JP2016186886A - 蓄電素子 - Google Patents

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怜志 和泉
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保宏 十河
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Abstract

【課題】長期間放置された後でも出力が低下することを抑制された蓄電素子の提供。【解決手段】活物質層を有する負極を備え、活物質層は、粒子状の難黒鉛化炭素を活物質として含み、活物質層には、難黒鉛化炭素の間に空孔が形成され、難黒鉛化炭素の平均粒径D50は、2〜10μmであり、平均粒径D50をxμmとし、活物質層の空孔率をy%としたときに、x及びyは、y≦0.77x+33.23の関係式を満たす、蓄電素子。【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池などの蓄電素子に関する。
従来、鉄リン酸リチウムを活物質として含む正極と、易黒鉛化炭素を活物質として含む負極とを備える非水電解質二次電池が知られている。
この種の非水電解質二次電池としては、負極が、活物質を含む層を有し、斯かる層の空隙率が25体積%以上50%以下である電池が提案されている(例えば、特許文献1)。
ところが、特許文献1に記載の電池では、長期間放置された後に出力が低下する場合がある。
特開2010−218937号公報
本発明は、長期間放置された後に出力が低下することが抑制された蓄電素子を提供することを課題とする。
本発明の蓄電素子は、活物質層を有する負極を備え、
活物質層は、粒子状の難黒鉛化炭素を活物質として含み、
活物質層には、難黒鉛化炭素の間に空孔が形成され、
難黒鉛化炭素の平均粒径D50は、2μm以上10μm以下であり、
平均粒径D50をxμmとし、活物質層の空孔率をy%としたときに、
x及びyは、y≦0.77x+33.23 の関係式(1)を満たす。斯かる構成の蓄電素子によれば、長期間放置された後に出力が低下することを抑制できる。
上記の蓄電素子では、負極は、活物質層の一方の面に重ねられた負極基材をさらに有し、負極基材と活物質層との剥離強度は、200gf以上であってもよい。これにより、長期間放置された後であっても、負極基材から活物質層が剥がれにくい。従って、長期間放置された後に出力が低下することをより確実に抑制できる。
上記の蓄電素子は、活物質層を有する正極をさらに備え、正極の活物質層は、粒子状のリチウム金属複合酸化物を活物質として含み、リチウム金属複合酸化物は、LiNiMnCoの化学組成で表される(ただし、0<p≦1.3であり、q+r+s=1であり、0≦q≦1であり、0≦r≦1であり、0≦s≦1であり、1.7≦t≦2.3である)ものであってもよい。これにより、長期間放置された後に出力が低下することをより確実に抑制できる。
上記の蓄電素子では、関係式(1)は、0.77x+28.23≦y≦0.77x+33.23 の関係式(2)であってもよい。斯かる構成により、長期間放置された後に出力が低下することをより確実に抑制できる。
上記の蓄電素子では、負極の活物質層は、バインダをさらに含み、負極の活物質とバインダとの合計質量に対して、バインダの比率は、5質量%以上10質量%以下であってもよい。
本発明によれば、長期間放置された後に出力が低下することを抑制できる。
図1は、本実施形態に係る蓄電素子の斜視図である。 図2は、同実施形態に係る蓄電素子の正面図である。 図3は、図1のIII−III線位置の断面図である。 図4は、図1のIV−IV線位置の断面図である。 図5は、同実施形態に係る蓄電素子の一部を組み立てた状態の斜視図であって、注液栓、電極体、集電体、及び外部端子を蓋板に組み付けた状態の斜視図である。 図6は、同実施形態に係る蓄電素子の電極体の構成を説明するための図である。 図7は、重ね合わされた正極、負極、及びセパレータの断面図(図6のVII−VII断面)である。 図8は、同実施形態に係る蓄電素子を含む蓄電装置の斜視図である。 図9は、各試験例の電池の出力維持率を表すグラフである。 図10は、関係式(1)を表すためのグラフである。
以下、本発明に係る蓄電素子の一実施形態について、図1〜図7を参照しつつ説明する。蓄電素子には、二次電池、キャパシタ等がある。本実施形態では、蓄電素子の一例として、充放電可能な二次電池について説明する。尚、本実施形態の各構成部材(各構成要素)の名称は、本実施形態におけるものであり、背景技術における各構成部材(各構成要素)の名称と異なる場合がある。
本実施形態の蓄電素子1は、非水電解質二次電池である。より詳しくは、蓄電素子1は、リチウムイオンの移動に伴って生じる電子移動を利用したリチウムイオン二次電池である。この種の蓄電素子1は、電気エネルギーを供給する。蓄電素子1は、単一又は複数で使用される。具体的に、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧が小さいときには、単一で使用される。一方、蓄電素子1は、要求される出力及び要求される電圧の少なくとも一方が大きいときには、他の蓄電素子1と組み合わされて蓄電装置100に用いられる。前記蓄電装置100では、該蓄電装置100に用いられる蓄電素子1が電気エネルギーを供給する。
蓄電素子1は、図1〜図7に示すように、正極11と負極12とを含む電極体2と、電極体2を収容するケース3と、ケース3の外側に配置される外部端子7であって電極体2と導通する外部端子7と、を備える。また、蓄電素子1は、電極体2、ケース3、及び外部端子7の他に、電極体2と外部端子7とを導通させる集電体5等を有する。
電極体2は、正極11と負極12とがセパレータ4によって互いに絶縁された状態で積層された積層体22が巻回されることによって形成される。
正極11は、金属箔111(正極基材)と、金属箔111の表面を覆うように配置され且つ活物質を含む活物質層112と、を有する。本実施形態では、活物質層112は、金属箔111の両面にそれぞれ重ねられる。なお、正極11の厚みは、通常、40μm以上150μm以下である。
金属箔111は帯状である。本実施形態の正極11の金属箔111は、例えば、アルミニウム箔である。正極11は、帯形状の短手方向である幅方向の一方の端縁部に、正極活物質層112が形成されず金属箔111が露出した露出部105を有する。
正極活物質層112は、活物質と、バインダと、を含む。詳しくは、正極活物質層112は、活物質を85質量%以上95質量%以下含み、バインダを2質量%以上8質量%以下含む。正極活物質層112の厚みは、通常、10μm以上50μm以下である。正極活物質層112の目付量は、通常、5mg/cm 以上10mg/cm 以下である。
正極11の活物質は、リチウムイオンを吸蔵放出可能な化合物である。正極11の活物質は、粒子状である。
正極11の活物質の平均粒径D50は、通常、3μm以上8μm以下である。平均粒径D50は、2μm以上10μm以下であってもよい。
正極11の活物質は、例えば、リチウム金属酸化物である。具体的に、正極の活物質は、例えば、LiMeO(Meは、1又は2以上の遷移金属を表す)によって表される複合酸化物(LiCo、LiNi、LiMn、LiNiCoMn等)、又は、LiMe(XO(Meは、1又は2以上の遷移金属を表し、Xは例えばP、Si、B、Vを表す)によって表されるポリアニオン化合物(LiFePO、LiMnPO、LiMnSiO、LiCoPOF等)である。
本実施形態では、正極11の活物質は、LiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物(ただし、0<p≦1.3であり、q+r+s=1であり、0≦q≦1であり、0≦r≦1であり、0≦s≦1であり、1.7≦t≦2.3である)である。なお、0<q<1であり、0<r<1であり、0<s<1であってもよい。
上記のごときLiNiMnCoの化学組成で表されるリチウム金属複合酸化物は、例えば、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi1/6Co1/6Mn2/3、LiCoO などである。
正極活物質層112に用いられるバインダは、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エチレンとビニルアルコールとの共重合体、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、スチレンブタジエンゴム(SBR)である。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
正極活物質層112は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。本実施形態の正極活物質層112は、導電助剤としてアセチレンブラックを有する。
負極12は、金属箔121(負極基材)と、金属箔121の表面を覆うように配置され且つ活物質を含む負極活物質層122と、を有する。本実施形態では、負極活物質層122は、金属箔121の両面にそれぞれ重ねられる。金属箔121は帯状である。本実施形態の負極の金属箔121は、例えば、銅箔である。負極12は、帯形状の短手方向である幅方向の一方の端縁部に、負極活物質層122が形成されず金属箔121が露出した露出部105を有する。なお、負極12の厚みは、通常、40μm以上150μm以下である。
負極活物質層122は、活物質と、バインダと、を含む。負極活物質層122は、セパレータ4を介して正極11と向き合うように配置される。負極活物質層122の厚みは、通常、10μm以上50μm以下である。
負極活物質層122では、バインダの比率は、負極の活物質とバインダとの合計質量に対して、5質量%以上10質量%以下であってもよい。
負極12の活物質は、負極12において充電反応及び放電反応の電極反応に寄与し得るものである。負極12の活物質は、粒子状である。本実施形態の負極の活物質は、難黒鉛化炭素である。
負極12の活物質の平均粒径D50は、2μm以上10μm以下である。平均粒径D50は、4μm以上10μm以下であってもよい。
上記の平均粒径D50は、粒径の粒度分布において小径側から体積累積分布を描き、体積累積頻度が50%となる平均粒径(メディアン径とも呼ばれる)である。平均粒径D50は、レーザ回折・散乱式の粒度分布測定装置を用いた測定によって求める。測定条件については、実施例において詳しく説明する。なお、いったん製造した電池の活物質の平均粒径D50を測定する場合、例えば、電池を放電した後、該電池を乾燥雰囲気下で解体する。次に、活物質層を取り出してジメチルカーボネートで洗浄して砕いた後、2時間以上真空乾燥する。その後、粒度分布測定装置を用いて測定することができる。
負極活物質層122には、空孔が形成されている。空孔は、粒子状の難黒鉛化炭素の間の空隙である。負極活物質層122の空孔率は、通常、25%以上45%以下である。空孔率は、30%以上40%以下であってもよい。空孔率は、例えば、負極活物質層122を作製するときのプレス圧を小さくすることによって大きくすることができる。一方、空孔率は、例えば、負極活物質層122を作製するときのプレス圧を大きくすることによって小さくすることができる。
空孔率は、水銀圧入法によって測定する。いったん製造した電池の負極活物質層122における空孔率を測定する場合、例えば、負極電位が1.0V以上になるように電池を放電した後、該電池を乾燥雰囲気下で解体する。次に、負極12をジメチルカーボネートで洗浄した後、2時間以上真空乾燥する。その後、水銀圧入法による測定を実施して空孔率を求めることができる。
負極活物質層122の目付量(1層分)は、通常、2.5mg/cm 以上5.0mg/cm 以下である。目付量は、4.0mg/cm 以上5.0mg/cm 以下であってもよい。目付量は、つぎのようにして求めることができる。すなわち、いったん製造した電池の負極活物質層122における空孔率を測定する場合、例えば、負極電位が1.0V以上になるように電池を放電した後、該電池を乾燥雰囲気下で解体する。次に、負極12をジメチルカーボネートで洗浄した後、2時間以上真空乾燥する。箔と合剤を剥離し、剥離前重量から箔重量を差し引きすることで目付量を求める。
負極では、難黒鉛化炭素の平均粒径D50をxμmとし、活物質層の空孔率をy%としたときに、x及びyは、 y≦0.77x+33.23 の関係式(1)を満たす。関係式(1)は、実施例に記載した方法によって導き出す。関係式(1)は、 0.77x+28.23≦y≦0.77x+33.23 の関係式(2)であってもよい。
負極活物質層122に用いられるバインダは、正極活物質層112に用いられたバインダと同様のものである。本実施形態のバインダは、ポリフッ化ビニリデンである。
負極活物質層122は、ケッチェンブラック(登録商標)、アセチレンブラック、黒鉛等の導電助剤をさらに有してもよい。
負極12では、金属箔121と負極活物質層122との剥離強度は、200gf以上である。斯かる剥離強度は、通常、600gf以下である。斯かる剥離強度は、250gf以上500gf以下であってもよい。剥離強度は、負極活物質層122に含まれるバインダの量を増やすこと、又は、プレス圧を高くすることによって大きくすることができる。
剥離強度は、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に従い、剥離角度180°、25℃の条件によって測定する。測定方法の詳細については、実施例にて説明する。
セパレータ4は、絶縁性を有する部材である。セパレータ4は、帯状である。セパレータ4は、正極11と負極12との間に配置される。これにより、電極体2(詳しくは、積層体22)において、正極11と負極12とが互いに絶縁される。また、セパレータ4は、ケース3内において、電解液を保持する。これにより、蓄電素子1の充放電時において、リチウムイオンが、セパレータ4を挟んで交互に積層される正極11と負極12との間を移動する。
セパレータ4は、例えば、織物、不織布、又は多孔膜によって多孔質に構成される。セパレータ4の材質としては、高分子化合物、ガラス、セラミックなどが挙げられる。高分子化合物としては、例えば、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)などのポリオレフィン(PO)、又は、セルロースが挙げられる。
セパレータ4の幅(帯形状の短手方向の寸法)は、負極活物質層122の幅より僅かに大きい。セパレータ4は、正極活物質層112及び負極活物質層122が重なるように幅方向に位置ずれした状態で重ね合わされた正極11と負極12との間に配置される。
本実施形態の電極体2では、以上のように構成される正極11と負極12とがセパレータ4によって絶縁された状態で巻回される。即ち、本実施形態の電極体2では、正極11、負極12、及びセパレータ4の積層体22が巻回される。
正極11と負極12とが積層された状態で、図6に示すように、正極11の露出部105と負極12の露出部105とは重なっていない。即ち、正極11の露出部105が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向に突出し、且つ、負極12の露出部105が、正極11と負極12との重なる領域から幅方向(正極11の露出部105の突出方向と反対の方向)に突出する。積層された状態の正極11、負極12、及びセパレータ4、即ち、積層体22が巻回されることによって、電極体2が形成される。正極11の露出部105又は負極12の露出部105のみが積層された部位によって、電極体2における露出積層部26が構成される。
露出積層部26は、電極体2における集電体5と導通される部位である。露出積層部26は、巻回された正極11、負極12、及びセパレータ4の巻回中心方向視において、中空部27(図6参照)を挟んで二つの部位(二分された露出積層部)261に区分けされる。
以上のように構成される露出積層部26は、電極体2の各極に設けられる。即ち、正極11の露出部105のみが積層された露出積層部26が電極体2における正極11の露出積層部を構成し、負極12の露出部105のみが積層された露出積層部26が電極体2における負極12の露出積層部を構成する。
ケース3は、開口を有するケース本体31と、ケース本体31の開口を塞ぐ(閉じる)蓋板32と、を有する。ケース3は、電極体2及び集電体5等と共に、電解液を内部空間に収容する。ケース3は、電解液に耐性を有する金属によって形成される。ケース3は、例えば、アルミニウム、又は、アルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料によって形成される。ケース3は、ステンレス鋼及びニッケル等の金属材料、又は、アルミニウムにナイロン等の樹脂を接着した複合材料等によって形成されてもよい。
電解液は、非水溶液系電解液である。電解液は、有機溶媒に電解質塩を溶解させることによって得られる。有機溶媒は、例えば、プロピレンカーボネート及びエチレンカーボネートなどの環状炭酸エステル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートなどの鎖状カーボネート類である。電解質塩は、LiClO、LiBF、及びLiPF等である。
電解液は、例えば、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、及びエチルメチルカーボネートを所定の容積割合で混合した混合溶媒に、0.5〜1.5mol/LのLiPFを溶解させたものである。なお、本実施形態の電解液は、エチレンカーボネートを含まない。
ケース3は、ケース本体31の開口周縁部と、長方形状の蓋板32の周縁部とを重ね合わせた状態で接合することによって形成される。また、ケース3は、ケース本体31と蓋板32とによって画定される内部空間を有する。本実施形態では、ケース本体31の開口周縁部と蓋板32の周縁部とは、溶接によって接合される。
以下では、図1に示すように、蓋板32の長辺方向をX軸方向とし、蓋板32の短辺方向をY軸方向とし、蓋板32の法線方向をZ軸方向とする。
ケース本体31は、開口方向(Z軸方向)における一方の端部が塞がれた角筒形状(即ち、有底角筒形状)を有する。
蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐ板状の部材である。具体的に、蓋板32は、ケース本体31の開口を塞ぐようにケース本体31に当接する。より具体的には、蓋板32が開口を塞ぐように、蓋板32の周縁部がケース本体31の開口周縁部に重ねられる。開口周縁部と蓋板32とが重ねられた状態で、蓋板32とケース本体31との境界部が溶接される。これにより、ケース3が構成される。
蓋板32は、Z軸方向視において、ケース本体31の開口周縁部に対応した輪郭形状を有する。即ち、蓋板32は、Z軸方向視において、X軸方向に長い矩形状の板材である。また、蓋板32の四隅は、円弧状である。
蓋板32は、ケース3内のガスを外部に排出可能なガス排出弁321を有する。ガス排出弁321は、ケース3の内部圧力が所定の圧力まで上昇したときに、該ケース3内から外部にガスを排出する。ガス排出弁321は、X軸方向における蓋板32の中央部に設けられる。
ケース3には、電解液を注入するための注液孔が設けられる。注液孔は、ケース3の内部と外部とを連通する。注液孔は、蓋板32に設けられる。
注液孔は、注液栓326によって密閉される(塞がれる)。注液栓326は、溶接によってケース3(本実施形態の例では蓋板32)に固定される。
外部端子7は、他の蓄電素子1の外部端子7又は外部機器等と電気的に接続される部位である。外部端子7は、導電性を有する部材によって形成される。例えば、外部端子7は、アルミニウム又はアルミニウム合金等のアルミニウム系金属材料、銅又は銅合金等の銅系金属材料等の溶接性の高い金属材料によって形成される。
外部端子7は、バスバ等が溶接可能な面71を有する。面71は、平面である。外部端子7は、蓋板32に沿って拡がる板状である。詳しくは、外部端子7は、Z軸方向視において矩形状の板状である。
集電体5は、ケース3内に配置され、電極体2と通電可能に直接又は間接に接続される。本実施形態の集電体5は、クリップ部材50を介して電極体2と通電可能に接続される。即ち、蓄電素子1は、電極体2と集電体5とを通電可能に接続するクリップ部材50を備える。
集電体5は、導電性を有する部材によって形成される。図3に示すように、集電体5は、ケース3の内面に沿って配置される。
集電体5は、蓄電素子1の正極11と負極12とにそれぞれ配置される。本実施形態の蓄電素子1では、ケース3内において、電極体2の正極11の露出積層部26と、負極12の露出積層部26とにそれぞれ配置される。
正極11の集電体5と負極12の集電体5とは、異なる材料によって形成される。具体的に、正極11の集電体5は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金によって形成され、負極12の集電体5は、例えば、銅又は銅合金によって形成される。
本実施形態の蓄電素子1では、電極体2とケース3とを絶縁する袋状の絶縁カバー6に収容された状態の電極体2(詳しくは、電極体2及び集電体5)がケース3内に収容される。
次に、上記実施形態の蓄電素子1の製造方法について説明する。
蓄電素子1の製造方法では、金属箔(電極基材)に活物質を含む合剤を塗布し、活物質層を形成し、電極(正極11及び負極12)を作製する。次に、正極11、セパレータ4、及び負極12を重ね合わせて電極体2を形成する。続いて、電極体2をケース3に入れ、ケース3に電解液を入れることによって蓄電素子1を組み立てる。
電極(正極11)の作製では、金属箔の両面に、活物質とバインダと溶媒とを含む合剤をそれぞれ塗布することによって正極活物質層112を形成する。正極活物質層112を形成するための塗布方法としては、一般的な方法が採用される。塗布された正極活物質層112を所定の圧力(例えば、10kgf/mm以上100kgf/mm以下の線圧)でロールプレスする。プレス圧を調整することにより、正極活物質層112の空孔率を調整できる。負極も同様にして作製する。
電極体2の形成では、正極11と負極12との間にセパレータ4を挟み込んだ積層体22を巻回することにより、電極体2を形成する。詳しくは、正極活物質層112と負極活物質層122とがセパレータ4を介して互いに向き合うように、正極11とセパレータ4と負極12とを重ね合わせ、積層体22を作る。続いて、積層体22を巻回して、電極体2を形成する。
蓄電素子1の組み立てでは、ケース3のケース本体31に電極体2を入れ、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぎ、電解液をケース3内に注入する。ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐときには、ケース本体31の内部に電極体2を入れ、正極11と一方の外部端子7とを導通させ、且つ、負極12と他方の外部端子7とを導通させた状態で、ケース本体31の開口を蓋板32で塞ぐ。電解液をケース3内へ注入するときには、ケース3の蓋板32の注入孔から電解液をケース3内に注入する。
上記のように構成された本実施形態の蓄電素子1は、負極活物質層122を有する負極12を備え、負極活物質層122は、粒子状の難黒鉛化炭素を活物質として含み、負極活物質層122には、難黒鉛化炭素の間に空孔が形成され、難黒鉛化炭素の平均粒径D50は、2μm以上10μm以下であり、平均粒径D50をxμmとし、負極活物質層122の空孔率をy%としたときに、
x及びyは、y≦0.77x+33.23 の関係式(1)を満たす。これにより、長期間放置された後に出力が低下することを抑制できる。
上記の蓄電素子1では、負極12は、負極活物質層122の一方の面に重ねられた金属箔121(負極基材)をさらに有し、金属箔121(負極基材)と負極活物質層122との剥離強度は、200gf以上である。これにより、長期間放置されても、金属箔121と負極活物質層122との剥離が起こりにくい。従って、長期間放置された後に出力が低下することを抑制できる。
上記の蓄電素子1では、正極活物質層112は、粒子状のリチウム金属複合酸化物を活物質として含み、リチウム金属複合酸化物は、LiNiMnCoの化学組成で表される(ただし、0<p≦1.3であり、q+r+s=1であり、0≦q≦1であり、0≦r≦1であり、0≦s≦1であり、1.7≦t≦2.3である)。これにより、長期間放置された後に出力が低下することを抑制できる。
上記の蓄電素子1では、関係式(1)は、0.77x+28.23≦y≦0.77x+33.23 の関係式(2)であってもよい。斯かる構成により、長期間放置された後に出力が低下することをより確実に抑制できる。
上記の蓄電素子1では、負極12の活物質とバインダとの合計質量に対して、バインダの比率は、5質量%以上10質量%以下である。これにより、金属箔121(負極基材)と負極活物質層122との剥離強度を適度に保ちつつ、電池の出力を十分なものにすることができる。
尚、本発明の蓄電素子は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を追加することができ、また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることができる。さらに、ある実施形態の構成の一部を削除することができる。
上記の実施形態では、活物質を含む層が金属箔に直接接した電極(正極及び負極)について詳しく説明したが、本発明では、正極及び負極の少なくともいずれか一方が、バインダと導電助剤とを含む導電層を有してもよい。正極活物質層112及び負極活物質層122の少なくともいずれか一方が導電層を有し、活物質層における電極基材(金属箔)と接する面の方に、導電層が配置されてもよい。
上記実施形態では、活物質層が各電極の金属箔の両面側にそれぞれ配置された電極について説明したが、本発明の蓄電素子では、正極11又は負極12は、活物質層を金属箔の片面側にのみ備えてもよい。
上記実施形態では、積層体22が巻回されてなる電極体2を備えた蓄電素子1について詳しく説明したが、本発明の蓄電素子は、巻回されない積層体22を備えてもよい。詳しくは、それぞれ矩形状に形成された正極、セパレータ、負極、及びセパレータが、この順序で複数回積み重ねられてなる電極体を蓄電素子が備えてもよい。
上記実施形態では、上記x及び上記yは、y≦0.77x+33.23 の関係式(1)を満たすが、本発明においては、上記x及び上記yは、y≦0.97x+6.13 の関係式を満たしてもよく、0.97x+1.13≦y≦0.97x+6.13 の関係式を満たしてもよい。
上記実施形態では、蓄電素子1が充放電可能な非水電解質二次電池(例えばリチウムイオン二次電池)として用いられる場合について説明したが、蓄電素子1の種類や大きさ(容量)は任意である。また、上記実施形態では、蓄電素子1の一例として、リチウムイオン二次電池について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、本発明は、種々の二次電池、その他、電気二重層キャパシタ等のキャパシタの蓄電素子にも適用可能である。
蓄電素子1(例えば電池)は、図8に示すような蓄電装置100(蓄電素子が電池の場合は電池モジュール)に用いられてもよい。蓄電装置100は、少なくとも二つの蓄電素子1と、二つの(異なる)蓄電素子1同士を電気的に接続するバスバ部材91と、を有する。この場合、本発明の技術が少なくとも一つの蓄電素子に適用されていればよい。
以下に示すようにして、非水電解質二次電池(リチウムイオン二次電池)を製造した。
(試験例1)
(1)正極の作製
溶剤としてN−メチル−2−ピロリドン(NMP)と、導電助剤(アセチレンブラック)と、バインダ(PVdF)と、平均粒径D50が5μmの活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)の粒子とを、混合し、混練することで、正極用の合剤を調製した。導電助剤、バインダ、活物質の配合量は、それぞれ4.5質量%、4.5質量%、91質量%とした。調製した正極用の合剤をアルミニウム箔(15μm厚み)の両面に、乾燥後の塗布量(目付量)が6.92mg/cmとなるようにそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行った。その後、真空乾燥して、水分を除去した。活物質層(1層分)の厚みは、30μmであった。下記の方法によって測定した活物質層の空孔率は、35%であった。
(2)負極の作製
活物質としては、平均粒径D50が4μmの粒子状の難黒鉛化炭素を用いた。また、バインダとしては、PVdFを用いた。負極用の合剤は、溶剤としてNMPと、バインダと、活物質とを混合、混練することで調製した。バインダは、7質量%となるように配合し、活物質は、93質量%となるように配合した。調製した負極用の合剤を、乾燥後の塗布量(目付量)が4.0mg/cmとなるように、銅箔(10μm厚み)の両面にそれぞれ塗布した。乾燥後、ロールプレスを行い、真空乾燥して、水分を除去した。活物質層(1層分)の厚みは、35μmであった。活物質層の空孔率は、31%であった。空孔率の測定方法については、後に説明する。
・負極の活物質(難黒鉛化炭素)の平均粒径D50について
平均粒子径D50とは、体積標準の粒度分布における累積度50%(D50)の粒径を意味する。具体的には、測定装置としてレーザー回折式粒度分布測定装置(マイクロトラック・ベル社製「MT3000EXII」)、測定制御ソフトとしてマイクロトラック専用アプリケーションソフトフェアDMS ver2を用いる。具体的な測定手法としては、散乱式の測定モードを採用し、測定対象試料(難黒鉛化炭素)が分散溶媒中に分散する分散液が循環する湿式セルを2分間超音波環境下に置いた後に、レーザー光を照射し、測定試料から散乱光分布を得る。そして、散乱光分布を対数正規分布により近似し、その粒度分布(横軸、σ)において最小を0.021μm、最大を2000μmに設定した範囲の中で累積度50%(D50)にあたる粒径を平均粒子径とする。また、分散液は、界面活性剤と、分散剤としてのSNディスパーサント 7347−C(製品名)またはトリトンX−100(製品名)とを含む。分散液には、分散剤を数滴加える。また、試料が浮遊する場合、湿潤材としてSNウェット 366(製品名)を加える場合もある。
(3)セパレータ
セパレータとして厚みが22μmのポリエチレン製微多孔膜を用いた。ポリエチレン製微多孔膜の透気度は、100秒/100ccであった。
(4)電解液の調製
電解液としては、以下の方法で調製したものを用いた。非水溶媒として、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネートを、いずれも1容量部ずつ混合した溶媒を用い、この非水溶媒に、塩濃度が1mol/LとなるようにLiPFを溶解させ、電解液を調製した。
(5)ケース内への電極体の配置
上記の正極、上記の負極、上記の電解液、セパレータ、及びケースを用いて、一般的な方法によって電池を製造した。
まず、セパレータが上記の正極および負極の間に配されて積層されてなるシート状物を巻回した。次に、巻回されてなる電極体を、ケースとしてのアルミニウム製の角形電槽缶のケース本体内に配置した。続いて、正極及び負極を2つの外部端子それぞれに電気的に接続させた。さらに、ケース本体に蓋板を取り付けた。上記の電解液を、ケースの蓋板に形成された注液口からケース内に注入した。最後に、ケースの注液口を封止することにより、ケースを密閉した。
(試験例2)
空孔率が33%となるように負極活物質層を作製した点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(試験例3)
空孔率が35%となるように負極活物質層を作製した点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(試験例4)
空孔率が37%となるように負極活物質層を作製した点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(試験例5)
空孔率が39%となるように負極活物質層を作製した点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(試験例6)
平均粒径D50が4μmの難黒鉛化炭素に代えて平均粒径D50が10μmの難黒鉛化炭素を活物質として用いた点、空孔率が35%となるように負極活物質層を作製した点、正極にて平均粒径D50が5μmの活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)の粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(試験例7)
平均粒径D50が4μmの難黒鉛化炭素に代えて平均粒径D50が10μmの難黒鉛化炭素を活物質として用いた点、空孔率が37%となるように負極活物質層を作製した点、正極にて平均粒径D50が5μmの活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)の粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(試験例8)
平均粒径D50が4μmの難黒鉛化炭素に代えて平均粒径D50が10μmの難黒鉛化炭素を活物質として用いた点、空孔率が40%となるように負極活物質層を作製した点、正極にて平均粒径D50が5μmの活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)の粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
(試験例9)
平均粒径D50が4μmの難黒鉛化炭素に代えて平均粒径D50が10μmの難黒鉛化炭素を活物質として用いた点、空孔率が43%となるように負極活物質層を作製した点、正極にて平均粒径D50が5μmの活物質(LiNi1/3Co1/3Mn1/3)の粒子を用いた点以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を製造した。
<空孔率の測定>
負極活物質層の空孔率の測定は、JIS R1655(ファインセラミックスの水銀圧入法による成形体気孔径分布試験方法)に従って行った、詳しくは、空孔率の測定は、測定機器としてmicromeritics社製「オートポアIV9500」を用いて、25℃の条件下にて行った。
<剥離強度の測定>
剥離強度の測定は、JIS Z0237(粘着テープ・粘着シート試験方法)に従って行った、詳しくは、測定機器として、イマダ社製「MH−1000N」を用いて、25℃にて、剥離角度を180°に設定し、金属箔から負極活物質層を剥離するときの強度を測定した。
<アシスト出力性能の評価>
65℃、SOC50%(4.0V)の条件下で各試験例の電池を30日間放置した後に、25℃にて、それぞれアシスト出力を測定した。初期の値に対する30日後の出力値によって評価結果を示す。
各試験例の電池のアシスト出力性能の評価結果(出力維持率の相対値)を表したグラフを図9に示す。図9から把握されるように、負極の活物質の平均粒径D50が4μmである場合、負極活物質層の空孔率が36%以下であれば、放置後の電池の出力が低下することを抑制できる。一方、負極の活物質の平均粒径D50が10μmである場合、負極活物質層の空孔率が41%以下であれば、放置後の電池の出力が低下することを抑制できる。
負極の活物質の平均粒径D50(xμm)が横軸に設定され、負極活物質層の空孔率(y%)が縦軸に設定されたグラフに対して、x=4、y=36の点と、x=10、y=41の点とをプロットした。また、負極の活物質の平均粒径D50が2μmである場合、負極活物質層の空孔率が35%以下であれば、放置後の電池の出力が低下すると予測されるため、x=2、y=35の点をさらにプロットした。プロットされた各点に基づき、最小二乗法によって直線式を算出した。直線式は、y=0.77x+33.23であった。この直線式から関係式(1)を導き出した。これらプロット及び上記直線式を表したグラフを図10に示す。関係式(1)を満たす電池では、長期間放置された後に出力が低下することを抑制できる。
1:蓄電素子(非水電解質二次電池)、
2:電極体、
26:露出積層部、
3:ケース、 31:ケース本体、 32:蓋板、
4:セパレータ、
5:集電体、 50:クリップ部材、
6:絶縁カバー、
7:外部端子、 71:面、
11:正極、
111:正極の金属箔(正極基材)、 112:正極活物質層、
12:負極、
121:負極の金属箔(負極基材)、 122:負極活物質層、
91:バスバ部材、
100:蓄電装置。

Claims (5)

  1. 活物質層を有する負極を備え、
    前記活物質層は、粒子状の難黒鉛化炭素を活物質として含み、
    前記活物質層には、前記難黒鉛化炭素の間に空孔が形成され、
    前記難黒鉛化炭素の平均粒径D50は、2μm以上10μm以下であり、
    前記平均粒径D50をxμmとし、前記活物質層の空孔率をy%としたときに、
    x及びyは、y≦0.77x+33.23 の関係式(1)を満たす、蓄電素子。
  2. 前記負極は、活物質層の一方の面に重ねられた負極基材をさらに有し、
    前記負極基材と活物質層との剥離強度は、200gf以上である、請求項1に記載の蓄電素子。
  3. 活物質層を有する正極をさらに備え、
    前記正極の活物質層は、粒子状のリチウム金属複合酸化物を活物質として含み、
    前記リチウム金属複合酸化物は、LiNiMnCoの化学組成で表される(ただし、0<p≦1.3であり、q+r+s=1であり、0≦q≦1であり、0≦r≦1であり、0≦s≦1であり、1.7≦t≦2.3である)、請求項1又は2に記載の蓄電素子。
  4. 前記関係式(1)は、0.77x+28.23≦y≦0.77x+33.23 の関係式(2)である、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蓄電素子。
  5. 前記負極の活物質層は、バインダをさらに含み、前記負極の活物質と前記バインダとの合計質量に対して、バインダの比率は、5質量%以上10質量%以下である、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の蓄電素子。
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