JP6297398B2 - ポリイソシアネート組成物及び塗料組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、本発明は以下のとおりである。
〔1〕
少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて得られるポリイソシアネート組成物であり、
イソシアヌレート構造を有し、かつ、
示差熱熱重量同時測定装置を用いた、210℃、5時間加熱後の重量保持率が、90.0〜99.0%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率が、80.0〜88.0%である、ポリイソシアネート組成物。
〔2〕
イミノオキサジアジンジオン構造を更に有する、〔1〕に記載のポリイソシアネート組成物。
〔3〕
13C−NMRにより測定された、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、6.0/100〜25/100である、〔2〕に記載のポリイソシアネート組成物。
〔4〕
ウレトジオン構造をさらに有し、13C−NMRにより測定されたウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜5.0/100である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
〔5〕
アロファネート構造をさらに有し、13C−NMRにより測定された、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜4.0/100である、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
〔6〕
(a)アクリルポリオール又はポリエステルポリオールを含有し、水酸基価が50〜250mgKOH/gであり、ガラス転移点(Tg)が0〜80℃であり、数平均分子量が500〜10000である、ポリオール組成物と、
(b)〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物と、
を含有し、
前記(a)成分中の水酸基に対する、前記(b)成分中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、0.6〜1.5である、塗料組成物。
不揮発分(質量%)=(105℃、3時間加熱後のポリイソシアネート組成物の質量)/(加熱前のポリイソシアネート組成物の質量)×100
本実施形態のポリイソシアネート組成物の原料は、少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いる。さらに、副原料として、アルキルモノアルコール、アルキルジオール等のアルコール化合物等も併用することができるが、アルコール化合物を用いる場合には、ポリイソシアネート組成物におけるアロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が0.1/100〜4.0/100の範囲となる量にすることが好ましい。
(1)例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等のテトラアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、酪酸、デカン酸等の有機弱酸塩、
(2)例えば、テトラメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリメチルヒドロキシエチルアンモニウム、トリエチルヒドロキシプロピルアンモニウム、トリエチルヒドロキシエチルアンモニウム等のヒドロキシアルキルアンモニウムのヒドロオキシドや、例えば、酢酸、酪酸、デカン酸等の有機弱酸塩、
(3)酢酸、カプリン酸、オクチル酸、ミリスチン酸等のアルキルカルボン酸塩の、例えば、錫、亜鉛、鉛、ナトリウム、カリウム等との金属塩、
(4)例えば、ナトリウム、カリウム等の金属アルコラート、
(5)例えば、ヘキサメチルジジラサン等のアミノシリル基含有化合物。
(6)テトラメチルアンモニウムフルオリド水和物、テトラエチルアンモニウムフルオリド等の、一般式M[Fn]、あるいは一般式M[Fn(HF)m]で表される(ポリ)フッ化水素(式中、m及びnは、m/n>0の関係を満たす整数であり、Mはn荷電カチオン(混合物)又は合計でn価の1個以上のラジカルを表す。)
(7)3,3,3−トリフルオロカルボン酸;4,4,4,3,3−ペンタフルオロブタン酸;5,5,5,4,4,3,3−ヘプタフルオロペンタン酸;3,3−ジフルオロプロパ−2−エン酸等の一般式R1−CR’2−C(O)O−、又は、一般式R2=CR’−C(O)O−(式中、R1は、必要に応じて分岐状、環状、及び/又は不飽和の炭素数1〜30のパーフルオロアルキル基であり、R2は、必要に応じて分岐状、環状、及び/又は不飽和の炭素数1〜30のパーフルオロアルキレン基であり、R’は、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基、及びアリール基からなる群から選択され、必要に応じてヘテロ原子を含有する。)と、第4級アンモニウムカチオン、又は第4級ホスホニウムカチオンからなる化合物。
塗料組成物には、必要に応じて完全アルキル型、メチロール型アルキル、イミノ基型アルキル等のメラミン系硬化剤を添加することができる。
(a)アクリルポリオール又はポリエステルポリオールを含有し、水酸基価が50〜250mgKOH/gであり、ガラス転移点(Tg)が0〜80℃であり、数平均分子量が500〜10000である、ポリオール組成物と、
(b)本実施形態のポリイソシアネート組成物と、
を含有し、
(a)成分中の水酸基に対する、(b)成分中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、0.6〜1.5である、塗料組成物が挙げられる。
示差熱熱重量同時測定装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、測定試料10mgをアルミニウム製のサンプル容器にいれた。ブランク容器もアルミニウム製の容器を用いた。窒素を100mL/分の条件で流しながら、設定温度を220℃にすると、実際の温度は210℃に加熱された。この条件で5時間保持した後の重量保持率を測定した。なお、この重量保持率は以下の式の基づき求めた。
重量保持率(%)=(加熱後の測定試料の質量/加熱前の測定試料の質量)×100
示差熱熱重量同時測定装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、測定試料10mgをアルミニウム製のサンプル容器にいれた。ブランク容器もアルミニウム製の容器を用いた。窒素を100mL/分の条件で流しながら、設定温度を250℃にすると、実際の温度は240℃に加熱された。この条件で5時間保持した後の重量保持率を測定した。なお、この重量保持率は以下の式に基づき求めた。
重量保持率(%)=(加熱後の測定試料の質量/加熱前の測定試料の質量)×100
粘度は、E型粘度計(トキメック社製)を用いて25℃で測定した。測定に際しては、標準ローター(1°34’×R24)を用いた。回転数は、以下の通り。
100rpm (128mPa・s未満の場合)
50rpm (128mPa・s以上256mPa・s未満の場合)
20rpm (256mPa・s以上640mPa・s未満の場合)
10rpm (640mPa・s以上1280mPa・s未満の場合)
5rpm (1280mPa・s以上2560mPa・s未満の場合)
なお、後述する各実施例・比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分の割合を以下に記載の方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま用いて粘度を測定した。また、98質量%未満であったものは、薄膜蒸発缶等の精製装置を用いて、不揮発分を98質量%以上にした上で、粘度を測定することとした。
不揮発分の割合は、ポリイソシアネート組成物を105℃、3時間加熱した場合の残存量から求めた。
不揮発分(質量%)=(105℃、3時間加熱後のポリイソシアネート組成物の質量/加熱前のポリイソシアネート組成物の質量)×100
NCO含有率(質量%)は、測定試料中のイソシアネート基を過剰の2Nアミンで中和した後、1N塩酸による逆滴定によって求めた。なお、後述する各実施例・比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分を上述した方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定した。また、98質量%未満であったものは、薄膜蒸発缶等の精製装置を用いて、不揮発分を98質量%以上にした上で、NCO含有率を測定することとした。
測定試料の数平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定した。GPCの測定方法は以下の通りであった。
使用機器:HLC−8120(東ソー社製)、
使用カラム:TSK GEL SuperH1000、TSK GEL SuperH2000、TSK GEL SuperH3000(何れも東ソー社製)、
試料濃度:5wt/vol%(試料50mgを1mLのテトラヒドロフラン(THF)に溶解させた)、
キャリア:THF、
検出方法:示差屈折計、
流出量0.6mL/分、カラム温度30℃)。
検量線の作成には、分子量1000〜20000のポリスチレンと、1,6−ジイソシアナトヘキサンのイソシアヌレート体(3量体、5量体、7量体)を用いた。
なお、後述する各実施例及び各比較例で作製したポリイソシアネート組成物の不揮発分を上述した方法によって調べ、その値が98質量%以上であったものは、そのまま測定した。また、98質量%未満であったものは、薄膜蒸発缶等の精製装置を用いて、不揮発分を98質量%以上にした上で、数平均分子量を測定することとした。
イソシアヌレート構造、イミノオキサジアジンジオン構造、ウレトジオン構造、アロファネート構造に関するモル比率は、測定試料の13C−NMR測定を行うことによって求めた。具体的な測定条件は以下の通りであった。
13C−NMR装置:AVANCE600(ブルカー社製)
クライオプローブ(ブルカー社製)
Cryo Probe
CPDUL
600S3−C/H−D−05Z
共鳴周波数:150MHz
濃度:60wt/vol%
シフト基準:CDCl3(77ppm)
積算回数:10000回
パルスプログラム:zgpg30(プロトン完全デカップリング法、待ち時間2sec)
以下のシグナルの積分値を、測定している炭素の数で除し、その値から各モル比を求めた。
イソシアヌレート構造:149ppm付近 積分値÷3
イミノオキサジアジンジオン構造:145ppm付近 積分値÷1
ウレトジオン構造:157.5ppm付近:積分値÷2
アロファネート構造:154ppm付近:積分値÷1
溶剤系の2液型ウレタン塗料(商品名「マイティーラック(白)」、日本ペイント社製)を乾燥膜厚50μmとなるようにアルミニウム板(150mm×75mm×1mm、型番:A1050P(JIS H4000)、テストピース社製)にスプレー塗装した。その後、23℃、50%湿度下で2週間静置した後、1000番のサンドペーパーで表面を研磨し、白板を作製した。
デューパネルウェザーメーター(DPW)
使用機器:「FDP/DPWL−5W」(スガ試験機社製)
光源:紫外線蛍光灯:「SUGA−FS40」(波長313nm)
条件:照射(4hr)
ブラックパネル温度 60℃
湿度 設定なし
放射照度 30W/m2
:暗黒+湿潤(4hr)
ブラックパネル温度 40℃
湿度 100%
放射照度 設定なし
光沢保持率(%)=測定時の光沢/初期光沢×100
窒素置換した500mLナス型フラスコに、室温でテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(10質量%メタノール溶液)(東京化成社製)200g(0.116mol)をいれ、滴下ロートでデカン酸(東京化成社製)12.1gを滴下(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド/デカン酸=1/1.1(モル比))して、室温で30分間攪拌した。その後、10Torr、50℃で30分間の条件でメタノールを留去した。これに32gのn−ブタノールを添加し、テトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液を作製した。また、このテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液10gにn−ブタノール40gを加えて、テトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液を作製した。またさらに、このテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液10gに、n−ブタノール15gを加えて、テトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール4質量%溶液を作製した。
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製、CAS番号665−46−3)のn−ブタノール10質量%溶液1.5g(0.77mmol)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液0.5g(0.20mmol相当)を添加し、反応液中のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.3質量%、粘度2700mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量656のポリイソシアネート組成物P−1を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−1の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/14/1.0/2.8であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、14/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、1.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.8/100であった。ポリイソシアネート組成物P−1の210℃、5時間加熱後の重量保持率は93.7%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は82.6%であった。
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール50質量%溶液0.20g(0.51mmol)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液0.10g(0.20mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.60g(2.9mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.4質量%、粘度2700mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量660のポリイソシアネート組成物P−2を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−2の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/11/0.9/0.2であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、11/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.9/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.2/100であった。ポリイソシアネート組成物P−2の210℃、5時間加熱後の重量保持率は95.2%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は85.0%であった。
HDI 1000gを60℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール50質量%溶液0.30g(0.77mmol相当)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール50質量%溶液(触媒濃度50質量%)0.15g(0.31mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.2質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.90g(4.3mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.4質量%、粘度2800mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量664のポリイソシアネート組成物P−3を得た。得られたポリイソシアネート組成物P−3の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/7.0/0.4/0.7であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、7.0/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.4/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、0.7/100であった。ポリイソシアネート組成物P−3の210℃、5時間加熱後の重量保持率は96.0%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は87.8%であった。
HDI 1000gを80℃に加熱した。合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液を、n−ブタノールで更に希釈してn−ブタノール4.0質量%溶液とした。これを2.0g(0.32mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.5質量%、粘度2700mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量655のポリイソシアネート組成物C−1を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−1の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/3.0/1.0/2.8であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、3.0/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、1.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.8/100であった。ポリイソシアネート組成物C−1の210℃、5時間加熱後の重量保持率は96.8%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は88.7%であった。
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール10質量%溶液1.9g(1.0mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.2質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.3質量%、粘度2500mPa・s(23℃)、NCO含有率22.0質量%、数平均分子量660のポリイソシアネート組成物C−2を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−2の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/30/1.0/2.7であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、30/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、1.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.7/100であった。ポリイソシアネート組成物C−2の210℃、5時間加熱後の重量保持率は88.7%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は64.2%であった。
HDI 1000gを80℃に加熱し、テトラエチルアンモニウムフルオリド水和物(東京化成社製)のn−ブタノール10質量%溶液1.5g(0.77mmol)と合成例1で作製したテトラメチルアンモニウムデカノエートのn−ブタノール10質量%溶液0.5g(0.20mmol相当)を添加し、反応液のNCO含有率が39.3質量%になったところで、リン酸ジ−n−ブチルエステルを0.73g(3.5mmol)添加して反応を停止させた。その後、160℃で1時間加熱した。次いで、薄膜蒸発缶を用いて、160℃、0.2Torrの条件で2回精製し、不揮発分99.1質量%、粘度2600mPa・s(23℃)、NCO含有率22.2質量%、数平均分子量653のポリイソシアネート組成物C−3を得た。得られたポリイソシアネート組成物C−3の構造解析を行ったところ、イソシアヌレート構造/イミノオキサジアジンジオン構造/ウレトジオン構造/アロファネート構造のモル比は、100/14/9.0/2.6であった。すなわち、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、14/100であり、ウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比は、9.0/100であり、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比は、2.6/100であった。ポリイソシアネート組成物C−3の210℃、5時間加熱後の重量保持率は84.9%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率は74.1%であった。
攪拌器、温度計、冷却管を取り付けた四つ口フラスコに、「ソルベッソ#150」(エクソン化学社製の芳香族系溶剤)120.0g、キシレン60.0gを仕込み、内部を窒素置換した後、120℃に昇温した。その後、以下に述べる(メタ)アクリル系モノマーとベンゾイルパーオキサイド8.0gを2時間かけて滴下し、攪拌反応させた。滴下終了後、さらに120℃で4時間反応を続け、アクリルポリオールAc−1を得た。
原料に用いた(メタ)アクリル系モノマー
メチルメタクリレート:128.8g
n−ブチルアクリレート:84.8g
シクロヘキサンメタクリレート:80.0g
2−ヒドロキシエチルメタクリレート:74.4g
スチレン:32.0g
得られたアクリルポリオールAc−1は、不揮発分70質量%、水酸基価80mgKOH/g(樹脂分に対して、仕込み比からの計算値、JIS K1557)、ガラス転移温度(Tg)40℃、数平均分子量1700であった。
合成例1で作製したアクリルポリオールAc−1をポリオール組成物とした。そして、このポリオール組成物と実施例1で作製したポリイソシアネート組成物P−1とを硬化剤組成物とし、これから塗料組成物を作製した。具体的には、アクリルポリオールAc−1(40.0g)と、ポリイソシアネート組成物P−1(7.6g)に、「ソルベッソ#100」(エクソン社製の芳香族系溶剤)(17.1g)を加えて、固形分を55質量%にした。これを、110mLのサンプル瓶(商品名「TSスクリュー管」、マルエム社製)に入れて、震盪機で30分間混合した後、20分静置して塗料組成物とした。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物P−1のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物P−2を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物P−2のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物P−3を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物P−3のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物C−1を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物C−1のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物C−2を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物C−2のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
硬化剤組成物としてポリイソシアネート組成物C−3を7.6g用いた点以外は、実施例4と同様の方法にて、塗料組成物を作製した。なお、塗料組成物の、アクリルポリオールAc−1の水酸基に対するポリイソシアネート組成物C−3のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)は、1.0であった。
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーでポリプロピレン板(150mm×150mm、テストピース社製)に乾燥膜厚50μmとなるように塗装した。これを60℃、30分の条件で焼き付けた後、更に23℃、湿度50%の条件で1週間静置して、ポリプロピレン板上に塗膜を形成させた。得られた塗膜を5mm角に切り出して、サンプルとした。示差熱熱重量同時測定装置「TG/DTA6200」(セイコーインスツルメンツ社製)を用いて、5mm角に切り出した塗膜10mgをアルミニウム製のサンプル容器にいれた。ブランク容器もアルミニウム製の容器を用いた。窒素を100mL/分の条件で流しながら、設定温度を220℃にすると、実際の温度は210℃に加熱された。この条件で5時間保持した後の重量保持率を測定した。なお、重量保持率は以下の式で求めた。
重量保持率=(加熱後のサンプル重量/加熱前のサンプル重量)×100(%)
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いてアルミニウム板(150mm×75mm×1mm、型番:A1050P(JIS H4000)、テストピース社製)に塗料組成物を塗布した。塗布したアルミニウム板を180℃、30分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度55%の条件で1日静置して、アルミニウム板上に塗膜を形成させた。
得られた塗膜について、碁盤目試験を行い、密着性について評価した。碁盤目試験は、旧JIS K5400に準拠して行った。すなわち、NTカッターを用いて、塗膜を1mm×1mmの100マスにカットし、碁盤目部分にセロハンテープを強く圧着させた。そして、セロハンテープの端を45°の角度で一気に引き剥がし、アルミニウム板上に残った碁盤目(塗膜)の数で密着性を評価した。アルミニウム板上に残った数が多い程、塗膜の密着性が良いと判断した。
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いて、ABS板(アクリルニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂;黒色、150mm×75mm)に、乾燥膜厚50μmとなるように塗料組成物を塗布した。これを60℃、30分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度50%の条件で1週間静置して、ABS板上に塗膜を形成させた。
塗膜の外観(鮮鋭性と表面平滑性)は、ABS板の長辺方向に沿ってデジタル・オシロスコープ「Wave Scan DOI」(BYK Gardner社製)を使用して、測定した。「Wave Scan DOI」は、フィルム表面に対する垂線から60°傾いた角度で、レーザーの点光源からレーザー光線を照射し、検出器が前記垂線に対して反対の同角度の反射光を受光する配置である。この装置は、レーザーの点光源をフィルム表面の上を移動させてスキャンすることで、反射光の明暗を決められた間隔で一点ずつ測定し、フィルム表面の光学的プロファイルを検出できる。検出された光学プロファイルは、周波数フィルターを通してスペクトル解析して、表面のストラクチャーを解析することができる。その中で、塗膜のWb域(波長0.3〜1.0mm)、Wc域(波長1.0〜3.0mm)の値を使用し、評価した。測定値は、3回の測定値の算術平均値とした。Wb、Wcともに塗膜の外観に関する指標であり、Wbは塗膜の鮮鋭性の指標であり、Wcは塗膜の表面平滑性の指標であり、いずれも数値が小さい程、優れていると判断した。
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いて、上述した白板に、乾燥膜厚50μmとなるように塗料組成物を塗布した。塗布した白板を200℃、10分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度50%の条件で2週間静置した。得られた塗膜の20°光沢を、JIS Z8741に準拠して測定した。
実施例4〜6及び比較例4〜6で得られた塗料組成物を、スプレーを用いて、上述した白板に、乾燥膜厚50μmとなるように塗料組成物を塗布した。塗布した白板を200℃、10分の条件で焼き付けた後、23℃、湿度50%の条件で2週間静置した。その後、「デューパネルウェザーメーター(DPW)」(スガ試験機社製)を用いて、促進耐候性試験を行った。促進耐候性試験を1750時間行った後、下記式に基づき光沢保持率を測定した。光沢度は、JIS Z8741に準拠して測定した。光沢保持率が高い程、塗膜の耐候性が優れていると判断した。
光沢保持率(%)=(促進耐候性試験後の光沢度)÷(促進耐候性試験前の光沢度)×100
Claims (6)
- 少なくとも1,6−ジイソシアナトヘキサンを用いて得られるポリイソシアネート組成物であり、
イソシアヌレート構造を有し、かつ、
示差熱熱重量同時測定装置を用いた、210℃、5時間加熱後の重量保持率が、90.0〜99.0%であり、240℃、5時間加熱後の重量保持率が、80.0〜88.0%である、ポリイソシアネート組成物。 - イミノオキサジアジンジオン構造を更に有する、請求項1に記載のポリイソシアネート組成物。
- 13C−NMRにより測定された、イミノオキサジアジンジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、6.0/100〜25/100である、請求項2に記載のポリイソシアネート組成物。
- ウレトジオン構造をさらに有し、13C−NMRにより測定されたウレトジオン構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜5.0/100である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
- アロファネート構造をさらに有し、13C−NMRにより測定された、アロファネート構造/イソシアヌレート構造のモル比が、0.1/100〜4.0/100である、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物。
- (a)アクリルポリオール又はポリエステルポリオールを含有し、水酸基価が50〜250mgKOH/gであり、ガラス転移点(Tg)が0〜80℃であり、数平均分子量が500〜10000である、ポリオール組成物と、
(b)請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリイソシアネート組成物と、
を含有し、
前記(a)成分中の水酸基に対する、前記(b)成分中のイソシアネート基のモル比(NCO/OH)が、0.6〜1.5である、塗料組成物。
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