JP6720476B2 - 立体造形用液体セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形物 - Google Patents

立体造形用液体セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形物 Download PDF

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本発明は、立体造形用液体、立体造形用液体セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形物に関する。
近年、インクジェット方式により液状の光硬化性樹脂を造形物の必要箇所に像形成し、これを多層化することで三次元造形物を形成するインクジェット光造形方式が提案されている。前記インクジェット光造形方式においては、立体造形物とは異なる材料からなる支持体を同時に形成し、立体造形中における立体造形物の変形や落下を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献1及び2参照)。
最近、医療用の臓器モデルや再生医療に用いる細胞の足場材料などの立体的かつ精細な構造を持つゲル状乃至軟質な立体造形物に対するニーズが増えつつあるが、複雑かつ精細な構造を三次元データから再現できる立体造形物の製造方法は、未だ提供されていない。特に、手術の練習等に用いられる臓器モデルは臓器内部の血管等の管構造、腫瘍の部分などの複雑な内部構造を有しており、型を用いて前記臓器モデルを製作することは極めて困難である。
本発明は、臓器モデル等に代表される複雑かつ精細な立体造形物を簡便に効率よく製造可能な立体造形物の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の立体造形物の製造方法は、多官能モノマーを少なくとも含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第二の工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする。
本発明によると、臓器モデル等に代表される複雑かつ精細な立体造形物を簡便に効率よく製造可能な立体造形物の製造方法を提供することができる。
図1は、層状鉱物、及び層状鉱物を水中で分散させた状態の一例を示す模式図である。 図2は、本発明の立体造形物の製造方法に用いられる立体造形装置の一例を示す概略図である。 図3は、本発明の立体造形物の製造方法に用いられる立体造形装置の他の一例を示す概略図である。 図4Aは、本発明の立体造形物の製造方法で製造された立体造形物の一例を示す概略斜視図である。 図4Bは、図4Aの概略断面図である。
(立体造形用液体(第一の液体))
本発明の立体造形用液体、即ち、本発明の立体造形物の製造方法で用いる第一の液体は、ハイドロゲル前駆体からなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
<ハイドロゲル前駆体>
前記ハイドロゲル前駆体は、多官能モノマーを少なくとも含み、水、有機溶剤、層状鉱物、単官能モノマー、及び重合開始剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
−多官能モノマー−
前記多官能モノマーは、不飽和炭素−炭素結合を2つ以上有する化合物であり、活性エネルギー線硬化型モノマーが好ましく、例えば、2官能モノマー、3官能モノマー、3官能以上のモノマーなどが挙げられる。
前記多官能モノマーのホモポリマーは、水溶性であることが好ましい。本発明において、前記多官能モノマーのホモポリマーの水溶性は、例えば、30℃の水100gに前記ホモポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
前記2官能モノマーとしては、例えば、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート,ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(MANDA)、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート(HPNDA)、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BGDA)、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート(BUDA)、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート(HDDA)、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート(DEGDA)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート(NPGDA)、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(TPGDA)、カプロラクトン変性ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステルジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシ変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール400ジ(メタ)アクリレート、メチレンビスアクリルアミドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート(PETA)、トリアリルイソシアネート、トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート,プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロポキシ化グリセリルトリ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記3官能以上のモノマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタ(メタ)アクリレートエステル、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記多官能モノマーの含有量は、立体造形用液体の全量に対して、0.001質量%以上1質量%以下が好ましく、0.01質量%以上0.5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、0.001質量%以上1質量%以下の範囲であると、得られるハイドロゲルの弾性率及び硬度を適正な範囲に調整することができる。
−水−
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水などを用いることができる。前記水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解乃至分散させてもよい。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−有機溶剤−
前記有機溶剤としては、水性であることが好ましく、例えば、エタノール等のアルコール、エーテル、ケトンなどが挙げられる。
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,3−ブタンジオール、2,4−ペンタンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2−ピロリドン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ヘキサンジオール、N−メチル−2−ピロリドン、N−メチルピロリジノン、β−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、β−メトキシ−N,N−ジメチルプロピオンアミド、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクタム、エチレングリコール、エチレングリコール−n−ブチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルヘキシルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、ジエチレングリコール、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジグリコール、テトラエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコール、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、プロピルプロピレンジグリコール、プロピレングリコール(1,2−プロパンジオール)、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機溶剤の含有量は、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
−層状鉱物−
前記層状鉱物は、単一層の状態で水に分散した層状鉱物であることが好ましい。
ここで、図1の上図に示すように、前記層状鉱物は、単位格子を結晶内に持つ二次元円盤状の結晶が積み重なった状態を呈しており、前記層状鉱物を水中で分散させると、図1の下図に示すように、各単一層状態で分離して円盤状の結晶となる。
前記層状鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母などが挙げられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
前記水膨潤性とは、図1に示すように層状鉱物の層間に水分子が挿入され、水中に分散されることを意味する。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、前記例示したものを、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製)、フッ素化ヘクトライト SWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、合成ヘクトライトが好ましい。
前記層状鉱物の含有量は、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上40質量%以下の範囲において、立体造形用液体の粘度が適正であり、インクジェットでの吐出性及び立体造形物の硬度が良好となる。
−単官能モノマー−
前記単官能モノマーは、不飽和炭素−炭素結合を1つ有する化合物であり、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、その他の単官能モノマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、又はN,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、などが挙げられる。
前記その他の単官能モノマーとしては、例えば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート(EHA)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEA)、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート(HPA)、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、カプロラクトン(メタ)アクリレート、エトキシ化ノニルフェノール(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記単官能モノマーを重合させることにより、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーが得られる。
前記アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する水溶性有機ポリマーは、ハイドロゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記単官能モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、立体造形用液体の全量に対して、1質量%以上10質量%以下が好ましく、1質量%以上5質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上10質量%以下の範囲であると、立体造形用液体中の層状鉱物の分散安定性が保たれ、かつ立体造形物の延伸性を向上させるという利点がある。前記延伸性とは、立体造形物を引張った際に伸び、破断しない特性のことを言う。
−重合開始剤−
前記重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
−−熱重合開始剤−−
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。
前記アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 33)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩(VAZO 50)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(VAZO 52)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(VAZO 64)、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(VAZO 67)、1,1−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)(VAZO 88)(いずれもDuPont Chemical社から入手可能)、VA−044、VA−46B、V−50、VA−057、VA−061、VA−067、VA−086、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(メチルイソブチレ−ト)(V−601)(いずれも和光純薬工業株式会社より入手可能)などが挙げられる。
前記過酸化物開始剤としては、例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化アセチル、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、ジセチルパーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート(Perkadox 16S)(Akzo Nobel社から入手可能)、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシピバレート(Lupersol 11)(Elf Atochem社から入手可能)、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(Trigonox 21−C50)(Akzo Nobel社から入手可能)、過酸化ジクミルなどが挙げられる。
前記過硫酸塩開始剤としては、例えば、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどが挙げられる。
前記レドックス(酸化還元)開始剤としては、例えば、前記過硫酸塩開始剤とメタ亜硫酸水素ナトリウム及び亜硫酸水素ナトリウムのような還元剤との組み合わせ、前記有機過酸化物と第3級アミンに基づく系(例えば、過酸化ベンゾイルとジメチルアニリンに基づく系)、有機ヒドロパーオキシドと遷移金属に基づく系(例えば、クメンヒドロパーオキシドとコバルトナフテートに基づく系)などが挙げられる。
−−光重合開始剤−−
前記光重合開始剤としては、光(特に波長220nm〜400nmの紫外線)の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2、2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合開始剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、立体造形用液体のモノマー全量に対して、0.01質量%〜3質量%が好ましい。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、界面活性剤、着色剤、安定化剤、水溶性樹脂、低沸点アルコール、表面処理剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
−立体造形用液体の物性−
前記立体造形用液体の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。
前記表面張力が、20mN/m以上であると、立体造形の際に立体造形用液体の吐出性が良好であり、45mN/m以下であると、吐出ノズル等に立体造形用液体を充填する際の充填性が良好である。
なお、前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記立体造形用液体の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、3mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下がより好ましい。
前記粘度が、3mPa・s以上20mPa・s以下の範囲であると、立体造形の際の立体造形用液体の吐出性が良好である。
なお、前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記立体造形用液体を硬化させて得られるハイドロゲルの80%歪み圧縮応力は、0.4MPa以上が好ましい。前記80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上であると、生体質感に近い硬さを再現でき、リアルな臓器モデルが提供できるという利点がある。
前記80%歪み圧縮応力は、例えば、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)などを用いて測定することができる。
本発明の立体造形用液体は、各種立体造形物の製造に好適に用いることができ、後述する本発明の立体造形用液体セット、本発明の立体造形物の製造方法、及び本発明の立体造形物として特に好適に用いることができる。
(立体造形用液体セット)
本発明の立体造形用液体セットは、第一の液体と、第二の液体とを含んでなり、第三の液体及び第四の液体を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の成分等を含んでなる。
<第二の液体>
前記第二の液体としては、ハイドロゲル前駆体を含み、前記第一の液体とは組成が異なる以外は同様のものを用いることができる。
前記第一の液体とは組成が異なるとは、前記第二の液体を構成する成分の種類及び含有量の少なくともいずれかが前記第一の液体とは異なることを意味する。
前記第一の液体及び前記第二の液体は、硬化させると互いに弾性率(80%歪み圧縮応力又は圧縮弾性率)が異なるハイドロゲルとなるものが好ましい。これにより、1つの立体造形物中に弾性率が異なる領域を有する立体造形物を効率よく製造することができる。
<第三の液体>
前記第三の液体は、重合開始剤を少なくとも含み、水、及び有機溶剤を含有することが好ましく、更に必要に応じて、多官能モノマー、単官能モノマー、及びその他の成分を含有してもよい。なお、前記第三の液体は、層状鉱物は含まない。
−重合開始剤−
前記重合開始剤としては、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。これらの中でも、保存安定性の点から、光重合開始剤が好ましい。
前記熱重合開始剤及び光重合開始剤としては、本発明の前記立体造形用液体と同様のものを用いることができる。
前記光重合開始剤を前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかとは異なる第三の液体に独立して使用することで、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかの貯蔵時での保存安定性を確保でき、かつ同じ保存安定性の面から仮に前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかに光重合開始剤を使用したと仮定した場合より多くの添加が可能となる。それ故、立体造形物の重合率が上がり、効率よく製造可能となる。
前記第三の液体は、保存安定性の点から、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかよりも光重合開始剤の含有量が多いことが好ましく、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかが、光重合開始剤を含有しないことがより好ましい。
前記多官能モノマー、前記単官能モノマー、及び前記その他の成分は、前記第一の液体と同様のものが使用でき、前記重合開始剤との組合せで、より好適なモノマーを適宜選択することができる。
−粘度変化率−
前記第三の液体は、50℃で2週間放置した前後の粘度変化率が20%以下であることが好ましく、10%以下がより好ましい。
前記粘度変化率が、10%以下であると、前記第三の液体の保存安定性が適正であり、例えば、前記第三の液体の付与をインクジェット法により行った際に吐出安定性が良好となる。
前記50℃で2週間放置した前後の粘度変化率は、以下のようにして測定することができる。
前記第三の液体をポリプロピレン製広口瓶(50mL)に入れて、50℃の恒温槽中に2週間放置した後、恒温槽から取り出して室温(25℃)になるまで放置して、粘度測定を行う。恒温槽に入れる前の第三の液体の粘度を保存前粘度、恒温槽から取り出した後の第三の液体の粘度を保存後粘度とし、下記式により粘度変化率を算出する。なお、前記保存前粘度及び前記保存後粘度は、R型粘度計(東機産業株式会社製)を用いて、25℃で測定することができる。
粘度変化率(%)=[(保存後粘度)−(保存前粘度)]/(保存前粘度)×100
前記第三の液体の保存前粘度は、25℃で、20mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましく、3mPa・s以上12mPa・s以下が更に好ましい。前記粘度が、20mPa・s以下であると、インクジェットノズルからの吐出が安定化する。
前記第三の液体の保存後粘度は、25℃で、3mPa・s以上12mPa・s以下が好ましい。
<第四の液体>
前記第四の液体は、ハイドロゲル(軟質体)で構成される立体造形物を支持するための硬質成形体となる液体である(「硬質成形体用材料」ともいう)。前記第四の液体は、硬化性材料を含有し、重合開始剤を含有することが好ましく、更に必要に応じてその他の成分を含有してなるが、水や層状鉱物は含まない。
−硬化性材料−
前記硬化性材料としては、活性エネルギー線(紫外線、電子線等)照射、加熱等により重合反応を生起し硬化する化合物であることが好ましく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物、熱硬化性化合物などが挙げられる。これらの中でも、常温で液体の材料が好ましい。
前記活性エネルギー線硬化性化合物は、分子構造中にラジカル重合可能な不飽和二重結合を有する比較的低粘度のモノマーであり、前記第一の液体、及び前記第二の液体において用いられる多官能モノマー及び単官能モノマーから適宜選択して使用することができる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記硬化性材料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
−その他の成分−
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、着色剤、水溶性樹脂、低沸点アルコール、界面活性剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
前記第四の液体の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。
前記表面張力が、20mN/m以上であると、立体造形の際の吐出性が良好であり、45mN/m以下であると、立体造形用の吐出ノズル等に前記第四の液体を充填する際の充填性が良好である。
なお、前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記第四の液体の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、温度を調整することで適宜利用可能であるが、25℃で、3mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下がより好ましい。
前記粘度が3mPa・s以上20mPa・s以下の範囲において、立体造形の際の前記第四の液体の吐出性が良好である。
なお、前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
本発明の立体造形用液体セットは、各種立体造形物の製造に好適に用いることができ、特に臓器モデル等に代表される複雑かつ精細であり、1つの立体造形物中に弾性率が異なる領域を有する立体造形物の製造に好適に用いられ、後述する本発明の立体造形物の製造方法、及び本発明の立体造形物に特に好適に用いることができる。
(立体造形物の製造方法)
<第一の形態>
本発明の第一の形態に係る立体造形物の製造方法は、第一の工程と、第二の工程とを含み、第五の工程及び第八の工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
−第一の工程−
前記第一の工程は、多官能モノマーを少なくとも含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体を付与して成膜する工程である。
前記第一の液体としては、本発明の前記立体造形用液体と同様のものを用いることができる。
前記第一の液体を付与する方法としては、前記第一の液体からなる液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。なお、これらの方式を実施するには公知の装置を好適に使用することができる。
これらの中でも、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサー方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
−第二の工程−
前記第二の工程は、前記第一の工程で形成された膜を硬化させる工程である。
前記膜を硬化する手段としては、例えば、紫外線(UV)照射ランプ、電子線照射装置、加熱装置などが挙げられる。前記膜を硬化する手段は、オゾン除去機構を有していることが好ましい。
前記紫外線(UV)照射ランプの種類としては、例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドなどが挙げられる。
前記超高圧水銀灯は点光源であるが、光学系と組み合わせて光利用効率を高くしたDeepUVタイプは、短波長領域の照射が可能である。
前記メタルハライドは、波長領域が広いため着色物に有効であり、Pb、Sn、Fe等の金属のハロゲン化物が用いられ、光重合開始剤の吸収スペクトルに合わせて選択できる。硬化に用いられるランプとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、FusionSystem社製のHランプ、Dランプ、又はVランプ等のような市販されているものを使用することができる。
前記加熱装置における加熱としては、例えば、形成された膜に熱源を接触させて加熱する方法、遠赤外線、近赤外線又はマイクロウェーブ等を照射する方法、熱風を吹き付ける方法等の形成された膜に熱源を接触させずに加熱する方法などが挙げられる。
なお、前記加熱は、単独で行うことができるが、紫外線照射前、紫外線照射と同時、又は紫外線照射後に行うこともできる。
硬化後の膜は、前記単官能モノマー及び前記多官能モノマーが重合してなる水溶性有機ポリマーと、前記層状鉱物とが複合化して形成された三次元網目構造の中に、水及び該水に溶解する成分が包含されている。
−第五の工程−
前記第五の工程は、重合開始剤を少なくとも含む第三の液体を、前記第一の液体と同じ位置に付与する工程である。
前記第五の工程は、前記第一の工程と前記第二の工程の間で行われることが好ましい。
前記第三の液体としては、重合開始剤を含み、前記第一の液体とは組成が異なる以外は同様のものを用いることができる。前記第一の液体と組成が異なるとは、前記第一の液体を構成する成分の種類及び含有量の少なくともいずれかが前記第三の液体とは異なることを意味する。
前記第三の液体を前記第一の液体と同じ位置に付与するとは、先に付与されている前記第一の液体の上に、重ねて前記第三の液体を付与することを意味する。前記第三の液体は、前記第一の液体と相溶可能であるため、前記第三の液体を前記第一の液体と同じ位置に付与することにより、前記第三の液体中に含まれている重合開始剤を前記第一の液体中に含まれるモノマーの重合開始剤として働かせることができる。
前記第三の液体としては、本発明の立体造形用液体セットにおける前記第三の液体と同様のものを用いることができる。
前記第三の液体を付与する方法としては、前記第三の液体からなる液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
−第八の工程−
前記第八の工程は、前記ハイドロゲルで構成される立体造形物を支持するための硬質成形体となる第四の液体を、前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する工程である。
前記第四の液体としては、本発明の前記立体造形用液体セットにおける第四の液体と同様のものを用いることができる。
前記第一の液体と異なる位置に付与するとは、前記第四の液体と前記第一の液体の付与位置が重ならないことを意味し、前記第四の液体と前記第一の液体とが隣接していても構わない。前記第四の液体は、前記第一の液体と組成が異なり混和しにくいため、前記第四の液体と前記第一の液体とが隣接する場合でも、硬化後の両者の境界は明瞭となる。
前記第四の液体を付与する方法としては、前記第四の液体からなる液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
−その他の工程−
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元データの取得や加工を行うデータ処理工程、ハイドロゲルとその支持体(硬質成形体)を剥離する剥離工程、立体造形物の清浄工程、立体造形物の研磨工程などが挙げられる。
前記第一の形態の立体造形物の製造方法においては、前記各工程を複数回繰り返すものである。前記繰り返し回数としては、作製する立体造形物の大きさ、形状、構造などに応じて異なり一概には規定できないが、一層あたりの厚みが10μm以上50μm以下の範囲であれば、精度よく、剥離することもなく造形することが可能であるため、作製する立体造形物の高さ分だけ繰り返して積層することが必要である。
<第二の形態>
本発明の第二の形態に係る立体造形物の製造方法は、前記第一の工程と、第三の工程と、第四の工程とを含み、第六の工程及び第七の工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
−第三の工程−
前記第三の工程は、ハイドロゲル前駆体を含み、前記第一の液体とは組成の異なる第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する工程である。
前記第一の液体とは異なる位置に付与するとは、前記第一の液体と前記第二の液体の付与位置が重ならないことを意味し、前記第一の液体と前記第二の液体とが隣接していても構わない。前記第二の液体は、前記第一の液体と組成が異なるが相溶可能であるため、前記第二の液体と前記第一の液体とが隣接する隣接部で両者は相溶し、硬化させると互いに弾性率が異なる1つのハイドロゲルを形成することができる。
前記第一の液体及び第二の液体としては、本発明の立体造形用液体セットにおける前記第一の液体及び前記第二の液体と同様のものを用いることができる。
前記第二の液体を付与する方法としては、前記第二の液体からなる液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
−第四の工程−
前記第四の工程は、前記第一の工程及び前記第三の工程でそれぞれ形成された膜を硬化させる工程である。
前記第一の工程で形成された膜の硬化と、前記第三の工程で形成された膜の硬化とは、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよいが、生産効率の点から同時に行うことが好ましい。
前記膜を硬化する手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記第一の形態の立体造形物の製造方法における前記第二の工程と同様である。
−第六の工程−
前記第六の工程は、重合開始剤を少なくとも含む第三の液体を、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に付与する工程である。
前記第六の工程は、前記第一の工程と前記第三の工程の間、又は前記第三の工程と前記第四の工程の間で行われることが好ましい。
前記第三の液体としては、重合開始剤を含み、前記第一の液体及び前記第二の液体とは組成が異なる以外は同様のものを用いることができる。前記第一の液体及び前記第二の液体とは組成が異なるとは、前記第一の液体及び前記第二の液体を構成する成分の種類及び含有量の少なくともいずれかが前記第三の液体とは異なることを意味する。
前記第三の液体を前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に付与するとは、先に付与されている前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかの上に、重ねて前記第三の液体を付与することを意味する。前記第三の液体は、前記第一の液体及び前記第二の液体と相溶可能であるため、前記第三の液体を前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に付与することにより、前記第三の液体中に含まれている重合開始剤を前記第一の液体及び前記第二の液体中に含まれるモノマーの重合開始剤として働かせることができる。
前記第三の液体としては、本発明の立体造形用液体セットにおける前記第三の液体と同様のものを用いることができる。
前記第三の液体を付与する方法としては、前記第三の液体からなる液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
−第七の工程−
前記第七の工程は、前記ハイドロゲルで構成される立体造形物を支持するための硬質成形体となる第四の液体を、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかとは異なる位置に付与して成膜する工程である。
前記第四の液体としては、本発明の前記立体造形用液体セットにおける第四の液体と同様のものを用いることができる。
前記第一の液体及び第二の液体とは異なる位置に付与するとは、前記第四の液体と前記第一の液体及び第二の液体の付与位置が重ならないことを意味し、前記第四の液体と前記第一の液体及び第二の液体とが隣接していても構わない。前記第四の液体は、前記第一の液体及び前記第二の液体と組成が異なり混和しにくいため、前記第四の液体と前記第一の液体又は前記第二の液体とが隣接する場合でも、硬化後の両者の境界は明瞭となる。
前記第四の液体を付与する方法としては、前記第四の液体からなる液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ディスペンサー方式、スプレー方式、インクジェット方式などが挙げられる。
−その他の工程−
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、三次元データの取得や加工を行うデータ処理工程、ハイドロゲルとその支持体(硬質成形体)を剥離する剥離工程、立体造形物の清浄工程、立体造形物の研磨工程などが挙げられる。
前記第二の形態の立体造形物の製造方法においては、前記各工程を複数回繰り返すものである。前記繰り返し回数としては、作製する立体造形物の大きさ、形状、構造などに応じて異なり一概には規定できないが、一層あたりの厚みが10μm以上50μm以下の範囲であれば、精度よく、剥離することもなく造形することが可能であるため、作製する立体造形物の高さ分だけ繰り返して積層することが必要である。
前記データ処理工程については、例えば、特許第5239037号公報の記載を参照して行うことができ、本発明においては、例えば、データの取得から立体造形用液体セットを用いて各液体を吐出させるまでを以下のようにして行う。
まず、三次元CADで設計された三次元形状あるいは三次元キャナやディジタイザで取り込んだ三次元形状のサーフェイスデータあるいはソリッドデータを、STLフォーマットに変換して得られた各種データを立体造形装置に入力する。この入力された各種データに基づいて、造形しようとする三次元形状の造形方向を決める。なお、造形方向については、特に制限はなく、通常はZ方向(高さ方向)が最も低くなる方向を選ぶことが好ましい。
造形方向を確定した後、その三次元形状のX−Y面、X−Z面、Y−Z面への投影面積を求める。得られたブロック形状に補強のため、X−Y面の上面を除いて、その他の各面を適当量外側に移動させる。移動させる量としては、特に制限はなく、形状や大きさや使用材料で異なるが、およそ1mm〜10mm程度である。これで造形しようとする形状を閉じ込めた(上面は開放されている)ブロック形状が特定される。
このブロック形状を一層の厚みでZ方向に輪切り(スライス)にする。前記一層の厚みは使用する材料により異なり一概には規定できないが、10μm以上50μm以下が好ましい。造形しようとする立体造形物が1個の場合はこのブロック形状がZステージ(一層造形毎に一層分ずつ下降する造形物を載せるテーブル)の真中に来るように配置される。また、複数個同時に造形する場合はブロック形状がZステージに配置されるが、ブロック形状を積み重ねることも可能である。これらブロック形状化や輪切りデータ(スライスデータ:等高線データ)やZステージへの配置は、使用する材料を指定すれば自動的に作成することも可能である。
次に、輪切りデータの最外郭の輪郭線を基準に、内外判定(輪郭線上の位置に、前記立体造形用液体セットの各液体を噴射するかを判定すること)で、各液体をインクジェット方式で噴射する位置が制御される。
前記立体造形用液体セットにおける各液体を噴射する順序としては、例えば、前記第一の液体、前記第二の液体、及び前記第四の液体を用いる場合においては、支持体を形成する前記第四の液体を噴射してから、立体造形物(ハイドロゲル)を形成する前記第一の液体及び第二の液体の少なくともいずれかを噴射することが好ましい。このような順序で噴射させると、先に支持体で溝や堰などの溜部ができ、その中に前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかを噴射することになり、前記第一の液体及び前記第二の液体として常温で液体の材料を使っても「たれ」の心配がなく、光硬化性樹脂や熱硬化性樹脂等を幅広く用いることができる。なお、更に第三の液体を用いる場合には、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかを噴射した後、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に前記第三の液体を噴射する以外は、同様である。
また、造形時間をより短縮させるには、一体化したインクジェットヘッドの往路及び復路のそれぞれで前記第一の液体、前記第二の液体、及び前記第四の液体の少なくともいずれかを噴射して積層する方法が好ましい。更に、前記立体造形用液体セットの各液体を噴射するインクジェットヘッドに活性エネルギー線照射機(例えば、紫外線照射機)又は赤外線照射機を隣接させることにより、平滑処理に要する時間を省くことができ、高速造形が可能である。
以上説明したように、本発明の立体造形物の製造方法においては、インクジェット法又はディスペンサー法などの細孔より液体を吐出することにより、一層ずつの像を形成できるように塗布され、硬化する前の前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと前記第四の液体とが、接する部分が明瞭に分離され、混和しない非相溶状態にある。
従来の造形方法においては、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと前記第四の液体との接触部分が相溶し、光硬化時に境界が不鮮明になる。その結果、立体造形物の表面に微小な凹凸が残留する結果となるが、本発明の立体造形物の製造方法においては、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと前記第四の液体とが非相溶状態であることにより、光硬化後の境界が鮮明になる。更に、得られた立体造形物と支持体との硬度の差により、剥離性が向上する。これにより、立体造形物の表面平滑性が向上し、造形後の研磨工程を省略又は大幅に軽減することが可能となる。
<立体造形装置>
図2は、本発明で用いられる立体造形装置の一例を示す概略図である。
図2の立体造形装置39は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニットを用いて、造形物用噴射ヘッドユニット30から前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかを、支持体用噴射ヘッドユニット31、32から前記第三の液体を噴射し、隣接した紫外線照射機又は赤外線照射装置33、34で立体造形用液体セットの各液体を硬化しながら積層する。
なお、図2では、造形物用噴射ヘッドユニット30は1つしか設けていないが、2つ以上設けることもできる。また、紫外線照射機33、34に隣接した位置に赤外線照射機(不図示)を増設して立体造形用液体セットの各液体を加熱硬化しながら積層することもできる。
前記第四の液体を支持体用噴射ヘッドユニット31、32から噴射し固化させて溜部を有する第一の支持体層を形成し、前記第一の支持体層の溜部に前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかを造形物用噴射ヘッドユニット30から噴射し、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかに活性エネルギー線を照射して第一の造形物層を形成して、前記第一の支持体層の上に前記第四の液体を噴射し固化させて溜部を有する第二の支持体層を積層し、前記第二の支持体層の溜部に前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかを噴射し、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかに活性エネルギー線を照射して前記第一の造形物層の上に第二の造形物層を積層して立体造形物35を製作する。
マルチヘッドユニットが矢印A方向に移動する時は、基本的に支持体用噴射ヘッドユニット31、造形物用噴射ヘッドユニット30、紫外線照射機又は赤外線照射装置34を用いて、支持体36、立体造形物35を造形物支持基板37上に形成する。なお、支持体用噴射ヘッドユニット32、紫外線照射機又は赤外線照射装置33を補助的に用いてもよい。
また、マルチヘッドユニットが矢印B方向に移動する時は、基本的に支持体用噴射ヘッドユニット32、造形物用噴射ヘッドユニット30、紫外線照射機又は赤外線照射装置33を用いて、支持体36、立体造形物35を造形物支持基板37に形成する。なお、支持体用噴射ヘッドユニット31、紫外線照射機又は赤外線照射装置34を補助的に用いてもよい。
更に、造形物用噴射ヘッドユニット30、支持体用噴射ヘッドユニット31、32、及び紫外線照射機又は赤外線照射装置33、34と、立体造形物35及び支持体36とのギャップを一定に保つため、積層回数に合わせて、ステージ36を下げながら積層する。
図3は、図2よりも各層の平滑性を向上できる構成とした造形物製造工程の他の一例を示す概略図である。基本的な工程は図2と同じであるが、紫外線照射機又は赤外線照射装置33、34を造形物用噴射ヘッド30と支持体用噴射ヘッドユニット31、32との間に配置している点が異なる。
また、立体造形装置39では、紫外線照射機又は赤外線照射装置33、34は矢印A、Bのいずれの方向に移動する際も使用し、その紫外線照射又は赤外線照射に伴って発生する熱により、積層された前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかの表面が平滑化され、結果として立体造形物の寸法安定性が向上する。
また、立体造形装置39としては、インク回収機構、リサイクル機構などを付加することも可能である。ノズル面に付着した前記立体造形用液体セットの各液体を除去するブレードや不吐出ノズルの検出機構を具備していてもよい。更に造形時の装置内環境温度を制御することも好ましい。
(立体造形物)
本発明の立体造形物は、本発明の前記立体造形用液体を硬化させてなるハイドロゲルからなり、好ましくは、第一のハイドロゲルで構成された第一の領域と、前記第一のハイドロゲルとは異なる弾性率(80%歪み圧縮応力又は圧縮弾性率)を有する第二のハイドロゲルで構成された第二の領域とを少なくとも有し、用途にもよるが、前記第一のハイドロゲル及び前記第二のハイドロゲルのいずれか一方の80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上であり、もしくは圧縮弾性率が0.3MPa以上が好ましい。これにより、1つの立体造形物中に弾性率が異なる領域を有する立体造形物(ハイドロゲル)が得られる。
前記80%歪み圧縮応力は、例えば、万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)などを用いて測定することができる。前記圧縮弾性率は、10%歪み圧縮応力と20%歪み圧縮応力の差分をとり10%変位時の傾きとして算出することができる。
前記ハイドロゲル前駆体からなるハイドロゲルは、少なくとも多官能モノマーが重合してなる水溶性有機ポリマーと、層状鉱物の単一層分散体とが複合化して形成された三次元網目構造の中に、水が包含されているハイドロゲルであることが好ましい。
前記水溶性有機ポリマーとしては、例えば、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する有機ポリマーが挙げられる。
前記水溶性有機ポリマーは、水系のゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記有機ポリマーは、水溶性を示す限りにおいて、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよいが、ホモポリマーが好ましい。
本発明において、前記水溶性有機ポリマーの水溶性とは、例えば、30℃の水100gに該水溶性有機ポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
図4A及び図4Bに示すように、本発明の立体造形物において、前記第一の領域(領域A)は、前記第二の領域(領域B)を完全に包含していることが好ましい。
前記立体造形物は、1つの立体造形物中に弾性率が異なる領域を有することができるので、臓器モデル等として好適に用いられる。前記臓器モデルは、硬度や弾性率の異なる血管や疾患部等の内部構造を忠実に再現でき、かつ臓器の触感及び切れ味が所望の臓器に極めて近く、更に手術用メスでの切開が可能であるため、手技練習用臓器モデルとして特に好適である。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(第四の液体(硬質成形体用液体)の製造例1)
−硬質成形体用液体1の作製−
硬化性材料としてウレタンアクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤビームUK6038)10質量部、硬化性材料としてネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジメタクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD MANDA)90質量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュア184)3質量部、及び着色剤として青顔料(東洋インキ株式会社製、商品名:Lionol Blue 7400G)2質量部からなる合計300gをホモジナイザー(日立工機株式会社製、HG30)を用いて、回転数2,000rpmで均質な混合物が得られるまで分散した。続いて、ろ過を行い不純物等を除去し、最後に真空脱気を10分間実施し、硬質成形体用液体1を得た。
得られた硬質成形体用液体1について、以下のようにして、表面張力及び粘度を測定したところ、表面張力は27.1mN/m、粘度は25℃で10.1mPa・sであった。
<表面張力の測定>
得られた硬質成形体用液体1について、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)を用いて、懸滴法により表面張力を測定した。
<粘度の測定>
得られた硬質成形体用液体1について、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)を用いて、25℃で粘度を測定した。
(実施例1)
<立体造形用液体1(第一の液体又は第二の液体)の作製>
表1に示す組成に基づき、以下のようにして、立体造形用液体1を作製した。
−水の調製−
減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を純水として用いた。
−開始剤液の調製−
・光重合開始剤液として、エタノール98質量部に対して光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)を2質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
・熱重合開始剤液1として、純水98質量部に対してペルオキソ2硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を2質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
・熱重合開始剤液2として、純水98質量部に対してVA−067(和光純薬工業株式会社製)を2質量部の割合で溶解させ、水溶液として準備した。
−立体造形用液体1の調製−
まず、前記純水195質量部を攪拌させながら、層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)8質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、単官能モノマーとして活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製、DMAA)20質量部、及び多官能モノマーとしてメチレンビスアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製、MBAA)0.3質量部を添加した。更に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2質量部を添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、前記光重合開始剤液を0.5質量部、及び前記熱重合開始剤液1を5質量部添加し、攪拌混合後、減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過を行い不純物等を除去し、立体造形用液体1を調製した。
得られた立体造形用液体1について、前記硬質成形体用液体1と同様にして測定した表面張力は31.1mN/mであり、前記硬質成形体用液体1と同様にして測定した粘度は25℃で9.8mPa・sであった。これらの結果を表1に示した。
<ハイドロゲルの作製>
次に、前記立体造形用液体1を型に流し込み、石英ガラスで蓋をして密閉状態とし、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cmの光量を照射して、10mm×10mm×10mmの立方体形状のハイドロゲル1を作製した。
得られたハイドロゲル1について、以下のようにして、圧縮試験を行った。結果を表1に示した。
<圧縮試験>
万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)に、ロードセル1kN、1kN用圧縮治具を設け、10mm×10mm×10mmの形状のハイドロゲル1を設置した。前記ロードセルに掛かる圧縮に対する応力をコンピュータに記録し、変位量に対する応力をプロットした。
破断したハイドロゲルについては破断時の圧縮応力を最大値とし、破断しなかったハイドロゲルについては80%歪み圧縮応力を示す。
また、ハイドロゲルの圧縮弾性率も同じ万能試験機から得られる測定データより得た。圧縮弾性率としては、10%歪み圧縮応力と20%歪み圧縮応力との差分をとり10%変位時の傾きとして算出した。
(実施例2〜8及び比較例1)
<立体造形用液体2〜9の作製>
実施例1において、下記表1〜表3に示す組成及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、立体造形用液体2〜9を調製した。
得られた立体造形用液体2〜9について、実施例1と同様にして、表面張力、及び粘度を測定した。結果を表1〜表3に示した。
次に、得られた立体造形用液体2〜7、9を用い、前記ハイドロゲル1の作製と同様にして、ハイドロゲル2〜7、9を作製した。また、立体造形用液体8を用い、前記ハイドロゲル1の作製時に使用した紫外線照射機を赤外線照射機に変更して、80℃に加熱してハイドロゲル8を作製した。
得られたハイドロゲル2〜9について、前記ハイドロゲル1と同様にして、圧縮試験を行った。結果を表1〜表3に示した。
表1〜表3で用いた材料の詳細については、以下のとおりである。
*層状鉱物:XLG:[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)
*単官能モノマー1:DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*単官能モノマー2:IPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*多官能モノマー:MBAA:メチレンビスアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*光重合開始剤液(イルガキュア184を2質量部/エタノール98質量部)
*熱重合開始剤液1(ペルオキソ2硫酸Naを2質量部/水98質量部)
*熱重合開始剤液2(VA−067を2質量部/水98質量部)
(実施例9)
表4に示す立体造形用液体セットを用い、図2に示す立体造形装置を用い、図4A及び図4Bに示すような立体造形物を作製した。
まず、第1の液体としての前記立体造形用液体1及び第2の液体としての前記立体造形用液体4を、立体造形装置のインクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、MH2420)に通じる2つのタンクに充填し、各インクジェットヘッドから前記2種の立体造形用液体をそれぞれ噴射させ、膜を製膜した。なお、前記第一の液体と前記第二の液体とは異なる位置に噴射されていた。
次に、前記膜に、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で350mJ/cmの光量を照射して、前記膜を硬化させた。これら一連の工程を繰り返すことにより、立体造形物1を造形した。
得られた立体造形物1は、図4A及び図4Bに示すように、内部にハイドロゲル4からなる領域B、該領域Bの外側に、ハイドロゲル1からなる領域Aを有していた。
得られた立体造形物1について、以下のようにして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
<立体造形物の構造>
○:立体造形物が図4A及び図4Bに示す異なる弾性率の2つの領域A、Bから形成されている
△:立体造形物が図4A及び図4Bに示す異なる弾性率の2つの領域A、Bから形成されているが、搬送の際に崩れやすく、立体造形物として問題がある
×:立体造形物が図4A及び図4Bに示す異なる弾性率の2つの領域A、Bから形成されていない
(実施例10)
実施例9において、表4に示すように第1の液体としての立体造形用液体2及び第2の液体としての立体造形用液体4を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物2の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(実施例11)
実施例9において、表4に示すように第1の液体としての立体造形用液体3及び第2の液体としての立体造形用液体4を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物3の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(実施例12)
実施例9において、表4に示すように第1の液体としての立体造形用液体1、第2の液体としての立体造形用液体4、及び第4の液体としての硬質成形体用液体1を用い、立体造形物4及び支持体の形成を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(実施例13)
実施例9において、表4に示すように第1の液体としての立体造形用液体5及び第2の液体としての立体造形用液体4を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物5の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(実施例14)
実施例9において、表4に示すように第1の液体としての立体造形用液体6及び第2の液体としての立体造形用液体4を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物6の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(実施例15)
実施例9において、表4に示すように第1の液体としての立体造形用液体7及び第2の液体としての立体造形用液体4を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物7の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(実施例16)
実施例9において、表4に示すように第1の液体として立体造形用液体1及び第2の液体として立体造形用液体8を用い、実施例8と同様にして、立体造形用液体1については紫外線照射機で照射して硬化させ、立体造形用液体8については赤外線照射機で80℃に加熱して硬化させ、これら一連の工程を繰り返すことにより、立体造形物8の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(実施例17)
実施例9において、表4に示すように第1の液体として立体造形用液体8及び第2の液体として立体造形用液体1を用い、実施例9と同様にして、立体造形用液体1については紫外線照射機で照射して硬化させ、立体造形用液体8については赤外線照射機で80℃に加熱して硬化させ、これら一連の工程を繰り返すことにより、立体造形物9の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(比較例2)
実施例9において、表4に示すように第1の液体としての立体造形用液体9、第2の液体としての立体造形用液体4、及び第4の液体としての硬質成形体用液体1を用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物10の立体造形及び支持体の形成を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(比較例3)
第2の液体として立体造形用液体4を用い、予め内部構造体を型で形成し、それを型内に設置して第1の液体としての立体造形用液体1を更に型に流し込み、石英ガラスで蓋をして密閉状態とし、実施例9と同様にして、光硬化させたが、中心形状をなす、領域Bが所定位置に固定できず、下部に落下してしまい、立体造形物を作製できなかった。
(比較例4)
実施例9において、表4に示すように立体造形用液体1を1種のみ用いた以外は、実施例9と同様にして、立体造形物11の立体造形を行い、実施例9と同様にして、立体造形物の構造を評価した。結果を表5に示した。
(調製例1)
<第一の液体又は第二の液体(立体造形用液体)1−1の調製>
まず、前記純水195質量部を攪拌させながら、層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)16質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、単官能モノマーとして活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製、DMAA)20質量部、及び多官能モノマーとしてメチレンビスアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製、MBAA)0.3質量部を添加した。更に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2質量部を添加して混合した後、減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、第一液体又は第二の液体(立体造形用液体)1−1を調製した。
<保存安定性>
得られた第一の液体又は第二の液体1−1をポリプロピレン製広口瓶(50mL)に入れて、50℃の恒温槽に2週間放置し、前記恒温槽から取り出して室温(25℃)になるまで放置し、1気圧下で初期粘度(保存前粘度)を測定した。
前記第一の液体又は第二の液体1−1をポリプロピレン製広口瓶(50mL)に入れて、50℃の恒温槽に2週間放置した後、恒温槽から取り出した。恒温槽から取り出した前記第一の液体又は第二の液体1−1を、室温(25℃)になるまで放置した後、1気圧下で保存後粘度を測定した。前記保存前粘度及び前記保存後粘度は、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)を用いて測定した。
得られた測定結果から、下記の数式1により、粘度変化率を算出し、下記基準で保存安定性を評価した。
[数式1]
粘度変化率(%)=[(保存後粘度)−(保存前粘度)]/(保存前粘度)×100
[評価基準]
A:粘度変化率が10%以下である。
B:粘度変化率が10%を超え、20%以下である。
C:粘度変化率が20%を超えている。
前記保存前粘度、前記保存後粘度の測定結果、及び前記保存安定性の評価結果について表6に示した。
(調製例2及び4〜5)
<第一の液体又は第二の液体(立体造形用液体)1−2、及び1−4〜1−5の調製>
前記調製例1において、下記表6に示す組成及び含有量に変更した以外は、前記調製例1と同様にして、第一又は第二の液体1−2、及び1−4〜1−5を調製した。
得られた第一の液体又は第二の液体1−2、及び1−4〜1−5について、調製例1と同様にして、保存安定性を評価した。結果を表6に示した。
(調製例3)
<第一の液体又は第二の液体(立体造形用液体)1−3の調製>
まず、前記純水195質量部を攪拌させながら、層状鉱物として[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)8質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、単官能モノマー2として活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN−イソプロピルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製、IPAM)20質量部、及び多官能モノマーとしてメチレンビスアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製、MBAA)0.3質量部を添加した。更に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)2質量部を添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、前記光重合開始剤液を1質量部、及び前記熱重合開始剤液1を10質量部添加し、攪拌混合後、減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過を行い不純物等を除去し、第一の液体又は第二の液体(立体造形用液体)1−3を調製した。
得られた第一の液体又は第二の液体1−3について、調製例1と同様にして、保存安定性を評価した。結果を表6に示した。
(調製例6〜8)
<第三の液体3−1〜3−3の調製>
前記調製例3において、下記表7に示す組成及び含有量に変更した以外は、前記調製例3と同様にして、第三の液体3−1〜3−3を調製した。
得られた第三の液体3−1〜3−3について、調製例1と同様にして、保存安定性を評価した。結果を表7に示した。
表6及び表7で用いた材料の詳細については、以下のとおりである。
*層状鉱物:XLG:[Mg5.34Li0.66Si20(OH)]Na 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)
*単官能モノマー1:DMAA:N,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*単官能モノマー2:IPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*多官能モノマー:MBAA:メチレンビスアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*光重合開始剤液(イルガキュア184を2質量部/エタノール98質量部)
*熱重合開始剤液1(ペルオキソ2硫酸Naを2質量部/水98質量部)
(実施例18〜20、及び22)
表8に示す立体造形用液体セットを用い、図2に示す立体造形装置を用いて、立体造形物を作製した。
具体的には、表8に示す前記第一液体又は第二の液体、及び前記第三の液体を、立体造形装置のインクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、MH2420)に通じる2つタンクに充填し、各インクジェットヘッドから前記2種の液体をそれぞれ噴射させ、膜を製膜した。なお、前記第三の液体は、前記第一の液体又は前記第二の液体と同一の位置に噴射した。
次に、前記膜に、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)で、表8に示す光量の紫外線を照射して、前記膜を硬化させた。これら一連の工程を繰り返すことにより、実施例18〜20、及び22の立体造形物を作製した。
(実施例21)
下記表8に示すように立体造形用液体セットとして、図2の支持体用噴射ヘッドユニット31に硬質成形体用液体1を用い、立体造形物及び支持体を形成した以外は、実施例18〜20、及び22と同様にして、実施例21の立体造形物を作製した。
次に、得られた実施例18〜22の立体造形物について、以下のようにして、80%歪み圧縮応力を測定した。結果を表8に示した。
<80%歪み圧縮応力評価(圧縮試験)>
万能試験機(株式会社島津製作所製、AG−I)に、ロードセル1kN、1kN用圧縮治具を設け、10mm×10mm×10mmの形状の立体造形物を設置した。前記ロードセルに掛かる圧縮に対する応力をコンピュータに記録し、変位量に対する応力をプロットした。
破断した立体造形物については破断時の圧縮応力を最大値とし、破断しなかった立体造形物については80%歪み圧縮応力とし、下記基準により評価した。
[評価基準]
○:立体造形物の80%歪み圧縮応力が1.0MPa以上である
△:立体造形物の80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上1.0MPa未満である
×:立体造形物の80%歪み圧縮応力が0.4MPa未満である
(実施例23)
実施例12の立体造形用液体セットと同じ立体造形用液体1、立体造形用液体4、及び硬質成形体用液体1を用い、図2に示す立体造形装置により、データ処理を特許第5239037号公報の記載に準じて行い得られた、肝臓の三次元モデルデータに基づき、ブタの肝臓の臓器モデルを造形した。
得られた肝臓の臓器モデルは、実際のブタの肝臓と形状、触感、及び弾力が近似していた。
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 多官能モノマーを少なくとも含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第二の工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 多官能モノマーを少なくとも含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
ハイドロゲル前駆体を含み、前記第一の液体とは組成の異なる第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の工程と、
前記第一の工程及び前記第三の工程でそれぞれ形成された膜を硬化させる第四の工程と、を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<3> 重合開始剤を少なくとも含む第三の液体を、前記第一の液体と同じ位置に付与する第五の工程を更に含む前記<1>に記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 重合開始剤を少なくとも含む第三の液体を、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に付与する第六の工程を更に含む前記<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記第三の液体における重合開始剤の含有量が、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかにおける重合開始剤の含有量よりも多い前記<4>に記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかが、重合開始剤を含有しない前記<2>及び<4>から<5>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかが、重合開始剤を含有する前記<2>及び<4>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記重合開始剤が、光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれかである前記<3>から<5>及び<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記ハイドロゲル前駆体が、単一層の状態で水に分散した層状鉱物を少なくとも含む前記<1>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記第一の液体及び第二の液体の少なくともいずれかが単官能モノマーを含む前記<2>及び<4>から<9>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記第二の液体が多官能モノマーを含む前記<2>及び<4>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 前記層状鉱物が合成ヘクトライトである前記<9>から<11>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<13> 前記多官能モノマーが、活性エネルギー線硬化型モノマーである前記<1>から<12>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<14> 前記単官能モノマー又は多官能モノマーが、そのホモポリマーが水溶性である前記<10>から<13>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<15> 前記第一の液体の付与方法が、インクジェット法及びディスペンサー法のいずれかである前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<16> 前記第二の液体の付与方法が、インクジェット法及びディスペンサー法のいずれかである前記<2>に記載の立体造形物の製造方法である。
<17> 前記第三の液体の付与方法が、インクジェット法及びディスペンサー法のいずれかである前記<3>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<18> 第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の工程と、
前記第一の工程及び前記第三の工程でそれぞれ形成された膜を硬化させる第四の工程と、を複数回繰り返す立体造形物の製造方法であって、
前記第一の液体及び前記第二の液体は、硬化させると互いに弾性率が異なるハイドロゲルとなるものであることを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<19> 重合開始剤を少なくとも含む第三の液体を、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に付与する第六の工程を更に含む前記<18>に記載の立体造形物の製造方法である。
<20> 前記ハイドロゲルの一方の80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上である前記<18>から<19>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<21> 前記ハイドロゲルで構成される立体造形物を支持するための硬質成形体となる第四の液体を、前記第一の液体及び第二の液体の少なくともいずれかとは異なる位置に付与して成膜する第七の工程を更に含む前記<18>から<20>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<22> 多官能モノマーを少なくとも含むハイドロゲル前駆体であることを特徴とする立体造形用液体である。
<23> 粘度が25℃で3mPa・s以上20mPa・s以下であり、かつ硬化させて得られるハイドロゲルの80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上である前記<22>に記載の立体造形用液体である。
<24> 多官能モノマーを少なくとも含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体と、ハイドロゲル前駆体を含み前記第一の液体とは組成の異なる第二の液体と、を含むことを特徴とする立体造形用液体セットである。
<25> 前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかよりも重合開始剤の含有量が多い第三の液体を更に有する前記<24>に記載の立体造形用液体セットである。
<26> 前記第三の液体の50℃で2週間放置した前後の粘度変化率が20%以下である前記<25>に記載の立体造形用液体セットである。
<27> 前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかが、重合開始剤を含有しない前記<24>から<26>のいずれかに記載の立体造形用液体セットである。
<28> 前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかが、重合開始剤を含有する前記<24>から<26>のいずれかに記載の立体造形用液体セットである。
<29> 前記重合開始剤が、光重合開始剤及び熱重合開始剤のいずれかである前記<25>から<26>及び<28>のいずれかに記載の立体造形用液体セットである。
<30> 前記第一の液体及び前記第二の液体が、硬化させると互いに弾性率が異なるハイドロゲルとなるものである前記<24>から<29>のいずれかに記載の立体造形用液体セットである。
<31> 第一のハイドロゲルで構成された第一の領域と、前記第一のハイドロゲルとは異なる弾性率を有する第二のハイドロゲルで構成された第二の領域と、を少なくとも有し、
前記第一のハイドロゲル及び前記第二のハイドロゲルのいずれか一方の80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上であることを特徴とする立体造形物である。
<32> 前記第一のハイドロゲル及び第二のハイドロゲルのいずれか一方の圧縮弾性率が0.3MPa以上である前記<31>に記載の立体造形物である。
<33> 前記第一の領域が、第二の領域を完全に包含している前記<31>から<32>のいずれかに記載の立体造形物である。
<34> 前記ハイドロゲルが、水溶性有機ポリマーと、層状鉱物の単一層分散体とが複合化して形成された三次元網目構造中に水が包含されているハイドロゲルである前記<31>から<33>のいずれかに記載の立体造形物である。
<35> 臓器モデルとして用いられる前記<31>から<34>のいずれかに記載の立体造形物である。
前記<1>から<21>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法、前記<22>から<23>のいずれかに記載の立体造形用液体、前記<24>から<30>のいずれかに記載の立体造形用液体セット、及び前記<31>から<35>のいずれかに記載の立体造形物は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、前記立体造形物の製造方法、前記立体造形用液体、前記立体造形用液体セット、及び前記立体造形物は、臓器モデル等に代表される複雑かつ精細な立体造形物を簡便に効率よく製造可能な立体造形物の製造方法、立体造形用液体、立体造形用液体セット、及び立体造形物を提供することを目的とする。
特許第4366538号公報 特許第4908679号公報
30 造形物用噴射ヘッドユニット
31、32 支持体用噴射ヘッドユニット
33、34 紫外線照射機又は赤外線照射装置
35 立体造形物
36 支持体
37 造形物支持基板
38 ステージ
39 立体造形装置

Claims (15)

  1. 多官能モノマー、水膨潤性の層状鉱物、及び単官能モノマーを含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
    前記第一の工程で形成された膜を硬化させる第二の工程と、
    を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法。
  2. 多官能モノマー、単官能モノマー、及び水膨潤性の層状鉱物を含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
    多官能モノマー、単官能モノマー、及び水膨潤性の層状鉱物を含むハイドロゲル前駆体を含み、前記第一の液体とは組成が異なり、かつ前記第一の液体と相溶可能な組成である第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の工程と、
    前記第一の工程及び前記第三の工程でそれぞれ形成された膜を硬化させる第四の工程と、を複数回繰り返し、前記第一の液体と前記第二の液体を硬化させた硬化体の弾性率が異なることを特徴とする立体造形物の製造方法。
  3. 重合開始剤を少なくとも含み、かつ前記第一の液体と相溶可能な組成である第三の液体を、前記第一の液体と同じ位置に付与する第五の工程を更に含む請求項1に記載の立体造形物の製造方法。
  4. 重合開始剤を少なくとも含み、かつ前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと相溶可能な組成である第三の液体を、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に付与する第六の工程を更に含む請求項2に記載の立体造形物の製造方法。
  5. 前記第三の液体における重合開始剤の含有量が、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかにおける重合開始剤の含有量よりも多い請求項4に記載の立体造形物の製造方法。
  6. 前記ハイドロゲル前駆体が、単一層の状態で水に分散した層状鉱物を少なくとも含む請求項1から5のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  7. 多官能モノマー、単官能モノマー、及び水膨潤性の層状鉱物を含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
    多官能モノマー、単官能モノマー、及び水膨潤性の層状鉱物を含むハイドロゲル前駆体を含み、前記第一の液体とは組成が異なり、かつ前記第一の液体と相溶可能な組成である第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の工程と、
    前記第一の工程及び前記第三の工程でそれぞれ形成された膜を硬化させる第四の工程と、を複数回繰り返す立体造形物の製造方法であって、
    前記第一の液体及び前記第二の液体は、硬化させると互いに弾性率が異なるハイドロゲルとなるものであることを特徴とする立体造形物の製造方法。
  8. 重合開始剤を少なくとも含み、かつ前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと相溶可能な組成である第三の液体を、前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと同じ位置に付与する第六の工程を更に含む請求項7に記載の立体造形物の製造方法。
  9. 前記ハイドロゲルで構成される立体造形物を支持するための硬質成形体となる第四の液体を、前記第一の液体及び第二の液体の少なくともいずれかとは異なる位置に付与して成膜する第七の工程を更に含む請求項7から8のいずれかに記載の立体造形物の製造方法。
  10. 多官能モノマー、水膨潤性の層状鉱物、及び単官能モノマーを含むハイドロゲル前駆体としての第一の液体と、多官能モノマー、単官能モノマー、及び水膨潤性の層状鉱物を含むハイドロゲル前駆体を含み、前記第一の液体とは組成が異なり、かつ前記第一の液体と相溶可能な組成である第二の液体と、を含み、
    前記第一の液体と前記第二の液体を硬化させた硬化体の弾性率が異なることを特徴とする立体造形用液体セット。
  11. 前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかよりも重合開始剤の含有量が多く、かつ前記第一の液体及び前記第二の液体の少なくともいずれかと相溶可能である第三の液体を更に有する請求項10に記載の立体造形用液体セット。
  12. 第一のハイドロゲルで構成された第一の領域と、前記第一のハイドロゲルとは異なる弾性率を有する第二のハイドロゲルで構成された第二の領域と、を少なくとも有し、
    前記第一のハイドロゲル及び前記第二のハイドロゲルが、水溶性有機ポリマーと、層状鉱物の単一層分散体とが複合化して形成された三次元網目構造中に水が包含されているハイドロゲルであり、
    前記第一のハイドロゲル及び前記第二のハイドロゲルのいずれか一方の80%歪み圧縮応力が0.4MPa以上であることを特徴とする立体造形物。
  13. 前記第一のハイドロゲル及び前記第二のハイドロゲルのいずれか一方の圧縮弾性率が0.3MPa以上である請求項12に記載の立体造形物。
  14. 前記第一の領域が、前記第二の領域を完全に包含している請求項12から13のいずれかに記載の立体造形物。
  15. 臓器モデルとして用いられる請求項11から14のいずれかに記載の立体造形物。
JP2015120796A 2014-10-16 2015-06-16 立体造形用液体セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形物 Active JP6720476B2 (ja)

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