JP6770713B2 - 蓄電素子 - Google Patents
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Description
A={(af−bf1)/秤量した量[g]}−アルカリ度(または+酸度)
エーテル化度=(162×A)/(10,000−80×A)
A:CMC1g中の結合アルカリに消費された0.05mol/L硫酸のmL
a:0.05mol/L硫酸の使用mL
f:0.05mol/L硫酸の力価
b:0.1mol/L水酸化カリウムの滴定mL
f1:0.1mol/L水酸化カリウムの力価
上記の蓄電素子1の製造方法において、負極活物質層122を作製するための合剤組成物にカルボキシメチルセルロースを配合し、合剤組成物を撹拌することによって合剤組成物を調製する。調製した合剤組成物は、溶解したカルボキシメチルセルロースだけでなく、未溶解せずに残った塊状の状態のカルボキシメチルセルロースを含む。合剤組成物を金属箔121に塗布し、塗布後の合剤組成物を加熱すること等によって、合剤組成物から溶媒(水)を揮発させる。溶媒(水)が揮発するときに、上述した未溶解の塊状のカルボキシメチルセルロース(CMCの不溶物a)は、収縮する。この収縮により、負極活物質層122において、塊状のカルボキシメチルセルロースよりも表面側の部分が、金属箔121の方へ引き込まれる。これにより、負極活物質層122の表面部に孔hを形成させることができる。従って、物理的に孔hをあけなくても、負極活物質層122の表面部に孔hを形成させることができる。
上述したように、上記の蓄電素子1の製造方法において、負極活物質層122を作製するための合剤組成物にカルボキシメチルセルロースを配合することによって、物理的に孔hをあけなくても、負極活物質層122の表面部に孔hを形成させることができる。エーテル化度が0.6以下であることにより、上記の合剤組成物において、未溶解の塊状のカルボキシメチルセルロースの割合が増える。従って、より確実に孔hを形成させることができる。
(1)正極の作製
有機溶媒としてのN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、導電助剤(アセチレンブラック)と、バインダ(PVdF)と、活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3O2)の一次粒子が互いに凝結した凝結粒子とを、混合し、混練することで、正極用の合剤組成物を調製した。導電助剤、バインダ、活物質の配合量は、それぞれ4.5質量%、4.5質量%、91質量%とした。調製した正極用の合剤組成物を、アルミニウム箔(厚さ15μm)の両面に、乾燥後の塗布量(目付量)が8.61mg/cm2となるようにそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行った。その後、真空乾燥して、水分等を除去した。活物質層(1層分)の厚さは、32μmであった。活物質層の密度は、2.69g/cm3であった。
活物質としては、粒子状の非晶質炭素(難黒鉛化炭素)を用いた。バインダとしては、スチレンブタジエンゴムを用いた。カルボキシメチルセルロース(CMC)としては、エーテル化度が0.6のカルボキシメチルセルロースNa塩(ニチリン化学社製 製品名「DN400H」)を用いた。負極用の合剤組成物は、溶剤として水と、バインダと、CMCと、活物質とを混合、混練することで調製した。CMCは、1.0質量%となるように配合し、バインダは、2.0質量%となるように配合し、活物質は、97.0質量%となるように配合した。調製した負極用の合剤組成物を、乾燥後の塗布量(目付量)が3.8mg/cm2となるように、銅箔(厚さ10μm)の両面にそれぞれ塗布した。乾燥後、真空乾燥して、水分等を除去した。活物質層(1層分)の厚さは、39μmであった。活物質層の密度は、0.974g/cm3であった。なお、活物質層の密度は、負極を所定の大きさに切りだし、質量と厚さとを測定した後、活物質層を金属箔から剥離し、金属箔の質量及び厚さを測定し、負極の質量及び厚さから金属箔の質量及び厚さをそれぞれ差し引くことによって測定した。
作製した負極をエネルギー分散型X線分析(EDX)によって分析したところ、負極活物質層の表面部に形成された孔の底部を形成する部分には、塊状のCMCが存在した。また、単位面積あたりの孔の数は、100個/100cm2であった。活物質の平均一次粒子径は、4.0μmであった。
セパレータとして厚さが22μmのポリエチレン製微多孔膜の片面上に4μmの厚さの無機層を形成したものを用いた。無機層は、95質量%のアルミナ粒子と、5質量%のポリフッ化ビニリデンと、を含むように形成した。セパレータの透気抵抗度は、100秒/100ccであった。
セパレータの空隙率は、装置としてWIN9400(Micometrics社製)を用いて、水銀圧入法によって測定した。一方(無機層が形成された側)の表面部の空隙率は、55%であり、他方の表面部の空隙率は、45%であった。
電解液としては、以下の方法で調製したものを用いた。非水溶媒として、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを、いずれも1容量部ずつ混合した溶媒を用い、この非水溶媒に、塩濃度が1mol/LとなるようにLiPF6を溶解させ、電解液を調製した。
上記の正極、上記の負極、上記の電解液、セパレータ、及びケースを用いて、一般的な方法によって電池を製造した。
まず、セパレータが上記の正極および負極の間に配されて積層されてなるシート状物を巻回した。このとき、セパレータ基材に相当するポリエチレン製微多孔膜が負極活物質層に接触し、無機層が正極活物質層に接触するように巻回した。次に、巻回されてなる電極体を、ケースとしてのアルミニウム製の角形電槽缶のケース本体内に配置した。続いて、正極及び負極を2つの外部端子それぞれに電気的に接続させた。さらに、ケース本体に蓋板を取り付けた。上記の電解液を、ケースの蓋板に形成された注液口からケース内に注入した。最後に、ケースの注液口を封止することにより、ケースを密閉した。
カルボキシメチルセルロースのエーテル化度を0.8としたこと以外は、試験例1と同様にして電池を製造した。この電池では、負極活物質層の表面部に孔が観察されなかった。
25℃、4Aにて、上限4.1V、下限2.4Vで各試験例の電池を放電させることにより、電流容量1C(A)を定めた。つぎに、放電状態から25℃、0.5C(A)にて、各電池を1.1時間充電することにより、SOC55%とした各電池を調製した。調製した各電池を、25℃、20Cで連続的に放電させ、放電開始から10秒後の電圧値及び電流値を測定した。10秒後の電圧値及び電流値を乗ずることにより、各電池の出力値を算出した。
試験例1で製造した電池の出力値は、試験例2で製造した電池の出力値と比較して、107%の値を示した。つまり、負極活物質層の表面部に孔を形成させた電池の出力性能は、負極活物質層の表面部に孔を形成させなかった電池の出力性能よりも、向上されていた。
2:電極体、
26:非被覆積層部、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋板、
4:セパレータ、 41:セパレータ基材、 42:無機層、
5:集電体、 50:クリップ部材、
6:絶縁カバー、
7:外部端子、 71:面、
8:無機多孔層、
11:正極、
111:正極の金属箔(正極基材)、 112:正極活物質層、
12:負極、
121:負極の金属箔(負極基材)、 122:負極活物質層、
91:バスバ部材、
100:蓄電装置。
Claims (5)
- 正極と負極と電解液とを含み、
前記正極及び前記負極は、活物質粒子を含有する活物質層をそれぞれ有し、
前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方の活物質層の表面部に、活物質粒子の平均一次粒子径よりも大きい開口径の孔が形成され、
前記正極及び前記負極の間に配置されたシート状のセパレータをさらに含み、
前記セパレータの空隙率は、一方の表面部において、他方の表面部よりも高く、
前記正極又は前記負極のいずれか一方の活物質層における単位面積あたりの前記孔の数は、他方の活物質層における単位面積あたりの前記孔の数よりも少なく、且つ、
前記セパレータは、該セパレータの空隙率の高い方の面が、単位面積あたりの前記孔の数が少ない活物質層と対向するように、配置されている、蓄電素子。 - 正極と負極と電解液とを含み、
前記正極及び前記負極は、活物質粒子を含有する活物質層をそれぞれ有し、
前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方の活物質層の表面部に、活物質粒子の平均一次粒子径よりも大きい開口径の孔が形成され、
前記孔が形成されている活物質層の表面に重なり且つ無機フィラーを含有する無機多孔層をさらに含み、
前記無機多孔層の無機フィラーの一部は、前記無機多孔層に重なる前記活物質層の前記孔に入っている、蓄電素子。 - 正極と負極と電解液とを含み、
前記正極及び前記負極は、活物質粒子を含有する活物質層をそれぞれ有し、
前記正極及び前記負極の少なくともいずれか一方の活物質層の表面部に、活物質粒子の平均一次粒子径よりも大きい開口径の孔が形成され、
前記正極及び前記負極の間に配置されたシート状のセパレータをさらに含み、
前記セパレータは、セパレータ基材と、該セパレータ基材の一方の面上に形成され且つ無機粒子を含む無機層と、を有し、
前記セパレータの空隙率は、前記無機層において、前記セパレータ基材よりも高く、
前記正極又は前記負極のいずれか一方の活物質層における単位面積あたりの前記孔の数は、他方の活物質層における単位面積あたりの前記孔の数よりも少なく、且つ、
前記セパレータは、前記セパレータ基材が、単位面積あたりの前記孔の数がより多い前記活物質層と対向するように、配置されている、蓄電素子。 - 前記活物質層は、カルボキシメチルセルロースを含有し、
前記活物質層のカルボキシメチルセルロースの濃度は、前記孔の底部を形成する部分にて、該部分以外よりも、高い、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電素子。 - 前記活物質層は、カルボキシメチルセルロースを含有し、
前記カルボキシメチルセルロースのエーテル化度は、0.6以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
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