JP6880496B2 - 蓄電素子 - Google Patents

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Description

本発明は、リチウムイオン二次電池などの蓄電素子に関する。
従来、集電箔及び活物質としての炭素物質を有する負極と、リチウムイオンが移動するための電解液と、リチウムイオンを可逆的に出し入れできる正極活物質を有する正極とを備えた、リチウムイオン二次電池が知られている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載の電池では、負極の集電箔がアルミニウム箔であり、負極の駆動電位を0.1V以上とするように正極及び負極の目付量が調整されている。
特開平09−283117号公報
特許文献1に記載の電池では、過放電状態(例えば、電池の電圧が0Vになる状態)で放置された後に、負極電位の上昇により集電箔が溶解等することが抑制されていたが、容量低下が生じる場合があった。本実施形態は、過放電状態で放置されたあとに容量が低下することが抑制された蓄電素子を提供することを課題とする。
本実施形態の蓄電素子は、アルミニウムを含有する金属箔を有する負極と、フッ素を含有する電解質塩と添加剤とを含有する電解液と、を含み、添加剤は、フッ酸を捕捉する化合物を含む。
本実施形態によれば、過放電状態で放置されたあとに容量が低下することが抑制された蓄電素子を提供できる。
図1は、本実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。 図2は、図1のII−II線位置の断面図である。
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、図1〜図2を参照しつつ説明する。蓄電素子には、一次電池、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
本実施形態の蓄電素子1は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子1は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子1は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子1は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子1と組み合わされて蓄電装置に用いられる。前記蓄電装置では、該蓄電装置に用いられる蓄電素子1が電気エネルギーを供給する。
蓄電素子1は、図1〜図2に示すように、正極と負極とを含む電極体2と、電極体2を収容するケース3と、ケース3の外側に配置される外部端子7であって電極体2と導通する外部端子7と、を備える。また、蓄電素子1は、電極体2、ケース3、及び外部端子7の他に、電極体2と外部端子7とを導通させる集電部材5等を有する。
電極体2は、正極と負極とがセパレータによって互いに絶縁された状態で積層された積層体22が巻回されることによって形成される。
正極は、金属箔(集電箔)と、金属箔の表面に重ねられ且つ活物質を含む活物質層と、を有する。本実施形態では、活物質層は、金属箔の両面にそれぞれ重なる。
金属箔は帯状である。本実施形態の正極の金属箔は、例えば、アルミニウム箔やアルミニウム合金の箔である。
正極活物質層は、粒子状の活物質(活物質粒子)と、粒子状の導電助剤と、バインダとを含有する。
正極の活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物である。正極の活物質は、例えば、リチウム遷移金属酸化物である。
このようなリチウム遷移金属酸化物としては、α−NaFeO型構造を有するもの(LiCoO、LiNiO、LiNi1/2Mn1/2、LiNi1/3Mn1/3Co1/3など)を挙げることができる。リチウム遷移金属酸化物がα−NaFeO型構造を有するものである場合、スピネル構造を有する活物質の場合より、電池の充電電圧が低い状態における正極11の電位が低くなるので、電池の予備充電工程(電池に電解液を注入した後に、封口せずに電池を所定容量まで充電する工程)において電池内部に含まれる水分が正極11でより分解されにくくなり、電池内部に残存する水分量がより多くなる。そのため、電池完成後に、電池内部において電解質と水分とがより多く反応するようになるので、フッ酸がより発生し易くなる。リチウム遷移金属酸化物がα−NaFeO型構造を有するものである場合、該リチウム遷移金属酸化物はNiを含んでいることが好ましい。リチウム遷移金属酸化物がNiを含んでいる場合、正極11の電位がさらに低くなるので、電池内部に残存する水分量がさらに多くなって、電池内部にさらにフッ酸が発生し易くなる。リチウム遷移金属酸化物がα−NaFeO型構造を有し、かつNiを含んでいる場合、リチウム遷移金属酸化物中の遷移金属におけるNiの比率は、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましい。斯かるNiの比率は、0.8以下であることが好ましい。リチウム遷移金属酸化物中の遷移金属におけるNiの比率が0.3以上であると、正極の電位がより低くなるので、電池内部に残存する水分量がより多くなって、電池内部にフッ酸がより発生し易くなる。しかしながら、本実施形態の蓄電素子1では、後述するフッ酸を捕捉する化合物によって、発生したフッ酸を捕捉することができる。
より具体的に、正極の活物質は、Li1+xMe1−xの化学組成で表され、MeがNi、Co、およびMnのうち少なくとも1種を含むリチウム遷移金属酸化物(ただし、−0.2≦x≦0.3である)が好ましい。
リチウム遷移金属酸化物以外の正極の活物質としては、例えば、リン酸遷移金属リチウムを挙げることができる。正極の活物質がリン酸遷移金属リチウムの場合、該リン酸遷移金属リチウムは、リン酸鉄リチウム(LiFePO)であることが好ましい。正極の活物質がLiFePOである場合も、正極の電位がより低くなるので、電池内部に残存する水分量がより多くなって、電池内部においてフッ酸がより発生し易くなる。しかしながら、本実施形態の蓄電素子1では、後述するフッ酸を捕捉する化合物によって、発生したフッ酸を捕捉することができる。
正極活物質層に用いられるバインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
正極活物質層は、炭素を98質量%以上含む炭素質材料を導電助剤として含有する。正極活物質層は、例えば、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等を導電助剤として含有し得る。
負極は、アルミニウムを含有する集電体としての金属箔(集電箔)と、金属箔の上に形成された負極活物質層と、を有する。本実施形態では、負極活物質層は、金属箔の両面にそれぞれ重ねられる。金属箔は帯状である。本実施形態の負極の金属箔はアルミニウムまたはアルミニウム合金を少なくとも表面に有する金属箔であり、より好ましくはアルミニウム箔である。ここで、アルミニウム合金とは、アルミニウムを90質量%以上含む合金である。
負極活物質層は、粒子状の活物質(活物質粒子)と、バインダと、を含む。負極活物質層は、セパレータを介して正極活物質層と向き合うように配置される。
負極の活物質は、負極において充電反応及び放電反応の電極反応に寄与し得るものである。例えば、負極の活物質は、グラファイト、非晶質炭素(難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素)などの炭素材料、又は、チタン酸化物(LiTiで表されるリチウムチタン酸化物(ただし、0<u≦5であり、3≦v≦7であり、10≦w≦14である)など)、ケイ素(Si)及び錫(Sn)などリチウムイオンと合金化反応を生じる材料である。これらの活物質の中でも、チタン酸化物または非晶質炭素を採用することが好ましい。これらを採用することにより、アルミニウムを含む金属箔を用いた場合に、リチウムとアルミニウムとが合金化する電位以上の電位で、リチウムを吸蔵することができる。また、上記活物質の中でも、非晶質炭素を採用することが特に好ましい。非晶質炭素を採用することにより、これ以外の活物質を採用した場合と比べて、リチウムとアルミニウムとが合金化する電位以下の電位におけるリチウムの吸蔵量が多くなるので、過充電時における電池の安全性をより高めることができる。さらに、非晶質炭素の中でも、難黒鉛化炭素を採用することが好ましい。難黒鉛化炭素は、非晶質炭素の中でも、リチウムとアルミニウムとが合金化する電位以上の電位におけるリチウムの吸蔵量が特に多いので、これを採用することにより、電池の容量を大きくすることができる。ここで、非晶質炭素とは、放電状態において、線源としてCuKα線を用いた広角X線回折法により求まる(002)面の平均面間隔d002が0.340nm以上0.390nm以下のものをいう。また、難黒鉛化炭素とは、前記平均面間隔d002が0.360nm以上0.390nm以下のものをいう。
本実施形態の負極の活物質は、非晶質炭素である。より具体的には、負極の活物質は、難黒鉛化炭素である。炭素材料の活物質(特に非晶質炭素)は、リチウムイオンと合金化反応を生じる材料の活物質よりも、水分を吸着しやすい。
負極活物質層に用いられるバインダとしては、正極活物質層に用いられるバインダと同様のものに加えて、水系バインダを用いることができる。水系バインダは、水溶性を示すもの、または水分散性を示すものである。水溶性を示すものとしては、ポリアクリル酸などのアクリル樹脂やセルロース誘導体などの水溶性高分子を用いることができる。セルロース誘導体は、例えば、カルボキシメチルセルロース(塩を含む)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。本実施形態のセルロース誘導体は、カルボキシメチルセルロースである。カルボキシメチルセルロースは、塩の状態であることが好ましい。また、水分散性を示すものとしては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などのフッ素樹脂やスチレンブタジエンゴム(SBR)などのゴム系樹脂などを用いることができる。水系バインダとしてセルロース誘導体を用いる場合、負極活物質層は、該セルロール誘導体を0.1〜5.0質量%含んでいてもよい。本実施形態のバインダは、スチレンブタジエンゴムである。
上記のような水系バインダを用いた場合、活物質粒子と、バインダと、溶媒とを含む合剤(以下、負極合剤ともいう)を調製する際に、主たる溶媒として水を用いるため、電極形成過程において電極内に水が残留し易くなる。これにより、電池内部に水分が残留し易くなって、電池内部においてフッ酸が発生し易くなる。特に、セルロース誘導体は、セルロースの一部が親水基を有する化合物と反応したものであり、比較的水分を吸着し易いことから、該セルロース誘導体をバインダとして用いると、電池の内部にはより多くの水分が含まれることとなって、電池内部においてフッ酸がより発生し易くなる。しかしながら、本実施形態の蓄電素子1では、後述するフッ酸を捕捉する化合物によって、発生したフッ酸を捕捉することができると推定される。
負極活物質層では、バインダの割合は、活物質粒子とバインダとの合計質量に対して、0.1質量%以上10質量%以下であってもよい。
負極活物質層は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の負極活物質層は、導電助剤を有していない。
本実施形態の電極体2では、以上のように構成される正極と負極とがセパレータによって絶縁された状態で巻回される。即ち、本実施形態の電極体2では、正極、負極、及びセパレータの積層体22が巻回される。セパレータは、絶縁性を有する部材である。セパレータは、正極と負極との間に配置される。これにより、電極体2(詳しくは、積層体22)において、正極と負極とが互いに絶縁される。また、セパレータは、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、リチウムイオンが、セパレータを挟んで交互に積層される正極と負極との間を移動する。
セパレータは、帯状である。セパレータは、多孔質なセパレータ基材を有する。セパレータは、正極及び負極間の短絡を防ぐために正極及び負極の間に配置されている。本実施形態のセパレータは、セパレータ基材のみを有する。
セパレータ基材は、多孔質に構成される。セパレータ基材は、例えば、織物、不織布、又は多孔膜である。セパレータ基材の材質としては、高分子化合物、ガラス、セラミックなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)、及び、セルロースからなる群より選択された少なくとも1種が挙げられる。
本実施形態の電極体2は、セパレータ基材と負極活物質層との間に配置された無機多孔層を有する。無機多孔層は、少なくとも電気絶縁性を有する無機粒子を含み、さらに、バインダを含む。
無機多孔層は、Liイオンなどが正極及び負極の間で移動できるように、無機粒子間の空隙によって多孔質に形成されている。
無機多孔層は、無機粒子を30質量%以上99質量%以下含有する。無機多孔層は、バインダを1質量%以上10質量%以下含有する。無機多孔層は、無機粒子の間の空隙によって多孔質に形成されているため、比表面積が比較的高いことから、比較的水分を吸着しやすい。
無機粒子としては、例えば、酸化物粒子、窒化物粒子、イオン結晶粒子、共有結合性結晶粒子、粘土粒子、鉱物資源由来物質あるいはそれらの人造物質の粒子などが挙げられる。酸化物粒子(金属酸化物粒子)としては、例えば、酸化鉄、SiO、Al、TiO、BaTiO、ZrO、アルミナ−シリカ複合酸化物などの粒子が挙げられる。窒化物粒子としては、例えば、窒化アルミニウム、窒化ケイ素などの粒子が挙げられる。イオン結晶粒子としては、例えば、フッ化カルシウム、フッ化バリウム、硫酸バリウムなどの粒子が挙げられる。共有結合性結晶粒子としては、例えば、シリコン、ダイヤモンドなどの粒子が挙げられる。粘土粒子としては、例えば、タルク、モンモリロナイトなどの粒子が挙げられる。鉱物資源由来物質あるいはそれらの人造物質の粒子としては、例えば、ベーマイト(アルミナ水和物)、ゼオライト、アパタイト、カオリン、ムライト、スピネル、オリビン、セリサイト、ベントナイト、マイカなどの粒子が挙げられる。なお、水和物を含む天然鉱物(例えば、上記の粘土、鉱物資源由来物質)を焼成した焼成体を採用することもできる。本実施形態では、無機粒子は、Al粒子である。
無機多孔層のバインダは、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレン− ブタジエンゴム、ニトリル− ブタジエンゴム、ポリスチレン、又は、ポリカーボネートなどである。
本実施形態では、無機多孔層は、セパレータ基材の一方の面に重なることによって、セパレータ基材と負極活物質層との間に配置される。また、無機多孔層は、負極活物質層を覆うように重なることによって、セパレータ基材と負極活物質層との間に配置されてもよい。なお、無機多孔層は、正極活物質層を覆うように重なることによって、セパレータ基材と正極活物質層との間に配置されてもよい。
ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。ケース3は、電極体2及び集電体5等と共に、電解液を内部空間に収容する。ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。ケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。ケース3は、ステンレス鋼及びニッケル等の金属材料、又は、アルミニウムにナイロン等の樹脂を接着した複合材料等によって形成されてもよい。ケース3には、電解液を注入するための注液孔が設けられる。
電解液は、非水溶液系電解液である。電解液は、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類である。
電解質塩は、少なくともフッ素(F)を含む。フッ素を含む電解質塩としては、例えば、LiBF、LiAsF、LiPF、LiCFSO、LiN(SOCF、LiN(SO、LiN(SOCF)(SO)等のリチウム塩が挙げられる。電解質塩としては、上記の単独物、又は2種以上の混合物等が採用されるが、これらに限定されない。
上記のフッ素を含む電解質塩は、蓄電素子1の内部に存在する水分と反応することによって、フッ酸を生じさせる。特に、蓄電素子1が、過放電状態で放置された場合、フッ素を含む電解質塩と、上記の水分とがより反応し易くなり、より多くのフッ酸が生じ得る。また、蓄電素子1が、比較的高い温度で放置された場合、フッ素を含む電解質塩と、上記の水分とが反応し易くなり、より多くのフッ酸が生じ得る。また、蓄電素子1の内部に含まれる水分がより多いと、フッ酸がより多く生じる。例えば、溶媒としての水と水系バインダとを配合して負極活物質層122を作製した場合や、溶媒としての水を配合して無機多孔層を作製した場合に、水分の量がより多くなることから、フッ酸の生成量がより多くなる。
電解液は、添加剤を含む。添加剤は、フッ酸を捕捉する化合物(フッ酸捕捉剤)を含む。フッ酸を捕捉する化合物は、電解液に溶解しつつフッ酸を捕捉する化合物であることが好ましい。
フッ酸を捕捉する化合物は、一般式(1)で表される化合物である。
Figure 0006880496

[一般式(1)において、Gは、遷移金属、周期律表の13族、14族、又は15族元素を表し、Aa+は、金属イオン、プロトン、又はオニウムイオンを表し、aは、1〜3を表し、bは1〜3を表し、pはb/aを表し、mは1〜4を表し、nは0〜8を表し、qは0又は1を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらのアルキレン基及びアリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、Rは、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、又はE(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、E、E、Eは、それぞれ独立してO、S、又はNRを表し、R、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基を表す(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)。]
一般式(1)で表される化合物としては、下記の一般式(1a)で表される環状シュウ酸構造(−O(C=O)−(C=O−)O−)を有する化合物が好ましい。
Figure 0006880496
[一般式(1a)において、Gは、リン元素又はホウ素元素を表し、Aは、アルカリ金属イオンを表し、mは1〜3のいずれかの整数を表し、nは0〜4を表し、Rは、ハロゲンを表す。]
一般式(1a)においては、Gがリン元素(P)である場合には、mが1であり且つnが4であるか、又は、mが2であり且つnが2であるか、又は、mが3であり且つnが0であることが好ましい。
一般式(1a)においては、Gがホウ素元素(B)である場合には、mが1であり且つnが2であるか、又は、mが2であり且つnが0であることが好ましい。
フッ酸を捕捉する化合物として、一般式(1a)で表される環状シュウ酸構造を有する化合物を用いた場合、電池内部の水分は、該化合物中に含まれる環状シュウ酸構造部分と反応すると考えられる。これにより、電池内部の残存水分量が少なくなり、電池内部で発生するフッ酸量が少なくなると考えられる。よって、より十分にフッ酸が捕捉されると考えられる。
一般式(1a)で表される環状シュウ酸構造を有する化合物としては、例えば、下記の式でそれぞれ表される化合物などが挙げられる。
Figure 0006880496
Figure 0006880496
Figure 0006880496
一般式(1)で表される化合物としては、上記の式(1−1)で表されるリチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(以下、LiFOPともいう)が好ましい。
一般式(1)で表される化合物は、電解液に0.05質量%以上5質量%以下含有される。一般式(1)で表される化合物は、電解液に0.1質量%以上3質量%以下含有されることが好ましく、0.3質量%以上2質量%以下含有されることがより好ましい。
本実施形態の電解液は、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートを所定の割合で混合した混合溶媒に、0.5〜1.5mol/LのLiPFを溶解させ、さらに上記の添加剤を溶解させたものである。
外部端子7は、他の蓄電素子1の外部端子7又は外部機器等と電気的に接続される部位である。外部端子7は、導電性を有する部材によって形成される。例えば、外部端子7は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、銅又は銅合金等の銅系金属材料等の溶接性の高い金属材料によって形成される。
集電部材5は、ケース3内に配置され、電極体2と通電可能に直接又は間接に接続される。集電部材5は、導電性を有する部材によって形成される。集電部材5は、蓄電素子1の正極と負極とにそれぞれ配置される。
正極の集電部材5は、正極の金属箔と同様の材料によって形成される。正極の金属箔がアルミニウムの場合、正極の集電部材5は、アルミニウム又はアルミニウム合金よって形成される。負極の集電部材5も、正極の集電部材5と同様に、負極の金属箔と同様の材料によって形成される。
本実施形態の蓄電素子1では、電極体2とケース3とを絶縁する袋状の絶縁カバー6に収容された状態の電極体2(詳しくは、電極体2及び集電体5)がケース3内に収容される。
次に、上記実施形態の蓄電素子1の製造方法について説明する。
蓄電素子1の製造方法では、まず、金属箔(集電箔)に活物質を含む合剤を塗布し、活物質層を形成し、電極(正極及び負極)を作製する。次に、正極、セパレータ、及び負極を重ね合わせて電極体2を形成する。続いて、電極体2をケース3に入れ、ケース3に電解液を入れることによって蓄電素子1を組み立てる。
電極(正極)の作製では、金属箔の両面に、活物質とバインダと溶媒とを含む合剤をそれぞれ塗布することによって正極活物質層を形成する。正極活物質層を形成するための塗布方法としては、一般的な方法が採用される。合剤を塗布した後に、加温等を行うことによって、合剤に含まれている溶媒を揮発させることができる。さらに、正極活物質層を所定の圧力でロールプレスする。なお、同様にして、負極を作製することができる。
電極体2の形成では、正極と負極との間にセパレータを挟み込んだ積層体22を巻回することにより、電極体2を形成する。詳しくは、正極活物質層と負極活物質層とがセパレータを介して互いに向き合うように、正極とセパレータと負極とを重ね合わせ、積層体22を作る。積層体22を巻回して、電極体2を形成する。
蓄電素子1の組み立てでは、ケース3のケース本体31に電極体2を入れ、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぎ、電解液をケース3内に注入する。ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐときには、ケース本体31の内部に電極体2を入れ、正極と一方の外部端子7とを導通させ、且つ、負極と他方の外部端子7とを導通させた状態で、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐ。電解液をケース3内へ注入するときには、ケース3の注入孔から注入する。
上記のように構成された本実施形態の蓄電素子1は、アルミニウムを含有する集電体を有する負極と、フッ素を含有する電解質塩と添加剤とを含有する電解液と、を含み、添加剤は、フッ酸を捕捉する化合物を含む。
斯かる構成によれば、蓄電素子1中に存在する水分と、電解質塩に含有されるフッ素とが反応することにより生成されるフッ酸(HF)を、フッ酸を捕捉する化合物で捕捉することができる。蓄電素子が過放電状態で放置された状態、より詳しくは、0Vまで放電された後に放置されても、アルミニウムを含有した集電体を用いているため、従来の銅を主成分とした集電体を用いた場合と異なり、集電体の溶解が抑制される。したがって、過放電状態で放置された蓄電素子であっても、再度充電して使用することができる。しかしながら、過放電状態で放置された蓄電素子では、正極の電位が比較的低く維持されることから、正極で水分が酸化分解されることが起こりにくい。水分が酸化分解されない分、残留した水分が上記のごとく反応してフッ酸が生じやすい。
フッ酸は、腐食性が高いことから、蓄電素子を構成する部材を劣化させ、蓄電素子の容量を低下させ得るものの、上記蓄電素子では、生成したフッ酸を、フッ酸を捕捉する化合物によって捕捉できると推定される。従って、過放電状態で放置されたあとに容量が低下することが抑制された蓄電素子を提供できる。
また、本実施形態の蓄電素子1は、活物質として非晶質炭素を含有する負極を備える。非晶質炭素は、水分を吸着しやすい。これにより、活物質として非晶質炭素を用いていると、吸着した水分とフッ素を含む電解質塩とが反応して、フッ酸がより多く生じやすい。しかしながら、電解液がフッ酸を捕捉する化合物を含有することから、非晶質炭素に吸着した水分によって生じたフッ酸も、該化合物によって捕捉できると推定される。
また、本実施形態の蓄電素子1は、アルミニウムを含有する金属箔を有する負極を備える。蓄電素子1を0Vまで放電したとしても、負極の金属箔がアルミニウムを含有することから、金属箔からアルミニウムが溶出しにくい。そのため、0Vまで放電した後でも、充放電を行うことができ、容量の低下が抑制される。また、フッ酸を捕捉する化合物は、電解液中に含有されることから、電解液を含浸した蓄電素子1の各部材で発生したフッ酸を、蓄電素子1の様々な箇所で捕捉することができると推定される。
上記の蓄電素子1では、フッ酸を捕捉する化合物は、一般式(1)で示される化合物であってもよい。
Figure 0006880496
[一般式(1)において、Gは、遷移金属、周期律表の13族、14族、又は15族元素を表し、Aa+は、金属イオン、プロトン、又はオニウムイオンを表し、aは、1〜3を表し、bは1〜3を表し、pはb/aを表し、mは1〜4を表し、nは0〜8を表し、qは0又は1を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらのアルキレン基及びアリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、Rは、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、又はE(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、E、E、Eは、それぞれ独立してO、S、又はNRを表し、R、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基を表す(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)。]
フッ酸を捕捉する化合物を一般式(1)で示される化合物とすることにより、蓄電素子1内で生成されるフッ酸をより十分に捕捉することができると推定される。
上記の蓄電素子1では、負極は負極活物質層を含み、該負極活物質層は水系バインダを含有していてもよい。
負極のバインダとして水系バインダを用いた場合、上記のごとく、活物質粒子と、バインダと、溶媒とを含む合剤(以下、負極合剤ともいう)を調製する際に、主たる溶媒として水を用いるため、電極形成過程において電極内に水が残留し易くなる。これにより、電池内部に水分が残留し易くなって、電池内部においてフッ酸が発生し易くなる。しかしながら、このような蓄電素子1であっても、電解液は、フッ酸を捕捉する化合物を含むことから、該化合物により、フッ酸を捕捉することができると推定される。従って、水分を比較的多く含んでいても、容量が低下することがより抑制された蓄電素子1を提供できる。
上記の蓄電素子1は、正極と、正極と負極との間に配置され且つ無機粒子を含有する無機多孔層を備えてもよい。無機多孔層は、通常、水を溶媒として含む組成物から作製される。また、無機多孔層は、無機粒子の間の空隙によって多孔質に形成されているため、比表面積が比較的大きいことから、水を比較的吸着し易い。従って、無機粒子を含有する無機多孔層を有する蓄電素子1は、内部に比較的多くの水分を含み、生成されるフッ酸も比較的多い。このような蓄電素子1であっても、電解液は、フッ酸を捕捉する化合物を含むことから、該化合物により、フッ酸を捕捉することができると推定される。従って、水分を比較的多く含んでいても、容量が低下することがより抑制された蓄電素子1を提供できる。
上記の蓄電素子1では、一般式(1)で表される化合物は、電解液に0.10質量%以上2.50質量%以下含有されてもよい。フッ酸を捕捉する化合物として、LiFOPを用いた場合、電解液中の含有量が0.10質量%以上であれば、フッ酸を十分に捕捉することができると推定されるので、蓄電素子1の耐久性の低下を抑制することができる。電解液中の含有量が2.50質量%以下であれば、LiFOPが分解されるときに多量のガスが発生することを抑制できるので、正極と負極との間で対向不良が生じて、蓄電素子1の出力が低下することを抑制できる。
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記の実施形態では、セパレータ基材のみで構成されたセパレータについて詳しく説明したが、本発明では、セパレータが、セパレータ基材と、該セパレータ基材内部の空隙に入り込んだ上記の無機粒子とを含んでいてもよい。無機粒子を内部に含むこのようなセパレータは、無機粒子を含むことによって比表面積が増えている分、水分を吸着しやすい。
上記の実施形態では、活物質を含む活物質層が金属箔に直接接した正極について詳しく説明したが、本発明では、正極が、バインダと導電助剤とを含む導電層であって活物質層と金属箔との間に配置された導電層を有してもよい。
上記実施形態では、活物質層が各電極の金属箔の両面側にそれぞれ配置された電極について説明したが、本発明の蓄電素子では、正極又は負極は、活物質層を金属箔の片面側にのみ備えてもよい。
上記実施形態では、積層体22が巻回されてなる電極体2を備えた蓄電素子1について詳しく説明したが、本発明の蓄電素子は、巻回されない積層体22を備えてもよい。詳しくは、それぞれ矩形状に形成された正極、セパレータ、負極、及びセパレータが、この順序で複数回積み重ねられてなる電極体を蓄電素子が備えてもよい。
上記実施形態では、蓄電素子1が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子1の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態では、蓄電素子1の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、一次電池や、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
蓄電素子1(例えば電池)は、蓄電装置(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)に用いられてもよい。蓄電装置は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材などの導電部材と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子に適用されていればよい。
以下に示すようにして、非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を製造した。
(実施例1)
(1)正極の作製
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、導電助剤(アセチレンブラック)と、バインダ(PVdF)と、活物質粒子(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)とを混合し、混練することで、正極用の合剤を調製した。導電助剤、バインダ、活物質粒子の配合量を、それぞれ4.5質量%、3.0質量%、92.5質量%とした。調製した合剤を、アルミニウム箔(厚さ15μm)の両面に、乾燥後の塗布量(目付量 1層分)が8.47mg/cmとなるようにそれぞれ塗布した。乾燥後、所定の圧力でロールプレスを行った。その後、真空乾燥して、水分等を除去した。活物質層(1層分)の厚さは、32μmであった。活物質層の密度は、2.77g/cmであった。
(2)負極の作製
活物質粒子としては、非晶質炭素(難黒鉛化炭素)の粒子を用いた。バインダとしては、スチレンブタジエンゴム(SBR)を用いた。負極用の合剤は、溶媒としての水と、バインダと、増粘剤としてのカルボキシメチルセルロースNa塩(CMC)と、活物質粒子とを混合、混練することで調製した。CMCは、1.0質量%となるように配合し、バインダは、3.0質量%となるように配合し、活物質粒子は、96.0質量%となるように配合した。調製した負極用の合剤を、乾燥後の塗布量(目付量 1層分)が9.0mg/cmとなるように、アルミニウム箔(厚さ15μm)の両面にそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行い、真空乾燥して、水分等を除去した。活物質層(1層分)の厚さは、83μmであった。活物質層の密度は、1.088g/cmであった。
(3)セパレータの作製
セパレータ基材としては、厚さが22μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。
(4)無機多孔層の作製
セパレータ基材の両面にそれぞれ無機多孔層を形成した。無機多孔層用の組成物は、溶剤としての水と、無機粒子と、バインダとを混合、混練することで調製した。無機粒子としては、Al粒子を用いた。バインダとしては、アクリルラテックスを用いた。調製した無機多孔層用の組成物をセパレータ基材の両面にそれぞれ塗布し、乾燥して、無機多孔層を作製した。
(5)電解液の調製
電解液としては、以下の方法で調製したものを用いた。非水溶媒として、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを、いずれも1容量部ずつ混合した溶媒を用い、この非水溶媒に、塩濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させ、電解液を調製した。また、フッ酸を捕捉する化合物として、リチウムジフルオロビスオキサレートホスフェート(LiFOP)を、0.03mol/L濃度となるように電解液に添加した。
(6)ケース内への電極体の配置
上記の正極、上記の負極、上記の電解液、セパレータ、及びケースを用いて、一般的な方法によって電池を製造した。
まず、セパレータが上記の正極及び負極の間に配されて積層されてなるシート状物を巻回した。次に、巻回されてなる電極体を、ケースとしてのアルミニウム製の角形電槽缶のケース本体内に配置した。続いて、正極及び負極を2つの外部端子それぞれに電気的に接続させた。さらに、ケース本体に蓋板を取り付けた。上記の電解液を、ケースの蓋板に形成された注液口からケース内に注入した。最後に、ケースの注液口を封止することにより、ケースを密閉した。
(比較例1〜4)
負極の金属箔、負極活物質層のバインダ、電解液におけるLiFOPの濃度を表1に示すように変えた点以外は、実施例1と同様にして電池を製造した。なお、比較例4では、負極用の合剤の溶媒を水でなく有機溶媒に変え、CMCを合剤に配合しなかった。
Figure 0006880496
<過放電状態での電池の容量維持率の評価>
まず、実施例1及び各比較例の電池を、それぞれ、25℃において5Aの定電流で3.6Vまで充電し、さらに3.6Vの定電圧で3時間充電した後、5Aの定電流で、終止電圧を2.4Vとする条件で放電することにより電池容量(初期電池容量)を測定した。
次に、充電された各例の電池を25℃で0Vまで放電した。放電後の各例の電池を65℃で15時間放置(過放電)した後、25℃において5Aの定電流で3.6Vまで充電し、さらに3.6Vの定電圧で3時間充電した後、5Aの定電流で、終止電圧を2.4Vとする条件で放電することにより、電池容量(過放電後の電池容量)をそれぞれ測定した。
初期電池容量に対する、過放電後の電池容量の比を算出することによって、65℃で15時間放置した後の各例の電池の容量維持率をそれぞれ算出した。その結果を表1に示した。
<水分量>
電池を組み立てる前の実施例1の負極、及び、比較例4の負極をそれぞれ用意した。実施例1の負極、及び、比較例4の負極の各水分濃度を測定した。結果を表2に示す。負極の水分濃度は、微量水分測定装置(型式:AQ−2100、平沼産業株式会社製)を用いて、滴定法によって求めた。
別途、電池を組み立てる前のセパレータ基材を用意した。また、電池を組み立てる前の実施例1のセパレータ基材と無機多孔層との積層体を用意した、セパレータ基材と、積層体とについて、それぞれ水分濃度を測定した。結果を表3に示す。水分濃度は、上記と同様に、微量水分測定装置(型式:AQ−2100、平沼産業株式会社製)を用いて、滴定法によって求めた。
Figure 0006880496
Figure 0006880496
表2より、SBRとCMCとを用いて作製した負極は、PVdFを用いて作製した負極に比べて、水分濃度が高くなることが分かった。これは、CMCが水分を吸収し易い性質を有することによるものだと考えられる。
また、表3より、無機多孔層があることにより、水分濃度が高くなることが分かった。これは、Alの粒子間の空隙によって比表面積が比較的大きくなっている無機多孔層が、水分を吸着し易い性質を有していることによるものだと考えられる。
上記により、CMCを用いて作製した負極、及び、無機多孔層のうち少なくとも一方を備える電池においては、電池内の水分量が多くなることが分かる。すなわち、上記の実施例1及び比較例1〜4の電池は、いずれも、電池内の水分量が比較的多いため、過放電状態においてフッ酸が生成し易く、フッ酸による容量維持率の低下の影響を受けやすいものである。
比較例1及び3の電池では、LiFOPの添加の有無によらず、0V放置後の容量維持率が大きく低下することが分かった。これは、0V放置により、銅箔から銅が溶出したことによるものだと考えられる。
また、実施例1、並びに比較例2及び4の電池は、比較例1及び3の電池に比べて、0V放置後の容量維持率が大きく向上することが分かった。これは、0V放置しても、アルミニウム箔からアルミニウムが溶出しないことによるものだと考えられる。
さらに、比較例4の電池は、比較例2の電池と比べて容量維持率がやや向上することが分かった。これは、バインダをPVdFとすることにより、電池内の水分量が少なくなったことによるものだと考えられる。
また、実施例1の電池は、容量維持率が100%になり、容量の低下が認められないことが分かった。これは、フッ酸が生じやすい状況であっても、電解液にLiFOPを添加しているため、該LiFOPにより電池内で発生したフッ酸を捕捉できたことによるものだと考えられる。
1:蓄電素子(非水電解質二次電池)、
2:電極体、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋板、
5:集電部材、
6:絶縁カバー、
7:外部端子。

Claims (4)

  1. 正極と、アルミニウムを含有する集電体を有する負極と、フッ素を含有する電解質塩と添加剤とを含有する電解液と、前記正極と前記負極との間に配置され且つ無機粒子を含有する無機多孔層と、を含み、
    前記負極は、非晶質炭素を活物質として含み、
    前記添加剤は、フッ酸を捕捉する一般式(1)で示される化合物を含む、蓄電素子。
    Figure 0006880496
    [一般式(1)において、Gは、遷移金属、周期律表の13族、14族、又は15族元素を表し、Aa+は、金属イオン、プロトン、又はオニウムイオンを表し、aは、1〜3を表し、bは1〜3を表し、pはb/aを表し、mは1〜4を表し、nは0〜8を表し、qは0又は1を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらのアルキレン基及びアリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、Rは、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、又はE(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、E、E、Eは、それぞれ独立してO、S、又はNRを表し、R、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基を表す(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)。]
  2. 前記負極は負極活物質層を含み、該負極活物質層は水系バインダを含有する、請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 正極と、アルミニウムを含有する集電体を有する負極と、フッ素を含有する電解質塩と添加剤とを含有する電解液と、前記正極と前記負極との間に配置され且つ無機粒子を含有する無機多孔層と、を含み、
    前記負極は、非晶質炭素を活物質として含み、
    前記添加剤として、一般式(1)で示される化合物を含む、蓄電素子。
    Figure 0006880496
    [一般式(1)において、Gは、遷移金属、周期律表の13族、14族、又は15族元素を表し、Aa+は、金属イオン、プロトン、又はオニウムイオンを表し、aは、1〜3を表し、bは1〜3を表し、pはb/aを表し、mは1〜4を表し、nは0〜8を表し、qは0又は1を表し、Rは、炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキレン基、炭素数6〜20のアリーレン基、又は炭素数6〜20のハロゲン化アリーレン基(これらのアルキレン基及びアリーレン基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、Rは、ハロゲン、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基、又はE(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)を表し、E、E、Eは、それぞれ独立してO、S、又はNRを表し、R、Rは、それぞれ独立して水素、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10のハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数6〜20のハロゲン化アリール基を表す(これらのアルキル基及びアリール基はその構造中に置換基、ヘテロ原子を持っていてもよい。)。]
  4. 前記一般式(1)で示される化合物は、下記一般式(1a)で示される化合物である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
    Figure 0006880496
    [一般式(1a)において、Gは、リン元素又はホウ素元素を表し、Aは、アルカリ金属イオンを表し、mは1〜3のいずれかの整数を表し、nは0〜4を表し、Rは、ハロゲンを表す。]
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