JP2015003973A - 吸放湿積層体及びその製造方法 - Google Patents

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Tetsuo Takada
哲生 高田
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Abstract

【課題】吸水容量が高く、基材と優れた密着性を有し、力学物性や耐熱性に優れた吸放湿積層体、及び簡便で且つ均質なゲル乾燥体層を形成可能な吸放湿積層体の製造方法の提供。
【解決手段】水溶性アクリル系モノマー(a)の重合体(P)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目構造を形成してなり、厚さが0.1mm以上のゲル乾燥体層を基材と積層した吸放湿材料。及び、(I)水溶性モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)をラジカル重合させ、有機無機複合ヒドロゲルを形成させ、(II)該ヒドロゲルを基材上に置き、乾燥させるか、又は、(III)該組成物(X)を基材上に塗布し、(IV)該組成物(X)をラジカル重合させ、基材上に有機無機複合ヒドロゲルを形成させ、(V)該ヒドロゲルを乾燥させるか、する吸放湿材料の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は、水溶性アクリル系モノマーの重合体と、水膨潤性粘土鉱物とが三次元網目構造を形成してなる、有機無機複合ヒドロゲルの乾燥体層を基材と積層した吸放湿材料及びその製造方法に関する。
材料表面の結露または曇りは、湿度と該材料両側の温度差によるものである。例えば、現在の木造家屋において、高気密性を追求したため、家屋を構成する木材の本来の吸放湿機能を失ってしまい、また、コンクリート製建物の場合、使用される建材は吸放湿機能を有しないため、屋内外の温度差が大きい季節になると、窓や天井、壁などに結露が発生し、カビの繁殖や壁紙剥がれなど多くの問題が発生している。
また、自動車や電車などの輸送車両分野では、車内空間は、僅かな温度、湿度変化で、ガラスの内面に結露や曇りが発生し、エアコンによる曇り除去は一時的で、エアコンを止めると曇りが再び発生する。この操作を繰り返すと燃費の低下を引き起こす。車内に調湿機能を有し、温度、湿度の変化による車両内の湿度調整やガラスの曇りが発生しない快適空間が求められている。
また、美術館の展示ケースや、百貨店の商品ケースなども、展示品へのダメージを与えないため、一定湿度を保つ調湿材が求められている。
更に、透気防水服やゴーグル、ヘルメット、靴類などは、皮膚から発生した水蒸気を外気に拡散できる十分な通気性を有するものは少なく、その結果、服や靴類の内部に湿度が常に高く、雑菌や臭い発生などの問題が発生しやすい。
上記問題を解決するため、いくつかの対策が講じられてきた。しかし、その多くはシリカゲルを使用した例が多く、例えば、シリカ粒子、アクリルラテックス水分散液、メタノール及びメチルエチルケトンを混合した組成物を塩化ビニールに塗布し、溶剤を揮発させることにより調湿性シートを作製した例が開示されている(特許文献2参照)。上記組成物からなる樹脂成型体は、塩化ビニールのような基材と良好な接着性を持たせるため、バインダー樹脂としてのアクリルラテックスが水溶性ではなく、非水溶性のものを使用する必要がある。また、シリカ粒子そのものでも吸水容量が小さく、更にバインダー樹脂に埋もれた状態では、吸水速度や吸水量の低下が予想される。
また、紙おむつに[使用されるポリアクリル酸ナトリウム系高吸水性ポリマー(SAP)は、アクリル酸を部分中和させ、架橋性モノマーと共重合させることで得られるものであるが、高吸水性を発現させるため、架橋度を低くしており、そのため、過剰の水に触れた場合、流れてしまったり、また、このポリマーは極薄い濃度の水溶液しかできず、基材に塗布して塗膜状にすることは困難で、薄い膜ができても強度が弱く、均一な膜が得られにくく、基材から脱離しやすい問題がある。不織布などで挟んだ形で使用されるケースが多い。吸放湿材として使用される場合、水に触れた場合、急速な吸水による堆積膨張が発生しやすく、剥離や意匠性の問題が考えられる。
また、非水溶性の重合開始剤(d)を水媒体(c)中に分散させた溶液中で、水膨潤性粘土鉱物(b)の共存下において、記式(1)〜(6)から選ばれる少なくとも一種の水溶性アクリル系モノマー(a)をエネルギー線の照射により反応させることからなる有機無機複合ヒドロゲルの製造方法が開示されている(特許文献2参照)。しかし、酸素の影響を受けにくい製造法や得られたヒドロゲルが優れた力学物性や柔軟性を有することを述べたものの、該ゲル特にゲル乾燥体の性質(例えば、力学物性、吸放湿性、調湿性、調湿による防曇性)については、何も言及していない。
また、水溶性有機ポリマー(A)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目を形成してなり、厚さが1〜500μmの範囲にある透明ゲル乾燥体層を基材と積層した防曇材料が開示されている(特許文献3参照)。しかし、この防曇材料は主にゲル乾燥体層の親水性を利用して、結露した水を水滴になり難くして(水接触角が40°以下)、防曇性を発現させている。透明性や視野を維持する必要があるため、厚みの制限を受ける。また、吸放湿性や調湿による防曇性は論じられていない。
特開2007−31710号公報 特許第5099867号公報 特許第4530351号公報
本発明が解決しようとする課題は、吸水容量が高く、基材と優れた密着性を有し、力学物性や耐熱性に優れた吸放湿積層体、及び簡便で且つ均質なゲル乾燥体層を形成可能な吸放湿積層体の製造方法を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、水溶性アクリル系モノマー(a)の重合体(P)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目構造を形成してなり、厚さが0.1mm以上のゲル乾燥体層を基材と積層した吸放湿材料により上記課題を解決した。
また、(I)水溶性モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)をラジカル重合させ、有機無機複合ヒドロゲルを形成する工程、
(II)該ヒドロゲルを基材上に置き、乾燥させる工程、からなる吸放湿材料の製造方法。
更に、(III)水溶性モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)を基材上に塗布する工程、
(IV)該組成物(X)をラジカル重合させ、基材上に有機無機複合ヒドロゲルを形成する工程、
(V)上記ヒドロゲルを乾燥させる工程、からなる吸放湿材料の製造方法により上記課題を解決した。
本発明により得られた吸放湿材料は、広い範囲の粘土鉱物含有率において、粘土鉱物
が有機高分子中に均一に分散し、優れた力学物性や透明性、高い吸水容量を示すと同時に、基材との間の密着性がよく、形状複雑なゲル乾燥体や複雑形状の支持体との積層体を、簡便に製造できる特徴を持っており、住宅や自動車、展示ケースなどの密閉空間、更に衣類や履物などの調湿材料として用いられる。
実施例1〜3で得られた吸放湿材料1〜3、及び比較例1〜2の市販吸放湿壁紙とシリカゲルの吸放湿試験の結果。 実施例2で得られた吸放湿材料2、及び比較例1の市販吸放湿壁紙を用いた保湿試験、及び吸放湿材料を使用しない対比(コントロール)試験の結果。 実施例2で得られた吸放湿材料2を用いた調湿試験の結果。
本発明で用いる水溶性モノマー(a)は、その重合体が粘土鉱物と相互作用し、有機無機複合ヒドロゲルを形成できるものであれば、好適に使用できるが、中でも、アクリルアミド、メタクリルアミド、および/またはこれらの誘導体(N−またはN,N置換(メタ)アクリルアミド)やアクリル酸エステルが好ましく用いられ、特に好ましくはアクリルアミド、メタクリルアミド、および/またはこれらの誘導体(N−またはN,N置換(メタ)アクリルアミド)が用いられる。更に好ましくは下記式(1)〜(6)のアクリル系モノマーが用いられる。
Figure 2015003973
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Figure 2015003973
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(式中、Rは水素原子またはメチル基、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素原子数1〜2のアルキル基であり、nは1〜9でる。)
ここで言う水溶性モノマーとは、水100gに対し10g以上溶解できるモノマーであることが好ましい。この範囲であれば、モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)及びラジカル重合開始剤などを含む均一な反応液が得られ、重合により得られる有機無機複合ヒドロゲルの三次元網目構造が均一で、良好な力学物性を有する。
前記アクリル系モノマー(a)は、水膨潤性粘土鉱物(B)と強い相互作用を有するため、重合体(P)と水膨潤性粘土鉱物(B)とが均一な三次元網目構造を形成することができ、優れた力学物性を有する有機無機複合ヒドロゲル及びその乾燥体を得ることができ、更に、このゲル乾燥体が高い吸水性を有すると同時に、水中では溶解しない特徴を有している。
また、吸水速度などを調整する目的に、他の共重合モノマーとしては、例えば、スルホン基やカルボキシル基のようなアニオン基を有するアクリル系モノマー、4級アンモニウム基のようなカチオン基を有するアクリル系モノマー、4級アンモニウム基と燐酸基とを持つ両性イオン基を有するアクリル系モノマー、カルボキシル基とアミノ基とをもつアミノ酸残基を有するアクリル系モノマー、糖残基を有するアクリル系モノマー、また、水酸基を有するアクリル系モノマー、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール鎖を有するアクリル系モノマー、更にポリエチレングリコールのような親水性鎖とノニルフェニル基のような疎水基を合わせ持つ両親媒性アクリル系モノマー、ポリエチレングリコールジアクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミドなどを用いることができる。
本発明に用いられる水膨潤性粘土鉱物(B)としては、層状に剥離可能な膨潤性粘土鉱
物が挙げられ、好ましくは水または水と有機溶剤との混合溶液中で膨潤し均一に分散可能
な粘土鉱物、特に好ましくは水中で分子状(単一層)またはそれに近いレベルで均一分散
可能な無機粘土鉱物が用いられる。具体的にはナトリウムを層間イオンとして含む水膨潤
性ヘクトライト、水膨潤性モンモリライト、水膨潤性サポナイト、水膨潤性合成雲母等が
挙げられる。これらの粘土鉱物を混合して用いても良い。
ゲル乾燥体中における重合体(P)と水膨潤性粘土鉱物(B)との重量比(P)/(B)は、1〜25の範囲であることが好ましく、 1〜13の範囲であることがより好ましく、2〜6の範囲であることが特に好ましい。
(P)/(B)が1以上であると粘土鉱物が良好に分散し、均一なゲルが得られやすく、25以下であるとゲル乾燥体層の水による膨潤度が小さく、充分な力学物性を得ることができる。
本発明においてはゲル乾燥体層の厚みを0.1mm以上の範囲とすることで、ゲル乾燥体層が優れた強度と吸放湿性能を発揮することができる。また、ゲル乾燥体層と基材との密着性などの観点から、ゲル乾燥体層の厚みが0.3〜5mmであることが好ましく、0.5〜2mmであることがより好ましい。
本発明の吸放湿材料に使用する基材としては、使用環境により変わり得るものである。例えば、家屋の室内に使用される場合は、木材、石膏ボード、透明または不透明なプラスチック類、ビニールクロス(壁紙)、コンクリート、ガラスなどが挙げられる。また、自動車内に使用される場合は、皮革や人工皮革、織物類、フェルト類(内装材)、ガラスなどが挙げられる。また、衣服や履物に使用される場合は、天然繊維や合成繊維からなる織物類、皮革や人工皮革類が挙げられる。更に、展示ケースなどに使用される場合は、不織布や意匠性の内装材料(木材やプラスチック類、金属類)などが好ましく使用される。
基材上に形成するゲル乾燥体層は基材の表面に直接接触し一体化することもできるし、また、両者の間にプライマー層や接着層などを介して一体化してもよい。その接着層が製造の簡便さや接着強度などの面から疎水性のアクリル系モノマーの重合体からなる疎水性ポリマーであることが望ましい。
本発明の吸放湿材料は、ゲル乾燥体の吸水容量を適宜調製することによりその吸放湿性を調整することができる。吸放湿材料として特に好適に使用できる範囲としては、ゲル乾燥体層の吸水容量が5倍{吸水容量定義:[(吸収した水の重量+ゲル乾燥体重量)/ゲル乾燥体重量]}以上であることが望ましく、50倍以上であることが更に望ましい。ゲル乾燥体の吸水容量は、水溶性モノマー(a)の種類や、重合体(P)と水膨潤性粘土鉱物(B)との重量比(P)/(B)、または水溶性モノマー(a)とその他の疎水性モノマーや架橋性モノマーとの共重合体を適宜選択することにより調製することができる。
また、本発明の吸放湿材料は、吸放湿速度を上げるため、ゲル乾燥体層に孔径数μm〜数mmの穴を開けてもよく、多孔質基材の空孔が完全に塞がらないように、ゲル乾燥体層を基材に形成させることが好ましい。
本発明の吸放湿材料は、下記の(I)〜(II)または(III)〜(V)の工程により好適に製造できる。
(I)水溶性モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)をラジカル重合させ、有機無機複合ヒドロゲルを形成する工程、
(II)該ヒドロゲルを基材上に置き、乾燥させる工程。
または、
(III)水溶性モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)を基材上に塗布する工程、
(IV)該組成物(X)をラジカル重合させ、基材上に有機無機複合ヒドロゲルを形成する工程、
(V)上記ヒドロゲルを乾燥させる工程。
組成物(X)中の水溶性有機モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)および基材は、それぞれ上記したゲル乾燥体層における重合体(P)を得る際に使用する水溶性有機モノマー、水膨潤性粘土鉱物(B)および基材と同様のものを好ましく使用できる。
水媒体(C)としては、水溶性のアクリル系モノマーや水膨潤性粘土鉱物などを含むことができ、ラジカル重合によって、力学物性のよい有機無機複合ヒドロゲルが得られれば良く、特に限定されない。例えば水、または水と混和性を有する溶剤及び/またはその他の化合物を含む水溶液であってよく、その中には更に、防腐剤や抗菌剤、着色剤、香料、珪藻土やゼオライトのような無機化合粒、塩類、水溶性有機溶剤類、界面活性剤、レベリング剤などを含むことができる。
本発明の重合方法は公知の熱重合方法と光重合方法を用いられる。
本発明に用いられる重合開始剤(d)としては、公知のラジカル重合開始剤を適時選択して用いることができる。好ましくは水分散性を有し、系全体に均一に含まれるものが好ましく用いられる。具体的には、重合開始剤として、水溶性の過酸化物、例えばペルオキソ二硫酸カリウムやペルオキソ二硫酸アンモニウム、水溶性のアゾ化合物、例えばV A − 0 4 4、V − 5 0 、V − 5 0 1 ( いずれも和光純薬工業株式会社製) の他、F e と過酸化水素との混合物などが例示される。
触媒としては、3 級アミン化合物であるN , N , N ’ , N ’ − テトラメチルエチレンジアミンなどは好ましく用いられる。但し、触媒は必ずしも用いなくてもよい。重合温度は、重合触媒や開始剤の種類に合わせて例えば0 ℃ 〜 1 0 0 ℃ が用いられる。重合時間も数十秒〜 数十時間の間で行うことが出来る。
一方、光重合開始剤は、酸素阻害の影響を受けにくく、重合速度が速いため、好適に用いられる。具体的には、p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノンなどのアセトフェノン類、4,4’−ビスジメチルアミノベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、2−メチルチオキサントンなどのケトン類、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル類、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのα−ヒドロキシケトン類、メチルベンゾイルホルメートなどのフェニルグリオキシレート類、メタロセン類などが挙げられる。
前記光重合開始剤は非水溶性のものである。ここで言う非水溶性とは、重合開始剤の水に対する溶解量が0.5質量%以下であることを意味する。非水溶性の重合開始剤を使用することにより、開始剤がより粘度鉱物の近傍に存在しやすく、粘度鉱物近傍からの開始反応点が多くなり、得られる重合体(P)と、水膨潤性粘土鉱物(B)との三次元網目構造がより均一になり、力学物性の優れた有機無機複合ヒドロゲルやそのゲル乾燥体が得られ、好ましい。
前記光重合開始剤を水媒体(C)と相溶する溶媒(F)に溶解させた溶液を前記水媒体(C)中に添加することが好ましい。この方法によって光重合開始剤がより均一に分散でき、より均一な三次元網目構造を有するヒドロゲルが得られる。
本発明の溶媒(F)としては、非水溶性の光重合開始剤を溶解できる水溶性の溶剤、または水溶性モノマー(a)やその他の水溶性のアクリル系モノマー(a’)を用いることができる。水溶性溶剤としては、例えば、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどのアミド類、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられる。これらの溶剤を混合して用いても良い。
また、溶媒(F)として用いることのできる前記水溶性モノマー(a)または水溶性のアクリル系モノマー(a’)としては、例えば、N,N−ジメチルアクリルアミドのようなアクリルアミド系モノマー、トリプロピレングリコールジアクリレートのようなポリプロピレングリコールジアクリレート類、ポリエチレングリコールジアクリレート類、ペンタプロピレングリコールアクリレートのようなポリプロピレングリコールアクリレート類、ポリエチレングリコールアクリレート類、メトキシエチルアクリレート、メトキシトリエチレングリコールアクリレートのようなメキシポリエチレングリコールアクリレート類、ノニルフェノキシポリエチレングリコ−ルアクリレート類、ジメチルアクリルアミドのようなN置換アクリルアミド類、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、などが挙げられる。これらのアクリル系モノマーは、二種以上を混合して用いることができる。
ここで言う水溶性を有する溶剤とは、水100gに対し50g以上溶解できる溶剤であることが好ましい。この範囲であれば、非水溶性の光重合開始剤(d)の水媒体(C)への分散性が良好であり、得られる有機無機複合ヒドロゲルの三次元網目構造が均一で、良好な力学物性を有する。
非水溶性光重合開始剤(d)を溶媒(F)に溶解させた溶液中における光重合開始剤(d)と溶媒(F)の質量比(d)/(F)は、0.001〜0.1であることが好ましく、0.01〜0.05が更に好ましい。0.001以上であると、エネルギー線の照射によるラジカルの発生量が十分に得られるため好適に重合反応を進行させることができ、0.1以下であれば、開始剤による発色や、臭気を実質的に生じることがなく、またコストの低減が可能である。
以上のアクリル系モノマー(a’)および水溶性を有する溶剤のいずれの場合においても、光重合開始剤(d)を溶媒(F)に溶解させた溶液の添加量が、モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)、重合開始剤(d)及び溶媒(F)の総質量に対し、0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.2質量%〜2質量%であることが更に好ましい。該添加量が0.1質量%以上であると、重合が十分に開始され、5質量%未満であると、ヒドロゲル中の重合開始剤の増加による臭気の発生、更には一旦分散された光重合開始剤が再び凝集する等の問題を低減でき、均一な有機無機複合ヒドロゲルを得ることができるため好ましい。
前記光重合開始剤を用いた場合の重合方法としては、エネルギー線照射が挙げられ、例えば、電子線、γ線、X線、紫外線、可視光などを用いることができる。中でも装置や取り扱いの簡便さから紫外線を用いることが好ましい。照射する紫外線の強度は10〜500mW/cmが好ましく、照射時間は一般に0.1秒〜200秒程度である。通常の加熱によるラジカル重合においては、酸素が重合の阻害因子として働くが、本発明では、必ずしも酸素を遮断した雰囲気で溶液の調製およびエネルギー線照射による重合を行う必要がなく、空気雰囲気でこれらを行うことが可能である。但し、紫外線照射を不活性ガス雰囲気下で行うことによって、更に重合速度を速めることが可能で、望ましい場合がある。
本発明のモノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)のラジカル重合(ヒドロゲルの形成)方法は任意である。例えば、所定形状の容器中で重合させる非連続の製造方法や、ベルトコンベア上で、組成物(X)を基材に塗布し、加熱またはエネルギー線照射による重合で連続の製造方法が挙げられる。
また、本発明の吸放湿材料の製造方法も任意である。例えば、上記非連続の製造方法で得られたヒドロゲルを基材に積層し乾燥することによる非連続の製造方法が挙げられる。また、上記ベルトコンベア上で組成物(X)を連続的に基材に塗布、重合、そして乾燥させることによる吸放湿材料の連続製造法が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明の範囲がこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
(実施例1)
[水溶性のアクリル系モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)を含む反
応溶液の調製]
水溶性のアクリル系モノマー(a)としてN,Nージメチルアクリルアミド(株式会社
興人製)9.9g、粘土鉱物(b)としてLaponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)4g、水媒体(C)として水100g、を均一に混合し、窒素ガスで十分バブリングして、反応溶液(1)を調製した。
[ラジカル重合開始剤(d)水溶液の調製]
水98g、重合開始剤としてペルオキソ二硫酸カリウム(関東化学(株)製)2gを均一に混合して水溶液(1)を調製した。
[有機無機複合ヒドロゲルの作製]工程(I)
上記反応溶液(1)全量に、水溶液(1)を500μl入れ、更に触媒としてN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミンを80μl入れた後(組成物(X1))、液面高さが約5mmになるようにスチロールケースに入れ、20℃、一晩(約15時間)静置(ラジカル重合)して、板状の無色透明な有機無機複合ヒドロゲル(DNC511)を作製した。
また、力学物性測定のため、同じ組成物(X1)を、内径5.5mmのガラス管に封入し、20℃、一晩(約15時間)静置(ラジカル重合)して、棒状の有機無機複合ヒドロゲル(DNC511)を作製した。
[吸放湿材料の調製]工程(II)
上記得た板状の(DNC511)ゲルを水で十分濡らした不織布「FE605、目付52g/m」(日本バイリーン(株)製)の上に乗せ、80℃の熱風乾燥器中で十分乾燥させて、ゲル乾燥体層を基材と積層した吸放湿材料1を得た。ゲル乾燥体層の厚みは約0.6mmである。
参考として下記方法で(DNC511)ゲルの力学物性を測定した。即ち、上記作製した棒状のゲルを、引っ張り試験機(AGS−H型、島津製作所製)を用いて、測定したところ、該ゲルの破断点応力は120KPaで、破断点歪みは1500%であった。強靭な力学物性を有していることが理解できる。
[ゲル乾燥体の吸水容量測定試験]
まず、上記工程(I)で得た板状のゲル(DNC511)をPTFE(厚み約2mm)の上に乗せ、80℃の熱風乾燥器中で十分乾燥させて、ゲル乾燥体を作製した。
次いで、該ゲル乾燥体を大過剰の水に入れ、25℃で一定時間経過後の吸放湿材料1の重合を測定し、吸水容量を測定したところ、約120時間で吸水容量が一定となり、約90倍[(吸収した水の重量+ゲル乾燥体重量)/ゲル乾燥体重量]であった。該ゲル乾燥体は吸水後、大きく膨潤するが、水への溶解はなかった。
[吸放湿材料の吸湿試験]
恒温恒湿器(KCL−2000型、東京理化器械(株)製)を用いて、相対湿度95%、温度25℃の条件で測定した結果、吸放湿材料1の24時間での吸湿量は1.35g/g吸放湿材料であった(図1)。
[吸放湿材料の放湿試験]
上記24時間吸湿後の吸放湿材料1を天秤に乗せ、25℃、相対湿度59%RH条件での重量減少を測定した。その結果、約1時間で吸収した水分量の約90%を放出した(図1)。
(実施例2)
[水溶性のアクリル系モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)を含む反
応溶液の調製]
水溶性のアクリル系モノマー(a)としてN,Nージメチルアクリルアミド(株式会社
興人製)7.9g、メトキシポリエチレングリコールアクリレート(AM90G、新中村化学工業(株)製)9.6g、粘土鉱物(b)としてLaponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)2.4g、水媒体(C)として水100g、を均一に混合し、窒素ガスで十分バブリングして、反応溶液(2)を調製した。
[重合開始剤(d)を溶媒(F)に溶解させた溶液の調整]
溶媒(F)として、メタノール98g、重合開始剤(d)として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン「イルガキュアー184」(チバガイギー社製)2gを、均一に混合して溶液(2)を調製した。
[有機無機複合ヒドロゲルの作製]工程(I)
上記反応溶液(2)全量に、溶液(2)を500μl、及び水溶液(1)を500μl入れ入れた後、液面高さが約8mmになるようにスチロールケースに入れ、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を120秒照射し二種類のモノマーを共重合させ、更に該スチロールケースを50℃の恒温器に2時間静置して(残存モノマーを減らすため)、板状の有機無機複合ヒドロゲル(DeNC311)を作製した。
[吸放湿材料の調製]工程(II)
上記得た板状の(DeNC311)ゲルを水で十分濡らした不織布「MA−2014、目付51g/m」(日本バイリーン(株)製)の上に乗せ、80℃の熱風乾燥器中で十分乾燥させて、ゲル乾燥体層を基材と積層した吸放湿材料2を得た。ゲル乾燥体層の厚みは約1mmである。
一方、力学物性測定のため、上記板状の(DeNC311)ゲルをPTFE(厚み約2mm)の上に乗せ、80℃の熱風乾燥器中で十分乾燥させて、ゲル乾燥体を作製した。
参考として下記方法で上記ゲル乾燥体のみの力学物性を測定した。即ち、上記作製したゲル乾燥体層を、引っ張り試験機(AGS−H型、島津製作所製)を用いて、測定したところ、応力は100Nで測定上限を超え、試験機が自動停止した。その時のゲル乾燥体層の歪みは35%であった。ゲル乾燥体は破断せず、強靭な力学物性を有していることが理解できる。
[ゲル乾燥体の吸水容量測定試験]
上記ゲル乾燥体を大過剰の水に入れ、25℃で一定時間経過後の重合を測定し、吸水容量を測定したところ、約120時間で吸水容量が一定となり、約300倍[(吸収した水の重量+ゲル乾燥体重量)/ゲル乾燥体重量]であった。該ゲル乾燥体は吸水後、大きく膨潤するが、水への溶解はなかった。
[吸放湿材料の吸湿試験]
恒温恒湿器(KCL−2000型、東京理化器械(株)製)を用いて、相対湿度95%、温度25℃の条件で測定した結果、吸放湿材料2の24時間での吸湿量が1.5g/g吸放湿材料であった(図1)。
[吸放湿材料の放湿試験]
上記24時間吸湿後の吸放湿材料2を天秤に乗せ、25℃、相対湿度59%RH条件での重量減少を測定した。その結果、約1時間で吸収した水分量の約90%を放出した(図1)。
(実施例3)
[水溶性のアクリル系モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)を含む反
応溶液の調製]
水溶性のアクリル系モノマー(a)としてN,Nージメチルアクリルアミド(株式会社
興人製)8.4g、N,Nージメチルアミノエチルアクリルアミド(株式会社興人製)2.1g、粘土鉱物(b)としてLaponite XLG(Rockwood Additives Ltd.社製)1.6g、水媒体(C)として水100g、を均一に混合し、窒素ガスで十分バブリングして、反応溶液(3)を調製した。
[有機無機複合ヒドロゲルの作製]工程(III、IV)
上記反応溶液(3)全量に、溶液(2)を500μl入れた後(組成物X3)、厚み約1mmになるようにポリエチレンテレフタレート(PET)製シート(厚み0.1mm)に塗布し、窒素雰囲気中で365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を120秒照射し二種類のモノマーを共重合させ、基材と積層した有機無機複合ヒドロゲル(DaNC211)を作製した。
[吸放湿材料の調製]工程(V)
上記得た(DaNC211)ゲルを80℃の熱風乾燥器中で十分乾燥させて、ゲル乾燥体層を基材と積層した吸放湿材料3を得た。ゲル乾燥体層の厚みは約0.1mmである。
また、力学物性測定及び吸水容量測定用として、下記方法で棒状のゲルを作製した。即ち、組成物(X3)を、内径5.5mmのガラス管に封入し、365nmにおける紫外線強度が40mW/cmの紫外線を120秒照射して、棒状の有機無機複合ヒドロゲル(DaNC211)を作製した。
参考として下記方法で(DaNC211)ゲルの力学物性を測定した。即ち、上記作製した棒状のゲルを、引っ張り試験機(AGS−H型、島津製作所製)を用いて、測定したところ、該ゲルの破断点応力は60KPaで、破断点歪みは1950%であった。強靭な力学物性を有していることが理解できる。
[ゲル乾燥体の吸水容量測定試験]
上記(DaNC211)棒状ゲルを80℃の熱風乾燥器中で十分乾燥させて後、大過剰の水に入れ、25℃で一定時間経過後の重合を測定し、吸水容量を測定したところ、約120時間で吸水容量が一定となり、約400倍[(吸収した水の重量+ゲル乾燥体重量)/ゲル乾燥体重量]であった。該ゲル乾燥体は吸水後、大きく膨潤するが、水への溶解はなかった。
[吸放湿材料の吸湿試験]
恒温恒湿器(KCL−2000型、東京理化器械(株)製)を用いて、相対湿度95%、温度25℃の条件で測定した結果、吸放湿材料3の24時間での吸湿量が1.6g/g吸放湿材料であった(図1)。
[吸放湿材料の放湿試験]
上記24時間吸湿後の吸放湿材料3を天秤に
乗せ、25℃、相対湿度59%RH条件での重量減少を測定した。その結果、約1時間で吸収した水分量の約90%を放出した(図1)。
(実施例4)
大きさ306×227×103(高さ)の蓋付ポリプロピレン箱の底部に、150×200mmの吸放湿材料2を入れ、また、箱内の湿気を除去するため、適量のシリカゲル(和光純薬工業(株)製)を入れ、湿度を約0%RHに調整した後、シリカゲルを取り出し、70℃の水を50ml入れたガラスシャーレ(直径70mm、高さ18mm)を該箱に入れ、蓋をし、箱内部の湿度上昇度合いを測定した。その結果、24時間での湿度は60%RHであった(図2)。一方、吸放湿材料を入れない空の箱で試験した場合、約1時間で湿度が90%RHに達してしまった。吸放湿材料2を入れることにより、発生した水蒸気を吸収し、湿度の上昇を抑制(保湿)できることが理解できる。
(実施例5)
予め、吸放湿材料2を、相対湿度70%、温度25℃を設定した恒温恒湿器(KCL−2000型、東京理化器械(株)製)に入れ、24時間養生する。次いで、大きさ306×227×103(高さ)の蓋付ポリプロピレン箱に適量のシリカゲルを入れ、箱内の湿度を約30%RHに調整した後、上記養生した吸放湿材料2を入れ、箱内部の湿度変化を測定した。その結果、約10分で、湿度が70%RHに達し、その後24時間まで70%RHのまま維持していた(図3)。即ち、事前に所定湿度で調整した吸放湿材料を用いれば、密閉空間内の湿度を容易に制御できることが理解できる。
(実施例6)
高さ約260mm、直径約190mmのガラス製デシケータの底部に、70℃の水を150ml入れたガラスシャーレ(直径115mm、高さ23mm)を入れ、更に、デシケータ底部から約150mm高さの中央部に100×100mmの吸放湿材料1を設置し、60分間室温(約25℃)で静置し、水蒸気を発生させる。次いで、該デシケータを温度約6℃の冷蔵庫内に入れ、60分静置してガラス部分を冷却させた。次いで、ガラスの内面に曇り発生の有無を観察したところ、ガラスが透明のまま、曇りは全く発生しなかった。この実施例から、デシケータ内で発生した水蒸気が全て吸放湿材料1に吸収され、内部に低湿度状態のままで、ガラス面が冷やされても、ガラス内面での結露が発生することなく、透明度が保たれたことが理解できる。一方、対比試験として、吸放湿材料1を入れず、同様な試験を行ったところ、ガラス内面に水滴が付き(結露)、一面曇ってしまった。
(実施例7)
大きさ211×295mmの吸放湿材料2を10枚、軽自動車(スバル製ヴィヴィオビストロ、1998年式)の内部天井に設置し、外部気温が6℃の条件で、25℃の室内で1時間以上待機した大人4人が乗車し、ドアを閉め、30分間経過した時のガラス内面部分の曇りを観察したところ、曇りの発生は認められなかった。一方、対比試験として、吸放湿材料2を設置しないで、同様な試験を行ったところ、人が乗車して約5分で、ガラス内面に曇りが発生した。この試験から、人体から発生した水蒸気が、吸放湿材料に吸収され、車内が低湿度状態に保たれ、外部気温が低くても、ガラス内面での結露が抑制されたことが理解できる。
(比較例1)
珪藻土漆喰を約1mmの厚みで木の板に塗布した珪藻土壁サンプル(けいそうリフォームNo.160、四国化成工業(株)製)を用いて、実施例1と同様にして吸湿試験を行ったところ、24時間での吸湿量が0.3g/gサンプルであった(図1)。
また、珪藻土壁サンプルを用いること以外、実施例4と同様にして、保湿試験を行ったところ、6時間で湿度が約80%RHになり、24時間では湿度が約90%RHに達してしまった(図2)。
更に、珪藻土壁サンプルの珪藻土漆喰部分を掻き落として、実施例1と同様にして、吸水容量を測定したところ、最大吸水容量が約1倍[(吸収した水の重量+乾燥珪藻土漆喰重量)/乾燥珪藻土漆喰重量]であった。
以上の比較例から分かるように、吸放湿材料部分の珪藻土漆喰が吸水容量が低いため、吸湿量や保湿性も低くなることが理解できる。また、本発明のゲル乾燥体と異なって、珪藻土漆喰部分が柔軟性低く、折り曲げると割れてしまい、漆喰が基材から落ちてしまう課題がある。
(比較例2)
市販中粒状シリカゲル(和光純薬工業(株)製)を用いて、実施例1と同様にして吸水容量を測定したところ、最大吸水容量が約0.85倍[(吸収した水の重量+乾燥シリカゲル重量)/乾燥シリカゲル重量]であった。
また、実施例1と同様にして吸湿試験を行ったところ、24時間での吸湿量が0.85g/gサンプルであった(図1)。
(比較例3)
吸水容量測定のため、一定量の市販ポリアクリル酸ナトリウム粉末(重合度3000〜4000、ナカライテスク(株)製)を大過剰の水に入れたところ、該ポリマーが卵白状になり、自己形状維持不能になり、この卵白状ポリマーを不織布「FE605、目付52g/m」に乗せたところ、不織布を抜けてしまい、製膜することができなかった。更に、この卵白状ポリマーを実施例1と同じスチロールケースに入れ、80℃で十分乾燥したところ、該ポリマーがポロポロケースから落ち、製膜できなかった。
また、この粉末を用いて、実施例1と同様にして吸湿試験を行ったところ、24時間での吸湿量が2g/g乾燥粉末であった。
また、上記24時間吸湿後のポリマーを天秤に乗せ、25℃、相対湿度59%RH条件での重量減少を測定した。その結果、48時間でも吸収した水分量の約75%を放出し、25%の水が保持されたままであった。この結果から分かるように、ポリアクリル酸ナトリウムのような高吸水性樹脂は、吸湿は高いが、過剰の水に触れると、溶解してしまい、自己形状を維持することができず、また、製膜や加工が困難で、取り扱い難いことが理解できる。
(比較例4)
市販の珪藻土壁紙(SW5028、シンコール(株)製)を用いて、実施例6と同様にして防曇試験を行ったところ、吸放湿材を入れない対比試験の結果とほぼ同じく、防曇性は認められなかった。

Claims (5)

  1. 下記一般式(1)〜(6)から選ばれる少なくとも一種の水溶性アクリル系モノマー(a)の重合体(P)と、水膨潤性粘土鉱物(B)とが三次元網目構造を形成してなり、厚さが0.1mm以上のゲル乾燥体層を基材と積層した吸放湿材料。
    Figure 2015003973
    Figure 2015003973
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    Figure 2015003973
    Figure 2015003973
    Figure 2015003973
    (式中、Rは水素原子またはメチル基、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または炭素原子数1〜3のアルキル基であり、Rは炭素原子数1〜2のアルキル基であり、nは1〜9でる。)
  2. 前記水膨潤性粘土鉱物(B)が、水膨潤性ヘクトライト、水膨潤性モンモリロニト、水膨潤性サポナイト、及び水膨潤性合成雲母から選ばれる少なくとも一種である請求項1記載の吸放湿材料。
  3. 前記ゲル乾燥体中の重合体(P)と水膨潤性粘土鉱物(B)との重量比(P)/(B)が、1〜25の範囲にある請求項1〜2いずれか記載の吸放湿材料。
  4. 下記工程を有する吸放湿材料の製造方法。
    (I)水溶性モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)をラジカル重合させ、有機無機複合ヒドロゲルを形成する工程、
    (II)該ヒドロゲルを基材上に置き、乾燥させる工程からなる吸放湿材料の製造方法。
  5. 下記工程を有する吸放湿材料の製造方法。
    (III)水溶性モノマー(a)、水膨潤性粘土鉱物(B)、水媒体(C)及び重合開始剤(d)を含有する組成物(X)を基材上に塗布する工程、
    (IV)該組成物(X)をラジカル重合させ、基材上に有機無機複合ヒドロゲルを形成する工程、
    (V)上記ヒドロゲルを乾燥させる工程からなる吸放湿材料の製造方法。
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