JP6856154B2 - 空気調和システム - Google Patents
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Description
(1)全体構成
図1に示されている空気調和システム1は、空調対象空間SAに調和空気を供給するシステムである。空調対象空間SAには、建物BLの中の部屋RA1,RA2などがある。ここでは、空調対象空間SAが2つの部屋RA1,RA2である場合について説明するが、空気調和システム1は、種々の大きさ、種々の形状、及び様々な個数の部屋に対応させることができる。空気調和システム1が調和空気を供給する空調対象空間SAは、部屋RA1,RA2のように周囲(前後・上下・左右)が壁面で囲まれていることが好ましい。なお、空調対象空間SAは、部屋RA1,RA2に限られず、例えば、廊下、階段及びエントランスであってもよい。
(2−1)熱交換器ユニット10
熱交換器ユニット10は、利用側熱交換器11と、利用側熱交換器11を収納する中空のハウジング12と、メインコントローラ40とを備えている。ハウジング12は、吸込口81に接続される1つの空気入口12aと、複数のダクト20に接続される複数の空気出口12bとを有している。ここでは、空気入口12aが1つの場合を示しているが、空気入口12aは複数設けられてもよい。利用側熱交換器11は、例えば、フィンアンドチューブ式の熱交換器であり、伝熱フィンの間を通過する空気と、伝熱管の中を流れる冷媒の間で熱交換が行なわれる。空気入口12aから吸い込まれる空気が利用側熱交換器11を通過するときに、利用側熱交換器11を通過する冷媒と空気との間で熱交換が行なわれ、調和空気が生成される。利用側熱交換器11で生成された調和空気は、空気出口12bから各ダクト20a〜20bに吸い込まれる。
調和空気を分配する機能を有する複数のダクト20は、熱交換器ユニット10の複数の空気出口12bと複数のファンユニット30とを接続している。ここでは、各ファンユニット30と各吹出口ユニット70が直接接続されている場合について説明するが、ファンユニット30と吹出口ユニット70との間にもダクト20が配置され、ファンユニット30と吹出口ユニット70がダクト20で接続されてもよい。
各ファンユニット30が備える送風ファン32には、例えば遠心ファンを用いることができる。送風ファン32として用いられる遠心ファンには、例えばシロッコファンがある。各ファンユニット30が備えるケーシング31には、吸気口36と排出口37を有している。各ケーシング31の吸気口36には、各ダクト20の他端22が接続されている。各ケーシング31の排出口37には、各送風ファン32の吹出口が接続されるとともに、対応する吹出口ユニット70が接続される。送風ファン32から吹出された調和空気は、吹出口ユニット70の中を通って、吹出口71から吹出される。
熱源ユニット50は、熱交換器ユニット10の利用側熱交換器11の熱交換に要する熱エネルギーを供給する。図1に示されている空気調和システム1では、熱源ユニット50と熱交換器ユニット10との間で冷媒が循環し、蒸気圧縮式の冷凍サイクルが行なわれる。熱源ユニット50と熱交換器ユニット10は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルを行う冷凍サイクル装置を構成している。図1に示された例では、熱源ユニット50が建物BLの外に置かれ、外気を熱源としているが、熱源ユニット50の配置箇所は建物BLの外には限られない。
冷房運転時には、圧縮機51で圧縮されたガス冷媒が、四方弁54を通って熱源側熱交換器52に送られる。この冷媒は、熱源側ファン55によって流れる空気に熱源側熱交換器52で放熱し、膨張弁53で膨張して減圧され、ユニット内冷媒配管57と冷媒連絡配管91とユニット内冷媒配管131とを通って利用側熱交換器11に送られる。膨張弁53から送られてきた低温低圧の冷媒は、利用側熱交換器11で熱交換を行って吸込口81から送られてきた空気から熱を奪う。利用側熱交換器11で熱交換を終えたガス冷媒または気液二相の冷媒は、ユニット内冷媒配管132と冷媒連絡配管92とユニット内冷媒配管58及び四方弁54を通って圧縮機51に吸入される。利用側熱交換器11で熱を奪われた調和空気が、複数のダクト20、複数のファンユニット30及び複数の吹出口71を通って部屋RA1,RA2に吹出されることにより、部屋RA1,RA2の冷房が行われる。
暖房運転時には、圧縮機51で圧縮されたガス冷媒が、四方弁54及びユニット内冷媒配管58と冷媒連絡配管92とユニット内冷媒配管132を通って利用側熱交換器11に送られる。この冷媒は、利用側熱交換器11で熱交換を行って吸込口81から送られてきた空気に熱を与える。利用側熱交換器11で熱交換を行った冷媒は、ユニット内冷媒配管131と冷媒連絡配管91とユニット内冷媒配管57を通って膨張弁53に送られる。膨張弁53で膨張して減圧された低温低圧の冷媒は、熱源側熱交換器52に送られ、熱源側熱交換器52で熱交換を行い、熱源側ファン55によって流れる空気から熱を得る。熱源側熱交換器52で熱交換を終えたガス冷媒または気液二相の冷媒は、四方弁54を通って圧縮機51に吸入される。利用側熱交換器11で熱を与えられた調和空気が、複数のダクト20、複数のファンユニット30及び複数の吹出口71を通って部屋RA1,RA2に吹出されることにより、部屋RA1,RA2の暖房が行われる。
吹出口ユニット70は、中空のケーシング72の中に、エアフィルタ73を備えている。吹出口ユニット70a〜70dは、それぞれファンユニット30a〜30dに接続している。ファンユニット30から送られてきた調和空気は、エアフィルタ73を通って吹出口71から吹出される。ここでは、吹出口ユニット70がエアフィルタ73を備えている場合について説明しているが、吹出口ユニット70はエアフィルタ73を備えない構成であってもよい。
図4に示されているように、メインコントローラ40は、複数のファンコントローラ34及び熱源コントローラ56に接続されている。熱源コントローラ56は、例えば熱源ユニット50の中の各種の機器に接続されたプリント配線基板上に設けられている各種の回路により構成されており、圧縮機51、膨張弁53、四方弁54及び熱源側ファン55などの熱源ユニット50の中の各種の機器を制御する。また、メインコントローラ40は、各ファンコントローラ34を介して各リモートコントローラ60に接続されている。リモートコントローラ60a〜60dは、吹出口ユニット70a〜70dに対応しており、ファンユニット30a〜30dに接続されている。ここでは、リモートコントローラ60がファンコントローラ34を介してメインコントローラ40に接続される場合について説明しているが、リモートコントローラ60を直接メインコントローラ40に接続してもよい。ここでは、メインコントローラ40と複数のファンコントローラ34と熱源コントローラ56と複数のリモートコントローラ60が、有線で接続されている場合を示しているが、これらの全てまたは一部が無線通信によって接続されてもよい。
空気調和システム1では、複数のリモートコントローラ60から入力される設定風量が、複数のファンユニット30の供給空気量を決める基本的な供給空気量になる。しかしながら、設定風量を変えないとすると、設定温度に達した後に冷房運転では設定温度を下回り、暖房運転では設定温度を上回ってしまう。そこで、メインコントローラ40からの指令によって、室内空気温度を設定温度に収束させるために、各ファンユニット30の供給空気量を設定風量から変更する。メインコントローラ40は、室内空気温度と設定温度の温度差から空調負荷を算出し、各ファンユニット30の空調負荷と送風温度から必要な供給空気量を決める。例えば、室内空気温度が設定温度に一致して温度差がない場合には空調負荷が0になるので、メインコントローラ40は、室内空気温度が設定温度に一致しているファンユニット30については、設定風量が0でなくても送風を停止させる。ただし、吹出口71から熱交換器ユニット10に向けて空気を逆流させないために、空調負荷で判断すれば停止させるファンユニット30であっても逆流を抑制するために供給空気量を0にしないように制御されてもよい。
ファンユニット30a〜30dのファンコントローラ34は、それぞれ、4つのリモートコントローラ60の設定風量から各ファンユニット30a〜30dが供給する供給空気量を、メインコントローラ40に送信する。なお、停止しているファンユニット30も、吹出口71から熱交換器ユニット10に向けて空気を逆流させないために極めて僅かに送風する運転しているときには、その微少供給空気量を総風量に含めるように空気調和システム1を構成してもよい。あるいは、その微少供給空気量を総風量に含めないように空気調和システム1を構成してもよい。
空気調和システム1は、通常運転において、総風量が下限値以上の場合と、下限値より小さい場合で制御を変えている。
起動時から所定時間が経過して通常運転状態になったときに、メインコントローラ40は、総風量が下限値以上になっているか否かを判断する。下限値の設定については後述する。総風量が下限値以上になっていれば、メインコントローラ40は、次の手順で空気調和システム1の制御を行う。
メインコントローラ40は、総風量が下限値より小さいときには、算出した総風量と下限値との差である不足分を計算する。メインコントローラ40は、予め決められている風量分配規則に従って不足分を複数のファンユニット30に割り振る。複数のファンユニット30に不足分を割り振る際には、総風量が下限値以上であればよいので、不足分に一致する供給空気量を割り振る場合と、不足分以上の供給空気量を割り振る場合とがある。
空気調和システム1の総風量の下限値は、メインコントローラ40が、例えば熱交換器温度に基づいて判断する。例えば、冷房運転において、熱交換器温度が高い場合には、熱源ユニット50の熱エネルギーの供給能力が足りていないと判断して、総風量の下限値を高く設定する。そのような場合と比較して、冷房運転において、熱交換器温度が低い場合には、熱源ユニット50の熱エネルギーの供給能力に余裕があると判断して、総風量の下限値を前述の場合に比べて低く設定する。下限値の具体的な値については、例えば、空気調和システム1の実機の試験および/またはシミュレーションによって決定する。
例えば、ダクト20aとファンユニット30aと吹出口ユニット70aからなる分配流路において、熱交換器ユニット10から吹出口71に向う気流が正常な気流であり、逆に、吹出口71から熱交換器ユニット10に向う気流が、異常な気流であって、空気逆流である。ダクト20b〜20dとファンユニット30b〜30dと吹出口ユニット70b〜70dからなる分配流路においても同様に、吹出口71から熱交換器ユニット10に向う気流が空気逆流である。ファンユニット30a〜30dのそれぞれに1つずつ設けられている差圧センサ121は、その検出結果を、ファンコントローラ34を介してメインコントローラ40に送信する。
メインコントローラ40は、ファンユニット30の連動により空気逆流を解消する。具体的には、メインコントローラ40は、空気逆流が発生している分配流路に繋がっているファンユニット30を検知する。空気逆流の発生している分配流路のファンユニット30のファンコントローラ34に対して、メインコントローラ40からファンモータ33の回転数を増加させる指令を送信する。例えば、ファンモータ33が停止していた場合には、予め決まっている回転数で駆動を始める指令が送信される。また、例えば、ファンモータ33が低速で回転している場合には、さらにファンモータ33の回転数を上げる指令が送信される。
(4−1)変形例1A
上記第1実施形態では、熱交換器ユニット10にダクト20を直接接続する場合について説明したが、ダクト20を熱交換器ユニット10に間接的に接続してもよい。例えば、ダクト20と熱交換器ユニット10の間に、ダクト20を熱交換器ユニット10に接続するための複数の空気出口を持つアタッチメントを取り付けるように構成してもよい。接続可能なダクト20の本数が異なる複数種類のアタッチメントを準備することで、同じ機種の熱交換器ユニット10に接続できるダクト20の本数を変更することができる。
上記第1実施形態では、1台のファンユニット30に1つの吹出口ユニット70を接続する場合について説明したが、1台のファンユニット30に複数の吹出口ユニット70を接続するように構成してもよい。1台のファンユニット30に対して複数の吹出口71を設けてもよいということである。この場合、各吹出口ユニット70に対して、1つのリモートコントローラ60を設けるなど、各ファンユニット30に複数のリモートコントローラ60を接続してもよい。
上記第1実施形態では、部屋RA1,RA2の間の壁に、通風口79を設けて、吸込口81を1つだけ設ける場合について説明した。しかし、吸込口81を設ける数は、1つに限られず、複数であってもよい。また、吸込口81は、例えば、同じ部屋RA1に複数設けてもよく、異なる部屋RA1,RA2の両方に設けてもよい。吸込口81を各部屋RA1,RA2に設ける場合には、通風口79を設けなくてもよい。
熱交換器ユニット10に一端21が接続されたダクト20の他端22に接続されたファンユニット30に、さらに他のダクト20と他のファンユニット30が接続されてもよい。
上記第1実施形態では、1台の熱源ユニット50に1台の熱交換器ユニット10が接続される場合について説明したが、熱源ユニット50と熱交換器ユニット10の接続態様は、このような態様には限られない。例えば、1台の熱源ユニット50に複数台の熱交換器ユニット10を接続してもよい。また、複数台の熱交換器ユニット10に対して複数の熱源ユニット50を接続するように構成してもよい。これらの接続態様では、熱交換器ユニット10に、利用側熱交換器11を流れる冷媒の流量を調節する流量調整装置を設けてもよい。このような流量調整装置としては、弁開度を変更可能な流量調整弁がある。また、一つの冷媒回路200の中に複数の熱交換器ユニット10が設けられている場合に、複数の熱交換器ユニット10の中の特定の熱交換器ユニット10に冷媒を循環させる冷媒系統が冷媒回路200の中に形成されているときに、特定の熱交換器ユニット10の利用側熱交換器11を通過する風量の下限値が当該冷媒系統を循環する冷媒の状態または循環量に影響を与えるパラメータに応じて変わるように設定されていてもよい。
上記第1実施形態では、熱源ユニット50の圧縮機51が回転数を変更できるタイプである場合について説明した。しかし、熱源ユニット50には、圧縮機51として、回転数を変更できないタイプのものを用いてもよい。
上記第1実施形態では、空気調和システム1が冷房運転と暖房運転を切り換えられるように構成されている場合について説明した。しかし、上記第1実施形態の技術コンセプトは、冷房専用または暖房専用の空気調和システムに適用することができる。
上記第1実施形態では、熱源ユニット50と熱交換器ユニット10が接続されて、利用側熱交換器11に冷媒を流す冷凍サイクル装置を構成する場合について説明したが、熱源ユニット50は熱交換器ユニット10が接続されて冷凍サイクル装置を構成する場合に限らない。利用側熱交換器11に熱エネルギーを供給する熱源ユニットは、例えば、温水及び/または冷水などの熱媒体を供給するように構成してもよい。
上記第1実施形態では、起動時において、メインコントローラ40が、算出した利用側熱交換器11を通過する空気の総風量と、算出した熱交換器ユニット10に吸い込まれた空気温度から計算した冷媒回路200の必要な冷媒循環量を要求する場合について説明した。しかし、メインコントローラ40が要求する必要な冷媒循環量の決定方法は前述の方法には限られない。
上記第1実施形態の空気調和システム1では、総風量を主に決定して、それに熱源ユニット50の冷媒に係る条件を従わせるような制御をメインコントローラ40が行う場合について説明した。しかし、逆に熱源ユニット50の冷媒に係わる条件を主に決定し、その条件に従わせるように総風量を決定するように、空気調和システム1を構成してもよい。
上記第1実施形態の空気調和システム1では、圧縮機51の運転周波数を変更することで、冷媒回路200の冷媒循環量を調節している。しかし、空気調和システム1における冷媒循環量の制御は、圧縮機51の運転周波数の制御に限られない。例えば、圧縮機51の運転周波数とともに膨張弁53の弁開度を調節することによって冷媒回路200の冷媒循環量を調節するように制御してもよく、膨張弁53の弁開度を調節することによって冷媒回路200の冷媒循環量を調節するように制御してもよい。
上記第1実施形態では、利用側熱交換器11の熱交換器温度で総風量の下限値を決めたが、凝縮温度(TC)、蒸発温度(TE)、過熱度(SH)及び過冷却度(SC)を用いてもよい。過熱度は、例えば、利用側熱交換器11の入口温度と出口温度、あるいは利用側熱交換器11の入口圧力と出口温度を用いて算出することができる。過冷却度は、例えば、利用側熱交換器11の入口温度と出口温度、あるいは利用側熱交換器11の入口圧力と出口温度を用いて算出することができる。
(4−13−1)
第1実施形態では、熱交換器ユニット10から複数のダクト20を介して吸引して空調対象空間SAの複数の吹出口71に供給する調和空気の個別の供給空気量を変更できるように構成されている複数のアクチュエータとして、回転数を変更できるファンモータ33を例に挙げて説明した。しかし、アクチュエータはファンモータ33に限られず、例えば、複数のアクチュエータとして、図5に示されているダンパ38の駆動モータ39を用いてもよい。図5に示されている送風ファン32のファンモータ33は、第1実施形態と同様の回転数を変更できるタイプのモータであってもよいが、回転数を変更できないタイプのモータであってもよい。ファンモータ33が回転数を変更できないタイプであるときには、ダンパ38だけでファンユニット30から吹出口ユニット70への供給空気量(風量)を変更することになる。それに対して、ファンモータ33が回転数を変更できるタイプであるときには、ダンパ38の開度の変更だけでなく、ファンモータ33の回転数の変更も合わせてファンユニット30から吹出口ユニット70への供給空気量(風量)を変更することになる。
メインコントローラ40は、ファンユニット30の連動により空気逆流を解消する。空気逆流解消のために先ず、メインコントローラ40は、空気逆流が発生している分配流路に繋がっているファンユニット30を検知する。ファンユニット30がダンパ38のみで供給空気量を調整する構成の場合には、空気逆流の発生している分配流路のファンユニット30のファンコントローラ34に対して、メインコントローラ40からダンパ38の開度を変更させる指令を送信する。例えば、空気逆流が発生しているファンユニット30が運転していない場合には、ダンパ38を全閉にする指令が送信される。ファンモータ33を一定の回転で送風しながらダンパ38の開度によって送風しているときには通常は空気逆流が発生することは無いので、メインコントローラ40は、そのような場合に空気逆流が発生した場合には、例えばリモートコントローラ60を使って異常の発生をユーザに報知する。
上記第1実施形態では、空気逆流を検出する検出装置として、差圧センサ121が用いられる場合について説明したが、空気逆流を検出する検出装置は差圧センサ121を用いるものには限られない。このような検出装置として、指向性のある風速センサを用いてもよい。差圧センサ121に変えて指向性のある風速センサを用いる場合には、風速センサを例えばファンユニット30に配置してファンコントローラ34に接続する。指向性のある風速センサを用いる場合には、例えば、正の方向の風速を示すときには正常な方向に空気が流れ、その逆の負の方向の風速を示すときには空気逆流が発生していることを、メインコントローラ40が検知することができる。また、検出装置を複数の無指向性の風速センサを用いて構成することもできる。複数の無指向性の風速センサで風速の分布を検出し、風速の分布が逆流の際に生じる分布であれば、メインコントローラ40で、逆流が発生していると判断することができる。
上記第1実施形態では、空気逆流を検出する検出装置として、差圧センサ121が用いられる場合について説明したが、このような検出装置を、温度センサを用いた後述する逆流検知手段で構成してもよい。
上記第1実施形態では、差圧センサ121を用いて空気逆流を検出する場合について説明したが、送風ファン32のファンロータ35の逆回転を検出することで、空気逆流を検出するようにしてもよい。ファンロータ35の逆回転を検出する方法としては、例えば、ファンロータ35の逆回転で生じる起電力または電流を検出する方法がある。また、ファンロータ35の逆回転を検出する方法としては、ファンロータ35が逆回転したときにオンするスイッチを用いてもよい。
上記第1実施形態では、メインコントローラ40が熱交換器ユニット10に設けられる場合を例に挙げて説明した。しかし、メインコントローラ40が設けられる場所は、熱交換器ユニット10に限られるものではない。例えば、メインコントローラ40は、ファンユニット30に設けられてもよい。
上記第1実施形態では、熱交換器ユニット10に複数のダクト20a〜20dが接続され、各ダクト20a〜20dが途中で分岐せずに熱交換器ユニット10から各ファンユニット30まで延びている場合について説明した。しかし、空気調和システム1には、途中で分岐するダクトを用いることもできる。例えば、1つのダクトの分岐したそれぞれの分岐先に一つずつファンユニット30を接続するように、空気調和システム1を構成することもできる。
(5−1)
上述の空気調和システム1は、空気逆流を検出する検出装置である差圧センサ121、風速センサ、吹出温度センサ122、または空気出口温度センサ105が、複数のダクト20と複数のファンユニット30と複数の吹出口ユニット70の吹出口71からなる複数の分配流路に配置されて、分配流路の空気逆流を検出するように構成されている。このように各分配流路の空気逆流を検出することで、空気調和システム1は、空気逆流に対処する運転を行うことができるようになる。
上述の空気調和システム1では、特に、差圧センサ121、風速センサ、吹出温度センサ122または空気出口温度センサ105が複数の分配流路のそれぞれで空気逆流を検知するように構成されているので、複数の分配流路のそれぞれで空気逆流を検出することができる。また、空気逆流が生じた分配流路から他の分配流路に流入する空気の流れができた場合に対応する制御を行って、熱交換効率が低下するのを抑制することができる。
空気調和システム1は、空気逆流を検出する検出装置として、差圧センサ121、風向センサ、吹出温度センサ122および空気出口温度センサ105のうちの少なくとも一つを含んでいる。風向センサには、指向性のある風速センサが含まれる。空気調和システム1は、複数の分配流路の中の差圧センサ121、風向センサ、吹出温度センサ122および空気出口温度センサ105のうちの少なくとも一つが取り付けられている箇所で、空気逆流を精度良く検知することができる。
空気逆流を検出する検出装置が例えば吹出温度センサ122および空気出口温度センサ105であるなど複数の分配流路の中の空気の温度を使って空気逆流を検出するように構成する場合には、例えばサーミスタなどの安価な温度センサで空気逆流を検知でき、空気逆流の検知のためのコストの上昇を抑制し易くなる。
第1温度センサである吹出温度センサ122の検出する温度変化を使って空気逆流を検出する場合には、安価なセンサを使って且つ少ないセンサ数で分配流路の中の空気逆流を検出することができ、空気逆流の検出のためのコストを削減し易くなる。
異なる流域に取り付けられている第1温度センサである吹出温度センサ122及び第2温度センサである空気出口温度センサ105の温度差を使って空気逆流を検出する場合には、安価なセンサを使って分配流路の中の空気逆流を精度良く検出することができる。
複数の分配流路に取り付けられている第1温度センサである吹出温度センサ122と空調対象空間の温度を検出する第3温度センサである室内温度センサ61の温度差を使って空気逆流を検出する場合には、安価なセンサを使って分配流路の中の空気逆流を精度良く検出することができる。
複数のファンユニット30は、それぞれ内部にファンロータ35及びファンロータを回転させるファンモータ33を有している。空気逆流を検出する検出装置が、ファンモータ33及びファンロータ35のうちの少なくとも一方の回転を使って空気逆流を検出する装置である場合には、安価なセンサを使って分配流路の中の空気逆流を精度良く検出することができる。
上述の空気調和システム1は、利用側熱交換器11を通過する気流が複数のファンユニット30の空気吸込力のみによって発生するように構成されている。その結果、熱交換器ユニット10の中に気流を発生させる動力源を設けなくても済むことから熱交換器ユニット10の中に気流発生のための動力源を設ける場合に比べてコストを低減することができる。また、熱交換器ユニット10が動力源を持たないので、熱交換器ユニット10を薄型化し易くなり、空気調和システム1を設置できる範囲を広げることができる。
空気逆流を検出する検出装置によって空気逆流が検出された場合に、空気逆流が発生している分配流路のファンユニット30で空気逆流を打ち消す運転を行なうか、または空気逆流が発生している分配流路の空気流れをダンパ38または風向板74を使って遮断するように構成されているので、空気逆流による不具合を抑制しつつ空気調和システム1を運転することができる。
(6)全体構成
第1実施形態の空気調和システム1では、複数のファンユニット30の供給空気量に関する複数の指示により複数のアクチュエータをメインコントローラ40が制御する。このような形態は、第1実施形態の空気調和システム1の形態には限られない。複数のファンユニット30の供給空気量に関する複数の指示により複数のアクチュエータをメインコントローラ40が制御する空気調和システム1は、第2実施形態のように構成されてもよい。
10 熱交換器ユニット
11 利用側熱交換器
20,20a〜20d ダクト
30,30a〜30d ファンユニット
33 ファンモータ
35 ファンロータ
40 メインコントローラ
60 リモートコントローラ(第3温度センサの例)
105 空気出口温度センサ(第2温度センサの例)
121 差圧センサ(検出装置の例)
122 吹出温度センサ(第1温度センサの例)
Claims (9)
- 利用側熱交換器を有する熱交換器ユニットと、メインコントローラとを備え、前記利用側熱交換器での熱交換によって調和空気を生成し、前記調和空気を前記熱交換器ユニットに連通する複数の分配流路を介して空調対象空間に供給する空気調和システムであって、
前記各分配流路は、前記熱交換器ユニットに接続され、前記調和空気を分配するためのダクト(20,20a〜20d)と、前記ダクトに対応して設けられ、前記熱交換器ユニットから前記ダクトを介して吹出口に前記調和空気を供給するファンユニット(30,30a〜30d)とから構成されており、
前記各ファンユニットは、ファンコントローラと、前記ファンコントローラに接続され、前記吹出口から前記熱交換器ユニットに向う空気逆流を検出する検出装置(121,122,105)を備え、
前記各ファンコントローラは、前記検出装置による検出結果を前記メインコントローラに送信し、前記メインコントローラから与えられる目標供給空気量に供給空気量を近づけるように風量を増減させる制御を行い、
前記メインコントローラは、複数の前記ファンユニットの連動により空気逆流を解消することを特徴とする、空気調和システム。 - 前記検出装置は、前記複数の分配流路の中の差圧を検出する差圧センサ(121)及び/または前記複数の分配流路の風の流れる方向を検出する風向センサを含む、
請求項1に記載の空気調和システム。 - 前記検出装置は、前記複数の分配流路の中の空気の温度を使って空気逆流を検出する、
請求項1または請求項2に記載の空気調和システム。 - 前記検出装置は、前記複数の分配流路に取り付けられている第1温度センサ(122)を含み、前記第1温度センサの温度変化を使って空気逆流を検出する、
請求項3に記載の空気調和システム。 - 前記検出装置は、前記複数の分配流路の異なる流域に取り付けられている第1温度センサ(122)及び第2温度センサ(105)を含み、前記第1温度センサと前記第2温度センサの温度差を使って空気逆流を検出する、
請求項3に記載の空気調和システム。 - 前記検出装置は、前記複数の分配流路に取り付けられている第1温度センサ(122)と前記空調対象空間の温度を検出する第3温度センサ(60)を含み、前記第1温度センサと前記第3温度センサの温度差を使って空気逆流を検出する、
請求項3に記載の空気調和システム。 - 前記ファンユニットは、内部にファンロータ(35)及び前記ファンロータを回転させるファンモータ(33)を有し、
前記検出装置は、前記ファンモータ及び前記ファンロータのうちの少なくとも一方の回転を使って空気逆流を検出する、
請求項1に記載の空気調和システム。 - 前記利用側熱交換器を通過する気流が前記ファンユニットの空気吸込力のみによって発生するように構成されている、
請求項1から7のいずれか一項に記載の空気調和システム。 - 前記検出装置によって空気逆流が検出された場合に、空気逆流が発生している分配流路の前記ファンユニットで空気逆流を打ち消す運転を行なうか、または空気逆流が発生している分配流路の空気流れを遮断するように構成されている、
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の空気調和システム。
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