JP6814406B2 - アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6814406B2
JP6814406B2 JP2017005382A JP2017005382A JP6814406B2 JP 6814406 B2 JP6814406 B2 JP 6814406B2 JP 2017005382 A JP2017005382 A JP 2017005382A JP 2017005382 A JP2017005382 A JP 2017005382A JP 6814406 B2 JP6814406 B2 JP 6814406B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
aluminum
oxide film
based member
surface structure
treatment
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017005382A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017160533A (ja
Inventor
春彦 村上
春彦 村上
藤田 昌弘
昌弘 藤田
中村 宗昭
宗昭 中村
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Suzuki Motor Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Suzuki Motor Co Ltd filed Critical Suzuki Motor Co Ltd
Publication of JP2017160533A publication Critical patent/JP2017160533A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6814406B2 publication Critical patent/JP6814406B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Pistons, Piston Rings, And Cylinders (AREA)
  • Cylinder Crankcases Of Internal Combustion Engines (AREA)

Description

本発明は、アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法に関し、さらに詳しくは、内燃機関に使用されるアルミニウム合金製のリング溝と冠面とを有するピストンなどの、アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法に関する。
従来、例えば特許文献1には、高い断熱性と高い耐食性を両立し、また高い耐久性および耐衝撃性を有し、且つ撥水性および撥油機能が高いアルミニウム系材料の陽極酸化処理方法及び内燃機関用ピストンを提供するために、アルミニウム系材料に交直重畳電解を印加して第二の酸化皮膜を形成する工程と、その工程の後に、アルミニウム系材料に直流電解を印加して第一の酸化皮膜を形成する工程とを備え、第一の酸化皮膜上に第二の酸化皮膜を形成することを特徴とする陽極酸化処理方法及び内燃機関の構造が開示されている。
また、車両等で使用されるアルミニウム系部材の断熱性や遮熱性を高めるために、該アルミニウム系部材の表面に、内部に空孔を有する陽極酸化皮膜を形成することが行われている。
例えば、特許文献2には、内燃機関の燃焼室に臨む壁面の一部もしくは全部に、低熱伝導かつ低熱容量の陽極酸化皮膜を具備する構成が記載されている。この特許文献2によれば、この陽極酸化皮膜は、その膜厚は30μm〜170μmの範囲にあり、陽極酸化皮膜の表面から内部に向かって厚み方向もしくは略厚み方向に延びる、直径がミクロサイズの第1のミクロ孔及び直径がナノサイズのナノ孔と、陽極酸化皮膜の内部にあって直径がミクロサイズの第2のミクロ孔とを有する。また、第1のミクロ孔およびナノ孔の少なくとも一部は封止物で封止されているが、第2のミクロ孔の少なくとも一部は封止されていない構造となっている。
特開2015−193915号公報 特開2015−31226号公報
本発明者の研究によれば、ピストンにおいてリング溝と冠面に求められる性能が異なることが分かってきた。リング溝では特に耐摩耗性(他には、表面平滑性(シール性)、機械的強度(硬さ)、伝熱性が求められ、冠面では特に遮熱性や断熱性求められる。さらに、遮熱性や断熱性以外に冠面に求められる性能として、冠面の最表面において、表面平滑性、機械的強度(硬さ)、伝熱性、耐カーボン付着性、耐異常燃焼性が求められることが分かってきた。
しかしながら、特許文献1や特許文献2には、要求の異なる性質の酸化皮膜を形成することについては、記載も示唆もない。例えば、ピストンにおけるリング溝と冠面に特許文献1の方法を適用すると、リング溝と冠面に二層の皮膜が形成されることになるが、その場合、リング溝と冠面それぞれに特に求められる性能が異なるにも関わらず、適切にそれぞれの性能を付与することが困難であった。
さらに、冠面において遮熱性や断熱性を高めるためには、より酸化皮膜の密度を低下させる必要があり、特許文献1の方法には改善の余地があった。
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、ピストンにおけるリング溝と冠面のような一つの部材において、表面平滑性、機械的強度という共通する特性を有するものの、一方の部位では耐摩耗性も求められ、他方の部位では遮熱性や断熱性も求められるというアルミニウム部材について、それぞれに適切な機能を付与することができる酸化皮膜を備えたアルミニウム部材の表面構造及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明に係るアルミニウム部材の表面構造及びその製造方法は、少なくともシリコン組成を含むアルミニウム系部材の表面の一部又は全部である第一の部位及び第二の部位に第二の酸化皮膜を備え、前記第二の部位に備えられた第二の酸化皮膜とアルミニウム系部材との間に、さらに第一の酸化皮膜とを少なくとも備え、前記第一の酸化皮膜は多孔質の酸化皮膜を備え、前記第一の酸化皮膜は表面から内部に向かって前記酸化皮膜の厚み方向に伸びる空孔と、前記第一の酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びるシリコン組成の内部に存在する空隙を少なくとも有することを特徴とする。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記空孔の平均直径よりも前記空隙の前記酸化皮膜の厚み方向の平均長さの方が長いことを特徴とする。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記アルミニウム系部材に含まれる前記シリコン組成の前記酸化皮膜の厚み方向の長さが1μm以上40μm以下であることを特徴とする。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記酸化皮膜の密度が1.1×10kg/m以下であることを特徴とする。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記酸化皮膜の熱伝導率が0.65W/m・K以下であることを特徴とする。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記アルミニウム系部材が、質量%で、Siが8.0%以上、かつ、Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの合計が2.9%以上であり、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム系部材であることを特徴とする。
また、上記の目的を達成するために、本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法は、第一の部位と第二の部位に処理浴を接触させて、交直重畳電解により陽極酸化処理を行い、第二の酸化皮膜を形成する工程と、第二の部位に処理液を接触させ、第一の部位に処理液を接触させないように、処理浴の液面とアルミニウム系部材の位置関係を変更するなどの手段により、前記位置関係を変更するなど、アルミニウム系部材と処理液が接する場所を変える工程と、第二の部位に処理液を接触させて直流電解により陽極酸化処理を行い、第一の酸化皮膜を形成する工程とを含むことを特徴とする。処理浴の液面とアルミニウム系部材の位置関係を変更する手段の別の手段として、特開2013−95925、特開2001−339889に示されるように、液面に関係なくマスキング材料を使用して、処理液を目的に合った流路に流し処理してもよい。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一態様では、前記アルミニウム系部材により内燃機関を構成する部材を形成することを含む。なお、本発明に係るアルミニウム系部材は、部品の一部でも全部でもよく、また、部品は、アルミニウム合金部品でも、その他の鉄系やチタン系の部材を含む部品でもよい。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一態様では、前記アルミニウム系部材はピストンであり、第一の部位は少なくともトップリング溝部を含むサイドウォール部であり、第二の部位は冠面である。他に、第一の部位が耐摩耗性を、第二の部位が遮熱性・断熱性を必要とするアルミニウム部材であれば、熱源(火炎、太陽光、熱湯、熱風、冷風、保冷剤、電磁ヒータなど)に制約なく、シリンダヘッド、シリンダブロック、バルブ、サッシ、鍋、マホービン、タービン等形状は問わない。
本発明によれば、アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法は、少なくともシリコン組成を含むアルミニウム系部材の表面の一部又は全部である第一の部位及び第二の部位に第二の酸化皮膜を備え、前記第二の部位に備えられた第二の酸化皮膜とアルミニウム系部材との間に、さらに第一の酸化皮膜とを少なくとも備え、前記第一の酸化皮膜は多孔質の酸化皮膜を備え、前記第一の酸化皮膜は表面から内部に向かって前記酸化皮膜の厚み方向に伸びる空孔と、前記第一の酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びるシリコン組成の内部に存在する空隙とを少なくとも有することを特徴とすることによって、第一の部位(例えばリング溝)では、第二の酸化皮膜により耐摩耗性を特に向上でき、第二の部位(例えば、冠面)の内部では、第一の酸化皮膜により遮熱性や断熱性を特に向上でき、かつ、最表面では、第二の酸化皮膜により表面平滑性、機械的強度(硬さ)、伝熱性、耐カーボン付着性、耐異常燃焼性を向上できる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記空孔の平均直径よりも前記空隙の前記酸化皮膜の厚み方向の平均長さの方が長い構成とすることによって、前記酸化皮膜の表面から伝わる熱を効果的に前記シリコン組成の内部の前記空隙で遮ることができる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記アルミニウム系部材に含まれる前記シリコン組成の前記酸化皮膜の厚み方向の長さが1μm以上40μm以下である構成とすることによって、空隙はサブミクロン以上の間隔で発生することが分かっていることから、シリコン組成の前記酸化皮膜の厚み方向の長さが1μm以上の場合、空隙が発生しやすくなり、また、シリコン組成の前記酸化皮膜の厚み方向の長さが40μm以下であることによって、周囲からの引っ張り応力に対して、空隙が生じやすくなることで、断熱性及び遮熱性を向上させることができる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記酸化皮膜の密度が1.1×10kg/m以下である構成とすることによって、体積比熱容量と熱伝導率を低下させ、皮膜に熱が篭り難くすることができ、高い断熱性及び遮熱性を得ることができる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記酸化皮膜の熱伝導率が0.65W/m・K以下である構成とすることによって、体積比熱容量の低減効果が増し、断熱性及び遮熱性が向上する。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一態様では、前記アルミニウム系部材は、質量%で、Siが8.0%以上、かつ、Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの合計が2.9%以上であり、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム系部材である構成とすることによって、従来よりも密度の低い多孔質酸化皮膜を形成することができるため、優れた断熱性及び遮熱性を発現することができる。また、前記空隙は前記シリコン組成の内部に存在し、酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びるため封孔処理過程で隙間が埋まり難くすることができ、かつ、皮膜表面から基材に伝わる熱を効果的に遮ることができる。金属酸化物である酸化アルミの封止剤に対する濡れ性は、金属であるシリコンよりも高く封止剤が回り込み易いためである。さらに、前記シリコン組成は前記アルミニウム系部材に均一に存在しているため、前記空隙を前記酸化皮膜に均一に設けることができ、前記酸化皮膜の熱ごもりを皮膜内部に渡り均一的に抑えることができる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一態様では、第一の部位と第二の部位に処理浴を接触させて、交直重畳電解により陽極酸化処理を行い、第二の酸化皮膜を形成する工程と、第二の部位に処理液を接触させ、第一の部位に処理液を接触させないように、処理浴の液面とアルミニウム系部材の位置関係を変更するなどの手段により、前記位置関係を変更するなど、アルミニウム系部材と処理液が接する場所を変える工程と、第二の部位に処理液を接触させて直流電解により陽極酸化処理を行い、第一の酸化皮膜を形成する工程とを含む構成とすることによって、リング溝と冠面の最表面に平滑で緻密な酸化皮膜を一度の電解処理により形成でき、また、その後ピストンの処理液との接触する場所変えることにより遮熱性や断熱性をもつ多孔質な酸化皮膜を第二の部位のみに形成することができ、一連の陽極酸化処理工程において、複数の機能を付与することができる。さらに、陽極酸化処理と別の工程で同様の目的を果たす技術に比較して、アルミニウム部材の取付けによる段取りを短縮し、同様の処理設備を使用することによる処理コストの低減という効果が得られる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一態様では、前記アルミニウム系部材により内燃機関を構成する部材を形成した構成とすることによって、前記したように低熱伝導性及び低体積比熱容量を達成することにより、前記内燃機関の熱効率を向上させることができる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一態様では、前記アルミニウム系部材はピストンであり、第一の部位は少なくともトップリング溝部を含むサイドウォール部であり、第二の部位は冠面である構成とすることによって、リング溝と冠面のそれぞれに適切な機能を付与した酸化皮膜を有するピストンを容易かつ安易に製造することができる。
本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態を示すもので、とくに、アルミニウム系部材の表面に酸化皮膜を形成する前と後の様子を示す断面図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態を示すもので、とくに、シリコン組成に空隙が形成される前と後の様子を示す断面図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態を概念的に示す断面図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態の断面写真を示すものである。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態の皮膜断面写真を示すものである。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態を適用した内燃機関における熱効率を示すグラフである。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態の成分分析した結果の一例を示すグラフである。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態を内燃機関のシリンダブロックに適用した場合の例を示す断面図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の一実施形態を適用したピストンにおける概念的な断面図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一実施形態を示すもので、とくに、酸化皮膜の成膜方法の概要を示す模式図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一実施形態を示すもので、とくに、酸化皮膜の成膜方法の一例を示す模式図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一実施形態を示すもので、とくに、酸化皮膜の成膜方法の他の例を示す模式図である。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一実施形態を適用したアルミニウム部材におけるもので、とくに、交直重畳電解処理後の皮膜断面写真を示すものである。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一実施形態を適用したアルミニウム部材におけるもので、とくに、交直重畳電解処理後の直流電解処理後の皮膜断面写真を示すものである。 本発明に係るアルミニウム部材の表面構造の製造方法の一実施形態を適用するピストンにおけるもので、とくに、その他の応用例を示す模式図である。
以下、添付図面を参照して、本発明に係るアルミニウム系部材の表面構造及びその製造方法の一実施の形態について説明する。図9、及び図10に示すように、アルミニウム系部材の表面構造は、アルミニウム合金基材30の表面の一部または全部である第一の部位30a及び第二の部位30bに第二の酸化皮膜32を備え、該第二の部位30bに備えられた第二の酸化皮膜32と該アルミニウム合金基材30との間に、さらに第一の酸化皮膜31とを少なくとも備える。
ここで、本発明に係るアルミニウム系部材の表面構造は、ピストンにおける冠面及びリング溝に適用することができ、図9及び図11に示すように、アルミニウム系部材はピストン10に、第一の部位30aはリング溝14に、第二の部位30bは冠面12に適用される。アルミニウム合金基材30は、少なくともシリコンと、処理液に溶解する金属成分と、アルミニウムと、不可避的不純物とを含有する
第一の酸化皮膜31についてより詳しく説明する。図1〜図3は、第一の酸化皮膜についての概要図である。図3に示すように、第一の酸化皮膜2は、アルミニウム合金基材1の表面に形成する多孔質の酸化皮膜であり、さらに、該第一の酸化皮膜2には少なくとも空孔2a、シリコン組成3、該シリコン組成3由来の空隙3a、及び溶解性金属由来の空隙2bを含む。シリコン組成3は、例えば不溶性シリコン粒子である。一方、第二の酸化皮膜32は、緻密で平滑な皮膜である。
次に、第一及び第二の酸化皮膜を形成する方法についてその概要を説明する。図10(a)に示すように、第一の部位30aと第二の部位30bに浴槽40内の処理液(硫酸浴)41を接触させて、交直重畳電解により陽極酸化処理を行うことにより、アルミニウム合金基材30の全周面に第二の酸化皮膜32を形成し、続いて、図10(b)又は(c)に示すようにアルミニウム合金基材30を引き上げたり、又は処理液41の液面42を下げたりして、該第二の部位30bに処理液41を接触させ、該第一の部位30aに処理液41を接触させないように、処理液41の液面42と該アルミニウム合金基材30の位置関係を変更し、該第二の部位30bに処理液を接触させて直流電解により陽極酸化処理を行い、アルミニウム合金基材30の表面であって第二の酸化皮膜32との間に第一の酸化皮膜31を形成する。
また、アルミニウム合金基材30の表面に処理液を接触させて陽極酸化処理を行うことにより、該アルミニウム合金基材30の表面のアルミニウムが陽極酸化され、これに伴いアルミニウム系部材は、体積膨張する。図1に示すように、tは、酸化皮膜2によってアルミニウム系部材の表面が体積膨張することによって増した厚さ分を示している。
前記のような体積膨張に伴い、陽極酸化されない皮膜内に含まれるシリコン組成3は、体積膨張する皮膜の成長に引っ張られて水平状に割れることで、該シリコン組成内に空隙3aが生じる。図2(a)は、空隙ができる前のシリコン組成3を示し、図2(b)は、空隙3aができた後のシリコン組成3を示している。
次に、アルミニウム合金基材30について説明する。アルミニウム合金基材30には、質量%で、シリコン組成が8.0%以上含まれていることを特徴としている。また、アルミニウム合金基材30には、主にはシリコン組成3の含有量により共晶シリコンと初晶シリコンの結晶粒が点在しており、その効果による高い耐摩耗性・摺動性・高温強度を特徴としている。このことから、ピストン、シリンダブロックといったエンジン部品や、オイルポンプなど、高温下で摺動する機構部品の材料として利用される。シリコン組成3の量が質量%で、8.0%以上であると、該シリコン組成3が粗大化するので、第一の酸化皮膜31を形成した際に、該シリコン組成3の内部に空隙3aができ易くなる。
アルミニウム合金基材30には、質量%で、Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの合計が2.9%以上含まれていることを特徴としている。溶解する金属成分であるCu、Ni、Mg、Mn、Zn、Feなど(陽極酸化処理時に溶解する成分)は、アルミニウム合金基材30に処理液を接触させ、電解処理した際に処理液中に溶け出して、これらの組成が存在していた場所が酸化皮膜のナノ、ミクロ両サイズの空隙2bとなるため、酸化皮膜における空隙率を向上させることができる。Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの量が合計質量%で、3.0%以上がより好ましく、4.0%以上がさらに好ましい。なお、これら組成の合計の上限は特に限定されないが、20%以下がより好ましく、11%以下がさらに好ましい。なお、これらの組成以外にも不可避的不純物として、酸化皮膜を形成する際に溶解しない不可溶不純物であるTiやZr、Sn、Cr、Pb等の組成を含んでいても良い。残部はAlである。
アルミニウム合金基材30には、シリコン組成3及び溶解する金属成分であるCu、Ni、Mg、Mn、Zn、Feなどのほかに、残部としてアルミニウムと不可避的不純物または添加物が含まれていることを特徴としている。アルミニウム合金基材30には、例えば、アルミダイカスト材、アルミ鋳物材、アルミ展伸材等がある。より具体的には、AC4、AC8、AC8A、AC9等のAC材、ADC10〜ADC14等のADC材、A4000等のアルミニウム合金であることが適当である。
次に、第二の部位30bについて説明する。第二の部位30bは、ピストンの冠面に適用され、冠面の最表面より内部では、第一の酸化皮膜31の形成により、特に遮熱性や断熱性が付与され、さらに、冠面の最表面において、第二の酸化皮膜32bの形成により、表面平滑性、機械的強度(硬さ)、伝熱性、耐カーボン付着性、耐異常燃焼性が付与される。
また、冠面の最表面におけるシリコンに限ると、シリコンの粒子形状を維持したまま第二の酸化皮膜32bで包含するため、さらにシリコンは熱伝導性が高いために、表面平滑性、機械的強度(硬さ)、耐カーボン付着性、耐異常燃焼性、特に伝熱性を高めることができる。
冠面の最表面より内部については、直流電解により第一の酸化皮膜31が形成され、これに伴い内部に含まれるシリコン組成3では、第一の酸化皮膜31の厚み方向に略直交する方向に伸びる空隙3aが発生するため、特に遮熱性や断熱性を向上させることができ、また、酸化皮膜の密度が1.10×10kg/m以下を達成できる。なお、酸化皮膜の密度は、好ましくは、0.9×10kg/m以下である。
次に、第一の部位30aについて説明する。第一の部位30aは、ピストンのリング溝に適用され、リング溝では、表面平滑性(シール性)、機械的強度(硬さ)、特に耐摩耗性が求められている。
リング溝では、冠面の最表面と同時に交直重畳電解により第二の酸化皮膜32aが形成されるが、これにより、耐摩耗性が向上するとともに、表面平滑性、機械的強度(硬さ)、耐カーボン付着性、耐異常燃焼性が向上する。
アルミニウム合金基材30の表面に形成された酸化皮膜の膜厚について説明する。酸化皮膜を電解処理により作製するにつき、被処理物である部品は、その陽極酸化処理面を洗浄、脱脂、電解エッチング等によって前処理し、処理後に処理液から取り出し、水洗、乾燥するものであることが好ましい。実際の酸化皮膜の膜厚は、主として時間もしくは電流密度、あるいは電圧によってコントロールされ、所定の性能を満たす膜厚とする。
また、アルミニウム合金基材30の表面に形成された酸化皮膜の膜厚は、第一の酸化皮膜31では、50μmから120μmが好ましい。より好ましくは、50μmから100μmの範囲である。膜厚が50μm以上であることによって、所望の機能を有する酸化皮膜を作製することができる。膜厚が120μm以下であることによって、短時間で酸化皮膜を成長させることができる。第二の酸化皮膜32では、5μmから20μmが好ましい。
第一の酸化皮膜31の空隙率について説明する。酸化皮膜31の空隙率は70%以上90%以下、更に好ましくは75%以上85%以下である。70%以上であることにより、体積比熱容量を低減できる。90%以下であることにより、使用に耐えうる皮膜強度を得ることができる。なお、第一の酸化皮膜31の空隙率とは第一の酸化皮膜31のかさ密度と真密度とに基づき算出したものである。
第一の酸化皮膜31の熱物性及び密度について説明する。まず、より高い断熱性及び遮熱性を得るためには、低熱伝導率、低体積比熱容量が必要である。熱伝導率λは、次式(1)に従って、密度α、比熱Cs、熱拡散率ρから計算される。また、体積比熱容量は密度と比熱をかけたものである。比熱は物質固有の値であるため、熱伝導率と体積比熱容量を低くするためには、どちらにも掛かる密度を低くすることが必要となる。
例えば、純アルミニウムを陽極酸化すると、熱伝導率2.6 [W/m・K]、体積比熱容量2.5 [×10kJ/m・K]と、どちらも非常に大きい。電解処理条件を変化させてナノレベルの気孔(空隙)を大きくすることで熱伝導率1.2 [W/m・K] 、体積比熱容量2.0 [×10kJ/m・K]と、どちらもある程度低下させることはできるが、皮膜に熱が篭り易くならないように体積比熱容量を低下させることは非常に重要である。実際、内燃機関の熱効率を上げる試みがたくさん行われたが、この体積比熱容量を下げることができず、実用が難しかった。
本実施形態では、図6に示すように、ガソリンエンジン向けのシミュレーションGT−POWERにより、熱伝導率と体積比熱容量に対する図示熱効率を解析した。ディーゼルエンジンについては、ノッキングがないため、ガソリンエンジン以上に熱効率の向上が得られることは周知のごとくである。解析の結果、特に、熱伝導率が0.65 [W/m・K]以下 、体積比熱容量が1.00[×10kJ/m・K]以下とすると変化率が0.1%pt超となり、効果が表れ易くなることが分かる。変化率0.1%pt以下では、実機ベースで、他の要因で向上代が掻き消され易く、数値として表面に現れ難いため0.1%pt超を基準とした。熱伝導率0.70 [W/m・K]では、体積比熱容量が1.00[×10kJ/m・K]と1.10[×10kJ/m・K]共に変化率0.1%ptで、体積比熱容量の低減効果が表れなかった。
以上の結果より、熱伝導率が0.65 [W/m・K]以下 、体積比熱容量が1.00[×10kJ/m・K]以下が好ましく、より好ましくは、体積比熱容量の低減効果がよりあらわれる熱伝導率が0.60 [W/m・K]以下 、体積比熱容量が0.90[×10kJ/m・K]以下とする。
第一の酸化皮膜31の密度について、酸化皮膜の比熱は、合金種により若干変動するが、概ね0.83[×10kJ/kg・K]程度であることが分かったため、体積比熱容量を1.00 [×10kJ/m・K]以下とするために、密度を1.1[×10kg/m]以下とする必要がある。より好ましくは、体積比熱容量を0.90 [×10kJ/m・K]以下とするために、皮膜の密度を1.00[×10kg/m]以下とする必要がある。更に好ましくは、体積比熱容量を0.80[×10kJ/m・K]以下とするために、皮膜の密度を0.90[×10kg/m]以下とする必要がある。合金成分を含む酸化アルミの密度は5[×10kg/m]程度となることがある。
次に第一の酸化皮膜31の空孔2aについて説明する。空孔2aの平均直径よりも、空隙3aの酸化皮膜の厚み方向の平均長さの方が長くなっている。これにより、酸化皮膜の表面から底面に伝わる熱を効果的にシリコン組成3の内部の空隙3aで遮ることができる。さらに、アルミニウム合金基材中のシリコン組成3は該アルミニウム合金基材中に均一に存在しているため、シリコン組成3と共に存在する空隙3aも酸化皮膜中に均一に存在している。これにより、酸化皮膜の表面から基材表面まで伝わる熱を通しにくくなり、酸化皮膜に熱が籠もってしまう可能性を低減することができる。
次に第一の酸化皮膜31のシリコン組成3について説明する。シリコン組成3では、空隙3aの発生は、該空隙3aが発生する単位面積当たりの応力がある一定以上である場合におこると考えられるが、シリコン組成3の大きさ、形状はシリコンの含有量、アルミニウム系部材1の熱処理条件、成分によって異なり一様ではない。空隙3aの発生し易さの観点からは、アスペクト比が高い方が空隙3aの単位面積当たりの応力が高くなるため有利であるが、アスペクト比が高まれば熱の伝わる経路が長くなり空隙3aを発生させる意味が低減される。よって、シリコンの大きさ、形状については、次に説明する数値とする。
シリコン組成3の、第一の酸化皮膜31の厚み方向の長さは1μm以上40μm以下である。空隙3aはサブミクロン以上の間隔で発生することが分かっており、シリコン組成3の垂直方向の厚さが1μm以上であることにより、空隙3aが発生し易くなる。また、40μm以下であることにより、周囲からの引っ張り応力に対する空隙発生面積が小さくなり(単位面積当たりの応力が増大)、空隙3aが発生し易くなる。
次に第一の酸化皮膜31の空隙3aについて説明する。空隙3aは、第一の酸化皮膜31の厚み方向に略直交する方向に伸びるシリコン組成3の内部に存在する。このため、空隙3aにより、シリコン組成3において熱伝導が遮られるので、結果的に、第一の酸化皮膜31の表面からアルミニウム系部材に伝わる熱を効果的に遮られる。これにより、アルミニウム系部材は高い断熱性・遮熱性を有することになり、熱の伝導率が高いシリコン組成3において熱が速やかに内部に伝えられる従来の欠点を解消することができる。図2(a)は、空隙3aが入る前の前記シリコン組成3を示し、図2(b)は、前記空隙3aが入った後のシリコン組成3を示している。なお、シリコン組成3の割れ易い形状としては、通常の球状よりも楕円や針状のようにより比表面積が大きい場合程割れ易い。
次にアルミニウム合金基材30の表面に行う交直重畳電解処理について説明する。本発明において、アルミニウム合金基材30の表面の第二の部位30b(冠面)と第一の部位30a(リング溝)に同時に交直重畳電解を行うことにより、耐摩耗性、表面平滑性(シール性)、機械的強度(硬さ)、伝熱性、耐カーボン付着性、耐異常燃焼性を付与することができる。
交直重畳電解による成膜法は、陽極酸化の初期にプラス電圧を印加する工程と、電荷を除去する工程とを繰り返することで、アルミニウム系部材に存在するシリコン組成3を酸化皮膜が包含することにより、第二の部位30b(冠面)の最表面と第一の部位30a(リング溝)に強度が高く平滑で緻密な皮膜を形成する。
交直重畳電解処理した酸化皮膜では、セルがセル径の2倍に満たない高さで球又は楕円形状をほぼ連続的に作り、そのセルがより集まってぶどうの房状に形成した構造となる。よって、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合が低くなる。これに対して従来の酸化皮膜では、セルが連続した筒状に形成され、セルの壁に対するセルが内包する孔の体積の割合が高くなる。つまり、交直重畳電解処理した場合、セルの成長方向が従来のように直線ではなく、母材の表面に対してランダムな方向に微細に折れ曲がっているため、方向が変わる箇所においては、侵入してきたガス、燃料等に対する抵抗が生じ、母材にまで進行するのを防ぐことができる。さらに表面粗さが低いことにより、燃料の付着を防止し、未燃物の固着を防止し、または、ガスシール性を向上することができる。
交直重畳電解処理により酸化皮膜が成長する過程で、酸化皮膜の成長の阻害となる不純物及び、または添加物が存在しても、析出した不純物及び、または添加物を回避し、包含しながら酸化皮膜のセルが成長する。従って、不純物及び、または添加物により酸化皮膜の成長が阻害されることなく、アルミニウム系部材1の表面にほぼ均等・均質的に酸化皮膜を形成することができ、孔が少なく緻密で硬い皮膜を形成することができる。
次にアルミニウム合金基材30の表面に行う直流電解処理について説明する。本発明において、アルミニウム合金基材30の表面の第二の部位30b(冠面)と第一の部位30a(リング溝)に同時に交直重畳電解法により予め密で膜厚が均等、かつ均質な皮膜を形成した後、第二の部位30b(冠面)のみに直流電解処理を行うことにより、低い成膜速度でシリコン組成3を破断しナノ、マイクロレベルの空隙3aを皮膜中に発生させる(シリコンの熱伝導を低減)ことにより、ピストン冠面に対して遮熱性や断熱性が得られる。なお、図2に示すシリコン組成3は模式的に形状を示すものであり、丸、四角、針状等いろいろな形状、大きさがあり、アスペクト比も種々異なる。
本発明では、従来の酸化皮膜形成後の封孔処理とは異なり、一連の同じ酸化処理の工程内で封孔処理の役割を果たす第二の酸化皮膜32を形成することができる。かつ、封孔の役割を果たす該第二の酸化皮膜32は、空隙3aを多く発生させる直流電解処理の前に形成されるため、その後に行なわれる直流電解処理により形成されたナノ、マイクロレベルの空隙3aを埋めることはない。
本発明による電解処理により、交直重畳電解による第二の酸化皮膜32と直流電解による第一の酸化皮膜31とは連続性をもち強固な一体的な皮膜構造となっており、アルミニウム合金基材30に含まれるシリコン組成3が酸化皮膜にしっかりと包括されるようになっている。そのため、燃焼時の耐爆発性や熱膨張・収縮の繰り返し応力の緩和性、耐衝撃性に優れる。さらに、交直重畳電解による第二の酸化皮膜32と直流電解による第一の酸化皮膜31とは同じ成分となるため、密着性不良、剥がれ、亀裂発生等に対する高い耐久性、信頼性を得ることができる。
本発明における電解処理による皮膜構造のような、リング溝と冠面のそれぞれに必要な機能を同じ工程内でピストンに付与した皮膜構造はこれまではなかった。本発明は、同じ処理液中、且つ同じ工程内で電解条件を変えて異なる機能をピストンに付与するもので、施工箇所の変更はピストンを上げるなどして、処理液中に浸漬される液面を位置変更して行う。
よって、酸化処理と別の工程で複数の機能を付与する技術に比較して、本発明における電解処理は、ピストンの取付けによる段取りを短縮し、同様の処理設備を使用することによる処理コストの低減という効果が得られる。
なお、交直重畳電解処理から直流電解処理に移行する間、交直重畳電解時の周波数を徐々に低減するなどの手法を用いてもよい。その後、直流電解処理することにより、両皮膜界面が構造的に連続性を持ち易くなる。
以上より、本案は二層成膜を基本とするが、より強度、耐食性を高める方法として、交直重畳電解処理と直流電解処理を繰り返し、多層化することも可能である。最終層としてアルミニウム系部材1との界面に接する層を交直重畳電解処理層とすれば、アルミの腐食防止効果をより向上することができる。
[試験例]
次に、硫酸浴の電解処理に使用したアルミ合金中の金属成分を計測した試験例について説明する。
下の表1は、硫酸浴の電解処理に使用したアルミ合金中のアルミ以外の金属成分を示すものである。直流電解法により電流密度一定で陽極酸化処理を行い、酸化皮膜2を35×15×2mmの試験片に形成した。陽極酸化処理は15℃、硫酸濃度300g/L、4.8A/dm、40分間処理した。皮膜の膜厚は合金成分によって異なり、68.7〜92.4μmであった。
密度測定用に10×10mmに切断した試験片の質量、マイクロメータを用いて各辺の長さを測定し、膜厚は試験片の断面から光学顕微鏡で観察して測定した。これらの測定値から皮膜の密度ρを算出した。
比熱Csは示差走査熱量計を用い、DSC法により算出した。熱伝導率λの算出は、前記式(1)を用い、熱拡散率αは、レーザフラッシュ法により測定した。また、皮膜の表面から基材内部に対する成分分析をグロー放電発光分光分析装置GDSで行った。その結果の一例を図7のグラフに示す。Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeは溶解する金属成分で、Si及びその他の金属は溶解しない金属成分である。実施例1〜4での合金成分、特にSiの含有量が8質量%以上、溶解性の金属成分が2.9%以上のアルミ合金表面に作製された皮膜の密度は、1.10[×10kg/m]以下であった。溶解する金属を使用した場合、その部分が空隙となり、また、溶解しない金属Si粒子内では亀裂が発生し、その周辺で皮膜の成長阻害、体積膨張による空隙が発生するためである。
特に、溶解しないSi粒子が、垂直方向の厚さが1μm以上、40μm以下とすると酸化皮膜2の熱伝導率を低くする金属が水平に割れた構造(表面から皮膜内部への熱伝導方向とは垂直な方向)となり、該酸化皮膜2の熱伝導率が低減される。
図4と図5は、表1中の実施例4で作製した酸化皮膜2の断面を写真で示すものである。ここで、図4は光学顕微鏡写真、図5はSEM写真である。これらの断面写真は、試験片を樹脂で埋め込み、その表面を研摩することにより皮膜断面を観察したものである。断面写真から金属の溶解による空隙2b、及び酸化皮膜2の成長を阻害する金属Si粒子内の空隙3aが多数形成されていることが分かる。但し、全ての空隙に印を付けているわけではない。
また、図5に示すように溶解しないシリコン組成3の内部が水平方向に破断され、その間に空隙3aが存在することが確認できる。但し、全ての空隙に印を付けているわけではない。この微構造によりシリコン組成3内の熱伝導を阻害し、その結果、熱伝導率は低減する。なお、下の表2に示した比較例1及び2では、Siの含有量が少なく且つ溶解性金属の合計の含有量も少ないため、密度を1.10[×10kg/m]以下とすることはできなかった。
更に、実施例1では、硫酸濃度300g/L、電流密度4.8A/dmの条件で陽極酸化処理をした、同様の金属成分で構成される試験片を用いて、電流密度と硫酸濃度を変えて陽極酸化処理した結果を表3に示す。表3に示すように、電流密度4.8[A/dm]の場合には、皮膜密度は1.10[×10kg/m]以下となったが、それ以上の電流密度では、硫酸濃度を変えても、皮膜密度は1.10[×10kg/m]以下とすることはできなかった。
次に、より具体的にアルミニウム合金製のピストンへの酸化皮膜の成膜方法について説明する。図11(a)に示すように、ピストン10を治具に取付け、その治具の上にあるシャフト44にカム機構を設け回転する。始めにピストン10の冠面12に及びリング溝14がすべて処理液41に浸かるように配置し、交直重畳電解により酸化処理して緻密な第二の酸化皮膜を形成し、その後、図11(b)に示すように、シャフト44を持ち上げ、ピストン10のリング溝14が浴槽40の液面42よりも上になるように高さを変更し、直流電解処理により今度は多孔質な第一の酸化皮膜を冠面12に形成する。
また、ピストンへの酸化処理方法の別の態様として、図12に示すように、ピストンの高さは変えず、容器46を使用して槽内の液面高さを変える。例えば図12(a)に示すように、水等が入った樹脂製容器46を浴槽40内の処理液41中に沈め、交直重畳電解処理を行って緻密な第二の酸化皮膜を形成した後、図12(b)に示すように、その容器46を浴槽40から取り出し液面42の高さをピストンのリング溝14よりも低くして、直流電解処理により、多孔質の第一の酸化皮膜を冠面12に形成することができる。
次に、このような工程によりピストンの酸化処理を実施した例を次に示す。実施例1に示す金属成分を使用して、リング溝部と冠面に交直重畳電解法により酸化処理し皮膜を形成した。陽極酸化の電解処理条件は、10kHz、13℃、硫酸濃度200g/Lで、正極20V、負極2V、15分間処理を行なった。
図13に示すように、図4に示す直流電解による酸化皮膜と比較して、交直重畳電解による酸化皮膜は空隙が非常に少なく、また、溶解しないシリコン粒子の周囲及び粒内には空隙が非常に少ないことが分かる。
さらに、ピストンを少し持ち上げ、冠面のみに直流電解による電流密度4.8[A/dm]を印加し陽極酸化処理した。
試験片を樹脂で埋め込み、その表面を研摩することにより、光学顕微鏡で冠面部分の酸化皮膜の断面を観察した。図14に示すように、断面写真では、表層には交直重畳電解による緻密で平滑な酸化皮膜が観察され、また、その下に、直流電解による多孔質の酸化皮膜すなわち、金属の溶解による空隙2b、及び酸化皮膜の成長を阻害する金属Si粒子内の空隙3aが多数形成されていることが分かる。但し、全ての空隙に印を付けているわけではない。尚、図14の交直電解処理条件は、図13と異なる。
次に、本発明に係るアルミニウム系部材の表面構造の他の実施形態における応用例について説明する。図15(a)、(b)に、形状の異なるピストンを示す。どちらのピストン10a、10bにおいても燃焼部にキャビティー16を設けている。このような場合、リング溝と共に冠面に酸化皮膜を形成するが、(1)冠面及びキャビティー部に交直重畳と直流の電解処理を行うか、(2)冠面のキャビティー部のみに交直重畳電解処理及び直流電解処理を行うか、(3)冠面のキャビティー部のみに交直重畳電解処理を行い、それ以外の部分に交直重畳電解処理及び直流電解を行うか、若しくはその逆を行うか、または、(4)冠面のキャビティー部以外に交直重畳電解処理及び直流電解処理を行う。
遮熱機能や断熱機能をどの面に、どの程度もたせるか、または、どのような表面性状(表面粗さ、デポジット防止など)を付与したいかにより、酸化処理の方法を決めればよい。尚、冠面全面以外に酸化処理したい場合は、マスキング治具等を使用し行い、また、キャビティーにエアーポットが発生しないように適宜ポンプ等により溶液をキャビティー部に向け送流することにより処理する。
次に、本発明に係るアルミニウム系部材の表面構造の他の実施形態について説明する。
本発明の所望の低熱伝導率かつ低体積比熱容量の陽極酸化皮膜について、他の実施形態について説明する。この目的をアルミニウム合金基材で果たすことが難しい場合、その成分とは異なるアルミニウム合金基材を使用して、陽極酸化皮膜2を形成することができる。使用するアルミニウム合金の形成方法としては、めっき、溶射、蒸着、嵌合、鋳込みなどの方法がある。その場合、陽極酸化皮膜2の形成に使用されるアルミニウム合金基材の成分とは異なるアルミニウム合金基材の他に、基材として鉄製、チタン製金属の材料が使用される。
上記した実施形態を適用したアルミニウム系部材は、内燃機関の燃焼室を構成する部材として使用することができる。内燃機関の燃焼室とは、例えば、ピストン10、シリンダ20及びシリンダヘッド22で囲まれた部分である(図8参照)。より具体的には、ピストン10の冠面12と、シリンダ20と、シリンダヘッド22の底面とに囲まれる部分である。これらのうち、アルミニウム系部材を用いる部品であるピストン10及びシリンダヘッド22に本実施の形態のアルミニウム系部材を用いて形成すれば、それらの部品の耐久性及び断熱性を向上することができる。このようなシリンダ20は、シリンダブロック23に鋳鉄製のシリンダスリーブ24を鋳込むことにより形成できる。
その他、例えば、シリンダスリーブ24を使用しないスリーブレスの内燃機関の場合、シリンダブロック23のボア内面がシリンダ20となる。したがって、ボア内面に本実施の形態のアルミニウム系部材を使用すれば、耐久性、断熱性、摺動性等を向上することができる。ボア内面にアルミニウム系部材を使用する場合は、合わせてめっき皮膜や溶射皮膜を形成してもよい。
その他、本発明を適用するに適した燃焼室壁面をもつ部品として、アルミ合金製ピストン、マグネ合金製ピストン、鉄系ピストン、アルミ合金製シリンダ、鉄系シリンダ、鉄製スリーブ、アルミ製スリーブ、鉄系バルブ、チタン系バルブなどがある。めっき、溶射、蒸着を用いれば、部品の表面形状に沿って、酸化皮膜2を形成することができる。
また、アルミ合金基材1の形状は、シリンダ内に適用する場合はリング状に形成して該シリンダ内に嵌合するようにし、燃焼室以外の吸気・排気ガス通路に適用する場合は、通路形状に沿って部品に鋳込むようにすれば良い。図8は燃焼上部にリング状アルミ合金を鋳込む、あるいは圧入した場合の断面を示している。
また、シリンダブロック23の燃焼室内側に本発明を適用する場合、アルミ合金製シリンダブロック自身を陽極酸化して酸化皮膜2を形成する方法と、シリンダブロック23とは金属成分が異なる場合に、シリンダブロック23とは別部品として形成し、これをシリンダ20に鋳込む、あるいは圧入するようにしても良い。
さらに、燃焼ガスに触れる面に本発明を適用する場合は、シリンダブロック23のピストンリング25と触れる面を含む全面、あるいは触れない燃焼上部のみ(例えば、シリンダヘッドの燃焼室に臨む面)に本発明を適用すればよい。さらにアルミ合金製シリンダブロック23にアルミ合金(アルミ−シリコン系)を溶射した後、陽極酸化することも可能である。これにより、アルミ合金基材1に求められる機械的な機能とは別の熱的特性に特化した酸化皮膜2を形成することができる。
このように、本実施形態に係るアルミニウム系部材を用いて内燃機関を構成する部材を形成した場合には、本実施形態に係るアルミニウム系部材が低熱伝導性及び低体積比熱容量を達成したものであることから、内燃機関の熱効率を向上させることができる。
さらに、本実施形態に係るアルミニウム系部材の表面構造では、封孔処理工程として、一般的な封孔処理を適用して、酸化皮膜の表面側の孔を塞ぐようにしても良い。このような封孔処理としては、強塩基性封孔浴、沸騰水封孔、ニッケル塩封孔等が挙げられる。本発明に係る実施形態では、封孔処理工程として、封孔液を、アルミニウム系部材の酸化皮膜の表面に付着させることにより、酸化皮膜の空孔を、封孔液に浸透させる。封孔液は、酸化皮膜の空孔に侵入して空孔中にて化合物を形成する。特に封孔液は、主に酸化皮膜のナノサイズの空孔に侵入して化合物を形成する。
これにより、空孔は封孔生成物で封孔されているので、アルミニウム系部材の表面から酸化皮膜の内部に熱が伝わり難くなり、断熱性・遮熱性を向上させることができる。さらにまた、アルミニウム系部材の表面に腐食性物質が付着しても、空孔を通じて酸化皮膜の内部に腐食性物質が伝わりにくいので耐久性を向上させることができる。
強塩基性封孔浴を用いる封孔処理工程では、酸化皮膜を有するアルミニウム系部材に処理液を塗布やスプレーし、又は、アルミニウム系部材を処理液に浸漬し、空気中で保持してから水洗及び乾燥して行うことが好ましい。また、酸化皮膜を有するアルミニウム系部材を処理液に浸漬し、0.5分以上で処理液から取り出し、水洗及び乾燥することが好ましい。塗布やスプレーによる封孔処理方法は、部分的に封孔処理することができる。このため、大型部品を処理する場合のように、処理の上で、大型部品を浸漬するための大型の槽は不要とすることができる。
本発明に係るアルミニウム系部材の表面構造によれば、空隙はシリコン組成の内部にできるため、封孔処理の影響を受けにくい。通常封孔処理は酸化皮膜に存在する酸化アルミニウムを水和物に変化させて、酸化アルミニウムの体積膨張によって空孔を埋める。ここで、空隙はシリコン組成の内部にあり、その周囲には酸化アルミニウムが存在しない(少ない)ので、封孔処理等を行なっても空隙が埋まりにくい。
その他、酸化皮膜の表面の孔を塞ぐ方法としては、上記方法の他に封孔処理やシリカコートを行うようにしても良い。例えば、このような方法により封孔処理を行う場合、シリコン組成の周囲にできる空隙は塞がってしまうが、シリコン組成の亀裂によって生じる隙間は大きく濡れ性も異なるため、塞がることはない。このため、酸化皮膜に、低密度皮膜を維持したまま、断熱性、遮熱性、耐食性を付与することができる。
さらに、本実施形態では、上記方法により作製された酸化皮膜の上に、交直重畳により電解処理された緻密な酸化皮膜をさらに形成するようにしてもよく、もしくは、封孔処理を行う、ポリシラザンなどのシリカ皮膜を作製することで封止するようにしても良い。これにより、酸化皮膜の強度の補強や、表面のナノ孔やミクロ孔が塞がれ、かつ、平滑な皮膜表面とすることができるため、燃料の付着、未燃物の固着を防止し、高い断熱性や遮熱性を付与し、燃焼ガスの流れを妨げにくくすることができる。さらに、交直重畳層と直流層により多層とすることにより、強度低下を補足することができる。封孔処理、ポリシラザンによっては、垂直方向への封孔が優先的に行われ、かつ、封孔処理したくない水平方向に発生するシリコンの空隙は埋めないことにより、より効率な皮膜を形成できる。
なお、上記実施形態では、シリコン組成3の内部に存在する空隙3aを、酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びるものとしたが、本発明はこの「略直交」に限らず、酸化皮膜の厚み方向に直交にする方向に対して斜め方向に伸びるものでも勿論良く、要は、空隙3aの伸びる方向が酸化皮膜2の厚み方向とは異なる方向であれば良いと理解されれば良い。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
本願の出願当初の特許請求の範囲に記載されていた各請求項は、以下の通りであった。
請求項1:
少なくともシリコン組成を含むアルミニウム系部材の表面の一部又は全部である第一の部位及び第二の部位に第二の酸化皮膜を備え、前記第二の部位に備えられた第二の酸化皮膜とアルミニウム系部材との間に、さらに第一の酸化皮膜とを少なくとも備え、前記第一の酸化皮膜は多孔質の酸化皮膜を備え、前記第一の酸化皮膜は表面から内部に向かって前記酸化皮膜の厚み方向に伸びる空孔と、前記第一の酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びるシリコン組成の内部に存在する空隙を少なくとも有するアルミニウム系部材の表面構造。
請求項2:
前記空孔の平均直径よりも前記空隙の前記酸化皮膜の厚み方向の平均長さの方が長いことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項3:
前記アルミニウム系部材に含まれる前記シリコン組成の前記酸化皮膜の厚み方向の長さは1μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項4:
前記酸化皮膜の密度は1.1×10 kg/m 以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項5:
前記酸化皮膜の熱伝導率は0.65W/m・K以下であることを特徴とする請求項1〜
7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項6:
前記アルミニウム系部材は、質量%で、Siが8.0%以上、かつ、Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの合計が2.9%以上であり、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム系部材である請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項7:
アルミニウム系部材の第一の部位と第二の部位に処理浴を接触させて、交直重畳電解により陽極酸化処理を行い、第二の酸化皮膜を形成する工程と、第二の部位に処理液を接触させ、第一の部位に処理液を接触させないように、処理浴の液面とアルミニウム系部材の位置関係を変更するなどの手段により、前記位置関係を変更するなど、アルミニウム系部材と処理液が接する場所を変える工程と、第二の部位に処理液を接触させて直流電解により陽極酸化処理を行い、第一の酸化皮膜を形成する工程と、を含む請求項1〜6の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
請求項8:
前記アルミニウム系部材により内燃機関を構成する部材を形成したことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
請求項9:
前記アルミニウム系部材はピストンであり、第一の部位は少なくともトップリング溝部を含むサイドウォール部であり、第二の部位は冠面である請求項1〜8の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
1 アルミニウム合金基材
2 陽極酸化皮膜
2a 空孔
3 シリコン組成
3a、2b 空隙
10、10a、10b ピストン
12 冠面
14 リング溝
16 キャビティー
20 シリンダ
22 シリンダヘッド
23 シリンダブロック
24 シリンダスリーブ
25 ピストンリング
30 アルミニウム合金基材
30a 第一の部位(リング溝)
30b 第二の部位(冠面)
31 第一の酸化皮膜
32a、32b 第二の酸化皮膜
40 浴槽
41 処理液
42 液面
44 シャフト
46 容器

Claims (9)

  1. 少なくとも共晶シリコンと初晶シリコンの結晶粒を含むアルミニウム系部材の表面の一部又は全部である第一の部位及び第二の部位に第二の酸化皮膜を備え、前記第二の酸化皮膜はアルミニウム系部材の表面に対してランダムな方向に微細に折れ曲がって成長したセルを形成した孔が少なく緻密な酸化皮膜であり、前記第二の部位に備えられた第二の酸化皮膜とアルミニウム系部材との間に、さらに第一の酸化皮膜を少なくとも備え、前記第一の酸化皮膜は多孔質の酸化皮膜であり、前記第一の酸化皮膜は表面から内部に向かって前記第一の酸化皮膜の厚み方向に伸びる空孔と、前記第一の酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びる前記共晶シリコンと初晶シリコンの結晶粒の内部に存在する空隙を少なくとも有するアルミニウム系部材の表面構造。
  2. 前記空孔の平均直径よりも前記空隙の前記第一の酸化皮膜の厚み方向の平均長さの方が長いことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
  3. 前記アルミニウム系部材に含まれる前記共晶シリコンと初晶シリコンの結晶粒の前記第一の酸化皮膜の厚み方向の長さは1μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
  4. 前記第一の酸化皮膜の密度は1.1×10kg/m以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
  5. 前記第一の酸化皮膜の熱伝導率は0.65W/m・K以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
  6. 前記アルミニウム系部材は、質量%で、Siが8.0%以上、かつ、Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの合計が2.9%以上であり、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム系部材である請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
  7. アルミニウム系部材の第一の部位と第二の部位に処理浴を接触させて、交直重畳電解により陽極酸化処理を行い、第二の酸化皮膜を形成する工程と、続いて、第二の部位に処理液を接触させ、第一の部位に処理液を接触させないように、処理浴の液面とアルミニウム系部材の位置関係を変更するなどの手段により、前記位置関係を変更するなど、アルミニウム系部材と処理液が接する場所を変える工程と、第二の部位に処理液を接触させて直流電解により陽極酸化処理を行い、アルミニウム系部材の表面であって第二の酸化皮膜との間に第一の酸化皮膜を形成する工程と、を含む請求項1〜6の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
  8. 前記アルミニウム系部材により内燃機関を構成する部材を形成したことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
  9. 前記アルミニウム系部材はピストンであり、第一の部位は少なくともトップリング溝部を含むサイドウォール部であり、第二の部位は冠面である請求項1〜8の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
JP2017005382A 2016-03-07 2017-01-16 アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法 Active JP6814406B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016043445 2016-03-07
JP2016043445 2016-03-07

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017160533A JP2017160533A (ja) 2017-09-14
JP6814406B2 true JP6814406B2 (ja) 2021-01-20

Family

ID=59856774

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017005381A Active JP6814405B2 (ja) 2016-03-07 2017-01-16 アルミニウム系部材の表面構造
JP2017005382A Active JP6814406B2 (ja) 2016-03-07 2017-01-16 アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017005381A Active JP6814405B2 (ja) 2016-03-07 2017-01-16 アルミニウム系部材の表面構造

Country Status (1)

Country Link
JP (2) JP6814405B2 (ja)

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6942157B2 (ja) * 2019-05-24 2021-09-29 株式会社豊田中央研究所 遮熱膜、被覆部材およびその製造方法
JP7344460B2 (ja) * 2019-06-17 2023-09-14 スズキ株式会社 内燃機関用ピストン
JP2022072157A (ja) * 2020-10-29 2022-05-17 スズキ株式会社 内燃機関用ピストン及びその製造方法
CN114480923B (zh) * 2022-01-26 2022-11-08 西南石油大学 一种溶解速度可控的可溶金属密封圈及其制备工艺

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009001855A (ja) * 2007-06-21 2009-01-08 Hitachi Ltd 表面に陽極酸化皮膜が形成された部材及び陽極酸化処理方法
JP5642640B2 (ja) * 2011-09-12 2014-12-17 トヨタ自動車株式会社 内燃機関とその製造方法
JP5718774B2 (ja) * 2011-09-20 2015-05-13 トヨタ自動車株式会社 ピストン
JP5913227B2 (ja) * 2013-08-05 2016-04-27 トヨタ自動車株式会社 内燃機関とその製造方法
JP5904425B2 (ja) * 2014-03-27 2016-04-13 スズキ株式会社 陽極酸化皮膜及びその処理方法並びに内燃機関用ピストン
JP6418498B2 (ja) * 2014-03-27 2018-11-07 スズキ株式会社 陽極酸化処理方法及び内燃機関の構造
JP6369748B2 (ja) * 2014-04-23 2018-08-08 スズキ株式会社 アルミニウム部材の表面被覆方法及び表面被覆アルミニウム部材並びに内燃機関用ピストン

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017160533A (ja) 2017-09-14
JP6814405B2 (ja) 2021-01-20
JP2017160532A (ja) 2017-09-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6814406B2 (ja) アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法
JP6418498B2 (ja) 陽極酸化処理方法及び内燃機関の構造
JP5743883B2 (ja) 構造化クロム固体粒子層およびその生産方法
EP2420658B1 (en) Engine combustion chamber structure and method for producing the same
US7066132B1 (en) Piston with oxidation catalyst
JP6170029B2 (ja) 遮熱膜の形成方法
JP6369748B2 (ja) アルミニウム部材の表面被覆方法及び表面被覆アルミニウム部材並びに内燃機関用ピストン
WO2012025812A2 (en) Internal combustion engine and method of producing same
CN107164662B (zh) 铝系构件的表面结构
JP6490491B2 (ja) 被覆部材およびその製造方法
JP2007284784A (ja) アルミニウム合金製部品
JP5938374B2 (ja) 内燃機関のピストン
JP6557176B2 (ja) 内燃機関用ピストンおよびその製造方法
JP2000226692A (ja) アノ―ド放電析出によるアルミニウム・ボディの表面処理
WO2015147162A1 (ja) アルミニウム部材の表面被覆方法及び表面被覆アルミニウム部材並びに内燃機関用ピストン
JP7084234B2 (ja) 内燃機関
CN110872721B (zh) 有阳极氧化皮膜的金属成型体及制造方法、活塞及内燃机
JP6337639B2 (ja) アルミニウム合金材のハイブリッド遮熱コーティング方法及びその構造並びにピストン
KR20180081039A (ko) 실린더 헤드의 파이프 라이닝을 형성하는 개선된 방법 및 이 방법으로 얻어진 실린더 헤드
RU2713763C1 (ru) Способ получения беспористого композиционного покрытия
JP2015194149A (ja) 陽極酸化皮膜及びその処理方法並びに内燃機関用ピストン
Munir et al. CORROSION RESISTANCE ENHANCEMENT OF AN ANODIC LAYER ON AN ALUMINUM MATRIX COMPOSITE BY CERIUM SEALING.
JP2022059912A (ja) 皮膜積層構造の製造方法および内燃機関用ピストン
JP2023004190A (ja) 内燃機関用ピストン及びその製造方法
JP2022146454A (ja) ディーゼルエンジン用ピストンおよびその製造方法、ならびにディーゼルエンジン

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20191122

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20200819

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200901

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201014

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20201120

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20201203

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6814406

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151