JP6880912B2 - 立体造形用液体セット、立体造形物の製造方法、及び立体造形装置 - Google Patents
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一実施形態に係るモデル材は、水、保湿剤、モノマー、重合開始剤、界面活性剤、鉱物、及びその他の添加剤等を含む。
モデル材に用いられる水は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。水としては、純水、及び超純水等が例示され、より具体的には、イオン交換水、限外濾過水、逆浸透水、及び蒸留水等が例示される。水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、軟質感を有する造形物を得るために、例えば、モデル材全量に対し30質量%以上、好ましくは40質量%以上、より好ましくは50質量%以上である。
保湿剤は、目的に応じて適宜選択されるが、水溶性を有することが好ましい。また、保湿剤は、一種単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。また、保湿剤の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。モデル材に好適な保湿剤としては、水溶性、保湿性、及び安全性を考慮すると、多価アルコール類、及び多価アルコールのエーテル類等が例示される。
モノマーは、重合性を有していれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、水溶性を有することが好ましい。モノマーは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。モノマーの含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
重合開始剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、光、特に波長200nm乃至400nmの紫外線の照射によりラジカルを生成する任意の物質が例示される。重合開始剤は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。また、紫外線照射装置の紫外線波長に合わせた光重合開始剤を選択することが好ましい。
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、及びアニオン系界面活性剤等が例示される。界面活性剤は、サポート部との界面における弾きを抑制する目的で、一種を単独で用いてもよいが、弾きに加えて、吐出性、又は硬化性等のその他の特性を改良するために、二種以上を併用することが好ましい。また、界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、濡れ性、吐出安定性、造形精度を考慮すると、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上3質量%以下が更に好ましい。
鉱物は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、水中で一次結晶のレベルで均一に分散可能な水膨潤性粘土鉱物が好ましい。また、鉱物は、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。また、鉱物の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。
その他の添加剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択される。その他の添加剤としては、粘度調整剤、防腐剤、pH調整剤、分散剤、キレート剤、架橋剤、重合禁止剤、色材、香料、酸化防止剤、架橋促進剤、紫外線吸収剤、及び可塑剤等が例示される。キレート剤としては、特に限定されないが、エチドロン酸等が例示される。架橋剤としては、特に限定されないが、メチレンビスアクリルアミド等が例示される。架橋促進剤としては、特に限定されないが、テトラメチルエチレンジアミン等が例示される。
一実施形態に係るサポート材は、硬化性材料、溶媒、重合開始剤、粘度調整剤、及びその他の添加剤等を含む。
硬化性材料は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、硬化速度を考慮すると、可視光、紫外線、及び赤外線等の活性エネルギー線により硬化する活性エネルギー線硬化型材料が好ましい。更に、硬化物の強度、造形後の除去性、溶媒への溶解性等を考慮すると、硬化性材料は、炭素数14以上の直鎖を有する単官能エチレン性不飽和モノマーが好ましい。
溶媒は、硬化性材料を溶解することができれば特に限定されないが、ポリマー側鎖の結晶性の著しい低下を防ぐために、炭素数が6以上の直鎖を有することが好ましい。溶媒としては、酢酸ヘキシル、及び酢酸オクチル等のエステル、並びにヘキサノール、及びデカノール、ドデカノール等のアルコールが例示される。
重合開始剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、光重合開始剤が好ましい。光重合開始剤としては、光、特に波長200nm乃至400nmの紫外線の照射によりラジカルを生成する任意の物質が例示される。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を併用してもよい。また、光重合開始剤は、紫外線照射装置の紫外線波長に合わせたものを選択することが好ましい。サポート材は、モデル材の成分として説明したいずれかの光重合開始剤を含有してもよい。
粘度調整剤は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択されるが、安全性、経済性等を考慮すると、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、及びグリセリン等が好ましい。
上記のモデル材、及び上記のサポート材のセット、即ち、立体造形用液体セットについて説明する。以下、立体造形用液体セットを、単に、液体セットと表す。
本実施形態において、モデル材、及びサポート材は、造形装置に搭載される。以下、本実施形態の製造方法において好適に用いられる造形装置として、UV硬化性を有するモデル材、及びサポート材を用いる一般的なマテリアルジェット方式の造形装置について説明する。
図2は、立体造形物を製造する工程を説明するための概念図である。図2の(A)は、三次元モデルの一例を示す斜視図である。三次元モデル100は、例えば、三次元CADで設計された三次元形状、或いは三次元スキャナやディジタイザで取り込んだ三次元形状のサーフェイスデータ、ソリッドデータ等の三次元データである。三次元データは、例えば、三次元モデルの表面が三角形の集合体として表現されたSTLフォーマット(Standard Triangulated Language)に変換されていてもよい。三次元データは、例えば、造形装置に設けられた情報処理装置に入力される。
造形装置30のエンジンは、情報処理装置によって生成された二次元データを入力する。造形装置30のエンジンは、キャリッジ15、又はステージ17を移動させながら、入力された二次元データのうち最も底面側の断面を示す二次元データに基づいて、ヘッドユニット31からモデル材1の液滴を吐出させ、ヘッドユニット32からサポート材2の液滴を吐出させる。これにより、最も底面側の断面を示す二次元データにおけるモデル部を示す画素に対応する位置にモデル材1の液滴が配され、サポート部を示す画素に対応する位置にサポート材2の液滴が配され、隣り合う位置の液滴同士が接した液膜が形成される。
平滑化工程において、ローラ34は、ステージ37上に吐出されたモデル材、及びサポート材のうち余剰な部分を掻き取ることで、モデル材、及びサポート材からなる液膜、又は層の有する凸凹を平滑化する。平滑化工程はZ軸方向へ積層毎に1回行われてもよいし、2乃至50回の積層毎に1回行われてもよい。平滑化工程において、ローラ34は停止していてもよいし、ステージ37の進行方向に対して正もしくは負の相対速度で回転していても良い。またローラ34の回転速度は定速でも一定加速度、一定減速度でもよい。ローラ34の回転数は、ステージ37との相対速度の絶対値として、50mm/s以上、400mm/s以下が好ましい。相対速度が小さすぎる場合、平滑化が不十分で平滑性が損なわれる。また相対速度が大きすぎる場合、装置が大型化を要し、振動などによって、吐出された液滴の位置ずれなどが発生しやすく、結果として平滑性が低下することがある。
硬化工程において、造形装置30のエンジンは、キャリッジ15により紫外線照射機33を移動させて、液膜形成工程で形成された液膜に、モデル材、及びサポート材に含まれる光重合開始剤の波長に応じた紫外線を照射する。これにより、造形装置30は、液膜を硬化して、層を形成する。
最も底面側の層の形成後、造形装置30のエンジンは、ステージを一層分、下降させる。造形装置30のエンジンは、キャリッジ15、又はステージ17を移動させながら、底面側から二つ目の断面を示す二次元画像データに基づいて、モデル材1の液滴を吐出させ、サポート材2の液滴を吐出させる。吐出方法は、最も底面側の液膜を形成するときと同様である。これにより、最も底面側の層上に、底面側から二つ目の二次元データが示す断面形状の液膜が形成される。更に、造形装置30のエンジンは、キャリッジ15により紫外線照射機33を移動させて、液膜に紫外線を照射することにより、液膜を硬化して、最も底面側の層上に、底面側から二つ目の層を形成する。
造形装置30により造形された造形物は、モデル材の硬化物、及びサポート材の硬化物の界面を有する。サポート部は、造形後に造形物から除去される。除去方法には、物理的除去、及び化学的除去がある。物理的除去には、造形物に機械的な力を加え、モデル部からサポート部を剥がす操作が行われる。この操作には、人の手を要するため、サポート部を除去する方法として、特に制限はないが、水や溶媒を利用した化学的除去が好ましい。水を利用した除去が採用される場合、サポート材の硬化物は、水溶性を有するものが選択される。
<モデル材の作製>
表1の液体Aの処方に従ってモデル材を作製した。以下、作製手順を示す。容器中、撹拌羽で撹拌されている状態の純水にラポナイトRDを添加し、30min撹拌を続けることにより、ラポナイトRDを膨潤させた。次に、容器にエチドロン酸を添加し、40℃に温調した状態で2h撹拌を続けることにより、ラポナイトを分散させた。次に、容器にアクリロイルモルホリン、N,N−ジメチルアクリルアミド、メチレンビスアクリルアミド、グリセリン、サーフロンS−243の順に添加した。次に、容器を遮光した後、Irgacure1173、テトラメチルエチレンジアミンを添加して30min撹拌混合した。次に、減圧脱気を10min行った後、0.8μmシリンジフィルター(ADVANTEC社製)を用いてろ過を行うことにより、均質なモデル材を得た。
*純水:減圧脱気を30分間実施したイオン交換水
*グリセリン(阪本薬品工業社製、保湿剤)
*エチドロン酸(東京化成工業社製、キレート剤、分散剤)
*Irgacure1173(BYK社製、重合開始剤、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル-プロパン−1−オン)
*テトラメチルエチレンジアミン(東京化成工業社製、光硬化反応触媒)
*ラポナイトRD(RockWood社製、層状粘土鉱物)
*アクリロイルモルホリン(KJケミカルズ社製、重合性を有する単官能モノマー)
*N,N−ジメチルアクリルアミド(KJケミカルズ社製、重合性を有する単官能モノマー)
*メチレンビスアクリルアミド(東京化成工業社製、架橋剤)
*サーフロンS-243(AGCセイケミカル社製、フッ素系界面活性剤(ノニオン、エチレンオキシド付加物))
*エマルゲンLS-106(花王社製、界面活性剤、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル)
*サーフロンS-241(AGCセイケミカル社製、フッ素系界面活性剤(ノニオン、水溶性))
ステアリルアクリレート、ドデカノールを40℃に温調して液化させた後、表2の処方に従って各成分を量り取り、30min撹拌混合することにより、サポート材を得た。
*ステアリルアクリレート(東京化成工業社製、光硬化性材料)
*ドデカノール(東京化成工業社製、溶媒)
*Irgacure 819(BYK社製、重合開始剤)
*ポリプロピレングリコール(和光純薬工業社製、粘度調整剤)
*サーフロンS-243(AGCセイケミカル社製、界面活性剤)
内寸法40mm×40mm×3mmのシリコーン製の型を、圧力をかけることにより平滑なガラス板上に密着させた。次いで、シリコーン製の型内をサポート材で満たした。次いで、シリコーン製の型内をサポート材で満たしたサポート材を、紫外線照射機(ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DB)を用いて、照射時間1分の条件で硬化させた。次いで、サポート材硬化物からシリコーン製の型とガラス板を取り除き、プレート状のサポート材の硬化物を作製した。次いで、作製したプレート状のサポート材硬化物のガラス面に接触していた方の面に、モデル材(液体A)を6μL滴下したときの接触角を測定した。測定装置として、協和界面科学製DM−701を用いた。結果を表3に示す。
図1の造形装置30により、評価用サンプルを作製した。造形装置30のヘッドユニット31,32において、インクジェットヘッド(リコーインダストリー株式会社製、GEN4)を用いた。造形装置30の紫外線照射機33として、ウシオ電機株式会社製、SPOT CURE SP5−250DBを用いた。図3の(A)は3Dモデルの一例を示す。図3の(A)中の幅X1,X2は、50mmであり、高さZ2は20mmである。図3の(A)の3Dモデルを示す3Dデータに基づいて、ヘッドユニット31,32によりモデル材(液体A)、及びサポート材を吐出した後、紫外線照射機33を用いて各液体を硬化させ、積層造形することにより評価用サンプルを作製した。
A:モデル部、及びサポート部界面付近に、凹みが見られない。
B:モデル部、及びサポート部界面付近に、深さ0.1mm未満の凹みが見られる。
C:モデル部、及びサポート部界面付近に、深さ0.1mm以上の凹みが見られる。
表1の液体Bの処方に従ってモデル材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
表1の液体Cの処方に従ってモデル材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
表1の液体Dの処方に従ってモデル材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
表1の液体Eの処方に従ってモデル材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
サポート材を吐出するヘッドを50℃に温調しながら評価用サンプルを造形した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
モデル材において、サーフロンS−243に代えて、質量比率0.5%のサーフロンS−241を用い、ドデカノールの質量比率を49.5%に変更した以外は、実施例3と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
表1の液体Fの処方に従ってモデル材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
表1の液体Gの処方に従ってモデル材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
表1の液体Hの処方に従ってモデル材を作製した以外は、実施例1と同様の方法で評価用サンプルを作製し、同様の評価を実施した。
2 サポート材
10 モデル部
20 サポート部
30 造形装置(立体造形装置の一例)
31 ヘッドユニット(吐出手段の一例)
32 ヘッドユニット(吐出手段の一例)
33 紫外線照射機(硬化手段の一例)
34 ローラ
35 キャリッジ
36 基板
37 ステージ
100 三次元モデル
Claims (9)
- モデル部を形成するための第一の液体と、
サポート部を形成するための第二の液体と、を有し、
前記第一の液体は、水、及び0.1質量%以上の界面活性剤を含み、
前記第二の液体の含水率は、前記第一の液体の含水率よりも低く、
前記第二の液体の硬化物に対する前記第一の液体の接触角は、40°以下である
立体造形用液体セット。 - 前記第一の液体は、二種以上の界面活性剤を含む請求項1に記載の立体造形用液体セット。
- 前記第一の液体、及び前記第二の液体は、同じ界面活性剤を含む請求項1乃至2のいずれか一項に記載の立体造形用液体セット。
- 前記第一の液体、及び前記第二の液体は、活性エネルギー線硬化型材料を含む請求項1乃至3のいずれか一項に記載の立体造形用液体セット。
- 前記第一の液体の含水率は50%以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の立体造形用液体セット。
- モデル部を形成するための第一の液体、及びサポート部を形成するための第二の液体を吐出して、前記第一の液体、及び前記第二の液体を含む液膜を形成する吐出工程と、
前記液膜を硬化して、層を形成する硬化工程と、を繰り返し、前記層を積層させる立体造形物の製造方法であって、
前記第一の液体は、水、及び0.1質量%以上の界面活性剤を含み、
前記第二の液体の含水率は、前記第一の液体の含水率よりも低く、
前記第二の液体の硬化物に対する前記第一の液体の接触角は、40°以下である
立体造形物の製造方法。 - 前記吐出工程において、40℃以上に温調された吐出手段から前記第一の液体、及び前記第二の液体を吐出する請求項6に記載の立体造形物の製造方法。
- モデル部を形成するための第一の液体、及びサポート部を形成するための第二の液体を吐出して、前記第一の液体、及び前記第二の液体を含む液膜を形成する吐出手段と、
前記液膜を硬化して層を形成する硬化手段と、を有し、前記液膜の形成、及び硬化を繰り返し、前記層を積層させる立体造形装置であって、
前記第一の液体は、水、及び0.1質量%以上の界面活性剤を含み、
前記第二の液体の含水率は、前記第一の液体の含水率よりも低く、
前記第二の液体の硬化物に対する前記第一の液体の接触角は、40°以下である
立体造形装置。 - 前記第二の液体を40℃以上に温調する手段を有する請求項8に記載の立体造形装置。
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