JP6984330B2 - 内装部品の取付構造 - Google Patents

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Description

本明細書によって開示される技術は、内装部品の取付構造に関する。
グリップカバーの取付構造として、下記特許文献1に開示のものが知られている。特許文献1に開示の構成では、グリップカバーの周端部には、内装材本体部に形成された貫通孔に挿通された後、貫通孔の孔縁部に対して車室外側から係止される係止部が設けられている。
特開2014−31110号公報
グリップカバーのような内装部品には、ドアトリムの意匠性を高めることが求められるとともに、その形状や設置位置に応じて、車両衝突時等における安全性能を確保することが求められている。車両前後方向に沿って延在する長手状の内装部品の取付構造では、例えば、テザークリップのような別部品を設定することなく、内装部品がドアトリム本体からの外れ難くすることが求められる。また、そのような内装部品の取付構造では、例えば、サイドエアバックが搭載された車両においては、内装部品が一部ドアトリム本体から外れる場合であっても、サイドエアバックの展開を妨げ難いようにその外れ方を適宜コントロールすることが求められる。
本明細書によって開示される技術は、上記のような事情に基づいて完成されたものであって、車両衝突時等における安全性能を確保することが可能な内装部品の取付構造を提供することを目的とする。
本明細書によって開示される車両用内装材における内装部品の取付構造は、ドアトリム本体に対して、車両前後方向に沿って延在する長手状の内装部品を車室内側から取り付けるための取付構造であって、前記ドアトリム本体は、前記内装部品を取り付けるための第1取付孔と第2取付孔とを有しており、前記内装部品は、前記第1取付孔に対して係止される第1係止部と、前記第2取付孔に対して係止される第2係止部と、を有しており、前記第1係止部は、前記内装部品における車両後部に配され、前記ドアトリム本体の車室内側の面に沿ってスライドしつつ前記第1取付孔に挿入されて、前記第1取付孔の孔縁に掛け止めされるように構成され、前記第2係止部は、前記第1係止部より車両前方に配され、前記第1係止部が前記第1取付孔に挿入された状態で、弾性変形を伴って前記ドアトリム本体の前記車室内側の面に交わる方向に沿って前記第2取付孔に挿入されて、弾性復帰することで前記第2取付孔の孔縁に係止されるように構成されている。
このような内装部品の取付構造によれば、車両側突時の衝撃により、内装部品にドアトリム本体に対して車室内側に向かうような力が作用して、第2係止部が弾性変形しつつ第2取付孔から外れた場合であっても、内装部品における車両後部に配された第1取付孔と第1係止部との掛け止めによる係止状態を維持することができる。この結果、内装部品のドアトリム本体からの外れ方をコントロールすることができ、また、サイドエアバックが搭載された車両においては、内装部品の車両後部がドアトリム本体から車室内側に進入して、内装部品の後方に位置するサイドエアバックの展開を妨げる事態を回避することができる。
上記内装部品の取付構造において、前記ドアトリム本体は、車両後端部に、車室外側に向けて立設された立壁部を有し、前記第1取付孔は、少なくとも一部が前記立壁部に配されて、車両後方に向けて開口しており、前記第1係止部は、前記第1取付孔に車両後方から挿入されて、前記第1取付孔の前記孔縁のうち車両前側に位置する部分に掛け止めされるように構成されていてもよい。このような構成によれば、仮に、内装部品の後方から展開したサイドエアバックが、内装部品の後端部と干渉した場合であっても、内装部品に第1係止部と第1取付孔との係止状態を解除する方向に力が作用し難く、第1係止部と第1取付孔との係止状態を好適に維持することができる。
上記内装部品の取付構造において、前記ドアトリム本体は、車室外側に配されたドアパネルに対して締結される締結部を有しており、前記内装部品は、前記締結部を覆うようにして前記ドアトリム本体に取り付けられるものであってもよい。このような構成では、ドアトリム本体をドアパネルに対して取り付けた後に、内装部品を取り付ける必要があり、例えば、内装部品をドアトリム本体に対して車室外側から締結するような取付構造を採用することができず、本実施形態の構成が特に有効となる。そして、このような構成によれば、ドアトリム本体をドアパネルに対して締結した後に、その締結部を覆うようにして内装部品を取り付けることで、締結部が車室内に露出する構成や、部分的なキャップ等で締結部のみが覆われる構成に比べて、ドアトリムの意匠性を高めることができる。
上記内装部品の取付構造において、前記締結部は、ドアグリップの両端部にそれぞれ配され、前記内装部品は、前記ドアグリップの車室内側の面を構成するグリップカバー部と、前記グリップカバー部から車両後方に向けて延長された延長部とを備えるものであってもよい。このような構成によれば、締結部によりドアグリップの剛性を確保することができるとともに、グリップカバー部と延長部を備える内装部品により、いかにもドアグリップというような単に機能部品を寄せ集めたようなドアトリムの意匠ではなく、ドアトリム全体として統一感のある意匠を実現することができる。
本明細書によって開示される技術によれば、車両衝突時等における安全性能を確保することが可能な内装部品の取付構造を提供することができる。
一実施形態に係るドアトリムが搭載された車室内を示す図 ドアトリム本体を車室内側から視た一部拡大平面図 内装部品を車室外側から視た斜視図 内装部品を車室外側から視た一部拡大平面図 内装部品の取付態様を説明する説明図 第1係止部と第1取付孔の係止状態を示す断面図(図2のVI−VI線で切断した図に対応) 一の第2係止部と一の第2取付孔の係止状態を示す断面図(図2のVII−VII線で切断した図に対応) 他の第1係止部と他の第1取付孔の係止状態を示す断面図(図2のVIII−VIII線で切断した図に対応)
本発明の一実施形態を図1ないし図8によって説明する。本実施形態では、ドアトリム20における、内装部品40の取付構造について例示する。なお、各図において、FR及びRRの矢印は車両前方及び車両後方をそれぞれ示し、UP及びDWの矢印は車両上方及び車両下方をそれぞれ示し、IN及びOUTの矢印は車室内側及び車室外側をそれぞれ示す。
車両用ドア10は、図1に示されるように、座席11側方に位置するサイドドアであって、ドアパネル12(図7参照)と、ドアパネル12の車室内側に配されるドアトリム20と、を備えて構成されている。ドアパネル12は、インナパネル及びアウタパネルとからなり、例えば、鉄やアルミニウムなどの金属板材をプレス加工し、この金属板材を組み合わせることによって構成されている。座席11には、シートバック11Aの車室外側部分から、車両前方に向けて展開する図示しないサイドエアバックが搭載されている。
ドアトリム20は、図1に示されるように、トリムボード37とオーナメント38を備えるドアトリム本体30を主体として構成されている。ドアトリム本体30は、平面視略方形状のボード部材とされ、車室内側の面30Aが車両前後方向かつ車両上下方向に沿って延在する姿勢で配される。
ドアトリム20には、図1に示されるように、インサイドハンドル23、ドアポケット24、スピーカグリル25等の各種機能部品が設けられている。また、ドアトリム20には、車室内側に張り出す形状をなすアームレスト26が設けられている。ドアトリム20におけるアームレスト26の車両前方には、ドアトリム本体30の開口27(図5参照)に図示しないスイッチベースが取り付けられる。
ドアトリム20には、図1に示されるように、ドアトリム本体30の車室内側の面30Aにおいて、車両前後方向における中央部にドアグリップ21が設けられている。ドアグリップ21は、車両後方に向かうにつれて下降傾斜する形で延びる長手状をなしている。
ドアグリップ21は、図5に示されるように、グリップベース22と、グリップベース22を車室内側から覆うグリップカバーとから分割構成されている。本実施形態では、グリップカバーは、後述する内装部品40の一部(グリップカバー部42)によって構成されており、その構成については後に説明する。
グリップベース22は、図2に示されるように、ドアグリップ21において車室外側部分を構成するものとされる。グリップベース22は、車両後方に向かうにつれて下降傾斜する形で延びる長手状をなしている。グリップベース22は、ドアトリム本体30の車室内側の面30Aとの間に手指を挿入可能な空間を有して、ドアトリム本体30と一体的に設けられている。
ドアトリム本体30は、図2に示されるように、車室外側に配されたドアパネル12に対して締結される締結部39,39を有している。締結部39,39は、ドアグリップ21(グリップベース22)の両端部21A,21Bにそれぞれ配されている。締結部39は、ドアトリム本体30に形成された挿通孔39Aに挿通されたボルト14がドアパネル12に固定されることで、ドアトリム本体30をドアパネル12に対して締結する構造となっている。このような構成により、ドアグリップ21を把持して、車両用ドアを開閉したり、体勢を保持したりする際にドアグリップ21に係る荷重をドアパネル12で受けることができ、ドアグリップ21の剛性を十分なものとすることができる。
ドアトリム本体30には、図5に示されるように、車室内側から内装部品40が取り付けられている。この内装部品40は、締結部39を覆うようにしてドアトリム本体30に取り付けられている。内装部品40は、締結部39の車室内側を覆うカバー部品としての機能を有するとともに、ドアトリム本体30を加飾する加飾部品としての機能を有する。内装部品40は、締結部39を覆う構成上、ドアトリム本体30をドアパネル12に対して取り付けた後に、後付けされる部品である。
内装部品40は、図3に示されるように、車両前後方向に沿って延在する長手状の部材とされる。内装部品40は、ドアグリップ21の車室内側の面を構成するグリップカバー部42と、グリップカバー部42から車両後方に向けて延長された延長部43とを備える。内装部品40は、グリップカバー部42と延長部43が平面視L字状に屈曲したパネル状のパネル部41からなり、一連の意匠を構成する。内装部品40は、グリップカバー部42が車両後方に向かうにつれて車両下方に向かう長手状をなすとともに、延長部43がグリップカバー部42の車両下部から車両後方に向けて延びる長手状をなす。乗員がドアグリップ21を把持して、車両用ドア10を車室内側に閉じる際には、グリップカバー部42には、その長手方向に沿う軸を中心として捻じれる方向に荷重が作用する。本実施形態では、内装部品40が延長部43を備えることにより、延長部43とドアトリム本体30との取付箇所においてもそのような荷重を分散して受けることができる。このため、ドアグリップ21に作用する荷重に起因して、グリップカバー部42とドアトリム本体30との間に隙間を生じたり、グリップカバー部42とドアトリム本体30との取付箇所が外れたりする事態が生じ難くなっている。
続いて、ドアトリム本体30に対して内装部品40を取り付けるための取付構造について説明する。ドアトリム本体30は、図2に示されるように、内装部品40を取り付けるための第1取付孔31と第2取付孔34とを有している。本実施形態では、ドアトリム本体30において、内装部品40の後縁部と対向する位置に、車両上下方向並んで3つの第1取付孔31が配されている。以下、3つの第1取付孔31のうち中央部に配された第1取付孔31Aを例にとって説明する。また、本実施形態では、ドアトリム本体30において、内装部品40の後縁部を除く周縁部と対向する位置に、複数の第2取付孔34が分散して配されている。以下、複数の第2取付孔34のうち、第2取付孔34Aと、第2取付孔34B,34Bを例にとって説明する。
ドアトリム本体30は、図6に示されるように、車両後端部に、車室外側に向けて立設された立壁部33を有している。立壁部33は、車室外側端部がドアトリム本体30の側面30Cに対して段差部33Aを有して連なり、車室内側端部がドアトリム本体30の車室内側の面30Aに対して連なる構成とされている。
第1取付孔31Aは、図2及び図6に示されるように、ドアトリム本体30の立壁部33と車室内側の面30Aに跨るようにして形成され、車室内側かつ車両後方に向けて開口している。第1取付孔31Aは、平面視矩形状をなし、孔縁32Aのうち、車両前側に位置する部分32A1に第1係止部50が係止される構成となっている。
第2取付孔34Aは、図2及び図7に示されるように、ドアグリップ21の下側の端部21B付近において、ドアトリム本体30の車室内側の面30Aに形成され、車室内側に向けて開口している。第2取付孔34Aは、平面視矩形状をなし、孔縁35Aのうち、車両前側に位置する部分と車両後側に位置する部分に第2係止部60Aが係止される構成となっている。
第2取付孔34Bは、図2及び図8に示されるように、車両前後方向に沿って延びる内装部品40のうち上縁部と下縁部と対向する位置に分散して、ドアトリム本体30の車室内側の面30Aに形成され、車室内側に向けて開口している。第2取付孔34Bは、平面視にて、対向する内装部品40の上縁部又は下縁部に沿って延びる長方形状をなし、第2係止部60Bと後述する位置決め突起69を一括して収容可能とされている。第2取付孔34Bは、孔縁35Bのうち、内装部品40の外方(内装部品40の上縁部と対向して配されたものにおいては上側、下縁部と対向して配されたものにおいては下側)に位置する部分に第2係止部60Bが係止される構成となっている。
内装部品40は、図3に示されるように、第1取付孔31に対して係止される第1係止部50と、第2取付孔34に対して係止される第2係止部60と、を有している。第1取付孔31は、内装部品40における車両後部40Aに配される。本実施形態では、内装部品40の後縁部に、3つの第1取付孔31にそれぞれ対応して、3つの第1係止部50が配されている。以下、3つの第1係止部50のうち中央部に配された第1係止部50Aを例にとって説明する。また、第2係止部60は、第1係止部50より車両前方に配される。本実施形態では、内装部品40の後縁部を除く周縁部に、複数の第2取付孔34にそれぞれ対応して、複数の第2係止部60が分散して配されている。以下、複数の第2係止部60のうち、第2係止部60Aと、第2係止部60B,60Bを例にとって説明する。
第1係止部50Aは、図4及び図6に示されるように、パネル部41の車室外側の面41Bから車室外側に向かって突出する突出部51と、突出部51の先端から屈曲される形で延出し、第1取付孔31Aの孔縁32Aに係止される延出部53とを備える。なお、第1係止部50Aの両側に配された第1係止部50においては、パネル部41の後縁部自体が車室外側に向かって湾曲しつつ突出する形状を有することで、突出部を構成している。
突出部51は、図4及び図6に示されるように、第1取付孔31Aの孔縁32Aと交差する方向(本実施形態では車両前後方向)にそれぞれ延びる、互いに対向した一対の壁部によって構成されている。突出部51には、その剛性を確保するためにリブ51Aが設けられている。この突出部51は、その形状やリブ51A等を適宜設計することで、後述する第2係止部60の脚部67より弾性変形し難い構成とされている。
延出部53は、図4及び図6に示されるように、突出部51の先端から第1取付孔31の径方向外側(本実施形態では車両前方)に向かって延出している。延出部53は、突出部51側に開放した平面視コの字状の枠状部54と、枠状部54の内部において突出部51側に向かって延出する弾性片部55とを有している。延出部53は、側面視にて、枠状部54が車両前後方向に沿って延びるとともに、弾性片部55が車両後方に向かうにつれて車室内側に向けて延びる形状を有している。そして、弾性片部55は、延出部53が第1取付孔31Aに挿入された状態で、孔縁32Aと一部ラップするような形状に設計されている。
第2係止部60Aは、図7に示されるように、パネル部41の車室外側の面41Bに立設されたやぐら状の台座部61と、台座部61に固定されたクリップ63によって構成されている。クリップ63は、内装部品40とは別体の部品とされ、車両前側の面と後側の面に爪部65A,65Aを有し、弾性的に車両前後方向に縮径変形可能とされている。
第2係止部60Bは、図8に示されるように、パネル部41の車室外側の面41Bから車室外側に向かって突出する脚部67と、脚部67の先端の側面に設けられた爪部65Bとを備える。爪部65Bは、脚部67に対して内装部品40の外側の側面(内装部品40の上縁部に配されたものにおいては上側の側面、下縁部に配されたものにおいては下側の側面)に突設されている。脚部67には、その突出基端部に肉抜きが施されるとともに、その剛性を確保するためにリブ67Aが設けられている。この脚部67は、その形状やリブ67A等を適宜設計することで、爪部65Bを第2取付孔34Bに挿入可能な程度に、内装部品40の内方に向けて弾性変形可能とされている。
位置決め突起69は、第2係止部60Bの第2取付孔34B内における位置を規定して、第2係止部60Bと第2取付孔34Bとの係止状態が意図せず解除される事態を抑制可能に構成されている。位置決め突起69は、図3に示されるように、パネル部41の車室外側の面41Bに立設された一対の壁部と、一対の壁部に跨って配された連結壁部とを備える。位置決め突起69のうち、延長部43の下縁部に配されたものにおいては、一対の壁部の車室外側かつ車両上側の端部をL字状に切り欠く形で、第2取付孔34Bの孔縁35Bの車室内側の面と内周面を支持する支持面69Aが形成されている。
内装部品40の取付構造では、第1係止部50は、ドアトリム本体30の車室内側の面30Aに沿ってスライドしつつ第1取付孔31に挿入されて、第1取付孔31の孔縁32に掛け止めされるように構成され、第2係止部60は、第1係止部50が第1取付孔31に挿入された状態で、弾性変形を伴ってドアトリム本体30の車室内側の面30Aに交わる方向に沿って第2取付孔34に挿入されて、弾性復帰することで第2取付孔34の孔縁35に係止されるように構成されている。以下、内装部品40の取付態様を図6から図8を参照しつつ順次に説明する。なお、図6から図8においては、内装部品40の取り付け前の位置を二点鎖線にて示し、取り付け後の位置を実線にて示している。
まず、作業者は、ドアパネル12の車室内側にクリップ(不図示)等を介してドアトリム本体30を取り付ける。そして、ドアトリム本体30の挿通孔39Aにボルト14を挿通し、ドアトリム20に取り付けられたグロメットにボルト14を螺合して締結部39を構成する。
次に、作業者は、図5に示されるように、内装部品40を、ドアトリム本体30の車室内側の面30Aに対して車両後部40Aが近づくようにやや傾いた姿勢で、ドアトリム本体30から車両後方にずれた位置に保持する。そして、作業者は、図6に示されるように、内装部品40をドアトリム本体30の車室内側の面30Aに沿って車両前方に向けて移動させ、第1係止部50Aを車両前方に向けてスライドしつつ第1取付孔31Aに挿入する。すると、第1係止部50Aは、第1取付孔31Aの孔縁32Aのうち車両前側に位置する部分32A1に掛け止めされる。詳細には、延出部53が孔縁32Aの車室外側の面30Bに引っ掛かることで、内装部品40の車室内側への変位を規制するとともに、突出部51が第1取付孔31Aの内周面に当接することで、車両前方への変位が規制される。さらに、弾性片部55が弾性変形しつつ孔縁32Aの車室外側の面30Bに当接することで、内装部品40には車室外側に向けて付勢する力が作用する。この際、内装部品40の後端部は、ドアトリム本体30の段差部33Aに当接しており、内装部品40の車両後部40Aががたつくことなく、ドアトリム本体30に対して取り付けられる。なお、第1係止部50A以外の第1係止部50も、上述の過程で、第1取付孔31に挿入され、第1取付孔31の孔縁に掛け止めされる。この状態では、内装部品40は、図5に示されるように、車両前部がドアトリム本体30から離間して配された姿勢となっている。
そして、作業者は、第1係止部50が第1取付孔31に挿入された状態で、後端部付近を回動軸として内装部品40を車室外側に向けて回動させる。すると、図7及び図8に示されるように、第2係止部60がドアトリム本体30に対して車室外側に向けて変位し、その突出先端部から第2取付孔34に挿入され、第2取付孔34の孔縁35に係止される。この際、第1係止部50が第1取付孔31に対して挿入された状態とされることで、各第2係止部60は各第2取付孔34と位置が整合し、第2係止部60を第2取付孔34に挿入させ易くなっている。
この過程で、第2係止部60Aの先端が第2取付孔34Aに挿入されると、爪部65A,65Aが第2取付孔34Aの孔縁35Aに押圧されることで、クリップ63が縮径方向に弾性変形し、爪部65A,65Aが第2取付孔34Aを通過する。そして、爪部65A,65Aがドアトリム本体30の車両外側に至ると、クリップ63は弾性復帰して、爪部65A,65Aが第2取付孔34Aの孔縁35Aに係止された状態となる。また、第2係止部60Bの先端が第2取付孔34Bに挿入されると、爪部65Bが第2取付孔34Bの孔縁35Bに押圧されることで、脚部67が内装部品40の内方に向けて弾性変形し、爪部65Bが第2取付孔34Bを通過する。爪部65Bがドアトリム本体30の車両外側に至ると、脚部67は弾性復帰して、爪部65Bが第2取付孔34Bの孔縁35Bに係止された状態となる。この際、位置決め突起69は、第2係止部60Bとともに、第2取付孔34Bに挿入され、第2取付孔34Bの内周面に当接し、また、支持面69Aを有する位置決め突起69においては支持面69Aが第2取付孔34Bの孔縁35Bに車室内側から当接して、第2係止部60Bの位置を規定する。
続いて、本実施形態の効果について説明する。本実施形態の内装部品40の取付構造によれば、車両側突時の衝撃により、内装部品40にドアトリム本体30に対して車室内側に向かうような力が作用して、第2係止部60が弾性変形しつつ第2取付孔34から外れた場合であっても、内装部品40における車両後部に配された第1取付孔31と第1係止部50との掛け止めによる係止状態を維持することができる。この結果、内装部品40のドアトリム本体30からの外れ方をコントロールすることができる。特に、ドアトリム20に配設された車両前後方向長い内装部品40は、その構成上、車両後部40Aが乗員と対向する位置に配され易く、内装部品40における車両後部40Aの外れを抑制することにより、車両衝突時における人体への傷害値を好適に低減することができる。また、サイドエアバックが搭載された車両においては、内装部品40の車両後部40Aがドアトリム本体30から車室内側に進入して、内装部品40の後方に位置するサイドエアバックの展開を妨げる事態を回避することができる。さらに、内装部品40の第1係止部50とドアトリム本体30の第1取付孔31との係止構造により、内装部品40の外れ対策や外れ方をコントロールすることで、テザークリップのような別部品を設定する必要がなく、部品点数の削減及びコスト低減に寄与することができる。
また、本実施形態では、第1取付孔31Aは、少なくとも一部が立壁部33に配されて、車両後方に向けて開口しており、第1係止部Aは、第1取付孔31Aに車両後方から挿入されて、第1取付孔31Aの車両前側に位置する部分32A1に掛け止めされるように構成されている。このため、仮に、内装部品40の後方から展開したサイドエアバックが、内装部品40の後端部と干渉した場合であっても、内装部品40に第1係止部50Aと第1取付孔31Aとの係止状態を解除する方向に力が作用し難く、第1係止部50A第と第1取付孔31Aとの係止状態を好適に維持することができる。
また、本実施形態では、内装部品40は、締結部39を覆うようにしてドアトリム本体30に取り付けられている。このような構成では、ドアトリム本体30をドアパネル12に対して取り付けた後に、内装部品40を取り付ける必要があり、例えば、内装部品40をドアトリム本体30に対して車室外側から締結するような取付構造を採用することができず、本実施形態の取付構造が特に有効となる。そして、本実施形態によれば、ドアトリム本体30をドアパネルに対して締結した後に、その締結部39を覆うようにして内装部品40を取り付けることで、締結部39が車室内に露出する構成や、部分的なキャップ等で締結部39のみが覆われる構成に比べて、ドアトリム20の意匠性を高めることができる。
また、本実施形態では、締結部39は、ドアグリップ21の両端部21A,21Bにそれぞれ配され、内装部品40は、ドアグリップ21の車室内側の面を構成するグリップカバー部42と、グリップカバー部42から車両後方に向けて延長された延長部43とを備える。このような構成によれば、締結部39によりドアグリップ21の剛性を確保することができるとともに、グリップカバー部42と延長部43を備える内装部品40により、いかにもドアグリップ21というような単に機能部品を寄せ集めたようなドアトリム20の意匠ではなく、ドアトリム20全体として統一感のある意匠を実現することができる。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば、次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、車両用内装材としてドアグリップの一部を構成する内装部品を例示したが、内装部品の構成はこれに限定されない。内装部品は、ドアグリップ以外のドアトリム本体の締結部を覆うカバー部品であってもよく、また、その他の加飾部品であってもよい。また、内装部品の形状、配置、構成も適宜変更可能である。
(2)上記実施形態では、ドアトリム本体とグリップベースが一体的に設けられた構成を例示したが、ドアトリム本体とグリップベースとが別部材で構成されていてもよい。
(3)上記実施形態以外にも、第1係止部の形状、配置、配設数は適宜設定可能である。例えば、第1係止部は、第1取付孔に車両上方から挿入されて、第1取付孔の車両下側に位置する孔縁に掛け止めされるように構成されていてもよい。
(4)上記実施形態以外にも、第2係止部の形状、配置、配設数は適宜設定可能である。例えば、内装部品は、脚部と爪部を備えた第2係止部のみを備えていてもよい。
21…ドアグリップ、21A,21B…両端部、30…ドアトリム本体、30A…車室内側の面、31,31A…第1取付孔、32,32A,32A1…孔縁、33…立壁部、33A…段差部、34,34A,34B…第2取付孔、35,35A,35B…孔縁、39…締結部、40…内装部品、40A…車両後部、42…グリップカバー部、43…延長部、50,50A…第1係止部、60,60A,60B…第2係止部

Claims (3)

  1. ドアトリム本体に対して、車両前後方向に沿って延在する長手状の内装部品を車室内側から取り付けるための取付構造であって、
    前記ドアトリム本体は、前記内装部品を取り付けるための第1取付孔と第2取付孔とを有しており、
    前記内装部品は、前記第1取付孔に対して係止される第1係止部と、前記第2取付孔に対して係止される第2係止部と、を有しており、
    前記第1係止部は、前記内装部品における車両後部に配され、前記ドアトリム本体の車室内側の面に沿ってスライドしつつ前記第1取付孔に挿入されて、前記第1取付孔の孔縁に掛け止めされるように構成され、
    前記第2係止部は、前記第1係止部より車両前方に配され、前記第1係止部が前記第1取付孔に挿入された状態で、弾性変形を伴って前記ドアトリム本体の前記車室内側の面に交わる方向に沿って前記第2取付孔に挿入されて、弾性復帰することで前記第2取付孔の孔縁に係止されるように構成されており、
    前記ドアトリム本体は、車両後端部に、車室外側に向けて立設された立壁部を有し、
    前記第1取付孔は、少なくとも一部が、前記立壁部と、前記ドアトリム本体の車室内側の面とに跨がるようにして形成され、車室内側かつ車両後方に向けて開口しており、
    前記第1係止部は、前記内装部品の車室外側の面から車室外側に向かって突出する突出部と、前記突出部の先端から車両前方に向けて屈曲される形で延出する延出部とを備え、前記第1取付孔に車両後方から挿入されて、前記第1取付孔の前記孔縁のうち車両前側に位置する部分に前記延出部が弾性変形しつつ掛け止めされるように構成されている内装部品の取付構造。
  2. 前記ドアトリム本体は、車室外側に配されたドアパネルに対して締結される締結部を有しており、
    前記内装部品は、前記締結部を覆うようにして前記ドアトリム本体に取り付けられ
    前記締結部は、車両後方に向かうにつれて下降傾斜する形で延びる長手状をなすドアグリップの両端部にそれぞれ配され、
    前記内装部品は、前記ドアグリップの車室内側の面を構成するグリップカバー部と、前記グリップカバー部から車両後方に向けて延長された延長部とを備えた、平面視L字状に屈曲した構成を備え、
    少なくとも前記グリップカバー部の下側の端部であって、前記延長部の車両前側基端部分には、前記第2取付孔に係止される前記第2係止部が設けられ、前記延長部の後端部には、前記第1取付孔に係止される前記第1係止部が設けられている、請求項1に記載の内装部品の取付構造。
  3. 前記延長部には、その上縁部と下縁部とに前記第2係止部がそれぞれ配され、前記上縁部に配された前記第2係止部は、前記第2取付孔の孔縁のうち上側の孔縁に係止され、下縁部に配された前記第2係止部は、前記第2取付孔の孔縁のうち下側の孔縁に係止される、請求項2に記載の内装部品の取付構造。
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