JP6939954B2 - ハイドロゲル立体造形物の製造装置 - Google Patents
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また近年、インクジェット方式により液状の光硬化性樹脂を造形物の必要箇所に像形成し、これを多層化することで3次元造形物を形成する、インクジェット光造形方式が開示されている。このようなインクジェット光造形方式において、立体造形物とは異なる部材支持体を同時に形成し、立体造形中における、立体造形物の変形や落下を防止する方法が提案されている(例えば、特許文献2及び3参照)。
前記第一の工程で形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させる第二の工程と、を複数回繰り返す。
本発明の第1の形態に係る立体造形物の製造方法は、第一の工程と、第二の工程とを含み、第五の工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含んでなる。
本発明の第1の形態に係る立体造形物の製造装置は、第一の手段と、第二の手段とを有し、第五の手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記第一の工程は、水及びハイドロゲル前駆体を含む第一の液体を付与して成膜する工程であり、第一の手段により実施することができる。
これらの中でも、前記ディスペンサー方式は、液滴の定量性に優れるが、塗布面積が狭くなり、前記スプレー方式は、簡便に微細な吐出物を形成でき、塗布面積が広く、塗布性に優れるが、液滴の定量性が悪く、スプレー流による飛散が発生する。このため、本発明においては、前記インクジェット方式が特に好ましい。前記インクジェット方式は、前記スプレー方式に比べ、液滴の定量性が良く、前記ディスペンサー方式に比べ、塗布面積が広くできる利点があり、複雑な立体形状を精度良くかつ効率よく形成し得る点で好ましい。
前記第一の液体は、水、及びハイドロゲル前駆体を含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。前記第一の液体は、「軟質成形体用液体材料」とも呼ばれる。
前記水としては、例えば、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、蒸留水等の純水、又は超純水を用いることができる。
前記水には、保湿性付与、抗菌性付与、導電性付与、硬度調整などの目的に応じて有機溶媒等のその他の成分を溶解ないし分散させてもよい。
前記水の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記ハイドロゲル前駆体は、水に分散可能な鉱物及び重合性モノマーを含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記水に分散可能な鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、層状鉱物などが挙げられる。
前記層状鉱物は、単一層の状態で水に分散した層状鉱物であることが好ましい。
ここで、図1の上図に示すように、前記層状鉱物は、単位格子を結晶内に持つ二次元円盤状の結晶が積み重なった状態を呈しており、前記層状鉱物を水中で分散させると、図1の下図に示すように、各単一層状態で分離して円盤状の結晶となる。
前記層状鉱物としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水膨潤性層状粘土鉱物などが挙げられる。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、例えば、水膨潤性スメクタイト、水膨潤性雲母などが挙げられる。より具体的には、ナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリナイト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母などが挙げられる。
前記水膨潤性とは、図1に示すように層状鉱物の層間に水分子が挿入され、水中に分散されることを意味する。
前記水膨潤性層状粘土鉱物としては、前記例示したものを、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよく、また、適宜合成したものであってもよいし、市販品であってもよい。
前記市販品としては、例えば、合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)、SWN(Coop Chemical Ltd.製)、フッ素化ヘクトライト SWF(Coop Chemical Ltd.製)などが挙げられる。これらの中でも、合成ヘクトライトが好ましい。
前記層状鉱物の含有量は、第一の液体の全量に対して、1質量%以上40質量%以下が好ましく、1質量%以上15質量%以下がより好ましい。前記含有量が、1質量%以上40質量%以下の範囲において、第一の液体の粘度が適正であり、インクジェットノズルでの吐出性及び立体造形物の硬度が良好となる。
前記重合性モノマーとしては、例えば、アクリルアミド、N−置換アクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換アクリルアミド誘導体、N−置換メタクリルアミド誘導体、N,N−ジ置換メタクリルアミド誘導体、などが挙げられ、具体的には、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリンなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合性モノマーを重合させることにより、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有するポリマーが得られる。
前記アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有するポリマーは、ハイドロゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記重合性モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、第一の液体の全量に対して、0.5質量%以上20質量%以下が好ましい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、
例えば、界面活性剤、安定化剤、表面処理剤、重合開始剤、着色剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、有機溶剤、分散剤などが挙げられる。
前記第一の液体の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。
前記表面張力が、20mN/m以上45mN/m以下であると、立体造形の際に第一の液体の良好な吐出を行うことができる。
前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記粘度が、3mPa・s以上20mPa・s以下であると、立体造形の際に第一の液体の良好な吐出を行うことができる。
前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記第二の工程は、前記第一の工程で形成された膜を紫外線発光ダイオード(UV−LED)により硬化させる工程であり、第二の手段により実施することができる。
前記紫外線発光ダイオードの発光波長としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、一般的には365nm、375nm、385nm、395nm、405nmのものがあるが、立体造形物への色の影響を考慮すると、重合開始剤の吸収が大きくなるように、短波長発光の方が有利である。
前記紫外線発光ダイオード(UV−LED)は、一般的に用いられる紫外線照射ランプ(例えば、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ)、電子線などに比べて、硬化時に膜に与える熱エネルギーが小さく、膜の熱損傷が小さくなる。
特に、本発明で造形するハイドロゲルは、水を蓄えた状態で存在することで、その特徴を発現するため、その効果は顕著である。
前記紫外線発光ダイオード(UV−LED)の膜硬化における光量は、100mJ/cm2以上1,000mJ/cm2が好ましい。
前記有機−無機複合ハイドロゲルは、伸張性が向上し、破断なく一体で剥離されることができ、造形後の処理が格段に簡略化される。
前記第五の工程は、前記第二の工程で硬化された膜を平滑化処理する工程であり、第五の手段により実施することができる。
前記第五の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ローラー、ブレードなどが挙げられる。
前記ローラーとしては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、円柱状の中実体、内部が中空の円筒状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記立体造形物の大きさ等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、樹脂、ゴム、金属、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
前記ローラーとしては、芯金と、該芯金上にゴム層とを有するゴムローラー、芯金のないゴムのみからなるゴムローラー、芯材と、該芯材の外周に形成された発泡体層とを有する発泡ローラー、金属ローラーなどが挙げられる。
前記ブレードとしては、その形状、構造、大きさ、材質等については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、前記形状としては、例えば、平板状、短冊状、シート状などが挙げられ、前記構造としては、単層構造であってもよいし、積層構造であってもよく、前記大きさとしては、前記立体造形物の大きさ等に応じて適宜選択することができる。前記材質としては、金属、プラスチック、ゴム、又はこれらの組み合わせなどが挙げられる。
前記ブレードとしては、支持部材と、支持部材に一部が固定されて自由端を有する弾性部材とからなるもの、弾性部材のみからなるもの、ドクターブレードなどが挙げられる。
これを補償するためには、例えば、層を形成した直後に機械的に平滑化する(均す)、機械的に削り取る、平滑度を検知して次の層の積層時に成膜量をドットレベルで調整する、などの方法が考えられる。
本発明で使用するハイドロゲルは、対象とする立体造形物が内臓等の臓器モデルであるため、その硬度は比較的柔らかい。このため、平滑化に際しては、層を形成した直後に機械的に均す平滑化方法を有効に使用することができる。
前記機械的に平滑化する方法としては、例えば、ブレード形状の平滑化部材で均す方法、ローラー形状の平滑化部材で均す方法などが挙げられる。
前記ローラー形状の平滑化部材を使用する場合、操作方向に対して、ローラーを逆転させる方向で回転させると平滑化の効果がより有効に発揮される。
前記ブレード状の平滑化部材は、前記ローラー形状の平滑化部材に比べて、造形体の表面を削って平滑化するような場合に有効である。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剥離工程、造形体の研磨工程、造形体の清浄工程などが挙げられ、その他の手段により実施することができる。
本発明の第2の形態に係る立体造形物の製造装置は、前記第一の手段と、第三の手段と、第四の手段とを有し、第六の手段及び第七の手段を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有してなる。
前記第三の工程は、硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する工程であり、第三の手段により実施することができる。
前記第三の手段としての第二の液体を付与する手段としては、前記第1の形態の立体造形物の製造装置における前記第一の手段と同様であるため、その説明を省略する。
前記第二の液体は、ハイドロゲル(軟質体)で構成される立体造形物を支持するための硬質成形体となる液体である(「硬質成形体用液体材料」ともいう)。
前記第二の液体は、硬化性材料を少なくとも含み、更に必要に応じてその他の成分を含んでなる。
前記硬化性材料としては、紫外線発光ダイオード(UV−LED)光により重合反応を生起し硬化する化合物であることが好ましく、例えば、活性エネルギー線硬化性化合物、光重合性プレポリマー、エマルジョンタイプの光硬化型樹脂、熱硬化性化合物などが挙げられる。これらの中でも、ノズル詰まりを防止する点から、常温で液体の材料が好ましい。
前記ラジカル重合する化合物としては、例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物などが挙げられる。
前記カチオン重合する化合物としては、例えば、脂環式エポキシ基又はオキセタン環を有する化合物などが挙げられる。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合開始剤、着色剤、水溶性樹脂、水、低沸点アルコール、界面活性剤、粘度調整剤、接着性付与剤、酸化防止剤、老化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、可塑剤、防腐剤、分散剤などが挙げられる。
前記重合開始剤としては、例えば、熱重合開始剤、光重合開始剤が挙げられる。
前記熱重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、アゾ系開始剤、過酸化物開始剤、過硫酸塩開始剤、レドックス(酸化還元)開始剤などが挙げられる。
前記光重合開始剤としては、紫外線発光ダイオード(UV−LED)光の照射によりラジカルを生成する任意の物質を用いることができる。
前記光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2、2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p’−ジクロロベンゾフェノン、p,p−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記増感剤としては、例えば、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、ピペリジン等の環状アミン系化合物;o−トリルチオ尿素等の尿素系化合物;ナトリウムジエチルチオホスフェート、芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物;N,N’−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物;トリ−n−ブチルホスフィン、ナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物;ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記着色剤としては、前記第二の液体中に溶解又は安定に分散し、更に熱安定性に優れた染料及び顔料が適している。これらの中でも、溶解性染料(Solvent Dye)が好ましい。また、色の調整等の目的で2種類以上の着色剤を適時混合することが可能である。
前記第二の液体の表面張力としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、20mN/m以上45mN/m以下が好ましく、25mN/m以上34mN/m以下がより好ましい。
前記表面張力が、20mN/m以上45mN/m以下であると、立体造形の際に第二の液体の良好な吐出を行うことができる。
前記表面張力は、例えば、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)などを用いて測定することができる。
前記第二の液体の粘度としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、25℃で、3mPa・s以上20mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下がより好ましい。
前記粘度が、3mPa・s以上20mPa・s以下であると、立体造形の際に第二の液体の良好な吐出を行うことができる。
前記粘度は、例えば、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)などを用いて25℃の環境下で測定することができる。
前記四の工程は、前記第一の工程及び前記第三の工程でそれぞれ形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させる工程であり、第四の手段により実施できる。
前記第四の工程及び前記第四の手段は、前記第1の形態の立体造形物の製造方法及びその製造装置における前記第二の工程及び前記第二の手段と同様であるため、その説明を省略する。
前記第一の工程で形成された膜の硬化と、前記第四の工程で形成された膜の硬化とは、同時に行ってもよいし、別々に行ってもよい。
硬化後の膜は、水溶性有機ポリマーと、層状鉱物とが複合化して形成された三次元網目構造の中に、水及び該水に溶解する成分が包含されている、有機−無機複合ハイドロゲルであることが、支持体を造形後に除去する際に、支持体を乾燥収縮させるだけで自然剥離するために好適に用いられる。
前記有機−無機複合ハイドロゲルは、伸張性が向上し、破断なく一体で剥離されることができ、立体造形後の処理が格段に簡略化される。
前記第六の工程は、前記第四の工程で硬化された膜を平滑化処理する工程であり、第六の手段により実施することができる。
前記第六の工程及び前記第六の手段は、前記第1の形態の立体造形物の製造方法及びその製造装置における前記第五の工程及び前記第五の手段と同様であるため、その説明を省略する。
前記第七の工程は、前記ハイドロゲル前駆体から形成されたハイドロゲルからなる部分と、前記硬化性材料から形成されたポリマーからなる部分とを剥離する工程であり、第七の手段により実施することができる。
前記第七の手段としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、各種剥離装置などが挙げられる。
前記ゴム硬度が6以上60以下であると、立体造形中に形崩れが生じることなく、また立体造形後の剥離を良好に行うことができる。
なお、前記ゴム硬度は、ISO7691(タイプA)に準拠した方法で測定することができ、例えば、デュロメータ(テクロック社製、GS−718N)などを用いて測定することができる。
前記ハイドロゲルからなる部分と、前記ポリマーからなる部分とは、乾燥収縮により剥離することができる。
前記乾燥収縮としては、例えば、50℃の雰囲気下に放置する方法、減圧する方法等の各種方法により行うことができる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、吐出安定化工程、造形体の清浄工程、造形体の研磨工程などが挙げられ、吐出安定化手段、造形体の清浄手段、造形体の研磨手段などにより、実施することができる。
液体を吐出する手段としてインクジェットヘッドを用いる場合には、非吐出時のノズルの乾燥が安定動作に対しては大きな課題になる。
このため、吐出安定化工程及び吐出安定化手段は、インクジェットヘッドから長時間連続吐出をしない場合には、少なくともヘッド先端を覆う形状の部材により、(1)吐出口を覆う(キャッピングする)ことにより、吐出口先端の乾燥を防ぐこと、(2)吐出口近傍の内部液体が乾燥により粘度が増大、
又は乾燥することにより形成された皮膜を、吸引作用により排出すること、(3)吐出口、又は吐出口及びその周辺を払拭することにより、吐出安定状態が長時間保持できる。
これらのことは、24時間以上の長時間連続吐出を必要とするような立体造形物を造形する工程、特に軟質材料を造形する際に水等の低沸点溶媒を含む液体を使用する場合に極めて重要である。
前記キャッピング工程は、吐出動作終了後に、吸引指示があると、インクジェットヘッドはキャップ部へ移動し、キャップに当接する。キャップ当接完了後にポンプが吸引動作を開始し、吐出不良の部分を含め全ての吐出口より液体を排出する。吸引動作完了後、インクジェットヘッドは払拭部材に沿うように移動し、キャッピング工程が完了する。
前記吐出不良回復工程は、その後吐出動作を再開するために吐出位置にインクジェットヘッドを移動する。吐出を終了し、造形を終える場合には、再びキャップ当接位置に移動し、吐出不良回復工程が完了する。
大きな立体造形物を製造する場合には、長期間連続吐出をする必要があるため、吐出不良回復工程は定期的に実施されることが好ましい。
吐出不良回復のタイミングは、特に制限はなく、目的に応じて適宜選定することができるが、吐出不良の回復性の観点から、2時間以内の連続動作毎に、定期的に実施することが好ましい。
逆に、硬質な造形体を製作したい場合には、立体造形物を形成する液体として、硬化性材料を少なくとも含有する第二の液体を用い、支持体を形成する液体として、水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を用いる。
したがって、前記第2の形態の立体造形物の製造方法においては、所望の造形体の硬さによって、適用する液体を変更するだけで作り分けが可能である。また、いずれの場合にも、支持体と造形体の硬度の差異により非常に容易に剥離することが可能となる。
また、前記第一の工程と前記第三の工程とは、どちらを先に行っても構わないか、前記第三の工程を先に行う方が先に支持体を形成できる点から好ましい。
従来の造形方法においては、第一の液体と第二の液体の接触部分が相溶し、光硬化時に境界が不鮮明になる。その結果、造形体の表面に微小な凹凸が残留するが、本発明の立体造形物の製造方法においては、第一の液体と第二の液体が非相溶状態であることにより、光硬化後の境界が鮮明になる。更に、得られた造形体と支持体との硬度の差により、剥離性が向上する。これにより、造形体の表面平滑性が向上し、立体造形後の研磨工程を省略又は大幅に軽減することが可能となる。
第一の液体として軟質成形体用液体材料を用い、第二の液体として硬質成形体用液体材料を用い、軟質ハイドロゲルの造形物を得た。
上述のとおり、軟質な立体造形物を得るためには、造形体部分には軟質成形体用液体材料を配置し、支持体部分には、硬質成形体用液体材料を配置する。硬質な立体造形物を得るためには、逆に造形体部分には硬質成形体用液体材料を配置し、支持体部分に軟質成形体用液体材料を配置する。
前記液体を付与する方法としては、インクジェット法又はディスペンサー法でも、液滴が適切な精度で目的の場所に塗布できる方式であれば適用することが可能である。実施の形態はいずれの場合もほぼ同様であるため、以下では液体の付与方法としてインクジェット法を用いた形態を主体に説明する。
造形しようとする立体造形物が1個の場合はこのブロック形状がZステージ(一層造形毎に一層分ずつ下降する造形物を載せるテーブル)の真中に来るように配置される。また、複数個同時に造形する場合はブロック形状がZステージに配置されるが、ブロック形状を積み重ねることも可能である。これらブロック形状化や輪切りデータ(スライスデータ:等高線データ)やZステージへの配置は、使用する液体材料を指定すれば自動的に作成することも可能である。
また、立体造形した層を平滑化するために、硬化処理を行った直後に、平滑化処理を行う。
前記平滑化処理は、例えば、ローラー、ブレード等の平滑化部材を用い、硬化膜の表面を平滑化するものである。これにより、層ごとの精度が向上し、立体造形物全体を精密に作製することができる。
この際、積層時間を短縮するため、また層の平滑性を向上させるために、前記平滑化部材をUV−LED光照射機に隣接して配置することが好ましい。
立体造形物の製造装置10は、インクジェットヘッドを配列したヘッドユニットを用いて、造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11から軟質成形体用液体材料を、支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、13から硬質成形体用液体材料を噴射し、隣接した紫外線発光ダイオード(UV−LED)光照射機14、15で軟質成形体用液体材料を硬化しながら積層する。
即ち、硬質成形体用液体材料をインクジェットヘッド(支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、13)から噴射し固化させて溜部を有する第1の支持体層を形成し、その第1の支持体層の溜部に軟質成形体用液体材料をインクジェットヘッド(造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11)から噴射し、その軟質成形体用液体材料にUV−LED光を照射して硬化させ、第1の造形体層を形成する。
次いで、前記第1の支持体層の上に溶融した硬質成形体用液体材料を噴射し固化させて溜部を有する第2の支持体層を積層し、その第2の支持体層の溜部に軟質成形体用液体材料を噴射し、その軟質成形体用液体材料にUV−LED光を照射して第1の造形体層の上に第2の造形体層を積層し、三次元立体造形物19を製作する。
図4におけるUV−LED光照射機14、15の両端に、硬化後の膜表面を平滑化させることのできる平滑化部材20、21を配置してなる。この平滑化部材としては、ローラー形状やブレード形状のものが使用される。
マルチヘッドユニットが矢印A方向に移動する時は、基本的に支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11、UV−LED光照射機14を用いて、支持体18、及び造形体19を造形体支持基板16上に形成する。同時に平滑化部材20で、支持体18、及び造形体19を平滑化する。なお、支持体用液体材料噴射ヘッドユニット13、及びUV−LED光照射機15を補助的に用いてもよい。
また、マルチヘッドユニットが矢印B方向に移動する時は、基本的に支持体用液体材料噴射ヘッドユニット13、造形体用液体材料噴射ヘッドユニット11、UV−LED光照射機14を用いて、支持体18、及び造形体19を造形体支持基板16上に形成する。同時に平滑化部材20で、支持体18、及び造形体19を平滑化する。支持体用液体材料噴射ヘッドユニット12、及びUV−LED光照射機15を補助的に用いてもよい。
本発明で用いられる立体造形用液体セットは、前記第一の液体と、前記第二の液体とを含んでなり、更に必要に応じてその他の成分等を含んでなる。
前記立体造形用液体セットは、各種立体造形物の製造に好適に用いることができ、特に臓器モデル等に代表される複雑かつ精細な立体造形物の製造に好適に用いることができる。
本発明で用いられる立体造形物は、ハイドロゲル前駆体から形成されたハイドロゲルからなり、前記ハイドロゲルのゴム硬度が6以上60以下である。前記ゴム硬度が6以上60以下であると、臓器モデルに必要とされる弾性及び強度が得られる。
前記ゴム硬度は、例えば、ISO7691(タイプA)に準拠した方法で測定することができる。
前記水溶性有機ポリマーとしては、例えば、アミド基、アミノ基、水酸基、テトラメチルアンモニウム基、シラノール基、エポキシ基などを有する有機ポリマーが挙げられる。
前記水溶性有機ポリマーは、水系のゲルの強度を保つために有利な構成成分である。
前記有機ポリマーは、水溶性を示す限りにおいて、ホモポリマー(単独重合体)であってもよいし、ヘテロポリマー(共重合体)であってもよく、また、変性されていてもよいし、公知の官能基が導入されていてもよく、また塩の形態であってもよいが、ホモポリマーが好ましい。
前記水溶性有機ポリマーの水溶性とは、例えば、30℃の水100gに前記有機ポリマーを1g混合して撹拌したとき、その90質量%以上が溶解するものを意味する。
前記立体造形物は、臓器モデルとして用いられることが好ましい。前記臓器モデルは、臓器の触感及び切れ味が所望の臓器に極めて近く、更に手術用メスでの切開が可能であるため、手技練習用臓器モデルとして特に好適である。
第一の液体としての軟質成形体用液体材料と、第二の液体としての硬質成形体用液体材料とを1層ずつ積層する立体造形についての具体的な実施例について以下に説明する。
<第二の液体(硬質成形体用液体材料)の調製>
硬化性材料としてウレタンアクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤビームUK6038)10質量部、硬化性材料としてネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD MANDA)90質量部、光重合開始剤(BASF社製、商品名:イルガキュア184)3質量部、及び着色剤として青顔料(東洋インキ株式会社製、商品名:Lionol Blue 7400G)2質量部の合計300gを、ホモジナイザー(日立工機株式会社製、HG30)を用いて、回転数2,000rpmで均質な混合物が得られるまで分散した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、最後に真空脱気を10分間実施し、均質な硬質成形体用液体材料を得た。
得られた硬質成形体用液体材料について、以下のようにして、表面張力及び粘度を測定した。表面張力は27.1mN/m、粘度は25℃で10.1mPa・sであった。
得られた硬質成形体用液体材料について、表面張力計(自動接触角計DM−701、協和界面科学株式会社製)を用いて、懸滴法により表面張力を測定した。
得られた硬質成形体用液体材料について、回転粘度計(VISCOMATE VM−150III、東機産業株式会社製)で25.0℃の環境で測定した。
減圧脱気を10分間実施したイオン交換水を純水として用いた。
(A)開始剤液1として、メタノール98質量部に対して光重合開始剤(イルガキュア184、BASF社製)を2質量部の割合で溶解させ、溶液として準備した。
まず、純水195質量部を攪拌させながら、水膨潤性層状粘土鉱物として[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)8質量部を少しずつ添加し、攪拌して分散液を作製した。
次に、得られた分散液に、重合性モノマーとして、活性アルミナのカラムを通過させ重合禁止剤を除去したN,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)を20質量部添加した。更に、界面活性剤としてドデシル硫酸ナトリウム(和光純薬工業株式会社製)を0.2質量部添加して混合した。
次に、氷浴で冷却しながら、前記(A)開始剤液1を0.5質量部添加し、前記(B)開始剤液2を5質量部添加し攪拌混合の後減圧脱気を10分間実施した。続いて、ろ過を行い、不純物等を除去し、均質な軟質成形体用液体材料を得た。
得られた軟質成形体用液体材料について、前記硬質成形体用液体材料と同様にして測定した表面張力は34.4mN/mであり、前記硬質成形体用液体材料と同様にして測定した粘度は25.0℃で10.1mPa・sであった。
前記硬質成形体用液体材料及び前記軟質成形体用液体材料を、図2に示す立体造形物の製造装置10のインクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)に通じる2つのタンクに充填し、前記インクジェットヘッドから前記硬質成形体用液体材料及び前記軟質成形体用液体材料をそれぞれ噴射させ、膜を成膜した。なお、前記硬質成形体用液体材料と前記軟質成形体用液体材料とは異なる位置に噴射されていた。
次に、前記膜に、UV−LED(Integration社製、SubZero-LED、波長:365nm)光照射機で350mJ/cm2の光量を照射して、前記硬質成形体用液体材料及び前記軟質成形体用液体材料を硬化させながら、立体造形物としての造形体及び支持体の形成を行った。
図5に示すように階段状の造形体30と、これを覆う支持体31、32を、図2に示す立体造形物の製造装置を用いて立体造形した。このときの立体造形物の成型性について、下記基準に基づき、評価した。
[評価基準]
○:狙いの造形が可能であった(良好)
×:狙いの造形ができなかった(不良)
得られた造形体30の「水平方向の誤差」及び「垂直方向の誤差」について、図7に示すように、造形体30における水平方向及び垂直方向の寸法をノギスによりそれぞれ10箇所測定し、この10箇所のバラツキを以下のようにして求め、下記基準で評価した。
−10箇所のバラツキ−
図7に示す造形体30における水平方向及び垂直方向の長さをノギスで10箇所測定し、得られた10箇所の測定値と、造形のための入力信号(水平方向の目標長さ又は垂直方向の目標長さ)との誤差の最大値及び最小値を求めた。得られた誤差の最大値及び最小値のうち絶対値の大きい方を選択し、選択された誤差の絶対値を前記入力信号(水平方向の目標長さ又は垂直方向の目標長さ)で除して100倍した比率(%)を求め、10箇所のバラツキとした。
[評価基準]
◎:10箇所のバラツキが2%未満である(良好)
○:10箇所のバラツキが2%以上5%未満である(普通)
×:10箇所のバラツキが5%以上である(不良)
立体造形物を造形後直ちに、図6に示すように水平方向に支持体31を引っ張り剥離することにより、造形体30を得た。下記基準に基づき、引っ張り剥離を評価した。
[評価基準]
◎:支持体が一体として剥離され、それ以降処理する必要なく造形体が得られた(良好)
○:殆どの支持体が剥離でき、一部残留した支持体はブラシで簡単にこするだけで完全に剥離できた(普通)
×:支持体が剥離できない(不良)
図6に示す一方の支持体31について前記引っ張り剥離試験を行った後、他方の支持体32を、室温(25℃)で5時間放置した後、支持体32を剥離する試験を実施し、下記基準に基づき、乾燥後剥離を評価した。
[評価基準]
◎:剥離後は造形体と乾燥収縮した支持体は完全に分離し、支持体も一体として剥離できた(良好)
○:殆どの支持体が剥離でき、一部残留した支持体はブラシで簡単にこするだけで完全に剥離できた(普通)
×:支持体が剥離できない(不良)
前記引っ張り剥離試験後の造形体表面(支持体との界面)33を観察し、下記基準に基づき、剥離後の造形体の表面性を評価した。
[評価基準]
○:造形体の表面に微小な支持体の残留がなく、平滑な面が得られた(良好)
×:支持体が残留し、平滑な面が得られないである(不良)
別途、前記軟質成形体用液体材料を型に流し込み、ガラスで蓋をして密閉状態として、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)14、15で350mJ/cm2の光量を照射して硬化させ、直径20mm×厚み4mmの円柱状のペレット状サンプル片(ハイドロゲル、造形体)を作製した。
得られたサンプル片を、デュロメータ(テクロック社製、GS−718N)を用いて直径20mm面中心部にプローブ押し込み後、15秒間後のゴム硬度をISO7691(タイプA)に準拠した方法で測定したところ、ゴム硬度は16であった。
実施例1において、軟質成形体用液体材料における合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)の含有量を、4質量部に変更して分散液を作製した以外は、実施例1と同様にして軟質成形体用液体材料を作製し、実施例1と同様にして立体造形を行った。
得られた軟質成形体用液体材料について、前記実施例1の硬質成形体用液体材料と同様にして測定した粘度は25.0℃で6.8mPa・s、表面張力は実施例1と同じ34.4mN/mであった。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
実施例1において、軟質成形体用液体材料における合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、日本シリカ株式会社製)の含有量を、12質量部に変更して分散液を作製した以外は、実施例1と同様にして軟質成形体用液体材料を作製し、実施例1と同様にして立体造形を行った。
得られた軟質成形体用液体材料について、前記実施例1の硬質成形体用液体材料と同様にして測定した粘度は25.0℃で17.6mPa・s、表面張力は実施例1と同じ34.4mN/mであった。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
実施例1において、軟質成形体用液体材料における重合性モノマーをN−イソプロピルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)に変更した以外は、実施例1と同様にして軟質成形体用液体材料を作製し、実施例1と同様にして立体造形を行った。
得られた軟質成形体用液体材料について、前記実施例1の硬質成形体用液体材料と同様にして測定した粘度は25.0℃で10.3mPa・s、表面張力は実施例1と同じ34.4mN/mであった。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
実施例1と同じ軟質成形体用液体材料及び硬質成形体用液体材料を用い、実施例1と同様にして立体造形を行った。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
なお、実施例5の乾燥後剥離については、50℃で2時間加熱乾燥して剥離させたところ、10分間程度で支持体は完全に剥離され、良好であった。
実施例1において、軟質成形体用液体材料における合成ヘクトライトを添加せず、合成ヘクトライトの代わりに等量のN,N’−メチレンビスアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)を添加した以外は、実施例1と同様にして、軟質成形体用液体材料を作製し、実施例1と同様にして立体造形を行った。なお、比較例1では、ハイドロゲル前駆体は得られず、ハイドロゲルも得られなかった。
得られた軟質成形体用液体材料について、前記実施例1の硬質成形体用液体材料と同様にして測定した粘度は25.0℃で8.0mPa・s、表面張力は実施例1と同じ34.4mN/mであった。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
なお、比較例1では、造形体の一部が、支持体の重さに耐えられずに、立体造形途中で潰れていることがわかり、目的の造形体を得ることができなかった。
実施例1において、立体造形の際に、UV−LED光照射機に換えて、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)を用い、350mJ/cm2の光量を照射した以外は、実施例1と同様にして、立体造形を行った。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
実施例1において、立体造形の際に、図3に示す立体造形物の製造装置を用いた以外は、実施例1と同様にして立体造形を行った。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
実施例1において、立体造形成の際に、図4に示す立体造形物の製造装置を用いた以外は、実施例1と同様にして、立体造形を行った。
具体的には、前記硬質成形体用液体材料及び前記軟質成形体用液体材料を、図4に示す立体造形物の製造装置10のインクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)に通じる2つのタンクに充填し、前記インクジェットヘッドから前記硬質成形体用液体材料及び前記軟質成形体用液体材料をそれぞれ噴射させ、膜を成膜した。なお、前記硬質成形体用液体材料と前記軟質成形体用液体材料とは異なる位置に噴射されていた。
次に、前記膜に、UV−LED(Integration社製、SubZero-LED、波長:365nm)光照射機で350mJ/cm2の光量を照射して、前記膜を硬化させた後、硬化膜に対してローラー20、21で平滑化処理を行い、立体造形物としての造形体及び支持体の形成を行った。
前記ローラーとしては、表面をアルマイト処理した直径25mmのアルミニウム合金からなる金属ローラーを用いた。
次に、得られた立体造形物について、実施例1と同様にして、諸特性を評価した。結果を表3に示した。
*層状鉱物XLG:[Mg5.34Li0.66Si8O20(OH)4]Na− 0.66の組成を有する合成ヘクトライト(ラポナイトXLG、RockWood社製)
*重合性モノマーDMA:N,N−ジメチルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*重合性モノマーIPAM:N−イソプロピルアクリルアミド(和光純薬工業株式会社製)
*硬化性材料UK6038:ウレタンアクリレート(三菱レイヨン株式会社製、商品名:ダイヤビームUK6038)
*硬化性材料MANDA:ネオペンチルグリコールヒドロキシピバリン酸エステルジ(メタ)アクリレート(日本化薬株式会社製、商品名:KAYARAD MANDA)
*光重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184)
*青色顔料:東洋インキ株式会社製、商品名:Lionol Blue 7400G
<1> 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
前記第一の工程で形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させる第二の工程と、を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<2> 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の工程と、
硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の工程と、
前記第一の工程及び前記第三の工程でそれぞれ形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させる第四の工程と、
を複数回繰り返すことを特徴とする立体造形物の製造方法である。
<3> 前記ハイドロゲル前駆体が、水に分散可能な鉱物及び重合性モノマーを含有する前記<1>から<2>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<4> 前記水に分散可能な鉱物が、水に単一層の状態で分散した層状鉱物である前記<3>に記載の立体造形物の製造方法である。
<5> 前記第二の工程で硬化された膜を平滑化処理する第五の工程を更に含む前記<1>、及び<3>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<6> 前記第四の工程で硬化された膜を平滑化処理する第六の工程を更に含む前記<2>から<4>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<7> 前記層状鉱物が、合成ヘクトライトである前記<4>から<6>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<8> 前記重合性モノマーが、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、及びN−アクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種である前記<3>から<7>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<9> 前記ハイドロゲル前駆体から形成したハイドロゲルからなる部分と、硬化性材料から形成したポリマーからなる部分とを剥離する第七の工程を更に含む前記<2>から<4>、及び<6>から<8>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<10> 前記ハイドロゲルからなる部分のゴム硬度が、6以上60以下である前記<9>に記載の立体造形物の製造方法である。
<11> 前記ハイドロゲルからなる部分と、前記ポリマーからなる部分とが乾燥収縮により剥離する前記<9>から<10>のいずれかに記載の立体造形物の製造方法である。
<12> 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の手段と、
前記第一の部材で形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させる第二の手段と、を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<13> 前記第二の手段で硬化された膜を平滑化処理する第五の手段を更に有する前記<12>に記載の立体造形物の製造装置である。
<14> 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜する第一の手段と、
硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の手段と、
前記第一の部材及び前記第三の部材でそれぞれ形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させる第四の手段と、
を有することを特徴とする立体造形物の製造装置である。
<15> 前記第四の手段で硬化された膜を平滑化処理する第六の手段を更に含む前記<14>に記載の立体造形物の製造装置である。
<16> 前記ハイドロゲル前駆体が、水に分散可能な鉱物及び重合性モノマーを含有する前記<12>から<15>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<17> 前記水に分散可能な鉱物が、水に単一層の状態で分散した層状鉱物である前記<16>に記載の立体造形物の製造装置である。
<18> 前記層状鉱物が、合成ヘクトライトである前記<17>に記載の立体造形物の製造装置である。
<19> 前記重合性モノマーが、アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−イソプロピルアクリルアミド、及びN−アクリロイルモルホリンから選択される少なくとも1種である前記<16>から<18>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
<20> 前記ハイドロゲル前駆体から形成したハイドロゲルからなる部分と、硬化性材料から形成したポリマーからなる部分とを剥離する第七の手段を更に含む前記<14>から<19>のいずれかに記載の立体造形物の製造装置である。
11 造形体用液体材料噴射ヘッドユニット
12、13 支持体用液体材料噴射ヘッドユニット
14、15 UV−LED光照射機
16 造形体支持基板
17 ステージ
18 支持体
19 造形体
20、21 平滑化部材
30 造形体
31、32 支持体
33 造形体表面(支持体との界面)
Claims (6)
- 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜するインクジェット方式である第一の手段と、
前記第一の手段で形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させてハイドロゲルを形成する第二の手段と、
を有し、前記ハイドロゲルからなる立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造装置。 - 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を付与して成膜するインクジェット方式である第一の手段と、
硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の手段と、
前記第一の手段及び前記第三の手段でそれぞれ形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させてハイドロゲルを形成する第四の手段と、
を有し、前記ハイドロゲルからなる立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造装置。 - 前記第二の手段または前記第四の手段に隣接して配置された平滑化部材を更に有する請求項1から2のいずれかに記載の立体造形物の製造装置。
- 前記ハイドロゲル前駆体から形成したハイドロゲルからなる部分と、硬化性材料から形成したポリマーからなる部分とを剥離する第七の手段を更に含む請求項1から3のいずれかに記載の立体造形物の製造装置。
- 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を備えた第一の細孔を有し、かつ前記第一の細孔から前記第一の液体を付与して成膜するインクジェット方式である第一の手段と、
前記第一の手段で形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させてハイドロゲルを形成する第二の手段と、を有し、前記ハイドロゲルからなる立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造装置。 - 水、及びハイドロゲル前駆体を少なくとも含む第一の液体を備えた第一の細孔を有し、かつ前記第一の細孔から前記第一の液体を付与して成膜するインクジェット方式である第一の手段と、
硬化性材料を少なくとも含む第二の液体を備えた第二の細孔を有し、かつ前記第二の細孔から前記第二の液体を前記第一の液体とは異なる位置に付与して成膜する第三の手段と、
前記第一の手段及び前記第三の手段でそれぞれ形成された膜を紫外線発光ダイオードにより硬化させてハイドロゲルを形成する第四の手段と、を有し、前記ハイドロゲルからなる立体造形物を製造することを特徴とする立体造形物の製造装置。
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