JP6111888B2 - ドアトリム - Google Patents

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Description

本発明は、車両ドアのドアトリムに関する。
車両ドアの車室内側部分は、ドアトリムによって構成されている。ドアトリムは、一般的に、車室内側に張り出した形をなすアームレスト部を備えている。そのアームレスト部には、車両ドアを開閉する際に乗員が掴む部分となるプルハンドル部が設けられている。
プルハンドル部としては、特許文献1に示されるように、上部が開口した有底の箱状の部品からなり、アームレスト部に対して一体的に形成されているものがある。この種のプルハンドル部は、アームレスト部に対してヒンジ状の接続部を介して繋がっており、その接続部を起点としつつアームレスト部に対して回動可能な状態となっている。
このようなプルハンドル部は、最終的に、車室内側から車室外側に向かって回転移動されてアームレスト部内の定位置に収まるようにドアトリムの本体部分に、ビス締めやカシメ等により固定される。
特開2005−7908号公報
上記のようにプルハンドル部が最終的に定位置で固定される前に、例えば、他部品との干渉や固定作業性等を考慮して、プルハンドル部を定位置に仮止めの状態で配置させたい場合があった。
本発明の目的は、ドアトリムのアームレスト部に一体的かつ回動可能に形成されているプルハンドル部が、定位置で固定される前に、その定位置で仮固定可能な技術を提供することである。
本発明に係るドアトリムは、車両ドアの車室内側に取り付けられるドアトリム本体部と、前記ドアトリム本体部から車室内側に張り出した形をなすアームレスト部と、挿入口を含む有底の箱状をなした箱本体部と、前記箱本体部を車室内側から車室外側に回動させて、前記挿入口が上方を向く形で前記アームレスト部内に前記箱本体部が配されるように、前記アームレスト部と前記箱本体部とを接続する接続部とを有し、前記アームレスト部に一体的に形成されているプルハンドル部と、前記ドアトリム本体部又は前記アームレスト部の車室外側面に立設される係止部と、前記箱本体部に設けられ、前記箱本体部と共に回動して前記係止部に係止される被係止部とを備えるドアトリムであって、前記被係止部は、前記箱本体部から下方に延びる2つの突出片部を有し、前記係止部は、前記被係止部を本固定する本固定部と、前記本固定部で本固定されるまで前記被係止部を仮固定する仮固定部とを有し、前記本固定部は、前記車室外側面から車室外側に突出し、前記突出片部によって形成される凹状スリットの縁部に対して係止され、前記仮固定部は、前記車室外側面から車室外側に突出し、少なくとも1つの前記突出片部に対して係止されることを特徴とする。
前記ドアトリムは、上記構成を備えることにより、本固定時における係止部の本固定部と、被係止部の突出片部との間の係止構造に影響を与えずに、仮固定時における係止部の仮固定部と、被係止部の突出片部との間の係止力を容易に調整することができる。
前記ドアトリムにおいて、前記仮固定部は、2つの前記突出片部の間に配される基部と、前記基部から互いに逆向きに延びる一対の突起部を有し、前記被係止部は、2つの前記突出片部が、それぞれ前記突起部に係止されるものであってもよい。前記ドアトリムでは、仮固定時に係止部が回動すると、2つの突出片部の間を仮固定部の一対の突起部が通過し、前記突出片部の間に仮固定部の基部が間に配される形となる。2つの突出片部は、仮固定部の一対の突起部に対してそれぞれ係止されるため、仮固定時における被係止部と仮固定部との係止構造が安定化する。
前記ドアトリムにおいて、前記突出片部は、先端側に向うにつれて前記凹状スリットの開口幅が幅広となる幅広部を含むものであってもよい。前記ドアトリムでは、突出片部が、凹状スリットの開口幅が幅広となる幅広部を含むため、仮固定時に被係止部の突出片部を仮固定部に対して係止させる際に、回動する突出片部の凹状スリット内に挿入される仮固定部の挿入硬さを抑えることができる。
前記ドアトリムにおいて、前記本固定部が、前記突出片部の基端側に配され、前記仮固定部が、前記突出片部の先端側に配されるものであってもよい。前記ドアトリムは、このような構成を備えることにより、本固定時における係止部の本固定部と、被係止部の突出片部との間の係止構造に影響を与えずに、仮固定時における係止部の仮固定部と、被係止部の突出片部との間の係止構造を確保することができる。
前記ドアトリムにおいて、前記本固定部から放射状に延びると共に、前記仮固定部に接続して、前記本固定部と前記仮固定部とを補強する補強部を備えるものであってもよい。前記ドアトリムは、このような構成を備えることにより、前記係止部における前記本固定部及び前記仮固定部の強度が向上し、本固定における突出片部及び本固定部の係止構造と、仮固定における突出片部及び仮固定部の係止構造とがそれぞれ安定化する。
本発明によれば、ドアトリムのアームレスト部に一体的かつ回動可能に形成されているプルハンドル部が、定位置で固定される前に、その定位置で仮固定可能な技術を提供することができる。
本発明の実施形態1に係るドアトリムの斜視図 車室内側から見た状態のメインボードの斜視図 車室外側から見た状態のメインボードにおけるプルハンドル部付近の拡大斜視図 被係止部の拡大図 プルハンドル部が仮固定されている車室内側から見た状態のメインボードの斜視図 プルハンドル部が仮固定されている車室外側から見た状態のメインボードにおけるプルハンドル部付近の拡大図 図6のA−A線断面図 仮固定時に、互いに係止している係止部の仮固定部と、被係止部の突出片部とを下方から見た状態の説明図 仮固定時に、互いに係止している係止部の仮固定部と、被係止部の突出片部とを車室外側から見た状態の説明図 ドアトリム本体部に本固定されているプルハンドル部の断面図 被係止部の変形例を示す説明図 仮固定部の変形例を示す説明図
<実施形態1>
本発明の一実施形態を図1乃至図10を参照しつつ説明する。本実施形態では、車両ドアの車室内側を構成するドアトリム1を例示する。図1は、本発明の実施形態1に係るドアトリム1の斜視図である。図1には、車室内側から見た状態のドアトリム1が示されている。つまり、図1には、ドアトリム1の車室内側面(意匠面)1a側が示されている。なお、図1の左側が車両前方に対応し、その右側が車両後方に対応している。また、図1の上下方向が、車両上下方向に対応している。
ドアトリム1は、車両ドアの車室内側部分を構成するものであり、車両ドアが備える図示されないドアパネル(ボデーパネル)に対して、車室内側から対向する形で取り付けられる。
ドアトリム1は、図1に示されるように、主として、ドアトリム本体部2と、アームレスト部3と、プルハンドル部6とを備えている。更に、ドアトリム1は、後述するように係止部11と、被係止部12とを備えている。
ドアトリム本体部2は、全体的には、概ね平面的に広がった板状をなしており、ドアトリム1の大部分を構成する。ドアトリム本体部2は、前記ドアパネル(ボデーパネル)に対して、車室内側から対向する形で取り付けられる。なお、ドアトリム本体部2の下部側には、上方に開口したドアポケット用の入口部4が設けられている。また、ドアトリム本体部2の上部側には、インサイドドアハンドルを取り付けるための取付部5が設けられている。
アームレスト部3は、ドアトリム本体部2から車室内側に張り出した部分からり、ドアトリム1の略中央から後方に亘って設けられている。アームレスト部3の上面部3aは、車両前後方向に沿って延びつつ略水平に配されている。アームレスト部3の中央部分には、プルハンドル部6が設けられている。また、アームレスト部3の前部側には、スイッチベースを取り付けるための取付部7が設けられている。なお、前記スイッチベースは、ウインドウガラスの昇降用スイッチ等のスイッチ操作部が取り付けられる部分となっている。
ドアトリム1は、複数の部品が互いに組み付けられたものからなる。ドアトリム1を構成する部品は、例えば、熱可塑性樹脂(例えば、ポリプロピレン)等の合成樹脂材料の成形品によって構成されている。なお、ドアトリム1を構成する材質としては、合成樹脂材料に限られず、例えば、植物繊維(例えば、ケナフ)と合成樹脂とを混合した混合材料等が用いられてもよい。また、必要に応じて、各部品の表面に、皮革や布帛等からなる表皮材が貼り付けられていてもよい。
ドアトリム1を構成する部品としては、主として、メインボード8、アームレストカバーボード9、及び加飾ボード10が挙げられる。
図2は、車室内側から見た状態のメインボード8の斜視図である。メインボード8は、ドアトリム1のうち、ドアトリム本体部2の大部分、アームレスト部3の一部、及びプルハンドル部6の全体部分等を構成する部品である。メインボード8は、上述したような熱可塑性樹脂等の合成樹脂を材料としつつ所定の金型等を利用して、一体的に形成されている。
メインボード8の上部側には、車幅方向(車室内外方向)に貫通する孔を囲む枠状の取付部8aが設けられている。この取付部8aの内側にある孔を塞ぐ形で、ドアトリム本体部2の一部を構成する加飾ボード10がメインボード8に対して取り付けられる。なお、加飾ボード10には、上述した取付部5が設けられている。
アームレストカバーボード9は、アームレスト部3の上面部3aと、アームレスト部3の車室内側に配される内側壁部3aの一部等を構成する部品である。アームレストカバーボード9が、メインボード8におけるアームレスト部3部分に組み付けられると、アームレスト部3の外観形状が形作られる。
ここで、メインボード8について更に詳細に説明する。図2に示されるように、メインボード8の略中央には、プルハンドル部6が設けられている。プルハンドル部6は、主として、一方向に開口する有底の箱状をなした箱本体部61と、この箱本体部61とメインボード8のアームレスト部3とを繋ぐヒンジ状(インテグラルヒンジ状)の接続部62とを備えている。プルハンドル部6は、メインボード8の製造時、メインボード8の一部としてアームレスト部3に繋がった状態で得られる。
プルハンドル部6の箱本体部61は、車両ドアを開閉する際に乗員が手で掴む部分である。箱本体部61の開口端は、乗員の手(指)が挿入される挿入口61aとなっている。箱本体部61は、メインボード8の製造時、図2に示されるように、挿入口61aが車室内側を向く形でアームレスト部3の上方に配置されている。なお、箱本体部61は、図1に示されるように、最終的には、挿入口61aが上方を向く形でアームレスト部3内に収まるように配置された状態で、メインボード8におけるドアトリム本体部2の車室外側部分に固定される。
なお、本明細書において、プルハンドル部6の箱本体部61が、図1に示されるように、挿入口61aが上方を向く形でアームレスト部3内に収まるように配置される個所を、プルハンドル部6の定位置と称する。
挿入口61aを囲む開口縁のうち、車室内側に配される部分には、接続部62の一端が繋がっている。接続部62の他端は、メインボード8におけるアームレスト部3の車室内側の端部31に繋がっている。つまり、接続部62は、アームレスト部3の車室内側の前記端部31と、それよりも車室外側に配される箱本体部61の開口縁の前記部分とを繋ぐ形で配されている。なお、アームレスト部3の車室内側の前記端部31と、接続部62とが繋がっている部分は、他の部分よりも薄肉化されている。箱本体部61は、この薄肉化されている部分(以下、回動起点部X)を起点として、車室内側から車室外側に回動できるように、接続部62を介してアームレスト部3に繋がっている。
図3は、車室外側から見た状態のメインボード8におけるプルハンドル部6付近の拡大斜視図である。図3に示されるように、メインボード8におけるドアトリム本体部2の車室外側面1bには、係止部11が立設されている。これに対し、プルハンドル部6の箱本体部61の底部61bには、係止部11に係止されてプルハンドル部6を本固定、及び仮固定するための被係止部12が設けられている。
係止部11は、被係止部12を本固定するための本固定部111と、本固定部111で本固定されるまで被係止部12を仮固定する仮固定部112とを備えている。また、被係止部12は、箱本体部61の底部61bから下方に延びる2つの突出片部121,121を備えている。図4は、被係止部12の拡大図である。図4には、車室外側から見た状態の被係止部12が示されている。被係止部12は、図4に示されるように、全体的には、略U字状の外観形状を備えている。被係止部12が備える2つの突出片部121,121の間には、凹状スリット(隙間)122が形成されている。凹状スリット122を縁どる縁部123は、2つの突出片部121,121により構成されている。
本固定部111は、プルハンドル部6を定位置で固定するために、箱本体部61に設けられている被係止部12の突出片部121と係止しつつ、前記突出片部121に固定される部分となっている。
本明細書において、係止部11に被係止部12を係止させてプルハンドル部6を定位置で固定することを特に、「本固定」と称する。
本固定部111は、ドアトリム本体部2の車室外側面1bから車室外側に突出した円筒状の形を有している。本固定部111は、2つの突出片部121,121によって形成される凹状スリット122の縁部123に対して係止される。本実施形態の場合、本固定部111の先端部分が、超音波や熱等で処理されて溶融し、前記縁部123に溶着されること(所謂、超音波カシメや熱カシメ等のカシメ)によって、本固定部111が被係止部12の突出片部121に固定(本固定)される。なお、他の実施形態においては、ビス等の締結手段を利用して、本固定部111が被係止部12に固定(本固定)されてもよい。
本実施形態の本固定部111は、円筒状のボス部111aと、このボス部111aの下端に接続し、ドアトリム本体部2の車室外側面1b上に立設される台座部111bとを備えている。なお、ボス部111aの周りには、ボス部111aから放射状に延びる複数の板状の補強リブ部113が台座部111b上に設けられている。補強リブ部113のうち、ボス部111aと仮固定部112との間を接続する補強リブ部113aは、ボス部111aと共に、仮固定部112も補強している。
仮固定部112は、被係止部12が本固定部111で本固定されるまで、プルハンドル部6を定位置に配置させるために、箱本体部61に設けられている被係止部12の突出片部121と係止される部分となっている。仮固定部112は、全体的には、略T字状の外観形状を備えている。仮固定部112は、被係止部12に係止して、被係止部12がドアトリム1の車室外側面1bから離間する方向に移動することを規制する機能を備えている。
本明細書において、本固定前に、係止部11に被係止部12を係止させて、プルハンドル部6を定位置で仮止めして配置することを特に、「仮固定」と称する。なお、本実施形態においては、仮固定されている係止部11と被係止部12とは、互いの係止が解消されれば、互いに分離可能な状態となっている。
例えば、ドアトリム1の製造過程において、プルハンドル部6が定位置で固定される前に、プルハンドル部6の周囲を構成する他の部品がメインボード8に対して組み付けられる場合がある。この場合、プルハンドル部6が他の部品と干渉しないように、予めプルハンドル部6を定位置に配置させておく必要がある。また、オートメーション等により、プルハンドル部6を定位置で固定する作業(例えば、ビス締め)を行う場合にも、固定作業を行い易くする等の目的で、プルハンドル部6を予め定位置に配置させておく必要がある。このような場合等において、プルハンドル部6は、本固定の前に仮固定される。
図5は、プルハンドル部6が仮固定されている車室内側から見た状態のメインボード8の斜視図であり、図6は、プルハンドル部6が仮固定されている車室外側から見た状態のメインボード8におけるプルハンドル部6付近の拡大図である。また、図7は、図6のA−A線断面図である。
プルハンドル部6が定位置で仮固定される際、箱本体部61は、接続部62の回動起点部Xを中心に、車室内側から車室外側に向かうように回転する。その際、箱本体部61の底部61bに設けられている被係止部12も、箱本体部61と共に車室内側から車室外側に向かうように回転する(図7の矢印Y参照)。そして、被係止部12が、ドアトリム本体部2の車室外側面1bに近付き、車室外側面1b上に立設されている係止部11の仮固定部112に対して係止されると、プルハンドル部6が定位置で仮固定される。
仮固定部112は、ドアトリム本体部2の車室外側面1bから車室外側に突出しつつ、少なくとも1つの突出片部121に対して係止される形を有している。具体的には、仮固定部112は、2つの突出片部121,121の間に配されつつ車室外側面1bから車室外側に突出する基部112aと、基部112aの先端から車両前後方向において互いに逆向きに延びる一対の(2つの)突起部112b,112bとを備えている。
基部112aの基端側(根元側)は、本固定部111の台座部111bに対して一体的に形成されつつ、ドアトリム本体部2の車室外側面1b上に立設されている。また、基部112aは、全体的には、車室外側面1bから車室外側に向かって延びた形をなしている。基部112aの先端側は、2つの突出片部121,121の先端側の間に収まる大きさに設定されている。
図8は、仮固定時に、互いに係止している係止部11の仮固定部112と、被係止部12の突出片部121とを下方から見た状態の説明図であり、図9は、仮固定時に、互いに係止している係止部11の仮固定部112と、被係止部12の突出片部121とを車室外側から見た状態の説明図である。
仮固定時において、被係止部12の突出片部121が、仮固定部112の突起部112bに対して係止される。被係止部12が備える2つの突出片部121,121は、基端(根元)側から先側に向かうにつれて、凹状スリット122の開口幅Wが幅広となる幅広部124を備えている。仮固定時に、被係止部12がドアトリム本体部2の車室外側面1bに近付くように回動すると、仮固定部112の先端部分は、被係止部12の2つの突出片部121,121の間を通過する形となる(図8参照)。その際、2つの突出片部121,121の間にある幅広部124は、仮固定部112の先端にある突起部112bに接触しながら通過する。また、その際、被係止部12の突出片部121,121は、車室外側面1bに近付く形で回動しながら、仮固定部112の各突起部112b,112bを乗越える形となる。突出片部121が突起部112bを乗越える際、主として、突出片部121が弾性変形する。なお、他の実施形態においては、反対に、主として、仮固定部112の先端部分(突起部112b)が弾性変形するように設定されてもよい。
また、突起部112bの表面112b1は丸みを帯びているため、仮固定時に、車室外側面1bに向かって回動する突出片部121は、摩擦が低減等されたため突起部112bを乗越え易くなっている。
被係止部12の突出片部121が、仮固定部112の先端部分にある突起部112bを乗越えると、2つの突出片部121,121の間に、仮固定部112の基部112aが配される形となる。そして、被係止部12の突出片部121は、突起部112bに対して車室内側から車室外側に向かって接触する形で係止される。このように、被係止部12の突出片部121が、仮固定部112の突起部112bに対して係止されると、プルハンドル部6が定位置で仮固定されることになる。
仮固定部112の突起部112bと、被係止部12の突出片部121とを、互いに係止させる力は、例えば、突出片部121の長さや、開口幅Wの大きさ、幅広部124の形状等を適宜、設定することにより、調節することができる。特に、本実施形態では、被係止部12の突出片部121と、仮固定部112の突起部112bとの係止方向が車幅方向(車室内外方向)となっている。そのため、被係止部12の突出片部121と、仮固定部112の突起部112bとの係止方向と、被係止部12の突出片部121が延びる方向とが互いに重ならずに、互いに垂直に交わっている。つまり、突出片部121の先端部より先側(下方に)には、それと係止される仮固定部112は配置されていないため、突出片部121の長さをある程度、自由に設定することができる。したがって、本実施形態では、被係止部12の突出片部121と、突起部112bとを互いに係止させる力を適宜、調節することができる。
車両前後方向における仮固定部112の基部112aの両側には、仮固定時の突出片部121を収容するためのスペース112c,112cがある。仮固定時において、被係止部12の突出片部121,121は、このスペース112c,112c内に配されている。被係止部12は、突出片部121,121が前記スペース112c,112c内に配され、かつ突起部112b,112bに車幅方向で係止されることによって、ドアトリム1の車室外側面1bから車室外側に向かって離れることが防止されている。
図7に示されるように、仮固定時に、突出片部121を乗越えた突出片部121は、補強リブ部113の先端部分(ただし、補強リブ部113aは除く)と当接する形となる。また、仮固定時において、プルハンドル部6の箱本体部61のうち、車室内側に配される壁部61cには、アームレスト部3に設けられている位置決め部32が当接する形となっている。位置決め部32は、アームレスト部3において車室内側から車室外側に向かって延びた形をなしており、プルハンドル部6を定位置で位置決めするために箱本体部61の壁部61cを車室側から受ける部分となっている。図7に示されるように、プルハンドル部6の箱本体部61は、上部の挿入口61aよりも底部61bが車室内側に配されるように、全体的に傾斜している。このように、箱本体部61が傾斜していることにより、乗員が挿入口61aから手を入れつつ、プルハンドル部6(箱本体部61)を掴み易くなっている。なお、上述した補強リブ113の先端部分も、プルハンドル部6の箱本体部61が上記のように定位置において傾斜した状態で配置されるように傾斜している。ただし、本固定部111のボス部111aと仮固定部112との間を繋ぐ補強リブ部113aの先端部分は、上下方向(鉛直方向)に沿って真っ直ぐに延びている。
なお、定位置で仮固定されているプルハンドル部6の箱本体部61を、仮固定時とは逆向きに、接続部62の回動起点部Xを中心として回動させると、被係止部12の突出片部121が箱本体部61と共に回動しつつ突起部112bを乗越えて、被係止部12と仮固定部112との係止を解消させることができる。
係止部11における本固定部111と仮固形部112との配置関係は、図9等に示されるように、被係止部12が係止部11に対して仮固定、又は本固定されている際に、本固定部111が、被係止部12の突出片部121の基端側(根元側)に配され、かつ仮固定部112が、突出片部121の先端側に配される関係となっている。
本固定部111は、被係止部12の凹状スリット122の基端側に収まるように、ドアトリム本体部2の車室外側面1b上に立設されている。これに対し、仮固定部112は、ドアトリム本体部2の車室外側面1b上において、本固定部111よりも下方の位置に立設されている。
図10は、ドアトリム本体部2に本固定されているプルハンドル部6の断面図である。プルハンドル部6は、最終的には、図10に示されるようにドアトリム本体部2の車室外側面1b上に立設されている本固定部111に固定されている。本固定部111の先端部分にある円筒状のボス部111aが、超音波により溶融されて扁平な状態となり、突出片部121に溶着されている。
なお、図3等に示されるように、プルハンドル部6の箱本体部61に設けられている被係止部12には、突出片部121を補強する補強リブ125が設けられている。補強リブ125,125は、箱本体部61の底部61bから被係止部12の外縁に沿いつつ下方に延びた形をなしている。また、補強リブ125は、基端(根元側)から先側に向かうにつれて徐々に先細る形をなしている。補強リブ125は、被係止部12の車両前後における両端部にそれぞれ1つずつ設けられている。
また、箱本体部61の車両前方側の端部と、車両後方側の端部には、それぞれドアトリムを構成する部品等に対してプルハンドル部6が組み付けられる際に利用される取付部63,64が設けられている。
以上のように、本実施形態のドアトリム1は、本固定時における係止部11の本固定部111と、被係止部12の突出片部121との間の係止構造に影響を与えずに、仮固定時における係止部11の仮固定部112と、被係止部12の突出片部121との間の係止力を容易に調整することができる。
また、ドアトリム1では、仮固定部112は、2つの突出片部121,121の間に配される基部112aと、基部112aから互いに逆向きに延びる一対の突起部112b、112bを有し、被係止部12は、2つの突出片部121が、それぞれ突起部112b,112bに係止されるものである。このドアトリム1では、仮固定時に係止部11が回動すると、2つの突出片部121,121の間を仮固定部112の一対の突起部112b,112bが通過し、突出片部121,121の間に仮固定部112の基部112aが間に配される形となる。2つの突出片部121,121は、仮固定部112の一対の突起部112b,112bに対してそれぞれ係止されるため、仮固定時における被係止部12と仮固定部112との係止構造が安定化する。
また、ドアトリム1では、突出片部121は、先端側に向うにつれて凹状スリット122の開口幅Wが幅広となる幅広部124を含むものであってもよい。したがって、ドアトリム1では、仮固定時に被係止部12の突出片部121を仮固定部112に対して係止させる際に、回動する突出片部121の凹状スリット122内に挿入される仮固定部112の挿入硬さを抑えることができる。
また、ドアトリム1では、本固定部111が、突出片部121の基端側に配され、仮固定部112が、突出片部121の先端側に配される。ドアトリム1は、このような構成を備えることにより、本固定時における係止部11の本固定部111と、被係止部12の突出片部121との間の係止構造に影響を与えずに、仮固定時における係止部11の仮固定部112と、被係止部12の突出片部121との間の係止構造を確保することができる。
また、ドアトリム1は、本固定部111から放射状に延びると共に、仮固定部112に接続して、本固定部111と仮固定部112とを補強する補強リブ部(補強部)113aを備える。したがって、ドアトリム1は、係止部11における本固定部111及び仮固定部112の強度が向上し、本固定における突出片部121及び本固定部111の係止構造と、仮固定における突出片部121及び仮固定部112の係止構造とがそれぞれ安定化する。
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ドアトリム1を構成するドアトリム本体部2の車室外側面1b上に、係止部11(本固定部111及び仮固定部112)が設けられていたが、本発明はこれに限られない。他の実施形態においては、例えば、係止部(本固定部及び仮固定部)が、ドアトリムを構成するアームレス部の車室外側面上に設けられてもよい。更に、他の実施形態においては、本固定部がアームレスト部の車室外側面上に設けれ、かつ、仮固定部がドアトリム本体部の車室側面上に設けられてもよい。
(2)上記実施形態では、被係止部12が備える2つの突出片部121,121が、仮固定部112の一対の突起部112b,112bにそれぞれ係止される構成であったが、本発明はこれに限られない。他の実施形態においては、例えば、図11に示される被係止部12Aを、実施形態1の被係止部12に代えて用いてもよい。被係止部12Aは、図11に示されるように、車両後側(図11の左側)に配される一方の突出片部121は、実施形態1のものと同様である。これに対して、車両前側(図11の右側)に配される他方の突出片部121Aは、突出片部121と比べて先側が短くなっており、仮固定部112の突起部112bに対して係止されない構成となっている。このように、1つの突出片部121のみを利用して、被係止部12Aと仮固定部112とを形成させて仮固定を行ってもよい。また、このような場合においても、仮固定部112の突起部112bに係止される突出片部121の長さを適宜、設定することにより、突起部112bと突出片部121との係合力が容易に、調整されることになる。
(3)上記実施形態では、仮固定部112が備える2つの突起部112b,112bに、それぞれ被係止部12の2つの突出片部121,121にそれぞれ係止される構成であったが、本発明はこれに限られない。他の実施形態においては、例えば、図12に示される仮固定部112Aを、実施形態1の仮固定部112に代えて用いてもよい。仮固定部112Aは、図12に示されるように、基部112aの先端から車両前側(図12の右側)に向かって、実施形態1と同様、突起部112bが設けられている。これに対し、基部112aの先端から車両後側(図12の左側)には、突出片部121に対して係止される部分が係止されていない。図12に示される仮固定部112Aは、全体的には、略L字状の外観形状を備えている。このように、突出片部121と係止される突起部112bを1つのみ備える仮固定部112Aを、用いてもよい。
1…ドアトリム、2…ドアトリム本体部、3…アームレスト部、6…プルハンドル部、61…箱本体部、61a…挿入口、61b…底部、62…接続部、11…係止部、111…本固定部、111a…ボス部、112…仮固定部、112a…基部、112b…突起部、113a…補強リブ部(補強部)、12…被係止部、121…突出片部、122…凹状スリット、123…凹状スリットの縁部、124…幅広部、125…補強リブ

Claims (4)

  1. 車両ドアの車室内側に取り付けられるドアトリム本体部と、
    前記ドアトリム本体部から車室内側に張り出した形をなすアームレスト部と、
    挿入口を含む有底の箱状をなした箱本体部と、前記箱本体部を車室内側から車室外側に回動させて、前記挿入口が上方を向く形で前記アームレスト部内に前記箱本体部が配されるように、前記アームレスト部と前記箱本体部とを接続する接続部とを有し、前記アームレスト部に一体的に形成されているプルハンドル部と、
    前記ドアトリム本体部又は前記アームレスト部の車室外側面に立設される係止部と、
    前記箱本体部に設けられ、前記箱本体部と共に回動して前記係止部に係止される被係止部とを備えるドアトリムであって、
    前記被係止部は、前記箱本体部から下方に延びる2つの突出片部を有し、
    前記係止部は、前記被係止部を本固定する本固定部と、前記本固定部で本固定されるまで前記被係止部を仮固定する仮固定部とを有し、
    前記本固定部は、前記車室外側面から車室外側に突出し、前記突出片部によって形成される凹状スリットの縁部に対して係止され、
    前記仮固定部は、前記車室外側面から車室外側に突出し、少なくとも1つの前記突出片部に対して係止され
    前記本固定部が、前記突出片部の基端側に配され、前記仮固定部が、前記突出片部の先端側に配されることを特徴とするドアトリム。
  2. 前記仮固定部は、2つの前記突出片部の間に配される基部と、前記基部から互いに逆向きに延びる一対の突起部を有し、
    前記被係止部は、2つの前記突出片部が、それぞれ前記突起部に係止される請求項1に記載のドアトリム。
  3. 前記突出片部は、先端側に向うにつれて前記凹状スリットの開口幅が幅広となる幅広部を含む請求項2に記載のドアトリム。
  4. 前記本固定部から放射状に延びると共に、前記仮固定部に接続して、前記本固定部と前記仮固定部とを補強する補強部を備える請求項1〜3のいずれか一項に記載のドアトリム。
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