JP2004123840A - 光造形用樹脂組成物及びそれを用いた光造形方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】光硬化時に生ずる重合熱により、光造形物の熱歪みの問題を生ずることのない光造形用樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂と、フィラーと、を含む光造形用樹脂組成物により課題は解決される。
【選択図】 なし
【解決手段】光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂と、フィラーと、を含む光造形用樹脂組成物により課題は解決される。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光造形用樹脂組成物及びそれを用いた光造形方法に関し、特に、3次元立体造形に適した光造形用樹脂組成物及びそれを用いた光造形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、3次元CAD(Computer Aided Design)システムの普及に伴い、3次元CADによりコンピュータ上の仮想空間に作成された3次元形状を、CADデータに基づき光造形用樹脂組成物を光ビームで露光して3次元モデルを造形する光造形システムが利用されている。この光造形システムでは、コンピュータ上でCADデータを所定間隔でスライスして複数の断面データを作成し、各断面データに基づいて液状の光造形用樹脂組成物の表面をレーザ光で走査して層状に硬化させ、光硬化物層を順次積層して3次元モデルを造形する。
【0003】
例えば、液状の光造形用樹脂組成物を容器内に収容し、当該容器の上部に設けられた露光手段を走査させることによって前記光造形用樹脂組成物の表面に選択的に光照射して光硬化物層を形成し、この光硬化物層上にさらに一層分の光造形用樹脂組成物を供給して液状の樹脂層を形成し、その表面に選択的に光照射をすることにより、先行して形成された光硬化物層上に、これと連続するように新しい光硬化物層を一体的に積層し、さらに、光造形用樹脂組成物の供給および光照射を所定回数繰り返すことにより、立体的な造形物を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、未硬化部分が液状であるため、未硬化部分には硬化部分を支える力学強度がない。そのため、例えば、下部よりも上部が大型であるような形状の造形物を成形する際には上部が反りなどの変形を生じ易い等の不都合が生じ、これを解決する為に大型の上部を支えるためのサポート部分を余分に成形し、得られた予備造形物から該サポート部分を除去するという煩雑な工程が必要となる等の問題があった。
【0005】
上記問題を解決する為に、光造形用樹脂組成物として温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂を含有する光造形用樹脂組成物を用いる発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この発明によれば、ゲル状態の樹脂を光硬化させて光硬化物層を形成するため、下部よりも上部が大型であるような形状の造形物を成形する際においてもサポート部分を必要とせず、迅速な造形物の形成が可能となる。
しかし、ゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂を含有する光造形用樹脂組成物を用いた場合、光硬化時に生ずる重合熱により光造形物の熱歪みの問題が生じていた。
【0006】
一方、光造形物の機械的物性及び熱的物性の向上のため、光造形用樹脂組成物中にフィラー成分を添加する発明が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、この発明においては液状の光造形用樹脂組成物を用いるためフィラー成分が沈降し、期待された特性の向上を図れない場合があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭56−144478号公報 (第1−2頁)
【特許文献2】
特開2001−49129号公報 (第2−3頁)
【特許文献3】
特開平8−183820号公報 (第2頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、ゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂を含有する、光硬化時に生ずる重合熱により光造形物の熱歪みの問題を生ずることのない光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
さらに、フィラーを含有する光造形用樹脂組成物であって、前記フィラーの沈降の起こらない光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、前記問題を解決可能な光造形用樹脂組成物を用いた光造形方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、
<1>光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含む光造形用樹脂組成物である。
【0010】
<2>前記フィラーが、熱伝導性フィラーであることを特徴とする<1>に記載の光造形用樹脂組成物である。
【0011】
<3>光造形用樹脂組成物表面を光照射することにより光硬化物層を形成し、前記光硬化物層上に前記光造形用樹脂組成物からなる層を形成し、さらに前記光造形用樹脂組成物からなる層表面を光照射することにより光硬化物層を形成する工程を含む、前記光硬化物層が積層されてなる光造形物を形成する光造形方法において、前記光造形用樹脂組成物が、光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含むことを特徴とする光造形方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の光造形用樹脂組成物は、光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含むことを特徴とする。本発明の光造形用樹脂組成物は前記ゾル−ゲル樹脂を含有するため、当該光造形用樹脂組成物は、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する。
【0013】
<光硬化性成分>
本発明の光造形用樹脂組成物に含有される光硬化性成分は、光照射により光反応をおこし架橋構造を形成し得る官能基を、その分子中に1つ又は2つ以上含有する化合物であればいかなる物も使用可能である。
光硬化性成分として、例えば、ラジカル重合可能な化合物が挙げられる。
前記ラジカル重合可能な化合物としては、その化学構造中に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物であって、モノマー、プレポリマー(2量体、3量体、及びそのオリゴマー)、これらの混合物、又はこれらの共重合体等の化学構造をもつ化合物が好ましい。
その具体例としては、不飽和カルボン酸及びその塩、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミド等が挙げられる。
【0014】
前記不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸の塩としては、具体的には、前述の不飽和カルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩等が挙げられる。
前記脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル等が挙げられる。これらを更に具体的に説明する。
【0015】
前記アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールトリアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0016】
前記メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス−〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
前記イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネ−ト、1,4−ブタンジオールジイタコネ−ト、テトラメチレングリコ−ルジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
【0017】
前記クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
前記イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
これらのエステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドとしては、具体的には、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0019】
前記のほか、特公昭48−41708号公報に記載の、1分子中に2種以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式で示されるビニルモノマーを付加させた,1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R)OH
但し、Rは、H又はCH3を表す。
さらに、ビニル基又はビニリデン基を有する高分子化合物、例えば、側鎖にヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、ハロゲン原子、又はスルホニルオキシ基を有する高分子化合物とアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの誘導体との縮合化合物等を用いることもできる。
【0020】
光硬化性成分のその他の例として、カチオン重合可能な化合物が挙げられる。前記カチオン重合可能な化合物として、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ化合物としては、一分子中に一つ又は二つ以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物を挙げることができる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705号、英国特許第1,539,192号の各明細書に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0021】
これらの中でも光硬化速度及び光硬化後の物性などの観点から、前記光硬化性成分としてラジカル重合可能な化合物が好ましい。
【0022】
<フィラー>
本発明の光造形用樹脂組成物に含有されるフィラーの種類は特に限定されない。光造形用樹脂組成物中にフィラーを含有させることにより、光造形物の機械的強度、耐湿性の改善、耐熱性の改善及び線膨張系数の低減を図ることができる。また、光硬化反応による収縮に由来する歪みの軽減を図ることができる。このため、高精度造形が可能となる。
さらに、該フィラーが熱伝導性フィラーであると、光造形物の熱伝導性が良好となる。そのため、特にライン露光又はエリア露光等により光照射が行われる場合には、光造形用樹脂組成物の光硬化時に生ずる反応熱を効果的に拡散することが可能となり、熱歪みを低減させ高精度造形が可能となるので好ましい。
【0023】
前記フィラーとしては、例えば、1)水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素、アルミナ、クレイ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ等の無機微粒子、2)架橋ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシロキサン等の有機微粒子、3)チタン酸カリウム繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、炭素繊維等の無機繊維ウィスカーが挙げられる。
この中でも、光造形物の熱伝導性をよくするためには、熱伝導性に優れるアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ等の熱伝導性フィラーが好ましい。
【0024】
本発明においては、前記フィラーを光硬化性成分と後述するゾル−ゲル樹脂との総量の100質量部に対して50〜400質量部となるように含有させる。また、フィラーは単独で用いてもよいし2種以上を併用することも可能である。
【0025】
<ゾル−ゲル樹脂>
本発明の光造形用樹脂組成物に含有されるゾル−ゲル樹脂は、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂である。
前記ゾル−ゲル樹脂の例としては、温度の低下に伴ってゾルからゲルへの相転移を引き起こす機能を有するものとして、シンジオタクチックポリメタクリル酸エステルとアイソタクチックポリメタクリル酸エステルとの混合物が挙げられる。前記シンジオタクチックポリメタクリル酸エステルの具体例としては、シンジオタクチックポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリメタクリル酸イソブチル、シンジオタクチックポリメタクリル酸ベンジル、シンジオタクチックポリメタクリル酸メタリル等が挙げられる。前記アイソタクチックポリメタクリル酸エステルの具体例としては、アイソタクチックポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0026】
また、前記ゾル−ゲル樹脂としてシンジオタクチックポリメタクリル酸エステルとアイソタクチックポリメタクリル酸エステルとからなる混合物を使用する場合、光造形用樹脂組成物に、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を付与するための、当該組成物を構成する光硬化性成分、フィラー、シンジオタクチックポリメタクリル酸エステル及びアイソタクチックポリメタクリル酸エステルの好適な相対量は、光硬化性成分の種類、シンジオタクチックポリメタクリル酸エステルの種類及び立体規則性、アイソタクチックポリメタクリル酸エステルの種類及び立体規則性等の条件等に応じて左右されるので、適宜実験的に決定することが好ましい。
【0027】
また、前記ゾル−ゲル樹脂は、温度の上昇に伴ってゾルからゲルへの相転移を引き起こすものであってもよい。そのようなゾル−ゲル樹脂として、特開平9−192469号公報、特開平9−227329号公報、特開平10−77201号公報、特開平10−101518号公報、特開平11−169703号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0028】
<光重合開始剤>
本発明の光造形用樹脂組成物には、予め光重合開始剤を含有させることが好ましい。本発明は、用いる光重合開始剤の種類を特に制限するものではないが、光硬化性成分としてラジカル重合可能な化合物を用いる場合、かかる光重合開始剤としては、1)ベンゾイン、α−メチルベンゾイン、アントラキノン、クロルアントラキノン、アセトフェノン等のカルボニル化合物、2)ジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジチオカーバメイト等のイオウ化合物、3)α−クロルメチルナフタレン、アントラセン等の多環芳香族化合物等が挙げられる。一方、光硬化性成分としてカチオン重合可能な化合物を用いる場合、かかる光重合開始剤としては光照射により酸を発生する光酸発生剤である、有機ハロゲン化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0029】
前記光重合開始剤の含有量は、光硬化性成分とゾル−ゲル樹脂との総量の100質量部当たり、0.1〜10質量部となるようにし、好ましくは1〜5質量部となるようにする。
前記光重合開始剤と共に、公知の光増感剤を併用することができる。
【0030】
なお、本発明の光造形用樹脂組成物中には、充填剤(補強剤)、可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、或いは帯電防止剤などを含有していてもよい。
【0031】
<光造形方法>
本発明の光造形方法は、光造形用樹脂組成物表面を光照射することにより光硬化物層を形成し、前記光硬化物層上に前記光造形用樹脂組成物からなる層を形成し、さらに前記光造形用樹脂組成物からなる層表面を光照射することにより光硬化物層を形成する工程を含む、前記光硬化物層が積層されてなる光造形物を形成する光造形方法において、前記光造形用樹脂組成物が、本発明の光造形用樹脂組成物であることを特徴とする。
【0032】
本発明の光造形方法の一例を、図1に基づいて説明する。
本発明の光造形方法を用いて図1(A)の光造形物16を形成する方法は以下のとおりである。
【0033】
(1)図1(B)に示すように、加熱したゾル状の光造形用樹脂組成物をエレベーター100上に押し出し、層1として未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を形成する。この場合、図示しない平滑手段を用いて層1表面を平滑にすることが好ましい。押し出し後光造形用樹脂組成物は冷却されゲル状になる。
(2)図1(C)に示すように、層1を光照射することにより光硬化物層12を形成する。光照射後、エレベーター100を層1の厚み分下降させる。
(3)図1(D)に示すように、層1上に加熱したゾル状の光造形用樹脂組成物を押し出し、層2として未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を形成する。この場合、図示しない平滑手段を用いて層2表面を平滑にすることが好ましい。押し出し後光造形用樹脂組成物は冷却されゲル状になる。
(4)図1(E)に示すように、層2表面にマスクパターン14を設けた後、層2を光照射することにより、マスクパターン14を設けなかった部分が光硬化物層12であり、マスクパターン14を設けられた部分がゲル状の光造形用樹脂組成物からなる層10である、層2を形成する。光照射後、エレベーター100を層2の厚み分下降させる。
(5)図1(F)に示すように、層2上に加熱したゾル状の光造形用樹脂組成物を押し出し、層3として未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を形成する。この場合、図示しない平滑手段を用いて層3表面を平滑にすることが好ましい。押し出し後光造形用樹脂組成物は冷却されゲル状になる。
(6)図1(G)に示すように、層3を光照射することによりオーバーハング部位を有する光硬化物層12を形成する。当該オーバーハング部位を有する光硬化物層を形成する場合に、その直下にあたる層2の光造形用樹脂組成物からなる層10はゲル状であるため、サポート部分を形成する必要がない。
(7)(1)〜(6)の方法により形成された、光硬化物層が積層されてなる光造形物をエレベーター100から取り外し、未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を除くことにより光造形物16が得られる。
【0034】
未硬化の光造形用樹脂組成物の除去方法としては、例えば、加熱してゾル化し、未硬化の光造形用樹脂組成物に流動性を持たせることによって流し出すことができる。ここで、ゲル部分をゾルにして除去する際には、ゾルを溶媒中に膨潤または溶解させて除去してもよく、また、除去後に、得られた光造形物を溶媒で洗浄してもよい。なお、未硬化部分が除去された後、得られた光造形物に対して更に光照射することにより、硬化をより完全なものとし、強度等の物性を向上させても良い。
【0035】
前記光照射に用いられる光は、光造形用樹脂組成物中に含まれる光重合開始剤に依存し、例えば、赤外線、可視光線又は紫外線等が挙げられ、この中でも紫外線が好ましい。
【0036】
マスクパターン14の素材は、光照射に用いられる光を遮蔽できるものであればいかなるものをも使用可能であるが、光造形用樹脂組成物からなる層10上に直接形成させるためには、塗布を行うことの便宜を考慮して液体であることが好ましく、場合によっては粉状物のような固体であってもよい。
【0037】
光造形用樹脂組成物上に直接的に形成されたマスクパターンの上から光照射する方法を採用する場合、通常の光硬化性成分は紫外線によって光硬化が生じるため、マスクパターンを光造形用樹脂組成物上の露光面に直接描画し、光照射後、その上に光造形用樹脂組成物をさらに供給・積層していくことになる。そのためには、マスクパターンが露光面に定着し、また、高さ方向の精度に影響を与えない程度の厚さ(数ミクロン程度)でなくてはならない。
【0038】
このような条件を満足するものとして、インクジェット式プリンタに採用されているインクジェット記録方式を採用することが好適である。なお、インクジェット記録方式を採用する場合、インクの代わりに、超微粒子酸化チタンなどの紫外光を遮断する成分(紫外光遮断成分)を溶剤に分散したものを用いればよい。
【0039】
なお、紫外光遮断成分としては、前記の超微粒子酸化チタンのような無機材料だけでなく、ポリグリシジルメタクリレートなどの紫外線を吸収する有機化合物等も使用することができる。その他の紫外光遮断成分としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線防止剤や、トリアゾール系紫外線防止剤、サリチル酸誘導体系紫外線防止剤、アクリロニトリル誘導体系紫外線防止剤など、紫外光を吸収することによって分子内転位が生じて安定化したり、或いは、芳香族誘導体に発色団や助色団を有するような化合物を使用することもできる。
【0040】
なお、マスクパターンを光造形用樹脂組成物上に直接形成せずに、光造形用樹脂組成物と隔てて設けられた、マスクパターン(例えばネガフィルム)を介して光照射する方法、マスクパターンを用いず、直接レーザ光を走査する方法等を用いてもよい。
【0041】
光造形用樹脂組成物として液状のものを用いると、オーバーハング部位形成時にサポートを形成する必要があるが、このサポートの除去は手作業で行うため工数が必要となる。例えば、10cm立方の光造形には通常6〜12時間を要するが、複雑な形状の場合、サポート部位の除去に光造形と同じ工数が必要になるという問題がある。しかし、本発明の光造形用樹脂組成物を用いれば、オーバーハング部位の直下がゲルの状態であるためサポート部位を形成する必要がない。
【0042】
本発明の光造形用樹脂組成物中にはフィラー成分、好ましくは熱伝導性フィラー成分が含有されており、本発明の光造形用樹脂組成物からなる光造形物は機械的強度等の特性に優れる。さらに、本発明の光造形用樹脂組成物はゾル−ゲル層転移を引き起こす機能を有するため、ゾル状態において0.025〜0.2mmの厚さに押し出された本発明の光造形用樹脂組成物は、下部の樹脂組成物層と接触して急速に冷却されゲル化する。したがって、前記光造形用樹脂組成物に含有されるフィラー成分は沈殿などを起こすことなく均等に分散される。その結果、フィラー成分を含有させたことによる効果(機械的強度の向上等)を有効に発揮させることが可能となる。
一方、液状の光造形用樹脂組成物を使用すると、押し出し後にフィラー成分の沈殿等が起きる可能性がある。この場合、フィラー成分が均一に分散されず、フィラー成分を含有させたことによる効果を有効に発揮させることが困難になる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
光造形用樹脂組成物として、常温でゲル状態であり、かつ約80℃でゾル状態に変移する組成物(ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂:シンジオタクチックポリメチルメタクリレート:アイソタクチックポリメチルメタクリレート=75:16.7:8.3(重量比))100質量部に、アルミナフィラー50質量部を分散させたものを用いた。
前記光造形用樹脂組成物を供給する際は、80℃以上の条件下でゾル状態の態様として貯留された組成物をエレベーター上に一定量押し出し、リコータにより平面供給するようにした。
容器内に供給された組成物は、常温の条件下で約30秒でゲル化した。このゲル化した光造形用樹脂組成物は、紫外線ランプで露光され、光硬化された。これを繰り返すことにより光造形物を得た。
造形終了後、得られたゲル状態のブロックを、超音波振動を付与したトルエン等の溶剤中、約80℃で3時間程度加温処理することで、末硬化樹脂を除去し、最後に後露光を行って光造形物を得た。
【0044】
上記フィラーを含有する前記光造形用樹脂組成物を露光した結果、フィラーを含有しない樹脂組成物に対し熱歪みが軽減されたため、造形精度が向上した。
【0045】
[比較例1]
光造形用樹脂組成物として、カチオン重合化合物94質量%と、カチオン性光重合開始剤5質量%と、光カチオン重合用光増感剤1質量%とを含有する組成物を用い、実施例1と同様にして光造形物を得た。
実施例1及び比較例1共に、100×100mmの枠状の構造体を造形し、その寸法精度を測定して造形精度を評価した。
実施例1及び比較例1共に、前述の造形物を作成し、造形精度を比較したところ、実施例1では比較例1と比べて明らかに精度の向上がみられた。
【0046】
【発明の効果】
熱伝導性フィラーを含有する光造形用樹脂組成物を用いて光造形物を形成すると、フィラーを含有しない樹脂に対して熱歪みが軽減され、造形精度の改善がみられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光造形方法の説明図である。
【符号の説明】
10 光造形用樹脂組成物からなる層
12 光硬化物層
14 マスクパターン
16 光造形物
100 エレベーター
【発明の属する技術分野】
本発明は、光造形用樹脂組成物及びそれを用いた光造形方法に関し、特に、3次元立体造形に適した光造形用樹脂組成物及びそれを用いた光造形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、3次元CAD(Computer Aided Design)システムの普及に伴い、3次元CADによりコンピュータ上の仮想空間に作成された3次元形状を、CADデータに基づき光造形用樹脂組成物を光ビームで露光して3次元モデルを造形する光造形システムが利用されている。この光造形システムでは、コンピュータ上でCADデータを所定間隔でスライスして複数の断面データを作成し、各断面データに基づいて液状の光造形用樹脂組成物の表面をレーザ光で走査して層状に硬化させ、光硬化物層を順次積層して3次元モデルを造形する。
【0003】
例えば、液状の光造形用樹脂組成物を容器内に収容し、当該容器の上部に設けられた露光手段を走査させることによって前記光造形用樹脂組成物の表面に選択的に光照射して光硬化物層を形成し、この光硬化物層上にさらに一層分の光造形用樹脂組成物を供給して液状の樹脂層を形成し、その表面に選択的に光照射をすることにより、先行して形成された光硬化物層上に、これと連続するように新しい光硬化物層を一体的に積層し、さらに、光造形用樹脂組成物の供給および光照射を所定回数繰り返すことにより、立体的な造形物を形成する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示された方法では、未硬化部分が液状であるため、未硬化部分には硬化部分を支える力学強度がない。そのため、例えば、下部よりも上部が大型であるような形状の造形物を成形する際には上部が反りなどの変形を生じ易い等の不都合が生じ、これを解決する為に大型の上部を支えるためのサポート部分を余分に成形し、得られた予備造形物から該サポート部分を除去するという煩雑な工程が必要となる等の問題があった。
【0005】
上記問題を解決する為に、光造形用樹脂組成物として温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂を含有する光造形用樹脂組成物を用いる発明が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。この発明によれば、ゲル状態の樹脂を光硬化させて光硬化物層を形成するため、下部よりも上部が大型であるような形状の造形物を成形する際においてもサポート部分を必要とせず、迅速な造形物の形成が可能となる。
しかし、ゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂を含有する光造形用樹脂組成物を用いた場合、光硬化時に生ずる重合熱により光造形物の熱歪みの問題が生じていた。
【0006】
一方、光造形物の機械的物性及び熱的物性の向上のため、光造形用樹脂組成物中にフィラー成分を添加する発明が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。
しかし、この発明においては液状の光造形用樹脂組成物を用いるためフィラー成分が沈降し、期待された特性の向上を図れない場合があった。
【0007】
【特許文献1】
特開昭56−144478号公報 (第1−2頁)
【特許文献2】
特開2001−49129号公報 (第2−3頁)
【特許文献3】
特開平8−183820号公報 (第2頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたものであり、ゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂を含有する、光硬化時に生ずる重合熱により光造形物の熱歪みの問題を生ずることのない光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
さらに、フィラーを含有する光造形用樹脂組成物であって、前記フィラーの沈降の起こらない光造形用樹脂組成物を提供することを目的とする。
また、前記問題を解決可能な光造形用樹脂組成物を用いた光造形方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
即ち本発明は、
<1>光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含む光造形用樹脂組成物である。
【0010】
<2>前記フィラーが、熱伝導性フィラーであることを特徴とする<1>に記載の光造形用樹脂組成物である。
【0011】
<3>光造形用樹脂組成物表面を光照射することにより光硬化物層を形成し、前記光硬化物層上に前記光造形用樹脂組成物からなる層を形成し、さらに前記光造形用樹脂組成物からなる層表面を光照射することにより光硬化物層を形成する工程を含む、前記光硬化物層が積層されてなる光造形物を形成する光造形方法において、前記光造形用樹脂組成物が、光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含むことを特徴とする光造形方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の光造形用樹脂組成物は、光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含むことを特徴とする。本発明の光造形用樹脂組成物は前記ゾル−ゲル樹脂を含有するため、当該光造形用樹脂組成物は、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する。
【0013】
<光硬化性成分>
本発明の光造形用樹脂組成物に含有される光硬化性成分は、光照射により光反応をおこし架橋構造を形成し得る官能基を、その分子中に1つ又は2つ以上含有する化合物であればいかなる物も使用可能である。
光硬化性成分として、例えば、ラジカル重合可能な化合物が挙げられる。
前記ラジカル重合可能な化合物としては、その化学構造中に少なくとも1つのエチレン性不飽和結合を有する化合物であって、モノマー、プレポリマー(2量体、3量体、及びそのオリゴマー)、これらの混合物、又はこれらの共重合体等の化学構造をもつ化合物が好ましい。
その具体例としては、不飽和カルボン酸及びその塩、脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステル、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミド等が挙げられる。
【0014】
前記不飽和カルボン酸としては、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等が挙げられる。
前記不飽和カルボン酸の塩としては、具体的には、前述の不飽和カルボン酸のナトリウム塩及びカリウム塩等が挙げられる。
前記脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、イタコン酸エステル、クロトン酸エステル、イソクロトン酸エステル等が挙げられる。これらを更に具体的に説明する。
【0015】
前記アクリル酸エステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールトリアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー等が挙げられる。
【0016】
前記メタクリル酸エステルとしては、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス−〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(アクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
前記イタコン酸エステルとしては、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネ−ト、1,4−ブタンジオールジイタコネ−ト、テトラメチレングリコ−ルジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が挙げられる。
【0017】
前記クロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラクロトネート等が挙げられる。
前記イソクロトン酸エステルとしては、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等がある。マレイン酸エステルとしては、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
これらのエステルは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0018】
前記脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドとしては、具体的には、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等が挙げられる。
【0019】
前記のほか、特公昭48−41708号公報に記載の、1分子中に2種以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記の一般式で示されるビニルモノマーを付加させた,1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R)OH
但し、Rは、H又はCH3を表す。
さらに、ビニル基又はビニリデン基を有する高分子化合物、例えば、側鎖にヒドロキシル基、アミノ基、エポキシ基、ハロゲン原子、又はスルホニルオキシ基を有する高分子化合物とアクリル酸、メタクリル酸又はこれらの誘導体との縮合化合物等を用いることもできる。
【0020】
光硬化性成分のその他の例として、カチオン重合可能な化合物が挙げられる。前記カチオン重合可能な化合物として、エポキシ樹脂が挙げられる。前記エポキシ化合物としては、一分子中に一つ又は二つ以上のエポキシ基を含む、モノマー、ダイマー、オリゴマー、ポリマー状のエポキシ化合物を挙げることができる。例えば、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとの反応生成物、低分子量フェノール−ホルムアルデヒド樹脂とエピクロルヒドリンとの反応生成物等が挙げられる。その他、米国特許第4,026,705号、英国特許第1,539,192号の各明細書に記載され、使用されているエポキシ樹脂を挙げることができる。
【0021】
これらの中でも光硬化速度及び光硬化後の物性などの観点から、前記光硬化性成分としてラジカル重合可能な化合物が好ましい。
【0022】
<フィラー>
本発明の光造形用樹脂組成物に含有されるフィラーの種類は特に限定されない。光造形用樹脂組成物中にフィラーを含有させることにより、光造形物の機械的強度、耐湿性の改善、耐熱性の改善及び線膨張系数の低減を図ることができる。また、光硬化反応による収縮に由来する歪みの軽減を図ることができる。このため、高精度造形が可能となる。
さらに、該フィラーが熱伝導性フィラーであると、光造形物の熱伝導性が良好となる。そのため、特にライン露光又はエリア露光等により光照射が行われる場合には、光造形用樹脂組成物の光硬化時に生ずる反応熱を効果的に拡散することが可能となり、熱歪みを低減させ高精度造形が可能となるので好ましい。
【0023】
前記フィラーとしては、例えば、1)水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ、非晶性シリカ、炭化ケイ素、アルミナ、クレイ、炭酸カルシウム、ガラスビーズ等の無機微粒子、2)架橋ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルシロキサン等の有機微粒子、3)チタン酸カリウム繊維、硫酸マグネシウム繊維、ホウ酸マグネシウム繊維、ホウ酸アルミニウム繊維、炭素繊維等の無機繊維ウィスカーが挙げられる。
この中でも、光造形物の熱伝導性をよくするためには、熱伝導性に優れるアルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、結晶性シリカ等の熱伝導性フィラーが好ましい。
【0024】
本発明においては、前記フィラーを光硬化性成分と後述するゾル−ゲル樹脂との総量の100質量部に対して50〜400質量部となるように含有させる。また、フィラーは単独で用いてもよいし2種以上を併用することも可能である。
【0025】
<ゾル−ゲル樹脂>
本発明の光造形用樹脂組成物に含有されるゾル−ゲル樹脂は、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有する樹脂である。
前記ゾル−ゲル樹脂の例としては、温度の低下に伴ってゾルからゲルへの相転移を引き起こす機能を有するものとして、シンジオタクチックポリメタクリル酸エステルとアイソタクチックポリメタクリル酸エステルとの混合物が挙げられる。前記シンジオタクチックポリメタクリル酸エステルの具体例としては、シンジオタクチックポリメチルメタクリレート、シンジオタクチックポリメタクリル酸イソブチル、シンジオタクチックポリメタクリル酸ベンジル、シンジオタクチックポリメタクリル酸メタリル等が挙げられる。前記アイソタクチックポリメタクリル酸エステルの具体例としては、アイソタクチックポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
【0026】
また、前記ゾル−ゲル樹脂としてシンジオタクチックポリメタクリル酸エステルとアイソタクチックポリメタクリル酸エステルとからなる混合物を使用する場合、光造形用樹脂組成物に、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を付与するための、当該組成物を構成する光硬化性成分、フィラー、シンジオタクチックポリメタクリル酸エステル及びアイソタクチックポリメタクリル酸エステルの好適な相対量は、光硬化性成分の種類、シンジオタクチックポリメタクリル酸エステルの種類及び立体規則性、アイソタクチックポリメタクリル酸エステルの種類及び立体規則性等の条件等に応じて左右されるので、適宜実験的に決定することが好ましい。
【0027】
また、前記ゾル−ゲル樹脂は、温度の上昇に伴ってゾルからゲルへの相転移を引き起こすものであってもよい。そのようなゾル−ゲル樹脂として、特開平9−192469号公報、特開平9−227329号公報、特開平10−77201号公報、特開平10−101518号公報、特開平11−169703号公報等に記載の樹脂が挙げられる。
【0028】
<光重合開始剤>
本発明の光造形用樹脂組成物には、予め光重合開始剤を含有させることが好ましい。本発明は、用いる光重合開始剤の種類を特に制限するものではないが、光硬化性成分としてラジカル重合可能な化合物を用いる場合、かかる光重合開始剤としては、1)ベンゾイン、α−メチルベンゾイン、アントラキノン、クロルアントラキノン、アセトフェノン等のカルボニル化合物、2)ジフェニルスルフィド、ジフェニルジスルフィド、ジチオカーバメイト等のイオウ化合物、3)α−クロルメチルナフタレン、アントラセン等の多環芳香族化合物等が挙げられる。一方、光硬化性成分としてカチオン重合可能な化合物を用いる場合、かかる光重合開始剤としては光照射により酸を発生する光酸発生剤である、有機ハロゲン化合物、オニウム塩、スルホン酸エステル等が挙げられる。
【0029】
前記光重合開始剤の含有量は、光硬化性成分とゾル−ゲル樹脂との総量の100質量部当たり、0.1〜10質量部となるようにし、好ましくは1〜5質量部となるようにする。
前記光重合開始剤と共に、公知の光増感剤を併用することができる。
【0030】
なお、本発明の光造形用樹脂組成物中には、充填剤(補強剤)、可塑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、酸化防止剤、或いは帯電防止剤などを含有していてもよい。
【0031】
<光造形方法>
本発明の光造形方法は、光造形用樹脂組成物表面を光照射することにより光硬化物層を形成し、前記光硬化物層上に前記光造形用樹脂組成物からなる層を形成し、さらに前記光造形用樹脂組成物からなる層表面を光照射することにより光硬化物層を形成する工程を含む、前記光硬化物層が積層されてなる光造形物を形成する光造形方法において、前記光造形用樹脂組成物が、本発明の光造形用樹脂組成物であることを特徴とする。
【0032】
本発明の光造形方法の一例を、図1に基づいて説明する。
本発明の光造形方法を用いて図1(A)の光造形物16を形成する方法は以下のとおりである。
【0033】
(1)図1(B)に示すように、加熱したゾル状の光造形用樹脂組成物をエレベーター100上に押し出し、層1として未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を形成する。この場合、図示しない平滑手段を用いて層1表面を平滑にすることが好ましい。押し出し後光造形用樹脂組成物は冷却されゲル状になる。
(2)図1(C)に示すように、層1を光照射することにより光硬化物層12を形成する。光照射後、エレベーター100を層1の厚み分下降させる。
(3)図1(D)に示すように、層1上に加熱したゾル状の光造形用樹脂組成物を押し出し、層2として未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を形成する。この場合、図示しない平滑手段を用いて層2表面を平滑にすることが好ましい。押し出し後光造形用樹脂組成物は冷却されゲル状になる。
(4)図1(E)に示すように、層2表面にマスクパターン14を設けた後、層2を光照射することにより、マスクパターン14を設けなかった部分が光硬化物層12であり、マスクパターン14を設けられた部分がゲル状の光造形用樹脂組成物からなる層10である、層2を形成する。光照射後、エレベーター100を層2の厚み分下降させる。
(5)図1(F)に示すように、層2上に加熱したゾル状の光造形用樹脂組成物を押し出し、層3として未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を形成する。この場合、図示しない平滑手段を用いて層3表面を平滑にすることが好ましい。押し出し後光造形用樹脂組成物は冷却されゲル状になる。
(6)図1(G)に示すように、層3を光照射することによりオーバーハング部位を有する光硬化物層12を形成する。当該オーバーハング部位を有する光硬化物層を形成する場合に、その直下にあたる層2の光造形用樹脂組成物からなる層10はゲル状であるため、サポート部分を形成する必要がない。
(7)(1)〜(6)の方法により形成された、光硬化物層が積層されてなる光造形物をエレベーター100から取り外し、未硬化の光造形用樹脂組成物からなる層10を除くことにより光造形物16が得られる。
【0034】
未硬化の光造形用樹脂組成物の除去方法としては、例えば、加熱してゾル化し、未硬化の光造形用樹脂組成物に流動性を持たせることによって流し出すことができる。ここで、ゲル部分をゾルにして除去する際には、ゾルを溶媒中に膨潤または溶解させて除去してもよく、また、除去後に、得られた光造形物を溶媒で洗浄してもよい。なお、未硬化部分が除去された後、得られた光造形物に対して更に光照射することにより、硬化をより完全なものとし、強度等の物性を向上させても良い。
【0035】
前記光照射に用いられる光は、光造形用樹脂組成物中に含まれる光重合開始剤に依存し、例えば、赤外線、可視光線又は紫外線等が挙げられ、この中でも紫外線が好ましい。
【0036】
マスクパターン14の素材は、光照射に用いられる光を遮蔽できるものであればいかなるものをも使用可能であるが、光造形用樹脂組成物からなる層10上に直接形成させるためには、塗布を行うことの便宜を考慮して液体であることが好ましく、場合によっては粉状物のような固体であってもよい。
【0037】
光造形用樹脂組成物上に直接的に形成されたマスクパターンの上から光照射する方法を採用する場合、通常の光硬化性成分は紫外線によって光硬化が生じるため、マスクパターンを光造形用樹脂組成物上の露光面に直接描画し、光照射後、その上に光造形用樹脂組成物をさらに供給・積層していくことになる。そのためには、マスクパターンが露光面に定着し、また、高さ方向の精度に影響を与えない程度の厚さ(数ミクロン程度)でなくてはならない。
【0038】
このような条件を満足するものとして、インクジェット式プリンタに採用されているインクジェット記録方式を採用することが好適である。なお、インクジェット記録方式を採用する場合、インクの代わりに、超微粒子酸化チタンなどの紫外光を遮断する成分(紫外光遮断成分)を溶剤に分散したものを用いればよい。
【0039】
なお、紫外光遮断成分としては、前記の超微粒子酸化チタンのような無機材料だけでなく、ポリグリシジルメタクリレートなどの紫外線を吸収する有機化合物等も使用することができる。その他の紫外光遮断成分としては、2−ヒドロキシベンゾフェノン系紫外線防止剤や、トリアゾール系紫外線防止剤、サリチル酸誘導体系紫外線防止剤、アクリロニトリル誘導体系紫外線防止剤など、紫外光を吸収することによって分子内転位が生じて安定化したり、或いは、芳香族誘導体に発色団や助色団を有するような化合物を使用することもできる。
【0040】
なお、マスクパターンを光造形用樹脂組成物上に直接形成せずに、光造形用樹脂組成物と隔てて設けられた、マスクパターン(例えばネガフィルム)を介して光照射する方法、マスクパターンを用いず、直接レーザ光を走査する方法等を用いてもよい。
【0041】
光造形用樹脂組成物として液状のものを用いると、オーバーハング部位形成時にサポートを形成する必要があるが、このサポートの除去は手作業で行うため工数が必要となる。例えば、10cm立方の光造形には通常6〜12時間を要するが、複雑な形状の場合、サポート部位の除去に光造形と同じ工数が必要になるという問題がある。しかし、本発明の光造形用樹脂組成物を用いれば、オーバーハング部位の直下がゲルの状態であるためサポート部位を形成する必要がない。
【0042】
本発明の光造形用樹脂組成物中にはフィラー成分、好ましくは熱伝導性フィラー成分が含有されており、本発明の光造形用樹脂組成物からなる光造形物は機械的強度等の特性に優れる。さらに、本発明の光造形用樹脂組成物はゾル−ゲル層転移を引き起こす機能を有するため、ゾル状態において0.025〜0.2mmの厚さに押し出された本発明の光造形用樹脂組成物は、下部の樹脂組成物層と接触して急速に冷却されゲル化する。したがって、前記光造形用樹脂組成物に含有されるフィラー成分は沈殿などを起こすことなく均等に分散される。その結果、フィラー成分を含有させたことによる効果(機械的強度の向上等)を有効に発揮させることが可能となる。
一方、液状の光造形用樹脂組成物を使用すると、押し出し後にフィラー成分の沈殿等が起きる可能性がある。この場合、フィラー成分が均一に分散されず、フィラー成分を含有させたことによる効果を有効に発揮させることが困難になる。
【0043】
【実施例】
以下、本発明を実施例を用いて詳細に説明する。
[実施例1]
光造形用樹脂組成物として、常温でゲル状態であり、かつ約80℃でゾル状態に変移する組成物(ウレタンアクリレート系紫外線硬化樹脂:シンジオタクチックポリメチルメタクリレート:アイソタクチックポリメチルメタクリレート=75:16.7:8.3(重量比))100質量部に、アルミナフィラー50質量部を分散させたものを用いた。
前記光造形用樹脂組成物を供給する際は、80℃以上の条件下でゾル状態の態様として貯留された組成物をエレベーター上に一定量押し出し、リコータにより平面供給するようにした。
容器内に供給された組成物は、常温の条件下で約30秒でゲル化した。このゲル化した光造形用樹脂組成物は、紫外線ランプで露光され、光硬化された。これを繰り返すことにより光造形物を得た。
造形終了後、得られたゲル状態のブロックを、超音波振動を付与したトルエン等の溶剤中、約80℃で3時間程度加温処理することで、末硬化樹脂を除去し、最後に後露光を行って光造形物を得た。
【0044】
上記フィラーを含有する前記光造形用樹脂組成物を露光した結果、フィラーを含有しない樹脂組成物に対し熱歪みが軽減されたため、造形精度が向上した。
【0045】
[比較例1]
光造形用樹脂組成物として、カチオン重合化合物94質量%と、カチオン性光重合開始剤5質量%と、光カチオン重合用光増感剤1質量%とを含有する組成物を用い、実施例1と同様にして光造形物を得た。
実施例1及び比較例1共に、100×100mmの枠状の構造体を造形し、その寸法精度を測定して造形精度を評価した。
実施例1及び比較例1共に、前述の造形物を作成し、造形精度を比較したところ、実施例1では比較例1と比べて明らかに精度の向上がみられた。
【0046】
【発明の効果】
熱伝導性フィラーを含有する光造形用樹脂組成物を用いて光造形物を形成すると、フィラーを含有しない樹脂に対して熱歪みが軽減され、造形精度の改善がみられた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光造形方法の説明図である。
【符号の説明】
10 光造形用樹脂組成物からなる層
12 光硬化物層
14 マスクパターン
16 光造形物
100 エレベーター
Claims (3)
- 光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含む光造形用樹脂組成物。
- 前記フィラーが、熱伝導性フィラーであることを特徴とする請求項1に記載の光造形用樹脂組成物。
- 光造形用樹脂組成物表面を光照射することにより光硬化物層を形成し、前記光硬化物層上に前記光造形用樹脂組成物からなる層を形成し、さらに前記光造形用樹脂組成物からなる層表面を光照射することにより光硬化物層を形成する工程を含む、前記光硬化物層が積層されてなる光造形物を形成する光造形方法において、
前記光造形用樹脂組成物が、光硬化性成分と、温度変化により可逆的かつ急速にゾル−ゲル相転移を引き起こす機能を有するゾル−ゲル樹脂と、フィラーと、を含むことを特徴とする光造形方法。
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