JP2019135701A - 二次電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】出力特性及び充放電サイクル特性をより向上した新規な二次電池を提供する。【解決手段】二次電池10は、正極活物質を有する正極16と、イオンの吸蔵放出に伴う体積変化率が1.0%以下である難黒鉛化性炭素が主成分である炭素繊維の負極活物質を有する線状の負極11と、イオン伝導性を有し負極11と正極16とを絶縁する分離膜21とを備えている。【選択図】図1

Description

本明細書で開示する発明は、二次電池に関する。
従来、この種の二次電池としては、電解質を含むリチウムイオン供給コア部と、このコア部の外面を囲んで形成され内部電極活物質が外面にコーティングされた3次元網状構造の集電体を含む内部電極と、内部電極の外面を囲んで形成され外部電極活物質層を含む外部電極を含むケーブル型二次電池が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この二次電池では、コア部の電解質が電極の活物質に浸透しやすく、電池の容量特性及びサイクル特性に優れる、としている。
特表2014−532277号公報
ところで、近年、リチウム二次電池は、その高容量化、単位体積あたりの高エネルギー密度化が望まれている。例えば、電極を積層した二次電池の電池容量を増加させるには、活物質層の厚さを厚くする必要があるが、このように電極を高厚膜化すれば、電解液の厚さ方向の流れ道が長くなり、厚さ方向のイオンの濃度勾配を緩和しにくくなり、出力が低下することがあった。一方、上述した特許文献1のリチウムイオン二次電池では、電池の容量特性やサイクル特性に優れるものとしているが、まだ十分でなく、レート特性の向上や充放電サイクル特性をより向上することが望まれていた。
本開示は、このような課題に鑑みなされたものであり、出力特性をより高めると共に充放電サイクル特性をより向上することができる新規な二次電池を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、所定の体積変化率を有する難黒鉛化性炭素繊維を負極活物質とする負極の表面に、イオン伝導性及び絶縁性を有する分離膜と正極活物質層を形成し、この負極を複数結束すると、出力特性及び充放電サイクル特性をより向上することができる新規な二次電池を提供することができることを見いだし、本明細書で開示する発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する二次電池は、
正極活物質を有する正極と、
イオンの吸蔵放出に伴う体積変化が1.0体積%以下である難黒鉛化性炭素が主成分である炭素繊維の負極活物質を有する線状の負極と、
イオン伝導性を有し前記正極と前記負極とを絶縁する分離膜と、
を備えたものである。
本開示は、出力特性及び充放電サイクル特性をより向上した新規な二次電池を提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、リチウムイオン二次電池などの二次電池の負極を線状とし、炭素繊維を用いることにより、全周からキャリアのイオンを吸蔵放出させることができる。全周からの吸蔵放出反応は、正負極対向面積の増加による反応促進に加えて、深部(奥部)に行くほど対向面積当たりの活物質量が減少することによる平均反応速度の向上効果が期待でき、高出力化が達成できる。なお、深部での活物質量の減少は、深部の活物質ほど反応しにくいために好適と考えられる。また、平均反応速度の向上は、正/負極活物質間の平均距離低下に基づく。また、体積変化率が1.0%以下である難黒鉛化性の炭素繊維では、膨張収縮に伴う炭素繊維の亀裂や割れなどが低減されるため、充放電サイクルの耐久性がより向上するものと推察される。これらの複合的な理由により、本開示の二次電池では、出力特性、例えば、高容量での急速充放電などの出力特性や、充放電サイクル特性などをより向上することができるものと推察される。
二次電池10の一例を示す模式図。 二次電池10のA−A断面図。 二次電池10の製造工程の一例を示す説明図。 結束構造及び積層構造における正負極対向面積及びセルエネルギー密度の関係図。 負極繊維径又は負極合材の膜厚に対するセルエネルギー密度及び電極対向面積の関係図。 評価セル30の説明図。
実施形態で説明する二次電池は、正極活物質を有する正極と、炭素繊維の負極活物質を有する線状の負極と、イオン伝導性を有し正極と負極とを絶縁する分離膜とを備えている。この負極は、イオンの吸蔵放出に伴う体積変化が1.0体積%以下である難黒鉛化性炭素が主成分である負極活物質を有する。正極及び負極には、活物質のほか導電材や結着材を含むものとしてもよい。この負極は、線状であればよく、その断面は円形であってもよいし、多角形であってもよい。また、正極は、炭素繊維の負極の周りに存在するものとしてもよいし、負極の間の空間に充填されているものとしてもよい。この二次電池は、正極、負極及び分離膜のうち1以上に電解液を含むものとしてもよい。あるいは、分離膜が固体電解質であるものとしてもよい。また、この二次電池は、分離膜を介して正極と隣り合う状態で複数の負極が結束された構造を有するものとしてもよい。また、正極及び負極には、集電線などの集電部材が埋設されているものとしてもよいし、この集電部材を備えないものとしてもよい。ここでは、説明の便宜のため、リチウムイオンをキャリアとするリチウム二次電池をその主たる一例として以下説明する。
次に、本実施形態で開示する二次電池について図面を用いて説明する。図1は、二次電池10の一例を示す模式図である。図2は、図1の二次電池10のA−A断面図である。この二次電池10は、図1、2に示すように、負極11と、負極集電体12と、正極16と、正極集電体17と、分離膜21とを備えている。この二次電池10は、炭素繊維を負極活物質とする負極11と、負極11の周りに形成された正極活物質層からなる正極16とを備えている。この二次電池10は、分離膜21を介して正極16と隣り合う状態で複数の負極11が結束された構造を有するものとする。また、この二次電池10では、50本以上の負極11が結束された構造を有しているものとしてもよい。
負極11は、炭素繊維の負極活物質からなる線状体であるものとしてもよい。負極11は、端面以外の外周が分離膜21を介して正極16に対向している。例えば、負極11は、セル全体の負極容量の1/nの容量を有し、n個が負極集電体12に並列接続されているものとしてもよい。この負極11は、長手方向に垂直な断面の長さ(直径)が10μm以上200μm以下の範囲であることが好ましい。この長さが10μm以上では、電極構造体としての強度を担保することができ安定した充放電ができる。また、この長さが200μm以下ではキャリアのイオンの移動距離が長くなりすぎず、高出力性能が得られる。また、この長さがこの範囲では、単位体積あたりのエネルギー密度をより高めることができる。あるいは、この範囲では、キャリアのイオンの移動距離をより短くすることができ、より大きな電流で充放電を行うことができる。この炭素繊維の長手方向の長さは、二次電池の用途などに応じて適宜定めることができ、例えば、20mm以上200mm以下の範囲などとしてもよい。炭素繊維の長さが20mm以上では、電池容量をより高めることができ好ましく、200mm以下では、負極の電気抵抗をより低減することができ好ましい。
炭素繊維は、難黒鉛化性炭素が主成分であるものとする。この難黒鉛化性炭素は、d002の平均面間隔が0.38nm程度であり、黒鉛の0.335nm(Li挿入時は0.37nm)よりも大きく、透過型電子顕微鏡(TEM)での観察によって確認することができる。ここで「主成分」とは、全体に占める割合がより多い成分をいい、例えば、50質量%以上の成分、より好ましくは80質量%以上の成分、更に好ましくは90質量%以上の成分としてもよい。この炭素繊維は、イオンの吸蔵放出に伴う体積変化率が1.0%以下であるものとする。この体積変化率が1.0%以下では、膨張収縮に伴う炭素繊維の亀裂や割れなどが低減されるため、充放電サイクルの耐久性がより向上する。ここで、体積変化率について説明する。この体積変化率は、以下の方法で求めるものとする。まず、満充電した状態の炭素繊維と、完全放電した状態の炭素繊維とを大気非暴露状態でセルから取り出し、大気非暴露状態のまま高分解能走査型電子顕微鏡(SEM)により径と長さを観測し、満充電時の炭素繊維の体積Vcと完全放電時の炭素繊維の体積Vdとを求める。求めた値を用いて、体積変化率(%)=(Vc−Vd)/Vd×100の式より求めるものとする。この体積変化率は、より小さい方がより好ましく、0.8%以下が好ましく、0.5%以下がより好ましく、0.3%以下が更に好ましい。
また、この炭素繊維は、空孔率が6体積%以下であることが好ましい。空孔率が6体積%以下では、例えば、炭素繊維が電解液を含みにくいものとすることができる。この場合、負極中のイオン伝導が電解液を通じて行われるよりも炭素の固体内拡散で行われる方が圧倒的に多くなるため、急速充放電など、より良好な出力特性を有するものとすることができる。また、空孔率が6体積%以下では、負極の体積容量がより高くなるため、二次電池のエネルギー密度をより高めることができる。この空孔率は、より低いことが好ましく、5体積%以下が好ましく、3体積%以下がより好ましく、2体積%以下が更に好ましい。この空孔率は、放射光を使ったナノCTで求めた値とする。
炭素繊維は、1サイクル目のC/4レート充電容量に対する1サイクル目の60Cレート充電容量の割合であるレート特性(%)が80%以上であることが好ましい。このレート特性は、より高いことが好ましく、82%以上であることがより好ましく、85%以上であることが更に好ましい。炭素繊維は、C/4レート充電での1サイクル目の平均充電電圧がLi基準電位で0.4V以上であることが好ましい。この平均電圧は、0.45V以上であることがより好ましく、0.50V以上であることが更に好ましい。炭素繊維は、1Cレートで充放電したときの1サイクル目の放電容量が300mAh/g以上であることが好ましい。この放電容量は、より高いことが好ましい。炭素繊維は、1Cレートで充放電を30回繰り返し、(30サイクル目の容量)/(1サイクル目の容量)×100%との式より求めたサイクル維持率が70%以上であることが好ましい。このサイクル維持率は、より高いことが好ましく、75%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましい。炭素繊維のレート特性、平均充電電圧、放電容量及びサイクル維持率は、炭素繊維をハーフセル(図6参照)で測定した値とする。
この炭素繊維は、表面の少なくとも一部に導電成分が形成されていることが好ましい。難黒鉛化性炭素は、高結晶性ではないことから、グラフェン構造が発達、配向しておらず、電子伝導性が十分に高くないことがある。このため、外表面(側面)の全体を被覆してしまわない程度に導電成分を形成することにより、電子伝導性をより高めることができる。導電成分は、キャリアイオンの吸蔵放出特性への影響を考慮すると、外表面の全体に対して10%以下の面積率で形成されることが好ましく、8%以下で形成されることがより好ましい。また、電子伝導性を向上する観点からは、導電成分は、面積率で2%以上で形成されることが好ましく、4%以上で形成されることがより好ましい。また、導電成分の被覆厚さは、例えば、2nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。また、負極のエネルギー密度の低減を考慮すると、この被覆厚さは、50nm以下であることが好ましい。この導電成分は、導電性の高い材料であれば特に限定されないが、例えば、金属であることが好ましい。金属としては、例えば、導電性の高いものがより好ましく、Au、Pt、Agなどの貴金属や、Cu、Niなどの遷移金属などが挙げられる。導電成分の形成は、外表面の被覆を適度の制御できる方法で行うことが好ましく、例えば、蒸着、スパッタ、メッキなどで行うものとしてもよい。
負極集電体12は、導電性を有する部材であり、負極11の端面が電気的に接続されている。負極集電体12には、50本以上の負極11が並列接続されている。この負極集電体12は、例えば、カーボンペーパー、アルミニウム、銅、チタン、ステンレス鋼、ニッケル、鉄、白金、焼成炭素、導電性高分子、導電性ガラスなどのほか、接着性、導電性及び耐酸化(還元)性向上の目的で、アルミニウムや銅などの表面をカーボン、ニッケル、チタン、銀、白金、金などで処理したものも用いることができる。負極集電体12の形状は、複数の負極11が接続できるものであれば特に限定されず、例えば、板状、箔状、フィルム状、シート状、ネット状、パンチ又はエキスパンドされたもの、ラス体、多孔質体、発泡体、繊維群の形成体などが挙げられる。
正極16は、正極活物質を有し、負極11の外周に分離膜21を介して形成されている。正極16は、断面の外形が六角形状であり、円柱状の負極11を内包しているものとしてもよい。なお、正極16は、負極11の間に充填されるものとすればよく、外形が六角形状には特に限定されない。正極16は、それ自体に導電性を有するものとし、集電部材は省略されているものとしてもよい。正極16は、その端面が正極集電体17に直接接続されているものとしてもよい。この正極16は、例えば、負極11の外周に分離膜21を形成したのち、その外周に正極16の原料を塗布して形成されたものとしてもよい。
正極16は、正極活物質を含んでいるが、正極活物質が導電性を有さない場合は、例えば導電性を有する導電材を混合して成形したものとしてもよい。この正極16は、例えば、正極活物質と、必要に応じて導電材と、結着剤とを混合し成形したものとしてもよい。正極活物質は、例えば、キャリアであるリチウムを吸蔵放出可能な材料が挙げられる。正極活物質としては、例えば、リチウムと遷移金属とを有する化合物、例えば、リチウムと遷移金属元素とを含む酸化物や、リチウムと遷移金属元素とを含むリン酸化合物などが挙げられる。具体的には、基本組成式をLi(1-x)MnO2(0≦x≦1など、以下同じ)やLi(1-x)Mn24などとするリチウムマンガン複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoO2などとするリチウムコバルト複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)NiO2などとするリチウムニッケル複合酸化物、基本組成式をLi(1-x)CoaNibMnc2(a>0、b>0、c>0、a+b+c=1)、Li(1-x)CoaNibMnc4(0<a<1、0<b<1、1≦c<2、a+b+c=2)などとするリチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物、基本組成式をLiV23などとするリチウムバナジウム複合酸化物、基本組成式をV25などとする遷移金属酸化物などを用いることができる。また、基本組成式をLiFePO4とするリン酸鉄リチウム化合物などを正極活物質として用いることができる。これらのうち、リチウムコバルトニッケルマンガン複合酸化物、例えば、LiCo1/3Ni1/3Mn1/32やLiNi0.4Co0.3Mn0.32などが好ましい。なお、「基本組成式」とは、他の元素、例えば、AlやMgなどの成分を含んでもよい趣旨である。
正極に含まれる導電材は、電池性能に悪影響を及ぼさない電子伝導性材料であれば特に限定されず、例えば、天然黒鉛(鱗状黒鉛、鱗片状黒鉛)や人造黒鉛などの黒鉛、アセチレンブラック、カーボンブラック、ケッチェンブラック、カーボンウィスカ、ニードルコークス、炭素繊維、金属(銅、ニッケル、アルミニウム、銀、金など)などの1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。結着材は、活物質粒子や導電材粒子を繋ぎ止めて所定の形状を保つ役割を果たすものであり、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、或いはポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)ゴム、スルホン化EPDMゴム、天然ブチルゴム(NBR)等を単独で、あるいは2種以上の混合物として用いることができる。また、水系バインダーであるセルロース系やスチレンブタジエンゴム(SBR)の水分散体等を用いることもできる。
正極16において、正極活物質の含有量は、より多いことが好ましく、正極16の質量全体に対して70質量%以上であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。導電材の含有量は、正極16の全体の質量に対して0質量%以上20質量%以下の範囲であることが好ましく、0質量%以上10質量%以下の範囲であることがより好ましい。このような範囲では、電池容量の低下を抑制し、導電性を十分に付与することができる。また、結着材の含有量は、正極16の質量全体に対して0.1質量%以上5質量%以下の範囲であることが好ましく、0.2質量%以上3質量%以下の範囲であることがより好ましい。
正極集電体17は、導電性を有する部材であり、正極16に電気的に接続されている。正極集電体17には、50本以上の正極16の端面が並列接続されている。この正極集電体17は、負極集電体12と同様の部材とするものとしてもよい。
分離膜21は、キャリアであるイオン(例えばリチウムイオン)のイオン伝導性を有し負極11と正極16とを絶縁するものである。分離膜21は、正極16と対向する負極11の外周面の全体、及び負極11と対向する正極16の外周面の全体に形成されており、負極11と正極16との短絡を防止している。分離膜21は、イオン伝導性と絶縁性とを有するポリマーが好適である。この分離膜21は、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)とヘキサフルオロプロピレン(HFP)との共重合体や、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、及びPMMAとアクリルポリマーとの共重合体などが挙げられる。例えば、PVdFとHFPとの共重合体では、電解液の一部がこの膜を膨潤ゲル化し、イオン伝導膜となる。この分離膜21の厚さtは、例えば、0.5μm以上であることが好ましく、2μm以上であることがより好ましく、5μm以上であるものとしてもよい。厚さtが0.5μm以上では、絶縁性を確保する上で好ましい。また、分離膜21の厚さtは、20μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましい。厚さtが20μm以下では、イオン伝導性の低下を抑制できる点で好ましい。厚さtが0.5〜20μmの範囲では、イオン伝導性及び絶縁性が好適である。この分離膜21は、例えば、原料を含む溶液へ負極11を浸漬させてその表面にコートすることにより形成されるものとしてもよい。
分離膜21は、キャリアであるイオンを伝導する電解液を含むものとしてもよい。この電解液は、例えば、非水系溶媒などが挙げられる。電解液の溶媒としては、例えば、非水電解液の溶媒などが挙げられる。この溶媒としては、例えば、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、フラン類、スルホラン類及びジオキソラン類などが挙げられ、これらを単独又は混合して用いることができる。具体的には、カーボネート類としてエチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート、ビニレンカーボネート、ブチレンカーボネート、クロロエチレンカーボネートなどの環状カーボネート類や、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、ジエチルカーボネート、エチル−n−ブチルカーボネート、メチル−t−ブチルカーボネート、ジ−i−プロピルカーボネート、t−ブチル−i−プロピルカーボネートなどの鎖状カーボネート類、γ−ブチルラクトン、γ−バレロラクトンなどの環状エステル類、ギ酸メチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酪酸メチルなどの鎖状エステル類、ジメトキシエタン、エトキシメトキシエタン、ジエトキシエタンなどのエーテル類、アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、などのフラン類、スルホラン、テトラメチルスルホランなどのスルホラン類、1,3−ジオキソラン、メチルジオキソランなどのジオキソラン類などが挙げられる。この電解液には、二次電池10のキャリアであるイオンを含む支持塩を溶解したものとしてもよい。支持塩としては、例えば、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23、LiSbF6、LiSiF6、LiAlF4、LiSCN、LiClO4、LiCl、LiF、LiBr、LiI、LiAlCl4などが挙げられる。このうち、LiPF6、LiBF4、LiClO4などの無機塩、及びLiCF3SO3、LiN(CF3SO22、LiC(CF3SO23などの有機塩からなる群より選ばれる1種又は2種以上の塩を組み合わせて用いることが電気特性の点から見て好ましい。この支持塩は、電解液中の濃度が0.1mol/L以上5mol/L以下であることが好ましく、0.5mol/L以上2mol/L以下であることがより好ましい。
この二次電池10において、正極活物質の容量に対する負極活物質の容量の比である正負極容量比(負極容量/正極容量)は、1.0以上1.5以下の範囲とすることが好ましく、より好ましくは1.2以下の範囲である。正極の形成厚さX(図4参照)は、負極の直径及び正負極容量比に応じて適宜設定されるが、例えば、5μm以上50μm以下の範囲としてもよい。正極の形成厚さは、例えば、負極上に形成された部分のうち最大の厚さをいうものとする。
次に、二次電池の製造方法について説明する。この製造方法は、熱処理工程と、分離膜形成工程と、正極活物質形成工程と、結束工程とを含むものとしてもよい。熱処理工程では、炭素原料を熱処理して炭素繊維を得る。なお、炭素繊維を別に用意し、この工程を省略してもよい。分離膜形成工程では、炭素繊維の負極活物質を有する線状体である負極の表面に、イオン伝導性及び絶縁性を有する分離膜を形成する。正極活物質形成工程では、分離膜を形成した炭素繊維上に正極活物質を含む正極合材を形成する。この正極活物質形成工程のあとに、導電材を追加形成する導電材添加工程を行ってもよい。結束工程では、形成した分離膜を介して正極活物質を有する正極と隣り合う状態で複数の負極を結束する。ここでは、具体例として、二次電池10の製造工程について説明する。図3は、二次電池10の製造工程の一例を示す説明図であり、図3(a)が熱処理工程、図3(b)が分離膜形成工程、図3(c)が正極活物質形成工程、図3(d)が導電材添加工程、図3(e)が結束工程である。なお、二次電池に用いる材料などは、上述したいずれかを適宜用いることができる。
熱処理工程では、炭素材料の原料を熱処理し、炭素繊維を作製する(図3(a))。この工程では、炭素材料の原料を紡糸したのち熱処理するものとしてもよい。炭素繊維の原料は、非晶質炭素など、難黒鉛化性炭素となるものを用いることができる。熱処理は、不活性雰囲気中で、800℃以上1200℃以下の範囲で行うものとしてもよい。この熱処理温度は、900℃以上1100℃以下の範囲で行うことが好ましい。不活性雰囲気としては、窒素中や希ガス中などが挙げられ、このうちアルゴン雰囲気が好ましい。この工程では、体積変化率が1.0%以下の炭素繊維となるよう処理を行うものとする。また、この工程では、空孔率が6体積%未満の炭素繊維となるよう処理することが好ましい。また、10μm以上200μm以下の範囲の直径で炭素繊維を形成することが好ましい。空孔率は、炭素材料の原料粒径や、成形圧力などにより調整することができる。長手方向に垂直な断面の長さ(直径)は、紡糸時の条件により調整することができる。また、得られた炭素繊維の表面に導電成分を形成するものとしてもよい。導電成分は、上述のように、表面の全体に対して面積率で10%以下、より好ましくは8%以下、更に2%以上、より好ましくは4%以上で形成する。導電成分の形成は、蒸着法や、スパッタ法、メッキ法などにより行うことができる。
次に、分離膜形成工程では、炭素繊維の外表面に分離膜を形成する(図3(b))。この工程では、上述した分離膜の原料を炭素繊維上に塗布し、乾燥させるものとしてもよい。あるいは、この工程では、分離膜の原料溶液中に炭素繊維を浸漬させるものとしてもよい。次に、正極活物質形成工程では、分離膜上に正極活物質を形成する(図3(c))。この正極活物質は、例えば、活物質の微粒子に導電材や結着材を付着させたものとしてもよい。このような正極活物質粒子をスラリー状にした正極合材を調製し、分離膜上に塗布するものとしてもよい。正極合材には、必要に応じて導電材を添加する処理を行う(図3(d))。導電材としては、炭素材料や金属粒子(例えばCu、Ni、Alなど)を用いてもよい。そして、結束工程では、上記作製された負極の炭素繊維を複数並べ、結束する(図3(e))。この工程では、結束体に対して圧力を付与してもよい。このようにして、二次電池10を作製することができる。
以上詳述した二次電池10及びその製造方法では、出力特性及び充放電サイクル特性をより向上した新規なものを提供することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推察される。例えば、リチウムイオン二次電池などの二次電池の負極として炭素繊維を用いることにより、全周からキャリアのイオンを吸蔵放出させることができる。全周からの吸蔵放出反応は、正負極対向面積の増加による反応促進に加えて、深部(奥部)に行くほど対向面積当たりの活物質量が減少することによる平均反応速度の向上効果が期待でき、高出力化が達成できる。なお、深部での活物質量の減少は、深部の活物質ほど反応しにくいために好適と考えられる。また、平均反応速度の向上は、正/負極活物質間の平均距離低下に基づく。また、体積変化率が1.0%以下である難黒鉛化性の炭素繊維では、膨張収縮に伴う炭素繊維の亀裂や割れなどが低減されるため、充放電サイクルの耐久性がより向上するものと推察される。これらの複合的な理由により、二次電池10及びその製造方法では、出力特性、例えば、高容量での急速充放電などの出力特性や、充放電サイクル特性などをより向上することができるものと推察される。また、この製造方法によれば、炭素繊維の表面に分離膜と正極活物質層とを形成して結束するという比較的簡便な工程で二次電池10を作製することができる。
また、例えば、金属箔の集電体上に活物質を形成しセパレータを介して積層した従来の電極構造では、エネルギー密度を高めようとすると、集電箔上の電極合材の塗布量や密度を高めなければならず、イオン伝導性が低下するなどの弊害が生じうる。これに対して、本開示の二次電池10では、炭素繊維の電極を結束した構造を採用することによって、イオンの伝導距離をより短くすることができる。また、本開示の二次電池10では、構造内部に箔状の集電体を設けなくてもよく、更に、セパレータなどを分離膜に変更してより薄くするなど、活物質による空間の占有率をより高めることができる。このため、よりエネルギー密度を高めることもできる。
なお、本開示は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
例えば、上述した実施形態では、二次電池10において、負極や正極は、集電線を有しないものとして説明したが、特にこれに限定されず、各電極は、集電線を埋設していてもよい。
また、上述した実施形態では、二次電池のキャリアをリチウムイオンとしたが、特にこれに限定されず、ナトリウムイオンやカリウムイオンなどのアルカリ金属イオン、カルシウムイオンやマグネシウムイオンなどの2族元素イオンとしてもよい。また、正極活物質は、キャリアのイオンを含むものとすればよい。また、電解液を非水系電解液としたが、水溶液系電解液としてもよい。
上述した実施形態では、炭素繊維は、円柱形状である例を説明したが、特にこれに限定されず、四角柱や六角柱などの形状としてもよい。
以下には、上述した二次電池を具体的に作製した例を実施例として説明する。まず、二次電池の構造について考察した結果を実験例として説明する。
図4は、二次電池10における、炭素繊維の結束構造及び電極箔の積層構造における正負極合材の径や厚さ、正負極対向面積及びセルエネルギー密度を計算によって求めた関係図である。図5は、炭素繊維の結束構造及び電極箔の積層構造における負極繊維径又は負極合材の膜厚に対するセルエネルギー密度及び電極対向面積の関係図である。図4に示した負極の直径A、正極の厚さX及び分離膜の厚さtなどを用いて実験例1〜3を計算した。なお、実験例6は、積層構造の従来電極をモデルとし、実験例4は、従来電極の電極合材を厚膜化した高エネルギー型の電極とした。また、正負極容量比は結束構造(実験例1〜3)ではLi移動距離が短いことから負極過剰量は不要として1.0とし、従来型の積層構造(実験例4〜6)では従来どおり1.2とした。また、セル効率については、積層構造ではLi移動距離が長いため70%とし、結束構造では80%として計算した。図4、5に示すように、二次電池10の結束構造を採用した場合、負極の径を20〜100μmとし、正極の厚さを5〜15μmとすると、セルエネルギー密度を650Wh/L以上とし、正負極の対向面積を100cm2以上とすることができることがわかった。以上のように、図1に示した電極構造は、Li電池用に使用されている正極活物質、負極活物質、有機電解液を使用して、エネルギー密度をEV車に適した600Wh/L(電極合材の体積分率が88%程度)まで向上することができることがわかった。一方、従来の積層構造では、電極対向面積が100cm2以上、エネルギー密度が700Wh/L以上を示すものとするのは困難であることがわかった。また、電池容量をより高めようとするとキャリアイオンの移動距離が長くなるため、出力特性を向上し、且つ高エネルギー密度を得るのは困難であることがわかった。
次に、この負極の外周に正極合材を形成して結束した結束構造を有する二次電池に好適な炭素繊維について具体的に検討した。二次電池の性能は、正極と負極とを組み合わせたフルセルで評価するのが一般的であるが、フルセルの電池性能は、正極及び負極の仕上がり状態の影響を受ける。ここでは、対極をLi金属としたハーフセル(図6参照)を用いることにより、炭素繊維の特性について詳細に評価した。
[実施例1]
難黒鉛化原料である難黒鉛化ピッチ材料を径50μmのノズルから噴出させて紡糸したのち、不活性雰囲気(Ar)中で2000℃、5分間高温処理して得られた難黒鉛化性炭素繊維を負極活物質とした。この炭素繊維は、直径が14μm、長さが32mm、放射光を使ったナノCTで測定した空孔率が5体積%であった。この炭素繊維を炭素繊維測定用の評価セル(ハーフセル)に装着して充放電特性を測定した。図6は、評価セル30の説明図であり、図6Aが評価セル30の側面図、図6Bが図6AのA−A断面図である。この評価セル30は、支持集電体32、対極33、集電体34、セパレータ35、保持部材36、電解液37及び収容部材38を備えている。炭素繊維31は、測定対象である負極活物質である。支持集電体32は、炭素繊維31の一端を把持する導電部材であり、金属薄板で形成されている。支持集電体32は、炭素繊維31の他端側にも設けられており、炭素繊維31の電気抵抗も測定可能である。この支持集電体32の先端にはNi製のタブが配設されている。対極33は、幅21mmのLi金属とした。集電体34は、対極33に接続され、その先端にNi製のタブが配設されている。セパレータ35は、厚さ15μm、空孔率50体積%であり、ハイレート充放電用のポリエチレン製のものを用いた。保持部材36は、厚さ8mmのポリエーテルエーテルケトン樹脂製の部材である。この保持部材36は、炭素繊維31の両側面に支持集電体32、セパレータ35及び対極33を配置した状態で挟み込んでこれらを固定する。電解液37は、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート及びエチルメチルカーボネートを体積比で30/40/30で混合した混合溶媒にLiPF6を1.0Mの濃度で溶解させたものとした。収容部材38は、Alラミネート製の密閉袋とした。測定対象の炭素繊維31は、空気雰囲気下、450℃の加熱処理を2時間行い、表面の油脂分を除去後、長さ32mmに切りそろえた約2mg(50本程度)を用いた。
[実施例2、3]
高温処理を1000℃で行った以外は実施例1と同様の工程を経て得られたものを実施例2の難黒鉛化性炭素繊維とした。この実施例2の難黒鉛化性炭素繊維は、直径が12μm、空孔率が3体積%であった。この難黒鉛化性炭素繊維を用いた以外は、実施例1と同様に作製した評価セルを実施例2の評価セルとした。実施例2の難黒鉛化性炭素繊維の外表面の5%に導電成分としてのAuを蒸着したものを用いた以外は実施例2と同様に作製した評価セルを実施例3とした。
[比較例1〜4]
易黒鉛化ピッチ材料を紡糸後、不活性雰囲気下で高温処理して得られた直径が10μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製XN−60−60S)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した評価セルを比較例1とした。易黒鉛化ピッチ材料を紡糸後、不活性雰囲気下で高温処理して得られた直径が11μmの炭素繊維(日本グラファイトファイバー社製XN−60−90S)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した評価セルを比較例2とした。易黒鉛化ピッチ材料を紡糸後、不活性雰囲気下で高温処理して得られた直径が10μmの炭素繊維(三菱ケミカル社製K63712)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した評価セルを比較例3とした。易黒鉛化ピッチ材料を紡糸後、不活性雰囲気下で高温処理して得られた直径が11μmの炭素繊維(三菱ケミカル社製K13916)を用いた以外は、実施例1と同様に作製した評価セルを比較例4とした。
(体積変化測定)
上記評価セルを用い、満充電した炭素繊維と、完全放電した炭素繊維とを大気非暴露状態で評価セルから取り出し、大気非暴露状態のまま高分解能走査型電子顕微鏡(SEM:日立ハイテクノロジー社製S−5500)により径と長さを観測し、満充電時の炭素繊維の体積Vcと完全放電時の炭素繊維の体積Vdとを求めた。体積Vc,Vdを用い、(Vc−Vd)/Vd×100の式より体積変化率(%)を求めた。なお、炭素繊維の測定本数は、10本とし、体積変化率はその平均値とした。
(炭素繊維の空孔率の測定)
空孔率は、SPring−8でのナノCTを用い、3次元断面像を構築し、この3次元像から炭素領域の体積Paと空孔領域の体積Ppとを求め、空孔率(%)=Pp/(Pa+Pp)×100の式から算出した。
(充放電評価)
上記作製した評価セルを用い、25℃の温度環境下、CCで1.5Vまで充電(還元)する処理とCCCVで0.01Vまで放電(酸化)する処理とを種々のレートで充放電を行い、C/4レートでの平均充電電圧を求めると共に、C/4レートでの充電容量に対する60Cレートでの充電容量の割合とするレート特性(60Cレート充電容量/(C/4レート充電容量)×100%)を求めた。また、1Cレートで充放電を30回繰り返し、サイクル維持率を(30サイクル目の容量)/(1サイクル目の容量)×100%との式より求めた。
(結果と考察)
炭素繊維の原料、直径(μm)、C/4レート充電における平均充電電圧(V)、1Cレートでの放電容量(mAh/g)、レート特性(%)、サイクル維持率(%)、体積変化率(%)を表1にまとめた。なお、上述した実験例により、好適な繊維径の範囲が把握されたが、本実施例では上記実施例1〜3の繊維径にて測定を行い、炭素繊維の材質による充放電の影響について検討した。表1に示すように、炭素繊維の種別に応じて、放電容量、レート特性、サイクル維持率などが異なることがわかった。例えば、電気自動車(EV)用途の二次電池では、レート特性が高く(急速充電性)、サイクル維持率が高い(高耐久性)ことが望まれる。実施例1〜3では、レート特性が実用的な範囲である80%以上を示し、且つサイクル維持率も実用的な範囲である70%以上を示した。また、難黒鉛化性炭素繊維であり、体積変化率が1.0%以下を示すものが、レート特性及びサイクル維持率が高い炭素繊維であることがわかった。また、空孔率が6.0体積%以下である炭素繊維がレート特性及びサイクル維持率が実用的な範囲に入るものであると推察された。
また、実施例3に示すように、炭素繊維の外表面の一部に導電成分としての金属を膜状に形成すると、レート特性やサイクル維持率をより向上することができることがわかった。これは、比較的低い導電性を有する難黒鉛化性炭素繊維の導電性をより高めることができるためであると推察された。この導電成分の形成は、キャリアイオンの吸蔵放出特性への影響を考慮すると、外表面の全体に対して10%以下の面積率で行うことが好ましいと推察された。
上記結果より、炭素繊維を負極活物質とした線状の負極の外周に分離膜が形成され、負極間に正極合材を充填した結束構造を有する二次電池(図1参照)に対して、難黒鉛化性炭素繊維であり、体積変化率が1.0%以下であるものを用いることが好ましいことがわかった。
なお、本開示は上述した実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
10 二次電池、11 負極、12 負極集電体、16 正極、17 正極集電体、21 分離膜、30 評価セル、31 炭素繊維、32 支持集電体、33 対極、34 集電体、35 セパレータ、36 保持部材、37 電解液、38 収容部材。

Claims (8)

  1. 正極活物質を有する正極と、
    イオンの吸蔵放出に伴う体積変化率が1.0%以下である難黒鉛化性炭素が主成分である炭素繊維の負極活物質を有する線状の負極と、
    イオン伝導性を有し前記正極と前記負極とを絶縁する分離膜と、
    を備えた二次電池。
  2. 前記炭素繊維は、表面の少なくとも一部に導電成分が形成されている、請求項1に記載の二次電池。
  3. 前記導電成分は、金属である、請求項2に記載の二次電池。
  4. 前記炭素繊維は、空孔率が6体積%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の二次電池。
  5. 前記炭素繊維は、C/4レート充電容量に対する60Cレート充電容量の割合であるレート特性(%)が80%以上である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の二次電池。
  6. 前記炭素繊維は、C/4レート充電での平均充電電圧がLi基準電位で0.4V以上である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の二次電池。
  7. 前記正極は、前記負極の周りに形成された前記正極活物質を含む活物質層により形成され、
    前記分離膜は、前記負極の端面以外の外周面に形成されており、
    前記二次電池は、前記分離膜を介して前記正極と隣り合う状態で複数の前記負極が結束された構造を有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の二次電池。
  8. 前記負極は、50本以上が結束されている、請求項7に記載の二次電池。
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