JP6814406B2 - アルミニウム部材の表面構造及びその製造方法 - Google Patents
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Description
次に、硫酸浴の電解処理に使用したアルミ合金中の金属成分を計測した試験例について説明する。
下の表1は、硫酸浴の電解処理に使用したアルミ合金中のアルミ以外の金属成分を示すものである。直流電解法により電流密度一定で陽極酸化処理を行い、酸化皮膜2を35×15×2mmの試験片に形成した。陽極酸化処理は15℃、硫酸濃度300g/L、4.8A/dm2、40分間処理した。皮膜の膜厚は合金成分によって異なり、68.7〜92.4μmであった。
本発明の所望の低熱伝導率かつ低体積比熱容量の陽極酸化皮膜について、他の実施形態について説明する。この目的をアルミニウム合金基材で果たすことが難しい場合、その成分とは異なるアルミニウム合金基材を使用して、陽極酸化皮膜2を形成することができる。使用するアルミニウム合金の形成方法としては、めっき、溶射、蒸着、嵌合、鋳込みなどの方法がある。その場合、陽極酸化皮膜2の形成に使用されるアルミニウム合金基材の成分とは異なるアルミニウム合金基材の他に、基材として鉄製、チタン製金属の材料が使用される。
本願の出願当初の特許請求の範囲に記載されていた各請求項は、以下の通りであった。
請求項1:
少なくともシリコン組成を含むアルミニウム系部材の表面の一部又は全部である第一の部位及び第二の部位に第二の酸化皮膜を備え、前記第二の部位に備えられた第二の酸化皮膜とアルミニウム系部材との間に、さらに第一の酸化皮膜とを少なくとも備え、前記第一の酸化皮膜は多孔質の酸化皮膜を備え、前記第一の酸化皮膜は表面から内部に向かって前記酸化皮膜の厚み方向に伸びる空孔と、前記第一の酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びるシリコン組成の内部に存在する空隙を少なくとも有するアルミニウム系部材の表面構造。
請求項2:
前記空孔の平均直径よりも前記空隙の前記酸化皮膜の厚み方向の平均長さの方が長いことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項3:
前記アルミニウム系部材に含まれる前記シリコン組成の前記酸化皮膜の厚み方向の長さは1μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項4:
前記酸化皮膜の密度は1.1×10 3 kg/m 3 以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項5:
前記酸化皮膜の熱伝導率は0.65W/m・K以下であることを特徴とする請求項1〜
7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項6:
前記アルミニウム系部材は、質量%で、Siが8.0%以上、かつ、Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの合計が2.9%以上であり、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム系部材である請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
請求項7:
アルミニウム系部材の第一の部位と第二の部位に処理浴を接触させて、交直重畳電解により陽極酸化処理を行い、第二の酸化皮膜を形成する工程と、第二の部位に処理液を接触させ、第一の部位に処理液を接触させないように、処理浴の液面とアルミニウム系部材の位置関係を変更するなどの手段により、前記位置関係を変更するなど、アルミニウム系部材と処理液が接する場所を変える工程と、第二の部位に処理液を接触させて直流電解により陽極酸化処理を行い、第一の酸化皮膜を形成する工程と、を含む請求項1〜6の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
請求項8:
前記アルミニウム系部材により内燃機関を構成する部材を形成したことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
請求項9:
前記アルミニウム系部材はピストンであり、第一の部位は少なくともトップリング溝部を含むサイドウォール部であり、第二の部位は冠面である請求項1〜8の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
2 陽極酸化皮膜
2a 空孔
3 シリコン組成
3a、2b 空隙
10、10a、10b ピストン
12 冠面
14 リング溝
16 キャビティー
20 シリンダ
22 シリンダヘッド
23 シリンダブロック
24 シリンダスリーブ
25 ピストンリング
30 アルミニウム合金基材
30a 第一の部位(リング溝)
30b 第二の部位(冠面)
31 第一の酸化皮膜
32a、32b 第二の酸化皮膜
40 浴槽
41 処理液
42 液面
44 シャフト
46 容器
Claims (9)
- 少なくとも共晶シリコンと初晶シリコンの結晶粒を含むアルミニウム系部材の表面の一部又は全部である第一の部位及び第二の部位に第二の酸化皮膜を備え、前記第二の酸化皮膜はアルミニウム系部材の表面に対してランダムな方向に微細に折れ曲がって成長したセルを形成した孔が少なく緻密な酸化皮膜であり、前記第二の部位に備えられた第二の酸化皮膜とアルミニウム系部材との間に、さらに第一の酸化皮膜を少なくとも備え、前記第一の酸化皮膜は多孔質の酸化皮膜であり、前記第一の酸化皮膜は表面から内部に向かって前記第一の酸化皮膜の厚み方向に伸びる空孔と、前記第一の酸化皮膜の厚み方向に略直交する方向に伸びる前記共晶シリコンと初晶シリコンの結晶粒の内部に存在する空隙を少なくとも有するアルミニウム系部材の表面構造。
- 前記空孔の平均直径よりも前記空隙の前記第一の酸化皮膜の厚み方向の平均長さの方が長いことを特徴とする請求項1に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
- 前記アルミニウム系部材に含まれる前記共晶シリコンと初晶シリコンの結晶粒の前記第一の酸化皮膜の厚み方向の長さは1μm以上40μm以下であることを特徴とする請求項2に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
- 前記第一の酸化皮膜の密度は1.1×103kg/m3以下であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
- 前記第一の酸化皮膜の熱伝導率は0.65W/m・K以下であることを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
- 前記アルミニウム系部材は、質量%で、Siが8.0%以上、かつ、Cu、Ni、Mg、Mn、Zn、及びFeの合計が2.9%以上であり、残部がAlと不可避的不純物からなるアルミニウム系部材である請求項1〜5の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造。
- アルミニウム系部材の第一の部位と第二の部位に処理浴を接触させて、交直重畳電解により陽極酸化処理を行い、第二の酸化皮膜を形成する工程と、続いて、第二の部位に処理液を接触させ、第一の部位に処理液を接触させないように、処理浴の液面とアルミニウム系部材の位置関係を変更するなどの手段により、前記位置関係を変更するなど、アルミニウム系部材と処理液が接する場所を変える工程と、第二の部位に処理液を接触させて直流電解により陽極酸化処理を行い、アルミニウム系部材の表面であって第二の酸化皮膜との間に第一の酸化皮膜を形成する工程と、を含む請求項1〜6の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
- 前記アルミニウム系部材により内燃機関を構成する部材を形成したことを特徴とする請求項1〜7の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
- 前記アルミニウム系部材はピストンであり、第一の部位は少なくともトップリング溝部を含むサイドウォール部であり、第二の部位は冠面である請求項1〜8の何れか一項に記載のアルミニウム系部材の表面構造、若しくは、アルミニウム系部材の表面構造の形成方法。
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