた。
得られた塗膜について、碁盤目試験を行い、密着性について評価した。碁盤目試験は、旧JIS K5400に準拠して行った。すなわち、NTカッターを用いて、塗膜を1mm×1mmの100マスにカットし、碁盤目部分にセロハンテープを強く圧着させた。そして、セロハンテープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、アルミニウム板上に残った碁盤目(塗膜)の数で密着性を評価した。アルミニウム板上に残った数が多い程、塗膜の密着性が良いと判断した。
3.塗膜の外観(鮮鋭性と表面平滑性)評価
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いて、ABS板(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂;黒色、150mm×75mm)に、乾燥膜厚50μmとなるように塗料組成物を塗布した。これを60℃、30分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度50%の条件で1週間静置して、ABS板上に塗膜を形成させた。
塗膜の外観(鮮鋭性と表面平滑性)は、ABS板の長辺方向に沿ってデジタル・オシロスコープ「Wave Scan DOI」(BYK Gardner社製)を使用して、測定した。「Wave Scan DOI」は、フィルム表面に対する垂線から60°傾いた角度で、レーザーの点光源からレーザー光線を照射し、検出器が前記垂線に対して反対の同角度の反射光を受光する配置である。この装置は、レーザーの点光源をフィルム表面の上を移動させてスキャンすることで、反射光の明暗を決められた間隔で一点ずつ測定し、フィルム表面の光学的プロファイルを検出できる。検出された光学プロファイルは、周波数フィルターを通してスペクトル解析して、表面のストラクチャーを解析することができる。その中で、塗膜のWb域(波長0.3〜1.0mm)、Wc域(波長1.0〜3.0mm)の値を使用し、評価した。測定値は、3回の測定値の算術平均値とした。Wb、Wcともに塗膜の外観に関する指標であり、Wbは塗膜の鮮鋭性の指標であり、Wcは塗膜の表面平滑性の指標であり、いずれも数値が小さい程、優れていると判断した。
4.塗膜の光沢評価
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いて、上述した白板に、乾燥膜厚50μmとなるように塗料組成物を塗布した。塗布した白板を200℃、10分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度50%の条件で2週間静置した。得られた塗膜の20°光沢を、JIS Z8741に準拠して測定した。
5.耐候性試験
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いて、上述した白板に、乾燥膜厚50μmとなるように塗料組成物を塗布した。塗布した白板を200℃、10分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度50%の条件で2週間静置した。その後、「デューパネルウェザーメーター(DPW)」(スガ試験機社製)を用いて、促進耐候性試験を行った。促進耐候性試験を1750時間行った後、下記式に基づき光沢保持率を測定した。光沢度は、JIS Z8741に準拠して測定した。光沢保持率が高い程、塗膜の耐候性が優れていると判断した。

光沢保持率(%)=(促進耐候性試験後の光沢度)÷(促進耐候性試験前の光沢度)×100
Figure 0006297398
以上より、実施例4〜6の塗料組成物は、密着性、鮮鋭性、表面平滑性、光沢、及び耐候性のいずれもが優れていることが確認された。
本発明のポリイソシアネート組成物は、塗料組成物等として幅広い分野において利用できる。例えば、ロール塗装、カーテンフロー塗装、スプレー塗装、ベル塗装、静電塗装等の塗料として利用することができる。また、鋼板、表面処理鋼板等の金属、及びプラスチック、木材、フィルム、無機材料等の素材へのプライマーや上中塗り塗料として用いることができる。またさらに、防錆鋼板を含むプレコートメタル、自動車塗装等に耐熱性、美粧性(表面平滑性、鮮鋭性、光沢等)等を付与する塗料としても有用である。特に塗膜とした場合に、表面平滑性、密着性が優れているため、自動車塗装用塗料、工業用塗料(PCM、コイル塗料等)に特に有用である。その中でも、本発明の塗料組成物は、表面平滑性、鮮鋭性が良好で、且つ耐熱性、耐候性に優れた塗膜を得ることができる。このため、特に、自動車補修用塗料として用いる場合は、高級車から大衆車まで幅広い車種に対して使用できる。

Claims (6)

  1. 少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて得られるポリイソシアネート組成物であり、
    イソシアヌレート構造を有し、かつ、
    示差熱熱重量同時測定装置を用いた、210℃、5時間加熱後の重量保持率が、90.0〜99.0%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率が、80.0〜88.0%である、ポリイソシアネート組成物。
  2. イミノオキサジアジンジオン構造を更に有する、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
  3. 13C−NMRにより測定された、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、6.0/100〜25/100である、請求項2に記載のポリイソシアネート組成物。
  4. ウレトジオン構造をさらに有し、13C−NMRにより測定されたウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜5.0/100である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  5. アロファネート構造をさらに有し、13C−NMRにより測定された、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜4.0/100である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
  6. (a)アクリルポリオール又はポリエステルポリオールを含有し、水酸基価が50〜250mgKOH/gであり、ガラス転移点(Tg)が0〜80℃であり、数平均分子量が500〜10000である、ポリオール組成物と、
    (b)請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物と、
    を含有し、
    前記(a)成分中の水酸基に対する、前記(b)成分中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、0.6〜1.5である、塗料組成物。
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