JP6938860B2 - 形状支持用液体、及び立体造形物の製造方法 - Google Patents
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本発明の形状支持用液体は、水素結合能を有するモノマー(A)と、水素結合能を有する溶媒(B)と、重合開始剤(C)と、を含み、更に必要に応じてその他の成分を含む。
本発明の形状支持用液体は、従来の技術では、サポート部の溶解性を高めると、除去は容易になる一方でサポート性能が不足し、また、造形装置を大型化して造形体積を大きくする場合、形状支持能力が不足するという問題があるという知見に基づくものである。
なお、前記水崩壊性とは、水に浸漬したときに、硬化物が細かく分解され、当初有していた形状や性質を維持できなくなることを意味する。
なお、本発明において、常温は、例えば、20℃以上40℃以下等である。
<条件>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た、縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物を、20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置すると、少なくとも一方向が1mm以下の大きさの固体であるか、完全に溶解している。
縦20mm×横20mm×高さ5mmのシリコーンゴム型に形状支持用液体を流し込み、紫外線照射装置(装置名:SubZero−LED、インテグレーション・テクノロジー株式会社製)により、紫外線を照射量500mJ/cm2(照度:100mW/cm2、照射時間:5秒間)にて照射して縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物であるサポート部を得ることができる。
<条件>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た硬化物が、25℃環境下にて1%圧縮時の圧縮応力が2.0kPa以上の固体であり、前記固体2gを20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置したときの残存固体の体積が50体積%以下である。
なお、残存固体の体積は、アルキメデス法により測定することができる。
なお、前記1%圧縮時の圧縮応力としては、形状を支持するモデル部の大きさ等にも影響され、前記モデル部の大きさが大きい場合は、形状支持の点から、2.0kPa以上がより好ましい。
また、前記1%圧縮時の圧縮応力は、万能試験機(装置名:AG−I、株式会社島津製作所製、ロードセル1kN、1kN用圧縮ジグ)を用いて測定することができる。
前記紫外線照射装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、装置名:AG−I(株式会社島津製作所製)を用いて測定することができる。
前記照射量500mJ/cm2においては、照度が100mW/cm2、照射時間が5秒間であることが好ましい。
前記水素結合能を有するモノマー(A)は、水素結合能を有すれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紫外線等の活性エネルギー線の照射によりラジカル重合する重合性を有する単官能モノマーや多官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水崩壊性を向上する点から、単官能モノマーが好ましい。
前記水素結合能を有する水溶性単官能エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、単官能ビニルアミド基含有モノマー[N−ビニル−ε−カプロラクタム、N−ビニルホルムアミド、N−ビニルピロリドン等];単官能水酸基含有(メタ)アクリレート[ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等];水酸基含有(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(C1〜4)ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノアルコキシ(C1〜4)ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、PEG−PPGブロックポリマーのモノ(メタ)アクリレート等];(メタ)アクリルアミド誘導体[(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−ブチル(メタ)アクリルアミド、N,N’−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシブチル(メタ)アクリルアミド等]、(メタ)アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、光反応性の点から、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド誘導体が好ましく、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N,N’−ジメチルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−ヒドロキシプロピルアクリルアミド、N−ヒドロキシブチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドがより好ましく、人体への皮膚低刺激性の点から、アクリロイルモルホリン(分子量:141.17)、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(分子量:115.15)が特に好ましい。
前記水素結合能を有する水溶性多官能エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、二官能基のモノマーとして、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化オペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート;三官能以上のモノマーとして、トリアリルイソシアネート、トリス(2ーヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記水素結合能を有する溶媒(B)は、水素結合能を有するモノマー(A)と水素結合能を有し、水素結合能を有するモノマー(A)と水素結合を形成することにより、形状支持用サポート部の機能を発揮することができる。
前記水素結合能を有する溶媒(B)は、25℃にて液体であることが好ましい。
前記炭素数3以上6以下のジオールとしては、水溶性アクリルモノマーと反応性がないこと、硬化時のラジカル重合反応を阻害しないこと、常温にて流動性があり、水に可溶な材料であることが好ましい。
また、前記炭素数3以上6以下のジオールとしては、単官能性、多官能性のいずれも使用することができる。
前記炭素数としては、3以上6以下であり、3以上5以下が好ましい。前記炭素数が、3以上であると、1%圧縮時の圧縮応力を向上でき、6以下であると、形状支持用液体の粘度を低くすることができる。
なお、前記炭素数3以上6以下のジオールの炭素鎖としては、直鎖でもよく、枝分かれしていてもよい。
前記カルボン酸化合物としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキシル酸等の直鎖脂肪族酸;イソブチル酸、t−ブチル酸、イソペンチル酸、イソオクチル酸、2−エチルヘキシル酸等の各種分岐型脂肪族カルボン酸;安息香酸、ベンゼンスルホン酸等の芳香族系カルボン酸;グリコール酸、乳酸等のヒドロキシカルボン酸などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水への溶解性の点から、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、乳酸が好ましく、ブタン酸、乳酸がより好ましい。
前記アミン化合物としては、例えば、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、トリアルキルアミン等の1〜3級アミン;エチレンジアミン等の2価アミン;トリエチレンジアミン等の3価アミン;ピリジン、アニリン等の脂肪族系アミンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水素結合による架橋強度、及び水への溶解性の点から、2価又は3価の1級アミンが好ましく、エチレンジアミンがより好ましい。
前記エステル化合物としては、例えば、酢酸エチル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル等の単官能エステル;コハク酸ジメチル、アジピン酸ジメチル等の多官能脂肪族エステル;テレフタル酸ジメチル等の多官能芳香族エステルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水への溶解度、造形中の蒸発や臭気、及び安全性の点から、アジピン酸ジメチルが好ましい。
前記ケトン化合物としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等の単官能ケトン、アセチルアセトン、2,4,6−ヘプタトリオン等の多官能ケトンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、揮発性や水への溶解度の点から、アセチルアセトンが好ましい。
前記(A)の含有量(質量%)と、前記(B)の含有量(質量%)との質量比(A/B)が、0.3以上2.5以下が好ましく、0.5以上2.5以下がより好ましい。前記質量比(A/B)が、0.3以上2.5以下であると、1%圧縮時の圧縮応力を向上できる。
前記重合開始剤(C)としては、光(特に、波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
なお、前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記形状支持用液体の粘度としては、25℃にて100mPa・s以下が好ましく、25℃にて、3mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下が特に好ましい。
前記粘度が、100mPa・s以下であると、吐出安定性を向上できる。
なお、前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)を用いて25℃の環境下にて測定することができる。
前記形状支持用液体としては、50℃にて2週間放置した前後の粘度変化率が±20%以下であることが好ましく、±10%以下がより好ましい。
前記粘度変化率が、±20%以下であると、保存安定性が適正であり、吐出安定性が良好となる。
前記形状支持用液体をポリプロピレン製広口瓶(50mL)に入れて、50℃の恒温槽中に2週間放置した後、恒温槽から取り出して室温(25℃)になるまで放置して、粘度測定を行う。恒温槽に入れる前の形状支持用液体の粘度を保存前粘度、恒温槽から取り出した後の形状支持用液体の粘度を保存後粘度とし、下記式により粘度変化率を算出することができる。なお、前記保存前粘度及び前記保存後粘度は、例えば、R型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定することができる。
粘度変化率(%)=[(保存後粘度)−(保存前粘度)]/(保存前粘度)×100
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、溶媒、重合禁止剤、形状支持用液体に分散可能な鉱物、前記(A)成分とは別に重合性モノマー、熱重合開始剤、着色剤、酸化防止剤、連鎖移動剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
前記溶媒としては、例えば、アルコール、エーテル化合物、トリオール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合禁止剤としては、例えば、フェノール化合物[ヒドロキノン、ヒドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン等]、硫黄化合物[ジラウリルチオジプロピオネート等]、リン化合物[トリフェニルフォスファイト等]、アミン化合物[フェノチアジン等]などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記形状支持用液体に分散可能な鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層状粘土鉱物などが挙げられる。
前記層状粘土鉱物としては、天然の鉱物として産するものであってもよいし、化学合成法によって製造されたものであってもよい。
前記層状粘土鉱物等の層状無機物は、有機カチオン性化合物により処理されて、層間の陽イオンが4級塩等のカチオン性基とイオン交換され得る。
前記層状粘土鉱物の陽イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カルシウムイオン等の金属カチオンなどが挙げられる。
前記有機カチオン性化合物により処理された層状粘土鉱物としては、例えば、ルーセンタイトシリーズ(コープケミカル株式会社製)などが挙げられる。前記ルーセンタイトシリーズ(コープケミカル株式会社製)としては、例えば、ルーセンタイトSPN、ルーセンタイトSAN、ルーセンタイトSEN、ルーセンタイトSTNなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。ただし、保存安定性の点から熱熱重合開始剤より光重合開始剤が好ましい。
前記着色剤としては、例えば、顔料、染料などが挙げられる、
前記顔料としては、例えば、有機顔料、無機顔料などが挙げられる。
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール化合物〔単環フェノール(2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール等)、ビスフェノール[2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等]、多環フェノール[1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン等]等〕、硫黄化合物(ジラウリル3,3’−チオジプロピオネート等)、リン化合物(トリフェニルホスファイト等)、アミン化合物(オクチル化ジフェニルアミン等)などが挙げられる。
前記連鎖移動剤としては、例えば、炭化水素[炭素数6以上24以下の化合物、例えば、芳香族炭化水素(トルエン、キシレン等)、不飽和脂肪族炭化水素(1−ブテン、1−ノネン等)];ハロゲン化炭化水素(炭素数1以上24以下の化合物、例えば、ジクロロメタン、四塩化炭素等);アルコール(炭素数1以上24以下の化合物、例えば、メタノール、1−ブタノール等);チオール(炭素数1以上24以下の化合物、例えば、エチルチオール、1−オクチルチオール等);ケトン(炭素数3以上24以下の化合物、例えば、アセトン、メチルエチルケトン等);アルデヒド(炭素数2以上18以下の化合物、例えば、2−メチル−2−プロピルアルデヒド、1−ペンチルアルデヒド);フェノール(炭素数6以上36以下の化合物、例えば、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、o−クレゾール等);キノン(炭素数6以上24以下の化合物、例えば、ヒドロキノン等);アミン(炭素数3以上24以下の化合物、例えば、ジエチルメチルアミン、ジフェニルアミン);ジスルフィド(炭素数2以上24以下の化合物、例えば、ジエチルジスルフィド、ジ−1−オクチルジスルフィド等)などが挙げられる。
本発明における形状支持用液体の硬化物(以下、「サポート部」とも称することがある)の支持力としては、サポート部がモデル部を支える性能であり、1%圧縮時の圧縮応力で表すことができる。
前記サポート部の支持力としては、サポート部を構成する(A)、(B)の成分について、それらの種類および含有量を選択することにより、上記範囲に調整することができる。なお、1%圧縮時の圧縮応力は、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)を用いて測定することができる。
前述の通り、本発明におけるサポート部の支持力は、水素結合に由来する。前記サポート部の支持力は、水に浸漬させることにより弱まり、崩壊して除去することが可能になる。また、前記(B)が低分子量であると、拡散が早く、短い時間にて除去することが可能となる。
前記溶解液は、例えば、水素結合能を有するものが挙げられる。
前記溶解液としては、例えば、水、アルコールであるブタノールやヘキサノール、アミンであるヘキシルアミンやペンチルアミン、芳香族化合物であるベンゼンやトルエンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、安全性の点から、水、アルコールが好ましい。
前記添加物としては、例えば、界面活性剤などが挙げられる。前記界面活性剤の種類や量を調整することにより直鎖アルキル鎖に対する親和性を上げることができる。
前記溶解液は、サポート部を軟化させ、内部に浸透しやすくする点から、40℃以上が好ましいが、立体造形物の反りを予防する点から、40℃より低い温度を選択することもできる。
本発明の立体造形物の製造方法は、本発明の形状支持用液体を用いて立体造形物を製造する。
前記立体造形物の製造方法としては、モデル材及び本発明の形状支持用液体(サポート材)を用いて液膜を形成する液膜形成工程と、前記液膜を硬化する硬化工程と、を繰り返すことにより、前記モデル材の硬化物であるモデル部及び前記形状支持用液体(サポート材)の硬化物であるサポート部からなる立体造形物を作製した後、前記サポート部を除去することが好ましい。
前記サポート部の除去としては、水又は水蒸気で行うことが好ましい。
本発明の立体造形物の製造装置は、形状支持用液体を収容する収容部と、前記形状支持用液体を用いて液膜を形成する液膜形成手段と、前記液膜を硬化する硬化手段と、を有する。
前記立体造形物の製造方法は、前記立体造形物の製造装置により好適に実施することができる。
前記液膜形成工程は、本発明の形状支持用液体の塗布位置及び塗布量を制御しながら液膜を形成する工程である。
前記液膜形成手段は、本発明の形状支持用液体の塗布位置及び塗布量を制御しながら液膜を形成する手段である。
前記液膜形成工程は、前記液膜形成手段により好適に実施することができる。
前記硬化工程は、前記液膜を硬化する工程である。
前記硬化手段は、前記液膜を硬化する手段である。
前記硬化工程は、前記硬化手段により好適に実施することができる。
前記硬化手段としては、例えば、紫外線照射装置などが挙げられる。
前記紫外線(UV)照射装置としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドなどが挙げられる。
前記高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたDeepUVタイプは、短波長領域の照射が可能である。
前記メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効であり、Pb、Sn、Feなどの金属のハロゲン化物が用いられ、重合開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。硬化用いられるランプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FusionSystem社製のHランプ、Dランプ、又はVランプ等のような市販されているものも使用することができる。
まず、三次元CADで設計された三次元形状あるいは三次元スキャナやディジタイザで取り込んだ三次元形状のサーフェイスデータあるいはソリッドデータを、STLフォーマットに変換して積層造形装置に入力する。
なお、粘度は、以下のように測定した。
前記粘度は、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)を用いて25℃の環境下にて測定した。
アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ株式会社製)50.0質量部、1,3−プロパンジオール(東京化成工業株式会社製)50.0質量部、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(商品名:イルガキュア184、BASF株式会社製)3.0質量部、及びフェノチアジン(東京化成工業株式会社製)0.1質量部を添加し、撹拌混合して実施例1の形状支持用液体を得た。
実施例1において、組成を下記表1〜5に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜15及び比較例1〜9の形状支持用液体を得た。
縦20mm×横20mm×高さ5mmのシリコーンゴム型に形状支持用液体を流し込み、紫外線照射装置(装置名:SubZero−LED、インテグレーション・テクノロジー株式会社製)により、紫外線を照射量500mJ/cm2(照度:100mW/cm2、照射時間:5秒間)にて照射して縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物であるサポート部を得た。
得られた縦20mm×横20mm×高さ5mmのサポート部を25℃の温水20gに入れ、1時間静置した。その後、シリコーンゴム型を取り出し、目視により、サポート部を観察し、下記評価基準に基づいて、「サポート部の除去性(水崩壊性)」を評価した。なお、残存固体の体積は、アルキメデス法により測定した。
−評価基準−
○:サポート部が30体積%未満である
△:サポート部が30体積%以上50体積%以下である
×:サポート部が50体積%超残存している
得られた縦20mm×横20mm×高さ5mmのサポート部を25℃環境下において、万能試験機(装置名:AG−I、株式会社島津製作所製)、ロードセル1kN、1kN用圧縮ジグを設け、縦20mm×横20mm×高さ5mmの形状に造形したサポート部を設置し、ロードセルにかかる圧縮に対する応力をコンピュータに記録して、変位量に対する応力をプロットし、1%圧縮時の圧縮応力を測定した。
・アクリロイルモルホリン:KJケミカルズ株式会社製、分子量:141.17
・N−ヒドロキシエチルアクリルアミド:KJケミカルズ株式会社製、分子量:115.15
・1,3−プロパンジオール:東京化成工業株式会社製
・1,4−ブタンジオール:東京化成工業株式会社製
・1,5−ペンタンジオール:東京化成工業株式会社製
・1,6−ヘキサンジオール:東京化成工業株式会社製
・ブタン酸:東京化成工業株式会社製
・L−乳酸:東京化成工業株式会社製
・メチルアミン:東京化成工業株式会社製
・アジピン酸ジメチル:東京化成工業株式会社製
・アセチルアセトン:東京化成工業株式会社製
・トリメチルウレア:東京化成工業株式会社製
・1−ヘキサノール:東京化成工業株式会社製
・1−ドデカノール:東京化成工業株式会社製
・1,2−エタンジオール:東京化成工業株式会社製
・1,7−ヘプタンジオール:東京化成工業株式会社製
・1,3,5−トリオール−3−メチルペンタン:東京化成工業株式会社製
・エチレングリコールジメチルエーテル:東京化成工業株式会社製
・1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン:BASF株式会社製、商品名:イルガキュア184
・フェノチアジン:東京化成工業株式会社製
・ポリプロピレングリコール(ジオール型、400):和光純薬工業株式会社製
実施例4は、炭素数5のジオール及び炭素数6のジオールを併用している例であるが、サポート部の除去性(水崩壊性)が少し劣ることが分かる。
実施例5は、(B)成分として炭素数6のジオールを用いた例であるが、サポート部の除去性(水崩壊性)が少し劣ることが分かる。
実施例6は、質量比(A/B)が、0.5未満である例であるが、サポート部の支持力(1%圧縮時の圧縮応力)が少し劣ることが分かる。
実施例7は、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを用いた例であるが、サポート部の除去性(水崩壊性)に優れるが、サポート部の支持力(1%圧縮時の圧縮応力)が少し劣り、粘度も高いことが分かる。
実施例9〜15は、炭素数3以上6以下のジオール以外の(B)成分を使用した例であるが、高粘度、サポート部の除去性(水崩壊性)、及びサポート部の支持力(1%圧縮時の圧縮応力)のいずれかが劣ることが分かる。
比較例1〜8は、(B)成分を含有しない例であるが、サポート部の除去性(水崩壊性)、及びサポート部の支持力(1%圧縮時の圧縮応力)のいずれかが劣ることが分かる。
<1> 水素結合能を有するモノマー(A)と、
水素結合能を有する溶媒(B)と、
重合開始剤(C)と、を含むことを特徴とする形状支持用液体である。
<2> 前記水素結合能を有する溶媒(B)が、炭素数3以上6以下のジオール、カルボン酸化合物、アミン化合物、エステル化合物、ケトン化合物、及びウレア化合物から選択される少なくとも1種である前記<1>に記載の形状支持用液体である。
<3> 前記水素結合能を有する溶媒(B)が、前記炭素数3以上6以下のジオールである前記<1>に記載の形状支持用液体である。
<4> 紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た硬化物の、25℃環境下における1%圧縮時の圧縮応力が、0.5kPa以上の固体となる前記<1>から<3>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<5> 紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た硬化物が、25℃環境下における1%圧縮時の圧縮応力が2.0kPa以上の固体となる前記<1>から<4>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<6> 以下の条件を満たす前記<1>から<5>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<条件>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た、縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物を、20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置すると、少なくとも一方向が1mm以下の大きさの固体であるか、完全に溶解している。
<7> 以下の条件を満たす前記<1>から<6>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<条件>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た硬化物が、25℃環境下にて1%圧縮時の圧縮応力が2.0kPa以上の固体であり、
前記固体2gを20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置したときの残存固体の体積が50体積%以下である。
<8> 前記(A)の含有量が、30質量%以上60質量%以下であり、
前記(B)の含有量が、10質量%以上50質量%以下である前記<1>から<7>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<9> 前記(A)が、単官能モノマーであり、
前記単官能モノマーの分子量が、100以上500以下である前記<1>から<8>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<10> 前記(A)の含有量(質量%)と、前記(B)の含有量(質量%)との質量比(A/B)が、0.5以上2.5以下である前記<1>から<9>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<11> 前記(A)が、アクリロイルモルホリン及びN−ヒドロキシエチルアクリルアミドの少なくともいずれかである前記<1>から<10>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<12> 前記形状支持用液体の粘度が、25℃にて100mPa・s以下である前記<1>から<11>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<13> 前記炭素数3以上6以下のジオールが、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、及び1,6−ヘキサンジオールから選択される少なくとも1種である前記<2>から<12>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<14> 前記カルボン酸化合物が、ブタン酸、及び乳酸の少なくともいずれかである前記<2>から<13>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<15> 前記アミン化合物が、エチレンジアミンである前記<2>から<14>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<16> 前記エステル化合物が、アジピン酸ジメチルである前記<2>から<15>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<17> 前記ケトン化合物が、アセチルアセトンである前記<2>から<16>のいずれかに記載の形状支持用液体である。
<18> 前記<1>から<17>のいずれかに記載の形状支持用液体を用いて立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<19> モデル材及び前記<1>から<17>のいずれかに記載の形状支持用液体(サポート材)を用いて、液膜を形成する液膜形成工程と、
前記液膜を硬化する硬化工程と、を繰り返すことにより、前記モデル材の硬化物であるモデル部及び前記形状支持用液体(サポート材)の硬化物であるサポート部からなる立体造形物を作製した後、前記サポート部を除去することを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<20> 前記サポート部の除去を水又は水蒸気で行う前記<19>に記載の立体造形物の製造方法である。
<21> 前記液膜形成手段が、インクジェット方式及びディスペンサー方式のいずれかである前記<19>から<20>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<22> 前記<1>から<17>のいずれかに記載の形状支持用液体を収容する収容部と、
前記形状支持用液体を用いて液膜を形成する液膜形成手段と、
前記液膜を硬化する硬化手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
Claims (14)
- 水素結合能を有するモノマー(A)と、
水素結合能を有する溶媒(B)と、
重合開始剤(C)と、を含み、
前記水素結合能を有するモノマー(A)がアクリロイルモルホリンを含み、前記アクリロイルモルホリンの含有量が30質量%以上であり、
前記水素結合能を有する溶媒(B)が、炭素数3以上6以下のジオール、ブタン酸、L−乳酸、メチルアミン、アジピン酸ジメチル、アセチルアセトン、及びトリメチルウレアから選択される少なくとも1種である、
ことを特徴とする形状支持用液体。 - 紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た硬化物が、25℃環境下における1%圧縮時の圧縮応力が0.5kPa以上の固体となる請求項1に記載の形状支持用液体。
- 紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た硬化物が、25℃環境下における1%圧縮時の圧縮応力が2.0kPa以上の固体となる請求項1から2のいずれかに記載の形状支持用液体。
- 以下の条件を満たす請求項1から3のいずれかに記載の形状支持用液体。
<条件>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た、縦20mm×横20mm×高さ5mmの硬化物を、20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置すると、少なくとも一方向が1mm以下の大きさの固体であるか、完全に溶解している。 - 以下の条件を満たす請求項1から4のいずれかに記載の形状支持用液体。
<条件>
紫外線照射装置により紫外線を500mJ/cm2照射して得た硬化物が、25℃環境下にて1%圧縮時の圧縮応力が2.0kPa以上の固体であり、
前記固体2gを20mLの水に入れ、25℃にて1時間静置したときの残存固体の体積が50体積%以下である。 - 前記(A)の含有量が、30質量%以上60質量%以下であり、
前記(B)の含有量が、10質量%以上50質量%以下である請求項1から5のいずれかに記載の形状支持用液体。 - 前記(A)が、単官能モノマーであり、
前記単官能モノマーの分子量が、100以上500以下である請求項1から6のいずれかに記載の形状支持用液体。 - 前記(A)の含有量(質量%)と、前記(B)の含有量(質量%)との質量比(A/B)が、0.5以上2.5以下である請求項1から7のいずれかに記載の形状支持用液体。
- 前記(A)が、N−ヒドロキシエチルアクリルアミドを更に含む請求項1から8のいずれかに記載の形状支持用液体。
- 前記形状支持用液体の粘度が、25℃にて100mPa・s以下である請求項1から9のいずれかに記載の形状支持用液体。
- 請求項1から10のいずれかに記載の形状支持用液体を用いて立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造方法。
- モデル材及び請求項1から10のいずれかに記載の形状支持用液体(サポート材)を用いて、液膜を形成する液膜形成工程と、
前記液膜を硬化する硬化工程と、を繰り返すことにより、前記モデル材の硬化物であるモデル部及び前記形状支持用液体(サポート材)の硬化物であるサポート部からなる立体造形物を作製した後、前記サポート部を除去することを特徴とする立体造形物の製造方法。 - 前記サポート部の除去を水又は水蒸気で行う請求項12に記載の立体造形物の製造方法。
- 前記液膜形成工程が、インクジェット方式及びディスペンサー方式のいずれかによって行われる請求項12から13のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
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