(1)概要
以下の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。以下の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
本実施形態の発電制御システム1は、図1に示すように、第1取得部(第2通信部12)と、第2取得部13と、生成部21と、出力部(第2通信部12)と、を備える。
第1取得部(第2通信部12)は、電力系統104に発電した電力(出力電力P1)を出力可能な発電システム100の出力電力P1の実績値を取得する。
第2取得部13は、電力系統104に逆潮流される逆潮流電力P2の実績値を取得する。
生成部21は、出力電力P1の指令値CMDを生成する。
出力部(第2通信部12)は、指令値CMDを発電システム100に出力する。
生成部21は、前回の指令値CMD(CMD1)に、逆潮流電力P2の実績値に応じたフィードバック量を加えて今回の指令値CMD(CMD2)を生成する。
生成部21は、前回の指令値CMD(CMD1)と出力電力P1の実績値との大小を比較した比較結果に基づいて前回の指令値CMD(CMD1)に代えて出力電力P1の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD(CMD2)を生成する。尚、以下の説明において、今回及び前回の指令値CMDを区別して説明する場合は、前回の指令値をCMD1、今回の指令値をCMD2と記載する。
本実施形態では、生成部21は、前回の指令値CMD1と出力電力P1の実績値との比較結果に基づいて、前回の指令値CMD1に代えて出力電力P1の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。よって、前回の指令値CMD1が出力電力P1の目標値からずれたために、前回の指令値CMD1よりも出力電力P1の実績値の方が目標値に近くなった場合、出力電力P1が目標値に制御されるまでの時間が短くなり、出力電力P1の制御の応答性の改善を図ることができる。
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、実施形態1に係る発電制御システムについて図面を参照して詳しく説明する。
発電制御システム1は、図1に示すように、電力の需要家の施設200内に設置された負荷105と電気事業者(例えば電力会社)等の有する電力系統104とに電力を出力可能な発電システム100に用いられる。「電力系統104に電力を出力する」とは、発電システム100が発電した電力を電力系統104に逆潮流させて売電することを意味する。発電システム100が電力系統104に出力する電力のことを「逆潮流電力」と呼ぶ。尚、逆潮流電力を「売電電力」と呼ぶ場合もあり、電力系統104から負荷105に供給される電力を「買電電力」という。ここで、発電システム100が電力系統104に発電電力を出力している状態を売電状態といい、電力系統104から負荷105に電力が供給されている状態を買電状態という。
発電システム100は、図1に示すように、分散型電源103と、パワーコンディショナ102とを有する。分散型電源103は、少なくとも太陽電池を含む。分散型電源103は、更に、蓄電池等を含んでもよい。
発電システム100は、分電盤109を介して電力系統104に接続されている。分電盤109は、パワーコンディショナ102及び電力系統104の少なくとも一方から供給される電力を負荷105に出力する。
発電システム100で発電される電力が、負荷105で消費する消費電力を超えている場合、余剰電力が生じる。余剰電力は、発電システム100の発電電力から負荷105の消費電力を引いた電力である。発電システム100が、分電盤109を介して、余剰電力を電力系統104に出力することにより、発電システム100を所有する需要家は、電気事業者に電力を売ることができる。尚、本実施形態では発電システム100は電力系統104と負荷105とに電力を供給可能であるが、発電システム100には負荷105が接続されていなくてもよく、この場合、発電システム100は電力系統104に電力を供給する。
ところで、電気事業者は、ある特定の期間に対して電力系統104に出力する電力を抑制するように、発電システム100を所有する需要家に要請することがある。発電システム100の出力を抑制する指示のことを「出力抑制」と呼ぶ。発電システム100は、電気事業者等から出力抑制の要請を受けた際に、発電システム100の出力を抑制するように制御する必要がある。そして、「出力抑制」の要請を受けた際には、少なくとも逆潮流電力がゼロとなるように発電システム100の出力を制限する必要があり、発電制御システム1が、電気事業者からの出力抑制を受けて発電システム100の出力電力を制御する。発電制御システム1の制御動作については「(3)動作」で説明する。
本実施形態は、いわゆる全量買取よりも余剰買取に関する技術に着目しているため、発電システム100は、一例として住宅用の発電システムであることを想定して説明する。余剰買取の場合には、発電システム100の出力電力を出力抑制で要請された抑制値以下に調整する制御に加えて、逆潮流電力をゼロにする制御が可能である。したがって、出力抑制の要請があった場合でも、施設200に設けられた負荷105の消費電力が出力抑制の抑制値を上回っている場合、発電システム100は、負荷105の消費電力までは出力電力P1を増やすことができる。尚、以下の実施形態において抑制値が100%の場合は、出力抑制の要請がない場合であり、発電システム100は出力電力P1が制限されていない状態である。
本実施形態の発電制御システム1及び発電システム100は、需要家の施設200の一例である戸建ての住宅に設けられている。発電制御システム1は、例えば戸建て住宅の住人(需要家)が所有する。
また、本実施形態では、需要家の施設200には、負荷105を管理するための制御機器2が設けられていることを想定する。制御機器2は、例えば、いわゆるHEMS(Home Energy Management System)コントローラとしての機能を有することを想定する。本実施形態の発電制御システム1は、制御機器2を介して、電気事業者が所有するサーバ装置101から「出力抑制」に関する情報(以下、「スケジュール情報」と呼ぶ)を取得する。
(2.2)負荷
負荷105は、施設200に設けられている電気機器を含む。施設200として一般的な戸建ての住宅を想定しているので、負荷105は、施設200内に設けられた複数の電気機器を含んでもよい。具体的には、負荷105は、例えば、電気給湯器、冷蔵庫、エアコンディショナ、洗濯機、炊飯器、電気暖房器具、風呂用の電気湯沸かし器等のいずれかに該当してもよい。
発電システム100が、創蓄連係システムであり、太陽電池以外に蓄電池を含む場合、負荷105は蓄電池を含んでもよい。言い換えれば、蓄電池は、放電中において、マイナスの電力を消費する負荷105と考えてもよい。
(2.3)分電盤
分電盤109は、発電システム100及び電力系統104の少なくとも一方から供給される電力を負荷105に出力する。
また、分電盤109は、パワーコンディショナ102から出力される発電システム100の電力を電力系統104に出力(逆潮流)する機能を有する。分電盤109が、パワーコンディショナ102からの電力を電力系統104に出力しているとき、需要家は、発電システム100で発電された電力を電気事業者に売電していることになる。
(2.4)サーバ装置
サーバ装置101は、電気事業者(例えば電力会社)が所有する装置である。サーバ装置101は、仲介業者(配信業者)が所有する装置であってもよく、この場合、電気事業者のサーバ装置と制御機器2との間において、データの中継を行うことになる。サーバ装置101は、出力抑制の対象となる複数の需要家に対してスケジュール情報を送信する。スケジュール情報は、少なくとも抑制値P10を含んだ情報である。スケジュール情報は、出力抑制の対象となる対象期間を更に含んでいることが望ましい。対象期間の情報としては、対象期間の開始のタイミングと、対象期間の終了のタイミングと、を含む。
抑制値P10は、出力抑制の度合いを指定するための情報である。電気事業者は、一例として、発電システム100が出力可能な最大電力(定格電力)に対する割合として百分率(%)で抑制値P10を指定することがある。具体的には、例えばある需要家の発電システム100の最大電力が5kWである場合、電気事業者が指定する抑制値P10が40%であるとすると、発電システム100の出力電力P1を2kWに抑制することが要求される。また、本実施形態では、抑制値P10と同様、出力電力P1の実績値、指令値CMD、逆潮流電力、負荷105の消費電力は、発電システム100が出力可能な最大電力(定格電力)に対する割合として百分率(%)で表される。
尚、抑制値P10、出力電力P1の実績値、指令値CMD、逆潮流電力、負荷105の消費電力が百分率(%)であることは単なる一例であり、実際の電力値(例えば実効値)であってもよい。ただし、出力抑制の対象となる複数の需要家に設置されている発電システム100には、最大出力のばらつきがあるため、公平性を考慮すれば、抑制値P10が最大出力に対する百分率(%)であることが望ましい。
また、対象期間の開始のタイミングと、対象期間の終了のタイミングとは、例えば日時情報である。スケジュール情報に複数の対象期間が含まれる場合、スケジュール情報には、対象期間ごとに異なる抑制値P10が含まれる。したがって、発電制御システム1は、スケジュール情報に基づいて、複数の対象期間のそれぞれで発電システム100の出力電力P1を調整することができる。
尚、サーバ装置101がスケジュール情報を各需要家へ向けて送信するタイミングは、様々である。例えば、サーバ装置101は、基本となる約400日分のスケジュール情報を制御機器2に送信する。また、サーバ装置101は、より短期間の天候状況等に応じてスケジュール情報を補正する差分情報を後追いで送信しており、制御機器2内に記憶されているスケジュール情報が更新される。
(2.5)発電システム
発電システム100は、上述したように、パワーコンディショナ102と分散型電源103とを備えている。
パワーコンディショナ102は、例えば、電波を用いた無線通信機能を有している。パワーコンディショナ102は、後述する発電制御システム1の第2通信部12と通信可能である。パワーコンディショナ102は、出力電力P1の目標値である指令値CMDの情報等を第2通信部12から受信するように構成されている。尚、本実施形態では、パワーコンディショナ102が、出力電力P1の目標値である指令値CMDに加えて、出力電力P1を変化させる傾きの情報を第2通信部12から受信する。ここで、「傾きの情報」とは、例えば出力電力P1を最小値から最大値(つまり、0%から100%)まで一定の傾きで変化させる場合に要する時間の情報であり、出力電力P1を変化させる速度(この速度を制御速度という。)の情報である。また、パワーコンディショナ102は、無線通信の代わりに、有線通信により発電制御システム1の第2通信部12との通信を行なってもよい。
パワーコンディショナ102は、発電制御システム1から出力電力P1の指令値CMDと制御速度の情報とを受信すると、分散型電源(太陽電池)103の出力に対して、指令値CMDと制御速度とに沿うように出力制御を行う。また、パワーコンディショナ102は、発電制御システム1から所定のタイミングで、又は定期的に送信される送信要求に応じて、現在の出力電力P1の実績値の情報を第2通信部12に送信するように構成されている。また、パワーコンディショナ102は、現在の出力電力P1の実績値の情報を第2通信部12に定期的に送信するように構成されていてもよい。
尚、発電システム100は、指令値CMD以外の情報を、例えば無線通信又は有線通信又により制御機器2又はサーバ装置101から取得するように構成されてもよい。
(2.6)制御機器
制御機器2は、上述の通り、負荷105である電気機器を管理するためのHEMSコントローラとしての機能を有する。制御機器2は、例えばインターネット(公衆通信網)を介して外部サーバと通信することにより、様々なデータを受信し、当該データに基づいて負荷105を制御する。この外部サーバは、図1に示されている電気事業者のサーバ装置101であってもよいし、負荷105のメーカが所有するサーバであってもよい。
また、制御機器2は、サーバ装置101と通信することにより、スケジュール情報を受信するように構成されている。制御機器2は、上述の通り約400日分のスケジュール情報を記憶しており、サーバ装置101から後追いでスケジュール情報の差分情報を受信するたびに当該スケジュール情報を更新する。
また、本実施形態の制御機器2は、後述する発電制御システム1の第1通信部11と、例えば電波を用いた無線通信により通信可能である。制御機器2は、無線通信の代わりに、有線通信により発電制御システム1の第1通信部11との通信を行なってもよい。
制御機器2は、少なくとも対象期間の開始のタイミングよりも前に、適宜のタイミングでスケジュール情報を発電制御システム1へ送信する。制御機器2は、例えば、サーバ装置101からスケジュール情報を受信すると即座に発電制御システム1へ送信してもよい。また、制御機器2は、サーバ装置101から受信したスケジュール情報を無加工で発電制御システム1に送信してもよいし、加工した上で発電制御システム1に送信してもよい。あるいは、制御機器2は、更新済みのスケジュール情報を発電制御システム1へ送信してもよい。
尚、制御機器2が、メモリカードからデータを読み取り可能なカードインターフェイスを備え、カードインターフェイスに接続されたメモリカードからメモリカードに記録されたスケジュール情報を取得してもよい。この場合、サーバ装置101は必須の構成ではなくて、適宜省略が可能である。
(2.7)発電制御システム
発電制御システム1は、制御部10と、第1通信部11と、第2通信部12(第1取得部、出力部)と、第2取得部13と、第3取得部14とを備える。
第1通信部11は、制御機器2と通信する通信機能を備えており、制御機器2から出力抑制のスケジュール情報を取得する。尚、第1通信部11は、サーバ装置101からスケジュール情報を直接受信してもよく、その場合、制御機器2は不要である。また、発電制御システム1が、メモリカードからデータを読み取り可能なカードインターフェイスを備えてもよい。発電制御システム1が、カードインターフェイスに接続されたメモリカードから、メモリカードに記録されたスケジュール情報を取得してもよく、サーバ装置101及び制御機器2は必須の構成ではなくて、適宜省略が可能である。
第2通信部12は、発電システム100のパワーコンディショナ102と通信する機能を備えている。第2通信部12は、有線又は無線の通信方式でパワーコンディショナ102と通信する。
第1取得部としての第2通信部12は、パワーコンディショナ102と通信することによって、パワーコンディショナ102から出力される出力電力P1の実績値の情報を、パワーコンディショナ102から取得する。また、出力部としての第2通信部12は、制御部10が生成した指令値CMDをパワーコンディショナ102に出力する。尚、本実施形態では発電制御システム1が、出力電力P1の実績値の情報をパワーコンディショナ102から取得しているが、出力電力P1の実績値を計測する計測回路から計測結果を取得してもよい。また、発電制御システム1が、出力電力P1の実績値を計測する計測回路を備えていてもよい。
第2取得部13は、電力系統104との連系点において発電システム100から電力系統104に出力される逆潮流電力P2の実績値を取得する。第2取得部13は、電力系統104との連系点に流れる電流を検出する電流センサCT1の検出結果をもとに逆潮流電力P2の実績値を演算により求めてもよいし、逆潮流電力P2を計測する計測回路から逆潮流電力P2の実績値の情報を取得してもよい。また、第2取得部13は、制御機器2から負荷105の消費電力の情報を取得してもよい。
第3取得部14は、負荷105で消費される消費電力P3の実績値を取得する。第3取得部14は、分電盤109から負荷105に流れる電流を検出する電流センサCT2の検出結果をもとに消費電力P3の実績値を演算により求めてもよいし、消費電力P3を計測する計測回路から消費電力P3の実績値の情報を取得してもよい。また、第3取得部14は、制御機器2から負荷105の消費電力の情報を取得してもよい。尚、第3取得部14は必須の構成ではなく、指令値CMDを生成する場合に負荷105で消費される消費電力P3の実績値が不要であれば、第3取得部14は省略されてもよい。
制御部10は、例えば、プロセッサ及びメモリ22を有するマイクロコンピュータで構成されている。つまり、制御部10は、プロセッサ及びメモリ22を有するコンピュータシステムで実現されている。プロセッサが、例えばメモリ22に記録されたプログラムを実行することにより、コンピュータシステムによって制御部10の各種の機能(例えば、指令値CMDを生成する生成部21の機能)が実現される。プログラムは、マイクロコンピュータのメモリ22に予め記録されていてもよいし、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の非一時的な記録媒体に記録されて提供されてもよい。メモリ22は、更新済みの最新のスケジュール情報を記憶していてもよい。
(2.8)動作
本実施形態の発電制御システム1の動作について説明する。
発電制御システム1は、所定の制御周期(例えば1分)が経過するごとに、制御機器2から取得した出力抑制のスケジュール情報等に基づいて、発電システム100の出力電力P1の指令値CMDを生成し、指令値CMDを発電システム100に出力する。指令値CMDは出力電力P1の目標値を示す情報である。本実施形態では、指令値CMDは、出力電力P1の最小値を0%、最大値を100%としたときの百分率で表される値であるが、出力電力P1の値(例えば瞬時電力、又は単位時間における電力量の値等)そのものでもよい。また、本実施形態では、発電制御システム1は、出力電力P1の目標値を示す指令値CMDに加えて、出力電力P1を変化させる制御速度の情報を発電システム100に出力しているが、指令値CMDのみを発電システム100に出力してもよい。発電制御システム1は、制御速度を変更する場合のみ制御速度の情報を発電システム100に送信してもよいし、制御速度の情報は発電システム100に予め設定されていてもよい。
図2は、出力抑制の抑制値P10と、指令値CMDと、負荷105の消費電力P3の実績値の一例を示す図である。図2において、抑制値P10、指令値CMD、消費電力P3の実績値は、発電システム100から出力される出力電力P1の最小値を0%、最大値を100%とした場合の割合(百分率)で表される。同様に、出力電力P1の実績値及び逆潮流電力P2の実績値も、発電システム100から出力される出力電力P1の最小値を0%、最大値を100%とした場合の割合(百分率)で表される。
時間t1までの対象期間では抑制値P10は100%であるので、発電システム100の出力電力P1の上限が100%となり、発電システム100の出力電力P1は抑制されていない状態となっている。時間t1までの対象期間では、生成部21は、発電システム100の出力電力P1を発電システム100が発電可能な最大値に制御するような指令値CMDと制御速度とを生成する。そして、第2通信部12が、生成部21によって生成された指令値CMD及び制御速度をパワーコンディショナ102に送信する。パワーコンディショナ102は、第2通信部12から受信した指令値CMD及び制御速度に基づいて、出力電力P1の実績値が指令値CMDと一致するように、制御速度にしたがって出力電力P1を増加又は減少させる。
時間t1において、出力抑制の対象期間が切り替わり、抑制値P10が100%から0%に低下すると、発電制御システム1の生成部21は、出力電力P1の目標値を0%(抑制値)とする指令値CMDと、その時の制御速度とを生成する。ここで、抑制値P10が変更された場合の制御速度は電気事業者等によって予め決定されており、制御部10のメモリ22に記録されている。生成部21が指令値CMD及び制御速度を決定すると、第2通信部12が、生成部21によって生成された指令値CMD及び制御速度を発電システム100に出力する。発電システム100のパワーコンディショナ102が、第2通信部12から指令値CMD及び制御速度を受信すると、受信した指令値CMD及び制御速度に基づいて、指定された制御速度で出力電力P1を100%から0%に変化させる。これにより、発電システム100は電力事業者等から要請された抑制指令を守ることができる。
生成部21は、制御周期が経過するごとに、第2通信部12が受信した出力電力P1の実績値をもとに、出力電力P1の実績値が指令値CMDに制御されたか否かを判断する。尚、生成部21は、制御部50の内部タイマを用いて発電システム100の出力電力P1の実績値が指令値CMDに制御されたか否かを判断してもよい。例えば、生成部21は、発電システム100の出力電力P1が一定の制御速度(傾き)で変化する場合に、現在の出力電力P1の実績値が指令値CMD標値に到達するのに要する制御時間を予め求めておく。そして、生成部21は、出力電力P1の実績値を指令値CMDに制御する制御動作を開始してから制御時間が経過したことを内部タイマで計時すると、発電システム100の出力電力P1の実績値が指令値CMDに制御されたと判断する。ここで、制御時間は、発電システム100の出力電力P1が一定の制御速度(傾き)で最小値(0%)から最大値(100%)まで変化するのに要する時間でもよい。
生成部21は、時間t2において出力電力P1の実績値が指令値CMD(この場合は抑制値の0%)に制御されたと判断すると、抑制値P10が次回変更されるまでの対象期間(時間t2〜t3)において、逆潮流電力P2をゼロにする逆潮流ゼロ制御を行う。
ここで、生成部21は、逆潮流電力P2がゼロを超えない範囲で、発電システム100の出力電力P1を増加させるように指令値CMDを生成する逆潮流ゼロ制御を行い、生成部21が生成した指令値CMDを第2通信部12が発電システム100に出力する。これにより、発電制御システム1は、逆潮流電力P2がゼロを超えない範囲で、発電システム100の出力電力P1を増加させることができる。尚、逆潮流ゼロ制御において、例えば出力電力P1が増加したり消費電力P3が減少したりすることで、逆潮流電力P2が発生した場合、発電制御システム1は、逆潮流電力P2が発生してから所定時間内に逆潮流電力P2をゼロにするよう要求されている。この所定時間は、例えば電気事業者によって決定されている時間であり、例えば5分間である。
発電制御システム1が逆潮流ゼロ制御を行う場合の動作について図3〜図5を参照して説明する。
発電制御システム1の制御部10は、所定の制御周期が経過するごとに、指令値CMDを生成する処理を行う。
制御部10は、第2通信部12からパワーコンディショナ102に所定のタイミングで送信要求を送信させることで、第2通信部12(第1取得部)にパワーコンディショナ102から出力電力P1の実績値を取得させる第1の取得処理を行わせる(図3のS1)。
尚、制御部10は、第2通信部12からパワーコンディショナ102に定期的に送信要求を送信させることで、第2通信部12にパワーコンディショナ102から出力電力P1の実績値を取得させてもよい。また、パワーコンディショナ102が発電制御システム1に出力電力P1の実績値を定期的に送信し、第2通信部12がパワーコンディショナ102から送信された出力電力P1の実績値を定期的に取得するように構成されてもよい。
また、制御部10は、第2取得部13に逆潮流電力P2の実績値を取得させる第2の取得処理を行わせる(図3のS2)。
第1及び第2の取得処理が終了すると、制御部10の生成部21は、指令値CMDを生成する生成処理を行い(図3のS3)、第2通信部12が、生成部21によって生成された指令値CMDをパワーコンディショナ102に出力する出力処理(図3のS4)を行う。
ここで、生成部21が行う生成処理について詳しく説明する。生成部21は、逆潮流電力がゼロになるように、前回出力した指令値CMD1に逆潮流電力P2の実績値に応じたフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成する。すなわち、生成部21は、下記の式(1)にしたがって指令値CMD2を生成する。
CMD2=CMD1+a1×(A1−P2) …(1)
ここで、A1は逆潮流電力P2の目標値であり、逆潮流ゼロ制御を行う場合にはA1はゼロとなる。a1はフィードバック係数であり、本実施形態では例えば0.9である。したがって、逆潮流ゼロ制御を行う場合には、逆潮流電力P2の実績値に応じたフィードバック量FB1は(−a1×P2)となる。したがって、逆潮流電力P2の実績値が正の場合、つまり電力系統104に電力を出力している売電状態では、フィードバック量FB1は負の値になる。また、逆潮流電力P2の実績値が負の場合、つまり電力系統104から電力の供給を受けている買電状態では、フィードバック量FB1は正の値になる。
また、生成部21は、指令値CMD2を生成する際に、前回の指令値CMD1と出力電力P1の実績値との大小を比較する。そして、生成部21は、前回の指令値CMD1と出力電力P1の実績値との大小の比較結果に基づいて、前回の指令値CMD1に代えて出力電力P1の実績値を用い、出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成する。この場合、生成部21は、下記の式(2)にしたがって指令値CMD2を生成する。
CMD2=P1+a1×(A1−P2) …(1)
具体的には、フィードバック量FB1が負であり、前回の指令値CMD1より出力電力P1の実績値が小さければ、生成部21は、出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成する。フィードバック量FB1が負であれば、逆潮流電力P2の実績値が正(つまり、売電状態)であるので、前回の指令値CMD1よりも小さい出力電力P1の実績値に、負のフィードバック量FB1を加えることで、出力電力P1を短時間で減少させることができる。よって、逆潮流電力P2をゼロにする制御の応答性の改善を図ることができる。
また、フィードバック量FB1が正であり、前回の指令値CMD1より出力電力P1の実績値が大きければ、生成部21は、出力電力P1の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。フィードバック量FB1が正であれば、逆潮流電力P2の実績値が負(つまり、買電状態)であるので、前回の指令値CMD1よりも大きい出力電力P1の実績値に、正のフィードバック量FB1を加えることで、出力電力P1を短時間で増加させることができる。よって、逆潮流電力P2をゼロにする制御の応答性の改善を図ることができる。
このように、生成部21は、前回の指令値CMD1と出力電力P1の実績値との大小の比較結果に基づいて、出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成している。したがって、前回の指令値CMD1が出力電力P1の目標値からずれたために、前回の指令値CMD1よりも出力電力P1の実績値の方が目標値に近くなった場合、出力電力P1が目標値に制御されるまでの時間を短くできる。よって、出力電力P1の制御の応答性の改善を図ることができる。
ここで、図4は比較例の発電制御システムによる逆潮流ゼロ制御を説明する説明図であり、出力電力P1の実績値と、消費電力P3の実績値と、指令値CMDとの関係の一例を示している。比較例の発電制御システムでは、上記の式(1)にしたがって指令値CMDを生成している。
時間t11から時間t13までの期間では、消費電力P3の実績値に比べて出力電力P1の実績値が小さいため、電力系統104から買電している状態となり、逆潮流電力P2の実績値は負になる。したがって、比較例の発電制御システムは、上記の式(1)にしたがって、前回出力した指令値CMD1よりも今回の指令値CMD2が大きくなるように、指令値CMD2を生成し、生成した指令値CMD2と制御速度とをパワーコンディショナ102に送信する。ここで、時間t11から時間t13までの期間では太陽電池に入射する日射量が少ないため、パワーコンディショナ102は、出力電力P1を増加させる指令値CMD2を受信しても、出力電力P1を増加させることができない。そのため、時間t11から時間t13までの期間において、制御周期dtが経過するたびに、出力電力P1を増加させるような指令値CMDが生成され、時間t12においては指令値CMDが100%に飽和している。つまり、指令値CMDが出力電力P1の実際の目標値からずれた状態となる。
その後、時間t13において太陽電池に入射する日射量が増加することで、出力電力P1が消費電力P3を超えると、発電システム100で発電された電力が電力系統104に出力される売電状態となる。このとき、比較例の発電制御システムは、逆潮流電力P2をゼロにするために、上記の式(1)にしたがって出力電力P1を低下させるように指令値CMDを生成する。つまり、比較例の発電制御システムは、前回出力した指令値CMD1にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成しており、時間t13において前回の指令値CMD1が100%で飽和しているので、指令値CMD1が低下するまでに長い時間がかかる。よって、パワーコンディショナ102の出力電力P1が低下するまでに長い時間がかかり、電気事業者等によって決定された所定時間T1(例えば5分)以内に逆潮流電力P2をゼロにする制御を行えない可能性がある。
一方、本実施形態の生成部21は、指令値CMDを生成する際に、前回の指令値CMD1と出力電力P1の実績値との大小を比較する。そして、生成部21は、比較結果に基づいて前回の指令値CMD1に代えて出力電力P1の実績値を用い、出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成している。
図5は、本実施形態の発電制御システム1における逆潮流ゼロ制御を説明する説明図であり、出力電力P1の実績値と、消費電力P3の実績値と、指令値CMDとの関係の一例を示している。
時間t21から時間t23までの期間では、消費電力P3の実績値に比べて出力電力P1の実績値が小さいため、電力系統104から買電している状態となり、逆潮流電力P2の実績値は負になる。したがって、生成部21は、上記の式(1)にしたがって、前回出力した指令値CMD1よりも今回の指令値CMD2が大きくなるように、指令値CMD2を生成する。生成部21は、買電状態において出力電力P1の実績値よりも前回の指令値CMD1の方が大きいので、前回の指令値CMD1にフィードバック量を加えて指令値CMD2を生成する。そして、第2通信部12が、生成部21によって生成された指令値CMD2と制御速度とをパワーコンディショナ102に送信する。ここで、時間t21から時間t23までの期間では太陽電池に入射する日射量が少ないため、パワーコンディショナ102は、出力電力P1を増加させる指令値CMD2を受信しても、出力電力P1を増加させることができない。そのため、時間t21から時間t23までの期間において、制御周期dtが経過するたびに、生成部21は出力電力P1を増加させるような指令値CMDを生成し、時間t22においては指令値CMDが100%に飽和している。つまり、指令値CMDが出力電力P1の実際の目標値からずれた状態となる。
その後、時間t23において太陽電池に入射する日射量が増加することで、出力電力P1が増加する。出力電力P1が消費電力P3を超えると、発電システム100で発電された電力が電力系統104に出力される売電状態となるので、生成部21は、逆潮流電力P2をゼロにするために、出力電力P1を低下させるような指令値CMDを生成する。時間t24では、売電状態において前回の指令値CMD1よりも出力電力P1の実績値の方が小さいので、生成部21は出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成する。したがって、生成部21が、前回の指令値CMD1にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成する場合に比べて、出力電力P1の実績値を短時間で低下させることができる。図5の例では時間t26には逆潮流電力P2をゼロに制御でき、逆潮流電力P2が発生してから所定時間T1以内に逆潮流ゼロ制御を実現できる。
(3)変形例
上記実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記実施形態は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
以下、上記実施形態の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
発電制御システム1と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。一態様に係る制御方法は、第1の取得処理と、第2の取得処理と、生成処理と、出力処理と、を含む。第1の取得処理(図3のステップS1)では、出力電力P1の実績値を取得する。第2の取得処理(図3のステップS2)では、電力系統104に逆潮流される逆潮流電力P2の実績値を取得する。生成処理(図3のステップS3)では、出力電力P1の指令値CMDを生成する。出力処理(図3のステップS4)では、指令値CMDを発電システム100に出力する。生成処理では、前回の指令値CMD1に逆潮流電力P2の実績値に応じたフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。また、生成処理では、前回の指令値CMD1と出力電力P1の実績値との大小を比較した比較結果に基づき、前回の指令値CMD1に代えて出力電力P1の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。また、一態様に係る(コンピュータ)プログラムは、コンピュータシステムに、第1の取得処理と、第2の取得処理と、生成処理と、出力処理と、を実行させるためのプログラムである。
本開示における発電制御システム1又は制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における発電制御システム1又は制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
また、発電制御システム1は、1つの装置で実現されているが、この構成に限定されない。発電制御システム1の第1取得部(第2通信部12)、第2取得部13、生成部21、出力部(第2通信部12)の機能のうちの少なくとも1つの機能が、2つ以上のシステムに分散して設けられてもよい。また、第1取得部(第2通信部12)、第2取得部13、生成部21、出力部(第2通信部12)の各々の機能が、複数の装置に分散して設けられていてもよい。例えば、生成部21の機能が複数のシステムに分散して設けられてもよい。発電制御システム1の少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。例えば、施設200の外部に設けられた外部のサーバで指令値CMDを生成し、発電制御システム1が、外部のサーバから受信した指令値CMDを発電システム100に出力することで、発電システム100の出力電力P1を制御してもよい。また、発電システム100が、外部のサーバから指令値CMDを直接受信して、出力電力P1を制御してもよい。
上記の実施形態では、発電制御システム1の生成部21が、指令値CMDを定期的に生成しているが、発電制御システム1が外部からの生成指示(例えば制御機器2からの生成指示)を受けると、指令値CMDを生成してもよい。例えば、生成部21は、第1通信部11が制御機器2から逆潮流電力P2の実績値の情報を生成指示として受信すると、指令値CMDを生成する処理を行う。また、生成部21は、第1通信部11が制御機器2から生成指示を受信できなければ、制御部10の内部タイマによって制御周期をカウントし、制御周期が経過するごとに指令値CMDを生成する処理を行えばよい。
また、生成部21は、逆潮流ゼロ制御において、前回の指令値CMD1よりも出力電力P1の実績値の方が負荷103の消費電力P3に近い場合、出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成してもよい。
すなわち、生成部21は、前回出力した指令値CMD1と出力電力P1の実績値とのうち第3取得部14で取得された消費電力P3の実績値に近い方を起点にして指令値CMD2を生成してもよい。つまり、生成部21は、前回の指令値CMD1よりも出力電力P1の実績値の方が負荷103の消費電力P3に近い場合、前回の指令値CMD1に代えて出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて今回の指令値CMD2を生成する。
このように生成部21は、出力電力P1の実績値及び前回出力した指令値CMD1のうち消費電力P3の実績値に近い方に、逆潮流電力P2の実績値に応じたフィードバック量を加えて指令値CMD2を生成している。したがって、出力電力P1の実績値及び前回出力した指令値CMD1のうち消費電力P3の実績値との差が大きい方を起点にして指令値CMD2を生成する場合に比べて、出力電力P1の実績値が消費電力P3の実績値に制御されるまでの時間が短くなる。よって、逆潮流電力P2をゼロに制御するまでの時間を短くできる。
また、生成部21は、逆潮流ゼロ制御において定期的に指令値CMDを生成しており、所定のタイミングから所定回数目に指令値CMD2を生成する場合に、出力電力P1の実績値に逆潮流電力P2の実績値に応じたフィードバック量FB1を加えて指令値CMD2を生成してもよい。ここにおいて、所定のタイミングとは、出力電力P1を増加させる増加期間(買電状態)から出力電力P1を減少させる減少期間(売電状態)に切り替わるタイミングと、減少期間(売電状態)から増加期間(買電状態)に切り替わるタイミングとの少なくとも一方である。また、所定回数とは、所定のタイミングから指令値CMD2を生成する回数であり、1〜数回程度の回数である。例えば、所定のタイミングの直後に指令値CMD2を生成する場合でもよいし、所定のタイミングから2〜3回目に指令値CMD2を生成する場合でもよい。
ここで、出力電力P1の増加期間又は減少期間において、指令値CMDに出力電力P1の実績値が追従できず、指令値CMDと出力電力P1の実際の目標値とにずれが発生する場合がある。このような場合、生成部21が、出力電力P1の実績値にフィードバック量FB1を加えて指令値CMD2を生成すれば、前回の指令値CMD1にフィードバック量FB1を加えて指令値CMD2を生成する場合に比べ、出力電力P1の目標値を短時間で制御できる。
また、本実施形態では発電制御システム1が1台の発電システム100の出力電力(P1)を制御しているが、施設200に複数の発電システム100が設けられ、発電制御システム1が複数の発電システム100の出力電力P1を制御してもよい。
この場合、生成部21は、複数の発電システム100のそれぞれで、上記実施形態及び変形例と同様の演算方法で指令値CMDを生成する。例えばフィードバック量が負(逆潮流電力P2の実績値が正)の場合、生成部21は、各発電システム100で前回の指令値CMD1より出力電力P1の実績値が小さければ、出力電力P1の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。また、フィードバック量が正(逆潮流電力P2の実績値が負)の場合、生成部21は、対象の発電システム100で前回の指令値CMD1より出力電力P1の実績値が大きければ、出力電力P1の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。
生成部21によって複数の発電システム100の指令値CMD2が生成されると、出力部としての第2通信部12が複数の発電システム100にそれぞれ複数の指令値CMDを2出力する。これにより、複数の発電システム100は、発電システム100ごとに生成された指令値CMD2にしたがって出力電力P2を制御できる。
なお、生成部21は、対象の発電システム100で前回の指令値よりも出力電力P1の実績値の方が、負荷105の消費電力P3の実績値に近い場合、出力電力P1の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成してもよい。
これにより、複数の発電システム100のそれぞれに最適な指令値CMDを出力して、複数の発電システム100の出力電力P1をそれぞれ制御することができる。
また、発電制御システム1が複数の発電システム100の出力電力P1を制御する場合に、生成部21が複数の発電システム100に共通の指令値CMDを生成してもよい。
生成部21が、複数の発電システムでの出力電力P1の実績値をもとに出力電力P1の代表値として、複数の発電システムでの出力電力P1の実績値の平均値を求める。尚、代表値は平均値に限定されず、複数の発電システムでの出力電力P1の最大値、最小値、中央値等でもよい。
そして、生成部21は、出力電力P1の代表値を用い、上記実施形態及び変形例と同様の演算方法で指令値CMDを生成する。例えばフィードバック量が負(逆潮流電力P2の実績値が正)の場合、生成部21は、対象の発電システム100で前回の指令値CMD1より出力電力P1の代表値が小さければ、出力電力P1の代表値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。また、フィードバック量が正(逆潮流電力P2の実績値が負)の場合、生成部21は、対象の発電システム100で前回の指令値CMD1より出力電力P1の代表値が大きければ、出力電力P1の代表値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成する。
生成部21によって複数の発電システム100の指令値CMD2が生成されると、出力部としての第2通信部12が複数の発電システム100にそれぞれ複数の指令値CMDを2出力する。これにより、複数の発電システム100は、発電システム100ごとに生成された指令値CMD2にしたがって出力電力P2を制御できる。
なお、生成部21は、対象の発電システム100で前回の指令値よりも出力電力P1の代表値の方が、負荷105の消費電力P3の実績値に近い場合、出力電力P1の代表値にフィードバック量を加えて今回の指令値CMD2を生成してもよい。
これにより、複数の発電システム100に共通の指令値CMDを出力して、複数の発電システム100の出力電力P1を制御することができる。また、生成部21は、出力電力P1の代表値を用いて複数の発電システム100に共通の指令値CMDを生成しているので、生成部21で指令値CMDを演算する負荷を軽減できる。
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様の発電制御システム(1)は、第1取得部(12)と、第2取得部(13)と、生成部(21)と、出力部(12)とを備える。第1取得部(12)は、電力系統(104)に発電した電力を出力可能な発電システム(100)の出力電力(P1)の実績値を取得する。第2取得部(13)は、電力系統(104)に逆潮流される逆潮流電力(P2)の実績値を取得する。生成部(21)は、出力電力(P1)の指令値(CMD)を生成する。出力部(12)は、指令値(CMD)を発電システム(100)に出力する。生成部(21)は、前回の指令値(CMD1)に逆潮流電力(P2)の実績値に応じたフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。生成部(21)は、前回の指令値(CMD1)と出力電力(P1)の実績値との大小を比較した比較結果に基づいて前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。
この態様によれば、前回の指令値(CMD1)と出力電力(P1)の実績値との比較結果に基づいて、前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成することができる。したがって、前回の指令値(CMD1)が出力電力(P1)の目標値からずれたために、前回の指令値(CMD1)よりも出力電力(P1)の実績値の方が目標値に近くなった場合、出力電力(P1)が目標値に制御されるまでの時間を短くできる。よって、出力電力(P1)の制御に関する応答性の改善を図ることができる。
第2の態様の発電制御システム(1)では、第1の態様において、生成部(21)は、逆潮流電力(P2)の実績値が正の場合にフィードバック量を負の値にし、逆潮流電力(P2)の実績値が負の場合にフィードバック量を正の値にする。
この態様によれば、生成部(21)は、逆潮流電力(P2)をゼロにするような指令値(CMD)を生成できる。
第3の態様の発電制御システム(1)では、第2の態様において、フィードバック量が負の値であり、前回の指令値(CMD1)よりも出力電力(P1)の実績値が小さい場合、生成部(21)は、前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。
この態様によれば、逆潮流電力(P2)の実績値が正(売電状態)の場合に、逆潮流電力(P2)をゼロにする逆潮流ゼロ制御の応答性の改善を図ることができる。
第4の態様の発電制御システム(1)では、第2又は第3の態様において、フィードバック量が正の値であり、前回の指令値(CMD1)よりも出力電力(P1)の実績値が大きい場合、生成部(21)は、前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。
この態様によれば、逆潮流電力(P2)の実績値が負(買電状態)の場合に、逆潮流電力(P2)をゼロにする逆潮流ゼロ制御の応答性の改善を図ることができる。よって、発電システム(100)の出力電力(P1)を増やすことができる。
第5の態様の発電制御システム(1)は、第1取得部(12)と、第2取得部(13)と、第3取得部(14)と、生成部(21)と、出力部(12)とを備える。第1取得部(12)は、負荷(105)及び電力系統(104)に発電した電力を出力可能な発電システム(100)の出力電力(P1)の実績値を取得する。第2取得部(13)は、電力系統(104)に逆潮流される逆潮流電力(P2)の実績値を取得する。第3取得部(14)は負荷(105)の消費電力(P3)の実績値を取得する。生成部(21)は、出力電力(P1)の指令値(CMD)を生成する。出力部(12)は、指令値(CMD)を発電システム(100)に出力する。生成部(21)は、前回の指令値(CMD1)に逆潮流電力(P2)の実績値に応じたフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。生成部(21)は、出力電力(P1)の実績値よりも前回の指令値(CMD1)の方が負荷(105)の消費電力(P3)の実績値に近い場合に、前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。
この態様によれば、出力電力(P1)の実績値と前回の指令値(CMD1)とのうち消費電力(P3)の実績値に近い方にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成することができる。したがって、逆潮流電力(P2)をゼロにするために、出力電力(P1)の実績値を消費電力(P3)の実績値に近づける場合には、出力電力(P1)の実績値を消費電力(P3)の実績値に制御するまでの時間を短くできる。よって、逆潮流電力(P2)をゼロにする逆潮流ゼロ制御の応答性の改善を図ることができる。
第6の態様の発電制御システム(1)では、第1〜第5のいずれか1つの態様において、発電システム(100)が複数ある。生成部(21)は、複数の発電システム(100)のそれぞれについて指令値(CMD)を生成する。出力部(12)は、複数の発電システム(100)に対応して生成部(21)が生成した複数の指令値(CMD)を、複数の発電システム(100)にそれぞれ出力する。
この態様によれば、複数の発電システム(100)のそれぞれの出力電力(P1)を制御できる。
第7の態様の発電制御システム(1)では、第1〜第5のいずれか1つの態様において、発電システム(100)が複数ある。生成部(21)は、複数の発電システム(100)での出力電力(P1)の実績値をもとに出力電力(P1)の代表値を求める。生成部(21)は、出力電力(P1)の実績値として出力電力(P1)の代表値を用いて、複数の発電システム(100)に共通の指令値(CMD)を生成する。出力部(12)は、生成部(21)が生成した共通の指令値(CMD)を、複数の発電システム(100)に出力する。
この態様によれば、生成部(21)は代表値を用いて複数の発電システム(100)に共通の指令値(CMD)を生成するので、生成部(21)での演算の負荷を軽減できる。
第8の態様の発電制御システム(1)は、第1取得部(12)と、第2取得部(13)と、生成部(21)と、出力部(12)とを備える。第1取得部(12)は、電力系統(104)に発電した電力を出力可能な発電システム(100)の出力電力(P1)の実績値を取得する。第2取得部(13)は、電力系統(104)に逆潮流される逆潮流電力(P2)の実績値を取得する。生成部(21)は、出力電力(P1)の指令値(CMD)を生成する。出力部(12)は、指令値(CMD)を発電システム(100)に出力する。生成部(21)は、逆潮流電力(P2)がゼロになるように指令値(CMD)を生成する逆潮流ゼロ制御を行う。生成部(21)は、逆潮流ゼロ制御において、所定のタイミングから所定回数目に指令値(CMD)を生成する場合に、出力電力(P1)の実績値に逆潮流電力(P2)の実績値に応じたフィードバック量を加えて指令値(CMD)を生成する。所定のタイミングとは、出力電力(P1)を増加させる増加期間から出力電力(P1)を減少させる減少期間に切り替わるタイミングと、減少期間から増加期間から切り替わるタイミングとの少なくとも一方である。
この態様によれば、所定のタイミングから所定回数目に指令値(CMD)を出力する場合、生成部(21)は、出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成することができる。したがって、前回の指令値(CMD1)が出力電力(P1)の目標値からずれたために、前回の指令値(CMD1)よりも出力電力(P1)の実績値の方が目標値に近くなった場合、出力電力(P1)が目標値に制御されるまでの時間を短くできる。よって、出力電力(P1)の制御の応答性の改善を図ることができる。
第9の態様のプログラムは、コンピュータシステムを、発電制御システム(1)として動作させるためのプログラムである。発電制御システム(1)は、電力系統(104)に発電した電力を出力可能な発電システム(100)に対して発電システム(100)の出力電力(P1)の指令値(CMD)を出力する。一態様のプログラムは、コンピュータシステムに、第1の取得処理と、第2の取得処理と、生成処理と、出力処理とを実行させる。第1の取得処理では、出力電力(P1)の実績値を取得する。第2の取得処理では、電力系統(104)に逆潮流される逆潮流電力(P2)の実績値を取得する。生成処理では、出力電力(P1)の指令値(CMD)を生成する。出力処理では、指令値(CMD)を発電システム(100)に出力する。生成処理では、前回の指令値(CMD1)に逆潮流電力(P2)の実績値に応じたフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。生成処理では、前回の指令値(CMD1)と出力電力(P1)の実績値との大小を比較した比較結果に基づいて前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。
この態様によれば、前回の指令値(CMD1)と出力電力(P1)の実績値との比較結果に基づいて、前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成することができる。したがって、前回の指令値(CMD1)が出力電力(P1)の目標値からずれたために、前回の指令値(CMD1)よりも出力電力(P1)の実績値の方が目標値に近くなった場合、出力電力(P1)が目標値に制御されるまでの時間を短くできる。よって、出力電力(P1)の制御の応答性の改善を図ることができる。
第10の態様の制御方法は、電力系統(104)に発電した電力を出力可能な発電システム(100)の出力電力(P1)を制御する制御方法である。一態様の制御方法は、第1の取得処理と、第2の取得処理と、生成処理と、出力処理とを含む。第1の取得処理では、出力電力(P1)の実績値を取得する。第2の取得処理では、電力系統(104)に逆潮流される逆潮流電力(P2)の実績値を取得する。生成処理では、出力電力(P1)の指令値(CMD)を生成する。出力処理では、指令値(CMD)を発電システム(100)に出力する。生成処理では、前回の指令値(CMD1)に逆潮流電力(P2)の実績値に応じたフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。生成処理では、前回の指令値(CMD1)と出力電力(P1)の実績値との大小を比較した比較結果に基づいて前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成する。
この態様によれば、前回の指令値(CMD1)と出力電力(P1)の実績値との比較結果に基づいて、前回の指令値(CMD1)に代えて出力電力(P1)の実績値にフィードバック量を加えて今回の指令値(CMD2)を生成することができる。したがって、前回の指令値(CMD1)が出力電力(P1)の目標値からずれたために、前回の指令値(CMD1)よりも出力電力(P1)の実績値の方が目標値に近くなった場合、出力電力(P1)が目標値に制御されるまでの時間を短くできる。よって、出力電力(P1)の制御の応答性の改善を図ることができる。
第2〜第4の態様に係る構成については、第1の態様に係る発電制御システムに必須の構成ではなく、適宜省略可能である。また、第6〜第7の態様に係る構成については、第1〜第5の態様に係る発電制御システムに必須の構成ではなく、適宜省略可能である。